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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】冷却水の劣化推定システム
(51)【国際特許分類】
   F01P 11/14 20060101AFI20250819BHJP
【FI】
F01P11/14 E
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022078373
(22)【出願日】2022-05-11
(65)【公開番号】P2023167299
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2024-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】橘鷹 伴幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏昌
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-034498(JP,A)
【文献】特開2009-087825(JP,A)
【文献】特開2021-001858(JP,A)
【文献】特許第7468441(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 1/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の冷却水の劣化を推定するシステムであって、
実行装置を備えており、
前記実行装置は、
前記実行装置の稼働中における前記冷却水の受熱履歴に関するデータを取得する取得処理と
機関停止時における前記実行装置の稼働停止時点での前記冷却水の温度と外気温とを含む停止時情報に基づいて前記実行装置の稼働停止中における前記冷却水の受熱履歴を推定する受熱履歴推定処理と、
前記実行装置の稼働中における前記冷却水の受熱履歴に関するデータと、前記実行装置の稼働停止中における前記冷却水の受熱履歴と、に基づいて前記劣化を推定する推定処理と、を実行する
冷却水の劣化推定システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却水の劣化推定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の冷却水は受熱履歴に応じて劣化する。そのため、例えば特許文献1に記載の装置は、冷却水の温度状態に応じて同冷却水の劣化を推定するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2012/107990号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関の運転が停止してもしばらくの間は冷却水は高温状態になっている。そのため、内燃機関の停止中にも冷却水の劣化は進行する。ここで、機関停止に伴って制御装置の稼働が停止される場合には、停止中の冷却水の温度を取得することができないため、冷却水の劣化に関する推定精度が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する冷却水の劣化推定システムは、内燃機関の冷却水の劣化を推定するシステムである。この劣化推定システムは、実行装置を備えている。この実行装置は、前記実行装置の稼働中における前記冷却水の受熱履歴に関するデータを取得する取得処理と機関停止時における前記実行装置の稼働停止時点での前記冷却水の温度と外気温とを含む停止時情報に基づいて前記実行装置の稼働停止中における前記冷却水の受熱履歴を推定する受熱履歴推定処理と、前記実行装置の稼働中における前記冷却水の受熱履歴に関するデータと、前記実行装置の稼働停止中における前記冷却水の受熱履歴と、に基づいて前記劣化を推定する推定処理と、を実行する。
【0006】
同構成によれば、上記受熱履歴推定処理が実行されることにより、実行装置の稼働が停止していても冷却水の受熱履歴が推定される。そして、その稼働停止中の冷却水の受熱履歴を含むデータに基づいて冷却水の劣化が推定される。このようにして、実行装置の稼働停止中における冷却水の受熱履歴も考慮して劣化が推定されるようになるため、冷却水の劣化の推定精度が向上するようになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態における劣化推定システムの構成を示す模式図である。
図2】同実施形態の制御装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図3】同実施形態の温度区分及びカウンタ値を示すグラフである。
図4】同実施形態の温度区分及び冷却水温の関係を示すグラフである。
図5】同実施形態の制御装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】同実施形態のデータ解析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図7】同実施形態の温度区分及び換算カウンタ値を示すグラフである。
図8】同実施形態のデータ解析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図9】同実施形態のデータ解析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
図10】同実施形態のデータ解析装置が実行する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<システムの構成>
以下、冷却水の劣化推定システムを車両に搭載された内燃機関に適用した一実施形態について、図1図10を参照して説明する。
【0014】
図1に示すように、車両500は、内燃機関15や冷却装置10などを備えている。冷却装置10は、内燃機関15を冷却水で冷やす装置である。この冷却水には防錆剤などが添加されている。
【0015】
冷却装置10は、熱交換器であるラジエータ12を備えている。内燃機関15のシリンダブロックやシリンダヘッドの内部には、ウォータジャケット15Wが形成されている。ウォータジャケット15Wの冷却水出口とラジエータ12の冷却水入口とは、第1通路16で接続されている。また、ウォータジャケット15Wの冷却水入口とラジエータ12の冷却水出口とは、第2通路17で接続されている。第2通路17の経路上には、ウォータポンプ18が設けられている。
【0016】
冷却装置10は、第1通路16から分岐した通路であって、ラジエータ12の冷却水出口とウォータポンプ18との間の第2通路17に接続された分岐通路20を備えている。
分岐通路20と第2通路17との接続部分には、サーモスタット25が配設されている。サーモスタット25は、内部に設けられた弁体の開度が冷却水の温度に応じて変化する制御弁であり、冷却水の温度が低いときには、ウォータジャケット15Wから流れ出た冷却水が、ラジエータ12ではなく分岐通路20を流れるように還流する。一方、冷却水の温度が高いときには、ウォータジャケット15Wから流れ出た冷却水が、分岐通路20ではなくラジエータ12を流れるように還流する。
【0017】
制御装置100は、内燃機関15の吸入空気量や噴射燃料量等といった各種制御を実施する。この制御装置100は、中央処理装置(以下、CPUという)110、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリ120、通信機130などを備えている。そして、制御装置100は、メモリ120に記憶されたプログラムをCPU110が実行することにより各種制御を実行する。また、制御装置100は、通信機130によって外部のネットワーク200を介してデータ解析装置300と通信可能になっている。なお、本実施形態において、CPU110及びメモリ120を備える制御装置100は第1実行装置を構成している。
【0018】
制御装置100は、各種制御を実施する際に、センサなどから得られる各種検出値を参照する。例えば、制御装置100は、水温センサ34によって検出される冷却水の水温である冷却水温THWや、外気温センサ35によって検出される外気温THoutを参照する。
【0019】
上記データ解析装置300は、複数の車両500、車両600などから送信されるデータを解析する。データ解析装置300は、CPU310、メモリ320、及び通信機330などを備えており、それらがネットワーク200を介して通信可能とされている。なお、本実施形態において、CPU310及びメモリ320を備えるデータ解析装置300は第2実行装置を構成している。
【0020】
<冷却水の劣化度算出>
内燃機関15の冷却水は受熱温度や受熱時間で表される受熱履歴に応じて酸化による劣化が進む。このようにして劣化が進むと防錆剤などの添加剤の効果が低下していく。そこで、本実施形態ではそうした冷却水の劣化度Rを算出することにより、冷却水の劣化を推定するようにしている。
【0021】
なお、本実施形態では、劣化度Rはその値が大きいほど劣化が進んでいることを示す。また、試験などにおいて劣化の程度を判断するための物理量としては、冷却水の水素イオン濃度(いわゆるpH)や導電率などが用いられる。また、実車との検証のために、例えば、冷却水の残存成分分析や、回収した冷却装置での錆の発生状態の調査なども行われる。
【0022】
以下、劣化度Rの算出について説明する。
図2に、制御装置100が実行する処理の手順を示す。図2に示す処理は、メモリ120に記憶されたプログラムをCPU110が実行することにより実現される。なお、図2に示す処理は機関始動時に実行される。また、以下では、先頭に「S」を付与した数字によってステップ番号を表現する。
【0023】
本処理を開始すると、CPU110は、車両500の識別情報である車両IDと、始動時情報と、停止時情報とをデータ解析装置300に送信する(S10)。始動時情報は、例えば今回の機関始動時における制御装置100の稼働開始時点での冷却水温THWである稼働開始時水温THWsと、同稼働開始時点の時刻である稼働開始時刻Tsとを含む。
【0024】
また、停止時情報は、例えば直前の機関停止時における制御装置100の稼働停止時点での冷却水温THWである稼働停止時水温THWeと同稼働停止時点の時刻である稼働停止時刻Teとを含む。また、停止時情報は、例えば同稼働停止時点の外気温THoutである稼働停止時外気温THouteを含む。
【0025】
次に、CPU110は、稼働時温度情報の取得処理を開始して(S12)、本処理を終了する。稼働時温度情報は、内燃機関15の稼働中、つまり制御装置100の稼働中における冷却水温THWの温度毎の累積時間である。本実施形態では、冷却水温THWの温度毎の累積時間が同冷却水の受熱履歴を示す値になっている。
【0026】
図3に、取得処理にて取得される冷却水温THWの温度毎の累積時間についてその一例を示す。
本実施形態では、複数の温度区分が設定されており、冷却水温THWの温度毎の累積時間は、温度区分毎の累積時間を示すカウンタ値Cnで表される。なお、カウンタ値Cnは、後述の各温度区分毎に算出される値であり、「n」の数字は対応する温度区分を示す。ちなみに、冷却水温THWのサンプリング周期をカウンタ値Cnに乗算することにより、カウンタ値Cnを温度区分毎の累積時間に変換することも可能である。
【0027】
本実施形態では、10個の温度区分が設定されている。これらの温度区分は、温度の低い区分から順に、第1温度区分TR1、第2温度区分TR2、第3温度区分TR3、第4温度区分TR4、第5温度区分TR5、第6温度区分TR6、第7温度区分TR7、第8温度区分TR8、第9温度区分TR9、第10温度区分TR10となっている。
【0028】
第1温度区分TR1は、既定の第1水温THW1未満の温度範囲である。そしてこの第1温度区分TR1のカウンタ値Cnのことを第1カウンタ値C1という。
第2温度区分TR2は、第1水温THW1以上第2水温THW2未満の温度範囲である。この第2温度区分TR2のカウンタ値Cnのことを第2カウンタ値C2という。
【0029】
第3温度区分TR3は、第2水温THW2以上第3水温THW3未満の温度範囲である。この第3温度区分TR3のカウンタ値Cnのことを第3カウンタ値C3という。
第4温度区分TR4は、第3水温THW3以上第4水温THW4未満の温度範囲である。この第4温度区分TR4のカウンタ値Cnのことを第4カウンタ値C4という。この第4温度区分TR4は、後述する基準温度THWbが属する区分となっている。
【0030】
第5温度区分TR5は、第4水温THW4以上第5水温THW5未満の温度範囲である。この第5温度区分TR5のカウンタ値Cnのことを第5カウンタ値C5という。
第6温度区分TR6は、第5水温THW5以上第6水温THW6未満の温度範囲である。この第6温度区分TR6のカウンタ値Cnのことを第6カウンタ値C6という。
【0031】
第7温度区分TR7は、第6水温THW6以上第7水温THW7未満の温度範囲である。この第7温度区分TR7のカウンタ値Cnのことを第7カウンタ値C7という。
第8温度区分TR8は、第7水温THW7以上第8水温THW8未満の温度範囲である。この第8温度区分TR8のカウンタ値Cnのことを第8カウンタ値C8という。
【0032】
第9温度区分TR9は、第8水温THW8以上第9水温THW9未満の温度範囲である。この第9温度区分TR9のカウンタ値Cnのことを第9カウンタ値C9という。
第10温度区分TR10は、第9水温THW9以上の温度範囲である。そしてこの第10温度区分TR10のカウンタ値Cnのことを第10カウンタ値C10という。
【0033】
図4に、温度区分と冷却水温との関係を示す。
内燃機関の冷却水は、成分の1つであるエチレングリコールが熱で分解されてギ酸や、グリコール酸に変化して酸性になることにより劣化する。また、冷却水温が高いほど冷却水の劣化は進みやすい。従って、冷却水温THWと劣化度Rとは相関しており、冷却水温THWと劣化度Rとの関係を示す関数式を劣化関数式としたときに、この劣化関数式は冷却水温THWが高いときほど劣化度Rが大きくなる関数式とすることができる。
【0034】
ここで、冷却水の劣化度は、アレニウスの法則である10°C2倍則に従うことが知られている。そこで、例えば冷却水温THWが90°Cであるときの劣化度Rを無次元の値である「100」とする。そして、冷却水温THWを入力変数とする次式(1)の関数式f(THW)を劣化関数式とすることが可能である。
【0035】
R=f(THW)=100×2^{(THW-90)/10}…(1)
そして、本実施形態では、設定する複数の温度区分の数をnとし、既定の冷却水温における劣化度Rを劣化度基準値Rhiとしたときに、劣化度基準値Rhiを「n-1」の値で等分割する。そして、等分割された各劣化度Rに対応する冷却水温を上記の劣化関数式から算出し、算出された各冷却水温を各温度区分の境界値として設定している。
【0036】
一例として、本実施形態では、10個の温度区分が設定されている。そこで、上記「n」に「10」を代入する。また、既定の冷却水温として、通常使用時に想定される冷却水温の許容最高温度THWhiが設定されている。そして、この許容最高温度THWhiに対応する劣化度Rを上記の劣化関数式から算出して、その算出した値を上記劣化度基準値Rhiとする。
【0037】
次に、劣化度基準値Rhiを「n-1」の値である「9」で等分割する。この等分割された劣化度を値が小さい順から、第1劣化度R1、第2劣化度R2、第3劣化度R3、第4劣化度R4、第5劣化度R5、第6劣化度R6、第7劣化度R7、第8劣化度R8、第9劣化度R9とする。なお、第9劣化度R9は劣化度基準値Rhiと同一である。
【0038】
そして、等分割された各劣化度Rに対応する冷却水温を上記の劣化関数式から算出する。つまり、「n=1~9」として、第n劣化度Rnに対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出して、その算出した値が上記第n水温THWnに設定されている。
【0039】
より具体的には、第1劣化度R1に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第1水温THW1に設定されている。
また、第2劣化度R2に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第2水温THW2に設定されている。
【0040】
また、第3劣化度R3に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第3水温THW3に設定されている。
また、第4劣化度R4に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第4水温THW4に設定されている。
【0041】
また、第5劣化度R5に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第5水温THW5に設定されている。
また、第6劣化度R6に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第6水温THW6に設定されている。
【0042】
また、第7劣化度R7に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第7水温THW7に設定されている。
また、第8劣化度R8に対応する冷却水温THWを上記の劣化関数式から算出してその算出した値が上記第8水温THW8に設定されている。
【0043】
そして、上記許容最高温度THWhiが上記第9水温THW9に設定されている。
このように、第n水温THWnが第1温度区分TR1~第10温度区分TR10をそれぞれ区分する境界値として設定されている。こうした温度区分の設定方法を採用することにより、図4に示すように、本実施形態では、冷却水の劣化が進みやすい高温度領域ほど温度区分が細分化されている。
【0044】
上述したS12の処理を開始すると、CPU110は、既定のサンプリング周期毎に冷却水温THWを取得する。そして、取得した冷却水温THWが属する温度区分のカウンタ値Cnを既定値α(例えば1など)だけ増加させる処理を制御装置100の稼働中において繰り返し実行する。これにより冷却水温THWの温度毎の累積時間に相当するカウンタ値Cnを温度区分毎に更新する。そして、更新した各カウンタ値Cnをメモリ120に保存する。
【0045】
図5に、制御装置100が所定周期毎に実行する処理の手順を示す。
本処理を開始すると、CPU110は、稼働時温度情報の送信要求があるか否かを判定する(S20)。例えば、稼働時温度情報を前回送信してから既定の期間が経過している場合には、CPU110は、稼働時温度情報の送信要求があると判定する。なお、既定の期間としては、制御装置100の稼働時間や、車両500の走行距離などが挙げられる。
【0046】
そして、稼働時温度情報の送信要求があると判定する場合(S20:YES),CPU110は、車両500の識別情報である車両IDと、稼働時温度情報を構成する温度区分毎のカウンタ値Cnとをデータ解析装置300に送信する(S22)。なお、CPU110は、S22の処理を完了した場合や、S20の処理において否定判定する場合には、図4に示す一連の処理を一旦終了する。
【0047】
<データ解析装置300が実行する処理>
図6に、図5に示したS22の処理で送信されたデータをデータ解析装置300が受信したときにCPU310が実行する処理の手順を示す。
【0048】
S100にて、制御装置100から送信された車両IDと稼働時温度情報であるカウンタ値Cnとを受信すると、CPU310は、S110の処理を実行する。S110の処理は、車両IDに紐付けてメモリ320に保存してある温度区分毎の各カウンタ値Cnを更新して、更新後のカウンタ値Cnをメモリ320に保存する処理である。このカウンタ値Cnの更新は、メモリ320に保存してある温度区分毎の各カウンタ値Cnに対して、受信したカウンタ値Cnを加算することにより実施される。こうした更新により、メモリ320に保存してある温度区分毎の各カウンタ値Cnの値は、それまでに受信した温度区分毎の各カウンタ値Cnの積算値になっている。
【0049】
次に、CPU310は、更新後の各カウンタ値Cnを換算カウンタ値CCnに変換する変換処理を実行する(S120)。換算カウンタ値CCnは、温度区分毎のカウンタ値Cnのそれぞれを既定の基準温度THWb(例えば90°C程度)での累積時間に相当するカウンタ値Cnに換算した換算値である。つまり、換算カウンタ値CCnは、温度区分毎のカウンタ値Cnを、冷却水温THWが基準温度THWbであったと仮定した場合のカウンタ値に変換した値である。すなわち、温度区分毎のカウンタ値Cnに対応する劣化度をそれぞれ劣化度Rnとしたときに、基準温度THWbでその劣化度Rnに達するのに要するカウンタ値Cnの値が換算カウンタ値CCnである。なお、換算カウンタ値CCnにおいて「n」の数字は、換算元のカウンタ値Cnの「n」の数字と同一であり、対応する温度区分を示す。
【0050】
この変換処理は、以下のようにして行われる。
図7に示すように、まず、第1温度区分TR1から第10温度区分TR10のそれぞれに対して温度区分の代表温度である第1代表温度P1、第2代表温度P2、第3代表温度P3、第4代表温度P4、第5代表温度P5、第6代表温度P6、第7代表温度P7、第8代表温度P8、第9代表温度P9、及び第10代表温度P10がそれぞれ予め求められている。なお、以下では、これら各代表温度をまとめて代表温度Pnという。また、「n」には温度区分を示す数字が代入される。
【0051】
第2代表温度P2~第9代表温度P9は、次式(2)から求められている。なお、式(2)における「n」には、2~9のうちのいずれかの値が代入される。また、係数Kは「0」よりも大きく「1」よりも小さい値であって、劣化度Rの誤差を小さくする上で最適な値が予め設定されている。
【0052】
Pn=THW(n-1)+(THWn-THW(n-1)×係数K…(2)
一例として、係数Kが「0.4」の場合、第2温度区分TR2の代表温度である第2代表温度P2は、「第1水温THW1+(第2水温THW2第1水温THW1)×0.4」にて求められる値になる。
【0053】
また、第1代表温度P1及び第10代表温度P10は、劣化度Rの誤差を小さくする上で最適な温度が予め設定されている。
そして、冷却水温THWが低いほど冷却水の劣化は進みにくくなる。そのため、図7に示すように、代表温度Pnが基準温度THWbよりも低い温度区分では、変換前のカウンタ値Cn(二点鎖線にて図示)よりも換算カウンタ値CCn(実線にて図示)の値が小さくなるようにカウンタ値Cnは変換される。また、冷却水温THWが高いほど冷却水の劣化は進みやすくなる。そのため、図7に示すように、代表温度Pnが基準温度THWbよりも高い温度区分では、変換前のカウンタ値Cn(二点鎖線にて図示)よりも換算カウンタ値CCn(実線にて図示)の値が大きくなるようにカウンタ値Cnは変換される。
【0054】
こうした温度区分毎の換算カウンタ値CCnの算出は、温度区分毎に求められている代表温度Pnと、その代表温度Pnが属する温度区分のカウンタ値Cnとを入力とし、換算カウンタ値CCnを出力とする関数式を用いて行われる。
【0055】
次に、CPU310は、温度区分毎に算出された換算カウンタ値CCnの値を全て足した和Sを算出する(S130)。
次に、CPU310は、算出した和Sに基づいて劣化度Rを算出する算出処理を実行する(S140)。ここでは、和Sと劣化度Rとの関係式が予め求められており、CPU310は、そうした関係式に基づいて劣化度Rを算出する。なお、和Sの値が大きいほど劣化度Rの値も大きくなるように当該劣化度Rは算出される。こうして劣化度Rを算出すると、CPU310は、その算出した劣化度Rをメモリ320に保存する(S150)。
【0056】
次に、CPU310は、劣化度Rの変化量に基づいて冷却水の予想交換時期を算出する処理を実行する(S160)。S160においてCPU310は、例えば以下の処理を行う。すなわちCPU310は、前回算出した劣化度Rと今回算出した劣化度Rとの差分を算出する。また、CPU310は、前回劣化度Rを算出してから今回劣化度Rを算出するまでの経過期間(例えば経過時間や走行距離)を算出する。そして、算出した上記差分と上記経過期間とに基づいて劣化度Rが許容限界値に達するまでの時間や走行距離を算出する。そして、その算出した時間や走行距離を予想交換時期として設定する。このS160の処理を完了すると、CPU310は、今回の本処理を終了する。
【0057】
<受熱履歴推定処理について>
図8に、図2に示したS10の処理で送信されたデータをデータ解析装置300が受信したときにCPU310が実行する処理の手順を示す。
【0058】
S200にて、制御装置100から送信された車両IDと始動時情報と停止時情報とを受信すると、次に、CPU310はS210の処理を実行する。S210の処理は、制御装置100の稼働停止中における冷却水の受熱履歴を上記停止時情報に基づいて推定する受熱履歴推定処理、つまり稼働停止中の温度区分毎の各カウンタ値Cnを停止時情報に基づいて算出する処理である。
【0059】
このS210の処理では、以下のようにして稼働停止中の各カウンタ値Cnが算出される。
まず、機関停止後は、放熱の法則から、最初は冷却水温からの放熱量が多く、温度が大きく低下する。そして、その後、温度の低下速度は遅くなり、最終的には雰囲気温度、つまり外気温に収束する。そこで、機関停止してからの経過時間tにおける冷却水温THW(t)は、停止時情報に含まれる稼働停止時水温THWe及び稼働停止時外気温THouteに基づき、次式(3)に示す関数式から算出することができることを本発明者は確認している。
【0060】
【数1】
なお、式(3)における定数Aには、予め定められた値が初期値として設定されているが、後述の更新処理によってその値は更新される。
【0061】
また、冷却水温THWがある温度THWxになるときの経過時間txは、式(3)を変形した次式(4)に示す関数式から求めることができる。なお、以下の各式に記載する「log」は、「e」を底とする自然対数である。
【0062】
【数2】
従って、任意の温度区分における冷却水の累積時間T(n)は、次式(5)に示す関数式から求めることができる。なお、「n」は温度区分を示す値であり、「1~10」の値を取り得る。
【0063】
【数3】
例えば、第9温度区分TR9における累積時間T9は、式(5)の「n」に「9」を代入した次式(6)に基づいて算出することができる。つまり、この累積時間T9は、第9水温THW9及び第8水温THW8及び稼働停止時外気温THouteに基づいて算出することができる。
【0064】
【数4】
なお、第10温度区分TR10における累積時間T10を算出する場合には、式(5)の「THW(n)」の値に、稼働停止時水温THWeの値を代入する。
【0065】
また、第1温度区分TR1における累積時間T1を算出する場合には、式(5)の「THW(n-1)」の値に、第1水温THW1から既定の値(例えば10°C~20°C程度の値)を減じた値を代入する。
【0066】
始動時情報に含まれる稼働開始時刻Tsから停止時情報に含まれる稼働停止時刻Teを減じることにより制御装置100が稼働を停止していた時間である停止時間Tspを算出することができる。そして、定数Aは、式(3)の経過時間tにその停止時間Tspを代入するとともに、始動時情報に含まれる上記稼働開始時水温THWsを上記冷却水温THW(t)に代入した式を変形した次式(7)に基づいて算出することができる。
【0067】
【数5】
こうした各関数式に基づき、CPU310は、稼働停止中の温度区分毎の各カウンタ値Cnを算出する。
【0068】
図9及び図10に、稼働停止中のカウンタ値Cnの算出処理についてその処理手順を示す。
本処理を開始すると、CPU310は、始動時情報に含まれる稼働開始時刻Tsから停止時情報に含まれる稼働停止時刻Teを減じることにより、制御装置100が稼働を停止していた時間である停止時間Tspを算出する。
【0069】
次に、CPU310は、停止時間Tspが閾値A以上且つ閾値B以下の範囲内の値であるか否かを判定する(S310)。このS310での判定処理は、次の理由により実行される。すなわち、停止時間Tspが過度に短い場合や、過度に長い場合には、冷却水温の推定値と実値との乖離が大きくなるおそれがある。冷却水温の推定値と実値との乖離が大きくなると、推定される稼働停止中のカウンタ値Cnの値と、実際の冷却水温の変化に対応したカウンタ値Cnとの乖離が大きくなるおそれがある。こうした乖離が生じる状況下において、以下に説明するS340の処理にて上記定数Aを算出すると、定数Aの精度が低下するおそれがある。そこで、停止時間Tspが既定の範囲内の値であり、上記定数Aの算出に適した時間である場合に定数Aを算出するため、S310の処理にて停止時間Tspの判定処理が実行される。そのため、上記閾値Aや上記閾値Bには、定数Aを精度よく算出することができる停止時間Tspの上限値及び下限値がそれぞれ予め設定されている。
【0070】
S310の処理にて、停止時間Tspが閾値A以上且つ閾値B以下の範囲内の値であると判定する場合(S310:YES)、CPU310は、稼働開始時水温THWsが稼働停止時外気温THouteよりも高い温度であるか否かを判定する(S320)。そして、稼働開始時水温THWsが稼働停止時外気温THouteよりも高い温度であると判定する場合(S320:YES)、CPU310はS340の算出処理を実行する。S340の算出処理は、停止時間Tsp、稼働開始時水温THWs、稼働停止時水温THWe、及び稼働停止時外気温THouteを上記式(7)に代入して定数Aを算出する処理である。
【0071】
一方、上記S320の処理にて、稼働開始時水温THWsが稼働停止時外気温THoute以下であると判定する場合(S320:NO)、CPU310は、稼働停止時外気温THouteを修正する処理を実行する(S330)。このS330の処理において、CPU310は、取得した稼働停止時外気温THouteから既定の値を減ずることにより、稼働停止時外気温THouteの値を小さくする処理を実行する。この処理は、S340の処理にて定数Aを算出する際に、式(7)の関数式における「THWs-THoute」の値が負の値になるとlogの計算ができなくなることを避けるための処置である。
【0072】
こうして、S330の処理を行った後、CPU310は、S340の処理にて定数Aの算出を行う。
次に、CPU310は、定数Aを更新する処理を実行する(S350)。このS350の処理において、CPU310は、今回の処理で算出した定数Aと、直近において算出された複数の定数Aとを含む複数個の定数Aの相加平均を算出する。そして、その算出した相加平均の値を定数Aに代入することにより、当該定数Aを更新する。
【0073】
S350の処理を終了した場合、または上記S310の処理にて否定判定される場合には、CPU310は、図10に示すS400以降の処理を実行する。
図10に示すように、S400の処理として、CPU310は、各温度区分(n)の累積時間T(n)を「0」にリセットする。なお、「n」は温度区分を表す値であり、「1~10」の値を取り得る。
【0074】
次に、CPU310は、図2に示したS10の処理を通じて取得した稼働停止時水温THWeが属する温度区分(n)を判定する(S410)。
次に、CPU310は、S410の処理で判定した温度区分(n)における累積時間T(n)を、上記の式(5)に基づいて算出する(S420)。
【0075】
次に、CPU310は、積算累積時間STを更新する処理を実行する(S430)。積算累積時間STは、累積時間T(n)の積算値であり、初期値は「0」である。CPU310は、S420の処理にて算出された累積時間T(n)を積算累積時間STの前回値に加算することにより当該積算累積時間STを更新する。
【0076】
次に、CPU310は、更新した積算累積時間STが停止時間Tspよりも短いか否かを判定する(S440)。そして、更新した積算累積時間STが停止時間Tspよりも短いと判定する場合(S440:YES)、累積時間T(n)を算出する温度区分を変更するために、「n」の値を1つ小さくする処理を実行する(S450)。このS450の処理は、累積時間T(n)を算出する温度区分を1段階温度の低い温度区分に変更するための前処理である。
【0077】
次に、CPU310は、S450の処理にて更新された「n」の値が「0」であるか否かを判定する(S460)。そして、「n」の値が「0」ではないと判定する場合(S460:NO)、CPU310は、S420以降の処理を繰り返し実行することにより、各温度区分(n)の累積時間T(n)をそれぞれ算出する。
【0078】
上記S440の処理にて、積算累積時間STが停止時間Tsp以上であると判定する場合(S440:NO)、CPU310は、次式(8)に基づき、S450の処理にて更新された「n」に対応する温度区分(n)の累積時間T(n)を算出する。
【0079】
T(n)=停止時間Tsp-ST-T(n)…(8)
なお、式(8)の右辺に記載の「ST」は、S430の処理にて更新された後の積算累積時間STである。また、式(8)の右辺に記載の「T(n)」は、S420の処理にて算出された累積時間T(n)である。従って、式(8)における「ST-T(n)」の値は、S430の処理にて更新される前の積算累積時間STの値に等しい。そのため、式(8)で算出される温度区分(n)の累積時間T(n)は、S430の処理にて更新される前の積算累積時間STを停止時間Tspから減じた値に等しい。
【0080】
S470の処理を終了した場合、あるいはS460の処理にて肯定判定される場合には、CPU310は、本処理にて算出された各温度区分の累積時間T(n)のそれぞれを上記カウンタ値Cnに変換する処理を実行する(S480)。このS480の処理として、CPU310は、冷却水温THWのサンプリング周期で累積時間T(n)を除することにより、その累積時間T(n)をカウンタ値Cnに変換する。
【0081】
そして、S480の処理を終了すると、CPU310は、本処理を終了する。つまり、図8に示したS210の処理を終了する。
図8に示したS210の処理を終了すると、次に、CPU310は、車両IDに紐付けてメモリ320に保存されている各カウンタ値Cnを更新する処理を実行する(図8のS220)。このS220の処理として、CPU310は、メモリ320に保存されている各カウンタ値Cnに、S210の処理にて算出した稼働停止中の各温度区分のカウンタ値Cnを加算することにより、メモリ320に保存されている各カウンタ値Cnを更新する。そして、CPU310は、図8に示す一連の処理を終了する。
【0082】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1)上記受熱履歴推定処理が実行されることにより、制御装置100の稼働が停止していても冷却水の受熱履歴を示すカウンタ値Cnが推定される。そして、図6に示した一連の処理では、稼働停止中のカウンタ値Cnを含むデータに基づいて冷却水の劣化度Rが算出される。このようにして、制御装置100の稼働停止中における冷却水の受熱履歴も考慮して冷却水の劣化が推定されるようになるため、冷却水の劣化の推定精度が向上するようになる。
【0083】
(2)停止時情報を入力変数とする上記式(5)の関数式に基づいてカウンタ値Cnを算出するための累積時間T(n)を算出するようにしている。そして、図9に示したS340の処理では、式(5)の関数式に含まれる定数Aを、停止時情報及び稼働開始時水温THWs及び停止時間Tspを入力変数とする上記式(7)の関数式に基づいて算出するようにしている。このようにして関数式に含まれる定数Aが実際の冷却水の温度や外気温に基づいて算出される。そのため、内燃機関15の個体差が上記累積時間T(n)の推定に与える影響を抑えることができる。
【0084】
(3)上述したように、内燃機関15の停止時間Tspが過度に短い場合や、過度に長い場合には、冷却水温の推定値と実値との乖離が大きくなるおそれがある。冷却水温の推定値と実値との乖離が大きくなると、推定される稼働停止中のカウンタ値Cnの値と、実際の冷却水温の変化に対応したカウンタ値Cnとの乖離が大きくなるおそれがある。こうした乖離が生じる状況下において、図9に示したS340の処理で上記定数Aを算出すると、定数Aの精度が低下するおそれがある。この点、本実施形態では、停止時間Tspが既定の範囲内の値であるか否かを判定する(S310の処理)。そして、停止時間Tspが既定の範囲内の値である場合に定数Aを算出するようにしている。そのため、停止時間Tspに関する制限を設けることなく上記定数Aを算出する場合と比較して、定数Aの算出精度が向上するようになる。
【0085】
(4)冷却水温THWの温度毎の累積時間(本実施形態ではカウンタ値Cnに相当する)を取得するために、複数の温度区分が設定されている。そのため、そうした温度区分を設定することなく個々の温度の累積時間を取得する場合と比較して、そうした累積時間を保存するために必要となるメモリの容量などを低減することができる。
【0086】
(5)冷却水の温度が高いときほど劣化度Rが大きくなる上記式(1)の劣化関数式を利用するとともに、上記劣化度基準値Rhiを等分割して得られる各劣化度Rにそれぞれ対応する冷却水の温度が上述した各温度区分の境界値に設定される。そのため、冷却水の劣化が進みやすい高温度領域ほど温度区分が細分化されるようになる。従って、冷却水の劣化度Rの推定精度が向上するようになる。
【0087】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0088】
・冷却水温THWの温度区分の数や、各温度区分の範囲は適宜変更してもよい。
・温度区分を設けず、サンプリングした冷却水温THW毎にカウンタ値Cnを求めるようにしてもよい。
【0089】
・上述した稼働時温度情報の送信タイミングは適宜変更してもよい。
図6に示したS160の処理を省略してもよい。
・上述した劣化関数式に基づいて温度区分の境界値を設定したが、他の態様で境界値を設定してもよい。例えば、水温の高い温度区分や、カウンタ値Cnの値が多くなる傾向がある温度区分の温度範囲が他の温度区分の温度範囲より狭くなるように、温度区分の境界値を設定してもよい。
【0090】
・カウンタ値Cnに代えて上記累積時間を算出してもよい。
図6に示したS120の変換処理を制御装置100で実行する。そして、データ解析装置300に送信する稼働時温度情報として、カウンタ値Cnの代わりに換算カウンタ値CCnを送信するようにしてもよい。
【0091】
図8に示したS210及びS220の処理を制御装置100で実行してもよい。
・上述した全ての処理を制御装置100で実行してもよい。
・制御装置100の稼働中に取得した冷却水温THWをリアルタイムでデータ解析装置300に送信する。そして、カウンタ値Cnの更新をデータ解析装置300で行うようにしてもよい。
【0092】
・実行装置としてCPUとメモリとを備えており、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。例えば、上記各実施形態において実行されるソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てをプログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するメモリ等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置及びプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置及びプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路及び1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
【符号の説明】
【0093】
10…冷却装置
12…ラジエータ
15…内燃機関
15W…ウォータジャケット
16…第1通路
17…第2通路
18…ウォータポンプ
20…分岐通路
25…サーモスタット
34…水温センサ
35…外気温センサ
100…制御装置
110…中央処理装置(CPU)
120…メモリ
130…通信機
200…ネットワーク
300…データ解析装置
310…CPU
320…メモリ
330…通信機
500…車両
600…車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10