(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-01
(45)【発行日】2025-08-12
(54)【発明の名称】電流バイアスされた調整が可能な量子ビット
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20250804BHJP
H10N 60/10 20230101ALI20250804BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20250804BHJP
【FI】
G06N10/40
H10N60/10 K ZAA
G06F7/38 510
G06F7/38 610
(21)【出願番号】P 2023511805
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021075854
(87)【国際公開番号】W WO2022063736
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2024-02-15
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】プン、ティモシー
【審査官】北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-524980(JP,A)
【文献】特開2007-005959(JP,A)
【文献】特表2007-516610(JP,A)
【文献】特表2008-527684(JP,A)
【文献】特表2018-524795(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06N 10/00 - 10/80
H10N 60/10
G06F 7/38
H03K 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスであって、
前記デバイスの第1の電流経路に沿って位置する第1のジョセフソン接合と、
前記第1の電流経路と並列な前記デバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合と
、
電流を生成する電流発生器コンポーネントと、
第1の端子および第2の端子を備えているコンデンサと
を備え
、
前記第1の端子が前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合に関連付けられ、前記第2の端子が前記デバイスのグランドに関連付けられる、デバイス。
【請求項2】
前記デバイスが量子ビット・デバイスである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記デバイスがトランズモン量子ビット・デバイスである、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記電流発生器コンポーネントによって、各ジョセフソン接合間の位相差を変更して、前記デバイスの周波数を制御す
る、請求項1ないし3のいずれかに記載のデバイス。
【請求項5】
前記電流発生器コンポーネントによって前記デバイスに加えられる電流の量と、前記第1のジョセフソン接合に対する前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の
サイズとに基づいて、
各ジョセフソン接合間の位相差を変更して、前記デバイスの前記周波数
を制御
する、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1のジョセフソン接合の面積が、前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の面積と比較してより大きく、前記第1のジョセフソン接合の面積が前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の面積より大きいということに基づいて、前記第1の電流経路と前記第2の電流経路の間の電流分割比が増やされる、請求項1ないし5のいずれかに記載のデバイス。
【請求項7】
前記第1の電流経路に沿って位置する第1の誘導コンポーネントと、
前記第2の電流経路に沿って位置する第2の誘導コンポーネントと
さらに備える、請求項1ないし6のいずれかに記載のデバイス。
【請求項8】
ローパス・フィルタを前記電流に適用するローパス・フィルタ・コンポーネントであって、前記ローパス・フィルタ・コンポーネントから出力されたフィルタリング済みの電流の少なくとも一部が、前記第1の電流経路および前記第2の電流経路に供給され、前記ローパス・フィルタが、前記ローパス・フィルタのカットオフ周波数を示す定義されたしきい値周波数に関連付けられる、前記ローパス・フィルタ・コンポーネントと、
出力された前記フィルタリング済みの電流の別の一部を前記デバイスのグランドに方向転換する電流スプリッタ・コンポーネントとをさらに備える、請求項1ないし7のいずれかに記載のデバイス。
【請求項9】
デバイスの第1の電流経路に沿って第1のジョセフソン接合を形成することと、
前記第1の電流経路と並列な前記デバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合を形成することと
、
電流を生成する電流発生器コンポーネントを形成することと、
第1の端子および第2の端子を備えているコンデンサを形成することと
を含
み、
前記第1の端子が前記第2の電流経路に関連付けられ、前記第2の端子が前記デバイスのグランドに関連付けられる、
方法。
【請求項10】
前記デバイスが量子ビット・デバイスである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記量子ビット・デバイスがトランズモン量子ビット・デバイスである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電流発生器コンポーネントによって前記デバイスに加えられる電流のレベルと、前記第1のジョセフソン接合に対する前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の
サイズとに基づいて、
各ジョセフソン接合間の位相差を変更して、前記デバイスの周波数を調整することをさらに含む、請求項9ないし11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1のジョセフソン接合の面積が、前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の各々の面積より大きく、前記第1のジョセフソン接合の面積が前記第2のジョセフソン接合および前記第3のジョセフソン接合の面積より大きいということに基づいて、前記第1の電流経路と前記第2の電流経路の間の電流分割比が増やされる、請求項9ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記第1の電流経路が、第1のインダクタンス・レベルを有する第1のワイヤに関連付けられ、前記第2の電流経路が、第2のインダクタンス・レベルを有する第2のワイヤに関連付けられる、請求項9ないし13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
量子ビット・デバイスであって、
前記デバイスの第1の電流経路に沿って位置する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤであって、前記高カイネティック・インダクタンス・ワイヤが、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たすカイネティック・インダクタンス・レベルを有する、前記高カイネティック・インダクタンス・ワイヤと、
前記第1の電流経路と並列な前記デバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合と
、
電流を生成する電流発生器コンポーネントと、
第1の端子および第2の端子を備えているコンデンサと
を備え
、
前記第1の端子が前記第2の電流経路に関連付けられ、前記第2の端子が前記量子ビット・デバイスのグランドに関連付けられる、量子ビット・デバイス。
【請求項16】
前記量子ビット・デバイスがトランズモン量子ビット・デバイスである、請求項
15に記載の量子ビット・デバイス。
【請求項17】
前記電流発生器コンポーネントによって前記量子ビット・デバイスに加えられる電流の量と、前記高カイネティック・インダクタンス・ワイヤに対する前記第1のジョセフソン接合および前記第2のジョセフソン接合の
サイズとに基づいて、
各ジョセフソン接合間の位相差を変更して、前記量子ビット・デバイス
の周波数
を調節
する、請求項
15または
16に記載の量子ビット・デバイス。
【請求項18】
前記第1の電流経路と前記第2の電流経路の間の電流分割比が、前記高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ、前記第1のジョセフソン接合、および前記第2のジョセフソン接合の間の関係に基づく、請求項
15ないし
17のいずれかに記載の量子ビット・デバイス。
【請求項19】
前記第1の電流経路に沿って位置する第1の誘導コンポーネントと、
前記第2の電流経路に沿って位置する第2の誘導コンポーネントと
をさらに備える、請求項
15ないし
18のいずれかに記載の量子ビット・デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、量子回路に関し、より詳細には、電流バイアスされた調整が可能な量子ビットに関する。
【発明の概要】
【0002】
以下に、開示される主題の1つまたは複数の実施形態の基本的理解を可能にするための概要を示す。この概要は、主要な要素または重要な要素を特定するよう意図されておらず、特定の実施形態の範囲または特許請求の範囲を正確に説明するよう意図されていない。この概要の唯一の目的は、後で提示されるより詳細な説明のための前置きとして、概念を簡略化された形態で提示することである。本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態では、電流バイアスされた調整が可能な量子ビットの作成、設計、または利用、あるいはその組み合わせ容易にすることができるシステム、デバイス、構造、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品、あるいはその組み合わせが提示される。
【0003】
実施形態によれば、デバイスは、デバイスの第1の電流経路に沿って位置する第1のジョセフソン接合を備えることができる。このデバイスは、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合を備えることもできる。
【0004】
別の実施形態は、デバイスの第1の電流経路に沿って第1のジョセフソン接合を形成することを含むことができる方法に関連している。この方法は、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合を形成することを含むこともできる。
【0005】
さらなる実施形態は、デバイスの第1の電流経路に沿って位置する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを備えることができる量子ビット・デバイスに関連しており、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤは、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベル(threshold kinetic inductance level)を満たすカイネティック・インダクタンス・レベルを有する。量子ビット・デバイスは、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合された第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を備えることもできる。
【0006】
これらおよびその他の特徴は、以下の詳細な実施形態例の説明から明らかになり、その説明は添付の図面と併せて読む必要がある。
【0007】
本特許ファイルまたは出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を含む本特許または特許出願公開のコピーは、要求および必要な料金の支払いに応じて、米国特許局によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用され得る、例示的な非限定的デバイスを示す図である。
【
図2】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、電流の関数としてデバイスの周波数(例えば、量子ビット周波数)の例示的なグラフを示す図である。
【
図3】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、電流の関数としてデバイスのインダクタンスの例示的なグラフを示す図である。
【
図4】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、さまざまなサイズの第1、第2、および第3のジョセフソン接合に関してデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)の各設計曲線の例示的なグラフを示す図である。
【
図5】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、さまざまなサイズの第1、第2、および第3のジョセフソン接合に関してデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)の各設計曲線の例示的なグラフを示す図である。
【
図6】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、さまざまなサイズの第1、第2、および第3のジョセフソン接合に関してデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)の各設計曲線の例示的なグラフを示す図である。
【
図7】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、さまざまなサイズの第1、第2、および第3のジョセフソン接合に関してデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)の各設計曲線の例示的なグラフを示す図である。
【
図8】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用されることが可能であり、電気的ノイズおよびパーセル損失に対するデバイスの感度を低下させることを容易にするためにローパス・フィルタまたは電流スプリッタあるいはその両方を採用することができる、例示的なデバイスを示す図である。
【
図9】デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネントおよび電流スプリッタ・コンポーネントを含むか、電流スプリッタ・コンポーネントのみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネントも電流スプリッタ・コンポーネントも含まない、さまざまな実施形態での、入力電流の関数としてのデバイスの量子ビット周波数の例示的なグラフを示す図である。
【
図10】デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネントおよび電流スプリッタ・コンポーネントを含むか、電流スプリッタ・コンポーネントのみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネントも電流スプリッタ・コンポーネントも含まない、さまざまな実施形態での、入力電流の関数としてのデバイスの非調和性の例示的なグラフを示す図である。
【
図11】デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネントおよび電流スプリッタ・コンポーネントを含むか、電流スプリッタ・コンポーネントのみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネントも電流スプリッタ・コンポーネントも含まない、さまざまな実施形態での、入力電流の関数としてのデバイスのT
1パーセル境界(T
1 Purcell bound)の例示的なグラフを示す図である。
【
図12】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、入力電流の関数としてデバイスの望ましい周波数T
2
*の例示的なグラフを示す図である。
【
図13】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用されることが可能であり、望ましく小さい相互インダクタンスを有し、ノイズに対する望ましく低下した感度も有するように望ましく変更された形状を有することができる、例示的なデバイスを示す図である。
【
図14】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの回路ループの空間の寸法Xおよび第1の電流経路の幅のさまざまな寸法値の場合の、デバイスの回路ループの空間の寸法Yの関数としてのデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能なデバイス)の磁束ノイズの例示的なグラフを示す図である。
【
図15】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法XおよびYの場合の、例示的なデバイスの入力電荷アイランド、コンデンサ電荷アイランド、およびグランド電荷アイランドの間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図16】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法XおよびYの場合の、例示的なデバイスの入力電荷アイランド、コンデンサ電荷アイランド、およびグランド電荷アイランドの間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図17】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法XおよびYの場合の、例示的なデバイスの入力電荷アイランド、コンデンサ電荷アイランド、およびグランド電荷アイランドの間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図18】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法Xのサイズの場合の、寸法Yの関数としての各ジョセフソン接合コンポーネントからの自己共振周波数の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図19】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法Xのサイズの場合の、寸法Yの関数としての各ジョセフソン接合コンポーネントからの自己共振周波数の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図20】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間のさまざまな寸法Xのサイズの場合の、寸法Yの関数としての各ジョセフソン接合コンポーネントからの自己共振周波数の各シミュレーションの例示的なグラフを示す図である。
【
図21】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を容易にするために、ジョセフソン接合と共に高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを採用することができる例示的な非限定的デバイスを示す図である。
【
図22】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、電流の関数としてデバイスの周波数(例えば、量子ビット周波数)の例示的なグラフを示す図である。
【
図23】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用され得るデバイスを形成するための例示的な非限定的方法を示すフロー図である。
【
図24】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供し、ノイズおよびパーセル損失に対するデバイスの感度を低下させることを容易にするために利用され得るデバイス上のローパス・フィルタ・コンポーネントまたは電流スプリッタ・コンポーネントあるいはその両方を形成するための例示的な非限定的方法を示すフロー図である。
【
図25】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を提供し、ノイズに対するデバイスの感度を低下させ、望ましく低い相互インダクタンスを有することを容易にするために利用され得るデバイスの回路の形状を変更または構造化するための例示的な非限定的方法を示すフロー図である。
【
図26】開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい電流バイアスされた周波数調整を容易にするために、ジョセフソン接合と共に高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを採用することができるデバイスを形成するための例示的な非限定的方法を示すフロー図である。
【
図27】本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的な非限定的動作環境のブロック図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明は、例にすぎず、実施形態、または実施形態の適用もしくは使用、あるいはその両方を制限するよう意図されていない。さらに、先行する「技術分野」または「発明の概要」のセクション、あるいは「発明を実施するための形態」のセクションで提示された、いずれかの明示された、または暗示された情報によって制約されるという意図はない。
【0010】
ここで、図面を参照して1つまたは複数の実施形態が説明され、図面全体を通じて、類似する参照番号が、類似する要素を参照するために使用されている。以下の説明では、説明の目的で、1つまたは複数の実施形態を十分に理解できるように、多数の特定の詳細が示されている。しかし、これらの特定の詳細がなくても、さまざまな事例において、1つまたは複数の実施形態が実践され得るということは明らかである。
【0011】
周波数調整が可能な量子ビット・デバイスは、多くの量子コンピューティング・アーキテクチャにおいて有用かつ望ましいことがある。周波数調整が可能な量子ビット・デバイスは、パラメトリックな動作に使用されることが可能であり、または例えば、調整可能な結合デバイスとして使用されることが可能である。周波数調整が可能な量子ビット・デバイスが低い損失および高いコヒーレンスを有することが望ましい(例えば、理想的または最適である)ことがある。
【0012】
チップ上に生成されたか、または外部コイルを使用して生成された磁場を使用して調整され得る超伝導量子干渉デバイス(SQUID:superconducting quantum interference devices)に基づく周波数調整が可能なデバイスが存在する。磁場によって調整されるSQUIDを使用する調整可能な量子ビット・デバイスは可能であるが、これらのデバイスは、望ましくない普遍的磁束ノイズもしくは磁気クロストークまたはその両方から悪影響を受ける可能性があるか、または動作するために比較的高い、望ましくないレベルの電流(例えば、約1ミリアンペア(mA))を必要とする可能性があるか、あるいはその両方のため、多くの方法において不十分であることがある。
【0013】
その結果、これらの欠陥または他の欠陥あるいはその両方から悪影響を受けない、周波数調整が可能なデバイスが存在することが望ましいことがある。例えば、より高い性能を有することができ、(例えば、SQUIDに基づく周波数調整が可能なデバイスとして望ましい調整範囲または同様の調整範囲を実現するために、より少ない電流を利用するか、または必要とすることによって)より効率的であり、望ましく小型であり、磁束ノイズおよび磁気クロストークに対して敏感でないことが可能である、望ましく設計された電流制御量子ビット(current controlled qubit)(例えば、電流制御結合器(current controlled coupler))を作成、実現、または開発することが望ましいことがある。
【0014】
そのため、本明細書に記載されたさまざまな実施形態は、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビットの設計、作成、または利用、あるいはその組み合わせを実行するための技術に関連する。一部の実施形態では、デバイス(例えば、量子ビット・デバイス)は、デバイスの第1の電流経路に沿って位置する第1のジョセフソン接合を備えることができ、第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合が、第1の電流経路と並列な第2の電流経路に沿って直列に結合されることが可能であり、第2および第3のジョセフソン接合が、デバイスの周波数を制御することを容易にすることができる。特定の実施形態では、デバイスはトランズモン量子ビット・デバイスであることができる。第1の電流経路に沿って位置する第1の誘導コンポーネント(例えば、第1のインダクタンス量を有する第1のワイヤ)、および第2の電流経路に沿って位置する第2の誘導コンポーネント(例えば、第2のインダクタンス量を有する第2のワイヤ)が存在することもできる。このデバイスは、第2および第3のジョセフソン接合に関連付けられた第1の端子と、デバイスのグランドに関連付けられた第2の端子とを含むことができるコンデンサ・コンポーネント(例えば、コンデンサ)を備えることもできる。
【0015】
一部の実施形態では、第1のジョセフソン接合の面積は、第2および第3のジョセフソン接合の各々の面積より大きくなる(例えば、大幅に大きくなる)ことができ、第1のジョセフソン接合の面積が第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合の面積より大きいということに少なくとも部分的に基づいて、第1の電流経路と第2の電流経路の間の電流分割比が増やされ得る。デバイスに加えられる電流の量と、第1のジョセフソン接合に対する第2のジョセフソン接合および第3のジョセフソン接合の配置とに少なくとも部分的に基づいて、デバイスの周波数が制御され得る。
【0016】
代替的(または追加的)に、他の実施形態では、デバイスは、ジョセフソン接合の代わりに(またはジョセフソン接合に加えて)、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを第1の電流経路内に含むことができる。例えば、デバイス(例えば、量子ビット・デバイス)は、デバイスの第1の電流経路に沿って位置する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを備えることができ、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤは、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たすことができるカイネティック・インダクタンス・レベルを有することができる。このデバイスは、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合され得る第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合を備えることもできる。第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合は、デバイスの周波数を調節することを容易にすることができる。
【0017】
第1の電流経路に沿って位置する第1の誘導コンポーネント(例えば、(高カイネティック・インダクタンス・ワイヤのインダクタンスに加えて)第1のインダクタンス量を有する第1のワイヤ)、および第2の電流経路に沿って位置する第2の誘導コンポーネント(例えば、第2のインダクタンス量を有する第2のワイヤ)が存在することもできる。このデバイスは、第1および第2のジョセフソン接合に関連付けられた第1の端子と、デバイスのグランドに関連付けられた第2の端子とを含むことができるコンデンサ・コンポーネント(例えば、コンデンサ)を備えることもできる。
【0018】
デバイスに加えられる電流の量と、および高カイネティック・インダクタンス・ワイヤに対する第1のジョセフソン接合および第2のジョセフソン接合の配置とに少なくとも部分的に基づいて、量子ビット・デバイスの周波数が調節され得る。第1の電流経路と第2の電流経路の間の電流分割比は、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ、第1のジョセフソン接合、および第2のジョセフソン接合の間の関係に少なくとも部分的に基づくことができる。
【0019】
ここで、開示される主題のこれらおよび他の態様および実施形態が、図面に関して説明される。
【0020】
図1は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用され得る、例示的な非限定的デバイス100の図を示している。一部の実施形態では、デバイス100は、例えば、トランズモン量子ビット・デバイスなどの量子ビット・デバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)であることができる。
【0021】
デバイス100は、(例えば、電流がデバイス100に供給されるときに)第1の電流(I1)を有することができる第1の電流経路104に沿って位置することができる第1のジョセフソン接合コンポーネント102(JJ1)を備えることができる。第1の電流経路104は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102に関連付けられ得る第1の誘導コンポーネント106を含むこともできる。第1の誘導コンポーネント106は、望ましい導電材料の第1のワイヤであることができ、または第1のワイヤを備えることができ、第1の誘導コンポーネント106は、第1のレベルのインダクタンス(L1)を有することができる。ジョセフソン接合は、比較的薄い障壁(例えば、非超伝導材料または絶縁体材料で形成された障壁)によって互いに分離され得る2つの超伝導コンポーネント(例えば、超伝導電極)を備えることができる量子力学的デバイスであることができ、障壁は、例えば、比較的薄い絶縁トンネル障壁(insulating tunnel barrier)、望ましい金属材料、半導体、または望ましい磁性材料(例えば、強磁性体)であるか、またはこれらを含むことができる。
【0022】
デバイス100は、第1の電流経路104と並列な第2の電流経路112に沿って直列に結合され得る第2のジョセフソン接合コンポーネント108(JJ2)および第3のジョセフソン接合コンポーネント110(JJ3)を備えることもでき、第2の電流経路112は、(例えば、電流がデバイス100に供給されるときに)第2の電流(I2)を有することができ、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は、デバイス100の周波数を制御することを容易にすることができる。例えば、電流源(例えば、電流発生器コンポーネント)を使用してデバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)を制御し(例えば、調節または調整し)、電流源に対して第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110を制御する場合、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は、第2の電流経路112内で互いに直列であることができる。すなわち、電流源の視点からは、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は互いに直列であることができる。第2の電流経路112は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関連付けられ得る第2の誘導コンポーネント114を含むこともできる。第2の誘導コンポーネント114は、望ましい導電材料の第2のワイヤであることができ、または第2のワイヤを備えることができ、第2の誘導コンポーネント114は、第2のレベルのインダクタンス(L2)を有することができる。第1の誘導コンポーネント106の第1のレベルのインダクタンスは、例えば、第1の誘導コンポーネント106の自己インダクタンスまたは実効インダクタンス(例えば、第1のワイヤの自己インダクタンスまたは実効インダクタンス)を含むことができ、第2の誘導コンポーネント114の第2のレベルのインダクタンスは、例えば、第2の誘導コンポーネント114の自己インダクタンスまたは実効インダクタンス(例えば、第2のワイヤの自己インダクタンスまたは実効インダクタンス)を含むことができる。
【0023】
デバイス100は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関連付けられた(例えば、これらの間の第2の電流経路に接続された)第1の端子と、デバイス100のグランド118に関連付けられ得る(例えば、接続され得る)第2の端子とを含むことができるコンデンサ・コンポーネント116(例えば、コンデンサ)を備えることもできる。デバイス100のコンデンサ・コンポーネント116(例えば、量子ビット・コンデンサ)の視点から第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110について考えると、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は、コンデンサ・コンポーネント116に対して並列であるように見えるが、やはり電流源の視点からは、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は、第2の電流経路112内で互いに直列に結合され得る。1つの非限定的な例では、コンデンサ・コンポーネント116は、60フェムトファラッド(fF)であることができるが、必要に応じて、60fFより大きいか、または小さい別の望ましい静電容量のコンデンサがデバイス100において利用され得る。
【0024】
デバイス100は、望ましい電流レベルを有する望ましい電流(例えば、望ましいパルス形を有する電流パルス)を生成できる電流発生器コンポーネント120(例えば、電流パルス発生器)を含むこともできる。電流発生器コンポーネント120は、デバイス100の周波数の調整を制御することを容易にするために、望ましい電流バイアスを、第1の電流経路104および第2の電流経路112を含む回路ループ(例えば、超伝導回路ループ)に加えるか、または供給することができ、第1の電流経路104に関連付けられた第1のジョセフソン接合コンポーネント102と、第2の電流経路112に関連付けられた第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の各サイズ(例えば、各面積)に少なくとも部分的に基づいて、電流の第1の部分が第1の電流経路104を流れることができ、電流の第2の部分が第2の電流経路112を流れることができる。電流の各部分が第1の電流経路104および第2の電流経路112を流れるときに、電流の各部分は、ジョセフソン接合(例えば、102、108、および110)間の各位相差を変更するために使用されることが可能であり、各ジョセフソン接合間の位相差(例えば、超伝導位相差)は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の場合はδ1、第2のジョセフソン接合コンポーネント108の場合はδ2、および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の場合はδ3によって表され得る。ジョセフソン接合の位相差が変更された場合、それに応じて、そのジョセフソン接合のインダクタンス(例えば、インダクタンスの量またはレベル)が変更され得る。
【0025】
一部の実施形態では、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の各々の面積より大きく(例えば、大幅に大きく)なることができる。例えば、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の第1の面積は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108の第2の面積および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の第3の面積より約100倍以上または100倍未満(例えば、50倍、60倍、70倍、...、110倍、120倍、...)大きくなることができる。特定の実施形態では、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズは同じであることができるが、必要に応じて、他の実施形態では、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズは互いに異なることができる。
【0026】
第1の電流経路104と第2の電流経路112の間の電流分割比(例えば、I2/I1)は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積が第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の面積より大きいことに少なくとも部分的に基づいて増やされ得る。デバイス100の周波数は、電流発生器コンポーネント120によってデバイス100に加えられる電流の量と、第1のジョセフソン接合コンポーネント102に対する第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の配置と、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズに対する(例えば、そのサイズと比較した)第1のジョセフソン接合コンポーネント102のサイズ(例えば、面積)とに少なくとも部分的に基づいて制御される(例えば、管理される、調節される、変更される、または調整される)ことが可能である。
【0027】
特に望ましく、電流によって制御される周波数調整が可能なデバイスであることができ、デバイス100の回路に配置されているような3つのジョセフソン接合(例えば、第1、第2、および第3のジョセフソン接合コンポーネント102、108、および110)を利用できるデバイス100は、ジョセフソン接合を通る加えられた(例えば、電流発生器コンポーネント120から供給された)電流を使用して、ジョセフソン接合のインダクタンスを変更することができ、I=Icsinδであり、ジョセフソン接合の誘導(LJJ)が、例えば、次のように方程式(方程式(1))において決定され得る。
【0028】
【0029】
しかし、ジョセフソン接合を採用する従来の調整可能な量子ビットまたは結合器デバイスは、電流線から生成された磁場を使用して量子ビット周波数を調整し、電流ループが、ジョセフソン接合を含んでいる回路から電気的に絶縁され、電流ループが、電流ループによって生成された磁場からの相互インダクタンスのみを介して、ジョセフソン接合を含んでいる回路に関連付けられるか、または結合される。電流バイアスからジョセフソン接合への直接の電流経路は存在しない。そのような従来の調整可能な量子ビットまたは結合器デバイスでは、磁場(例えば、SQUIDループに通される磁束)がジョセフソン接合の位相差、およびしたがって、ジョセフソン接合インダクタンスを変更することができ、このようにして、量子ビット周波数における変更を可能にすることができる。すなわち、そのような従来の調整可能な量子ビットまたは結合器デバイスでは、磁場(例えば、SQUIDループに通される磁束)が、量子ビットまたは結合器の周波数を調整するために使用され得る、ジョセフソン接合インダクタンスに関連付けられた位相差を制御する。
【0030】
これに対して、デバイス100(例えば、電流によって制御される周波数調整が可能なデバイス)を含んでいる開示される主題は、量子ビット周波数を調整するために、電流線から生成された磁場を使用する必要がない。代わりに、開示される主題(例えば、デバイス100)は、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、ジョセフソン接合(例えば、第1、第2、または第3のジョセフソン接合コンポーネント102、108、または110)を通る加えられた電流(例えば、電流発生器コンポーネント120から供給された電流)を利用して、ジョセフソン接合のインダクタンスを変更し、デバイスの周波数の望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)調整を可能にすることを容易にすることができる。
【0031】
図2および3を(
図1と共に)簡単に参照すると、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、
図2は、マイクロアンペア(μA)単位の電流の関数としてギガヘルツ(GHz)単位のデバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)の例示的なグラフ200の図を示しており、
図3は、マイクロアンペア単位の電流の関数としてナノヘンリー(nH)単位のデバイス100のインダクタンスの例示的なグラフ300の図を示している。非限定的な例では、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の面積より約100倍大きくなることができる。第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関しては、それぞれ、電流I
C2が20ナノアンペア(nA)であることができ、電流I
C3が20nAであることができる。第1のジョセフソン接合コンポーネント102に関連付けられた電流I
C1は、2000nAであることができる。コンデンサ・コンポーネント116の静電容量は、65fFであることができる。第1のレベルのインダクタンス(L
1)および第2のレベルのインダクタンス(L
2)のインダクタンス・レベルは、それぞれ12ピコヘンリー(pH)であることができる。本明細書において説明されているように、第1のジョセフソン接合コンポーネント102が第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に対して配置され、サイズ設定されると、第1のジョセフソン接合コンポーネント102は、電流分割比(I
2/I
1)における望ましい増加を容易にする(例えば、可能にする)ことができ、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の望ましい電流バイアス効果をもたらすことができる。例えば、第1のジョセフソン接合コンポーネント102は、電流分割比(I
2/I
1)を増やすために利用されるのが望ましく、デバイス100の調整の効果(例えば、電流バイアスされた調整の効果)の大部分は、一部分において第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に起因することができる(例えば、発生することができる)。
【0032】
図2のグラフ200では、デバイス100の電流I
inの関数としての周波数のプロット202から、望ましい周波数スポット(例えば、0.0μAでの約6.65GHzなどのスイートスポット周波数)からの10%の調整の場合、デバイス100(例えば、電流バイアスされた量子ビット・デバイス)が約1.85μAのみの使用を伴うことができるということが観察され得る。これに対して、標準的な場に基づくデバイス(例えば、磁場によって調整されるトランズモン・デバイス)は、望ましい周波数スポット(例えば、スイートスポット周波数)からの10%の調整を達成するために、大幅により多くの電流(例えば、最大で34μAまで)を必要とする可能性がある。スイートスポット周波数は、プロット202の曲線の最上部であることができ、または別の望ましい周波数であることができる。
【0033】
図3のグラフ300に関しては、グラフ300は、デバイス100の電流の関数として、第1のジョセフソン接合コンポーネント102のインダクタンスのプロット302を含むことができる。グラフ300は、デバイス100の電流の関数として、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の各インダクタンスのプロット304および306を含むこともできる(グラフ300では、プロット304およびプロット306が互いに重複するか、または少なくとも実質的に重複するため、プロット304およびプロット306は、基本的に単一の線グラフであるかのように見える)。
【0034】
グラフ300では、プロット302から、第1のジョセフソン接合コンポーネント102のインダクタンスが、-2.0μA~2.0μAの電流の範囲にわたって0.5nH近くになることができる(例えば、約0.15nHと約0.9nHの間の範囲にわたることができる)ということが観察され得る。プロット304および306から、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のインダクタンスが同じになるか、または少なくとも実質的に同じになることができ、第1のジョセフソン接合コンポーネント102のインダクタンスより相対的に高くなることができ、第1のジョセフソン接合コンポーネント102のインダクタンスと比較して、電流の範囲にわたって、より大きく変化することができるということも観察され得る。例えば、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のインダクタンスは、それぞれ、0.0μAで約17.0nHになることができ、電流が0.0μAから2.0μAへ、または0.0μAから-2.0μAへ変化するにつれて、約22.0nHに徐々に増えることができる。
【0035】
デバイス100の以下の分析は、デバイス100の3つのジョセフソン接合結合器(Josephson junction coupler)に関するさらなる詳細を提供することができる。第1のレベルのインダクタンス(L
1)および第2のレベルのインダクタンス(L
2)は、デバイス100の回路の2つの分岐の幾何学的インダクタンスであることができる。第1の電流(I
1)および第2の電流(I
2)に起因するデバイス100の回路の磁束(Φ
1およびΦ
2)は、それぞれ、次のように方程式(2)および方程式(3)において決定され得る。
【数2】
【数3】
ここで、Mは、デバイス100の回路の2つの分岐間の相互インダクタンスであることができ、Mは、通常、第1のレベルのインダクタンス(L
1)および第2のレベルのインダクタンス(L
2)より小さくなることができる。
【0036】
デバイス100の回路の全磁束(Φ
T)は、次のように方程式(4)において決定され得る。
【数4】
ここで、回路の2つの分岐は磁束の反対符号を与え、Φ
extは外部磁束を表すことができる。
【0037】
一価性からの位相の条件セットに起因して、次のようになる。
【0038】
【0039】
【数6】
ここで、δ
1は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102に関連付けられた位相を表すことができ、δ
2は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108に関連付けられた位相を表すことができ、δ
3は、第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関連付けられた位相を表すことができ、nは望ましい(例えば、任意の)整数値であることができる。
【0040】
ジョセフソン接合の電流関係(デバイスの以下の臨界電流を仮定する)およびキルヒホッフの電流法則(KCL:Kirchhoff’s Current Law)を使用して、方程式(4)、(5)、および(6)から進み、以下の方程式に従うことができる。
【0041】
【0042】
【0043】
【数9】
ここで、I
inは、電流発生器コンポーネント120によって供給され得る入力(例えば、ソース)電流であることができ、
【数10】
は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の臨界電流であることができ、
【数11】
は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108の臨界電流であることができ、
【数12】
は、第3のジョセフソン接合コンポーネント110の臨界電流であることができる。方程式(9)から、さまざまなI
inの値について、数値またはグラフあるいはその両方を用いてI
2が解かれ得る。
【0044】
図4~7を(
図1と共に)参照すると、
図4~7は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、さまざまなサイズの第1、第2、および第3のジョセフソン接合コンポーネントに関してデバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)の各設計曲線の例示的なグラフ400、500、600、および700の図を示している。第1のジョセフソン接合コンポーネント102、第2のジョセフソン接合コンポーネント108、および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズを調節することによって、デバイス100の調整範囲および感度が変更され得る(例えば、変化し得る)。それに関して、
図4~7のグラフ400、500、600、および700の場合、I
C=r×20nAであり、I
Cはジョセフソン接合の臨界電流であることができ、特定のジョセフソン接合の特定のrの特定の値が、その特定のジョセフソン接合のサイズに関連することができる。第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズは、量子ビット・コンデンサ(例えば、コンデンサ・コンポーネント116)の望ましくない容量性負荷を防ぐために、最大で5(例えば、r
2=5またはr
3=5あるいはその両方)までのみに増やされる。
図4~7の各グラフ400、500、600、および700では、グラフ400、500、600、および700のすべてにわたって約6GHzで最大量子ビット周波数を維持することを可能にするために、量子ビットの静電容量が最大で約400fFまでに変更されているということに注意する。また、グラフ400、500、600、および700に示されたすべてのモデルにおいて、ジョセフソン接合の静電容量(例えば、2fF/20nA)が考慮される。設計曲線(例えば、グラフ400、500、600、または700、あるいは開示される主題から導き出され得る他の設計曲線)に少なくとも部分的に基づいて、望ましい調整範囲または望ましい周波数が決定され得る。
【0045】
図4は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、第2のジョセフソン接合コンポーネント108のr
2および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のr
3の値がそれぞれ1に設定された場合の第1のジョセフソン接合コンポーネント102のr
1のさまざまな値(例えば、サイズ値)に関して、電流I
inの関数として、デバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)に関連する設計曲線の例示的なグラフ400の図を示している。グラフ400では、r
1の値は、1から100に及ぶことができ、r
2および
r3は、それぞれ1に等しい。グラフ400は、r
1=1の場合のプロット402、r
1=5の場合のプロット404、r
1=10の場合のプロット406、r
1=25の場合のプロット408、r
1=50の場合のプロット410、およびr
1=100の場合のプロット412を示している。
【0046】
図5は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、第2のジョセフソン接合コンポーネント108のr
2の値が1に設定され、第3のジョセフソン接合コンポーネント110のr
3の値が5に設定された場合の第1のジョセフソン接合コンポーネント102のr
1のさまざまな値に関して、電流I
inの関数として、デバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)に関連する設計曲線の例示的なグラフ500の図を示している。グラフ500は、r
1=1の場合のプロット502、r
1=5の場合のプロット504、r
1=10の場合のプロット506、r
1=25の場合のプロット508、r
1=50の場合のプロット510、およびr
1=100の場合のプロット512を示している。
【0047】
図6は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、第2のジョセフソン接合コンポーネント108のr
2の値が5に設定され、第3のジョセフソン接合コンポーネント110のr
3の値が1に設定された場合の第1のジョセフソン接合コンポーネント102のr
1のさまざまな値に関して、電流I
inの関数として、デバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)に関連する設計曲線の例示的なグラフ600の図を示している。グラフ600は、r
1=1の場合のプロット602、r
1=5の場合のプロット604、r
1=10の場合のプロット606、r
1=25の場合のプロット608、r
1=50の場合のプロット610、およびr
1=100の場合のプロット612を示している。
【0048】
図7は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、第2のジョセフソン接合コンポーネント108のr
2、第3のジョセフソン接合コンポーネント110のr
3の値がそれぞれ5に設定された場合の第1のジョセフソン接合コンポーネント102のr
1のさまざまな値に関して、電流I
inの関数として、デバイス100の周波数(例えば、量子ビット周波数)に関連する設計曲線の例示的なグラフ700の図を示している。グラフ700は、r
1=1の場合のプロット702、r
1=5の場合のプロット704、r
1=10の場合のプロット706、r
1=25の場合のプロット708、r
1=50の場合のプロット710、およびr
1=100の場合のプロット712を示している。
【0049】
グラフ400、500、600、および700の各プロットから観察され得るように、第1のジョセフソン接合コンポーネント102のサイズを減らすことによって(例えば、r1の値を減らすことによって)、I2/I1の比率をさらに増やすことができ、量子ビット・デバイスのより大きい周波数調整範囲をもたらすことができる。しかし、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の面積より約100倍大きくなるように、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積が選択された場合でも、第1のジョセフソン接合コンポーネント102は、デバイス100の電流分割比(例えば、I2/I1の比率)を望ましく増やし、デバイス100の望ましい周波数調整範囲をもたらすことができる。
【0050】
一部の例では、デバイス100は、パーセル損失および電気的ノイズに対して敏感である可能性があり、これは望ましくないことがある。一部の実施形態では、デバイス(例えば、電流バイアスされた量子ビット・デバイス)の感度を低下させることを容易にするために、パーセル損失および電気的ノイズに対するデバイスの感度を望ましく(例えば、適切に、許容できるように、または最適に)低下させることができるローパス・フィルタまたは電流スプリッタあるいはその両方が利用され得る。
【0051】
それに関して、
図8は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用されることが可能であり、電気的ノイズおよびパーセル損失に対するデバイス800の感度を低下させることを容易にするためにローパス・フィルタまたは電流スプリッタあるいはその両方を採用することができる、例示的なデバイス800(例えば、デバイスの例示的な回路)の図を示している。一部の実施形態では、デバイス800は、例えば、トランズモン量子ビット・デバイスなどの量子ビット・デバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)であることができる。デバイス800は、第1の電流(I
1)を有することができる第1の電流経路104に沿って位置することができる第1のジョセフソン接合コンポーネント102(JJ1)を備えることができる。第1の電流経路104は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102に関連付けられ得る第1の誘導コンポーネント106を含むこともできる。第1の誘導コンポーネント106は、望ましい導電材料の第1のワイヤであることができ、または第1のワイヤを備えることができ、第1の誘導コンポーネント106は、第1のレベルのインダクタンス(L
1)を有することができる。
【0052】
デバイス800は、第1の電流経路104と並列な第2の電流経路112に沿って直列に結合され得る第2のジョセフソン接合コンポーネント108(JJ2)および第3のジョセフソン接合コンポーネント110(JJ3)を備えることもでき、第2の電流経路112は、第2の電流(I2)を有することができ、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110は、デバイス800の周波数を制御することを容易にすることができる。第2の電流経路112は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関連付けられ得る第2の誘導コンポーネント114を含むこともできる。第2の誘導コンポーネント114は、望ましい導電材料の第2のワイヤであることができ、または第2のワイヤを備えることができ、第2の誘導コンポーネント114は、第2のレベルのインダクタンス(L2)を有することができる。
【0053】
デバイス800は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110に関連付けられた第1の端子と、デバイス800のグランド118に関連付けられた第2の端子とを含むことができるコンデンサ・コンポーネント116を備えることもできる。デバイス800は、望ましい電流レベルを有する望ましい電流(例えば、望ましいパルス形を有する電流パルス)を生成できる電流発生器コンポーネント120をさらに含むことができる。
【0054】
一部の実施形態では、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積は、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の各々の面積より大きく(例えば、100倍以上、または100倍未満大きく)なることができる。第1の電流経路104と第2の電流経路112の間の電流分割比(例えば、I2/I1)は、第1のジョセフソン接合コンポーネント102の面積が第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の面積より大きいことに少なくとも部分的に基づいて増やされ得る。デバイス800の周波数は、電流発生器コンポーネント120によってデバイス800に加えられる電流の量と、第1のジョセフソン接合コンポーネント102に対する第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110の配置と、第2のジョセフソン接合コンポーネント108および第3のジョセフソン接合コンポーネント110のサイズに対する(例えば、そのサイズと比較した)第1のジョセフソン接合コンポーネント102のサイズ(例えば、面積)とに少なくとも部分的に基づいて制御されることが可能である。
【0055】
特定の実施形態では、デバイス800は、ローパス・フィルタ・コンポーネント802を備えることができ、ローパス・フィルタ・コンポーネント802の入力は、電流発生器コンポーネント120の出力に関連付けられる(例えば、接続される)ことが可能であり、ローパス・フィルタ・コンポーネント802の出力は、第1の電流経路104および第2の電流経路112に関連付けられることが可能である(例えば、回路内のノードが第1の電流経路104および第2の電流経路112に関連付けられる)。一部の実施形態では、ローパス・フィルタ・コンポーネント802は、1.4GHzのローパス・フィルタであることができるが、他の実施形態では、ローパス・フィルタ・コンポーネント802は、必要に応じて、1.4GHzより高いか、または低いローパス・カットオフ周波数を有するように設計され、構築され得る。ローパス・フィルタ・コンポーネント802は、コンデンサ・コンポーネント804およびインダクタ・コンポーネント806を備えることができ、インダクタ・コンポーネント806は、直列に、電流発生器コンポーネント120と負荷(例えば、ジョセフソン接合コンポーネント102、108、および110、ならびにコンデンサ・コンポーネント116)の間に接続されることが可能であり、コンデンサ・コンポーネント804は、第1の端子が電流発生器コンポーネント120およびインダクタ・コンポーネント806に接続され、第2の端子がグランド118に接続されて、電流発生器コンポーネント120および負荷と並列であることができる。実施形態例では、コンデンサ・コンポーネント804が1.5ピコファラッド(pF)の静電容量を有することができ、インダクタ・コンポーネント806が8nHのインダクタンスを有することができるが、他の実施形態では、必要に応じて、コンデンサ・コンポーネント804が1.5pFより大きいか、または小さい静電容量を有することができ、またはインダクタ・コンポーネント806が8nHより大きいか、または小さいインダクタンスを有することができ、あるいはその両方が可能である。
【0056】
一部の実施形態では、追加的または代替的に、デバイス800は、第1の端子でインダクタ・コンポーネント806、第1の電流経路104、および第2の電流経路112に接続されることが可能であり、第2の端子でグランド118に接続されることが可能である、電流スプリッタ・コンポーネント808を備えることができる。電流スプリッタ・コンポーネント808は、ローパス・フィルタ・コンポーネント802の出力から第1の電流経路104および第2の電流経路112に流れる電流を分割し(split)(例えば、分割し(divide))、電流スプリッタ・コンポーネント808を介して電流の一部をグランド・プレーン(例えば、グランド118)に方向転換することができる。特定の実施形態では、電流スプリッタ・コンポーネント808は、例えば、12pH、12pHより大きいか、または小さい別の望ましいインダクタンスなどの、望ましいインダクタンスを有することができるインダクタ・コンポーネントを含むことができる。さまざまな実施形態に従って、電流スプリッタ・コンポーネント808は、デバイス800の他のコンポーネントと共にチップ(例えば、集積回路(IC:integrated circuit)チップ)上に存在することができ、または電流スプリッタ・コンポーネント808は、チップ外に存在する(例えば、デバイス800の他のコンポーネントのすべてまたは一部とは別のICチップ上に位置する)が、追加の望ましくないノイズをデバイス800に導入しないように、損失がないことができる。
【0057】
例示的なデバイス800の量子回路アナライザ・ツール(QuCAT:Quantum circuit analyzer tool)モデリングは、デバイス800の特定の特徴を示すことができる。QuCATは、デバイス800の回路のハミルトニアンを導き出すために使用され得る。回路のモデルは、本明細書において説明されているように、ローパス・フィルタ・コンポーネントおよび電流スプリッタ・コンポーネントを含むことができる。
図9および10を(
図8と共に)簡単に参照すると、
図9は、デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を含むか、電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含まない、さまざまな実施形態での、入力(例えば、ソース)電流(I
in)の関数としての例示的なデバイス800の量子ビット周波数の例示的なグラフ900の図を示している。
図10は、デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を含むか、電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含まない、さまざまな実施形態での、入力電流の関数としての例示的なデバイス800の非調和性(メガヘルツ(MHz)単位)の例示的なグラフ1000の図を示している。
【0058】
図9の例示的なグラフ900に関しては、グラフ900は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含んでいない場合の、入力電流(μA単位のI
in)の関数として、例示的なデバイス800の量子ビット周波数(GHz単位)のプロット902を含むことができる。グラフ900は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を両方とも含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800の量子ビット周波数のプロット904を含むこともできる。グラフ900は、デバイス800が電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800の量子ビット周波数のプロット906をさらに含むことができる。(グラフ900では、プロット904およびプロット906が実質的に互いに重複しているため、結果として、プロット904およびプロット906が基本的に単一の線であるかのように見えるということに注意する。)解析モデリングにとっては、ソース電流に対する量子ビット周波数における良好な一致が存在することができるのが望ましい。
【0059】
図10の例示的なグラフ1000に関しては、グラフ1000は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含んでいない場合の、入力電流(μA単位のI
in)の関数として、例示的なデバイス800の非調和性(MHz単位)のプロット1002を含むことができる。グラフ1000は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を両方とも含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800の非調和性のプロット1004を含むこともできる。グラフ1000は、デバイス800が電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800の非調和性のプロット1006をさらに含むことができる。(グラフ1000では、プロット1004およびプロット1006が実質的に互いに重複しているため、結果として、プロット1004およびプロット1006が基本的に単一の線のように見えるということに注意する。)
【0060】
QuCATモデリングは、量子ビット・デバイスに関して電流ノイズおよびパーセル損失を調べるために利用されることも可能である。量子ビット・デバイスにおける電流ノイズは、緩和を引き起こす可能性があり、緩和は、揺動散逸定理によって説明されることが可能であり、次のように方程式(10)によって与えられ得る。
【0061】
【数13】
数値的評価を容易にするために、電流における相対的に小さい変化に関して、
【数14】
がQuCATから取得され得る。これを数値的評価に使用すると、
【数15】
であることが分かるため、電流ノイズによって引き起こされる緩和が存在せず、したがって、電流が量子ビット・デバイスを励起することができないということが観察され得る。
【0062】
デバイス800(例えば、量子ビット・デバイス)などのデバイスのパーセル損失は、アドミタンス形式によって、または(例えば、ローパス・フィルタ・コンポーネントおよび電流スプリッタ・コンポーネントを含む、T
1>3ミリ秒(ms)のデバイスの場合は)QuCATから直接、決定され得る。
図11を(
図8と共に)簡単に参照すると、
図11は、デバイスがローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を含むか、電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含むか、またはローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含まない、さまざまな実施形態での、入力(例えば、ソース)電流(I
in)の関数としての例示的なデバイス800のT
1パーセル境界の例示的なグラフ1100の図を示している。グラフ1100は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802も電流スプリッタ・コンポーネント808も含まない場合の、入力電流(μA単位)の関数として、例示的なデバイス800のT
1パーセル境界のプロット1102を含むことができる。グラフ1100は、デバイス800がローパス・フィルタ・コンポーネント802および電流スプリッタ・コンポーネント808を両方とも含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800のT
1パーセル境界のプロット1104を含むこともできる。グラフ1100は、デバイス800が電流スプリッタ・コンポーネント808のみを含んでいる場合の、入力電流の関数として、例示的なデバイス800のT
1パーセル境界のプロット1106をさらに含むことができる。
【0063】
デバイス800のジョンソン・ノイズ感度(Johnson noise sensitivity)が調べられることも可能である。通常は、相対的に小さい量の電流(例えば、数μA)しかデバイス800の周波数調整に利用されないため、必要に応じて、従来の量子ビットと比較して、さらなる減衰が追加され得る。5ボルト(V)および約100mAを供給する任意波形発生器(AWG:arbitrary waveform generator)を仮定すると、必要に応じて、デバイス800は、100デシベル(dB)減衰されることが可能であり、周波数調整に使用できる10μAをまだ有することができる。
【0064】
例えば、例示的なデバイス800で、4K、1K、および100mKの各プレート上に20dBの減衰が存在する場合、ノイズ電流は
【数16】
(ジョンソン電流ノイズ)であることができ、Kはケルビン温度であることができ、mKはミリケルビンであることができ、pAはピコアンペアであることができる。
【0065】
量子ビット・デバイスの感度およびパワー・スペクトル密度ノイズを調べることを容易にするために、例えば、次の方程式(方程式11、12、および13)が次のように利用され得る。
【0066】
【0067】
【0068】
【数19】
ここで、T
*
2は望ましい周波数スポット(例えば、スイートスポット周波数)であることができ、Dはデバイス800の感度であることができ、S
Iはデバイス800のパワー・スペクトル密度ノイズであることができる。望ましい周波数スポット(例えば、スイートスポット周波数)からの量子ビット・デバイスの10%のデチューンの場合、(デバイス800などの電流制御デバイスの場合は)T
*
2=4.35μsであり、(磁場によって調整されるトランズモン・デバイスなどの磁場制御デバイスの場合は)T
*
2=1455μsであり、μsはマイクロ秒であることができる。
【0069】
必要に応じて、一部の実施形態では、設計によって、または本明細書において説明されているように、望ましい量の電流をグランド・プレーンに方向転換することができる電流スプリッタ(例えば、電流スプリッタ・コンポーネント808)を追加することによって、あるいはその両方によって、デバイス800の感度が低下し得る。例えば、デバイス800において(例えば、設計または電流スプリッタ・コンポーネント808あるいはその両方によって)10倍の電流を方向転換することによって、感度Dを1/10に低下させることができ、パワー・スペクトル密度ノイズSIを1/100に低下させることができ、T*
2=43.5msを与えると共に、本明細書において説明されるように、パーセル損失の望ましい抑制も実現する。
【0070】
磁束における相対的に小さい変化に対して量子ビット周波数における変化を調べる場合、T*
2が、例えば、次のような方程式(14)を使用して、異なる量の普遍的磁束ノイズを伴う入力電流の関数として推定され得る。
【0071】
【数20】
特定の実施形態では、例えば、ジョセフソン接合(例えば、第1、第2、または第3のジョセフソン接合コンポーネント102、108、または110)を接続する相対的に広いワイヤ・セグメント、および磁束内に受け入れるための相対的に小さい穴を含む相対的に小さい外周ループを作ることによって、さらなる改良が実現されることが可能であり、これによって、量子ビット・デバイス(例えば、デバイス800)を環境場に対して望ましく敏感でないようにすることもできる。
【0072】
図12を(
図8と共に)簡単に参照すると、
図12は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、入力(例えば、ソース)電流(I
in)の関数として例示的なデバイス800の望ましい周波数(例えば、スイートスポット周波数または他の望ましい周波数)T
*
2の例示的なグラフ1200の図を示している。グラフ1200は、A=10
-5Φ
0の場合に、入力電流(μA単位)の関数として、例示的なデバイス800の望ましい周波数(例えば、スイートスポット周波数または他の望ましい周波数)T
*
2(秒(s)単位)のプロット1202を含むことができる。グラフ1200は、A=10
-6Φ
0の場合に、入力電流(μA単位)の関数として、例示的なデバイス800の望ましい周波数(例えば、スイートスポット周波数または他の望ましい周波数)T
*
2のプロット1204を含むことができる。
【0073】
開示される主題のさまざまな実施形態に従って、量子ビット・デバイス(例えば、デバイス100またはデバイス800)の磁束ノイズの感度および相互インダクタンスが、デバイスのコンポーネントの形状によって望ましく低下し得る。量子ビット・デバイスは、磁場の調整も十分に大きい相互インダクタンスも必要としないため、相対的に小さい(例えば、非常に小さい)相互インダクタンスを有し、磁束ノイズに対する低下した感度も有するように、量子ビット・デバイスの形状が変更され得る。
【0074】
図13を参照すると、
図13は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用されることが可能であり、望ましく小さい相互インダクタンスを有し、ノイズ(例えば、磁束ノイズまたは他のノイズあるいはその両方)に対する望ましく低下した感度も有するように望ましく変更された形状を有することができる、例示的なデバイス1300の図を示している。例示的なデバイス1300は、例えば、電流バイアスされた量子ビット・デバイスであることができる。一部の実施形態では、例示的なデバイス1300は、電流バイアスされたトランズモン量子ビット・デバイスであることができる。デバイス1300が、デバイス1300の第1の
図1302、およびジョセフソン接合を含んでいるデバイス1300の一部の第2の
図1304(例えば、分解図または拡大図)で示されている。
【0075】
デバイス1300は、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306(JJ1)、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308(JJ2)、第3のジョセフソン接合コンポーネント1310(JJ3)、コンデンサ・コンポーネント1312(例えば、量子ビット・コンデンサ)、グランド・プレーン1314(例えば、グランド)、および入力1316を備えることができる。各コンポーネント(例えば、1306、1308、1310、1312、1314、および1316)は、例えば、
図1のデバイス100に関して本明細書において説明されているように、互いに相対的に回路内に配置され得る。例えば、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306は、(例えば、電流発生器コンポーネントによって例えば入力1316を介して電流が加えられるときに)第1の電流(I
1)を有することができる第1の電流経路1318に沿って位置することができる。第1の電流経路104は、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306に関連付けられ得る第1の誘導コンポーネント(
図13には明示的に示されていない)を含むこともできる。第1の誘導コンポーネントは、望ましい導電材料の第1のワイヤであることができ、または第1のワイヤを備えることができ、第1の誘導コンポーネントは、第1のレベルのインダクタンス(L
1)を有することができる。第2のジョセフソン接合コンポーネント1308および第3のジョセフソン接合コンポーネント1310は、第1の電流経路1318と並列であることができる第2の電流経路1320に沿って直列に結合されることが可能であり、第2の電流経路1320は、第2の電流(I
2)を有することができる。第2の電流経路1320は、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308および第3のジョセフソン接合コンポーネント1310に関連付けられ得る第2の誘導コンポーネント(
図13には明示的に示されていない)を含むことができる。第2の誘導コンポーネントは、望ましい導電材料の第2のワイヤであることができ、または第2のワイヤを備えることができ、第2の誘導コンポーネントは、第2のレベルのインダクタンス(L
2)を有することができる。コンデンサ・コンポーネント1312は、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308および第3のジョセフソン接合コンポーネント1310に関連付けられた(例えば、これらの間の第2の電流経路1320に接続された)第1の端子と、グランド・プレーン1314に関連付けられ得る(例えば、接続され得る)第2の端子とを含むことができる。
【0076】
デバイス1300の幾何学的特徴は、第1の電流経路1318(例えば、第1の電流経路1318の第1のワイヤ)および第1のジョセフソン接合コンポーネント1306の幅1322(W)と、第1の電流経路1318、第2の電流経路1320、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308、第3のジョセフソン接合コンポーネント1310、およびコンデンサ・コンポーネント1312に関連付けられたパッド1330(例えば、コンデンサ・コンポーネント1312に接続することができるパッドまたはコンデンサ電荷アイランド)によって定められた(例えば、囲まれた)空間1328の寸法X1324およびY1326とを含むことができる。
【0077】
開示される主題のさまざまな実施形態に従って、デバイス1300が望ましく小さい(例えば、非常に小さい)相互インダクタンス(例えば、低下した相互インダクタンス)を有するか、または磁束ノイズに対する望ましく低下した感度も有するか、あるいはその両方を有するように、第1の電流経路1318および関連する第1のジョセフソン接合コンポーネント1306の幅1322(W)、または空間1328(例えば、デバイス1300の回路ループの空間)の寸法X1324もしくはY1326またはその両方、あるいはその両方が、設計されるか、変更されるか、または調整され得る。
【0078】
それに関して、磁束ノイズに関連する特定の形状設計点(geometry design points)を調べることが、役立つことがある。磁束、磁束ノイズ、寸法W1322、ならびに空間1328の寸法X1324およびY1326の間の数学的関係は、例えば、次のように例示的な方程式(15)によって与えられ得る。
【0079】
【数21】
ここで、m=μ
b(ボーア磁子)、σ=10
16m
-2(表面スピン密度)、λ=40nm、およびb=120nm(厚さ)である。
【0080】
それに関して、
図14を(
図13と共に)簡単に参照すると、
図14は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、空間1328の寸法X1324(例えば、デバイスの回路ループの寸法X)および寸法W1322(例えば、デバイスの第1の電流経路の幅)のさまざまな寸法値の場合の、空間1328の寸法Y1326(例えば、デバイスの回路ループの寸法Y)の関数としてのデバイスの磁束ノイズの例示的なグラフ1400の図を示している。例示的なグラフ1400は、X=24マイクロメートル(μm)、Y=24μm、およびW=10.2μmの場合の、デバイス(例えば、デバイス1300)の磁束ノイズ
【数22】
のプロット1402を含むことができる。例示的なグラフ1400は、デバイス(例えば、デバイス1300)がX=30μmおよびW=10.2μmである場合の、寸法Y1326の関数として、磁束ノイズのプロット1404を含むことができる。例示的なグラフ1400は、デバイス(例えば、デバイス1300)がX=20μmおよびW=10.2μmである場合の、寸法Y1326の関数としての磁束ノイズのプロット1406、およびデバイス(例えば、デバイス1300)がX=10μmおよびW=10.2μmである場合の、寸法Y1326の関数としての磁束ノイズのプロット1408を含むこともできる。例示的なグラフ1400は、従来の磁場に基づく量子ビットまたは結合器デバイスに関して、X=24μm、Y=24μm、およびW=1.2μmの場合の磁束ノイズのプロット1410をさらに含むことができる。
【0081】
グラフ1400から観察され得るように、例示的なデバイス1300の磁束ノイズは、従来の量子ビット・デバイスの磁束ノイズより大幅に低くなることができる。やはりグラフ1400から観察され得るように、デバイス1300の空間1328の寸法X1324もしくはY1326またはその両方、またはデバイス1300の寸法W1322、あるいはその両方を変更する(例えば、サイズを減らす(または増やす))ことによって、デバイス1300の磁束ノイズが変更され得る(例えば、減らされ得る)。例えば、空間1328の寸法X1324のサイズが減らされるにつれて、デバイス1300の磁束ノイズが減ることができ、空間1328の寸法Y1326のサイズが減らされる(または寸法W1322のサイズが増やされる、あるいはその両方)につれて、デバイス1300の磁束ノイズが減ることができる。
【0082】
量子ビット・デバイスの設計に関して、設計形状に対する特定の制限が存在することがある。例えば、量子ビット・デバイスのより好ましい(例えば、改善されたか、または向上した)磁束ノイズ低減のためのサイズ設定(例えば、より小さいループ・サイズおよびより大きい幅)に対する1つの制限は、例えば、入力電荷アイランド(1)1332とコンデンサ電荷アイランド(2)1330(例えば、パッド1330)の間のクロス静電容量、入力電荷アイランド(1)1332とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量、およびコンデンサ電荷アイランド(2)1330とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量などの、クロス静電容量であることがある。このサイズ設定は、ジョセフソン接合(例えば、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308、または第3のジョセフソン接合コンポーネント1310、あるいはその組み合わせ)の共振周波数を変更しない静電容量によって制限される可能性がある。
【0083】
Q3Dを使用するシミュレーションは、入力電荷アイランド(1)1332、コンデンサ電荷アイランド(2)1330、およびグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量の決定を可能にすることができる。それに関して、
図15~17を(
図13と共に)簡単に参照すると、
図15~17は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328のさまざまな寸法XおよびYの場合の、入力電荷アイランド(1)1332、コンデンサ電荷アイランド(2)1330、およびグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフの図を示している。
図15は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、入力電荷アイランド(1)1332とコンデンサ電荷アイランド(2)1330の間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフ1500の図を示している。例示的なグラフ1500は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数として、入力電荷アイランド(1)1332とコンデンサ電荷アイランド(2)1330の間のクロス静電容量(C
12)(fF単位)のプロット1502を含むことができる。例示的なグラフ1500は、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
12のプロット1504、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
12のプロット1506、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
12のプロット1508、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
12のプロット1510を含むこともできる。
【0084】
図16は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、入力電荷アイランド(1)1332とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフ1600の図を示している。例示的なグラフ1600は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数として、入力電荷アイランド(1)1332とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量(C
13)(fF単位)のプロット1602を含むことができる。例示的なグラフ1600は、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
13のプロット1604、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
13のプロット1606、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
13のプロット1608、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
13のプロット1610を含むこともできる。
【0085】
図17は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、コンデンサ電荷アイランド(2)1330とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量の各シミュレーションの例示的なグラフ1700の図を示している。例示的なグラフ1700は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数として、コンデンサ電荷アイランド(2)1330とグランド電荷アイランド(3)1334の間のクロス静電容量(C
23)(fF単位)のプロット1702を含むことができる。例示的なグラフ1700は、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
23のプロット1704、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
23のプロット1706、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
23のプロット1708、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのクロス静電容量C
23のプロット1710を含むこともできる。
【0086】
X=30μmおよびY=15μmから、X=10μmおよびY=0.1μmに及ぶ、クロス静電容量に起因する各ジョセフソン接合コンポーネントからの自己共振周波数のシミュレーションも実行され、調べられ得る。X=30μmおよびY=15μmからX=10μmおよびY=0.1μmまでの範囲内でXおよびYの寸法の大きさを変更する場合でも、量子ビット・デバイスの場合、自己共振周波数が通常は約20GHz以上になることができるため、
図18~20の以下のグラフでは、クロス静電容量に起因して各ジョセフソン接合コンポーネントから生じる自己共振周波数が、まだ許容できるということが観察され得る。(
図13と共に)
図18~20に関しては、
図18~20は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328のさまざまな寸法Xのサイズの場合の、寸法Yの関数としての各ジョセフソン接合コンポーネントからの自己共振周波数の各シミュレーションの例示的なグラフの図を示している。
図18は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、第1のジョセフソン接合コンポーネント1306(JJ1)からの自己共振周波数のシミュレーションの例示的なグラフ1800の図を示している。例示的なグラフ1800は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ1からの自己共振周波数のプロット1802、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ1からの自己共振周波数のプロット1804、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ1からの自己共振周波数のプロット1806、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ1からの自己共振周波数のプロット1808、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ1からの自己共振周波数のプロット1810を含むことができる。
【0087】
図19は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、第2のジョセフソン接合コンポーネント1308(JJ2)からの自己共振周波数のシミュレーションの例示的なグラフ1900の図を示している。例示的なグラフ1900は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ2からの自己共振周波数のプロット1902、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ2からの自己共振周波数のプロット1904、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ2からの自己共振周波数のプロット1906、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ2からの自己共振周波数のプロット1908、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ2からの自己共振周波数のプロット1910を含むことができる。
【0088】
図20は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、デバイスの空間1328の寸法Xのさまざまなサイズの場合の、寸法Yの関数として、第3のジョセフソン接合コンポーネント1310(JJ3)からの自己共振周波数のシミュレーションの例示的なグラフ2000の図を示している。例示的なグラフ2000は、寸法X=10μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ3からの自己共振周波数のプロット2002、寸法X=15μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ3からの自己共振周波数のプロット2004、寸法X=20μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ3からの自己共振周波数のプロット2006、寸法X=25μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ3からの自己共振周波数のプロット2008、および寸法X=30μmの場合の寸法Yの関数としてのJJ3からの自己共振周波数のプロット2010を含むことができる。
【0089】
図21を参照すると、
図21は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を容易にするために、ジョセフソン接合と共に高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを採用することができる例示的な非限定的デバイス2100の図を示している。一部の実施形態では、第1の電流経路のジョセフソン接合(例えば、デバイス100の第1のジョセフソン接合コンポーネント102)が、望ましい高カイネティック・インダクタンス材料で形成される高カイネティック・インダクタンス・ワイヤに置き換えられ得る。一部の実施形態では、デバイス2100は、例えば、トランズモン量子ビット・デバイスなどの量子ビット・デバイス(例えば、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイス)であることができる。
【0090】
デバイス2100は、(例えば、電流がデバイス2100に供給されるときに)第1の電流(I1)を有することができる第1の電流経路2104に沿って位置することができる高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102を備えることができる。高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102はインダクタンス(Lk)を有することができ、インダクタンス(Lk)は、ワイヤ2102の高カイネティック・インダクタンスの高さおよび高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の寸法に少なくとも部分的に基づくことができる。高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102は、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たす(例えば、十分に高い、一致する、または超える)カイネティック・インダクタンス・レベルを有することができ、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルは、ワイヤ2102が高カイネティック・インダクタンス・ワイヤと見なされるほど十分に高いカイネティック・インダクタンス・レベルを有しているかどうかを示すことができる。一部の実施形態では、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルは、1nH/μmであることができるが、他の実施形態では、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルが1nH/μmより大きくなるか、または小さくなることができるということが理解されるべきである。一部の実施形態では、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102は、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たす望ましい超伝導材料(例えば、窒化ニオブ、窒化ニオブチタン、または他の望ましい超伝導材料)で形成され得る。第1の電流経路2104は、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102に関連付けられ得る第1の誘導コンポーネント2106を含むこともできる。第1の誘導コンポーネント2106は、望ましい導電材料の第1のワイヤであることができ、または第1のワイヤを備えることができ(または、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の一部であることができ)、第1の誘導コンポーネント2106は、第1のレベルのインダクタンス(L1)を有することができる。第1の誘導コンポーネント2106の第1のレベルのインダクタンスは、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102のインダクタンスの量と比較して、相対的に小さくなる(例えば、非常に小さくなるか、または無視できる)ことができる。
【0091】
デバイス2100は、第1の電流経路2104と並列な第2の電流経路2112に沿って直列に結合され得る第1のジョセフソン接合コンポーネント2108(
図21ではJJ2として識別される)および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110(
図21ではJJ3として識別される)を備えることもでき、第2の電流経路2112は、(例えば、電流がデバイス2100に供給されるときに)第2の電流(I
2)を有することができ、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110は、デバイス2100の周波数を制御することを容易にすることができる。第2の電流経路2112は、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に関連付けられ得る第2の誘導コンポーネント2114を含むこともできる。第2の誘導コンポーネント2114は、望ましい導電材料の第2のワイヤであることができ、または第2のワイヤを備えることができ、第2の誘導コンポーネント2114は、第2のレベルのインダクタンス(L
2)を有することができる。第1の誘導コンポーネント2106の第1のレベルのインダクタンスは、例えば、第1の誘導コンポーネント2106の自己インダクタンスまたは実効インダクタンス(例えば、第1のワイヤの自己インダクタンスまたは実効インダクタンス)を含むことができ、第2の誘導コンポーネント2114の第2のレベルのインダクタンスは、例えば、第2の誘導コンポーネント2114の自己インダクタンスまたは実効インダクタンス(例えば、第2のワイヤの自己インダクタンスまたは実効インダクタンス)を含むことができる。
【0092】
デバイス2100は、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に関連付けられた(例えば、これらの間の第2の電流経路2112に接続された)第1の端子と、デバイス2100のグランド2118に関連付けられ得る(例えば、接続され得る)第2の端子とを含むことができるコンデンサ・コンポーネント2116(例えば、コンデンサ)を備えることもできる。1つの非限定的な例では、コンデンサ・コンポーネント2116は、65fFであることができるが、必要に応じて、65fFより大きいか、または小さい別の望ましい静電容量のコンデンサがデバイス2100において利用され得る。デバイス2100は、望ましい電流レベルを有する望ましい電流(例えば、望ましいパルス形を有する電流パルス)を生成できる電流発生器コンポーネント2120をさらに含むこともでき、この電流が、第1の電流経路2104および第2の電流経路2112に供給されるか、または加えられ得る。
【0093】
第1の電流経路2104と第2の電流経路2112の間の電流分割比(例えば、I2/I1)は、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108の面積および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110の面積に対する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の特性(例えば、高カイネティック・インダクタンス)に少なくとも部分的に基づいて決定されるか、または変更される(例えば、増やされる(または減らされる))ことが可能である。デバイス2100の周波数は、電流発生器コンポーネント2120によってデバイス2100に加えられる電流の量、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102のカイネティック・インダクタンスの量、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110のサイズ(例えば、面積)、または第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に対する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の配置、あるいはその組み合わせに少なくとも部分的に基づいて制御される(例えば、管理される、調節される、変更される、または調整される)ことが可能である。
【0094】
(
図1のデバイス100の第1のジョセフソン接合コンポーネント102の代わりに)デバイス2100内にインダクタンス(L
k)を有する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102を含んでいる
図21のデバイス2100の分析は、本明細書において説明されている
図1のデバイス100の分析に比較的似ているが、例えば、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の両端の位相差を含むことができる分析における違いが存在し得るという点、およびカイネティック・インダクタンスが、(例えば、デバイス100の第1のジョセフソン接合コンポーネント102と同様の)関連する磁束の寄与を有さないという点が異なる。
【0095】
方程式(16)において考慮されているような位相δの一価性の条件に起因して、次のようになる。
【0096】
【数23】
ここで、
【数24】
は、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102の位相を表すことができ、δ
2は、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108の位相を表すことができ、δ
3は、第2のジョセフソン接合コンポーネント2110の位相を表すことができ、Φ
extは外部磁束を表すことができる。
【0097】
ジョセフソン接合の電流関係(以下の臨界電流を仮定する)およびKCLを使用して、方程式(16)から進み、次の方程式(17)に従うことができる。
【0098】
【数25】
ここで、I
inは、電流発生器コンポーネント2120によって供給され得る入力(例えば、ソース)電流であることができる。方程式(17)から、さまざまなI
inの値について、数値またはグラフあるいはその両方を用いてI
2が解かれ得る。
【0099】
図22を(
図21と共に)簡単に参照すると、
図22は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、電流I
inの関数としてデバイス2100の周波数(例えば、量子ビット周波数)の例示的なグラフ2200の図を示している。非限定的な例では、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108に関連付けられた電流I
C2は、20ナノアンペア(nA)であることができ、第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に関連付けられた電流I
C3は、20nAであることができる。高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102に関連付けられた電流I
in-I
2は、2000nAであることができる。コンデンサ・コンポーネント2116の静電容量は、65fFであることができる。第1のレベルのインダクタンス(L
1)および第2のレベルのインダクタンス(L
2)のインダクタンス・レベルは、それぞれ12pHであることができる。本明細書において説明されているように、高カイネティック・インダクタンスを有する高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102が、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に対して配置されると、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102は、電流分割比(I
2/I
1)における望ましい増加を容易にする(例えば、可能にする)ことができ、第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110の望ましい電流バイアス効果をもたらすことができる。例えば高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102は、電流分割比(I
2/I
1)を増やすために利用されるのが望ましく、デバイス2100の調整の効果(例えば、電流バイアスされた調整の効果)の大部分は、一部分において第1のジョセフソン接合コンポーネント2108および第2のジョセフソン接合コンポーネント2110に起因することができる(例えば、発生することができる)。
【0100】
図22のグラフ2200では、デバイス2100の電流(μA単位)の関数としての周波数(GHz)のプロット2202から、望ましい周波数スポット(例えば、0.0μAでの約6.9GHzなどのスイートスポット周波数)からの10%の調整の場合、デバイス100(例えば、電流バイアスされた量子ビット・デバイス)が約2.3μAのみの使用を伴うことができるということが観察され得る。これに対して、標準的な場に基づくデバイス(例えば、磁場に基づくエックスモン結合器デバイス(Xmon-coupler device))は、望ましい周波数スポット(例えば、スイートスポット周波数)からの10%の調整を達成するために、大幅により多くの電流(例えば、最大で34μAまで)を必要とする可能性がある。やはり観察され得るように、第1の電流経路2104内に高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102を含むデバイス2100に関する
図22のプロット2202は、第1の電流経路104内に第1のジョセフソン接合コンポーネント102を含むデバイス100に関する
図2のプロット202に実質的に類似することができる。
【0101】
一部の実施形態では、
図21に示されていないが、デバイス2100は、ノイズ(例えば、電流ノイズ、磁束ノイズ、またはジョンソン・ノイズ)またはパーセル損失あるいはその両方に対するデバイス2100の望ましくない感度を低下させることを容易にするために、
図8のデバイス800に関して説明されたのと同じまたは類似する、ローパス・フィルタ・コンポーネント(例えば、ローパス・フィルタ・コンポーネント802)または電流スプリッタ・コンポーネント(例えば、電流スプリッタ・コンポーネント808)あるいはその両方を含むことができる。特定の実施形態では、デバイス2100は、デバイス2100のノイズ感度または相互インダクタンスあるいはその両方を低下させることを容易にするために、
図13のデバイス1300に関して説明されたのと同じまたは類似する、設計または変更された(例えば、調節された)形状(例えば、寸法W、X、またはY、あるいはその組み合わせ)を有することもできる。
【0102】
特に望ましく、電流によって制御される周波数調整が可能なデバイスであることができ、デバイス2100の回路に配置されているような高カイネティック・インダクタンス・ワイヤ2102ならびに2つのジョセフソン接合(例えば、第1および第2のジョセフソン接合コンポーネント2108および2110)を利用できるデバイス2100は、ジョセフソン接合を通る加えられた(例えば、電流発生器コンポーネント2120から供給された)電流を使用して、ジョセフソン接合のインダクタンスを変更するか、または高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを通る加えられた電流を使用して、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤのインダクタンスを変更することができる。
【0103】
しかし、従来の調整可能な量子ビットまたは結合器デバイスは、電流線から生成された磁場を使用して、量子ビット周波数を調整する。そのような従来の調整可能な量子ビットまたは結合器デバイスでは、磁場(例えば、SQUIDループに通される磁束)がジョセフソン接合の位相差、およびしたがって、ジョセフソン接合インダクタンスを変更することができ、このようにして、量子ビット周波数における変更を可能にすることができる。開示される主題(例えば、デバイス2100)が、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、ジョセフソン接合(例えば、第1または第2のジョセフソン接合コンポーネント2108または2110)を通る加えられた電流(例えば、電流発生器コンポーネント2120から供給された電流)を利用して、ジョセフソン接合のインダクタンスを変更するか、または高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを通る加えられた電流を利用して、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤのインダクタンスを変更し、デバイスの周波数の望ましい調整を可能にすることを容易にすることができるため、デバイス2100(例えば、電流によって制御される周波数調整が可能なデバイス)を含んでいる開示される主題は、量子ビット周波数を調整するために、電流線から生成された磁場を使用する必要がない。
【0104】
本明細書において説明されているような、電流バイアスされた周波数調整が可能な量子ビット・デバイスであることができるデバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)は、望ましく改良された、信頼できる周波数調整または磁束調整が可能なデバイスであることができ、望ましくない周波数衝突および分散相互作用(例えば、ZZ相互作用)を防ぐことを容易にするための望ましく高速な調整可能なゲートおよび調整可能な量子ビットを含むことができ、磁気クロストークおよび磁束ノイズを軽減するか、減らすか、または最小化することもでき、こうすることは、磁気クロストークおよび磁束ノイズが量子ビット・デバイスのゲート忠実度を不必要に制限する可能性があるため、望ましいことがある。デバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)は、磁束に基づく方式に加えて、調整可能な素子の設計に役立つツールであることもできる。
【0105】
本明細書に記載されたデバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)は、磁束によって制御される調整可能な素子(例えば、結合器または量子ビット)を使用する複数の量子ビットのシステムにおいて利用され得る。デバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)は、量子ビットに基づくシステムにおいて量子ビットの数が拡大される際のケーブルまたは減衰器における電力散逸(例えば、加熱)を減らすことに役立つこともできる。本明細書に記載されたデバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)において望ましく低い(例えば、非常に低い)電流が利用される、開示される主題の電流バイアスされる方式(例えば、設計)および技術は、そのようなデバイスに関して本明細書において説明されているように、磁束調整が可能な量子ビットを駆動および制御するように設計されている低温の電子機器およびハードウェアに適用可能な要件または制約(例えば、設計制約)を満たすか、または順守する必要があることに関連する複雑さを低減することもできる。本明細書において説明されているような、デバイス(例えば、デバイス100、デバイス800、デバイス1300、およびデバイス2100)ならびに電流バイアスされる方式(例えば、設計)および技術は、量子ビットの周波数同調性を実現するための望ましい技術として、量子回路および量子コンピューティングの分野において採用され得る(例えば、採用に適しているか、または採用するのが望ましい可能性がある)。
【0106】
システムまたはデバイスあるいはその両方は、本明細書では複数のコンポーネント間の相互作用に関して説明された(または説明される)。そのようなシステムおよびコンポーネントが、それらのコンポーネントもしくはそれらの内部で指定されたサブコンポーネント、指定されたコンポーネントもしくはサブコンポーネントの一部、または追加のコンポーネント、あるいはその組み合わせを含むことができるということが、理解されるべきである。サブコンポーネントは、親コンポーネント内に含まれるのではなく、他のコンポーネントに通信可能に結合されたコンポーネントとして実装されることも可能である。さらに、1つまたは複数のコンポーネントまたはサブコンポーネントあるいはその両方は、集合的機能を提供する単一のコンポーネントに結合されてよい。コンポーネントは、簡潔にするために本明細書では具体的に説明されないが、当業者によって知られている1つまたは複数の他のコンポーネントと、相互作用してもよい。
【0107】
図23は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供するために利用され得るデバイスを形成するための例示的な非限定的方法2300のフロー図を示している。方法2300は、例えば、プロセッサ・コンポーネントおよびメモリを備えているか、またはそれらに動作可能に結合されたシステム(例えば、コンピュータ・システム)によって実行され得る。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されているか、または省略されてよい。
【0108】
2302で、デバイスの第1の電流経路に沿って第1のジョセフソン接合コンポーネントが形成され得る。2304で、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合され得る第2のジョセフソン接合コンポーネントおよび第3のジョセフソン接合コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。例えば、システムは、第1の電流経路に沿って第1のジョセフソン接合コンポーネントを形成することができ、デバイスの第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合され得る第2のジョセフソン接合コンポーネントおよび第3のジョセフソン接合コンポーネントを形成することができる。第1の電流経路は、第1のインダクタンスを有する第1の誘導コンポーネントに関連付けられることが可能であり、第2の電流経路は、第2のインダクタンスを有する第2の誘導コンポーネントに関連付けられることが可能である。
【0109】
2306で、第2の電流経路に関連付けられることが可能である第1の端子と、デバイスのグランドに関連付けられることが可能である第2の端子とを備えているコンデンサ・コンポーネントが形成されることが可能である。コンデンサ・コンポーネント(例えば、コンデンサ)は、本明細書に記載されているような望ましい量の静電容量を有することができる。一部の実施形態では、システムは、コンデンサ・コンポーネントをデバイス上に形成または配置することができ、第1の端子を、例えば、第2のジョセフソン接合コンポーネントと第3のジョセフソン接合コンポーネントの間の第2の電流経路に接続することができ、第2の端子をグランドに接続することができる。
【0110】
2308で、望ましい電流をデバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に供給することができる電流発生器コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。特定の実施形態では、システムは、電流発生器コンポーネントをデバイス上に形成または配置(例えば、挿入)することができ、電流発生器コンポーネントの出力は、デバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられ得る(例えば、直接的または間接的に接続され得る)。
【0111】
一部の実施形態では、方法2300は参照点Aに進むことができ、
図24の方法2400は、参照点Aから進むことができる。特定の実施形態では、方法2300は参照点Bに進むことができ、
図25の方法2500は、参照点Bから進むことができる。
【0112】
図24は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供し、ノイズ(例えば、磁束ノイズまたは他のノイズあるいはその両方)およびパーセル損失に対するデバイスの感度を低下させることを容易にするために利用され得るデバイス上のローパス・フィルタ・コンポーネントまたは電流スプリッタ・コンポーネントあるいはその両方を形成するための例示的な非限定的方法2400のフロー図を示している。方法2300は、例えば、プロセッサ・コンポーネントおよびメモリを備えているか、またはそれらに動作可能に結合されたシステム(例えば、コンピュータ・システム)によって実行され得る。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されているか、または省略されてよい。一部の実施形態では、方法2400は、
図23の方法2300の参照点Aから進むことができる。
【0113】
2402で、デバイスの電流発生器コンポーネントの出力に入力が関連付けられることが可能であり、デバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に出力が関連付けられることが可能であるローパス・フィルタ・コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。システムは、ローパス・フィルタ・コンポーネントをデバイス上に形成または配置(例えば、挿入)することができ、ローパス・フィルタ・コンポーネントの入力(例えば、入力ポート)が、デバイスの電流発生器コンポーネントの出力に関連付けられる(例えば、接続される)ことが可能であり、ローパス・フィルタ・コンポーネントの出力が、デバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられることが可能である(例えば、回路内のノードが第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられる)。ローパス・フィルタ・コンポーネントは、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、構造化されることが可能であり、コンポーネント(例えば、インダクタ・コンポーネントおよびコンデンサ・コンポーネント)を含むことができる。
【0114】
2404で、電流発生器コンポーネントから出力された電流を分割することを容易にするために第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられ得る電流スプリッタ・コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。一部の実施形態では、追加的または代替的に(例えば、ローパス・フィルタ・コンポーネントに加えて、またはローパス・フィルタ・コンポーネントの代わりに)、システムは、電流発生器コンポーネントから出力された電流を分割する(例えば、電流の一部をデバイスのグランド・プレーンに方向転換する)ことを容易にするために、電流スプリッタ・コンポーネントが第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられ得るように、電流スプリッタ・コンポーネントをデバイス上に形成または配置することができる。例えば、システムは、電流スプリッタ・コンポーネントの第1の端子を、第1の電流経路、第2の電流経路、またはローパス・フィルタ・コンポーネント、あるいはその組み合わせに接続することができ、電流スプリッタ・コンポーネントの第2の端子をデバイスのグランド(例えば、グランド・プレーン)に接続することができる。電流スプリッタ・コンポーネントは、本明細書においてさらに詳細に説明されるように、構造化されることが可能であり、コンポーネント(例えば、インダクタ・コンポーネント)を含むことができる。
【0115】
図25は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を提供し、ノイズに対するデバイスの感度を低下させ、望ましく低い相互インダクタンスを有することを容易にするために利用され得るデバイスの回路の形状を変更または構造化するための例示的な非限定的方法2500のフロー図を示している。方法2500は、例えば、プロセッサ・コンポーネントおよびメモリを備えているか、またはそれらに動作可能に結合されたシステム(例えば、コンピュータ・システム)によって実行され得る。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されているか、または省略されてよい。特定の実施形態では、方法2500は、
図23の方法2300の参照点Bから進むことができる。
【0116】
2502で、空間が、第1の電流経路、第2の電流経路、第1のジョセフソン接合コンポーネント、第2のジョセフソン接合コンポーネント、第3のジョセフソン接合コンポーネント、およびコンデンサ・コンポーネントに関連付けられたパッドによって定められ得る、デバイスの回路ループに関連付けられたそのような空間に関して、ノイズに対するデバイスの感度を低下させること、およびデバイスに望ましく低い相互インダクタンスが存在することを容易にするために、空間の第1の寸法(例えば、Xの寸法)および/または第2の寸法(例えば、Yの寸法)および/または第1の電流経路の幅の第3の寸法(例えば、Wの寸法)が変更され得る。例えば、第1の電流経路、第2の電流経路、第1のジョセフソン接合コンポーネント、第2のジョセフソン接合コンポーネント、第3のジョセフソン接合コンポーネント、コンデンサ・コンポーネント、電流発生器コンポーネント、およびグランドを備えているデバイスの回路を設計または形成することに関連して、デバイスの回路ループに関連付けられた空間に関して、システムは、ノイズに対するデバイスの感度を低下させること、およびデバイスに望ましく低い相互インダクタンスが存在することを容易にするために、回路ループに関連付けられた空間の第1の寸法(例えば、Xの寸法)もしくは第2の寸法(例えば、Yの寸法)またはその両方、または第1の電流経路の幅の第3の寸法(例えば、Wの寸法)、あるいはその両方を設計、決定、変更(例えば、調節)、または選択することができる。
【0117】
図26は、開示される主題のさまざまな態様および実施形態に従って、望ましい(例えば、改良された、適切な、許容できる、または最適な)電流バイアスされた周波数調整を容易にするために、ジョセフソン接合と共に高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを採用することができるデバイスを形成するための例示的な非限定的方法2600のフロー図を示している。方法2600は、例えば、プロセッサ・コンポーネントおよびメモリを備えているか、またはそれらに動作可能に結合されたシステム(例えば、コンピュータ・システム)によって実行され得る。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されているか、または省略されてよい。
【0118】
2602で、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たすことができるカイネティック・インダクタンス・レベルを有することができる高カイネティック・インダクタンス・ワイヤがデバイスの第1の電流経路に沿って形成されることが可能である。2604で、第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合され得る第1のジョセフソン接合コンポーネントおよび第2のジョセフソン接合コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。例えば、システムは、第1の電流経路に沿って高カイネティック・インダクタンス・ワイヤを形成することができ、高カイネティック・インダクタンス・ワイヤは、定義されたしきい値カイネティック・インダクタンス・レベルを満たすことができるカイネティック・インダクタンス・レベルを有することができる(例えば、カイネティック・インダクタンス・レベルは、カイネティック・インダクタンス・レベルが十分に高い値を有するということを示すことができる定義されたしきい値高カイネティック・インダクタンス・レベルに一致するか、または超えるほど十分に高くなることができる)。システムは、第1のジョセフソン接合コンポーネントおよび第2のジョセフソン接合コンポーネントを形成することもでき、第1のジョセフソン接合コンポーネントおよび第2のジョセフソン接合コンポーネントは、デバイスの第1の電流経路と並列なデバイスの第2の電流経路に沿って直列に結合され得る。第1の電流経路は、第1のインダクタンスを有する第1の誘導コンポーネントに関連付けられることも可能であり、第2の電流経路は、第2のインダクタンスを有する第2の誘導コンポーネントに関連付けられることが可能である。
【0119】
2606で、第2の電流経路に関連付けられることが可能である第1の端子と、デバイスのグランドに関連付けられることが可能である第2の端子とを備えているコンデンサ・コンポーネントが形成されることが可能である。コンデンサ・コンポーネントは、本明細書に記載されているような望ましい量の静電容量を有することができる。一部の実施形態では、システムは、コンデンサ・コンポーネントをデバイス上に形成または配置(例えば、挿入)することができ、第1の端子を、例えば、第1のジョセフソン接合コンポーネントと第2のジョセフソン接合コンポーネントの間の第2の電流経路に接続することができ、コンデンサ・コンポーネントの第2の端子をグランドに接続することができる。
【0120】
2608で、望ましい電流をデバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に供給することができる電流発生器コンポーネントがデバイス上に形成されることが可能である。特定の実施形態では、システムは、電流発生器コンポーネントをデバイス上に形成または配置(例えば、挿入)することができ、電流発生器コンポーネントの出力は、デバイスの第1の電流経路および第2の電流経路に関連付けられ得る(例えば、直接的または間接的に接続され得る)。
【0121】
一部の実施形態では、方法2600は参照点Aに進むことができ、
図24の方法2400は、参照点Aから進むことができる。
【0122】
説明を簡単にするために、一連の動作として方法またはコンピュータ実装方法あるいはその両方が示され、説明される。開示される主題が、示された動作によって、または動作の順序によって、あるいはその両方によって制限されず、例えば動作が、本明細書において提示されておらず、説明されていない他の動作と共に、さまざまな順序で、または同時に、あるいはその両方で発生できるということが、理解されるべきである。さらに、開示される主題に従ってコンピュータ実装方法を実装するために、示されているすべての動作が必要でなくてもよい。加えて、当業者は、コンピュータ実装方法が、代替として、状態図を介して相互に関連する一連の状態またはイベントとして表され得るということを理解するであろう。追加的に、そのようなコンピュータ実装方法をコンピュータに輸送および転送するのを容易にするために、以下および本明細書全体を通じて開示されたコンピュータ実装方法を製品に格納できるということが、さらに理解されるべきである。製品という用語は、本明細書において使用されるとき、任意のコンピュータ可読デバイスまたはコンピュータ可読ストレージ媒体からアクセスできるコンピュータ・プログラムを包含するよう意図されている。
【0123】
開示される主題のさまざまな態様の背景を提供するために、
図27および以下の説明は、開示される主題のさまざまな態様が実装され得る適切な環境の概要を示すよう意図されている。
図27は、本明細書に記載された1つまたは複数の実施形態を容易にすることができる例示的な非限定的動作環境のブロック図を示している。本明細書に記載された他の実施形態で採用されている類似する要素の説明の繰り返しは、簡潔にするために省略されているか、または省略されてよい。
図27を参照すると、本開示のさまざまな態様を実装するための適切な動作環境2700は、コンピュータ2712を含むこともできる。コンピュータ2712は、処理ユニット2714、システム・メモリ2716、およびシステム・バス2718を含むこともできる。システム・バス2718は、システム・メモリ2716を含むが、これに限定されないシステム・コンポーネントを、処理ユニット2714に結合する。処理ユニット2714は、さまざまな使用可能なプロセッサのいずれかであることができる。デュアル・マイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサ・アーキテクチャが、処理ユニット2714として採用されることも可能である。システム・バス2718は、ISA(Industry Standard Architecture)、MCA(Micro Channel Architecture)、EISA(Enhanced ISA)、IDE(Intelligent Drive Electronics)、VESAローカル・バス(VLB:VESA Local Bus)、PCI(Peripheral Component Interconnects)、カードバス、ユニバーサル・シリアル・バス(USB:UniversalSerial Bus)、AGP(Advanced Graphics Port)、Firewire(IEEE 1394)、および小型コンピュータ・システム・インターフェイス(SCSI:Small Computer Systems Interface)を含むが、これらに限定されない、任意のさまざまな使用可能なバス・アーキテクチャを使用する、メモリ・バスもしくはメモリ・コントローラ、ペリフェラル・バスもしくは外部バス、またはローカル・バス、あるいはその組み合わせを含む、複数の種類のバス構造のいずれかであることができる。システム・メモリ2716は、揮発性メモリ2720および不揮発性メモリ2722を含むこともできる。起動中などにコンピュータ2712内の要素間で情報を転送するための基本ルーチンを含んでいる基本入出力システム(BIOS:basic input/output system)が、不揮発性メモリ2722に格納される。不揮発性メモリ2722の例としては、読み取り専用メモリ(ROM:read only memory)、プログラマブルROM(PROM:programmableROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM:electrically programmable ROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM:electrically erasable programmable ROM)、フラッシュ・メモリ、または不揮発性ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)(例えば、強誘電体RAM(FeRAM:ferroelectric RAM))が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性メモリ2720は、外部キャッシュ・メモリとして機能するランダム・アクセス・メモリ(RAM)を含むこともできる。例えばRAMは、スタティックRAM(SRAM:static RAM)、ダイナミックRAM(DRAM:dynamic RAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM:synchronous DRAM)、ダブル・データ・レートSDRAM(DDR SDRAM:double data rate SDRAM)、拡張SDRAM(ESDRAM:enhanced SDRAM)、シンクリンクDRAM(SLDRAM:Synchlink DRAM)、ダイレクト・ラムバスRAM(DRRAM:direct Rambus RAM)、ダイレクト・ラムバス・ダイナミックRAM(DRDRAM:direct Rambus dynamic RAM)、およびラムバス・ダイナミックRAM(RDRAM:Rambus dynamic RAM)などの、ただしこれらに限定されない、多くの形態で利用可能である。
【0124】
コンピュータ2712は、取り外し可能/取り外し不可能な揮発性/不揮発性のコンピュータ・ストレージ媒体を含むこともできる。例えば
図27は、ディスク・ストレージ2724を示している。ディスク・ストレージ2724は、磁気ディスク・ドライブ、フロッピー(R)・ディスク・ドライブ、テープ・ドライブ、Jazドライブ、Zipドライブ、LS-100ドライブ、フラッシュ・メモリ・カード、またはメモリ・スティックなどの、ただしこれらに限定されない、デバイスを含むこともできる。ディスク・ストレージ2724は、コンパクト・ディスクROMデバイス(CD-ROM:compact disk ROM)、記録可能CDドライブ(CD-Rドライブ:CD recordable drive)、再書き込み可能CDドライブ(CD-RWドライブ:CD rewritable drive)、またはデジタル・バーサタイル・ディスクROMドライブ(DVD-ROM:digital versatile disk ROM)などの光ディスク・ドライブを含むが、これらに限定されないストレージ媒体を、別々に、または他のストレージ媒体と組み合わせて、含むこともできる。システム・バス2718へのディスク・ストレージ2724の接続を容易にするために、インターフェイス2726などの、取り外し可能または取り外し不可能なインターフェイスが通常は使用される。
図27は、ユーザと、適切な動作環境2700において説明された基本的なコンピュータ・リソースとの間の仲介として機能するソフトウェアも示している。そのようなソフトウェアは、例えば、オペレーティング・システム2728を含むこともできる。ディスク・ストレージ2724に格納できるオペレーティング・システム2728は、コンピュータ2712のリソースを制御し、割り当てるように動作する。システムのアプリケーション2730は、例えばシステム・メモリ2716またはディスク・ストレージ2724のいずれかに格納されたプログラム・モジュール2732およびプログラム・データ2734を介して、オペレーティング・システム2728によるリソースの管理を利用する。さまざまなオペレーティング・システムまたはオペレーティング・システムの組み合わせを使用して本開示が実装され得るということが、理解されるべきである。ユーザは、入力デバイス2736を介して、コマンドまたは情報をコンピュータ2712に入力する。入力デバイス2736は、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチ・パッド、キーボード、マイクロホン、ジョイスティック、ゲーム・パッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナー・カード、デジタル・カメラ、デジタル・ビデオ・カメラ、Webカメラなどのポインティング・デバイスを含むが、これらに限定されない。これらおよび他の入力デバイスは、インターフェイス・ポート2738を介してシステム・バス2718を通り、処理ユニット2714に接続する。インターフェイス・ポート2738は、例えば、シリアル・ポート、パラレル・ポート、ゲーム・ポート、およびユニバーサル・シリアル・バス(USB)を含む。出力デバイス2740は、入力デバイス2736と同じ種類のポートの一部を使用する。このようにして、例えば、USBポートを使用して、入力をコンピュータ2712に提供し、コンピュータ2712から出力デバイス2740に情報を出力できる。出力アダプタ2742は、特殊なアダプタを必要とする出力デバイス2740の中でも特に、モニタ、スピーカ、およびプリンタのような何らかの出力デバイス2740が存在することを示すために提供される。出力アダプタ2742の例としては、出力デバイス2740とシステム・バス2718の間の接続の方法を提供するビデオ・カードおよびサウンド・カードが挙げられるが、これらに限定されない。リモート・コンピュータ2744などの、その他のデバイスまたはデバイスのシステムあるいはその両方が、入力機能および出力機能の両方を提供するということに、注意するべきである。
【0125】
コンピュータ2712は、リモート・コンピュータ2744などの1つまたは複数のリモート・コンピュータへの論理接続を使用して、ネットワーク環境内で動作できる。リモート・コンピュータ2744は、コンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッベースの機器、ピア・デバイス、またはその他の一般的なネットワーク・ノードなどであることができ、通常は、コンピュータ2712に関連して説明された要素の多くまたはすべてを含むこともできる。簡潔にするために、メモリ・ストレージ・デバイス2746のみが、リモート・コンピュータ2744と共に示されている。リモート・コンピュータ2744は、ネットワーク・インターフェイス2748を介してコンピュータ2712に論理的に接続されてから、通信接続2750を介して物理的に接続される。ネットワーク・インターフェイス2748は、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local-area networks)、広域ネットワーク(WAN:wide-area networks)、セルラー・ネットワークなどの、有線通信ネットワークまたはワイヤレス通信ネットワークあるいはその両方を包含する。LAN技術は、光ファイバ分散データ・インターフェイス(FDDI:Fiber Distributed Data Interface)、銅線分散データ・インターフェイス(CDDI:Copper Distributed Data Interface)、イーサネット(R)、トークン・リングなどを含む。WAN技術は、ポイントツーポイント・リンク、総合デジタル通信網(ISDN:Integrated Services Digital Networks)およびその変形などの回路交換網、パケット交換網、およびデジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Lines)を含むが、これらに限定されない。通信接続2750は、ネットワーク・インターフェイス2748をシステム・バス2718に接続するために採用されたハードウェア/ソフトウェアのことを指す。通信接続2750は、説明を明確にするために、コンピュータ2712内に示されているが、コンピュータ2712の外部に存在することもできる。ネットワーク・インターフェイス2748に接続するためのハードウェア/ソフトウェアは、単に例示の目的で、通常の電話の等級のモデム、ケーブル・モデム、およびDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、ならびにイーサネット(R)・カードなどの、内部および外部の技術を含むこともできる。
【0126】
1つまたは複数の実施形態は、任意の可能な統合の技術的詳細レベルで、システム、方法、装置、またはコンピュータ・プログラム製品であってよい。コンピュータ・プログラム製品は、プロセッサに1つまたは複数の実施形態の態様を実行させるためのコンピュータ可読プログラム命令を含んでいるコンピュータ可読ストレージ媒体を含むことができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、命令実行デバイスによって使用するための命令を保持および格納できる有形のデバイスであることができる。コンピュータ可読ストレージ媒体は、例えば、電子ストレージ・デバイス、磁気ストレージ・デバイス、光ストレージ・デバイス、電磁ストレージ・デバイス、半導体ストレージ・デバイス、またはこれらの任意の適切な組み合わせであることができるが、これらに限定されない。コンピュータ可読ストレージ媒体のさらに具体的な例の非網羅的リストは、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、RAM、ROM、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM:erasable programmable read-only memoryまたはフラッシュ・メモリ)、SRAM、ポータブルCD-ROM、デジタル・バーサタイル・ディスク(DVD:digital versatile disk)、メモリ・スティック、フロッピー(R)・ディスク、パンチカードまたは命令が記録されている溝の中の隆起構造などの機械的にエンコードされるデバイス、およびこれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。本明細書において使用されるとき、コンピュータ可読ストレージ媒体は、それ自体が、電波または他の自由に伝搬する電磁波、導波管または他の送信媒体を伝搬する電磁波(例えば、光ファイバ・ケーブルを通過する光パルス)、あるいはワイヤを介して送信される電気信号などの一過性の信号であると解釈されるべきではない。
【0127】
本明細書に記載されたコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ可読ストレージ媒体から各コンピューティング・デバイス/処理デバイスへ、またはネットワーク(例えば、インターネット、ローカル・エリア・ネットワーク、広域ネットワーク、または無線ネットワーク、あるいはその組み合わせ)を介して外部コンピュータまたは外部ストレージ・デバイスへダウンロードされ得る。このネットワークは、銅伝送ケーブル、光伝送ファイバ、ワイヤレス送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイ・コンピュータ、またはエッジ・サーバ、あるいはその組み合わせを備えることができる。各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のネットワーク・アダプタ・カードまたはネットワーク・インターフェイスは、コンピュータ可読プログラム命令をネットワークから受信し、それらのコンピュータ可読プログラム命令を各コンピューティング・デバイス/処理デバイス内のコンピュータ可読ストレージ媒体に格納するために転送する。開示された主題の動作を実行するためのコンピュータ可読プログラム命令は、アセンブラ命令、命令セット・アーキテクチャ(ISA:instruction-set-architecture)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路のための構成データ、あるいはSmalltalk(R)、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語、および「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語などの手続き型プログラミング言語を含む1つまたは複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソース・コードまたはオブジェクト・コードであることができる。コンピュータ可読プログラム命令は、ユーザのコンピュータ上で全体的に実行すること、ユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして部分的に実行すること、ユーザのコンピュータ上およびリモート・コンピュータ上でそれぞれ部分的に実行すること、あるいはリモート・コンピュータ上またはサーバ上で全体的に実行することができる。後者のシナリオでは、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザのコンピュータに接続することができ、または接続は、(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを使用してインターネットを介して)外部コンピュータに対して行われ得る。一部の実施形態では、開示された主題の態様を実行するために、例えばプログラマブル論理回路、フィールドプログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate arrays)、またはプログラマブル・ロジック・アレイ(PLA:programmable logic arrays)を含む電子回路は、コンピュータ可読プログラム命令の状態情報を利用することによって、電子回路をカスタマイズするためのコンピュータ可読プログラム命令を実行することができる。
【0128】
開示された主題の態様は、本明細書において、本開示の実施形態に従って、方法、装置(システム)、およびコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図またはブロック図あるいはその両方を参照して説明される。フローチャート図またはブロック図あるいはその両方の各ブロック、ならびにフローチャート図またはブロック図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせが、コンピュータ可読プログラム命令によって実装され得るということが理解されるであろう。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作を実施する方法を作り出すべく、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてマシンを作り出すものであることができる。これらのコンピュータ可読プログラム命令は、命令が格納されたコンピュータ可読ストレージ媒体がフローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作の態様を実施する命令を含んでいる製品を備えるように、コンピュータ可読ストレージ媒体に格納され、コンピュータ、プログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイス、あるいはその組み合わせに特定の方式で機能するように指示できるものであることもできる。コンピュータ可読プログラム命令は、コンピュータ上、他のプログラム可能な装置上、または他のデバイス上で実行される命令が、フローチャートまたはブロック図あるいはその両方のブロックに指定される機能/動作を実施するように、コンピュータ実装プロセスを生成すべく、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスに読み込まれ、一連の操作可能な動作を、コンピュータ上、他のプログラム可能な装置上、または他のデバイス上で実行させるものであることもできる。
【0129】
図内のフローチャートおよびブロック図は、開示された主題のさまざまな実施形態に従って、システム、方法、およびコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能、および動作を示す。これに関連して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、規定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含んでいる、命令のモジュール、セグメント、または部分を表すことができる。一部の代替の実装では、ブロックに示された機能は、図に示された順序とは異なる順序で発生することができる。例えば、連続して示された2つのブロックは、含まれている機能に応じて、実質的に同時に実行されるか、または場合によっては逆の順序で実行され得る。ブロック図またはフローチャート図あるいはその両方の各ブロック、ならびにブロック図またはフローチャート図あるいはその両方に含まれるブロックの組み合わせは、規定された機能または動作を実行するか、または専用ハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせを実行する専用ハードウェアベースのシステムによって実装されることができるということにも注意する。
【0130】
上記では、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータあるいはその両方で実行されるコンピュータ・プログラム製品のコンピュータ実行可能命令との一般的な関連において、本主題が説明されたが、当業者は、本開示が他のプログラム・モジュールと組み合わせて実装されることもできるということを認識するであろう。通常、プログラム・モジュールは、特定のタスクを実行するか、または特定の抽象データ型を実装するか、あるいはその両方を行うルーチン、プログラム、コンポーネント、データ構造などを含む。さらに、当業者は、本明細書で開示されたコンピュータ実装方法が、シングルプロセッサ・コンピュータ・システムまたはマルチプロセッサ・コンピュータ・システム、ミニコンピューティング・デバイス、メインフレーム・コンピュータ、コンピュータ、ハンドヘルド・コンピューティング・デバイス(例えば、PDA、電話)、マイクロプロセッサベースまたはプログラム可能な家庭用電化製品または産業用電子機器などを含む、他のコンピュータ・システム構成を使用して実践され得るということを理解するであろう。示された態様は、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理デバイスによってタスクが実行される、分散コンピューティング環境内で実践されることも可能である。ただし、本開示の態様の全部ではないとしても一部は、スタンドアロン・コンピュータ上で実践され得る。分散コンピューティング環境において、プログラム・モジュールは、ローカルおよびリモートのメモリ・ストレージ・デバイスに配置され得る。
【0131】
本出願において使用されるとき、「コンポーネント」、「システム」、「プラットフォーム」、「インターフェイス」などの用語は、1つまたは複数の特定の機能を含むコンピュータ関連の実体または操作可能なマシンに関連する実体を指すことができるか、またはそれらの実体を含むことができるか、あるいはその両方が可能である。本明細書で開示された実体は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、または実行中のソフトウェアのいずれかであることができる。例えば、コンポーネントは、プロセッサ上で実行されるプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行ファイル、実行のスレッド、プログラム、またはコンピュータ、あるいはその組み合わせであることができるが、これらに限定されない。例として、サーバ上で実行されるアプリケーションおよびサーバの両方が、コンポーネントであることができる。1つまたは複数のコンポーネントが、プロセス内または実行のスレッド内あるいはその両方に存在することができ、コンポーネントは、1つのコンピュータ上に局在するか、または2つ以上のコンピュータ間で分散されるか、あるいはその両方が可能である。別の例では、各コンポーネントは、さまざまなデータ構造が格納されているさまざまなコンピュータ可読媒体から実行できる。コンポーネントは、1つまたは複数のデータ・パケット(例えば、ローカル・システム内または分散システム内の別のコンポーネントと情報をやりとりするか、またはインターネットなどのネットワークを経由して、信号を介して他のシステムと情報をやりとりするか、あるいはその両方によって情報をやりとりする、1つのコンポーネントからのデータ)を含んでいる信号などに従って、ローカルまたはリモートあるいはその両方のプロセスを介して通信できる。別の例として、コンポーネントは、電気または電子回路によって操作される機械的部品によって提供される特定の機能を有する装置であることができ、プロセッサによって実行されるソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションによって操作される。そのような場合、プロセッサは、装置の内部または外部に存在することができ、ソフトウェア・アプリケーションまたはファームウェア・アプリケーションの少なくとも一部を実行できる。さらに別の例として、コンポーネントは、機械的部品を含まない電子コンポーネントを介して特定の機能を提供する装置であることができ、それらの電子コンポーネントは、電子コンポーネントの機能の少なくとも一部を与えるソフトウェアまたはファームウェアを実行するためのプロセッサまたは他の方法を含むことができる。1つの態様では、コンポーネントは、例えばクラウド・コンピューティング・システム内で、仮想マシンを介して電子コンポーネントをエミュレートすることができる。
【0132】
加えて、「または」という用語は、排他的論理和ではなく、包含的論理和を意味するよう意図されている。すなわち、特に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「XがAまたはBを採用する」は、自然な包含的順列のいずれかを意味するよう意図されている。すなわち、XがAを採用するか、XがBを採用するか、またはXがAおよびBの両方を採用する場合、「XがAまたはBを採用する」が、前述の事例のいずれかにおいて満たされる。さらに、本明細書および添付の図面において使用される冠詞「a」および「an」は、単数形を対象にすることが特に指定されない限り、または文脈から明らかでない限り、「1つまたは複数」を意味すると一般に解釈されるべきである。本明細書において使用されるとき、「例」または「例示的」あるいはその両方の用語は、例、事例、または実例となることを意味するために使用される。誤解を避けるために、本明細書で開示された主題は、そのような例によって制限されない。加えて、「例」または「例示的」あるいはその両方として本明細書に記載された任意の態様または設計は、他の態様または設計よりも好ましいか、または有利であると必ずしも解釈されず、当業者に知られている同等の例示的な構造および技術を除外するよう意図されていない。
【0133】
本明細書において使用されるとき、「プロセッサ」という用語は、シングルコア・プロセッサと、ソフトウェアのマルチスレッド実行機能を備えるシングルプロセッサと、マルチコア・プロセッサと、ソフトウェアのマルチスレッド実行機能を備えるマルチコア・プロセッサと、ハードウェアのマルチスレッド技術を備えるマルチコア・プロセッサと、並列プラットフォームと、分散共有メモリを備える並列プラットフォームとを含むが、これらに限定されない、実質的に任意の計算処理ユニットまたはデバイスを指すことができる。さらに、プロセッサは、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタル信号プロセッサ(DSP:digital signal processor)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field programmable gate array)、プログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC:programmable logic controller)、複合プログラム可能論理デバイス(CPLD:complex programmable logic device)、個別のゲートまたはトランジスタ論理、個別のハードウェア・コンポーネント、あるいは本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれらの任意の組み合わせを指すことができる。さらに、プロセッサは、空間利用を最適化し、ユーザ機器の性能を向上するために、分子および量子ドットベースのトランジスタ、スイッチ、およびゲートなどの、ただしこれらに限定されない、ナノスケール・アーキテクチャを利用することができる。プロセッサは、計算処理ユニットの組み合わせとして実装されてもよい。本開示では、コンポーネントの動作および機能に関連する「ストア」、「ストレージ」、「データ・ストア」、「データ・ストレージ」、「データベース」、および実質的に任意の他の情報格納コンポーネントなどの用語は、「メモリ・コンポーネント」、「メモリ」内に具現化された実体、またはメモリを備えているコンポーネントを指すために使用される。本明細書に記載されたメモリまたはメモリ・コンポーネントあるいはその両方が、揮発性メモリまたは不揮発性メモリのいずれかであることができ、あるいは揮発性メモリおよび不揮発性メモリの両方を含むことができるということが、理解されるべきである。不揮発性メモリの例としては、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、または不揮発性RAM(例えば、FeRAM)が挙げられるが、これらに限定されない。揮発性メモリは、例えば外部キャッシュ・メモリとして機能できる、RAMを含むことができる。例えばRAMは、SRAM、DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、ESDRAM、SLDRAM、DRRAM、DRDRAM、およびRDRAMなどの、ただしこれらに限定されない、多くの形態で利用可能である。さらに、本明細書において開示されたシステムまたはコンピュータ実装方法のメモリ・コンポーネントは、これらおよび任意の他の適切な種類のメモリを含むが、これらに限定されない、メモリを含むよう意図されている。
【0134】
前述した内容は、システムおよびコンピュータ実装方法の単なる例を含んでいる。当然ながら、本開示を説明する目的で、コンポーネントまたはコンピュータ実装方法の考えられるすべての組み合わせについて説明することは不可能であるが、当業者は、本開示の多くのその他の組み合わせおよび並べ替えが可能であるということを認識できる。さらに、「含む」、「有する」、「所有する」などの用語が、発明を実施するための形態、特許請求の範囲、付録、および図面において使用される範囲では、それらの用語は、「備えている」が特許請求における暫定的な用語として使用されるときに解釈されるような、用語「備えている」と同様の方法で、包含的であるよう意図されている。さまざまな実施形態の説明は、例示の目的で提示されているが、網羅的であることは意図されておらず、開示された実施形態に制限されない。説明された実施形態の範囲および思想から逸脱しない多くの変更および変形が、当業者にとって明らかであろう。本明細書で使用された用語は、実施形態の原理、実際の適用、または市場で見られる技術を超える技術的改良を最も適切に説明するため、または他の当業者が本明細書で開示された実施形態を理解できるようにするために選択されている。