(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-15
(45)【発行日】2025-08-25
(54)【発明の名称】電話営業支援装置および電話営業支援プログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/424 20060101AFI20250818BHJP
H04M 3/493 20060101ALI20250818BHJP
【FI】
H04M3/424
H04M3/493
(21)【出願番号】P 2025077485
(22)【出願日】2025-05-07
【審査請求日】2025-05-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525172080
【氏名又は名称】合同会社セールスボイス
(74)【代理人】
【識別番号】100154380
【氏名又は名称】西村 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100081972
【氏名又は名称】吉田 豊
(72)【発明者】
【氏名】黄 勇希
【審査官】吉村 伊佐雄
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/274970(US,A1)
【文献】特開2004-48416(JP,A)
【文献】特開2021-78012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z99/00
H04M3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを備え、営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援装置であって、
前記コンピュータが、
通信インタフェースおよび電話網を介して相手側に架電する架電ステップと、
通話が確立すると、会話のための発言音声を再生する発言ステップと、
前記発言音声に対する前記相手側の応答音声を取得し、前記発言音声の内容を承認する内容承認、前記通話の終了を希望する終話希望、前記営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップと、
前記分類ステップで前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップと、
前記受入意向確認音声に対する前記相手側の応答音声を取得し、前記分類を行う最終分類ステップと、
前記転送希望に分類された場合および前記最終分類ステップで前記内容承認に分類された場合は、前記転送を行う一方、前記終話希望に分類された場合および前記最終分類ステップで前記その他に分類された場合は、前記転送を行うことなく前記通話を終了する終了ステップと、を実行することを特徴とする電話営業支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話営業支援装置において、
前記発言音声は、前記会話を開始するための会話開始音声と、前記会話を継続するための会話継続音声と、を含み、
前記分類ステップでは、前記会話開始音声および前記会話継続音声のそれぞれに対する前記相手側の応答音声を取得し、前記分類を行い、
前記コンピュータが、
前記分類ステップで、前記会話開始音声に対する前記相手側の応答音声が前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記会話継続音声を再生する会話継続ステップをさらに実行し、
前記受入意向確認ステップでは、前記分類ステップで、前記会話継続音声に対する前記相手側の応答音声が前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記受入意向確認音声を再生することを特徴とする電話営業支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電話営業支援装置において、
前記会話継続音声は、前記会話開始音声の次に再生される第1会話継続音声と、前記受入意向確認音声の一つ前に再生される第2会話継続音声と、を含み、
前記会話継続ステップでは、前記分類ステップで、前記会話開始音声に対する前記相手側の応答音声が前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記第1会話継続音声を再生し、前記第1会話継続音声に対する前記相手側の応答音声が前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記第2会話継続音声を再生し、
前記受入意向確認ステップでは、前記分類ステップで、前記第2会話継続音声に対する前記相手側の応答音声が前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記受入意向確認音声を再生することを特徴とする電話営業支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電話営業支援装置において、
前記会話開始音声は、発信側の名称および用件を伝える音声を含み、
前記会話継続音声は、前記用件について説明する音声を含むことを特徴とする電話営業支援装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の電話営業支援装置において、
前記発言音声は、大規模言語モデルを用いて生成された音声を含むことを特徴とする電話営業支援装置。
【請求項6】
営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援プログラムであって、
通信インタフェースおよび電話網を介して相手側に架電する架電ステップと、
通話が確立すると、会話のための発言音声を再生する発言ステップと、
前記発言音声に対する前記相手側の応答音声を取得し、前記発言音声の内容を承認する内容承認、前記通話の終了を希望する終話希望、前記営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップと、
前記分類ステップで前記内容承認および前記その他のいずれかに分類されると、前記電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップと、
前記受入意向確認音声に対する前記相手側の応答音声を取得し、前記分類を行う最終分類ステップと、
前記転送希望に分類された場合および前記最終分類ステップで前記内容承認に分類された場合は、前記転送を行う一方、前記終話希望に分類された場合および前記最終分類ステップで前記その他に分類された場合は、前記転送を行うことなく前記通話を終了する終了ステップと、をコンピュータに実行させるための電話営業支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援装置および電話営業支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動音声を用いて相手側に架電するようにした装置が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1記載の装置では、自動音声を再生中の通話音声データから複数の特徴量を抽出し、機械学習により、相手側の応答が留守番電話による応答であるか否かを判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
見込み客に直接電話する電話営業は、読まずに捨てられる可能性の高いダイレクトメールよりも効率的な営業手法である反面、1件ごとに通話時間を要する上、具体的な営業対応を進めることは拒否される可能性が高い。このため、限られた人数の営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援することが望まれる。しかしながら、上記特許文献1記載の装置のように、相手側の応答が留守番電話による応答であるか否かを判定するだけでは、営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援することが難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、コンピュータを備え、営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援装置であって、コンピュータが、通信インタフェースおよび電話網を介して相手側に架電する架電ステップと、通話が確立すると、会話のための発言音声を再生する発言ステップと、発言音声に対する相手側の応答音声を取得し、発言音声の内容を承認する内容承認、通話の終了を希望する終話希望、営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップと、分類ステップで内容承認およびその他のいずれかに分類されると、電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップと、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、分類を行う最終分類ステップと、転送希望に分類された場合および最終分類ステップで内容承認に分類された場合は、転送を行う一方、終話希望に分類された場合および最終分類ステップでその他に分類された場合は、転送を行うことなく通話を終了する終了ステップと、を実行する。
【0006】
本発明のさらに別の態様は、営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援プログラムであって、通信インタフェースおよび電話網を介して相手側に架電する架電ステップと、通話が確立すると、会話のための発言音声を再生する発言ステップと、発言音声に対する相手側の応答音声を取得し、発言音声の内容を承認する内容承認、通話の終了を希望する終話希望、営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップと、分類ステップで内容承認およびその他のいずれかに分類されると、電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップと、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、分類を行う最終分類ステップと、転送希望に分類された場合および最終分類ステップで内容承認に分類された場合は、転送を行う一方、終話希望に分類された場合および最終分類ステップでその他に分類された場合は、転送を行うことなく通話を終了する終了ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る電話営業支援装置の適用例を示すブロック図。
【
図2】本発明の実施形態に係る電話営業支援装置により実行される処理の一例を示すフローチャート。
【
図3】
図2の日程確認処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1~
図3を参照して本発明の実施形態について説明する。見込み客に直接電話する電話営業は、読まずに捨てられる可能性の高いダイレクトメールよりも効率的な営業手法である反面、1件ごとに通話時間を要する上、具体的な営業対応を進めることは拒否される可能性が高い。そこで、本実施形態では、自動音声を用いて見込み客である相手側に架電し、必要に応じて営業担当者に転送することで、限られた人数の営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援できるよう、以下のように電話営業支援装置を構成する。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る電話営業支援装置(以下、装置)10の適用例を示すブロック図である。
図1に示すように、装置10は、コンピュータを備え、モデム、ルータおよびVoIPゲートウェイ(Voice over Internet Protocol Gateway)等の通信インタフェース10aを介して、公衆電話網および構内交換網を含む電話網20に接続される。より具体的には、装置10は、CPU,ROM,RAM,I/Oインタフェース、およびその他の周辺回路を有するコンピュータを含んで構成され、I/Oインタフェースに通信インタフェース10aが接続される。電話網20には、固定電話や携帯電話等の音声通話可能な通信端末である相手側の相手側端末30および営業担当者の担当者端末40も接続される。
【0011】
図2は、装置10により実行される処理の一例を示すフローチャートである。装置10には、
図2の処理をコンピュータに実行させるための電話営業支援プログラムが記憶される。装置10には、見込み客の電話番号一覧、自動音声用の定型文、音声認識エンジン、テキスト正規化エンジン、正規表現エンジン、大規模言語モデル、大規模言語モデルと連携して意味検索を行うベクトル検索エンジン、音声合成エンジン等も記憶される。
【0012】
図2に示すように、装置10は、予め記憶された電話営業支援プログラムに従い、先ずステップS1で、通信インタフェース10aおよび電話網20を介して、電話番号一覧に掲載された相手側の相手側端末30に架電する。例えば、顧客の所有不動産の売却を支援する不動産仲介サービスを提供するための電話営業の場合、見込み客は、登記簿に記載された不動産所有者である。
【0013】
次いでステップS2で、相手側が着信に応答して相手側との通話が確立したか否かを判定する。呼出音が鳴って所定時間(例えば5コール程度に対応する30秒程度)経過しても応答がない場合、話し中の場合、相手側端末30が通信不可または着信拒否設定等で呼出音が鳴らない場合、応答前に切断された場合等は、ステップS2で否定されて処理が終了する。
【0014】
相手側との通話が確立すると、ステップS2で肯定され、ステップS3に進み、相手側との会話を開始するための開始トーク音声を再生する。開始トーク音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、通話開始時の定型文(開始トーク)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。開始トークは、発信側の名称および用件を含み、開始トーク音声は、発信側の名称および用件を伝える音声を含む。開始トークでは、例えば、不動産業者の名称および不動産仲介サービスの電話営業で不動産所有者に架電している旨を伝える。
【0015】
次いでステップS4で、ステップS3で再生された開始トーク音声に対する相手側の応答音声を取得し、開始トーク音声の内容に対する相手側の意図を分類する。より具体的には、開始トーク音声の内容を承認する「内容承認」、通話の終了のみを希望する「終話希望」、通話の終了と再連絡を希望する「再連絡希望」、営業担当者への転送を希望する「転送希望」、および、いずれにも該当しない「その他」のいずれかに分類する。「転送希望」については、さらに、営業担当者による所有不動産の査定を希望する「査定希望」、会社説明を希望する「会社説明希望」、所有不動産の売却についての案内を希望する「売却案内希望」等に分類してもよい。
【0016】
相手側の応答音声は、音声認識エンジンによりテキストに変換され、テキスト正規化エンジンにより正規化された後、正規表現エンジン、大規模言語モデル、またはベクトル検索エンジンにより分類される。正規表現エンジンによるルールベースの分類と、大規模言語モデルによる意味理解ベースの分類と、ベクトル検索エンジンによる意味類似ベースの分類とを組合せることで、相手側の意図を精度よく分類することができる。
【0017】
すなわち、プッシュボタン操作に応じて定型文の音声を再生するIVR(Interactive Voice Response)システムでは、相手側の自由な発言が制限され、実際の意図から乖離した画一的な選択肢が提示されることで、途中で電話を切られたり拒否されたりする可能性が高くなる。音声認識や大規模言語モデル、ベクトル検索等の自然言語処理技術を用いることで、相手側の自由な発言の意図や文脈を自然言語ベースで理解して柔軟に対応することができ、文脈に沿った自然で連続性のある会話を成立させることができる。この場合、途中で電話を切られたり拒否されたりする可能性を低減し、営業担当者による営業対応につなげる可能性を高めることができる。
【0018】
開始トークに対し、「はい、お願いします」、「相談したいです」等、開始トークの内容を承認し、会話の継続を承認するような応答があった場合は、ステップS50に進んで「内容承認」に分類する。「天気について教えて」等、開始トークの内容に無関係な応答があった場合は、ステップS60に進んで「その他」に分類する。「いいえ、結構です」、「興味ありません」等、開始トークの内容を拒否し、通話の終了のみを希望する応答があった場合は、ステップS70に進んで「終話希望」に分類する。「査定に興味があります」、「どんな会社ですか?」、「売却について相談したい」等、営業担当者により対応すべき応答があった場合は、営業担当者への転送を希望する応答があったものとして、ステップS80に進んで「転送希望」に分類する。「また今度にしてください」、「今は忙しいです」等、通話の終了と再連絡を希望する応答があった場合は、ステップS90に進んで「再連絡希望」に分類する。
【0019】
ステップS4で、開始トーク音声に対する相手側の応答音声が「内容承認」に分類された場合(ステップS50)および「その他」に分類された場合(ステップS60)は、ステップS51に進み、会話を継続するための会話継続音声を再生する。会話継続音声は、例えば、用件について具体的に説明するための用件説明音声である。用件説明音声は、開始トークで伝えた用件について具体的に説明する音声を含む。用件説明音声では、例えば、不動産の売却を支援する不動産仲介サービスについて案内したい旨を伝える。
【0020】
相手側の応答音声が「内容承認」に分類された後(ステップS4→S50→S51)に再生される用件説明音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、用件説明用の定型文(用件説明)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。一方、相手側の応答音声が「その他」に分類された後(ステップS4→S60→S51)に再生される用件説明音声は、大規模言語モデルにより相手側の応答内容に合わせつつ用件説明につなげるように生成された発言内容を、音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。
【0021】
ステップS4で、開始トーク音声に対する相手側の応答音声が「終話希望」に分類された場合(ステップS70)は、ステップS71に進み、会話を終了して通話を終了するための終話フレーズ音声を再生し、ステップS72に進み、通話を終了する。終話フレーズ音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、相手側の終話希望に応じた通話終了時の定型文(終話フレーズ)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。終話フレーズでは、例えば、電話応答に対する謝意を伝える。
【0022】
ステップS4で、開始トーク音声に対する相手側の応答音声が「転送希望」に分類された場合(ステップS80)は、ステップS81に進み、会話を終了して通話を転送するための転送フレーズ音声を再生し、ステップS82に進み、通話を担当者端末40に転送する。ステップS82での通話転送時には、ステップS4での分類結果(「査定希望」、「会社説明希望」、「売却案内希望」等)が営業担当者に通知される。このような通知は、自動音声により行ってもよく、テキストメッセージとして担当者端末40等に表示することで行ってもよい。
【0023】
転送フレーズ音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、相手側の転送希望に応じた通話転送時の定型文(転送フレーズ)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。転送フレーズでは、例えば、営業担当者に通話を転送する旨を伝える。相手側の応答音声が「査定希望」、「会社説明希望」、「売却案内希望」等に分類された場合は、それぞれに対応する転送フレーズが再生される。
【0024】
ステップS4で、開始トーク音声に対する相手側の応答音声が「再連絡希望」に分類された場合(ステップS90)は、ステップS91に進み、再連絡を希望する日程を確認し、ステップS92に進み、通話を終了する。
【0025】
図3は、ステップS91の日程確認処理の一例を示すフローチャートである。
図3に示すように、先ずステップS910で、再連絡を希望する日程を確認するための日程確認フレーズ音声を再生する。日程確認フレーズ音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、相手側の再連絡希望に応じた日程確認時の定型文(日程確認フレーズ)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。日程確認フレーズでは、例えば、再連絡日程の希望について確認したい旨を伝える。
【0026】
次いでステップS911で、ステップS910で再生された日程確認フレーズ音声に対する相手側の応答音声を取得し、日程確認フレーズ音声の内容に対する相手側の意図を分類する。より具体的には、希望日程を指定する「指定あり」(ステップS912)および希望日程を指定しない「指定なし」(ステップS913)のいずれかに分類する。ステップS911での分類結果および「指定あり」に分類された場合(ステップS912)の希望日程は、顧客管理情報として記録される。
【0027】
ステップS911~S913で相手側の再連絡日程の希望が確認されると、ステップS914に進み、後日再連絡する旨を伝えるとともに会話を終了して通話を終了するための再連絡フレーズ音声を再生する。再連絡フレーズ音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、再連絡日程確認後の通話終了時の定型文(再連絡フレーズ)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。再連絡フレーズでは、例えば、後日再連絡する旨を伝える。
【0028】
図2のステップS51で用件説明音声を再生した後は、ステップS52に進み、ステップS51で再生された用件説明音声に対する相手側の応答音声を取得し、用件説明音声の内容に対する相手側の意図を、ステップS4と同様に分類する。より具体的には、用件説明音声の内容を承認する「内容承認」、「終話希望」、「再連絡希望」、「転送希望」(「査定希望」、「会社説明希望」、「売却案内希望」等)、および「その他」のいずれかに分類する。
【0029】
ステップS52で、用件説明音声に対する相手側の応答音声が「内容承認」に分類された場合(ステップS53)および「その他」に分類された場合(ステップS60)は、ステップS54に進み、営業対象の商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する。受入意向確認音声では、例えば、不動産仲介サービスを受け入れて所有不動産を売却する売却意向を確認する。この場合、売却意向があれば通話を転送して営業担当者により対応すべきと判定することができ、売却意向がなければ通話を終了すべきと判定することができる。
【0030】
用件説明音声に対する相手側の応答音声が「内容承認」に分類された後(ステップS52→S53→S54)に再生される受入意向確認音声は、装置10に記憶された自動音声用の定型文のうち、受入意向確認用の定型文(受入意向確認)を音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。一方、用件説明音声に対する相手側の応答音声が「その他」に分類された後(ステップS52→S60→S54)に再生される受入意向確認音声は、大規模言語モデルにより相手側の応答内容に合わせつつ受入意向確認につなげるように生成された発言内容を、音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。
【0031】
次いでステップS55で、ステップS54で再生された受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、受入意向確認音声の内容に対する相手側の意図を、ステップS4,S52と同様に分類する。より具体的には、受入意向確認音声の内容を承認する「内容承認」、「終話希望」、「再連絡希望」、「転送希望」(「査定希望」、「会社説明希望」、「売却案内希望」等)、および「その他」のいずれかに分類する。
【0032】
ステップS55で、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声が「内容承認」に分類された場合(ステップS56)は、ステップS57に進んで転送フレーズ音声を再生し、ステップS58に進んで通話を担当者端末40に転送する。ステップS58での通話転送時には、受入意向確認が承認された旨が営業担当者に通知される。このような通知は、自動音声により行ってもよく、テキストメッセージとして担当者端末40等に表示することで行ってもよい。
【0033】
一方、ステップS55で、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声が「その他」に分類された場合(ステップS60)は、ステップS61に進み、無関係な会話を終了して通話を終了するための無関係用終話フレーズ音声を再生し、ステップS62に進み、通話を終了する。無関係用終話フレーズ音声は、大規模言語モデルにより相手側の応答内容に合わせつつ終話フレーズにつなげるように生成された発言内容を、音声合成エンジンにより読み上げることで再生される。
【0034】
このように、具体的な営業対応に至る前の会話を自動音声で行い、相手側が営業担当者による営業対応を希望(ステップS80)または承認(ステップS56)した場合に営業担当者に転送(ステップS82,S58)することで、営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援することができる。
【0035】
また、相手側が、営業担当者による営業対応を希望または承認しているのか終話を希望しているのかが不明な応答をした場合(ステップS60)にも、必要十分な会話(ステップS51,S54,S61)を行った上で通話を終了(ステップS62)することで、相手側の気分を害することなく、通話時間が長引くことを防止することができる。
【0036】
また、自動音声による発言を、会話を開始するための発言(開始トーク)、会話を継続するための発言(会話継続、用件説明)、電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための発言(受入意向確認)に分け、相手側の応答に応じて段階的に会話を継続することで、一方的な発言により相手側に不快感を与えることを防止することができる。例えば、開始トークを受けて相手側がそれ以上の会話を拒否した場合は速やかに通話を終了(ステップS3~S4→S70~S72)することで、営業担当者による営業対応につながらなかった場合でも発信者に対する相手側の印象を良好にすることができる。
【0037】
また、大規模言語モデルを利用することで、相手側のあらゆる応答に対応する適切な発言音声を生成し、自然な会話を行うことができる。すなわち、相手側から、電話営業のトークスクリプトとして想定されない応答(その他)がなされた場合でも、大規模言語モデルにより相手側の応答内容に合わせつつトークスクリプトに沿った会話へと軌道修正するように発言内容を生成することができる。このため、
図2に示すような予め定められた規則に従って会話の往復回数を制限し、通話時間が長引くことを防止することができる(ステップS3~S4→S60→S51~S52→S60→S54~S55→S60→S61~S62)。この場合、限られた回線数で電話営業に適した時間帯に十分な件数の架電を行うことができる。
【0038】
本発明の実施形態によれば以下のような作用効果を奏することができる。
(1)装置10は、コンピュータを備え、営業担当者の電話営業を支援する(
図1)。装置10は、通信インタフェース10aおよび電話網20を介して相手側に架電する架電ステップS1と、通話が確立すると、会話のための発言音声(開始トーク、用件説明)を再生する発言ステップS3,S51と、発言音声に対する相手側の応答音声を取得し、発言音声の内容を承認する内容承認、通話の終了を希望する終話希望、営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップS4,S52と、分類ステップS52で内容承認およびその他のいずれかに分類されると、電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップS54と、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、分類を行う最終分類ステップS55と、転送希望に分類された場合および最終分類ステップで内容承認に分類された場合は、転送を行う一方、終話希望に分類された場合および最終分類ステップでその他に分類された場合は、転送を行うことなく通話を終了する終了ステップS58,S62、S72,S82,S92とを実行する(
図2)。
【0039】
このように、具体的な営業対応に至る前の会話を自動音声で行い、相手側が営業担当者による営業対応を希望または承認した場合に営業担当者に転送することで、営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援することができる。また、相手側が営業担当者による営業対応を希望または承認しているか終話を希望しているか不明な応答をした場合にも必要十分な会話を行った上で通話を終了することで、相手側の気分を害することなく、通話時間が長引くことを防止することができる。
【0040】
(2)発言音声は、会話を開始するための会話開始音声(開始トーク音声)と、会話を継続するための会話継続音声(用件説明音声)とを含む。分類ステップS4,S52では、開始トーク音声および用件説明音声のそれぞれに対する相手側の応答音声を取得し、分類を行う。装置10は、分類ステップS4で、会話開始音声に対する相手側の応答音声が内容承認およびその他のいずれかに分類されると、会話継続音声を再生する会話継続ステップS51をさらに実行する(
図2)。受入意向確認ステップS54では、分類ステップS52で、用件説明音声に対する相手側の応答音声が内容承認およびその他のいずれかに分類されると、受入意向確認音声を再生する。
【0041】
会話継続音声は、会話開始音声の次に再生される第1会話継続音声と、受入意向確認音声の一つ前に再生される第2会話継続音声とを含んでもよい。この場合、会話継続ステップでは、分類ステップで、会話開始音声に対する相手側の応答音声が内容承認およびその他のいずれかに分類されると、第1会話継続音声を再生し、第1会話継続音声に対する相手側の応答音声が内容承認およびその他のいずれかに分類されると、第2会話継続音声を再生する。受入意向確認ステップでは、分類ステップで、第2会話継続音声に対する相手側の応答音声が内容承認およびその他のいずれかに分類されると、受入意向確認音声を再生する。例えば、用件説明音声を2段階で再生してもよく、用件説明音声に加えて用件説明音声以外の会話継続音声を再生してもよい。
【0042】
このように、自動音声による発言を、会話を開始するための発言と、会話を継続するための発言とに分け、相手側の応答に応じて段階的に会話を継続することで、一方的な発言により相手側に不快感を与えることを防止することができる。
【0043】
(3)会話開始音声は、発信側の名称および用件を伝える音声を含み、会話継続音声は、用件について説明する音声を含む。この場合、会話開始音声として発信側の名称および用件を伝え、それ以上の会話が拒否された場合は速やかに通話を終了することで、営業担当者による営業対応につながらなかった場合でも発信者に対する相手側の印象を良好にすることができる。
【0044】
(4)発言音声は、大規模言語モデルを用いて生成された音声を含む。大規模言語モデルを利用することで、相手側のあらゆる応答に対応する適切な発言音声を生成し、自然な会話を行うことができる。この場合でも、
図2に示すような規則に従って自動音声による会話の往復回数が制限され、通話時間が長引くことは防止されるため、電話営業に適した時間帯に十分な件数の架電を行うことができる。
【0045】
営業担当者の電話営業を支援する電話営業支援プログラムに関し、通信インタフェース10aおよび電話網20を介して相手側に架電する架電ステップS1と、通話が確立すると、会話のための発言音声(開始トーク、用件説明)を再生する発言ステップS3,S51と、発言音声に対する相手側の応答音声を取得し、発言音声の内容を承認する内容承認、通話の終了を希望する終話希望、営業担当者への転送を希望する転送希望、および、いずれにも該当しないその他のいずれかへの分類を行う分類ステップS4,S52と、分類ステップS52で内容承認およびその他のいずれかに分類されると、電話営業の対象となる商品またはサービスを受け入れる意向を確認するための受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップS54と、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、分類を行う最終分類ステップS55と、転送希望に分類された場合および最終分類ステップS55で内容承認に分類された場合は、転送を行う一方、終話希望に分類された場合および最終分類ステップS55でその他に分類された場合は、転送を行うことなく通話を終了する終了ステップS58,S62,S72,S82,S92とをコンピュータに実行させるのであれば、他の構成はいかなるものでもよい。
【0046】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明の特徴を損なわない限り、上述した実施形態および変形例により本発明が限定されるものではない。上記実施形態と変形例の一つまたは複数を任意に組み合わせることも可能であり、変形例同士を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
10 電話営業支援装置(装置)、10a 通信インタフェース、20 電話網、30 相手側端末、40 担当者端末
【要約】
【課題】営業担当者が効率的に営業対応を進められるように支援する。
【解決手段】電話営業支援装置は、架電ステップS1と、通話が確立すると会話のための発言音声を再生する発言ステップS3,S51と、発言音声に対する相手側の応答音声を内容承認/終話希望/営業担当者への転送希望/その他のいずれかに分類する分類ステップS4,S52と、分類ステップで内容承認/その他のいずれかに分類されると受入意向確認音声を再生する受入意向確認ステップS54と、受入意向確認音声に対する相手側の応答音声を取得し、分類する最終分類ステップS55と、転送希望に分類された場合および最終分類ステップで内容承認に分類された場合は転送を行う一方、終話希望に分類された場合および最終分類ステップでその他に分類された場合は転送を行うことなく通話を終了する終了ステップS58,S62、S72,S82,S92とを実行する。
【選択図】
図2