(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-14
(45)【発行日】2025-08-22
(54)【発明の名称】調理機器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20250815BHJP
G01J 5/00 20220101ALI20250815BHJP
G01J 5/53 20220101ALI20250815BHJP
A47J 36/00 20060101ALI20250815BHJP
G01J 5/05 20220101ALN20250815BHJP
【FI】
A47J27/00 104Z
G01J5/00 101Z
G01J5/53 101
A47J36/00 Z
G01J5/05
(21)【出願番号】P 2024529611
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(86)【国際出願番号】 CN2022100802
(87)【国際公開番号】W WO2023087707
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2024-05-16
(31)【優先権主張番号】202122828988.9
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202123039938.9
(32)【優先日】2021-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】524186280
【氏名又は名称】ジューハイ ユニクック テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ZHUHAI UNICOOK TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Floor 11, Building 1, No.1200, Jinzhou Road, Tangjiawan Town, High-tech Zone, Zhuhai, Guangdong 519000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,フェン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ドンシン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,ジョンリン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ,シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】シエ,ジュンフェン
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-187909(JP,A)
【文献】中国実用新案第214180072(CN,U)
【文献】特開2005-302393(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0295701(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111110010(CN,A)
【文献】特開2010-110486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
G01J 5/00
G01J 5/53
A47J 36/00
G01J 5/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理機器であって、
ベースと、
前記ベース内に回動可能に設けられる鍋(120)と、
前記ベースに設けられるとともに、前記鍋(120)の食材領域に対向して設けられる第1の温度測定アセンブリ(137)を含む少なくとも1つの温度測定アセンブリ(130)と、を含み、
前記食材領域は、調理機器(100)が調理姿勢にある時に前記鍋(120)における食材と前記鍋(120)とが接触する領域であ
り、
前記ベースは、ケース(110)と、前記ケース(110)内に設けられる加熱アセンブリ(140)と、を含み、
前記加熱アセンブリ(140)は、前記ケース(110)と前記鍋(120)との間に位置し、前記鍋(120)を加熱するためのものであり、
前記温度測定アセンブリ(130)は、
前記ケース(110)に接続される磁気シールドリング(132)と、
前記磁気シールドリング(132)の内部に位置する検出ウィンドウ(131)を含む赤外線温度測定センサ(133)と、を含む、
調理機器。
【請求項2】
前記加熱アセンブリ(140)は、少なくとも1つのコイルディスク(141)を含み、
前記コイルディスク(141)は、環状構造および/または弧状構造を含む、
請求項1に記載の調理機器。
【請求項3】
前記温度測定アセンブリ(130)は、前記加熱アセンブリ(140)の中央に対向して設けられ、および/または、
前記温度測定アセンブリ(130)は、前記鍋(120)の高温領域(123)に対向して設けられ、
前記高温領域(123)は、前記調理機器(100)が調理姿勢にある場合、前記鍋(120)が前記ケース(110)に対して回動する過程において前記加熱アセンブリ(140)に対向する領域である、
請求項2に記載の調理機器。
【請求項4】
前記加熱アセンブリ(140)の少なくとも一部および少なくとも他部は、それぞれ前記鍋(120)の軸線の両側に位置し、
前記加熱アセンブリ(140)は、前記鍋(120)の周方向に沿って、前記鍋(120)の軸方向において異なる高度を有する、
請求項2に記載の調理機器。
【請求項5】
前記加熱アセンブリ(140)は、環状をなすとともに前記鍋(120)の外部に外嵌され、
前記加熱アセンブリ(140)の輪郭形状は、前記鍋(120)の輪郭形状にフィットする、
請求項4に記載の調理機器。
【請求項6】
前記加熱アセンブリ(140)は、前記鍋(120)の軸線に対して傾斜して設けられ、
前記加熱アセンブリ(140)の前記鍋(120)の開口から離れる一端は、前記鍋(120)の底部領域または底部エッジまで延伸している、
請求項4に記載の調理機器。
【請求項7】
前記加熱アセンブリ(140)の軸線と前記鍋(120)の軸線との間が夾角をなしており、
前記夾角の角度は、10~45°である、
請求項4に記載の調理機器。
【請求項8】
前記コイルディスク(141)には、その周方向に沿って間隔をあけて配列された複数の第1の放熱孔(21)が設けられ、
前記第1の放熱孔(21)の延伸方向は、前記コイルディスク(141)の巻き方向に垂直となり、
前記コイルディスク(141)の巻き層数は、少なくとも2層である、
請求項5に記載の調理機器。
【請求項9】
前記加熱アセンブリ(140)の外側に設けられるとともに少なくとも1つの磁性体(31)が設けられる第1のブラケット(3)をさらに含み、
前記第1のブラケット(3)は、環状をなすとともに前記加熱アセンブリ(140)と同軸に設けられ、
前記第1のブラケット(3)の輪郭形状は、前記加熱アセンブリ(140)の輪郭形状にフィットしており、
前記磁性体(31)の数が複数である場合、複数の前記磁性体(31)は、前記第1のブラケット(3)の周方向に沿って間隔をあけて配列される、
請求項5に記載の調理機器。
【請求項10】
前記鍋(120)の外壁には、少なくとも前記鍋(120)の検出領域(122)を覆う赤外線放射コーティング層(121)が設けられ、
前記調理機器(100)が調理姿勢にある時に、前記温度測定アセンブリ(130)は、前記鍋(120)のうち前記検出領域(122)として設定された1つの領域によって放射される、
請求項1に記載の調理機器。
【請求項11】
前記ケース(110)には、検出口(111)が設けられ、
前記温度測定アセンブリ(130)は、前記検出口(111)に穿設されるとともに前記ケース(110)に取り外し可能に接続され、
前記磁気シールドリング(132)は、前記検出口(111)に挿設され
、
前記赤外線温度測定センサ(133)は、前記ケース(110)に取り外し可能に接続される、
請求項2に記載の調理機器。
【請求項12】
前記磁気シールドリング(132)は、対向して設けられる第1の端面(135)および第2の端面(136)を含み、
前記第2の端面(136)は、前記ケース(110)の外部に位置しており、
前記温度測定アセンブリ(130)の放射範囲と前記第1の端面(135)が位置する平面との交差は、第1の領域であり、前記第1の領域は、前記第1の端面(135)の開口の内部に位置する、
請求項11に記載の調理機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年11月17日に中国特許庁へ提出された出願番号が202122828988.9であり、発明名称が「調理機器」である中国特許出願、および2021年12月01日に中国特許庁へ提出された出願番号が202123039938.9であり、発明名称が「調理機器」である中国特許出願を基礎とする優先権を主張する。
【0002】
本願は、厨房機器の技術分野に関し、特に調理機器に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の調理機器、例えば炒め機は、通常、食材の調理品質を向上させるために鍋を調理過程において回動可能なように設置し、回動鍋に温度センサを設置して温度測定を実現する。一般的に、温度センサが鍋に伴って回動するが、実際には、調理時、食材が重力の作用によって常に鍋の低い箇所に位置し、食材が鍋に伴って回動しないため、温度センサが鍋に伴って回動すると、鍋のうち食材を実際に加熱する部分の温度をリアルタイムに反映することができないため、温度測定が不正確であるという問題がある。または、従来、温度センサを鍋に伴って回動せずフレームに固定して設置する方案もあるが、温度センサが鍋の温度を測定する位置は、鍋のうち食材を加熱する部分の位置に対応できないため、同様に温度測定が不正確であるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本願は、検出結果と食材との温度差を低減させることができ、温度測定の正確性および安定性の向上および調理品質の向上に有利である調理機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例によれば、ベースと、ベース内に回動可能に設けられる鍋と、ベースに設けられるとともに、鍋の食材領域に対向して設けられる第1の温度測定アセンブリを含む少なくとも1つの温度測定アセンブリと、を含み、食材領域は、調理機器が調理姿勢にある時に鍋における食材と鍋とが接触する領域である調理機器を提供する。
【0006】
さらに、ベースは、ケースとケース内に設けられる加熱アセンブリとを含み、加熱アセンブリは、ケースと鍋との間に位置し、鍋を加熱するためのものであり、加熱アセンブリは、少なくとも1つのコイルディスクを含み、コイルディスクは、環状構造および/または弧状構造を含む。
【0007】
さらに、温度測定アセンブリは、加熱アセンブリの中央に対向して設けられ、および/または、温度測定アセンブリは、鍋の高温領域に対向して設けられ、高温領域は、調理機器が調理姿勢にある場合、鍋がケースに対して回動する過程において加熱アセンブリに対向する領域である。
【0008】
さらに、加熱アセンブリの少なくとも一部および少なくとも他部は、それぞれ鍋の軸線の両側に位置し、加熱アセンブリは、鍋の周方向に沿って、鍋の軸方向において異なる高度を有する。
【0009】
さらに、加熱アセンブリは、環状をなすとともに鍋の外部に外嵌され、加熱アセンブリの輪郭形状は、鍋の輪郭形状にフィットする。
【0010】
さらに、加熱アセンブリは、鍋の軸線に対して傾斜して設けられ、加熱アセンブリの鍋の開口から離れる一端は、鍋の底部領域または底部エッジまで延伸している。
【0011】
さらに、加熱アセンブリの軸線と鍋の軸線との間が夾角をなしており、夾角の角度は、10~45°である。
【0012】
さらに、コイルディスクには、その周方向に沿って間隔をあけて配列された複数の第1の放熱孔が設けられ、第1の放熱孔の延伸方向は、コイルディスクの巻き方向に垂直となり、コイルディスクの巻き層数は、少なくとも2層である。
【0013】
さらに、加熱アセンブリの外側に設けられるとともに少なくとも1つの磁性体が設けられる第1のブラケットをさらに含み、第1のブラケットは、環状をなすとともに加熱アセンブリと同軸に設けられ、第1のブラケットの輪郭形状は、加熱アセンブリの輪郭形状にフィットしており、磁性体の数が複数である場合、複数の磁性体は、第1のブラケットの周方向に沿って間隔をあけて配列される。
【0014】
さらに、鍋の外壁には、少なくとも鍋の検出領域を覆う赤外線放射コーティング層が設けられ、検出領域は、鍋のうち調理機器が調理姿勢にある時に温度測定アセンブリによって放射される領域である。
【0015】
さらに、ケースには、検出口が設けられ、温度測定アセンブリは、検出口に穿設されるとともにケースに取り外し可能に接続され、温度測定アセンブリは、検出口に挿設されるとともにケースに接続される磁気シールドリングと、磁気シールドリングの内部に位置する検出ウィンドウを含むとともに取り外し可能に接続される赤外線温度測定センサとを含む。
【0016】
さらに、磁気シールドリングは、対向して設けられる第1の端面および第2の端面を含み、第2の端面は、ケースの外部に位置しており、温度測定アセンブリの放射範囲と第1の端面が位置する平面との交差は、第1の領域であり、第1の領域は、第1の端面の開口の内部に位置する。
【発明の効果】
【0017】
本願の実施例に係る調理機器は、ベースと、ベースに回動可能に設けられる鍋と、ベースに設けられる少なくとも1つの温度測定アセンブリとを含む。これにより、鍋がベースに対して回動する過程において、温度測定アセンブリの位置が固定されるため、温度測定アセンブリによる温度測定の安定性の向上および温度測定アセンブリの使用寿命の延長に有利である。
【0018】
ここで、温度測定アセンブリは、鍋の食材領域に対向して設けられる第1の温度測定アセンブリを含み、食材領域は、調理機器が調理姿勢にある時に鍋における食材と鍋とが接触する領域である。これにより、第1の温度測定アセンブリの検出結果と食材との温度差が小さくなり、温度検出の正確性の向上に有利である。
【0019】
上記の説明は、本願の技術案の概要に過ぎず、本願の技術手段をより明確に理解できるように、明細書の内容に従って実施することができ、そして、本願の上記および他の目的、特徴並びに利点をより明確に理解しやすくするために、本願の具体的な実施形態を以下に挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
以下の好適な実施形態の詳細な説明を閲読することによって、その他の様々な利点およびメリットが当業者にとって明らかになるであろう。図面は、好適な実施形態を示すためのものに過ぎず、本願を限定するものではない。また、各図において、同一の部材に対して同一の符号を付している。
【
図1】本願の第1の実施例に係る調理機器の部分断面図である。
【
図2】本願の第1の実施例に係る調理機器の一部の構造を示す図である。
【
図3】
図2に示す実施例における鍋の調理温度分布を示す図である。
【
図4】本願の第2の実施例に係る調理機器の一部の構造を示す図である。
【
図5】
図4に示す実施例における鍋の調理温度分布を示す図である。
【
図6】本願の第2の実施例に係る調理機器の部分断面図である。
【
図7】本願の第3の実施例に係る調理機器の部分断面図である。
【
図8】
図1に示す実施例における1つの姿勢の断面図である。
【
図9】
図8に示す実施例における赤外線温度測定アセンブリの取り外しを示す断面図である。
【
図10】
図1に示す実施例におけるA箇所を拡大して示す図である。
【
図11】本願の一実施例に係る赤外線温度測定アセンブリの断面図である。
【
図14】本願の第3の実施例に係る調理機器の一部の構造を示す分解図である。
【
図15】
図14に示す実施例における鍋の調理温度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願の上記目的、特徴および利点をより明瞭に理解できるように、図面および具体的な実施形態を参照しながら本願をさらに詳細に説明する。なお、互いに矛盾しない限り、本願における実施例および実施例における特徴を互いに組み合わせることができる。
【0022】
以下の説明では、本願を十分に理解できるように多くの具体的な細部を説明しているが、本願は、ここで説明する方式以外の他の方式で実施してもよいため、本願の保護範囲は、以下に開示される具体的な実施例に限定されない。
【0023】
以下、
図1~
図13を参照して、本願の幾つかの実施例に係る調理機器100を説明する。調理機器100は、スマート調理機器または要求を満足できる他の機器であってもよい。
【0024】
従来の調理機器、例えば炒め機は、通常、回動鍋に温度センサを設けて回動鍋の温度を検出し、さらに鍋内の食材の温度を推定して温度制御を実現することにより、食材の調理品質を向上させるようになっている。通常、当該温度センサは、鍋に設けられるとともに鍋の回動に伴って回動する。
【0025】
しかしながら、調理機器が調理姿勢にある場合、鍋が回動しているが、鍋内の食材は重力の作用によって大部分が落下しかつ調理姿勢にある鍋の底端に長時間に亘って位置する。つまり、この際、調理姿勢にある鍋の頂端に食材がなく、または少量の食材のみを付着している。鍋は、温度センサが取り付けられた部分が調理姿勢にある鍋の頂端に位置するまで回動すると、温度センサと食材との距離が遠くなり、食材の温度、または鍋本体のうち食材を実際に加熱する部分の温度を正確に表現することができず、さらに調理機器の温度の全体的な制御精度に影響を与えて、食材の調理品質に影響を与えることがある。
【0026】
そこで、
図1および
図2に示すように、本願の実施例に係る調理機器100は、ベースと、鍋120と、少なくとも1つの温度測定アセンブリ130とを含み、そのうち、鍋120は、ベース内に回動可能に設けられ、例えば、調理機器100が調理姿勢にある場合、鍋120は、食材の均一な加熱を実現するためにベースに対して回動可能である。少なくとも1つの温度測定アセンブリ130は、ベースに設けられ、温度測定アセンブリ130は、第1の温度測定アセンブリ137を含み、第1の温度測定アセンブリ137は、鍋120における食材の温度測定を実現するように鍋120に対向して設けられる。つまり、本願の実施例に係る調理機器100では、温度測定アセンブリ130が鍋120に設けられず、ベースに設けられ、鍋120がベースに対して回動する過程において、温度測定アセンブリ130の位置が固定されるため、温度測定アセンブリ130による温度測定の安定性の向上および温度測定アセンブリ130の使用寿命の延長に有利である。
【0027】
さらに、第1の温度測定アセンブリ137は、鍋120の食材領域に対向して設けられ、ここで、調理機器100が調理姿勢にある時に鍋120における食材と鍋120とが接触する領域を食材領域と称する。例えば、調理過程において、鍋120における食材は、重力の作用によって大部分が落下して調理姿勢にある鍋120の底端に長時間に亘って位置し、このとき、鍋120の食材領域は、調理姿勢にある鍋120の底端付近の領域として理解することができ、当該領域では、食材は鍋120と接触する。
【0028】
つまり、鍋120の食材領域は、鍋120の回動過程において、鍋120自体に対して固定領域ではなく、主に食材と鍋120とが接触する領域、すなわち回動姿勢にある鍋120の底端位置の領域を指す。従って、第1の温度測定アセンブリ137を鍋120の食材領域に対向して設けることにより、第1の温度測定アセンブリ137と鍋120における食材との距離が短くなり、第1の温度測定アセンブリ137の検出結果と食材との温度差が小さくなり、第1の温度測定アセンブリ137による食材の温度検出の正確性の向上および食材の調理品質の向上に有利である。
【0029】
具体的には、温度測定アセンブリ130の数は、1つ、2つ、3つまたは複数であってもよく、温度測定アセンブリ130の異なる数量は、異なる温度測定精度の要求を満足することができ、製品の使用範囲を拡大することができる。なお、温度測定アセンブリ130の温度測定精度をさらに向上させるために、第1の温度測定アセンブリ137の数は、1つ、2つまたは複数であってもよい。
【0030】
上記の実施例では、
図1および
図2に示すように、ベースは、ケース110とケース110内に設けられる加熱アセンブリ140とを含み、加熱アセンブリ140は、ケース110内に設けられる。なお、鍋120もケース110内に設けられ、かつケース110に対して回動可能であるため、ケース110は、鍋120および加熱アセンブリ140の支持ケースとなり、主に鍋120および加熱アセンブリ140を保持する作用を発揮する。加熱アセンブリ140は、ケース110と鍋120との間に位置し、鍋120を加熱するためのものである。ここで、温度測定アセンブリ130は、ベースに設けられてもよいし、加熱アセンブリ140に設けられてもよい。例えば、温度測定アセンブリ130は、加熱アセンブリ140のブラケットに設けられ、または、ケース110内に他の部材がさらに設けられ、温度測定アセンブリ130が他の部材に設けられ、上記の作用を実現できればよい。
【0031】
さらに、加熱アセンブリ140は、少なくとも1つのコイルディスク141を含み、コイルディスク141は、環状構造および/または弧状構造を含む。ここで、
図2および
図4に示すように、環状構造のコイルディスク141は、鍋120の外周側に周設され、例えば、環状構造のコイルディスク141は、立体的なものとしてもよく、立体的なコイルディスクは、一体構造として鍋120の外周側に周設される。
図1および
図6に示すように、弧状構造のコイルディスク141は、鍋120の一部の外周側に分布されてもよく、または、複数の弧状構造のコイルディスク141は、共同で鍋120の外周側に周設されてもよく、コイルディスク141の異なる数量は、コイルディスク141の異なる構造、異なる設置位置、異なる加熱効率のニーズを満足することができ、製品の使用範囲を拡大させた。
【0032】
なお、加熱アセンブリ140のコイルディスク141は、環状構造および弧状構造のうちの1種を含んでもよく、または、加熱アセンブリ140のコイルディスク141は、環状構造および弧状構造の2種を含んでもよい。ここで、上記のいずれかの場合においても、環状構造のコイルディスク141の数は1つまたは少なくとも2つであってもよく、弧状構造のコイルディスク141の数は1つまたは少なくとも2つであってもよい。
【0033】
本願に係る幾つかの実現可能な実施例では、
図1、
図6、
図8、
図9に示すように、温度測定アセンブリ130は、加熱アセンブリ140の中央に対向して設けられ、例えば、温度測定アセンブリ130は、赤外線温度測定アセンブリであり、加熱アセンブリ140の中央位置に透光領域142が設けられる。このように、赤外線温度測定アセンブリは、加熱アセンブリ140の中央位置における透光領域142を介して鍋120から発射した赤外線を受信して、鍋120における食材領域の温度測定を実現することができ、検出の正確性および信頼性の向上に有利である。
【0034】
具体的には、透光領域142は、透かし彫り構造または透光部材であってもよく、例えば、温度測定アセンブリ130の検出光が加熱アセンブリ140の中央位置における透光領域142を透過して鍋120の温度を検出できるように、透光部材を透光板とすることができる。
【0035】
さらに、通常、加熱アセンブリ140は、鍋120を加熱するために用いられ、鍋120が調理姿勢にある場合、加熱アセンブリ140の中央位置は、通常鍋120の食材領域に対向するため、温度測定アセンブリ130を加熱アセンブリ140の中央に対向して設けることにより、温度測定アセンブリ130は、食材温度の正確な測定を迅速、正確、確実に実現することができ、食材の調理品質の向上に有利である。
【0036】
本願に係る幾つかの実現可能な実施例では、
図3、
図4および
図5に示すように、温度測定アセンブリ130は、鍋120の高温領域123に対向して設けられ、調理機器が調理姿勢にある場合、鍋120がケース110に対して回動する過程において加熱アセンブリ140に対向する領域は、高温領域123である。
【0037】
なお、通常、鍋120は、高温領域123、高温度帯125および低温帯124を含み、そのうち、調理機器100が調理姿勢にある場合、鍋120がケース110に対して回動する過程において、高温領域123が加熱アセンブリ140に対向して設けられ、当該領域は、加熱温度が最も高く、集中的に加熱する領域である。高温度帯125は、高温領域123に隣接するものであり、当該領域は、加熱温度が比較的に高く、補助的に加熱する領域であり、低温度帯124は、高温度帯125の高温領域123から離れた側に位置する部分であり、当該領域は通常、温度が比較的に低く、食材を加熱しない。
【0038】
なお、加熱アセンブリ140の構造および設置位置が異なるため、高温度帯125は1つであって、高温領域123と低温度帯124との間に設けられてもよく、または、
図3および
図5に示すように、高温度帯125は2つであって、高温領域123の両側に分布され、そのうちの1つの高温度帯125が高温領域123と低温度帯124との間に位置してもよい。ここで、調理機器100が調理姿勢にある場合、通常、食材領域と高温領域123とが重なる確率が大きい。
【0039】
つまり、鍋120の高温領域123は、鍋120の回動過程において鍋120自体に対して固定された領域ではなく、主に鍋120と加熱アセンブリ140とが対向する領域を指す。加熱アセンブリ140が鍋120を加熱するために用いられるため、鍋120が調理姿勢にある場合、良好な調理効率を確保するために、食材は通常、鍋120の高温領域123に接触し、すなわち、調理機器100が調理姿勢にある場合、通常、食材領域と高温領域123とが重なる確率が大きい。
【0040】
つまり、加熱アセンブリ140の設置位置によって、鍋120が調理姿勢にある場合に鍋120の食材領域を鍋120の高温領域123内に位置させることができる。従って、温度測定アセンブリ130を鍋120の高温領域123に対向して設置することにより、温度測定アセンブリ130は、食材温度の正確な測定を迅速、正確、確実に実現することができる。
【0041】
さらに、温度測定アセンブリ130の数は、少なくとも1つであり、温度測定アセンブリ130の数が1つである場合、温度測定アセンブリ130は、加熱アセンブリ140の中央に対向して設けられてもよく、または、温度測定アセンブリ130は、鍋120の高温領域123に対向して設けられてもよい。
【0042】
温度測定アセンブリ130の数が少なくとも2つである場合、全部の温度測定アセンブリ130が加熱アセンブリ140の中央に対向して設けられてもよく、または、全部の温度測定アセンブリ130が鍋120の高温領域123に対向して設けられてもよく、または、一部の温度測定アセンブリ130が加熱アセンブリ140の中央に対向して設けられ、他部の温度測定アセンブリ130が鍋120の高温領域123に対向して設けられてもよい。温度測定アセンブリ130を異なる位置に設けることにより、温度測定の正確性を保証した前提で、温度測定アセンブリ130の様々な取付方式を実現し、応用範囲がより広くなった。
【0043】
本願に係る幾つかの実現可能な実施例では、
図6および
図7に示すように、温度測定アセンブリ130は、第1の温度測定アセンブリ137の少なくとも一側に分布され、第1の温度測定アセンブリ137を支援するための第2の温度測定アセンブリをさらに含み、第1の温度測定アセンブリ137と第2の温度測定アセンブリとが共同で温度測定を実現することにより、温度測定の正確性および信頼性の向上に有利である。ここで、調理機器100が調理姿勢にある場合、鍋120は、
図7の矢印Gで示す方向に沿ってベースに対して往復回転することができる。
【0044】
さらに、本願は、第2の温度測定アセンブリの数および分布方式を限定せず、1つまたは複数の第2の温度測定アセンブリが第1の温度測定アセンブリ137の同一側に分布されてもよく、または、1つまたは複数の第2の温度測定アセンブリが第1の温度測定アセンブリ137の両側に分布されてもよい。
【0045】
図6に示すように、第2の温度測定アセンブリの数は1つであって、第2の温度測定アセンブリa138を含み、第2の温度測定アセンブリa138および第1の温度測定アセンブリ137は、鍋120の両側に対向して分布されてもよい。
図7に示すように、第2の温度測定アセンブリの数は2つであって、第2の温度測定アセンブリa138と第2の温度測定アセンブリb139とを含み、第2の温度測定アセンブリa138および第2の温度測定アセンブリb139はそれぞれ第1の温度測定アセンブリ137の両側に設けられてもよい。
【0046】
図6、
図8および
図9に示すように、鍋120のうち調理機器100が調理姿勢にある時に温度測定アセンブリ130で放射される領域を検出領域122と称し、鍋120の外壁に赤外線放射コーティング層121が設けられ、赤外線放射コーティング層121を設けることにより、加熱過程における鍋120の赤外線の発射率を高めることができ、さらに温度測定アセンブリ130の検出の信頼性の向上に有利である。
【0047】
赤外線放射コーティング層121が少なくとも鍋120の検出領域122を覆うようにすることにより、鍋120がどんな回動角度にあっても温度測定アセンブリ130の測定領域内に赤外線放射コーティング層121が含まれることを確保することができ、温度測定アセンブリ130の検出の信頼性および正確性をさらに向上させることができる。好ましくは、鍋120の外壁における赤外線放射コーティング層121は、硬度が高い耐高温性の赤外線放射コーティング層121であり、波長が6μm~16μmの赤外線の発射率が95%以上に達するのを確保することができる。好ましくは、赤外線放射コーティング層121は、グラフェンセラミック複合コーティング層であるが、赤外線放射コーティング層121は、要求を満足できる他の材質のコーティング層であってもよいことは言うまでもない。
【0048】
具体的には、
図8および
図9に示すように、鍋120の検出領域122に亘って赤外線放射コーティング層121が設けられ、例えば、鍋120が調理姿勢にある場合、鍋120が1周回転する過程において温度測定アセンブリ130に対向する領域に亘って赤外線放射コーティング層121が設けられてもよい。あるいは、
図6に示すように、赤外線の発射率をさらに増大させるために、検出領域122に赤外線放射コーティング層121を設ける以外に、鍋120の他の位置にも赤外線放射コーティング層121を設け、例えば、鍋120の検出領域122のうち鍋底に近い部分に鍋120の外周側を取り囲む赤外線放射コーティング層121を設けてもよい。
【0049】
本願に係る幾つかの実現可能な実施例では、
図1、
図8、
図9および
図10に示すように、ケース110には検出口111が設けられ、温度測定アセンブリ130は、検出口111に穿設されるとともにケース110に取り外し可能に接続される。このように設置することにより、温度測定アセンブリ130とケース110との着脱が容易になり、温度測定アセンブリ130をケース110から取り外して交換、メンテナンス、クリーニングを行うことができ、温度測定アセンブリ130の交換、メンテナンス、クリーニングの体験の向上に有利であり、メンテナンス効率の向上および温度測定アセンブリの使用寿命の延長が容易になる。
【0050】
温度測定アセンブリ130は、検出ウィンドウ131を含んでもよい。検出ウィンドウ131に埃または汚れがあると温度測定アセンブリ130の温度測定の精度に影響を与えるため、温度測定アセンブリ130をケース110から取り外して、温度測定アセンブリ130の検出ウィンドウ131をクリーニングし、クリーニングが完了した温度測定アセンブリ130をケース110に取り付けて鍋120の温度検出を行うことにより、温度測定アセンブリ130の温度測定の精度の向上に有利である。
【0051】
さらに、温度測定アセンブリ130を検出口111に穿設するとともにケース110に取り外し可能に接続することにより、ケース110を開ける必要がなく、温度測定アセンブリ130とケース110との着脱をケース110の外部から実現することができ、温度測定アセンブリ130の着脱操作をさらに簡単化させ、操作が便利となるとともに普及応用に適合する。
【0052】
図10および
図11に示すように、上記実施例では、温度測定アセンブリ130は、赤外線温度測定センサ133と取付座134とをさらに含み、赤外線温度測定センサ133は、取付座134に取り外し可能に接続され、取付座134は、ケース110に接続され、赤外線温度測定センサ133は、取付座134に接続される。つまり、取付座134によって赤外線温度測定センサ133をケース110に取り外し可能に取り付けることができ、構造が簡単であるとともに操作が便利となる。
【0053】
ここで、赤外線温度測定センサ133を取付座134に取り外し可能に接続することにより、赤外線温度測定センサ133が取り付けられた取付座134をケース110から取り外した後、赤外線温度測定センサ133を取付座134から取り外してメンテナンス、交換、クリーニングを行うことができ、操作が便利となる。
【0054】
ここで、赤外線温度測定センサ133は、調理機器100の制御システムと通信可能に接続され、測定された鍋120の底部の食材領域の温度をリアルタイムにフィードバックする。具体的には、赤外線温度測定センサ133の固定位置は、鍋120が調理姿勢にある場合に鍋120の食材領域の底部の最低位置の温度を測定できることを満足している。
【0055】
上記実施例では、
図8、
図9、
図10、
図11に示すように、温度測定アセンブリ130は、検出口11に挿設されるとともにケース110に接続される磁気シールドリング132をさらに含み、取付座134は、ケース110の外部に位置する磁気シールドリング132に取り外し可能に接続され、取付座134と磁気シールドリング132との取り外し可能な接続によって、赤外線温度測定センサ133とケース110との取り外し可能な接続を実現することができ、構造が簡単であるとともに操作が便利となる。
【0056】
ここで、赤外線温度測定センサ133は、検出ウィンドウ131を含み、検出ウィンドウ131は、磁気シールドリング132の内部に位置し、赤外線温度測定センサ133の検出ウィンドウ131が汚染されて検出精度に影響を与える可能性を低下させることができる。磁気シールドリング132を設置することにより、加熱アセンブリ140が発生した電磁界による赤外線温度測定センサ133への干渉を低減させ、さらに赤外線温度測定センサ133による温度測定の正確性および信頼性を向上させることができる。
【0057】
具体的には、上記赤外線温度測定センサ133、磁気シールドリング132、取付座134などの取り外し可能な接続は、具体的な接続方式を限定せず、ネジ接続、磁気吸着、ピン/スナップフィット接続などを含むが、これらに限定されない。例えば、赤外線温度測定センサ133をケース110から取り外す必要がある場合、取付座134を磁気シールドリング132から引き抜いてケース110と分離させることにより、取付座134に取り付けられた赤外線温度測定センサ133を取付座134とともにケース110から離間してケース110と分離させ、赤外線温度測定センサ133のメンテナンスやクリーニングが容易になり、操作が便利となる。ここで、
図8および
図9における矢印Kで示す方向は、赤外線温度測定センサ133の取り外し方向および取り付け方向である。
【0058】
さらに、
図7に示すように、鍋120をベースに対して適切な位置に回動させることにより、鍋120の検出口111を水平方向に位置させて、温度測定アセンブリ130の取り付けおよび取り外しを容易にすることができる。
【0059】
図10および
図13に示すように、磁気シールドリング132は、対向して設けられる第1の端面135および第2の端面136を含む。第1の端面135は、ケース110に接続され、第2の端面136は、ケース110の外部に位置するとともに赤外線温度測定センサ133に取り外し可能に接続される。検出ウィンドウ131の鍋120に近接する端面は、上端面1331であり、上端面1331と第1の端面135との間の距離をD1とすると、D1の設定範囲は、4mm~12mmであり、検出ウィンドウ131の鍋120から離れる端面は、下端面1332であり、下端面1332と第2の端面136との間の距離をD2とすると、D2の設定範囲は、4mm~12mmである。
【0060】
このように設置することにより、コイルディスクが発生した電磁界が赤外線温度測定センサ133と干渉しないのを確保することができ、赤外線温度測定センサ133による温度測定の正確性および信頼性を確保することができる。D1の値は8mm、D2の値は8mmとそれぞれとることが好ましいが、D1およびD2は、要求を満足できる他の数値であってもよいことは言うまでもない。
【0061】
図12および
図13に示すように、温度測定アセンブリ130の放射範囲と第1の端面135が位置する平面との交差は、第1の領域であり、第1の領域は、磁気シールドリング132の第1の端面135の開口内部に位置し、例えば、赤外線温度測定センサ133が検出ウィンドウ131を介して発射した赤外線の、赤外線温度測定センサ133の鉛直中心面内での夾角をβとし、夾角βの2つの辺と磁気シールドリング132の第1の端面135との交点の間の距離をPとし、磁気シールドリング132の第1の端面135の開口直径をQとすると、P≦Qとなり、第1の領域が第1の端面135の開口の内部に位置することを示し、このように、磁気シールドリング132が検出ウィンドウ131を介した放射範囲を遮蔽しないことを確保し、温度測定アセンブリ130の温度測定の信頼性および正確性をさらに確保することができる。
【0062】
図14に示すように、加熱アセンブリ140は、鍋120の外側に設けられ、加熱アセンブリ140の少なくとも一部および少なくとも他部はそれぞれ鍋120の軸線の両側に位置し、加熱アセンブリ140は、鍋120の周方向に沿って、鍋120の軸方向において異なる高度を有する。ここで、当該調理機器は、ベースをさらに含み、鍋120は、回転加熱を実現するために、ベースに回動軸の周りに回動可能に設けられてもよい。
【0063】
本願の実施例に係る調理機器は、加熱アセンブリ140の少なくとも一部および少なくとも他部がそれぞれ鍋120の軸線の両側に位置し、そして、加熱アセンブリ140が鍋120の周方向に沿って鍋120の軸方向において異なる高さを有するため、鍋120が回転して加熱する場合、鍋120に形成される加熱領域は、加熱アセンブリ140に対応する領域だけでなく、加熱アセンブリ140の上側および下側に対応する領域にも形成され、鍋120の軸方向における加熱領域の被覆高さを増大させるとともに、加熱領域を分散させ、鍋120の受熱の均一性を向上させて、料理の調理効果を向上させた。
【0064】
そして、鍋120に熱集中現象を発生しないので、局所的な高温が発生せず、鍋120の表面におけるノンスティックコーティングの脱落および局所的な熱応力に起因する鍋120の変形を回避することができ、鍋120の使用寿命を延長させるとともに、鍋の温度の正確な測定および鍋の温度の制御に対して条件を提供することができる。
【0065】
本願の実施例では、
図14に示すように、加熱アセンブリ140は、環状をなしており、鍋120の外部に外嵌され、加熱アセンブリ140の輪郭形状は、鍋120の輪郭形状にフィットする。
【0066】
上記実施例では、加熱アセンブリ140を環状構造として鍋120を囲むことにより、鍋120が回転して加熱する過程において、鍋120のうち回転して加熱アセンブリ140から離れたばかりの領域が180度回転した後に継続して加熱アセンブリ140に対応して加熱されるのを実現し、鍋120における当該部分の温度が空気との熱交換時間が長いことにより急速に低下するのを回避することができ、鍋120における加熱領域が常に一定の温度に維持可能であるのを保証することができ、さらに、鍋120の受熱の均一性をさらに向上させて、料理の調理効果をさらに向上させた。
【0067】
上記実施例では、加熱アセンブリ140の輪郭形状を鍋120の輪郭形状にフィットさせることにより、加熱アセンブリ140における各位置と鍋120との間の距離がいずれも同様であることを保証することができ、鍋120の受熱の均一性をよりよく保証することができる。
【0068】
本願の実施例では、
図14に示すように、加熱アセンブリ140は、鍋120の軸線に対して傾斜して設けられ、加熱アセンブリ140の鍋120の開口から離れる一端は、鍋120の底部領域または底部エッジまで延伸している。
【0069】
上記実施例では、加熱アセンブリ140は、鍋120の軸線に対して傾斜して設けられるため、鍋120の周方向に沿って鍋120の軸方向において異なる高度を有する。そして、加熱アセンブリ140の鍋120の開口から離れる一端を鍋120の底部領域または底部エッジまで延伸させることにより、鍋120が回転して加熱する場合、加熱アセンブリ140によって鍋120に形成される加熱領域は、鍋120の開口端から底部領域または底部エッジまで覆うことができ、鍋120における加熱領域の面積を増大させ、鍋120内の鍋気(Wok Hei)を十分にさせ、料理の調理効果をさらに向上させた。
【0070】
本願の実施例では、
図14に示すように、加熱アセンブリ140の軸線と鍋120の軸線との間が夾角αをなしており、当該夾角αの角度は、10~45°とすることができる。これにより、鍋120が回転して加熱する場合に、加熱アセンブリ140によって鍋120に形成される加熱領域が鍋120の2/3以上の領域を覆うことができ、鍋120内の鍋気(Wok Hei)を十分にさせ、料理の調理効果をさらに向上させた。
【0071】
なお、
図15を参照すると、鍋120が静止している場合、加熱アセンブリ140は、鍋120に傾斜した環状の高温領域123を形成し、鍋120が回転して加熱する場合、加熱アセンブリ140は、鍋120の表面に高温度帯125を形成し、そして、当該高温度帯125は、鍋120の表面の2/3以上の領域を覆うことができ、理論的には鍋120の表面全体を覆うことができる。また、鍋120の円周方向において、前記高温領域123における温度が均一であり、鍋120が回転して加熱する過程において、鍋120の軸線方向における温度も均一である。このように、鍋120の円周方向および軸線方向のいずれにおいても均一に加熱することができ、鍋120内に十分な空気があることが保証され、料理の調理効果をさらに向上させた。
【0072】
本願の実施例では、
図14に示すように、加熱アセンブリ140は、コイルディスク141を含み、コイルディスク141には、その周方向に沿って間隔をあけて配列された複数の第1の放熱孔21が設けられ、第1の放熱孔21の延伸方向は、コイルディスク141の巻き方向に垂直となる。
【0073】
上記実施例では、第1の放熱孔21は、コイルディスク141が正常に動作するのを保証するために、コイルディスク141を放熱させるためのものである。具体的には、複数の第1の放熱孔21は、コイルディスク141の周方向に沿って均一に配列され、第1の放熱孔21によるコイルディスク141の放熱の均一性を向上させることができる。また、第1の放熱孔21の延伸方向がコイルディスク141の巻き方向に垂直となることにより、コイルディスク141全体の強度を確保することができる。
【0074】
本願の実施例では、コイルディスク141の巻き層数は、少なくとも2層であってもよい。これにより、面積が限られるコイルディスク141が十分なコイル巻数を有するのを保証することができ、コイルディスク141がインダクタンス量にマッチングし、さらにコイルディスク141に必要な加熱電力に達することができる。
【0075】
なお、コイルディスク141の巻き高度は、鍋120の形状寸法および計画された加熱面積に基づいて確定することができ、例えば、鍋120の寸法が大きくかつ計画された加熱面積が大きい場合、コイルディスク141の巻き高度を高くさせてもよく、逆に、コイルディスク141の巻き高度を低くさせてもよい。
【0076】
本願の実施例では、
図14に示すように、当該調理機器100は、加熱アセンブリ140の外側に設けられるとともに少なくとも1つの磁性体31が設けられた第1のブラケット3をさらに含む。
【0077】
上記実施例では、第1のブラケット3に磁性体31が設けられ、かつ第1のブラケット3が加熱アセンブリ140の外側に設けられる。これにより、空気に散在する磁束線を減少させて、コイルの漏れ磁束を減少させることができ、できるだけ磁束線を鍋120の一側に分布させ、コイルディスク141が必要な加熱電力に達するのを確保することができる。
【0078】
ここで、第1のブラケット3の構造形態は複数種あり、加熱アセンブリ140の外側に固定するとともに磁性体31を取り付けることができればよい。本願の実施例では、
図14に示すように、第1のブラケット3は、環状をなすとともに加熱アセンブリ140と同軸に設けられ、第1のブラケット3の輪郭形状は、加熱アセンブリ140の輪郭形状にフィットする。磁性体31の数が複数である場合、複数の磁性体31は、第1のブラケット3の周方向に沿って間隔をあけて配列される。
【0079】
上記実施例では、環状をなす第1のブラケット3は、その輪郭形状が加熱アセンブリ140の輪郭形状にフィットするとともに加熱アセンブリ140と同軸に設けられる。これにより、各磁性体31とコイルディスク141との間の距離を近くさせることができ、漏れ磁束の減少に有利である。また、複数の磁性体31を第1のブラケット3の周方向に沿って均一に配列し、かつ隣接する2つの磁性体31の間の距離を小さくさせてもよい。これにより、漏れ磁束の減少に有利である。
【0080】
上記実施例では、第1のブラケット3は、間隔をあけて配列された複数の環状スペーサーストリップを互いに接続することによって形成され、複数の磁性体31がスペーサーストリップに均一に固定されてもよい。これにより、第1のブラケット3全体の強度を確保することができる。また、第1のブラケット3は、スロットおよび/またはネジ等の接続部材によってコイルディスク141に固定されてもよい。
【0081】
本願の実施例では、
図14を参照すると、当該調理機器100は、鍋120の外側に設けられる第2のブラケット4をさらに含み、加熱アセンブリ140は、第2のブラケット4に設けられ、第2のブラケット4には、第2の放熱孔41が設けられ、第2のブラケット4と鍋120との間に隙間が設けられている。
【0082】
上記実施例では、第2のブラケット4を設け、加熱アセンブリ140を第2のブラケット4に設けることにより、加熱アセンブリ140を鍋120の外側に安定的に取り付けることができ、加熱アセンブリ140による鍋120の加熱に有利である。そして、第2のブラケット4に第2の放熱孔41を設けることにより、当該第2の放熱孔41によって加熱アセンブリ140および鍋120を容易に放熱させることができる。
【0083】
上記実施例では、第2のブラケット4は、磁場を遮蔽しないように非導磁材料で製造され、加熱アセンブリ140、すなわちコイルディスク141が鍋120のみを加熱するのを保証し、鍋120の加熱効果を確保することができる。具体的には、第2のブラケット4は、エンジニアリングプラスチックまたはナイロンおよびガラス繊維材料で製造されてもよい。
【0084】
上記実施例では、第2のブラケット4と鍋120との間に隙間を設けることにより、コイルディスク141と鍋120との間に一定の間隔を有させることができ、当該間隔は、コイルディスク141のキャリアインダクタンスおよび鍋120の外面の放熱状況に影響を与える。例えば、当該間隔が小さくなると、コイルディスク141のキャリアインダクタンス量を減少させ、コイルディスク141の加熱電力を減少させるとともに、鍋120の外面の放熱にも不利である。通常、当該間隔が15mmより大きいと、コイルディスク141のキャリアインダクタンスを確保することができるとともに、鍋120の外面の放熱に有利である。
【0085】
ここで、第2のブラケット4の構造形態は複数種あり、加熱アセンブリ140を取り付けるとともに鍋120とともに回転せずに鍋120の外側に固定することができればよい。本願の実施例では、
図1に示すように、第2のブラケット4は、両端が開口した筒状構造であり、第2のブラケット4は、鍋120の外側に外嵌され、第2のブラケット4の輪郭形状は、前記鍋120の輪郭形状にフィットする。
【0086】
上記実施例によれば、加熱アセンブリ140の輪郭形状が鍋120の輪郭形状にフィットするため、第2のブラケット4の輪郭形状を鍋120の輪郭形状にフィットするように設置することにより、加熱アセンブリ140の第2のブラケット4への取り付けが容易となるとともに、加熱アセンブリ140の第2のブラケット4への取り付け安定性を確保することができる。
【0087】
本願に記載されている「複数」という用語は、2つまたはそれ以上を指し、特に限定しない限り、「上」、「下」などの用語が示す方位または位置関係は、図面に基づいた方位または位置関係であって、本願の説明の便宜上および説明の簡略化のためのものに過ぎず、該当装置または構成要素が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成および操作しなければならないことを指示または暗示するものではないため、本願を限定するものと理解されるべきではない。
【0088】
「接続」、「取り付け」、「固定」等の用語は、いずれも広義的に理解されるべきであり、例えば、「接続」は、固定的に接続されてもよいし、取り外し可能に接続されてもよいし、一体的に接続されてもよく、または、直接的に接続されてもよいし、中間媒体を介して間接的に接続されてもよい。当業者にとっては、具体的な状況に応じて、上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0089】
本願に記載されている「1つの実施例」、「幾つかの実施例」、「具体的な実施例」等の用語は、当該実施例または例示を参照して説明した具体的な特徴、構造、材料または特点が本願の少なくとも1つの実施例または例示に含まれることを意味する。本願では、上記用語の例示的な表現は、必ずしも同一の実施例または具体例を指すものではない。そして、説明した具体的な特徴、構造、材料または特点は、いずれか1つまたは複数の実施例または例示において適切な方式で結合されてもよい。
【0090】
以上は、本願の好適な実施例に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者であれば、本願に種々の変更や変化を加えることが可能である。本発明の精神と原則内で行われるいかなる修正、均等置換、改良などは、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0091】
100…調理機器、
110…ケース、
111…検出口、
120…鍋、
121…赤外線放射コーティング層、
122…検出領域、
123…高温領域、
124…低温度帯、
125…高温度帯、
130…温度測定アセンブリ、
131…検出ウィンドウ、
132…磁気シールドリング、
133…赤外線温度測定センサ、
1331…上端面、
1332…下端面、
134…取付座、
135…第1の端面、
136…第2の端面、
137…第1の温度測定アセンブリ、
138…第2の温度測定アセンブリa、
139…第2の温度測定アセンブリb、
140…加熱アセンブリ、
141…コイルディスク、
142…透光領域、
21…第1の放熱孔、
3…第1のブラケット、
31…磁性体、
4…第2のブラケット、
41…第2の放熱孔。