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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-30
(45)【発行日】2025-08-07
(54)【発明の名称】基板処理装置および基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250731BHJP
【FI】
H01L21/304 647A
H01L21/304 643C
H01L21/304 643A
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021153699
(22)【出願日】2021-09-22
(65)【公開番号】P2023045349
(43)【公開日】2023-04-03
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝佳
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0211595(US,A1)
【文献】特開2007-324509(JP,A)
【文献】特開2018-054960(JP,A)
【文献】特開2002-241710(JP,A)
【文献】特開2008-255165(JP,A)
【文献】特開2013-175496(JP,A)
【文献】特開2003-109931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平方向に保持して前記基板を回転させる基板保持回転機構と、
前記基板保持回転機構に保持された前記基板に磁性流体を供給する磁性流体供給部と、
前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加部と、
前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給部と、
前記基板保持回転機構、前記磁性流体供給部、前記磁力印加部および前記リンス液供給部を制御する制御部と
を備え
前記磁力印加部は、
磁力を発生する磁力発生体と、
前記磁力発生体を移動させる移動機構と
を備え、
前記制御部は、前記磁性流体供給部が前記基板に前記磁性流体を供給する間に前記磁力発生体が前記基板に近づくように前記磁性流体供給部および前記移動機構を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記磁力発生体が前記基板に対して0.1mm以上10mm以下の距離に位置するように前記移動機構を制御する、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項3】
基板を水平方向に保持して前記基板を回転させる基板保持回転機構と、
前記基板保持回転機構に保持された前記基板に磁性流体を供給する磁性流体供給部と、
前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加部と、
前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給部と、
前記基板保持回転機構、前記磁性流体供給部、前記磁力印加部および前記リンス液供給部を制御する制御部と、
液体および気体が混合した混合流体を前記基板に供給する混合流体供給部
を備える、基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記磁性流体供給部が前記基板に前記磁性流体を供給する前に前記混合流体供給部が前記基板に前記混合流体を供給するように前記混合流体供給部を制御する、請求項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記磁性流体供給部は、前記磁性流体として磁性イオン液体を供給する、請求項1~4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
基板を水平方向に保持する基板保持工程と、
前記基板保持工程において保持された前記基板を回転させる基板回転工程と、
前記基板回転工程において回転する前記基板に磁性流体を供給する磁性流体供給工程と、
前記磁性流体供給工程において前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加工程と、
前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給工程と
を包含し、
前記磁力印加工程は、
前記磁性流体供給工程において前記基板に前記磁性流体を供給する間に磁力発生体を前記基板に近づくように移動させる移動工程と、
前記移動工程において前記磁力発生体が移動した後に前記磁力発生体が磁力を発生する磁力発生工程と
を含む、基板処理方法。
【請求項7】
前記移動工程において、前記磁力発生体は前記基板に対して0.1mm以上10mm以下の距離に移動する、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項8】
基板を水平方向に保持する基板保持工程と、
前記基板保持工程において保持された前記基板を回転させる基板回転工程と、
前記基板回転工程において回転する前記基板に磁性流体を供給する磁性流体供給工程と、
前記磁性流体供給工程において前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加工程と、
前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給工程と、
液体および気体が混合した混合流体を前記基板に供給する混合流体供給工程
を包含する、基板処理方法。
【請求項9】
前記混合流体供給工程は、前記磁性流体供給工程において前記基板に前記磁性流体を供給する前に、前記基板に前記混合流体を供給する、請求項に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記磁性流体供給工程は、前記磁性流体として磁性イオン液体を供給する工程を含む、請求項6~9のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板を処理する基板処理装置が知られている。基板処理装置は、半導体基板の処理に好適に用いられる。典型的には、基板処理装置は、薬液の処理液等を用いて基板を処理する。
【0003】
基板を処理する際に、基板にパーティクルが残存すると、基板の特性に影響することがある。このため、混合流体を用いて、基板上のパーティクルを除去することが検討されている(特許文献1参照)。特許文献1の基板処理方法では、2流体ノズルにおいて、加圧された気体と薬液とを混合することによって形成されたミストを基板に吐出することにより、基板上のパーティクルを除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-59876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板の微細加工はますます進んでおり、パーティクルのサイズも小さくなる傾向がある。しかしながら、特許文献1の基板処理方法では、除去対象のパーティクルが小さいと、パーティクルを充分に除去できないことがある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板上の比較的小さい除去対象物を充分に除去可能な基板処理装置および基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板を水平方向に保持して前記基板を回転させる基板保持回転機構と、前記基板保持回転機構に保持された前記基板に磁性流体を供給する磁性流体供給部と、前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加部と、前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給部と、前記基板保持回転機構、前記磁性流体供給部、前記磁力印加部および前記リンス液供給部を制御する制御部とを備える。
【0008】
ある実施形態では、前記磁性流体供給部は、前記磁性流体として磁性イオン液体を供給する。
【0009】
ある実施形態では、前記磁力印加部は、磁力を発生する磁力発生体と、前記磁力発生体を移動させる移動機構とを備える。前記制御部は、前記磁性流体供給部が前記基板に前記磁性流体を供給する間に前記磁力発生体が前記基板に近づくように前記磁性流体供給部および前記移動機構を制御する。
【0010】
ある実施形態では、前記制御部は、前記磁力発生体が前記基板に対して0.1mm以上10mm以下の距離に位置するように前記移動機構を制御する。
【0011】
ある実施形態では、前記基板処理装置は、液体および気体が混合した混合流体を前記基板に供給する混合流体供給部をさらに備える。
【0012】
ある実施形態では、前記制御部は、前記磁性流体供給部が前記基板に前記磁性流体を供給する前に前記混合流体供給部が前記基板に前記混合流体を供給するように前記混合流体供給部を制御する。
【0013】
本発明の別の局面によれば、基板処理方法は、基板を水平方向に保持する基板保持工程と、前記基板保持工程において保持された前記基板を回転させる基板回転工程と、前記基板回転工程において回転する基板に磁性流体を供給する磁性流体供給工程と、前記磁性流体供給工程において前記基板に供給された磁性流体に磁力を印加する磁力印加工程と、前記基板にリンス液を供給することによって前記基板から前記磁性流体を除去するリンス液供給工程とを包含する。
【0014】
ある実施形態では、前記磁性流体供給工程は、前記磁性流体として磁性イオン液体を供給する工程を含む。
【0015】
ある実施形態では、前記磁力印加工程は、前記磁性流体供給工程において前記基板に前記磁性流体を供給する間に磁力発生体を前記基板に近づくように移動させる移動工程と、前記移動工程において前記基板を移動した後に前記磁力発生体が磁力を発生する磁力発生工程とを含む。
【0016】
ある実施形態では、前記移動工程において、前記磁力発生体は前記基板に対して0.1mm以上10mm以下の距離に移動する。
【0017】
ある実施形態では、前記基板処理方法は、液体および気体が混合した混合流体を前記基板に供給する混合流体供給工程をさらに包含する。
【0018】
ある実施形態では、前記混合流体供給工程は、前記磁性流体供給工程において前記基板に前記磁性流体を供給する前に、前記基板に前記混合流体を供給する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、基板上の比較的小さい除去対象物を充分に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の基板処理装置を備えた基板処理システムの模式図である。
図2】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図3】本実施形態の基板処理装置のブロック図である。
図4】本実施形態の基板処理装置のフロー図である。
図5】(a)~(d)は、本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
図6】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図7】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図8】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図9】本実施形態の基板処理装置のフロー図である。
図10】(a)~(e)は、本実施形態の基板処理方法を説明するための模式図である。
図11】本実施形態の基板処理装置の模式図である。
図12】本実施形態の基板処理装置のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明による基板処理装置および基板処理方法の実施形態を説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。なお、本願明細書では、発明の理解を容易にするため、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載することがある。典型的には、X軸およびY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施形態の基板処理装置100を備えた基板処理システム10を説明する。図1は、基板処理システム10の模式的な平面図である。
【0023】
図1に示すように、基板処理システム10は、複数の基板処理装置100を備える。基板処理装置100は、基板Wを処理する。基板処理装置100は、基板Wに対して、エッチング、表面処理、特性付与、処理膜形成、膜の少なくとも一部の除去および洗浄のうちの少なくとも1つを行うように基板Wを処理する。
【0024】
基板Wは、半導体基板として用いられる。基板Wは、半導体ウエハを含む。例えば、基板Wは略円板状である。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する。
【0025】
図1に示すように、基板処理システム10は、複数の基板処理装置100に加えて、流体キャビネット10Aと、流体ボックス10Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置20とを備える。制御装置20は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCRおよび基板処理装置100を制御する。
【0026】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する設置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で設置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと基板処理装置100との間で基板Wを搬送する。基板処理装置100の各々は、基板Wに液体を吐出して、基板Wを処理する。液体は、磁性流体およびリンス液を含む。または、液体は、他の液体を含んでもよい。流体キャビネット10Aは、液体を収容する。なお、流体キャビネット10Aは、気体を収容してもよい。
【0027】
複数の基板処理装置100は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の基板処理装置100(図1では3つの基板処理装置100)を含む。流体ボックス10Bは、それぞれ、複数のタワーTWに対応している。流体キャビネット10A内の液体は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置100に供給される。また、流体キャビネット10A内の気体は、いずれかの流体ボックス10Bを介して、流体ボックス10Bに対応するタワーTWに含まれる全ての基板処理装置100に供給される。
【0028】
制御装置20は、基板処理システム10の各種動作を制御する。制御装置20は、制御部22および記憶部24を含む。制御部22は、プロセッサーを有する。制御部22は、例えば、中央処理演算機(Central Processing Unit:CPU)を有する。または、制御部22は、汎用演算機を有してもよい。
【0029】
記憶部24は、主記憶装置と、補助記憶装置とを含む。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリおよび/またはハードディスクドライブである。記憶部24はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部22は、記憶部24の記憶しているコンピュータプログラムを実行して、基板処理動作を実行する。
【0030】
記憶部24は、また、データおよびコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容および処理手順を規定する。
【0031】
次に、図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図2は、基板処理装置100の模式図である。
【0032】
基板処理装置100は、チャンバー110と、基板保持回転機構120と、磁性流体供給部130と、リンス液供給部140と、磁力印加部150とを備える。チャンバー110は、基板Wを収容する。また、チャンバー110は、基板保持回転機構120と、磁性流体供給部130、リンス液供給部140および磁力印加部150の少なくとも一部とを収容する。
【0033】
チャンバー110は、内部空間を有する略箱形状である。チャンバー110は、基板Wを収容する。ここでは、基板処理装置100は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型であり、チャンバー110には基板Wが1枚ずつ収容される。基板Wは、チャンバー110内に収容され、チャンバー110内で処理される。
【0034】
基板保持回転機構120は、基板Wを保持する。基板保持回転機構120は、基板Wの上面(表面)Waを上方に向け、基板Wの裏面(下面)Wbを鉛直下方に向くように基板Wを水平に保持する。また、基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。基板Wの上面Waは、平坦化されてもよい。または、基板Wの上面Waには、ラインおよびスペースが設けられてもよく、リセスの設けられたピラー状の積層構造が設けられてもよい。基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0035】
例えば、基板保持回転機構120は、基板Wの端部を挟持する挟持式であってもよい。あるいは、基板保持回転機構120は、基板Wを裏面Wbから保持する任意の機構を有してもよい。例えば、基板保持回転機構120は、バキューム式であってもよい。この場合、基板保持回転機構120は、非デバイス形成面である基板Wの裏面Wbの中央部を上面に吸着させることにより基板Wを水平に保持する。あるいは、基板保持回転機構120は、複数のチャックピンを基板Wの周端面に接触させる挟持式とバキューム式とを組み合わせてもよい。
【0036】
例えば、基板保持回転機構120は、スピンベース121と、チャック部材122と、シャフト123と、電動モーター124と、ハウジング125とを含む。チャック部材122は、スピンベース121に設けられる。チャック部材122は、基板Wをチャックする。典型的には、スピンベース121には、複数のチャック部材122が設けられる。
【0037】
シャフト123は、中空軸である。シャフト123は、回転軸Axに沿って鉛直方向に延びている。シャフト123の上端には、スピンベース121が結合されている。基板Wは、スピンベース121の上方に載置される。
【0038】
スピンベース121は、円板状である。チャック部材122は、基板Wを水平に支持する。シャフト123は、スピンベース121の中央部から下方に延びる。電動モーター124は、シャフト123に回転力を与える。電動モーター124は、シャフト123を回転方向に回転させることにより、回転軸Axを中心に基板Wおよびスピンベース121を回転させる。ハウジング125は、シャフト123および電動モーター124を取り囲んでいる。
【0039】
磁性流体供給部130は、基板Wに磁性流体を供給する。典型的には、磁性流体供給部130は、基板保持回転機構120に保持された基板Wの上面Waに磁性流体を供給する。
【0040】
磁性流体は、磁性を有する。磁性流体は、磁力の印加によって作用する。
【0041】
磁性流体は、磁性イオン液体であることが好ましい。磁性流体が磁性イオン液体であることにより、基板を室温で処理できる。
【0042】
典型的には、磁性イオン液体は、強磁性体である。例えば、磁性イオン液体は、軟磁性体である。
【0043】
典型的には、磁性流体として、1-アルキル-3-メチルイミダゾリウム-X(X=FeCl4、FeBr4、Fe2Cl7、Fe2Br7)が挙げられる。例えば、磁性流体は、イオン液体を構成する典型的な陽イオンである1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムと、典型的な磁性陰イオンである塩化鉄(III)酸イオンとから構成される。
【0044】
例えば、磁性流体として、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート(1-Butyl-3-methylimidazolium tetrachloroferrate:bmim[FeCl4])を用いてもよい。あるいは、磁性流体として、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラクロロフェラート(1-Etyl-3-methylimidazolium tetrachloroferrate:emim[FeCl4])を用いてもよい。
【0045】
磁性流体供給部130は、配管132と、バルブ134と、ノズル136と、移動機構138とを含む。配管132には、供給源から磁性流体が供給される。バルブ134は、配管132内の流路を開閉する。ノズル136は、配管132に接続される。ノズル136は、基板Wの上面Waに磁性流体を吐出する。ノズル136は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0046】
移動機構138は、水平方向および鉛直方向にノズル136を移動させる。詳しくは、移動機構138は、鉛直方向に延びる回転軸線を中心として周方向に沿ってノズル136を移動させる。また、移動機構138は、ノズル136を鉛直方向に昇降させる。
【0047】
移動機構138は、アーム138aと、軸部138bと、駆動部138cとを有する。アーム138aは、水平方向に沿って延びる。ノズル136は、アーム138aの先端部に配置される。ノズル136は、チャック部材122に保持されている基板Wの上面Waに向けて磁性流体を供給できる姿勢で、アーム138aの先端部に配置される。詳しくは、ノズル136は、アーム138aの先端部に結合されて、アーム138aから下方に突出する。アーム138aの基端部は、軸部138bに結合する。軸部138bは、鉛直方向に沿って延びる。
【0048】
駆動部138cは、回転駆動機構と、昇降駆動機構とを有する。駆動部138cの回転駆動機構は、回転軸線を中心として軸部138bを回転させて、軸部138bを中心にアーム138aを水平面に沿って旋回させる。その結果、ノズル136が水平面に沿って移動する。詳しくは、ノズル136は、軸部138bの周りを周方向に沿って移動する。駆動部138cの回転駆動機構は、例えば、正逆回転可能なモーターを含む。
【0049】
駆動部138cの昇降駆動機構は、軸部138bを鉛直方向に昇降させる。駆動部138cの昇降駆動機構が軸部138bを昇降させることにより、ノズル136が鉛直方向に昇降する。駆動部138cの昇降駆動機構は、モーター等の駆動源および昇降機構を有しており、駆動源によって昇降機構を駆動して、軸部138bを上昇または下降させる。昇降機構は、例えば、ラック・ピニオン機構またはボールねじを含む。
【0050】
典型的には、磁性流体供給部130が基板Wに磁性流体を供給する間、基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で回転させる。このため、磁性流体供給部130から基板Wに供給された磁性流体は、基板W上において径方向外側に流れる。
【0051】
磁性流体が基板W上において径方向外側に流れる速度は、基板保持回転機構120によって制御できる。基板保持回転機構120による基板Wの回転速度を増加させることにより、磁性流体が基板W上において径方向外側に流れる速度を増加できる。また、基板保持回転機構120による基板Wの回転速度を低下させることにより、磁性流体が基板W上において径方向外側に流れる速度を低下できる。
【0052】
リンス液供給部140は、基板Wにリンス液を供給する。基板Wにリンス液を供給することで、基板Wはリンス処理される。リンス液は、例えば、純水(脱イオン水:Deionzied Water)である。なお、リンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール)、および希釈濃度(例えば、10~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0053】
リンス液供給部140は、配管142と、バルブ144と、ノズル146と、移動機構148とを含む。配管142には、供給源からリンス液が供給される。バルブ144は、配管142内の流路を開閉する。ノズル146は、配管142に接続される。ノズル146は、基板Wの上面Waにリンス液を吐出する。ノズル146は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0054】
典型的には、リンス液供給部140が基板Wにリンス液を供給する間、基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で回転する。基板Wの回転により、リンス液供給部140から基板Wに供給されたリンス液は、基板W上において径方向外側に流れる。
【0055】
リンス液が基板W上において径方向外側に流れる速度は、基板保持回転機構120によって制御できる。基板保持回転機構120による基板Wの回転速度を増加させることにより、リンス液が基板W上において径方向外側に流れる速度を増加できる。また、基板保持回転機構120による基板Wの回転速度を低下させることにより、リンス液が基板W上において径方向外側に流れる速度を低下できる。
【0056】
移動機構148は、アーム148aと、軸部148bと、駆動部148cとを有する。移動機構148のアーム148a、軸部148bおよび駆動部148cは、移動機構138のアーム138a、軸部138bおよび駆動部138cと同様の構成を有する。このため、アーム148a、軸部148bおよび駆動部148cの詳細な説明を省略する。
【0057】
磁力印加部150は、基板Wに磁力を印加する。典型的には、磁性流体供給部130から供給された磁性流体が基板W上にある場合、磁力印加部150は、基板Wに磁力を印加する。磁力印加部150が基板Wに磁力を印加することにより、基板W上の除去対象物が磁性流体中に浮遊する。
【0058】
磁力印加部150は、永久磁石を含んでもよい。永久磁石は、ネオジム磁石であってもよい。
【0059】
あるいは、磁力印加部150は、電磁石を含んでもよい。磁力印加部150が電磁石を含む場合、電磁石は、強磁性材料から構成された芯にコイルを巻いて形成される。典型的には、コイルは銅線から構成される。コイルに流れる電流を調整することにより、磁力印加部150から印加される磁力を調整できる。
【0060】
磁力印加部150は、基板Wに対して移動可能であってもよい。例えば、磁力印加部150は、制御部22によって制御される移動機構にしたがって水平方向および/または鉛直方向に移動可能であることが好ましい。
【0061】
基板処理装置100は、カップ180をさらに備える。カップ180は、基板Wから飛散した液体を回収する。カップ180は昇降する。例えば、カップ180は、磁性流体供給部130が基板Wに液体を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方に上昇する。この場合、カップ180は、基板Wの回転によって基板Wから飛散する液体を回収する。また、カップ180は、磁性流体供給部130が基板Wに液体を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方に下降する。
【0062】
上述したように、制御装置20は、制御部22および記憶部24を含む。制御部22は、基板保持回転機構120、磁性流体供給部130、リンス液供給部140、磁力印加部150および/またはカップ180を制御する。一例では、制御部22は、電動モーター124、バルブ134、144、移動機構138、148、磁力印加部150および/またはカップ180を制御する。
【0063】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体の設けられた半導体素子の作製に好適に用いられる。典型的には、半導体素子において、基材の上に導電層および絶縁層が積層される。基板処理装置100は、半導体素子の製造時に、導電層および/または絶縁層の洗浄および/または加工(例えば、エッチング、特性変化等)に好適に用いられる。
【0064】
次に、図1図3を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図3は、基板処理装置100のブロック図である。
【0065】
図3に示すように、制御装置20は、基板処理装置100の各種動作を制御する。制御装置20は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持回転機構120、磁性流体供給部130、リンス液供給部140、磁力印加部150およびカップ180を制御する。具体的には、制御装置20は、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持回転機構120、磁性流体供給部130、リンス液供給部140、磁力印加部150およびカップ180に制御信号を送信することによって、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、基板保持回転機構120、磁性流体供給部130、リンス液供給部140、磁力印加部150およびカップ180を制御する。
【0066】
具体的には、制御部22は、インデクサーロボットIRを制御して、インデクサーロボットIRによって基板Wを受け渡しする。
【0067】
制御部22は、センターロボットCRを制御して、センターロボットCRによって基板Wを受け渡しする。例えば、センターロボットCRは、未処理の基板Wを受け取って、複数のチャンバー110のうちのいずれかに基板Wを搬入する。また、センターロボットCRは、処理された基板Wをチャンバー110から受け取って、基板Wを搬出する。
【0068】
制御部22は、基板保持回転機構120を制御して、基板Wの回転の開始、回転速度の変更および基板Wの回転の停止を制御する。例えば、制御部22は、基板保持回転機構120を制御して、基板保持回転機構120の回転速度を変更することができる。具体的には、制御部22は、基板保持回転機構120の電動モーター124の回転速度を変更することによって、基板Wの回転速度を変更できる。
【0069】
制御部22は、磁性流体供給部130のバルブ134およびリンス液供給部140のバルブ144をそれぞれ別個に制御して、バルブ134、144の状態を開状態と閉状態とに切り替えることができる。具体的には、制御部22は、磁性流体供給部130のバルブ134およびリンス液供給部140のバルブ144を制御して、バルブ134、144を開状態にすることによって、ノズル136、146に向かって配管132、142内を流れる磁性流体およびリンス液を通過させることができる。また、制御部22は、磁性流体供給部130のバルブ134およびリンス液供給部140の144を制御して、バルブ134、144を閉状態にすることによって、ノズル136、146に向かって配管132、142内を流れる磁性流体およびリンス液の供給をそれぞれ停止させることができる。
【0070】
制御部22は、磁性流体供給部130の移動機構138およびリンス液供給部140の移動機構148をそれぞれ別個に制御して、ノズル136およびノズル146を移動させることができる。具体的には、制御部22は、磁性流体供給部130の移動機構138およびリンス液供給部140の移動機構148を制御して、ノズル136およびノズル146を基板Wの上面Waの上方に移動できる。また、制御部22は、磁性流体供給部130の移動機構138およびリンス液供給部140の移動機構148をそれぞれ別個に制御して、ノズル136およびノズル146を基板Wの上面Waの上方から離れた退避位置に移動できる。
【0071】
制御部22は、磁力印加部150を制御して磁力印加部150を基板Wに対して移動させてもよい。また、磁力印加部150が電磁石を含む場合、制御部22は、磁力印加部150を制御して磁力印加部150から磁力を発生させてもよい。
【0072】
制御部22は、カップ180を制御してカップ180を基板Wに対して移動させてもよい。具体的には、制御部22は、磁性流体供給部130が基板Wに液体を供給する期間にわたって基板Wの側方にまで鉛直上方にカップ180を上昇させる。また、制御部22は、磁性流体供給部130が基板Wに液体を供給する期間が終了すると、基板Wの側方から鉛直下方にカップ180を下降させる。
【0073】
本実施形態の基板処理装置100は、半導体素子を形成するために好適に用いられる。例えば、基板処理装置100は、積層構造の半導体素子として用いられる基板Wを処理するために好適に利用される。半導体素子は、いわゆる3D構造のメモリ(記憶装置)である。一例として、基板Wは、NAND型フラッシュメモリとして好適に用いられる。
【0074】
次に、図1図4を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図4は、基板処理方法のフロー図である。
【0075】
図4に示すように、ステップS102において、基板Wを保持する。具体的には、基板保持回転機構120が基板Wを保持する。チャンバー110に基板Wが搬入されると、基板Wは、基板保持回転機構120に保持される。
【0076】
ステップS104において、基板Wを保持した状態で基板Wを回転する。具体的には、基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0077】
ステップS106において、基板Wに磁性流体を供給する。具体的には、磁性流体供給部130が基板Wに磁性流体を供給する。
【0078】
ステップS108において、基板Wに磁力を印加する。具体的には、磁力印加部150を基板Wの磁性流体に近づける。磁力印加部150が電磁石を含む場合、電磁石のコイルに電流を流して磁力を発生させる。なお、ステップS108において基板保持回転機構120は、基板Wの回転速度を低く保つことが好ましい。例えば、基板Wの回転速度は、10rpmである。磁性流体に磁力を印加することにより、基板Wに付着した除去対象物が磁性流体内に浮遊する。
【0079】
磁力印加部150自体の磁力が一定であっても、磁力印加部150が基板Wの磁性流体に近いほど、磁性流体に強い磁力を印加できる。磁力印加部150と基板Wの上面Waとの間の距離は、0.1mm以上10mm以下であってもよく、0.5mm以上6mm以下であってもよく、1mm以上5mm以下であってもよい。
【0080】
ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。具体的には、リンス液供給部140が基板Wにリンス液を供給する。リンス液の供給により、基板Wから磁性流体および除去対象物を除去できる。
【0081】
典型的には、基板保持回転機構120は、基板Wの回転を停止して、基板Wの保持を解除する。その後、基板Wは、基板処理装置100から搬出される。
【0082】
本実施形態によれば、除去対象物の付着した基板Wに磁性流体が供給された状態で基板Wに磁力を印加する。磁性流体の磁化率は除去対象物の磁化率とは異なることから、磁力の印加により、除去対象物に対して鉛直方向に力が作用する。その結果、除去対象物が基板Wの上面Waから離れて磁性流体内に浮遊する。このため、本実施形態によれば、基板上の比較的小さい除去対象物を充分に除去できる。
【0083】
例えば、基板Wに供給された磁性流体の磁化率が除去対象物の磁化率よりも大きい場合、磁力印加部150が磁性流体に磁力を印加すると、磁性流体が磁力印加部150に引き付けられる方向に力を受けるため、磁性流体が鉛直方向に流動する流れが形成される。これにより、除去対象物は磁性流体に形成された流れによって基板Wから離れる方向に力を受け、除去対象物が基板Wから脱離する。
【0084】
あるいは、除去対象物の磁化率が基板Wに供給された磁性流体の磁化率よりも大きい場合、磁力印加部150が磁性流体に磁力を印加すると、除去対象物は磁性流体内において磁力印加部150に引き付けられる力を受ける。これにより、除去対象物は基板Wから離れる方向に力を受け、除去対象物が基板Wから脱離する。
【0085】
本実施形態は、化学機械研磨処理(Chemical Mechanical Polishing:CMP)した後の基板Wに対して好適に用いられる。
【0086】
除去対象物は、基板WをCMP処理する際に用いられた研磨剤であってもよい。例えば、除去対象物は、CeOまたはSiO2である。
【0087】
あるいは、除去対象物は、基板Wの表層から削られた粒子であってもよい。典型的には、CMP後の基板Wの表層は、金属、Si、SiO2、SiC、GaN等によって形成される。CMP後の基板Wの表層を形成する金属としては、アルミニウム、タングステン、銅、コバルト、ルテニウム、モリブデン等が挙げられる。基板Wの表層は、自然酸化膜を含んでいてもよい。
【0088】
例えば、磁性流体として、bmin[FeCl4]を用いてもよい。bmin[FeCl4]は、磁化率の比較的高い磁性イオン液体として知られている。bmin[FeCl4]の磁化率は、室温において0.0137emu/molであり、bmin[FeCl4]の質量磁化は、室温において40.6×10-6emu/gである。また、bmin[FeCl4]の動的粘度は、室温において43mPasである。
【0089】
まず、直径10mmおよび高さ10mmの円柱型のネオジム磁石による鉄への作用を検討する。ネオジム磁石の磁束密度が0.55Tである場合、円柱の端面の中心から1mm離れた位置にある鉄に作用する磁力は0.461kgf(=4.5N)である。
【0090】
次に、磁力印加部150として直径10mmおよび高さ10mmの円柱型のネオジム磁石を用いるとともに磁性流体としてbmin[FeCl4]を用い、ネオジム磁石から1mm離れた磁性流体中に、除去対象物としてSiO2粒子が存在しているケースを想定する。SiO2の質量磁化は、bmin[FeCl4]の1/100以下であり、SiO2に対する磁化は、bmin[FeCl4]に対する磁化と比べて無視できる。
【0091】
先に検討した鉄の磁化率が218emu/gであることから、鉄をbmimに置き換えると、磁化率の比から、bmimにかかる磁力は840nN(=4.5×40.6×10-6/218)と算出できる。
【0092】
一方、基板に付着した粒径10nm~100nmのSiO2パーティクル付着力は、AFMで測定すると、100~1000nN程度になる。このため、上述のネオジム磁石とともに磁性流体としてbmin[FeCl4]を使用すれば、基板に付着したSiO2パーティクルを磁力によって除去できる。
【0093】
なお、上述のネオジム磁石とbmin[FeCl4]との間で生じる磁力をネオジム磁石とbmin[FeCl4]との距離の関数として演算したところ、ネオジム磁石とbmin[FeCl4]との距離が0.5mmの場合、磁性流体中の除去対象物に付与される磁力は約1000nNであり、この距離が5mmの場合、磁力が約100nNであった。
【0094】
したがって、磁力印加部150として直径10mmおよび高さ10mmの円柱型で磁束密度が0.55Tのネオジム磁石を用いることにより、磁力印加部150と基板Wの上面Waとの距離が0.5mmである場合、基板Wの上面Waの磁性流体(bmin[FeCl4])中の除去対象物に約1000nNの磁力を印加できる。同様に、磁力印加部150と基板Wの上面Waとの距離が5mmである場合、基板Wの上面Waの磁性流体(bmin[FeCl4])中の除去対象物(SiO2)に約100nNの磁力を印加できる。
【0095】
次に、図1図5を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図5(a)~図5(d)は、本実施形態の基板処理方法の模式図である。
【0096】
図5(a)に示すように、基板Wには、除去対象物が付着している。ここでは、除去対象物は、平坦化された基板Wに付着している。
【0097】
図5(b)に示すように、基板Wに磁性流体を供給する。詳細には、磁性流体供給部130は、基板Wに磁性流体を供給する。典型的には、基板保持回転機構120が比較的低い回転速度で基板Wを回転した状態で、磁性流体供給部130は、基板Wに磁性流体を供給する。
【0098】
図5(c)に示すように、基板Wの上面Waに磁性流体が存在する状態で磁性流体に磁力を印加する。詳細には、磁力を発生する磁力印加部150を基板Wの磁性流体に近づける。磁力の印加により、除去対象物が磁性流体中に浮遊する。
【0099】
なお、磁力印加部150を磁性流体に近づけることにより、磁性流体内において除去対象物により強い力を付与できる。例えば、磁力印加部150と基板Wの上面Waとの間の距離は、0.1mm以上10mm以下であってもよく、0.5mm以上6mm以下であってもよく、1mm以上5mm以下であってもよい。
【0100】
図5(d)に示すように、基板Wから磁性流体および除去対象物を除去する。詳細には、リンス液供給部140が基板Wにリンス液を供給することにより、基板Wの上面Waから磁性流体および除去対象物を除去できる。
【0101】
以上のように、本実施形態によれば、基板Wに付着した除去対象物を基板Wから除去できる。
【0102】
なお、磁力印加部150は、基板W全体にわたって一度に磁力を印加してもよい。これにより、磁性流体に磁力を印加する時間を短くできる。
【0103】
次に、図1図6を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図6は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図6の基板処理装置100は、磁力印加部150が磁力発生体152および移動機構158をさらに有する点を除いて、図2を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0104】
図6に示すように、基板処理装置100において、磁力印加部150は、磁力発生体152および移動機構158を有する。磁力発生体152は、磁力を発生させる。磁力発生体152は、永久磁石であってもよい。あるいは、磁力発生体152は、電磁石であってもよい。磁力発生体152が電磁石である場合、磁力発生体152に電流が印加されると、磁力発生体152は磁力を発生する。
【0105】
移動機構158は、磁力発生体152を移動させる。磁力印加部150が磁力を磁性流体に印加する場合、移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面Waに対向する位置まで移動させる。また、磁力印加部150が磁力を磁性流体に印加した後に、移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面Waに対向する位置から退避位置まで移動させる。
【0106】
磁力発生体152は、環形状である。例えば、磁力発生体152は、円環形状である。磁力発生体152には貫通孔152hが設けられる。貫通孔152hは、円形状である。
【0107】
磁力発生体152の外径は、基板Wの直径とほぼ等しい。例えば、磁力発生体152の外径は、基板Wの直径に対して90%以上110%以下である。
【0108】
磁力発生体152の内径(貫通孔152hの外径)は、ノズル136の外径(水平方向に沿った長さ)とほぼ等しいか、ノズル136の外径よりも若干大きい。例えば、磁力発生体152の内径は、基板Wの直径に対して102%以上110%以下である。この場合、ノズル136は、磁力発生体152の貫通孔152hに挿入された状態で、基板Wに磁性流体を吐出する。
【0109】
あるいは、磁力発生体152の内径は、ノズル136の外径(水平方向に沿った長さ)よりも小さくてもよい。例えば、磁力発生体152の内径は、ノズル136の外径(水平方向に沿った長さ)よりも小さく、ノズル136から吐出される磁性流体の幅(水平方向に沿った長さ)よりも大きくてもよい。この場合、ノズル136は、磁力発生体152よりも鉛直上方の位置から基板Wに磁性流体を吐出する。
【0110】
移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面Waに移動させる。典型的には、移動機構158は、基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加する場合に、磁力発生体152を基板Wの上面Waに対向する位置に移動させる。例えば、磁力印加部150と基板Wの上面Waとの間の距離は、0.1mm以上10mm以下であってもよく、0.5mm以上6mm以下であってもよく、1mm以上5mm以下であってもよい。
【0111】
また、移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面から移動させる。典型的には、移動機構158は、基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加した後に、磁力発生体152を基板Wの上面から退避位置に移動させる。
【0112】
移動機構158は、アーム158aと、軸部158bと、駆動部158cとを有する。移動機構158のアーム158a、軸部158bおよび駆動部158cは、移動機構138のアーム138a、軸部138bおよび駆動部138cと同様の構成を有する。このため、アーム158a、軸部158bおよび駆動部158cの詳細な説明を省略する。
【0113】
なお、図6に示した基板処理装置100では、磁力印加部150は、基板Wの全面にわたって一度に磁力を印加したが、本実施形態はこれに限定されない。磁力印加部150は、基板Wを走査しながら磁力を印加してもよい。
【0114】
次に、図1図7を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図7は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図7の基板処理装置100は、磁力発生体152の形状が異なる点を除いて、図6を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0115】
図7に示すように、基板処理装置100において、磁力発生体152の外径(水平方向に沿った長さ)は、基板Wの半径よりも小さい。例えば、磁力発生体152の外径(水平方向に沿った長さ)は、基板Wの半径の5%以上30%以下である。
【0116】
磁性流体に磁力を印加する場合、磁力発生体152は、基板Wの上面Waを走査する。例えば、磁力発生体152は、基板Wの上面Waに対して基板Wの中心から径方向外側に向かって走査してもよい。この場合、移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面Waに対して所定の距離まで近づけた状態で基板Wの中心から径方向外側に向かって移動させる。
【0117】
あるいは、磁力発生体152は、基板Wの上面Waに対して基板Wの径方向外側から中心に向かって走査してもよい。この場合、移動機構158は、磁力発生体152を基板Wの上面Waに対して所定の距離まで近づけた状態で基板Wの径方向外側から中心に向かって移動させる。磁力発生体152が基板Wの中心に近づくと、磁力発生体152は停止する。その後、磁力発生体152は、基板Wの上面Waから離れる方向に上昇した後で退避位置に戻る。
【0118】
本実施形態では、磁力発生体152が基板Wの上面Waを走査するため、除去対象物に対して鉛直方向の力だけでなく斜め上方に向かう力も作用する。このように、磁力発生体152の走査により、除去対象物に対して斜め上方にも力を付与できるため、除去対象物を充分に除去できる。特に、除去対象物が基板Wのスペースまたはリセスに存在する場合、磁力発生体152の走査により、基板Wから除去対象物を効率的に除去できる。
【0119】
なお、図1図7を参照した上述の説明では、基板W上の磁性流体に磁力を印加することによって基板Wに付着した除去対象物を基板Wから剥離したが、本実施形態はこれに限定されない。基板W上の磁性流体に磁力を印加することに加えて基板Wに混合流体を供給することによって基板Wに付着した除去対象物を基板Wから剥離してもよい。
【0120】
次に、図1図8を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図8は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図8の基板処理装置100は、混合流体供給部160をさらに備える点を除いて、図2を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0121】
図8に示すように、基板処理装置100は、混合流体供給部160をさらに備える。混合流体供給部160は、気体および液体を混合した混合流体を基板Wに供給する。混合流体供給部160は、気体および液体を混合することによってミストを形成する。
【0122】
混合流体供給部160は、混合流体供給部160の内部において気体および液体を混合して混合流体を生成してもよい。あるいは、混合流体供給部160は、混合流体供給部160の外部(例えば、基板Wの上面Wa)において気体および液体を混合して混合流体を生成してもよい。
【0123】
ここでは、混合流体供給部160は、配管162aと、バルブ164aと、配管162bと、バルブ164bと、ノズル166と、移動機構168とを含む。配管162aには、供給源から液体が供給される。例えば、液体は、水である。あるいは、液体は、リンス液として例示した成分のいずれかであってもよい。配管162aは、供給源とノズル166とを連絡する。バルブ164aは、配管162a内の流路を開閉する。
【0124】
配管162bには、供給源から気体が供給される。例えば、気体は、窒素ガスである。気体は、窒素以外の不活性ガスまたは乾燥空気であってもよい。配管162bは、供給源とノズル166とを連絡する。バルブ164bは、配管162b内の流路を開閉する。
【0125】
ノズル166には、配管162bを介して液体が供給されるとともに、配管162bを介して気体が供給される。このため、ノズル166において、液体と気体とが混合した混合流体が生成される。ノズル166は、基板Wの上面Waに混合流体を吐出する。ノズル166は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0126】
移動機構168は、アーム168aと、軸部168bと、駆動部168cとを有する。移動機構168のアーム168a、軸部168bおよび駆動部168cは、移動機構138のアーム138a、軸部138bおよび駆動部138cと同様の構成を有する。このため、アーム168a、軸部168bおよび駆動部168cの詳細な説明を省略する。
【0127】
本実施形態の基板処理装置100は、基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加するとともに基板Wに混合流体を供給できる。基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加することにより、基板W上の比較的小さい除去対象物を好適に除去できる。一方で、除去対象物のサイズが比較的大きい場合、磁力印加部150の磁束密度が大きくないと、磁力によって除去対象物を除去できないことがある。しかしながら、磁力印加部150の磁束密度が大きすぎる場合、基板Wに影響が生じることがある。
【0128】
本実施形態の基板処理装置100は、基板Wに混合流体を供給するため、基板W上の除去対象物を好適に除去できる。例えば、混合流体は、基板W上の比較的大きいサイズの除去対象物を好適に除去できる。混合流体を基板Wに供給する場合、基板Wの上面Waから離れるほど混合流体の放射流強度が増大するため、混合流体は比較的大きいサイズの除去対象物を除去できる。
【0129】
次に、図1図9を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図9は、基板処理方法のフロー図である。図9のフロー図は、混合流体を供給するステップS105が追加された点を除いて、図4を参照して上述した基板処理方法と同様であり、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0130】
図9に示すように、ステップS102において、基板Wを保持する。詳細には、基板保持回転機構120が基板Wを保持する。
【0131】
ステップS104において、基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。詳細には、基板保持回転機構120が基板Wを保持した状態で基板Wを回転させる。
【0132】
ステップS105において、基板Wに混合流体を供給する。詳細には、混合流体供給部160が基板Wに混合流体を供給する。
【0133】
ステップS106において、基板Wに磁性流体を供給する。詳細には、磁性流体供給部130が基板Wに磁性流体を供給する。
【0134】
ステップS108において、基板Wの磁性流体に磁力を印加する。詳細には、磁力印加部150を基板Wの磁性流体に近づける。または、磁力印加部150が電磁石を含む場合、電磁石に対する電力の供給を開始してもよい。
【0135】
磁力印加部150が基板Wの磁性流体に磁力を印加することにより、磁性流体が磁力を受けるため、磁性流体は磁力印加部150に近づくように力を受ける。このため、磁性流体は、基板保持回転機構120によって基板Wを回転させたことによる水平方向に作用する遠心力に加えて鉛直方向に作用する力を受ける。
【0136】
ステップS110において、基板Wにリンス液を供給する。詳細には、リンス液供給部140が基板Wにリンス液を供給することにより、除去対象物とともに磁性流体を基板Wから除去でき、基板Wの上面Waをリンス処理できる。
【0137】
本実施形態の基板処理装置100は、基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加するとともに基板Wに混合流体を供給できる。基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加することにより、基板W上の比較的小さい除去対象物を好適に除去できる。また、基板Wに混合流体を供給することにより、基板W上の比較的大きい除去対象物を好適に除去できる。
【0138】
なお、図9に示したフロー図では、ステップS105における混合流体の供給は、ステップS106における磁性流体の供給前に行ったが、本実施形態はこれに限定されない。ステップS105における混合流体の供給は、ステップS106における磁性流体の供給の後に行ってもよい。
【0139】
次に、図1図10を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図10(a)~図10(e)は、本実施形態の基板処理方法の模式図である。
【0140】
図10(a)に示すように、基板Wには、除去対象物が付着している。ここでは、基板Wには、サイズの異なる除去対象物が付着している。
【0141】
図10(b)に示すように、基板Wに混合流体を供給する。詳細には、混合流体供給部160は、基板Wの上面Waに混合流体を供給する。典型的には、混合流体の供給により、基板Wの上面Waに付着した比較的大きいサイズの除去対象物を除去できる。
【0142】
図10(b)の矢印に示すように、混合流体の放射流強度は、基板Wの上面Wa近傍ではかなり小さく、基板Wの上面Waから離れるにつれて徐々に大きくなる。このため、混合流体は、比較的大きいサイズの除去対象物を押し流すことができる一方で、比較的小さいサイズの除去対象物を押し流すことができない。例えば、除去対象物のサイズが20nm以下である場合、混合流体を供給しても除去対象物を充分に除去できないことがある。
【0143】
図10(c)に示すように、基板Wに磁性流体を供給する。詳細には、磁性流体供給部130は、基板Wの上面Waに磁性流体を供給する。
【0144】
図10(d)に示すように、基板Wに磁性流体が存在する状態で磁性流体に磁力を印加する。詳細には、磁力印加部150は、基板Wの上面Waの磁性流体に磁力を印加する。例えば、磁力発生体152が基板Wの上面Waの磁性流体に近づく。
【0145】
図10(e)に示すように、基板Wの上面Waから磁性流体および除去対象物を除去する。詳細には、リンス液供給部140は、基板Wにリンス液を供給する。
【0146】
本実施形態によれば、基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加するとともに基板Wに混合流体を供給できる。基板Wに供給された磁性流体に磁力を印加することにより、基板W上の比較的小さい除去対象物を好適に除去できる。また、基板Wに混合流体を供給することにより、基板W上の比較的大きい除去対象物を好適に除去できる。
【0147】
基板Wの上面Waには、複数の溝が設けられてもよい。また、基板Wは、パターン形状を有してもよい。この場合、基板処理装置100は、パターンの倒壊を抑制するために、リンス液を供給した後で除去液を供給することが好ましい。
【0148】
次に、図1図11を参照して、本実施形態の基板処理装置100を説明する。図11は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。図11の基板処理装置100は、除去液供給部170をさらに備える点を除いて、図8を参照して上述した基板処理装置100と同様の構成を有しており、冗長を避ける目的で重複する説明を省略する。
【0149】
図11に示すように、基板処理装置100は、除去液供給部170をさらに備える。除去液供給部170は、基板Wに除去液を供給する。除去液は、リンス液を除去するための液体である。基板Wに除去液を供給することで、リンス液は除去液に置換される。除去液は、リンス液よりも揮発性が高い液体であることが好ましい。除去液は、リンス液と相溶性を有することが好ましい。
【0150】
例えば、除去液は、有機溶剤である。有機溶剤として、IPA、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、メタノール、エタノール、アセトン、PGEE(プロピレングリコールモノエチルエーテル)およびTrans-1,2-ジクロロエチレンのうちの少なくとも1つを含む液等が挙げられる。
【0151】
除去液供給部170は、配管172と、バルブ174と、ノズル176と、移動機構178とを含む。配管172には、供給源から除去液が供給される。バルブ174は、配管172内の流路を開閉する。ノズル176は、配管172に接続される。ノズル176は、基板Wの上面Waに除去液を吐出する。ノズル176は、基板Wに対して移動可能に構成されていることが好ましい。
【0152】
典型的には、除去液供給部170が基板Wに除去液を供給する間、基板保持回転機構120は、基板Wを保持した状態で回転する。基板Wの回転により、除去液供給部170から基板Wに供給された除去液は、基板W上において径方向外側に流れる。
【0153】
移動機構178は、アーム178aと、軸部178bと、駆動部178cとを有する。移動機構178のアーム178a、軸部178bおよび駆動部178cは、移動機構138のアーム138a、軸部138bおよび駆動部138cと同様の構成を有する。このため、アーム178a、軸部178bおよび駆動部178cの詳細な説明を省略する。
【0154】
次に、図1図12を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。図12は、本実施形態の基板処理方法のフロー図である。
【0155】
図12に示すように、ステップSaにおいて、基板処理装置100に基板Wが搬入される。詳細には、基板Wはチャンバー110内に搬入される。
【0156】
ステップSbにおいて、基板処理装置100において基板Wが保持される。詳細には、チャンバー110内において基板保持回転機構120が基板Wを保持する。
【0157】
ステップScにおいて、基板処理装置100は基板Wを回転する。詳細には、チャンバー110内において基板保持回転機構120が基板Wの回転を開始する。
【0158】
ステップSdにおいて、基板処理装置100は基板Wに混合流体を供給する。詳細には、混合流体供給部160は、基板Wに混合流体を供給する。
【0159】
ステップSeにおいて、基板処理装置100は、基板Wに磁性流体を供給する。詳細には、磁性流体供給部130は、基板Wに磁性流体を供給する。
【0160】
ステップSfにおいて、基板処理装置100は、基板Wに磁力を印加する。例えば、磁力印加部150を基板Wに近づける。磁力の印加により、除去対象物は、基板Wの上面Waから脱離して磁性流体中に浮遊する。
【0161】
ステップSgにおいて、基板処理装置100は、基板Wにリンス液を供給する。詳細には、リンス液供給部140は、基板Wにリンス液を供給する。リンス液の供給により、基板W上の磁性流体および除去対象物を除去する。
【0162】
ステップShにおいて、基板処理装置100は、基板Wに除去液を供給する。詳細には、除去液供給部170は、基板Wに除去液を供給する。除去液の供給により、基板W上のリンス液は、除去液に置換される。
【0163】
ステップSiにおいて、基板処理装置100は、基板Wに対してスピンドライする。これにより、基板Wから除去液を乾燥させる。例えば、基板保持回転機構120は、基板Wの回転速度を増加する。一例では、基板保持回転機構120は、基板Wの回転速度を300rpmから1500rpmにまで増加する。
【0164】
ステップSjにおいて、基板処理装置100は、基板Wを搬出する。例えば、基板保持回転機構120は、基板Wの回転を停止し、基板Wの保持を外す。その後、センターロボットCRは、チャンバー110から基板Wを取り出される。その後、基板Wは、インデクサーロボットIRを介して基板処理システム10の外部に搬出される。
【0165】
以上のように、本実施形態によれば、基板処理装置100に搬送された基板Wから除去対象物を充分に除去できる。
【0166】
なお、上述した説明では、本実施形態の基板処理装置100は、CMP処理された後の基板Wを処理したが、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態の基板処理装置100は、CMP処理以外の処理後の基板を処理してもよい。
【0167】
例えば、本実施形態の基板処理装置100は、ドライエッチングした後の基板Wを処理してもよい。例えば、ドライエッチング後の基板Wの表層は、Low-k膜、TiN、SiO2、Si、SiN、SiC、Poly-Siから形成される。この場合も、基板Wには、基板Wの表層から除去対象物が残存することがある。除去対象物は、基板Wの表層から削られた粒子であってもよい。
【0168】
以上、図面を参照して本発明の実施形態を説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、基板処理装置および基板処理方法に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0170】
100 基板処理装置
110 チャンバー
120 基板保持回転機構
130 磁性流体供給部
140 リンス液供給部
150 磁力印加部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12