(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-05
(45)【発行日】2025-08-14
(54)【発明の名称】取付金具及びパネル設置構造
(51)【国際特許分類】
E04D 13/00 20060101AFI20250806BHJP
E04D 13/18 20180101ALI20250806BHJP
H02S 20/23 20140101ALI20250806BHJP
【FI】
E04D13/00 K
E04D13/18
H02S20/23 B
(21)【出願番号】P 2023143056
(22)【出願日】2023-09-04
【審査請求日】2025-04-02
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】599015250
【氏名又は名称】株式会社明光建商
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 和宏
(72)【発明者】
【氏名】山口 武志
(72)【発明者】
【氏名】小林 則男
(72)【発明者】
【氏名】山田 展也
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-205071(JP,A)
【文献】特開2013-057237(JP,A)
【文献】特開2014-098275(JP,A)
【文献】特開2013-011068(JP,A)
【文献】特開2011-231522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S20/23
E04D13/00、13/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属屋根上に物品を設置するための取付金具であって、
ボルト及びナットにより互いに結合される一対の分割体から成り、
各前記分割体は、
前記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を有する略矩形板状の側壁部と、
前記側壁部の下縁部に設けられ、相手方の前記分割体と結合したとき、前記金属屋根の突起部を挟持可能な挟持部と、
前記側壁部の上縁部に設けられ、前記物品を固定可能な物品固定部と、
を備え、
各前記分割体の前記側壁部の一方の側縁部の中程に、先端の一部に差込突起を有する腕部が設けられ、当該側壁部の他方の側縁部の中程に差込孔が設けられ、
各前記分割体の前記腕部の前記差込突起を相手方の前記分割体の前記差込孔に差し込み、当該腕部の先端を相手方の前記分割体の前記側壁部に突き当てた状態で一対の前記分割体が結合され、前記挟持部により前記金属屋根の突起部を挟持することを特徴とした取付金具。
【請求項2】
金属屋根上に物品を設置するための
取付金具であって、
ボルト及びナットにより互いに結合される一対の分割体から成り、
各前記分割体は、
前記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を有する略矩形板状の側壁部と、
前記側壁部の下縁部に設けられ、相手方の前記分割体と結合したとき、前記金属屋根の突起部を挟持可能な挟持部と、
前記側壁部の上縁部に設けられ、前記物品を固定可能な物品固定部と、
を備え、
一方の前記分割体の前記側壁部の両側縁部の中程にそれぞれ、先端の一部に差込突起を有する腕部が設けられ、
他方の前記分割体の前記側壁部の両側縁部の中程にそれぞれ、差込孔が設けられ、
一方の前記分割体の前記腕部の前記差込突起を他方の前記分割体の前記差込孔に差し込み、当該腕部の先端を他方の前記分割体の前記側壁部に突き当てた状態で一対の前記分割体が結合され、前記挟持部により前記金属屋根の突起部を挟持することを特徴とした取付金具。
【請求項3】
一対の前記分割体が結合されたとき、各前記分割体の前記物品固定部同士の間に第一隙間が形成され、
各前記分割体の前記物品固定部に前記第一隙間と直交する第二隙間が形成されていることを特徴とした請求項1または請求項2に記載の取付金具。
【請求項4】
請求項3に記載の取付金具と、当該取付金具により金属屋根上に設置されるパネルと、を備えたパネル設置構造であって、
前記パネルは、矩形板状のパネル本体と、前記パネル本体の周縁部に設けられたリブ部とを備え、
前記金属屋根の複数の突起部にそれぞれ、複数の前記取付金具が固定され、
各前記取付金具の前記物品固定部の前記第一隙間及び/又は前記第二隙間に前記パネルの前記リブ部を挿入した状態で前記物品固定部に前記パネルが固定されていることを特徴としたパネル設置構造。
【請求項5】
各前記取付金具の前記物品固定部の前記第一隙間及び前記第二隙間に前記パネルの角部の前記リブ部を挿入した状態で前記物品固定部に前記パネルが固定されていることを特徴とした請求項4に記載のパネル設置構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付金具及びパネル設置構造、より詳しくは、金属屋根上に物品を設置するための取付金具と、この取付金具を用いて金属屋根上にパネルを設置するパネル設置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、例えば工場、倉庫、体育館等の大規模建築物においては、比較的に低コストで施工可能な折板屋根等の金属屋根が多用されており、そして、この金属屋根上には、例えば遮熱パネル、太陽電池モジュール、電設設備、歩行通路等の各種物品が設置される。
【0003】
従来、金属屋根上に各種物品を設置するための取付金具として、例えば下記特許文献1、2に記載のものが知られている。これらの取付金具は、ボルト及びナットにより互いに組み合う一対の分割体から構成されており、各分割体の上部を支点として各分割体の下部に設けた挟持部同士を揺動開閉させることによって、金属屋根の突起部を挟持して固定されるものである。
【0004】
ところが、これら従来の取付金具は、ボルト及びナットの締結力により金属屋根の突起部を強固に挟持し得るものの、これらボルト及びナットの締め具合いによって、屋根面に対する各分割体の上部の角度が変化してしまい、各分割体の上部に直接、各種物品を安定に固定することができない難点があった。そのため、従来の取付金具においては、分割体の上部に、物品取付用の取付ボルトを立設し、この取付ボルトに梁材を固定し、この梁材を介して各種物品を固定したり(特許文献1の
図14のレール体Q1参照)、この取付ボルトにナットを螺合し、このナットを介して各種物品を固定したり(特許文献2の
図5(b)の締付ナット22参照)する必要があり、その分、物品設置構造の複雑化や、設置作業負担の増加を招いていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6077323号公報
【文献】特許第5294484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来の取付金具に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、金属屋根上に各種物品を簡易かつ安定に設置することができる取付金具と、この取付金具を用いて金属屋根上にパネルを簡易かつ安定に設置することができるパネル設置構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、金属屋根上に物品を設置するための取付金具であって、
ボルト及びナットにより互いに結合される一対の分割体から成り、
各前記分割体は、前記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を有する略矩形板状の側壁部と、前記側壁部の下縁部に設けられ、相手方の前記分割体と結合したとき、前記金属屋根の突起部を挟持可能な挟持部と、前記側壁部の上縁部に設けられ、前記物品を固定可能な物品固定部と、を備え、
各前記分割体の前記側壁部の一方の側縁部の中程に、先端の一部に差込突起を有する腕部が設けられ、当該側壁部の他方の側縁部の中程に差込孔が設けられ、
各前記分割体の前記腕部の前記差込突起を相手方の前記分割体の前記差込孔に差し込み、当該腕部の先端を相手方の前記分割体の前記側壁部に突き当てた状態で一対の前記分割体が結合され、前記挟持部により前記金属屋根の突起部を挟持することを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、金属屋根上に物品を設置するための取付金具であって、
ボルト及びナットにより互いに結合される一対の分割体から成り、
各前記分割体は、前記ボルトを挿通可能なボルト挿通孔を有する略矩形板状の側壁部と、前記側壁部の下縁部に設けられ、相手方の前記分割体と結合したとき、前記金属屋根の突起部を挟持可能な挟持部と、前記側壁部の上縁部に設けられ、前記物品を固定可能な物品固定部と、を備え、
一方の前記分割体の前記側壁部の両側縁部の中程にそれぞれ、先端の一部に差込突起を有する腕部が設けられ、他方の前記分割体の前記側壁部の両側縁部の中程にそれぞれ、差込孔が設けられ、
一方の前記分割体の前記腕部の前記差込突起を他方の前記分割体の前記差込孔に差し込み、当該腕部の先端を他方の前記分割体の前記側壁部に突き当てた状態で一対の前記分割体が結合され、前記挟持部により前記金属屋根の突起部を挟持することを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、一対の前記分割体が結合されたとき、各前記分割体の前記物品固定部同士の間に第一隙間が形成され、各前記分割体の前記物品固定部に前記第一隙間と直交する第二隙間が形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記取付金具と、当該取付金具により金属屋根上に設置されるパネルと、を備えたパネル設置構造であって、
前記パネルは、矩形板状のパネル本体と、前記パネル本体の周縁部に設けられたリブ部とを備え、前記金属屋根の複数の突起部にそれぞれ、複数の前記取付金具が固定され、
各前記取付金具の前記物品固定部の前記第一隙間及び/又は前記第二隙間に前記パネルの前記リブ部を挿入した状態で前記物品固定部に前記パネルが固定されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、各前記取付金具の前記物品固定部の前記第一隙間及び前記第二隙間に前記パネルの角部の前記リブ部を挿入した状態で前記物品固定部に前記パネルが固定されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る取付金具によれば、ナットを締めて一対の挟持部で金属屋根の突起部を挟持する際、各分割体の腕部の先端が相手方の分割体の側壁部に突き当たるので、ナットの締め具合いによって、屋根面に対する物品固定部の角度が変化することもなく、各種物品を物品固定部に簡易かつ安定に固定することができる。
【0013】
また、本発明に係るパネル設置構造によれば、取付金具の物品固定部に第一隙間及び第一隙間が形成されているので、リブ部を有するパネルを物品固定部に容易に固定することができ、このパネルを金属屋根上に簡易かつ安定に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図2】本実施形態の取付金具の分解状態の斜視図である。
【
図5】本実施形態の取付金具を金属屋根に固定した状態の正面図である。
【
図6】本実施形態のパネル設置構造のパネルの平面図である。
【
図9】本実施形態のパネル設置構造の施工工程を説明する部分正面図である。
【
図10】本実施形態のパネル設置構造の施工工程を説明する部分平面図である。
【
図11】本発明に係る他の実施形態の取付金具の分解状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態の取付金具10は、ボルト6及びナット7により互いに結合される一対の分割体(1A、1B)から構成されている。
【0016】
各分割体(1A、1B)は、
図2に示すように、ボルト6を挿通可能なボルト挿通孔21を有する略矩形板状の側壁部2と、この側壁部2の下縁部に設けられ、相手方の分割体と結合したとき、金属屋根の突起部を挟持する挟持部3と、側壁部2の上縁部に設けられ、金属屋根上に設置すべき物品を固定可能な物品固定部4と、を備えている。
【0017】
本実施形態の各分割体(1A、1B)は、鋼板材を曲げ加工して構成されており、挟持部3は、側壁部2の下縁部から側壁部2に対し約70度傾斜して一方向へ延びる矩形板状の脚部31と、この脚部31の先端縁から側壁部2とほぼ平行に上方へ延びる矩形板状の挟持当接部32とから構成されている。また、物品固定部4は、側壁部2の上縁部から側壁部2に対し直角に、挟持部3と同じ向きに延びる矩形板状の載置部41と、この載置部41の先端縁から側壁部2とほぼ平行に下方へ延びる矩形板状の鍔部42とから構成されている。そして、載置部41には、各種物品をビス止め等するためのネジ孔43が設けられている。
【0018】
また、各分割体(1A、1B)の側壁部2の一方の側縁部の中程には、腕部5が設けられ、この側壁部2の他方の側縁部の中程には、差込孔22が設けられている。この腕部5も曲げ加工により形成されており、側壁部2の一方の側縁部から側壁部2に対し直角に挟持部3と同じ向きに延びており、略矩形板状を成している。そして、腕部5の先端51の中央には、相手方の分割体の差込孔22に差し込み可能な略矩形板状の差込突起52が突設されている。
【0019】
これら一対の分割体(1A、1B)の各腕部5の差込突起52を、相手方の分割体(1B、1A)の各差込孔22に差し込み、腕部5の先端51を相手方の分割体の側壁部2に突き当てた状態で、各分割体のボルト挿通孔21に挿し通したボルト6にナット7を螺合し締結することによって、一対の分割体(1A・1B)が結合され、本実施形態の取付金具10が構成される(
図1参照)。
【0020】
また、本実施形態の取付金具10は、
図3に示すように、一対の分割体(1A、1B)が結合された状態で、各分割体(1A、1B)の物品固定部4の先端縁同士が離隔し、第一隙間S1が形成されている。そして、各腕部5の上縁部における第一隙間S1に対応する位置に、第一隙間S1と同幅の凹部53が形成されている。また、本実施形態の取付金具10は、一対の分割体(1A、1B)が結合された状態で、各分割体(1A、1B)の挟持部3の挟持当接部32同士の間に、間隔Wの隙間が形成されている。この間隔Wは、公知の馳締め型折板屋根の馳締め部の基部の平均的な厚みに合わせて設定されている。また、片方の分割体1Aの側壁部2には、ナット締結時におけるボルト6の供回りを防ぐための回止め突起23が打出し形成されている。
【0021】
また、本実施形態の取付金具10は、
図4に示すように、各分割体(1A、1B)の物品固定部4の幅方向中央に、上記第一隙間S1と同幅のスリット44が設けられており、第一隙間S1と直交する第二隙間S2が形成されている。このスリット44によって、各分割体(1A、1B)の物品固定部4の載置部41が二分され、取付金具10全体として、計4つの載置部41が形成されている(
図1参照)。本実施形態のスリット44は、物品固定部4から側壁部2の上縁部を越え、側壁部2の上部に亘って設けられている。
【0022】
以上のように構成された本実施形態の取付金具10を金属屋根に固定する際には、ナット7を緩めて一対の挟持部3の挟持当接部32同士の間隔を拡げ、これら挟持当接部32・32間に金属屋根の突起部を挿入させる。その後、ナット7を締めることによって、
図5に示すように、一対の挟持部3の挟持当接部32・32で金属屋根Rの突起部Pの基部を挟持して取付金具10を金属屋根Rに固定する。
【0023】
なお、取付金具10を金属屋根Rに固定する際、予め取付金具10を一対の分割体(1A、1B)に分解しておき、各分割体(1A、1B)の腕部5の差込突起52を相手方の分割体の差込孔22に差し込んだ状態で、分割体(1A、1B)の挟持当接部32をそれぞれ、金属屋根Rの突起部Pにあてがい、その後、ボルト6及びナット7を締結することによって、取付金具10を金属屋根Rに固定するようにしてもよい。
【0024】
本実施形態の取付金具10を金属屋根Rに固定した後、取付金具10の物品固定部4の載置部41に、金属屋根R上に設置すべき物品を載置し、載置部41のネジ孔43を利用して当該物品をビス止め等することによって、金属屋根R上に各種物品が設置される。
【0025】
なお、本実施形態では、
図5に示すように、取付金具10を固定する金属屋根Rとして、馳締め部を有する馳締め型折板屋根を例示しているが、本発明は勿論これに限定されるものではなく、本発明に係る取付金具を、例えば重ね型折板屋根の折板同士を接合する接合ボルトや、瓦棒葺き金属屋根の瓦棒に固定するようにしてもよい。
【0026】
このように本実施形態の取付金具10によれば、ナット7を締めて一対の挟持部3で金属屋根Rの突起部Pを挟持する際、各分割体(1A、1B)の腕部5の先端51が相手方の分割体の側壁部2に突き当たるので、従来品のように、ナット7の締め具合いによって、屋根面に対する物品固定部4の角度が変化することもなく、物品固定部4に各種物品を安定に固定することができる。
【0027】
なお、既設された実際の馳締め型折板屋根の馳締め部の厚みには、ばらつきがある。実際の馳締め部の厚みが比較的に大きい場合、ナット7を締めて各分割体(1A、1B)の腕部5の先端51を相手方の分割体の側壁部2に突き当てたとき、挟持部3や側壁部2の下部が外方へ曲げ弾性変形する場合があるが、側壁部2の中程部において腕部5の先端51が相手方の分割体の側壁部2に突き当たって其処で剛体が構成されるので、これら挟持部3や側壁部2の下部の変形が、側壁部2の上縁部に設けられた物品固定部4に影響を及ぼすこともなく、物品固定部4に安定に物品を固定することができる。
【0028】
一方、実際の馳締め部の厚みが比較的に小さい場合、この馳締め部を挟持部3で確実に挟持するためには、馳締め部と挟持当接部32との間にスペーサを介在させて対応する他に、各分割体(1A、1B)の腕部5の先端51を相手方の分割体の側壁部2に突き当てた後、更にナット7を締めて側壁部2の下部を内方へ曲げ弾性変形させて対応する場合があるが、この場合においても、側壁部2の中程部において腕部5による剛体が構成されているので、この側壁部2の下部の変形が、物品固定部4に影響を及ぼすこともなく、物品固定部4に安定に物品を固定することができる。
【0029】
さらに、本実施形態の取付金具10によれば、各分割体(1A、1B)の腕部5の差込突起52を相手方の分割体の差込孔22に差し込むようにしているので、各分割体(1A、1B)の腕部5の先端51を相手方の分割体の側壁部2に確実に突き当てることができ、側壁部2の中程部の剛性を大幅に高めることができる。また、一対の分割体(1A、1B)を結合する際や、結合された取付金具10のナット7を緩めて挟持当接部32同士の間隔を拡げる際や、ナット7を締めて金属屋根Rの突起部Pを挟持する際に、挟持当接部32同士の対向位置がずれるのを防ぐことができ、取付金具10の取扱い性が大幅に向上し、金属屋根Rへの固定作業を頗る容易に行うことができる。
【0030】
次に、
図6~
図10を参照しながら、本実施形態のパネル設置構造20について説明する。本実施形態のパネル設置構造20は、上述した取付金具10と、金属屋根上に設置されるパネル8とから構成されている。
【0031】
パネル8は、
図6~
図8に示すように、矩形板状のパネル本体81と、このパネル本体81の周縁部に設けられたリブ部(82・83)とを備えている。本実施形態のパネル8は、日射を高反射して金属屋根の温度上昇を抑制するための遮熱パネルとして構成されており、鋼板製のパネル本体81の板面に公知の遮熱塗料が塗工されている。
【0032】
本実施形態のパネル8は、矩形状のパネル本体81の短辺(約500mm)に曲げ加工によりリブ部82が形成され、パネル本体81の長辺(約666mm)に曲げ加工によりリブ部83が形成されている。そして、パネル本体81の各角部において、これらリブ部82・83同士が溶接接合されている。
【0033】
また、パネル本体81の角部近傍には、固定ビス等を挿通可能な通孔84が開設され、パネル本体81の板面には、パネル本体81の強度向上及び歩行時の滑り止めのための多数の凸部85がエンボス加工により形成されている。
【0034】
本実施形態のパネル設置構造20は、
図9及び
図10に示すように、金属屋根Rの複数条の突起部Pにそれぞれ、複数の取付金具10を固定し、各取付金具10の物品固定部4の載置部41上に直接、パネル8を載置し、このパネル8の通孔84に挿通した固定ビス9を載置部41のネジ孔43に螺合してパネル8を取付金具10の物品固定部4に固定することにより構成される。
【0035】
また、本実施形態のパネル設置構造20は、パネル8の角部のリブ部82・83を物品固定部4の第一隙間S1及び第二隙間S2に挿入した状態で、パネル8が取付金具10の物品固定部4に固定されている。
【0036】
このように本実施形態のパネル設置構造20によれば、取付金具10の物品固定部4に第一隙間S1及び第一隙間S2が形成されているので、補強のためのリブ部82・83を有するパネル8を、物品固定部4に直接、固定することができ、このパネル8を金属屋根R上に簡易かつ安定に設置することができる。また、一つの取付金具10に対し複数のパネル8を簡易かつ安定に固定し得る。
【0037】
なお、
図10に示すように、金属屋根Rの複数条の突起部Pに固定された複数の取付金具10に対し、複数のパネル8を順次、設置してゆくとき、取付金具10の計4つの載置部41のうち、一部の載置部41に既に他のパネル8が固定され、残りの載置部41に対して次のパネル8を固定する状態となる(
図10中の符号C、D、E参照)。このとき、次のパネル8のリブ部82・83を物品固定部4の第一隙間S1及び第二隙間S2に挿入し、固定ビスで固定する際に、この載置部41や側壁部2の上部が変形する場合がある。また、全てのパネル8を設置した後、例えば日射、降雨等によってパネル8が熱収縮し、各載置部41が変形する場合がある。
【0038】
しかし、本実施形態のパネル設置構造20によれば、取付金具10の物品固定部4に第一隙間S1及び第二隙間S2が形成されているので、各載置部41が独立に変形可能であり、しかも、取付金具10の側壁部2の中程部において腕部5による剛体が構成されているので、これら載置部41の変形が、側壁部2の下縁部に設けられた挟持部3に影響を及ぼすこともなく、挟持部3による金属屋根Rの突起部Pの安定挟持を維持することができ、金属屋根R上に複数のパネル8を安定に設置することができる。
【0039】
以上、本実施形態の取付金具10及びパネル設置構造20について説明したが、本発明は他の実施形態でも実施することができる。
【0040】
例えば、上記実施形態では、取付金具10の各分割体(1A、1B)の側壁部2の一方の側縁部に腕部5を設け、この側壁部2の他方の側縁部に差込孔22を設けているが、
図11に示す取付金具30のように、一方の分割体1Cの側壁部2の両側縁部にそれぞれ、腕部5を設け、他方の分割体1Dの側壁部2の両側縁部にそれぞれ、差込孔22を設けるようにしてもよい。
【0041】
また、上記実施形態では、取付金具10の物品固定部4にネジ孔43を設け、このネジ孔43に固定ビス9を螺合させることによって、パネル8等の物品を固定するようにしているが、本発明は決してこれに限定されるものではなく、例えば、物品固定部4に挿通孔を設け、この挿通孔に挿通した他のボルトに他のナットを螺合させてパネル8等の物品を固定してもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、取付金具10の物品固定部4上に直接、パネル8等の物品を載置して固定するようにしているが、本発明は決してこれに限定されるものではなく、取付金具10の物品固定部4に、必ずしも直接、各種物品を載置する必要はなく、物品固定部4と物品との間に梁材等の他の部材を介在させてもよい。本発明に係る取付金具は、ナット7の締め具合いによって屋根面に対する物品固定部4の角度が変化することがないので、他の部材を介在させる場合でも、各種物品を取付金具10に安定に固定することができる。
【0043】
また、上記実施形態では、パネル8の角部のリブ部82・83を取付金具10の物品固定部4の第一隙間S1及び第二隙間S2に挿入し、パネル8の角部を物品固定部4に固定し、パネル8の角部を取付金具10で支えるようにしているが、本発明は勿論これに限定されるものではなく、パネル8の角部以外の側縁部のリブ部(82・83)を、第一隙間S1または第二隙間S2に挿入し、パネル8の側縁部を物品固定部4に固定し、パネル8の側縁部を取付金具10で支えてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、
図10に示すように、矩形状のパネル8の長辺を金属屋根Rの突起部Pに沿わせてパネル8を縦使いに設置しているが、パネル8の長辺を金属屋根Rの突起部Pに対し直交させてパネル8を横使いに設置してもよい。公知の馳締め型折板屋根の馳締め部同士の間隔は一般的に、約500mmまたは約333mmである。本実施形態のパネル8は、長辺約666mm、短辺約500mmに形成されているので、馳締め部の間隔が約500mmである場合は、
図10に示すように、パネル8を縦使いに設置し、馳締め部の間隔が約333mmである場合は、同じパネル8を横使いに設置することができ、パネルの共通化を図ることができる。
【0045】
また、上記実施形態では、複数のパネル8をほぼ隙間なく設置しているが、取付金具10の物品固定部4の第一隙間S1及び第二隙間S2の間隔を大きくする等して、複数のパネル8を所要間隔の隙間をあけて設置するようにしてもよい。
【0046】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0047】
10、30 取付金具
20 パネル設置構造
1A、1B、1C、1D 分割体
2 側壁部
21 ボルト挿通孔
22 差込孔
3 挟持部
4 物品固定部
5 腕部
51(腕部の)先端
52 差込突起
6 ボルト
7 ナット
8 パネル
81 パネル本体
82、83 リブ部
R 金属屋根
P(金属屋根の)突起部
S1(物品固定部の)第一隙間
S2(物品固定部の)第二隙間