(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-14
(45)【発行日】2025-08-22
(54)【発明の名称】アルミドロス処理機
(51)【国際特許分類】
C22B 21/00 20060101AFI20250815BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20250815BHJP
B09B 3/38 20220101ALI20250815BHJP
【FI】
C22B21/00
C22B7/00 Z
B09B3/38
(21)【出願番号】P 2025036089
(22)【出願日】2025-03-07
【審査請求日】2025-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525085115
【氏名又は名称】三神工業有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬合 達昭
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-206937(JP,A)
【文献】特開平10-158717(JP,A)
【文献】特開昭57-188631(JP,A)
【文献】特開平10-001726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159237(US,A1)
【文献】特開平09-087764(JP,A)
【文献】米国特許第06562285(US,B1)
【文献】特開平06-192755(JP,A)
【文献】特開2002-322519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00 - 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミドロスを収容し、前記アルミドロスから分離されるアルミニウムを流出させる出湯口を有するポット、
前記出湯口を開閉する栓、
前記ポットに収容された前記アルミドロスを撹拌する撹拌羽根、
前記出湯口から流出する前記アルミニウムを撮影するカメラ、
前記カメラの画像データから前記出湯口から流出する前記アルミニウムの有無を判定し前記栓に前記出湯口を開閉させる制御器
、
前記ポットに収容された前記アルミドロスの温度を測定する温度センサ、
及び
前記ポットに収容された前記アルミドロスに水を噴射する注水ノズル
を備え、
前記制御器が前記アルミドロスの前記温度が所定の注水温度以上のときに前記注水ノズルに前記水を噴射させる、アルミドロス処理機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、アルミドロス処理機を開示する。
【背景技術】
【0002】
特開2006-206937号公報には、金属滓から金属を分離し回収する金属回収装置が開示されている。この金属回収装置は、ポット内に収容したアルミドロスを撹拌し、アルミドロスからアルミニウムを分離沈降させて回収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この様なアルミドロス処理機の操作は、作業者がポット内のアルミドロスの状態を確認しながら実行される。具体的には、作業者が、アルミドロスの状態を確認しながら、アルミドロスの撹拌操作をし、アルミドロスから分離沈降させたアルミニウムを回収する。このアルミドロス処理機では、作業者の手動操作が必要である。又、作業者はアルミドロスの状態を確認しながら操作するため、作業者の熟練が必要である。
【0005】
本出願人の意図するところは、アルミドロスからアルミニウムの回収を自動化したアルミドロス処理機の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示するアルミドロス処理機は、
アルミドロスを収容し、前記アルミドロスから分離されるアルミニウムを流出させる出湯口を有するポット、
前記出湯口を開閉する栓、
前記ポットに収容された前記アルミドロスを撹拌する撹拌羽根、
前記出湯口から流出する前記アルミニウムを撮影するカメラ、
及び
前記カメラの画像データから前記出湯口から流出する前記アルミニウムの有無を判定し前記栓に前記出湯口を開閉させる制御器
を備える。
【発明の効果】
【0007】
このアルミドロス処理機は、アルミドロスからアルミニウムの回収を自動化しうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るアルミドロス処理機が示された正面図である。
【
図2】
図2は、
図1のアルミドロス処理機の使用状態が示された正面図である。
【
図3】
図3は、
図1のアルミドロス処理機の他の使用状態が示された正面図である。
【
図4】
図4は、
図1のアルミドロス処理機を用いたアルミニウムの回収方法が示されたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0010】
図1に、アルミドロス処理機1が示されている。アルミニウムの溶解炉等では、溶解によって不純物のアルミドロスが発生する。このアルミドロスはアルミニウムを含む。アルミドロス処理機1は、アルミドロスからアルミニウムを分離し回収する装置である。
【0011】
アルミドロス処理機1は、アルミドロスを収容するポット2、ポット2に収容されたアルミドロスを撹拌する撹拌羽根3、及び、ポット2の下に位置する釜4を備える。アルミドロス処理機1は、更に、撹拌羽根3を回転させる駆動機5、及び、駆動機5と共に撹拌羽根3を昇降させる昇降機6を備える。
【0012】
アルミドロス処理機1のポット2は、上方に開口し有底の容器である。ポット2は、底2Aに出湯口2Bを有する。釜4は、ポット2から下に空間を空けて離れて位置している。釜4は、ポット2の出湯口2Bの下に位置している。釜4は、出湯口2Bに対向する開口4Aを有する。
【0013】
アルミドロス処理機1は、ポット2の出湯口2Bと釜4の開口4Aの間を撮影するカメラ7を備える。アルミドロス処理機1は、ポット内に水を噴射する注水ノズル8を備える。更に、アルミドロス処理機1は、ポット2内の温度を測定する温度センサ9を備える。
【0014】
アルミドロス処理機1は、駆動機5、昇降機6、カメラ7、注水ノズル8及び温度センサ9を含む各機器を制御する制御器10を備える。この制御器10は、カメラ7の画像データを受信可能である。制御器10は、温度センサ9の温度データを受信可能である。
【0015】
この制御器10は、メモリ10A、演算部10B及び入出力部10Cを有する。メモリ10Aは、各機器の制御プログラムや各種データを記憶している。演算部10Bは、入出力部10Cを介して、駆動機5、昇降機6及び注水ノズル8を制御可能である。演算部10Bは、入出力部10Cを介して、カメラ7の画像データを取得可能であり、温度センサ9の温度データを取得可能である。演算部10Bは、制御プログラム、カメラ7の画像データ及び温度センサ9の温度データに基づき、各種の演算及び判定を実行可能である。この制御器10は、開示された機能を実行するよう構成されていればよく、シーケンス制御を実行するリレー回路、プログラマブルロジックコントローラ等がその全部又は一部であってよい。又、制御器10は、パーソナルコンピュータがその全部又は一部として用いられてもよい。
【0016】
図2には、アルミドロス処理機1の使用状態が示されている。
図2では、撹拌羽根3は、ポット2の外に位置している。撹拌羽根3及び駆動機5は、ポット2の上方に位置している。昇降機6は、油圧シリンダ6Aと油圧シリンダ6Aに作動油を供給し排出する油圧回路と有する。
図2では、油圧シリンダ6Aに作動油が供給され、油圧シリンダ6Aが
図1の状態に比べ上下方向に伸長している。この昇降機6が、撹拌羽根3及び駆動機5を上方で支持している。なお、昇降機6は、撹拌羽根3を上下に移動可能にして支持できればよく、油圧シリンダ6Aを備えるものに限定されない。
【0017】
図2に示される様に、撹拌羽根3は、駆動機5の回転軸5Aに取付けられて回転する羽根3A、及び、回転軸5Aの軸線上の先端部3Bを有する。
図2の使用状態では、先端部3Bはポット2の出湯口2Bから離れて位置し、ポット2の出湯口2Bは開かれている。一方で、
図1の使用状態では、ポット2の出湯口2Bに撹拌羽根3の先端部3Bが位置し、出湯口2Bは先端部3Bによって閉じられている。
【0018】
このアルミドロス処理機1では、撹拌羽根3の先端部3Bは、出湯口2Bを開閉する栓
として機能している。なお、アルミドロス処理機1が備える栓は、出湯口2Bを開閉可能であればよく、先端部3Bに限定されない。例えば、栓は、撹拌羽根3とは別個に設けられ、別個の駆動器に取付けられてもよい。そして、別個の駆動器を制御器10が制御して栓が出湯口2Bを開閉してもよい。
【0019】
図3には、アルミドロス処理機1の他の使用状態が示されている。
図3の使用状態では、撹拌羽根3はポット2内に位置している。
図3の使用状態では、撹拌羽根3は、
図1の使用状態よりポット2の上方に位置し、
図2の使用状態より下方に位置している。
図3では、油圧シリンダ6Aに作動油が供給され、昇降機6が、撹拌羽根3及び駆動機5を、
図3に示される位置で支持している。
図3の使用状態では、撹拌羽根3の先端部3Bはポット2の出湯口2Bから離れて位置し、ポット2の出湯口2Bは開かれている。
【0020】
図4には、アルミドロス処理機1を用いたアルミニウムの回収方法のフローチャートが示されている。図示されないが、アルミドロス処理機1は、例えば、起動スイッチを備える。起動スイッチを操作されることで、アルミドロス処理機1がアルミニウムの回収方法を実行する。
図1から
図4を参照しつつ、アルミドロスからアルミニウムを回収する方法が説明される。
【0021】
図1の使用状態において、アルミドロス処理機1のポット2に、アルミドロスが投入される(STEP1)。制御器10は、駆動機5を駆動させ、撹拌羽根3にアルミドロスを撹拌させる(STEP2)。アルミドロス処理機1は、ポット2内でアルミドロスを撹拌羽根3によって回転流動させ撹拌する。撹拌羽根3の撹拌によって、アルミドロスから分離したアルミニウムは、ポット2内で沈降する。
【0022】
制御器10は、撹拌開始から所定時間を経過した否かを判定する(STEP3)。制御器10は、所定時間を経過してないときは、引き続き、撹拌羽根3にアルミドロスを撹拌させる。
【0023】
制御器10は、所定時間を経過したときは、アルミニウムの回収を開始する(STEP4)。制御器10は、アルミドロスを撹拌中の撹拌羽根3を昇降機6に上昇させる。アルミドロス処理機1は、
図3の使用状態にされる。先端部3Bがポット2の出湯口2Bから離れ、出湯口2Bが開かれる。ポット2内に沈降したアルミニウムが、出湯口2Bから流出する。アルミドロス処理機1は、アルミドロスから分離されたアルミニウムを釜4に回収する。
【0024】
工程(STEP4)において、制御器10は、カメラ7に、出湯口2Bと釜4の開口4Aとの間で、出湯口2Bからの流出物を撮影させる(STEP4-1)。制御器10は、カメラ7から画像データを取得する。制御器10は、画像データからアルミニウムの有無を判定する(STEP4-2)。制御器10は、流出するアルミニウムを有りと判定したときに、工程(STEP4-1)及び工程(STEP4-2)を繰り返し実行する。
【0025】
制御器10は、流出するアルミニウムを無しと判定したときに、昇降機6に、撹拌中の撹拌羽根3を下降させる。
図1に示される様に、撹拌羽根3の先端部3Bがポット2の出湯口2Bを閉じる。制御器10は、アルミニウムの回収を停止させる(STEP5)。
【0026】
この工程(STEP5)の後、引き続き、制御器10は、撹拌羽根3にアルミドロスを撹拌させる(STEP2)。制御器10は、前述の工程(STEP2)から工程(STEP5)までを繰り返し実行させる。制御器10は、工程(STEP2)から工程(STEP5)の工程の繰り返しが所定回数に達したかを判定する(STEP6)。繰り返し回数が所定回数に達していないときは、制御器10は、工程(STEP2)から工程(STE
P5)を繰り返し実行する。ここでは、繰り返し回数は、予め設定され、制御器10が記憶している。この繰り返し回数は、特に限定されない。なお、この繰り返し回数は、予め設定せずに画像データから制御器10によってその都度決定させてもよい。
【0027】
制御器10は、工程(STEP2)から工程(STEP5)の繰り返し回数が所定回数に達したときは、撹拌を停止する(STEP7)。制御器10は、アルミドロスを撹拌中の撹拌羽根3をポット2の外まで昇降機6に上昇させる。制御器10は、駆動機5に、撹拌羽根3の回転を停止させる。アルミドロス処理機1は、
図2の使用状態にされる。
【0028】
図4のアルミニウムの回収方法では、工程(STEP2)から工程(STEP7)の間、温度センサ9がアルミドロスの温度を検出している。制御器10は、温度センサ9が検出した温度データを取得している。
【0029】
図示されないが、アルミドロス処理機1は、発熱剤投入器を備えてもよい。制御器10が発熱剤投入器を制御してもよい。発熱剤投入器を備えるアルミドロス処理機1では、工程(STEP2)において、制御器10は、アルミドロスの温度が所定の撹拌温度より低いと判定したときに、発熱剤投入器によってアルミドロスにNa、F、Cl等を主成分とする発熱剤を投入させてもよい。なお、アルミドロス処理機1では、所定の撹拌温度は、制御器10のメモリ10Aに記憶されている。
【0030】
図4のアルミニウムの回収方法では、工程(STEP2)から工程(STEP4)において、制御器10は、アルミドロスの温度が所定の注水温度より高いと判定したときに、注水ノズル8によってポット2内のアルミドロスに水を噴射する。制御器10は、アルミドロスの温度が注水温度より低いと判定したとき、発熱剤投入器によって発熱剤を投入させてアルミドロスの温度を注水温度まで高くしてもよい。制御器10は、アルミドロスの温度を注水温度より高くした後に、注水ノズル8によってアルミドロスに水を噴射させてもよい。なお、アルミドロス処理機1では、所定の注水温度は、制御器10のメモリ10Aに記憶されている。
【0031】
図示されないが、アルミドロス処理機1は、冷媒投入機を備えてもよい。制御器10が冷媒投入機の動作を制御してもよい。冷媒投入機を備えるアルミドロス処理機1では、前述の工程(STEP7)の後、制御器10が冷媒投入機にポット2内に冷媒を投入させる(STEP8)。制御器10は、ポット2内に残ったアルミドロスと冷媒とを撹拌羽根3に撹拌させる(STEP9)。制御器10は、温度センサ9でアルミドロスの温度を測定する。制御器10は、アルミドロスの温度が所定の冷却温度以下で所定時間経過した後に、撹拌羽根3に撹拌を停止させる(STEP10)。なお、アルミドロス処理機1では、所定の冷却温度は、制御器10のメモリ10Aに記憶されている。アルミドロス処理機1は、アルミドロスと冷媒との混合物を排出し次の処理工程に送り出す(STEP11)。
【0032】
アルミドロス処理機1は、出湯口2Bを開閉する栓としての先端部3B、出湯口2Bから流出するアルミニウムを撮影するカメラ7、及び、カメラ7の画像データからアルミニウムの有無を判定し先端部3Bに出湯口2Bを開閉させる制御器10を備える。このアルミドロス処理機1は、カメラ7の画像データから制御器10がアルミニウムの有無を判定することで、作業者はアルミドロスの状態を確認しながらアルミドロスの撹拌操作とアルミニウムの回収操作とをする必要がない。このアルミドロス処理機1は、自動でアルミドロスからアルミニウムを回収しうる。
【0033】
なお、このアルミニウムの回収方法では、工程(STEP4-2)において、制御器10は、アルミニウムの流出量を判定し、所定の流出量以上のときにアルミニウムを有りと判定し、所定の流出量未満のときにアルミニウムを無しと判定してもよい。
【0034】
制御器10は、カメラ7の画像データ中のアルミニウムを判別するために、アルミニウムの色や性状等の識別基準をメモリ10Aに記憶していることが好ましい。これにより、制御器10は、アルミニウムの有無や流出量を高精度に判定できる。例えば、カメラ7の画像データを基に、アルミニウムの色や性状等の識別基準が、制御器10に記憶させてもよい。更に、制御器10は、アルミニウムの色や性状とアルミドロスの温度との組み合わせの識別基準をメモリ10Aに記憶してもよい。アルミドロスの温度を組み合わせることで、制御器10は、アルミニウムの有無や流出量を更に高精度に判定できる。
【0035】
アルミドロス処理機1では、制御器10が注水ノズル8に、アルミドロスに水を噴射させる。高温状態のアルミドロスに注入された水は、酸素と水素とに分解されガスになる。このガスが、膨張し上昇することでアルミドロスを押上げ、比重の小さい不純物と比重の大きいアルミニウムとの分離を促進し、アルミニウムをポット2の底2Aに沈降させる。又、撹拌羽根3の撹拌とガスの膨張とが、岩状になったアルミドロスの固まりを砕き、不純物とアルミニウムとの分離を促進する。そして、アルミドロスへの水の注入によって不純物とアルミニウムとに分離を促進することで、制御器10がカメラ7の画像データからアルミニウムを識別することを容易にできる。従って、アルミドロス処理機1は、ポット2に収容されたアルミドロスに水を噴射する注水ノズル8を備えることが好ましい。
【0036】
このアルミドロス処理機1では、作業者は、アルミドロスの状態を確認しながらアルミドロスの撹拌操作をする必要がない。作業者は、ポット2の周辺でアルミドロスを監視する必要がない。アルミドロス処理機1は、水の注入によるガスの急激な膨張が発生する場合にも、安全にアルミドロスに水を注入できる。
【0037】
このアルミドロス処理機1は、温度センサ9を備えるので、温度管理をされたアルミドロスに、発熱剤を添加し、又、水を噴射できる。適切な温度のアルミドロスに発熱剤を添加し、又、水を噴射することで、アルミニウムの分離が促進できる。従って、このアルミドロス処理機1は、温度センサ9を備えることが好ましい。
【0038】
撹拌されるアルミドロスは、測定箇所によって温度のばらつきが大きい。この温度のばらつきは、発熱剤の添加、水の噴射等のタイミングの誤認を生じさせる。又、アルミニウムの色や性状とアルミドロスの温度との組み合わせで、制御器10がアルミニウムの有無や量を判定するときに、判定精度を低下させる。従って、アルミドロス処理機1の制御器10は、温度センサ9の温度データを例えば移動平均することで、温度データの時系列変化を平滑化した計算値を演算することが好ましい。制御器10は、この平滑化した計算値を用いて、演算及び判定することが好ましい。
【0039】
アルミドロスでは、高温状態で水を注入することで、ガスの急激な膨張によって、不純
物とアルミニウムとの分離が促進される。このアルミドロス処理機1では、制御器10は、アルミドロスの温度が注水温度以上のときに注水ノズル8に水を噴射させる。これにより、制御器10は、不純物とアルミニウムとの分離を促進できる。従って、制御器10は、アルミドロスの温度が注水温度以上のときに注水ノズル8に水を噴射させることが好ましい。
【0040】
アルミドロスでは、内部に水を噴射されることで、不純物とアルミニウムとの分離がより促進される。撹拌羽根3に撹拌されるアルミドロスでは、遠心力の作用により、半径方向外側より内側の表面が低い。従って、注水ノズル8は、回転軸5Aの半径方向において、中央より内側に水を噴射することが好ましい。又、注水ノズル8は、アルミドロスの表面の内、最も低い位置に水を噴射することが好ましい。
【0041】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態を開示する。
【0042】
[項目1]
アルミドロスを収容し、前記アルミドロスから分離されるアルミニウムを流出させる出湯口を有するポット、
前記出湯口を開閉する栓、
前記ポットに収容された前記アルミドロスを撹拌する撹拌羽根、
前記出湯口から流出する前記アルミニウムを撮影するカメラ、
及び
前記カメラの画像データから前記出湯口から流出する前記アルミニウムの有無を判定し前記栓に前記出湯口を開閉させる制御器
を備える、アルミドロス処理機。
【0043】
[項目2]
前記ポットに収容された前記アルミドロスに水を噴射する注水ノズルを備え、
前記制御器が前記注水ノズルに前記水を噴射させる、項目1に記載のアルミドロス処理機。
【0044】
[項目3]
前記ポットに収容された前記アルミドロスの温度を測定する温度センサを備える、項目1又は2に記載のアルミドロス処理機。
【0045】
[項目4]
前記ポットに収容された前記アルミドロスに水を噴射する注水ノズルを備え、
前記制御器が前記アルミドロスの前記温度が所定の注水温度以上のときに前記注水ノズルに前記水を噴射させる、項目3に記載のアルミドロス処理機。
【符号の説明】
【0046】
1・・・アルミドロス処理機
2・・・ポット
2B・・・出湯口
3・・・撹拌羽根
3B・・・先端部(栓)
7・・・カメラ
8・・・注水ノズル
9・・・温度センサ
10・・・制御器
【要約】
【課題】アルミドロスからアルミニウムの回収を自動化したアルミドロス処理機を提供する。
【解決手段】
アルミドロス処理機1は、アルミドロスを収容し、アルミドロスから分離されるアルミニウムを流出させる出湯口2Bを有するポット2、出湯口2Bを開閉する栓3B、ポット2に収容されたアルミドロスを撹拌する撹拌羽根3、出湯口2Bから流出するアルミニウムを撮影するカメラ7、及び、カメラ7の画像データから出湯口2Bから流出するアルミニウムの有無を判定し栓3Bに出湯口2Bを開閉させる制御器10を備える。好ましくは、アルミドロス処理機1は、ポット2に収容されたアルミドロスに水を噴射する注水ノズル8を備え、制御器10が注水ノズル8に水を噴射させる。
【選択図】
図1