(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-01
(45)【発行日】2025-08-12
(54)【発明の名称】車両用サンシェード
(51)【国際特許分類】
B60J 3/00 20060101AFI20250804BHJP
【FI】
B60J3/00 J
(21)【出願番号】P 2021115807
(22)【出願日】2021-07-13
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】521015855
【氏名又は名称】株式会社ユーデン
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】神田 正
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3155327(JP,U)
【文献】特開平10-287130(JP,A)
【文献】米国特許第04202396(US,A)
【文献】特開2012-240497(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0154741(US,A1)
【文献】実開昭56-004918(JP,U)
【文献】特開2015-140925(JP,A)
【文献】独国実用新案第000008804655(DE,U1)
【文献】登録実用新案第3129763(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントウインドの車内側に配置して用いられる車両用サンシェードであって、
前記フロントウインドの内側に配置され、上下方向に沿った山折り線と谷折り線とが交互に位置することで蛇腹折りされる板状の基材と、
前記フロントウインドの外側から視認可能に前記基材のおもて面に配置され、前記基材より小さいサイズに形成されたシート状の化粧シートとを備え、
前記化粧シートは、前記谷折り線を少なくとも1本含む範囲の大きさに形成されていると共に、前記基材のおもて面側に対して着脱自在に形成され
、
前記基材に前記化粧シートを装着する装着部を備え、
前記化粧シートは、装飾面が形成されたシート本体から突出し、貫通孔を有するタブ部が形成され、
前記装着部は、前記基材に形成された第1装着部と、前記第1装着部と前記タブ部の貫通孔を介して接合する第2装着部とを備えた車両用サンシェード。
【請求項2】
前記基材を嵩上げする脚部と、前記基材と前記脚部とを繋ぐ連結部とを備えた請求項1記載の車両用サンシェード。
【請求項3】
前記基材の下端部と前記脚部の上端部とに、互いを嵌合させる凹部および凸部が形成された請求項2記載の車両用サンシェード。
【請求項4】
前記連結部は、前記基材と前記脚部とのそれぞれに形成された第1連結部と、前記基材または前記脚部のいずれか一方に基端部が接続され、他方に延びて、前記第1連結部と連結するベルト状の第2連結部とを備えた請求項2または3記載の車両用サンシェード。
【請求項5】
前記タブ部には、前記第1装着部に接合する接合部が形成された請求項
1記載の車両用サンシェード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用サンシェードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用サンシェードは、自動車等の車両を屋外に駐車する際に当該車両のフロントウインドの車内側に配置されることで、フロントウインドを介して車内に進入する日射を遮熱あるいは断熱して車内の温度上昇を抑制することができる。
【0003】
また、このようなサンシェードにおいて、例えば、フロントウインドに整合する外形形状であって板状をなしており、車両内のダッシュボードの天面とサンバイザーやルームミラーとで支持することにより、フロントウインドを介して車内に進入する日射を遮熱あるいは断熱することができるとともに、前面側に図柄や文字情報が印刷されており、フロントウインドを介して外部に表示させることができるものが知られている(例えば、特許文献1-3参照)。
【0004】
特許文献1に記載の自動車用サンシェードは、矩形状で遮光性の厚紙から成り、幅方向に平行に設けられた複数の折り目を有し、アコーディオン状に折り畳み可能に構成され、おもて面に、暗闇で発光する蓄光剤により、盗難防止用の警報器の装着をアピールする表示からなる盗難防止表示が設けられたものである。
【0005】
特許文献2に記載の自動車用サンスクリーンは、自動車のフロントガラスと略同大の大形状をした板状体と、板状体の幅方向に所定間隔で縦方向に形成された複数の折畳線と、板状体のおもて面に付された所望の宣言広告表示とからなるものである。
【0006】
また、特許文献3に記載のサンシェードは、フロントガラスに向かって拡げた日傘のフロントガラス側に柔軟な装飾層が接着され、装飾層は、フック/ループ留めまたは金属スナップなどによって取り外し可能で交換可能であり、ユーザーが必要に応じて識別子、広告、またはメッセージを作成できるようにすることができるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実用新案登録第3102058号公報
【文献】実願昭62-36106号(実開昭63-142214号)のマイクロフィルム
【文献】米国特許出願公開第2018/0154741号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載の従来の車両用サンシェードでは、表面に図柄や文字情報が直接印刷されており、その表示の効果も表示された内容に限定されてしまい、他のコンテンツを表示させる場合には、別の表示内容が印刷されたサンシェードを別途用意しなければならず、多様性に欠けるという問題がある。
【0009】
特許文献3に記載のサンシェードでは、折り畳み傘のようなものに柔軟層を前面に交換可能に取付けたものなので、例えば、特許文献1,2のサンシェードに、特許文献3に記載の化粧シートを取り付けるようにすれば、柔軟層(化粧シート)に文字や絵に表示することで、様々な化粧シートに交換すれば、様々なコンテンツも表示させることが可能である。また、化粧シートを小さいサイズのものにすれば、印刷が容易であるため、コストが抑制でき、調達が容易である。
従って、化粧シートをサンシェードの大きさに対して小さいサイズに形成して、特許文献1,2の従来の車両用サンシェードに装着することが可能である。
【0010】
しかし、サンシェードは蛇腹折りされるので、化粧シートをカーシェードのいずれかの位置に装着して、サンシェードを折り畳んだ状態としても、化粧シートがサンシェードに沿って折り畳め、開けばもとの状態に拡がるようにすることが重要である。
【0011】
そこで、本発明は、基材(サンシェード)より小さいサイズの化粧シートを、蛇腹折りされる基材の所望とする箇所に装着可能とする車両用サンシェードを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の車両用サンシェードは、車両のフロントウインドの車内側に配置して用いられる車両用サンシェードであって、前記フロントウインドの内側に配置され、上下方向に沿った山折り線と谷折り線とが交互に位置することで蛇腹折りされる板状の基材と、
前記フロントウインドの外側から視認可能に前記基材のおもて面に配置され、前記基材より小さいサイズに形成されたシート状の化粧シートとを備え、前記化粧シートは、前記谷折り線を少なくとも1本含む範囲の大きさに形成されていると共に、前記基材のおもて面側に対して着脱自在に形成されたことを特徴としたものである。
【0013】
本発明の車両用サンシェードによれば、化粧シートが谷折り線を1本以上含む範囲の大きさに形成されているので、化粧シートが折り畳まれたときに、谷折り線の位置の化粧シートの張りが緩む。従って、山折り線にて基材が山折りされ、化粧シートを双方に引っ張っても、谷折り線に位置する化粧シートがずれる。そのため、基材の山折り線および谷折り線により分割されたそれぞれの部分を重ね合わせるように折り畳むことができる。
【0014】
前記基材を嵩上げする脚部と、前記基材と前記脚部とを繋ぐ連結部とを備えたものとすることができる。
基材の高さがフロントウインドの高さに対して不足しても、脚部の高さ分ほど基材を嵩上げでき、基材の高さ位置が高くなるため、本発明の車両用サンシェードをダッシュボードの天面とサンバイザーとの間に挟み込むようにして支持させることができる。
【0015】
前記基材の下端部と前記脚部の上端部とに、互いを嵌合させる凹部および凸部が形成されたものとすることができる。
脚部の凸部を、基材の凹部に嵌め込む。そうすることで、脚部が左右方向にずれることを抑止させることができる。
【0016】
前記連結部は、前記基材と前記脚部とのそれぞれに形成された第1連結部と、前記基材または前記脚部のいずれか一方に基端部が接続され、他方に延びて、前記第1連結部と連結するベルト状の第2連結部とを備えたものとすることができる。
第2連結部により第1連結部に連結することで、簡単に、かつしっかりと基材と脚部との連結することができる。
【0017】
前記基材に前記化粧シートを装着する装着部を備え、前記化粧シートは、装飾面が形成されたシート本体から突出し、貫通孔を有するタブ部が形成され、前記装着部は、前記基材に形成された第1装着部と、前記第1装着部と前記タブ部の貫通孔を介して接合する第2装着部とを備えたものとすることができる。
基材に形成された第1装着部に、第2装着部を、タブ部の貫通孔を介して接合することのより、タブ部が第1装着部と第2装着部とが挟まれた状態で固定される。そのため、タブ部のずれを抑止することができる。
【0018】
前記タブ部には、前記第1装着部に接合する接合部が形成されたものとすることができる。このように、タブ部の接合部が第1装着部に接合すると共に、第2装着部がタブ部を挟み込んで第1装着部に接合することで、簡単に、かつしっかりと基材に固定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の車両用サンシェードによれば、基材の山折り線および谷折り線により分割されたそれぞれの部分を重ね合わせるように折り畳むことができるので、基材より小さいサイズの化粧シートを、蛇腹折りされる基材の所望とする箇所に装着可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る自動車用サンシェードを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す自動車用サンシェードの化粧シートを説明するための図である。
【
図3】
図1に示す自動車用サンシェードの装着部を説明するための一部断面図である。
【
図4】
図1に示す自動車用サンシェードを蛇腹折りした状態の図である。
【
図5】本発明の実施の形態2に係る自動車用サンシェードを示す図である。
【
図6】
図5に示す自動車用サンシェードの連結部を説明するための一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1に係る車両用サンシェードの一例としての自動車用サンシェードについて、図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、自動車用サンシェードをフロントウインドに取り付けた状態を基本に、自動車用サンシェードのサンバイザー側を上、ダッシュボード側を下として、上下方向を説明する。
【0022】
図1に示す自動車用サンシェード1は、車両のフロントウインドの車内側に配置して用いられるものであり、ダッシュボードの天面に立て掛け、サンバイザーに支持させたり、図示しない吸盤によりフロントガラスに吸着させたりして設置するものである。
【0023】
自動車用サンシェード1は、基材10と、化粧シート20と、装着部30とを備えている。
基材10は、フロントウインドの内側に配置され、板状により形成されている。
基材10は、所定の厚みを有し、可撓性を有する発泡性プラスチック系断熱材の両面にそれぞれ遮熱材として機能するアルミシートが蒸着されている。基材10は、左右両側が下方に向けて幅広とされていると共に、下端縁が円弧状に形成されている。基材10の輪郭形状が、フロントウインドの輪郭に合った形状または近い形状に形成されることで、遮熱及び断熱の効果を奏している。
【0024】
なお、基材に適用可能な材料は、上述したものに限定されず、遮熱及び/又は断熱の効果を有する公知の材料のいずれも採用することができる。また、断熱材のみで構成されたものであってもよいし、遮熱材のみで構成されたものであってもよい。
また、基材10の上端縁の中央部分は、方形状の切欠き部11が形成されており、自動車用サンシェード1が設置される自動車のルームミラーによる干渉を回避している。
【0025】
基材10には、上下方向に沿った山折り線L1と谷折り線L2とが交互に形成され、蛇腹折りすることで、コンパクトに収納可能としている。本実施の形態1では、基材10では、4本の山折り線L1と3本の谷折り線L2とにより、幅方向F1(左右方向)が8つの部材に分割される。
【0026】
基材10には、化粧シート20を取り付ける位置に、装着部30を配置するための挿通溝12(
図3参照)が形成されている。
図1に示す基材10では、矩形状の化粧シート20が取り付けられる位置であり、化粧シート20の四隅となる位置に形成されている。
挿通溝12(第1挿通溝12a,第2挿通溝12b)は、一対の直線状の貫通孔が平行に形成されている(
図4参照)。
【0027】
化粧シート20は、矩形状のターポリンから形成された可撓性シート材である。化粧シート20は、基材10の高さ方向F2のほぼ中央部に装着され、幅方向F1では中央に位置する谷折り線(中央線Lc)から、左右4つ分あるうちの、2つ分ずつの部材に跨るサイズに形成されている。
【0028】
図2に示すように、化粧シート20は、広告などの装飾面が形成されたシート本体21と、基材10との取り付けに使用されるシート本体21の四隅から側方に突出したタブ部22とを備えている。
【0029】
本実施形態では、化粧シート20のシート材としてターポリンを使用しているが、ターポリンは、布や織物に塩化ビニル樹脂でコーティングされたシート材であって、物理的強度、耐水性、耐油・耐薬品性、防汚性、耐候性、耐熱性、耐久性に有利である。また、印刷した場合に色褪せし難く、また、発色性に有利であるので、高い装飾効果を持たせることが可能である。
本実施形態では、例えば、
図1に示すように、化粧シート20のおもて面(装着面)に不動産会社の広告が印刷されており、化粧シート20が取り付けられた本実施形態の自動車用サンシェード1を自動車の車内のフロントウインドに設置することで、当該不動産会社の広告宣伝機能として発揮させることができる。例えば、自動車によるルート営業において、当該自動車の駐車中に本実施形態に係る自動車用サンシェード1を用いることで、営業マンが顧客に対して営業を行っている一方で、自動車による広告宣伝が可能である。
従って、広告宣伝効果を高めることが可能となる。
【0030】
なお、化粧シート20に印刷するコンテンツとしては、会社の広告に限らず、例えば、工事作業中である旨の内容を印刷し、工事用車両のフロントウインドに設置することで、通行者等に工事作業が行われていることを注意喚起することも可能である。
また、自動車の通行帯の一部を規制して工事作業や事故処理等を行う場合に、車線規制が行われている旨等の内容を印刷して表示し、走行中の自動車の運転手に、例えば、車線変更を促すようにすることも可能である。
また、オリンピック・パラリンピックやコンサートといったイベント等の会場へ誘導する内容を印刷して案内表示をすることも可能である。
また、使用する者の好みにより、例えば、撮影した画像やイラストを印刷する等して装飾効果を高めるようにすることもできる。なお、化粧シート20のシート材として、ターポリン以外の材料を用いてもよい。また、本実施形態では、化粧シート20の表面にのみ印刷を施すようにしたが、裏面にも印刷を施して、場面に応じて化粧シート20の表裏面のいずれを表面側にするかについて選択して基材10に取り付けるようにしてもよい。
【0031】
タブ部22は、矩形状に形成されている。タブ部22は、先端部側に位置し、複数の貫通孔22aが形成された第1領域22Aと、基端側に位置し、後述する第1装着部と接合する接合部22bが形成された第2領域22Bとを備えている。
タブ部22の幅は、基材10に形成された挿通溝12に挿通可能に形成されている。
【0032】
図3に示すように、装着部30は、一対の挿通溝12に挟まれた基材10を巻くように環状に形成された第1装着部31と、第1装着部31と化粧シート20のタブ部22を介して接合する第2装着部32とを備えている。
第1装着部31と第2装着部32とは、面ファスナとすることができる。例えば、第1装着部31を雄部材または雌部材のいずれか一方の部材としたときに、第2装着部32を他方の部材とする。本実施の形態1では、第1装着部31が雌部材とし、第2装着部32が雄部材としている。従って、化粧シート20の接合部22bは、第2装着部32と同じ、他方の部材である雄部材により形成されている。
第1装着部31は、1本の雌部材を環状にして突き合わせた端面同士を接着することにより形成されている。
第2装着部32は、雄部材を略正方形状に形成したものとすることができる。
【0033】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る自動車用サンシェード1の使用状態を図面に基づいて説明する。
図1に示す自動車用サンシェード1の基材10に化粧シート20を取り付けるときには、
図3に示す一対の挿通溝12のうち、化粧シート20の中央から外側に位置する挿通溝12(
図3の例では挿通溝12b)に、タブ部22を挿入して基材10の裏面側に第1領域22Aを引き出す。
次に、第2領域22Bに形成された接合部22b(雄部材)を第1装着部31(雌部材)に接合する。そして、基材10の裏面側に引き出された第1領域22Aを第1装着部31に押し当てた状態で、タブ部22を挟み込むように第2装着部32(雄部材)を押し付ける。
そうすることで、タブ部22の第1領域22Aに形成された貫通孔22aを第2装着部32の突起が挿通して第1装着部31に絡み付くことにより接合する。
このように、第2装着部32がタブ部22を挟み込んで第1装着部31に接合することで、化粧シート20のずれを抑止することができる。
【0034】
このように、タブ部22の第2領域22Bが、タブ部22に形成された接合部22bにより、基材10に取り付けられた第1装着部31に接合すると共に、第1領域22Aが、第2装着部32により、第1領域22Aに形成された貫通孔22aを介して第1装着部31に接合する。
そのため、シート本体21から突出したタブ部22を、簡単に、かつしっかりと基材10に固定することができる。
【0035】
このような手順により、化粧シート20の4つのタブ部22を順番に基材10に取り付けることで、化粧シート20をしわが寄ったり折れができたりすることなく、ピンと張った状態で基材10に、短時間で、ずれることなく取り付けることができる。
また、装着部30が面ファスナにより形成されているため、化粧シート20を基材10から取り外すときも容易である。
【0036】
自動車を走行させるときには、自動車用サンシェード1を折り畳み収納する。
図4に示すように、自動車用サンシェード1を折り畳むときには、山折り線L1の位置を稜線に、谷折り線L2の位置を谷筋にして蛇腹折りすることで、自動車用サンシェード1をコンパクトなサイズに変形させることができる。
例えば、化粧シートが1本の山折り線だけを跨ぐ位置に配置されていると、シート本体21が山折り線L1の位置を中心として双方に引っ張られるが、シート本体21の伸長し難いため、山折り線L1の位置で基材10を折り畳むことが阻害される。
しかし、本実施の形態1に係る化粧シート20は、谷折り線L2を2本含む範囲の大きさに形成されているので、シート本体21が折り畳まれたときに、谷折り線L2の位置のシート本体21の張りが緩む。
従って、山折り線L1にて基材10が山折りされ、シート本体21を双方に引っ張っても、谷折り線L2に位置するシート本体21がずれる。そのため、基材10の山折り線L1および谷折り線L2により分割されたそれぞれの部分を重ね合わせるように折り畳むことができる。
【0037】
本実施の形態1では、基材10の中央部に化粧シート20が配置されているが、基材10より小さいサイズの化粧シート20は、自動車の前方から見て、左上であったり、右下であったり、谷折り線L2を1本以上含む範囲の化粧シート20であれば、所望とする箇所に装着することが可能である。
よって、自動車用サンシェード1は、基材10より小さいサイズの化粧シート20を蛇腹折りされる基材10の所望とする箇所に装着可能とことが可能である。
【0038】
なお、本実施の形態1では、
図3に示すように、基材10に形成された挿通溝12をタブ部22が挿通して基材10の裏面側にて第1装着部31と第2装着部32とが接合しているため、おもて面側から接合部分が視認できないので、見栄えのよいものとすることができる。
しかし、接合部分がおもて面側から視認されても問題無いのであれば、タブ部22をおもて面の面方向に延ばし、第1装着部31と第2装着部32との間で挟み込むようにして接合させてもよい。この場合、挿通溝12は省略することができる。
【0039】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る自動車用サンシェードについて、図面に基づいて説明する。なお、
図5においては、
図1から
図4と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
実施の形態2に係る自動車用サンシェードは、その高さがフロントウインドの高さより低く、ダッシュボードの天面とサンバイザーとの間で支持できない場合に、脚部により嵩上げしてダッシュボードの天面とサンバイザーとの間に挟み込むようにして支持させるものである。
【0040】
図5に示すように、自動車用サンシェード1’は、基材10’と脚部40とを繋ぐ連結部50が形成されている。
脚部40は、基材10’と連結して、自動車用サンシェード1’の高さ方向の長さを長くするものである。脚部40は、下端辺40bが、例えば円弧状に形成されている。
脚部40の上端部40tには上方に向かって突出する凸部41が形成されている。
基材10’の下端部10bには、下方に向かって開口する凹部13が形成されている。この凹部13は、脚部40の凸部41に対応した位置に形成されている。
基材10’の下端部10bに形成された凹部13と、脚部40の上端部40bに形成された凸部41とにより、互いを嵌合させる。
【0041】
連結部50は、基材10’側に形成された一方の第1連結部51aおよび脚部40側に形成された他方の第1連結部51bと、基材10’側に基端部が接続され、脚部40側に延びて、第1連結部51a,51bに連結する第2連結部52とを備えている。
【0042】
一方の第1連結部51aは、基材10’の凹部13の上方側の縁部に形成されている。また、一方の第1連結部51aは、凹部13同士の間に形成されている。
他方の第1連結部51bは、凸部41の位置と、凸部41同士の間にできた凹部の下方縁部の位置とに形成されている。第1連結部51a,51bは、例えば、
図3に示す第1装着部31と同様の構成の面ファスナとすることができる。また、第1連結部51a,51bは、基材10’に形成された一対の挿通溝12の間に巻く構成とする以外に、基材10’のおもて面に、面ファスナ片を貼り付ける構成とすることも可能である。
【0043】
第2連結部52は、ベルト状に形成された面ファスナすることができる。
第1連結部51a,51bおよび第2連結部52とのいずれかの一方の連結部を雄部材としたときには、他方の連結部を雌部材とすることができる。
【0044】
以上のように構成された本発明の実施の形態2に係る自動車用サンシェード1’の使用状態を図面に基づいて説明する。
まず、
図5に示すように、自動車用サンシェード1’をフロントウインドに装着するときに、基材10’の高さが不足して、ダッシュボードの天面に載せてもサンバイザーまでに届かず、支持させることができない場合がある。
【0045】
そうした場合に、
図5および
図6に示す脚部40を基材10’の下端部に連結する。
脚部40を基材10’の下端部に連結するときには、まず、脚部40の凸部41を、基材10’の凹部13に嵌め込む。そうすることで、脚部40が幅方向F1(左右方向)にずれることを抑止させることができる。
次に、ベルト状に形成された第2連結部52の先端部を脚部40側に延ばす。そして、第2連結部52を一方の第1連結部51aと他方の第1連結部51bとに押さえ付けることで連結させる。第2連結部52と第1連結部51a,51bとを簡単に、かつしっかりと連結することができるので、フロントウインドに嵌め込むときに脚部40が外れたり、ずれたりすることを防止することができる。
【0046】
このようにして、脚部40の高さ分ほど基材10’を嵩上げでき、基材10’の高さ位置が高くなるため、自動車用サンシェード1’をダッシュボードの天面とサンバイザーとの間に挟み込むようにして支持させることができる。
【0047】
脚部40の高さ方向の長さは、基材10’の高さと車種によって適宜決定することができる。このように、脚部40によって高さの調整が可能なので、基材10’を一種類だけ作製しておけば、複数種類の脚部40を用意することで、様々な車種に適用させることが可能である。
【0048】
なお、本実施の形態2では、基材10’側を凹部13とし、脚部40側を凸部41としたが、反対に、基材10’側を凸部とし、脚部40側を凹部としてもよい。
また、第2連結部52が、基材10’側に基端部が接続され、脚部40側に延びるように形成されていたが、反対に、脚部40側に基端部が接続され、基材10’側に延びるように形成されていてもよい。
【0049】
以上、本実施の形態1,2を説明した。なお、本実施形態によれば、化粧シート20がターポリンであるので、耐久性等に優れるとともに、発色性がよく、高い装飾効果を持たせることができるようになる。
【0050】
また、本実施の形態では、固定バンドとして面ファスナユニットを適用したが、これに限らず、他のものを採用してもよく、例えば、帯状の紐やゴムバンド等を適用してもよい。この場合、例えば、着脱自在な接合手段としてスナップボタンやフック等により係止することで接合手段を実現するようにしてもよい。また、一端が基材に対して固着され、他端が着脱自在に構成されてもよい。
【0051】
本実施の形態では、自動車のフロントウインドに設置した態様を例に説明したが、自動車以外の車両に適用してもよく、例えば、作業車両、重機、バス、あるいは、鉄道等、あらゆる車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1,1’ 自動車用サンシェード(車両用サンシェード)
10,10’ 基材
10b 下端部
11 切欠き部
12 挿通溝
12a 第1挿通溝
12b 第2挿通溝
13 凹部
20 化粧シート
21 シート本体
22 タブ部
22a 貫通孔
22b 接合部
22A 第1領域
22B 第2領域
30 装着部
31 第1装着部
32 第2装着部
40 脚部
40t 上端部
40b 下端辺
41 凸部
L1 山折り線
L2 谷折り線
Lc 中央線
F1 幅方向
F2 高さ方向