(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-30
(45)【発行日】2025-08-07
(54)【発明の名称】内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースのための加工装置及び加工方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/68 20060101AFI20250731BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20250731BHJP
B63G 8/00 20060101ALI20250731BHJP
B63B 3/13 20060101ALI20250731BHJP
B63B 73/50 20200101ALN20250731BHJP
【FI】
B29C70/68
B29C70/54
B63G8/00 C
B63B3/13
B63B73/50
(21)【出願番号】P 2024538499
(86)(22)【出願日】2023-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2023084232
(87)【国際公開番号】W WO2024197551
(87)【国際公開日】2024-10-03
【審査請求日】2024-06-24
(31)【優先権主張番号】202310304520.0
(32)【優先日】2023-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 建
(72)【発明者】
【氏名】康 慧男
(72)【発明者】
【氏名】左 新龍
(72)【発明者】
【氏名】狄 陳陽
(72)【発明者】
【氏名】唐 文献
(72)【発明者】
【氏名】高 宇軒
(72)【発明者】
【氏名】王 明禄
(72)【発明者】
【氏名】任 佳佳
(72)【発明者】
【氏名】葛 慧林
(72)【発明者】
【氏名】丁 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】滕 贇
(72)【発明者】
【氏名】李 政
(72)【発明者】
【氏名】サクディラット ケウンルエン
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-100894(JP,U)
【文献】中国実用新案第206544574(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第115258034(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/68
B29C 70/54
B63G 8/00
B63B 3/13
B63B 73/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースのための加工装置であって、
前記複合材料製柱状耐圧ケースは、複合材料製柱状ケーシング(5)を含み、前記複合材料製柱状ケーシング(5)の内壁には複数の金属環状リブ(14)が設置され、金属環状リブは、複合材料製柱状ケーシングに緊密に接触し、
前記複合材料製柱状ケーシングの内壁には2つの金属環状リブが設置され、
前記加工装置は、加熱装置、ブラケット(1)、駆動装置及び金型を含み、前記金型は、分割式金型(6)及びアルミニウム膜(4)を含み、前記分割式金型は、2つの金属環状リブ(14)の間に設置され、2つの金属環状リブ(14)の分割式金型(6)から離れる端にはいずれもアルミニウム膜(4)が設置され、分割式金型(6)、金属環状リブ(14)、アルミニウム膜(4)は、ブラケット(1)により位置決めされ、且つ分割式金型(6)、金属環状リブ(14)、アルミニウム膜(4)の外壁面には柱状外壁が形成され、前記加熱装置は、柱状外壁に複合材料層を設置した後に加熱して複合材料製柱状ケーシング(5)を形成するために用いられ、前記分割式金型は、複数の交互に配列される第1金型板及び第2金型板を含み、駆動装置は、それぞれ収縮し、金属環状リブから分離し、複合材料製柱状ケーシングから離脱するように第1金型板(61)と第2金型板(62)を駆動する、ことを特徴とす
る内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースのための加工装置。
【請求項2】
前記駆動装置は、第1駆動ユニット、第2駆動ユニット及びねじ接合装置(11)を含み、前記第1金型板(61)と第2金型板(62)は、いずれもリンクを介してねじ接合装置(11)にヒンジされ、前記第1駆動ユニットは、収縮するように第1金型板を駆動し、第2駆動ユニットは、収縮するように第2金型板を駆動し、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットは、時間をずらして起動する、ことを特徴とする請求項
1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記第1駆動ユニットは、第1駆動モータ(2)、第1ねじ(9)及び第1ねじナット(13)を含み、前記第1駆動モータは、ブラケット(1)に設置され、第1ねじ(9)の一端は、第1駆動モータ(2)に固定して接続され、第1ねじの他端は、ねじ接合装置(10)に固定して接続され、第1ねじナットは、第1ねじに設置され、且つ第1金型板に接続されるリンク(7)に駆動ロッドを介してヒンジされ、前記第1駆動モータは、回転して第1ねじを回転させ、第1ねじは、回転して第1ねじナットを移動させ、それにより、第1金型板を第1ねじに近づけたり遠ざけたりし、前記第2駆動ユニットは、第2駆動モータ(16)、第2ねじ(17)及び第2ねじナット(18)を含み、前記第2駆動モータは、ブラケットに設置され、第2ねじの一端は、第2駆動モータに固定して接続され、第2ねじの他端は、ねじ接合装置(10)に固定して接続され、第2ねじナットは、第2ねじに設置され、且つ第2金型板に接続されるリンクに駆動ロッドを介してヒンジされ、前記第2駆動モータは、回転して第2ねじを回転させ、第2ねじは、回転して第2ねじナットを移動させ、それにより、第2金型板を第2ねじに近づけたり遠ざけたりし、第1ねじと第2ねじとは、延在方向が同じ直線上に位置し、且つ相対的に独立して回転する、ことを特徴とする請求項
2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記第1金型板と第2金型板とが同時に収縮又は展開される時、第1ねじナットと第2ねじナットとは、移動方向が同じである、ことを特徴とする請求項
3に記載の加工装置。
【請求項5】
前記第1金型板(61)と第2金型板(62)との間の接触面にはマッチする段付き係止口が設置され、第1金型板の両側の段付き係止口は、いずれも外側に位置し、第2金型板の両側の段付き係止口は、いずれも内側に位置し、第1駆動ユニットは、第2駆動ユニットより先に起動され、且つ第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとは、同時に停止される、ことを特徴とする請求項
4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記第1金型板と第2金型板は、収縮時に複合材料製柱状ケーシングの第1端へ移動し、複合材料製柱状ケーシングの第1端に近い金属環状リブの縦断面は、台形であり、且つ金属環状リブの縦断面の外側の台形底面は、内側の台形底面よりも長く、前記第1金型板と第2金型板の縦断面は、直角台形であり、直角台形斜辺と金属環状リブの縦断面の台形斜辺とは、マッチングする、ことを特徴とする請求項
4に記載の加工装置。
【請求項7】
請求項
1~
6のいずれか1項に記載の加工装置を使用する加工方法であって、
(1)加工装置を組み立て、駆動装置、金型と金属環状リブをブラケットに設置するステップと、
(2)駆動装置が展開するように分割式金型を駆動し、分割式金型、金属環状リブ、アルミニウム膜の外壁面が柱状外壁を形成するステップと、
(3)柱状外壁に複合材料を巻回するステップと、
(4)複合材料を加熱成形し、複合材料製柱状ケーシングを形成するステップと、
(5)駆動装置が収縮するように分割式金型を駆動し、分割式金型が複合材料製柱状ケーシングから離脱することを実現するステップと、
(6)ブラケットの制限を解除し、アルミニウム膜を複合材料製柱状ケーシングから離脱させ、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースを得るステップとを含む、ことを特徴とする請求項
1~
6のいずれか1項に記載の加工装置を使用する加工方法。
【請求項8】
前記ステップ(4)で加熱室において複合材料を加熱成形し、且つ加熱前に電子デバイスを取り外し、ターゲット温度に加熱し且つしばらく保温した後に加熱室から取り出し、室温まで空冷した後に取り付け直して電子デバイスに接続する、ことを特徴とする請求項
7に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐圧装置に関し、具体的には、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケース及びその加工装置、並びに加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複合材料製柱状耐圧ケースは、良好な比強度、比剛性、疲労抵抗と耐食性などの性能を有し、航空宇宙飛行、自動車製造、船舶と潜水艇設計などの分野に広く応用され、特に航海では、その安定した化学的性質により、安定して海水の中で長期的に作動することができ、腐食されないため、潜水艇耐圧室の設計に応用されている。例えば、従来技術における出願番号が201910248204.Xである特許出願は、低い排気量/排水量比、高い耐圧強度と安定性を満たすことができ、積層複合材料の層間強度が弱く、かつ押されて積層しやすいという問題を解決することができる炭素繊維複合材料製ダイバー耐圧室を提案する。炭素繊維複合材料は、優れた力学性能を持っているが、脆性材料に属しており、この補強構造は、材料の塑性を変えることができず、集中した応力荷重を受けると崩壊しやすく、受けた荷重がその限界荷重を超えると、構造が瞬間的に故障する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明の目的:以上の欠点に対して、本発明は、材料の脆性欠陥を改善し、限界荷重を高める内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工装置及び加工方法をさらに提供する。
【0005】
技術案:上記課題を解決するために、本発明は、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースであって、複合材料製柱状ケーシングを含み、前記複合材料製柱状ケーシングの内壁には複数の金属環状リブが設置され、金属環状リブは、複合材料製柱状ケーシングに緊密に接触する、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースを用いる。
【0006】
さらに、前記複合材料製柱状ケーシングの内壁には2つの金属環状リブが設置される。
【0007】
内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工装置であって、加熱装置、ブラケット、駆動装置及び金型を含み、前記金型は、分割式金型及びアルミニウム膜を含み、前記分割式金型は、2つの金属環状リブの間に設置され、2つの金属環状リブの分割式金型から離れる端にはいずれもアルミニウム膜が設置され、分割式金型、金属環状リブ、アルミニウム膜は、ブラケットにより位置決めされ、且つ分割式金型、金属環状リブ、アルミニウム膜の外壁面には柱状外壁が形成され、前記加熱装置は、柱状外壁に複合材料層を設置した後に加熱して複合材料製柱状ケーシングを形成するために用いられ、前記分割式金型は、複数の交互に配列される第1金型板及び第2金型板を含み、駆動装置は、それぞれ収縮し、金属環状リブから分離し、複合材料製柱状ケーシングから離脱するように第1金型板と第2金型板を駆動する。
【0008】
さらに、前記駆動装置は、第1駆動ユニット、第2駆動ユニット及びねじ接合装置を含み、前記第1金型板と第2金型板は、いずれもリンクを介してねじ接合装置にヒンジされ、前記第1駆動ユニットは、収縮するように第1金型板を駆動し、第2駆動ユニットは、収縮するように第2金型板を駆動し、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットは、時間をずらして起動する。
【0009】
さらに、前記第1駆動ユニットは、第1駆動モータ、第1ねじ及び第1ねじナットを含み、前記第1駆動モータは、ブラケットに設置され、第1ねじの一端は、第1駆動モータに固定して接続され、第1ねじの他端は、ねじ接合装置に固定して接続され、第1ねじナットは、第1ねじに設置され、且つ第1金型板に接続されるリンクに駆動ロッドを介してヒンジされ、前記第1駆動モータは、回転して第1ねじを回転させ、第1ねじは、回転して第1ねじナットを移動させ、それにより、第1金型板を第1ねじに近づけたり遠ざけたりし、前記第2駆動ユニットは、第2駆動モータ、第2ねじ及び第2ねじナットを含み、前記第2駆動モータは、ブラケットに設置され、第2ねじの一端は、第2駆動モータに固定して接続され、第2ねじの他端は、ねじ接合装置に固定して接続され、第2ねじナットは、第2ねじに設置され、且つ第2金型板に接続されるリンクに駆動ロッドを介してヒンジされ、前記第2駆動モータは、回転して第2ねじを回転させ、第2ねじは、回転して第2ねじナットを移動させ、それにより、第2金型板を第2ねじに近づけたり遠ざけたりし、第1ねじと第2ねじとは、延在方向が同じ直線上に位置し、且つ相対的に独立して回転する。
【0010】
前記第1金型板と第2金型板とが同時に収縮又は展開される時、第1ねじナットと第2ねじナットとは、移動方向が同じである。
【0011】
さらに、前記第1金型板と第2金型板との間の接触面にはマッチする段付き係止口が設置され、第1金型板の両側の段付き係止口は、いずれも外側に位置し、第2金型板の両側の段付き係止口は、いずれも内側に位置し、第1駆動ユニットは、第2駆動ユニットより先に起動され、且つ第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとは、同時に停止される。
【0012】
さらに、前記第1金型板と第2金型板は、収縮時に複合材料製柱状ケーシングの第1端へ移動し、複合材料製柱状ケーシングの第1端に近い金属環状リブの縦断面は、台形であり、且つ金属環状リブの縦断面の外側の台形底面は、内側の台形底面よりも長く、前記第1金型板と第2金型板の縦断面は、直角台形であり、直角台形斜辺と金属環状リブの縦断面の台形斜辺とは、マッチングする。
【0013】
本発明は、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工方法であって、
(1)加工装置を組み立て、駆動装置、金型と金属環状リブをブラケットに設置するステップと、
(2)駆動装置が展開するように分割式金型を駆動し、分割式金型、金属環状リブ、アルミニウム膜の外壁面が柱状外壁を形成するステップと、
(3)柱状外壁に複合材料を巻回するステップと、
(4)複合材料を加熱成形し、複合材料製柱状ケーシングを形成するステップと、
(5)駆動装置が収縮するように分割式金型を駆動し、分割式金型が複合材料製柱状ケーシングから離脱することを実現するステップと、
(6)ブラケットの制限を解除し、アルミニウム膜を複合材料製柱状ケーシングから離脱させ、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースを得るステップとを含む、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工方法を用いる。
【0014】
加熱室において複合材料を加熱成形し、且つ加熱前に電子デバイスを取り外し、ターゲット温度に加熱し且つしばらく保温した後に加熱室から取り出し、室温まで空冷した後に取り付け直して電子デバイスに接続する。
【発明の効果】
【0015】
有益な効果は、以下のとおりである。従来技術に比べて、本発明の顕著な利点は、以下のとおりである。
【0016】
1、複合材料柱ケースは、内張り金属環状リブで補強され、材料の脆性欠陥を改善することができ、限界荷重を大幅に高めることができ、なお、内張り金属環状リブも設備の配置に有利である。
【0017】
2、加工装置は、2組のリンク伸縮構造の組み合わせ方式を用い、分割可能な金型を正確かつ柔軟に支持することができる。複合材料の加工終了後にすぐに離型することができ、加工時間を大幅に短縮し、加工効率を高め、
3、係止口の機械制限構造を採用し、柱ケース金型の密封性を十分に保証し、分割可能な金型は、内部のリンク伸縮構造によって径方向に運動し、リンク伸縮構造は、2つのねじと2つの深溝玉軸受で組み合わせられ、「平行四角形構造」を持つリンクを合わせることで自在に伸縮することを実現でき、製造効率を高める。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの全体構造概略図である。
【
図2】本発明の内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースが加工装置に設置される全体構造概略図である。
【
図6】本発明における分割式金型、アルミニウム型が複合材料製柱状ケーシング内に位置する左側面図である。
【
図7】本発明における分割式金型、アルミニウム型が複合材料製柱状ケーシング内に位置する断面図である。
【
図8】本発明における駆動装置の2組のリンク構造の概略図である。
【
図9】本発明におけるねじ接合装置の概略図である。
【
図10】本発明におけるリンク移動装置の概略図である。
【
図11】本発明における第1駆動ユニットが第1金型板に接続される構造概略図である。
【
図12】本発明における第1駆動ユニットと第2駆動ユニットがそれぞれ第1金型板と第2金型板に接続される構造概略図である。
【
図13】本発明における第1金型板の構造概略図である。
【
図14】本発明におけるリンクと分割式金型シートとの接続構造の概略図である。
【
図15】本発明における分割式金型の展開時の一部の概略図である。
【
図16】本発明における分割式金型の収縮時の一部の概略図である。
【
図17】本発明における分割式金型の収縮中の異なる時刻での分割式金型シートの位置概略図である。
【
図18】本発明における内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工電気制御の原理図である。
【
図19】本発明における加工方法フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
実施例1
図1に示すように、本実施例における内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースは、複合材料製柱状ケーシング5を含み、複合材料製柱状ケーシングの内壁には複数の金属環状リブ14が設置され、金属環状リブ14は、複合材料製柱状ケーシング5に緊密に接触する。本実施例では、2つの金属環状リブ14が設置され、複合材料柱ケースの内部は、金属環状リブで補強され、複合材料と金属材料を結合することで各方面から柱ケースの性能を高めることができる。
【0020】
実施例2
図2~
図7に示すように、本実施例における内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工装置は、主に金型支持枠(ブラケット)1、加熱装置、駆動装置及び金型を含む。金型は、分割式金型6及びアルミニウム膜4を含み、金型支持枠1は、金属環状リブ14とアルミニウム型を支持し、駆動装置を固定する役割を果たす。
【0021】
分割式金型は、2つの金属環状リブ14の間に設置され、2つの金属環状リブの分割式金型から離れる端にはいずれもアルミニウム膜4が設置され、分割式金型6、金属環状リブ15、アルミニウム膜4は、金型支持枠により位置決めされ、且つ分割式金型6、金属環状リブ15、アルミニウム膜4の外壁面には柱状外壁が形成され、加熱装置は、柱状外壁に複合材料層を設置した後に加熱して複合材料製柱状ケーシングを形成するために用いられ、分割式金型6は、複数の交互に配列される第1金型板61及び第2金型板62を含み、駆動装置は、収縮し、金属環状リブ15から分離し、複合材料製柱状ケーシング5から離脱するように第1金型板61と第2金型板62をそれぞれ駆動するために用いられる。金属環状リブ、端部アルミニウム型と分割式金型シートは、複合材料層の加工を共同で支持し、両側の金型支持枠は、金型を支持するとともに、軸方向に移動しないように内部ねじ接合装置を固定する。
【0022】
複合材料製柱状ケーシングと金属環状リブとは、完全に密着し、中間の2つの金属環状リブの断面は、少し異なっており、分割式金型が収縮する際に生じる複合運動と金属環状リブとの間の干渉を解消するために、分割式金型の運動方向側の金属環状リブI14を台形断面に設計し、他側の金属環状リブII15は、従来の矩形断面を使用する。分割式金型の断面と金属環状リブの断面とは、適している。
【0023】
図8に示すように、駆動装置は、第1駆動ユニット、第2駆動ユニット及びねじ接合装置11を含み、第1金型板61と第2金型板62は、いずれもリンク7を介してねじ接合装置11にヒンジされ、第1駆動ユニットは、収縮するように第1金型板を駆動し、第2駆動ユニットは、収縮するように第2金型板を駆動し、第1駆動ユニットと第2駆動ユニットは、時間をずらして起動する。
【0024】
第1駆動ユニットは、第1駆動モータ2、第1ねじ9及び第1ねじナット13を含み、ブラケットに設置され、第1ねじ9の一端は、第1駆動モータに固定して接続され、第1ねじの他端は、ねじ接合装置に固定して接続され、第1ねじナットは、第1ねじに設置され、且つ第1金型板に接続されるリンクに駆動ロッドを介してヒンジされ、第1駆動モータは、回転して第1ねじを回転させ、第1ねじは、回転して第1ねじナットを移動させ、それにより、第1金型板を第1ねじに近づけたり遠ざけたりし、第2駆動ユニットは、第2駆動モータ16、第2ねじ17及び第2ねじナット18を含み、第2駆動モータは、ブラケット1に設置され、第2ねじの一端は、第2駆動モータに固定して接続され、第2ねじの他端は、ねじ接合装置に固定して接続され、第2ねじナットは、第2ねじに設置され、且つ第2金型板に接続されるリンク7に駆動ロッド8を介してヒンジされ、第2駆動モータは、回転して第2ねじを回転させ、第2ねじは、回転して第2ねじナットを移動させ、それにより、第2金型板を第2ねじに近づけたり遠ざけたりし、第1ねじと第2ねじとは、延在方向が同じ直線上に位置し、且つ相対的に独立して回転する。前記第1金型板と第2金型板とが同時に収縮又は展開される時、第1ねじナットと第2ねじナットとは、移動方向が同じである。内部の2組のリンク伸縮構造は、両側のステッピングモータ軸の回転により同一方向の運動を実現することができ、2つのステッピングモータは、3sの時間差内にそれぞれ起動され、2組の分割式金型の伸縮時間差を実現し、分割式金型の伸縮をより柔軟にする。
【0025】
図9と
図10に示すように、ねじ接合装置11の内部の2つの転がり軸受10は、それぞれ内孔に締り嵌めされ、2本のねじが互いに干渉することなく独立して回転することを実現することができる。リンク移動装置3は、ねじナットとねじとの組み合わせにより、ステッピングモータの発生した回転をリンク移動装置の移動に変換し、2組のリンク伸縮構造に合わせて分割式金型の伸縮を実現する。
【0026】
図11~
図13に示すように、第1金型板61と第2金型板62との間の接触面にはマッチする段付き係止口が設置され、第1金型板の両側の段付き係止口は、いずれも外側に位置し、第2金型板の両側の段付き係止口は、いずれも内側に位置し、分割式金型シートの間は、段付き機械構造によって密着を実現し、該構造は、さらに分割式金型シートの完全な開きにも有利であり、第1駆動ユニットは、第2駆動ユニットより先に起動され、且つ第1駆動ユニットと第2駆動ユニットとは、同時に停止される。
【0027】
図14に示すように、リンクと分割式金型シートとは、ロックボルトを介して接続され、回転がより柔軟であり、摩擦を低減するとともに、リンクと分割式金型シートとの接続をより強固にし、使用寿命をより長くする。
【0028】
図15~
図17は、分割式金型の運動過程を示し、複合材料の巻回中の分割式金型シートの開きと冷却後の分割式金型シートの収縮とを含む。分割式金型シートの運動は、単一の軸方向運動又は単一の径方向運動ではなく、この2つの分割運動の複合運動であり、ここで分割式金型シートの右側斜面、及び右側の台形断面を持つ金属環状リブの断面角度を設計する必要性を体現している。
【0029】
図18に示すように、駆動装置モータに対する制御であり、遮断器QFスイッチをオンにし、KT1、KT2時間リレーがそれぞれt
1s遅延するように、KT時間リレーの遅延tsを設定する。SB2起動スイッチを押し、KM1コイルが給電され、KM1主コンタクトが閉じ(左主回路)、KM1がノーマリーオンであり且つコンタクトの閉じを補助し、セルフロックを形成し、モータM1が起動するに従って、KTとKT1コイルが給電され、ts後にKT時間リレーが遅延して、閉じたスイッチがオフになり、KM2コイルが給電され、KM2主コンタクトが閉じ、KM2がノーマリーオンであり且つコンタクトの閉じを補助し、モータM2が起動する。t
1s後にKT1スイッチがオフになり、KM1コイルが断電され、モータM1が停止し、(t
1+t)s後にKT2スイッチがオフになり、KM2コイルが断電され、モータM2が停止する。制御プロセス全体が終了し、SB2は、急停止スイッチである。
【0030】
本実施例では、分割式金型構造を用いて複合材料の加工を完成し、且つ加工終了後に金型の質量と構造を軽減し、加工精度を保証した上で複合材料加工の強度と靭性に影響を与えず、完成品全体の軽量化設計を完成し、生産コストを低減し、エネルギー消費を低減させる。装置全体をカップリングで取り外すことができ、複合材料の加熱加工過程でステッピングモータを取り外し、電子デバイスの寿命を延長するとともに、加工過程の安全を保証することができる。
【0031】
実施例3
図19に示すように、本実施例における内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工方法は、下記ステップを含む。
【0032】
第1ステップ:内部移動部材、金型(アルミニウム型と分割式金型)、ステッピングモータ、金属支持枠、及び金属環状リブを含む各部品を組み立てるとともに、金属支持枠が金属環状リブとアルミニウム型を正確に支持し、内部のねじ接合装置を固定することを確保し、ねじ及びその接続部品を初期値に設定した後、カップリングを介してステッピングモータに接続し、ステッピングモータを支持枠に固定し且つその運転をデバッグする。
【0033】
第2ステップ:機械と電子部品を組み立てた後、ステッピングモータを制御することによってステッピングモータ軸の運動をリンク移動プラットフォームにねじを介して伝達し、それにより、分割式金型を完全に開き、複合材料の巻回を容易にする。
【0034】
第3ステップ:分割式金型が完全に開いており及び金属環状リブとアルミニウム型が固定されていることを確保した上で、複合材料を巻回し、巻回の全過程は、分割式金型が常に完全に開くことを確保する。
【0035】
第4ステップ:電子デバイスの加熱時の損傷を回避し、及び安全を配慮するために、複合材料の巻回終了後にカップリングを取り外して電子デバイスを分離することができる。
【0036】
第5ステップ:電子デバイス以外の他の構造を一括して加熱室に入れ、複合材料を加熱成形し、ターゲット温度に加熱し且つしばらく保温した後に取り出し、室温まで空冷した後に取り付け直し且つステッピングモータに接続することができる。
【0037】
第6ステップ:両側のステッピングモータを制御し、ステッピングモータの回転数をnにし、右側のステッピングモータに励起を与えた後、ステッピングモータは、回転を開始し、ts後に左側のステッピングモータを起動し、2組の異なる金型シートに時間差を与え、分割式金型の収縮を実現することができる。
【0038】
式(1)により、モータの負荷トルクを計算することができ、式において、μは、摩擦係数、Wは、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの重量(Kg)、Pは、ねじピッチ(m)、1/Rは、減速比、ηは、伝動係数の効率である。ねじがリンクを水平に移動させる距離は、式(2)により算出することができ、Lは、リンクの水平移動距離(m)、Kは、ねじの回転数である。
【0039】
【数1】
式(3)からステッピングモータの回転時間と回転数との関係が得られ、Nは、ステッピングモータが回転した回転数(r)、nは、ステッピングモータが1分間に回転する回転数(r/min)、tは、ステッピングモータの回転時間である。ステッピングモータがカップリング12を介してねじ9に接続されるため、ステッピングモータの回転数がねじの回転数に等しく、即ちK=Nであり、それにより、ステッピングモータの回転時間とリンクの水平移動距離との関係がわかり、これでステッピングモータの作動時間を設計する。
【0040】
N=n・t (3)
第7ステップ:分割式金型が設定値まで収縮すると、ステッピングモータの電源を切り、カップリングを取り外すことにより、いずれか一側の支持枠の制限を解除し、且つ他側から分割式金型及び関連構造を軸方向に取り出す。
【0041】
第8ステップ:両端のアルミニウム型を分離させる。
【0042】
第9ステップ:内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースを得る。
【0043】
最終的に、内張り金属環状リブを有する複合材料製柱状耐圧ケースの加工が完了する。従来の複合材料加工技術と比べて、この加工方式の最大の特徴は、構造の軽量化設計であり、中間の金属環状リブ型から離脱する必要がなく、分割式金型が開きと伸縮の自動化を実現し、動作がより正確である。該装置で加工された、複合材料で製造される完成品は、構造強度と靭性を保証するとともに、完成品の重量を軽減し、複合材料の加工がより環境に優しく、より経済的になる。