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特許7723799基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-05
(45)【発行日】2025-08-14
(54)【発明の名称】基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/10 20060101AFI20250806BHJP
【FI】
E02D27/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2024099097
(22)【出願日】2024-06-19
【審査請求日】2025-02-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006839
【氏名又は名称】日鉄建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳
(72)【発明者】
【氏名】堂園 浩一
(72)【発明者】
【氏名】中井 寛
(72)【発明者】
【氏名】岩川 実郷
(72)【発明者】
【氏名】原田 剛男
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸夫
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-027784(JP,A)
【文献】特開2020-204163(JP,A)
【文献】特開平10-068287(JP,A)
【文献】特開2012-180647(JP,A)
【文献】特開2000-282777(JP,A)
【文献】特開2014-234658(JP,A)
【文献】実用新案登録第2529763(JP,Y2)
【文献】特開2011-032670(JP,A)
【文献】登録実用新案第3158383(JP,U)
【文献】実開平05-057087(JP,U)
【文献】特開2018-188865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、
前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、
前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる取付具と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、
前記取付具は、
前記ライナープレートのフランジ同士を締結する締結具によって、周方向フランジとともに締結され、前記ライナープレートに固定される被締結部と、
前記被締結部より径内側に配置され、前記周方向フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、
前記ライナープレートの内側において、前記周方向の少なくとも一部に沿うとともに、前記軸方向鉄筋を保持する段取り筋である保持材が設けられ、
前記鉄筋保持部は、
前記保持材が固定され、前記保持材を介して前記軸方向鉄筋を保持する構成であり、
前記保持材は、円弧状に形成されるとともに、複数備えられ、周方向に沿って配置することで前記ライナープレートの内径より小径である円形状あるいは円弧状を構成する
基礎構造物。
【請求項2】
前記被締結部は、
前記フランジに沿って配置される板状に形成され、複数の前記締結具によって締結された
請求項1に記載の基礎構造物。
【請求項3】
隣り合う前記ライナープレートの前記フランジを跨いで配置された
請求項2に記載の基礎構造物。
【請求項4】
前記被締結部は、
隣り合う前記ライナープレートの前記フランジ同士の間に配置された
請求項2に記載の基礎構造物。
【請求項5】
地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、
前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、
前記筒状構造体に組み付けられた取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、
前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、
前記配筋工程において、
前記取付具は、被締結部が前記ライナープレートのフランジ同士を締結する締結具によって、周方向フランジとともに締結されて前記ライナープレートに固定され、前記被締結部より径内側に配置された鉄筋保持部が周方向フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持し、
前記ライナープレートの内側において、前記周方向の少なくとも一部に沿うとともに、前記軸方向鉄筋を保持する段取り筋である保持材を設け、
前記鉄筋保持部は、
前記保持材が固定され、前記保持材を介して前記軸方向鉄筋を保持し、
前記保持材は、円弧状に形成されるとともに、複数備えられ、周方向に沿って配置することで前記ライナープレートの内径より小径である円形状あるいは円弧状を構成する
基礎構造物の構築方法。
【請求項6】
前記構造体構築工程において、
前記ライナープレートの前記フランジとともに前記被締結部を前記締結具で締結する
請求項に記載の基礎構造物の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば地中にライナープレートを高さ方向に組み付けて構成した筒状構造体の内部に複数の鉄筋を配設し、コンクリートを打設して構築する基礎杭などの基礎構造物及び基礎構造物の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、地盤を掘削した掘削孔にライナープレートを組み付けて構成した筒状構造体を構築するとともに、構築した筒状構造体の内部に複数の鉄筋を配筋したのち、筒状構造体の内部にコンクリートを打設して基礎杭などの基礎構造物を構築する深礎工法がある。
【0003】
具体的には、掘削孔の孔底部を掘削するとともに、ライナープレートを環状に組み付けて掘削孔の孔壁を保護することを所定深さまで繰り返して立坑を構築したのち、コンクリートを打設して基礎構造物を構築する工法であり、特許文献1に記載の工法もそのひとつである。
【0004】
ところで、上述の深礎工法では、例えば、特許文献1で示すように、筒状構造体の内部に、周方向に所定間隔を隔てて配置した、深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋(主筋ともいう)と、深さ方向に所定間隔を隔てて複数の軸方向鉄筋に巻き付けるフープ筋(帯筋ともいう)とをコンクリートの打設前に配筋することで、所望の強度を有する鉄筋コンクリート製の基礎構造物を構築している。
【0005】
しかしながら、筒状構造体で囲まれた孔内において、長尺状の軸方向鉄筋を周方向に所定間隔を隔てて複数本配置し、その外径側に円形となるフープ筋を深さ方向に所定間隔を隔てて配置するとともに、軸方向鉄筋と結束して一体化する配筋作業、配筋に要する工数が多くなり現場作業員の負担が増加するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2009-114649公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑み、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体と、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋と、前記筒状構造体に組み付けられるとともに、前記軸方向鉄筋が取り付けられる取付具と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって形成された内側本体部とが備えられ、前記取付具は、前記ライナープレートのフランジ同士を締結する締結具によって、周方向フランジとともに締結され、前記ライナープレートに固定される被締結部と、前記被締結部より径内側に配置され、前記周方向フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられ、前記ライナープレートの内側において、前記周方向の少なくとも一部に沿うとともに、前記軸方向鉄筋を保持する段取り筋である保持材が設けられ、前記鉄筋保持部は、前記保持材が固定され、前記保持材を介して前記軸方向鉄筋を保持する構成であり、前記保持材は、円弧状に形成されるとともに、複数備えられ、周方向に沿って配置することで前記ライナープレートの内径より小径である円形状あるいは円弧状を構成することを特徴とする。
【0009】
またこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋が複数配筋され、前記筒状構造体の内側に打設した固化材が硬化して内側本体部が形成されて構築される基礎構造物を構成する前記筒状構造体における前記ライナープレートのフランジ同士を締結する締結具によって、前記フランジとともに締結され、前記ライナープレートに固定される被締結部と、前記被締結部より径内側に配置され、前記フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持する鉄筋保持部とが設けられた取付具であることを特徴とする。
【0010】
上記筒状構造体は、深さ方向において、ライナープレート同士の周方向の連結位置が一致しないように周方向にずらして組み付けた筒状構造体、あるいはライナープレート同士の周方向の連結位置が一致するように組み付けた筒状構造体、さらには、これらを組み合わせた筒状構造体のことをいう。なお、筒状構造体は、平面視円形状はもちろん、平面視楕円状、平面視小判状、さらには平面視多角形状の構造体を含む。
上記ライナープレートのフランジは、深さ方向、つまり軸方向鉄筋の延出方向と略一致する軸方向フランジと、周方向に延びる周方向フランジとがある。
【0011】
上記鉄筋保持部は、軸方向鉄筋を直接保持する構成及び、別部材を介して間接的に軸方向鉄筋を保持する構成を含む。また、上記鉄筋保持部は、深さ方向に貫通した貫通孔を有する鉄筋保持部、つまり軸方向鉄筋を挿通可能な保持部、あるいは例えば、線材を湾曲して形成した保持部、つまり挿通することなく装着可能な保持部などのことをいう。
【0012】
前記保持材は、いわゆる段取り筋などと呼ばれ、基礎構造物の強度に影響を与える軸方向鉄筋のような構造鉄筋とは異なり、構造鉄筋を所定の位置に配筋するために用いられる鉄筋であってもよいし、いわゆるフープ筋を用いてもよいし、内側本体部に内包されて構造に影響のない鋼材等で構成してもよい。
また、前記周方向の少なくとも一部に沿う前記保持材は、前記筒状を形成する前記ライナープレートの内面より小径の円弧状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0013】
この発明により、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物を構築することができる。
詳述すると、取付具が被締結部によってライナープレートのフランジとともに締結されて、前記ライナープレートに組み付けられるため、所望される数量の軸方向鉄筋を筒状構造体における周方向の所定の位置に取付具を介して連結することができる。
【0014】
この際、取付具の鉄筋保持部がフランジに近接する位置で軸方向鉄筋を保持するため、取付具は、ライナープレートのフランジに対して軸方向鉄筋を規制することができる。
これにより、基礎構造物は、筒状構造体を軸方向鉄筋に巻き付けるフープ筋として機能させることができる。このため、基礎構造物は、深さ方向に所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができる。
【0015】
よって、基礎構造物及び取付具は、配筋に要する工数を低減できるため、耐震強度や耐久性を損なうことなく、つまり所望の強度を確保できる基礎構造物を構築する深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0016】
また、前記ライナープレートの内側において、前記周方向の少なくとも一部に沿うとともに、前記軸方向鉄筋を保持する保持材が設けられ、前記鉄筋保持部は、前記保持材が固定され、前記保持材を介して前記軸方向鉄筋を保持する構成であるため、軸方向鉄筋を周方向における所定の位置に配筋することができる。
【0017】
詳述すると、前記被締結部の径内側に配置された鉄筋保持部で前記軸方向鉄筋を直接保持する場合、周方向に所定間隔を隔てて配置された前記締結具で前記被締結部が締結されるため、前記鉄筋保持部で直接保持する前記軸方向鉄筋の周方向の位置が前記締結具の位置によって制限される。
【0018】
これに対し、前記周方向の少なくとも一部に沿う前記保持材を前記鉄筋保持部で保持し、前記鉄筋保持部に固定された前記保持材に前記軸方向鉄筋を結束等して保持するため、前記締結具の周方向の位置によらず、軸方向鉄筋を周方向における所定の位置に配筋することができる。
【0019】
この発明の態様として、前記被締結部は、前記フランジに沿って配置される板状に形成され、複数の前記締結具によって締結されてもよい。
この発明により、より安定して取付具を前記ライナープレートに固定することができる。詳しくは、1本の前記締結具によって前記フランジととともに締結された場合、前記被締結部より径内側に配置される前記鉄筋保持部の向きが規制しにくくなるが、複数本の前記締結具によって締結されることで、前記鉄筋保持部の向きを規制しながら確実に前記取付具を前記ライナープレートに固定することができる。
【0020】
またこの発明の態様として、隣り合う前記ライナープレートのフランジを跨いで配置されてもよい。
この発明により、隣り合う前記ライナープレートのフランジの径内側に前記軸方向鉄筋を配置することができ、汎用性を向上することができる。
【0021】
また、周方向に隣り合う前記ライナープレートのフランジを跨いで前記被締結部が配置される場合、周方向に組み付ける前記ライナープレート同士の間の形状保持性を向上することができる。詳述すると、周方向に前記ライナープレートを組み付けて筒状を形成するが、周方向に隣り合い、前記フランジ同士を締結具で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性が他の部分より低くなる。しかしながら、周方向に隣り合う前記ライナープレートのフランジを跨いで前記被締結部を配置し、締結具で前記フランジととも締結することで、前記フランジ同士を締結具で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性を向上することができる。特に、高さ方向に隣り合う前記ライナープレートの周方向の継ぎ目部分の位置を一致させた、いわゆるイモ継ぎで前記ライナープレートが組付けられた場合、周方向の継ぎ目部分の形状保持性は、高さ方向に隣り合う前記ライナープレートの周方向の継ぎ目部分の位置を異なるように組み付けた場合に比べて低くなるが、周方向に隣り合う前記ライナープレートのフランジを跨いで前記被締結部を配置し、締結具で前記フランジととも締結することで、前記フランジ同士を締結具で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性を向上することができる。
【0022】
またこの発明の態様として、前記被締結部は、隣り合う前記ライナープレートのフランジ同士の間に配置されてもよい。
この発明により、隣り合う前記ライナープレートの前記フランジによって挟み込まれるため、より安定した取付状態を実現することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記鉄筋保持部は、前記軸方向鉄筋の前記周方向への移動を規制する周方向規制部が設けられ、前記周方向規制部による前記周方向の規制間隔が前記軸方向鉄筋の直径より広く設定されてもよい。
【0024】
この発明により、軸方向鉄筋を周方向における所定の位置に配筋することができる。
詳述すると、前記被締結部の径内側に配置された鉄筋保持部で前記軸方向鉄筋を直接保持する場合であっても、前記軸方向鉄筋の前記周方向への移動を規制する周方向規制部による前記周方向の規制間隔が前記軸方向鉄筋の直径より広く設定されているため、前記締結具の周方向の位置によらず、軸方向鉄筋を周方向における所定の位置に配筋することができる。
【0025】
さらにまたこの発明は、地盤を掘削して形成した掘削孔に構築される基礎構造物の構築方法であって、前記掘削孔の壁面に沿ってライナープレートを周方向及び深さ方向に配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体を構築する構造体構築工程と、前記筒状構造体に組み付けられた取付具に、前記筒状構造体の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、前記深さ方向に延びる長尺状の軸方向鉄筋をそれぞれ取り付ける配筋工程と、前記筒状構造体の内側に打設した固化材の硬化によって内側本体部を形成する打設工程とを行い、前記配筋工程において、前記取付具は、被締結部が前記ライナープレートのフランジ同士を締結する締結具によって、周方向フランジとともに締結されて前記ライナープレートに固定され、前記被締結部より径内側に配置された鉄筋保持部が周方向フランジに近接する位置で前記軸方向鉄筋を保持し、前記ライナープレートの内側において、前記周方向の少なくとも一部に沿うとともに、前記軸方向鉄筋を保持する段取り筋である保持材が設けられ、前記鉄筋保持部は、前記保持材が固定され、前記保持材を介して前記軸方向鉄筋を保持し、前記保持材は、円弧状に形成されるとともに、複数備えられ、周方向に沿って配置することで前記ライナープレートの内径より小径である円形状あるいは円弧状を構成することを特徴とする。
【0026】
この発明により、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物を構築することができる。
詳述すると、取付具が被締結部によってライナープレートのフランジとともに締結されて、前記ライナープレートに組み付けられるため、所望される数量の軸方向鉄筋を筒状構造体における周方向の所定の位置に取付具を介して連結することができる。
【0027】
この際、取付具の鉄筋保持部がフランジに近接する位置で軸方向鉄筋を保持するため、取付具は、ライナープレートのフランジに対して軸方向鉄筋を規制することができる。
これにより、基礎構造物は、筒状構造体を軸方向鉄筋に巻き付けるフープ筋として機能させることができる。このため、基礎構造物は、深さ方向に所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができる。
【0028】
よって、基礎構造物の構築方法は、配筋に要する工数を低減できるため、耐震強度や耐久性を損なうことなく、つまり所望の強度を確保できる基礎構造物を構築する深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記構造体構築工程において、前記ライナープレートの前記フランジとともに前記被締結部を前記締結具で締結してもよい。
この発明により、ライナープレートを深さ方向に組み付ける過程で取付具をフランジとともに締結されて組み付け可能なため、筒状構造体の構築と取付具の組付けとを効率よく行うことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明により、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態の取付具を装着した基礎杭の概略斜視図。
図2】第1実施形態の取付具を用いる基礎杭の一部分解斜視図。
図3】第1実施形態の取付具を装着した基礎杭の説明図。
図4】ライナープレートへの第1実施形態の取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
図5】第2実施形態の取付具を装着した基礎杭の説明図。
図6】第3実施形態の取付具を装着した基礎杭の説明図。
図7】第4実施形態の取付具を装着した基礎杭の説明図。
図8】ライナープレートへの第4実施形態の取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
図9】第5実施形態の取付具を装着した基礎杭の説明図。
図10】ライナープレートへの第5実施形態の取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
図11】ライナープレートへの第6実施形態の取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
図12】ライナープレートへの第7実施形態の取付具及び軸方向鉄筋の取付状態の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
(第1実施形態)
以下において、図1乃至図4とともに第1実施形態の取付具10及び取付具10を用いた基礎杭1について説明する。
【0033】
詳述すると、図1は第1実施形態の取付具10を装着した基礎杭1の概略斜視図を示し、図2は第1実施形態の取付具10を用いる基礎杭1の一部分解斜視図を示し、図3は第1実施形態の取付具10を装着した基礎杭1の説明図を示し、図4はライナープレート110への第1実施形態の取付具10及び軸方向鉄筋2の取付状態の概略側面図を示している。詳しくは、図3(a)は第1実施形態の取付具10を装着した基礎杭1の平面図を示し、図3(b)は図3(a)のa部拡大図を示している。
【0034】
なお、図1においてライナープレート110で構成する筒状構造体100及び基礎杭1の手前側を透過状態で図示するとともに、手前側の軸方向鉄筋2の図示を省略している。また、図1図4においてコンクリート本体3の図示を省略している。
また、図4では、基礎杭1を構成する筒状構造体100並びに軸方向鉄筋2の高さ方向の一部分の拡大図を示している。
【0035】
ここで、取付具10を筒状構造体100に取り付けた状態における筒状構造体100の深さ方向を高さ方向Hとし、筒状構造体100の平面視中心に対する径方向を径方向Dとし、筒状構造体100の周方向を周方向Rとしている。そして、高さ方向Hの上側を上方側Huとし、下側を下方側Hdとしている。さらに、径方向Dのうち径外側に向かう側を径方向外側Doとし、径方向Dのうち径内側に向かう側を径方向内側Diとしている。なお、取付具10の単体の説明においても、筒状構造体100に取り付けた状態を想定して、上述の方向を用いて説明している。また、以下、図2乃至図12においても同様とする。
【0036】
この発明の取付具10を用いて構築する基礎杭1は、地盤200に形成した掘削孔201に構築される基礎構造物であり、ライナープレート110で構成する筒状構造体100と、筒状構造体100の内面に沿って配筋される軸方向鉄筋2と、筒状構造体100の内部に打設されたコンクリート本体3とで構成される。
【0037】
具体的には、地盤200を円形状に掘削し、掘削孔の壁面に沿ってライナープレート110を周方向に配列してリング状に形成する。そして、さらに地盤200を掘削し、リング状に組付けた既設のライナープレート110の下方に対して、さらに、地盤200を周方向に配列してリング状に形成するとともに、既設のライナープレート110と組付ける。これを繰り返して所定の深さの掘削孔201を構成するとともに、掘削孔201の内部に、ライナープレート110を周方向及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体100が構成される(構造体構築工程)。なお、地盤200の掘削は、機械での掘削であってもよいし、人力掘削であってもよい。
【0038】
このように、所定の深さの掘削孔201の内面に沿って構成された筒状構造体100の内周面に沿って、高さ方向Hに延びる軸方向鉄筋2を、所定間隔を隔てて後述する取付具10で取り付けて配筋するとともに(配筋工程)、筒状構造体100の内部に生コンクリートを打設して(打設工程)コンクリート本体3を構成し、鉄筋コンクリート製の基礎杭1を構築するものである。
【0039】
続いて、筒状構造体100を構成するライナープレート110について説明する。
ライナープレート110は、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺に組立用のフランジ111(112,113)を設けている。フランジ111には、組付け用の組付ボルト120を挿通するボルト孔114を、所定間隔を隔てて複数設けている。
【0040】
なお、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺に設けられた組立用のフランジ111のうち、高さ方向Hに沿うフランジを軸方向フランジ112といい、円弧状に沿う、つまり周方向に沿うフランジを周方向フランジ113という。
【0041】
このように、波付けされた平面視円弧状の薄鋼板の四辺にフランジ111が設けられたライナープレート110は、周方向Rに複数配列して平面視リング状を構成するが、周方向Rに隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112同士を重ね合わせ、ボルト孔114に組付ボルト120で締結して一体化している。
【0042】
また、上述するように、高さ方向Hに配列し、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を重ね合わせ、ボルト孔114に組付ボルト120で締結して一体化している。このとき、取付具10は取り付けられるが、その詳細については後述する。
【0043】
このように構成したライナープレート110を組み付けて構成した筒状構造体100の内周面に沿って所定間隔を隔てて複数配置する軸方向鉄筋2は、いわゆる異形鉄筋であり、基礎杭1の要求性能に応じた径及び本数で配筋される。
【0044】
本発明の取付具10は、周方向Rに所定間隔を隔てて配置する複数の軸方向鉄筋2を、筒状構造体100の内周面に沿って配置するための治具である。
換言すると、取付具10は、筒状構造体100を構成するライナープレート110に対して、所定の位置に軸方向鉄筋2を取り付けるための治具である。
【0045】
具体的には、取付具10は、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を締結する組付ボルト120によって、周方向フランジ113とともに締結されて、ライナープレート110に対して取り付けられる。
【0046】
そして、取付具10は、平面視円弧帯状に形成された板状であり、径方向外側Doに配置され、ライナープレート110に固定される被締結部20と、被締結部20より径方向内側Diに配置され、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とを備えている。
【0047】
被締結部20は、周方向フランジ113と同形状で形成され、周方向フランジ113に設けたボルト孔114と略同径で貫通し、ボルト孔114と同じ場所に設けられたボルト孔21を備えている。
鉄筋保持部30は、被締結部20の径方向内側Diに配置され、所定の間隔で配置される軸方向鉄筋2を挿通するための、高さ方向Hに貫通する鉄筋孔31を備えている。鉄筋孔31は、軸方向鉄筋2の外径よりひと回り大きな径で形成され、所定の間隔で配置される軸方向鉄筋2の間隔に応じて、周方向Rに所定間隔を隔てて、軸方向鉄筋2の本数に応じた数で設けられている。
【0048】
このように構成された被締結部20と鉄筋保持部30とを有する取付具10は、ライナープレート110の周方向フランジ113より径方向Dにおいて幅広に形成されるため、径方向外側Doを周方向フランジ113と揃えて重ねると、鉄筋保持部30が、周方向フランジ113より径方向内側Diに突出するように構成される。
【0049】
なお、平面視円弧帯状に形成された取付具10は、複数設けられ、これらを合わせると、円筒状の筒状構造体100と同径の外径を有する円形状を形成することができる。
また、本実施形態において平面視円弧帯状に形成された取付具10は、ライナープレート110と弧長を揃えて形成しているが、異なる弧長で形成してもよい。
【0050】
このように構成した取付具10は、図2に示すように、高さ方向Hに隣り合って組付けられるライナープレート110の周方向フランジ113同士の間に配置されて筒状構造体100に取り付けられる。
具体的には、既に組付けられリング状を形成するライナープレート110の下方にさらにライナープレート110を組み付ける際に、既に組付けたライナープレート110の下方側Hdの周方向フランジ113と、これから組み付けるライナープレート110の上方側Huの周方向フランジ113との間に、被締結部20を配置する。
【0051】
このとき、周方向フランジ113のボルト孔114と被締結部20のボルト孔21とを高さ方向Hに連通させ、既に組付けたライナープレート110の下方側Hdの周方向フランジ113、取付具10の被締結部20、およびこれから組み付けるライナープレート110の上方側Huの周方向フランジ113をこの順で配置する。そして、高さ方向Hに連通する周方向フランジ113のボルト孔114及び被締結部20のボルト孔21に組付ボルト120を挿通して締結し、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の組み付けと取付具10の取付けとが行われる。
【0052】
そして、上述するように、高さ方向Hに隣り合って組付けられるライナープレート110の周方向フランジ113同士の間に配置され、筒状構造体100に取り付けられた取付具10の鉄筋保持部30は、ライナープレート110の周方向フランジ113より径方向内側Diに突出する。そして、ライナープレート110の周方向フランジ113より径方向内側Diに突出する鉄筋保持部30の鉄筋孔31に軸方向鉄筋2を高さ方向Hに挿通することで、取付具10は、筒状構造体100を構成するライナープレート110の周方向フランジ113の近傍の所定位置に軸方向鉄筋2を保持することができる。
【0053】
上述したように、地盤200を掘削して形成した掘削孔201に構築される基礎杭1は、掘削孔201の壁面に沿ってライナープレート110を周方向R及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて構成された筒状構造体100と、筒状構造体100の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、高さ方向Hに延びる長尺状の軸方向鉄筋2と、筒状構造体100に組み付けられるとともに、軸方向鉄筋2が取り付けられる取付具10と、筒状構造体100の内側に打設した固化材の硬化によって形成されたコンクリート本体3とが備えられ、取付具10は、隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を締結する組付ボルト120によって、周方向フランジ113とともに締結され、ライナープレート110に固定される被締結部20と、被締結部20より径方向内側Diに配置され、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられている。
【0054】
さらにまた、地盤200を掘削して形成した掘削孔201に構築される基礎杭1の構築方法において、掘削孔201の壁面に沿ってライナープレート110を周方向R及び高さ方向Hに配列するとともに、互いに組付けて筒状構造体100を構築する構造体構築工程と、筒状構造体100に組み付けられた取付具10に、筒状構造体100の内部に沿って所定間隔を隔てて複数配筋され、高さ方向Hに延びる長尺状の軸方向鉄筋2をそれぞれ取り付ける配筋工程と、筒状構造体100の内側に打設した固化材の硬化によってコンクリート本体3を形成する打設工程とを行い、配筋工程において、取付具10は、被締結部20が隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を締結する組付ボルト120によって、周方向フランジ113とともに締結されてライナープレート110に固定され、被締結部20より径方向内側Diに配置された鉄筋保持部30が周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する。
【0055】
そのため、深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎杭1を構築することができる。
詳述すると、取付具10が被締結部20によってライナープレート110の周方向フランジ113とともに締結されて、ライナープレート110に組み付けられるため、所望される数量の軸方向鉄筋2を筒状構造体100における周方向Rの所定の位置に取付具10を介して連結することができる。
【0056】
この際、取付具10の鉄筋保持部30が周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持するため、取付具10は、ライナープレート110の周方向フランジ113に対して軸方向鉄筋2を規制することができる。
これにより、基礎杭1は、筒状構造体100を軸方向鉄筋2に巻き付けるフープ筋として機能させることができる。このため、基礎杭1は、高さ方向Hに所定間隔を隔てて配筋するフープ筋を削減あるいは軽減することができる。
【0057】
よって、基礎杭1、及び基礎杭1の構築方法並びに取付具10は、配筋に要する工数を低減できるため、耐震強度や耐久性を損なうことなく、つまり所望の強度を確保できる基礎杭1を構築する深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減することができる。
【0058】
加えて、基礎杭1の構築方法は、ライナープレート110を高さ方向Hに組み付ける過程で取付具10を周方向フランジ113とともに締結されて組み付け可能なため、筒状構造体100の構築と取付具10の組付けとを効率よく行うことができる。
【0059】
また、被締結部20は、周方向フランジ113に沿って配置される板状に形成され、複数の組付ボルト120によって締結されているため、より安定して取付具10をライナープレート110に固定することができる。
【0060】
詳しくは、1本の組付ボルト120によって周方向フランジ113ととともに締結された場合、被締結部20より径方向内側Diに配置される鉄筋保持部30の向きが規制しにくくなるが、複数本の組付ボルト120によって締結されることで、鉄筋保持部30の向きを規制しながら確実に取付具10をライナープレート110に固定することができる。
【0061】
また、被締結部20は、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士の間に配置されているため、隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113によって挟み込まれ、より安定した取付状態を実現することができる。
【0062】
なお、周方向Rに隣り合うライナープレート110のジョイント箇所、つまり周方向Rに隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112同士が組付ボルト120によって締結される箇所と、平面視円弧帯状に形成した取付具10同士の間とを、周方向Rにおいて同じ位置に設定してもよいが、異なる箇所に設定するとより好ましい。
【0063】
このように、隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113を跨いで配置されることで、隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113の径方向内側Diに軸方向鉄筋2を配置することができ、汎用性を向上することができる。
【0064】
また、周方向Rに隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112を跨いで被締結部20が配置される場合、周方向Rに組み付けるライナープレート110同士の間の形状保持性を向上することができる。詳述すると、周方向Rにライナープレート110を組み付けて筒状を形成するが、周方向Rに隣り合い、軸方向フランジ112同士を組付ボルト120で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性が他の部分より低くなる。しかしながら、周方向Rに隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112を跨いで被締結部20を配置し、組付ボルト120で周方向フランジ113ととも締結することで、軸方向フランジ112同士を組付ボルト120で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性を向上することができる。
【0065】
特に、高さ方向Hに隣り合うライナープレート110の周方向Rの継ぎ目部分の位置を一致させた、いわゆるイモ継ぎでライナープレート110が組付けられた場合、周方向Rの継ぎ目部分の形状保持性は、高さ方向に隣り合うライナープレート110の周方向Rの継ぎ目部分の位置を異なるように組み付けた場合に比べて低くなるが、周方向Rに隣り合うライナープレート110の軸方向フランジ112を跨いで被締結部20を配置し、組付ボルト120で周方向フランジ113ととも締結することで、軸方向フランジ112同士を組付ボルト120で締結する継ぎ目部分は筒状の形状保持性を向上することができる。
【0066】
(第2実施形態)
上述の取付具10は、軸方向鉄筋2の本数に応じて数の鉄筋孔31を周方向Rに所定間隔を隔てて鉄筋保持部30に設けたが、基礎杭1の強度に応じて、軸方向鉄筋2を複数本ずつ周方向Rに所定間隔を隔てて配置する場合、複数の鉄筋孔31を並べ、周方向Rに所定間隔を隔てて配置してもよい。
【0067】
以下において、図5とともに、第2実施形態の取付具10aについて説明する。
なお、図5は第2実施形態の取付具10aを装着した基礎杭1の説明図を示している。詳しくは、図5(a)は第2実施形態の取付具10aを装着した基礎杭1の平面図を示し、図5(b)は図5(a)のb部拡大図を示している。図5においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0068】
第2実施形態の取付具10aは、軸方向鉄筋2の外径よりひと回り大きな径で形成された2つの鉄筋孔31を周方向Rに隣接して設けるとともに、所定の間隔で配置される軸方向鉄筋2の間隔に応じて、周方向Rに所定間隔を隔てて、軸方向鉄筋2の本数に応じた数で設けられている。
【0069】
このように構成した取付具10aは、上述の取付具10と同様に、筒状構造体100に取り付けられ、周方向Rに隣接した軸方向鉄筋2つの鉄筋孔31のそれぞれに軸方向鉄筋2を挿通することで、筒状構造体100を構成するライナープレート110の周方向フランジ113の近傍の所定位置に軸方向鉄筋2を2本ずつ保持することができる。したがって、取付具10aを備えた基礎杭1は、取付具10を備えた基礎杭1と同様の作用・効果を奏することができる。
なお、鉄筋孔31の数は2つに限らず、基礎杭1の強度に応じて要する軸方向鉄筋2の数に対応して設ければよい。
【0070】
(第3実施形態)
以下において、図6とともに、第3実施形態の取付具10bについて説明する。
なお、図6は第3実施形態の取付具10bを装着した基礎杭1の説明図を示している。詳しくは、図6(a)は第3実施形態の取付具10bを装着した基礎杭1の平面図を示し、図6(b)は図6(a)のc部拡大図を示している。図6においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0071】
上述の取付具10及び取付具10aは、被締結部20と鉄筋保持部30とを備えるとともに、鉄筋保持部30に軸方向鉄筋2を挿通する鉄筋孔31を設け、鉄筋孔31に対して高さ方向Hに軸方向鉄筋2を挿通して保持した。
これに対し、平面視略逆Lに貫通する孔ではなく、図6に示すように、平面視略逆L字状の保持溝32を設けてもよい。
【0072】
詳しくは、保持溝32は、径方向内側Diが開放された径方向Dに沿う、径方向溝321と、径方向溝321の径方向外側Doの端部から周方向Rの一方に延びる周方向溝322とで平面視略逆L字状を形成している。
【0073】
径方向溝321と周方向溝322とは、軸方向鉄筋2の直径よりひと周り大きな溝幅で形成されている、周方向溝322は、軸方向鉄筋2の直径より周方向Rの長さを長く形成している。そのため、径方向溝321の径方向内側Diから軸方向鉄筋2を挿入し、周方向溝322を周方向Rに移動させることで、周方向Rにおける所定の位置に軸方向鉄筋2を配置することができる。
【0074】
なお、円弧帯状の鉄筋保持部30における周方向溝322の径方向内側Diの部分は、保持溝32における周方向溝322の所定の位置に配置した軸方向鉄筋2が径方向内側Diに移動することを規制する径内側規制部331と機能し、周方向溝322の周方向Rの両側が、軸方向鉄筋2が所定範囲を超えて周方向Rに移動することを規制する周方向規制部332と機能する。
【0075】
上述したように、周方向規制部332は、軸方向鉄筋2の直径より長く形成された周方向溝322の両側に配置され、つまり周方向規制部332は、軸方向鉄筋2の直径より長い間隔を隔てて配置されている。
【0076】
なお、このように構成した取付具10bは、上述の取付具10と同様に、筒状構造体100に取り付けられ、鉄筋孔31の径方向溝321より径方向外側Doに移動させて、周方向溝322における所望の位置で軸方向鉄筋2を保持することができる。したがって、取付具10bを備えた基礎杭1は、取付具10を備えた基礎杭1と同様の作用・効果に加え、周方向溝322における所望の位置で軸方向鉄筋2を保持できるとともに、周方向溝322における所望の位置から径方向内側Di、及び周方向溝322を超えて周方向Rに移動することを規制することができるという作用・効果を奏することができる。
【0077】
さらに、基礎杭1に有する取付具10bの鉄筋保持部30は、軸方向鉄筋2の周方向Rへの移動を規制する周方向規制部332が設けられ、周方向規制部332による周方向Rの規制間隔が軸方向鉄筋2の直径より広く設定されているため、軸方向鉄筋2を周方向Rにおける所定の位置に配筋することができる。
【0078】
詳述すると、被締結部20の径方向内側Diに配置された鉄筋保持部30で軸方向鉄筋2を直接保持する場合であっても、軸方向鉄筋2の周方向Rへの移動を規制する周方向規制部332による周方向Rの規制間隔が軸方向鉄筋2の直径より広く設定されているため、組付ボルト120の周方向Rの位置によらず、軸方向鉄筋2を周方向Rにおける所定の位置に配筋することができるという第3実施形態の主たる作用・効果を奏することができる。
【0079】
なお、保持溝32を、径方向内側Diが開放された径方向Dに沿う、径方向溝321と、径方向溝321の径方向外側Doの端部から周方向Rの一方に延びる周方向溝322とで平面視略逆L字状を形成したが、径方向溝321に対して周方向溝322が周方向Rの両側に延びるように形成して、平面視略逆T字状に形成してもよい。その場合であっても、上述の平面視略逆L字状に形成した保持溝32を有する取付具10bを設けた基礎杭1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0080】
(第4実施形態)
上述の第1実施形態の取付具10、第2実施形態の取付具10a及び第3実施形態の取付具10bは、被締結部20と鉄筋保持部30とで構成するとともに、鉄筋保持部30に複数設けた鉄筋孔31で軸方向鉄筋2をそれぞれ保持する構成であった。これに対し、第4実施形態の取付具10cは、図7及び図8に図示するように、軸方向鉄筋2を一本ずつ鉄筋保持部30cで保持するように構成している。
【0081】
具体的には、円弧帯状の被締結部20と鉄筋保持部30とで構成した取付具10,10a,10bと異なり、取付具10cはひとつのボルト孔21を有する平面視略正方向形状の被締結部20cと、被締結部20cの径方向内側Diに配置された周方向Rに長い平面視略長方形状の鉄筋保持部30cとで平面視略逆T字状に形成されている。
【0082】
さらに、取付具10cの鉄筋保持部30cには、周方向Rに長い鉄筋孔31cを設けている。
鉄筋孔31cとは、軸方向鉄筋2の直径よりひと周り大きな溝幅、且つ、軸方向鉄筋2の直径より周方向Rの長さを長く形成している。そのため、鉄筋孔31cの内部において、周方向Rにおける所定の位置に軸方向鉄筋2を配置することができる。
【0083】
このように構成された取付具10cは、周方向に所定間隔を隔てて配置するように複数設け、既に組付けられたライナープレート110の下方側Hdと、その下方に配置し、これから組み付けるライナープレート110の上方側Huとの、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の上方側Hu、あるいは下方側Hdに積層して組付ボルト120で締結して、取付具10cを筒状構造体100に取り付ける。なお、本実施形態においては、上方側Huの周方向フランジ113のさらに上方側Huに被締結部20cを積層して組付ボルト120で締結している。
【0084】
そして、筒状構造体100に取り付けられた取付具10cの鉄筋保持部30cの鉄筋孔31cに軸方向鉄筋2を高さ方向Hから挿通し、周方向Rに長く形成した鉄筋孔31cにおいて軸方向鉄筋2を周方向Rの所定の位置に配置する。このとき、鉄筋保持部30cに対する軸方向鉄筋2の位置を結束や溶接等で固定するとより好ましい。したがって、取付具10cによって筒状構造体100に対して軸方向鉄筋2を所定の位置に配置することができる。
【0085】
なお、鉄筋保持部30cにおいて鉄筋孔31cの径方向内側Diの部分は、鉄筋孔31cの所定の位置に配置した軸方向鉄筋2が径方向内側Diに移動することを規制する径内側規制部331cと機能し、鉄筋孔31cの周方向Rの両側が、軸方向鉄筋2が所定範囲を超えて周方向Rに移動することを規制する周方向規制部332cと機能する。
【0086】
上述したように、周方向規制部332cは、軸方向鉄筋2の直径より長く形成された鉄筋孔31cの両側に配置され、つまり周方向規制部332cは、軸方向鉄筋2の直径より長い間隔を隔てて配置されている。
【0087】
このよう構成した取付具10cを有する基礎杭1は、上述の取付具10と同様の作用・効果を奏するとともに、第3実施形態の取付具10bを有する基礎杭1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0088】
なお、取付具10cは、取付具10などと同様に、既設のライナープレート110の周方向フランジ113と、これから組み付けるライナープレート110の周方向フランジ113との間に被締結部20cを配置し、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結してもよい。
【0089】
また、取付具10cにおける鉄筋保持部30cの鉄筋孔31cは、軸方向鉄筋2の直径より周方向Rの長さを長く形成しているため、ひとつの取付具10cに対して複数の軸方向鉄筋2を保持する、つまりひとつの取付具10cの鉄筋孔31cに複数本の軸方向鉄筋2を挿通して保持するようにしてもよい。
【0090】
(第5実施形態)
以下において、図9及び図10とともに、第5実施形態の取付具10dについて説明する。
なお、図9は第5実施形態の取付具10dを装着した基礎杭1の説明図を示している。詳しくは、図9(a)は第5実施形態の取付具10dを装着した基礎杭1の平面図を示し、図9(b)は図9(a)のe部拡大図を示し、図10はライナープレート110への第5実施形態の取付具10d及び軸方向鉄筋2の取付状態の概略側面図を示している。図9及び図10においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0091】
上述の第1実施形態の取付具10、第2実施形態~第4実施形態の取付具10a~10cは、被締結部20,20cと鉄筋保持部30,30cとで構成するとともに、鉄筋保持部30,30cにおける鉄筋孔31,31cで軸方向鉄筋2を直接的に保持する構成であった。これに対し、第5実施形態の取付具10dは、図9及び図10に図示するように、軸方向鉄筋2を固定する固定鉄筋40を固定し、固定鉄筋40を鉄筋保持部30dで保持するように構成している。
【0092】
具体的には、円弧帯状の被締結部20,20cと鉄筋保持部30,30cとで構成した取付具10,10a~10cと異なり、取付具10dはひとつのボルト孔21を有する平面視略正方向形状の被締結部20cと、被締結部20cの径方向内側Diに配置された平面視略正方形状の鉄筋保持部30dとで径方向Dに長い平面視略長方形状に形成されている。
【0093】
さらに、取付具10dの鉄筋保持部30dには、軸方向鉄筋2を固定する円弧状の固定鉄筋40を保持している。固定鉄筋40は、軸方向鉄筋2より細径の異形鉄筋であり、円弧状に形成されている。固定鉄筋40は複数備えられ、周方向Rに沿って連結することで筒状構造体100の内径より小径である円形を構成することができる。
【0094】
このように構成された取付具10dは、周方向に所定間隔を隔てて配置するように複数設け、取付具10cと同様に、既に組付けられたライナープレート110の下方側Hdと、その下方に配置し、これから組み付けるライナープレート110の上方側Huとの、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の上方側Huに被締結部20cを配置し、被締結部20のボルト孔21と周方向フランジ113のボルト孔114とを高さ方向Hに連通させ、組付ボルト120で締結して、取付具10dを筒状構造体100に取り付ける。
【0095】
さらに、周方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に取り付けた取付具10dの鉄筋保持部30dの径方向内側Diの端部付近に、固定鉄筋40を配置して溶接等で固定して固定鉄筋40を取付具10dに取り付ける。
【0096】
このようにして、筒状構造体100に対して取付具10dを介して取り付けた固定鉄筋40は、筒状構造体100の内面付近において円形を形成しているため、円形状の固定鉄筋40に対して、軸方向鉄筋2を所定の位置に結束等して取り付ける。これにより、軸方向鉄筋2は固定鉄筋40を介して軸方向鉄筋2を保持することができる。したがって、固定鉄筋40を介して保持する取付具10dによって筒状構造体100に対して軸方向鉄筋2を所定の位置に配置することができる。
【0097】
このように、取付具10dは、周方向Rにおいて所定の間隔を隔てて配置された組付ボルト120に対して取り付けられるものの、取付具10dに保持された固定鉄筋40に軸方向鉄筋2を固定するため、つまり円形状の固定鉄筋40に対して軸方向鉄筋2を周方向Rの任意の位置に保持することができる。
【0098】
このよう構成した取付具10dを有する基礎杭1は、上述の取付具10と同様の作用・効果に加え、ライナープレート110の内側において、周方向Rに沿うとともに、軸方向鉄筋2を保持する固定鉄筋40が設けられ、鉄筋保持部30dは、固定鉄筋40が固定され、固定鉄筋40を介して軸方向鉄筋2を保持する構成であるため、軸方向鉄筋2を周方向Rにおける所定の位置に配筋することができる。
【0099】
詳述すると、被締結部20cの径方向内側Diに配置された鉄筋保持部30dで軸方向鉄筋2を直接保持する場合、周方向Rに所定間隔を隔てて配置された組付ボルト120で被締結部20cが締結されるため、鉄筋保持部30dで直接保持する軸方向鉄筋2の周方向Rの位置が組付ボルト120の位置によって制限される。
【0100】
これに対し、周方向Rに沿う固定鉄筋40を鉄筋保持部30dで保持し、鉄筋保持部30dに固定された固定鉄筋40に軸方向鉄筋2を結束等して保持するため、組付ボルト120の周方向Rの位置によらず、軸方向鉄筋2を周方向Rにおける所定の位置に配筋することができるという第5実施形態の取付具10dによる主たる作用・効果を奏することができる。
【0101】
また、固定鉄筋40は、軸方向鉄筋2の高さ方向Hの上方側Huと下方側Hdにあればよく、段取り筋であるため強度が低くても問題ない。具体的には、固定鉄筋40は、円周上に配置した複数の軸方向鉄筋2の外周側を拘束するフープ筋のような強度は要せず、軸方向鉄筋2を所定箇所に配置できれば、固定鉄筋40はフープ筋に比べて細くてもよく、高さ方向Hに配置する本数も少なくてもよい。また、固定鉄筋40は円形状を形成せずとも円弧状であってもよい。また、フープ筋と円形状の固定鉄筋40とを併用してもよい。
【0102】
なお、取付具10dは、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結できれば、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の下方側Hdに被締結部20cを積層して組付ボルト120で締結してもよいし、取付具10などと同様に、既設のライナープレート110の周方向フランジ113と、これから組み付けるライナープレート110の周方向フランジ113との間に被締結部20cを配置し、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結してもよい。
【0103】
(第6実施形態)
なお、上述の取付具10dは平板状の鉄筋保持部30dに固定鉄筋40を溶接等で保持するように構成したが、図11に示すように、鉄筋保持部30dの径方向内側Diに固定鉄筋40の径方向内側Diの移動を規制する縦壁34を備えてもよい。
【0104】
以下において、図11とともに、第6実施形態の取付具10eについて説明する。なお、図11はライナープレート110への第6実施形態の取付具10e及び軸方向鉄筋2の取付状態の概略側面図を示している。図11においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0105】
詳述すると、取付具10eは、上述したように、鉄筋保持部30dの径方向内側Diの端部から上方側Huに向かって突出する縦壁34を備えている。
縦壁34は、軸方向鉄筋2の直径より高さ方向Hの長さを長く形成している。
【0106】
このように構成した取付具10eは、取付具10dと同様に、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の上方側Huに被締結部20cを配置して組付ボルト120で周方向フランジ113とともに締結される。そして、取付具10eの鉄筋保持部30dにおける縦壁34の径方向外側Doに固定鉄筋40を配置することで、鉄筋保持部30dに固定鉄筋40を溶接等で固定しなくても、固定鉄筋40を保持でき、固定鉄筋40が不用意に、下方側Hdや径方向内側Diに移動することを防止することができる。
【0107】
このように構成した取付具10e及び固定鉄筋40を設けた基礎杭1は、上述の取付具10d及び固定鉄筋40を設けた基礎杭1と同様の作用・効果を奏することができる。
なお、取付具10eに対して固定鉄筋40を溶接等で固定しなくてもよいと記載したが、もちろん、取付具10eにおける鉄筋保持部30dや縦壁34に対して固定鉄筋40を溶接や結束等で固定してもよい。
【0108】
また、取付具10eは、取付具10dと同様に、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結できれば、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の下方側Hdに被締結部20cを積層して組付ボルト120で締結してもよいし、取付具10などと同様に、既設のライナープレート110の周方向フランジ113と、これから組み付けるライナープレート110の周方向フランジ113との間に被締結部20cを配置し、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結してもよい。
【0109】
(第7実施形態)
なお、上述の取付具10eは平板状の鉄筋保持部30dの径方向内側Diの端部に縦壁34を設け、縦壁34の径方向外側Doに固定鉄筋40を配置するように構成したが、図12に示すように、鉄筋保持部30dの径方向内側Diに固定鉄筋40の保持するクリップ35を備えてもよい。
【0110】
以下において、図12とともに、第7実施形態の取付具10fについて説明する。なお、図12はライナープレート110への第7実施形態の取付具10f及び軸方向鉄筋2の取付状態の概略側面図を示している。図12においてコンクリート本体3の図示を省略している。
【0111】
詳述すると、取付具10fは、上述したように、鉄筋保持部30dの径方向内側Diの端部に、上方側Huから固定鉄筋40を装着して、把持するクリップ35を備えている。
クリップ35は、上方側Huが開口し、軸方向鉄筋2の断面において外周のうち2/3程度を覆い、把持するバネ鋼で構成している。なお、クリップ35の開口側端部には、クリップ35の内部へ軸方向鉄筋2を案内する返し部36を設けている。
【0112】
このように構成した取付具10fは、取付具10dと同様に、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の上方側Huに被締結部20cを配置して組付ボルト120で周方向フランジ113とともに締結される。そして、取付具10fの鉄筋保持部30dにおけるクリップ35の内部に上方側Huの開口から内部に固定鉄筋40を装着することで、鉄筋保持部30dに固定鉄筋40を溶接等で固定しなくても、固定鉄筋40を保持することができる。もちろん、取付具10fの鉄筋保持部30dにおけるクリップ35で固定鉄筋40を保持した状態を溶接等で固定してもよい。
このように構成した取付具10f及び固定鉄筋40を設けた基礎杭1は、上述の取付具10d,10e及び固定鉄筋40を設けた基礎杭1と同様の作用・効果を奏することができる。
【0113】
また、取付具10fは、取付具10dと同様に、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結できれば、高さ方向Hに積層した周方向フランジ113の下方側Hdに被締結部20cを積層して組付ボルト120で締結してもよいし、取付具10などと同様に、既設のライナープレート110の周方向フランジ113と、これから組み付けるライナープレート110の周方向フランジ113との間に被締結部20cを配置し、周方向フランジ113とともに組付ボルト120で締結してもよい。
【0114】
以上、本発明の構成と、前述の実施態様との対応において、本発明の地盤は地盤200に対応し、
以下同様に、
掘削孔は掘削孔201に対応し、
基礎構造物は基礎杭1に対応し、
ライナープレートはライナープレート110に対応し、
周方向は周方向Rに対応し、
深さ方向は高さ方向Hに対応し、
筒状構造体は筒状構造体100に対応し、
軸方向鉄筋は軸方向鉄筋2に対応し、
取付具は取付具10,10a~10fに対応し、
内側本体部はコンクリート本体3に対応し、
フランジは周方向フランジ113に対応し、
締結具は組付ボルト120に対応し、
被締結部は被締結部20,20cに対応し、
径内側は径方向内側Diに対応し、
鉄筋保持部は鉄筋保持部30,30c,30dに対応し、
保持材は固定鉄筋40に対応し、
周方向規制部は周方向規制部332,332cに対応するも、上記実施形態に限定するものではない。
【0115】
また、上述の第6実施形態の取付具10eや第7実施形態の取付具10fについては高さ方向Hにおいて上下逆さまで装着してもよいし、第5実施形態の取付具10dにおける鉄筋保持部30dの下面に固定鉄筋40を固定してもよい。
さらには、筒状構造体100を平面視円形状に形成したが、例えば、平面視楕円状、平面視小判状、さらには平面視多角形状に形成されてもよい。
【0116】
また、上述の取付具10,10a~10fは、周方向フランジ113を締結する組付ボルト120で周方向フランジ113とともに被締結部20を締結して筒状構造体100に取り付けたが、軸方向フランジ112を締結する組付ボルト120で軸方向フランジ112とともに被締結部20を締結して筒状構造体100に取り付けてもよい。
【0117】
さらにまた、上述の筒状構造体100を構成するライナープレート110同士を高さ方向Hに組み付ける組付ボルト120を下方側Hdから上方側Huに向かって挿通させたが、その向きについて、上方側Huから下方側Hdに向かうように挿通させてもよい。
【符号の説明】
【0118】
1…基礎杭
2…軸方向鉄筋
3…コンクリート本体
10,10a~10f…取付具
20,20c…被締結部
30,30c,30d…鉄筋保持部
40…固定鉄筋
100…筒状構造体
110…ライナープレート
113…周方向フランジ
120…組付ボルト
200…地盤
201…掘削孔
332,332c…周方向規制部
Di…径方向内側
H…高さ方向
R…周方向

【要約】
【課題】深礎工法の作業現場における作業員の負担を軽減しながら所望の強度を確保できる基礎構造物、基礎構造物の構築方法、並びに取付具を提供する。
【解決手段】基礎杭1を構成する筒状構造体100において幅方向Rに隣り合うライナープレート110の周方向フランジ113同士を締結する組付ボルト120によって、周方向フランジ113とともに締結され、ライナープレート110に固定される被締結部20と、被締結部20より径方向内側Diに配置され、周方向フランジ113に近接する位置で軸方向鉄筋2を保持する鉄筋保持部30とが設けられた取付具10が、高さ方向H及び幅方向Rに所定間隔を隔てて筒状構造体100に組み付けられるとともに、軸方向鉄筋2が取り付けられる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12