(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-29
(45)【発行日】2025-08-06
(54)【発明の名称】情報処理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G06N 3/0475 20230101AFI20250730BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20250730BHJP
【FI】
G06N3/0475
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2025010504
(22)【出願日】2025-01-24
【審査請求日】2025-01-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】304027534
【氏名又は名称】株式会社アイ・エス・ビー
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 康広
(72)【発明者】
【氏名】吉田 紫穏
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第117478932(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 3/0475
G06Q 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知する検知手段と、
前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするアクセス手段と、
前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力する入力手段と、
前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力する出力手段と
、
前記リアルタイムデータに基づいて、前記出力装置に前記問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を出力するタイミングであるか否かを判断する判断手段と、
前記問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を出力するタイミングであると判断されたことを契機として、前記プロンプトを生成する生成手段と
を有する情報処理装置。
【請求項2】
前記複数の据置装置が、それぞれ異なる種類の情報を出力する複数種類の装置を含み、
前記判断手段は、前記異なる種類の情報の組み合わせに関する条件に基づいて前記タイミングであるか判断する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断手段は、前記過去データと前記リアルタイムデータとの組み合わせに関する条件に基づいて前記タイミングであるか判断する
請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象空間が家であり、
前記複数の据置装置が、前記家への人の出入りを管理する入退室管理装置を含み、
前記条件が、前記入退室管理装置によりある人が前記家に帰宅したことが検知されたという条件を含み、
前記過去データが、前記家に関連する履歴を含み、
前記生成手段は、前記過去データのうち前記家に帰宅したことが検知された人に関する履歴を含むよう、前記プロンプトを生成する
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記複数の据置装置が、人を撮影する撮影装置を含み、
前記条件が、前記家の住人が少なくとも1人当該家にいるときに住人の1人が帰宅したことが前記入退室管理装置により検知されたときに、前記撮影装置により撮影された当該帰宅した人の状態が所定の状態である条件を含み、
前記生成手段は、既に家にいる人に対して前記帰宅した人に言葉を掛けることを提案させるためのプロンプトを生成する
請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記対象空間が家であり、
前記複数の据置装置が、前記家への人の出入りを管理する入退室管理装置及び人又は物を撮影する撮影装置を含み、
前記過去データが、前記家の住人の行動履歴を含み、
前記条件が、前記過去データに所定の項目が含まれるという条件を含み、
前記生成手段は、前記家にいる人又は帰宅した人に対して前記所定の項目に応じた言葉を掛けることを提案させるためのプロンプトを生成する
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記対象空間が店舗であり、
前記複数の据置装置が、前記店舗内の客を撮影する撮影装置を含み、
前記条件が、前記撮影装置により撮影される客が所定の属性であるという条件を含み、
前記生成手段は、前記客に対して所定の商品をレコメンドさせるためのプロンプトを生成する
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記対象空間が農場であり、
前記複数の据置装置が、前記農場の環境を検知する環境センサ装置及び作物を撮影する撮影装置を含み、
前記条件が、前記撮影装置により撮影される作物の状態が所定の状態であるという条件を含み、
前記生成手段は、前記作物の状態に応じた対処を実施させるためのプロンプトを生成する
請求項
2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項9】
対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知するステップと、
前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするステップと、
前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力するステップと、
前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力するステップと
、
前記リアルタイムデータに基づいて、前記出力装置に前記問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を出力するタイミングであるか否かを判断するステップと、
前記問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を出力するタイミングであると判断されたことを契機として、前記プロンプトを生成するステップと
を有する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロンプト生成の要否判断を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
AI(Artificial Intelligence)システムに対してタスクの実行を促すプロンプトを生成して出力する技術が知られている。例えば、特許文献1は、複数のセンサから取得したデータに基づいて、ユーザの思考状態に対応したタスクの実行を促すプロンプトを生成する発明を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
AIシステムに入力するプロンプトの生成が静的に行われる方法だけでは、プロンプトの生成過程があらかじめ定義された固定的なルールに依存する。そのため、ユーザの要求又は目的に応じたプロンプトの最適化が十分に行えず、実用性に欠けるという問題があった。
【0005】
これに対し、本発明は、状況の変化に対応してAI(Artificial Intelligence:人工知能)に入力するプロンプトを動的に生成する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理装置は、対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知する検知手段と、前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするアクセス手段と、前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力する入力手段と、前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力する出力手段とを有する。
【0007】
本開示の別の一態様に係る方法は、対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知するステップと、前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするステップと、前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力するステップと、前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力するステップとを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、状況の変化に対応してAIに入力するプロンプトを動的に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムのシステム構成を例示する図。
【
図2】実施形態に係る情報処理装置の機能構成を例示する図。
【
図3】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を例示する図。
【
図4】実施形態に係る情報処理システムのフレームワークを例示する図
【
図5】実施形態に係る情報処理システムの動作概要を例示するシーケンス図。
【
図6】スマートホームのシステム構成を例示する図。
【
図12】スマートストアのシステム構成を例示する図。
【
図15】スマート農場のシステム構成を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.構成
図1は、実施形態に係る情報処理システム1のシステム構成を例示する図である。この例において情報処理システム1は、対象空間においてユーザの状況に対応する情報の提供を行うためのシステムである。対象空間とはある限られた空間であり、例えば、家、店舗、又は農場である。この情報はAIにより生成された応答に基づくものである。この情報はさらに、過去に蓄積したデータ(以下、「過去データ」という)D1及びリアルタイムで取得したデータ(以下、「リアルタイムデータ」という)D2に基づく。
【0011】
情報処理システム1は、情報処理装置100、据置装置200、過去データベース300、AI400、及び出力装置500を有する。この例においてシステムの各構成要素は、ネットワーク2を介して互いに接続される。ネットワーク2は、インターネット等のコンピュータネットワークである。
【0012】
情報処理装置100は、情報処理システム1における情報処理を行う装置である。情報処理装置100は、例えば、ネットワーク2を介して据置装置200、過去データベース300、及びAI400と接続する。情報処理装置100は、ある種のRAG(Retrieval-Augmented Generation)を提供するための装置である。情報処理装置100は、例えば、各種のデータに基づいて、AI400と連携してユーザの状況に対応する通知を行う。
【0013】
据置装置200は、各種の情報を取得する装置である。据置装置200は、例えば、カメラ等の撮影機器、電子錠等の入退室管理装置、温度計、湿度計、pH測定器、及びGPS(Global Positioning System)受信機等のセンサ機器の少なくともいずれか1種である。据置装置200は、それぞれ異なる種類の情報を出力する複数種類の装置を含んでもよい。
【0014】
過去データベース300は、各種の情報を記憶するデータベースであり、サーバ装置に構築される。過去データベース300には、例えば、ユーザに関する情報(以下「ユーザ情報」という)及び過去に発生したイベントに関する情報(以下、イベント情報)が記録される。過去データベース300に記憶される情報については後述する。
【0015】
AI400は、いわゆる生成系AIの一種であり、大規模言語モデル(Large Language Model,LLM)を有する。AI400は、例えば、自然言語を利用した言語処理能力、解析能力、及び膨大なデータベース等の機能を有する。AI400は、情報処理装置100からの入力に基づいて、ユーザの状況に対応する通知に関する情報を生成する。AI400における具体的な処理については後述する。
【0016】
出力装置500は、ユーザに通知を行うための装置である。出力装置500は、例えば、スピーカー等の再生装置、モニター及びデジタルサイネージ等の表示装置、スプリンクラー、空調等の業務用機器、スマートフォン及びタブレット等の再生機器及び/又は表示機器である。
【0017】
図2は、実施形態に係る情報処理装置100の機能構成を例示する図である。この実施形態では、情報処理装置100は、通信手段101、検知手段102、アクセス手段103、判断手段104、生成手段105、入力手段106、取得手段107、出力手段108、及び記憶手段109を有する。
【0018】
通信手段101は、据置装置200、過去データベース300、及びAI400等の他の装置と通信する。検知手段102は、据置装置200から得られたリアルタイムデータD2に基づき、所定のイベントの発生を検知する。リアルタイムデータとは、測定して即座に利用できるデータのことである。具体的には、据置装置200がカメラである場合、リアルタイムデータD2とは、今カメラが撮影している画像又は映像である。
【0019】
アクセス手段103は、対象空間において過去に収集した過去データD1を記録したデータベースにアクセスする。アクセス手段103は、例えば、過去データベース300にアクセスして各種の情報を参照又は取得する。
【0020】
判断手段104は、リアルタイムデータD2に基づいてAI400を用いて、今が問いかけ文又はタスクの処理を出力装置500に出力するタイミング(以下、「動的タイミング」という。)であるか否かを判断する。問いかけ文とは、情報処理システム1がユーザとの音声又は文字を介した対話(例えば、情報の収集、又はタスクの指示等の処理)を行うための文章、特に、最初に話しかけるときの文章である。判断手段104は、例えば、異なる種類の情報の組み合わせに関する条件に基づいて、今が動的タイミングであるか判断する。異なる種類の情報とは、例えば、複数の据置装置200から取得した複数のリアルタイムデータD2又は過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせである。判断手段104は、例えば、機械学習モデルを用いてこの判断を行うものであり、データベースに蓄積されたイベントを教師データとして用いてこの機械学習モデルを学習させる。教師データは、過去に発生したイベントに対応するユーザの状態又は/及び行動に関する情報である。判断手段104の具体的な処理については後述する。
【0021】
生成手段105は、今が動的タイミングであると判断されたことを契機としてプロンプトPを生成する。入力手段106は、イベントの発生が検知され、かつ、今が動的タイミングであると判断された場合、過去データD1及びリアルタイムデータD2を含むプロンプトPをAI400に入力する。入力手段106は、例えば、生成手段105により生成されたプロンプトPをAI400に入力する。取得手段107は、AI400からプロンプトPに対する回答Aを取得する。
【0022】
出力手段108は、AI400から取得したプロンプトPに対する回答Aに基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報をリアルタイムデータD2に対応する出力装置500に出力する。出力手段108は、例えば、出力装置500に回答Aに関する情報を出力する。記憶手段109は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。
【0023】
図3は、実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置100は、プロセッサ151、通信IF(Interface)152、メモリ153、及びストレージ154を備えるコンピュータである。プロセッサ151は、ストレージ154に記憶されている所定のプログラムを実行することで、情報処理装置100の他の構成部の動作を制御する。通信IF152は、通信相手の装置と無線通信する。
【0024】
ストレージ154は、コンピュータを情報処理システム1の情報処理装置100として機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)を記憶する。プロセッサ151がサーバプログラムを実行している状態において、通信IF152が通信手段101の一例であり、プロセッサ151が検知手段102、アクセス手段103、判断手段104、生成手段105、入力手段106、取得手段107、及び出力手段108の一例であり、メモリ153が記憶手段109の一例である。
【0025】
図4は、実施形態に係る情報処理システム1のフレームワークを例示する図である。プロンプトPは、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいて生成される。AI400は、過去データD1及び入力されたプロンプトPに基づいて回答Aを生成する。生成される回答Aは、出力装置500に応じた形式で生成される。生成される回答Aは、例えば、テキストデータA1、画像データA2、音声データA3、及びプログラムデータA4等のデータである。なお、プロンプトP及び回答Aの生成の詳細については後述する。
【0026】
2.動作
図5は、実施形態に係る情報処理システム1の動作概要を例示するシーケンス図である。
図5に表す処理は、例えば、情報処理システム1が起動したことを契機に開始される。以下において、情報処理装置100等のハードウェアを処理の主体として記載するが、これは、これらのハードウェアにおいて、サーバプログラム等のプログラムを実行しているプロセッサ151等のハードウェア要素が、他のハードウェア要素と協働して処理を実行することを意味する。以下、他のシーケンス図に関する説明においても同様である。なお、各ステップS1~7の具体的な処理については、2-1以降で説明する。
【0027】
情報処理システム1が起動すると、情報処理装置100は、据置装置200から対象空間のリアルタイムデータD2を取得する(ステップS1)。次に、情報処理装置100は、取得したリアルタイムデータD2に基づき、所定のイベントの発生を検知する(ステップS2)。次に、情報処理装置100は、対象空間において過去に収集した過去データD1を記録した過去データベース300にアクセスする(ステップS3)。
【0028】
次に、情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。情報処理装置100は、例えば、異なる種類の情報の組み合わせに関する条件又は過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせに関する条件に基づいて動的タイミングであるか否かを判断する。または、情報処理装置100は、例えば、過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせに関する条件に基づいてタイミングであるか判断する。なお、情報処理システム1の導入初期段階で過去データD1が十分に記憶されてない場合、今が動的タイミングであるか否かの判断は行われない。すなわち、過去データD1がある程度蓄積された場合、情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する。情報処理システム1は、ステップS1~S4の処理を任意のタイミングで繰り返し実行する。
【0029】
次に、今が問いかけ文を出力するタイミングであると判断された場合、情報処理装置100は、過去データD1及びリアルタイムデータD2を含むプロンプトPを生成する(ステップS5)。次に、情報処理装置100は、生成されたプロンプトPをAI400に入力する(ステップS6)。AI400はプロンプトPに対する回答Aを出力する。次に、情報処理装置100は、AI400からプロンプトPに対する回答Aに基づく問いかけ文を取得し、リアルタイムデータD2に対応するユーザに出力する(ステップS7)。
【0030】
2-1.スマートホーム(1)
以下、対象空間が「家」である場合の具体的な動作例を説明する。この家は、情報処理システム1が導入され、家電製品及び住宅設備が通信技術で接続された、いわゆるスマートホームである。なお、この例におけるユーザとは、情報処理装置100が設置されている家に住んでいる者(以下、単に「住人」という。)である。
【0031】
図6は、スマートホーム(1)のシステム構成を例示する図である。この例では、据置装置200は、家への人の出入りを管理する入退室管理装置を含む。入退室管理装置とは、例えば、電子錠、カメラ、及びセンサ等の装置である。電子錠は、例えば、玄関ドアに設置される。カメラは、例えば、玄関又はリビングに設置される。また、この例では、出力装置500が、家にいる住人に対して帰宅した住人に言葉を掛けることを提案する再生装置を含む。再生装置とは、例えば、スピーカー等の装置である。スピーカーは、例えば、家のリビングに設置される。スピーカーは、例えば、リビングに設置される。
【0032】
以下の例では、複数の据置装置200のうち、入退室管理装置が電子錠及びカメラであり、また、出力装置500のうち、再生装置がスピーカーである場合を説明する。
【0033】
以下、
図5のシーケンス図に基づいて説明する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2として、電子錠が解錠されたことを示す情報及びカメラが撮影した画像を示す情報を取得する(ステップS1)。なお、電子錠の処理については無線通信、生体認証等の既存の技術が利用される。電子錠の処理に無線通信が利用される場合、電子錠の鍵には、例えば、NFC(いわゆる非接触IC)を用いるアプリケーションがダウンロードされた各ユーザのスマートフォンが用いられる。そのため、電子錠を解錠した鍵(スマートフォン)の所有者によってどの住人が帰宅したのかを検知することができる。カメラが撮影した画像には、例えば、家にいた住人及び帰宅した住人(の状態)が映し出されている。
【0034】
次に、情報処理装置100は、例えば、電子錠が解錠されたことを示す情報に基づいて、住人が帰宅したというイベントの発生を検知する(ステップS2)。例えば、電子錠が解錠された場合、情報処理装置100は、その住人が帰宅したことを検知する。または、情報処理装置100は、例えば、電子錠が解錠されたことを示す情報及びカメラが撮影した画像に基づいて、住人が帰宅したというイベントの発生を検知してもよい。例えば、電子錠が解錠されたタイミング(例えば、解錠されてから10秒以内)に撮影された画像にユーザが映し出されている場合、情報処理装置100は、その住人が帰宅したことを検知してもよい。
【0035】
次に、情報処理装置100は、例えば、過去データベース300にアクセスする(ステップS3)。過去データベース300は、例えば、その家に関連する履歴を含む。また、過去データベース300は、複数のデータベースを記憶する。過去データベース300は、例えば、ユーザデータベース301及びイベントデータベース302aを含む。
【0036】
図7は、ユーザデータベース301の一例を示す図である。ユーザデータベース301は、各住人の属性に関する情報を記憶する。属性とは、例えば、ユーザID、氏名、画像(顔写真)、生年月日、性別、(その家族内における)続柄、所在に関する情報である。ユーザデータベース301は、複数のレコードを含む。各レコードは、各ユーザに関する情報を記憶する。ユーザデータベース301は、例えば、「ユーザID」、「氏名」、「画像(顔写真)」、「生年月日」、「性別」、「(その家族内における)続柄」、及び「所在」を含む。
図8aの例において、ユーザデータベース301の最上段のレコードは、「ユーザID:U1」、「氏名:山田太郎」、「画像:(成人男性の顔写真)」、「生年月日:1981/01/01」、「性別:男」、「(その家族内における)続柄:父」、及び「所在:外出」を含む。これは、ユーザIDがU1の住人の氏名が山田太郎であること、その顔写真、生年月日が1981年1月1日であること、性別が男であること、その家族における続柄が父であること、及び現在外出中であることを示す。なお、ユーザデータベース301は、他のレコードを含んでもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。ユーザデータベース301に記憶される情報(特に、氏名、画像、生年月日、性別、続柄)は、例えば、あらかじめユーザ自身により入力される。
【0037】
図8は、イベントデータベース302aの一例を示す図である。イベントデータベース302aは、過去に発生したイベントを記憶する。この例におけるイベントとは、例えば、会話、外出、及び帰宅等の住人の行動である。イベントデータベース302aは、複数のレコードを含む。この例における各レコードは、各住人の過去のイベントに関する情報を記憶する。イベントデータベース302aは、例えば、「イベントID」、「イベント内容」、「日時」、「ユーザID」、「状態」、「画像」、及び「詳細」を含む。イベントIDとは、各イベントに割り当てられるシリアルコードである。この例におけるイベント内容とは、各イベントの内容を表す住人の行動である。状態とは、検知される対象(この例では、住人)の状態である。(住人の)状態とは、例えば、喜び、怒り、悲しみ、恐れ、疲れ、安らぎ等の感情を持っていることである。詳細とは、イベント内容に関する詳細である。この例における詳細には、例えば、イベント内容が「会話」である場合にその会話内容が記憶される。
【0038】
図8の例において、イベントデータベース302aの最上段のレコードは、「イベントID:EV1」、「イベント内容:帰宅」、「日時:202x/04/01 18:00」、「ユーザID:U3」、「状態:怒った表情」、「画像:(怒った表情の画像)」。及び「詳細:-」を含む。これは、イベントIDがEV1のイベントでは、ユーザIDがU3の住人(すなわち、長男)が202x年4月1日18:00に怒った表情で帰宅したことを示す。また、イベントデータベース302の最上段から二段目のレコードは、「イベントID:EV2」、「イベント内容:会話」、「日時:202x/04/01 18:01」、「ユーザID:U2」、「状態:優しい表情,問い掛け」、「画像:(優しい表情の画像)」、及び「詳細:おかえり。怒ってるけど大丈夫?」を含む。これは、イベントIDがEV2のイベントでは、ユーザIDがU2の住人(すなわち、母)が202x年4月1日18:01に優しい表情で話し掛けていることを示す。なお、イベントデータベース302aは、他のレコードを含んでもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。イベントデータベース302aに記憶される情報は、例えば、情報処理装置100により自動で入力される。
【0039】
図5に戻って説明を再開する。情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。今が動的タイミングであるか判断する条件が、入退室管理装置によりある住人が家に帰宅したことが検知されたという条件項目を含む。具体的には、家の住人が少なくとも1人家にいるときに住人の1人が帰宅したことが電子錠により検知されたときに、カメラにより撮影された帰宅した住人の状態が所定の状態であるという条件項目である。所定の状態とは、例えば、怒った表情、悲しい表情、不満な表情等のネガティブな表情であることである。
【0040】
一例として、ユーザIDがU2の住人(母親)が家にいる状態で、ユーザIDがU3の住人(長男)が202x年5月1日18:00に怒った表情で帰宅したことが検知された場合を想定する(イベントID:EVx1)。情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に示される帰宅した住人(長男)の状態「怒った表情」と、イベントデータベース302aの「長男:怒った表情」に関連するイベント(イベントID:EV1-2)とに基づいて動的タイミングであるかを判断する。イベントデータベース302の「EV2」では、怒った表情のユーザIDがU3の住人(長男)に対してユーザIDがU2の住人(母親)が「おかえり。」以外の会話をしているため、情報処理装置100は、帰宅したユーザIDがU3の住人(長男)が所定の状態であると判断する(すなわち、今が動的タイミングであると判断される。)なお、動的タイミングでないと判断される場合、情報処理装置100は処理を終了する。
【0041】
動的タイミングであると判断された場合、情報処理装置100は、帰宅した住人に言葉を掛けることを提案させるためのプロンプトPを生成する(ステップS5)。情報処理装置100は、例えば、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいてプロンプトPを生成する。
【0042】
図9は、スマートホーム(1)の出力例を示す図である。プロンプトPは、例えば、リアルタイムデータD2に基づいて生成される第1入力データP1、過去データD1に基づいて生成される第2入力データP2,及び出力指示P3で構成される。第1入力データとは、現在の状況に関する情報である。第1入力データP1には、例えば、[DATE(日付)]、[ENVIRONMENT(環境)]、[PERSON(人)]、及び[ATTRIBUTE(属性)]に関する情報が入力される。[ENVIRONMENT(環境)]とは、例えば、天候、気温、及び湿度等の気象情報である。この例における[PERSON(人)]とは、例えば、検知された住人である。この例における[ATTRIBUTE(属性)]とは、住人の状態である。なお、第1入力データP1には、他の項目[ ](例えば、[PLACE(場所)]、[IMAGE(画像)]等)が設けられ、その項目に対応する情報が入力されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
【0043】
第2入力データとは、過去の状況に関する情報である。第2入力データP2には、例えば、[INPUT(入力)]に関する情報が入力される。出力指示とは、AI400に処理を指示するための情報である。出力指示P3には、例えば、[INSTRUCT(指示)]に関する情報が入力される。
【0044】
情報処理装置100は、例えば、電子錠及びカメラが取得したリアルタイムデータD2に基づいて、プロンプトPの第1入力データP1の部分を生成する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「日時」の情報を[DATE]に入力する。情報処理装置100は、例えば、[ENVIRONMENT]に入力する気象情報を据置装置200から取得してもよいし、または、ネットワーク2を通じて外部から情報処理装置100の現在地における気象情報を取得してもよい。情報処理装置100は、例えば、ユーザデータベース301を参照してリアルタイムデータD2の「ユーザID」に対応する情報を[PERSON]に入力する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「状態」の情報を[ATTRIBUTE]に入力する。
【0045】
[DATE]
202x年5月1日 18:00
[ENVIRONMENT]
晴(天候),23℃(気温),56%(湿度)
[PERSON]
山田一郎,長男
[ATTRIBUTE]
怒った表情
・・・
【0046】
また、情報処理装置100は、例えば、イベントデータベース302の「日時」、「ユーザID」、及び「状態」を抽出して第2入力データP2の部分を生成する。具体的には、イベントデータベース302における「EV2-3」のレコードからは以下の情報が生成される。なお、[INPUT]に入力される情報は複数のレコードから生成されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
[INPUT]
202x年4月1日 18:00,帰宅,長男,怒った表情
202x年4月1日 18:01,母,優しい表情,おかえり。怒ってるけど大丈夫?
・・・
【0047】
また、情報処理装置100は、例えば、あらかじめ記憶した定型文「上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?」に基づいて出力指示P3の部分を生成する。なお、出力指示P3に入力される情報はこれに限定されない。
【0048】
[INSTRUCT]
上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?
【0049】
または、情報処理装置100は、例えば、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいて、出力指示P3の部分を生成してもよい。具体的には、情報処理装置100は、あらかじめ定型文「上記イベントが発生しました。『xx』のため『yy』を勧めてください。」を記憶する。情報処理装置100は、例えば、定型文の『xx』に第1入力データP1の[ATTRIBUTE]の文言を、また、定型文の『yy』にイベントデータベース302aにおける[ATTRIBUTE]のイベント内容に対応する「イベント内容」の文言を入力する。この例では、[ATTRIBUTE]は「怒った表情」であり、また、「怒った表情」のイベント内容「帰宅」に対応する(すなわち、その次に行われた)「イベント内容」は「会話」であるため、「上記イベントが発生しました。『怒っている表情』のため『会話』を勧めてください。」という文章を生成する。
【0050】
情報処理装置100は、生成されたプロンプトPをAI400に入力する(ステップS6)。情報処理装置100は、AI400から取得したプロンプトPに対する回答Aに基づく問いかけ文をリアルタイムデータD2に対応する住人に出力する(ステップS7)。AI400は、例えば、入力されたプロンプトPに基づいて「一郎は少しイライラしているように見えるね。『大丈夫?』、『何かあった?』って声をかけてみると、少し気持ちが落ち着くかもよ。」という回答Aの音声データA3を生成する。情報処理装置100は、例えば、生成された音声データA3を取得する。その後、情報処理装置100は、取得した回答Aを出力装置500に出力する。情報処理装置100は、例えば、取得した音声データA3をリビングに設置されたスピーカーから再生する。または、出力装置500が、例えば、家にいる住人が所有するスマートフォンであってもよい。
【0051】
2-2.スマートホーム(2)
以下、対象空間が「家」である場合の具体的な別の動作例を説明する。この家はスマートホーム(1)と同様に情報処理システム1が導入され、家電製品及び住宅設備が通信技術で接続された、いわゆるスマートホームである。なお、この例におけるユーザとは、情報処理装置100が設置されている家に住んでいる者(以下、単に「住人」という。)である。
【0052】
また、スマートホームのシステム構成は
図6において例示するものと同様である。この例では、複数の据置装置200が、家への人の出入りを管理する入退室管理装置及び家にいる人又は物を撮影する撮影装置を含む。入退室管理装置は、例えば、電子錠、カメラ、及びセンサ等の装置である。撮影装置とは、例えば、カメラ等の装置である。カメラは、例えば、ベランダ、玄関、又はリビングに設置される。また、この例では、出力装置500が、家にいる人又は帰宅した人に対して所定の項目に応じた言葉を掛ける再生装置を含む。再生装置とは、例えば、スピーカー等の装置である。スピーカーは、例えば、家のリビングに設置される。
【0053】
以下の例では、複数の据置装置のうち、入退室管理装置が電子錠であり、撮影装置がカメラであり、また、出力装置500がスピーカーである場合を説明する。
【0054】
以下、
図5のシーケンス図に基づいて説明する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2として、カメラが撮影した画像を示す情報を取得する(ステップS1)。カメラが撮影した画像には、例えば、干された洗濯物の有無及び天候が映し出される。
【0055】
次に、情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に基づいて、洗濯物を干したというイベント又は洗濯物を取り込んだというイベントの発生を検知する(ステップS2)。例えば、カメラが撮影した画像に洗濯物が映し出された場合、情報処理装置100は、住人が洗濯物を干したことを検知する。または、例えば、カメラが撮影した画像に映し出されていた洗濯物が映し出されなくなった場合、情報処理装置100は、住人が洗濯物を取り込んだことを検知する。
【0056】
次に、情報処理装置100は、例えば、過去データベース300にアクセスする(ステップS3)。過去データベース300は、例えば、その家に住む住人の行動履歴を含む。また、過去データベース300は、複数のデータベースを記憶する。過去データベース300は、例えば、ユーザデータベース301及びイベントデータベース302bを含む。ユーザデータベース301は、
図7において例示するものと同様である。
【0057】
図10は、イベントデータベース302bの一例を示す図である。イベントデータベース302bは、過去に発生したイベントを記憶する。この例におけるイベントとは、例えば、洗濯物を干したこと及び洗濯物を取り込んだこと等の住人の行動である。イベントデータベース302bは、複数のレコードを含む。この例における各レコードは、各住人の過去のイベントに関する情報を記憶する。イベントデータベース302は、例えば、「イベントID」、「イベント内容」、「日時」、「ユーザID」、「状態」、「画像」、及び「詳細」を含む。イベントIDとは、各イベントに割り当てられるシリアルコードである。この例におけるイベント内容とは、各イベントの内容を表す住人の行動である。この例における状態とは、検知される対象(この例では、洗濯物)の状態である。(洗濯物の)状態とは、例えば、洗濯物の有無である。詳細とは、イベント内容に関する詳細である。この例における詳細には、例えば、イベントが発生したタイミングにおける天候(例えば、晴、曇、及び雨)が記憶される。天候に関する情報は、例えば、据置装置200から取得されてもよいし、または、ネットワーク2を通じて外部から情報処理装置100の現在地における天候に関する情報が取得されてもよい。
【0058】
図10の例において、イベントデータベース302bの最上段のレコードは、「イベントID:EV1」、「イベント内容:洗濯物干し」、「日時:202x/04/01 10:00」、「ユーザID:U2」、「状態:洗濯物あり」、「画像:(洗濯物が干されている画像)」、及び「詳細:晴」を含む。これは、イベントIDがEV1のイベントでは、202x年4月1日10:00に、ユーザIDがU2の住人(すなわち、母)が、洗濯物を干し、その時の天候が晴であったことを示す。また、イベントデータベース302bの最上段から二段目のレコードは、「イベントID:EV2」、「イベント内容:洗濯物取り込み」、「日時:202x/04/01 16:00」、「ユーザID:U2」、「状態:洗濯物なし」、「画像:-(何も映し出されていない画像)」、及び「詳細:晴」を含む。これは、イベントIDがEV2のイベントでは、202x年4月1日16:00に、ユーザIDがU2の住人(すなわち、母)が、洗濯物を取り込み、その時の天候が晴であったことを示す。なお、イベントデータベース302bは、他のレコードを含んでもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。イベントデータベース302bに記憶される情報は、例えば、情報処理装置100により自動で入力される。
【0059】
図5に戻って説明を再開する。情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。情報処理装置100は、例えば、今が動的タイミングであるか判断する条件が、過去データD1に所定の項目が含まれるという条件を含む。具体的には、所定の天候が検知されたときに、カメラにより撮影された画像に洗濯物が映し出されているという条件である。所定の天候とは、例えば、雨、強風等の洗濯物に好ましくない天候である。
【0060】
一例として、ユーザIDがU2の住人(母親)が家におり、洗濯物が干された状態で202x年5月1日13:00に雨が降り出したことが検知された場合を想定する(イベントID:EVx1)。情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に示される洗濯物の状態「洗濯物あり」と、イベントデータベース302bの「イベント内容:降雨」及び「状態:洗濯物あり」に関連するイベント(イベントID:EV6-7)とに基づいて動的タイミングであるかを判断する。情報処理装置100は、例えば、イベントデータベース302bの「EV7」では、ユーザIDがU2の住人(母親)が降雨に対してすぐに洗濯物を取り込んでいるため、今が動的タイミングであると判断する。なお、動的タイミングでないと判断される場合、情報処理装置100は処理を終了する。
【0061】
動的タイミングであると判断された場合、情報処理装置100は、家にいる人に対して所定の項目に応じた言葉を掛けることを提案させるためのプロンプトPを生成する(ステップS5)。情報処理装置100は、例えば、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいてプロンプトPを生成する。
【0062】
図11は、スマートホーム(2)の出力例を示す図である。プロンプトPは、他の例と同様に、例えば、リアルタイムデータD2に基づいて生成される第1入力データP1、過去データD1に基づいて生成される第2入力データP2,及び過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいて生成される出力指示P3で構成される。第1入力データとは、現在の状況に関する情報である。第1入力データP1には、例えば、[DATE(日付)]、[ENVIRONMENT(環境)]、[PERSON(人)]、[ATTRIBUTE(属性)]、及び[PLACE(場所)]、[IMAGE(画像)]等に関する情報が入力される。[ENVIRONMENT(環境)]とは、例えば、天候、気温、及び湿度等の気象情報である。この例における[PERSON(人)]とは、例えば、検知された住人である。この例における[ATTRIBUTE(属性)]とは、洗濯物の状態である。なお、第1入力データP1には、他の項目[ ](例えば、[PLACE(場所)]、[IMAGE(画像)]等)が設けられ、その項目に対応する情報が入力されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
【0063】
第2入力データとは、過去の状況に関する情報である。第2入力データP2には、例えば、[INPUT(入力)]に関する情報が入力される。出力指示とは、AI400に処理を指示するための情報である。出力指示P3には、例えば、[INSTRUCT(指示)]に関する情報が入力される。
【0064】
情報処理装置100は、例えば、カメラが取得したリアルタイムデータD2に基づいて、プロンプトPの第1入力データP1の部分を生成する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「日時」の情報を[DATE]に入力する。情報処理装置100は、例えば、[ENVIRONMENT]に入力する気象情報を据置装置200から取得してもよいし、または、ネットワーク2を通じて外部から情報処理装置100の現在地における気象情報を取得してもよい。情報処理装置100は、例えば、ユーザデータベース301を参照してリアルタイムデータD2の「ユーザID」に対応する情報を[PERSON]に入力する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「状態」の情報を[ATTRIBUTE]に入力する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「状態」の情報を[ATTRIBUTE]に入力する。
【0065】
[DATE]
202x年5月1日 13:00
[ENVIRONMENT]
雨(天候),23℃(気温),56%(湿度)
[PERSON]
山田花子,母
[ATTRIBUTE]
洗濯物あり
・・・
【0066】
また、情報処理装置100は、例えば、イベントデータベース302bの「日時」、「ユーザID」、及び「状態」を抽出して第2入力データP2の部分を生成する。具体的には、イベントデータベース302bにおける「EV6-7」のレコードから以下の情報が生成される。
[INPUT]
202x年4月3日 12:00,降雨,洗濯物あり
202x年4月3日 12:05,洗濯物取り込み,母,洗濯物なし
・・・
【0067】
また、情報処理装置100は、例えば、あらかじめ記憶した定型文「上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?」に基づいて出力指示P3の部分を生成する。なお、出力指示P3に入力される情報はこれに限定されない。
[INSTRUCT]
上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?
【0068】
情報処理装置100は、生成されたプロンプトPをAI400に入力する(ステップS6)。情報処理装置100は、AI400から取得したプロンプトPに対する回答Aに基づく問いかけ文をリアルタイムデータD2に対応する住人に出力する(ステップS7)。AI400は、例えば、入力されたプロンプトPに基づいて「雨が降り始めました。洗濯物が外に干してあるので、早めに取り込むと良さそうです。濡れてしまう前に片付けてしまいましょう。」という回答Aの音声データA3を生成する。情報処理装置100は、例えば、生成された音声データA3を取得する。その後、情報処理装置100は、取得した回答Aを出力装置500に出力する。情報処理装置100は、例えば、取得した音声データA3をリビングに設置されたスピーカーから再生する。または、出力装置500が、家にいる住人が所有するスマートフォンであってもよい。
【0069】
2-3.スマートストア
以下、対象空間が「店舗」である場合の具体的な動作例を説明する。この店舗は、情報処理システム1が導入され、業務用電化製品及び業務用設備が通信技術で接続された、いわゆるスマートストアである。なお、この例におけるユーザとは、情報処理装置100が設置されている店舗で働いている店員(以下、単に「店員」という)である。
【0070】
図12は、スマートストアのシステム構成を例示する図である。この例では、複数の据置装置200が、店舗内の客を撮影する撮影装置及び客が購入した商品に関する情報を記憶する会計装置(いわゆる、POS(Point Of Sale)システム)を含む。撮影装置とは、例えば、カメラ等の装置である。カメラは、例えば、店舗内及び店舗の出入口付近に設置される。会計装置とは、例えば、レジスター等の装置である。レジスターは、例えば、店舗内の会計所に設置される。また、この例では、出力装置500が、客に対して所定の商品をレコメンドする表示装置を含む。表示装置とは、例えば、モニター又はデジタルサイネージ等の装置である。モニター又はデジタルサイネージは、例えば、店舗内又は店舗の出入口付近に設置される。
【0071】
以下の例では、複数の据置装置200のうち、撮影装置がカメラであり、会計装置がレジスターであり、また、出力装置500のうち、表示装置がモニターである場合を説明する。
【0072】
以下、
図5のシーケンス図に基づいて説明する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2として、カメラが撮影した画像を示す情報を取得する(ステップS1)。カメラが撮影した画像には、例えば、来店した客(の状態)が映し出される。
【0073】
次に、情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に基づいて、客が来店したこというイベントの発生を検知する(ステップS2)。
【0074】
次に、情報処理装置100は、例えば、過去データベース300にアクセスする(ステップS3)。過去データベース300は、例えば、その店舗に関連する履歴を含む。また、過去データベース300は、複数のデータベースを記憶する。過去データベース300は、例えば、イベントデータベース302cを含む。
【0075】
図13は、イベントデータベース302cの一例を示す図である。イベントデータベース302cは、過去に発生したイベントを記憶する。この例におけるイベントとは、例えば、(商品の)購入、返品等の客の行動である。イベントデータベース302cは、複数のレコードを含む。各レコードは、各客の過去のイベントに関する情報を記憶する。イベントデータベース302cは、例えば、「イベントID」、「イベント内容」、「日時」、「属性(性別、年代、体形)」、「画像」、及び「詳細」を含む。イベントIDとは、各イベントに割り当てられるシリアルコードである。この例におけるイベント内容とは、各イベントの内容を表す客の行動である。この例における属性とは、客の特徴を表す個性である。属性とは、例えば、性別(男性又は女性)、年代(10代未満、10代、20代、30代、40代…)、体形(痩せ、標準、又は肥満)等の個性である。詳細とは、イベント内容に関する詳細である。この例における「詳細」には、例えば、イベント内容が「購入」である場合にその購入された商品又は商品の種類が記憶される。なお、この例では、販売(購入)される商品はおにぎりとし、また、詳細に記憶される商品の種類はおにぎりの具と想定する。
【0076】
図13の例において、イベントデータベース302cの最上段のレコードは、「イベントID:EV1」、「イベント内容:購入」、「日時:202x/04/01 12:00」、「属性:性別:男性、年代:30代、体形:痩せ」、「画像(痩せた人の画像)」、及び「詳細:鮭」を含む。これは、イベントIDがEV1のイベントでは、痩せ型の30代の男性客が202x年4月1日12:00に鮭(のおにぎり)を購入したことを示す。なお、イベントデータベース302cは、他のレコードを含んでもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
【0077】
イベントデータベース302cに記憶される情報は、例えば、情報処理装置100により自動で入力される。具体的には、情報処理装置100は、レジスターが読み込んだ商品に関する情報を取得する。レジスターが読み込んだ商品に関する情報には、例えば、POSシステムに用いられる商品の情報が含まれる。なお、POSシステムの処理については既存の技術が利用される。また、情報処理装置100は、例えば、レジスターが商品を読み込んだことを示す情報に基づいて、客が商品を購入したというイベントの発生を検知する。例えば、レジスターが商品を読み込んだ場合、情報処理装置100は、客が商品を購入したことを検知する。または、情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に基づいて、客が商品を購入したというイベントの発生を検知してもよい。例えば、会計所付近で撮影された画像に客及び商品が映し出されている場合、情報処理装置100は、その客が商品を購入したことを検知してもよい。
【0078】
図5に戻って説明を再開する。情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。情報処理装置100は、例えば、今が動的タイミングであるか判断する条件が、異なる種類の情報の組み合わせに関する条件項目又は過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせに関する条件項目を含む。具体的には、カメラにより撮影される客が所定の属性であるという条件項目である。所定の属性とは、例えば、来店した客と、過去データD1に記憶されている客とにおいて共通する属性である。
【0079】
一例として、痩せ型の30代の男性客が202x年5月1日12:00に来店した場合を想定する(イベントID:EVx1)。情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に示される客の属性「性別:男性、年代:30代、体形:痩せ」と、イベントデータベース302cにおける客の属性「性別:男性、年代:30代、体形:痩せ」に関連するイベント(イベントID:EV1、EV7、及びEV11)とに基づいて動的タイミングであるかを判断する。イベントデータベース302cの「EV1」の例では、客の属性が「性別:男性、年代:30代、体形:痩せ」と共通しているため、情報処理装置100は、客が所定の属性であると判断する(すなわち、今が動的タイミングであると判断される。)なお、動的タイミングでないと判断される場合、情報処理装置100は処理を終了する。
【0080】
動的タイミングであると判断された場合、情報処理装置100は、客に対して所定の商品をレコメンドするためのプロンプトPを生成する(ステップS5)。情報処理装置100は、例えば、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいてプロンプトPを生成する。または、出力装置500が、店員が所有するスマートフォンであってもよい。具体的には、店員はスマートフォンに表示されたレコメンドされた商品を確認し、それを客に口頭でレコメンドしてもよい。
【0081】
図14は、スマートストアの出力例を示す図である。プロンプトPは、他の例と同様に、例えば、リアルタイムデータD2に基づいて生成される第1入力データP1、過去データD1に基づいて生成される第2入力データP2,及び出力指示P3で構成される。第1入力データとは、現在の状況に関する情報である。第1入力データP1には、例えば、[DATE(日付)]、[ENVIRONMENT(環境)]、及び[ATTRIBUTE(属性)]に関する情報が入力される。この例における[ATTRIBUTE(属性)]とは、客の属性である。なお、第1入力データP1には、他の項目[ ](例えば、[PLACE(場所)]、[IMAGE(画像)]等)が設けられ、その項目に対応する情報が入力されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
【0082】
第2入力データとは、過去の状況に関する情報である。第2入力データP2には、例えば、[INPUT(入力)]に関する情報が入力される。出力指示とは、AI400に処理を指示するための情報である。出力指示P3には、例えば、[INSTRUCT(指示)]に関する情報が入力される。
【0083】
情報処理装置100は、例えば、カメラが取得したリアルタイムデータD2に基づいて、プロンプトPの第1入力データP1の部分を生成する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「日時」の情報を[DATE]に入力する。情報処理装置100は、例えば、[ENVIRONMENT]に入力する情報を据置装置200から取得してもよいし、または、ネットワーク2を通じて外部から情報処理装置100の現在地における気象情報を取得してもよい。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「属性」の情報を[ATTRIBUTE]に入力する。
【0084】
[DATE]
202x年5月1日 12:00
[ENVIRONMENT]
晴(天候),23℃(気温),56%(湿度)
[ATTRIBUTE]
男性,30代,痩せ
・・・
【0085】
また、情報処理装置100は、例えば、イベントデータベース302cの「日時」、及び「属性」を抽出して第2入力データP2の部分を生成する。具体的には、イベントデータベース302cにおける「EV1」のレコードからは以下の情報が生成される。他のレコードにおいても同様である。なお、[INPUT]に入力される情報は複数のレコードから生成されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
[INPUT]
202x年4月1日 12:00,男性,30代,痩せ,鮭
・・・
【0086】
また、情報処理装置100は、例えば、あらかじめ記憶した定型文「上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?」に基づいて出力指示P3の部分を生成する。なお、出力指示P3に入力される情報はこれに限定されない。
【0087】
[INSTRUCT]
上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?
【0088】
情報処理装置100は、生成されたプロンプトPをAI400に入力する(ステップS6)。情報処理装置100は、AI400から取得したプロンプトPに対する回答Aに基づく処理をリアルタイムデータD2に対応する出力装置500に出力する(ステップS7)。AI400は、例えば、入力されたプロンプトPに基づいて、モニターに鮭(のおにぎり)をレコメンドさせるための回答Aの画像データA2を生成する。情報処理装置100は、例えば、生成された画像データA2を取得する。その後、情報処理装置100は、取得した回答Aを出力装置500に出力する。情報処理装置100は、例えば、取得した画像データA2を店舗に設置されたモニターに表示させる。
【0089】
2-4.スマート農場
以下、対象空間が「農場」である場合の具体的な動作例を説明する。この農場は、情報処理システム1が導入され、農業用電化製品及び農業設備が通信技術で接続された、いわゆるスマート農場である。なお、この例におけるユーザとは、情報処理装置100が設置されているスマート農場における作物の育成者(以下、単に「育成者」という。)である。
【0090】
図15は、スマート農場のシステム構成を例示する図である。この例では、複数の据置装置200が、農場の環境を検知する環境センサ装置及び作物を撮影する撮影装置を含む。環境センサ装置とは、例えば、温度計、湿度計、及びph計測器等の装置である。温度計、湿度計、及びph計測器は、例えば、ビニールハウス内に設置される。撮影装置とは、例えば、カメラである。カメラは、例えば、ビニールハウス内に設置される。また、この例では、出力装置500が、作物の状態に応じた対処を実施する育成装置を含む。育成装置とは、例えば、スプリンクラー及び空調等の装置である。空調及びスプリンクラーは、例えば、ビニールハウスに設置される。
【0091】
以下の例では、複数の据置装置200のうち、環境センサ装置が温度計であり、撮影装置がカメラであり、また、出力装置500のうち育成装置がスプリンクラー及び空調である場合を説明する。
【0092】
以下、
図5のシーケンス図に基づいて説明する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2として、カメラが撮影した画像を示す情報を取得する(ステップS1)。カメラが撮影した画像には、例えば、育成されている作物(の状態)が映し出される。
【0093】
次に、情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に基づいて、作物が虫害又は病気に侵食されているというイベントの発生を検知する(ステップS2)。例えば、撮影された画像に虫又は病気による作物の侵食が映し出されている場合、情報処理装置100は、その作物が虫害又は病気に侵食されていることを検知する。
【0094】
次に、情報処理装置100は、例えば、過去データベース300にアクセスする(ステップS3)。過去データベース300は、例えば、その農場に関連する履歴を含む。また、過去データベース300は、複数のデータベースを記憶する。過去データベース300は、例えば、イベントデータベース302dを含む。
【0095】
図16は、イベントデータベース302dの一例を示す図である。イベントデータベース302dは、過去に発生したイベントを記憶する。この例におけるイベントとは、例えば、異常発生、対処、防除、枯死等の作物の状態又は作物への対処である。イベントデータベース302dは、複数のレコードを含む。各レコードは、過去の各イベントに関する情報を記憶する。イベントデータベース302dは、例えば、「イベントID」、「イベント内容」、「日時」、「属性」、「画像」、及び「詳細」を含む。イベントIDとは、各イベントに割り当てられるシリアルコードである。この例におけるイベント内容とは、各イベントの内容を表す作物の状態又は作物への対処である。状態とは、検知される対象(この例では、作物)の状態である。作物の状態とは、例えば、異常発生又はその防除である。作物への対応とは、例えば、薬剤散布、肥料散布、温度調節、及び湿度調節等の対処である。この例における属性とは、虫害及び病気等の異常発生の種類である。詳細とは、イベント内容に関する詳細である。詳細には、例えば、イベント内容が「異常発生」である場合にはその原因が記憶され、又はイベント内容が「対処」である場合にはその実施内容が記憶される。
【0096】
図16の例において、イベントデータベース302dの最上段のレコードは、「イベントID:EV1」、「イベント内容:異常発生」、「日時:202x/04/01 10:00」、「属性:虫害」、「画像:(作物及び芋虫の画像)」。及び「詳細:xx虫」を含む。これは、イベントIDがEV1のイベントでは、202x年4月1日10:00に作物にxx虫による虫害の異常が発生したことを示す。また、イベントデータベース302dの最上段から二段目のレコードは、「イベントID:EV2」、「イベント内容:対処」、「日時:202x/04/01 11:00」、「属性:-」、「画像:(作物の画像)」、及び「詳細:薬剤x散布(1L/m
2)」を含む。これは、イベントIDがEV2のイベントでは、育成者が202x年4月1日11:00に薬剤xを1L/m
2の濃度で作物に散布したことを示す。
【0097】
また、イベントデータベース302dの最上段から三段目のレコードは、「イベントID:EV3」、「イベント内容:防除」、「日時:202x/04/02 10:00」、「属性:-」、「画像:(葉の画像)」、及び「詳細:-」を含む。これは、イベントIDがEV3のイベントでは、202x年4月1日11:00に作物に発生していた異常が防除されたことを示す。なお、イベントデータベース302dは、他のレコードを含んでもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。イベントデータベース302dに記憶される情報は、例えば、育成者により手動で又は情報処理装置100により自動で入力される。
【0098】
図5に戻って説明を再開する。情報処理装置100は、今が動的タイミングであるか否かを判断する(ステップS4)。情報処理装置100は、例えば、今が動的タイミングであるか判断する条件が、異なる種類の情報の組み合わせに関する条件又は過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせに関する条件を含む。具体的には、カメラにより撮影される客が所定の属性であるという条件である。所定の属性とは、例えば、カメラにより撮影される作物の状態が所定の状態であることが検知されたという条件を含む。所定の状態とは、例えば、虫害及び病気等の異常が発生している状態である。
【0099】
一例として、202x年5月1日10:00に作物にxx虫による虫害の異常が発生していることが検知された場合を想定する(イベントID:EVx1)。情報処理装置100は、例えば、カメラが撮影した画像に示される作物の状態「属性:虫害」及び「詳細:xx虫」と、イベントデータベース302dの「属性:虫害」及び「詳細:xx虫」に関連するイベント(イベントID:EV1-3及びEV10-12)とに基づいて動的タイミングであるかを判断する。イベントデータベース302dの「EV2」では、育成者が虫害に対して「詳細:薬剤x散布」を実施しているため、情報処理装置100は、作物が所定の状態であると判断する(すなわち、今が動的タイミングであると判断される。)なお、動的タイミングでないと判断される場合、情報処理装置100は処理を終了する。
【0100】
動的タイミングであると判断された場合、情報処理装置100は、作物の状態に応じた対処を実施させるためのプロンプトPを生成する(ステップS5)。情報処理装置100は、例えば、過去データD1及びリアルタイムデータD2に基づいてプロンプトPを生成する。
【0101】
図17は、スマート農場の出力例を示す図である。プロンプトPは、他の例と同様に、例えば、リアルタイムデータD2に基づいて生成される第1入力データP1、過去データD1に基づいて生成される第2入力データP2,及び出力指示P3で構成される。第1入力データP1には、この例では、例えば、[DATE(日付)]、[ENVIRONMENT(環境)]、及び[ATTRIBUTE(属性)]に関する情報が入力される。[ENVIRONMENT(環境)]とは、例えば、天候、気温、及び湿度等の気象情報である。この例における[ATTRIBUTE(属性)]とは、作物の状態である。なお、第1入力データP1には、他の項目[ ](例えば、[PLACE(場所)]、[IMAGE(画像)]等)が設けられ、その項目に対応する情報が入力されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
【0102】
第2入力データP2には、例えば、[INPUT(入力)]に関する情報が入力される。出力指示P3には、例えば、[INSTRUCT(指示)]に関する情報が入力される。
【0103】
情報処理装置100は、例えば、カメラが取得したリアルタイムデータD2に基づいて、プロンプトPの第1入力データP1の部分を生成する。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「日時」の情報を[DATE]に入力する。情報処理装置100は、例えば、[ENVIRONMENT]に入力する情報を据置装置200から取得してもよいし、または、ネットワーク2を通じて外部から情報処理装置100の現在地における気象情報を取得してもよい。情報処理装置100は、例えば、リアルタイムデータD2の「属性」及び「詳細」の情報を[ATTRIBUTE]に入力する。
【0104】
[DATE]
202x年5月1日 10:00
[ENVIRONMENT]
晴(天候),23℃(気温),56%(湿度)
[ATTRIBUTE]
虫害,xx虫
・・・
【0105】
また、情報処理装置100は、例えば、イベントデータベース302dの「日時」及び「詳細」を抽出して第2入力データP2の部分を生成する。具体的には、イベントデータベース302dにおける「EV2」のレコードからは以下の情報が生成される。なお、[INPUT]に入力される情報は複数のレコードから生成されてもよいが、ここでは図面を簡単にするため、その他の記載は省略する。
[INPUT]
202x年4月1日 10:00,虫害,xx虫
202x年4月1日 11:00,薬剤x散布(1L/m2)
202x年4月2日 10:00,防除
・・・
【0106】
また、情報処理装置100は、例えば、あらかじめ記憶した定型文「上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?対応する装置に出力する命令を生成して下さい。」に基づいて出力指示P3の部分を生成する。なお、出力指示P3に入力される情報はこれに限定されない。
【0107】
[INSTRUCT]
上記イベントが発生しました。どのように対応すべきですか?対応する装置に出力する命令を生成して下さい。
【0108】
情報処理装置100は、生成されたプロンプトPをAI400に入力する(ステップS6)。情報処理装置100は、AI400から取得したプロンプトPに対する回答Aに基づく処理をリアルタイムデータD2に対応する出力装置500に出力する(ステップS7)。AI400は、例えば、入力されたプロンプトPに基づいて、スプリンクラーに薬剤xを1L/m2の濃度で散布させるための回答AのプログラムデータA4を生成する。情報処理装置100は、例えば、生成されたプログラムデータA4を取得する。その後、情報処理装置100は、取得した回答Aを出力装置500に出力する。情報処理装置100は、例えば、取得したプログラムデータA4をビニールハウスに設置されたスプリンクラーに薬剤xを1L/m2の濃度で作物に散布させる。または、出力装置500が、育成者が所有するスマートフォンであってもよい。具体的には、育成者はスマートフォンに表示された作物の状態に応じた対処を確認し、それを育成者自らが実行してもよい。
【0109】
上記の通り、情報処理装置100により、過去データD1とリアルタイムデータD2との組み合わせに基づいてより正確に動的タイミングであるか否かを判断すること(すなわち、状況の変化に対応してAIに入力するプロンプトを動的に生成すること)ができる。また、情報処理装置100により、高度なデータ分析に基づいて意思決定を支援することで、ユーザの負担を軽減できる。また、情報処理装置100により、通知等の不要な出力を抑制することで、ユーザ及びシステムへの負担を軽減できる。また、情報処理装置100により、イベントの発生に対する出力が固定的なものでなく、状況に応じた最適な出力にすることができる。
【0110】
3.変形例
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下の変形例に記載した事項のうち2つ以上のものが組み合わせて適用されてもよい。
【0111】
また、実施形態において説明した動作例はあくまで例示である。ある動作例で説明した事項の一部が、他の動作例で説明した事項の一部と組み合わせて適用されてもよい。
【0112】
情報処理装置100における機能とハードウェアとの対応関係は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、物理的に複数の装置が協働して情報処理装置100の機能を有してもよい。また、実施形態において例示した情報処理装置100の機能は一部が省略されてもよい。
【0113】
情報処理装置100のハードウェア構成は実施形態において例示したものに限定されない。例えば、情報処理装置100は、コンピュータネットワーク上のサーバであってもよい。このサーバは物理サーバであってもよいし、仮想サーバ(いわゆるクラウド)であってもよい。
【0114】
プロセッサ151により実行されるプログラムは、DVD-ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供されてもよい。要するに、本発明に係る情報処理システムにおいて、対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知するステップと、前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするステップと、前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力するステップと、前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力するステップとが実行されていればよい。
【符号の説明】
【0115】
100…情報処理装置、101…通信手段、102…検知手段、103…アクセス手段、104…判断手段、105…生成手段、106…入力手段、107…取得手段、108…出力手段、109…記憶手段、200…据置装置、300…過去データベース、400…AI、500…出力装置
【要約】
【課題】状況の変化に対応してAIに入力するプロンプトを動的に生成する技術を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る情報処理装置は、対象空間に設置された複数の据置装置から得られたリアルタイムデータに基づき、所定のイベントの発生を検知する検知手段と、前記対象空間において過去に収集した過去データを記録したデータベースにアクセスするアクセス手段と、前記イベントの発生が検知された場合、前記リアルタイムデータ及び前記過去データを含むプロンプトを人工知能に入力する入力手段と、前記人工知能から取得した前記プロンプトに対する回答に基づく問いかけ文又はタスクの処理に関する情報を前記リアルタイムデータに対応する出力装置に出力する出力手段とを有する。
【選択図】
図1