(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-01
(45)【発行日】2025-08-12
(54)【発明の名称】情報処理システム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/063 20230101AFI20250804BHJP
G06Q 10/1091 20230101ALI20250804BHJP
【FI】
G06Q10/063
G06Q10/1091
(21)【出願番号】P 2025074584
(22)【出願日】2025-04-28
【審査請求日】2025-04-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520408744
【氏名又は名称】株式会社I’mbesideyou
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】One ip弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】神谷 渉三
(72)【発明者】
【氏名】安藤 高太朗
【審査官】北村 みのり
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-146914(JP,A)
【文献】特開2013-110481(JP,A)
【文献】特開2023-076391(JP,A)
【文献】特開2021-111104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、前記クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続され、
前記第1の管理システムから前記クライアントごとの前記予定を取得し、前記第2の管理システムから前記予定に対応する前記通話履歴を取得する情報取得部と、
取得した前記通話履歴に、通話の内容に関する情報が含まれていないことを確認する確認部と、
取得した前記クライアント
ごとの前記予定
に対応付けて、前記通話履歴を表示する表示部と、
を備え
、
前記確認部は、前記通話履歴及び前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定する指示を含むプロンプトを大規模言語モデルに与えて、前記通話履歴に前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記通話履歴には、通話の開始時及び終了時、ならびに前記通話に応対した担当者を識別する担当者識別情報が含まれ、
前記表示部は、
取得した前記クライアント
ごとの前記予定
に対応付けて、
対応する前記通話履歴に含まれる、前記通話の前記開始時及び前記終了時ならびに前記担当者識別情報に基づく前記担当者を表す情報を表示すること、
を特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、前記クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続されたコンピュータが、
前記第1の管理システムから前記クライアントごとの前記予定を取得するステップと、
前記第2の管理システムから前記予定に対応する前記通話履歴を取得するステップと、
取得した前記通話履歴に、通話の内容に関する情報が含まれていないことを確認するステップと、
前記クライアント及び前記予定ごとに、前記通話履歴を表示するステップと、
を実行
し、
前記確認するステップにおいて、前記通話履歴及び前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定する指示を含むプロンプトを大規模言語モデルに与えて、前記通話履歴に前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定することを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、医療画像および関連文書から保護健康情報(PHI)を編集する医療情報システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療サービス提供者は、通常、クライアントのスケジュール管理と詳細なコミュニケーション情報の記録のために別々のシステムを使用している。この分離は機密性の高い患者データを保護するのに役立つが、スタッフがクライアントとのやり取りを追跡するために複数のシステムを切り替える必要があるため、運用上の非効率を生じさせる。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、効率的に医療機関のデータを集約することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、情報処理システムであって、クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、前記クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続され、前記第1の管理システムから前記クライアントごとの前記予定を取得し、前記第2の管理システムから前記予定に対応する前記通話履歴を取得する情報取得部と、前記クライアント及び前記予定ごとに、前記通話履歴を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効率的に医療機関のデータを集約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る管理サーバのソフトウェア構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る情報処理システムによって実行される処理フローを示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態に係る情報処理システムの典型的な動作中のコンポーネント間の相互作用を示すシーケンス図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る管理サーバの記憶部に格納されるデータ構造およびデータエンティティ間の関係を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係るクライアント通信履歴を表示するユーザインターフェース例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る大規模言語モデルを使用した検証プロセスを示すフローチャートである。
【
図9】本発明の変形例に係るルールベースフィルタリングを使用した代替検証プロセスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<システムの概要>
【0011】
本実施形態に係る情報処理システムは、ヘルスケアサービス提供者、特にメンタルヘルスクリニックのためのシステムである。本実施形態の情報処理システムは、これらのクリニックで使用される複数の管理システムと接続される。
【0012】
メンタルヘルスクリニックは、通常、異なる運用機能に対して別々のシステムを使用している。一方のシステムは予約スケジュールとクライアント獲得を管理し、もう一方のシステムは保護健康情報(PHI)を含む可能性のある詳細なコミュニケーションデータを記録する。
【0013】
本実施形態の情報処理システムは、これらの異なる管理システムに接続する。システムは、SFA管理システム3(営業支援自動化)からスケジュールデータを取得し、PHI管理システム4(保護健康情報)から対応する通話履歴メタデータを取得する。システムはその後、保護健康情報を公開することなく、これらの情報を関連付けて表示する。
【0014】
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの全体構成を示す図である。情報処理システムは、管理サーバ2を含む。管理サーバ2は、ユーザ端末1と通信ネットワークを介して通信可能に接続される。通信ネットワークは、例えばインターネットであり、公衆電話回線網や携帯電話回線網、無線通信路、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
【0015】
ユーザ端末1は、ユーザが操作するコンピュータである。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータなどとすることができる。
【0016】
管理サーバ2は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。管理サーバ2は、本発明の情報処理システムに関連する様々な処理を実行する。
【0017】
管理サーバ2は、クライアントとのコミュニケーションスケジュールを管理するSFA管理システム3と、クライアントとの通話履歴を管理するPHI管理システム4に接続される。管理サーバ2とこれらの管理システムとの接続は、管理サーバ2とユーザ端末1を接続するのと同じ通信ネットワークを介して実装されてもよいし、あるいは専用の別ネットワークを介して実装されてもよい。
【0018】
<管理サーバ>
図2は、管理サーバ2のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ2は、CPU201、メモリ202、記憶装置203、通信インタフェース204、入力装置205、出力装置206を備える。
【0019】
記憶装置203は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース204は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。
【0020】
入力装置205は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置206は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0021】
後述する管理サーバ2の各機能部はCPU201が記憶装置203に記憶されているプログラムをメモリ202に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ2の各記憶部はメモリ202及び記憶装置203が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0022】
図3は、管理サーバ2のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ2は、情報取得部211、データ処理部212、表示制御部213、検証部214、通信部215、および記憶部231を備える。
【0023】
情報取得部211は、SFA管理システム3からスケジュールデータを取得し、PHI管理システム4から通話履歴データを取得するように構成されている。データ処理部212は、取得したデータを処理し関連付ける。表示制御部213は、ユーザ端末1上の情報表示を制御する。検証部214は、表示されるデータに保護健康情報が含まれていないことを検証する。通信部215は、ユーザ端末1、SFA管理システム3、およびPHI管理システム4との通信を処理する。記憶部231は、情報処理システムの動作に必要なデータを格納する。
【0024】
<記憶部231>
記憶部231は、管理サーバ2の記憶装置203に実装される。記憶部231は、情報処理システムの動作に必要な様々なデータを格納する。具体的には、記憶部231は、クライアント情報、SFA管理システム3から取得したスケジュール情報、PHI管理システム4から取得した通話履歴情報、およびスケジュール情報と通話履歴情報を関連付ける相関情報を格納することができる。
【0025】
クライアント情報には、クライアント識別子、クライアント名、およびクライアントに関するその他の基本情報が含まれる場合がある。スケジュール情報には、予約時間、予定された通話時間、および予定されたコミュニケーションの目的など、クライアントとの予定されたコミュニケーションイベントが含まれる場合がある。通話履歴情報には、通話の開始時間と終了時間、スタッフ識別情報などの通話に関するメタデータが含まれるが、通話の実際の内容や保護健康情報は含まれない。
【0026】
<データ構造>
図6は、管理サーバ2の記憶部231に格納される異なる種類のデータ間の関係を示すデータ構造図である。
図6に示されるように、クライアント情報にはクライアントID、クライアント名、および連絡先情報が含まれる。スケジュール情報にはスケジュールID、クライアント情報を参照する外部キーとしてのクライアントID、予定時間、目的、スタッフID、およびステータスが含まれる。通話履歴情報には、通話ID、スケジュール情報を参照する外部キーとしてのスケジュールID、クライアント情報を参照する外部キーとしてのクライアントID、スタッフID、開始時間、終了時間、通話タイプ、通話ステータス、およびセッションステータスが含まれる。
図6に示されるように、クライアント情報とスケジュール情報の間には一対多の関係があり、一人のクライアントが複数のスケジュールを持つことができる。同様に、スケジュール情報と通話履歴情報の間にも一対多の関係があり、一つのスケジュールに対して複数の通話履歴が関連付けられる場合がある。
【0027】
<情報取得部211>
情報取得部211は、CPU201が記憶装置203に格納されたプログラムを実行することにより実現される。情報取得部211は、SFA管理システム3とPHI管理システム4の両方からデータを取得するように構成されている。
【0028】
具体的には、情報取得部211は、SFA管理システム3から各クライアントのスケジュール情報を取得する。このスケジュール情報には、予約、予定された通話、およびこれらのコミュニケーションの目的など、クライアントとの計画されたコミュニケーションに関するデータが含まれる。情報取得部211はまた、PHI管理システム4からスケジュールに対応する通話履歴情報を取得する。この通話履歴情報には、以下のようなコミュニケーションに関する包括的なメタデータが含まれる。
【0029】
・通話の開始時間および終了時間
・スタッフ識別情報
・スタッフまたはクライアントが通話に応答したかどうか
・スタッフまたはクライアントが通話を終了したかどうか
・残されたボイスメールの記録
・セラピーセッションの開始時間および終了時間
・セラピーセッションが正常に終了したかどうか
【0030】
通話履歴情報には、通話、ボイスメール、またはセラピーセッションの実際の内容、およびその他の保護健康情報は含まれない。
【0031】
情報取得部211は、通信インタフェース204を介して適切な通信プロトコルを使用して両方の管理システムとの接続を確立することができる。取得された情報は、さらに処理するために記憶部231に格納される。
【0032】
<データ処理部212>
データ処理部212は、CPU201が記憶装置203に格納されたプログラムを実行することにより実現される。データ処理部212は、情報取得部211によって取得された情報を処理するように構成されている。
【0033】
具体的には、データ処理部212は、SFA管理システム3から取得したスケジュール情報と、PHI管理システム4から取得した通話履歴情報を関連付ける。この関連付けは、クライアント識別子、時間情報、スタッフ識別子、または特定の通話履歴イベントと特定の予定されたコミュニケーションを関連付けることができる他の適切なパラメータに基づいて実行される。
【0034】
データ処理部212は、関連付けられた情報を表示に適した構造化された形式に整理する。これには、情報を時系列に配置したり、クライアント別、スタッフメンバー別、またはコミュニケーションイベント別にグループ化したりすることが含まれる。データ処理部212はまた、取得したデータに誤って含まれた可能性のある保護健康情報を除外するために情報をフィルタリングする場合もある。
【0035】
処理された情報は記憶部231に格納され、表示制御部213がユーザに提示できるようになる。
【0036】
<表示制御部213>
表示制御部213は、CPU201が記憶装置203に格納されたプログラムを実行することにより実現される。表示制御部213は、データ処理部212によって処理された情報をユーザ端末1上に表示するように構成されている。
【0037】
具体的には、表示制御部213は、各クライアントおよび各スケジュールに関連付けられた通話履歴を表示するためのユーザインターフェース要素を生成する。表示には、クライアント識別情報、コミュニケーションを処理したスタッフの識別情報、通話の開始時間と終了時間、セッションの開始時間と終了時間、およびコミュニケーションに関するその他の関連メタデータが含まれる。表示制御部213は、情報が時系列リストやテーブル形式など、明確で整理された方法で提示されるようにする。
【0038】
表示制御部213は、ユーザがクライアント別、日付範囲別、スタッフメンバー別、またはコミュニケーションタイプ別など、様々なパラメータに従って表示される情報をフィルタリングまたは並べ替えることを可能にする場合がある。表示制御部213はまた、不在着信、ボイスメール、または異常終了したセッションなどの重要な情報を強調するための視覚的インジケータを提供する場合もある。
【0039】
表示制御部213は、生成された表示情報を通信部215を介してユーザ端末1に送信する。
【0040】
<ユーザインターフェース例>
図7は、ユーザ端末1に表示される可能性のあるクライアント通信履歴のユーザインターフェース例を示す図である。このインターフェースには、クライアントID、クライアント名、および連絡先情報などのクライアント識別情報を示すヘッダー部分が含まれる。このヘッダーの下には、コミュニケーションイベントの時系列が表示される。
【0041】
各イベントには、予約済み面談の目的、担当スタッフ、およびステータスなどの詳細情報が含まれる。各イベント内には、通話履歴セクションがあり、電話がかけられた時間、応答された時間、または終了した時間のタイムスタンプを含む、発生したコミュニケーション活動の順序が表示される。また、ボイスメールの記録やセッションの日程変更に関する情報も含まれる。
【0042】
このインターフェースは、保護健康情報を表示することなく、各クライアントおよび各スケジュール済みイベントの通信履歴をユーザが迅速に理解できるように、情報を明確な階層構造で整理する。ステータスなどの重要な情報は、完了や日程変更などの状態を視覚的に区別するために異なる色で表示される場合がある。
【0043】
<検証部214>
検証部214は、CPU201が記憶装置203に格納されたプログラムを実行することにより実現される。検証部214は、取得した通話履歴に通話内容や他の保護健康情報に関する情報が含まれていないことを検証するように構成されている。
【0044】
具体的には、検証部214は、PHI管理システム4から取得したデータをユーザに表示する前に分析する。検証部214は、パターンマッチング、キーワードフィルタリング、または他の分析技術を使用して、表示すべきでない機密情報を特定しフィルタリングする場合がある。請求項4に記載されているように、一部の実装では、検証部214は、通話履歴に通話内容やその他の保護健康情報に関する情報が含まれているかどうかを判断するための指示を含むプロンプトを提供することにより、大規模言語モデルを利用する場合がある。
【0045】
検証部214は、疑わしいコンテンツに手動レビューのためのフラグを立てたり、保護健康情報を含むと思われる情報を自動的に編集したりする場合がある。保護健康情報が検出された場合、検証部214はその情報の表示を防止したり、プライバシー上の懸念により一部の情報が非表示にされたことを示す通知に置き換えたりする場合がある。
【0046】
<検証プロセスフロー>
図8は、表示されるデータに保護健康情報が含まれていないことを確認するために検証部214によって実行される検証プロセスの詳細なフローチャートである。プロセスは検証のための関連付けられたデータを受信することから始まり(S104-1)、次にデータフィールドからテキスト内容を抽出する(S104-2)。検証部は大規模言語モデル用のプロンプトを準備し(S104-3)、このプロンプトを大規模言語モデルに送信する(S104-4)。
【0047】
大規模言語モデルは、内容に保護健康情報が含まれているかどうかを分析する(S104-5)。保護健康情報が検出された場合、内容にレビュー用のフラグが付けられ(S104-6)、保護健康情報が削除される(S104-7)。保護健康情報が検出されなかった場合、内容は表示のために承認される(S104-8)。最後に、検証済みデータが返送され(S104-9)、ユーザ端末に表示される。
【0048】
<通信部215>
通信部215は、CPU201が記憶装置203に格納されたプログラムを実行することにより実現される。通信部215は、管理サーバ2と他のシステム(ユーザ端末1、SFA管理システム3、およびPHI管理システム4を含む)との間の通信を処理するように構成されている。
【0049】
具体的には、通信部215は、通信インタフェース204を介してこれらのシステムとのネットワーク接続を確立および維持する。通信部215は、情報交換を可能にするための適切な通信プロトコルとデータ形式を実装する。情報取得部211がSFA管理システム3またはPHI管理システム4からデータを取得する必要がある場合、通信部215を通じて行う。同様に、表示制御部213がユーザ端末1に表示情報を送信する必要がある場合も、通信部215を通じて行う。
【0050】
通信部215はまた、これらの通信の認証とセキュリティ対策も処理する場合がある。例えば、安全な接続プロトコル、暗号化、およびアクセス制御メカニズムを実装して、機密情報が転送中に保護されるようにする。
【0051】
<処理フロー>
図4は、本発明の実施形態に係る情報処理システムによって実行される処理の例を示すフローチャートである。
【0052】
まず、情報取得部211は、SFA管理システム3から各クライアントのスケジュール情報を取得する(S101)。このスケジュール情報には、予約や予定された通話など、クライアントとの計画されたコミュニケーションに関するデータが含まれる。
【0053】
次に、情報取得部211は、PHI管理システム4からスケジュールに対応する通話履歴情報を取得する(S102)。この通話履歴情報には、通話の開始時間と終了時間、通話が応答されたかどうか、およびセラピーセッションのタイミングなど、コミュニケーションに関するメタデータが含まれる。
【0054】
次に、データ処理部212は、取得したスケジュール情報と取得した通話履歴情報を関連付ける(S103)。この関連付けは、クライアント識別子、時間情報、およびその他の適切なパラメータに基づいて実行される。
【0055】
検証部214は、関連付けられた情報に保護健康情報が含まれていないことを検証する(S104)。これには、パターンマッチング、キーワードフィルタリング、または大規模言語モデルを使用したデータ分析が含まれる場合がある。
【0056】
最後に、表示制御部213は、検証済みの関連付けられた情報を各クライアントおよび各スケジュールごとにユーザ端末1に表示する(S105)。表示される情報には、クライアント識別情報、スタッフ識別情報、および保護健康情報を含まないコミュニケーションメタデータが含まれる。
【0057】
<シーケンス図>
図5は、本発明の実施形態に係る情報処理システムの典型的な動作中におけるユーザ端末1、管理サーバ2、SFA管理システム3、およびPHI管理システム4の間の相互作用を示すシーケンス図である。
図5に示されるように、ユーザがユーザ端末1を介してクライアント通信履歴を要求すると、このリクエストは管理サーバ2に送信される。次に、管理サーバ2はSFA管理システム3にスケジュール情報を要求し、SFA管理システム3は要求されたスケジュール情報を返信する。続いて、管理サーバ2はPHI管理システム4に通話履歴情報を要求し、PHI管理システム4は要求された通話履歴情報を返信する。管理サーバ2はこの情報を関連付けて検証した後、処理済みの情報をユーザ端末1に送信してユーザに表示する。
【0058】
図5に示すシーケンス図の各ステップについて詳細に説明する。
【0059】
まず、ユーザはユーザ端末1を操作してクライアント通信履歴の表示を要求する。この要求は、例えばユーザがユーザ端末1上で表示されるユーザインターフェースの特定のボタンをクリックすることや、特定のクライアントを選択することによって行われる。
【0060】
次に、ユーザ端末1は、このユーザからの要求に基づいて、クライアント通信履歴のデータを要求するリクエストを生成し、通信ネットワークを介して管理サーバ2に送信する。このリクエストには、取得すべきクライアントの識別情報や、取得すべき期間などの情報が含まれる場合がある。
【0061】
管理サーバ2は、ユーザ端末1からのリクエストを受信すると、情報取得部211を用いて、まずSFA管理システム3にスケジュール情報を要求する。この要求には、対象となるクライアントの識別子や対象期間などが含まれる。
【0062】
SFA管理システム3は、管理サーバ2からの要求に応じて、該当するクライアントのスケジュール情報を検索し、見つかったスケジュール情報を管理サーバ2に返信する。返信されるスケジュール情報には、予約時間、予定された通話時間、通話の目的、担当スタッフなどの情報が含まれる。
【0063】
続いて、管理サーバ2は、情報取得部211を用いて、PHI管理システム4に通話履歴情報を要求する。この要求には、SFA管理システム3から取得したスケジュール情報に対応する識別子や時間情報などが含まれる。
【0064】
PHI管理システム4は、管理サーバ2からの要求に応じて、該当する通話履歴情報を検索し、見つかった通話履歴情報を管理サーバ2に返信する。返信される通話履歴情報には、通話の開始・終了時間、通話に応対した担当者の識別情報、通話の状態(応答された、応答されなかったなど)、ボイスメールの有無、セッションの状態などが含まれるが、通話の内容や診断結果などの保護健康情報は含まれない。
【0065】
管理サーバ2は、SFA管理システム3およびPHI管理システム4から受信した情報について、データ処理部212を用いて関連付け処理を行い、さらに検証部214を用いて保護健康情報が含まれていないことを検証する。
【0066】
最後に、管理サーバ2は、関連付けおよび検証が完了した情報を、表示制御部213および通信部215を用いてユーザ端末1に送信する。ユーザ端末1は受信した情報を画面に表示し、ユーザに提示する。
【0067】
上述したように、本実施形態の情報処理システムは、複数の利点を提供する。本システムは、保護健康情報を公開することなく、別々の管理システムに格納されているクライアントのコミュニケーションスケジュールと履歴の統合的な閲覧を可能にする。これにより、クリニックのスタッフは、ヘルスケアプライバシー規制を遵守しながら、複数のプラットフォーム間でクライアントとの対話を効率的に監視することができる。
【0068】
また、本システムにより、クリニックのスタッフは、複数のシステムに個別にアクセスする必要なく、予定されたコミュニケーションが適切に実行されたかどうかを迅速に確認することができる。検証コンポーネントにより、機密情報が自動的にフィルタリングされ、保護健康情報の誤った公開のリスクが低減される。
【0069】
さらに、コミュニケーションメタデータを時系列で整理された方法で表示することにより、本システムは、不在着信や異常終了したセッションなどのコミュニケーション上の問題を迅速に特定して対処することを可能にし、すべてのクライアントとの対話の明確な記録を維持しながら、運用効率を向上させる。
【0070】
以上、本発明を特定の実施形態を参照して説明してきたが、上記の詳細な説明は、本発明の範囲を限定するためのものではない。本発明の趣旨を逸脱することなく、様々な修正、変更、および改良が可能であり、本発明にはその等価物も含まれる。記載された実施形態は、本発明の技術的側面の理解を容易にするために提供されたものであり、本発明は実施形態の説明によってではなく、添付の請求項およびそれらの法的等価物によって定義される。請求項の意味および均等の範囲内に含まれるすべての修正、変更、および改良が本発明の範囲内にあることが意図されている。
【0071】
上述した管理サーバ2の各機能部による処理は、いずれの機能部により実行されるようにしてもよい。また、上述した各機能部の処理の一部を実行する異なる機能部を追加するようにしてもよい。さらに、管理サーバ2の機能部は、複数台のコンピュータが分散して備えるようにしてもよい。
【0072】
同様に、管理サーバ2の記憶部231が記憶する情報は、様々な方法で編成することができる。例えば、記憶部231に格納されると説明した情報を、複数の異なる記憶部に分割して格納してもよい。逆に、説明した実施形態では複数の記憶部に格納される可能性のある情報を、単一の記憶部に統合してもよい。他の変形例では、記憶部231に格納される特定の情報を、一部他の記憶部に分散して格納してもよい。
【0073】
これらの実装の変形例は、添付の請求項によって定義される本発明の趣旨および範囲から逸脱するものではない。
【0074】
<変形例1:代替検証方法>
【0075】
上述した実施形態では、表示するデータに保護健康情報が含まれていないことを検証するために大規模言語モデルを使用する例を示したが、この検証プロセスは、大規模言語モデルの代わりにルールベースのフィルタリングやパターンマッチング技術を使用して実装することもできる。
【0076】
図9は、本発明の変形例によるルールベースのフィルタリングを使用した検証プロセスを示すフローチャートである。この変形例では、検証部214は保護健康情報を特徴付ける事前定義されたルールとパターンのデータベースを保持する。これらのルールには、社会保障番号、医療記録番号、特定の医療用語、診断コード、症状や治療の説明など、保護健康情報の一般的な形式を識別するための正規表現が含まれる場合がある。
【0077】
検証プロセスは、検証のための関連付けられたデータの受信から始まる(S201)。次に、検証部214はデータに一連のルールを適用する(S202)。データの各フィールドについて、検証部214は内容を事前定義されたパターンと比較する(S203)。一致が見つかった場合(S204)、一致した内容にフラグが付けられ(S205)、削除または編集される(S206)。一致が見つからなかった場合、内容は表示のために承認される(S207)。その後、検証部214は検証済みデータを返送する(S208)。
【0078】
このルールベースのアプローチは、保護健康情報の種類が明確に定義されていて一貫している状況で有利である場合がある。ルールパターンは特定のヘルスケア領域に合わせて調整でき、必要に応じて更新できる。さらに、ルールベースの検証は大規模言語モデルを使用するよりも計算リソースが少なくて済む可能性があり、リソースが制約された環境でシステムのパフォーマンスを改善する可能性がある。
【0079】
<開示事項>
なお、本開示には、以下のような構成も含まれる。
[項目1]
クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、前記クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続され、
前記第1の管理システムから前記クライアントごとの前記予定を取得し、前記第2の管理システムから前記予定に対応する前記通話履歴を取得する情報取得部と、
前記クライアント及び前記予定ごとに、前記通話履歴を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
[項目2]
項目1に記載の情報処理システムであって、
前記通話履歴には、通話の開始時及び終了時、ならびに前記通話に応対した担当者を識別する担当者識別情報が含まれ、
前記表示部は、前記クライアント及び前記予定ごとに、前記通話の前記開始時及び前記終了時ならびに前記担当者識別情報に基づく前記担当者を表す情報を表示すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目3]
項目1に記載の情報処理システムであって、
取得した前記通話履歴に、前記通話の内容に関する情報が含まれていないことを確認する確認部を備えること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目4]
項目3に記載の情報処理システムであって、
前記確認部は、前記通話履歴及び前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定する指示を含むプロンプトを大規模言語モデルに与えて、前記通話履歴に前記通話の内容に関する情報が含まれているか否かを判定すること、
を特徴とする情報処理システム。
[項目5]
クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、前記クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続されたコンピュータが、
前記第1の管理システムから前記クライアントごとの前記予定を取得するステップと、
前記第2の管理システムから前記予定に対応する前記通話履歴を取得するステップと、
前記クライアント及び前記予定ごとに、前記通話履歴を表示するステップと、
を実行することを特徴とする情報処理方法。
【符号の説明】
【0080】
1 ユーザ端末
2 管理サーバ
【要約】
【課題】効率的に医療機関のデータを集約することができる。
【解決手段】情報処理システムであって、クライアントとのコミュニケーションの予定を管理する第1の管理システムと、クライアントとの通話履歴を管理する第2の管理システムとに接続され、第1の管理システムからクライアントごとの予定を取得し、第2の管理システムから予定に対応する通話履歴を取得する情報取得部と、クライアント及び予定ごとに、通話履歴を表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図1