(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-01
(45)【発行日】2025-08-12
(54)【発明の名称】新皮質層5グルタミン酸作動性ニューロンにおいて遺伝子発現を選択的に調節する人工発現構築物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20250804BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20250804BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20250804BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/864 100Z
C12N5/10
(21)【出願番号】P 2022563930
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 US2021028489
(87)【国際公開番号】W WO2021216778
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-02-16
(32)【優先日】2020-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520046421
【氏名又は名称】アレン インスティテュート
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デイグル,ターニャ
(72)【発明者】
【氏名】グレイバック,ルーカス・ティー
(72)【発明者】
【氏名】カルムバック,ブライアン・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】レイン,エドワード・セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】リーバイ,ボアズ・ピー
(72)【発明者】
【氏名】ミッチ,ジョン・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】セデノ・コルテス,アドリアナ・エステラ
(72)【発明者】
【氏名】タシッチ,ボシリカ
(72)【発明者】
【氏名】ティン,ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン,ホンクイ
【審査官】福間 信子
(56)【参考文献】
【文献】GRAYBUCK Lucas T. et al.,Prospective, brain-wide labeling of neuronal subclasses with enhancer-driven AAVs,bioRiv,2019年01月31日,<URL: https://www.biorxiv.org/content/10.1101/525014v2>
【文献】Mouse DNA sequence from clone RP23-29H22 on chromosome 4, complete sequence,GenBank, Accession No. AL606962,[retrived on 2025.02.18],2012年,<URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/nucleotide/AL606962.22?re port=genbank&log$=nuclalign&blast_rank=1&RID=V8JCSC6G013>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
SwissProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)配列番号
4、又は、配列番号
4に示
す配列に少なくとも95%配列同一性を有
し、且つ、配列番号4の配列と同じエンハンサー活性を有する配列から
なるエンハンサー;(ii)プロモーター;及び(iii)異種コード配列を含む、人工発現構築物。
【請求項2】
前記異種コード配列が、蛍光タンパク質をコードする、請求項1に記載の人工発現構築物。
【請求項3】
前記人工発現構築物が、血液脳関門を通過するキャプシドに包まれている、請求項1に記載の人工発現構築物。
【請求項4】
前記キャプシドが、AAV9、AAVrh.10、PHP.eB、AAV-BR1、AAV-PHP.S、AAV-PHP.B、又は、AAV-PPSを含む、請求項3に記載の人工発現構築物。
【請求項5】
前記人工発現構築物が、スキッピングエレメントを含む、又はコードする、請求項1に記載の人工発現構築物。
【請求項6】
前記スキッピングエレメントが、2Aペプチド、及び/又は内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、請求項5に記載の人工発現構築物。
【請求項7】
前記人工発現構築物が、ウイルスベクター中に存在する、請求項1に記載の人工発現構築物。
【請求項8】
前記ウイルスベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、請求項7に記載の人工発現構築物。
【請求項9】
請求項1に記載の人工発現構築物を含むトランスジェニック細胞。
【請求項10】
前記トランスジェニック細胞が、L5 ETニューロンである、請求項9に記載のトランスジェニック細胞。
【請求項11】
配列番号46に示す配列、又は配列番号
46に示す配列に少なくとも95%配列同一性を有
し、且つ、配列番号46の配列と同じエンハンサー活性を有する配列を有するコアを含む人工エンハンサー。
【請求項12】
2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10コピーの
、配列番号46、又は配列番号46に示す配列に少なくとも95%配列同一性を有
し、且つ、配列番号46の配列と同じエンハンサー活性を有する配
列を有する、請求項11に記載の人工エンハンサー。
【請求項13】
3コピーの配列番号46を有する、請求項12に記載の人工エンハンサー。
【請求項14】
前記人工エンハンサーが、
配列番号54の配列、又は配列番号
54に示す配列に少なくとも95%配列同一性を有
し、且つ、配列番号54の配列と同じエンハンサー活性を有する配列を有する、請求項12に記載の人工エンハンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年4月21日に出願した米国仮特許出願第63/013,342号に対する優先権を主張する、その全内容を、本明細書に完全に記載しているかの如く、参照により、本明細書で援用する。
【0002】
連邦政府から資金提供を受けた研究または開発に関する陳述
本発明は、National Institute of Healthより、補助金交付第MH114126号、及び第MH121274号の下で、合衆国政府の支援を受けて完成した。合衆国政府は、本発明について、一定の権利を有する。
【0003】
配列表に関する参照
本出願に関連する配列表は、紙媒体に代えて、テキスト形式で提供しており、それにより、本明細書の一部を構成するものとして援用する。配列表を含むテキストファイルの名称は、A166-0024PCT_ST25.txtである。このテキストファイルは、211KBであり、2021年4月21日に作成したものであり、そして、EFS-Webを介して電子的に提出している。
【0004】
開示の分野
本開示は、選択した中枢神経系細胞型での遺伝子発現を選択的に調節する人工発現構築物を提供する。これらの人工発現構築物を使用して、新皮質層5グルタミン酸作動性ニューロン、例えば、層5グルタミン酸作動性終脳外投射(L5 ET)ニューロンなどでの合成遺伝子を選択的に発現する、または遺伝子発現を改変することができる。
【背景技術】
【0005】
開示の背景
脳の生物学を完全に理解するためには、異なる細胞種を区別し、定義する必要があり、そして、それらをさらに研究するために、それらを選択的に標識し、撹乱することができる人工発現構築物を同定する必要がある。マウスにおいて、リコンビナーゼドライバー株を使用して、マーカー遺伝子発現を共有する細胞集団を標識するために大きな効果を得ている。しかしながら、高い特異性を有する細胞型を標識するそのような株の作製、維持、及び使用は、高価であり、低い頻度の実験動物をもたらすトリプルトランスジェニック交配を必要とすることがよくある。さらに、これらのツールは生殖細胞系トランスジェニック動物を必要とするので、ヒトには適用できない。
【発明の概要】
【0006】
開示の概要
本開示は、標的中枢神経系細胞集団での遺伝子発現を選択的に駆動する人工発現構築物を提供する。標的中枢神経系細胞集団として:新皮質グルタミン酸作動性層5ニューロン、例えば、新皮質グルタミン酸作動性層5終脳外投射(L5 ET)ニューロンがある。特定の用途において、本開示の態様を使用して、治療ペイロードを、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはL5 ETニューロンが関連するその他の神経変性疾患に関係する上位運動ニューロンに対して送達することができる。
【0007】
人工発現構築物の特定の実施形態は、次のエンハンサーを利用して、L5グルタミン酸作動性ニューロン内でのタンパク質発現を選択的に駆動する:eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、及び/または、eHGT_583m。
【0008】
特定の実施形態では、人工エンハンサーエレメントは、エンハンサーの連結コアを含む。例として、eHGT_459m、eHGT_453m、eHGT_462m、eHGT_461m、eHGT_464m、eHGT_452m、eHGT_451m、及び/または、eHGT_460mの連結コアがある。これらの人工エンハンサーエレメントは、単一の全長オリジナル(ネイティブ)エンハンサーと比較して、高レベルの導入遺伝子発現及びより迅速な発現の開始をもたらすことができる。
【0009】
特定の実施形態では、エンハンサーコアは、配列番号45~52のいずれか1つに記載の配列を含む。特定の実施形態では、これらのコアは連結されており、また、2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコア配列を有する。配列番号53~60は、3コピーの選択されたエンハンサーコアのコンカテマーを提供する。
【0010】
人工発現構築物の特定の実施形態は、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または、3xcore2_eHGT_460mを利用して、L5グルタミン酸作動性ニューロン内のタンパク質発現を選択的に駆動する。
【0011】
特定の実施形態は、ベクター:CN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024などの本明細書に記載のベクターの特徴を含む人工発現構築物を提供する。
【0012】
本明細書において提出する図面の多くは、色彩で理解が深まる。本出願人は、着色図面が、出願当初の出願書類の一部であると考えており、また、後述する手続を行うことで、着色図面の画像を提示する権利を留保する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ウイルスツールに対する例示的エンハンサー発見の概略である。細胞型特異的標識ツールを構築するために、成体マウス皮質由来の細胞を単離することができ、そして、配列決定(scATAC-seq)を利用して、トランスポサーゼにアクセス可能なクロマチンに関する単一細胞アッセイを行うことができる。試料をクラスター化し、そして、単一細胞RNA配列決定(scRNA-seq)データセットと比較してクラスターを同定することができる。次いで、同じトランスクリプトーム型に一致する単一細胞をプールすることができ、そして、ゲノムを型特異的推定エンハンサーについて検索することができる。あるいは、ヒト運動皮質SNARE-seqデータセット(Bakken et al.,Nature.2021 doi:https://doi.org/10.1101/2020.03.31.016972)を使用して、一部のエンハンサーを選択した。選択した推定エンハンサーの領域を、自己相補型アデノ随伴ウイルスベクター(scAAV)、または組換えアデノ随伴ウイルスベクター(rAAV)を生成するために利用することができるAAVゲノム主鎖での最小プロモーターの上流にクローニングすることができる。これらのウイルスツールを、特定の新皮質集団を標識するために、眼窩後方に送達した。マッチング細胞型を有する細胞において、エンハンサーは、細胞型特異的発現を駆動するために、それらの同族転写因子を動員する。その他の細胞では、ウイルスゲノムは存在するが、転写産物は発現しない。しかしながら、すべてのエンハンサーが予想通りに動作するわけではないため、エンハンサー構築物を特異性について試験する必要がある。
【
図2A】エンハンサーeHGT_451m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図2B】6.00E
11GCのAAVベクター#CN2249を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図3A】エンハンサーeHGT_452m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図3B】1.45E
12GCのAAVベクター#CN2250を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図4A】エンハンサーeHGT_453m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図4B】7.00E
11GCのAAVベクター#CN2251を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。スケールバー:100ミクロン。
【
図4C】PHP.eBキャプシドにパッケージされたCN2251ウイルスを眼窩後注射した後にマウス脳の視覚野領域から選別したSYPF2+細胞の単一細胞トランスクリプトームのプロファイルのマッピング。最末端にマッピングされた細胞の数を樹状図下方の棒グラフに示す。トランスクリプトームの細胞型を下部に示す。このデータは、eHGT_453mエンハンサー駆動型レポーター発現が、視覚野領域にある4種類のL5 ETニューロンのすべての型において選択的に生じることを示す。下部の文字は、左から右に:169 L2/3 IT VISp Rrad、168 L2/3 IT VISp Adamts2、167 L2/3 IT VISp Agmay、164 L4 IT VISp Rspo1、163 L5 IT VISp Hsd11b1 Endou、162 L5 IT VISp Whrn Tox2、160 L5 IT VISp Batf3、158 L5 IT VISp Col6a1 Fezf1、157 L5 IT VISp Col27a1、154 L6 IT VISp Penk Col27a1、153 L6 IT VISp Penk Fst、L6 IT VISp Col23a1 Adamts2、149 L6 IT VISp Col18a1、146 L6 IT VISp Car3、144 L5 PT VISp Chrna6、143 L5 PT VISp Lgr5、142 L5 PT VISp C1ql2 Ptgfr、141 L5 PT VISp C1qI2 Cdh13、140 L5 PT VISp Krt80、134 L5 NP VISp Trhr Cpne7、133 L5 NP VISp Trhr Met、L5 CT Nxph2 Sla、130 L5 CT VISp Krt80 Sla、L5 CT VISp Nxph2.Wls、127 L5 CT VISp Ctxn3 Brinp3、126 L5 CT VISp Ctxn3 Sla、122 L5 CT VISp Gpr139、120 L6b Col8a1 Rprm、119 L6b VISp Mup5、118 L6b VISp Col8a1 Rxfp1、115 L6b P2ry12、L6b VISp Crh、110 Lamp5 Krt73、Lamp5 Fam19a1 Pax6、108 Lamp5 Fam19a1 Tmem182、106 Lamp5 Ntn1 Npy2r、105 Lamp5 Plch2 Dock5、101 Lamp5 Lsp1、100 Lamp5 Lhx6、Sncg Slc17a8、96 Sncg Vip Nptx2、95 Sncg Gpr50、93 Sncg Vip Itih5、90 Serpinf1 Clrn1、89 Serpinf1 Aqp5 Vip、85 Vip Igfbp6 Car10、84 Vip Igfbp6 Pltp、Vip Lmo1 Fam159b、Vip Lmo1 Myl1、79 Vip Igfbp4 Mab21l1、78 Vip Arhgap36 Hmcn1、77 Vip Gpc3 Slc18a3、74 Vip Ptprt Pkp2、73 Vip Rspo4 Rxfp1 Chat、71 Vip Lect1 Oxtr、70 Vip Rspo1 Itga4、67 Vip Chat Htr1f、66 Vip Pygm C1qI1、61 Vip CrispId2 Htr2c、60 Vip CrispId2 Kcne4、58 Vip Col15a1 Pde1a、54 Sst Chodl、53 Sst Mme Fam114a1、52 Sst Tac1 Htr1d、50 Sst Tac1 Tacr3、49 Sst Calb2 Necab1、48 Sst Calb2 Pdlim5、46 Sst Nr2f2 Necab1、45 Sst Myh8 Etv1、44 Sst Chrna1 Glra3、42 Sst Myh8 Fibin、40 Sst Chrna2 Ptgdr、39 Sst Tac2 Myn4、37 Sst Hpse Sema3c、36 Sst Hpse Cbln4、34 Sst Crh2 Efemp1、33 Sst Crh2 4930553C11Rik、31 Sst Esm1、29 Sst Tac2 Tacstd2、28 Sst Rxfp1 Eya1、27 Sst Rxfp1 Prdm8、23 Sst Nts、Pvalb Gabrg1、20 Pvalb Th Sst、18 Pvalb Calb1 Sst、17 Pvalb Akr1c18 Ntf3、16 Pvalb Sema3e Kank4、14 Pvalb Gpr149 IsIr、11 Pvalb ReIn Itm2a、10 Pvalb ReIn Tac1、9 Pvalb Tpbg、4 Pvalb Vlpr2、Meis2 Adamts19、170 Astro Aqp4、171 OPC Pdgfra Grm5、Oligo Serpinb1a、174 Oligo Synpr、VLMC Osr1 Cd74、VLMC Osr1 Mc5r、VLMC Spp1 Col15a1、Peri Kcnj8、SMC Acta2、Endo Ctla2a、及び、181 Microglia Siglechである。
【
図4D】エンハンサーAAVベクターCN2251血清型PHP.eBを定位固定注射して64日後のマカク一次運動野から得た固定脳スライスでの天然SYFP2蛍光の落射蛍光顕微鏡画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:500μm。
【
図5A】エンハンサーeHGT_459m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図5B】1.00E
12GCのAAVベクター#CN2254を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。スケールバー:100ミクロン。
【
図5C】PHP.eBキャプシドにパッケージされたCN2254ウイルスを眼窩後注射した後にマウス脳の視覚野領域から選別したSYPF2+細胞の単一細胞トランスクリプトームのプロファイルのマッピング。最末端にマッピングされた細胞の数を樹状図下方の棒グラフに示す。トランスクリプトームの細胞型を下部に示す。このデータは、eHGT_459mエンハンサー駆動型レポーター発現が、主に、視覚野領域にある4種類のL5 ETニューロンの1つだけにおいて生じることを示す。下部の文字は、左から右に、
図4Cに記載したものと同じである。
【
図5D】エンハンサーAAVベクターCN2254血清型PHP.eBを定位固定注射して113日後のマカク一次運動野から得た固定脳スライスでの天然SYFP2蛍光の落射蛍光顕微鏡画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:500μm。
【
図6A】エンハンサーeHGT_460m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図6B】6.50E
11GCのAAVベクター#CN2255を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図7A】エンハンサーeHGT_462m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図7B】6.50E
11GCのAAVベクター#CN2256を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図8A】エンハンサーeHGT_464m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図8B】1.00E
12GCのAAVベクター#CN2315を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。スケールバー:100ミクロン。
【
図8C】PHP.eBキャプシドにパッケージされたCN2315ウイルスを眼窩後注射した後にマウス脳の視覚野領域から選別したSYPF2+細胞の単一細胞トランスクリプトームのプロファイルのマッピング。最末端にマッピングされた細胞の数を樹状図下方の棒グラフに示す。トランスクリプトームの細胞型を下部に示す。このデータは、eHGT_464mエンハンサー駆動型レポーター発現が、視覚野領域内の複数のタイプのL5 ETニューロンにおいて選択的に生じることを示す。下部の文字は、左から右に、
図4Cに記載したものと同じである。
【
図8D】エンハンサーAAVベクターCN2315血清型PHP.eBを定位固定注射して64日後のマカク一次運動野から得た固定脳スライスでの天然SYFP2蛍光の落射蛍光顕微鏡画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:500μm。
【
図9A】エンハンサーeHGT_461m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図9B】5.00E
11GCのAAVベクター#CN2423を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図10A】エンハンサーeHGT_463m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一の細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図10B】7.30E
11GCのAAVベクター#CN2424を眼窩後に送達して2ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。スケールバー:100ミクロン。
【
図10C】PHP.eBキャプシドにパッケージされたCN2424ウイルスを眼窩後注射した後にマウス脳の視覚野領域から選別したSYPF2+細胞の単一細胞トランスクリプトームのプロファイルのマッピング。最末端にマッピングされた細胞の数を、樹状図下方の棒グラフに示す。トランスクリプトームの細胞型を下部に示す。このデータは、eHGT_463mエンハンサー駆動型レポーター発現が、視覚野領域内の4つのタイプのL5 ETニューロンの1つにおいて選択的に生じることを示す。下部の文字は、左から右に、
図4Cに記載したものと同じである。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。
【
図11A】エンハンサーeHGT_647m(網掛け領域)に関するマウスゲノム座標であり、細胞のクラス及びサブクラスごとの対応する単一細胞ATAC-seqピークを示す。矢印は、L5 ETニューロンサブクラスのオープンクロマチンピークを示す。
【
図11B】7.00E
11GCのAAVベクター#CN2847を眼窩後に送達して1.5ヶ月後の視覚野における天然型SYFP2発現を示す落射蛍光顕微鏡写真画像。このゲノム座標は、ビルドHg38に関するものであり、画像は、UCSC Genome Browserから得た。スケールバー:100ミクロン。
【
図12A】本開示を支持する配列。本明細書に開示したエンハンサー配列。本明細書に記載したそれぞれの人工発現構築物は、
図12Aに提供したエンハンサー配列の少なくとも1つを含む。
【
図12B】本開示を支持する配列。(12A)のエンハンサーを使用して生成された人工発現構築物内に含めることができる(または、コードされる)例示的な成分。
【
図12C】本開示を支持する配列。(12A)のエンハンサー、及び(12B)の選択成分を使用して生成した代表的な人工発現構築物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
脳の生物学を完全に理解するためには、異なる細胞型を区別し、定義する必要があり、そして、それらをさらに研究するために、それらを選択的に標識し、撹乱することができる人工発現構築物を同定する必要がある。Tasic,Curr.Opin.Neurobiol.50,242-249(2018)、Zeng&Sanes、Nat.Rev.Neurosci.18,530-546(2017)。マウスにおいて、リコンビナーゼドライバー株を使用して、マーカー遺伝子発現を共有する細胞集団を標識するために大きな効果を得ている。Daigle et al.,Cell 174,465-480.e22(2018)、Taniguchi et al.,Neuron 71,995-1013(2011)、Gong et al.,J.Neurosci.27,9817-9823(2007)。しかしながら、高い特異性を有する細胞型を標識するそのような株の作製、維持、及び使用は、高価であり、低い頻度の実験動物をもたらすトリプルトランスジェニック交配を必要とすることがよくある。さらに、これらのツールは生殖細胞系トランスジェニック動物を必要とするので、ヒトには適用できない。
【0015】
本開示は、標的中枢神経系細胞集団での遺伝子発現を選択的に駆動する人工発現構築物を提供する。標的中枢神経系細胞集団として:新皮質グルタミン酸作動性層5ニューロン、例えば、新皮質グルタミン酸作動性終脳外投射(L5 ET)ニューロンがある。特定の用途において、本開示の態様を使用して、治療ペイロードを、例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、またはL5 ETニューロンが関連するその他の神経変性疾患に関係する上位運動ニューロンに対して送達することができる。
【0016】
人工発現構築物の特定の実施形態は、次のエンハンサー:eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、及び/またはeHGT_583mを利用して、L5 ETニューロン内での遺伝子発現を選択的に駆動する。
【0017】
特定の実施形態では、人工エンハンサーエレメントは、本明細書に開示されるエンハンサーの連結コア、例えば、eHGT_459m、eHGT_453m、eHGT_462m、eHGT_461m、eHGT_464m、eHGT_452m、eHGT_451m、及び/またはeHGT_460mの連結コアを含む。これらの人工エンハンサーエレメントは、単一の全長オリジナル(ネイティブ)エンハンサーと比較して、高レベルの導入遺伝子発現及びより迅速な発現の開始を提供する。
【0018】
特定の実施形態では、エンハンサーコアは、配列番号45~52のいずれか1つに記載のコア配列を含むことができる。特定の実施形態では、これらのコアは連結されており、2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコアを含む。配列番号53~60は、3コピーの選択されたエンハンサーコアのコンカテマーを提供する。
【0019】
人工発現構築物の特定の実施形態は、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460mを利用して、L5グルタミン酸作動性ニューロン内のタンパク質発現を選択的に駆動する。
【0020】
特定の実施形態は、ベクター:CN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024などの本明細書に記載のベクターの特徴を含む人工発現構築物を提供する。
【0021】
本開示の態様を、次のさらなる選択肢及び詳細:(i)選択した細胞型における遺伝子の選択的発現のための人工発現構築物及びベクター、(ii)投与のための組成物、(iii)人工発現構築物を含む細胞株、(iv)トランスジェニック動物、(v)使用方法、(vi)キット及び市販品、(vii)例示的な実施形態、及び(viii)終結段落で説明する。
【0022】
(i)選択した細胞型での遺伝子の選択的発現のための人工発現構築物及びベクター。本明細書に開示した人工発現構築物は、(i)標的中枢神経系細胞型でのコード配列の選択的発現を招くエンハンサー配列、(ii)発現させるコード配列、(iii)プロモーターを含む。また、発現構築物は、必要または有益であれば、その他の調節エレメントを含むこともできる。
【0023】
特定の実施形態では、「エンハンサー」または「エンハンサー要素」は、シス作用配列であり、このものは、プロモーターと関連する転写のレベルを高める、転写するプロモーター及びコード配列に対していずれかの方向で機能することができる、そして、転写するプロモーターまたはコード配列に対して上流または下流に位置し得る。エンハンサー要素配列の機能(複数可)を測定する方法及び技術が存在しており、当該技術分野で認識されている。本明細書に開示した人工発現構築物で利用するエンハンサー配列の具体的な例として:eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、及び連結コア、例えば、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び3xcore2_eHGT_460mがある。
【0024】
特定の実施形態では、標的中枢神経系細胞型エンハンサーは、標的中枢神経系細胞型が独自に、または主に利用するエンハンサーである。標的中枢神経系細胞型エンハンサーは、標的中枢神経系細胞型での遺伝子の発現を増強するが、その他の非標的細胞型での遺伝子の発現を実質的に誘導せず、したがって、細胞型特異的転写活性を有する。
【0025】
コード配列が選択した細胞において選択的に発現し、かつ、その他の細胞型で実質的に発現しない場合、コード配列の産物は、選択した細胞型において優先的に発現される。特定の実施形態では、優先発現は、リファレンス細胞型と比較して50%を超える;リファレンス細胞型と比較して60%を超える;リファレンス細胞型と比較して70%を超える;リファレンス細胞型と比較して80%を超える;または、リファレンス細胞型と比較して90%を超える。特定の実施形態では、リファレンス細胞型は、非標的化細胞のことを指す。非標的化細胞は、標的化細胞と同じ解剖学的構造内にある、及び/または共通の解剖学的領域に出現する。特定の実施形態では、リファレンス細胞型は、標的細胞型を含む解剖学的構造に隣接する解剖学的構造内にある。特定の実施形態では、リファレンス細胞型は、標的細胞とは異なる遺伝子発現プロファイルを有する非標的細胞である。
【0026】
特定の実施形態では、コード配列の産物は、非選択細胞型において、例えば、選択した細胞において産物を発現するレベルの1%未満、または1%、2%、3%、5%、10%、15%、または20%の低レベルで発現し得る。特定の実施形態では、標的中枢神経系細胞型は、遺伝子発現を駆動するために本明細書に開示したエンハンサーに結合する転写因子の適切な組み合わせを発現する唯一の細胞型である。したがって、特定の実施形態では、発現は、標的細胞型内でのみ起こる。
【0027】
特定の実施形態では、標的細胞型(例えば、ニューロン、及び/または非ニューロン)は、例えば、Tasic et al.,2018及びHodge et al.,Nature,573,61-68(2019)などの転写プロファイルに基づいて同定することができる。参考のために、細胞型及び識別特徴の説明を次のように提供する:
【0028】
新皮質GABA作動性サブクラス:
●全て:GABA合成遺伝子Gad1/GAD1及びGad2/GAD2を発現する。
●Lamp5、Sncg、Serpinf1、及びVip:尾神経節発光(CGE)または視前領域(POA)由来のニューロン前駆体に発達的に由来する。
●Sst及びPvalb:神経節内側発光(MGE)におけるニューロン前駆体から発生的に誘導される。
●Lamp5:多くの皮質層、特に、上部(L1~L2/3)に認められ、主に神経膠細胞形態及び単一叢形態を有する。
●Sncg:多くの皮質層に見出され、Lamp5及びVip細胞と分子オーバーラップを有するが、Lamp5またはVipの発現が一貫しておらず、Sncgの発現がより一貫している。
●Serpinf1:多くの皮質層に認められ、Sncg及びVip細胞と分子オーバーラップを有するが、SncgまたはVipの発現は一貫しておらず、Serpinf1の発現がより一貫している。
●Vip:多くの皮質層に認められるが、特に、上層(L1~L4)に多く見られ、神経伝達物質血管活性腸ペプチド(Vip)を高度に発現する。
●Sst:多くの皮質層に認められるが、特に、下層(L5~L6)で頻繁に認められる。それらは、神経伝達物質ソマトスタチン(Sst)を高度に発現し、シナプス後ニューロンへの樹状突入を頻繁にブロックする。このサブクラスには、その他のSstニューロンとは非常に異なるが、Sstを含むいくつかの共有マーカー遺伝子を発現する睡眠活性Sst Chodlニューロン(Nos1及びTacr1も発現する)が含まれる。ヒトにおいて、SST遺伝子発現は、多くの場合、層1 LAMP5+細胞内で検出される。
●Pvalb:多くの皮質層に認められるが、特に、下層(L5~L6)で頻繁に認められる。それらは、カルシウム結合タンパク質パルバルブミン(Pvalb)を高度に発現し、ニューロペプチドTac1を発現し、そして、シナプス後ニューロンの出力をしばしば減衰させる。ほとんどのGABA作動性細胞は、Pvalbを強く発現する。このサブクラスには、別個のシャンデリア様形態を有し、マウスでのマーカーCpne5及びVipr2、ならびにヒトでのNOG及びUNC5Bを発現するシャンデリア細胞が含まれる。
●Meis2:Meis2遺伝子を発現する新皮質GABA作動性型のみと定義され、全てのその他の新皮質GABA作動性型(例えば、Thy1及びScn2b)によって発現される一部のその他の遺伝子を発現しない別個のサブクラス。この型は、L6b及び皮質下白色物質に認められる。
【0029】
新皮質グルタミン酸作動性サブクラス:
●全て:グルタミン酸トランスミッターSlc17a6及び/またはSlc17a7を発現する。それらは全て、Snap25を発現し、Gad1/Gad2の発現を欠く。
●L2/3 IT:主に層2/3に存在し、かつ、主に終脳内(皮質-皮質)突起を有する。
●L4 IT:主に層4に存在する、そして、主に局所または終脳内(皮質-皮質)のいずれかの突起を有する。
●L5 IT:主に層5に存在する、そして、主に終脳内(皮質-皮質)突起を有する。L5aとも称する。
●L5 ET:主に層5に存在する、そして、主に皮質-皮質下突起を有する。L5bまたはL5 CF(コルチコフガル)、またはL5 PT(錐体路投射)とも称する。このサブクラスは、一次運動皮質及び隣接する領域に位置し、ALS等の運動ニューロン/運動障害と関連する皮質脊髄突起ニューロンである細胞を含む。このサブクラスには、特殊化した領域、例えば、ベッツ細胞、メイナート細胞、及びフォンエコノモ細胞にのみ認められる特徴的なサブタイプを含む、厚い房状の錐体ニューロンを含む。
●L5 NP:主に層5に常駐しており、主に近傍に突起がある。
●L6 CT:主に層6に存在する、そして、主にコルチコ視床突起を有する。
●L6 IT:主に層6に存在する、そして、主に脳内(皮質-皮質)突起を有する。このサブクラスには、鎖骨内の皮質内突起細胞と非常に類似したL6 IT Car3細胞が含まれる。
●L6b:主に新皮質サブプレート(L6b)に存在し、局所(細胞体の近く)突起及びVISpから前嚢胞へのいくつかの皮質-皮質突起、及び視床への皮質-皮質下突起がある。
●CR:L1において単一の種類として定義される別個のサブクラスであるCajal-Retzius細胞は、別個の分子マーカーLhx5及びTrp73を発現する。
【0030】
小脳プルキンエ細胞:大きなGABA作動性ニューロンであり、小脳由来の唯一の突起ニューロン及び唯一の産物である。それらの細胞体は、いわゆる「プルキンエ細胞層」と称する単層を形成しており、そして、パルブアルブミンを発現する。
【0031】
深部小脳核ニューロン:深部小脳核構造に位置するニューロン。これらには、Pvalb遺伝子を発現するグルタミン酸作動性及びGABA作動性細胞が含まれる。
【0032】
非ニューロンサブクラス:
●アストロサイト:マーカーAqp4を発現し、しばしばGFAPを発現するが、ニューロンマーカーSNAP25を発現しない神経外胚葉由来グリア細胞。それらは、明確な星型形態を有することができる、そして、脳内のその他の細胞の代謝支持に関与する。複数の星細胞形態がマウス及びヒトにおいて認められる。
●オリゴデンドロサイト:マーカーSox10を発現する神経外胚葉由来のグリア細胞。このカテゴリーは、オリゴデンドロサイト胞前駆体細胞(OPC)を含む。オリゴデンドロサイト細胞は、ニューロンの髄鞘形成に主に関与するサブクラスである。
●VLMC:血管レプトメニンジ細胞(VLMC)は、皮質の外層を取り囲み、マーカー遺伝子Lum及びCol1a1を発現する髄膜の一部である。
●周皮細胞:マーカー遺伝子Kcnj8及びAbcc9を発現する血管関連細胞。周皮細胞は、内皮細胞の周囲を包み、毛細血管の血流の調節に重要であり、血液脳関門透過性に関与する。
●SMC:マーカー遺伝子Acta2を発現する血管関連細胞である特殊な平滑筋細胞。SMCは、脳の動脈を覆い、血液脳関門透過性に関与する。
●内皮細胞:脳の血管の内側を補強する細胞。内皮細胞は、マーカーTek及びPDGF-Bを発現する。
●ミクログリア:脳組織と遷移的に関連し得る、または脳解剖法の副産物として含まれ得る、脳常駐マクロファージ、及び血管周囲マクロファージ(PVM)である造血由来免疫細胞。ミクログリアは、Cx3cr1、Tmem119、及びPTPRC(CD45)を発現することが知られている。
【0033】
特定の実施形態では、コード配列は、エフェクター要素をコードする異種コード配列である。エフェクター要素は、意図した効果を達成するために発現され、そして、実際に達成される配列である。エフェクター要素の例として、レポーター遺伝子/タンパク質、及び機能遺伝子/タンパク質がある。
【0034】
例示的なレポーター遺伝子/タンパク質として、Addgene ID番号83894(pAAV-hDlx-Flex-DTomato-Fishell_7)、83895(pAAV-hDlx-Flex-GFP-Fishell_6)、83896(pAAV-hDlx-GiDREADD-dTomato-Fishell-5)、83898(pAAV-mDlx-ChR2-mCherry-Fishell-3)、83899(pAAV-mDlx-GCaMP6f-Fishell-2)、83900(pAAV-mDlx-GFP-Fishell-1)、及び89897(pcDNA3-FLAG-mTET2(N500))が発現する遺伝子/タンパク質がある。例示的なレポーター遺伝子として、特に、発現可能な蛍光タンパク質、または発現可能なビオチンをコードするもの:青色蛍光タンパク質(例えば、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalama1、GFPuv、Sapphire、T-sapphire);シアン蛍光タンパク質(例えば、eCFP、Cerulean、CyPet、Amcyanl、Midoriishi-Cyan、mTurquoise);緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、EGFP、Emerald、Azami Green、Monomeric Azami Green(mAzamigreen)、CopGFP、AceGFP、avGFP、ZsGreenl、Oregon Green(商標)(Thermo Fisher Scientific));ルシフェラーゼ;オレンジ蛍光タンパク質(mOrange、mKO、Kusabira-Orange、Monomeric Kusabira-Orange、mTangerine、tdTomato、dTomato);赤色蛍光タンパク質(例えば、mKate、mKate2、mPlum、DsRed monomer、mCherry、mRuby、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRed-Monomer、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、Jred、Texas Red(商標)(Thermo Fisher Scientific));遠赤色蛍光タンパク質(例えば、mPlum、及びmNeptune);黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、SYFP2、Venus、YPet、PhiYFP、ZsYellowl);及び、タンデムコンジュゲートがある。
【0035】
GFPは238個のアミノ酸(26.9kDa)で構成され、もともとは、青色光に曝されると緑色に蛍光するクラゲであるオワンクラゲ(Aequorea victoria)/オワンクラゲ(Aequorea aequorea)/オワンクラゲ(Aequorea forskalea)から単離されている。A.victoria由来のGFPは、395nmの波長に大きな励起ピークを有し、475nmに小さい励起ピークを有する。その発光ピークは、可視スペクトルの下部緑色部分にある509nmである。シーパンジー(Renilla reniformis)由来のGFPは、498nmで単一の主要励起ピークを有する。広範な使用の可能性と研究者のニーズの進化により、遺伝子操作してGFPの多くの異なる変異体が作出されている。最初の大きな改善は、Roger Tsienが1995年にNatureで報告した単一点突然変異(S65T)であった。この変異は、GFPのスペクトル特性を劇的に改善し、509nmに維持したピーク発光で、蛍光の増加、光安定性、及び主要励起ピークの488nmへのシフトをもたらした。この骨格に37℃の折り畳み効率(F64L)点変異体を加えることで、強化GFP(EGFP)が得られた。EGFPは、55,000L/(mol●cm)としても引用される、9.13×10-21m2/分子の光学断面としても知られる絶滅係数(εで表す)を有する。不十分な折り畳みペプチドに融合させてもGFPを急速に折り畳んで成熟させる一連の変異であるスーパーフォルダGFPは、2006年に報告した。
【0036】
「黄色蛍光タンパク質」(YFP)は、オワンクラゲ(Aequorea victoria)に由来する緑色蛍光タンパク質の遺伝的変異体である。その励起ピークは514nmであり、その発光ピークは527nmである。
【0037】
例示的な機能性分子としては、機能性イオン輸送体、細胞輸送タンパク質、酵素、転写因子、神経伝達物質、カルシウムレポーター、チャネルロドプシン、ガイドRNA、ヌクレアーゼ、またはデザイナー薬物によって排他的に活性化されるデザイナー受容体(DREADD)がある。
【0038】
イオン輸送体は、細胞膜を横切るイオンの輸送を媒介する膜貫通タンパク質である。これらのイオン輸送体は、ほとんどの細胞型にわたって浸透しており、細胞の興奮性及び恒常性を調節するために重要である。イオン輸送体は、作用電位、シナプス伝達、ホルモン分泌、及び筋肉収縮等の多数の細胞プロセスに関与する。生体細胞における多くの重要な生物学的プロセスは、カチオン、例えば、カルシウム(Ca2+)、カリウム(K+)、及びナトリウム(Na+)イオンが、かかるイオンチャネルを介して移動することに関係する。特定の実施形態では、イオン輸送体は、電位依存性のナトリウムチャネル(例えば、SCN1A)、カリウムチャネル(例えば、KCNQ2)、及びカルシウムチャネル(例えば、CACNA1C)を含む。
【0039】
例示的な酵素、転写因子、受容体、膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、シグナル伝達分子、及び神経伝達物質としては、ラクターゼ、リパーゼ、ヘリカーゼ、アルファ-グルコシダーゼ、アミラーゼなどの酵素;SP1、AP-1、熱ショック因子タンパク質1、C/EBP(CCAA-T/エンハンサー結合タンパク質)、及びOct-1などの転写因子;形質転換成長因子受容体ベータ1、血小板由来成長因子受容体、上皮成長因子受容体、血管内皮成長因子受容体、及びインターロイキン8受容体アルファなどの受容体;膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、例えば、クラスリン、ダイナミン、カベオリン、Rab-4A、及びRab-11Aなど;神経成長因子(NGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子β(TGFβ)、上皮成長因子(EGF)、GTPアーゼ及びHRasなどのシグナル分子;及び、コカイン及びアンフェタミン制御転写物質、サブスタンスP、オキシトシン、及びソマトスタチンなどの神経伝達物質がある。
【0040】
特定の実施形態では、機能性分子は、細胞機能のレポーター、及びカルシウムレポーターなどの状態を含む。細胞内カルシウム濃度は、ニューロン活性化、筋肉細胞収縮、及び第2のメッセンジャーシグナル伝達を含む多数の細胞活性の重要な予測因子である。細胞内カルシウムレベルをモニタリングするための敏感で便利な技術は、遺伝的にコードしたカルシウムインジケーター(GECI)を介している。GECIの中で、GCaMPという名称の緑色蛍光タンパク質(GFP)をベースとしたカルシウムセンサーは、効率的で広く使用されるツールである。GCaMPは、環状変異GFPのN末端及びC末端に、M13及びカルモジュリンタンパク質を融合して形成される。一部のGCaMPは、明確な蛍光放射スペクトルをもたらす(Zhao et al.,Science,2011,333(6051):1888-1891)。緑色蛍光を有する例示的なGECIとしては、GCaMP3、GCaMP5G、GCaMP6s、GCaMP6m、GCaMP6f、jGCaMP7s、jGCaMP7c、jGCaMP7b、及びjGCaMP7fがある。さらに、赤色蛍光を有するGECIには、jRGECO1a及びjRGECO1bが含まれる。GECIを含有するAAV産物は、市販されている。例えば、Vigene Biosciencesは、AAV8-CAG-GCaMP3(カタログ番号:BS4-CX3AAV8)、AAV8-Syn-FLEX-GCaMP6s-WPRE(カタログ番号:BS1-NXSAAV8)、AAV8-Syn-FLEX-GCaMP6s-WPRE(カタログ番号:BS1-NXSAAV8)、AAV9-CAG-FLEX-GCaMP6m-WPRE(カタログ番号:BS2-CXMAAV9)、AAV9-Syn-FLEX-jGCaMP7s-WPRE(カタログ番号:BS12-NXSAAV9)、AAV9-CAG-FLEX-jGCaMP7f-WPRE(カタログ番号:BS12-CXFAAV9)、AAV9-Syn-FLEX-jGCaMP7b-WPRE(カタログ番号:BS12-NXBAAV9)、AAV9-Syn-FLEX-jGCaMP7c-WPRE(カタログ番号:BS12-NXCAAV9)、AAV9-Syn-FLEX-NES-jRGECO1a-WPRE(カタログ番号:BS8-NXAAAV9)、及びAAV8-Syn-FLEX-NES-jRCaMP1b-WPRE(カタログ番号:BS7-NXBAAV8)を含むAAV産物を提供する。
【0041】
特定の実施形態では、カルシウムレポーターとしては、遺伝的にコードしたカルシウムインジケーターGECI、NTnC;ミオシン軽鎖キナーゼ、GFP、カルモデュリンキメラ;カルシウムインジケーターTN-XXL;BRET型自動発光カルシウムインジケーター;及び/または、カルシウムインジケータータンパク質OeNL(Ca2+)-18u)がある。
【0042】
特定の実施形態では、機能的分子は、チャネルロドプシン(例えば、チャネロプシン-1、チャネルロドプシン-2、及びそれらの変異体)のようなニューロン活性の調節因子を含む。チャネルロドプシンは、光開閉型イオンチャネルとして機能するレチニリデンタンパク質(ロドプシン)のサブファミリーである。チャネルロドプシン1(ChR1)及びチャネルロドプシン2(ChR2)に加えて、幾つかのチャネルロドプシン変異体が開発されている。例えば、Lin et al.(Biophys J,2009,96(5):1803-14)は、部位特異的突然変異誘発と組み合わせたChR1及びChR2の膜貫通ドメインのキメラの作製について記載している。Zhang et al.(Nat Neurosci,2008,11(6):631-3)は、赤色シフトしたチャネルロドプシン変異体であるVChR1を説明している。VChR1は、光感度が低く、膜輸送及び発現が悪い。その他の既知のチャネルロドプシン変異体としては、Nagel et al.,Proc Natl Acad Sci USA,2003,100(24):13940-5)、ChR2/H134R(Nagel,G.et al.,Curr Biol,2005,15(24):2279-84)、及びChD/ChEF/ChIEF(Lin,J.Y.et al.Biophys J,2009,96(5):1803-14)に記載のChR2変異体があり、これらは青色光(470nm)によって活性化されるが、オレンジ色/赤色光に対する感受性を示さない。さらなる変異体は、Lin、Experimental Physiology,2010,96.1:19-25、及びKnopfel et al.,The Journal of Neuroscience,2010,30(45):14998-15004に記載されている。
【0043】
特定の実施形態では、機能的分子は、CRISPR/CAS(例えば、ガイドRNA及びCas、Cas9またはcpf1などのヌクレアーゼ)などのDNA及びRNA編集ツールを含む。また、機能的分子は、遺伝子操作したCpf1、例えば、US2018/0030425、US2016/0208243、WO/2017/184768、及びZetsche et al.(2015)Cell 163:759-771に記載のものなど;単一のgRNA(例えば、Jinek et al.(2012)Science 337:816-821、Jinek et al.(2013)eLife 2:e00471、Segal(2013)eLife 2:e00563を参照されたい)、またはエディターゼ、ガイドRNA分子、マイクロRNA、または相同組換えドナーカセットを含むことができる。
【0044】
配列は、公的に利用可能である。例として、ラクターゼ(例えば、GenBank:EAX11622.1)、リパーゼ(例えば、GenBank:AAA60129.1)、ヘリカーゼ(例えば、GenBank:AMD82207.1)、アミラーゼ(例えば、GenBank:AAA51724.1)、アルファ-グルコシダーゼ(例えば、GenBank:ABI53718.1)、転写因子SP1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:P08047.3)、転写因子AP-1(例えば、NP_002219.1)、熱ショック因子タンパク質1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:Q00613.1)、CCAAT/エンハンサー結合タンパク質(C/EBP)ベータアイソフォームA(例えば、NP_005185.2)、Oct-1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:P14859.2)、TGFβ(例えば、GenBank:CAF02096.2)、血小板由来成長因子受容体(例えば、GenBank:AAA60049.1)、上皮成長因子受容体(例えば、GenBank:CAA25240.1)、血管内皮増殖因子受容体(例えば、GenBank:AAC16449.2)、インターロイキン8受容体アルファ(例えば、GenBank:AAB59436.1)、カベオリン(例えば、GenBank:CAA79476.1)、ダイナミン(例えば、GenBank:AAA88025.1)、クラスリン重鎖1アイソフォーム1(例えば、NP_004850.1)、クラスリン重鎖2アイソフォーム1(例えば、NP_009029.3)、クラスリン軽鎖Aアイソフォームa(例えば、NP_001824.1)、クラスリン軽鎖Bアイソフォームa(例えば、NP_001825.1)、ras関連タンパク質Rab-4Aアイソフォーム1(例えば、NP_004569.2)、ras関連タンパク質Rab-11A(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:P62491.3)、血小板由来成長因子(例えば、GenBank:AAA60552.1)、形質転換成長因子-ベータ3(例えば、GenBank:AAA61161.1)、神経成長因子(例えば、GenBank:CAA37703.1)、EGF(例えば、GenBank:CAA34902.2)、コカイン及びアンフェタミン調節転写産物(鎖A)(例えば、PDB:1HY9_A)、プロタキキニン-1(例えば、UniProtKB-P20366)、オキシトシン-ニューロフィシン1(例えば、UniProtKB-P01178)、ソマトスタチン(例えば、GenBank:AAH32625.1)、遺伝的にコードした緑色カルシウム指示薬NTnC(鎖A)[合成構築物](例えば、PDB:5MWC_A)、カルシウム指示薬TN-XXL[合成構築物]、(例えば、GenBank:ACF93133.1)、BRETをベースとした自己発光カルシウム指示薬[合成構築物](例えば、GenBank ADF42668.1)、カルシウム指示タンパク質OeNL(Ca2+)-18u[合成構築物]、((例えば、GenBank BBB18812.1)、ミオシン軽鎖キナーゼ、緑色蛍光タンパク質、カルモデュリンキメラ(鎖A)[合成構築物]((例えば、PDB:3EKJ_A)、チャネロプシン1(例えば、UniProtKB-F8UVI5)、チャネルオプシン1(例えば、GenBank:AER58217.1)、チャネルロドプシン-2((例えば、UniProtKB-B4Y105)、チャネルロドプシン2[合成構築物]((例えば、GenBank:ABO64386.1)、CRISPR関連タンパク質(Cas)(例えば、GenBank:AKG27598.1)、Cas9[合成構築物](例えば、GenBank:AST09977.1)、CRISPR関連エンドヌクレアーゼCpf1(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:U2UMQ6.1)、リボヌクレアーゼ4またはリボヌクレアーゼL(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot:Q05823.2)、デオキシリボヌクレアーゼIIベータ(例えば、GenBank:AAF76893.1)、ナトリウムチャネルタンパク質タイプ1サブユニットアルファ(例えば、UniProtKB-P35498)、カリウム電位依存性チャネルサブファミリーKQTメンバー2(例えば、UniProtKB-O43526)、及び電位依存性L型カルシウムチャネルサブユニットアルファ-1C(例えば、UniProtKB-Q13936)がある。
【0045】
さらなるエフェクター要素は、Cre、iCre、dgCre、FlpO、及びtTA2を含む。iCreは、コドン改良したCreのことを指す。dgCreは、G67S変異を有するEscherichia coli K-12株染色体ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(DHFRまたはfolA)の最初の159個のアミノ酸のN末端融合を有する強化GFP/Creリコンビナーゼ融合遺伝子のことを指し、R12Y/Y100I不安定ドメイン変異も含むように修飾される。FlpOは、マウス細胞におけるタンパク質発現及びFRT組換え効率を大幅に増加させる、FLPeのコドン最適化形態のことを指す。Cre/LoxP系と同様に、FLP/FRT系は、遺伝子発現(及び、FLP/FRT系によって媒介される条件付きノックアウトマウスの生成)に広く使用されている。tTA2は、テトラサイクリントランスアクチベータのことを指す。
【0046】
例示的な発現可能な要素は、例えば、非機能的または欠陥タンパク質などのエフェクター要素を含まない発現産物である。特定の実施形態では、発現可能な要素は、それらの機能する対応物の効果を研究するための方法を提供することができる。特定の実施形態では、発現可能な要素は、それらを機能しないようにする遺伝子操作した変異に基づいて、機能しない、または欠陥がある。これらの態様において、発現不可能な要素は、それらの機能する対応物と可能な限り構造が類似している。
【0047】
例示的な自己切断ペプチドとしては、1つのmRNAからの2つのタンパク質の産生につながる2Aペプチドがある。2A配列は短い(例えば、20個のアミノ酸)ため、サイズ制限構築物においてより多くの使用を可能にする。具体的な例として、P2A、T2A、E2A、及びF2Aがある。特定の実施形態では、人工発現構築物は、内部リボソーム侵入部位(IRES)配列を含む。IRESは、リボソームがmRNA分子上の第2の内部部位で翻訳を開始することを可能にし、1つのmRNAからの2つのタンパク質の産生につながる。
【0048】
本明細書に記載した分子(例えば、RNA、タンパク質)をコードするコード配列は、公的に入手可能なデータベース及び刊行物から得ることができる。コード配列は、様々な配列多型、変異、及び/または配列変異体をさらに含むことができる、そのような改変は、コードした分子の機能に影響を与えない。用語「コードする(encode)」または「コードする(encoding)」は、タンパク質などのその他の分子の合成のための鋳型として機能するベクター、プラスミド、遺伝子、cDNA、mRNAなどの核酸の配列の特性のことを指す。
【0049】
用語「遺伝子」は、コード配列だけでなく、プロモーター、エンハンサー、インシュレーター、及び/または末端領域などの調節領域も含み得る。この用語は、mRNA転写産物からスプライシングしたすべてのイントロン及びその他のDNA配列、ならびに代替スプライス部位から生じる変異体をさらに含むことができる。配列はまた、参照配列の縮重コドン、または特定の生物または細胞型においてコドンの優先性を提供するために導入し得る配列を含むことができる。
【0050】
プロモーターは、一般的なプロモーター、組織特異的プロモーター、細胞特異的プロモーター、及び/または細胞質に特異的なプロモーターを含むことができる。プロモーターとしては、強いプロモーター、弱いプロモーター、構成的発現プロモーター、及び/または誘導性プロモーターがある。誘導性プロモーターは、特定の条件、シグナルまたは細胞事象に応答して発現を誘導する。例えば、プロモーターは、プロモーターからの転写をもたらすために特定のリガンド、小分子、転写因子またはホルモンタンパク質を必要とする誘導性プロモーターとし得る。プロモーターの具体的な例としては、minBglobin、CMV、minCMV、minCMV*(minCMV*は、Sacl制限部位を除去したminCMVである)、minRho、minRho*(minRho*は、Sacl制限部位を除去したminRhoである)、SV40即時初期プロモーター、Hsp68最小プロモーター(proHSP68)、及びRous肉腫ウイルス(RSV)長期反復(LTR)プロモーターがある。最小プロモーターは、単独で遺伝子発現を駆動する活性を有しないが、近位エンハンサー要素に連結されている場合、遺伝子発現を駆動するように活性化することができる。
【0051】
特定の実施形態では、発現構築物は、ベクター内に提供する。ベクターという用語は、発現構築物などの別の核酸分子を移入または輸送することができる核酸分子のことを指す。移入した核酸は、概して、例えば、ベクター核酸分子に連結、例えば、挿入する。ベクターは、細胞内で自律複製を指示する配列を含み得る、または宿主細胞DNAへの組み込みを可能にする配列を含み得る。有用なベクターとして、例えば、プラスミド(例えば、DNAプラスミド、またはRNAプラスミド)、トランスポゾン、コスミド、細菌人工染色体、及びウイルスベクターがある。
【0052】
ウイルスベクターは、細胞内への非天然核酸分子の移入及び発現を促すウイルス由来の核酸要素を含む核酸分子を指すために広く使用されている。アデノ随伴ウイルスベクターという用語は、主に、AAVに由来する構造的及び機能的な遺伝因子、またはその一部を含むウイルスベクターまたはプラスミドのことを指す。用語「レトロウイルスベクター」は、主に、レトロウイルスなどに由来する構造的及び機能的遺伝因子、またはその一部を含有するウイルスベクターまたはプラスミドのことを指す。用語「レンチウイルスベクター」は、主に、レンチウイルスなどに由来する構造的及び機能的遺伝因子、またはその一部を含有するウイルスベクターまたはプラスミドのことを指す。用語「ハイブリッドベクター」は、2つ以上のウイルス型由来の構造的及び/または機能的遺伝因子を含むベクターのことを指す。
【0053】
アデノウイルスベクターとは、(a)人工発現構築物のパッケージングを支持する、そして(b)センスまたはアンチセンス方向で、その中で、クローニングしたコード配列を発現する上で十分なアデノウイルス配列を含有する構築物のことを指す。組換えアデノウイルスベクターは、アデノウイルスの遺伝子操作した形態を含む。36kbの直鎖二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスの遺伝的組織に関する知識は、アデノウイルスDNAの大きな要素を、最大で7kbの外来配列で置換することを可能にする。レトロウイルスとは対照的に、アデノウイルスDNAは潜在的な遺伝毒性が無くともエピソーム様式で複製することができるので、宿主細胞のアデノウイルス感染は、染色体組み込みを招かない。また、アデノウイルスは、構造的に安定しており、広範に増幅を行った後のゲノム再配列は検出されていない。
【0054】
アデノウイルスは、その中規模ゲノム、操作の容易さ、高い力価、広い標的細胞範囲、及び高い感染性が故に、遺伝子導入ベクターとしての使用に特に好適である。ウイルスゲノムの両端には、ウイルスDNA複製及びパッケージングに必要なシス要素である100~200塩基対逆方向反復(ITR)を含有する。ゲノムの初期(E)領域及び後期(L)領域は、ウイルスDNA複製の開始によって分割される異なる転写単位を含有する。E1領域(E1A及びE1B)は、ウイルスゲノム、及びいくつかの細胞遺伝子の転写の調節に関与するタンパク質をコードする。E2領域(E2A及びE2B)の発現は、ウイルスDNA複製のためのタンパク質の合成を招く。これらのタンパク質は、DNA複製、後期遺伝子発現、及び宿主細胞遮断に関与する。ウイルス性キャプシドタンパク質の大部分を含む後期遺伝子の産物は、主要後期プロモーター(MLP)に由来する単一の一次転写産物の有意な処理を行った後にだけ発現される。MLPは、感染の後期に特に効率的であり、このプロモーターに由来するすべてのmRNAは、5’-三区分リーダー(TPL)配列を有しており、このものは、翻訳に好ましいmRNAとなる。
【0055】
アデノウイルスベクターが複製欠陥である、または少なくとも条件付き欠陥であるという要件以外に、アデノウイルスベクターの性質は、本明細書で開示する特定の実施形態の成功実践にとって重要であるとは考えられていない。アデノウイルスは、42個の異なる既知の血清型またはサブグループA~Fのいずれかであり得る。特定の実施形態では、サブグループCのアデノウイルス5型は、特定の実施形態で使用する条件付き複製欠損性アデノウイルスベクターを得る上で好ましい出発物質である、これはすなわち、アデノウイルス5型は、多くの生化学的及び遺伝子情報が公知であるヒトアデノウイルスであり、また、アデノウイルスをベクターとして用いるほとんどの構築物に歴史的に使用されていることによる。
【0056】
明示したように、典型的なベクターは複製欠損であり、アデノウイルスE1領域を有さない。したがって、目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドを、E1コード配列が除去した位置に導入することが最も便利であろう。しかしながら、アデノウイルス配列内の構築物の挿入位置は重要ではない。目的の遺伝子をコードするポリヌクレオチドは、E3置換ベクターまたはヘルパー細胞株、もしくは、ヘルパーウイルスがE4欠損を補完するE4領域において欠失したE3領域の代わりに挿入することもできる。
【0057】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、アデノウイルス株の汚染として発見されたパルボウイルスである。これは、あらゆる疾患に関連していないユビキタスウイルスである(抗体は、米国のヒト集団の85%に存在する)。また、その複製は、アデノウイルスなどのヘルパーウイルスの存在に依存するため、依存性ウイルスとして分類されている。様々な血清型が単離されており、そのうちAAV-2が最も特徴決定が進んでいる。AAVは、キャプシドタンパク質VP1、VP2、及びVP3に包み込まれて、直径20~24nmの正二十面体ビリオンを形成する一本鎖線形DNAを有する。
【0058】
AAV DNAは4.7キロ塩基長である。それには、2つのオープンリーディングフレームが含まれており、2つのITRが隣接している。AAVゲノムには、rep及びcapという2つの主要な遺伝子がある。rep遺伝子は、ウイルス複製に関与するタンパク質をコードするが、capはキャプシドタンパク質VP1-3をコードする。それぞれのITRは、T字型のヘアピン構造を形成する。これらの末端反復は、染色体組み込みのためのAAVの唯一の必須シス成分である。したがって、AAVは、送達のためにすべてのウイルスコード配列を除去し、そして、遺伝子のカセットに置換したベクターとして使用することができる。3つのAAVウイルスプロモーターが同定されており、それらのマップ位置に従ってp5、p19、及びp40と名付けられている。p5及びp19からの転写はrepタンパク質の産生をもたらし、p40からの転写はキャプシドタンパク質を産生する。
【0059】
AAVは、その優れた安全性プロファイル、ならびに、それらのキャプシド及びゲノムが、選択した細胞集団における発現を可能にするように調整され得るため、本開示内での使用のために顕著である。scAAVは、自己相補型AAVのことを指す。pAAVは、プラスミドアデノ随伴ウイルスのことを指す。rAAVは組換えアデノ随伴ウイルスのことを指す。
【0060】
その他のウイルスベクターを採用し得る。例えば、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、及びヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターを採用し得る。それらは、様々な哺乳動物細胞に幾つかの魅力的な特徴を提供する。
【0061】
レトロウイルスは、遺伝子送達のための一般的なツールである。「レトロウイルス」は、そのゲノムRNAを線形二本鎖DNAコピーに逆転写し、その後、そのゲノムDNAを宿主ゲノムに共有結合的に組み込むRNAウイルスのことを指す。ウイルスが宿主ゲノムに組み込まれると、それは「プロウイルス」と称される。プロウイルスは、RNAポリメラーゼIIの鋳型として機能し、新しいウイルス粒子を産生するために必要な構造タンパク質、及び酵素をコードするRNA分子の発現を誘導する。
【0062】
特定の実施形態での使用に適した例示的なレトロウイルスとして:モロニーマウス白血病ウイルス(M-MuLV)、モロニーマウス肉腫ウイルス(MoMSV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、ネコ白血病ウイルス(FLV)、スプーマウイルス、フレンドマウス白血病ウイルス、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)、及びレンチウイルスがある。
【0063】
「レンチウイルス」は、複合レトロウイルスの群(または属)のことを指す。例示的レンチウイルスとして:HIV(ヒト免疫不全ウイルス、HIV1型及びHIV2型を含む);ビスナメディウイルス(VMV);カプリン性関節炎-脳炎ウイルス(CAEV);ウマ感染性貧血ウイルス(EIAV);ネコ免疫不全ウイルス(FIV);ウシ免疫不全ウイルス(BIV);及び、サル免疫不全ウイルス(SIV)がある。特定の実施形態では、HIVをベースとしたベクター骨格(すなわち、HIVシス作用配列要素)を使用することができる。
【0064】
一部のベクターを使用するための安全性の向上は、ウイルス粒子の産生中にウイルスゲノムの転写を駆動するために、5’LTRのU3領域を異種プロモーターで置換して実現し得る。この目的のために使用することができる異種プロモーターの例としては、例えば、ウイルスサルウイルス40(SV40)(例えば、早期または後期)、サイトメガロウイルス(CMV)(例えば、即時早期)、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、及び単純ヘルペスウイルス(HSV)(チミジンキナーゼ)プロモーターがある。典型的なプロモーターは、Tat非依存的な様式で高レベルの転写を駆動することができる。この置換は、ウイルス産生系に完全なU3配列が存在しないため、複製能のあるウイルスを生成するための組み換えの可能性を小さくする。特定の実施形態では、異種プロモーターは、ウイルスゲノムが転写される方法を制御する上でさらなる利点を有する。例えば、異種プロモーターは、誘導因子が存在する場合にのみ、ウイルスゲノムのすべてまたは一部の転写が生じるように、誘導性とし得る。誘導因子として、1つ以上の化学化合物、または宿主細胞を培養する生理学的条件、例えば、温度もしくはpHなどがある。
【0065】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、TAR要素を含む。用語「TAR」は、レンチウイルスLTRのR領域に位置する「トランス活性化応答」遺伝子要素のことを指す。この要素は、レンチウイルストランスアクチベータ(tat)遺伝子要素と相互作用して、ウイルス複製を増強する。しかしながら、この要素は、5’LTRのU3領域が異種プロモーターで置換する実施形態では必要ではない。
【0066】
「R領域」は、キャッピング基の開始時(すなわち、転写の開始時)に開始し、ポリ(A)区域の開始直前に終了するレトロウイルスLTR内の領域のことを指す。また、R領域は、U3及びU5領域に隣接するものとして定義される。R領域は、逆転写の間に、ゲノムの一方の末端から他方の末端への新生DNAの移行を可能にする役割を果たす。
【0067】
特定の実施形態では、ウイルスベクターでの異種配列の発現は、転写後調節エレメント、効率的なポリアデニル化部位、及び、任意に、転写終結シグナルをベクターに組み込むことで高まる。様々な転写後調節エレメントは、異種核酸の発現を高めることができる。例として、ウッドチャック型肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE、Zufferey et al.,1999,J.Virol.,73:2886);B型肝炎ウイルス(HPRE)に存在する転写後調節エレメント(Smith et al.,Nucleic Acids Res.26(21):4818-4827,1998);及び、同様のもの(Liu et al.,1995,Genes Dev.,9:1766)がある。特定の実施形態では、ベクターは、WPRE、WPRE3、またはHPREなどの転写後調節エレメントを含む。特定の実施形態では、ベクターは、WPRE、WPRE3、またはHPREなどの転写後調節エレメントを欠く、または含まない。
【0068】
異種核酸転写産物の効率的な終結及びポリアデニル化を指示するエレメントは、異種遺伝子発現を高めることができる。転写終結シグナルは、一般的には、ポリアデニル化シグナルの下流に認められる。特定の実施形態では、ベクターは、発現する分子(例えば、タンパク質)をコードするポリヌクレオチドのポリアデニル化配列3’を含む。用語「ポリ(A)部位」または「ポリ(A)配列」は、RNAポリメラーゼIIによる新生RNA転写物の終結及びポリアデニル化の両方を指示するDNA配列のことを指す。ポリアデニル化配列は、コード配列の3’末端にポリ(A)尾部を加えることによってmRNAの安定性を促すことができ、したがって、翻訳効率の向上に寄与する。特定の実施形態は、BGHpAまたはSV40pAを利用し得る。特定の実施形態では、発現構築物の好ましい実施形態は、ターミネーターエレメントを含む。これらの要素は、転写レベルを引き上げ、構築物からその他のプラスミド配列への読み取りを最小限に抑える上で役立ち得る。
【0069】
特定の実施形態では、ウイルスベクターは、1つ以上のインスレーターエレメントをさらに含む。インスレーターエレメントは、ゲノムDNAに存在するシス作用エレメントによって媒介され得る、移入配列の制御解除発現をもたらし得る、エフェクター要素または発現可能な要素などのウイルスベクター発現配列を、統合部位効果(すなわち、位置効果、例えば、Burgess-Beusse et al.,PNAS.,USA,99:16433,2002、及びZhan et al.,Hum.Genet.,109:471,2001を参照されたい)から保護することに寄与し得る。特定の実施形態では、ウイルス移入ベクターは、3’LTRに1つ以上のインスレーターエレメントを含み、そして、プロウイルスが宿主ゲノムに組み込まれると、プロウイルスは、3’LTRを複製することで、5’LTR及び3’LTRの両方に1つ以上のインスレーターを含む。特定の実施形態で使用する上で好適なインスレーターとして、ニワトリβ-グロビンインスレーター(Chung et al.Cell 74:505,1993、Chung et al.,PNAS USA94:575,1997、及びBell et al.Cell 98:387,1999)、SP10インスレーター(Abhyankar et al.,JBC 282:36143,2007)、またはエンハンサーブロッキングインスレーターとして機能するその他の小さなCTCF認識配列(Liu et al.Nature,Biotechnology,33:198,2015)がある。
【0070】
前述の説明を超えて、広範囲の好適な発現ベクタータイプが、当業者に公知である。これらは、一般的な組換え手順のためにデザインした市販の発現ベクター、例えば、細胞におけるレポーター遺伝子の発現に必要な1つ以上のレポーター遺伝子、及び調節エレメントを含むプラスミドを含むことができる。多数のベクターが、例えば、Invitrogen、Stratagene、Clontechなどから市販されており、多くの関連するガイドに記載されている。特定の実施形態では、好適な発現ベクターとして、pUCまたはBluescriptプラスミドシリーズなどの哺乳類細胞でのコード遺伝子の発現を支持することができる任意のプラスミド、コスミド、またはファージ構築物がある。
【0071】
本明細書に開示するベクターの特定の実施形態は、以下のものを含む:
【表1-1】
【表1-2】
【0072】
当業者であれば、大きなベクター配列内のサブ成分の配列を容易に同定することができる、そして、本開示の内容に基づいて容易に同定することができる(
図12Cを参照されたい)。同定可能であり、かつ列挙したサブ成分の間のヌクレオチドは、構築物のアセンブリ(クローニング)に使用する制限酵素認識部位を反映しており、そして、一部の事例では、さらなるヌクレオチドは、識別可能な機能を伝達しない。完全なベクター配列のこれらのセグメントは、異なるクローニング戦略、及び/またはベクターの使用に基づいて調整することができる。一般的に、短い6個のヌクレオチド回文配列は、ベクター機能にとって重要ではないベクター構築アーチファクトを反映する。
【0073】
特定の実施形態では、血液脳関門(BBB)を通過するキャプシドを有するベクター(例えば、AAV)を選択する。特定の実施形態では、ベクターは、BBBを横断するキャプシドを含むように修飾を行う。血液脳関門を通過するウイルス性キャプシドを有するAAVの例として、AAV9 (Gombash et al.,Front Mol Neurosci. 2014;7:81)、AAVrh.10 (Yang、et al.,Mol Ther. 2014;22(7): 1299-1309)、AAV1R6、AAV1R7 (Albright et al.,Mol Ther. 2018;26(2): 510)、rAAVrh.8 (Yang、et al.,supra)、AAV-BR1 (Marchio et al.,EMBO Mol Med. 2016;8(6): 592)、AAV-PHP.S (Chan et al.,Nat Neurosci. 2017;20(8): 1172)、AAV-PHP.B (Deverman et al.,Nat Biotechnol. 2016;34(2): 204)、AAV‐PPS (Chen et al.,Nat Med. 2009;15: 1215),及びPHP.eBがある。特定の実施形態では、PHP.eBキャプシドは、AAV9とは違って、AAV9をリファレンスとしており、残基586で始まるアミノ酸:S-AQ-A(配列番号144)が、S-DGTLAVPFK-A(配列番号145)に変化する。特定の実施形態では、PHP.ebは、配列番号85を参照する。
【0074】
AAV9は、多くのその他の天然に存在する血清型とは異なり、静脈内注射した後にBBBを横断することができる、天然に存在するAAV血清型である。これは、中枢神経系(CNS)の大部分を形質転換し、したがって、例えば、AveXis(AVXS-101、NCT03505099)による脊髄筋萎縮(SMA)症候群の治療、及びCLN3遺伝子関連ニューロナルセロイド-リポフューズシノシス(NCT03770572)の治療のための臨床試験に関連して記載されているように、低侵襲性治療を可能にする(Naso et al.,BioDrugs.2017;31(4):317)。
【0075】
AAVrh.10は、元々は、アカゲザルから単離されたものであり、遺伝子送達用途に使用するその他の一般的な血清型と比較した場合、ヒトにおいて低い血清陽性を示し(Selot et al.,Front Pharmacol.2017;8:441を参照したい)、LYS-SAF302、LYSOGENE、及びNCT03612869の臨床試験において評価されている。
【0076】
キメラAAVベクターのライブラリーから単離した2つの変異体であるAAV1R6及びAAV1R7(AAV1キャプシドドメインを、AAVrh.10と交換した)は、肝臓及び血管内皮形質導入の有意な減少を示しながら、BBBを横断し、そして、CNSを形質導入する能力を保持する。
【0077】
同じく、アカゲザルマカクから単離したrAAVrh.8は、末梢投与した後の臨床的に重要な領域でのグリア及びニューロン細胞型のグローバルな形質導入を示しており、そして、その他のベクターと比較して低下した末梢組織向性も示す。
【0078】
AAV-BR1は、ランダムAAVディスプレイペプチドライブラリーのインビボスクリーニングの間に単離したNRGTEWD(配列番号146)エピトープを表示するAAV2変異体である。このものは、脳での高い導入遺伝子発現を伴う高い特異性を示し、(肝臓を含む)最小限のオフターゲット親和性を有する(Korbelin et al.,EMBO Mol Med.2016;8(6):609)。
【0079】
AAV-PHP.S(Addgene,Watertown,MA)は、7-mer配列QAVRTSL(配列番号147)をコードし、腸神経系内のニューロンを形質導入し、脊髄及び脳幹に入る末梢感覚求心を強力に形質導入する、CREATE法で作製したAAV9の変異体である。
【0080】
AAV-PHP.B(Addgene,Watertown,MA)は、7-mer配列TLAVPFK(配列番号148)をコードするCREATE方法で生成したAAV9の変異体である。AAV9よりも高い効率でCNS全体にわたって遺伝子を移入し、複数のCNS領域にわたって星形細胞及びニューロンの大部分を形質導入する。
【0081】
AAV-PPSは、DSPAHPS(配列番号149)エピトープをAAV2のキャプシドに挿入して作成しており、AAV2と比較して劇的に改善した脳向性を示す。
【0082】
血液脳関門を通過するキャプシドに関するさらなる情報については、Chan et al.,Nat.Neurosci、2017 Aug:20(8):1172-1179を参照されたい。
【0083】
(ii)投与用組成物。本開示の人工発現構築物及びベクター(本明細書では、生理学的に活性な成分と称する)は、細胞、組織スライス、動物(例えば、マウス、非ヒト霊長類)、またはヒトへの投与に好適な担体と共に製剤することができる。本明細書に記載した組成物での生理学的に活性な成分は、中性形態で、遊離塩基として、または薬理学的に許容可能な塩として調製することができる。
【0084】
医薬として許容可能な塩として、酸付加塩(タンパク質の遊離アミノ基で形成されるもの)があり、無機酸、例えば、塩酸もしくはリン酸、または、そのような有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などで形成される。また、遊離カルボキシル基で形成される塩は、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、または水酸化第二鉄、ならびに、そのような有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなどから得られる。
【0085】
生理学的に活性な成分の担体は、溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、等張剤、及び吸収遅延剤、緩衝剤、溶液、懸濁液、コロイドなどを含むことができる。生理学的に活性な成分のためのかかる担体の使用は、当該技術分野で周知のものである。任意の従来の培地または薬剤が生理学的に活性な成分と非相溶である場合を除いて、本明細書に記載した組成物とともに使用することができる。
【0086】
語句「医薬として許容可能な担体」は、ヒトに投与する場合に、及び特定の実施形態では、静脈内に(例えば、眼窩後方神経叢に)投与するときに、アレルギーまたは類似の不都合な反応を生じない担体のことを指す。
【0087】
特定の実施形態では、組成物は、静脈内、実質内、眼内、硝子体内、非経口、皮下、脳室内、筋肉内、くも膜下腔内、脊髄内、腹腔内、経口もしくは鼻腔内吸入のために、または1つ以上の細胞、組織、もしくは臓器への直接注射もしくは適用のために製剤することができる。
【0088】
組成物は、リポソーム、脂質、脂質複合体、ミクロスフェア、微粒子、ナノスフィア、及び/またはナノ粒子を含み得る。
【0089】
リポソームの形成及び使用は、一般的に、当業者に公知である。リポソームは、改善した血清安定性及び循環半減期を有するものが開発されている(例えば、米国特許第5,741,516号を参照したい)。さらに、潜在的な薬物担体としてのリポソーム及びリポソーム様調製物の様々な方法が記載されている(例えば、米国特許第5,567,434号;同第5,552,157号;同第5,565,213号;同第5,738,868号;及び、同第5,795,587号を参照されたい)。
【0090】
また、本開示は、生理学的に活性な成分の医薬として許容可能なナノカプセル製剤を提供する。ナノカプセルは概して、安定した再現可能な方法で化合物を封入することができる(Quintanar-Guerrero et al.Drug Dev Ind Pharm 24(12):1113-1128,1998;Quintanar-Guerrero et al.Pharm Res.15(7):1056-1062,1998;Quintanar-Guerrero et al.,J.Microencapsul.15(1):107-119,1998;Douglas et al.Crit,Rev Ther Drug Carrier Syst 3(3):233-261,1987)。細胞内ポリマー過負荷による副作用を回避するために、そのような超微細粒子は、インビボで分解することができるポリマーを使用してデザインすることができる。これらの要件を満たす生分解性ポリアルキルシアノアクリレートナノ粒子は、本開示での使用のために企画している。このような粒子については、Couvreuret alo.,J Pharm Sci 69(2):199-202、1980;Couvreuret al.,Crit Rev Ther Drug Carrier Syst.5(1)1-20,1988;zur Muhlenet al.,Eur J Pharm Biopharm、45(2):149-155,1998;Zambauxet al.,J Control Release 50(1-3):31-40、1998、及び米国特許第5,145,684号に記載されているようにして、容易に作り出すことができる。
【0091】
注射用組成物は、滅菌水溶液、または滅菌注射液もしくは分散液を用時調製するための分散液及び滅菌粉末を含み得る(米国特許第5,466,468号)。注射による送達の場合、形態は無菌であり、注射器によって送達可能な程度までの流体である。特定の実施形態では、組成物は、製造及び保存条件下で安定であり、また、任意に、細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護する1つ以上の防腐化合物を含む。担体は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの好適な混合物、及び/または植物油を含む溶媒または分散媒とし得る。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用によって、分散液の場合は必要な粒径を維持して、及び/または界面活性剤を使用して維持し得る。微生物の作用の防止は、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどの種々の抗菌剤及び/または抗真菌剤で達成することができる。様々な実施形態では、調製物は、など等張剤(複数可)、例えば、糖(複数可)または塩化ナトリウムを含む。注射用組成物の持続的吸収は、組成物への吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム、及びゼラチンを含めることで達成することができる。注射用組成物は、必要に応じて、適切に緩衝化することができ、液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水またはグルコースなどで等張にすることができる。
【0092】
分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びそれらの混合物中、ならびに油中で調製してもよい。示すように、通常の保存及び使用条件下で、これらの調製物は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有することができる。
【0093】
滅菌組成物は、(例えば、上記したような)その他の任意成分を含む溶媒の適切な量に生理学的に活性な成分を組み込み、その後で濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液は、塩基性分散媒、及び必要とされるその他の成分(例えば、上記したものから)を含有する滅菌ビヒクルに様々な滅菌した生理活性成分を組み込むことによって調製される。滅菌注射液を調製するための滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は真空乾燥及び凍結乾燥技術であり得、予め滅菌濾過したその溶液から生理学的活性成分及び任意のさらなる所望の成分の粉末を得る。
【0094】
経口組成物は、例えば、溶液、シロップもしくは懸濁液として液体形態であってもよく、または使用前に水もしくはその他の好適なビヒクルで再構成するための薬物産物として提示されてもよい。かかる液体調製物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体、または水素化食用脂肪)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、または分画植物油);防腐剤(例えば、メチルもしくはプロピル-p-ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸)などの医薬として許容可能な添加剤を用いて、従来の手段によって調製され得る。組成物は、例えば、結合剤(例えば、予めゼラチン化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬として許容可能な賦形剤で調製される錠剤またはカプセルの形態をとってもよい。錠剤は、当該技術分野で周知の方法によってコーティングされ得る。
【0095】
吸入性組成物は、好適な推進剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素またはその他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからのエアロゾルスプレープレゼンテーションの形態で送達され得る。加圧エアゾールの場合、投与単位は、計測量を送達するバルブを提供することによって決定され得る。吸入器または充填剤で使用するための、例えばゼラチンのカプセル及びカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末ベースとの粉末混合物を含有するように製剤化され得る。
【0096】
組成物はまた、マイクロチップデバイス(米国特許第5,797,898号)、眼科製剤(Bourlais et al.,Prog Retin Eye Res,17(1):33-58,1998)、経皮マトリックス(米国特許第5,770,219号及び米国特許第5,783,208号)、及びフィードバック制御送達(米国特許第5,697,899号)を含む。
【0097】
また、補助的な活性成分も組成物に組み入れることができる。
【0098】
典型的には、組成物は、生理学的に活性な成分の割合はもちろん変化し得るが、少なくとも0.1%の生理学的に活性な成分を含み得、好都合には、全組成物の重量または体積の1または2%~70%または80%以上、または0.5~99%であり得る。当然ながら、各生理学的に有用な組成物中の生理学的に活性な成分の量は、任意の所与の単位用量の化合物において好適な用量が得られるような方法で調製され得る。溶解度、バイオアベイラビリティ、生物学的半減期、投与経路、産物の貯蔵寿命、ならびにその他の薬理学的考慮事項などの因子は、かかる医薬製剤を調製する当業者によって企画され、したがって、様々な組成物及び投薬量が望ましい場合がある。
【0099】
特定の実施形態では、ヒトへの投与のために、組成物は、米国食品医薬品局(FDA)またはその他の国のその他の適用可能な規制機関によって要求される無菌性、発熱性、ならびに一般的な安全性及び純度基準を満たすべきである。
【0100】
(iii)人工発現構築物を含む細胞株。本開示は、本明細書に記載の人工発現構築物を含む細胞を含む。人工発現構築物で形質転換した細胞は、神経解剖学的研究、機能タンパク質及び/または非機能タンパク質の評価、ならびにエンハンサーの調節特性を評価する薬物スクリーニングを含む、多くの目的で使用することができる。
【0101】
様々な宿主細胞株を使用することができるが、特定の実施形態では、細胞は、哺乳動物細胞である。特定の実施形態では、人工発現構築物は、eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460m及び/またはCN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024のエンハンサー及び/またはベクター配列を含み、そして、細胞株は、ヒト、霊長類、またはマウス細胞である。開示したエンハンサーコアの1、2、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコンカテマーも使用することができる。また、本開示での形質転換に利用することができる細胞株は、ラットまたはマウスの脳などの生体組織に由来する初代細胞株、及びラットまたはマウスなどの動物由来の脳スライスを含む器官型細胞培養物を含む。PC12細胞株(American Type Culture Collection,ATCC,Manassas,VAから入手可能)は、ニューロン成長因子(NGF)に応答して多数のニューロンマーカータンパク質を発現することが示されている。PC12細胞株は、ニューロン細胞株であると考えられており、また、本開示での使用に供することができる。JAR細胞(ATCCから入手可能)は、セロトニントランスポーター遺伝子などの一部のニューロン遺伝子を発現する血小板由来細胞株であり、そして、本明細書に記載の実施形態と共に使用され得る。
【0102】
WO91/13150は、神経細胞株を含む様々な細胞株、及びそれらの生産方法を記載している。同様に、WO97/39117は、神経細胞株、及びそのような細胞株の生産方法を記載している。これらの特許出願に開示された神経細胞株は、本開示での使用に適用可能である。
【0103】
特定の実施形態では、「ニューロン(neuronal)」とは、神経細胞である、神経細胞に関連する、または神経細胞を含むものを表す。神経細胞は、軸索及び樹状突起の存在によって定義される。用語「ニューロン特異的(neuronal-specific)」は、神経細胞または神経細胞に由来する細胞において見出されるもの、または生じる活性であって、非神経細胞または神経細胞に由来しない細胞、例えば、星状細胞またはオリゴデンドロサイトなどのグリア細胞において見出されない、または生じない、または実質的に見出されない、または実質的に生じないものを指す。
【0104】
特定の実施形態では、マウス胚幹細胞を含む非神経細胞株が使用され得る。培養したマウス胚幹細胞を使用して、プラスミド構築物による一過性トランスフェクションを使用して遺伝子構築物の発現を分析することができる。マウス胚幹細胞は多能性であり、未分化である。これらの細胞は、白血病阻害因子(LIF)によって、この未分化状態で維持することができる。LIFの引き出しは、胚幹細胞の分化を誘導する。培養において、幹細胞は、様々な分化細胞型を形成する。分化は、組織特異的転写因子の発現によって引き起こされ、エンハンサー配列の機能を評価することができる。(例えば、Fiskerstrand et al.,FEBS Lett 458:171-174,1999を参照されたい。)
【0105】
幹細胞を異なる細胞型に分化させる方法は、幹細胞培養培地を、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)ヘパリン、N2サプリメント(例えば、トランスフェリン、インスリン、プロゲステロン、プトレシン、及びセレン酸塩)、ラミニン、及びポリオルニチンを含む培地で置き換えることを含む。幹細胞から髄鞘化オリゴデンドロサイト細胞を産生するプロセスは、Hu,et al.,2009、Nat.Protoc.4:1614-22に記載されている。Bibel,et al.,2007,Nat.Protoc.2:1034-43は、幹細胞からグルタミン酸作動性ニューロンを産生するプロトコルを記載しており、一方で、Chatzi,et al.,2009,Exp.Neurol.217:407-16は、GABA作動性ニューロンを産生する手順を記載している。この手順は、幹細胞を全トランスRAに3日間曝露することを含む。その後、B27、bFGF、及びEGFを添加したNeurobasal培地を含む無血清ニューロン誘導培地で培養した後に、95%のGABAニューロンが成長する。
【0106】
米国公開第2012/0329714号は、プロラクチンを使用して神経幹細胞数を増加させることを記載しており、また、米国公開第2012/0308530号は、ニューロン、アストロサイト、及びオリゴデンドロサイトへのニューロン分化を促進するアミノ基を有する培養表面を記載している。したがって、神経幹細胞の最期は、様々な細胞外因子で制御することができる。一般的に使用する因子として、脳由来成長因子(BDNF;Shetty and Turner,1998, J.Neurobiol.35:395-425);線維芽細胞増殖因子(bFGF;米国特許第5,766,948号;FGF-1,FGF-2);ニューロトロフィン-3(NT-3)、及びニューロトロフィン-4(NT-4);Caldwell,et al.,2001,Nat.Biotechnol.1;19:475-9);毛様体神経栄養因子(CNTF);BMP-2(米国特許第5,948,428号、及び同6,001,654号);イソブチル 3-メチルキサンチン;白血病抑制性成長因子(LIF;米国特許第6,103,530号);ソマトスタチン;アンフィレグリン;ニューロトロフィン(例えば、環状アデノシン一リン酸;上皮成長因子(EGF);デキサメタゾン(グルココルチコイドホルモン);フォルスコリン;GDNFファミリー受容体リガンド;カリウム;レチノイン酸(米国特許第6,395,546号);破傷風毒素;及び、成長因子-α及びTGF-βを形質転換すること(米国特許第5,851,832号、及び同第5,753,506号)がある。
【0107】
特定の実施形態では、酵母ワンハイブリッドシステムを使用して、eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、及び、それらのコアの転写因子などの特定のタンパク質/DNA相互作用を阻害する化合物も同定し得る。
【0108】
トランスジェニック動物を以下に記載する。細胞株はまた、かかるトランスジェニック動物に由来し得る。例えば、トランスジェニックマウス由来の一次組織培養物(例えば、以下にも記載されるように)は、ゲノムに既に組み込まれた人工発現構築物を有する細胞株を提供することができる(例えば、MacKenzie及びQuinn,Proc Natl Acad Sci USA96:15251-15255,1999を参照されたい)。
【0109】
(iv)トランスジェニック動物。本開示の別の態様は、トランスジェニック動物を含み、そのゲノムは、異種コード配列に作動可能に連結したeHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460mを含む人工発現構築物を含む。開示したエンハンサーコアの1、2、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコンカテマーも使用することができる。特定の実施形態では、トランスジェニック動物のゲノムは、CN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024を含む。特定の実施形態では、非組み込みベクターを利用する場合、トランスジェニック動物は、その1つ以上の細胞に、人工発現構築物eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460m 及び/またはCN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024を含む。開示したエンハンサーコアの1、2、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコンカテマーも使用することができる。
【0110】
トランスジェニック動物を産生するための詳細な方法は、米国特許第4,736,866号に記載されている。トランスジェニック動物は、任意の非ヒト種であり得るが、好ましくは、非ヒト霊長類(NHP)、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、イヌ、ネコ、ウサギ、ニワトリ、及び齧歯類、例えば、モルモット、ハムスター、アレチネズミ、ラット、マウス、及びフェレットを含む。
【0111】
特定の実施形態では、トランスジェニック動物の構築は、同じゲノム組み込み部位内の全ての細胞に存在する遺伝子操作した構築物を有する生物をもたらす。したがって、かかるトランスジェニック動物に由来する細胞株は、遺伝子操作した構築物が全ての細胞において同じゲノム組み込み部位にあるのと同じ程度で一貫しており、したがって、同じ位置効果変異を受けるであろう。対照的に、遺伝子を細胞株または初代細胞培養物に導入することは、構築物の異種発現をもたらすことができる。このアプローチの欠点は、導入したDNAの発現が宿主動物の特定の遺伝的背景によって影響を受け得ることである。
【0112】
細胞株に関連して上記に示されるように、本開示の人工発現構築物は、当該技術分野で公知の技術を使用して、マウス胚幹細胞を遺伝子組み換えるために使用され得る。典型的には、人工発現構築物は、培養マウス胚幹細胞に導入される。次いで、形質転換ES細胞を宿主母から胚盤胞に注射し、宿主胚を母体に再移植する。これにより、培養細胞株に存在する胚幹細胞及び宿主胚に存在する胚幹細胞の両方に由来する細胞から組織が構成されるキメラマウスがもたらされる。通常、導入に使用される培養ES細胞が由来するマウスは、形質転換細胞をその胚に注射する宿主マウスとは異なるコート色を有するように選択される。次いで、キメラマウスは、多様なコート色を有する。少なくとも一部が、生殖細胞系組織が遺伝子組み換え細胞に由来する限り、キメラマウスを適切な株と交配させて、導入遺伝子を運ぶ子孫を産生する。
【0113】
上述の送達方法に加えて、動物の標的細胞または選択した組織及び器官、特に脊椎動物の細胞、器官、または組織に人工発現構築物を送達する代替方法として、以下の技術も企図される:超音波(例えば、米国特許第5,656,016号に記載される超音波);骨内注射(米国特許第5,779,708号);マイクロチップデバイス(米国特許第5,797,898号);眼科製剤(Bourlais et al.,Prog Retin Eye Res,17(1):33-58,1998);経皮マトリックス(米国特許第5,770,219号、及び米国特許第5,783,208号);フィードバック制御送達(米国特許第5,697,899号)、及び本開示のその他の箇所で利用可能である、及び/または記載するその他の送達方法。
【0114】
(v)使用方法。特定の実施形態では、本明細書に記載の生理学的に活性な成分を含む組成物は、生理学的効果をもたらすために対象に投与される。
【0115】
特定の実施形態では、本開示は、遺伝子操作した配列におけるエンハンサーの下流の位置において部分的または完全にコードされる異種遺伝子の発現を調節するための本明細書に記載の人工発現構築物の使用を含む。したがって、疾患、機能障害、または障害の症状を予防、治療、または軽減するための医薬の研究、治験、及び潜在的な開発における開示される人工発現構築物の使用方法が本明細書に提供される。
【0116】
特定の実施形態は、本明細書に記載したeHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460m、及び/またはCN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024を含む人工発現構築物を対象に投与し、選択した細胞型での遺伝子の選択的発現を駆動する方法を含む。開示したエンハンサーコアの1、2、4、5、6、7、8、9、または10コピーのコンカテマーも使用することができる。対象は、単離した細胞、細胞ネットワーク、組織スライス、実験動物、獣医動物、またはヒトであり得る。
【0117】
医療技術分野で周知であるように、任意の1つの対象の投薬量は、対象のサイズ、表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与時間及び投与経路、全般的な健康、ならびに同時に投与されるその他の薬物を含む、多くの要因に依存する。本開示の化合物の用量は変化するが、特定の実施形態では、用量は、本開示の人工発現構築物の105~10100コピーであり得る。特定の実施形態では、静脈内投与、実質内投与、脊髄内投与、後方眼窩投与、または髄腔内投与を受ける患者は、106~1022コピーの人工発現構築物を注射することができる。
【0118】
「有効量」は、対象において所望の生理学的変化をもたらすために必要な組成物の量である。有効量は、研究目的のために投与されることが多い。本明細書に開示される有効量は、動物モデルまたは生体外アッセイにおいて統計的に有意な効果を引き起こし得る。
【0119】
かかる組成物の発現構築物の量及び投与時間は、本教示の利益を有する当業者の範囲内となる。しかしながら、有効量の開示される組成物の投与は、例えば、対象に効果をもたらすのに十分な数の感染性粒子の単回注射などの単回投与によって達成され得る可能性が高い。代替的に、いくつかの状況において、そのような組成物の投与を監督する個体によって決定され得るように、比較的短い、または比較的長い期間のいずれかにわたって、人工発現構築物組成物またはその他の遺伝子構築物の複数回または連続的な投与を提供することが望ましい場合がある。例えば、哺乳動物に投与される感染性粒子の数は、意図される効果を達成するために必要とされ得る、単回用量として、または2つ以上の投与に分割されるかのいずれかで与えられる、107、108、109、1010、1011、1012、1013、またはさらに高い感染性粒子/mlであってもよい。実際に、特定の実施形態では、所望の効果を達成するために、2つ以上の異なる発現構築物を組み合わせて投与することが望ましい場合がある。
【0120】
特定の状況において、ピペット、後方眼窩注射、皮下、眼内、硝子体内、非経口、皮下、静脈内、実質内、脳室内、筋肉内、髄腔内、脊髄内、腹腔内、経口もしくは鼻の吸入、または1つ以上の細胞、組織、もしくは臓器への直接適用もしくは注射のいずれかによって、本明細書に開示される適切に製剤化した組成物中で人工発現構築物を送達することが望ましいであろう。投与方法はまた、米国特許第5,543,158号、米国特許第5,641,515号、及び米国特許第5,399,363号に記載されるようなそれらの形態を含んでもよい。
【0121】
(vi)キット及び市販のパッケージ。キット及び市販のパッケージは、本明細書に記載の人工発現構築物を含有する。人工発現構築物を隔離することができる。特定の実施形態では、発現産物の成分は、互いに隔離することができる。特定の実施形態では、発現産物は、ベクター内、ウイルスベクター内、細胞内、組織スライスもしくは試料内、及び/またはトランスジェニック動物内であり得る。かかるキットは、1つ以上の試薬、制限酵素、ペプチド、治療薬、薬学的化合物、または注射器、注射剤などの組成物の送達手段をさらに含み得る。
【0122】
キットまたは市販のパッケージの実施形態はまた、例えば、基礎研究、電気生理学的研究、神経解剖学的研究、及び/または障害、疾患もしくは状態の研究及び/もしくは治療における、含まれる構成要素の使用に関する説明も含む。
【0123】
以下の例示的な実施形態は、本開示の特定の実施形態を実証するために含まれる。当業者であれば、本開示に照らして、本明細書に開示される特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、同様または類似の結果を得ることができることを理解されたい。
【0124】
(vii)例示的な実施形態。
1.本明細書に開示したエンハンサーの連結コア。
2.eHGT_459m、eHGT_453m、eHGT_462m、eHGT_461m、eHGT_464m、eHGT_452m、eHGT_451m、またはeHGT_460mエンハンサーの連結コア。
3.前記連結コアが、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/または配列番号52に記載の配列を含む、実施形態1または2の連結コア。
4.前記連結コアが、配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、または配列番号52に記載の配列を含む、実施形態1または2の連結コア。
5.前記連結コアが、2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの前記エンハンサーコアを含む、実施形態1~4のいずれかの連結コア。
6.2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、及び/または配列番号52を含む、実施形態5の連結コア。
7.2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号45、配列番号46、配列番号47、配列番号48、配列番号49、配列番号50、配列番号51、または配列番号52を含む、実施形態5の連結コア。
8.2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号45;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号46;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号47;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号48;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号49;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号50;
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号51;または
2、3、4、5、6、7、8、9、または10コピーの配列番号52、
を含む、実施形態5の連結コア。
9.3コピーの配列番号45;3コピーの配列番号46;3コピーの配列番号47;3コピーの配列番号48;3コピーの配列番号49;3コピーの配列番号50;3コピーの配列番号51;または、3コピーの配列番号52を含む、実施形態5の連結コア。
10.前記連結コアが、配列番号53;配列番号54;配列番号55;配列番号56;配列番号57;配列番号58;配列番号59;または配列番号60を含む、実施形態5の連結コア。
11.eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、及びeHGT_583mから選択される単離したエンハンサー。
12.(i)実施形態1~11のいずれかのエンハンサーまたはその連結コア;(ii)プロモーター;及び、(iii)異種コード配列を含む人工発現構築物。
13.前記異種コード配列が、エフェクター要素、または発現可能な要素をコードする、実施形態12に記載の人工発現構築物。
14.前記エフェクター要素が、レポータータンパク質、または機能性分子を含む、実施形態13に記載の人工発現構築物。
15.前記レポータータンパク質が、蛍光タンパク質を含む、実施形態14に記載の人工発現構築物。
16.前記機能性分子が、機能性イオン輸送体、酵素、転写因子、受容体、膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、シグナル伝達分子、神経伝達物質、カルシウムレポーター、チャネルロドプシン、CRISPR/CAS分子、エディターゼ、ガイドRNA分子、相同組換えドナーカセット、デザイナードラッグによって排他的に活性化されるデザイナー受容体(DREADD)、成長因子、または生存促進性遺伝子を含む、実施形態13または14に記載の人工発現構築物。
17.前記発現可能な要素が、非機能性分子を含む、実施形態13~16のいずれかに記載の人工発現構築物。
18.前記非機能性分子が、非機能性イオン輸送体、酵素、転写因子、受容体、膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、シグナル伝達分子、神経伝達物質、カルシウムレポーター、チャネルロドプシン、CRISPR/CAS分子、エディターゼ、ガイドRNA分子、相同組換えドナーカセット、DREADD、成長因子、または生存促進性遺伝子を含む、実施形態17に記載の人工発現構築物。
19.前記人工発現構築物が、血液脳関門を通過するキャプシドと会合している、実施形態12~18のいずれかに記載の人工発現構築物。
20.前記キャプシドが、PHP.eB、AAV-BR1、AAV-PHP.S、AAV-PHP.B、または、AAV-PPSを含む、実施形態19に記載の人工発現構築物。
21.前記人工発現構築物が、スキッピングエレメントを含む、またはコードする、実施形態12~20のいずれかに記載の人工発現構築物。
22.前記スキッピングエレメントが、2Aペプチド、及び/または内部リボソーム侵入部位(IRES)を含む、実施形態21に記載の人工発現構築物。
23.前記2Aペプチドが、T2A、P2A、E2A、またはF2Aを含む、実施形態22に記載の人工発現構築物。
24.前記人工発現構築物が:eHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、3xcore2_eHGT_460m、AAV、scAAV、rAAv、minBglobin、CMV、minCMV、minRho、minRho*、蛍光タンパク質(例えば、EGFP、SYFP、SYFP2、GFP)、Cre、iCre、dgCre、FlpO、tTA2、SP10、WPRE、WPRE3、及び/またはBGHpAから選択される特徴のセットを含むかまたはコードする、実施形態12~23のいずれかに記載の人工発現構築物。
25.前記人工発現構築物が:eHGT_450m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_451m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_452m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_453m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_457m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_458m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_459m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_460m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_462m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_464m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_461m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_463m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_692h-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_693h-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_694h-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_695h-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_667m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_668m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_696m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_455m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_457h-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_603m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_604m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_605m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_661m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_766m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_767m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_768m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_663m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_660m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_665m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_700m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_456m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_698m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_699m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_647m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_648m-minBglobin-異種コード配列 WPRE3-BGHpA;eHGT_649m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_670m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_697m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_662m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_583m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_459m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_453m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_462m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_461m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_464m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_452m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_451m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_460m-minBglobin-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_450m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_451m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_452m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_453m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_457m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_458m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_459m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_460m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_462m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_464m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_461m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_463m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_692h-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_693h-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_694h-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_695h-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_667m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_668m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_696m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_455m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_457h-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_603m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_604m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_605m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_661m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_766m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_767m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_768m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_663m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_660m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_665m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_700m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_456m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_698m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_699m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_647m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_648m-最小プロモーター-異種コード配列WPRE3-BGHpA;eHGT_649m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_670m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_697m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_662m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;eHGT_583m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_459m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_453m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_462m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_461m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_464m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_452m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;3xcore2_eHGT_451m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpA;または、3xcore2_eHGT_460m-最小プロモーター-異種コード配列-WPRE3-BGHpAから選択される特徴のセットを含むかまたはコードする、実施形態12~24のいずれかに記載の人工発現構築物。
26.実施形態12~25のいずれかに記載の人工発現構築物を含むベクター。
27.前記ベクターが、ウイルスベクターを含む、実施形態26に記載のベクター。
28.前記ウイルスベクターが、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、実施形態26または27に記載のベクター。
29.少なくとも1つの異種コード配列を含むアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターであって、前記異種コード配列が、プロモーターならびにeHGT_450m、eHGT_451m、eHGT_452m、eHGT_453m、eHGT_457m、eHGT_458m、eHGT_459m、eHGT_460m、eHGT_462m、eHGT_464m、eHGT_461m、eHGT_463m、eHGT_692h、eHGT_693h、eHGT_694h、eHGT_695h、eHGT_667m、eHGT_668m、eHGT_696m、eHGT_455m、eHGT_457h、eHGT_603m、eHGT_604m、eHGT_605m、eHGT_661m、eHGT_766m、eHGT_767m、eHGT_768m、eHGT_663m、eHGT_660m、eHGT_665m、eHGT_700m、eHGT_456m、eHGT_698m、eHGT_699m、eHGT_647m、eHGT_648m、eHGT_649m、eHGT_670m、eHGT_697m、eHGT_662m、eHGT_583m、3xcore2_eHGT_459m、3xcore2_eHGT_453m、3xcore2_eHGT_462m、3xcore2_eHGT_461m、3xcore2_eHGT_464m、3xcore2_eHGT_452m、3xcore2_eHGT_451m、及び/または3xcore2_eHGT_460mから選択されるエンハンサーの制御下にある、前記アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター。
30.先行実施形態のいずれかに記載の発現構築物またはベクターを含むトランスジェニック細胞。
31.前記トランスジェニック細胞が、L5グルタミン酸作動性ニューロンである実施形態30のトランスジェニック細胞。
32.前記L5グルタミン酸作動性ニューロンが、L5 ETニューロンである実施形態31のトランスジェニック細胞。
33.先行実施形態のいずれかに記載の人工発現構築物、ベクター、またはトランスジェニック細胞を含む非ヒトトランスジェニック動物。
34.前記非ヒトトランスジェニック動物が、マウス、または非ヒト霊長類である実施形態33に記載の非ヒトトランスジェニック動物。
35.先行実施形態のいずれかに記載の発現構築物、ベクター、またはトランスジェニック細胞を含む投与可能な組成物。
36.先行実施形態のいずれかに記載の人工発現構築物、ベクター、トランスジェニック細胞、トランスジェニック動物、及び/または投与可能な組成物を含むキット。
37.インビボまたはインビトロで細胞集団内での異種遺伝子を選択的に発現する方法であって、細胞集団を含む試料または対象に、実施形態35に記載の投与可能な組成物を、十分な投与量で、かつ十分な時間をかけて提供する、それにより、細胞集団内で前記遺伝子を選択的に発現させる、ことを含む前記方法。
38.前記異種遺伝子が、エフェクター要素、または発現可能な要素をコードする、実施形態37に記載の方法。
39.前記エフェクター要素が、レポータータンパク質、または機能性分子を含む、実施形態38に記載の方法。
40.前記レポータータンパク質が、蛍光タンパク質を含む、実施形態39に記載の方法。
41.前記機能性分子が、機能性イオン輸送体、酵素、転写因子、受容体、膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、シグナル伝達分子、神経伝達物質、カルシウムレポーター、チャネルロドプシン、CRISPR/CAS分子、エディターゼ、ガイドRNA分子、相同組換えドナーカセット、DREADD、成長因子、または生存促進性遺伝子を含む、実施形態39または40に記載の方法。
42.前記発現可能な要素が、非機能性分子を含む、実施形態37~41のいずれかに記載の方法。
43.前記非機能性分子が、非機能性イオン輸送体、酵素、転写因子、受容体、膜タンパク質、細胞輸送タンパク質、シグナル伝達分子、神経伝達物質、カルシウムレポーター、チャネルロドプシン、CRISPR/CAS分子、エディターゼ、ガイドRNA分子、相同組換えドナーカセット、DREADD、成長因子、または生存促進性遺伝子を含む、実施形態42に記載の方法。
44.前記提供が、ピペッティングを含む、実施形態37~43のいずれかに記載の方法。
45.前記ピペッティングを、脳スライスに対して行う、実施形態44に記載の方法。
46.前記脳スライスが、L5 ETニューロンを含む、実施形態45に記載の方法。
47.前記脳スライスが、マウス、ヒト、または非ヒト霊長類である、実施形態45または46に記載の方法。
48.前記提供が、生体に対して投与することを含む、実施形態37~43のいずれかに記載の方法。
49.前記生体が、ヒト、非ヒト霊長類、またはマウスである、実施形態48に記載の方法。
50.前記生体に対する投与を、注射で行う、実施形態48または49に記載の方法。
51.前記注射が、静脈内注射、脳組織に対する実質内注射、脳室内(ICV)注射、大槽内(ICM)注射、またはくも膜下腔内注射を含む、実施形態50に記載の方法。
52.前記生体が、神経変性疾患を有する、実施形態48~51のいずれかに記載の方法。
53.前記生体が、ALS、または多発性硬化症を有する、実施形態48~52のいずれかに記載の方法。
54.CN2248、CN2249、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2315、CN2423、CN2424、CN2690、CN2695、CN2691、CN2692、CN2944、CN2886、CN2755、CN2938、CN2239、CN2410、CN2411、CN2412、CN2963、CN2623、CN2624、CN2601、CN2843、CN2851、CN2853、CN2860、CN2828、CN2870、CN2871、CN2847、CN2686、CN2687、CN2878、CN2946、CN2943、CN3319、CN2918、CN3018、CN3030、CN3027、CN3032、CN3015、CN3012、及び/またはCN3024を含む人工発現構築物。
【0125】
(viii)終結段落
本明細書で開示及び参照する配列の変異体も含む。DNASTAR(商標)(Madison,Wisconsin)ソフトウェアなどの当該技術分野で周知のコンピュータプログラムを使用して、生物学的活性を妨げずに、どのアミノ酸残基を置換、挿入、または欠失させることができるか否かを決定するガイダンスがある。好ましくは、本明細書に開示されるタンパク質変異体におけるアミノ酸変化は、保存的アミノ酸変化、すなわち、同様の荷電または非荷電アミノ酸の置換である。保存的アミノ酸変化は、それらの側鎖に関連するアミノ酸ファミリーの1つの置換を伴う。
【0126】
ペプチドまたはタンパク質において、アミノ酸の好適な保存的置換は、当業者に公知であり、一般に、得られる分子の生物活性を変更することなく行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換は、生物学的活性を実質的に変化させないことを認識する(例えば、Watson et al.Molecular Biology of the Gene,4th Edition,1987,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224を参照されたい)。天然に存在するアミノ酸は、概して、以下のように保存的置換ファミリーに分類される:第1群:アラニン(Ala)、グリシン(Gly)、セリン(Ser)、及びスレオニン(Thr);第2群:(酸性):アスパラギン酸(Asp)、及びグルタミン酸(Glu);第3群:(酸性;極性、負に荷電した残基及びそれらのアミドにも分類される):アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、Asp、及びGlu;第4群:Gln及びAsn;第5群:(塩基性;極性、正に荷電した残基にも分類される):アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、及びヒスチジン(His);第6群(大脂肪族、非極性残基):イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、バリン(Val)及びシステイン(Cys);第7群(非荷電極性):チロシン(Tyr)、Gly、Asn、Gln、Cys、Ser、及びThr;第8群(大芳香族残基):フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、及びTyr;第9群(非極性):プロリン(Pro)、Ala、Val、Leu、Ile、Phe、Met及びTrp;第11群(脂肪族):Gly、Ala、Val、Leu、及びIle;第10群:(少脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基):Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly;ならびに第12群(硫黄含有):Met及びCys。追加情報は、Creighton(1984)Proteins,W.H.Freeman and Companyに見られる。
【0127】
かかる変更を行う際、アミノ酸の親水性指標を考慮してもよい。タンパク質に相互作用する生物学的機能を付与する際の水治療性アミノ酸指標の重要性は、当該技術分野で一般に理解されている(Kyte and Doolittle,1982,J.Mol.Biol.157(1),105-32)。各アミノ酸は、その疎水性及び電荷特性に基づいて疎水性指標を割り当てられている(Kyte and Doolittle,1982)。これらの値は次のとおりである:Ile(+4.5)、Val(+4.2)、Leu(+3.8)、Phe(+2.8)、Cys(+2.5)、Met(+1.9)、Ala(+1.8)、Gly(-0.4)、Thr(-0.7)、Ser(-0.8)、Trp(-0.9)、Tyr(-1.3)、Pro(-1.6)、His(-3.2)、グルタミン酸塩(-3.5)、Gln(-3.5)、アスパラギン酸塩(-3.5)、Asn(-3.5)、Lys(-3.9)、及びArg(-4.5)。
【0128】
当該技術分野では、特定のアミノ酸は、類似の親水性指標またはスコアを有するその他のアミノ酸によって置換されてもよく、依然として類似の生物学的活性を有するタンパク質をもたらす、すなわち、依然として生物学的に機能的になどしいタンパク質を得ることが知られている。そのような変化を行う際、親水性指標が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに特に好ましい。類似しているアミノ酸の置換は、親水性に基づいて効果的に行われ得ることも当技術分野で理解される。
【0129】
米国特許第4,554,101号に詳細に記載されているように、以下の親水性値がアミノ酸残基に割り当てられている:Arg(+3.0)、Lys(+3.0)、アスパラギン酸(+3.0±1)、グルタミン酸(+3.0±1)、Ser(+0.3)、Asn(+0.2)、Gln(+0.2)、Gly(0)、Thr(-0.4)、Pro(-0.5±1)、Ala(-0.5)、His(-0.5)、Cys(-1.0)、Met(-1.3)、Val(-1.5)、Leu(-1.8)、Ile(-1.8)、Tyr(-2.3)、Phe(-2.5)、Trp(-3.4)。アミノ酸は、類似の親水性値を有する別のアミノ酸に置換され得、依然として生物学的になど価な、特に免疫学的になど価なタンパク質を得ることができることが理解される。そのような変化において、親水性値が±2以内であるアミノ酸の置換が好ましく、±1以内のものが特に好ましく、±0.5以内のものがさらに特に好ましい。
【0130】
上述のように、アミノ酸置換は、アミノ酸側鎖置換基の相対的類似性、例えば、それらの疎水性、親水性、電荷、サイズなどに基づいてもよい。
【0131】
その他の箇所に示されるように、遺伝子配列の変異体は、コドン最適化変異体、配列多型、スプライス変異体、及び/またはコードした産物の機能に統計的に有意な程度影響を与えない変異を含むことができる。
【0132】
本明細書に開示されるタンパク質、核酸、及び遺伝子配列の変異体には、本明細書に開示されるタンパク質、核酸、または遺伝子配列に対して少なくとも70%の配列同一性、80%の配列同一性、85%の配列、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性、または99%の配列同一性を有する配列も含まれる。
【0133】
「%配列同一性」は、配列を比較することによって決定されるように、2つ以上の配列間の関係を指す。当該技術分野において、「同一性」はまた、そのような配列の文字列間の一致によって決定されるタンパク質、核酸、または遺伝子配列間の配列相関性の程度を意味する。「同一性」(しばしば「類似性」と称される)は、既知の方法で容易に計算でき、方法は、Computational Molecular Biology(Lesk,A.M.ed.)Oxford University Press,NY(1988)、Biocomputing:Informatics and Genome Projects(Smith,D.W.ed.)Academic Press,NY(1994)、Computer Analysis of Sequence Data,Part I(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.ed.)Humana Press,NJ(1994)、Sequence Analysis in Molecular Biology(Von Heijne,G.ed.)Academic Press(1987)、及びSequence Analysis Primer(Gribskov,M.and Devereux,J.ed.)Oxford University Press,NY(1992)を参照されたい。同一性を決定するための好ましい方法は、試験した配列間の最良の一致を与えるように設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムにコード化されている。配列アライメント及び同一性パーセント計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR,Inc.,Madison ,Wisconsin)のMegalignプログラムを使用して実施してよい。配列の複数のアライメントは、アライメントのClustal法(デフォルトパラメータ(GAP PENALTY=10,GAP LENGTH PENALTY=10を有する、Higgins and Sharp CABIOS,5,151-153(1989))を使用して実施することもできる。関連するプログラムはまた、GCGスイートのプログラム(Wisconsin Package Version 9.0,Genetics Computer Group(GCG),Madison,Wisconsin);BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990);DNASTAR(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)、及びSmith-Watermanアルゴリズムを組み込んだFASTAプログラム(Pearson,Comput.Methods Genome Res.,[Proc.Int.Symp.](1994),Meeting Date 1992,111-20.編集者(複数可):Suhai、Sandor.出版社:Plenum、New York、N.Y.を含む。本開示の文脈内では、配列分析ソフトウェアが分析に使用される場合、分析の結果は、参照されるプログラムの「デフォルト値」に基づくことが理解されるであろう。本明細書で使用される場合、「デフォルト値」は、最初に初期化したときに最初にソフトウェアで読み込まれる任意のセットの値またはパラメータを意味する。
【0134】
変異体はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で本明細書に開示される配列にハイブリダイズし、参照配列と同じ機能を提供する核酸分子を含む。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件としては、50%ホルムアミド、5×SSC(750mM NaCl、75mMクエン酸トリナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH7.6)、5×Denhard溶液、10%硫酸デキストラン、及び20μg/ml変性剪断サーモン精子DNAを含む溶液中で、43℃での一晩インキュベーション、続いて、50℃で0.1×SSC中でフィルタを洗浄することがある。ハイブリダイゼーション及びシグナル検出のストリンジェンシーの変化は、主に、ホルムアミド濃度(ホルムアミドのパーセンテージが低いほどストリンジェンシーが低下する)、塩条件、または温度操作によって達成される。例えば、中程度に高いストリンジェンシー条件としては、6×SSPE(20×SSPE=3MのNaCl;0.2MのNaH2PO4;0.02MのEDTA、pH7.4)、0.5%のSDS、30%のホルムアミド、100μg/mlのサーモン精子ブロッキングDNAを含む溶液中での37℃での一晩のインキュベーション、続いて、1×SSPE、0.1%のSDSでの50℃での洗浄がある。加えて、さらに低いストリンジェンシーを達成するために、ストリンジェントハイブリダイゼーション後に実施される洗浄は、より高い塩濃度で行うことができる(例えば、5×SSC)。上記条件における変更は、ハイブリダイゼーション実験におけるバックグラウンドを抑制するために使用される代替ブロッキング試薬の包含及び/または置換を通じて達成され得る。典型的なブロッキング試薬としては、Denhardt試薬、BLOTTO、ヘパリン、変性サーモン精子DNA、及び市販の独自製剤がある。特定のブロッキング試薬を含むことは、互換性の問題に起因して、上述のハイブリダイゼーション条件の修飾を必要とし得る。
【0135】
連結という用語は、つなぎ合わせて鎖または一連のものにすることを説明するために広く使用している。ヌクレオチドまたはアミノ酸配列をつなぎ合わせて、それぞれ、単一のヌクレオチドまたはアミノ酸配列にすることを説明するために使用する。用語「連結する(concatamerize)」及び「連結させる(concatenate)」は、互換可能に使用することができる。
【0136】
当業者には理解されるであろう通り、本明細書に開示される各実施形態は、その特定の記載の要素、ステップ、成分(ingredient)または成分(component)を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれからなることができる。したがって、用語「含む(include)」または「含むこと(including)」は、「含む、からなる、または本質的にからなる」と記載すると解釈されるべきである。移行語「含む(comprise)」または「含む(comprises)」とは、限定されないが、主な量であっても、不特定の要素、ステップ、成分、または成分の包含を見込むことを意味する。遷移語句「からなる」は、特定されていない任意の要素、ステップ、成分、または成分を除外する。「から本質的になる」という移行語句は、実施形態の範囲を、特定の要素、ステップ、成分または成分、及び実施形態に実質的な影響を与えないものに限定する。実質的な影響は、L5 ETニューロンなどのL5グルタミン酸作動性ニューロンにおける選択的発現の統計学的に有意な減少を引き起こすであろう。
【0137】
特定の実施形態では、人工的な手段は、天然に存在しないことを意味する。
【0138】
別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される成分の量、分子量、反応条件などの特性を発現する全ての数は、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対の指示がない限り、本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本発明によって得られる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、特許請求の範囲へのなど価物原理の適用を限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、報告した有意な桁の数に照らして、かつ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。さらなる明確さが必要な場合、「約」という用語は、記載した数値または範囲、すなわち、記載した値または範囲の±20%、記載した値の±19%、記載した値の±18%、記載した値の±17%、記載した値の±16%、記載した値の±15%、記載した値の±14%、記載した値の±13%、記載した値の±12%、記載した値の±11%、記載した値の±10%、記載した値の±9%、記載した値の±8%、記載した値の±7%、記載した値の±6%、記載した値の±5%、記載した値の±4%、記載した値の±3%、記載した値の±2%、または記載した値の±1%の範囲内で、当業者によって合理的に付与される意味を有する。
【0139】
本発明の広範な範囲を記載する数値範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、特定の実施例に記載される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いずれの数値も、それぞれの試験測定で見出した標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含んでいる。
【0140】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)で使用される「a」、「an」、「the」、及び類似の指示対象は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈と明確に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、範囲内にある各別個の値を個別に参照する速記法としての役割を果たすことが意図されるにすぎない。本明細書に別段の指示がない限り、各個々の値は、本明細書に個別に列挙したかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈によって明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供される任意の及び全ての実施例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本発明をより良く照明することを意図しており、別途特許請求される本発明の範囲に制限をもたらさない。本明細書のいかなる言語も、本発明の実施に不可欠ないずれかの特許請求の範囲に記載されない要素を示すものと解釈されてはならない。
【0141】
本明細書に開示される本発明の代替要素または実施形態のグループ化は、制限として解釈されるべきではない。各グループメンバーは、個別に、またはグループのその他のメンバーまたは本明細書に見出されるその他の要素と任意の組み合わせで参照され、特許請求され得る。利便性及び/または特許性の理由から、グループの1つ以上のメンバーがグループに含まれ得るか、またはグループから削除され得ることが予想される。かかる包含または削除が生じた場合、本明細書は、修正したグループを含有するとみなされ、これにより、添付の特許請求の範囲で使用される記述した全てのマーカッシュグループの説明を満たす。
【0142】
本発明の特定の実施形態は、本発明を実施するために本発明者に既知の最良のモードを含んで、本明細書に記載される。もちろん、これらの記載される実施形態に関する変形形態は、前述の説明を読むと当業者には明白になるであろう。発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形例を採用することを期待し、発明者は、本発明が本明細書に具体的に記載される以外に実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲に列挙される主題の全ての修正及び均など物を含む。さらに、本明細書に別段の指示がない限り、または文脈に明確に矛盾しない限り、その全ての可能な変形形態における上述の要素の任意の組み合わせは、本発明に包含される。
【0143】
さらに、本明細書全体を通じて、特許、印刷刊行物、雑誌論文、及びその他の書面によるテキスト(本明細書で参照される材料)への多数の参照がなされている。参照教材の各々は、参照教示のためにそれらの全体が参照により個別に本明細書に組み込まれる。
【0144】
最後に、本明細書に開示される本発明の実施形態は、本発明の原理を例示することが理解されるべきである。採用され得るその他の変更は、本発明の範囲内である。したがって、限定するものではないが例として、本発明の代替構成が本明細書の教示に従って利用され得る。したがって、本発明は、正確に示され、説明されるものに限定されない。
【0145】
本明細書に示される詳細は、例として、本発明の好ましい実施形態の例示的な考察のみを目的とし、本発明の様々な実施形態の原理及び概念的態様の最も有用であり、容易に理解される記述であると考えられるものを提供するために提示される。この点において、本発明の構造的詳細を示す試みはされておらず、むしろ本発明を基本的に理解する試みが必要であり、図面及び/または実施例とともに取られた説明により、本発明のいくつかの形態が実際にどのように具現化され得るかを当業者に明らかにする試みが必要である。
【0146】
本開示で使用される定義及び説明は、以下の実施例において明確かつ明確に修正されない限り、または意味の適用が、任意の解釈を無意味または本質的に無意味にする場合を除き、任意の将来の解釈において制御することを意味し、意図する。用語の解釈がそれを無意味にする、または本質的に無意味にする場合、定義は、Webster’s Dictionary,3rd Edition、またはOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)などの当業者に既知の辞書から取られるべきである。
【配列表】