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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-08
(45)【発行日】2025-08-19
(54)【発明の名称】ポンプ装置及び管理装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20250812BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20250812BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20250812BHJP
【FI】
F04B49/06 311
F04B49/10 311
F04B51/00
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022071715
(22)【出願日】2022-04-25
(65)【公開番号】P2023161367
(43)【公開日】2023-11-07
【審査請求日】2024-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雅之
(72)【発明者】
【氏名】鎌仲 真也
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 裕大
(72)【発明者】
【氏名】豊田 耕司
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-019763(JP,A)
【文献】特開2017-141771(JP,A)
【文献】特開2015-034513(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0409778(KR,Y1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0311370(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/10
F04B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置に通信可能なポンプ装置であって、
前記ポンプ装置の異常状態、又は前記異常状態になる前段階の兆候状態を検知する検知部と、
前記ポンプ装置が前記異常状態又は前記兆候状態である場合に、前記管理装置による遠隔操作の許可を設定する設定部と、
前記設定した内容に応じて、前記ポンプ装置を制御する制御部と、
を具備するポンプ装置。
【請求項2】
前記検知された異常状態を前記管理装置へ通知する通知部を更に備えた、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項3】
前記異常状態の通知から一定期間が経過したか否かを判定する判定部を更に備え、
前記設定部は、前記一定期間が経過したと判定された場合、前記遠隔操作の禁止を設定する、
請求項2に記載のポンプ装置。
【請求項4】
前記異常状態は、前記ポンプ装置の部品の故障により通常制御が不能な異常の状態、受水槽の液面異常の状態、前記ポンプ装置の安全を保つための保護機能が異常の状態、のいずれかである、請求項2又は3に記載のポンプ装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記遠隔操作によって所定の給水量を給水すると、前記遠隔操作による制御を停止し、
前記通知部は、前記遠隔操作による制御の停止を前記管理装置へ通知する、
請求項2又は3に記載のポンプ装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記遠隔操作によって前記ポンプ装置をリセットし、
前記通知部は、前記リセット毎に、前記検知された異常状態を前記管理装置へ通知し、
前記制御部は、前記遠隔操作の許可が設定された期間中に、当該リセットに伴い、前記検知された異常状態が前記管理装置へ上限回数以上通知されると、前記遠隔操作による制御を停止する、
請求項2又は3に記載のポンプ装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記遠隔操作の許可が設定された期間中に前記管理装置と定期的に通信し、一定期間以上通信できない場合に、前記遠隔操作による制御を停止する、
請求項2又は3に記載のポンプ装置。
【請求項8】
前記検知部は、前記ポンプ装置の前記異常状態、前記兆候状態、又は正常状態を検知し、
前記設定部は、前記ポンプ装置が前記正常状態である場合に、前記遠隔操作の禁止を設定する、請求項1に記載のポンプ装置。
【請求項9】
請求項2又は3に記載のポンプ装置に通信可能な管理装置であって、
前記ポンプ装置から異常状態が通知されると、前記ポンプ装置の遠隔操作が可能な期間を表示部に更新表示させる表示制御部と、
前記遠隔操作が可能な期間の表示中、操作者の操作に応じて、前記ポンプ装置を遠隔操作する遠隔操作制御部と、
を具備する管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置及び管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、遠距離通信可能なポンプ装置が開発され、ポンプ装置の遠隔監視が可能になっている。遠隔監視によれば、例えば、ポンプ装置に異常が発生した場合に、専門の作業員が異常内容を予め把握した上で現場を訪問可能となる。
【0003】
一方、ポンプ装置は、一般ユーザに操作される機器ではなく、専門の作業員に操作される。このため、ポンプ装置は、異常発生時には作業員の訪問を待つ必要があり、一度故障すると復旧まで時間がかかる。
【0004】
このようなポンプ装置は、ライフラインであることから、遠隔操作によって早期復旧が望まれる反面、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減できることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6814550号公報
【文献】特許第6899643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ポンプ装置は、管理装置に通信可能な装置である。前記ポンプ装置は、検知部と、設定部と、制御部とを具備する。前記検知部は、前記ポンプ装置の異常状態、又は前記異常状態になる前段階の兆候状態を検知する。前記設定部は、前記ポンプ装置が前記異常状態又は前記兆候状態である場合に、前記管理装置による遠隔操作の許可を設定する。前記制御部は、前記設定した内容に応じて、前記ポンプ装置を制御する。
【0008】
本発明の他の一態様によれば、管理装置は、ポンプ装置に通信可能な装置である。前記管理装置は、表示制御部と、遠隔操作制御部とを具備する。前記表示制御部は、前記ポンプ装置から異常状態が通知されると、前記ポンプ装置の遠隔操作が可能な期間を表示部に更新表示させる。前記遠隔操作制御部は、前記遠隔操作が可能な期間の表示中、操作者の操作に応じて、前記ポンプ装置を遠隔操作する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係る管理システムを例示するブロック図。
図2図1の管理装置の構成例を示すブロック図。
図3図1のポンプ装置の構成例を示すブロック図。
図4】本実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
図5】本実施形態の変形例に係る設定テーブルを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら実施形態に係るポンプ装置及び管理装置について説明する。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあると共に、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号を用いることがある。
【0012】
図1は、本実施形態に係るポンプ装置及び管理装置を備えた管理システムを例示するブロック図である。図1に示すように、管理システムは、管理装置1、複数の端末3-nおよび複数のポンプ装置5-n(nはインデックス)を含む。図1では、nが2である場合の構成を示しているが、これに限定する必要はなく、nは1以上であれば幾つでもよい。以下、特に区別しないときは単に端末3およびポンプ装置5と記載することとする。管理システムは、ポンプ装置5に関して測定されるポンプ情報などを管理装置1で用いて管理するコンピュータシステムである。
【0013】
図1に示すように、管理装置1と端末3とポンプ装置5とは、ネットワークNWを介して、4G、5Gといった携帯通信網や、Wimaxなどの比較的遠距離の無線通信回線を介して接続される。すなわち、管理装置1と端末3とポンプ装置5とは、互いに通信可能となっている。また、ポンプ装置5と端末3とは、上述した無線通信回線に加え、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Filed Communication)、赤外線通信といった比較的近距離の無線通信手段により接続されることを想定する。なお、端末3とポンプ装置5とは、USB(Universal Serial Bus)やケーブルによるLAN(Local Area Network)接続といった有線通信回線を介して接続されてもよい。
【0014】
管理装置1は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリ、表示機器、入力機器及び通信機器を有するコンピュータである。管理装置1は、複数のポンプ装置5に関する各種データを管理するためのHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の大容量記憶装置を有する。当該大容量記憶装置をデータベースと呼ぶことにする。例えば、管理装置1は、ポンプ装置5に関する各種データをデータベースに記憶したり、ポンプ装置5の稼働状況を管理する。
【0015】
端末3は、点検作業員等のユーザが持ち運び可能な通信端末であり、例えば、ノートPC、モバイル端末(スマートフォン、フィーチャーフォン、タブレット)が挙げられる。なお、端末3は、ポンプ装置5の管理専用に構成された通信デバイスであってもよい。端末3から、ポンプ装置5を制御可能としてもよく、例えば、ポンプ装置5を制御するためのアプリケーションが搭載されてもよいし、Webブラウザからポンプ装置5を制御可能としてもよい。
【0016】
ポンプ装置5は、例えば、建物に給水する機械装置(給水装置)である。ポンプ装置5は、例えば、水道本管に直結され、水道本管を流れる水を直接増圧し、建物に設けられた蛇口やシャワーヘッド等の供給先に給水する、いわゆる直結増圧型給水装置であるとする。なお、本実施形態に係るポンプ装置5の型としては、直結増圧型に限定されず、例えば、直結直圧型、受水槽給水型及び高架水槽給水型などといった任意の型が、適宜、使用可能となっている。
【0017】
次に、本実施形態に係る管理装置1について図2のブロック図を参照して説明する。
【0018】
管理装置1は、操作部11と、表示部12と、記憶部13と、データベース14と、通信部15と、制御部16とを備える。
【0019】
操作部11は、キーボードやマウスなどであって、管理者からの要求や指示を受け付け、これを制御部16に伝達する。
【0020】
表示部12は、液晶パネルや有機EL(electroluminescence)パネル、7セグメントLED(light-emitting diode)、LEDランプなどのデバイスを用いた表示装置であって、制御部16から与えられる情報を管理者に対して視覚的に示すものである。例えば、表示部12は、制御部16からの制御により、ポンプ装置5の遠隔操作が可能な期間を更新表示してもよい。また例えば、表示部12は、制御部16からの制御により、ログデータを表示してもよい。
【0021】
記憶部13は、SDRAM(synchronous dynamic RAM)、NAND(inverted AND)フラッシュメモリやEEPROM(登録商標)(electrically erasable programmable ROM)などの半導体メモリを用いたものであって、制御部16の制御プログラムや制御データなどを記憶する。
【0022】
データベース14は、記憶部13よりも相対的に記憶容量の大きい記憶装置であり、半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの記憶媒体を備えてもよい。データベース14は、ログデータを記憶するために用いられる。
【0023】
ログデータは、ポンプ装置5から受信したログデータであって、ポンプ装置5毎に集計が可能なように記憶される。ログデータは、例えば、ポンプ装置5の運転状態データや、ポンプ装置5が異常状態のときの異常通知などといった各種のデータを含んでいる。
【0024】
通信部15は、ネットワークNWを通じてポンプ装置5や端末3と通信する。
【0025】
制御部16は、CPUやMPU等のプロセッサや、メモリを備える。プロセッサは、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。メモリには、記憶部13から読み込んだ制御プログラムや制御データが記憶され、プロセッサが制御プログラムを実行して管理装置としての機能、例えば、管理機能、表示制御機能、遠隔制御機能の各機能を実現する。管理機能は、ポンプ装置5から受信したデータをログデータとしてデータベース14に保存し、ログデータに基づいて、ポンプ装置5の状態を管理する機能である。表示制御機能は、ポンプ装置5から異常状態が通知されると、ポンプ装置5の遠隔操作が可能な期間を表示部12に更新表示させる表示制御部の一例である。遠隔操作制御機能は、遠隔操作が可能な期間の表示中、操作者の操作に応じて、ポンプ装置5を遠隔操作する遠隔操作制御部の一例である。
【0026】
次に、本実施形態に係るポンプ装置5について図3のブロック図を参照して説明する。
【0027】
ポンプ装置5は、制御盤50とポンプ部60とを含む。ポンプ装置5は、他に、図示しない吸込配管と吐出配管とを含んでもよい。ポンプ装置5は、ポンプ部60により、吸込配管を介して一次側にある水を取り込み、吐出配管を介して二次側へ給水する。吸込配管は、例えば、水道本管から分岐された水道分管およびポンプ部60を接続する。吐出配管は、ポンプ部60とその二次側の給水先とを接続する。ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を含んでいてもよい。この場合に、ポンプ装置5は、複数台のポンプ部60を交互に駆動する交互運転、複数台のポンプ部60を同時に駆動する並列運転などを行うことができる。
【0028】
制御盤50は、互いにバスを介して接続された近距離通信器51と、遠距離通信器52と、入力機器53と、インバータ54と、インタフェース55と、表示機器56と、記憶装置57と、プロセッサ58とを含む。
【0029】
近距離通信器51は、Bluetooth、Wi-FiまたはNFC等の無線通信の規格に準拠した無線通信モジュール511を搭載し、近距離無線通信を行なう。近距離通信器51は、USB等の有線通信の規格を用いた近距離通信を行なってもよい。近距離通信器51は、端末3との間で、近距離通信回線を介して、ポンプ装置5の運転モードの設定および各種データの送受信などを行なう。
【0030】
遠距離通信器52は、携帯通信網、WimaxおよびWi-Fi等の無線通信の規格を用いた遠距離通信を行なう。遠距離通信器52は、管理装置1または端末3との間で、遠距離通信回線を介して各種データの送受信を行なう。
【0031】
近距離通信器51および遠距離通信器52による無線接続の確立については、例えば、Bluetoothであれば、一般的なペアリング接続により無線接続が確立されればよく、Wi-Fiであれば、Wi-Fiのアクセスポイントに予め設定されたSSID(service set identifier)およびパスワードを入力することで、無線接続が確立されればよい。なお、一度、ポンプ装置5と端末3との無線接続が確立していれば、端末3の無線機能をオンにしてポンプ装置5と接近することで、自動的に無線接続が確立されるものとする。
【0032】
入力機器53は、ユーザの指示を電気信号に変換する。入力機器53としては、例えば、操作パネルやタッチパネル、キーボード、マウス、各種スイッチ等が用いられればよい。なお、入力機器53としては、音声入力装置が用いられてもよい。入力機器53からの電気信号はバスを介してプロセッサ58に供給される。
【0033】
インバータ54は、ポンプ部60を作動する動力を発生する。具体的には、インバータ54は、ポンプ部60(のモータ)に所定周波数の交流電力を供給する。また、インバータ54は、プロセッサ58からインバータ制御信号を受け取る。インバータ54は、インバータ制御信号に応じて動作する。例えば、インバータ54は、運転停止信号または運転開始信号に相当するインバータ制御信号に応じて運転を停止または開始する。また、インバータ54は、回転数制御信号に相当するインバータ制御信号に応じてモータの回転数を制御する。
【0034】
具体的には、インバータ54は、図示しないコンバータ回路、平滑コンデンサ及びインバータ回路を含む。コンバータ回路は、交流電源から交流電力を取り込み整流することで直流電力に変換する。平滑コンデンサは、コンバータ回路によって出力される直流電力の電圧を平滑化し、略一定電圧の直流電力を得る。そして、インバータ回路は、平滑コンデンサによって得られた直流電力を制御盤50からのインバータ制御信号(回転数制御信号に相当)に応じた所定周波数の交流電力へと変換してモータに供給する。
【0035】
インタフェース55は、例えば、ポート等の入出力インタフェースである。インタフェース55は、例えば、制御盤50とポンプ部60とを接続し、各種信号を送受信する。
【0036】
表示機器56は、各種データを表示する。表示機器56としては、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ等の任意のディスプレイが用いられればよい。なお、表示機器56として、プロジェクタが用いられてもよい。
【0037】
記憶装置57は、各種データを記憶するROMやRAM、HDD、SSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等のメモリ装置である。記憶装置57は、物理的に一つのメモリ装置により実現されてもよいし、ポンプ装置5内に物理的に分離された複数のメモリ装置により実現されてもよい。以下、記憶装置57を単にメモリと呼ぶことにする。
【0038】
プロセッサ58は、CPUやマイクロプロセッサ等の演算装置である。プロセッサ58は、ASICやFPGA等の専用の回路により構成されてもよい。プロセッサ58は、記憶装置57に保存された各種プログラムを実行することで、ポンプ装置としての機能、例えば、検知部581と、設定部582と、通知部583と、判定部584と、制御部585との各機能を実現する。なお、いくつかの機能は、任意の付加的事項であり、省略してもよい。例えば、通知部583及び判定部584は、省略してもよい。また、検知部581、設定部582及び制御部585の各々の事項は、適宜、変更又は省略可能である。
【0039】
検知部581は、ポンプ装置5の状態を検知する。検知される状態は、異常状態、異常状態になる前段階の兆候状態、又は正常状態、である。ここで、異常状態は、例えば、ポンプ装置5の部品の故障により通常制御が不能な異常の状態、受水槽の液面異常の状態、ポンプ装置5の安全を保つための保護機能が異常の状態、のいずれかであってもよい。異常状態の典型例としては、ポンプ装置5の停止を伴う異常の状態がある。兆候状態は、異常に近い正常状態であり、異常状態か否かを判定する異常判定条件を緩和した兆候判定条件により検知可能となっている。なお、このような異常状態及び兆候状態のうちの少なくとも異常状態は、ポンプ装置5の遠隔操作が必要な状態である。一方、正常状態(但し、兆候状態を除く)は、ポンプ装置5の遠隔操作が不要な状態である。兆候状態は、遠隔操作が必要な状態としてもよく、遠隔操作が不要な状態としてもよい。いずれにしても、ポンプ装置5の状態と、遠隔操作の必要又は不要な状態とは関連付けが可能である。
【0040】
設定部582は、検知部581に検知された状態に応じて、管理装置1による遠隔操作の許可又は禁止を設定する。すなわち、設定部582は、ポンプ装置5の遠隔操作が必要な状態が検知されると、管理装置1による遠隔操作の許可を設定する。また、設定部582は、ポンプ装置5の遠隔操作が不要な状態が検知されると、管理装置1による遠隔操作の禁止を設定する。例えば、設定部582は、検知部581に検知された異常状態又は兆候状態に応じて遠隔操作の許可を設定する。なお、これに限らず、設定部582は、当該検知された兆候状態に応じて遠隔操作の禁止を設定してもよい。また例えば、設定部582は、検知部581に検知された正常状態に応じて遠隔操作の禁止を設定する。また例えば、設定部582は、判定部584により、一定期間が経過したと判定された場合、遠隔操作の禁止を設定してもよい。
【0041】
通知部583は、検知部581に検知された異常状態を管理装置1へ通知する。また、通知部583は、検知部581に検知された兆候状態を管理装置1へ通知してもよい。
通知部583は、制御部585が遠隔操作による制御を停止した場合、当該遠隔操作による制御の停止を管理装置1へ通知してもよい。また、通知部583は、遠隔操作によるポンプ装置5のリセット毎に、検知された異常状態を管理装置1へ通知してもよい。
【0042】
判定部584は、通知部583による異常状態の通知から一定期間が経過したか否かを判定する。
【0043】
制御部585は、設定部582が設定した内容に応じて、ポンプ装置5を制御する。また、制御部585は、遠隔操作によって所定の給水量を給水すると、当該遠隔操作による制御を停止してもよい。また、制御部585は、遠隔操作によってポンプ装置5をリセットしてもよい。また、制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に、当該リセットに伴い、検知された異常状態が管理装置1へ上限回数以上通知されると、遠隔操作による制御を停止してもよい。また、制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に管理装置1と定期的に通信し、一定期間以上通信できない場合に、遠隔操作による制御を停止してもよい。
【0044】
なお、制御盤50を構成する基板の枚数は任意に設計可能であり、各基板が近距離通信器51、遠距離通信器52、入力機器53、インバータ54、インタフェース55、表示機器56、記憶装置57及びプロセッサ58のうちの何れの機器を物理的に装備するのかも任意に設計可能である。また、検知部581と、設定部582と、通知部583と、判定部584と、制御部585とは、一のプロセッサ58が担うものとしたが、物理的に分離した複数のプロセッサが分担してもよい。
【0045】
次に、本実施形態に係るポンプ装置5及び管理装置1の動作例について図4のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
ステップS101では、ポンプ装置5が正常状態のとき、設定部582は、検知部581に検知された正常状態に応じて遠隔操作の禁止を設定する。例えば、検知部581は、図示しないセンサからの信号が正常範囲にある場合、正常状態を検知する。
【0047】
ステップS102では、検知部581は、ポンプ装置5の状態を検知する。検知部581は、検知した状態が正常状態であればステップS101に戻る。一方、検知部581は、検知した状態が異常状態であれば、ステップS103に移行する。また、検知部581は、検知した状態が兆候状態の場合にも、ステップS103に移行することが好ましい。
【0048】
ステップS103では、通知部583は、検知部581に検知された異常状態を管理装置1へ通知し、ステップS110に移行する。異常状態の通知は、例えば、異常状態に応じた異常内容と、異常状態の発生時刻とを含んでいる。また、通知部583は、ステップS103において、検知部581に検知された兆候状態を管理装置1へ通知してもよい。すなわち、前述した異常状態の通知は、兆候状態に応じた兆候内容を更に含んでもよい。
【0049】
ステップS104では、管理装置1の通信部15は、ポンプ装置5から異常状態が通知されると、当該異常状態の通知を受信する。
【0050】
ステップS105では、管理装置1の制御部16は、異常状態の通知が受信されると、ポンプ装置5の遠隔操作が可能な期間を表示部12に更新表示させる。さらに、管理装置1の制御部16は、予め登録された作業員の端末3へ通知内容を送信してもよい。この場合、端末3は、受信した通知内容に基づいて、ポンプ装置5の異常内容と、異常の発生時刻とを表示する。作業員は、表示された異常内容及び発生時刻に基づく事前準備を行った上で、ポンプ装置5の設置場所に向かう。
【0051】
ステップS106では、管理装置1の制御部16は、遠隔操作が可能な期間の表示中、操作者の操作に応じて、ポンプ装置5を遠隔操作する。
【0052】
ステップS107では、管理装置1の制御部16は、遠隔操作の停止に関する通知をポンプ装置5から受けたか否かを判定し、受けた場合にはステップS109に移行して遠隔操作を終了する。また、受けない場合には、ステップS108に移行する。
【0053】
ステップS108では、管理装置1の制御部16は、遠隔操作が可能な期間が経過したか否かを判定し、経過した場合にはステップS109に移行して遠隔操作を終了する。また、経過していない場合には、ステップS105に戻り、ステップS105~S108までの処理を繰り返し実行する。
【0054】
一方、ステップS110では、ポンプ装置5の設定部582は、検知部581に検知された異常状態又は兆候状態に応じて遠隔操作の許可を設定する。
【0055】
ステップS111では、制御部585は、設定部582が設定した内容に応じて、ポンプ装置5を制御する。すなわち、制御部585は、遠隔操作の許可を示す設定内容に基づき、ステップS106における管理装置1からの遠隔操作に応じて、ポンプ装置5を制御する。ポンプ装置5は、遠隔操作による制御に応じて動作する。
【0056】
ステップS112では、制御部585は、遠隔操作によって所定の給水量を受水槽に給水すると、ステップS113に移行する。なお、所定の吸水量を給水しない場合には、ステップS114に移行する。なお、ステップS112は、ポンプ装置5が高架水槽給水方式ではない場合には省略される。
【0057】
ステップS112は、異常状態を検知した後の遠隔操作が、専門の作業員及び部品が到着するまでの応急処置であり、一時的なものである。補足すると、従来からポンプ装置5には、圧力センサが故障した場合に、圧力センサの機能を無視して動作させる機能がある。従来、圧力センサが故障してポンプ装置5が止まると、断水となる。断水に気づいたユーザは作業員を呼ぶ。作業員は、現場での異常原因の調査により、圧力センサの故障を認識する。しかしながら、圧力センサの交換には、部品の発注から到着までに数日間を要する。そのため、ポンプ装置は、作業員の操作により、部品が到着するまでの数日間、手動の緊急運転モードに変更されて給水を行う。緊急運転モードの際には、圧力センサに代えて、例えば所定の周波数、所定の流量で給水させる。但し、緊急運転モードは、部品が到着するまでの応急処置なので、所定の給水量を給水した後には停止させる必要がある。そこで、ステップS112では、所定の給水量を給水すると、ステップS113に移行している。
【0058】
ステップS113では、制御部585は、所定量の給水量が給水されたことに伴い、遠隔操作による制御を停止する。しかる後、通知部583は、遠隔操作による制御の停止を管理装置1へ通知する。
【0059】
ステップS114では、制御部585は、遠隔操作によってポンプ装置5をリセットする。また、制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に、当該リセットに伴い、検知された異常状態が管理装置1へ上限回数以上通知されたか否かを判定する。否の場合には(ステップS114:No)、制御部585は、ステップS115に移行する。これに対し、上限回数以上通知された場合には(ステップS114:Yes)、ステップS117に移行し、遠隔操作による制御を停止する。すなわち、ポンプ装置5では、遠隔操作に限らず、リセットによるリトライを何回も繰り返すことは、更に重篤な故障に繋がり、周囲の機器等への二次被害へ被害を拡大させる恐れがある点で好ましくない。このため、遠隔操作によるリセットの上限回数を設けている。
【0060】
ステップS115では、制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に管理装置1と定期的に通信を行う。定期的な通信が継続する場合には(ステップS115:No)、制御部585は、ステップS113に移行する。これに対し、一定期間以上通信できない場合には(ステップS115:Yes)、ステップS117に移行し、遠隔操作による制御を停止する。すなわち、遠隔操作は、管理装置1が通信によりポンプ装置5の運転情報をモニタリングできていることを前提とする。このため、一定期間以上通信できない場合(例、送信後に肯定応答ACKを受信できず、通信が切断した場合)は、遠隔操作を解除するとよい。また、遠隔操作は、現地の安全のため、現地での手動操作を優先としている。遠隔操作中に現地での手動操作があった場合には、ポンプ装置5は、遠隔操作よりも自身の制御盤50での入力操作を優先させて動作する。例えばこの時の入力操作には、制御盤50の表示機器56に表示された遠隔操作解除のコマンドを入力機器53により選択する操作や、リセットボタン長押し操作など、任意の所定の操作が利用可能となっている。いずれにしても、現地で所定の入力操作があった場合には遠隔操作を解除することができる。
【0061】
ステップS116では、判定部584は、通知部583による異常状態の通知から一定期間が経過したか否かを判定し、経過した場合にはステップS117に移行して遠隔操作を終了する。また、経過していない場合には、ステップS110に戻り、ステップS110~S116までの処理を繰り返し実行する。
【0062】
すなわち、ポンプ装置5の遠隔操作後、メンテナンスの作業員が長期間こない場合、失念されている可能性がある。これを考慮し、二次被害を発生させないよう、一定期間で遠隔操作の許可を解除する。なお、失念ではなく、何らかの原因でメンテナンスが長期化している可能性もあるため、遠隔操作の許可を解除すると共に管理装置1に通知を行い、機器の二次被害等がなければ、再度、遠隔操作の許可を一定期間、継続してもよい。このとき、何回も遠隔操作を許可するとリスクがあるため、ステップS114に述べたように、遠隔操作の上限回数を設けることが好ましい。
【0063】
また、ステップS116における一定期間の判定は、時間で行ってもよいが、例えば、ポンプ装置5の実際の動作を示す流量等の運転データを判定基準にする方が好ましい。圧力センサ故障等における、断水回避を念頭に置いた暫定的な緊急運転においては、適切な圧力に制御できていない可能性がある。このため、流量等の運転データを判定基準として、一定期間を設定することで、他の部品や配管への損傷を可能な限り防ぐことができる。補足すると、一定期間に略一定流量を給水するポンプの場合、許容できる誤差の範囲で、一定期間と略一定流量とが互いに換算可能となっている。例えば、1日に50000Lの給水を行うポンプの場合、流量が50000Lに到達したことと、1日が経過したこととが同等の関係になる。従って、ログデータに含まれる流量データを判定基準として、一定期間を設定することができる。なお、1日に50000Lの流量は、一定期間と流量との関係を説明するための例であり、これに限定されない。例えば、過去のログデータで取得した数n日分の流量(nは自然数)に対応する一定期間(n日)を設定し、遠隔操作可能な期間中の流量が当該n日分の流量に到達するまでポンプ装置5を運転してもよい。また、運転頻度の低いポンプ装置5の場合、流量等の運転データを判定基準とすることが、一定期間の経過と判定されるまでの時間が長くなっても二次被害が軽度であると予想される点でも好ましい。
【0064】
ステップS117では、制御部585は、遠隔操作による制御を停止する。
【0065】
次に、以上のような動作例について、異常状態のレベル毎に、補足説明を行う。異常状態には、例えば、第1レベルLv1~第4レベルLv4の如き、複数のレベルが設けられている。ここで、第1レベルLv1は、発報で注意を促すが、ポンプ装置5を停止しない段階の異常状態に対応する。第2レベルLv2は、ポンプ装置5を停止するが、一定時間後に再起動し、複数回のリトライを繰り返す段階の異常状態に対応する。第3レベルLv3は、複数回のリトライを繰り返し、完全に異常で停止する段階の異常状態に対応する。第4レベルLv4は、再起動及びリトライなく、一回の検知で停止する段階の異常状態に対応する。以下の補足説明は、主に、管理装置1により(異常状態のレベルに応じた)遠隔操作が行われるステップS106と、この遠隔操作に応じたポンプ装置5の制御のステップS111に対応している。
【0066】
<Lv1:発報で注意を促すが、ポンプ装置5を停止しない段階>
第1レベルLv1の異常状態は、設定値を見直すことで解消する場合が多い。このため、管理装置1は異常通知を受けると遠隔操作により、ポンプ装置5の制御に用いる設定値を変更する。第1レベルLv1の異常状態は、ポンプ装置5に負荷がかかる場合に発生することが多く、製品寿命が短くなる傾向にある。また、第1レベルLv1の異常状態は、遠隔操作できない世代のポンプ装置では検知されることが少なく、結果として早期故障に繋がっている。一方、ポンプ装置5の設定値を変更すれば、第1レベルLv1の異常状態が解消され、製品の寿命が延びる可能性がある。
【0067】
第1レベルLv1の異常状態の例としては、ポンプ装置5の現在の起動頻度が、過去の起動頻度に比べ、一定頻度を超えた場合に通知する高頻度運転がある。管理装置1では、ポンプ装置5の様子を見るため、少水量停止時の保圧力を高めるよう、ポンプ装置5の設定値を見直す。これにより、ポンプ装置5では、起動頻度が抑えられるので、部品の長寿命化に繋がる。
【0068】
別の例としては、ポンプ装置5において、復電時のポンプ始動に起因する急激な圧力上昇により、圧力が設定値を超える場合がある。すなわち、ポンプ装置5では、停電時に配管内の水が使用され、空気が配管内にたまった状態で起動すると、配管で水撃が発生し、瞬間的に過大な圧力が発生する。従来は、水撃が発生しても、瞬間的であるため故障としてポンプ装置5を停止させないが、繰り返し発生すると、圧力センサの寿命が短くなり、早期故障に繋がってしまう。また、水撃の発生は、ポンプ装置5の周辺の配管及び、別の機器にも負担をかける恐れがあり、これらの故障も引き返す可能性がある。従って、ポンプ装置5は、停電復帰通知を管理装置1に送信する。管理装置1は、停電後復帰通知を受けると、ポンプ装置5の起動時の加速時間を長時間の値に変更し、一度正常に停止したら、当該加速時間を元の設定値に戻す。結果として、水撃の発生を抑制できるので、ポンプ装置5及びその周辺機器の長寿命化を図ることができる。
【0069】
更に別の例としては、現場にて、元々のポンプ揚水能力以上又は以下に目標圧力を設定した等の、ポンプ能力と比較して、不適切な現場又は設定にポンプ装置5が適用されていた場合がある。例えば2台以上のポンプが並列運転可能なポンプユニットにおいて、全てのポンプを最大の運転周波数で運転させてもポンプ装置5が設定圧力に到達できない場合である。この場合、常時最大の運転周波数で運転し続けると、停止できない故障か、又は、想定外の圧力が発生する故障、といった、仕様範囲外の適用に起因した故障が発生する可能性が高い。このような場合、従来では通知のみ行っていたが、通知を管理装置1が受けると、その後の遠隔操作によって、ポンプ装置5の設定値をポンプ能力の仕様範囲内にある適切な設定値に変更することでリスクを防止し、ポンプ部品やその周辺の配管、その他の機器への悪影響を低減させることができる。
<Lv2:ポンプ装置5を停止し、一定時間後に再起動し、リトライを繰り返す段階>
第2レベルLv2の異常状態は、前述同様に、ポンプ装置5の設定値を見直すことで解消する場合が多い。このため、管理装置1は、異常状態を示す通知を受け取ると遠隔操作により設定値を変更する。また同様に、ポンプ装置5の設定値を変更すれば、製品の寿命が延びる可能性がある。なお、ポンプ装置5の設定値を変更しても、異常状態が継続する場合には、早期に現地で調査やメンテナンスを行うことで更なる異常発生を防止し、断水の防止を図ることが好ましい。
【0070】
第2レベルLv2の異常状態の例として、水道管に直接接続する直結給水方式のポンプ装置5における吸込み圧力低下が挙げられる。ポンプ装置5の起動等により、ポンプ一次側の水道管の圧力が低下すると、更なる水道管の圧力低下を防ぐため、ポンプ装置5を自動的に停止させている。自動停止の後、水道管の圧力が復帰すると、ポンプ装置5を自動的に運転復帰させている。この場合、ポンプ装置5は、起動回数が増える等、通常と異なる運転を繰り返すため、劣化が早まる可能性がある。係る劣化の早まりは、起動時にポンプ装置5を緩やかに起動し、起動後の制御も周波数応答を緩やかにすることで、解消することができる。この場合、部品の長寿命化に繋がる可能性がある。
<Lv3:リトライを繰り返し、完全に異常で停止する段階>
第3レベルLv3の異常状態は、現場特有の問題や、ポンプ装置5のハードウェアの故障が推定される。このため、ポンプ装置5のメンテナンスが必要な場合が多く、作業員が現場に向かう。この場合、管理装置1は、作業員が現場に到着するまでの時間を稼ぐため、ポンプ装置5を緊急運転モードに変更する。なお、遠隔操作ができないポンプ装置の故障による断水が発生した場合、故障が継続している間は断水のままであり、作業員が駆けつけ、その場で対応できない場合は手動で緊急運転モードに変更していた。作業員が直ぐに現場に駆けつけることが可能な場合には断水時間が短いが、時間を要する場合には断水時間が長引く。また、恒久処置に長期間を要する場合には、作業員は定期的に現場を訪れ、緊急運転モードにより二次被害が発生しないかどうか監視をするため、少ない作業員が拘束されている。従って、遠隔操作により、ポンプ装置5の運転モードを緊急運転モードに変更できれば、メンテナンスの効率化につながる。
【0071】
第3レベルLv3の異常状態の例には、ポンプ起動時の過負荷で停止する場合がある。この場合、作業員は、ポンプ装置5をリセットして再起動するリトライを何回か繰り返す。しかしながら、複数回のリセットでも異常状態が解消しない場合には、ポンプのモータを保護するために故障が確定し、ポンプ装置5が停止する。深刻な異常状態でない場合、故障確定後に現地でリセット操作を行うと、ある期間は問題なくポンプ運転できることがある。従って、ポンプ起動時の過負荷については、リトライ時の加速時間やトルクブースト値を変更することで軽減できる可能性がある。また、ポンプ起動時の負荷に関する設定値の変更により、モータにかかる過剰な負荷を軽減できるので、部品の長寿命化や断水回避につなげることができる。
【0072】
別の例としては、製品の安全を保つ保護機能に関する例でもあるが、温度制限運転が挙げられる。ポンプ装置5では、インバータ54に取り付けられた冷却ファンが故障した場合、インバータ54を冷却できず、インバータ54内のスイッチング素子の温度が上昇する。ポンプ装置5は、インバータ54の温度が一定以上になると、インバータ54の過熱保護のために停止する。管理装置1は、ポンプ装置5から過熱保護のために停止した通知を受けると、遠隔操作によって、ポンプ装置5をリセットし、インバータ54のキャリア周波数を低く設定する。キャリア周波数は、低く設定すると不快な音を生じるため、通常時には高く設定されるが、低く設定すると発熱量を低減できる。なお、発熱量の低減により、過熱保護が解消される場合には少し不快な音を生じるため、早期に作業者のメンテナンス作業を受けることが好ましい。また、過熱保護が解消しない場合、管理装置1は、遠隔操作によってインバータ54の最大運転周波数を現設定値よりも低く設定することで、ポンプの負荷を下げ、発熱量を低減させる運転モードに設定する。但し、ポンプの負荷を下げたことで給水量が低下するので、早期にメンテナンス作業を受けることが好ましい。
【0073】
<Lv4:再起動及びリトライなく、一回の検知で停止する故障>
第4レベルLv4の異常状態は、ポンプ装置5のハードウェアの故障が推定される。作業員の対応や断水具合は、前述同様である。
【0074】
第4レベルLv4の異常状態の例としては、制御に関わるセンサ類の故障が挙げられる。圧力センサが故障した場合、目標圧力に制御できなくなるため、ポンプ装置5は暴走しないよう、強制停止する。しかしながら、流量センサがあれば、管理装置1が流量センサのオン/オフ信号を監視することで、ポンプ装置5の遠隔操作を継続可能である。完全な制御とは異なる暫定的な対応であるが、流量センサの遠隔監視により、暴走のリスクを低減させることができる。
【0075】
以上のような各々のレベルLv1~Lv4の異常状態が発生した際に遠隔操作を許可することで、処置が不要な正常時に遠隔操作されない安全なポンプ装置5を実現することができる。
【0076】
上述したように本実施形態によれば、ポンプ装置5において、検知部581は、ポンプ装置5の状態を検知する。設定部582は、当該状態に応じて、管理装置1による遠隔操作の許可又は禁止を設定する。制御部585は、設定した内容に応じて、ポンプ装置5を制御する。このように、ポンプ装置5の状態に応じて遠隔操作の許可又は禁止を設定する構成により、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減させることができる。
【0077】
補足すると、ポンプ装置5は、遠隔操作が必要な状態の場合のみ、遠隔操作を受け付ける構成により、遠隔操作を受け付ける状況を限定している。例えば、ポンプ装置は、ほとんどの場合である正常な状態の時には遠隔操作する必要がないので遠隔操作を受け付けず、異常な状態の時のみ、遠隔操作を受け付ける。これに伴い、遠隔操作の誤りが発生する場合が、異常時に作業員が遠隔操作を誤った状況などに限定される。従って、遠隔操作の誤りを抑制することができる。また仮に、ハッキング等の不正な遠隔操作が試みられた場合でも、ほとんどの場合である正常な状態の時には遠隔操作を受け付けないので、不正な遠隔操作による悪影響を低減させることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、検知される状態は、異常状態、異常状態になる前段階の兆候状態、又は正常状態、であるとしてもよい。設定部582は、異常状態又は兆候状態に応じて遠隔操作の許可を設定し、正常状態に応じて遠隔操作の禁止を設定してもよい。この場合、異常状態に加え、異常状態に至る前の兆候状態においても遠隔操作による制御を実行できるので、より安全なポンプ装置を実現させることができる。
【0079】
また、本実施形態によれば、ポンプ装置5において、判定部584は、異常状態の通知から一定期間が経過したか否かを判定してもよい。設定部582は、一定期間が経過したと判定された場合、遠隔操作の禁止を設定してもよい。この場合、多忙又は失念などによって作業員が到着できない状況でも一定期間後には遠隔操作が禁止されるので、遠隔操作の誤りによる悪影響を更に低減させることができる。
【0080】
また、本実施形態によれば、異常状態は、ポンプ装置5の部品の故障により通常制御が不能な異常の状態、受水槽の液面異常の状態、ポンプ装置5の安全を保つための保護機能が異常の状態、のいずれかであるとしてもよい。このように、検知される異常状態が重大なレベルであっても、前述した遠隔操作を許可する構成により、ポンプ装置5の停止などの処置を迅速に行うことができる。
【0081】
また、本実施形態によれば、ポンプ装置5において、制御部585は、遠隔操作によって所定の給水量を給水すると、遠隔操作による制御を停止してもよい。また、通知部583は、遠隔操作による制御の停止を管理装置1へ通知してもよい。これにより、ポンプ装置5が高架水槽給水方式の場合に、高架水槽に対する所定の給水量の給水によって断水を防止しつつ、部品到着までの間の不要な遠隔操作を停止し、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減させることができる。
【0082】
また、本実施形態によれば、ポンプ装置5において、制御部585は、遠隔操作によってポンプ装置5をリセットしてもよい。通知部583は、リセット毎に、検知された異常状態を管理装置1へ通知してもよい。制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に、当該リセットに伴い、検知された異常状態が管理装置1へ上限回数以上通知されると、遠隔操作による制御を停止してもよい。この場合、リセットによるリトライの無制限な繰り返しを阻止でき、もって、多数回のリセットによる新たな異常発生を防止することができる。
【0083】
また、本実施形態によれば、ポンプ装置5において、制御部585は、遠隔操作の許可が設定された期間中に管理装置1と定期的に通信し、一定期間以上通信できない場合に、遠隔操作による制御を停止してもよい。この場合、管理装置1がモニタリングできない状況下での遠隔操作を防止するので、遠隔操作の誤りによる悪影響を低減させることができる。
【0084】
(変形例)
上述した本実施形態では、ポンプ装置5は、異常内容とは無関係に、遠隔操作可能な一定期間や異常通知の上限回数を判定に用いたが、これに限定されない。例えば、ポンプ装置5は、図5に示す如き、異常内容、異常のレベルLv1~Lv4、遠隔操作可能な一定期間、及び異常通知の上限回数を互いに関連付けた設定テーブル57aを記憶装置57に保存してもよい。これに伴い、ポンプ装置5は、異常内容に応じて設定テーブル57aを参照することにより、ステップS114,S116の判定に用いる上限回数や一定期間を変更してもよい。これにより、前述した作用効果に加え、異常内容毎に、上限回数及び一定期間の最適化を図ることができる。また、同一のレベル内では、同一の上限回数と、同一の一定期間とを用いてもよい。この場合、異常のレベル毎に上限回数及び一定期間の最適化を図ることができ、更に、異常内容毎に最適化を図る場合に比べ、上限回数や一定期間の設定の負荷を軽減できる。また例えば、設定テーブル57aから上限回数又は一定期間を省略してもよい。すなわち、設定テーブル57aは、異常内容毎に、必ずしも上限回数及び一定期間の両方を関連付ける必要はなく、いずれか一方を関連付けることにより、関連付けた上限回数又は一定期間の最適化を図ってもよい。
【0085】
また、本実施形態によれば、管理装置1の制御部16は、前述したポンプ装置5から異常状態が通知されると、ポンプ装置5の遠隔操作が可能な期間を表示部12に更新表示させる。また、管理装置1の制御部16は、遠隔操作が可能な期間の表示中、操作者の操作に応じて、ポンプ装置5を遠隔操作する。従って、前述した作用効果に加え、管理装置1の操作者に対して、遠隔操作が可能な期間内での遠隔操作を促すことができる。
【0086】
上記本実施形態及び変形例では、いくつかの処理を実行する制御部16及びプロセッサ58を説明したが、これは実装の一例に過ぎない。例えば、1つの制御部16及びプロセッサ58に実行されると説明された複数の処理が複数の別々の制御部やプロセッサに亘って実装されることもあり得る。
【0087】
上記本実施形態及び変形例において説明された種々の制御部16は、回路を用いることで実現されてもよい。回路は、特定の機能を実現する専用回路であってもよいし、プロセッサのような汎用回路であってもよい。同様に、プロセッサ58の機能は、特定の機能を実現する専用回路で実現されてもよい。
【0088】
上記本実施形態及び変形例の処理の少なくとも一部は、例えば汎用のコンピュータに搭載されたプロセッサを基本ハードウェアとして用いることでも実現可能である。上記処理を実現するプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に格納して提供されてもよい。プログラムは、インストール可能な形式のファイルまたは実行可能な形式のファイルとして記録媒体に記憶される。記録媒体としては、磁気ディスク、光ディスク(CD-ROM、CD-R、DVD、Blu-ray(登録商標)Disc等)、光磁気ディスク(MO等)、半導体メモリなどである。記録媒体は、プログラムを記憶でき、かつ、コンピュータが読み取り可能であれば、何れであってもよい。また、上記処理を実現するプログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ(サーバ)上に格納し、ネットワーク経由でコンピュータ(クライアント)にダウンロードさせてもよい。
【0089】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0090】
1・・・管理装置、3・・・端末、5・・・ポンプ装置、11・・・操作部、12・・・表示部、13・・・記憶部、14・・・データベース、15・・・通信部、16・・・制御部、50・・・制御盤、51・・・近距離通信器、52・・・遠距離通信器、53・・・入力機器、54・・・インバータ、55・・・インタフェース、56・・・表示機器、57・・・記憶装置、58・・・プロセッサ、60・・・ポンプ部、511・・・無線通信モジュール、581・・・検知部、582・・・設定部、583・・・通知部、584・・・判定部、585・・・制御部。
図1
図2
図3
図4
図5