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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/04 20060101AFI20250819BHJP
   B60K 6/48 20071001ALI20250819BHJP
   B60K 6/54 20071001ALI20250819BHJP
   B60W 10/02 20060101ALI20250819BHJP
   B60W 10/10 20120101ALI20250819BHJP
   B60W 20/30 20160101ALI20250819BHJP
   F16H 59/36 20060101ALI20250819BHJP
   F16H 61/682 20060101ALI20250819BHJP
   F16H 63/46 20060101ALI20250819BHJP
   F16H 63/50 20060101ALI20250819BHJP
【FI】
F16H61/04
B60K6/48 ZHV
B60K6/54
B60W10/02 900
B60W10/10 900
B60W20/30
F16H59/36
F16H61/682
F16H63/46
F16H63/50
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021082415
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2022175744
(43)【公開日】2022-11-25
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹市 章
(72)【発明者】
【氏名】塚本 典弘
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-020541(JP,A)
【文献】国際公開第2012/102370(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/053576(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0297135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 59/36
F16H 61/04
F16H 61/682
F16H 63/46
F16H 63/50
B60K 6/48
B60K 6/54
B60W 10/02
B60W 10/10
B60W 20/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
駆動輪に接続された変速機と、
前記エンジンと前記変速機との間に設けられたクラッチと、
前記変速機については、変速段がアクセル操作量および車速に基づく目標変速段となるように制御し、前記クラッチについては、前記目標変速段に対応する前記変速機の入力軸の回転数である目標変速段回転数が所定回転数以上であるときには完全係合状態にし、前記目標変速段回転数が前記所定回転数未満であるときにはスリップ係合状態にする制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記目標変速段回転数が前記所定回転数以上であるときにおいて、前記変速段のアップシフトを所定時間内に行なうと予測し且つ前記アップシフト後に前記入力軸の回転数が前記所定回転数未満になると予測したときには、前記クラッチをスリップ係合状態にする、
車両。
【請求項2】
請求項1記載の車両であって、
前記制御装置は、前記アクセル操作量と前記車速との関係である変速線に基づいて前記目標変速段を設定し、
更に、前記制御装置は、現在のアクセル操作量における現在の車速とアップシフトの前記変速線の車速との車速差に基づいて、前記変速段のアップシフトを前記所定時間内に行なうか否かを予測する、
車両。
【請求項3】
請求項2記載の車両であって、
前記制御装置は、前記車速差および車両の加速度に基づいて、前記変速段のアップシフトを前記所定時間内に行なうか否かを予測する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両としては、駆動源としてのエンジンやモータと、駆動源と駆動輪との間に設けられたクラッチとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車両では、駆動源を回転数制御すると共にクラッチをスリップ係合状態にして走行する第1モードと、駆動源をトルク制御すると共にクラッチを完全係合状態にして走行する第2モードとの間で遷移するときには、アクセル開度に基づいて設定される目標駆動トルクから駆動源側のイナーシャ成分に関わるトルクを減じた値をスリップ係合状態でのクラッチの伝達トルク容量として設定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/053576号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした車両では、変速機の目標変速段に対応する変速機の入力軸の回転数である目標変速段回転数が所定回転数以上であるときには、クラッチを完全係合状態にし、目標変速段回転数が所定回転数未満であるときには、クラッチをスリップ係合状態にすることが行なわれている。この場合において、クラッチが完全係合状態であるときに変速機の変速段のアップシフトを開始して、アップシフト後の変速段における変速機の入力軸の回転数が所定回転数未満になるために、アップシフト中にクラッチを再度スリップ係合状態にすることがある。アップシフト中にクラッチを完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えると、変速ショックを生じる可能性がある。
【0005】
本発明の車両は、変速機の変速段のアップシフトで変速ショックを生じるのを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の車両は、
エンジンと、
駆動輪に接続された変速機と、
前記エンジンと前記変速機との間に設けられたクラッチと、
前記変速機については、変速段がアクセル操作量および車速に基づく目標変速段となるように制御し、前記クラッチについては、前記目標変速段に対応する前記変速機の入力軸の回転数である目標変速段回転数が所定回転数以上であるときには完全係合状態にし、前記目標変速段回転数が前記所定回転数未満であるときにはスリップ係合状態にする制御装置と、
を備える車両であって、
前記制御装置は、前記目標変速段回転数が前記所定回転数以上であるときにおいて、前記変速段のアップシフトを所定時間内に行なうと予測し且つ前記アップシフト後に前記入力軸の回転数が前記所定回転数未満になると予測したときには、前記クラッチをスリップ係合状態にする、
ことを要旨とする。
【0008】
本発明の車両では、変速機については、変速段がアクセル操作量および車速に基づく目標変速段となるように制御し、クラッチについては、目標変速段に対応する変速機の入力軸の回転数である目標変速段回転数が所定回転数以上であるときには完全係合状態にし、目標変速段回転数が所定回転数未満であるときにはスリップ係合状態にする。この場合に、目標変速段回転数が所定回転数以上であるときにおいて、変速段のアップシフトを所定時間内に行なうと予測し且つアップシフト後に入力軸の回転数が所定回転数未満になると予測したときには、クラッチをスリップ係合状態にする。これにより、変速機のアップシフト前に、目標変速段回転数が所定回転数未満から所定回転数以上に至ってクラッチをスリップ係合状態から完全係合状態に切り替えて、その後に、短時間で目標変速段のアップシフト側の変更により目標変速段回転数が所定回転数未満になってクラッチをスリップ係合状態に再度切り替える、という事象を生じるのを抑制することができる。即ち、変速段のアップシフト中にクラッチを完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えるのを抑制することができる。この結果、変速段のアップシフトで変速ショックを生じるのを抑制することができる。また、クラッチをスリップ係合状態、完全係合状態、スリップ係合状態と短時間で切り替えるのも抑制することができる。ここで、所定回転数としては、例えば、クラッチを完全係合状態にしたときにエンジンストールを発生しないと想定される回転数範囲の下限として設定され、例えば、エンジンのアイドル回転数と同一の回転数やそれよりも若干低い回転数などが用いられる。
【0009】
本発明の車両において、前記制御装置は、前記アクセル操作量と前記車速との関係である変速線に基づいて前記目標変速段を設定し、更に、前記制御装置は、現在のアクセル操作量における現在の車速とアップシフトの前記変速線の車速との車速差に基づいて、前記変速段のアップシフトを前記所定時間内に行なうか否かを予測するものとしてもよい。この場合、前記制御装置は、前記車速差および車両の加速度に基づいて、前記変速段のアップシフトを前記所定時間内に行なうか否かを予測するものとしてもよい。これらのようにすれば、変速段のアップシフトを所定時間内に行なうか否かをより適切に予測することができる。
【0010】
本発明の車両において、前記制御装置は、前記クラッチが前記スリップ係合状態であるときには、前記所定回転数と、前記入力軸の回転数よりも第2所定回転数だけ高い回転数と、のうち大きい方の回転数で前記エンジンが回転するように前記エンジンを制御するものとしてもよい。こうすれば、クラッチがスリップ係合状態であるときに、エンジンの回転数が所定回転数未満になるのをより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
図2】変速線図の一例を示す説明図である。
図3】HVECU70により実行されるクラッチ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図4】HVECU70により実行されるアップシフト予測ルーチンの一例を示すフローチャートである。
図5】実施例の変速機40の目標変速段Gs*および変速段Gs、アップシフト予測フラグF1,低回転予測フラグF2、クラッチ34に対する指令、エンジン22の回転数Ne、入力軸41の回転数Ni、目標変速段回転数Nitgの様子の一例を示すタイムチャートである。
図6】比較例の変速機40の目標変速段Gs*、変速段Gs、クラッチ34に対する指令、エンジン22の回転数Ne、入力軸41の回転数Ni、目標変速段回転数Nitgの様子の一例を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例
【0013】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、クラッチ28と、モータ30と、インバータ32と、クラッチ34と、変速機40と、高電圧バッテリ60と、低電圧バッテリ62と、DC/DCコンバータ64と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70とを備える。
【0014】
エンジン22は、燃料タンクからのガソリンや軽油などの燃料を用いて動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン22のクランクシャフト23は、クラッチ28を介してモータ30の回転子に接続されている。エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24により運転制御されている。
【0015】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト23の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23aからのクランク角θcrなどが入力ポートを介して入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23aからのクランクシャフト23のクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
【0016】
クラッチ28は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、エンジン22のクランクシャフト23とモータ30の回転軸との接続および接続の解除を行なう。モータ30は、例えば同期発電電動機として構成されている。このモータ30の回転子は、クラッチ28を介してエンジン22のクランクシャフト23に接続されていると共にクラッチ34を介して変速機40の入力軸41に接続されている。インバータ32は、モータ30の駆動に用いられると共に高電圧側電力ライン61に接続されている。モータ30は、HVECU70によってインバータ32の複数のスイッチング素子がスイッチング制御されることにより、回転駆動される。クラッチ34は、例えば油圧駆動の摩擦クラッチとして構成されており、モータ30の回転軸と変速機40の入力軸41との接続および接続の解除を行なう。
【0017】
変速機40は、例えば4段変速の自動変速機として構成されており、入力軸41や出力軸42、複数の遊星歯車、油圧駆動の複数の摩擦係合要素(クラッチやブレーキ)を有する。入力軸41は、クラッチ34を介してモータ30の回転子に接続されており、出力軸は、駆動輪49にデファレンシャルギヤ48を介して連結された駆動軸46に接続されている。複数の摩擦係合要素は、何れも、ピストン、複数の摩擦係合プレート(摩擦プレートおよびセパレータプレート)、作動油が供給される油室などにより構成される油圧サーボを有する。変速機40は、複数の摩擦係合要素の係脱により、第1速~第4速の前進段や後進段を形成して、入力軸41と出力軸42との間で動力を伝達する。上述のクラッチ28やクラッチ34、変速機40の複数の摩擦係合要素は、図示しない油圧制御装置により作動油が給排されて動作する。
【0018】
高電圧バッテリ60は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、インバータ32と共に高電圧側電力ライン61に接続されている。低電圧バッテリ62は、定格電圧が高電圧バッテリ60よりも低い例えば鉛蓄電池として構成されており、低電圧側電力ライン63に接続されている。高電圧バッテリ60および低電圧バッテリ62は、同一のケースに収納されている。DC/DCコンバータ64は、高電圧側電力ライン61と低電圧側電力ライン63とに接続されている。このDC/DCコンバータ64は、HVECU70によって制御されることにより、高電圧側電力ライン61の電力を低電圧側電力ライン63に電圧の降圧を伴って供給する。
【0019】
HVECU70は、図示しないが、CPUやROM、RAM、フラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを有するマイクロコンピュータを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、モータ30の回転子の回転位置を検出する回転位置センサ(例えばレゾルバ)30aからのモータ30の回転子の回転位置θm、変速機40の入力軸41の回転数を検出する回転数センサ41aからの入力軸41の回転数Ni、変速機40の出力軸42の回転数を検出する回転数センサ42aからの出力軸42の回転数Noを挙げることができる。高電圧バッテリ60の端子間に取り付けられた電圧センサからの高電圧バッテリ60の電圧Vb1や、高電圧バッテリ60の出力端子に取り付けられた電流センサからの高電圧バッテリ60の電流Ib1、低電圧バッテリ62の端子間に取り付けられた電圧センサ67aからの低電圧バッテリ62の電圧Vb2、低電圧バッテリ62の出力端子に取り付けられた電流センサからの低電圧バッテリ62の電流Ib2も挙げることができる。スタートスイッチ80からのスタート信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPも挙げることができる。アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP、車速センサ88からの車速V、加速度センサ89からの車両加速度αも挙げることができる。
【0020】
HVECU70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。HVECU70から出力される信号としては、例えば、クラッチ28への制御信号や、インバータ32への制御信号、クラッチ34への制御信号、変速機40への制御信号、DC/DCコンバータ64への制御信号を挙げることができる。HVECU70は、エンジンECU24と通信ポートを介して接続されている。HVECU70は、回転位置センサ30aからのモータ30の回転子の回転位置θmに基づいてモータ30の回転数Nmを演算したり、複数の摩擦係合要素のうち係合状態の摩擦係合要素に基づいて変速機40の変速段Gsを演算したりしている。
【0021】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド走行(HV走行)モードや電動走行(EV走行)モードで走行する。HV走行モードは、クラッチ28およびクラッチ34を係合状態にすると共にエンジン22の運転を伴って走行するモードであり、EV走行モードは、クラッチ28を解放状態、クラッチ34を係合状態にすると共にエンジン22の運転を伴わずに走行するモードである。なお、クラッチ28,34の係合状態には、完全係合状態だけでなく、スリップ係合状態も含まれる。
【0022】
HV走行モードでは、HVECU70およびエンジンECU24の協調制御により、以下のHV走行制御が行なわれる。HV走行制御における変速機40の制御では、アクセル開度Accと車速Vと変速線図とに基づいて変速機40の目標変速段Gs*を設定し、変速段Gsと目標変速段Gs*とが一致するときには、変速段Gsを保持し、変速段Gsと目標変速段Gs*とが異なるときには、変速段Gsが目標変速段Gs*に一致するように変速処理(アップシフトやダウンシフト)を行なう。図2は、変速線図の一例を示す説明図である。図中、実線は、アップシフト用の変速線であり、破線は、ダウンシフト用の変速線である。
【0023】
変速処理(アップシフトやダウンシフト)は、以下のように行なわれる。最初に、複数の摩擦係合要素のうち係合状態から解放状態に切り替える解放側要素の油圧を1段低下させると共に解放状態から係合状態に切り替える係合側要素のストローク制御を行なう。ストローク制御では、係合側要素のピストンと摩擦係合プレートとの隙間を詰める(ピストンをストロークさせる)ファストフィルと、係合側要素の油圧を比較的低い待機圧で保持する低圧待機とを行なう。続いて、解放側要素の油圧を徐々に低下させると共に係合側要素の油圧を徐々に上昇させて、トルクの伝達を解放側要素から係合側要素に変更する(トルク相)。そして、解放側要素の油圧を徐々に低下させると共に係合側要素の油圧を徐々に上昇させて、変速機40の入力軸41の回転数Niを変更後の変速段Gsに対応する回転数に変更する(イナーシャ相)。入力軸41の回転数Niが変更後の変速段Gsに対応する回転数に至ると、係合側要素の油圧を更に上昇させて、変速処理を完了する。
【0024】
HV走行制御におけるエンジン22およびモータ30の制御では、アクセル開度Accと車速Vと変速機40の変速段Gsとに基づいて変速機40の入力軸41の要求トルクTin*を設定し、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)やモータ30の制御(インバータ32の複数のスイッチング素子のスイッチング制御)を行なう。
【0025】
EV走行モードでは、HVECU70およびエンジンECU24の協調制御により、以下のEV走行制御が行なわれる。EV走行制御における変速機40の制御では、HV走行モードにおける変速機40の制御と同様の制御を行なう。EV走行制御におけるモータ30の制御では、HV走行モードと同様に入力軸41の要求トルクTin*を設定し、要求トルクTin*が入力軸41に出力されるようにモータ30の制御を行なう。
【0026】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、クラッチ34の制御について説明する。図3は、HVECU70により実行されるクラッチ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、繰り返し実行される。
【0027】
図3のHV走行モードクラッチ制御ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、走行モードMdを入力する(ステップS100)。ここで、走行モードMdは、現在の走行モード(HV走行モードまたはEV走行モード)が入力される。続いて、走行モードMdがHV走行モードおよびEV走行モードのうちの何れであるかを判定し(ステップS110)、走行モードMdがEV走行モードであるときには、完全係合指令をクラッチ34に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。この完全係合指令により、クラッチ34は、完全係合状態になる、または、完全係合状態で保持される。
【0028】
ステップS110で走行モードMdがHV走行モードであるときには、変速機40の目標変速段Gs*に対応する入力軸41の回転数である目標変速段回転数Nitgや、アップシフト予測フラグF1、低回転予測フラグF2を入力する(ステップS120)。ここで、目標変速段回転数Nitgは、回転数センサ42aにより検出される変速機40の出力軸42の回転数Noと、目標変速段Gs*における変速比ρと、の積として得られた値が入力される。なお、目標変速段回転数Nitgは、変速機40の変速段Gsと目標変速段Gs*とが一致しているとき(変速処理中でないとき)には、回転数センサ41aにより検出される入力軸41の回転数Niと一致する。
【0029】
アップシフト予測フラグF1は、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1(例えば、数秒~10秒程度)内に行なうか否かの予測結果を示すフラグであり、図4のアップシフト予測ルーチンにより設定された値が入力される。低回転予測フラグF2は、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になるか否かの予測結果を示すフラグであり、図4のアップシフト予測ルーチンにより設定された値が入力される。所定回転数Ni1は、HV走行モードでクラッチ34を完全係合状態にしたときに(エンジン22の回転数と変速機40の入力軸41の回転数とを同一にしたときに)エンジンストールを発生しないと想定される回転数範囲の下限として設定され、例えば、エンジン22のアイドル回転数Nidlと同一の回転数やそれよりも若干低い回転数などが用いられる。以下、図3のクラッチ制御ルーチンの説明を中断し、図4のアップシフト予測ルーチンについて説明する。このルーチンは、走行モードMdがHV走行モードであるときに繰り返し実行される。
【0030】
図4のアップシフト予測ルーチンが実行されると、HVECU70は、最初に、アクセル開度Accや車速V、車両加速度αなどのデータを入力する(ステップS200)。ここで、アクセル開度Accは、アクセルペダルポジションセンサ84により検出された値が入力される。車速Vは、車速センサ88により検出された値が入力される。車両加速度αは、加速度センサ89により検出された値が入力される。
【0031】
こうしてデータを入力すると、現在のアクセル開度Accにおける変速機40のアップシフト線の車速であるアップシフト車速Vupを設定する(ステップS210)。この処理は、図2の変速線図に現在のアクセル開度Accを適用して行なうことができる。例えば、現在の変速段Gsが1速のときには、図2の変速線図における現在のアクセル開度Accと1速から2速のアップシフト線との交点の車速Vをアップシフト車速Vupに設定する。
【0032】
続いて、アップシフト車速Vupと現在の車速Vとの車速差ΔVを演算し(ステップS220)、車速差ΔVと車両加速度αとに基づいて、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうか否かを予測する(ステップS230,S232)。この処理は、例えば、以下のように行なわれる。車両加速度αが値0以下であるときには、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測する。車両加速度αが値0よりも大きいときには、車速差ΔVを車両加速度αで除して、車速Vがアップシフト車速Vupに到達するまでの到達所要時間Trqを演算し、到達所要時間Trqが所定時間T1以下であるときには、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測し、到達所要時間Trqが所定時間T1よりも長いときには、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測する。
【0033】
ステップS230,S232で変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測したときには、アップシフト予測フラグF1に値0を設定する(ステップS240)。このときには、便宜的に、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満にならない(クラッチ34を完全係合状態にしたときにエンジンストールを発生しない)と予測し、低回転予測フラグF2に値0を設定して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。
【0034】
ステップS230,S232で変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測したときには、アップシフト予測フラグF1に値1を設定し(ステップS250)、アップシフト車速Vupおよび車両加速度αに基づいて、変速機40の変速段のアップシフトを完了するときの入力軸41の回転数であるアップシフト後入力回転数Niupfを予測する(ステップS260)。ここで、ステップS260の処理は、例えば、以下のように行なわれる。最初に、アップシフト車速Vupや車両加速度α、アップシフトの所要時間に基づいて、変速段のアップシフトを完了するときの車速であるアップシフト後車速Vupfを予測する。続いて、アップシフト後車速Vupfに換算係数kvを乗じて、変速段のアップシフトを完了するときの出力軸42の回転数であるアップシフト後出力回転数Noupfを予測する。そして、アップシフト後出力回転数Noupfと、アップシフト後の変速段における変速比ρと、の積をアップシフト後入力回転数Niupfとして推定する。アップシフトの所要時間は、実験や解析により予め定められた時間が用いられる。
【0035】
こうしてアップシフト後入力回転数Niupfを予測すると、予測したアップシフト後入力回転数Niupfを上述の所定回転数Ni1と比較する(ステップS270)。この処理は、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になる(クラッチ34を完全係合状態にするとエンジンストールを発生し得る)か否かを予測する処理である。
【0036】
ステップS270でアップシフト後入力回転数Niupfが所定回転数Ni1以上であるときには、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満にならない(クラッチ34を完全係合状態にしたときにエンジンストールを発生しない)と予測し、低回転予測フラグF2に値0を設定して(ステップS280)、本ルーチンを終了する。
【0037】
ステップS270でアップシフト後入力回転数Niupfが所定回転数Ni1未満であるときには、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になる(クラッチ34を完全係合状態にするとエンジンストールを発生し得る)と予測し、低回転予測フラグF2に値1を設定して(ステップS290)、本ルーチンを終了する。
【0038】
図4のアップシフト予測ルーチンについて説明した。図3のクラッチ制御ルーチンの説明に戻る。ステップS120で目標変速段回転数Nitgやアップシフト予測フラグF1、低回転予測フラグF2を入力すると、目標変速段回転数Nitgを上述の所定回転数Ni1と比較する(ステップS130)。この処理は、クラッチ34を完全係合状態にするとエンジンストールを発生し得るか否かを判定する処理である。
【0039】
ステップS130で目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満であるときには、クラッチ34を完全係合状態にするとエンジンストールを発生し得ると判断し、スリップ係合指令をクラッチ34に出力して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。このスリップ係合指令により、クラッチ34は、スリップ係合状態になるまたはスリップ係合状態で保持される。これにより、エンジン22の回転数Neが所定回転数Ni1未満になるのを抑制し、エンジンストールの発生を抑制することができる。実施例では、このときのエンジン22およびモータ30の制御として、上述の所定回転数Ni1と、変速機40の入力軸41の回転数Niよりも所定回転数ΔNiだけ高い回転数(Ni+ΔNi)と、のうち大きい方の回転数でエンジン22が回転しながら要求トルクTin*が入力軸41に出力されるように、エンジン22の運転制御やモータ30の制御を行なうものとした。こうした制御により、エンジン22の回転数Neが所定回転数Ni1未満になるのをより抑制し、エンジンストールの発生をより抑制することができる。
【0040】
ステップS130で目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1以上であるときには、クラッチ34を完全係合状態にしたときにエンジンストールを発生しないと判断し、アップシフト予測フラグF1の値を調べる(ステップS140)。アップシフト予測フラグF1が値0であるとき、即ち、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測したときには、完全係合指令をクラッチ34に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。
【0041】
ステップS140でアップシフト予測フラグF1が値1であるとき、即ち、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測したときには、低回転予測フラグF2の値を調べる(ステップS150)。低回転予測フラグF2が値0であるとき、即ち、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満にならない(クラッチ34を完全係合状態にしたときにエンジンストールを発生しない)と予測したときには、完全係合指令をクラッチ34に出力して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。一方、低回転予測フラグF2が値1であるとき、即ち、変速機40の変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になる(クラッチ34を完全係合状態にするとエンジンストールを発生し得る)と予測したときには、スリップ係合指令をクラッチ34に出力して(ステップS170)、本ルーチンを終了する。
【0042】
図5は、実施例の変速機40の目標変速段Gs*および変速段Gs、アップシフト予測フラグF1,低回転予測フラグF2、クラッチ34に対する指令、エンジン22の回転数Ne、入力軸41の回転数Ni、目標変速段回転数Nitgの様子の一例を示すタイムチャートである。図6は、比較例の変速機40の目標変速段Gs*、変速段Gs、クラッチ34に対する指令、エンジン22の回転数Ne、入力軸41の回転数Ni、目標変速段回転数Nitgの様子の一例を示すタイムチャートである。比較例では、図3のクラッチ制御ルーチンにおいて、HV走行モードのときに、アップシフト予測フラグF1および低回転予測フラグF2を考慮せずに、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満であるときには、スリップ係合指令をクラッチ34に出力し、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1以上であるときには、完全係合指令をクラッチ34に出力するものとした。図5および図6において、変速機40の変速段Gsと目標変速段Gs*とが一致しているとき(アップシフト中でないとき)には(図5の時刻t12~t13以外、図6の時刻t22~t23以外)、入力軸41の回転数Niと目標変速段回転数Nitgとは一致している。
【0043】
比較例では、図6に示すように、変速機40の目標変速段Gs*および変速段Gsが1速で、目標変速段回転数Nitgが増加して所定回転数Ni1以上に至ると(時刻t21)、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令から完全係合指令に切り替える。その後に、目標変速段Gs*が1速から2速に切り替わると(時刻t22)、変速段のアップシフトを開始する。このとき、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満であるために、クラッチ34に対する指令を完全係合指令からスリップ係合指令に切り替える。この場合、アップシフト中に、クラッチ34を完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えて、変速ショックを生じる可能性がある。例えば、図6のようにイナーシャ相(入力軸41の回転数Niが目標変速段回転数Nitgに向かって変化しているとき)に、クラッチ34を完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えると、質量体(エンジン22やモータ30など)のイナーシャの入力軸41に与える影響が変化して入力軸41の回転数Niの変化が乱れて変速ショックを生じる可能性がある。また、比較例では、クラッチ34をスリップ係合状態、完全係合状態、スリップ係合状態と短時間で切り替えることになる可能性もある。そして、変速段のアップシフトを完了すると(時刻t23)、変速段Gsが目標変速段Gs*に一致する。その後に、変速機40の目標変速段Gs*が2速で、目標変速段回転数Nitgが増加して所定回転数Ni1以上に至ると(時刻t24)、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令から完全係合指令に切り替える。
【0044】
これに対して、実施例では、図5に示すように、変速機40の目標変速段Gs*および変速段Gsが1速で、変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測すると共に変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になると予測すると(時刻t10)、アップシフト予測フラグF1および低回転予測フラグF2を値0から値1に切り替える。そして、アップシフト予測フラグF1および低回転予測フラグF2が値1であるときに、目標変速段回転数Nitgが増加して所定回転数Ni1以上に至ると(時刻t11)、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令で保持する。その後に、目標変速段Gs*が1速から2速に切り替わると(時刻t12)、変速段のアップシフトを開始すると共に、変速段のアップシフト(2速から3速)を所定時間T1内に行なうと予測しないために、アップシフト予測フラグF1および低回転予測フラグF2を値0に切り替える。目標変速段Gs*が1速から2速に切り替わると、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満であるために、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令で保持する。これにより、アップシフト中に、クラッチ34を完全係合状態とスリップ係合状態とで切り替えるのを抑制し、変速ショックを生じるのを抑制することができる。また、クラッチ34をスリップ係合状態、完全係合状態、スリップ係合状態と短時間で切り替えるのも抑制することができる。そして、変速段のアップシフトを完了すると(時刻t13)、変速段Gsが目標変速段Gs*に一致する。その後に、変速機40の目標変速段Gs*が2速で、変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測すると共に変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満にならないと予測すると(時刻t14)、アップシフト予測フラグF1を値1に切り替えると共に低回転予測フラグF2を値0で保持する。そして、アップシフト予測フラグF1が値1であると共に低回転予測フラグF2が値0であるときに、目標変速段回転数Nitgが増加して所定回転数Ni1以上に至ると(時刻t15)、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令から完全係合指令に切り替える。
【0045】
なお、実施例では、目標変速段Gs*と変速段Gsとが一致しているときにおいて、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満から所定回転数Ni1以上に至ったときに(時刻t11,t15)、アップシフト予測フラグF1および低回転予測フラグF2が値1である場合(時刻t11)、クラッチ34に対する指令をスリップ係合指令で保持し、アップシフト予測フラグF1が値0である場合やアップシフト予測フラグF1が値1で且つ低回転予測フラグF2が値0である場合(時刻t15)、クラッチ34に対する指令を完全係合指令に切り替える。したがって、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1以上に至る前に、変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測できるようにする、具体的には、所定時間T1を設定する必要がある。
【0046】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20では、変速機40の目標変速段Gs*に対応する入力軸41の回転数である目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満であるときには、クラッチ34にスリップ係合指令を出力する。また、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1以上であるときにおいて、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測したときや、変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測し且つ変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満にならないと予測したときには、クラッチ34に完全係合指令を出力する。さらに、目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1以上であるときにおいて、変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測し且つ変速段のアップシフト後に入力軸41の回転数Niが所定回転数Ni1未満になると予測したときには、クラッチ34にスリップ係合指令を出力する。これにより、変速段のアップシフト前に目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満から所定回転数Ni1以上に至ってクラッチ34をスリップ係合状態から完全係合状態に切り替えて、その後に、短時間で目標変速段Gs*のアップシフト側の変更(例えば、1速から2速の変更)により目標変速段回転数Nitgが所定回転数Ni1未満になってクラッチ34をスリップ係合状態に再度切り替える、という事象が生じるのを抑制することができる。即ち、変速段のアップシフト中にクラッチを完全係合状態からスリップ係合状態に切り替えるのを抑制することができる。この結果、変速段のアップシフトで変速ショックを生じるのを抑制することができる。また、クラッチ34をスリップ係合状態、完全係合状態、スリップ係合状態と短時間で切り替えるのを抑制することができる。
【0047】
実施例のハイブリッド自動車20では、車速差ΔVと車両加速度αとに基づいて、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうか否かを予測するものとした。しかし、車両加速度αを考慮せずに、車速差ΔVだけに基づいて、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうか否かを予測するものとしてもよい。この場合、車速差ΔVが閾値ΔVref以下であるときには、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なうと予測し、車速差ΔVが閾値ΔVrefよりも大きいときには、変速機40の変速段のアップシフトを所定時間T1内に行なわないと予測するものとしてもよい。ここで、閾値ΔVrefとしては、例えば、数km/h~10km/h程度が用いられる。
【0048】
実施例のハイブリッド自動車20では、変速機40は、4段変速の自動変速機として構成されるものとした。しかし、変速機40は、3段変速や5段変速、6段変速などの自動変速機として構成されるものとしてもよい。
【0049】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24およびHVECU70を備えるものとした。しかし、これらは、単一の電子制御ユニットとして構成されるものとしてもよい。
【0050】
実施例では、エンジン22とクラッチ28とモータ30とインバータ32とクラッチ34と変速機40と高電圧バッテリ60と低電圧バッテリ62とDC/DCコンバータ64とを備えるハイブリッド自動車20の形態とした。しかし、ハイブリッド自動車20のハード構成からクラッチ28やモータ30、インバータ32、高電圧バッテリ60、DC/DCコンバータ64を除いた自動車の構成としてものとしてもよい。
【0051】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、変速機40が「変速機」に相当し、クラッチ34が「クラッチ」に相当し、HVECU70およびエンジンECU24が「制御装置」に相当する。
【0052】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0053】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0055】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクシャフト、23a クランクポジションセンサ、24 エンジンECU、28 クラッチ、30 モータ、30a 回転位置センサ、32 インバータ、34 クラッチ、40 変速機、41 入力軸、41a 回転数センサ、42 出力軸、42a 回転数センサ、46 駆動軸、48 デファレンシャルギヤ、49 駆動輪、60 高電圧バッテリ、61 高電圧側電力ライン、62 低電圧バッテリ、63 低電圧側電力ライン、64 DC/DCコンバータ、67a 電圧センサ、70 HVECU、80 スタートスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、89 加速度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6