(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-01
(45)【発行日】2025-08-12
(54)【発明の名称】監視システム、監視方法及び監視プログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20250804BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
(21)【出願番号】P 2025105944
(22)【出願日】2025-06-23
【審査請求日】2025-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2024231010
(32)【優先日】2024-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519443505
【氏名又は名称】株式会社LEAP
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴村 英準
(72)【発明者】
【氏名】西郷 智純
(72)【発明者】
【氏名】作間 正雄
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-22167(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112751430(CN,A)
【文献】中国実用新案第202502591(CN,U)
【文献】中国実用新案第206021478(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B13/00-15/02
19/00-31/00
H03J9/00-9/06
H04Q9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設管に挿通されたケーブルの監視システムであって、
前記監視システムは、前記ケーブルに所定間隔で設置され、バス型またはスター型のネットワークを構成する複数の追跡装置と、前記ネットワークの根に位置する監視装置と、を備え、
前記追跡装置は、
λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数を有し、無指向性の電波を放射するアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して他の前記追跡装置から識別情報を受信し、受信した当該識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー通信を行うリレー通信部と、を備え、
前記監視装置は、
前記リレー通信によって取得した前記識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する生成部を備える、
監視システム。
【請求項2】
前記アンテナ部は、円偏波を放射する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記追跡装置は、
振動センサーを有し、当該振動センサーが一定時間振動を検出しない場合に自由空間モードからスリープモードに遷移させ、当該振動センサーが振動を検出した場合に当該スリープモードから当該自由空間モードに遷移させるモード切替部を備え、
前記リレー通信部は、前記自由空間モードにおいて一定間隔毎に自機の識別情報を送信し、更に、前記スリープモードにおいて当該自由空間モードにおける送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、少なくとも当該スリープモードにおいて前記リレー通信を行う、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記スリープモードは、少なくとも第1段階のスリープモードと第2段階のスリープモードを有し、
前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記第1段階のスリープモードから前記第2段階のスリープモードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記第2段階のスリープモードにおいて前記第1段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信する、
請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記スリープモードから水没モードに遷移させ、前記振動センサーが振動を検出した場合に当該水没モードから前記自由空間モードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記水没モードにおいて前記スリープモードにおける識別情報の送信よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記リレー通信を行わない、
請求項3に記載の監視システム。
【請求項6】
前記スリープモードは、少なくとも第1段階のスリープモードと第2段階のスリープモードを有し、
前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記スリープモードから水没モードに遷移させ、前記振動センサーが振動を検出した場合に当該水没モードから前記自由空間モードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記第2段階のスリープモードにおいて前記第1段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記スリープモードにおける識別情報の送信よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記リレー通信を行わない、
請求項3に記載の監視システム。
【請求項7】
前記リレー通信部は、自機の識別情報および他の前記追跡装置から受信した識別情報を送信する際に何度目のリレー通信であるかを判定可能なリレーカウント情報を共に送信し、
前記生成部は、前記識別情報および前記リレーカウント情報に基づいて前記追跡装置の設置順序を含むネットワーク構成を生成する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項8】
前記アンテナ部は、2つの給電点に相対的に90度の位相差を持つ信号を入力する構成、または、略矩形状のパッチの対角線方向に対向する2つの角を切り取った構成、を有する、
請求項1に記載の監視システム。
【請求項9】
埋設管に挿通されたケーブルの監視システムが実行する監視方法であって、
前記監視システムは、前記ケーブルに所定間隔で設置され、バス型またはスター型のネットワークを構成する複数の追跡装置と、前記ネットワークの根に位置する監視装置と、を備え、
前記追跡装置が、
λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数で、無指向性の電波を放射する放射工程と、
他の前記追跡装置から識別情報を受信し、受信した当該識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー通信を行うリレー通信工程と、を有し、
前記監視装置が、
前記リレー通信によって取得した前記識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する生成工程を有する、
監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視システム、監視方法及び監視プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電における太陽電池モジュールの盗難を防止する技術が存在する。
【0003】
例えば、特許文献1には、太陽電池モジュールが盗難に合った場合でも無線通信により追尾する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電所で使用される長いケーブルは切断されて部分的に盗難される可能性がある。しかしながら特許文献1の技術では、ケーブルが切断されて部分的に盗難されることを想定していないため、ケーブルの盗難防止には適さない。
【0006】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、ケーブルの盗難等をより適切に防止するためのケーブル監視に関する新たな技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]埋設管に挿通されたケーブルの監視システムであって、
前記監視システムは、前記ケーブルに所定間隔で設置され、バス型またはスター型のネットワークを構成する複数の追跡装置と、前記ネットワークの根に位置する監視装置と、を備え、
前記追跡装置は、
λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数を有し、無指向性の電波を放射するアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して他の前記追跡装置から識別情報を受信し、受信した当該識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー通信を行うリレー通信部と、を備え、
前記監視装置は、
前記リレー通信によって取得した前記識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する生成部を備える、
監視システム。
【0008】
[9]埋設管に挿通されたケーブルの監視システムが実行する監視方法であって、
前記監視システムは、前記ケーブルに所定間隔で設置され、バス型またはスター型のネットワークを構成する複数の追跡装置と、前記ネットワークの根に位置する監視装置と、を備え、
前記追跡装置が、
λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数で、無指向性の電波を放射する放射工程と、
他の前記追跡装置から識別情報を受信し、受信した当該識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー通信を行うリレー通信工程と、を有し、
前記監視装置が、
前記リレー通信によって取得した前記識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する生成工程を有する、
監視方法。
【0009】
このような構成にすることで、埋設管にケーブルと共に格納した追跡装置の電波の減衰を減少させつつ、ケーブルの監視や管理等を行うことができる。
【0010】
[2]前記アンテナ部は、円偏波を放射する、
[1]に記載の監視システム。
【0011】
このような構成にすることで、追跡装置の電波の減衰を減少させることができる。
【0012】
[3]前記追跡装置は、
振動センサーを有し、当該振動センサーが一定時間振動を検出しない場合に自由空間モードからスリープモードに遷移させ、当該振動センサーが振動を検出した場合に当該スリープモードから当該自由空間モードに遷移させるモード切替部を備え、
前記リレー通信部は、前記自由空間モードにおいて一定間隔毎に自機の識別情報を送信し、更に、前記スリープモードにおいて当該自由空間モードにおける送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、少なくとも当該スリープモードにおいて前記リレー通信を行う、
[1]又は[2]に記載の監視システム。
【0013】
このような構成にすることで、追跡装置の電池の減少を抑制しつつ、ケーブルの監視や管理等を行うことができる。
【0014】
[4]前記スリープモードは、少なくとも第1段階のスリープモードと第2段階のスリープモードを有し、
前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記第1段階のスリープモードから前記第2段階のスリープモードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記第2段階のスリープモードにおいて前記第1段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信する、
[3]に記載の監視システム。
【0015】
このような構成にすることで、定期的に識別情報を送信し、更に、追跡装置の電池の減少を抑制しつつ、ケーブルの監視や管理等を行うことができる。
【0016】
[5]前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記スリープモードから水没モードに遷移させ、前記振動センサーが振動を検出した場合に当該水没モードから前記自由空間モードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記水没モードにおいて前記スリープモードにおける識別情報の送信よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記リレー通信を行わない、
[3]又は[4]に記載の監視システム。
【0017】
このような構成にすることで、追跡装置が水没した場合の電池の減少を抑制しつつ、ケーブルの監視や管理等を行うことができる。
【0018】
[6]前記スリープモードは、少なくとも第1段階のスリープモードと第2段階のスリープモードを有し、
前記モード切替部は、他の前記追跡装置から一定時間識別情報を受信しない場合に前記スリープモードから水没モードに遷移させ、前記振動センサーが振動を検出した場合に当該水没モードから前記自由空間モードに遷移させ、
前記リレー通信部は、前記第2段階のスリープモードにおいて前記第1段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記スリープモードにおける識別情報の送信よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、前記水没モードにおいて前記リレー通信を行わない、
[3]に記載の監視システム。
【0019】
このような構成にすることで、定期的に識別情報を送信し、更に、追跡装置が水没した場合の電池の減少を抑制しつつ、ケーブルの監視や管理等を行うことができる。
【0020】
[7]前記リレー通信部は、自機の識別情報および他の前記追跡装置から受信した識別情報を送信する際に何度目のリレー通信であるかを判定可能なリレーカウント情報を共に送信し、
前記生成部は、前記識別情報および前記リレーカウント情報に基づいて前記追跡装置の設置順序を含むネットワーク構成を生成する、
[1]~[6]の何れかに記載の監視システム。
【0021】
このような構成にすることで、埋設されたケーブルに設置された追跡装置の順序を含むネットワーク構成を自動的に生成することができる。
【0022】
[8]前記アンテナ部は、2つの給電点に相対的に90度の位相差を持つ信号を入力する構成、または、略矩形状のパッチの対角線方向に対向する2つの角を切り取った構成、を有する、
[1]~[7]の何れかに記載の監視システム。
【0023】
このような構成にすることで、円偏波の電波を放射するアンテナを実現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ケーブルの盗難等をより適切に防止するためのケーブル監視に関する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】実施形態1における盗難防止システムの構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態1における発電所のケーブル管理の概略イメージ図。
【
図4】実施形態1における機能構成要素を示すブロック図。
【
図5】実施形態1における記憶部に格納されたデータ構成の一例。
【
図6】実施形態1における発電所の追跡装置の有無の判定処理のフローチャート。
【
図8】本発明におけるケーブルに近接する追跡装置の設置例。
【
図9】実施形態2における監視システムの構成を示すブロック図。
【
図10】実施形態2における発電所のケーブル管理の概略イメージ図。
【
図11】実施形態2におけるアンテナの実施形態例。
【
図12】実施形態2におけるネットワーク構成の生成処理のフローチャート。
【
図13】実施形態2における追跡装置のモード遷移処理のフローチャート。
【
図14】実施形態2における追跡装置のモードに関する状態遷移図の一例。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本発明の盗難防止システムについて説明する。図面には好ましい実施形態が示されている。しかし、本発明は多くの異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。
【0027】
例えば、本実施形態では盗難防止システムの構成、動作等について説明するが、実行される方法(ステップ)、装置、コンピュータプログラム等によっても、同様の作用効果を奏することができる。本実施形態におけるプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されても良いし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されても良いし、クライアント端末でその機能を実施するために外部のコンピュータにおいて当該プログラムを起動させても良い(いわゆるクラウドコンピューティング)。
【0028】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらハードウェア資源によって具体的に実現され得るソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含み得る。本実施形態において「情報」とは、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行され得る。
【0029】
広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)及びメモリ(Memory)等を適宜組み合わせることによって実現される回路である。即ち、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等を含むものである。
【0030】
<実施形態1におけるシステム概要>
図1は、実施形態1における盗難防止システムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、盗難防止システム0は、盗難防止装置1、追跡装置2、ユーザ端末3を備える。盗難防止装置1は、ネットワークNWを介してユーザ端末3と通信可能に構成される。盗難防止装置1はサーバとして動作し、ユーザ端末3はクライアント端末として動作する。
【0031】
盗難防止装置1は、追跡装置2から識別情報等を受信する。また、盗難防止装置1は、受信した識別情報等に基づいて、発電所における追跡装置2の有無を判定する。さらに、盗難防止装置1は、判定した結果に基づいて、その結果をユーザ端末3に通知する。
【0032】
盗難防止装置1としては、汎用のサーバ向けのコンピュータやパーソナルコンピュータ等を利用することが可能である。また、複数のコンピュータを用いて盗難防止装置1を構成することも可能である。この他にも、盗難防止装置1は、スマートフォンやタブレット端末等であっても良い。
【0033】
追跡装置2は、自身を識別するための識別情報等(追跡装置2を一意に特定するための識別番号であって、例えば、追跡装置ID等)や自身の位置情報を送信する装置である。追跡装置2が送信した識別情報等は、盗難防止装置1や識別情報を送信した追跡装置2以外の追跡装置2が受信する。また、追跡装置2は、自身の位置情報(GPS情報)を定期的に送信する。
【0034】
追跡装置2は、アンテナであって、パターンアンテナ、チップアンテナ、パッチアンテナ等が考えられる。電波を遠くに飛ばすために、追跡装置2は、パターンアンテナであることが好ましい。
【0035】
追跡装置2は、Bluetooth(登録商標)部(チップ又はモジュール)を含み、Bluetooth(登録商標)部が情報を送信する。また、追跡装置2は、ZigBee(登録商標)部(チップ又はモジュール)を含んでも良く、ZigBee(登録商標)部が情報を送信しても良い。
【0036】
また、追跡装置2は、GPS(登録商標)部(チップ又はモジュール)を含んでも良く、GPS(登録商標)部が情報を送信しても良い。また、追跡装置2は、LTE(登録商標)部(チップ又はモジュール)を含んでも良く、LTE(登録商標)部が情報を送信しても良い。
【0037】
ユーザ端末3は、盗難防止装置1や追跡装置2から情報を受信する。ユーザ端末3としては、スマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピュータ等の端末装置を利用することができる。ユーザ端末3は、1つであっても複数であっても良い。
【0038】
ケーブル4(1本の長いケーブル)には、複数の追跡装置2が近接して設置される。
【0039】
盗難防止装置1及び/又はユーザ端末3は、特定の入力を介して、追跡装置2に対して音を鳴らすことができる。例えば、盗難防止装置1及び/又はユーザ端末3からの指示の入力によって、追跡装置2から音が鳴る。盗難防止装置1及び/又はユーザ端末3が追跡装置2に対して音を鳴らすことができることによって、その追跡装置2が、その音を鳴らすことができる者の所有物であることを証明できる。
【0040】
また、盗難防止装置1及び/又はユーザ端末3が追跡装置2の位置情報を受信することによって、盗難された追跡装置2の位置を特定することができる。盗難者は追跡装置2の存在に気付かずに、ケーブル4と共に追跡装置2を盗難する可能性が高いため、追跡装置2の位置からケーブル4の盗難者の位置を特定することができる。
【0041】
ネットワークNWは、本実施形態では、IP(Internet Protocol)ネットワークであるが、通信プロトコルの種類に制限はなく、更に、ネットワークの種類、規模にも制限はない。
【0042】
<ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、情報処理装置10(盗難防止装置1、監視装置1000)は、制御部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0043】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)等の1又は2以上のプロセッサを含み、本発明に係る盗難防止プログラム、OS(Operating System)やブラウザソフト、その他のアプリケーションを実行することで、情報処理装置10の動作処理全体を制御する。
【0044】
記憶部102は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等であって、本発明に係る盗難防止プログラム及び、制御部101がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。制御部101が、記憶部102に記憶されている盗難防止プログラムに基づき処理を実行することによって、後述する機能構成が実現される。
【0045】
通信部103は、ネットワークNWとの通信制御を実行して、情報処理装置10を動作させるために必要な入力や、動作結果に係る出力を行う。
【0046】
図2(b)のように、端末装置9(ユーザ端末3)は、制御部91、記憶部92、通信部93、入力部94、及び出力部95を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0047】
端末装置9の制御部91は、CPU等の1以上のプロセッサを含み、端末装置9の動作処理全体を制御する。端末装置9の記憶部92は、HDD、SSD、ROM、RAM等であって、上述のアプリケーション及び、制御部91がプログラムに基づき処理を実行する際に利用するデータ等を記憶する。
【0048】
端末装置9の通信部93は、ネットワークNWとの通信を制御する。端末装置9の入力部94は、マウス及びキーボード等であって、利用者/提供者による操作要求を制御部91に入力する。端末装置9の出力部95は、ディスプレイ等であって、制御部91の処理の結果等を表示する。
【0049】
<実施形態1における概略イメージ図>
図3は、実施形態1における発電所のケーブル管理の概略イメージ図である。発電所5には、複数のケーブル4が存在し、それぞれのケーブル4に近接して追跡装置2(2a~2u)が設置される。さらに、
図3のように、複数の追跡装置2が、ケーブルに近接して所定間隔で設置される。
【0050】
盗難者は、発電所のケーブルを切断して盗難する可能性が高いため、
図3のように、追跡装置2をケーブル4に近接して所定間隔で設置しておくことによって、盗難者は、切断したケーブル4と共に追跡装置2を盗難する可能性が高くなる。
【0051】
さらに、発電所5には、その複数のケーブルの盗難を管理するための盗難防止装置1が存在する。盗難防止装置1は、追跡装置2から受信する情報を用いて、ケーブル4と共に追跡装置2が盗難されたかを判定する。追跡装置2が情報を送信可能な範囲は決まっているため、追跡装置2が盗難防止装置1から離れた場所(例えば、発電所の外等)に持ち出されると追跡装置2からの情報が途絶える。
【0052】
盗難者は、切断されたケーブル4と共に追跡装置2を盗難する可能性が高いため、盗難防止装置1が、ある追跡装置2からの情報の受信が途絶えたかを判定することによって、ケーブル4の盗難を判定することができる。
【0053】
ケーブル4(追跡装置2が設置されているケーブル4)が発電所5から出た場合、世の中(例えば、発電所5の外)のインフラネットワークに存在するスマートフォン等の端末が、追跡装置2の識別情報及び/又は転送識別情報をクラウドネットワーク上に上げる(送信する)役割を担う。
【0054】
具体的には、追跡装置2が送信する自らの識別情報をインフラネットワーク上のスマートフォン等の端末が受信し、そのスマートフォン等が位置情報を付加してクラウドネットワークにそれらの情報(識別情報、転送識別情報、位置情報等)を上げる(送信する)。
【0055】
ネットワーク上のスマートフォンが専用のアプリやプログラムをダウンロードしている場合、追跡装置2が送信する情報を受信しても良い。また、ネットワーク上のスマートフォンが専用のアプリやプログラムをダウンロードしていない場合でも、追跡装置2が送信する情報を受信しても良い。
【0056】
このようにすることで、盗難されたケーブルに設置された追跡装置2が日本国内どこに移動しようとも、追跡装置2の近くにあるスマートフォン等の位置情報から追跡装置2の位置を追跡可能となる。
【0057】
盗難防止装置1は、インフラネットワーク上のスマートフォン等の端末が送信した情報(識別情報、転送識別情報、位置情報等)を受信する。通知部13は、その情報をユーザ端末3に送信しても良い。このようにすることで、ユーザ端末3の所持者は、追跡装置2の位置を追跡することができる。
【0058】
追跡装置2は、自身の識別情報を送信し、更に、自身以外の追跡装置から受信する識別情報を転送識別情報として転送する。追跡装置2は、識別情報及び/又は転送識別情報を定期的に(例えば、所定時間に1回等のタイミングで)送信する。
【0059】
追跡装置2が送信した情報は、その情報が届く範囲に存在する他の追跡装置2が受信する。例えば、追跡装置2aが送信した情報は、他のケーブルに設置される追跡装置2hや2oが受信しても良い。
【0060】
追跡装置2は、同じケーブルに設置される隣の追跡装置2のみから情報を受信しても良い。例えば、追跡装置2は、自身よりも盗難防止装置1から遠い追跡装置2のみ(例えば、追跡装置2bであれば追跡装置2a)から情報を受信しても良い。
【0061】
この他にも、追跡装置2は、同じケーブルに設置される隣にない追跡装置2から情報を受信しても良い。例えば、追跡装置2dは、追跡装置2aから情報を受信しても良い。
【0062】
本実施形態における発電所は、太陽光発電所である。太陽光発電所のケーブル(電線)は、銅線等であって高く売れるため、盗難されることが多い。盗難を防止するため、ケーブル4に追跡装置2を近接して設置する。
【0063】
<機能構成要素>
図4に示すように、盗難防止装置1は、受信部11、判定部12、通知部13、記憶部14、を備える。
【0064】
これら機能構成要素の配置は一例であり、これらの機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、盗難防止システム0を構成することも可能である。例えば、盗難防止装置1の備えた機能構成の一部が、追跡装置2、ユーザ端末3、盗難防止装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。同様に、追跡装置2の備えた機能構成の一部が、盗難防止装置1、ユーザ端末3、追跡装置2と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。また、ユーザ端末3の備えた機能構成の一部が、盗難防止装置1、追跡装置2、ユーザ端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。
【0065】
<実施形態1におけるデータ構成>
図5は、実施形態1における記憶部に格納されたデータ構成の一例である。盗難防止装置1の記憶部14は、発電所情報、ケーブル情報、追跡装置情報等を格納する。
【0066】
各データの配置は一例であり、盗難防止装置1の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、追跡装置2、ユーザ端末3、盗難防止装置1と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。同様に、追跡装置2の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、盗難防止装置1、ユーザ端末3、追跡装置2と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。また、ユーザ端末3の記憶部に格納されたデータの一部又は全部が、盗難防止装置1、追跡装置2、ユーザ端末3と通信可能に構成された1又は複数の装置に格納されても良い。
【0067】
発電所情報は、発電所に関する情報であって、
図5(a)のように、発電所のIDで管理される。発電所情報は、
図5(a)のように、発電所名や発電所の住所を含む。また、発電所情報は、その発電所で使用されるケーブル4のケーブルIDや追跡装置2の追跡装置IDを含んでも良い。この他にも、発電所がエリア等に分けられている場合、発電所情報は、そのエリアに関する情報を含んでも良い。
【0068】
ケーブル情報は、発電所で使用されるケーブルに関する情報であって、
図5(b)のように、ケーブルIDで管理される。ケーブル情報は、そのケーブルが使用される発電所IDを含む。また、発電所がエリア等に分けられている場合、ケーブル情報は、そのケーブルが使用されるエリアに関する情報を含んでも良い。
【0069】
追跡装置情報は、ケーブルに近接して設置される追跡装置に関する情報であって、
図5(c)のように、追跡装置IDで管理される。追跡装置情報は、その追跡装置が設置されるケーブルIDを含む。また、追跡装置ごとに識別情報を送信する追跡装置が予め決められている場合、追跡装置情報は、送信先の追跡装置IDを含んでも良い。また、追跡装置ごとに識別情報を受信する追跡装置が予め決められている場合、追跡装置情報は、受信元の追跡装置IDを含んでも良い。
【0070】
<実施形態1における処理のフローチャート>
図6は、実施形態1における発電所の追跡装置の有無の判定処理のフローチャートである。
【0071】
<各種情報の登録>
ステップS601において、発電所5のケーブル4を管理する管理者等は、ケーブル4に設置する追跡装置に関する情報等の各種情報(
図5(a)~(c))を事前に登録する。
【0072】
<識別情報等の受信>
ステップS602において、受信部11は、追跡装置2からその追跡装置2を識別するための識別情報(追跡装置2を一意に特定するための識別番号であって、例えば、追跡装置ID等)を受信する。追跡装置2は、自身を識別するための識別情報を送信する。追跡装置2は、識別情報を定期的に送信しても良い。
【0073】
受信部11は、追跡装置2が送信する識別情報と転送識別情報を受信する。追跡装置2は、自身以外の追跡装置2から受信する識別情報を転送識別情報として転送する。追跡装置2は、自身以外の追跡装置2及び/又は盗難防止装置1に転送識別情報を転送する。
【0074】
追跡装置2がケーブルに近接している場合、銅線に流れる電流の作用により電波が飛ばなくなり、情報を遠くに送信できない。つまり、追跡装置2が情報を送信できる範囲に限界が生じる。
【0075】
よって、
図3のように、発電所5において盗難防止装置1が1つの場合、盗難防止装置1から遠い追跡装置2が送信する識別情報を受信部11が受信できない可能性がある。例えば、
図3では、受信部11は、盗難防止装置1に近い追跡装置2g、2n、2u等が送信する識別情報のみしか受信しない可能性がある。
【0076】
追跡装置2を所定間隔(他の追跡装置2に情報を送信できる間隔)で設置する。例えば、追跡装置2が情報を送信可能な範囲に他の追跡装置2を設置する。これによって、追跡装置2が情報を送信した場合、盗難防止装置1が送信された情報を受信できない場合であっても、他の追跡装置2が、送信された識別情報及び/又は転送識別情報を受信することができる。
【0077】
例えば、
図3では、追跡装置2aは、自身の識別情報を追跡装置2bに送信する。さらに、追跡装置2bは、自身の識別情報を追跡装置2cに送信し、追跡装置2aから受信した識別情報を転送識別情報として追跡装置2cに送信する。そして、追跡装置2cは、自身の識別情報を追跡装置2dに送信し、追跡装置2bから受信した転送識別情報(追跡装置2aと2bの識別情報)を追跡装置2dに送信する。
【0078】
これを繰り返すことによって、追跡装置2a~2fの識別情報が盗難防止装置1に情報を送信可能な追跡装置2gに送信され、受信部11が追跡装置2a~2gの識別情報を受信することができる。
【0079】
追跡装置2は、同一のケーブル4に設置される追跡装置2に識別情報及び/又は転送識別情報を送信する。また、追跡装置2は、情報を送信可能な範囲に存在する他の追跡装置2に識別情報及び/又は転送識別情報を送信しても良く、例えば、
図3では、追跡装置2aは、自身の識別情報を追跡装置2h等に送信しても良い。
【0080】
追跡装置2は、予め決められた追跡装置2から識別情報及び/又は転送識別情報を受信しても良いし、予め決められた追跡装置2に識別情報及び/又は転送識別情報を送信しても良い。この他にも、追跡装置2は、他の追跡装置2が送信したすべての識別情報及び/又は転送識別情報を受信し、受信したすべての情報を送信しても良い。
【0081】
受信部11は、特定の追跡装置2から識別情報及び/又は転送識別情報を受信する。例えば、受信部11は、盗難防止装置1に情報を送信可能な追跡装置2から識別情報及び/又は転送識別情報を受信する。この他にも、受信部11は、予め決められた追跡装置2から識別情報及び/又は転送識別情報を受信しても良い。
【0082】
<識別情報の判定>
ステップS603において、判定部12は、記憶部14が格納する識別情報と、受信部11が受信した識別情報と、受信部11が受信した転送識別情報と、を判定する。記憶部14は、発電所5に存在する追跡装置2の識別情報(例えば、追跡装置ID等)を予め格納する。
【0083】
これによって、判定部12は、記憶部14が格納する識別情報と、受信部11が受信した識別情報と、受信部11が受信した転送識別情報と、を判定し、発電所5にすべての追跡装置2が存在するかを判定する。つまり、判定部12は、記憶部14が格納するすべての識別情報を受信したかを判定し、発電所5にすべての追跡装置2が存在するかを判定する。
【0084】
<判定結果の通知>
ステップS604において、通知部13は、判定部12の判定の結果を通知する。通知部13は、受信していない識別情報を通知しても良い。例えば、記憶部14が、追跡装置2の識別情報に発電所におけるその追跡装置2の位置及び/又はその追跡装置2が設置されるケーブルの位置(例えば、盗難防止装置1からのケーブルにおける距離)等を紐づけて格納することによって、通知部13は、盗難された追跡装置2の位置を通知することができる。
【0085】
この他にも、通知部13は、発電所5の施工図(例えば、
図3のような、発電所における追跡装置2とケーブル4の位置等を可視化する図等)を表示処理し、その施工図において何れの追跡装置から識別情報を受信していないかを可視化して表示処理しても良い。このようにすることで、発電所において何れの追跡装置2が盗難されたかを可視化することができる。
【0086】
通知部13は、ユーザ端末3に対して、記憶部14が格納するすべての識別情報を受信していない場合、受信していない旨を通知する。記憶部14が通知先の連絡先(メールアドレス等)を格納することによって、通知部13は、その連絡先に通知することができる。例えば、通知部13は、ユーザ端末3に対して、追跡装置2と共にケーブル4が盗難された可能性があることを通知する。
【0087】
<追跡装置2の実施形態例>
図7は、本発明における追跡装置の実施形態例である。識別情報や位置情報を遠くに送信するためには、追跡装置2の大きさは大きい方が好ましい。一方で、追跡装置2が大きい場合、盗難者が追跡装置2の存在に気付く可能性が高くなる。追跡装置2の形状を細長くすることによって、ケーブル4に近接する場合でも盗難者に気付かれにくくすることができる。
【0088】
図7(a)は、追跡装置2の実施形態例であって、その正面図である。
図7(a)の追跡装置2は、パッチアンテナであって、基板(誘電体を含む)P71、銅箔(周波数調整用の銅部)P72、インピーダンス調整部P73で構成される。基板P71は、矩形(長方形)であって、2組の向き合う辺で構成され、向き合わない辺の長さは異なる。2組の向き合う辺の片方の長さを長くし、もう片方を短くすることによって、ケーブルに設置しても目立たなくすることができる。
【0089】
インピーダンス調整部は、追跡装置の共振点がくずれないようにインピーダンスを調整している。これにより、外的要因の影響を受けにくい追跡装置2の安定的な特性を実現できる。
【0090】
図7(a)の基板P71の長さは、例えば、長手方向がλ/2、短手方向がλ/8である。
図7(a)の基板P71の長さは、これに限定されない。
図7(a)の基板P71の長さは、長手方向がλ/(4×√(ε0))(ε0:誘電率)、短手方向が10~20ミリメートルであれば好ましい。長手方向の長さは、短手方向の長さの2倍以上であることが好ましい。
【0091】
また、
図7(a)の基板P71の厚みは、λ/51、又は、λ/38である。
図7(a)の基板P71の厚さは、これに限定されない。
図7(a)の基板P71の厚さは、λ/245~λ/24ミリメートルであれば好ましい。
図7(a)の追跡装置2は、扁平矩形体(扁平矩形板)である。λは、使用するアンテナの波長であって、λに依存して最適な長さや厚みは異なる。
【0092】
図7(a)のような追跡装置2は、電源部(例えば、ボタン電池等)を複数(例えば、2個)搭載した状態であっても、放射特性の変化が少ない。また、
図7(a)のような追跡装置2は、電線(銅線)のシース(カバー)に近接して設置した場合であっても、放射特性の変化が少ない。さらに、
図7(a)のような追跡装置2は、背面部に高周波電子回路等を搭載した場合であっても、放射特性の変化が少ない。
【0093】
基板P71は、1層(1枚)で構成されても良いし、複数(例えば、2~5層等)で構成されても良い。さらに、追跡装置2は、電池(例えば、ボタン電池等)を含んでも良い。追跡装置2が含む電池の数は限定されず、1つでも複数(例えば、2~5個等)でも良い。さらに、追跡装置2は、背面部分に高周波電子回路等(例えば、RF-ID回路)を搭載しても良い。
【0094】
図8は、本発明におけるケーブルに近接する追跡装置の設置例である。
図8は、ケーブル4の断面図である。ケーブル4は、複数の銅線(電線)6と、それらをまとまるためのシース(カバー)で構成される。
【0095】
太陽光発電所においては、
図8のように、複数(例えば、3本)のケーブル4がまとめて敷かれている。追跡装置2は、ケーブル4に近接していれば良く、様々な設置の方法が考えられる。例えば、追跡装置2は、
図8(a)~(e)のように、複数(例えば、2本)のケーブルの間に入るように設置される。ケーブル4を施工した後に(外から)追跡装置2を設置する場合、
図8(a)~(e)のような設置の方法になると考えられる。このようにすることで、ケーブル4の施工後の設置が簡易になる。
【0096】
また例えば、追跡装置2は、
図8(f)及び(g)のように、2本のケーブル4に挟まれて設置されても良い。このようにすることで、盗難者が追跡装置2に気付く可能性を低くすることができる。
【0097】
また例えば、追跡装置2は、
図8(h)及び(i)のように、3本のケーブル4の中心に設置されても良い。このようにすることで、盗難者が追跡装置2に気付く可能性を低くすることができる。
【0098】
図8(a)及び(b)の追跡装置2は、
図7(a)の矢印方向から見た際の追跡装置2の側面を表す。
図7(a)の矢印方向から見た際の側面の形は限定されず、
図8(c)~(e)の追跡装置2のような側面(例えば、円、楕円、三角形等)でも良い。
【0099】
追跡装置2は、ケーブル4と同じ色のテープ(例えば、防水テープ等)やひも等で固定される。
【0100】
追跡装置2は、どのような形状でも良い。追跡装置2を
図7(a)のように細長くすることによって、盗難者がケーブル4に設置された追跡装置2に気付く可能性を低くすることができる。追跡装置2が細長い方が、ケーブル4に近接して設置しやすい。さらに、追跡装置2が細長い方が、テープ等でケーブル4に固定しやすい。
【0101】
<実施形態2における監視システム>
実施形態2は、実施形態1とは異なりケーブルが地中に埋設されている。埋設管は、ケーブルが管に挿通され地中に埋設される。埋設管は、蛇腹状の管等であっても良く、素材は樹脂やコンクリート等が考えられる。また、埋設管は、金属管であっても良い。
【0102】
図9は、実施形態2における監視システムの構成を示すブロック図である。
図9に示すように、監視システム100は、監視装置1000と、追跡装置200と、ユーザ端末3と、を備える。
【0103】
監視装置1000は、追跡装置200から識別情報等を受信する。監視装置1000は、追跡装置200から受信した情報に基づいて、ネットワーク構成(それぞれの追跡装置200がケーブル上に設置される位置や順番(並び順)の構成)を生成し、そのネットワーク構成をユーザ端末に表示処理する。監視装置1000は、追跡装置200のネットワーク構成を含む発電所のケーブルの施工図を表示処理しても良い。
【0104】
監視装置1000は、追跡装置200の位置情報やネットワーク構成をユーザ端末3に表示処理する。また、監視装置1000は、盗難防止装置1と同様の構成を含んでも良く、同様の機能を有して同様の処理を行っても良い。
【0105】
追跡装置200は、自身を識別するための識別情報等(追跡装置2を一意に特定するための識別番号であって、例えば、追跡装置ID等)や自身の位置情報を送信する装置である。追跡装置200が送信した識別情報等は、監視装置1000や、識別情報を送信した追跡装置200以外の追跡装置200が受信する。追跡装置200は、追跡装置2と同様の構成を含んでも良く、同様の機能を有して同様の処理を行っても良い。
【0106】
<実施形態2における概略イメージ図>
図10は、実施形態2における発電所のケーブル管理の概略イメージ図である。発電所には、複数のケーブルC1、C2、・・・が存在し、それぞれのケーブルに近接して追跡装置200(200a~200j)が設置される。さらに、
図10のように、複数の追跡装置200が、ケーブルに近接して所定間隔で設置される。
【0107】
複数の追跡装置200は、バス型またはスター型のネットワークを構成する。追跡装置200は、同じケーブルに設置された追跡装置同士で後述のリレー通信を行う。
【0108】
例えば、ケーブルC1に設置された追跡装置200a~200eは、ケーブルC1に設置された追跡装置同士でリレー通信を行い、ケーブルC2に設置された追跡装置200f~200jとはリレー通信を行わない。ケーブルごとに埋設管に格納されて地中に埋設されているため、異なるケーブルに設置された追跡装置同士の通信は行われない。
【0109】
追跡装置200は、ネットワークの根に位置する監視装置1000にリレー通信で受信した情報(例えば、識別情報等)を送信する。具体的には、ケーブルの端に設置され、監視装置1000に近い追跡装置200が、監視装置1000に情報を送信する。
【0110】
また、発電所のケーブルC1、C2、・・・は、それぞれ埋設管P1、P2、・・・に格納され、地中に埋設される。埋設管に挿通されたケーブルに近接する追跡装置200も、ケーブルと共に埋設管に格納されて地中に埋設される。
【0111】
埋設管は、円形埋設管であっても、角形埋設管であっても良い。埋設管の断面は、円形や矩形以外であっても良い。ケーブルC1、C2は、1本のケーブルで構成されていても良く、複数のケーブル(例えば、3本等)で構成されていても良い。
【0112】
<機能構成要素>
図9に示すように、監視装置1000は、受信部1001と、生成部1002と、表示処理部1003と、記憶部1004と、を備える。これら機能構成要素の配置は一例であり、これらの機能構成要素を複数のコンピュータに実現させ、監視システム100を構成することも可能である。例えば、監視装置1000の備えた機能構成の一部が、追跡装置200、ユーザ端末3、監視装置1000と通信可能に構成された1又は複数の装置に配置されても良い。
【0113】
追跡装置200は、リレー通信部2021、モード切替部202と、振動判定部203と、を備える。さらに、追跡装置200は、無指向性の電波を放射するアンテナ部を備える。アンテナ部は、直線偏波を放射しても良いし、円偏波を放射しても良い。
【0114】
アンテナ部が円偏波を放射することによって、回析特性の改善(円偏波は時間軸と共に位相が回るので、直線偏波より減衰が小さい)、散乱特性の改善(円偏波は外壁に当たっても、散乱による放射損失量が小さい)、伝播損失の改善(規定サイズの金属管内での差は変らない)、減衰特性の改善(円偏波、直線偏波は同等)、偏波影響(回り込み特性)の改善(円偏波は時間軸による回転による変化で、回込みが良い)、周波数特性の改善(2400MHz帯では、直進性が強い為同等である)、等の利点がある。よって、円偏波の方が使用条件的に直線偏波よりも有利であるため、円偏波を使用することが考えられる。
【0115】
<実施形態2におけるアンテナの実施形態例>
図11は、通常のパッチアンテナと、実施形態2におけるアンテナの実施形態例である。
図11(a)は通常のパッチアンテナであって、
図11(b)は実施形態2におけるアンテナの実施形態例である。
【0116】
図11(a)のパッチPaの長さWとLの同一にすることによって、無指向性のアンテナを実現することができる。また、
図11(b)のように、略矩形状のパッチ(破線で囲まれる略矩形状の部分)の対向線方向に対向する2つの角を切り取った構成にすることによって、円偏波を放射するアンテナを実現することができる。
【0117】
この他にも、パターン長90度位相を変えること、又は、給電点を90度ずらすこと(2つの給電点に相対的に90度の位相差を持つ信号を入力する構成にすること)によって、円偏波を放射するアンテナを実現することができる。例えば、
図11(c)のように、給電点を90度(λ/4)ずらすことによって、円偏波を放射するアンテナを実現することができる。
【0118】
アンテナの共振周波数は、使用周波数のλ/2に合わせて製作される。λは、光速(定数)と周波数から算出されるため、アンテナの共振周波数は、光速とアンテナの使用周波数から算出される。
【0119】
例えば、アンテナの使用周波数は、2400MHz~2500MHz等が考えられる。地中に埋められた埋設管は、金属管とみなすことができる。そのため、円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さが、使用周波数の波長λ/2以上である必要がある。よって、λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数である必要がある。
【0120】
円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さがλ/2より大きいことによって、電波の減衰量を軽減することができる。例えば、アンテナの使用周波数が2400MHzの場合は、円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さは62.5mm以上、アンテナの使用周波数が2500MHzの場合は、円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さは60.0mm以上、が考えられる。
【0121】
<ネットワーク構成の生成処理のフローチャート>
図12は、実施形態2におけるネットワーク構成の生成処理のフローチャートである。
【0122】
<リレー通信の開始>
ステップS1201において、起点となる追跡装置200(起点ノード)が有するリレー通信部201は、自身の識別情報を送信する。ケーブルの端に設置された追跡装置200のリレー通信部201が、自身の識別情報の送信を開始する。例えば、追跡装置200の電源が投入されることによって、リレー通信部201は、送信を開始する。
【0123】
リレー通信部201は、すべての追跡装置200のケーブルへの設置が完了後、又は、追跡装置200の電源を投入後、リレー通信を開始しても良い。追跡装置200は、振動センサーを有し、例えば、その振動センサーが一定時間振動を検出しない場合に、リレー通信部201が、リレー通信を開始しても良い。追跡装置200のケーブルへの設置中は設置作業による人為的な振動が加わる一方で、設置完了後は地中に埋設されるため振動が無くなる。
【0124】
起点となる追跡装置200のリレー通信部201は、自身の識別情報と共に自身が起点ノードであることを表す情報を送信する。起点となる追跡装置200のリレー通信部201は、例えば、自身の識別情報をHopTrace[0](自機が起点ノードであることを表す情報)を紐づけて送信する。
【0125】
識別情報の送信を開始する起点となる追跡装置200は、ケーブルの端に設置される2つの追跡装置200のうちで監視装置1000から遠い追跡装置である。ケーブルの端で監視装置1000から遠い位置を下流、ケーブルの端で監視装置1000に近い位置を上流と表現する。
【0126】
図10において、追跡装置200a及び200fが、ケーブルC1及びC2におけるそれぞれの起点となる追跡装置(起点ノード)であって下流の追跡装置である。また、追跡装置200e及び200jが上流の追跡装置である。例えば、追跡装置200bは、追跡装置200cや200dよりも下流の追跡装置200となる。
【0127】
<リレー通信の実施><
ステップS1202において、他の追跡装置200から識別情報を受信した追跡装置200(中継ノード)が有するリレー通信部201は、受信した識別情報と共に自機の識別情報を送信する。リレー通信部201は、自機の識別情報および他の追跡装置200から受信した識別情報を送信する際に何度目のリレー通信であるかを判定可能なリレーカウント情報を共に送信する。
【0128】
リレー通信部201は、アンテナ部を介して他の追跡装置200から識別情報を受信し、受信したその識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー(ホッピング)通信を行う。追跡装置200のリレー通信部201は、自機よりも下流の追跡装置200から識別情報を受信する。
【0129】
例えば、追跡装置200は、隣に設置された追跡装置200のみと通信を行えるような距離に設置されても良い。このようにすることで、リレー通信部201は、隣にある追跡装置200から受信した情報のみをリレー通信することができる。
【0130】
また例えば、リレー通信部201は、自機の識別情報を含む情報をリレー通信しない。このようにすることで、リレー通信部201は、上流から受信した情報をリレー通信しない。
【0131】
また例えば、リレー通信部201は、受信した情報の中で最もデータ量が多い情報をリレー通信しても良い。このようにすることで、リレー通信部201は、隣にある追跡装置200から受信した情報のみをリレー通信することができる。
【0132】
他の追跡装置200から識別情報を受信した追跡装置200のリレー通信部201は、受信した他の追跡装置200の識別情報をすべて送信する(受信したすべてのHopTrace[n](n=0、1、2、・・・)ごと識別情報を送信する)。
【0133】
他の追跡装置200から識別情報を受信した追跡装置200のリレー通信部201は、自機の識別情報をHopTrace[n+1](何度目のリレー通信であるかを判定可能なリレーカウント情報(自機が何番目の中継ノードであるかを表す情報))に紐づけて送信する。
【0134】
この他にも、追跡装置200のリレー通信部201は、自機よりも下流の追跡装置200から識別情報を受信した場合に、リレー通信を行うように予め設定されていても良い(例えば、特定の識別情報を含む情報を受信した場合に、リレー通信を行うように追跡装置毎に設定されていても良い)。
【0135】
ケーブルの端に設置され、監視装置1000に近い追跡装置200のリレー通信部201は、監視装置1000に情報を送信する。
【0136】
<ネットワーク構成の生成>
ステップS1203において、監視装置1000の生成部1002は、リレー通信によって取得した識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する。監視装置1000の受信部1001は、追跡装置200からリレー通信によって情報(例えば、識別情報、リレーカウント情報等)を受信し記憶部1004に格納し、更に、生成部1002は、リレー通信によって取得した識別情報およびリレーカウント情報に基づいて追跡装置200の設置順序(例えば、ケーブル上の下流からの設置順序等)を含むネットワーク構成を生成する。
【0137】
生成部1002は、受信部1001が受信した識別情報と、起点ノードであることを表す情報と、何番目の中継ノードであるかを表す情報と、に基づいて、ネットワーク構成(例えば、どの識別情報の追跡装置がどのような並び順でケーブルに設置されているかを表す構成等)を生成する。
【0138】
表示処理部1003は、生成部1002が生成したネットワーク構成を表示処理する。表示処理部1003は、ネットワーク構成として、追跡装置200の識別情報とケーブル上での並び順を含む発電所のケーブルの施工図をユーザ端末3に表示処理しても良い。
【0139】
<追跡装置のモード遷移処理のフローチャート>
図13は、実施形態2における追跡装置のモード遷移処理のフローチャートである。
【0140】
<自由空間モードからスリープモードへの遷移>
ステップS1301において、追跡装置200のモード切替部202は、振動センサーを有し、その振動センサーが一定時間振動を検出しない場合に自由空間モードからスリープモードに遷移させる。また、モード切替部202は、振動センサーが振動を検出した場合にスリープモードから自由空間モードに遷移させる。
【0141】
自由空間モードでは、リレー通信部201は、所定(一定)の秒間隔毎(例えば、1秒毎等)にビーコン情報を送信する(例えば、無線半径数メートルから数十メートルの範囲に信号を発信する)。自由空間モードの場合であっても、追跡装置200は、情報を受信できても良い。
【0142】
自由空間モードで追跡装置200が自身の識別情報を不特定多数のスマートフォン等に送信することによって、追跡装置200が送信する識別情報をインフラネットワーク上のスマートフォン等の端末が受信し、そのスマートフォン等が位置情報を付加してクラウドネットワークにそれらの情報(例えば、識別情報、位置情報等)を上げる(送信する)。
【0143】
このようにすることで、追跡装置200が設置されたケーブルが盗難された場合、その追跡装置200の識別情報を受信したスマートフォン等が上げる位置情報に基づいて、そのケーブルの位置情報を特定することができる。
【0144】
よって、追跡装置200が盗難されていない地中に埋設された状態の場合に自由空間モードである必要はなく、モード切替部202は、追跡装置200自身をスリープモードに遷移させる。追跡装置200が地中に埋設されている場合、追跡装置200は基本的に振動を受けない。よって、モード切替部202は、振動センサーが一定時間振動を検出しない場合に自由空間モードからスリープモードに遷移させる。
【0145】
一方で、ケーブルが盗難される場合、追跡装置200が振動を受けるため、モード切替部202は、振動センサーが振動を検出した場合にスリープモードから自由空間モードに遷移させる。
【0146】
追跡装置200が地中に埋設されている場合、追跡装置200は基本的に振動を受けないが、地震が発生した場合に振動を受け、振動センサーが振動を検出する可能性がある。よって、追跡装置200は、振動センサーが検出した振動が人為的な移動による振動(ケーブルを盗難するために発生した振動)であるか、地震による振動であるか、を判定する必要がある。
【0147】
追跡装置200の振動判定部203は、加速度と回数値に基づいて、人為的な移動による振動であるか、地震による振動であるか、を判定する。人為的な移動による振動である場合、追跡装置200に対して、数分間継続して複数回の振動が与えられることが考えられる。
【0148】
よって、振動判定部203は、数分間(例えば、予め定められた所定時間等)に振動センサーが検出した振動が複数回(例えば、予め定められた所定回数等)である場合に、人為的な移動による振動であると判定する。モード切替部202は、振動判定部203の判定の結果に基づいて、スリープモードから自由空間モードに遷移させても良い。
【0149】
<リレー通信の開始>
ステップS1302において、リレー通信部201は、追跡装置200がスリープモードの場合に、リレー通信を行う。リレー通信部201は、自由空間モードにおいて一定間隔毎に自機の識別情報を送信し、更に、スリープモードにおいて自由空間モードにおける送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信し、更に、少なくともスリープモードにおいてリレー通信を行う。
【0150】
リレー通信部201は、自由空間モードにおいて一定(所定)間隔毎(例えば、1秒毎等の秒間隔毎)に自機の識別情報を送信し、スリープモードにおいて自由空間モードにおける送信間隔よりも長い間隔毎(例えば、10分毎等の分間隔毎、1時間毎や4時間毎等の時間間隔毎等)に識別情報を送信する。
【0151】
追跡装置200がスリープモードの場合、自由空間モードにおける送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信するため、追跡装置200をスリープモードにしておく方が自由空間モードにしておくよりも電池の消費を抑えることができる。
【0152】
<電波の受信判定>
ステップS1303において、リレー通信部201は、アンテナ部を介して他の追跡装置から識別情報を受信しているかを判定する。地中に埋設されたケーブルに設置された追跡装置200は、水没することが多い。水没している場合、リレー通信部201は電波の受信を行えない。
【0153】
水没している場合であっても、リレー通信を行うための電波の送信を行ってしまうと追跡装置200の電池が消費される。追跡装置200が水没している場合、リレー通信部201による識別情報の送信間隔をより長くすることによって、電池の消費を抑えることができる。
【0154】
<スリープモードから水没モードへの遷移>
リレー通信部201が、他の追跡装置200から一定時間識別情報(電波)を受信しない場合(ステップS1303:Yesの場合)、ステップS1304において、モード切替部202が、スリープモードから水没モードに遷移させる。例えば、リレー通信部201が、他の追跡装置200から識別情報を所定回数未受信の場合(例えば、電波を6回未受信の場合)、モード切替部202は、スリープモードから水没モードに遷移させる。
【0155】
リレー通信部201は、水没モードにおいてスリープモードにおける識別情報の送信よりも長い間隔毎(例えば、6時間毎等のスリープモード時よりも長い時間間隔毎、1日毎等の日数間隔等)に識別情報を送信する。さらに、リレー通信部201は、水没モードにおいてリレー通信を行なっても行わなくても良い。
【0156】
モード切替部202は、振動センサーが振動(例えば、人為的な振動や地震による振動等)を検出した場合に水没モードから自由空間モードに遷移させる。振動判定部203が、振動センサーが検出した振動が人為的な振動であると判定した場合、モード切替部202は、追跡装置200を水没モードから自由空間モードに遷移させる。
【0157】
追跡装置200は、1度水没モードに遷移した場合、振動センサーが振動を検出しない限り、水没モードから他のモード(例えば、自由空間モード等)に遷移しない。追跡装置200は、振動判定部203が地震による振動を判定した場合のみ、水没モードから他のモード(例えば、自由空間モード等)に遷移する構成であっても良い。
【0158】
追跡装置200が水没モードの場合、自由空間モードやスリープモードにおける送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信するため、追跡装置200を水没モードにしておく方が自由空間モードやスリープモードにしておくよりも電池の消費を抑えることができる。
【0159】
また、追跡装置200が水没モードの場合、リレー通信部201がリレー通信を行わないようにすれば、送信する情報のデータ量を減らすことが可能となり、追跡装置200の電池の消費を抑えることができる。
【0160】
水没モードにおいてリレー通信部201がリレー通信を行う場合、例えば、リレー通信部201が計測センサーを有し、計測センサーが計測した情報をリレー通信しても良い。例えば、計測センサーが追跡装置200の電池残量や温度等の計測データを取得し、リレー通信部201が、その計測データをリレー通信しても良い。リレー通信部201は、スリープモードにおいても、計測センサーが計測した情報をリレー通信しても良い。
【0161】
リレー通信部201が、追跡装置200の電池残量等をリレー通信することによって、監視装置1000まで情報を送信し、表示処理部1003は、追跡装置200の電池残量等をユーザ端末3に表示処理することができる。このようにすることで、ユーザは、追跡装置200の電池残量等を確認することができる。
【0162】
リレー通信部201が、他の追跡装置200から定期的に識別情報を受信する場合(ステップS1303:Noの場合)、ステップS1304において、モード切替部202が、スリープモードから自由空間モードに遷移させる。
【0163】
<実施形態2における追跡装置のモードに関する状態遷移図>
図14は、実施形態2における追跡装置のモードに関する状態遷移図の一例である。
【0164】
スリープモードは、複数の段階(例えば、2段階や3段階等)を有していても良く、例えば、
図14のように、3段階のスリープモードを有していることが考えられる。モード切替部202は、第1段階のスリープモード(
図14のスリープモード1)において他の追跡装置200から一定時間識別情報を受信しない場合に第1段階のスリープモードから第2段階のスリープモード(
図14のスリープモード2)に遷移させる。
【0165】
リレー通信部201は、第2段階のスリープモードにおいて第1段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信する。例えばリレー通信部201は、スリープモード1において10分毎に識別情報を送信し、スリープモード2において1時間毎に識別情報を送信する。
【0166】
モード切替部202は、第2段階のスリープモード(
図14のスリープモード2)において他の追跡装置200から一定時間識別情報を受信しない場合に第2段階のスリープモードから第3段階のスリープモード(
図14のスリープモード3)に遷移させる。
【0167】
リレー通信部201は、第3段階のスリープモードにおいて第2段階のスリープモードにおける識別情報の送信間隔よりも長い間隔毎に識別情報を送信する。例えばリレー通信部201は、スリープモード2において1時間毎に識別情報を送信し、スリープモード3において4時間毎に識別情報を送信する。
【0168】
スリープモードにおいては、モード切替部202は、リレー通信部201がアンテナ部を介して他の追跡装置200から識別情報(電波)を受信した場合に自由空間モードに遷移させる。また、スリープモードにおいて、振動判定部203が、振動センサーが検出した振動が人為的な振動であると判定した場合、モード切替部202は、追跡装置200をスリープモードから自由空間モードに遷移させる。
【0169】
また、水没モードにおいて、振動判定部203が、振動センサーが検出した振動が人為的な振動であると判定した場合、モード切替部202は、追跡装置200を水没モードから自由空間モードに遷移させても良い。
【0170】
スリープモードまたは水没モードにおいて、振動判定部203が、振動センサーが検出した振動が地震による振動(地震波)であると判定した場合、モード切替部202は、追跡装置200をもとのモード(スリープモードまたは水没モード)に遷移させる。
【0171】
例えば、スリープモード1の際に振動判定部203が、振動センサーが検出した振動が地震による振動(地震波)であると判定した場合、モード切替部202は、追跡装置200をスリープモード1に戻す。
【0172】
この他にも、スリープモードまたは水没モードにおいて、振動センサーが振動(例えば、人為的な振動や地震による振動等)を検出した場合に、モード切替部202が、スリープモードまたは水没モードから自由空間モードに遷移させる構成であっても良い。
【0173】
以上のように、本発明の構成によれば、ケーブルの盗難等をより適切に防止するためのケーブル監視に関する新たな技術を提供することができる。
【符号の説明】
【0174】
0 盗難防止システム
1 盗難防止装置
11 受信部
12 判定部
13 通知部
14 記憶部
2 追跡装置
3 ユーザ端末
4 ケーブル
100 監視システム
1000 監視装置
1001 受信部
1002 生成部
1003 表示処理部
1004 記憶部
200 追跡装置
201 リレー通信部
202 モード切替部
203 振動判定部
C1 ケーブル
C2 ケーブル
NW ネットワーク
【要約】
【課題】
ケーブルの盗難等をより適切に防止するためのケーブル監視に関する新たな技術を提供すること。
【解決手段】
埋設管に挿通されたケーブルの監視システムであって、
前記監視システムは、前記ケーブルに所定間隔で設置され、バス型またはスター型のネットワークを構成する複数の追跡装置と、前記ネットワークの根に位置する監視装置と、を備え、
前記追跡装置は、
λ/2が円形埋設管の直径または角形埋設管の矩形断面の長辺の長さ以下となる共振周波数を有し、無指向性の電波を放射するアンテナ部と、
前記アンテナ部を介して他の前記追跡装置から識別情報を受信し、受信した当該識別情報および自機の識別情報を送信することで、下流から上流へのリレー通信を行うリレー通信部と、を備え、
前記監視装置は、
前記リレー通信によって取得した前記識別情報に基づいてネットワーク構成を生成する生成部を備える、
監視システム。
【選択図】
図9