(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-28
(45)【発行日】2025-08-05
(54)【発明の名称】量子ドット集積板、その製造方法及びそれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20250729BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20250729BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20250729BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20250729BHJP
B29C 65/48 20060101ALI20250729BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20250729BHJP
G02B 5/04 20060101ALI20250729BHJP
B29C 59/04 20060101ALI20250729BHJP
【FI】
G02B5/20
G09F9/00 336A
G09F9/00 324
G02F1/13357
F21S2/00 431
F21S2/00 481
B29C65/48
G02B5/02 C
G02B5/04 A
B29C59/04 C
(21)【出願番号】P 2024515870
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 CN2022130404
(87)【国際公開番号】W WO2023083146
(87)【国際公開日】2023-05-19
【審査請求日】2024-03-12
(31)【優先権主張番号】202111316972.8
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524087046
【氏名又は名称】朱 小波
【氏名又は名称原語表記】ZHU,Xiaobo
【住所又は居所原語表記】Room 402,Building 12,No.8 Lianyun Road,Guangzhou Development Zone Guangzhou,Guangdong 510700(CN)
(73)【特許権者】
【識別番号】524087057
【氏名又は名称】広納珈源(広州)科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CANNANO JIAYUAN(GUANGZHOU)SCIENCE & TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 402,Building 12,No.8 Lianyun Road,Guangzhou Development Zone Guangzhou,Guangdong 510700(CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】徐 越
(72)【発明者】
【氏名】朱 東亮
(72)【発明者】
【氏名】董 博然
(72)【発明者】
【氏名】郭 三維
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2020-0044265(KR,A)
【文献】特開2017-173817(JP,A)
【文献】特開2018-124411(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0175956(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106707610(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20 - 5/28
G02B 5/18 - 5/32
G02B 1/10 - 1/18
G09F 9/00
G02F 1/13357
F21S 2/00
B29C 59/04 -65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
順に設けられた第1光遷移層と、第1量子ドット層と、第2光遷移層と、第2量子ドット層とを含み、各層の屈折率は、t
第1光遷移層<t
第1量子ドット層、t
第2光遷移層<t
第1量子ドット層、t
第2光遷移層<t
第2量子ドット層を満たし、前記第1量子ドット層の前記第2光遷移層に近接する側に第1微細構造パターンが設けられ、前記第2量子ドット層の前記第2光遷移層から離れる側に第2微細構造パターンが設けられ、前記第1量子ドット層は、赤色量子ドット材料を含み、前記第2量子ドット層は、緑色量子ドット材料を含
み、
前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ複数の繰り返し単位を有し、各前記繰り返し単位は、それぞれ独立して、最大幅が10~100μmで、最大高さが2~120μmであることを満たす、ことを特徴とする量子ドット集積板。
【請求項2】
前記第1微細構造パターンの外面と第2微細構造パターンの外面は、それぞれ独立して、板状、弧状又は両者の組み合わせである、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項3】
前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、その微細構造パターンが頂点を含み、前記頂点の所在角度が45~135°であることを満たす、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項4】
前記第1微細構造パターン及び/又は前記第2微細構造パターンの繰り返し単位は、それぞれ独立して、最大幅が50μmで、最大高さが25μmであることを満たす、請求項
1に記載の量子ドット集積板。
【請求項5】
前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、プリズム構造である、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項6】
光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角は、0~180°である、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項7】
前記夾角は、45~135°である、請求項
6に記載の量子ドット集積板。
【請求項8】
前記夾角は、90°である、請求項
7に記載の量子ドット集積板。
【請求項9】
前記第1光遷移層内に設けられた樹脂粉末をさらに含む、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項10】
前記第1光遷移層に対して、前記樹脂粉末の含有量は、1~50wt%である、請求項
9に記載の量子ドット集積板。
【請求項11】
前記樹脂粉末の材料は、前記第1量子ドット層の基材と同じである、請求項
9に記載の量子ドット集積板。
【請求項12】
前記樹脂粉末の平均粒径は、1~100μmである、請求項
9に記載の量子ドット集積板。
【請求項13】
前記第1光遷移層及び前記第2光遷移層の厚さは、それぞれ独立して、10~500μmであり、前記第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.05~1.5mmである、請求項1に記載の量子ドット集積板。
【請求項14】
前記第1光遷移層及び前記第2光遷移層の厚さは、それぞれ独立して、10~200μmである、請求項
13に記載の量子ドット集積板。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の量子ドット集積板の製造方法であって、
第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートを製造するステップ(1)と、
前記第1量子ドットシートの一側及び第2量子ドットシートの一側にそれぞれ第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンを形成するステップ(2)と、
前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの屈折率を測定し、第1光遷移層及び第2光遷移層を形成するように、光硬化性接着剤又は感圧接着剤を選択し、前記第1量子ドットシートの他側及び第2量子ドットシートの他側にそれぞれ光硬化性接着剤又は感圧接着剤を塗布する、ステップ(3)と、
前記第1量子ドットシートの第1微細構造パターンが形成された側と、前記第2量子ドットシートの光硬化性接着剤又は感圧接着剤が塗布された側とを接合して、光の屈折が変化する量子ドット集積板を形成するステップ(4)とを含む、ことを特徴とする量子ドット集積板の製造方法。
【請求項16】
ステップ(1)において、前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの製造は、それぞれ独立して、量子ドット溶液と高分子材料とを混合した後、成形加工を行うステップを含み、
及び/又は、ステップ(2)において、前記第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンは、微細構造ローラーのプレスにより形成される、請求項
15に記載の量子ドット集積板の製造方法。
【請求項17】
ステップ(3)において、前記第1量子ドットシートに塗布される光硬化性接着剤又は感圧接着剤に樹脂粉末を導入するステップをさらに含む、請求項
15に記載の量子ドット集積板の製造方法。
【請求項18】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の量子ドット集積板を含む表示装置。
【請求項19】
前記量子ドット集積板の第2量子ドット層の外側に設けられるパネルと、
前記量子ドット集積板の前記パネルから離れた側に設けられる拡散板又は導光板とをさらに含む、請求項
18に記載の表示装置。
【請求項20】
前記表示装置が直下型バックライトモードである場合、前記量子ドット集積板における第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.5~1.5mmであり、前記表示装置がエッジライト型バックライトモードである場合、前記量子ドット集積板における第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.05~0.5mmである、請求項
18に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年11月9日に中国国家知識産権局に提出された、名称が「量子ドット集積板、その製造方法及びそれを含む表示装置」である中国特許出願第2021113169728号の優先権を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本願は、量子ドット光学板の技術分野に属し、具体的には、量子ドット集積板、その製造方法及びそれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
量子ドット材料は、励起スペクトルが広く、発光スペクトルが狭く、色純度が高く、光安定性が高いという特徴を有するため、表示の分野に用いられ、デバイスの色域を効果的に向上させ、デバイスの表示効果をより鮮やかにし、生き生きしている。量子ドット集積板は、量子ドット材料の優れた光学性能を従来のバックライト表示システムに効果的に適用し、量子ドットの高色域表示技術を安価化し、普及させることができる。しかし、適用過程において、量子ドットが同時に水、酸素、熱などの要素の影響を受けるため、量子ドットの安定性が低い。同時に、異なる液晶表示装置のバックライトの差異(市場でよく使用されるテレビ、コンピュータディスプレイの表示装置は、主に直下型とエッジライト型であり、ノートパソコン、Pad、携帯電話などのデバイスは、主にエッジライト型表示装置を用いる)により、量子ドットデバイスに対して異なる需要が生み出される。
【0004】
しかし、従来技術には、少なくとも、(1)テレビに必要なバックライト光源を実現するために、光学ボード材、光学フィルム及びバックライト光源を複雑に組み合わせる必要があり、(2)緑色量子ドットが発する光が赤色量子ドットによって吸収され、量子ドットボード材の発光効率に影響を与えるため、量子ドット材料の青色光に対する利用率が限られ、(3)組立コスト及びフィルムコストが高いため、量子ドット光変換フィルムの使用コストが高いという欠点がある。
【0005】
CN111393578Aには、輝度向上層及び拡散層を含む広色域複合フィルムが開示された。前記輝度向上層は2つの部分を含み、1つは、輝度向上基材層であり、輝度向上基材層は、一般的にPETを用い、もう1つは、輝度向上基材層上に形状が一致して緊密に配列され、断面が等脚台形である四角柱構造であり、四角柱は、上記高屈折率量子ドットUV樹脂からなり、四角柱の面積が大きい下端面は、輝度向上基材層に接続され、輝度向上基材層に平行な上端面は、拡散層の底面に接続される。当該特許出願は、硫黄含有アクリレートモノマーを添加することにより、樹脂自体の屈折率を向上させるとともに、硫黄元素と量子ドットの表面の金属原子との配位を利用して、高屈折率UV樹脂の量子ドットに対する適合性及び量子ドットの安定性を向上させる。前記高屈折率UV樹脂で量子ドットを含む斜四角柱の輝度向上構造を製造することにより、輝度向上と色域向上の機能を両立させる。また、四角柱の側面が拡散フィルムの底面に接続されることにより、付着力がより高くなり、集積された機能がより多くなるとともに、複合フィルムがより薄くて軽くなり、コストがより低くなる。
【0006】
CN111650678Aには、下から上へ順に設けられた下基材、第1構造層、第2構造層及び上基材を含む高輝度量子ドットフィルムが開示され、前記第1構造層の上端面、第2構造層の下端面は、順に配列された三角柱であり、前記第1構造層、第2構造層内には、それぞれ重量比が1:1の赤色、緑色の2種類の異なる色の量子ドット材料が添加され、前記第1構造層の屈折率は、第2構造層の屈折率より大きい。プリズム構造の設計により、2つの微細構造層の屈折率差に合わせて、当該特許出願による発明を用いて製造された量子ドットフィルムは、光学的集光効果を有することができ、青色光LEDバックライトモジュールに合わせて使用すると、液晶ディスプレイの画面の彩度を向上させるとともに、輝度を向上させる効果を有し、広色域及び省エネルギーの目的を達成することができる。
【0007】
CN108303819Aには、バックライト及びその製造方法、導光板及びその製造方法、並びに表示装置が開示され、具体的には、透明接着剤の屈折率t0がt1≦t0≦t2を満たし、ここで、t1は、導光板の屈折率であり、t2は、光学フィルム層の屈折率であることが開示された。光学フィルム層と導光板本体との間に透明接着剤を充填し、透明接着剤の屈折率が導光板の屈折率以上であり、かつ光学フィルム層の屈折率以下であることを確保することにより、光線が導光板から光学フィルム層に入る過程において、常に光学的に疎な媒質から光学的に密な媒質に伝送され、伝送過程において一部の光線が全反射されることを効果的に防止し、光線の利用率を向上させることができる。
【0008】
上記従来技術は、量子ドットフィルムの高色域出力の特徴を結合し、一部が各層構造を通る光線の伝播経路に対する設計に関するが、光線の利用率、青色光遮断効果をさらに向上させることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本願は、従来技術における量子ドット光学板の輝度、青色光遮断効果をさらに向上させることが望まれているという欠点を克服するために、輝度を向上させるとともに、青色光の出力を低減することができ、適用範囲が広い量子ドット集積板、その製造方法及びそれを含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を実現するために、本願の第1態様は、順に設けられた第1光遷移層と、第1量子ドット層と、第2光遷移層と、第2量子ドット層とを含み、各層の屈折率は、t第1光遷移層<t第1量子ドット層、t第2光遷移層<t第1量子ドット層、t第2光遷移層<t第2量子ドット層を満たし、前記第1量子ドット層の前記第2光遷移層に近接する側に第1微細構造パターンが設けられ、前記第2量子ドット層の前記第2光遷移層から離れる側に第2微細構造パターンが設けられ、前記第1量子ドット層は、赤色量子ドット材料を含み、前記第2量子ドット層は、緑色量子ドット材料を含む量子ドット集積板を提供する。
【0011】
好ましくは、前記第1微細構造パターンの外面と第2微細構造パターンの外面は、それぞれ独立して、板状、弧状又は両者の組み合わせである。
【0012】
好ましくは、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、その微細構造パターンが頂点を含み、当該頂点の所在角度が45~135°であることを満たす。
【0013】
好ましくは、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ複数の繰り返し単位を有し、各繰り返し単位は、それぞれ独立して、最大幅が10~100μmで、最大高さが2~120μmであることを満たす。
【0014】
より好ましくは、前記第1微細構造パターン及び/又は前記第2微細構造パターンの繰り返し単位は、最大幅が50μmで、最大高さが25μmであることを満たす。
【0015】
好ましくは、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、プリズム構造である。
【0016】
好ましくは、光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角は、0~180°であり、好ましくは、当該夾角は、45~135°であり、最も好ましくは、当該夾角は、90°である。
【0017】
好ましくは、前記量子ドット集積板は、前記第1光遷移層内に設けられた樹脂粉末をさらに含む。
【0018】
好ましくは、第1光遷移層に対して、前記樹脂粉末の含有量は、1~50wt%である。
【0019】
好ましくは、前記樹脂粉末の材料は、前記第1量子ドット層の基材と同じである。
【0020】
好ましくは、前記樹脂粉末の平均粒径は、1~100μmである。
【0021】
好ましくは、前記第1光遷移層及び前記第2光遷移層の厚さは、それぞれ独立して、10~500μmであり、好ましくは、10~200μmであり、前記第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.05~1.5mmである。
【0022】
本願の第2態様は、
第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートを製造するステップ(1)と、
前記第1量子ドットシートの一側及び第2量子ドットシートの一側にそれぞれ第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンを形成するステップ(2)と、
前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの屈折率を測定し、第1光遷移層及び第2光遷移層を形成するように、光硬化性接着剤又は感圧接着剤を選択し、前記第1量子ドットシートの他側及び第2量子ドットシートの他側にそれぞれ光硬化性接着剤又は感圧接着剤を塗布する、ステップ(3)と、
前記第1量子ドットシートの第1微細構造パターンが形成された側と、前記第2量子ドットシートの光硬化性接着剤又は感圧接着剤が塗布された側とを接合して、光の屈折が変化する量子ドット集積板を形成するステップ(4)とを含む、量子ドット集積板の製造方法を提供する。
【0023】
好ましくは、ステップ(1)において、前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの製造は、それぞれ独立して、量子ドット溶液と高分子材料とを混合した後、成形加工を行うステップを含む。
【0024】
好ましくは、ステップ(2)において、前記第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンは、微細構造ローラーのプレスにより形成される。
【0025】
好ましくは、当該方法は、ステップ(3)において、前記第1量子ドットシートに塗布される光硬化性接着剤又は感圧接着剤に樹脂粉末を導入するステップをさらに含む。
【0026】
本願の第3態様は、第1態様に記載の量子ドット集積板を含む表示装置を提供する。
【0027】
好ましくは、表示装置は、
前記量子ドット集積板の第2量子ドット層の外側に設けられるパネルと、
前記量子ドット集積板の前記パネルから離れた側に設けられる拡散板又は導光板とをさらに含む。
【0028】
好ましくは、表示装置が直下型バックライトモードである場合、前記量子ドット集積板における第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.5~1.5mmであり、表示装置がエッジライト型バックライトモードである場合、前記量子ドット集積板における第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.05~0.5mmである。
【発明の効果】
【0029】
本願は、上記構造設計により、光遷移層を設け、各層の屈折率を「小大小大」の順に設計することにより、量子ドット層の微細構造をよりよく利用することができ、光の屈折、反射確率を向上又は低下させることにより光線の利用率を向上させるとともに、青色光に対する赤色・緑色量子ドット材料の利用率を向上させ、量子ドットボード材の輝度値を向上させるとともに、青色光の出力を低減する。十分に高い輝度値を有するため、本願に係る量子ドット集積板を用いて表示装置を構成する場合、従来の表示装置の構成における拡散フィルム及び輝度向上フィルムを用いる必要がなく、光学フィルムのコスト及び組立コストを大幅に低減することができる。
【0030】
本願に係る製造方法は、適応性が高く、プロセスが簡単であり、異なる表示装置に応じて、異なる厚さの量子ドット集積板を製造することができ、量子ドットの適用範囲を増加させる。当該量子ドット集積板は、エッジライト型表示装置に用いられてもよく、直下型表示装置に用いられてもよく、デバイス端末は、テレビ、コンピュータディスプレイ、ノートパソコン、pad、携帯電話などの様々な端末に普及することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本願に係る量子ドット集積板の具体的な一実施形態の正面図である。
【
図3】本願に係る量子ドット集積板に設けられた微細構造パターンの光屈折の概略図である。
【符号の説明】
【0032】
1-第1光遷移層
2-第1量子ドット層
3-第2光遷移層
4-第2量子ドット層
5-樹脂粉末
A-量子ドット集積板
6-パネル
7-拡散板
8-導光板
【発明を実施するための形態】
【0033】
本明細書で開示される範囲の端点及び任意の値は、この精確な範囲又は値に限定されず、これら範囲又は値は、これら範囲又は値に近い値を含むと理解されるべきである。数値の範囲に対しては、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個々の点の値の間、及び個々の点の値同士は互いに組み合わせて、1つ又は複数の新しい数値の範囲を構成でき、これら数値の範囲は、本明細書に具体的に開示されるとみなされるべきである。
【0034】
上記のように、本願の第1態様は、量子ドット集積板を提供し、
図1及び
図2に示すように、順に設けられた第1光遷移層1と、第1量子ドット層2と、第2光遷移層3と、第2量子ドット層4とを含み、各層の屈折率は、t
第1光遷移層<t
第1量子ドット層、t
第2光遷移層<t
第1量子ドット層、t
第2光遷移層<t
第2量子ドット層を満たし、前記第1量子ドット層2の前記第2光遷移層3に近接する側に第1微細構造パターンが設けられ、前記第2量子ドット層4の前記第2光遷移層3から離れる側に第2微細構造パターンが設けられ、前記第1量子ドット層2は、赤色量子ドット材料を含み、前記第2量子ドット層4は、緑色量子ドット材料を含む。
【0035】
本願の出願人は、研究の過程において、本願の上記各層の構造設計により、特に各層の屈折率を「小大小大」(「小」又は「大」は、いずれも隣接する層に対するものである)の順に設計し、赤色・緑色量子ドット材料を含有する量子ドット層に対応して設けられた微細構造パターンに合わせて、輝度向上構造及び量子ドット材料の特性を十分に発揮できることを見出した。具体的には、前記第1量子ドット層2は、その上に設けられた第1微細構造パターンに合わせて、集光作用を十分に発揮することができ、かつ光線が第1量子ドット層2から第2光遷移層1に伝送されることは、光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質に入ることであり、これにより、一部の光線が第1量子ドット層2内で繰り返し反射され、光線の利用率を増加させることができ、同時に、光線が第1光遷移層1から第1量子ドット層2に入ること、及び第2光遷移層3から第2量子ドット層4に入ることは、光学的に疎な媒質から光学的に密な媒質に入ることであり、光反射現象を減少させ、量子ドット層に入る光線量を増加させ、光損失を減少させ、このような屈折率の変化の規則により、量子ドット集積板の輝度を顕著に向上させる。
【0036】
一方、一般的に赤色・緑色量子ドットが混合された量子ドット拡散板では、青色光は、赤色量子ドットと緑色量子ドットを同時に励起して、赤色光と緑色光とが発されるが、量子ドットの緑色光の部分が赤色量子ドットによって吸収され、赤色量子ドット材料の励起に用いられ、緑色量子ドットの性能を最大限に発揮できないため、同じ効果を達成する場合、より多くの緑色量子ドットと青色光を使用する必要がある。同時に、従来技術において、青色光は、一般的に量子ドット拡散板を直接通り、第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートにおける青色光の再利用過程がなく、青色光に対する利用率が低く、量子ドット拡散板を透過する青色光が多い。本願の量子ドット集積板において、青色光は、まず、赤色量子ドットを含む第1量子ドットシートを通り、その伝播経路が光学的に密な媒質から光学的に疎な媒質に入るため、一部の青色光は、第1量子ドットシート内で繰り返し反射され、青色光は、赤色量子ドットを十分に励起することができる。青色光及び赤色光が緑色量子ドットを含む第2量子ドットシートに入る場合、一部の青色光及び赤色光は、第2量子ドットシート内で繰り返し反射され、赤色光が緑色量子ドットを励起しないため、青色光は緑色量子ドットを十分に励起することができ、緑色量子ドットの性能を最大限に発揮し、青色光の利用率を向上させ、青色光の出力を顕著に低減することができる。
【0037】
本願において、前記赤色量子ドット材料及び緑色量子ドット材料は、いずれも従来の量子ドット材料であり、市販により得られてもよく、従来の方法により製造されてもよく、ここでは説明を省略する。
【0038】
本願において、「光遷移層」は、光の屈折率が変化するグラデーション遷移層であると理解されてもよく、その作用は、1つが光線の透過率を増加させ、量子ドット層の側面の貼り合わせ箇所における屈折率差による光反射現象を減少させることであり、もう1つが光線の光遷移層における角度変化を増加させ、光線に対して一定の拡散と霧化の作用を果たすことである。
【0039】
本願は、前記第1光遷移層1及び第2光遷移層3の材質を具体的に限定せず、上記特定の屈折率を満たし、光学板に適用すればよい。非限定的に挙げられた光遷移層の基材は、PMMA、PET、PC、MS、PP、PS、PEから選択されてもよい。
【0040】
本願において、各層の屈折率の具体的な選択は、上記屈折率の規則を満たし、かつ輝度の向上、青色光の出力の低減に有利であればよい。例えば、好ましくは、前記第1量子ドット層2及び第2量子ドット層4の屈折率は、それぞれ独立して、1.3~1.7であり、前記第1光遷移層1及び前記第2光遷移層3の屈折率は、それぞれ独立して、1~1.6であり、上記屈折率の規則が同時に満たされる。
【0041】
なお、前記第1量子ドット層2と第2量子ドット層4の屈折率は、同じであってもよく、異なってもよい。前記第1光遷移層1と前記第2光遷移層3の屈折率は、同じであってもよく、異なってもよい。
【0042】
本願において、「微細構造パターン」とは、マイクロメートルサイズを有する構造パターンを指し、光線に対して集光作用を有し、具体的には、例えば、
図3に示すような左から右への光線伝播の4つの状況a~dを含んでもよく、a、光線をできるだけ全反射させ(TIR
+、例えば、同一の微細構造パターンにおける微細構造ユニット内の全反射)、b、屈折可能な光線を増加させ、c、光線損失の割合を減少させ、d、屈折光線を再利用する(例えば、1つの微細構造ユニットで屈折してから次の微細構造ユニットに入って再利用される)。それは、一部の光線を対応する量子ドット層内で繰り返して反射し、光線の利用率を向上させることにより、輝度の向上を確保するとともに、青色光の出力を低減することができる。
【0043】
本願において、前記微細構造パターンの具体的な形状は、選択可能な範囲が広く、例えば、板状(例えば、プリズム)であってもよく、弧状(例えば、球体又は楕円体)であってもよく、それらの組み合わせであってもよく、輝度の向上、青色光の出力の低減に有利であればよい。
【0044】
より好ましくは、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、その微細構造パターンが頂点を含み、当該頂点の所在角度が45~135°であることを満たす。当該好ましい解決手段において、隣接する界面で屈折した光線のマルチレベルの再利用に有利であり、それにより、輝度を向上させるとともに、青色光の出力を低減することに有利である。
【0045】
本願における頂点の所在角度は、頂点が位置する最大角度を指す。なお、前記頂点は、少なくとも2つの平面、少なくとも1つの弧面、又は、複数の平面と複数の弧面との組み合わせによって形成されてもよく、当該頂点の所在角度は、同一の頂点を形成する任意の2つの面の間の最大角度を指す。例示的には、前記頂点が1つの弧面で形成される場合、当該頂点の所在角度は、テーパー角である。
【0046】
より好ましくは、前記第2微細構造パターンの頂点の所在角度は、70~110°であり、さらに好ましくは、80~100°であり、さらに好ましくは、90°である。当該好ましい解決手段において、光線の多重反射又は屈折による輝度の向上に有利であり、青色光が最大限の反射又は屈折により第2量子ドット層に戻って量子ドット材料に作用することに有利である。
【0047】
本願の好ましい一実施形態において、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ複数の繰り返し単位を有し、各繰り返し単位は、それぞれ独立して、最大幅が10~100μmで、最大高さが2~120μmであることを満たす。
【0048】
当業者は、輝度の向上及び青色光遮断の観点から、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンの対応する繰り返し単位のそれぞれのサイズを選択することができる。
【0049】
より好ましくは、前記第1微細構造パターン及び/又は前記第2微細構造パターンの繰り返し単位は、最大幅が10~100μmであり、さらに好ましくは50μmであり、最大高さが10~70μmであり、さらに好ましくは25μmであることを満たす。当該好ましい解決手段において、光線の多重反射又は屈折による輝度の向上に有利であり、青色光が最大限の反射又は屈折により第2量子ドット層に戻って量子ドット材料に作用することに有利である。
【0050】
本願によれば、好ましくは、前記第1微細構造パターン及び前記第2微細構造パターンは、それぞれ独立して、プリズム構造であり、その断面は、
図3に示され、その屈折及び反射状況は、
図3における矢印方向に示される。
【0051】
前記第1微細構造パターンと第2微細構造パターンは、同じであってもよく、異なってもよい。
【0052】
好ましくは、光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角(2つの微細構造の夾角とも呼ばれる)は、0~180°であり、好ましくは、当該夾角は、45~135°であり、最も好ましくは、当該夾角は、90°である。本願の好ましい解決手段によれば、光線の利用率の向上及び青色光の低減に有利である。
【0053】
本願において、前記「光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角」とは、光線が伝播する同一の鉛直方向において、前記第1微細構造パターンの当該鉛直方向における対応する表面と、前記第2微細構造パターンの当該鉛直方向における対応する表面(又は、その延長線が位置する面)との間の夾角を指す。なお、ここでの「面」とは、平面又は弧面を意味する。
【0054】
本願によれば、好ましくは、
図1及び
図2に示すように、前記量子ドット集積板は、前記第1光遷移層1内に設けられた樹脂粉末5をさらに含む。当該好ましい解決手段において、前記樹脂粉末5により、前記第1光遷移層1の入光面に一定の粗さを形成し、前記第1光遷移層1の入光面が粗面になるため、鏡面反射現象を減少させることができ、入光量の増加に有利であり、量子ドット集積板の輝度の向上及び赤色・緑色量子ドット材料の青色光に対する利用率の向上に有利である一方、より多くの青色光が第1光遷移層1を経て第1量子ドット層2に入る場合、樹脂粉末5の屈折率と接着剤の屈折率に差があるため、光線の伝播角度を変更し、光線を多角度で発散させ、光線の均一化と発散の作用を果たす。
【0055】
なお、前記樹脂粉末5は、前記第1光遷移層1内に分散して設けられ、好ましくは、均一に設けられ、光線の均一化に有利であり、多方位の利用を促進させる。
【0056】
好ましくは、第1光遷移層に対して、前記樹脂粉末5の含有量は、1~50wt%である。
【0057】
好ましくは、前記樹脂粉末5の材料は、前記第1量子ドット層2の基材と同じである。当該好ましい解決手段は、輝度向上構造の十分な発揮に有利であり、屈折率変化がより優れたものとなる。
【0058】
当業者であれば、輝度及び青色光の伝播状況に応じて樹脂粉末の粒径を選択することができる。好ましくは、前記樹脂粉末5の平均粒径は、1~100μmである。
【0059】
本願において、「平均粒径」とは、平均直径を意味する。
【0060】
本願によれば、好ましくは、前記第1光遷移層1及び前記第2光遷移層3の厚さは、それぞれ独立して、10~500μmであり、好ましくは10~200μmであり、さらに好ましくは10~100μmである。
【0061】
好ましくは、前記第1量子ドット層2及び第2量子ドット層4の厚さは、それぞれ独立して、0.05~1.5mmである。
【0062】
当業者は、実際の状況に応じて前記第1量子ドット層2及び第2量子ドット層4の基材を選択することができる。好ましくは、前記第1量子ドット層2は、第1高分子材料をさらに含み、前記第2量子ドット層4は、第2高分子材料をさらに含む。
【0063】
前記第1高分子材料と前記第2高分子材料は、同じであってもよく、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。本願において、前記高分子材料の具体的な種類について何ら限定がなく、本分野の従来の光学板に適用可能な高分子材料であってもよい。例示的には、前記高分子材料は、例えばPE、PS、PMMA、PC、MS、PET、PPなどの樹脂材料であってもよい。
【0064】
本願の対応する量子ドット層において、当業者は、実際のニーズに応じて、それに含まれる量子ドット材料と、対応する高分子材料との割合を選択することができる。例示的には、前記第1量子ドット層2において、前記赤色量子ドット材料と第1高分子材料との重量比は、1:100~10000であってもよい。例示的には、前記第2量子ドット層4における青色量子ドット材料と第2高分子材料との重量比は、1:100~10000であってもよい。
【0065】
本願の第2態様は、
第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートを製造するステップ(1)と、
前記第1量子ドットシートの一側及び第2量子ドットシートの一側にそれぞれ第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンを形成するステップ(2)と、
前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの屈折率を測定し、第1光遷移層1及び第2光遷移層3を形成するように、光硬化性接着剤又は感圧接着剤を選択し、前記第1量子ドットシートの他側及び第2量子ドットシートの他側にそれぞれ光硬化性接着剤又は感圧接着剤を塗布する、ステップ(3)と、
前記第1量子ドットシートの第1微細構造パターンが形成された側と、前記第2量子ドットシートの光硬化性接着剤又は感圧接着剤が塗布された側とを接合して、光の屈折が変化する量子ドット集積板を形成するステップ(4)とを含む、量子ドット集積板の製造方法を提供する。
【0066】
本願に係る上記製造方法は、光硬化性接着剤又は感圧接着剤を用いて第1光遷移層1及び第2光遷移層3を形成し、特定の屈折率設計、微細構造パターン設計と相乗的に作用することができ、それにより、製造された量子ドット集積板は、光線による輝度向上作用、量子ドットの青色光に対する利用作用がいずれも最大となるとともに、量子ドット材料の光効果特性に合わせて、色域をよりよく向上させ、青色光の出力を低減することができる。
【0067】
ステップ(1)において、当業者は、必要に応じて従来の方法を選択して量子ドット層を製造することができる。
【0068】
好ましい一実施形態において、前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの製造は、それぞれ独立して、量子ドット溶液と高分子材料とを混合した後、成形加工を行うステップを含む、
【0069】
なお、ステップ(1)において、前記第1量子ドットシートの製造において、対応する量子ドット溶液は、赤色量子ドット材料を含有する溶液であり、前記第2量子ドットシートの製造において、対応する量子ドット溶液は、緑色量子ドット材料を含有する溶液であり、その溶液の製造は、当業者に公知であり、ここでは説明を省略する。
【0070】
前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの製造において、それぞれ対応する高分子材料は、それぞれ第1高分子材料及び第2高分子材料である。
【0071】
本願によれば、上記成形加工の具体的なプロセスは、成形方式及びプロセスパラメータを含み、当業者は、実際のニーズに応じて選択することができ、好ましくは、前記成形加工は、押出成形である。前記押出成形の装置としては、スクリュー押出機が挙げられる。
【0072】
より好ましくは、前記押出成形は、120~300℃で行われる。
【0073】
本願のステップ(1)において、前記成形加工により前記混合して得られた材料を量子ドットシートに延伸して、第1量子ドット層2及び第2量子ドット層4とする。
【0074】
本願のステップ(2)において、前記第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンの形成方式として、当業者は、従来の如何なる方式で製造することができ、例えば、直接インクジェット印刷を用いてもよく、ロール成形、積層造形などの方法で製造してもよい。
【0075】
好ましくは、前記第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンは、微細構造ローラーのプレスにより形成される。この好ましい解決手段では、プロセスを簡単で効率的にすることができる。
【0076】
前記微細構造ローラーのプレス条件は、微細構造を形成できる条件であればよく、例えば、前記微細構造ローラーのプレスによる形成は、高温条件で行われる。
【0077】
本願のステップ(3)において、上記屈折率が満たすべき要求に応じて、前記第1量子ドットシート及び第2量子ドットシートの屈折率を測定し、光硬化性接着剤又は感圧接着剤を選択して、前記第1量子ドットシートの他側及び第2量子ドットシートの他側に塗布する。なお、前記微細構造パターン及び塗布された接着剤は、それぞれ量子ドットシートの両側に位置する。
【0078】
なお、前記量子ドットシートに塗布された接着剤に対して、後続の層接合の必要に応じて、適切な工程で光硬化(好ましくは、紫外線硬化)又は圧着を行って、固形の光遷移層を形成してもよく、最終的に前記第1光遷移層1及び第2光遷移層3を形成できればよい。例えば、後で、塗布された接着剤に他の層を接合する必要がなければ、ステップ(3)において光硬化又は圧着を行うことができ、その後に他の層を接合する必要があれば、後のステップにおいて接合してから光硬化又は圧着を行うことができる。
【0079】
好ましくは、当該方法は、ステップ(3)において、前記第1量子ドットシートに塗布される光硬化性接着剤又は感圧接着剤に樹脂粉末5を導入するステップをさらに含む。
【0080】
前記樹脂粉末5は、前記光硬化性接着剤又は感圧接着剤に混合されることを理解されたい。
【0081】
本願のステップ(4)において、「前記第1量子ドットシートの第1微細構造パターンが形成された側と、前記第2量子ドットシートの光硬化性接着剤又は感圧接着剤が塗布された側とを接合する」とは、第1量子ドットシート上の第1微細構造パターンの表面と、第2量子ドットシートの接着剤の表面とを接合することを意味する。前記接合の後、光硬化又は圧着を経て、第1量子ドットシートと第2量子ドットシートとの間に第2光遷移層3を形成する。
【0082】
本願において、各原料の使用量は、各層の構造及び組成を満たすようにすればよいことを理解されたい。各層の構造及び組成は、それぞれ第1態様と同じであり、ここでは説明を省略する。
【0083】
本願の第3態様は、第1態様に記載の量子ドット集積板を含む表示装置を提供する。
【0084】
本願に係る量子ドット集積板は、従来の如何なる形式のモジュールに適用することができ、通常の直下型モジュール(その構成は、一般的にパネル6、輝度向上フィルム、拡散フィルム、拡散板7である)、通常のエッジライト型表示装置(その構成は、一般的にパネル6、輝度向上フィルム、拡散フィルム、導光板8である)を含むが、これらに限定されない。本願に係る量子ドット集積板は、輝度を向上させ、青色光を遮断することができ、モジュールに用いられると、輝度を向上させ、青色光を遮断するための複数のコンポーネントを必要とせず、光学フィルムのコスト及び組立コストを低減することができる。
【0085】
好ましい一実施形態において、前記表示装置は、直下型バックライトモードであり、
図4に示すように、
前記量子ドット集積板Aの第2量子ドット層4の外側に設けられるパネル6と、
前記量子ドット集積板Aの前記パネル6から離れた側に設けられる拡散板7とを含む。
【0086】
より好ましくは、前記量子ドット集積板Aにおける第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.5~1.5mmである。
【0087】
別の好ましい実施形態において、前記表示装置は、エッジライト型バックライトモードであり、
図5に示すように、
前記量子ドット集積板Aの第2量子ドット層4の外側に設けられるパネル6と、
前記量子ドット集積板Aの前記パネル6から離れた側に設けられる導光板8とを含む。
【0088】
より好ましくは、前記量子ドット集積板Aにおける第1量子ドット層及び第2量子ドット層の厚さは、それぞれ独立して、0.05~0.5mmである。
【0089】
本願において、前記パネル6の具体的な種類について何ら限定がなく、例えば、液晶パネルであってもよい。
【0090】
以下、実施例を参照しながら本願をより詳細に説明する。
【0091】
(実施例1)
量子ドット集積板は、順に設けられた第1光遷移層1と、PS第1量子ドット層2と、第2光遷移層3と、PS第2量子ドット層4とを含む。第1光遷移層1は、第1量子ドット層2の下に位置し、第2光遷移層3は、第1量子ドット層2と第2量子ドット層4との間に位置する。第1光遷移層1、第2光遷移層3は、いずれもアクリル樹脂系接着剤を硬化してなる。
【0092】
当該量子ドット集積板の具体的な製造方法は、以下のステップ(1)~(3)を含む。
【0093】
(1)赤色・緑色量子ドット溶液をそれぞれ高分子材料PSと混合した後、スクリュー押出機により200℃で押出加工を行い、量子ドットシートに延伸するとともに、微細構造ローラーを用いて、シートの一側に微細構造パターンをプレス形成し、赤色量子ドット材料を含む第1量子ドットシート及び緑色量子ドット材料を含む第2量子ドットシートを製造し、即ち、第1微細構造パターンが設けられた第1量子ドット層2、及び第2微細構造パターンが設けられた第2量子ドット層4を得る。
【0094】
(2)第1量子ドットシートの微細構造裏面に紫外線硬化性接着剤を塗布し、紫外線で硬化させた後に第1量子ドットシートに第1光遷移層1を形成する。
【0095】
(3)第2量子ドットシートの微細構造裏面に紫外線硬化性接着剤を塗布し、その後、第1量子ドットシートの微細構造面と、第2量子ドットシートの微細構造裏面とを塗布された紫外線硬化性接着剤で接合し、紫外線で硬化させた後、第1量子ドットシートと第2量子ドットシートとの間に第2光遷移層3を形成して、最終的に量子ドット集積板を製造する。
【0096】
そのうち、第1光遷移層1は、屈折率が1.49で、厚さが200μmであり、第1量子ドット層2は、屈折率が1.52で、厚さが0.5mmであり、第2光遷移層3は、屈折率が1.49で、厚さが200μmであり、第2量子ドット層4は、屈折率が1.52で、厚さが0.5mmである。第1微細構造パターン、第2微細構造パターンは、いずれもプリズム構造であり、かつ第1量子ドット層2の微細構造パターンと第2量子ドット層4の微細構造パターンとの繰り返し単位は、いずれも、頂角が45°であり、最大高さが120μmであり、光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角が0°であることを満たす。
【0097】
実施例で製造された量子ドット集積板を青色光の光パワーが同じの直下型表示装置に置き、青色光照度計、カラーアナライザーをそれぞれボード材の真ん中に置き、青色光の強度と輝度値を測定した。また、元のモデルである光学板の青色光の強度と輝度値を測定し、比較した。
【0098】
元のモデルである光学板は、順に設けられたPET光拡散層、PS赤色・緑色量子ドット層及びPET輝度向上層を直接に積み重ねてなり、光拡散層の屈折率は1.59であり、量子ドット層の屈折率は1.52であり、輝度向上層の屈折率は1.59である。
【0099】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が2.56%向上し、青色光の強度が2.11%低下することを確認した。
【0100】
(実施例2)
第2微細構造パターンの最大高さが25μmである点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0101】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が6.05%向上し、青色光の強度が5.15%低下することを確認した。
【0102】
(実施例3)
第2微細構造パターンの最大高さが2μmである点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0103】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が2.48%向上し、青色光の強度が2.75%低下することを確認した。
【0104】
(実施例4)
第1微細構造パターンの最大高さが25μmである点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0105】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が5.55%向上し、青色光の強度が4.42%低下することを確認した。
【0106】
(実施例5)
第2微細構造パターンの最大高さが25μmである点で、実施例4の量子ドット集積板と相違する。
【0107】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が9.41%向上し、青色光の強度が8.34%低下することを確認した。
【0108】
(実施例6)
第2微細構造パターンの最大高さが2μmである点で、実施例4の量子ドット集積板と相違する。
【0109】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が4.29%向上し、青色光の強度が4.01%低下することを確認した。
【0110】
(実施例7)
第1微細構造パターンの最大高さが2μmである点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0111】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が2.01%向上し、青色光の強度が2.98%低下することを確認した。
【0112】
(実施例8)
第2微細構造パターンの最大高さが25μmである点で、実施例7の量子ドット集積板と相違する。
【0113】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が6.49%向上し、青色光の強度が5.25%低下することを確認した。
【0114】
(実施例9)
第2微細構造パターンの最大高さが2μmである点で、実施例7の量子ドット集積板と相違する。
【0115】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が2.62%向上し、青色光の強度が2.01%低下することを確認した。
【0116】
(実施例10)
光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角が90°である点で、実施例5の量子ドット集積板と相違する。
【0117】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が13.49%向上し、青色光の強度が11.25%低下することを確認した。
【0118】
(実施例11)
光線の鉛直伝播方向において、前記第1微細構造パターンと前記第2微細構造パターンとがなす夾角が180°である点で、実施例10の量子ドット集積板と相違する。
【0119】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が9.62%向上し、青色光の強度が9.01%低下することを確認した。
【0120】
(実施例12)
第1光遷移層1にPS樹脂粉末5が混合され、樹脂粉末の平均粒径が1μmであり、第1光遷移層に対して樹脂粉末の添加量が5wt%である点で、実施例10の量子ドット集積板と相違する。
【0121】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が15.19%向上し、青色光の強度が13.89%低下することを確認した。
【0122】
(実施例13)
第1光遷移層に対して樹脂粉末の添加量が50wt%である点で、実施例12の量子ドット集積板と相違する。
【0123】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が17.40%向上し、青色光の強度が14.45%低下することを確認した。
【0124】
(実施例14)
樹脂粉末の平均粒径が100μmである点で、実施例12の量子ドット集積板と相違する。
【0125】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が15.77%向上し、青色光の強度が13.66%低下することを確認した。
【0126】
(実施例15)
第1光遷移層1にPS樹脂粉末5が混合され、樹脂粉末の平均粒径が100μmであり、第1光遷移層に対して樹脂粉末の添加量が50wt%である点で、実施例5の量子ドット集積板と相違する。
【0127】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が17.01%向上し、青色光の強度が14.88%低下することを確認した。
【0128】
(比較例1)
各層の屈折率が異なり、第1光遷移層1及び第2光遷移層3の屈折率(いずれも1.57である)が第1量子ドット層2及び第2量子ドット層4の屈折率(いずれも1.52である)より大きい点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0129】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が3.69%低下し、青色光の強度が1.17%低下することを確認した。
【0130】
(比較例2)
第1微細構造パターン及び第2微細構造パターンが設けられていない点で、実施例1の量子ドット集積板と相違する。
【0131】
測定された輝度と青色光の強度データを元のモデルと比較し、輝度が1.88%低下し、青色光の強度が1.98%低下することを確認した。
【0132】
上記実施例及び比較例から分かるように、本願の特定の構造を有する量子ドット集積板、特に特定の屈折率変化及び微細構造の設計を用いると、輝度の向上及び青色光の出力の低減の点で、顕著な効果を有する。
【0133】
さらに、実施例2と実施例1及び実施例3との、実施例5と実施例4及び実施例6との、実施例8と実施例7及び実施例9との複数の比較から分かるように、第1微細構造パターン又は第2微細構造パターンの最大高さが大きすぎても、小さすぎても、輝度の向上幅が相対的に低くなり、青色光の強度の低下幅が相対的に低くなる。これは、第1微細構造パターン又は第2微細構造パターンの最大高さが大きすぎても、小さすぎても、光線が最大限の反射又は屈折により第2量子ドット層へ戻ることに不利であり、輝度の向上に不利であり、青色光が最大限の反射又は屈折により第2量子ドット層へ戻って青色光量子ドットと相互作用することに不利であり、青色光の最大限の利用に不利であるためである。
【0134】
さらに、実施例10と実施例11との比較から分かるように、本願の好ましい特定の微細構造分布の解決手段を用いることにより、さらに輝度を向上させ、青色光の出力を低減することができる。これは、2つの微細構造パターンが適切な角度を形成すると、光線のマルチレベルの利用を促進させ、量子ドット材料の特性と青色光との相互作用の十分な発揮を促進させることができるためである。
【0135】
さらに、実施例10と実施例12との比較から分かるように、本願の樹脂粉末5を添加する好ましい解決手段を用いることにより、さらに輝度を向上させ、青色光の出力を低減することができる。これは、樹脂粉末5が第1光遷移層1の鏡面反射現象を減少させるとともに、青色光の入光量を増加させることができる一方、樹脂粉末5が第1光遷移層1内の屈折率をさらに変化させ、第1量子ドット層2に入る際に光線の多角度、多方位の発散を促進させることができるためである。
【0136】
さらに、実施例12と実施例13及び実施例14との比較、及び実施例5と実施例15との比較から分かるように、樹脂粉末5の添加量を増加させることで、輝度の向上、青色光の出力の低減に有利であり、平均粒径を増加させることで、輝度の向上に有利である。