(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-04
(45)【発行日】2025-08-13
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20250805BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20250805BHJP
【FI】
G08G1/16 D
B60W50/14
(21)【出願番号】P 2022193117
(22)【出願日】2022-12-01
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 将史
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 知明
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 良哉
(72)【発明者】
【氏名】辻野 美樹
(72)【発明者】
【氏名】北沢 つかさ
【審査官】小林 俊介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-207999(JP,A)
【文献】特開2008-129839(JP,A)
【文献】特開2017-062706(JP,A)
【文献】国際公開第2022/030372(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/193715(WO,A1)
【文献】特開2009-134334(JP,A)
【文献】特開2005-123914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
B60K 35/00-37/20
G06T 1/00 - 1/40
G06T 3/00 - 7/90
G06T 11/60-13/80
G06T 17/05
G06T 19/00-19/05
G06V 10/00-20/90
G06V 30/418
G06V 40/16
G06V 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転支援制御を実行可能な車両に搭載され、
前記車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成されると共に、前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させることが可能な制御部を
備え、
前記運転支援制御を実行する前は、前記制御部が、前記他車画像の色を特定の色で表示し、
前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える車両制御装置。
【請求項2】
前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車と同一の形状を有する前記他車画像を、前記表示装置に表示させる請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記車両に設けられたカメラが取得した前記他車画像であるカメラ画像を、前記表示装置に表示させる請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記カメラ画像を表示している前記表示装置に、前記車両を表す画像を表示させる請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
コンピュータが、
運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させ
、
前記運転支援制御を実行する前は、前記他車画像の色を特定の色で表示し、
前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える車両制御方法。
【請求項6】
運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させる処理
、
前記運転支援制御を実行する前は、前記他車画像の色を特定の色で表示する処理、及び 前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える処理、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載された車両は、この車両が走行する道路を表す道路画像及びこの車両の周囲に位置する他車両を表す他車両画像を表示可能な表示装置を備える。さらに表示装置は、2種類の表示態様で道路画像及び他車両画像を表示可能である。即ち、表示装置の表示態様には、車両がLCA(レーンチェンジアシスト制御)を実行する前の表示態様である第1態様及び車両がLCAを実行中の表示態様である第2態様が含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第2態様で表示された他車両画像の形態は、実際の他車両の形態を考慮せずに設計されている。そのためLCAの実行中に表示装置を見た車両の乗員が、表示装置に表示された道路画像及び他車両画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識するおそれがある。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されている画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い車両制御装置、車両制御方法及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の車両制御装置は、運転支援制御を実行可能な車両に搭載され、前記車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成されると共に、前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させることが可能な制御部を備え、前記運転支援制御を実行する前は、前記制御部が、前記他車画像の色を特定の色で表示し、前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える。
【0007】
請求項1の車両制御装置の制御部は、車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車を表し且つ他車と同一の色を有する他車画像を、表示装置に表示させることが可能である。そのため請求項1の車両制御装置は、運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されている画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い。
【0009】
請求項1の車両制御装置の制御部は、車両が特定の運転支援制御を実行するときに、他車画像の色を他車と同一の色に切り替える。そのため請求項1の車両制御装置は、特定の運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されている画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い。さらに請求項1の車両制御装置の制御部は、特定の運転支援制御が実行されていることを乗員に認識させ易い。
【0010】
請求項2に記載の車両制御装置は、請求項1において、前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車と同一の形状を有する前記他車画像を、前記表示装置に表示させる。
【0011】
請求項2の車両制御装置の制御部は、車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車と同一の形状を有する他車画像を表示装置に表示させる。そのため請求項3の車両制御装置は、運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されている画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い。さらに請求項2の車両制御装置の制御部は、特定の運転支援制御が実行されていることを乗員に認識させ易い。
【0012】
請求項3に記載の車両制御装置は、請求項1又は請求項2において、前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記車両に設けられたカメラが取得した前記他車画像であるカメラ画像を、前記表示装置に表示させる。
【0013】
請求項3の車両制御装置の制御部は、車両が特定の運転支援制御を実行するときに、車両に設けられたカメラが取得した他車画像であるカメラ画像を、表示装置に表示させる。そのため請求項4の車両制御装置は、特定の運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されているカメラ画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させるおそれが殆どない。さらに請求項3の車両制御装置の制御部は、特定の運転支援制御が実行されていることを乗員に認識させ易い。
【0014】
請求項4に記載の車両制御装置は、請求項3において、前記制御部が、前記カメラ画像を表示している前記表示装置に、前記車両を表す画像を表示させる。
【0015】
請求項4の車両制御装置の制御部は、カメラ画像を表示している表示装置に車両を表す画像を表示させる。そのため請求項4の車両制御装置は、表示装置を見た乗員に、自身が乗車している車両と、表示装置に表示されているカメラ画像が表す他車との位置関係を認識させ易い。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る車両制御方法は、コンピュータが、運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させ、前記運転支援制御を実行する前は、前記他車画像の色を特定の色で表示し、前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える。
【0017】
請求項6に記載の発明に係るプログラムは、運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させる処理、前記運転支援制御を実行する前は、前記他車画像の色を特定の色で表示する処理、及び 前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える処理、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る車両制御装置、車両制御方法及びプログラムは、運転支援制御の実行中に表示装置を見た乗員に、表示装置に表示されている画像が表す車両の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置を備える車両の車内を示す図である。
【
図2】
図1に示される車両のハードウェア構成を示す図である。
【
図3】
図2に示されるECUの機能ブロック図である。
【
図4】
図1に示される車両、周辺車両及び道路の平面図である。
【
図5】LCAが実行されていない場合に周辺車両及び道路を表す画像を表示している表示装置を示す図である。
【
図6】LCAが実行されている場合に周辺車両及び道路を表す画像を表示している表示装置を示す図である。
【
図7】ECUのCPUが実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る車両制御装置、車両制御方法及びプログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図中に適宜示される矢印FRは車両前後方向の前側を示し、矢印LHは車両左右方向の左側を示し、矢印UPは車両上下方向の上側を示す。
【0021】
車両制御装置10が搭載された車両12は、
図1に示されるようにインストルメントパネル14及びフロントウィンドシールド15を備える。インストルメントパネル14にはステアリングコラム16が設けられ、ステアリングコラム16にステアリングホイール18が回転可能に支持されている。さらにステアリングコラム16の右側部にはターンシグナルレバー20が移動可能に支持されている。
【0022】
ターンシグナルレバー20は、その基端部(左端部)を中心にステアリングコラム16に対して上方(反時計方向)及び下方(時計方向)に回転可能である。
図1に示された位置がターンシグナルレバー20の初期位置である。ターンシグナルレバー20に対して車両12の運転者(乗員。図示省略)が外力を加えると、ターンシグナルレバー20は初期位置より上方の左側LCA操作位置又は初期位置より下方の右側LCA操作位置まで回転する(図示省略)。さらに左側LCA操作位置又は右側LCA操作位置に位置するターンシグナルレバー20に付与していた外力が消失すると、ターンシグナルレバー20は自動的に初期位置へ移動復帰する。さらにターンシグナルレバー20は、左側LCA操作位置より上方の左側点灯位置、及び、右側LCA操作位置より下方の右側点灯位置まで回転可能である。
【0023】
図1に示されたように、フロントウィンドシールド15の車内側面の上部にはセンサユニット21が設けられている。センサユニット21は、フロントウィンドシールド15を通してフロントウィンドシールド15の前方に位置する被写体を撮影するカメラ21A、探査波を送信し反射波を受信するミリ波レーダ(図示省略)、及び車両12の前方をスキャンするライダ(Laser Imaging Detection and Ranging)(図示省略)を含む。さらに車両12は、カメラ21Aとは別の複数のカメラ(図示省略)を有する。以下、これらのカメラを周辺監視カメラ群と称する。
【0024】
図2に示されたように、車両12はGPS(Global Positioning System)受信機22を有する。GPS受信機22はGPS衛星から送信されたGPS信号を受信することにより、車両12が走行している位置に関する情報(以下、「位置情報」と呼ぶ)を取得する。
【0025】
図1及び
図2に示されたように、インストルメントパネル14には表示装置23が設けられている。
【0026】
図1及び
図2に示されたように、インストルメントパネル14には運転支援操作装置25が設けられている。運転支援操作装置25は、車両12に後述する運転支援制御を実行させるための装置である。運転支援操作装置25がON状態にあるとき、車両12は運転支援制御を実行可能である。運転支援操作装置25がOFF状態にあるとき、車両12は運転支援制御を実行不能である。
【0027】
図2に示されるように、車両12はハードウェア構成としてECU(Electronic Control Unit)26を有する。
【0028】
ECU26は、CPU(Central Processing Unit)(制御部)(コンピュータ)26A、ROM(Read Only Memory)(非一時的記録媒体)(記録媒体)26B、RAM(Random Access Memory)26C、ストレージ(非一時的記録媒体)(記録媒体)26D、通信I/F26E及び入出力I/F26Fを含んで構成されている。CPU26A、ROM26B、RAM26C、ストレージ26D、通信I/F26E及び入出力I/F26Fは、内部バス26Zを介して相互に通信可能に接続されている。
【0029】
CPU26Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。CPU26Aは、ROM26B又はストレージ26Dからプログラムを読み出し、RAM26Cを作業領域としてプログラムを実行する。CPU26Aは、ROM26B又はストレージ26Dに記録されているプログラムに従って、各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0030】
ROM26Bは、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM26Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ26Dは、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、各種プログラム及び各種データを格納する。例えば、ROM26B又はストレージ26Dには、地図データを有するナビゲーションアプリケーションがインストールされている。即ち、車両12にはナビゲーションシステムが搭載されている。さらにROM26B又はストレージ26Dには、第1データ及び第2データが記録されている。第1データ及び第2データについては後述する。
【0031】
通信I/F26Eは、ECU26とは別のECU(図示省略)と、外部バス(図示省略)を介して接続するためのインタフェースである。当該インタフェースは、例えばCANプロトコルによる通信規格が用いられている。
【0032】
入出力I/F26Fは、様々な装置と通信するためのインタフェースである。これらの装置には、例えば、カメラ21A、ミリ波レーダ、ライダ、周辺監視カメラ群、GPS受信機22、表示装置23、運転支援操作装置25及びアクチュエータ群(後述)が含まれる。
【0033】
図3には、ECU26の機能構成の一例がブロック図で示されている。ECU26は、機能構成として、ターンシグナル制御部261、運転支援制御部262及び画像表示制御部263を有する。ターンシグナル制御部261、運転支援制御部262及び画像表示制御部263は、CPU26AがROM26Bに記憶されたプログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0034】
ターンシグナル制御部261は、ターンシグナルレバー20の位置に応じて左右のターンシグナル(図示省略)を制御する。即ち、ターンシグナルレバー20が左側LCA操作位置又は左側点灯位置にあるとき、ターンシグナル制御部261の制御により、車両12の前端部に設けられた照明器具である左側のターンシグナルが点灯させられる。また、ターンシグナルレバー20が右側LCA操作位置又は右側点灯位置にあるとき、ターンシグナル制御部261の制御により、車両12の前端部に設けられた照明器具である右側のターンシグナルが点灯させられる。
【0035】
運転支援操作装置25がON状態にあるとき、運転支援制御部262は車両12に設けられたセンサ群及びアクチュエータ群(図示省略)を利用して、車両12にSAE(Society of Automotive Engineers)(アメリカ自動車技術会)が定めるレベル1~5の運転レベルの運転支援制御を実行させる。さらに運転支援操作装置25がON状態にあるとき、車両12の乗員は運転支援操作装置25を操作することにより、運転レベル及び実行する運転支援制御を選択できる。本実施形態の運転支援制御には、例えば、ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)、LTA(レーントレースアシスト、車線維持支援制御)及びLCA(レーンチェンジアシスト、車線変更支援制御)が含まれる。車両12に設けられたセンサ群には、センサユニット21及び周辺監視カメラ群が含まれる。さらにセンサ群が取得した情報を周辺情報と称する。車両12に設けられたアクチュエータ群には、ブレーキ装置、ステアリングホイール18を有する電動パワーステアリング装置(Electric Power Steering)及び駆動源である内燃機関を駆動させるための様々な電動アクチュエータ、並びに駆動源である電動モータが含まれる。
【0036】
ここでLCAについて簡単に説明する。LCAは、LTAと同様に車両12の車線に対する横方向(車線幅方向)の位置制御である。レベル1~3の運転支援制御が選択され且つLTA及びACCの実施中にターンシグナルレバー20が左側LCA操作位置又は右側LCA操作位置に移動させられた場合に、LCAが開始される。またレベル5の運転支援制御(完全自動運転)が選択され且つナビゲーションシステムにより車両12の走行予定ルートが設定されている場合は、運転支援制御部262が車線変更を実行する必要があると判定したときに、LCAが開始される。LCAが開始されたときに、所定のLCA実行条件が成立する。
【0037】
LCAが開始されたときに、センサ群から取得した情報に基づいて、CPU26A(運転支援制御部262)が車両12の周囲を監視する。さらに車両12が安全に車線変更を実行可能であると判定した後に、CPU26Aが車両12を左側又は右側へ移動させる。例えば、ターンシグナルレバー20が左側LCA操作位置に移動することによりLCAが実行されると、車両12が現在走行している車線である走行車線から、走行車線の左隣りの車線である隣接車線へ移動するように、上記アクチュエータ群が制御される。また、ターンシグナルレバー20が右側LCA操作位置に移動することによりLCAが実行されると、車両12が現在走行している車線である走行車線から、走行車線の右隣りの車線である隣接車線へ移動するように、上記アクチュエータ群が制御される。車両12が左側又は右側の隣接車線の所定位置まで移動すると、CPU26A(運転支援制御部262)がLCAを終了する。
【0038】
なおLCAの実行中に所定の中断条件が成立したときに、運転支援制御部262はLCAを中断する。例えば、LCAの実行中に車両12が他車両と衝突するまでの予測時間(TTC)が所定の閾値未満であると運転支援制御部262が判定したときに、中断条件が成立する。中断条件が成立したとき又はLCAが終了したときに、上記LCA実行条件が成立しなくなる。
【0039】
画像表示制御部263は、カーナビゲーションシステム(地図データ)及び位置情報に基づいて、車両12が走行している道路を特定する。さらに画像表示制御部263は、カーナビゲーションシステムの地図データを読み込み、車両12が現在走行している道路の画像を表示装置23に表示させる。例えば、車両12が
図4に示された道路50を走行している場合を想定する。道路50は、第1車線51、第2車線52及び第3車線53を有する。第1車線51と第2車線52は区画線50Aによって区画され、第2車線52と第3車線53は区画線50Bによって区画されている。
図4に示された矢印DRは、車両12の進行方向を表している。この場合は
図5に示されたように、表示装置23に表示される道路画像30は、第1車線画像31、第2車線画像32及び第3車線画像33を有する。第1車線画像31と第2車線画像32は区画線画像30Aによって区画され、第2車線画像32と第3車線画像33は区画線画像30Bによって区画されている。なお本実施形態では、
図5及び
図6に示されたように、表示装置23に表示された画像を、車両12の直上の仮想視点(図示省略)から前斜め前方を見た場合の画像として表示する。
【0040】
さらにLCA実行条件が成立しないとき、画像表示制御部263は、カメラ21A及び周辺監視カメラ群が取得した車両12の周辺に位置する被写体を表すカメラ画像(画像データ)及びパターンマッチング法を利用して、このカメラ画像に車両12の周辺に位置する周辺車両が含まれているか否かを判定する。なお、この周辺車両には、四輪車のみならず、三輪車及び二輪車も含まれる。さらにカメラ画像に周辺車両が含まれると判定したとき、画像表示制御部263は、周辺車両を表す画像データを第1データから取得する。本実施形態の第1データに含まれる画像データは、四輪の乗用車を表す乗用車画像データと、四輪トラックを表すトラック画像データである。例えば、
図4に示されたように、車両12及び車両12の前方に位置する2台の周辺車両である乗用車(他車)55A、55Bが第2車線52を走行し、別の周辺車両である二輪車(他車)55Cが第1車線51を走行し、且つさらに別の周辺車両であるトラック(他車)55Dが第3車線53を走行する場合を想定する。この場合に画像表示制御部263は、センサ群の検出結果及びカメラ画像に基づいて、車両12と各周辺車両との相対位置を認識する。さらに画像表示制御部263は、
図5に示されたように、この相対位置に基づいて、各周辺車両を表す乗用車画像データ35A、35B、35C及びトラック画像データ35Dを表示装置23に表示させる。乗用車画像データ35A、35B、35C及びトラック画像データ35Dの色は特定の色である。例えば、乗用車画像データ35A、35B、35C及びトラック画像データ35Dは白色である。そのため、例えば乗用車画像データ35A、35B、35C及びトラック画像データ35Dは表示装置23に白色の画像として表示される。このように、LCA実行条件が成立しないとき、実際の周辺車両の色及び形状とは異なる画像(乗用車画像データ35A、35B、35C及びトラック画像データ35D)が表示装置23に表示される。
【0041】
一方、LCA実行条件が成立するとき、画像表示制御部263は、カメラ画像及びパターンマッチング法を利用して、カメラ画像に周辺車両が含まれているか否かを判定する。さらにカメラ画像に周辺車両が含まれると判定したとき、画像表示制御部263は、各周辺車両をそれぞれ表す車両関連データを第2データから選択する。第2データは、日本及び外国の様々な車両メーカーが製造している多数の四輪車、三輪車及び二輪車に関する車両関連データを含む。車両関連データには、各車両の外形を表す画像データ及び各車両の仕様情報(メーカー名、車種名(商品名)、車両タイプ)などが含まれる。なお、この車両タイプには、例えば、乗用車、バス及びトラックが含まれる。さらに車両タイプには、乗用車のタイプを表す情報が含まれる。例えば、乗用車のタイプを表す情報には、セダン、ハッチバック及びSUV(Sport Utility Vehicle)が含まれる。画像表示制御部263は、カメラ画像及びパターンマッチング法を利用して、各周辺車両の車種名を特定する。さらに周辺車両を表す画像データの中に、この周辺車両のメーカー名及び車種名の少なくとも一方を表す文字が含まれる場合は、この文字情報及び仕様情報を利用して、各周辺車両の車種名を特定する。さらに画像表示制御部263は、特定された車種名に対応する画像データ(車両関連データ)を第2データから選択する。
【0042】
例えば、車両12の直前を走行している2台の周辺車両が互いに別車種の乗用車の場合、
図6に示されたように、画像表示制御部263はそれぞれの周辺車両を表す乗用車画像データ(他車画像)45A、45Bを第2データから選択する。さらに別の周辺車両が第1車線51を走行する二輪車55Cの場合、画像表示制御部263は二輪車55Cを表す二輪車画像データ(他車画像)45Cを第2データから選択する。さらに別の周辺車両が第3車線53を走行するトラック55Dの場合、画像表示制御部263はトラック55Dを表すトラック画像データ(他車画像)45Dを第2データから選択する。
【0043】
さらにLCA実行条件が成立するとき、画像表示制御部263は、カメラ画像に含まれる周辺車両の車体の色を認識する。例えば画像表示制御部263は、各周辺車両の車体の色の色相が、所定の表色系によって規定された色相のどの範囲に含まれるかを特定する。この表色系には、例えば、マンセル表色系、オストワルト表色系、及びPCCS(日本色研配色体系)が含まれる。
【0044】
例えば、20個の範囲に分割されるように規定されたマンセル色相環を利用する場合、画像表示制御部263は車体の色相が20個の範囲のいずれに含まれるかを判定する。また、24個の範囲に分割されるように規定されたオストワルト色相環を利用する場合、画像表示制御部263は車体の色相が24個の範囲のいずれに含まれるかを判定する。また、24個の範囲に分割されるように規定されたPCCS色相環を利用する場合、画像表示制御部263は車体の色相が24個の範囲のいずれに含まれるかを判定する。
【0045】
例えば、乗用車画像データ45Aによって表された乗用車55Aの車体の色相が、20個の範囲に分割されるように規定されたマンセル色相環の所定の範囲(例えば、10Yを有する範囲)に含まれる場合を想定する。この場合に画像表示制御部263は、この範囲に含まれる色相を有する色データを乗用車画像データ45Aに付加する。従って、表示装置23に表示された乗用車画像データ45Aはこの色相を含む色で表現される。また、例えば、二輪車画像データ45Cによって表された二輪車55Cの車体の色相が、24個の範囲に分割されるように規定されたPCCS色相環の所定の範囲(例えば、18:Bを有する範囲)に含まれる場合を想定する。この場合に画像表示制御部263は、この範囲に含まれる色相を有する色データを二輪車画像データ45Cに付加する。画像表示制御部263は、乗用車画像データ45B及びトラック画像データ45Dについても同様の処理を施す。
【0046】
さらに
図6に示されたように、画像表示制御部263は、センサ群の検出結果及びカメラ画像に基づいて取得した車両12と各周辺車両との相対位置に基づいて、各周辺車両を表し且つ色データが付加された乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dを表示装置23に表示させる。さらに画像表示制御部263は、車両12が車線変更を実行するための走行軌跡を表す走行軌跡画像47を読み込み、走行軌跡画像47を表示装置23に表示させる。ROM26B又はストレージ26Dには、様々な形状の走行軌跡画像が記録されている。
【0047】
GPS受信機22、表示装置23、運転支援操作装置25、ECU26、上記センサ群及び上記アクチュエータ群が車両制御装置10の構成要素である。
【0048】
(作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0049】
続いて、ECU26のCPU26Aが実行する処理について説明する。CPU26Aは所定時間が経過する毎に
図7に示されたフローチャートの処理を繰り返し実行する。
【0050】
ステップS10(以下、ステップの文字を省略する)においてCPU26Aは、上記LCA実行条件が成立しているか否かを判定する。
【0051】
S10においてYesと判定した場合、CPU26AはS11へ進み、LCAを実行する。
【0052】
次いで、CPU26AはS12へ進み、周辺車両に対応する画像データを第2データから選択する。例えば、車両12が道路50を走行している場合、CPU26Aは第2データから乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dを選択する。
【0053】
S12の処理を終えたCPU26AはS13へ進み、各周辺車両の車体の色の色相を、所定の表色系に基づいて決定する。さらにCPU26Aは、決定された色相に対応する色データを、S12で選択された乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dに付加する。
【0054】
S13の処理を終えたCPU26AはS14へ進み、色データが付加された乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dを表示装置23に表示させる。
【0055】
S14の処理を終えたCPU26AはS15へ進み、LCA実行条件が成立していないか否かを判定する。
【0056】
S15においてYesと判定した場合又はS10でNoと判定した場合、CPU26AはS16へ進み、第2データの代わりに、第1データを表示装置23に表示させる。
【0057】
S16の処理を終えたとき、CPU26Aは
図7のフローチャートの処理を一旦終了する。
【0058】
以上説明したように本実施形態では、車両12がLCAを実行するとき、車両12の周辺を走行する各周辺車両の色及び形状を具体的に表す乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dが、表示装置23に表示される。即ち、表示装置23に表示された乗用車画像データ45A、45B、二輪車画像データ45C及びトラック画像データ45Dの色及び形状が、実際の周辺車両の色及び形状とそれぞれ同一になる。
【0059】
本明細書において、表示装置23に表示された周辺車両を表す画像データの色が実際の周辺車両の色と同一になるとは、両者の色が完全に同一であるか又は両者の色が実質的に同一であることを意味する。両者の色相、明度及び彩度が同一の場合、両者の色が完全に同一である。一方、両者の色相が実質的に同一の場合、両者の色は実質的に同一である。例えば、上述のように、両者の色相が、所定の色相環の同一の範囲に含まれる場合に、両者の色は実質的に同一になる。このように両者の色が完全に同一又は両者の色が実質的に同一の場合、車両12の周囲を目視により確認し且つ表示装置23に表示された周辺車両を表す周画像データを見た乗員は、実際の周辺車両と周辺車両を表す周画像データとの対応関係を認識し易い。
【0060】
また本明細書において、表示装置23に表示された周辺車両を表す画像データの形状が実際の周辺車両の形状と同一になるとは、両者の形状が互いに完全に相似であるか又は両者の形状が互いに実質的に相似であることを意味する。このように両者の形状が互いに完全に相似であるか又は両者の形状が互いに実質的に相似である場合、車両12の周囲を目視により確認し且つ表示装置23に表示された周辺車両を表す周画像データを見た乗員は、実際の周辺車両と周辺車両を表す周画像データとの対応関係を認識し易い。
【0061】
そのため本実施形態の車両制御装置10は、LCAの実行中に表示装置23を見た乗員に、表示装置23が表す車両12の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識させ難い。従って、LCAの実行中に表示装置23を見た乗員が不安を覚えるおそれは小さい。
【0062】
さらにLCA(特定の運転支援制御)が実行されるときに、表示装置23に表示された周辺車両を表す画像(乗用車画像データ45A、45B等)の色及び形状が、実際の周辺車両と同じ色及び形状に切り替わる。そのため表示装置23を見た乗員は、LCAを実施していなかった車両12がLCAを実行し始めたことを認識し易い。
【0063】
以上、実施形態に係る車両制御装置10、車両制御方法及びプログラムについて説明したが、これらは本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
【0064】
例えば
図8に示されたように、LCA実行条件が成立しているときに、カメラ21A及び周辺監視カメラ群の少なくとも一つによって取得された、車両12の前方の被写体である他車画像(乗用車55A、55B、二輪車55C、トラック55D)を表すカメラ画像55が表示装置23に表示されてもよい。この場合は、車両12がLCAを実行するとき、表示装置23に表示された周辺車両55A、55B、55C、55Dの色及び形状が、実際の周辺車両55A、55B、55C、55Dと完全に同一になる。そのためLCAの実行中に表示装置23を見た乗員が、表示装置23に表示されている画像が表す車両12の周辺状況と、実際の周辺状況と、が一致していないと認識するおそれは小さい。従って、LCAの実行中に表示装置23を見た乗員が不安を覚えるおそれは小さい。
【0065】
さらにこの場合は、
図8に示されたように、車両12の少なくとも一部を表す車両画像60が表示装置23に表示されてもよい。例えば、車両画像60はカメラ21Aが取得したカメラ画像(画像データ)であってもよい。また、車両画像60がROM26B又はストレージ26Dに記録されている画像データであってもよい。このように表示装置23に車両画像60を表示すれば、表示装置23を見た乗員が車両12と周辺車両との位置関係を認識できる。そのため、表示装置23に車両画像60が表示されない場合と比べて、LCAの実行中に表示装置23を見た乗員が不安を覚えるおそれは小さくなる。
【0066】
表示装置23に表示された画像が、平面視で表された画像であってもよい。
【0067】
[付記]
本発明の車両制御装置は以下の構成1~構成5を任意に組み合わせたものであってもよい。
〈構成1〉運転支援制御を実行可能な車両に搭載され、前記車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成されると共に、前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させることが可能な制御部を備える車両制御装置。
〈構成2〉前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車画像の色を前記他車と同一の色に切り替える車両制御装置。
〈構成3〉前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記他車と同一の形状を有する前記他車画像を、前記表示装置に表示させる車両制御装置。
〈構成4〉前記車両が特定の前記運転支援制御を実行するときに、前記制御部が、前記車両に設けられたカメラが取得した前記他車画像であるカメラ画像を、前記表示装置に表示させる車両制御装置。
〈構成5〉前記制御部が、前記カメラ画像を表示している前記表示装置に、前記車両を表す画像を表示させる車両制御装置。
さらに本発明の車両制御方法は以下の構成6と、構成1~5の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成6〉運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させる車両制御方法。
さらに本発明のプログラムは以下の構成7と、構成1~5の少なくとも一つを組み合わせたものであってもよい。
〈構成7〉運転支援制御を実行可能な車両の周辺を走行する少なくとも一つの他車に関する情報を含む周辺情報に基づいて生成された前記他車を表し且つ前記他車と同一の色を有する他車画像を、前記車両に設けられた表示装置に表示させる処理、をコンピュータに実行させるプログラム。
【符号の説明】
【0068】
10 車両制御装置
12 車両
21A カメラ
26A CPU(制御部)
45A 45B 乗用車画像データ(他車画像)
45C 二輪車画像データ(他車画像)
45D トラック画像データ(他車画像)
55 カメラ画像
55A 乗用車(他車)
55B 乗用車(他車)
55C 二輪車(他車)
55D トラック(他車)