(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-07-30
(45)【発行日】2025-08-07
(54)【発明の名称】プレート熱交換器構成
(51)【国際特許分類】
F28F 3/08 20060101AFI20250731BHJP
F28D 9/02 20060101ALI20250731BHJP
F28F 9/26 20060101ALI20250731BHJP
【FI】
F28F3/08 311
F28D9/02
F28F9/26
(21)【出願番号】P 2022561160
(86)(22)【出願日】2021-03-30
(86)【国際出願番号】 FI2021050225
(87)【国際公開番号】W WO2021205064
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2024-01-22
(32)【優先日】2020-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】521116129
【氏名又は名称】ヴァハテルス オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーニッカラ、レイマ
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0129181(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0247740(US,A1)
【文献】特開2017-032250(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0114817(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03637032(EP,A1)
【文献】特表2022-503803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート熱交換器構成(1)は少なくとも
、
-第1プレートパック(2)、
及び
-第2プレートパック(3)、
であって、
前記第1プレートパック(2)及び前記第2プレートパック(3)が、少なくとも2つの開口部を有
すると共に互いに重なって配置された熱交換プレートによって形成され、前記熱交換プレートがプレートペアとして互いに取り付けられ、前記プレートペアの内側部分が、熱交換プレートの開口部によって形成された流路(2a、2b、3a、3b)を介して互いに連結して配置され、前記熱交換プレートの一次回路が、前記熱交換プレートの開口部の間に形成され
る、第1プレートパック(2)及び第2プレートパック(3)と、
-前記第1プレートパック(2)と前記第2プレートパック(3)を包囲する共通の外側ケーシング
であって、長手の円筒状のシェル(4)と、前記シェルの両端に配置された端板(5a、5b)とを備え
る、外側ケーシングと、
-前記第1プレートパック(2)の流路(2a、2b)と接続される前記第1プレートパック(2)の入口及び出口接続部(6a、6b)
と、
-前記第2プレートパック(3)の流路(3a、3b)に接続される前記第2プレートパック(3)の入口および出口接続部(7a、7b)
と、
-前記シェルの内部を流れる熱交換媒体の入口接続部(8a)および出口接続部(8b、8c)
であって、前記外側ケーシングを介して配置され、プレートパックのプレートペアの間の空間に接続して配置される、前記外側ケーシングの接続部の間に二次回路が形成され
る、入口接続部(8a)および出口接続部(8b、8c)と、
を備え、
前記第1プレートパック(2)および前記第2プレートパック(3)は、前記共通の外側ケーシングの内部で互いに隣接して配置され、前記第1プレートパック(2)は、前記熱交換プレートの外縁によって画定される径を有し、前記径は前記第2プレートパック(3)の径よりも大きく、
前記第1プレートパック(2)と前記第2プレートパック(3)との間に仕切板(9)が配置され、
前記仕切板(9)が前記第1プレートパックのサイズに少なくとも相当するサイズを有し、
前記仕切板(9)は、前記プレートパックの一側において、前記プレートパックの外面から前記シェルの内面までさらに伸びるように配置されて、前記プレート熱交換器構成のシェル側に熱交換媒体用の複数のパスを形成し、
第1および第2プレートパックは、前記シェルの内部を流れる熱交換媒体のための前記プレート熱交換器構成(1)における共通のシェル側を有
し、
単一の熱交換媒体が、前記プレート熱交換器構成(1)の前記シェル側を流れるよう構成されることを特徴とする、
プレート熱交換器構成(1)。
【請求項2】
前記プレート熱交換器構成が第3プレートパック(10)を更に備え、前記第3プレートパック(10)の径
は前記熱交換プレートの外縁によって画定され、前記径が、少なくとも前記第1プレートパック(2)の径より小さ
い、請求項
1に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項3】
前記プレート熱交換器構成が第3プレートパック(10)を更に備え、前記第3プレートパック(10)の径は前記熱交換プレートの外縁によって画定され、前記径が、前記第1プレートパック(2)及び前記第2プレートパック(3)の径よりも小さい
請求項1又は2に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項4】
前記第1プレートパック、前記第2プレートパック及び前記第3プレートパックは、同一の共通の外側ケーシングの内部で互いに隣り合って配置されていることを特徴とする、請求項
2又は3に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項5】
前記プレート熱交換器構成が、隣り合って配置された前記第3プレートパック(10)と前記プレートパックとの間に配置された第二仕切板(11)を備えることを特徴とする、請求項
2~4のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項6】
前記第1プレートパック(2)の入口及び/又は出口接続部(6a、6b)は、前記第2プレートパック(3)の外面の外側に配置され
ていることを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項7】
前記第2プレートパック(3)の入口及び/又は出口接続部(7a,7b)は、第3プレートパック(10)の外面よりも外側に配置されていることを特徴とする、
請求項2~6のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項8】
前記プレートパック(2、3、10)の入口及び出口接続部(6a、6b、7a、7b、12a、12b)が、入れ子状に配置された接続管を備え、入口接続管の外径が前記プレートパックの出口接続管及び前記流路の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のプレート熱交換器構成。
【請求項9】
同一の外側ケーシングの内部に配置され、仕切壁によって互いに分離され
た少なくとも2つのモジュールを備え、少なくとも1つのモジュールが、請求項1
~8の何れか一項に記載のプレート熱交換器構成で形成されていることを特徴とする、モジュール構造。
【請求項10】
前記モジュールの前記外側ケーシングは、前記モジュール構造の長さ内で連続していることを特徴とする、請求項
9に記載のモジュール構造。
【請求項11】
前記プレート熱交換器構成と、隣接するモジュールとの間の仕切壁が、前記プレート熱交換器構成(1)の外側ケーシングの端板(5a)であることを特徴とする、請求項
9又は10に記載のモジュール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下に示す独立請求項に係る板状熱交換器構成に関する。本発明はまた、本発明によるプレート熱交換器構成を備えるモジュール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
プレート及びシェル型プレート熱交換器は、熱交換板により形成されたプレートパックと、これを囲む外側ケーシングとから構成され、圧力容器として機能する。プレートパックは複数のプレートペアで構成されている。各プレートペアは、典型的には、少なくともそれらの外周で互いに取り付けられる2つの熱交換プレートで形成される。各熱交換プレートは、熱交換媒体の流れのために少なくとも2つの開口部を有する。隣接する2枚のプレートペアの開口部を互いに取り付けることにより、隣接するプレートペアが互いに取り付けられる。前記熱交換プレートの前記開口部により形成された流路を介して、前記プレートペアが互いに接続して配置されている内側部において、前記熱交換プレートの前記開口部の間に前記熱交換器の一次回路が形成されている。二次回路は、プレートパックを取り囲む外側ケーシングの接続部間に形成され、これらは、プレートパックのプレートペアの間の空間に関連して配置される。一次側の熱交換媒体は、1枚おきのプレート空間に流れ、二次側の熱交換媒体は、1枚おきのプレート空間に流れる。
【0003】
用途によっては、いくつかの熱交換器を必要とする場合もあるが、熱交換器の空間は限られており、熱交換器をできるだけコンパクトに配置することができれば有益である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、同一の共通外側ケーシングの内部に少なくとも2つのプレートパックを備え、かつプレートパックが共通のシェル側面を有するコンパクトなプレート熱交換器構成を提供することである。また、本発明の目的は、そのような熱交換器として使用することができるが、モジュール構造においても利用することができるプレート熱交換器構成を提供することにある。
【0005】
また、本発明の目的は、製造が容易なプレート熱交換器構造体を提供することである。
【0006】
上に提示された目的を達成するために、本発明は、独立クレームの特徴部分に示されたものを特徴とする。本発明のいくつかの好ましい実施態様について、他の請求項で説明する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による典型的なプレート熱交換器構成は、少なくとも以下を備える。
- 第1プレートパック
- 第2プレートパック
前記第1プレートパック及び第2プレートパックは熱交換プレートにより形成され、熱交換プレートは少なくとも2つの開口部を有し、互いに重なり合って配置される。前記熱交換プレートが互いに取り付けられて、プレートペアとなり、前記熱交換プレートの前記開口部により形成された流路を介してプレートペアの内側部分は互いに接続されて配置される。前記熱交換プレートの前記開口部の間に前記熱交換器の一次回路が形成される。
-共通の外側ケーシング
共通の外側ケーシングは前記第1プレートパックと前記第2プレートパックを取り囲み、前記外側ケーシングは、長手方向に延びる円筒シェル及び前記シェルの両端に配置された端板を備える。
-前記第1プレートパックの前記流路に接続される前記第1プレートパックの入口及び出口接続部
-前記第2プレートパックの前記流路に接続される前記第2プレートパックの入口及び出口接続部
-前記シェル内部を流れる熱交換媒体の入口接続部及び出口接続部
入口接続部及び出口接続部は、 前記外側ケーシングを介して配置され、二次回路が前記外側ケーシングの接続部の間に形成され、前記外側ケーシングは前記プレートパックの前記プレートペア間の空間に連絡して配置され、前記第1及び第2プレートパックは熱交換器構成において共通のシェル側を有し、前記シェルの内部を熱交換媒体が流れる。プレート熱交換器構成において、前記第1プレートパックと前記第2プレートパックとは、前記共通の外側ケーシングの内部に隣り合って配置され、前記第1プレートパックは、前記熱交換プレートの外縁によって規定される径を有しており、該径は前記第2プレートパックの径よりも大きい。
【0008】
本発明による典型的なプレート熱交換器構成では、少なくとも2つのプレートパックが異なる径を有し、径はプレートパックの熱交換プレートの外縁によって規定され、少なくとも2つのプレートパックは同じ共通の外側ケーシングの内側で互いに隣接して配置される。この構成は、外側ケーシングの同じ端板を通してプレートパックの入口及び/又は出口接続部を配置するためのより多くの空間を提供する。また、同一の外側ケーシングの内部に2つ以上のプレートパックを配置すると、熱交換器構成で共通シェル側を分割できる。これらは、複数の熱交換器に利用可能なスペースが限られていれば、有利な構成である。本発明による典型的な実施形態では、シェル側は、配置の全てのプレートパックにおいて共通である。シェル側は、複雑な構造なしに単純に構成することができ、例えば、本発明による熱交換器構成に必要な配管作業を単純化する。
【0009】
本発明による典型的なモジュール構造は、同じ外側ケーシングの内側に配置された少なくとも2つのモジュールを備え、これらのモジュールは、仕切壁によって互いに分離され、少なくとも1つのモジュールは、少なくとも2つのプレートパックを備える本発明によるプレート熱交換器構成から形成される。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、本発明に係る配置の構造は、完全に溶接されたプレートの熱交換器構成を提供し、該熱交換器構成は熱交換器の圧力気密性に影響を及ぼさない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明を、以下の添付図面を参照してより詳細に説明する。
図1 同一の共通外側ケーシングの内側に2つのプレートパックを配置した本発明の一実施例によるプレート熱交換器構成を示す。
図2 同一の共通外側ケーシングの内側に2つのプレートパックを配置した本発明の他の実施例によるプレート熱交換器構成を示す。
図3 同一の共通外側ケーシングの内側に3つのプレートパックを配置した本発明の一実施例によるプレート熱交換器構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明によるプレート熱交換器構成は、第1プレートパックと第2プレートパックの少なくとも2つのプレートパックと、それらを取り囲む外側ケーシングとを備える。外側ケーシングは、シェルと、第1の端板と、第2の端板とを備え、該端板は、シェルの端部に配置される。本発明による典型的な実施形態では、シェルは実質的に水平な円筒シェルであり、端板は垂直の端板である。外側ケーシング又は円筒シェルの長手方向とは、外側ケーシングの端板間の方向であり、典型的には、水平方向を意味する。外側ケーシングの円筒シェルが直線円筒である場合、その長手方向は、当該円筒の中心軸の方向と同じである。
【0013】
本発明に係るプレート熱交換器構成では、第1プレートパックと第2プレートパックが熱交換プレートにより形成され、熱交換プレートは少なくとも2つの開口を有し、互いに重なり合って配置される。プレートパックは、熱交換プレートの方向における端部と、熱交換プレートの外縁によって規定される外面とを備える。本発明の好ましい実施形態では、プレートパックの両端部は、別個の支持端板を備える。プレートパックは複数のプレートペアで構成される。各プレートペアは、典型的には2つの熱交換プレートで形成され、2つの熱交換プレートは少なくともそれらの外周が一緒に取り付けられる。各熱交換プレートは熱交換媒体の流れのために少なくとも2つの開口部を有する。隣接する2枚のプレートペアの開口部を互いに取り付けることにより、隣接するプレートペアが互いに取り付けられる。プレートペアの内側部分は熱交換プレートの開口部により形成される流路を介して互いに接続して配置される。プレートパックでは、熱交換媒体が開口部を介してプレートペアから別のものに流れることができる。本発明による実施形態では、熱交換プレートは典型的には円形の熱交換プレートであり、プレートパックは主に円形のシリンダ形状である。プレートパックは、例えば半円または楕円の熱交換プレートで形成することもできる。プレートパックの長手方向は、円筒シェルの長手方向と同じである。
【0014】
共通の外側ケーシングは、外側ケーシングの内側で互いに隣接して配置されたプレートパックを取り囲み、好ましくは共通の円筒シェルがプレートパックを取り囲んでいる。本発明の実施形態では、第1プレートパックと第2プレートパックとが、同じ共通の外側ケーシングの内側で互いに隣接して配置され、第1プレートパックは、熱交換プレートの外縁によって規定される径を有し、これは、第2プレートパックの径よりも大きい。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、第1プレートパックと第2プレートパックとの間に少なくとも1枚の仕切板が配置されている。本発明の一実施形態によれば、隣接するプレートパックの間に配置される仕切板を、少なくとも大径となるプレートパックの大きさに相当する大きさとした。本発明の一実施形態において、仕切板は、仕切板の一方の縁部から外装ケースの内面に仕切板が接続されるサイズを有する。隣接するプレートパック間の仕切板は、熱交換プレートの径によって規定される異なるサイズを有するプレートパックに緊密な構造を提供する。本発明の一実施形態において、プレートパックの外面からシェルの内面に向かってプレートパックの片側に仕切板が長尺状に配置されていることにより、仕切板が熱交換器の共通シェル側に熱交換媒体用の複数のパスを形成している。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、隣接するプレートパックの間に配置される仕切板は、厚さがおよそ20~100mmである。中間のプレートがプレートパックの構造を支え、耐圧性が向上する。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、プレート熱交換器構成は、第三のプレートパックを更に含み、同じ共通の外側ケーシングの内部には、第1プレートパック、第2プレートパック及び第三のプレートパックの3つのプレートパックが互いに隣接して配置されている。第3プレートパックも、第1及び第2プレートパックと同様に、少なくとも2つの開口部を有し、互いに重なり合って配置された熱交換プレートから形成される。第三のプレートパックは、熱交換プレートの方向の端部と、熱交換プレートの外縁によって規定される外面とを有し、熱交換プレート同士がプレートペアとして取り付けられ、プレートペアの内側部分が、熱交換プレートの開口によって形成された流路を介して互いに接続されて配置されている。本発明の一実施形態によれば、これらの3つのプレートパックは、同一の共通の外側ケーシングの内部で互いに隣接して配置されており、少なくとも第1プレートパックは、第2プレートパック及び第3プレートパックよりも大きい径を有している。本発明の一実施形態によれば、第三のプレートパックは、熱交換プレートの外縁によって規定される径を有し、これは、第1プレートパックの径よりも少なくとも小さい。本発明の一実施形態によれば、第三のプレートパックは、第1プレートパック及び第2プレートパックの径よりも小さい、熱交換プレートの外縁によって規定される径を有する。プレートパックは、外部ケーシングの内側に任意の順序で互いに隣接して配置することができる。本発明によれば、少なくとも1つのプレートパックは、他のプレートパックよりも大きな径を有する。本発明による実施形態では、互いに隣接して配置される全てのプレートパックは、異なる径を有する。
【0018】
プレート熱交換器構成が3つのプレートパックを備える場合、プレート熱交換器構成は、第3プレートパックとそれに隣接して配置されるプレートパックとの間に配置される第2仕切板を備えることもできる。仕切板は上述した第1及び第2プレートパックの間の仕切板と対応している。仕切板は、少なくとも大径のプレートパックのサイズに相当するサイズを有する。典型的な実施形態において、仕切板は、仕切板の一方の縁部から外装ケースの内面に仕切板が接続される大きさを有する。互いに隣接する3つのプレートパックを備える本発明の実施形態では、中間のプレートパックは仕切板の間にあり、これらの仕切板は、共通シェル側面の内側を流れる熱交換媒体のための流路を画定することもできる。すなわち、これらの仕切板は、プレートパックの外面からプレートパックの片側でシェルの内面まで伸びる。本発明の一実施形態では、シェル側面は、1つの共通の入口接続部を有し、シェル側面の出口接続部は、これらの仕切板の間の空間に配置される。
【0019】
また、本発明によるプレート熱交換器構成は、3つよりも多いプレートパックを備えることができ、少なくとも第1プレートパックは、他のプレートパックよりも大きい径を有する。本発明は、2つまたは3つの異なるサイズのプレートパックを備える上述の構成に限定されるものではない。プレート熱交換器構成は、同様の大きさを有するプレートパックを備えてもよいが、本発明は、同じ共通の外側ケーシングの内側で互いに隣接して配置された少なくとも2つの異なる大きさのプレートパックに基づいており、従って、より小さな径を有するプレートパックの入口及び出口接続部と同じ外側ケーシングの同じ端プレートに、より大きな径を有するプレートパックの入口/出口接続部を配置するためのより多くの空間を提供する。
【0020】
本発明によるプレートパックは、異なる量のプレートペアを含んでもよい。プレートパックは、用途の要件に基づいて寸法を決めることができる。
【0021】
本発明によるプレート熱交換器構成は、各プレートパックの入口接続部および出口接続部を備え、これらの接続部は、前記プレートパックの流路と接続される。このように、プレートパックの一次回路は、前記プレートパックの入口接続部と出口接続部との間に形成される。二次回路の入口接続部及び出口接続部は外側ケーシングを介して、外側ケーシングの内側と接続して、プレートペアの間の空間に配置される。典型的には、プレートパック一次回路と二次回路は互いに分離されている。すなわち、プレートパックの内側部分を流れる熱交換媒体は、外側ケーシング内を流れる熱交換媒体及び別のプレートパックの内側部分を流れる熱交換媒体と混合することができない。
【0022】
本発明のプレート熱交換器構成では、第1プレートパックの入口及び出口接続部が第1プレートパックの流路に接続するように配置されている。入口及び出口接続部は、接続管を備え、この接続管は、外側ケーシングの端板を通して配置され、プレートパックの流路と接続されている。第2プレートパックの流路と接続するように配置された第2プレートパックの入口及び出口接続部は、接続管を備え、これら接続管は、外部ケーシングの端板を介して配置され、プレートパックの流路と接続されている。これに対応して、本発明の一実施形態によれば、第三のプレートパックは入口及び出口接続部を備え、接続管を備え、この接続管は、外側ケーシングの端板を通して配置され、プレートパックの流路と接続されている。
【0023】
異なる外径を有する隣接するプレートパックは、より小さなサイズのプレートパックの入口及び出口接続部と同じ外側ケーシングの端プレートを通るように、より大きなサイズのプレートパックの入口及び/又は出口接続部を容易に配置することを可能にする。本発明の一実施形態によれば、第1プレートパックが、第2プレートパックの径よりも大きい熱交換プレートの外縁によって画定される径を有し、第1プレートパックの入口および/または出口接続部が、第2プレートパックの外面の外側に配置される。および/または第2プレートパックが、第3プレートパックの径よりも大きい熱交換プレートの外縁によって画定される径を有し、第2プレートパックの入口および/または出口接続部が、第3プレートパックの外面の外側に配置される。本発明の好ましい実施形態では、第1プレートパックの入口接続及び/又は出口接続部、並びに第2プレートパックの出口接続及び入口接続部は、同じ端板を介して配置され、第1プレートパックは、第2プレートパックの径よりも大きい熱交換プレートの外縁によって画定される径を有し、第1プレートパックの入口及び/又は出口接続は、第2プレートパックの外面の外側に配置される。また、同じ方法で、3つ以上のプレートパックを含む本発明の実施形態において、各プレートパックの入口および/または出口接続部が、好ましくは、同一の端板を通して配置される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、プレートパックの入口接続部及び出口接続部は、接続管を備え、それらは入れ子状に配置されており、入口接続管の外径は、出口接続管及びプレートパックの流路の直径よりも小さい。これにより、外側ケーシングの同じ端板を介してプレートパックの入口及び出口接続部を配置することが可能となり、よりコンパクトな構造を提供する。前記入口接続部及び出口接続部が入れ子状に配置されて前記プレートパックの一方の流路に接続されている場合には、前記プレートパックの出口接続部を介して接続管を配設して前記プレートパックの入口接続部を形成し、前記入口接続管が前記プレートパックの流路の内側を伸長し、出口接続管がプレートパックの端部に取り付けられて前記流路との接続部を形成する。
【0025】
本発明の一実施の形態によれば、プレートパックの入口接続部および出口接続部は、外側ケーシングの一の端板を介して配置することができるので、プレート熱交換器構成は、コンパクトな構造を提供する。本発明に係るこの種のプレート熱交換器構成は、開閉可能な端板構造で形成することができ、例えば洗浄のために必要な場合には、プレートパックを外部ケーシングから容易に取り外すことができる。
【0026】
本発明のプレート熱交換器構成では、シェルの内側を流れる熱交換媒体の入口接続部及び出口接続部が、外側ケーシング、典型的には外側ケーシングのシェルを通って配置される。シェル側の入口及び出口接続部は、端板を介して、又はシェルを介して、又はそれらの任意の組合せで配置することができる。本発明の好ましい実施形態において、単一の熱交換媒体は、プレート熱交換器構成のシェル側の内部、すなわちシェル側を流れ、全てのプレートパックにおいて共通である。本発明の一実施形態によれば、プレート熱交換器構成は、シェル側を流れる熱交換媒体のための1つの入口接続部と2つの出口接続部とを備え、隣接するプレートパック間の仕切板が、シェル部分を外側ケーシングの縁部において2つの別個の部分に分割する場合、各部分は、独自の出口接続部を備える。本発明に係る実施形態において、前記構成は、3つのプレートパック及び2つの仕切板を備える場合、プレート熱交換器構成は、シェル側に流れる熱交換媒体のための1つの入口接続部及び3つの出口接続部を備えることができ、該仕切板によって分割された各部分は、独自の出口接続部を備える。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、プレートパックの外面とシェルの内面との間で少なくともプレートパックの一側に別体のストッパ板が配置されて、熱交換器のシェル側に熱交換媒体用の複数のパスを形成する。本発明の一実施形態によれば、隣接するプレートパック間に配置された仕切板にストッパ板を溶接接合してもよい。一実施形態によると、ストッパ板は、熱交換プレートの方向において略平面であり、プレートパックの熱交換プレートの方向においてプレート熱交換器構造体に配置されている。
【0028】
本発明によるプレート熱交換器では、熱交換媒体は、順方向流、逆方向流または交差方向流となるように配置されてもよい。
【0029】
本発明によるプレート熱交換器構成は、例えば熱交換器自体であってもよいし、モジュール構造の一部であってもよい。
【0030】
本発明によるモジュール構造は、同一の外側ケーシングの内側に配置された少なくとも2つのモジュールを備え、これらのモジュールは、互いに仕切壁によって分離され、少なくとも1つのモジュールは、少なくとも2つのプレートパックを備える本発明によるプレート熱交換器構成から形成される。一実施形態によると、モジュールの外側ケーシングは、モジュール構造の長さにおいて連続している。モジュール構造では、プレート熱交換器構成と隣接するモジュールとの間の仕切壁が、前記プレート熱交換器構成の外側ケーシングの端板となる。本発明による構成は、熱交換媒体循環を備えた少なくとも2つのプレートパックを1つのモジュール部分の内部に配置することができるので、コンパクトなモジュール構造を提供する。これらの種類の構造は、熱交換器用途のための空間が限定されている場合に有利である。
【0031】
説明の明確化のために、異なる実施形態における対応する部品には同じ参照番号が使用される。
【0032】
図1~
図3に示すプレート熱交換器構成1は、外側ケーシングを備え、外側ケーシングは、実質的に水平な円筒シェル4と、実質的に鉛直方向の第1及び第2の端板5a、5bとで形成されている。
【0033】
図1及び
図2において、第1プレートパック2及び第2プレートパック3は、同一の共通の外側ケーシングの内側に配置されている。第1プレートパック2と第2プレートパック3は、2つの開口部を有し互いに重なり合って配置され、プレートパックにおいて熱交換プレートがプレートペアとして互いに取り付けられ、プレートペアの内側部分は、熱交換プレートの開口部により形成された流路2a,2b,3a,3bを介して互いに接続されて配置される。各プレートパックは、いくつかのプレートペアを備える。多数のプレートペアが一定ではなく、プレートパックの長手方向におけるプレートパックの長さが互いに異なる場合がある。第1プレートパック2の径は、熱交換プレートの外縁によって規定され、第2プレートパック3の径よりも大きい。
【0034】
第1プレートパック2と第2プレートパック3とは互いに隣接して配置され、プレートパック間に仕切板9が配置されている。仕切板9は、図に示すように、より大径のプレートパックの大きさより大きいサイズを有しており、仕切板の一方の縁から外装ケースの内面に仕切板が接続され、熱交換器のシェル側に熱交換媒体用の複数のパスを形成している。典型的には、仕切板9は、より大きな径を有するプレートパックの少なくとも全域に配置される。
【0035】
図1において、第1プレートパック2の入口及び出口接続部6a,6bは、外側ケーシングの異なる端板5a,5bを介して配置されている。
図1に示すように、一方の接続部6bは、第2プレートパック3の外面よりも外側に配置されているので、外部ケーシングの端板5bを介して容易に配置することができる。従って、第1プレートパック2の出口接続部6bと第2プレートパック3の入口及び出口接続部7a及び7bは、同一の端板5bを介して配置される。第1プレートパック2の入口及び出口接続部6a,6bは入れ子状に配置され、内部接続管(
図1には図示せず)の少なくとも一部は流路2b内部に伸びることができる。第1プレートパック2の熱交換媒体回路は入口及び出口接続部6a,6bの間に形成されており、流動方向はいずれであってもよい。
図1において、第2プレートパック3の熱交換媒体回路は、入口接続部7aと出口接続部7bとの間に形成されており、流動方向はいずれであってもよい。
【0036】
図2において、第1プレートパック2の入口及び出口接続部6a,6bは、同一の端板5aを介して配置されている。第2プレートパック3の入口及び出口接続部7a,7bは、外側ケーシングの他の端板5bを介して配置されている。
【0037】
図1及び
図2において、プレート熱交換器構成のシェル側は、1つの入口接続部8a及び2つの出口接続部8b、8cを備える。シェル側は、2つのパスを備え、これらのパスは、プレートパックの間に配置された仕切板9によって形成されている。
【0038】
図3に示す実施形態において、プレート熱交換器構成1は、第1プレートパック2、第2プレートパック3および第3プレートパック10の3つのプレートパックを備える。第3プレートパック10の径は、熱交換プレートの外縁によって規定され、第1プレートパック2および第2プレートパック3の径よりも小さい。第2プレートパック3の径も第1プレートパック2の径よりも小さい。プレートパック同士は、プレートパックの間に仕切板9、11を配置して分離されている。仕切板9、11は、
図3に示すように、仕切板の一方の縁部で外側ケーシングの内面まで伸び、熱交換器のシェル側で熱交換媒体用の複数のパスを形成している。仕切板9、11は、それらが接続されるより大きなサイズのプレートパックの全領域を覆う。第1プレートパック2の熱交換媒体回路は、
図1と同様の入口と出口接続部6a、6bとの間に形成されており、第2プレートパックの出口接続部7bの内側には、第2プレートパック3の入口接続部7aが配置されており、接続部7a、7bが入れ子になっており、入口接続部7aの少なくとも一部は流路3bの内側で伸びている。
図3において、第三のプレートパック10の熱交換媒体回路は入口及び出口接続部12a,12bの間に形成されており、流動方向はどちらであってもよい。入口及び出口接続部12a,12bは、第3プレートパックの流路10a,10bと接続されている。
図3において、第1プレートパック2の一方の連結部は、第2プレートパック3の外面の外側に配置されており、熱交換プレートの外縁部によって規定される第1プレートパックの径が、第2プレートパックの径よりも大きい。また、第3プレートパック10の外面よりも外側に第2プレートパック3の入出口接続部7a,7bが配置され、熱交換プレートの外縁によって規定される第2プレートパックの径が、第3プレートパックの径よりも大きい。従って、第1プレートパック2の入口又は出口接続部、第2プレートパック3の出口及び入口接続部及び第3プレートパック10の出口及び入口接続部は、外部ケーシングの同一端板5bを介して配置されている。
【0039】
図3において、プレート熱交換器構成のシェル側は、1つの入口接続部8aおよび3つの出口接続部8b、8c、8dを備える。シェル側はシェル内部を流れる熱交換媒体用の3つのパスを備え、3つのパスはプレートパック間に配置された仕切板9、11によって形成される。出口接続部8b,8c,8dは、仕切板9、11で分割されたシェル部分に接続され、各シェル部分はそれぞれ独自の出口接続部を備える。
【0040】
図において、第1プレートパック2は、プレートパックの端部に支持端板13a,13bを備え、第2プレートパック3は、支持端板14a,14bを備え、第3プレートパック10は、支持端板15a,15bを備える。
【0041】
図1~
図3に示すプレート熱交換器構成は、そのようなプレート熱交換器を形成するか、モジュール構造の一部であってもよい。モジュール構造では、
図1~
図3に示すプレート熱交換器構成は、モジュール構造の1つのモジュールであってもよく、端板5aは、当該モジュール構造と第2モジュールとの間の仕切壁を形成する。