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特許7719527ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法
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  • 特許-ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-29
(45)【発行日】2025-08-06
(54)【発明の名称】ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/44 20060101AFI20250730BHJP
   C08F 251/02 20060101ALI20250730BHJP
   C08F 220/56 20060101ALI20250730BHJP
   C08F 4/00 20060101ALI20250730BHJP
   C08L 51/02 20060101ALI20250730BHJP
   C08L 33/26 20060101ALI20250730BHJP
   C08K 3/10 20180101ALI20250730BHJP
   C08F 292/00 20060101ALI20250730BHJP
【FI】
C08F2/44 C
C08F251/02
C08F220/56
C08F4/00
C08L51/02
C08L33/26
C08K3/10
C08F292/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023542535
(86)(22)【出願日】2022-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-08
(86)【国際出願番号】 CN2022139158
(87)【国際公開番号】W WO2024031904
(87)【国際公開日】2024-02-15
【審査請求日】2023-07-12
(31)【優先権主張番号】202210967732.2
(32)【優先日】2022-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520063990
【氏名又は名称】斉魯工業大学
【氏名又は名称原語表記】QILU UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.3501, Daxue Road, ChangQing District,Jinan City, Shandong Province 250353 China
(74)【代理人】
【識別番号】110004510
【氏名又は名称】弁理士法人維新国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】王 宝斌
(72)【発明者】
【氏名】王 暁法
(72)【発明者】
【氏名】陳 嘉川
(72)【発明者】
【氏名】楊 桂花
(72)【発明者】
【氏名】李 新才
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第113248730(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112608508(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113072725(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114805848(CN,A)
【文献】特開2019-112597(JP,A)
【文献】特表2013-517353(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110628155(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/44
C08F 251/02
C08F 220/56
C08F 4/00
C08L 51/02
C08L 33/26
C08K 3/10
C08F 292/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法であって、
タンニン酸をセルロースナノ結晶懸濁液に添加して反応させ、タンニン酸による表面修飾セルロースナノ結晶を得て、
単層MXeneと前記タンニン酸による表面修飾セルロースナノ結晶、アクリルアミド単量体を均一に混合し、架橋剤、開始剤及びアクセラレータの存在の条件下で重合反応を行い、前記ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルを得るステップを含むことを特徴とするナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項2】
前記タンニン酸と前記セルロースナノ結晶との質量比が1:4~1:6であることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項3】
前記タンニン酸と前記セルロースナノ結晶懸濁液との反応条件は、pH値が8.1~8.5、反応時間が5~6h、反応温度が室温であることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項4】
前記単層Mxeneは単層Mxene溶液であり、前記単層MXene溶液の濃度は0.2~0.5%であることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項5】
前記単層MXeneは、酸蝕分離して得られた単層Mxeneナノシートであることを特徴とする請求項1または4に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項6】
前記セルロースナノ結晶懸濁液の濃度が0.5wt%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項7】
前記重合反応の条件は、50~60℃の条件下で10~20min反応することであることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項8】
前記架橋剤はN,N’メチレンビスアクリルアミドであることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項9】
前記N,N’メチレンビスアクリルアミドの前記アクリルアミド単量体に対する質量分率は0.069%であることを特徴とする請求項8に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項10】
前記開始剤が過硫酸アンモニウムであることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項11】
前記アクリルアミド単量体に対する前記過硫酸アンモニウムの質量分率が0.35%であることを特徴とする請求項10に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【請求項12】
前記アクセラレータはN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年08月12日に中国特許局に出願し、出願番号はCN202210967732.2、発明名称は「ナノセルロースに基づく多機能導電複合ヒドロゲル製造方法」である中国特許出願の優先権を要求し、そのすべての内容は援用によって本願に結合される。
【0002】
本発明は、ナノセルロース材料の技術分野に属し、ナノセルロースに基づく複合ヒドロゲル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
この背景技術部分を開示する情報は、本発明の全体的な背景に対する理解を高めることだけを目的としており、必ずしもこの情報の構成が当業者の公知の先行技術となっていることを承認または何らかの形で示唆するものではない。
【0004】
ヒドロゲルは三次元親水性網目構造を有する水リッチの機能材料の一種であり、それはすでに生物医薬、薬物担体とセンサなどで潜在的な応用を示している。しかし、単一網目構造ヒドロゲルには機械的性能が悪く、機能が単一であるなどの欠点があり、その応用範囲が深刻に制限されている。従来の複合ヒドロゲル製造戦略では、ナノ複合体は、ゲル網目構造に非共有結合を導入することによりヒドロゲルの優れた多機能特性を実現することができる。
【0005】
セルロースは最も豊富で、再生可能で生分解可能な天然ポリマーの1つであり、繊維、紙、フィルム、ポリマー業界に広く応用されている。機械的/化学的処理に基づいて得られたナノセルロースは、比表面積が大きく、改質空間が豊富で、増強作用と再生可能などの利点がある。同時に、ナノセルロースは豊富な水酸基を有し、多種の分子と水素結合作用を形成でき、複合ヒドロゲルの構築に豊富な架橋部位を提供できる。ナノセルロースは表面修飾により補強剤、レオロジー調整剤として機能し、ヒドロゲルの機械的性質を高めることができると報告されている。
【0006】
現在、ナノセルロースに基づく多機能複合ヒドロゲルは多いが、優れた機械的強度、導電性、延伸性能などの特徴を兼ね備えにくい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は機械的靭性、延伸性、導電性などを含む多機能特性を示すナノセルロースに基づく多機能導電複合ヒドロゲル及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の技術手段を採用する。
本発明の第1の態様は、ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法を提供し、
タンニン酸(TA)をセルロースナノ結晶(CNC)懸濁液に添加して反応させ、タンニン酸による表面修飾セルロースナノ結晶(TA@CNC)を得て、
単層MXeneと前記TA@CNC、アクリルアミドモ単量体を均一に混合し、架橋剤、開始剤及びアクセラレータの存在の条件下で重合を行うことにより、ナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルを得るステップを含む。
【0009】
ナノセルロースの存在する不足と特徴に基づいて、本発明はナノ複合方法を通じて導電性ナノ粒子(MXene)を導入し複合した後、ヒドロゲルに高導電性を付与することができ、優れた機械性能、靭性と導電性を兼ね備えたナノセルロースに基づく複合ヒドロゲルを提供する。
【0010】
本発明の第2の態様は、上記方法により製造されたナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の有益な効果は、
(1)本発明の製造方法において、ナノセルロースの複合に基づいて、簡単で低コストの方法によって、製造されたナノセルロースに基づく多機能導電複合ヒドロゲルが、優れた機械強度、良好な疲労抵抗性能と生体適合性を有する。
【0012】
(2)本発明はタンニン酸による表面修飾及びMXeneとの複合により、複合ヒドロゲルは異なる界面に対して長期安定な接着性能を示す。
【0013】
(3)本発明においてタンニン酸による表面修飾セルロースナノ結晶の複合により複合ヒドロゲルに優れた導電性を付与する。
【0014】
(4)本発明の製造方法は簡単で、実用性が高く、普及しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の一部を構成する明細書図面は、本発明のさらなる理解を提供するためのものであり、本発明の例示的な実施形態及びその説明は、本発明の不当な限定を構成するものではない。
図1】本発明の実施例、比較例の引張歪み図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明はすべて例示的であり、本発明にさらなる説明を提供することを目的としていることを指摘すべきである。特に説明をしない限り、本発明で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者が一般的に理解するものと同じ意味を有する。
【0017】
従来のヒドロゲルは多機能特性を兼ね備えることが困難であることから、その応用範囲が制限されている。以上の問題を解決するために、本発明の第1の態様はナノセルロースに基づく複合ヒドロゲルの製造方法を提供し、具体的には、タンニン酸はセルロースナノ結晶を表面修飾し、それからMXeneと表面修飾後のセルロースナノ結晶(TA@CNC)を複合し、さらにポリアクリルアミドをポリマー網目として架橋作用によりナノセルロースベース多機能複合ヒドロゲルを調製する。
【0018】
本発明はタンニン酸、セルロースナノ結晶とMXene複合体をポリマー網目に添加して複合ヒドロゲルを製造し、主に以下の点を考慮する。
【0019】
(1)タンニン酸表面は豊富なカテコール構造を有し、このような構造は一方でヒドロゲルに良好な界面接着性能を提供し、同時にセルロースナノ結晶とMxeneにより構成したナノ複合体は、複合ヒドロゲル網目に十分な非共有結合部位を提供する。
【0020】
(2)セルロースナノ結晶はナノ増強剤として複合ヒドロゲルに良好な靭性を提供し、セルロースナノ結晶表面のヒドロキシル基とゲル網目は水素結合作用で結合する。
【0021】
(3)Mxeneはタンニン酸表面カテコール構造により、TA@CNCと複合体を形成し、ナノ材料をヒドロゲル網目構造中に均一に分散させることにより、ヒドロゲルを複合して良好な導電性を得ることができる。
【0022】
本発明の典型的な実施形態では、CNCにTAを添加処理してTA@CNCが得られ、MXeneをTA@CNCに添加して複合体を形成し、単量体のアクリルアミド(AAm)、架橋剤であるN,N’メチレンビスアクリルアミド(MBA)及び開始剤である過硫酸アンモニウム(APS)を添加し、ナノセルロースベース複合ヒドロゲルを形成するナノセルロースに基づく多機能導電性複合ヒドロゲルの製造方法を提供する。
【0023】
この実施形態のいくつかの実施形態では、前記ナノセルロースベース複合ヒドロゲルは、TA@CNCを物理架橋部位として、ポリアクリルアミド(PAAm)を化学架橋網目とし、MXeneを電子導体とし、セルロースベースヒドロゲル中で、複合TA@CNC、PAAm及びMXeneで製造したナノセルロースベース複合ヒドロゲルは多機能特性を示す。
【0024】
本発明の1つ以上の具体的な実施形態において、前記単層MXeneは、酸蝕分離によって製造された単層Mxeneナノシートである。
【0025】
本発明の1つ以上の具体的な実施形態では、単層MXene溶液濃度は0.2%である。
【0026】
本発明の1つ以上の実施形態では、CNCの濃度は0.5wt%である。
【0027】
本発明の1つ以上の実施形態では、TAとCNCの質量比は1:4~1:6であり、反応はすべて室温で行われる。
【0028】
本発明の1つ以上の実施例において、TAをCNC溶液に添加した後、溶液pHを8.1~8.5に調整し、400μLのMXene溶液を添加し、700rpm条件下で攪拌し、反応時間は5hである。
【0029】
本発明の1つ以上の実施形態では、反応終了後、溶液中の酸素を除去するために、窒素ガスを10min溶液中に導入する。
【0030】
本発明の1つ以上の実施形態では、AAm 1.88g、MBA 0.069%(AAmに対する質量分率)、APS 0.35%(AAmに対する質量分率)、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)20μLを添加して、700rpmで混合して均一に攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンに入れて20min反応させる。
【0031】
本発明の第2の態様は、上記ナノセルロースに基づく複合ヒドロゲルの製造方法により得られた複合ヒドロゲルを提供する。
【0032】
本発明が提供する上記ナノセルロースに基づく複合ヒドロゲルは、機械的靭性、延伸性、導電性などを含む多機能特性を有する。
【実施例
【0033】
以下、具体的な実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明するが、前記具体的な実施例は限定ではなく本発明の解釈であることを指摘すべきである。
【0034】
実施例1
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温条件下で400rpmで30min攪拌し、その後、TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0035】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後MXene 200μL、脱イオン水4.8mLを加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調製し、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0036】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは2354.5%の延伸歪率を達成でき、靭性は6.78MJ/m-3、接着力は9.71KPa、導電率は2.28×10-4S/cmである。
【0037】
実施例2
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温条件下で400rpmで30min攪拌し、その後、TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0038】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後MXene 400μL、脱イオン水4.6mLを加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調製し、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0039】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは2717.62%の延伸歪率を達成でき、接着力は14.01KPa、靭性は11.91MJ/m-3、導電率は2.33×10-4S/cmである。
【0040】
実施例3
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温で400rpmで30min攪拌し、その後TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0041】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後、MXene600μL、脱イオン水4.4mLを加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調整して、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0042】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは2414.77%の延伸歪率を達成でき、接着力は10.86KPa、靭性は7.60MJ/m-3、導電率は2.43×10-4S/cmである。
【0043】
実施例4
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温条件下で400rpmで30min攪拌し、その後、TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0044】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後MXene 800μL、脱イオン水4.2mLを加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調製し、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0045】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは1893.06%の延伸歪率を達成でき、接着力は11.70KPa、靭性は5.37MJ/m-3、導電率は2.57×10-4S/cmである。
【0046】
実施例5
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温条件下で400rpmで30min攪拌し、その後、TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0047】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後MXene 1.5mL、脱イオン水3.5mL加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調製し、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0048】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは2321.27%の延伸歪率を達成でき、接着力は10.18KPa、靭性は5.03MJ/m-3、導電率は2.41×10-4S/cmである。
【0049】
実施例6
(1)単層MXeneの製造:まずフッ化リチウム2gを9mol/L塩酸溶液30mLに溶解し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に入れ、室温条件下で400rpmで30min攪拌し、その後、TiAlC2gを加え、35℃、400rpm条件下で24h攪拌し、攪拌後の溶液を50mL遠心管に入れ、4500rpmで10min遠心分離し、最初の3回で沈殿物を収集した。3500rpmでpH≧5まで10min遠心分離し、沈殿物を収集し、引き続き脱イオン水を加えて1h超音波粉砕処理し、3500rpmで10min遠心分離し、上澄み液を収集し、上澄み液を冷凍後に凍結乾燥し、72h後に乾燥を完了した。
【0050】
(2)ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの製造:CNC溶液1mLと脱イオン水4mLを混合し、その後MXene 2mL、脱イオン水3mLを加えて均一に攪拌し、TA 1.5mgを加え、Tris緩衝液でpH8.1~8.5に調製し、700rpmで5h攪拌し、反応が終わった後、溶液にNを1min導入して溶液中のガスを除去し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0051】
本実施例で製造した高導電性ヒドロゲルは2361.66%の延伸歪率を達成でき、接着力は11.11KPa、靭性は5.39MJ/m-3、導電率は2.51×10-4S/cmである。
【0052】
比較例1
ポリアクリルアミドヒドロゲルの製造:10mLの脱イオン水をガラス瓶に入れて、Nを溶液に1min導入し、溶液中のガスを除去し、それぞれAAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0053】
本比較例で調製したヒドロゲルは584.07%の延伸歪率を達成することができ、接着力は8.91KPa、靭性は0.80MJ/m-3であるが、電気伝導率は2.1×10-7S/cmにすぎない。
【0054】
比較例2
ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの製造:CNC溶液1mLと脱イオン水9mLを混合し、AAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0055】
本比較例で調製したヒドロゲルは1755.41%の延伸歪率を達成でき、接着力は6.08KPa、靭性は5.34MJ/m-3であるが、電気伝導率は2.08×10-6S/cmにすぎない。
【0056】
比較例3
ナノセルロースベース複合ヒドロゲルの調製:CNC溶液1mLと脱イオン水9mLを混合し、次にTA 1.5mgを添加し、Tris緩衝液でpHを8.1~8.5に調整して、700rpmで5h攪拌し、反応終了後、Nを溶液に1min導入し、溶液中のガスを除去し、それぞれAAm 1.8g、MBA 0.069%(AAmに対する割合)、0.35%APS(AAmに対する割合)、TMEDA 20μLを添加して、700rpm条件下で10min攪拌し、混合溶液をポリテトラフルオロエチレン金型に加え、60℃オーブンで20min処理した。
【0057】
本比較例で調製したヒドロゲルは1649.01%の延伸歪率を達成することができ、接着力は6.07KPa、靭性は1.61MJ/m-3であるが、電気伝導率はわずか2.03×10-6S/cmである。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
表2から分かるように、実施例1~6ではTA@CNC及びMxeneの導入により、その延伸性、接着性、靭性及び電気伝導率が比較例より優れており、また、図1から、TA@CNCおよびMxeneの導入により、ヒドロゲルの機械的特性、特に引張特性が向上する。したがって、本発明ではTA@CNCを基礎とする複合ヒドロゲルの製造方法は確実に有効である。これは、本発明において提供される複合ヒドロゲルの製造方法が単一網目ヒドロゲルの多機能特性を向上させ、優れた機械的性能、靭性、導電性を兼ね備えた複合ヒドロゲルを得ることを示している。
【0061】
上記は本願の好適な実施形態にすぎず、本願を制限するためには使用されず、当業者にとっては、本願は種々の変更及び改変が可能である。本願の精神と原則の中で、行ったいかなる修正、等価置換、改善などは、本願の保護範囲に含まれるべきである。
図1