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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-06
(45)【発行日】2025-08-15
(54)【発明の名称】ヒーターユニット及び暖房器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/44 20060101AFI20250807BHJP
【FI】
H05B3/44
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021149734
(22)【出願日】2021-09-14
(65)【公開番号】P2023042438
(43)【公開日】2023-03-27
【審査請求日】2024-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】503421519
【氏名又は名称】ユーレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127661
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 一彦
(72)【発明者】
【氏名】関塚 健一郎
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-023489(JP,A)
【文献】特開2017-106657(JP,A)
【文献】特開平11-087025(JP,A)
【文献】特開平04-028927(JP,A)
【文献】特表平10-513303(JP,A)
【文献】実開昭49-028239(JP,U)
【文献】特開2019-046630(JP,A)
【文献】実開平02-020017(JP,U)
【文献】特開2011-185555(JP,A)
【文献】米国特許第05802249(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02-3/18
H05B 3/40-3/82
F24D 13/02
F24H 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側及び下側にそれぞれ開口部を有する小筒が互いに隣接して複数配列されてなり、全体として略筒状をなす筒体と、
前記筒体の外側面に対し直接的又は間接的に接続された加熱手段と、を備え、
前記加熱手段で前記筒体を加熱することにより、前記小筒の内部において、前記下側の開口部から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を前記上側の開口部から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されており、
前記加熱手段を載置する加熱手段載置部を有すると共に、表側には複数のフィンが設けられ、且つ、裏側には前記筒体の前記外側面に接合される接合面が設けられた放熱板、を更に備え、
前記加熱手段は、前記加熱手段載置部に載置されており、
前記放熱板は、その前記接合面が前記筒体の前記外側面に密接するようにして配置されている、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項2】
請求項に記載のヒーターユニットにおいて、
前記加熱手段及び該加熱手段が載置された前記放熱板のセットを「放熱ユニット」としたときに、
前記放熱ユニットが、前記筒体の第1側の外側面と、前記第1側と反対側である第2側の外側面と、においてそれぞれ配置されている、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項3】
上側及び下側にそれぞれ開口部を有する小筒が互いに隣接して複数配列されてなり、全体として略筒状をなす筒体と、
前記筒体の外側面に対し直接的又は間接的に接続された加熱手段と、を備え、
前記加熱手段で前記筒体を加熱することにより、前記小筒の内部において、前記下側の開口部から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を前記上側の開口部から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されており
前記小筒には、上から見たときに内壁から前記小筒の中央領域に向かって突出した内部フィンが更に設けられている、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項4】
上側及び下側にそれぞれ開口部を有する小筒が互いに隣接して複数配列されてなり、全体として略筒状をなす筒体と、
前記筒体の外側面に対し直接的又は間接的に接続された加熱手段と、を備え、
前記加熱手段で前記筒体を加熱することにより、前記小筒の内部において、前記下側の開口部から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を前記上側の開口部から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されており
前記小筒は、共通仕様でなる中間部材からなり、
前記筒体の高さ寸法は、前記中間部材を所望の長さでカットすることにより規定された寸法をなしており、
前記筒体の幅寸法又は/及び奥行寸法は、前記中間部材を所望の個数で組み合わせることにより規定された寸法をなしている、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項5】
請求項に記載のヒーターユニットにおいて、
前記中間部材は4つの外側面を有する略四角筒であり、
前記4つの外側面のうち互いに平行な所定の面を第1面及び第2面としたときに、前記第1面には、隣接する別の前記中間部材の第2面と連結するための第1係合部が設けられ、前記第2面には、隣接する更に別の前記中間部材の第1面と連結するための第2係合部が設けられ、
一の中間部材の前記第1係合部と他の中間部材の前記第2係合部とが互いに係合することにより、一の中間部材の前記第1面と他の中間部材の前記第2面とが接合される、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項6】
上側及び下側にそれぞれ開口部を有する小筒が互いに隣接して複数配列されてなり、全体として略筒状をなす筒体と、
前記筒体の外側面に対し直接的又は間接的に接続された加熱手段と、を備え、
前記加熱手段で前記筒体を加熱することにより、前記小筒の内部において、前記下側の開口部から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を前記上側の開口部から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されており
前記小筒が略四角筒であるとき、
一の前記小筒には、4つの外側面のうち第1の方向を向いた面に第1係合部が設けられ、
別の前記小筒には、4つの外側面のうち第1の方向とは逆方向の第2の方向を向いた面に第2係合部が設けられ、
前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合して一の前記小筒と他の前記小筒とが連結されている、
ことを特徴とするヒーターユニット。
【請求項7】
請求項1~のいずれかに記載の前記ヒーターユニットと、
前記ヒーターユニットの前記加熱手段と電気的に接続され、前記ヒーターユニットの動作を制御するコントローラと、
前記ヒーターユニットの少なくとも一部を覆う筐体と、
を備えた暖房器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒーターユニット及び暖房器具に関する。
【背景技術】
【0002】
室内で用いられる暖房器具の1つとして、いわゆるオイルヒーターが知られている。オイルヒーターは、内部に熱媒体たる蓄熱不燃性のオイルを充填した複数のフィン状管体と、電気ヒーターなどの加熱手段とを備え、電源の投入により加熱手段がオイルを加熱してフィン状管体の表面から放熱させ、室内の空気を暖めるようにした暖房器具である。
【0003】
オイルヒーターの暖房機能としては、大きく分類して、フィン状管体表面の空気を熱することにより温まった空気を上昇させて対流を起こし、室内の空気を暖めるという「自然対流」による暖房機能と、フィン状管体表面から発せられる輻射によって近傍に居る人・壁・床等を温めるという「輻射」による暖房機能とがある(例えば、非特許文献1を参照)。
オイルヒーターは、室内で灯油を燃やして温風暖房を行うような暖房機器具とは異なり、室内の空気を汚すことなく騒音もなく暖を取ることができる。また、オイルヒーターは、可搬性にも優れており容易に設置場所を変更することができる。上記した特性もあって、オイルヒーターは健康的で使い勝手の良い暖房器具として長年支持されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ユーレックス社ホームページ、”オイルヒーターとは”、[online]、[2021年9月2日検索]、インターネット(URL:http://eureks.co.jp/oilheater/)
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平4-28927号公報
【文献】特開2002-181354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、オイルヒーターに使われているオイルは、密封されたフィン状管体のオイル流路内で繰り返し用いられてオイル自体の交換も不要であることから、オイルヒーター本体が故障しない限り半永久的に活用されるものである。この点、オイルヒーターは地球環境に配慮した望ましい製品と言えるが、地球環境に一層配慮するため、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具についても市場提供できることがより一層望ましい。
【0007】
オイルを用いないで室内暖房を行うものとしては、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されたシーズヒーターや電熱線を用いた暖房のアイデアが公知となっている。
特許文献1に記載された暖房器具においては、図示を省略するが、ハウジング2及び前カバー3で囲まれた空間であって下部に吸気口6が上部に吹出口8がそれぞれ設けられた空間の内部に、シーズヒーター8及び放熱フィン10を含むヒーター部4が配置されている(第1図及び第2図参照)。この暖房器具はシーズヒーター8に通電することにより上記空間の内部で上昇気流を起こし「自然対流」を生じさせて室内を暖房する。しかしながら、この暖房器具は窓の下に設置されるものであり(第1頁右欄上を参照)、おおよそ大型のものであることが想定されることから、可搬性に乏しいものとなっている。
【0008】
特許文献2には、図示を省略するが、「壁面3(全面ガラス)から距離を隔てて、それと並行に板状発熱体5を設置し、板状発熱体5の下部側と上部側に開口10,11を設けると共に、板状発熱体5は、板体6,7間に電熱線8と潜熱蓄熱部9を配置した構成」が記載されている(特許文献2の第1頁に記載の[要約]及び代表図等を参照)。しかしながら、この暖房施設は、窓際などの室内のペリメータ(周辺域)にコールドドラフト等を防止するため固定的に設けられることから可搬性は確保できない。また、オイルヒーター程の速暖性も期待できない。
【0009】
そこで本発明は上記した事情に鑑みてなされたものであり、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具を提供すること、及び、そのような暖房器具に好適に用いることができるヒーターユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、室内に用いられる暖房器具に好適なヒーターユニットが提供される。ヒーターユニットは、上側及び下側にそれぞれ開口部を有する小筒が互いに隣接して複数配列されてなり、全体として略筒状をなす筒体と、筒体の外側面に対し直接的又は間接的に接続された加熱手段と、を備える。当該ヒーターユニットは、加熱手段で筒体を加熱することにより、小筒の内部において、下側の開口部から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を上側の開口部から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されている。
【0011】
なお、本明細書において、「下」側とはヒーターユニットを正置(正規の設置方法により設置)した際にヒーターユニットからみて概略重力方向(鉛直方向)の側をいうものとし、「上」側とは下側とは逆の側をいうものとする。
【0012】
本発明の別の一態様によれば室内に用いられる暖房器具が提供される。暖房器具は、上記した一態様のヒーターユニットと、ヒーターユニットの加熱手段と電気的に接続されヒーターユニットの動作を制御するコントローラと、ヒーターユニットの少なくとも一部を覆う筐体と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明のヒーターユニットによれば、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具を構成することができる。また本発明の暖房器具によれば、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1に係るヒーターユニット1の斜視図である。
図2】実施形態1に係るヒーターユニット1を上方から見たときの平面図である。
図3】実施形態1に係るヒーターユニット1による空気の自然対流及び輻射について説明するためのA-A断面の模式図である。
図4】実施形態1に係るヒーターユニット1による空気の自然対流について説明するためのB-B断面の模式図である。
図5】実施形態2に係るヒーターユニット2の斜視図である。
図6】実施形態2に係るヒーターユニット2を上方から見たときの平面図である。
図7】放熱板30及び加熱手段20’でなる放熱ユニット25をフィン32が延びる方向に沿って視たときの側面図である。
図8】中間部材180の一例を説明するために示す図である。
図9】中間部材180を用いた筒体10’’とそれを含む実施形態3に係るヒーターユニット3とを構成する様子を示す図である。
図10】実施形態4に係る暖房器具8の斜視図である。
図11】実施形態4に係る暖房器具8のブロック図の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るヒーターユニット及び暖房器具について図を参照しながら説明する。なお、各図に共通する符号については当該符号について既に説明した内容を他の図の説明においても援用できることから、他の図における説明を省略する。各図面は一例を示した模式図であり必ずしも実際の寸法、比率等を厳密に反映したものではない。
【0016】
[実施形態1]
1.実施形態1に係るヒーターユニット1の構成
図1は実施形態1に係るヒーターユニット1の斜視図である。図2は実施形態1に係るヒーターユニット1を上方から見たときの平面図である。図1及び図2における符号100、110及び120の下付き文字の数字はIndexを意味しており、図5以下の図面においても同様としている。
【0017】
実施形態1に係るヒーターユニット1は、基本構成として筒体10と加熱手段20とを備えている。
【0018】
図1及び図2に示すように、筒体10は複数の小筒100の組み合わせにより構成されている。筒体10は小筒100が互いに隣接して複数配列されてなる。
筒体10は鋳型等により複数の小筒100が一体的に成型したものでもよいし、後述する実施形態3のように個体となっている小筒100が互いに連結・接続されて構成されていてもよい。
【0019】
筒体10は、上側に開口11を下側に開口12をそれぞれ有しており、側壁16が閉じており、全体として略筒状をなしている。下側の開口12と上側の開口11との間は筒体10の内部の空間を介して通じており、かかる筒体10の内部の空間を空気等の流体が流通可能となっている。
ここで「側壁16が閉じている」というのは、筒体10を上から見たときに、基本的に、側壁16が筒の内部を1周取り囲むようにして閉じている(Close)状態をいう。図1においては側壁16の外側の面である外側面14a~14dが現れており、これらが筒体10の内部を取り囲むようにして外側面14a,14d,14c,14bの順に連なって閉じている。なお、側壁16が一部で分断されている場合(一部Open)についても実施形態1の作用・効果を奏する限り筒体10の均等物に含まれる。
【0020】
筒体10は、図1及び図2の例では全体としてやや扁平した角筒(四角筒)となっているが、これに限られることはなく例えば円筒であってもよい。
【0021】
小筒100についても、筒体10の定義と同様に、上側及び下側にそれぞれ開口部(上側の開口部110、下側の開口部120)を有しており、基本的に側壁(符号なし)が閉じている。上側の開口部110と下側の開口部120との間は筒の内部の空間を介して通じており、かかる筒の内部の空間を空気等の流体が流通可能となっている。
本ヒーターユニット1を正置して稼働させた際には、下側の開口部110は空気の吸込口となり、上側の開口部120は温められた空気の吹出口となる。
【0022】
筒体10及び小筒100は、後述する加熱手段20への通電により直ぐに筒内の空気へ熱を伝えられるよう(速暖性を高めるため)、オイル・水等に比べ熱伝導率の高い部材により構成されることが望ましい。筒体10及び小筒100を構成する部材としては、金属などの部材で、例えばアルミニウムなどを採用することができる。
【0023】
なお、筒体10を高さ方向(長手方向)に垂直な方向からみたときに、一部の小筒100の高さが他の小筒100の高さと異なっていてもよい。
【0024】
加熱手段20は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する電熱ヒーターであり、筒体10を加熱する手段である。図1図3において加熱手段20は模式的に直方体で描いているが、加熱手段20としては例えばシーズヒーターを採用することができる。なお、図において加熱手段20への電気的な接続端子については表示を省略している。
【0025】
加熱手段20は、筒体10の外側面14に対し直接的又は間接的に接続されている。
つまり、加熱手段20は、筒体10の外側面14に対し直接的に接触するようにして接続(配置)されていてもよいし、後述する実施形態2の放熱板30のような何等かの間接部材を介して間接的に筒体10の外側面に対し接続(配置)されていてもよい。
実施形態1において、加熱手段20は単一個でも複数個でもこれを導入することができ、また、加熱手段20は筒体10の外側面14の任意の個所に接続(配置)することができる。
図1図3の例では、加熱手段20は、筒体10の第1側の外側面14aに直接的に接続され、更に第1側とは反対側の第2側の外側面14bに直接的に接続されている。また、これら2つの加熱手段20は、筒体10の高さでいう中程の高さよりも下の部分に、且つ、同じ高さで配置されている。また加熱手段20は、長手方向が略水平となるように配置することが好ましい。
【0026】
図3及び図4(詳細は後述)に示すように、実施形態1に係るヒーターユニット1は、加熱手段20で筒体10(小筒100)を加熱することにより、小筒100の内部において、下側の開口部120から吸い込んだ空気を温めて上昇気流を生じさせ、温められた空気を上側の開口部110から吹き出すようにして自然対流を生じさせるよう構成されている。
【0027】
2.実施形態1に係るヒーターユニット1の効果
図3は実施形態1に係るヒーターユニット1による空気の自然対流及び輻射について説明するためのA-A断面の模式図である。図4は実施形態1に係るヒーターユニット1による空気の自然対流について説明するためのB-B断面の模式図である。図において細い矢印は熱の移動の様子を、太い矢印は空気の移動の様子を、稲妻状の矢印は輻射の様子を、それぞれ模式的に表したものである。図4における中心点を有する小円は、熱が紙面裏側から表側に向かって移動する方向を模式的に表したものである。なお、符号NCは自然対流を、符号RAは輻射をそれぞれ指している。
【0028】
(1)自然対流
(1-1)実施形態1に係るヒーターユニット1は、筒体10の外側面14に対し直接的又は間接的に加熱手段20が接続されている。
図3及び図4に示すように、ここで加熱手段20に通電して加熱手段20から発熱させると(作動させると)、かかる熱が、加熱手段20に接続されている筒体10(つまりは小筒100。以下同様)に移動し、更には筒体10(小筒100)の側壁の内部16aを順次伝導し、この側壁の内側面13(130)に接している筒体10(小筒100)の内部の空気を温める。これにより、各小筒100の内部では下側の開口部120から吸い込んだ空気が温まって上昇気流が生じ、温められた空気が上側の開口部110から吹き出すようにして自然対流NCが生じる。
【0029】
特に、実施形態1の筒体10は小筒が互いに隣接して複数配列されている。つまり、筒体10は小筒100の壁によって仕切られた複数の区画(各小筒の内側の空間)を有しているともいえる。
仮に、筒体10が大きな径の1つの筒のみで構成されているとしたならば、筒の内部では、内側面140付近の空気は確かに温まって上昇しやすいが、筒の中心付近(断面視)の空気は熱を受け取りづらいため上昇せずその場に滞留しやすくなり、筒の内部の空気が抜けづらい。
一方、実施形態1に係るヒーターユニット1では小筒100の単位で、小筒毎の内部の狭い区画の範囲内の空気がそれぞれにおいて局所的に偏り少なく温められる。こうしたことから、実施形態1に係るヒーターユニット1では、筒の中心付近の空気も含めた小筒100の内部の空気全体が上方向に抜けやすく、自然対流の流速も速めることができ、オイルヒーターに匹敵する、あるいはそれ以上の自然対流を得ることができる。
【0030】
(1-2)実施形態1に係るヒーターユニット1の例(図1図4)では、2つの加熱手段20が、筒体10の高さでいう中程の高さよりも下の部分に、且つ、同じ高さで配置されている。
このように、2つ加熱手段20を同じ高さで対向するように配置することにより、2つの加熱手段20に挟まれた高さの筒の内部の空気が双方向から集中的に加熱され、素早く上昇気流を起こさせることができる。
また仮に加熱手段20を筒体10の中程の高さよりも上の部分に配置すると、熱源たる加熱手段20が空気の吹出口(筒体10の上の開口12)に近くなるため、吹出口付近の筒体10の温度が過度に上昇してしまう可能性があるが、加熱手段20を筒体10の中程の高さよりも下の部分に配置することにより、そのような可能性を抑えることができる。
【0031】
(1-3)参考までに、特許文献1に記載された暖房器具においては、確かに暖房器具内の空間で上昇気流が生じ「自然対流」を生じる構成となっているが、パイプ9、放熱用フィン10等からなるヒーター部4が空気の流路上に配置されているためヒーター部4が空気抵抗となってしまい上昇気流の発生ひいては「自然対流」を阻害している《フィン10の空気抵抗が問題になることは特許文献2の発明者も自認している(第2頁左上欄等を参照)》。
その点、実施形態1に係るヒーターユニット1は、筒体10自体を加熱しつつ加熱された筒体10の内部に空気を通して上昇気流を生じさせる構成となっている。つまり、空気の流路(下側の開口部120から上側の開口部110に至る小筒100の内部を通る路)には上昇気流の移動を阻むものがない。したがって、特許文献1に記載された暖房器具に比べて格段に効果的に自然対流を生じさせることができ、室内をより速く温めることができる(速暖性)。
【0032】
(1-4)また、特許文献2に記載された暖房施設は、確かに空気の流路内で上昇気流が生じ「自然対流」を生じるものとなっているが、空気の流路の一部を構成している壁3が流路内の空気を加熱するものではなく、むしろ流路内の空気から熱を奪う存在となっているため、加速的な上昇気流・自然対流を生むものとはなっていない。
これは、特許文献2は、空気の流路の一部を壁3で構成したうえで、全面ガラス等の壁3から生じるコールドドラフトを、板状発熱体5で温めた空気で上昇させようとする、いわば消極的な理由で上昇気流・自然対流を生じさせるものだからで、元々本発明とは前提条件が異なることにも関係している。
その点、実施形態1に係るヒーターユニット1は、筒体10の内壁全体で内部の空気を加熱するものとなっており、特許文献2に記載された暖房施設に比べて格段に素早く自然対流を生じさせることができる(速暖性)。
【0033】
(2)輻射
実施形態1に係るヒーターユニット1は、加熱手段20が筒体10の外側面14に対し直接的又は間接的に接続されているため、加熱手段20を作動させると筒体10自体や加熱手段20を載置しているる間接部材も高温となる。このため、筒体10の内側では自然対流を生じさせる一方、筒体10の外側では筒体10からみて外方向に向かって「輻射RA」を実現することができる(図4参照)。
【0034】
(3)実施形態1に係るヒーターユニット1は加熱手段20と筒体10(複数の小筒100)を主な構成要件としている。換言すると、実施形態1に係るヒーターユニット1は、化石燃料を燃やす手段は採用せずとも自然対流や輻射を実現することができる。このため、使用者は室内の空気を汚すこともなく暖を取ることができる。
【0035】
(4)実施形態1に係るヒーターユニット1は、送風用のファンなどの回転体を特段必要としていない(勿論、ファンを付加することは妨げないが)。このため、ヒーターユニット1の稼働時には騒音の発生もない。
【0036】
(5)実施形態1に係るヒーターユニット1は、加熱手段20と筒体10(複数の小筒100)を主な構成要件としており比較的簡便な構成となっているため、筒体10及び加熱手段20を目的に適した寸法とすることにより可搬性に優れた暖房器具を構築することができる。
【0037】
以上(1)~(5)より、実施形態1に係るヒーターユニット1を用いれば、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具を提供することができる。また、そのような暖房器具に好適に用いることができるヒーターユニットを提供することができる。
【0038】
[実施形態2]
図5は実施形態2に係るヒーターユニット2の斜視図である。図6は実施形態2に係るヒーターユニット2を上方から見たときの平面図である。図7は放熱板30及び加熱手段20’でなる放熱ユニット25をフィン32が延びる方向(図5における矢印Cに沿った方向)に沿って視たときの側面図である。
【0039】
実施形態2に係るヒーターユニット2は、基本的には実施形態1に係るヒーターユニット1と同様の構成を有するが、出力効率を更に高められる構造を有する点で実施形態1に係るヒーターユニット1と異なる。以下、出力効率を高められる構造について詳しく説明する。
【0040】
1.内部フィン150
実施形態2に係るヒーターユニット2の小筒100には、上から見たとき、内壁132から小筒100の中央領域(各小筒の内部の空間における中央領域)に向かって突出した内部フィン150を更に設けることが好ましい(図5及び図6を参照)。
かかる内部フィン150は、小筒100の長手方向に沿って延びるように凸条に設けられている。図5及び図6における内部フィン150は一例として示したものであるが、小筒100の上側の開口部110から下側の開口部120に掛けてフルに延設されている。しかしながらこのような構成に限られるものではない。例えば上側の開口部110よりもやや下の位置から内部フィン150が立ち上がり、そこから下に向かって延設されていてもよい。下側の開口部120付近においても同様である。また、内部フィン150は上から下まで連続的ではなく断続的に設けられていてもよい。
【0041】
実施形態2に係るヒーターユニット2では、小筒100にこのような内部フィン150を更に設けることにより、小筒100が内部の空気と触れる面積をより大きくすることができる。このため、実施形態1に係るヒーターユニット1よりも一層効率よく素早く室内の空気を暖めることができる。
【0042】
2.放熱板30
実施形態2に係るヒーターユニット2には、放熱板30を更に備えていることが好ましい(図5図7参照)。
放熱板30は、加熱手段20’を載置する加熱手段載置部31を有すると共に、表側には複数のフィン32が設けられ、且つ、裏側には筒体10の外側面14に接合される接合面33(特に図7参照)が設けられている。加熱手段20’はこの加熱手段載置部31に載置されている。この放熱板30は、その接合面33が筒体10の外側面14に密接するようにして配置されている。
図の例においては、放熱板30の上に、加熱手段20’(シーズヒーター200)が2本、互いに離間しながら平行に配置されている。
【0043】
フィン32は、基部34から表側に向かって突出するようにして形成されている。フィン32は如何なる突出形状であってもよい。ここでのフィン32は、加熱手段20’たるシーズヒーター200の長手方向に沿って延びる凸条をなしている。
【0044】
加熱手段載置部31は、加熱手段20’を抱き込むことができれば如何なる構造であってもよい。ここでの加熱手段載置部31は、断面形状が表側に開いた略U字形又は略C字形の溝(直線状の長溝38)として、放熱板30の基部34に連成されている。そして、この長溝38に、加熱手段20’としての直線状のシーズヒーター200が嵌め込まれるようにして載置されている。
【0045】
接合面33は、上記したように筒体10の外側面14に接合される面である。
ここでの接合面33は基部34の一部として形成された面となっている。接合面33の形状は、筒体10の外側面14の形状に凡そ倣った形状をなしている。ここでは、筒体10が四角筒であり外側面14は平面であることから、これに伴い接合面33も平面となっている。後述するが筒体10が例えば円筒形状である場合には接合面33もこれに倣った曲面をなしている。
このような形状とすることにより、放熱板30の接合面33が筒体10の外側面14に密着し、互いの接触面積を最大限確保することができ、熱伝導を効率よく行うことができる。
【0046】
上記構造の場合、加熱手段20’は放熱板30を介して「間接的」に筒体10へ接続されていることになる。したがって、熱の経路としては、加熱手段20’が加熱手段載置部31を介して放熱板30の基部34を加熱し、加熱された基部34から、接合面33を通じ筒体10に熱が伝わると共に、フィン32にも熱が伝わるということになる。
【0047】
実施形態2に係るヒーターユニット2では、上記したような放熱板30を導入することにより、加熱手段20’からみて、筒体10を線でなく面を介して熱を伝えることができ、放熱板30がブースター的な役割を果たすことから速暖性を高めることができる。
【0048】
また、表側には複数のフィン32が設けられていることから、より大きな表面積から輻射を行うことが可能となる。これによって暖房効率をより高めることができる。
【0049】
さらに、フィン32を介して熱を外部に逃がせるため、加熱手段載置部31に載置された加熱手段20’(シーズヒーター200)自体の温度上昇を抑制することができる。このため、加熱手段20,20’の寿命を延ばすこともできる。
【0050】
3.放熱板30を含む放熱ユニット25の複数配置
加熱手段20’及び該加熱手段20’が載置された放熱板30のセットを「放熱ユニット25」と仮に定義する。
実施形態2に係るヒーターユニット2においては、放熱ユニット25が、筒体10の第1側の外側面14aと、第1側と反対側である第2側の外側面14bと、においてそれぞれ配置されていることが好ましい(図5及び図6を参照)。
【0051】
実施形態2に係るヒーターユニット2では、上記したように筒体10(小筒100)を挟むように対向させて複数の放熱ユニット25を配置することにより、加熱手段20に挟まれた筒の内部の空気が双方向から集中的に加熱され、素早く上昇気流を起こさせることができる。すると、素早く自然対流を生じさせることができる(速暖性)。
【0052】
また、全体として同じ大きさの出力を得ようとした際に、片面にのみ放熱ユニット25が配置されている場合には加熱手段20’1個当たりの負荷が大きくなるが、複数面に放熱ユニット25が配置されている場合には、双方の放熱ユニット25に負荷が分散されるため、各加熱手段20’の負荷が軽減する。このため加熱手段20’の寿命を延ばすことができる。
【0053】
なお、実施形態2に係るヒーターユニット2は、出力効率を更に高められる構造を有する点以外においては、実施形態1に係るヒーターユニット1と基本的に同様の構成を有する。そのため、実施形態1に係るヒーターユニット1が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0054】
[実施形態3]
実施形態3に係るヒーターユニット2は、基本的には実施形態1に係るヒーターユニット1及び実施形態2に係るヒーターユニット2と同様の構成を有するが、小筒100が標準化された共通仕様でなる中間部材180からなる点において実施形態1に係るヒーターユニット1及び実施形態2に係るヒーターユニット2と異なる。
【0055】
そこで以下においては、まず中間部材180について説明し、次いで中間部材180を適宜カット及び組み合わせることにより寸法調整することについて説明し、次いでそれらの技術によるヒーターユニット3について説明をする。
【0056】
1.中間部材180の一例
【0057】
図8は中間部材180の一例を説明するために示す図である。図8(a)は中間部材180を上方から見たときの平面図であり、図8(b)は中間部材180の斜視図である。
【0058】
中間部材180は、小筒100(あるいは筒体10)を構成する元となる部材である。中間部材180は、標準化された共通仕様でなる。この共通仕様でなる中間部材180をそれぞれ適宜カットしたり、中間部材180同士を組み合わせる数(連結個数)を適宜変えたりすることによって、最終的に仕上げる筒体10の高さ寸法、幅寸法又は奥行寸法を自在に変えることができる。
【0059】
中間部材180は、少なくとも1以上の小筒100を有し、長さ(高さ)方向の一端及び他端には、開口部110,120を有する。中間部材180は、場合によっては最小サイズの筒体10として単体で用いることができる。作成すべき小筒100(筒体10)が例えば略四角筒であるときには、中間部材180としては4つの外側面を有する略四角筒が準備される。
【0060】
中間部材180は、カット等で長さ方向の調整ができ、複数の同一仕様の中間部材180が互いに隣接しながら連結することができれば、如何なる構造を採ってもよい。
例えば、4つの外側面が完全な平坦となっている単純な四角筒の構造としてもよい。この場合、複数の中間部材180を配列し適宜接着した後にクランプする等の処置を施すなどして中間部材180同士の連結及び固定を行うこともできる。
【0061】
また例えば、複数の中間部材180が配列されて連結する際、互いに対向する外側面において互いに係合できるような構造を採ってもよい。
例えば図8に示すように、第1面180aに、隣接する別の中間部材《図に示された中間部材180の左側に配置されるべき中間部材(図示は省略)》の第2面180bと連結するための第1係合部161を設け、第2面180bに、隣接する更に別の中間部材図に示された中間部材180の右側に配置されるべき中間部材(図示は省略)》の第1面180aと連結するための第2係合部162を設ける。ただし、4つの外側面のうち互いに平行な所定の面を第1面180a及び第2面180bと定義する。そして、複数の中間部材180が連結される際には、一の中間部材180(例えば右側に配置された中間部材)の第1係合部161と他の中間部材(例えば左側に配置された中間部材)の第2係合部162とが互いに係合することにより、一の中間部材の第1面180aと他の中間部材の第2面180bとが接合されるよう構成する。
具体的には、第1係合部161は中間部材180の長手方向に直線状に延びる係合長溝163で実現し、第2係合部162は同様に直線状に延びる係合凸部164で実現してもよい(図8参照)。
なお、ここでの中間部材180は、2個の小筒100-1,100-2を内包している。
符号15は放熱板30を固定するためのナットを埋めるナット長溝として活用される。
【0062】
2.中間部材180を用いた筒体10’’の構成及び寸法の調整
次に、上記した第1係合部161及び第2係合部162を有する中間部材180を用いて、外形寸法を調整しながら筒体10’’を構成(組立)する手順を説明する。
図9は、中間部材180を用いた筒体10’’と、それを含む実施形態3に係るヒーターユニット3とを構成する様子を示す図である。ここでは一例として4個の中間部材180を用いた場合を図示している。図9(a)は筒体10’’の高さ寸法及び幅寸法の調整を示す斜視図であり、図9(b)は組み立てられた筒体10’’を上方から見たときの平面図である。図9(c)は組み立てられた筒体10’’を示す斜視図である。なお図9(c)においては、筒体10’’に放熱ユニット25が付加されてヒーターユニット3となった状態を示している(実施形態3に係るヒーターユニット3)。
【0063】
図9(a)に示すように、まず、4個の中間部材180―1~180-4を準備する。左端の中間部材180―1を、所定の高さH1にするために《後述する図9(c)参照》、カット面Dで予めカットしておく。その上で、中間部材180―1の第2面180bの第2係合部162(係合凸部164)と、中間部材180―2の第1面180aの第1係合部161(係合長溝163)とを、上下方向でスライドさせるようにして係合させて、双方の中間部材を連結する。同様に、中間部材180―2の第2面180bの第2係合部162と中間部材180―3の第1面180aの第1係合部161とを係合させ、中間部材180―3の第2面180bの第2係合部162と右端の中間部材180―4の第1面180aの第1係合部161とを係合させる。
これらを行うことにより、図9(b)に示すような4個の中間部材180―1~180-4が互いに連結された筒体10’’が組み上がる。
【0064】
図9(b)及び図9(c)に示すように、組み立てられた筒体10’’をみると、中間部材180―1に対応する小筒100-1,100-2の高さH1は、他の小筒100-3~100-8の高さH2よりも小さくなるように高さ寸法が調整されている。また、筒体10’’の幅Wは中間部材180を4個連結することによって規定された幅寸法となっている。
【0065】
3.中間部材180でなる実施形態3に係るヒーターユニット3の構成
上記2.のようにして組み立てられた筒体10’’を含むヒーターユニット3は、それぞれの小筒100-1~100-8が共通仕様でなる中間部材180―1~180―4からなっており、筒体10’’の高さ寸法は、中間部材180を所望の長さでカットすることにより規定された寸法をなしており、筒体10’’の幅寸法又は/及び奥行寸法は、中間部材180を所望の個数で組み合わせることにより規定された寸法をなしている《図9(c)参照》。
【0066】
また、図9(b)及び図9(c)において、組み立てられたヒーターユニット3の連結ポイントの一部を局所的にみると、一の小筒100-5には、4つの外側面のうち第1の方向(図の左方向)を向いた面に第1係合部161が設けられ、別の小筒100-4には、4つの外側面のうち第1の方向とは逆方向の第2の方向(図の右方向)を向いた面に第2係合部162が設けられており、第1係合部161と第2係合部162とが互いに係合して一の小筒100-5と他の小筒100-4とが連結されている様子が分かる。ただし、それぞれの小筒100が略四角筒であるとする。
【0067】
4.実施形態3に係るヒーターユニット3の効果
(1)複数の小筒100が配列された金属でなる筒体10を得ようとしたときに、例えば鋳造やダイキャストで筒体10を製造して得ることが考えられる。しかしながら鋳造やダイキャストによる場合には、暖房器具の外形寸法・外形形状などの変更に伴って筒体10の外形寸法(高さ寸法、幅寸法又は奥行寸法)を変更しようとしたときには、その都度、寸法変更に対応した鋳型や金型を製作しなければならず、製造の柔軟性を高めることが難しく、また、製造コストも相応に必要となるという問題がある。
【0068】
一方、実施形態3に係るヒーターユニット3は、小筒100が標準化された共通仕様でなる中間部材180からなり、筒体10’’の高さ寸法は、中間部材180を所望の長さでカットすることにより規定された寸法をなし、筒体10’’の幅寸法又は/及び奥行寸法は、中間部材180を所望の個数で組み合わせることにより規定された寸法をなすよう構成されている。
このため、暖房器具の外形寸法が変更されたとしても、適宜中間部材180をカットしたり組み合わせ個数を調整したりすることで、ヒーターユニットの外形寸法も容易に変更することができるため、上記した製造の柔軟性の問題を解決することができる。また、中間部材180は標準化された共通仕様でなるため、同一仕様のものを複数製作しておけば準備として十分であり、且つまた、製作しておいた中間部材180はいずれ何時かは活用されることから、上記したような製造コストの問題も抑え込むことができる。
【0069】
(2)また外形寸法を適宜に変更できることから、サイズの小さな持ち運びできる暖房器具づくりにも貢献することができ、よってオイルヒーターと同様な可搬性に優れた暖房器具の提供に寄与することができる。
【0070】
なお、実施形態3に係るヒーターユニット3は、小筒100が標準化された共通仕様でなる中間部材180からなる点以外においては、実施形態1に係るヒーターユニット1及び実施形態2に係るヒーターユニット2と基本的に同様の構成を有する。そのため、実施形態1に係るヒーターユニット1及び実施形態2に係るヒーターユニット2が有する効果のうち該当する効果を同様に有する。
【0071】
[実施形態4]
実施形態4に係る暖房器具8は、これまで述べてきた実施形態1~実施形態3に係るそれぞれのヒーターユニット1~3を用いた暖房器具である。ヒーターユニット自体の説明は実施形態1~3で述べてきた説明を援用し、ここでの説明を省略する。
【0072】
1.実施形態4に係る暖房装置8
図10は、実施形態4に係る暖房器具8の斜視図である。
【0073】
図10に示すように、実施形態4に係る暖房器具8は、上記したヒーターユニット1~3いずれかのヒーターユニット(例としてヒーターユニット3)と、ヒーターユニット3の加熱手段20と電気的に接続され、ヒーターユニット3の動作を制御するコントローラ50と、ヒーターユニット3の少なくとも一部を覆う筐体60と、を備えている。
符号68は空気の吸入口、符号67は温められた空気の排出口を表す。符号65は温められた空気がコントローラ50に直接当たらないよう空気を誘導する誘導板を表している。加熱手段20(符号の図示を省略)へ接続されるべき電気的配線は図示していない。
なお、ここではヒーターユニットとして実施形態3に係るヒーターユニット3を例に挙げて説明をしたが、これに限定されるものではなく、実施形態1に係るヒーターユニット1でも実施形態2に係るヒーターユニット2も適用することができる。
【0074】
実施形態4に係る暖房器具8は、上記した実施形態1に係るヒーターユニット1、実施形態2に係るヒーターユニット2及び実施形態3に係るヒーターユニット3のいずれかを備えるため、実施形態1~3のいずれかに記載のヒーターユニットと同様の効果を有する。これにより、実施形態4に係る暖房器具8は、オイルを使わずにオイルヒーターと同様の機能・特性が得られる暖房器具となる。
【0075】
2.実施形態4に係る暖房装置の電気的な構成例
図11は、実施形態4に係る暖房器具8のブロック図の一例を示す図である。
暖房器具8はコントローラ50を備える。コントローラ50は、例えば図11に示すように、電源回路52、全体制御部53、駆動回路54等を含むことができる。
電源回路52は、商用電源に接続される電源プラグ51から入力した電源に基づいて全体制御部53及び駆動回路54に所定の電力を供給する。全体制御部53は、駆動回路54や電源回路52に接続されて所定の全体制御を行う。駆動回路54は、加熱手段20たる4本のシーズヒーター200-1~200-4に接続されており、全体制御部53からの指示に基づいて各加熱手段20-1~20-4の動作を制御する。
なお、ここで導入しているヒーターユニットは実施形態3に係るヒーターユニット3を想定しており、第1側の外側面14aに2本、第2側の外側面14bに2本の合計4本のシーズヒーターを有しているものとする。
【0076】
ここで、シーズヒーター200-1~200-4の全てについて、同一の出力仕様(例えば300W)のヒーターを導入してもよい。準備すべきシーズヒーターの種類が一種類となるため、標準化が促進されコストを抑えることができる。
【0077】
他方、2n本のシースヒーター(加熱手段と読み替え可能)の内、n本については2の倍数の出力仕様(ワッテージ)を有するヒーターを導入し、他のn本については3の倍数の出力仕様(ワッテージ)を有するヒーターを導入してもよい。ただし、nは2以上の整数とする。
例えば、上記4本のシースヒーターの内、2本については300Wのヒーターを導入し、他の2本については450Wのヒーターを導入することができる。
このような内部構成でヒーターの出力仕様を設定することにより、電源投入をオンとするヒーターの組み合わせを適宜変更することにより、例えば、300W、450W、600W(300W×2本)、750W(300W+450W)、、という様に、単体ヒーターの最低出力である300Wよりも細かい150W刻みで全体出力の設定を行うことができる。
【0078】
以上、本発明を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば、次のような変形も可能である。
【0079】
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0080】
(2)実施形態3においては、幅方向で中間部材180の連結個数を調整することにより筒体10の幅寸法を調整する例を説明した。しかしながら、本発明においてはこれに限定されるものではなく、奥行方向で中間部材180の連結個数を調整することにより筒体10の奥行寸法を調整してもよい。
【0081】
(3)実施形態3の中間部材180は、2個の小筒100-1,100-2を内包するものを例に説明した。しかしながら、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、1個のみ小筒を内包する中間部材であってもよいし、3個以上の小筒を内包する中間部材であってもよい。
【0082】
(4)各実施形態において、筒体10の外側面は略平面であることを想定して説明を行った。しかしながら、本発明においてはこれに限定されるものではない。例えば、筒体10の外側面が曲面であってもよい。このとき、実施形態2における放熱板30の接合面33も、かかる曲面に倣って曲面として構成することができる。
【符号の説明】
【0083】
1,2,3…ヒーターユニット、8…暖房器具、10,10’’…筒体、11…筒体の上の開口、12…筒体の下の開口、13…筒体の内側面、14,14a,14b,14c,14d…筒体の外側面、16…側壁、16a…側壁の内部、20,20’…加熱手段、25…放熱ユニット、30…放熱板、31…加熱手段載置部、32…フィン、33…接合面、34…基部、38…長溝、50…コントローラ、51…電源プラグ、52…電源回路、53…全体制御部、54…駆動回路、60…筐体、100…小筒、110…小筒の上側の開口部、120…小筒の下側の開口部、132…小筒の内壁、140…小筒の内側面、150…内部フィン、161…第1係合部、162…第2係合部、163…係合長溝、164…係合凸部、180…中間部材、180a…中間部材の第1面、180…中間部材の第2面、200…シーズヒーター

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11