(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-07
(45)【発行日】2025-08-18
(54)【発明の名称】音響制御装置
(51)【国際特許分類】
H04R 3/00 20060101AFI20250808BHJP
【FI】
H04R3/00
(21)【出願番号】P 2023553795
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 JP2021037740
(87)【国際公開番号】W WO2023062720
(87)【国際公開日】2023-04-20
【審査請求日】2024-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】315017409
【氏名又は名称】AlphaTheta株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞下 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼城 七生
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-296305(JP,A)
【文献】特開昭63-128417(JP,A)
【文献】特開平11-272378(JP,A)
【文献】特開昭62-265819(JP,A)
【文献】国際公開第2013/030862(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/130595(WO,A1)
【文献】特開2005-013576(JP,A)
【文献】TRAKTOR KONTROL S8 -オペレーションマニュアル-,NATIVE INSTRUMENTS GmbH,2016年,p. 63-65,インターネット:<URL: https://www.native-instruments.com/fileadmin/ni_media/downloads/manuals/traktor/traktor_kontrol_s8_manual_japanese.pdf>,[令和7年4月9日検索]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/00
H04H 60/02-60/07
G06F 3/02-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置であって、
回転可能に設けられ、前記楽曲の再生速度を調節する操作を受け付けるダイヤルと、
前記ダイヤルの回転状態に応じて、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲の再生速度の変化量を変化させる制御部と、
前記楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の前記楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、前記割合が前記所定値に到達したことを通知する通知部と、を備えることを特徴とする音響制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の音響制御装置において、
前記通知部は、前記ダイヤルが回転されて、前記割合が前記所定値に到達すると、前記ダイヤルが回転されていた方向への前記ダイヤルの回転を規制することによって、前記割合が前記所定値に到達したことを通知することを特徴とする音響制御装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項2に記載の音響制御装置において、
前記ダイヤルの回転状態は、前記ダイヤルの回転速度を含むことを特徴とする音響制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音響制御装置において、
前記ダイヤルの回転加速度を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記ダイヤルの回転加速度に基づいて前記ダイヤルの回転速度を算出することを特徴とする音響制御装置。
【請求項5】
楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置であって、
回転可能に設けられ、前記楽曲の再生速度を調節する操作を受け付けるダイヤルと、
前記ダイヤルの回転加速度を検出する検出部と、
前記ダイヤルの回転状態に応じて、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲の再生速度の変化量を変化させる制御部と、を備え
、
前記ダイヤルの回転状態は、前記ダイヤルの回転速度を含み、
前記制御部は、前記検出部によって検出される前記ダイヤルの回転加速度に基づいて前記ダイヤルの回転速度を算出することを特徴とする音響制御装置。
【請求項6】
請求項
3から請求項5のいずれか一項に記載の音響制御装置において、
前記制御部は、
前記ダイヤルの回転速度が所定速度未満である間、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲のBPMの変化量を、第1変化量とし、
前記ダイヤルの回転速度が前記所定速度以上である間、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲のBPMの変化量を、前記第1変化量よりも大きい第2変化量とすることを特徴とする音響制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項
6のいずれか一項に記載の音響制御装置において、
前記制御部は、
前記ダイヤルが第1回転方向に回転されると、前記楽曲の再生速度を増加させ、
前記ダイヤルが前記第1回転方向とは反対方向に回転されると、前記楽曲の再生速度を減少させることを特徴とする音響制御装置。
【請求項8】
請求項
7に記載の音響制御装置において、
第1面に前記ダイヤルが回転可能に設けられる筐体を備え、
前記第1回転方向は、前記第1面に対向する位置から見て時計回りの方向であることを特徴とする音響制御装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の音響制御装置において、
前記制御部によって調節された前記楽曲の再生速度に関する情報を表示する表示部を備えることを特徴とする音響制御装置。
【請求項10】
請求項9に記載の音響制御装置において、
前記表示部は、前記制御部によって調節された前記楽曲の再生速度に関する情報として、前記楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の前記楽曲のBPMの割合を示す情報を表示することを特徴とする音響制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置が知られている(例えば非特許文献1参照)。
非特許文献1に記載の音響制御装置は、回転可能に設けられたエンコーダーと、を備え、エンコーダーの回転に応じて、楽曲の再生速度を調節可能である。音響制御装置では、エンコーダーが時計回りに回転されると、楽曲の再生速度に対応するテンポが小数点以下の単位で上がる。一方、エンコーダーが反時計回りに回転されると、テンポが小数点以下の単位で下げられる。また、音響制御装置は、SHIFTボタンを備えており、SHIFTボタンが押下された状態にてエンコーダーが時計回りに回転されると、テンポが小数点よりも上の単位で上げられる。一方、SHIFTボタンが押下された状態にてエンコーダーが反時計回りに回転されると、テンポが小数点よりも上の単位で下げられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】Native Instruments GmbH,「TRAKTOR KONTROL S5 Manual Japanese」,インターネット,[検索日:令和3年6月27日],URL:https://www.native-instruments.com/fileadmin/ni_media/downloads/manuals/traktor/traktor_kontrol_s8_manual_japanese.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非特許文献1に記載の構成では、楽曲の再生速度を大きく変更する場合に、SHIFTボタンを押下しつつエンコーダーを回転させる必要がある。このため、楽曲の再生速度を調節する操作が煩雑であるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る音響制御装置は、楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置であって、回転可能に設けられ、前記楽曲の再生速度を調節する操作を受け付けるダイヤルと、前記ダイヤルの回転状態に応じて、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲の再生速度の変化量を変化させる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態に係る音響制御装置の構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態に係る制御部の構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態に係るダイヤルの回転操作を示す図。
【
図4】第1実施形態に係る直接表示モードでの表示内容の一例を示す図。
【
図5】第1実施形態に係る割合表示モードでの表示内容の一例を示す図。
【
図6】第1実施形態に係る図形表示モードでの表示内容の一例を示す図。
【
図7】第1実施形態に係るオリジナルBPMに対する調節後BPMの割合と、表示される図形との関係を説明する図。
【
図8】第1実施形態に係るスライダー表示モードでの表示内容の一例を示す図。
【
図9】第1実施形態の変形に係るオリジナルBPMに対する調節後BPMの割合と、表示される図形との関係を説明する図。
【
図10】第1実施形態の変形に係るオリジナルBPMに対する調節後BPMの割合と、表示される図形との関係を説明する図。
【
図11】第2実施形態に係る音響制御装置が備えるダイヤルを示す模式図。
【
図12】第2実施形態に係る割合表示部の表示態様の一例を示す図。
【
図13】第2実施形態に係る割合表示部の表示態様の一例を示す図。
【
図14】第2実施形態の変形に係る割合表示部の配置を示す図。
【
図15】第1及び第2実施形態に係る音響制御装置の変形を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
[音響制御装置の概略構成]
図1は、本実施形態に係る音響制御装置1の構成を示す模式図である。
本実施形態に係る音響制御装置1は、入力する楽曲の再生速度を調節可能に構成されている。具体的に、音響制御装置1は、楽曲のBPM(Beats Per Minute)を調節することによって、楽曲の再生速度を調節する。なお、楽曲のBPMとは、楽曲再生時のテンポ、すなわち、楽曲再生時の1分間の拍数を表している。本実施形態では、音響制御装置1は、第1チャンネルにロードされた第1楽曲の再生、及び、第2チャンネルにロードされた第2楽曲の再生を個別に制御し、第1チャンネルにて再生された第1楽曲、及び、第2チャンネルにて再生された第2楽曲をミックスし、ミックスした楽曲に応じた音声信号を出力するミキサーである。
音響制御装置1は、
図1に示すように、筐体2と、2つのチャンネル操作部3(3A,3B)と、クロスフェーダー4と、を備える。また、
図1では図示を省略するが、音響制御装置1は、音響制御装置1の動作を制御する制御部5(
図2参照)を備える。
【0008】
[筐体の構成]
筐体2は、略直方体形状に形成され、制御部5を内部に収容する。筐体2は、天面21、上面22、下面23、左側面24、右側面25、及び、図示しない底面を有する。
天面21には、2つのチャンネル操作部3(3A,3B)と、クロスフェーダー4と、が配置される。
【0009】
[チャンネル操作部の構成]
2つのチャンネル操作部3(3A,3B)は、対応するチャンネルにロードされた楽曲の再生状態を操作する。2つのチャンネル操作部3は、第1チャンネルにロードされた第1楽曲の再生状態を操作する第1チャンネル操作部3A、及び、第2チャンネルにロードされた第2楽曲の再生状態を操作する第2チャンネル操作部3Bである。
各チャンネル操作部3は、ジョグダイヤル31、イコライザー調節部32、チャンネルフェーダー33及び再生速度操作部34を有する。
【0010】
ジョグダイヤル31は、回転可能に天面21に設けられ、再生中の楽曲の再生方向及び再生速度を調節する際に用いられるダイヤルである。なお、ユーザーがジョグダイヤル31の回転方向の変更と回転速度の変更とを組み合わせることにより、DJパフォーマンス特有のスクラッチ操作が行われる。
【0011】
イコライザー調節部32は、対応するチャンネルのイコライザー調節処理を行う。イコライザー調節部32は、レベル調節部321、高周波帯域調節部322、中周波帯域調節部323、低周波帯域調節部324、エフェクト調節部325を有する。
レベル調節部321は、入力される楽曲の入力レベルを調節する。
高周波帯域調節部322は、入力される楽曲の高周波帯域の音量を調節する。高周波帯域は、例えば4649Hz以上の周波数帯域である。
中周波帯域調節部323は、入力される楽曲の中周波帯域の音量を調整する。中周波帯域は、例えば284Hzを超え、4649Hz未満の周波数帯域である。
低周波帯域調節部324は、入力される楽曲の低周波帯域の音量を調整する。低周波帯域は、例えば284Hz以下の周波数帯域である。
エフェクト調節部325は、対応するチャンネル操作部3に設定されたエフェクトのエフェクト量を調節する。
チャンネルフェーダー33は、対応するチャンネル操作部3から出力される音量を調整する。
【0012】
再生速度操作部34は、対応するチャンネルにロードされた楽曲の再生速度を調節する操作を受け付ける。再生速度操作部34は、ダイヤル341、検出部342、通知部343、表示部344及び切替操作部345を有する。
ダイヤル341は、楽曲の再生速度を調節する操作を受け付ける。ダイヤル341は、天面21に対向する位置から見て時計回り及び反時計回りに回転可能に設けられている。詳述すると、ダイヤル341は、後述する通知部343によって回転の規制が行われるまでの間、何周でも時計回り又は反時計回りに回転可能である。
検出部342は、ダイヤル341の回転状態を検出する。具体的に、検出部342は、ロータリーエンコーダーを有し、ダイヤル341の回転加速度及び回転角を検出する。検出部342は、検出した回転加速度及び回転角を制御部5に出力する。詳しくは後述するが、制御部5は、検出部342の検出結果に基づいて、対応するチャンネルにロードされた楽曲のBPMを調節して、楽曲の再生速度を変更する。
【0013】
通知部343は、後述する制御部5による制御の下、楽曲に固有のBPMに対して再生速度調節後の楽曲のBPMの割合が所定値に到達したことをユーザーに通知する。本実施形態では、通知部343は、ダイヤル341の回転を規制することによって、当該割合が所定値に到達したことをユーザーに通知する。通知部343による通知については、後に詳述する。
表示部344は、制御部5による制御の下、楽曲の再生速度に関する情報を表示する。表示部344による表示内容については、後に詳述する。
切替操作部345は、表示部344による表示内容を切り替える。換言すると、切替操作部345は、表示部344の表示モードを切り替える。表示モードについては、後に詳述する。
【0014】
以下の説明では、便宜上、第1チャンネル操作部3Aが有する再生速度操作部34、ダイヤル341、検出部342、通知部343、表示部344及び切替操作部345を第1再生速度操作部34A、第1ダイヤル341A、第1検出部342A、第1通知部343A、第1表示部344A及び第1切替操作部345Aとし、第2チャンネル操作部3Bが有する再生速度操作部34、ダイヤル341、検出部342、通知部343、表示部344及び切替操作部345を第2再生速度操作部34B、第2ダイヤル341B、第2検出部342B、第2通知部343B、第2表示部344B及び第2切替操作部345Bとして説明する。
【0015】
クロスフェーダー4は、左右に移動可能な操作子41を有する。操作子41が左方に移動されるに従って、音響制御装置1から出力される音量において第1チャンネルの音量の割合が大きくなる。また、操作子41が右方に移動されるに従って、音響制御装置1から出力される音量において第2チャンネルの音量の割合が大きくなる。
【0016】
[制御部の構成]
図2は、制御部5の構成を示すブロック図である。
制御部5は、CPU(Central Processing Unit)等の演算処理装置を有する回路基板
によって構成されている。制御部5は、上記のように、音響制御装置1の動作を制御する。具体的に、制御部5は、各チャンネルにロードされた楽曲を再生する他、ダイヤル341の操作状態に基づいて楽曲の再生速度を調節する。
制御部5は、
図2に示すように、第1再生部51、第1調節部52、第1制御部53、第2再生部54、第2調節部55、第2制御部56、モード切替部57及び表示制御部58を有する。
【0017】
第1再生部51は、第1チャンネルにロードされた第1楽曲を再生する。
第1調節部52は、第1楽曲の再生速度を調節する。第1調節部52は、第1チャンネル操作部3Aに対するユーザーの操作に応じて、第1楽曲の再生状態を調節する。例えば、第1調節部52は、第1チャンネル操作部3Aのジョグダイヤル31に対するユーザーの操作に応じて、第1再生部51によって再生されている第1楽曲の再生速度及び再生方向を調節する。
また例えば、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転状態を検出する第1検出部342Aによる検出結果に基づいて、第1再生部51によって再生される第1楽曲のBPMを調節して、第1楽曲の再生速度を調節する。なお、第1調節部52による第1楽曲の再生速度の調節方法については、後に詳述する。
【0018】
第1制御部53は、第1再生部51による第1楽曲データの再生、及び、第1楽曲データが再生されて得られる楽曲の出力を制御する。例えば、第1制御部53は、第1調節部52によって調節された再生状態にて、第1再生部51に第1楽曲を再生させる。また、第1制御部53は、第1チャンネル操作部3Aのイコライザー調節部32に対するユーザーの操作に応じて、第1楽曲が第1再生部51によって再生されて得られる楽曲の出力を制御する。更に、第1制御部53は、第1通知部343Aを制御する。第1制御部53による第1通知部343Aの制御については、後に詳述する。
【0019】
第2再生部54は、第2チャンネルにロードされた第2楽曲を再生する。
第2調節部55は、第2楽曲の再生速度を調節する。第2調節部55は、第1調節部52と同様に、第2チャンネル操作部3Bに対するユーザーの操作に応じて、第2楽曲データの再生状態を調節する。例えば、第2調節部55は、第2ダイヤル341Bの回転状態を検出する第2検出部342Bによる検出結果に基づいて、第2再生部54によって再生される第2楽曲のBPMを調節して、第2楽曲の再生速度を調節する。なお、第2調節部55による第1楽曲の再生速度の調節方法については、後に詳述する。
第2制御部56は、第1制御部53と同様に、第2再生部54による第2楽曲の再生、及び、第2楽曲が再生されて得られる楽曲の出力を制御する他、第2通知部343Bを制御する。
【0020】
モード切替部57は、第1切替操作部345Aに対する操作に応じて、第1表示部344Aの表示モードを切り替える。また、モード切替部57は、第2切替操作部345Bに対する操作に応じて、第2表示部344Bの表示モードを切り替える。すなわち、表示モードは、第1チャンネル操作部3A及び第2チャンネル操作部3Bのそれぞれに対して個別に設定される。
モード切替部57によって切り替えられる表示モードについては、後に詳述する。
【0021】
表示制御部58は、第1調節部52によって調節された第1楽曲の再生速度に関する情報を、第1表示部344Aに表示させる。詳述すると、表示制御部58は、第1楽曲の再生速度に対応するBPMに関する情報を、第1表示部344Aに表示させる。また、表示制御部58は、第2調節部55によって調節された第2楽曲の再生速度に関する情報を、第2表示部344Bに表示させる。詳述すると、表示制御部58は、第2楽曲の再生速度に対応するBPMに関する情報を、第2表示部344Bに表示させる。各表示部344A,344Bによる表示内容は、各チャンネル操作部3の表示モードに応じて異なる。表示制御部58によって表示部344に表示される内容については、後に詳述する。
【0022】
[再生速度の調節]
第1調節部52は、第1検出部342Aによって検出される第1ダイヤル341Aの回転状態に基づいて、第1楽曲の再生速度を調節する。具体的に、第1調節部52は、第1検出部342Aによる検出結果として、第1ダイヤル341Aの回転方向、第1ダイヤル341Aの回転加速度、及び、第1ダイヤル341Aの回転角度を取得する。そして、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転加速度に基づいて第1ダイヤル341Aの回転速度を算出し、第1ダイヤル341Aの回転方向、回転速度及び回転角度に基づいて、第1楽曲のBPMを調節して第1楽曲の再生速度を調節する。すなわち、第1調節部52が第1楽曲の再生速度を調節するときに参照する第1ダイヤル341Aの回転状態は、第1ダイヤル341Aの回転速度を含む。
【0023】
例えば、第1調節部52は、天面21に対向する位置から見て第1ダイヤル341Aが時計回りに回転されると、第1調節部52は、現在の第1楽曲の再生速度に対応するBPMを増加させて、現在の第1楽曲の再生速度を増加させる。時計回りは、第1回転方向に相当する。
一方、第1調節部52は、天面21に対向する位置から見て第1ダイヤル341Aが反時計回りに回転されると、第1調節部52は、現在の第1楽曲のBPMを減少させて、現在の第1楽曲の再生速度を減少させる。反時計回りは、第1回転方向とは反対方向に相当する。
【0024】
また、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度及び回転角度に基づいて、第1楽曲の再生速度を変化させる。
具体的に、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度未満である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲の再生速度の変化量を、第1変化量とする。すなわち、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度未満である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を、第1変化量とする。そして、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度未満である間、第1ダイヤル341Aの回転角度が単位回転角度に達する毎に、現在の第1楽曲のBPMに対して第1変化量を加算又は減算する。
例えば、単位回転角度が3°であり、第1変化量が0.1である場合には、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度未満である間、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aが3°回転される毎に、第1楽曲のBPMを0.1ずつ加算又は減算する。このため、例えば上記所定速度未満の回転速度で第1ダイヤル341Aを時計回りに90°回転させた場合には、第1楽曲のBPMは、第1ダイヤル341Aが時計回りに90°回転される前の第1楽曲のBPMに3を加算した値となる。また例えば、上記所定速度未満の回転速度で第1ダイヤル341Aを反時計回りに30°回転させた場合には、第1楽曲のBPMは、第1ダイヤル341Aが反時計回りに30°回転される前の第1楽曲のBPMに1を減算した値となる。
【0025】
また、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度以上である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲の再生速度の変化量を、第1変化量よりも大きい第2変化量とする。すなわち、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度以上である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を、第2変化量とする。そして、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度以上である間、第1ダイヤル341Aの回転角度が単位回転角度に達する毎に、現在の第1楽曲のBPMに対して第2変化量を加算又は減算する。
例えば、単位回転角度が3°であり、第2変化量が1°である場合には、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度以上である間、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aが3°回転される毎に、第1楽曲のBPMを1ずつ加算又は減算する。このため、例えば上記所定速度以上の回転速度で第1ダイヤル341Aを時計回りに90°回転させた場合には、第1楽曲のBPMは、第1ダイヤル341Aが時計回りに90°回転される前の第1楽曲のBPMに30を加算した値となる。また例えば、上記所定速度以上の回転速度で第1ダイヤル341Aを反時計回りに30°回転させた場合には、第1楽曲のBPMは、第1ダイヤル341Aが反時計回りに30°回転される前の第1楽曲のBPMに10を減算した値となる。
【0026】
図3は、第1楽曲の再生速度を調節するときの第1ダイヤル341Aの回転操作を示す図である。
このように、第1楽曲のBPMの変化量及び第1楽曲の再生速度の変化量は、第1ダイヤル341Aの回転速度に応じて変化する。このため、例えば
図3に示すように、第1ダイヤル341Aを回転角度αだけ回転させるときの第1ダイヤル341Aの回転速度を所定速度未満とすることによって、単位回転角度当たりの第1楽曲のBPMの変化量を第1変化量とすることができる。これにより、第1楽曲のBPMを細かく変化させることができる。
一方、第1ダイヤル341Aを回転角度αだけ回転させるときの第1ダイヤル341Aの回転速度を所定速度以上とすることによって、単位回転角度当たりの第1楽曲のBPMの変化量を第2変化量とすることができる。これにより、第1楽曲のBPMを大きく変化させることができる。
このような楽曲の再生速度の調節は、第2調節部55によっても同様に行われる。
【0027】
[通知部によるユーザーへの通知]
次に、通知部343によるユーザーへの通知について説明する。
以下、第1制御部53によって制御される第1通知部343Aによるユーザーへの通知について説明する。すなわち、第1通知部343Aによる第1ダイヤル341Aの回動規制について説明する。なお、第2制御部56によって制御される第2通知部343Bによるユーザーへの通知についても同様である。
【0028】
なお、楽曲に固有のBPM、すなわち、再生速度が調節される前の楽曲のBPMをオリジナルBPMと称し、再生速度が調節された後の楽曲のBPMを調節後BPMと称する。このため、第1楽曲に固有のBPMを第1オリジナルBPMと称し、第1調節部52によって再生速度が調節された後の第1楽曲のBPMを第1調節後BPMと称する。
また、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を調節後割合と称する。すなわち、オリジナルBPMに対する調節後BPMの割合を調節後割合と称する。このため、第1オリジナルBPMに対する第1調節後BPMの割合を第1調節後割合とする。なお、調節後割合は、百分率(%)で示される値である。
【0029】
第1制御部53は、上記のように第1ダイヤル341Aが回動されて、第1楽曲のBPMが増加されて、第1調節後割合が所定値に到達すると、第1通知部343Aを動作させて、第1ダイヤル341Aの同方向への更なる回動を規制する。すなわち、第1制御部53は、第1調節後割合が所定値に到達すると、第1通知部343Aによって、第1ダイヤル341Aの同方向への更なる回動を規制する。このため、通知部343は、規制部ということができる。
【0030】
具体的に、第1ダイヤル341Aが時計回りに回動されて、第1楽曲のBPMが増加され、第1調節後割合が所定値である第1限界値に到達した場合に、第1制御部53は、第1通知部343Aにより、第1ダイヤル341Aの時計回りへの更なる回動を規制する。これにより、第1調節後割合が第1限界値に到達したことがユーザーに通知される。第1通知部343Aによる第1ダイヤル341Aの時計回りへの回動が規制された状態から第1ダイヤル341Aが反時計回りに回動されて、第1調節後割合が第1限界値未満になると、第1通知部343Aによる規制は解除される。第1限界値としては、「200%」が例示される。
【0031】
同様に、第1ダイヤル341Aが反時計回りに回動されて、第1楽曲のBPMが減少され、第1調節後割合が所定値である第2限界値に到達した場合に、第1制御部53は、第1通知部343Aにより、第1ダイヤル341Aの反時計回りへの更なる回動を規制する。これにより、第1調節後割合が第2限界値に到達したことがユーザーに通知される。第1通知部343Aによる第1ダイヤル341Aの反時計回りへの回動が規制された状態から第1ダイヤル341Aが時計回りに回動されて、第1調節後割合が第2限界値よりも大きくなると、第1通知部343Aによる規制は解除される。第2限界値としては、「0%」が例示される。
【0032】
なお、第1通知部343Aは、第1ダイヤル341Aの回動の規制に代えて、或いは、第1ダイヤル341Aの回動の規制に加えて、他の方法によって、第1調節後割合が第1限界値又は第2限界値に到達したことを、ユーザーに通知してもよい。例えば、第1通知部343Aは、通知音を出力してもよく、第1ダイヤル341Aを振動させてもよい。
【0033】
[表示部の表示内容]
次に、表示部344による表示内容を表示モード毎に説明する。
モード切替部57によって切り替えられる表示モードには、直接表示モード、割合表示モード、図形表示モード及びスライダー表示モードが含まれる。以下の説明では、第1表示部344Aによる表示内容を説明するが、第2表示部344Bによる表示内容も同様である。
【0034】
[直接表示モード]
図4は、直接表示モードでの第1表示部344Aの表示内容の一例を示す図である。
直接表示モードは、
図4に示すように、第1表示部344Aが第1オリジナルBPMと第1調節後BPMを表示する表示モードである。すなわち、直接表示モードでは、表示制御部58は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとを第1表示部344Aに表示させる。このため、直接表示モードにて第1表示部344Aに表示される画面DP1には、第1オリジナルBPMを表示するオリジナルBPM表示部DP11と、第1調節後BPMを表示する調節後BPM表示部DP12と、が設けられている。
【0035】
[割合表示モード]
図5は、割合表示モードでの第1表示部344Aの表示内容の一例を示す図である。
割合表示モードは、
図5に示すように、第1表示部344Aが第1オリジナルBPMと、第1オリジナルBPMに対する第1調節後BPMの割合(第1調節後割合)とを表示する表示モードである。すなわち、割合表示モードでは、表示制御部58は、第1オリジナルBPMと、第1調節後割合とを第1表示部344Aに表示させる。このため、割合表示モードにて第1表示部344Aに表示される画面DP2には、オリジナルBPM表示部DP11と、第1調節後割合を表示する割合表示部DP22と、が設けられている。なお、割合表示モードにて表示される割合は、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を示す情報の一例である。
【0036】
[図形表示モード]
図6は、図形表示モードでの第1表示部344Aの表示内容の一例を示す図である。
図形表示モードは、
図6に示すように、第1表示部344Aが第1オリジナルBPMと、図形FG1,FG2のうち一方の図形と、を表示する表示モードである。図形FG1,FG2は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの比較結果に応じた図形である。詳述すると、図形FG1,FG2は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの大小関係を示す図形であり、図形FG1は、上向きの三角形であり、図形FG2は、下向きの三角形である。
このため、図形表示モードにて第1表示部344Aに表示される画面DP3には、オリジナルBPM表示部DP11と、図形FG1,FG2を表示する図形表示部DP31と、が設けられている。
【0037】
[第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも大きい場合]
図7は、第1調節後割合と、表示される図形FG1,FG2との関係を説明する図である。
図形表示モードでは、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも大きい場合、表示制御部58は、
図7に示すように、図形FG1を第1表示部344Aに表示させ、図形FG2を表示させない。すなわち、図形FG1は、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも大きいことを示す図形である。
このとき、第1調節後割合が100%より大きく、第1閾値未満である場合には、表示制御部58は、第1表示部344Aに表示される図形FG1の輝度を最も低くする。なお、第1閾値は、100%よりも大きい値であり、本実施形態では110%である。しかしながら、第1閾値は、適宜変更可能である。
【0038】
また、第1調節後割合が第1閾値以上、第2閾値未満である場合には、表示制御部58は、第1表示部344Aに表示される図形FG1の輝度を高くする。すなわち、第1調節後割合が第1閾値以上、第2閾値未満である場合に表示される図形FG1の輝度は、第1調節後割合が100%より大きく、第1閾値未満である場合に表示される図形FG1の輝度よりも高い。なお、第2閾値は、第1閾値よりも大きい値であり、本実施形態では、第2閾値は120%である。しかしながら、第2閾値は、適宜変更可能である。
更に、第1調節後割合が第2閾値以上である場合には、表示制御部58は、第1表示部344Aに表示される図形FG1の輝度を最も高くする。
すなわち、第1調節後割合が100%よりも大きい場合に表示される図形FG1の輝度は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの差分が大きくなるに従って高くなり、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの差分が小さくなるに従って低くなる。換言すると、図形FG1の輝度は、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMに近づくに従って低くなり、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMから離れるに従って高くなる。
このような図形FG1の輝度の違いは、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を示す情報の一例である。
【0039】
[第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも小さい場合]
図形表示モードでは、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも小さい場合、表示制御部58は、下向きの三角形である図形FG2を第1表示部344Aに表示させ、上向きの三角形である図形FG1を表示させない。すなわち、図形FG2は、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMよりも小さいことを示す図形である。
このとき、第1調節後割合が第3閾値よりも大きく、100%未満である場合には、表示制御部58は、図形FG2の輝度を最も低くする。第3閾値は、100%よりも小さい値であり、本実施形態では90%である。しかしながら、第3閾値は、適宜変更可能である。
【0040】
また、第1調節後割合が第3閾値以下であり、第4閾値よりも大きい場合には、表示制御部58は、図形FG2の輝度を高くする。すなわち、第1調節後割合が第4閾値よりも大きく、第3閾値以下である場合に表示される図形FG2の輝度は、第1調節後割合が第3閾値よりも大きく、100%未満である場合に表示される図形FG2の輝度よりも高い。なお、第4閾値は、第3閾値よりも小さい値であり、本実施形態では80%である。しかしながら、第4閾値は、適宜変更可能である。
更に、第1調節後割合が第4閾値以下である場合には、表示制御部58は、図形FG2の輝度を最も高くする。
すなわち、第1調節後割合が100%よりも小さい場合に表示される図形FG2の輝度は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの差分が大きくなるに従って高くなり、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの差分が小さくなるに従って低くなる。換言すると、図形FG2の輝度は、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMに近づくに従って低くなり、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMから離れるに従って高くなる。
このような図形FG2の輝度の違いは、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を示す情報の一例である。
【0041】
[第1調節後BPMが第1オリジナルBPMと同じ値である場合]
第1調節後BPMが第1オリジナルBPMと同じ値である場合には、
図7に示すように、図形FG1,FG2は表示されない。
以上のように、図形FG1が表示される場合と、図形FG2が表示される場合と、図形FG1,FG2のそれぞれが表示されない場合とを確認することによって、ユーザーは、第1オリジナルBPMに対する第1調節後BPMの大小を直感的に把握できる。この他、第1調節後割合を直感的に把握できる。
【0042】
本実施形態では、図形FG1,FG2の輝度は、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が大きくなるに従って高くなる。換言すると、図形FG1,FG2の輝度は、調節後BPMがオリジナルBPMに近づくに従って低くなる。これにより、調節後BPMがオリジナルBPMから離れた値であることを、ユーザーが把握しやすくすることができる。
一方、図形FG1,FG2の輝度は、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が小さくなるに従って高くなり、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が大きくなるに従って低くなってもよい。具体的に、第1調節後割合が100%よりも大きい場合に表示される図形FG1の輝度を、第1調節後割合が第1閾値よりも小さい場合に最も高くし、第1調節後割合が第2閾値以上である場合に最も低くしてもよい。同様に、第1調節後割合が100%よりも小さい場合に表示される図形FG2の輝度を、第1調節後割合が第3閾値よりも大きい場合に最も高くし、第1調節後割合が第4閾値以下である場合に最も低くしてもよい。この場合、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとが一致している状態から、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの差分が生じた場合に、図形FG1又は図形FG2が高い輝度で表示されるので、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとが一致しているか否かを、ユーザーが判別しやすくすることができる。
【0043】
[スライダー表示モード]
図8は、スライダー表示モードでの第1表示部344Aによる表示内容の一例を示す図である。
スライダー表示モードは、
図8に示すように、第1表示部344Aが第1オリジナルBPMと、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの比較結果に応じた図形として、図形FG3を表示する表示モードである。図形FG3は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの比較結果に応じた図形である。詳述すると、図形FG3は、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの大小関係を示す図形である。
スライダー表示モードにて第1表示部344Aに表示される画面DP4には、オリジナルBPM表示部DP11と、図形FG3を表示する図形表示部DP41と、が設けられている。
【0044】
図形FG3は、所定のスライド範囲内において第1調節後割合に応じた位置にスライド操作子が配置されたスライダーを示す図形である。詳述すると、図形FG3は、第1基準線FG31、第2基準線FG32、スライド操作子FG33及び範囲表示部FG34を備える。すなわち、図形FG3は、テンポスライダーを模した図形である。
第1基準線FG31は、上下方向に延出する直線である。第1基準線FG31によってスライド操作子FG33のスライド範囲が規定される。
第2基準線FG32は、第1基準線FG31の中央にて、第1基準線FG31に交差する方向に延出している。第2基準線FG32は「100%」を示す目盛である。
【0045】
スライド操作子FG33は、第1基準線FG31に沿って上下にスライドし、第1調節後割合を示す。
第1調節後割合が100%である場合、すなわち、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとが同じ値である場合には、スライド操作子FG33は、表示制御部58によって第2基準線FG32上に配置される。
第1オリジナルBPMよりも第1調節後BPMが小さい場合には、スライド操作子FG33は、表示制御部58によって、第2基準線FG32よりも上側に配置される。
第1オリジナルBPMよりも第1調節後BPMが大きい場合には、スライド操作子FG33は、表示制御部58によって、第2基準線FG32よりも下側に配置される。
このように、第2基準線FG32に対するスライド操作子FG33の位置によって、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの大小関係が示される。この点で、図形FG3は、上記のように、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの大小関係を示す図形である。
【0046】
範囲表示部FG34は、第1基準線FG31上にスライド可能に配置されたスライド操作子FG33によって示される第1調節後割合の範囲を表示する。
ここで、第1基準線FG31上に配置されたスライド操作子FG33によって示される第1調節後割合の範囲は、第1調節後割合に応じて変更される。すなわち、第1基準線FG31の上端によって規定される最小値と、第1基準線FG31の下端によって規定される最大値とは、第1調節後割合に応じて変更される。
【0047】
具体的に、第1調節後割合が、94%以上、106%以下の範囲内の値である場合には、表示制御部58は、第1基準線FG31によって規定される第1調節後割合の範囲を、94%以上、106%以下の範囲とする。このとき、第1基準線FG31の上端によって規定される最小値は94%であり、第1基準線FG31の下端によって規定される最大値は106%である。この場合、範囲表示部FG34には「6%」が表示される。
【0048】
第1調節後割合が、90%以上、94%未満の範囲内の値である場合、又は、106%より大きく、110%以下の範囲内の値である場合には、表示制御部58は、第1基準線FG31によって規定される第1調節後割合の範囲を、90%以上、110%以下の範囲とする。このとき、第1基準線FG31の上端によって規定される最小値は90%であり、第1基準線FG31の下端によって規定される最大値は110%である。この場合、範囲表示部FG34には「10%」が表示される。
【0049】
第1調節後割合が、84%以上、90%未満の範囲内の値である場合、又は、110%より大きく、116%以下の範囲内の値である場合には、表示制御部58は、第1基準線FG31によって規定される第1調節後割合の範囲を、84%以上、116%以下の範囲とする。このとき、第1基準線FG31の上端によって規定される最小値は84%であり、第1基準線FG31の下端によって規定される最大値は116%である。この場合、範囲表示部FG34には「16%」が表示される。
【0050】
第1調節後割合が、0%以上、84%未満の範囲内の値である場合、又は、116%より大きく、200%以下の範囲内の値である場合には、表示制御部58は、第1基準線FG31によって規定される第1調節後割合の範囲を、0%以上、200%以下の範囲とする。このとき、第1基準線FG31の上端によって規定される最小値は0%であり、第1基準線FG31の下端によって規定される最大値は200%である。この場合、範囲表示部FG34には「100%」が表示される。
なお、第1調節後割合が200%よりも大きい場合には、表示制御部58は、図形FG3に代えてエラーを示す図形を図形表示部DP41に表示してもよい。
【0051】
このように、第1基準線FG31上を第1調節後割合に応じてスライドするスライド操作子FG33の位置と、範囲表示部FG34に表示された範囲とを確認することによって、第1オリジナルBPMと第1調節後BPMとの大小関係、並びに、第1調節後割合を直感的に把握できる。すなわち、図形FG3によって示される情報は、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を示す情報の一例である。
【0052】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係る音響制御装置1は、以下の効果を奏する。
音響制御装置1は、楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置である。音響制御装置1は、第1ダイヤル341A、第2ダイヤル341B及び制御部5を備える。第1ダイヤル341A及び第2ダイヤル341Bは、筐体2に回転可能に設けられたダイヤルである。第1ダイヤル341Aは、第1楽曲の再生速度を調整する操作を受け付け、第2ダイヤル341Bは、第2楽曲の再生速度を調整する操作を受け付ける。制御部5は、第1調節部52及び第2調節部55を備える。第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転状態に応じて、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲の再生速度の変化量を変化させる。第2調節部55は、第2ダイヤル341Bの回転状態に応じて、第2ダイヤル341Bの単位回転角度毎の第2楽曲の再生速度の変化量を変化させる。詳述すると、第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転状態に応じて、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を変化させる。第2調節部55は、第2ダイヤル341Bの回転状態に応じて、第2ダイヤル341Bの単位回転角度毎の第2楽曲のBPMの変化量を変化させる。
【0053】
このような構成によれば、第1ダイヤル341Aの回転状態を変更することによって、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させることができる。すなわち、第1ダイヤル341Aの回転操作の仕方を変更することによって、当該変化量を変化させることができる。このため、第1ダイヤル341Aの回転角度が同じであっても、第1楽曲の再生速度を大きく変化させる場合と、第1楽曲の再生速度を小さく変化させる場合とを切り替えることができる。従って、SHIFTボタン等を押すことなく、第1楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置1の利便性を高めることができる。第2ダイヤル341B及び第2調節部55についても同様である。
【0054】
音響制御装置1では、第1ダイヤル341Aの回転状態は、第1ダイヤル341Aの回転速度を含む。同様に、第2ダイヤル341Bの回転状態は、第2ダイヤル341Bの回転速度を含む。このため、制御部5の第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度に応じて、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させる。制御部5の第2調節部55は、第2ダイヤル341Bの回転速度に応じて、第2ダイヤル341Bの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させる。
このような構成によれば、第1ダイヤル341Aを回転させるときに、第1ダイヤル341Aの回転速度を変化させることによって、第1ダイヤル341Aの回転角度が同じであっても、第1楽曲の再生速度を大きく変化させる場合と、第1楽曲の再生速度を微調整する場合とを切り替えることができる。従って、片手で第1楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置1の利便性を高めることができる。第2ダイヤル341B及び第2調節部55についても同様である。
【0055】
音響制御装置1では、制御部5の第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度未満である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を、第1変化量とする。また、制御部5の第1調節部52は、第1ダイヤル341Aの回転速度が所定速度以上である間、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を、第1変化量よりも大きい第2変化量とする。制御部5の第2調節部55も同様である。
このような構成によれば、第1ダイヤル341Aの回転速度に応じて、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の第1楽曲のBPMの変化量を第1変化量と第2変化量とで切り替えることができる。このため、第1楽曲のBPM及び再生速度を大きく変更する場合の第1ダイヤル341Aの操作と、小さく変更する場合の第1ダイヤル341Aの操作とを容易に切り替えることができる他、調節後の楽曲のBPM及び再生速度をユーザーが把握しやすくすることができる。従って、第1楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置1の利便性を高めることができる。第2調節部55によっても同様の効果を奏することができる。
【0056】
音響制御装置1では、第1ダイヤル341Aの回転加速度を検出する第1検出部342Aと、第2ダイヤル341Bの回転加速度を検出する第2検出部342Bと、を備える。制御部5の第1調節部52は、第1検出部342Aによって検出される第1ダイヤル341Aの回転加速度に基づいて第1ダイヤル341Aの回転速度を算出する。制御部5の第2調節部55は、第2検出部342Bによって検出される第2ダイヤル341Bの回転加速度に基づいて第2ダイヤル341Bの回転速度を算出する。
このような構成によれば、第1ダイヤル341Aの回転角度及び回転時間に基づいて回転速度を算出する場合に比べて、第1ダイヤル341Aの回転速度が上記所定速度未満であるか否か、上記所定速度以上であるか否かを迅速に判定できる。このため、第1ダイヤル341Aの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を迅速に決定できるので、第1ダイヤル341Aの回転操作に応じた第1楽曲の再生速度に調節しやすくすることができる。従って、第1ダイヤル341Aの回転角度と第1楽曲の再生速度の調節量とをリンクさせやすくすることができ、第1ダイヤル341Aの操作感及び音響制御装置1の利便性を一層高めることができる。第2検出部342B及び第2調節部55によっても同様の効果を奏することができる。
【0057】
音響制御装置1では、制御部5の第1調節部52は、第1ダイヤル341Aが時計回りに回転されると、第1楽曲のBPMを増加させ、ひいては、第1楽曲の再生速度を増加させる。制御部5の第1調節部52は、第1ダイヤル341Aが反時計回りに回転されると、第1楽曲のBPMを減少させ、ひいては、第1楽曲の再生速度を減少させる。時計回りは、第1回転方向に相当し、反時計回りは、第1回転方向とは反対方向に相当する。制御部5の第2調節部55Bも同様である。
このような構成によれば、第1ダイヤル341Aの回転方向に応じて、第1楽曲の再生速度を増加又は減少させることができる。従って、第1楽曲の再生速度を調節しやすくすることができ、音響制御装置1の利便性を高めることができる。第2調節部55によっても同様の効果を奏することができる。
【0058】
音響制御装置1では、天面21に第1ダイヤル341Aが回転可能に設けられる筐体2を備える。上記のように、第1回転方向は、天面21に対向する位置から見て時計回りの方向である。なお、天面21は、第1面に相当する。
一般的に、所定の指標の数値を増加させるときのダイヤルの操作方向は時計回りであり、当該数値を減少させるときのダイヤルの操作方向は反時計回りである。
これに対し、第1ダイヤル341Aを時計回りに回転させることによって、第1楽曲の再生速度を増加させることができ、第1ダイヤル341Aを反時計回りに回転させることによって、第1楽曲の再生速度を減少させることができる。従って、第1楽曲の再生速度を増加又は減少させるときの第1ダイヤルの操作方向をユーザーが把握しやすくすることができるので、第1楽曲の再生速度の調節操作を容易に実施しやすくすることができる。天面21に回転可能に設けられる第2ダイヤル341Bについても同様である。
【0059】
音響制御装置1は、第1通知部343A及び第2通知部343Bを備える。第1通知部343Aは、第1楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の第1楽曲のBPMの割合が第1限界値及び第2限界値のうちの一方の限界値に到達すると、当該割合が当該一方の限界値に到達したことを通知する。第2通知部343Bも同様である。すなわち、第1通知部343A及び第2通知部343Bは、通知部に相当し、第1限界値及び第2限界値は、所定値に相当する。
このような構成によれば、ユーザーがダイヤルを回転させている場合でも、ユーザーは、上記割合が第1限界値又は第2限界値に到達したことを把握できる。従って、音響制御装置1の利便性を高めることができる。
【0060】
音響制御装置1では、第1通知部343Aは、第1ダイヤル341Aが回転されて、第1楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の第1楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、第1ダイヤル341Aが回転されていた方向への第1ダイヤル341Aの回転を規制する。すなわち、第1通知部343Aは、時計回り及び反時計回りのうち一方の方向に第1ダイヤル341Aが回転されて、第1楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、当該一方の方向への第1ダイヤル341Aの回転を規制する。これにより、第1通知部343Aは、第1調節後割合が第1限界値又は第2限界値に到達したことを通知する。第2通知部343Bも同様である。
このような構成によれば、上記割合が第1限界値又は第2限界値に到達したことをユーザーが把握しやすくすることができる。従って、音響制御装置1の利便性を一層高めることができる。
【0061】
音響制御装置1は、第1表示部344A及び第2表示部344Bを備える。第1表示部344Aは、制御部5によって調節された第1楽曲の再生速度に関する情報を表示する。第2表示部344Bは、制御部5によって調節された第2楽曲の再生速度に関する情報を表示する。
このような構成によれば、第1表示部344A及び第2表示部344Bによる表示内容を確認することによって、第1楽曲及び第2楽曲の再生速度を調節しやすくすることができる。
【0062】
音響制御装置1では、第1表示部344Aは、制御部5の第1調節部52によって調節された第1楽曲の再生速度に関する情報として、第1楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の第1楽曲のBPMの割合を示す情報を表示する。すなわち、第1表示部344Aは、再生速度調節後の第1楽曲の再生速度に関する情報として、第1オリジナルBPMに対する第1調節後BPMの割合である第1調節後割合を示す情報を表示する。第2表示部344Bも同様である。
このような構成によれば、現在の第1調節後BPMが第1オリジナルBPMに対してどの程度調節されたのかを、ユーザーが直感的に把握できる。従って、第1楽曲の再生速度を調節しやすくすることができる。第2表示部344Bによっても同様の効果を奏することができる。
【0063】
[第1実施形態の変形]
上記説明した音響制御装置1では、表示モードが図形表示モードであるときに、第1調節後割合に応じて、図形FG1,FG2の輝度を変更するとした。しかしながら、これに限らず、第1調節後割合に応じて、図形FG1,FG2の輝度、色及び点滅周期の少なくとも1つを変更する構成としてもよい。
【0064】
図9は、表示モードが図形表示モードであるときに、第1調節後割合と、表示される図形FG1,FG2との関係を説明する図である。
例えば、表示モードが図形表示モードであるときに、図形FG1,FG2を
図9に示すように表示させてもよい。
すなわち、第1調節後割合が100%より大きく、第1閾値(例えば110%)未満である場合には、表示制御部58は、図形FG1の色を赤色とする。第1調節後割合が第1閾値以上、第2閾値(例えば120%)未満である場合には、表示制御部58は、図形FG1の色を橙色とする。第1調節後割合が第2閾値以上である場合には、表示制御部58は、図形FG1の色を黄色とする。
【0065】
また、第1調節後割合が第3閾値(例えば90%)よりも大きく、100%未満である場合には、表示制御部58は、図形FG2の色を青緑色とする。第1調節後割合が第3閾値以下であり、第4閾値(例えば80%)よりも大きい場合には、表示制御部58は、図形FG2の色を青色とする。第1調節後割合が第4閾値以下である場合には、表示制御部58は、図形FG2の色を青紫色とする。
なお、第1調節後BPMが第1オリジナルBPMと同じ値である場合には、上記と同様に、図形FG1,FG2は表示されない。
【0066】
このように、音響制御装置1において、図形FG1,FG2の色は、調節後割合に応じて異なってもよい。
このような構成によれば、図形FG1,FG2の色を確認することによって、調節後割合を容易に把握できる。
また、調節後割合が100%を超える場合には、図形FG1の色を暖色とし、調節後割合が100%未満である場合には、図形FG2の色を寒色とすることによって、ユーザーは、オリジナルBPMと調節後BPMとの大小関係をより直感的に把握できる。
なお、調節後割合と図形FG1,FG2の色との関係は、上記に限定されず、図形FG1,FG2の色は、他の色であってもよい。
【0067】
図10は、表示モードが図形表示モードであるときに、調節後割合と、表示される図形FG1,FG2との関係を説明する図である。
例えば、表示モードが図形表示モードであるときに、図形FG1,FG2を
図10に示すように表示させてもよい。
すなわち、調節後割合が100%より大きく、第1閾値(例えば110%)未満である場合には、表示制御部58は、図形FG1の点滅周期を大きい値とする。調節後割合が第1閾値以上、第2閾値(例えば120%)未満である場合には、表示制御部58は、図形FG1の点滅周期を、調節後割合が100%より大きく、第1閾値未満である場合の点滅周期よりも小さい値とする。調節後割合が第2閾値以上である場合には、表示制御部58は、図形FG1の点滅周期を最も小さい値とする。なお、点滅周期が大きいとは、点滅周波数が低く、点滅頻度が低いことを示し、点滅周期が小さいとは、点滅周波数が高く、点滅頻度が高いことを示す。
【0068】
また、調節後割合が第3閾値(例えば90%)よりも大きく、100%未満である場合には、表示制御部58は、図形FG2の点滅周期を大きい値とする。調節後割合が第3閾値以下であり、第4閾値(例えば80%)よりも大きい場合には、表示制御部58は、図形FG2の点滅周期を、調節後割合が第3閾値よりも大きく、100%未満である場合の点滅周期よりも小さい値とする。調節後割合が第4閾値以下である場合には、表示制御部58は、図形FG2の点滅周期を最も小さい値とする。
このように、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が大きくなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期は小さくなり、図形FG1,FG2の点滅頻度は高くなる。換言すると、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が小さくなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期は大きくなり、図形FG1,FG2の点滅頻度は低くなる。
なお、調節後BPMがオリジナルBPMと同じ値である場合には、上記と同様に、図形FG1,FG2は表示されない。
【0069】
このように、音響制御装置1において、図形FG1,FG2の点滅周期は、調節後割合に応じて異なってもよい。
このような構成によれば、図形FG1,FG2の点滅周期を確認することによって、調節後割合を容易に把握できる。
また、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が小さくなり、調節後割合が100%に近くなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期を大きくすることによって、ユーザーは、調節後割合を把握しやすくすることができる。換言すると、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が大きくなり、調節後割合が100%から離れるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期を小さくすることによって、ユーザーは、調節後割合を把握しやすくすることができる。
【0070】
なお、調節後割合と図形FG1,FG2の点滅周期との関係は、上記に限定されず、例えば調節後割合が100%に近くなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期を小さくしてもよい。換言すると、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が小さくなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期を小さくして、図形FG1,FG2の点滅頻度を高くしてもよい。また、オリジナルBPMと調節後BPMとの差分が大きくなるに従って、図形FG1,FG2の点滅周期を大きくして、図形FG1,FG2の点滅頻度を低くしてもよい。なお、オリジナルBPMと調節後BPMとが一致する場合には、図形FG1,FG2は、点灯されずに消灯される。
このような構成によれば、点滅頻度が高い状態にて点滅していた図形FG1,FG2の消灯を確認することによって、ユーザーは、オリジナルBPMと調節後BPMとが一致していることを容易に把握できる。
【0071】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係る音響制御装置は、第1実施形態に係る音響制御装置1と同様の構成を備えるが、オリジナルBPMに対する調節後BPMの割合を示す表示部がダイヤルに設けられている点で相違する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
[音響制御装置の概略構成]
図11は、本実施形態に係る音響制御装置が備えるダイヤル346を示す模式図である。
本実施形態に係る音響制御装置は、第1実施形態に係るダイヤル341に代えて、
図11に示すダイヤル346及び割合表示部347を備える他は、第1実施形態に係る音響制御装置1と同様の構成及び機能を備える。すなわち、本実施形態では、再生速度操作部34は、ダイヤル346、検出部342、通知部343、表示部344、切替操作部345及び割合表示部347を有する。
【0073】
[ダイヤルの構成]
ダイヤル346は、ダイヤル341と同様に、天面21に対向する位置から見て時計回り及び反時計回りに回転可能に設けられ、楽曲の再生速度を調節する操作を受け付ける。ダイヤル346には、割合表示部347が設けられている。
【0074】
[割合表示部の構成]
割合表示部347は、表示制御部58の制御の下、調節後割合を表示する。割合表示部347は、ダイヤル346の回転方向に沿って配置された複数の発光素子348によって構成されている。
割合表示部347は、ダイヤル346の周方向に設けられた基点BPから時計回りに半周分の領域である第1領域347Aと、基点BPから反時計回りに半周分の領域である第2領域347Bとを有する。
第1領域347Aは、調節後BPMがオリジナルBPMよりも大きい場合に調節後割合を表示する領域である。詳述すると、第1領域347Aは、調節後割合が100%よりも大きく、200%未満である場合に、調節後割合を表示する領域である。
第2領域347Bは、調節後BPMがオリジナルBPMよりも小さい場合に調節後割合を表示する領域である。詳述すると、第2領域347Bは、調節後割合が0%よりも大きく、100%未満である場合に、調節後割合を表示する領域である。
なお、基点BPは、ダイヤル346の回転軸Rxから上方向に延びる仮想線VLと、ダイヤル346の回転軸Rxを中心とする周方向との交差部に設定されている。上記のように、ダイヤル346は、回転軸Rxを中心として回転可能であることから、基点BPの位置は、ダイヤル346が回転されたときには表示制御部58によって常に更新される。
【0075】
[割合表示部の機能]
図12は、割合表示部347の表示態様の一例を示す図である。具体的に、
図12は、調節後割合が130%であるときの割合表示部347を示す図である。
表示制御部58は、割合表示部347が有する複数の発光素子348のうち、調節後割合に応じた数の発光素子348を点灯させることによって調節後割合を割合表示部347に表示させる。詳述すると、表示制御部58は、調節後BPMがオリジナルBPMよりも大きい場合には、第1領域347Aに配置された複数の発光素子348のうち、100%と調節後割合との差分に応じた数の発光素子348を基点BPから点灯させることによって、調節後割合を表示させる。
例えば、調節後割合が130%である場合、表示制御部58は、
図12に示すように、第1領域347Aに配置された複数の発光素子348のうち、100%と調節後割合との差分である30%に応じた数の発光素子348を基点BPから点灯させることによって、調節後割合を割合表示部347に表示させる。
【0076】
図13は、割合表示部347の表示態様の一例を示す図である。具体的に、
図13は、調節後割合が80%であるときの割合表示部347を示す図である。
また、表示制御部58は、調節後BPMがオリジナルBPMよりも小さい場合には、第2領域347Bに配置された複数の発光素子348のうち、100%と調節後割合との差分に応じた数の発光素子348を基点BPから点灯させることによって、調節後割合を表示させる。
例えば、調節後割合が80%である場合、表示制御部58は、
図13に示すように、第2領域347Bに配置された複数の発光素子348のうち、100%と調節後割合との差分である20%に応じた数の発光素子348を基点BPから点灯させることによって、調節後割合を割合表示部347に表示させる。
【0077】
このように、基点BPを中心として、時計回りの第1領域347A及び反時計回りの第2領域347Bのうちの一方が調節後割合を表示することによって、ユーザーは、調節後割合を直感的に把握できる。
なお、第1領域347Aに配置された発光素子348の発光色と、第2領域347Bに配置された発光素子348の発光色とは、異なっていてもよい。例えば、調節後BPMがオリジナルBPMよりも大きい場合に点灯される発光素子348は、暖色のうち赤色で点灯し、調節後BPMがオリジナルBPMよりも小さい場合に点灯される発光素子348は、寒色のうち青色で点灯してもよい。更に、発光素子348は、上記第1実施形態の変形と同様に、調節後割合に応じた周波数で点滅してもよい。
以上説明した本実施形態に係る音響制御装置は、第1実施形態に係る音響制御装置1と同様の効果を奏する。
【0078】
[第2実施形態の変形]
図14は、割合表示部347の他の配置を示す図である。
上記説明した割合表示部347は、ダイヤル346に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、他の場所に設けられていてもよい。
例えば、
図14に示すように、割合表示部347を構成する複数の発光素子348は、筐体2の天面21においてダイヤル341の周囲に設けられていてもよい。
このような構成によれば、複数の発光素子348は筐体2に固定されることとなるので、基点BPを固定できる。このため、基点BPから時計回りの第1領域347A、及び、基点BPから反時計回りの第2領域347Bを把握しやすくすることができる。従って、オリジナルBPMと調節後BPMとの大小関係を容易に把握できる他、点灯される発光素子348の配置範囲を確認することによって、調節後割合を把握できる。
この他、基点BPを固定できることから、回転されるダイヤル346における基点BPの位置を算出する処理を省略できる。
【0079】
[実施形態の変形]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本発明に含まれるものである。
【0080】
図15は、音響制御装置1の変形である音響制御装置1Aを示す模式図である。
上記各実施形態では、チャンネル操作部3ごとに再生速度操作部34が設けられていた。しかしながら、これに限らず、例えば
図15に示す音響制御装置1Aのように、音響制御装置全体で1つの再生速度操作部34が設けられていてもよい。この場合、制御部5は、再生速度操作部34に対する操作に応じて、全てのチャンネルの楽曲の再生速度を同時に調節する。このとき、制御部5は、1つの再生速度操作部34の回転状態に応じて、全てのチャンネルの楽曲の再生時のBPMを同じ値ずつ増減させてもよく、全てのチャンネルの楽曲の再生時のBPMを同じ割合で増減させてもよい。このような再生速度操作部34が設けられる場合には、第1チャンネル操作部3Aは、第1チャンネルの楽曲の再生速度のみ調節可能なテンポスライダー35を備えていてもよく、第2チャンネル操作部3Bは、第2チャンネルの楽曲の再生速度のみ調節可能なテンポスライダー35を備えていてもよい。
【0081】
上記各実施形態では、ダイヤル341,346の回転状態は、ダイヤル341,346の回転速度を含むとした。すなわち、制御部5は、ダイヤル341,346の回転速度に応じて、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量を変化させ、これにより、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させるとした。しかしながら、これに限らず、ダイヤル341,346の回転状態は、ダイヤル341,346の回転速度を含まなくてもよく、制御部5は、ダイヤル341,346の回転状態に応じて、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量を変化させ、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させればよい。例えば、ダイヤル341,346に対して所定の回転操作が行われた場合に、単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量、及び、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させてもよい。この場合、制御部5は、ダイヤル341,346が時計回り及び反時計回りのうち一方の方向に所定角度回転され、他方の方向に所定角度回転された後、一方の方向に更に回転されると、後の一方の方向へのダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量を第1変化量から第2変化量に変化させて、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させてもよい。また、この場合、当該変化量を、第2変化量から第1変化量に変化させてもよい。また、制御部5は、ダイヤル341,346が筐体2に向かって押下されずに回転された場合と、ダイヤル341,346が筐体2に向かって押下されつつ回転された場合とで、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量、及び、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させてもよい。また、制御部5は、ダイヤル341,346に対する筐体2に向かう方向への押圧力が所定値未満である場合と、所定値以上である場合とで、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量、及び、単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させてもよい。
【0082】
上記各実施形態では、制御部5は、ダイヤル341,346の回転速度が所定速度未満である間、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMの変化量を、第1変化量とし、ダイヤル341,346の回転速度が所定速度以上である間、ダイヤル341,346の単位回転角度毎の楽曲のBPMを、第1変化量よりも大きい第2変化量とした。しかしながら、これに限らず、第2変化量は、第1変化量よりも小さい変化量であってもよい。
【0083】
上記各実施形態では、音響制御装置1,1Aは、ダイヤル341,346の回転加速度を検出する検出部342を備えるとした。そして、制御部5は、検出部342によって検出されるダイヤル341,346の回転加速度に基づいてダイヤル341,346の回転速度を算出するとした。しかしながら、これに限らず、ダイヤル341,346の回転時間及び回転角度に基づいて、ダイヤル341,346の回転速度を算出してもよい。
【0084】
上記各実施形態では、制御部5は、ダイヤル341,346が第1回転方向としての時計回りに回転されると、楽曲のBPM及び再生速度を増加させ、ダイヤル341,346が第1回転方向とは反対方向である反時計回りに回転されると、楽曲のBPM及び再生速度を減少させるとした。しかしながら、これに限らず、制御部5は、ダイヤル341,346が反時計回りに回転されると、楽曲のBPM及び再生速度を増加させ、ダイヤル341,346が時計回りに回転されると、楽曲のBPM及び再生速度を減少させてもよい。また、制御部5は、ダイヤル341,346が時計回り及び反時計回りのうち一方の方向に回転されたときのみ、楽曲のBPM及び再生速度を増加又は低減させる構成としてもよい。
【0085】
上記各実施形態では、音響制御装置1,1Aは、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、当該割合が所定値に到達したことを通知する通知部343を備えるとした。しかしながら、音響制御装置1,1Aは、通知部343を備えなくてもよい。
【0086】
上記各実施形態では、通知部343は、時計回り及び反時計回りのうち一方の方向にダイヤル341,346が回転されて、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、当該一方の方向へのダイヤル341,346の回転を規制することによって、当該割合が所定値に到達したことを通知するとした。しかしながら、これに限らず、上記のように、他の方法によって通知してもよい。
【0087】
上記各実施形態では、音響制御装置1,1Aは、制御部5によって調節された楽曲の再生速度に関する情報を表示する表示部344を備えるとした。しかしながら、音響制御装置1,1Aは、表示部344を備えなくてもよい。
また、再生速度操作部34A,34Bは、個別に表示部344を有するとした。しかしながら、これに限らず、音響制御装置1,1Aは、再生速度操作部34A,34Bに共通の表示部を備えていてもよい。
【0088】
上記各実施形態では、表示部344は、制御部5によって調節された楽曲の再生速度に関する情報として、楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の楽曲のBPMの割合を示す情報を表示するとした。しかしながら、これに限らず、表示部344は、他の情報を表示してもよい。例えば、直接表示モードのように、表示部344は、オリジナルBPMと調節後BPMを表示するものであってもよい。
【0089】
上記各実施形態では、図形FG1は、上向きの三角形であり、図形FG2は、下向きの三角形であるとした。しかしながら、これに限らず、図形FG1,FG2のうち、一方は右向きの三角形であってもよく、他方は左向きの三角形であってもよい。また、図形FG1,FG2は、互いに反対方向を指し示すものとしてもよく、例えば矢印又は他の多角形状であってもよい。すなわち、表示制御部58によって表示部344に表示される図形は、オリジナルBPMと調節後BPMとの比較結果に応じた図形であればよく、図形の形状及び大きさは問わない。
【0090】
上記各実施形態では、図形FG1,FG2の輝度は、オリジナルBPMに対する調節後BPMの割合(調節後割合)に応じて異なるとした。しかしながら、これに限らず、図形FG1,FG2の輝度は、調節後割合に依らずに一定であってもよい。同様に、図形FG1,FG2の色及び点滅周期も、調節後割合に依らずに一定であってもよい。また、輝度、色及び点滅周期のうち少なくとも2つを組み合わせて、図形を表示してもよい。
【0091】
上記各実施形態では、図形FG3に関し、スライド操作子FG33がスライド可能なスライド範囲を規定する第1基準線FG31によって示される調節後割合の範囲は、調節後割合に応じて異なるとした。しかしながら、これに限らず、当該スライド範囲が示す調節後割合の範囲は、一定であってもよい。
【0092】
上記各実施形態では、音響制御装置1,1Aでは、図形FG1,FG2,FG3等が表示される表示部344が設けられるとした。しかしながら、これに限らず、表示部344は、必ずしも無くてもよい。例えば、音響制御装置自体が表示部を備えていなくても、音響制御装置に接続される外部機器が図形等を表示する表示部を備えていてもよい。
【0093】
上記第2実施形態では、割合表示部347を構成する発光素子348は、ダイヤル346の回転方向におけるダイヤル346の1周に亘って設けられているとした。しかしながら、これに限らず、発光素子348が設けられる範囲は、適宜変更可能である。発光素子348がダイヤル346の周囲に設けられる場合も同様である。
【0094】
上記第2実施形態では、基点BPから時計回りの領域である第1領域347Aに設けられた複数の発光素子348によって、調節後BPMがオリジナルBPMよりも大きい場合の調節後割合を表示するとした。また、基点BPから反時計回りの領域である第2領域347Bに設けられた複数の発光素子348によって、調節後BPMがオリジナルBPMよりも小さい場合の調節後割合を表示するとした。しかしながら、これに限らず、第1領域347Aに設けられた複数の発光素子348によって、調節後BPMがオリジナルBPMよりも小さい場合の調節後割合を表示してもよい。同様に、第2領域347Bに設けられた複数の発光素子348によって、調節後BPMがオリジナルBPMよりも大きい場合の調節後割合を表示してもよい。
また、割合表示部347が設けられる構成も、ダイヤル346及び筐体2に限らず、適宜変更可能である。
【0095】
上記各実施形態では、各チャンネル操作部3に設けられた表示部344の表示モードには、直接表示モード、割合表示モード、図形表示モード及びスライダー表示モードが含まれるとした。しかしながら、音響制御装置は、これら表示モードの全てを必ずしも設定可能に構成されていなくてもよい。例えば、音響制御装置は、図形表示モード及びスライダー表示モードのうち少なくとも一方を、切替可能な表示モードとして備えていればよい。
【0096】
上記各実施形態では、音響制御装置1,1Aは、ミキサーであるとした。しかしながら、これに限らず、本開示の音響制御装置は、DJコントローラー等の他の音響装置であってもよく、他の電子機器であってもよい。
また、ミキサーである音響制御装置1,1Aの構成及びレイアウトは、
図1及び
図15に示した構成及びレイアウトに限らず、適宜変更可能である。
【0097】
[本発明のまとめ]
以下、本発明のまとめを付記する。
[1]楽曲の再生速度を調節可能な音響制御装置であって、回転可能に設けられ、前記楽曲の再生速度を調節する操作を受け付けるダイヤルと、前記ダイヤルの回転状態に応じて、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲の再生速度の変化量を変化させる制御部と、を備える。
このような構成によれば、ダイヤルの回転状態を変更することによって、ダイヤルの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を変化させることができる。すなわち、ダイヤルの回転操作の仕方を変更することによって、当該変化量を変化させることができる。このため、ダイヤルの回転角度が同じであっても、楽曲の再生速度を大きく変化させる場合と、楽曲の再生速度を小さく変化させる場合とを切り替えることができる。従って、SHIFTボタン等を押すことなく、楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置の利便性を高めることができる。
【0098】
[2][1]に記載の音響制御装置において、前記ダイヤルの回転状態は、前記ダイヤルの回転速度を含んでもよい。
このような構成によれば、ダイヤルを回転させるときに、ダイヤルの回転速度を変化させることによって、ダイヤルの回転角度が同じであっても、楽曲の再生速度を大きく変化させる場合と、楽曲の再生速度を微調整する場合とを切り替えることができる。従って、片手で楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置の利便性を高めることができる。
【0099】
[3][2]に記載の音響制御装置において、前記制御部は、前記ダイヤルの回転速度が所定速度未満である間、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲のBPMの変化量を、第1変化量とし、前記ダイヤルの回転速度が前記所定速度以上である間、前記ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲のBPMの変化量を、前記第1変化量よりも大きい第2変化量としてもよい。
このような構成によれば、ダイヤルの回転速度に応じて、ダイヤルの単位回転角度毎の前記楽曲のBPMの変化量を第1変化量と第2変化量とで切り替えることができる。このため、楽曲のBPM及び再生速度を大きく変更する場合のダイヤルの操作と、小さく変更する場合のダイヤルの操作とを容易に切り替えることができる他、調節後の楽曲のBPM及び再生速度をユーザーが把握しやすくすることができる。従って、楽曲の再生速度を容易に調節でき、音響制御装置の利便性を高めることができる。
【0100】
[4][2]又は[3]に記載の音響制御装置において、前記ダイヤルの回転加速度を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部によって検出される前記ダイヤルの回転加速度に基づいて前記ダイヤルの回転速度を算出してもよい。
このような構成によれば、ダイヤルの回転角度及び回転時間に基づいて回転速度を算出する場合に比べて、ダイヤルの回転速度が上記所定速度未満であるか否か、上記所定速度以上であるか否かを迅速に判定できる。このため、ダイヤルの単位回転角度毎の楽曲の再生速度の変化量を迅速に決定できるので、ダイヤルの回転操作に応じた楽曲の再生速度に調節しやすくすることができる。従って、ダイヤルの回転角度と楽曲の再生速度の調節量とをリンクさせやすくすることができ、ダイヤルの操作感及び音響制御装置の利便性を一層高めることができる。
【0101】
[5][1]から[4]のいずれか1つに記載の音響制御装置において、前記制御部は、前記ダイヤルが第1回転方向に回転されると、前記楽曲の再生速度を増加させ、前記ダイヤルが前記第1回転方向とは反対方向に回転されると、前記楽曲の再生速度を減少させてもよい。
このような構成によれば、ダイヤルの回転方向に応じて、楽曲の再生速度を増加又は減少させることができる。従って、楽曲の再生速度を調節しやすくすることができ、音響制御装置の利便性を高めることができる。
【0102】
[6][5]に記載の音響制御装置において、第1面に前記ダイヤルが回転可能に設けられる筐体を備え、前記第1回転方向は、前記第1面に対向する位置から見て時計回りの方向であってもよい。
一般的に、所定の指標の数値を増加させるときのダイヤルの操作方向は時計回りであり、当該数値を減少させるときのダイヤルの操作方向は反時計回りである。
これに対し、上記構成によれば、ダイヤルを時計回りに回転させることによって、楽曲の再生速度を増加させることができ、ダイヤルを反時計回りに回転させることによって、楽曲の再生速度を減少させることができる。従って、楽曲の再生速度を増加又は減少させるときのダイヤルの操作方向をユーザーが把握しやすくすることができるので、楽曲の再生速度の調節操作を容易に実施しやすくすることができる。
【0103】
[7][1]から[6]のいずれか1つに記載の音響制御装置において、前記楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の前記楽曲のBPMの割合が所定値に到達すると、前記割合が前記所定値に到達したことを通知する通知部を備えていてもよい。
このような構成によれば、ユーザーがダイヤルを回転させている場合でも、ユーザーは、上記割合が所定値に到達したことを把握できる。従って、音響制御装置の利便性を高めることができる。
【0104】
[8][7]に記載の音響制御装置において、前記通知部は、前記ダイヤルが回転されて、前記割合が前記所定値に到達すると、前記ダイヤルが回転されていた方向への前記ダイヤルの回転を規制することによって、前記割合が前記所定値に到達したことを通知してもよい。
このような構成によれば、上記割合が所定値に到達したことをユーザーが把握しやすくすることができる。従って、音響制御装置の利便性を一層高めることができる。
【0105】
[9][1]から[8]のいずれか1つに記載の音響制御装置において、前記制御部によって調節された前記楽曲の再生速度に関する情報を表示する表示部を備えていてもよい。
このような構成によれば、表示部による表示内容を確認することによって、楽曲の再生速度を調節しやすくすることができる。
【0106】
[10][9]に記載の音響制御装置において、前記表示部は、前記制御部によって調節された前記楽曲の再生速度に関する情報として、前記楽曲に固有のBPMに対する再生速度調節後の前記楽曲のBPMの割合を示す情報を表示してもよい。
このような構成によれば、楽曲に固有の再生速度に対してどの程度調節されたのかを、ユーザーが直感的に把握できる。従って、楽曲の再生速度を調節しやすくすることができる。
【符号の説明】
【0107】
1,1A…音響制御装置、2…筐体、21…天面(第1面)、341,346…ダイヤル、341A…第1ダイヤル、341B…第2ダイヤル、342…検出部、342A…第1検出部、342B…第2検出部、343…通知部、343A…第1通知部、343B…第2通知部、344…表示部、344A…第1表示部、344B…第2表示部、345…切替操作部、345A…第1切替操作部、345B…第2切替操作部、5…制御部。