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特許7729010物流マッチングシステム、物流マッチング方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】物流マッチングシステム、物流マッチング方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0835 20230101AFI20250819BHJP
   G06Q 30/08 20120101ALI20250819BHJP
【FI】
G06Q10/0835
G06Q30/08
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022563284
(86)(22)【出願日】2020-11-17
(86)【国際出願番号】 JP2020042842
(87)【国際公開番号】W WO2022107219
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】324001734
【氏名又は名称】ロジスティード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(73)【特許権者】
【識別番号】506042645
【氏名又は名称】株式会社ウフル
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】南雲 秀明
(72)【発明者】
【氏名】浦瀬 大河
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 崇治
(72)【発明者】
【氏名】根本 憲之
(72)【発明者】
【氏名】米田 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】谷口 将仁
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-222616(JP,A)
【文献】特開2009-294971(JP,A)
【文献】特開2004-213576(JP,A)
【文献】特開2002-230345(JP,A)
【文献】特開2008-152667(JP,A)
【文献】特表2019-535080(JP,A)
【文献】横尾 真,インターネットオークションの理論と応用,人工知能学会誌,日本,社団法人人工知能学会,2000年05月01日,第15巻 第3号,pp.404-411
【文献】遠藤 和義,入札あれこれ[15],建築コスト研究,日本,建築コスト管理システム研究所,1998年10月,No.23,pp.5-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、前記依頼に対する入札の件数が閾値未満の場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記入札の件数が前記閾値以上の場合に前記第1の関数と異なる第2の関数によって落札額を決定し、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、2以上の整数をMとするとき、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうちM番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数である、
物流マッチングシステム。
【請求項2】
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備え、
前記決定部は、落札額よりも先に落札者が決定された場合、前記落札者の情報が所定の条件を満たさない場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記落札者の情報が前記所定の条件を満たす場合に第2の関数によって落札額を決定し、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、前記第1の関数に比べて落札額を高額に決定する関数である、
物流マッチングシステム。
【請求項3】
前記落札者の情報は、前記落札者が過去に受注した作業の実績、前記落札者が過去に落札した回数、及び前記落札者が作業を実施する際の安全管理の少なくとも1つの情報を含む、請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項4】
前記決定部は、前記複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうち最も安い入札額を除外した入札額から落札額を選択する、
請求項1又は請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項5】
入札額の範囲を設定する設定部を備え、
前記決定部は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち前記設定部が設定した範囲から外れた入札額を除外して、落札額を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項6】
入札額の範囲を設定する設定部を備え、
前記決定部は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち前記設定部が設定した範囲から外れた入札額を除外して、落札額を決定し、
前記設定部は、前記入札額の範囲を、前記入札情報を提供する入札者に対して公開しない非公開状態に設定し、前記非公開状態において落札者が決定されない場合、前記入札額の範囲を、前記入札者に対して公開する公開状態に設定する、
請求項1又は請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項7】
前記決定部は、前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い入札額で入札した入札者を落札者に決定する、
請求項1又は請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項8】
前記決定部は、前記入札情報を提供する入札者の情報に基づいて、前記入札者の情報が所定の条件を満たす場合に実際の入札額よりも安い金額で入札したものとして、落札者を決定する、
請求項1又は請求項2に記載の物流マッチングシステム。
【請求項9】
前記入札者の情報は、前記入札者が過去に受注した作業の実績、前記入札者が過去に落札した回数、及び前記入札者が作業を実施する際の安全管理の少なくとも1つの情報を含む、請求項8に記載の物流マッチングシステム。
【請求項10】
情報処理装置が、
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する工程と、
取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する工程と、を実行し、
前記決定する工程は、前記依頼に対する入札の件数が閾値未満の場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記入札の件数が前記閾値以上の場合に前記第1の関数と異なる第2の関数によって落札額を決定する工程を含み、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、2以上の整数をMとするとき、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうちM番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数である、
物流マッチング方法。
【請求項11】
情報処理装置が、
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する工程と、
取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する工程と、を実行し、
前記決定する工程は、落札額よりも先に落札者が決定された場合、前記落札者の情報が所定の条件を満たさない場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記落札者の情報が前記所定の条件を満たす場合に第2の関数によって落札額を決定する工程を含み、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、前記第1の関数に比べて落札額を高額に決定する関数である、
物流マッチング方法。
【請求項12】
コンピュータに、
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する工程と、
取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する工程と、を実行させ、
前記決定する工程は、前記依頼に対する入札の件数が閾値未満の場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記入札の件数が前記閾値以上の場合に前記第1の関数と異なる第2の関数によって落札額を決定する工程を含み、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、2以上の整数をMとするとき、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうちM番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数である、
プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する工程と、
取得した前記複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する工程と、を実行させ、
前記決定する工程は、落札額よりも先に落札者が決定された場合、前記落札者の情報が所定の条件を満たさない場合に第1の関数によって落札額を決定し、前記落札者の情報が前記所定の条件を満たす場合に第2の関数によって落札額を決定する工程を含み、
前記第1の関数は、前記複数の入札情報に示される入札額のうち設定された範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定し、この額を落札額に決定する関数であり、
前記第2の関数は、前記第1の関数に比べて落札額を高額に決定する関数である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物流マッチングシステム、物流マッチング方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物流における輸配送等の発注者と、運送業者等の受注者とをマッチングする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-259522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術において、物流の依頼に対する入札の落札額が適切でない場合が有り得る。上記落札額は、例えば、適切な額に自動で決定されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様による物流マッチングシステムは、物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、取得部が取得した複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備え、決定部は、入札情報を提供する入札者の情報に基づいて、入札者が入札した入札額に上乗せする金額を定め、落札額を決定する。
本開示の一態様による物流マッチングシステムは、物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、取得部が取得した複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備え、決定部は、入札情報を提供する入札者の情報に基づいて、実際の入札額よりも安い金額で入札したものとして、落札者を決定する。
本開示の一態様による物流マッチングシステムは、物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、取得部が取得した複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備え、決定部は、入札情報を提供する入札者から決定される落札者の情報に基づいて落札額を決定する。
本開示の一態様による物流マッチングシステムは、物流に関する依頼に対する複数の入札情報を取得する取得部と、取得部が取得した複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一態様によれば、物流の依頼に対する入札の落札額を、適切な額に自動で決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る入札システムのシステム構成の一例を示す図である。
図2】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
図3】実施形態に係る情報処理装置の機能構成を示す図である。
図4】実施形態に係る入札システムの処理の一例を示す図である。
図5A】実施形態に係る発注DBの一例を示す図である。
図5B】実施形態に係る入札DBの一例を示す図である。
図6】実施形態に係る落札者、及び落札額を決定する処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。本明細書の記載は、本明細書に係る技術が実施される国または地域の法的事項を遵守することを前提とする。
【0009】
<システム構成>
図1は、実施形態に係る物流マッチングシステムのシステム構成の一例を示す図である。以下の説明において適宜、物流マッチングシステム1を入札システム1と称す。図1において、入札システム1は、情報処理装置10、発注端末20A、発注端末20B、発注端末20C、入札端末30A、入札端末30B、及び入札端末30Cを備える。以下の説明において適宜、上記発注端末を区別しない場合は、複数の発注端末のうち任意の発注端末を符号20で表す。以下の説明において適宜、上記発注端末を区別しない場合は、複数の入札端末のうち任意の入札端末を符号30で表す。なお、発注端末20の数及び入札端末30の数は、それぞれ、図1の例に限定されない。また、情報処理装置10、発注端末20、及び入札端末30の少なくとも一つは、実施形態に係る物流マッチングシステムでもよい。
【0010】
情報処理装置10と発注端末20とは、ネットワークNを介して接続される。情報処理装置10と入札端末30とは、ネットワークNを介して接続される。ネットワークNは、例えば、インターネット及び携帯電話網等のネットワークNの一方または双方を含む。
【0011】
発注端末20は、荷物の輸配送等の物流における作業を発注する発注者が操作する情報処理装置である。発注者は、例えば、荷主である。入札端末30は、発注者による発注に対して入札する入札者が操作する情報処理装置である。入札者は、例えば、輸配送事業者等である。
【0012】
情報処理装置10は、例えば、発注者からの発注に基づいて競争入札を行い、入札者のうち条件に合致する者を決定することにより、発注者と入札者とをマッチングする。落札した入札者は、例えば、落札者、契約者、又は受注者と呼ばれる。「発注」という語句は、本明細書において適宜、依頼またはその同義語に読み替えられてもよい。
【0013】
<ハードウェア構成>
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。実施形態に係る情報処理装置は、端末あるいはコンピュータシステムと称されてもよい。情報処理装置は、デスクトップパソコン等の据置型のコンピュータでもよいし、ノートパソコン、タブレット、スマートフォン等の携帯型のコンピュータでもよく、その他の形態のコンピュータを含んでもよい。ここでは、図2の情報処理装置が図1に示した情報処理装置10であるとする。図1に示した発注端末20のハードウェア構成、及び入札端末30のハードウェア構成は、それぞれ、情報処理装置10のハードウェア構成と同様でもよいし、情報処理装置10のハードウェア構成と異なってもよい。
【0014】
情報処理装置10は、ドライブ装置100、補助記憶装置102、メモリ装置103、CPU104、インタフェース装置105、表示装置106、及び入力装置107を備える。これら各部は、それぞれ、バスBにより相互に接続される。
【0015】
情報処理装置10は、プログラムに従って各種処理を実行する。情報処理装置10に処理を実行させるプログラムは、記憶媒体101によって提供される。記憶媒体101は、例えば、CD-ROM、DVDディスク、又はUSBメモリ等の可搬型の記憶媒体を含む。プログラムを記憶した記憶媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記憶媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。補助記憶装置102は、記憶した情報を、例えば電力供給が絶たれた状態においても保持する。補助記憶装置102は、例えば、ハード ディスク ドライブ(HDD)、ソリッド ステート ドライブ(SSD)又はフラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体を含む。
【0016】
なお、インストールされるプログラムは、記憶媒体101を利用する手法と異なる手法により提供されてもよい。実施形態に係る各種プログラムは、ネットワークを介して他のコンピュータから提供されてもよい。補助記憶装置102は、情報処理装置10に処理を実行させるプログラムの他の情報を記憶してもよい。補助記憶装置102は、情報処理装置10における処理に用いる情報を記憶してもよいし、情報処理装置10における処理によって生成される情報を記憶してもよい。記憶媒体101及び補助記憶装置102は、それぞれ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0017】
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、例えば、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って情報処理装置10に係る機能を実現する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。表示装置106はプログラムによるグラフィカル ユーザ インターフェース(GUI)等を表示するディスプレイである。入力装置107は、例えばユーザによって操作されることによって、情報の入力を受け付ける。入力装置107は、例えば、マウス、タッチパッド、又はキーボードを含む。表示装置106および入力装置107は、これらが一体化されたタッチパネルでもよい。
【0018】
<機能構成>
次に、実施形態に係る入札システム1の機能構成について説明する。図3は、実施形態に係る情報処理装置10の機能構成を示す図である。
【0019】
情報処理装置10は、記憶部11、送受信部12、取得部13、設定部14、決定部15、及び制御部16を有する。これら各部を適宜、機能部と称す。上記複数の機能部の少なくとも1つは、情報処理装置10にインストールされた1以上のプログラムと、情報処理装置10の汎用プロセッサ(例、CPU104)との協働により実現されてもよい。上記複数の機能部の少なくとも一部は、特定用途向け集積回路により実現されてもよい。
【0020】
記憶部11は、入札に関する各種の情報を記憶する。記憶部11は、例えば、発注データベース111、及び入札データベース112等を有する。以下の説明において適宜、データベースをDBと表す。
【0021】
送受信部12は、発注端末20との通信、及び入札端末30との通信を行う。取得部13は、送受信部12により送受信されたデータ、及び記憶部11に記憶されているデータを取得する。
【0022】
設定部14は、入札に関する各種の情報を設定する。決定部15は、入札に関する各種の情報を決定する。制御部16は、情報処理装置10の各部を制御する。
【0023】
<処理>
次に、図4を参照し、実施形態に係る入札システム1の処理の一例について説明する。図4は、実施形態に係る入札システム1の処理の一例を示す図である。なお、発注端末20、及び入札端末30は、それぞれ、ユーザ認証等による認証を受けて、情報処理装置10にアクセス可能であってもよい。例えば、ユーザは、情報処理装置10が管理するアカウントの識別情報およびパスワードを、発注端末20によって提供することで、このアカウントへログイン可能であってもよい。
【0024】
ステップS1において、発注端末20は、発注者からの発注操作を受け付ける。発注端末20は、例えば、物流に関する作業の発注内容等の入力を発注者から受け付ける。「作業」という語句は、本明細書において適宜、業務、処理、仕事、又はその同義語に読み替えられてもよい。
【0025】
続いて、発注端末20は、発注情報を情報処理装置10に送信する(ステップS2)。発注情報には、例えば、発注識別情報、発注者情報、発注内容、及び入札期限の情報等が含まれる。発注情報には、これら情報の少なくとも1つが含まれなくてもよいし、これら情報と異なる情報が含まれてもよい。発注識別情報は、各発注を他の発注と区別可能な識別情報である。以下の説明において適宜、識別情報をIDと表す。発注IDは、発注者を区別するための発注者ID、及び発注時刻等に基づいて発注端末20により生成されてもよい。発注者IDは、発注端末20から情報処理装置10が管理するアカウントにログインする際に利用されるIDでもよい。
【0026】
発注者情報は、発注者に関する情報である。発注者情報には、発注者の名称、住所、及び電話番号等の情報が含まれてもよい。発注内容は、発注された物流に関する作業の内容である。発注内容には、作業を実施する条件が含まれてもよい。例えば、発注内容には、輸配送の対象となる荷物を示す情報、輸配送元の場所、輸配送元で荷物を引き取る日時(期限)、輸配送先の場所、輸配送先に荷物を届ける日時(期限)、及び輸配送に対する報酬の範囲(落札可能な入札額の範囲)の少なくとも1つを示す情報が含まれてもよい。当該報酬の範囲を示す情報には、報酬の上限額と下限額の一方または双方を特定する情報が含まれる。例えば、報酬の範囲を示す情報には、報酬の上限額と下限額の一方または双方が含まれる。報酬の範囲を示す情報には、報酬の上限額と下限額の一方または双方が含まれなくてもよい。例えば、報酬の範囲を示す情報には、報酬の基準値および基準値に対する幅が含まれてもよい。例えば、報酬の基準値が10万円であり、基準値に対する幅が3万円である場合、報酬の範囲は、7万円以上13万円以下と特定される。入札期限は、入札を受け付ける期限である。発注情報には、上述の各種情報の一部が含まれなくてもよいし、上述の各種情報と異なる情報が含まれてもよい。
【0027】
続いて、情報処理装置10の制御部16は、受信した発注情報を、発注DB111に記録する(ステップS3)。図5Aは、実施形態に係る発注DB111の一例を示す図である。図5Aの例では、発注DB111には、発注IDに対応付けて、発注者情報、発注内容、及び入札期限が記録されている。なお、図5Aに示す発注DB111に記録される情報のうち少なくとも一部(例、発注者情報)は、情報処理装置10に予め登録されていてもよい。
【0028】
図4の説明に戻り、情報処理装置10の送受信部12は、ステップS2の処理後に、発注情報に含まれる少なくとも一部の情報を各入札端末30にそれぞれ送信する(ステップS4)。例えば、情報処理装置10は、発注者により指定された報酬の範囲、及び発注者の電話番号等を除く発注情報を各入札端末30にそれぞれ送信する。
【0029】
続いて、各入札端末30は、受信した発注情報に基づいて、入札額等を決定する(ステップS5)。例えば、入札端末30は、発注内容で示される各日時と、輸配送を行う人員、及び車両の空き状況と、AI等により予測された他の案件の受注頻度等に基づいて、入札額を決定する。入札端末30は、発注内容で示される各日時が所定の期間(例、繁忙期)にある場合、発注内容で示される各日時が所定の期間以外にある場合に比べて、入札額をより高額に決定してもよい。入札端末30は、その他の形態で入札額を決定してもよい。例えば、入札端末30は、入札者により指定された額を、入札額と決定してもよい。
【0030】
続いて、各入札端末30は、入札額等の情報を含む入札情報を情報処理装置10に送信する(ステップS6)。入札情報には、例えば、発注ID、入札ID、入札者情報、及び入札内容等の情報が含まれる。発注IDは、入札端末30が受信した発注情報に含まれていた発注IDである。入札IDは、入札の識別情報である。入札IDは、入札者を区別するための入札者ID、及び入札時刻等に基づいて入札端末30により生成されてもよい。例えば、入札者IDは、入札システム1が提供するサービスにおけるアカウントにログインする際の認証に必要とされる情報でもよい。
【0031】
入札者情報は、入札者に関する情報である。入札者情報には、例えば、入札者の名称、住所、及び電話番号等の情報が含まれる。入札内容には、入札者が提示する受注の条件が含まれてもよい。例えば、入札内容には、入札額等の情報が含まれてもよい。
【0032】
続いて、情報処理装置10の制御部16は、受信した各入札情報を、入札DB112に記録する(ステップS7)。図5Bは、実施形態に係る入札DB112の一例を示す図である。図5Bの例では、入札DB112には、発注IDと入札IDとの組に対応付けて、入札者情報、及び入札内容が記録されている。なお、図5Aに示す発注DB111に記録される情報のうち少なくとも一部(例、入札者情報)は、情報処理装置10に予め登録されていてもよい。
【0033】
図4の説明に戻り、情報処理装置10は、各入札情報に基づいて、落札者、及び落札額を決定する(ステップS8)。例えば、設定部14は落札の条件の少なくとも一部を設定し、決定部15は、設定部14により設定された条件に合致する各入札情報に基づいて、落札額および落札者を決定する。ステップS8の処理については、後に図6を参照してその一例を説明する。本明細書において、落札額は、作業の発注者が作業の対価として支払予定の価値に相当し、落札者が受注の条件として提示した対価の金額と異なってもよい。
【0034】
落札の条件は、例えば、落札可能な入札額の範囲を含む。例えば、上述の発注者情報は報酬の範囲を特定する情報を含み、設定部14は、発注者情報を用いて、落札の条件を設定する。決定部15は、例えば、設定部14により設定された条件に合致する各入札情報で示される入札額のうち、最も安い額で入札した入札者を落札者として決定する。また、決定部15は、設定部14により設定された条件に合致する各入札情報で示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を、落札額として決定する。
【0035】
続いて、情報処理装置10の送受信部12は、落札者として決定した入札者の入札端末30に、落札通知を送信する(ステップS9)。ここで、落札通知には、例えば、決定した落札額の情報等が含まれてもよい。
【0036】
続いて、情報処理装置10の送受信部12は、落札情報を発注端末20に送信する(ステップS10)。落札情報には、例えば、落札者の識別情報、及び決定した落札額の情報が含まれる。落札情報には、落札者の識別情報および決定した落札額の情報の一方または双方が含まれなくてもよい。落札情報には、落札者の識別情報および決定した落札額の情報のいずれとも異なる情報が含まれてもよい。例えば、落札情報には、落札者の識別情報および決定した落札額の情報にアクセスする際に要求されるコードを含んでもよい。
【0037】
次に、図6を参照し、図4のステップS8の処理の一例について説明する。図6は、実施形態に係る落札者、及び落札額を決定する処理の一例を示す図である。
【0038】
ステップS101において、設定部14は、発注端末20から受信した発注情報等に基づいて、落札可能な入札額の範囲(レンジ)を設定する。設定部14は、入札額の範囲として、落札可能な入札額の上限値と下限値を設定する。続いて、決定部15は、入札額の範囲から外れた入札額の入札情報を除外する(ステップS102)。例えば、決定部15は、各入札端末30から受信した入札情報のうち、入札額が当該範囲内である入札情報をそれぞれ抽出する。決定部15は、入札額が当該範囲内である入札情報を有効とし、入札額が当該範囲内である入札情報を無効として扱ってもよい。このように、入札額の範囲が設定されることにより、故意や過失で1円や通常の入札額の10倍等の入札額を事前に、排除(フィルタリング)することができる。これにより、例えば、物流事業者の採算が取れないような価格で落札されること(ダンピング等)を低減できる。
【0039】
続いて、決定部15は、入札額が最も安い入札者を落札者として決定する(ステップS103)。例えば、決定部15は、ステップS102において抽出した入札情報のうち、入札額が最も安い入札情報を特定する。決定部15は、特定した入札情報に示された入札者を、落札者として決定する。入札額が同一の入札情報が複数ある場合、決定部15は、入札額が同一の複数の入札情報のうち、取得部13が取得した日時が最も早い入札情報に示される入札者を落札者として決定する。入札額が同一の入札情報が複数ある場合、決定部15は、取得部13が入札情報を取得した日時と異なる情報を用いて、入札額が同一の複数の入札情報に示される複数の入札者から落札者を決定してもよい。例えば、決定部15は、入札者の情報(例、入札者の作業実績、安全管理のレベル)を用いて落札者を決定してもよい。
【0040】
続いて、決定部15は、最も安い入札額よりも高い額を、落札額として決定する(ステップS104)。例えば、決定部15は、ステップS102において抽出した各入札情報で示される入札額のうち、最も安い額よりも高い額を落札額として決定する。例えば、決定部15は、ステップS102において抽出した各入札情報で示される入札額のうち、最も安い額を除外した入札額から落札額を選択する。例えば、決定部15は、ステップS102において抽出した各入札情報で示される入札額のうち、2番目に安い入札額を落札額に決定する。このように、決定部15は、ステップS102において抽出した各入札情報で示される入札額を母集団とし、この母集団から落札額を選択してもよい。
【0041】
なお、決定部15は、母集団に含まれる1又は2以上の入札額をパラメータに用いて、落札額を算出してもよい。例えば、決定部15は、母集団に含まれる2以上の入札額の平均値を算出し、この平均値を落札額に決定してもよい。決定部15は、母集団に含まれる1つの入札額に対し、四則演算の少なくとも1つを含む演算を行って、その演算結果を落札額に決定してもよい。上記四則演算に用いる係数は、固定値でもよいし、変動値でもよい。落札額よりも前に落札者が決定される場合、上記変動値は、落札者の情報に基づいて決定されてもよい。決定部15は、入札額の範囲から外れた入札額を含めて、最も安い入札額より高い額を落札額として決定してもよい。入札システム1は、設定部14を備えなくてもよく、ステップS101の処理およびステップS102の処理は実行されなくてもよい。決定部15は、入札が無効と判定された入札情報を除いて落札者を決定し、入札が無効と判定された入札情報を除いて落札額を決定してもよい。決定部15は、入札が無効と判定された入札情報を除いて落札者を決定し、入札が有効と判定された入札情報および入札が無効と判定された入札情報を用いて、落札額を決定してもよい。
【0042】
実施形態において、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定する。これにより、例えば、事業を圧迫する価格での落札(例、不採算な落札)が低減され、物流事業者の賃金や福利厚生を切りつめる等行為が低減されることで、輸配送等におけるサービスの品質向上が期待される。また、入札者にとって落札できた場合の落札額が自身の入札額よりも高額である場合、入札の促進が期待される。入札が促進されると、例えば、落札者の候補である入札者が増加するので、発注と受注とのマッチングの成功率が向上する。これにより、例えば、輸配送を実行できる物流事業者が受注の機会に恵まれずに待機することが回避され、物流事業者の稼働率が向上する。そのため、例えば労働人口が減少している社会においても、安定した物流の維持が期待できる。また、マッチングの成功率が向上することにより、例えば、受注者は、物流事業者を確保するコストを低減できる場合がある。実施形態に係る入札システム1は、上述のような発注と受注のマッチングに係る処理の少なくとも一部を自動で実行するので、例えば、マッチングにおける人的負担を減らすことができる。また、人間が処理を実行する場合に比べて、高速でマッチングできることによって、受注のタイミングを逃すことが低減される。
【0043】
なお、設定部14は、落札可能な入札額の上限値のみを設定してもよいし、落札可能な入札額の下限値のみを設定してもよい。設定部14は、発注者により報酬の範囲が指定されている場合、指定された報酬の範囲に基づいて、落札可能な入札額の範囲を設定してもよい。例えば、発注者により報酬の上限額のみが指定されている場合、設定部14は、当該上限額を、落札可能な入札額の範囲の上限額としてもよい。
【0044】
なお、設定部14は、入札額の相場の範囲を推論し、推論した範囲を、落札可能な入札額の範囲としてもよい。例えば、設定部14は、ディープラーニング等の機械学習を利用した推論モデルによって、入札額の範囲を導出してもよい。この推論モデルは、例えば、過去に受注された作業の内容を示す情報を入力データとし、その落札額を出力データとする学習データを用いた機械学習によって得られる。機械学習は、入札システム1に含まれる情報処理装置によって実行されてもよいし、入札システム1の外部の情報処理装置によって実行されてもよい。入札システム1は、過去に発注された作業の情報と、この作業に関する入札の情報と、この作業に関する落札の情報との少なくとも1つを記憶する記憶部を備えてもよい。この記憶部は、機械学習を実行する情報処理装置に対して、機械学習で使用する情報を提供してもよい。
【0045】
なお、設定部14は、落札の条件を設定する処理において、発注者情報を用いなくてもよいし、発注者情報と異なる情報を用いてもよい。例えば、設定部14は、入札情報を用いて、落札の条件の少なくとも一部を設定してもよい。例えば、設定部14は、複数の入札情報に示される複数の入札額の統計値を用いて、落札可能な入札額の範囲を算出してもよい。上記統計値は、例えば、平均値、中央値、最頻値、標準偏差、分散の少なくとも1つを含む。設定部14は、入札額の範囲の基準値として複数の入札額の平均値を算出し、入札額の範囲の幅(全幅又は半幅)として平均値に対する所定比率の値を算出してもよい。例えば、入札額の平均値が10万円であり、上記所定比率が25%である場合、設定部14は、入札額の範囲の半幅を5万円と算出し、入札額の範囲を5万円以上15万円以下と算出してもよい。なお、情報処理装置10は、落札の条件を設定しなくてもよく、設定部14を備えなくてもよい。
【0046】
なお、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうち最も安い入札額を除外した入札額から落札額を選択してもよい。ここでは、複数の入札情報で示される入札額は、それぞれ、入札額が1万円、3万円、7万円、8万円であるとする。決定部15は、最も安い入札額である1万円を除外し、落札額を3万円、7万円、又は8万円から選択する。例えば、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうちN番目に安い額を落札額に決定する。Nは、任意に設定される2以上の整数である。Nは、固定値でもよいし、可変値でもよく、発注情報に指定されてもよい。N=2である場合、決定部15は、2番目に安い入札額である3万円を落札額に決定する。
【0047】
なお、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうち最も安い入札額を除外した入札額から落札額を算出してもよい。例えば、決定部15は、最も安い入札額を除外した入札額の平均値を算出し、平均値または平均値を丸めた値を落札額に決定してもよい。例えば、決定部15は、最も安い入札額である1万円を除外し、3万円、7万円、及び8万円の平均値である6万円を落札額に決定してもよい。
【0048】
決定部15は、例えば、複数の入札情報に示される入札額のうち設定部14が設定した範囲から外れた入札額を除外して落札額を決定する。例えば、決定部15は、設定部14が設定した範囲から外れた入札額の入札を無効として、落札額を決定してもよい。ここで、設定部14が設定した範囲は、2万円以上であるとする。決定部15は、範囲から外れた入札額である1万円を除外して、残った入札額である3万円、7万円、8万円のうち最も安い額よりも高い額を落札額に決定してもよい。例えば、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうち、範囲から外れた入札額を除外してM番目に安い額を落札額に決定してもよい。Mは、任意に設定される1以上の整数である。Mは、固定値でもよいし、可変値でもよく、発注情報に指定されてもよい。M=1である場合、決定部15は、入札額である1万円を除外して1番目に安い入札額である3万円を落札額に決定する。
【0049】
なお、決定部15は、関数を用いて落札額を決定し、取得部13が取得した入札情報に基づいて関数を変更してもよい。例えば、第1の関数は、複数の入札情報に示される入札額のうち設定部14が設定した範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうち1番目に安い額を特定して、特定した額を落札額に決定する関数である。設定部14が設定した範囲から外れた入札額が無い場合、仮に決定部15が第1の関数を用いると、落札額は、複数の入札情報に示される入札額のうち最も安い額に決定される。このような場合、決定部15は、複数の入札情報のそれぞれで示される入札額のうち最も安い額に比べて落札額が高くなるように、第1の関数と異なる第2の関数を用いて落札額を決定する。第2の関数は、例えば、複数の入札情報に示される入札額のうち設定部14が設定した範囲から外れた入札額を除外し、残りの入札額のうちM番目に安い額を特定して落札額に決定する関数であって、Mが2以上の整数である。第2の関数は、複数の入札情報に示される入札額のうち設定部14が設定した範囲から外れた入札額を除外せずに落札額を決定する関数でもよい。
【0050】
なお、落札額を決定する関数は、上述の例に限定されず、任意に定められる。例えば、第1の関数は、複数の入札情報に示される入札額のうち2以上の入札額から落札額(例、入札額の平均値)を算出する関数であって、第2の関数は、複数の入札情報に示される入札額のうち2以上の入札額から落札額を選択する関数であってもよい。落札額よりも先に落札者が決定される場合、決定部15は、落札者の情報に基づいて、落札額を決定してもよい。落札者の情報は、落札者が過去に受注した作業の実績、落札者が過去に落札した回数、及び落札者が作業を実施する際の安全管理の少なくとも1つの情報を含んでもよい。
【0051】
なお、落札額を決定する関数を切り替える条件は、上述の例に限定されず、任意に定められる。関数を切り替える条件は、今回の入札の件数に関する条件でもよい。例えば、決定部15は、入札の件数が閾値未満の場合に第1の関数によって落札額を決定し、入札の件数が閾値以上の場合に第2の関数によって落札額を決定してもよい。関数を切り替える条件は、発注される作業に関する条件を含んでもよい。発注される作業の条件は、作業の重要度、難易度、及び優先度の少なくとも1つに関する条件を含んでもよい。落札額よりも先に落札者が決定される場合、関数を切り替える条件は、落札者に関する条件を含んでもよい。落札者に関する条件は、落札者が過去に受注した作業の実績、落札者が過去に落札した回数、及び落札者が作業を実施する際の安全管理の少なくとも1つに関する条件を含んでもよい。例えば、第2の関数は、第1の関数に比べて落札額を高額な額に決定する関数であるとする。決定部15は、落札者が作業を実施する際の安全管理のレベルが閾値未満である場合に第1の関数によって落札額を決定し、落札者が作業を実施する際の安全管理のレベルが閾値以上である場合に第2の関数によって落札額を決定してもよい。
【0052】
なお、決定部15は、抽出した複数の入札情報のそれぞれに示される入札額のうち2番目に安い入札額に基づいて、落札額を決定してもよい。この場合、決定部15は、2番目に安い入札額を落札額に決定してもよいし、2番目に安い入札額をパラメータに用いて算出される額を落札額に決定してもよい。決定部15は、抽出した各入札情報の数に応じた算出方法で、落札額を決定してもよい。入札数が少ない場合、入札額のばらつきが大きくなることがあり、例えば最も安い入札額と2番目に安い入札額との乖離が大きくなることがある。このような場合、決定部15は、入札額のばらつき(例、入札額の乖離)を加味して落札額を決定するように、落札額を決定するロジック(例、関数、落札額の算出式)を入札情報の数に応じて切り替えてもよい。
【0053】
例えば、決定部15は、抽出した入札情報の数が1つである場合、入札情報で示される入札額に基づいて落札額を決定してもよい。また、決定部15は、抽出した入札情報の数が2つである場合、当該2つ入札情報でそれぞれ示される入札額の平均値に基づいて落札額を決定してもよい。また、決定部15は、抽出した入札情報の数が3つ以上である場合、最も安い入札額を除外して落札額を決定してもよい。
【0054】
決定部15は、最も安い入札額と2番目に安い入札額との乖離度に応じて、落札額を決定してもよい。上記乖離度は、例えば、最も安い入札額と2番目に安い入札額との比でもよいし、最も安い入札額と2番目に安い入札額との差でもよい。決定部15は、乖離度が閾値以上である場合、最も安い入札額と2番目に安い入札額の平均値に基づいて落札額を決定してもよい。ここで、最も安い入札額と2番目に安い入札額との比を乖離度とし、上記閾値を1.4とする。最も安い入札額が10万円であり、2番目に安い入札額が20万円とすると、乖離度は1.5であり閾値以上である。この場合、決定部15は、2つの入札額の平均値である15万円を、落札額として決定してもよい。
【0055】
決定部15は、各入札者による入札額と、入札者情報とに基づいて落札額を決定してもよい。例えば、取得部13は、図5Bに示した入札DB112から入札者情報を取得し、決定部15は、取得部13が取得した入札者情報を用いて落札額を決定してもよい。例えば、決定部15は、入札者情報が所定の条件を満たさない場合に第1金額(例えば、2番目に安い入札額)を落札額に決定し、入札者情報が所定の条件を満たす場合に第1金額より高い第2金額を落札額に決定してもよい。
【0056】
例えば、入札者情報は、入札者が車両状況(例、整備状況)を把握する車両状況把握システムを導入しているか否かを示す情報を含み、上記所定の条件は、車両状況把握システムを導入している条件を含んでよい。また、入札者情報は、入札者が輸配送等を行う人員の健康状態(例、休憩の取得状況)を把握する健康状態把握システムを導入しているか否かの情報を含み、上記所定の条件は、落札者が健康状態把握システムを導入している条件を含んでもよい。また、入札者情報は、入札者が輸配送に使用する車両の運転状況を管理する運転状況管理システムを導入しているか否かの情報を含み、上記所定の条件は、落札者が運転状況管理システムを導入している条件を含んでもよい。運転状況を示す情報は、車両の挙動に関する情報及び、特定の運転操作に関する情報を含んでもよい。
【0057】
また、入札者情報は、入札者が輸配送に使用する車両が排ガス規制に適応しているか否かを示す情報を含み、上記所定の条件は、落札者が輸配送に使用する車両が排ガス規制に適応している条件を含んでもよい。また、入札者情報は、入札者が輸配送に使用する車両の性能に関する情報を含み、上記所定の条件は、落札者が輸配送に使用する車両の性能が基準を満たす条件を含んでもよい。上記車両の性能に関する情報は、自動運転の性能に関する情報を含んでもよく、同じ車種の車両の走行距離当たりの事故数を含んでもよい。
【0058】
また、入札者情報は、入札者の過去の所定期間におけるインシデントの件数及び種別を示す情報を含み、上記所定の条件は、落札者の過去の所定期間におけるインシデントの件数及び種別が基準以下である条件を含んでもよい。インシデントには、前方衝突警報、衝撃、及び車間距離警報等の危険運転挙動が含まれてもよい。インシデントには、脇見、一時停止、及び速度用超過等の法令違反が含まれてもよい。インシデントには、急加速、急減速、及び急ハンドル等の非エコドライブの運転操作が含まれてもよい。
【0059】
なお、決定部15は、各入札者による入札額と、入札者情報とに基づいて落札者を決定してもよい。例えば、取得部13は、図5Bに示した入札DB112から入札者情報を取得し、決定部15は、取得部13が取得した入札者情報を用いて落札者を決定してもよい。例えば、決定部15は、入札額および入札者情報を用いて指標値を算出し、指標値のランキングを用いて落札者を決定する。指標値は、例えば、入札額を基準値とし、上記各種所定の条件を満たす場合に基準値を減ずることで算出される。例えば、入札額が10万円である場合、基準値は100000ポイントであり、上記所定の条件を1つ満たす場合、基準値から5000ポイントを減じた95000ポイントが指標値として算出される。決定部15は、例えば、入札額の代わりに指標値を用いて、指標値が最も低い入札者を落札者に決定する。この場合、上記所定の条件を満たす入札者情報の入札者は、落札者を決定する処理において、実際の入札額よりも安い金額で入札したものと扱われ、落札者として決定される確率が高くなる。上記指標値は落札者の決定に使用され、落札額は、実際の入札額を用いて決定される。上記所定の条件を満たす入札者情報の入札者は、例えばサービスの品質が高い優良な事業者であり、本形態では優良な事業者が落札する確率を高めることができる。
【0060】
なお、決定部15は、落札者を決定しなくてもよい。情報処理装置10は、取得部13が取得した入札情報を用いて入札者のリストを生成し、生成したリストを発注端末20に提供してもよい。発注者は、発注端末20によって表示される入札者のリストから落札者を選択してもよい。発注端末20は、選択された落札者を情報処理装置10に通知してもよい。情報処理装置10は、複数の入札情報に示される複数の入札者から落札者の候補を絞り、落札者の候補の情報を発注端末20に提供してもよい。例えば、情報処理装置10は、最も安い入札額の入札者から入札額がK番目に安い入札者までを落札者の候補として、落札者の候補のリストを生成してもよい。Kは2以上の任意の整数であり、固定値でもよいし、発注情報に指定される値でもよい。決定部15は、落札者が決定されるよりも前に落札額を決定してもよい。決定部15は、決定した落札額よりも入札額が安い入札情報を抽出して、抽出した入札情報の入札者から落札者を決定してもよい。決定部15は、決定した落札額よりも入札額が安い入札情報を抽出し、抽出した入札情報の入札者のリストを落札者の候補のリストとして発注端末20に提供してもよい。
【0061】
なお、入札システム1は、入札情報が受注条件を満たさない場合、落札不成立と決定してもよい。受注条件は、例えば、所定期間に取得部13が取得した入札情報の数が所定値以上である条件を含む。所定値は、任意に設定される値であり、1でもよいし、10でもよい。ここで、所定値が1であるとする。決定部15は、取得部13が取得した入札情報の数が0である場合、落札不成立と決定する。受注条件は、取得部13が取得した入札情報の数以外の条件を含んでもよく、例えば、設定部14が設定した入札額の範囲内である入札額の入札情報の数が所定値以上である条件を含んでもよい。
【0062】
入札システム1は、落札不成立と決定した場合、入札を受け付ける条件を変更して、入札を再度受け付けてもよい。例えば、入札システム1は、入札額の範囲を設定部14により非公開状態に設定して入札情報を受け付け、落札不成立と決定した場合、入札額の範囲を設定部14により公開状態に設定して入札情報を受け付ける。
【0063】
上記非公開状態は、入札情報を提供する入札者に対して、入札額の範囲を公開しない状態である。非公開状態に設定されている場合、送受信部12は、図4に示したステップS4の処理において、落札可能な入札額の範囲の情報を含まない発注情報を、複数の入札端末30のそれぞれに送信する。情報処理装置10は、落札可能な入札額の範囲を含む発注情報を発注端末20から取得し、落札可能な入札額の範囲を含まない発注情報を入札端末30へ提供してもよい。
【0064】
上記公開状態は、入札情報を提供する入札者に対して、入札額の範囲を公開しない状態である。情報処理装置10は、非公開状態において図4のステップS4の処理を実行した後、決定部15が落札不成立と決定した場合、設定部14により公開状態に設定し、ステップS4の処理を再度実行する。非公開状態に設定されている場合、送受信部12は、図4に示したステップS4の処理において、落札可能な入札額の範囲の情報を含む発注情報を複数の入札端末30のそれぞれに送信する。
【0065】
落札可能な入札額の範囲が公開されない場合、入札額の範囲により入札額が誘導されることがなく、発注者と入札者との公平性が保たれる。また、落札可能な入札額の範囲が公開される場合、入札を検討する者は、この情報を参考にすることで、入札するか否かの決定や入札額の決定をしやすくなる。上述の形態によれば、非公開状態において発注者と入札者との公平性を保つことができ、かつ、落札不成立と決定された場合に公開状態に設定されることで、入札を検討する者へ判断材料を提供できる。
【0066】
なお、入札システム1は、落札不成立と決定した場合、公開状態に設定しなくてもよい。入札システム1は、落札不成立と決定した場合の処理に関わらず、非公開状態に設定することで発注者と入札者との公平性を保つことができる。
【0067】
<システム構成の変形例>
情報処理装置10の各機能部は、例えば1以上のコンピュータにより提供されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、発注端末20と情報処理装置10とを一体の装置としてもよい。実施形態に係る情報の少なくとも1つの記憶先は、1つの記憶装置でもよいし、複数の記憶装置を含んでもよい。実施形態に係る情報の少なくとも1つの記憶先は、分散型台帳でもよい。入札システム1は、発注情報および入札情報を、分散型台帳に記憶させてもよい。情報処理装置10は、落札通知として、分散型台帳に記憶された発注情報の発注IDを、分散型台帳に記憶された入札情報のうち落札者に対応する入札情報に紐づけられた入札端末30へ提供してもよい。情報処理装置10は、落札情報として、分散型台帳に記憶された発注情報の発注IDと、分散型台帳に記憶された入札情報のうち落札者に対応する入札情報の少なくとも一部とを、発注IDに紐づけられた発注端末20へ提供してもよい。上記分散型台帳は、入札システム1の一部(例、情報処理装置10の記憶部)を含んでもよい。
【0068】
なお、本発明の技術範囲は、上述の実施形態などで説明した態様に限定されるものではない。上述の実施形態などで説明した要件の1つ以上は、省略されることがある。また、上述の実施形態などで説明した要件は、適宜組み合わせることができる。また、本明細書が適用される国または地域の法令で許容される限りにおいて、上述の実施形態などで引用した全ての文献の開示を援用して本明細書の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0069】
1 入札システム
10 情報処理装置
11 記憶部
111 発注DB
112 入札DB
12 送受信部
13 取得部
14 設定部
15 決定部
16 制御部
20 発注端末
30 入札端末
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6