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特許7729257ユーザの不具合検出のためのシステム、方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】ユーザの不具合検出のためのシステム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20250819BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20250819BHJP
【FI】
A61B5/11 230
A61H1/02 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022079407
(22)【出願日】2022-05-13
(65)【公開番号】P2023167879
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】青木 英祐
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-501684(JP,A)
【文献】特開2008-099727(JP,A)
【文献】特開昭62-008756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0077653(US,A1)
【文献】特開2012-075587(JP,A)
【文献】特開2021-137543(JP,A)
【文献】特開2012-065723(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0281550(US,A1)
【文献】国際公開第2008/026336(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/122479(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0113890(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113876316(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113749612(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を着座部に対し前後方向へスライドさせると共に、該スライドに抵抗力を付加する抵抗部を含む左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備えるユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項2】
請求項1記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記表示部は、前記ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較表示する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項3】
請求項1又は2記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較することで、前記ユーザの下肢の左右の出力バランスを評価する評価部を更に備える、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項4】
請求項3記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記評価部は、前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右の下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値の差が閾値以上となる場合に、前記ユーザの下肢の左右の出力バランスが悪いと評価する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項5】
請求項1又は2記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記動作機構は、ユーザの足部による前記左右の足載せ部の踏み込み応じて、該左右の足載せ部を円又は楕円軌道で独立して夫々回転させる、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項6】
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を着座部に対し前後方向へスライドさせる左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
を備えるユーザの不具合検出のためのシステムが実行する方法であって、
角度検出部が、前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
表示部が、前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む方法。
【請求項7】
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を着座部に対し前後方向へスライドさせる左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
を備えるユーザの不具合検出のためのシステムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項8】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備えるユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項9】
請求項8記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記表示部は、前記ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較表示する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項10】
請求項8又は9記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較して、前記ユーザの体幹バランスの崩れを評価する評価部を更に備える、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項11】
請求項10記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記評価部は、
前記角度検出部により検出された前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合、あるいは、左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも小さいと判断した場合、前記ユーザの体幹バランスが崩れていると評価する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項12】
請求項10記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記評価部は
前記角度検出部により検出された前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が前記ユーザの右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、前記ユーザの体幹は右側に傾いており、座位荷重バランスも右側に崩れていると評価し、
前記ユーザの右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、前記ユーザの体幹は左側に傾いており、座位荷重バランスも左側に崩れていると評価する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項13】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、を備えるユーザの不具合検出のためのシステムが実行する方法であって、
角度検出部が、前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
表示部が、前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む方法。
【請求項14】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、を備えるユーザの不具合検出のためのシステムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項15】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備えるユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項16】
請求項15記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記表示部は、
前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
を夫々比較表示する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項17】
請求項15又は16記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
の差に基づいて、ユーザの身体の不具合箇所を特定する、不具合特定部を更に備える、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項18】
請求項17記載のユーザの不具合検出のためのシステムであって、
前記不具合特定部は、
前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
の角度差のうち、閾値以上となる角度差の関節を、前記不具合箇所として特定する、
ユーザの不具合検出のためのシステム。
【請求項19】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部が連携して動作させる動作機構と、を備えるユーザの不具合検出のためのシステムが実行する方法であって、
角度検出部が、前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
表示部が、前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む方法。
【請求項20】
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部が連携して動作させる動作機構と、を備えるユーザの不具合検出のためのシステムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの身体の不具合を検出する不具合検出システム、不具合検出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
座部等が揺動する揺動椅子などを用いてユーザのバランス能力を評価する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第3927340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、ユーザの左右バランスに関する身体の不具合を検出できるシステムを実現したい。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、ユーザの左右バランスに関する身体の不具合を検出できる不具合検出システム、その不具合検出方法、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を着座部に対し前後方向へスライドさせると共に、該スライドに抵抗力を付加する抵抗部を含む左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備える不具合検出システム
である。
この一態様において、前記表示部は、前記ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較表示してもよい。
この一態様において、前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較することで、前記ユーザの下肢の左右の出力バランスを評価する評価部を更に備えていてもよい。
この一態様において、前記評価部は、前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右の下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値の差が閾値以上となる場合に、前記ユーザの下肢の左右の出力バランスが悪いと評価してもよい。
この一態様において、前記動作機構は、ユーザの足部による前記左右の足載せ部の踏み込み応じて、該左右の足載せ部を円又は楕円軌道で独立して夫々回転させてもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を前記着座部に対し前後方向へスライドさせる左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
を備える不具合検出システムの不具合検出方法であって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む不具合検出方法
である。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記足載せ部を着座部に対し前後方向へスライドさせる左右一対のスライド機構と、
前記左右のスライド機構及び足載せ部を独立して動作させる動作機構と、
を備える不具合検出システムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム
である。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備える不具合検出システム
である。
この一態様において、前記表示部は、前記ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較表示してもよい。
この一態様において、前記角度検出部により検出された前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値を比較して、前記ユーザの体幹バランスの崩れを評価する評価部を更に備えていてもよい。
この一態様において、前記評価部は、前記角度検出部により検出された前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合、あるいは、左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも小さいと判断した場合、前記ユーザの体幹バランスが崩れていると評価してもよい。
この一態様において、前記評価部は前記角度検出部により検出された前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が前記ユーザの右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、前記ユーザの体幹は右側に傾いており、座位荷重バランスも右側に崩れていると評価し、 前記ユーザの右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が前記ユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、前記ユーザの体幹は左側に傾いており、座位荷重バランスも左側に崩れていると評価してもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、を備える不具合検出システムの不具合検出方法であって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む、不具合検出方法
である。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、を備える不具合検出システムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させる、プログラム
である。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部を連携して動作させる動作機構と、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部と、
を備える不具合検出システム
である。
この一態様において、前記表示部は、前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、を夫々比較表示してもよい。
この一態様において、前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、
右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、の差に基づいて、ユーザの身体の不具合箇所を特定する、不具合特定部を更に備えていてもよい。
この一態様において、前記不具合特定部は、前記角度検出部により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、の角度差のうち、閾値以上となる角度差の関節を、前記不具合箇所として特定してもよい。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部が連携して動作させる動作機構と、を備える不具合検出システムの不具合検出方法であって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出するステップと、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示するステップと、
を含む不具合検出方法
である。
上記目的を達成するための本発明の一態様は、
ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部と、
前記ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、該ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部と、
前記左右の足載せ部が連携して動作させる動作機構と、を備える不具合検出システムのプログラムであって、
前記ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する処理と、
前記検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム
である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの左右バランスに関する身体の不具合を検出できる不具合検出システム、その不具合検出方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る足漕ぎ運動機器を示す斜視図である。
図2図1に示す足漕ぎ運動器を上方から見た上視図である。
図3】本実施形態1に係る不具合検出システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図4】左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した左右関節角度の比較表示の一例を示す図である。
図5】本実施形態1に係る不具合検出システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図6】本実施形態1に係る不具合検出方法のフローを示すフローチャートである。
図7】本実施形態2に係る足漕ぎ運動機器を上方から見た上視図である。
図8】本実施形態2に係る着座部の一例の正面図を示している。
図9】足載せ部をロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能にする構成の一例を示す図である。
図10】本実施形態3に係る不具合検出システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。
図11】左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の比較表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0010】
本実施形態に係る不具合検出システムにおいては、ユーザが座位姿勢で下肢運動を行うため、姿勢制御の影響少なく、純粋な運動連鎖の評価がし易いというメリットを有している。なお、運動連鎖とは、ある関節で運動が生じると、その運動の影響が隣接関節に波及する連鎖である。
【0011】
本実施形態に係る不具合検出システムによれば、ユーザが座りながら足漕ぎ運動などの下肢運動を行って姿勢制御の影響を排除し、純粋な運動連鎖の評価を行うことで、下肢および体幹の身体パフォーマンスの悪化要因を検出でき、身体の左右バランスの崩れを検出できるものである。
【0012】
なお、以下の説明において、「左右」は、座位姿勢のユーザから見た左右として定義され、「前後」は、座位姿勢のユーザから見た前後として定義される。以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0013】
(実施形態1)
例えば、足漕ぎ運動はサイクリックな運動で、一般的な足漕ぎ運動機器においては、回転数などに応じて左右の足載せ部の動作に差が出難い。
【0014】
これに対し、本実施形態1に係る足漕ぎ運動機器においては、ユーザの左右の足部を載せる左右の足載せ部を独立して動作させ、さらに、足載せ部が自由に前後へスライドできるように構成することで、ユーザの下肢運動により大きな冗長自由度を持たせている。
【0015】
人は、運動連鎖から動かし易い方をより大きく動かしてしまうと言う特性を有している。例えば、痛みなどがある患脚は、健常脚と比べて特に動きが悪くなり、患脚側の足載せ部のスライド量が健常脚側の足載せ部のスライド量と比べて、より小さくなるなど、両者の動作に大きな差が生じ得る。
【0016】
また、人は少しの体幹の歪みによって、動作の非対称性が存在する。この非対称性は人の動作にも現れる。本実施形態においては、上記冗長自由度を有する構成によって、人の非対称性から発生する体の動作の左右差をより効果的に検出するものである。
【0017】
図1は、本実施形態1に係る足漕ぎ運動機器を示す斜視図である。図2は、図1に示す足漕ぎ運動器を上方から見た上視図である。ユーザは、着座部3に着座した状態で、足漕ぎ運動機器2において足漕ぎ運動を行う。本実施形態に係る不具合検出システム1は、足漕ぎ運動機器2におけるユーザの足漕ぎ運動から、ユーザの下肢の左右の出力バランスに関する身体の不具合を検出する。
【0018】
本実施形態1に係る不具合検出システム1は、ユーザの下肢運動に用いる足漕ぎ運動機器2と、ユーザが着座する着座部3と、を備えている。着座部3は、例えば、ユーザが着座できる椅子として構成されている。着座部3は、足漕ぎ運動機器2の後方に配置される。なお、着座部3と足漕ぎ運動機器2と別体として構成されているが、これに限定されず、着座部3と、足漕ぎ運動機器2とは一体的に構成されてもよい。
【0019】
足漕ぎ運動機器2は、座位で足漕ぎ運動を行うための機器であって、例えば、自転車、エアロバイク(登録商標)、リカンベントバイクなど椅子を備えた形態であってもよい。なお、本実施形態において、足漕ぎ運動機器2の代わりに、上記同様の特徴を有する足踏み運動機器などの下肢運動機器が用いられてもよい。
【0020】
図1及び図2に示すように、足漕ぎ運動機器2は、動作機構21と、左右一対の足載せ部22と、左右一対のスライド機構23と、を含む。動作機構21は、機器本体211に軸支された左右一対のシャフト212と、シャフト212に連結された左右一対のクランク213と、を有している。
【0021】
各クランク213には、ベース部24を介してスライド機構23が夫々連結されている。スライド機構23は、ガイド本体231を含む。
【0022】
ベース部24の前端には、対応するクランク213の先端がピッチ旋回自在に連結されている。ベース部24の後端には、ピッチ旋回自在な車輪25が設けられている。車輪25は、典型的には、足漕ぎ運動機器2の設置床上を転がる。
【0023】
ガイド本体231は、ベース部24の長手方向に沿って延びている。ガイド本体231は、ベース部24上に設けられるレール支持板2311と、レール支持板2311上に形成されるレール2312と、を含む。
【0024】
足載せ部22は、ユーザの左右の足部が夫々載る部分である。足載せ部22は、ユーザが履いている靴のアウトソールにネジ止めなどにより固定されていてもよい。また、足載せ部22は、ユーザが履いている靴の足裏形状に沿った形状を有していてもよい。
【0025】
足載せ部22は、レール2312に対してスライド可能にレール2312に連結されている。これにより、足載せ部22に前後方向への冗長自由度を持たせることができる。
【0026】
スライド機構23は、上記足載せ部22のスライドに抵抗力を付加する抵抗部232を更に含む。抵抗部232は、ゴムチューブ、ゴムバンド、コイルバネなどの弾性体232で構成されている。弾性体232は、一端がガイド本体231の前端に固定され、他端がガイド本体231の後端に固定されている。即ち、弾性体232は、足載せ部22のつま先側端部から踵側端部に至るまで延びている。
【0027】
足載せ部22は、足載せ部22にユーザの足部を乗せていない状態で、例えば、足載せ部22が ガイド本体231の前端と後端のちょうど中間に位置するように、弾性体232に連結されている。この中立状態から、足載せ部22がガイド本体231に対してつま先側に相対的に移動すると、足載せ部22と後端の間において弾性体232が引き伸ばされ、弾性体232の弾性復元力により、足載せ部22はガイド本体231に対して踵側に相対的に引っ張られる。
【0028】
同様に、中立状態から、足載せ部22がガイド本体231に対して踵側に相対的に移動すると、足載せ部22と前端の間において弾性体232が引き伸ばされ、弾性体232の弾性復元力により、足載せ部22はガイド本体231に対してつま先側に相対的に引っ張られる。
【0029】
なお、足載せ部22は、弾性体232に対して着脱可能に取り付けられている。この構成によれば、足載せ部22をガイド本体231に対して移動させる方向に応じて、弾性体232による抵抗力を変えることができる。
【0030】
機器本体211は、図示しない減速機や電磁ブレーキ付きサーボモータを備えており、電磁ブレーキ付きサーボモータは、シャフト212を所定の速度で回転させることができ、あるいは、シャフト212の回転に対して負荷をかけることができる。
【0031】
左右のシャフト212は独立して回転するように構成されている。一対のクランク213は、シャフト212の両端からシャフト212の長手方向に対して直交する方向であって互いに反対向きに延びている。
【0032】
左右のスライド機構23及び足載せ部22は、独立して動作するように構成されている。そして、動作機構21は、ユーザの足部による左右の足載せ部22の踏み込み応じて、左右の足載せ部22を楕円軌道で独立して夫々回転させる。これにより、左右の足載せ部22に、より大きな冗長自由度を持たせることができる。なお、動作機構21は、ユーザの足部による左右の足載せ部22の踏み込み応じて、左右の足載せ部22を円軌道で独立して夫々回転させる構成であってもよい。
【0033】
以上の構成で、スライド機構23及び足載せ部22は、シャフト212の回転に伴って前後に往復移動する。スライド機構23及び足載せ部22が前方に移動する際、ベース部24の前端はシャフト212よりも上方を通過する。一方、スライド機構23及び足載せ部22が後方に移動する際、ベース部24の前端はシャフト212よりも下方を通過する。
【0034】
例えば、ユーザが右脚を前方に蹴り出すと、右脚に対応するベース部24の前端がシャフト212よりも上方を通過するようにシャフト212が回転する。次に、ユーザが左脚を前方に蹴り出すと、左脚に対応するベース部24の前端がシャフト212よりも上方を通過するようにシャフト212が回転する。ユーザが右脚と左脚を交互に前方に蹴り出すことで、左右の下肢運動が行われる。
【0035】
図3は、本実施形態1に係る不具合検出システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態に係る不具合検出システム1は、ユーザの左右下肢関節の角度を検出する角度検出部11と、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢関節の角度を表示する表示部12と、を備えている。
【0036】
なお、不具合検出システム1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などの内部メモリと、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などのストレージデバイスと、ディスプレイなどの周辺機器を接続するための入出力I/Fと、装置外部の機器と通信を行う通信I/Fと、を備えた通常のコンピュータのハードウェア構成を有する。
【0037】
角度検出部11は、ユーザが着座部3に着座し、足漕ぎ運動機器2で足漕ぎを行っている時のユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を夫々検出する。下肢関節は、下肢の股関節、膝関節、及び足首関節を含む。
【0038】
例えば、角度検出部11は、カメラで撮影された左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節の画像から骨格モデルを生成し、その骨格モデルから左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を算出する。
【0039】
なお、角度検出部11は、左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節を跨ぐように配置された姿勢角度センサで構成されていてもよい。姿勢角度センサは、例えば、3自由度ジャイロセンサや3自由度加速度センサなどであり、左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出できる。
【0040】
表示部12は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を、比較表示する。表示部12は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどで構成されている。
【0041】
表示部12は、例えば、図4に示す如く、縦軸を角度とし横軸を時間として、画面の上段に右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した右関節角度のグラフを表示する。
【0042】
同様に、画面の下段に、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した左関節角度のグラフを表示する。
【0043】
なお、表示部12は、画面の左右に、左右関節角度を夫々表示してもよいし、左右関節角度を重ねて表示してもよい。また、表示部12は、ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を、夫々、個別に比較表示させてもよい。
【0044】
これにより、上段の右関節角度と下段の左関節角度との差が視覚的に認識でき、下肢の左右の出力バランスが悪く身体に不具合が生じていることが容易に認識できる。例えば、左右のうち、角度変化が小さく、すなわち、動きが悪く出力の低い方を容易に認識できる。図4では、左関節角度の変化が右関節角度の変化と比較して小さく、左関節の動きが悪く出力の低いことが容易に認識できる。
【0045】
なお、上記のような下肢の左右の出力バランスが悪くなる要因の一つとして、左右の筋力の違いがある。また、左右の筋力は同一ではあるが、左右の出力に差が生じる要因として、関節を動かす際の筋以外の組織が硬くなっている、痛みがある、脳からの指令に差がある(左よりも右は習熟していて動かせる、脳からの信号が筋へ行かない)などが想定される。脳からの指令の差としては、左右の習熟の差や、脳から筋への信号の伝達の差などがある。
【0046】
さらに、本実施形態に係る不具合検出システム10は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を比較することで、ユーザの下肢の左右の出力バランスを評価する評価部13を更に備えていてもよい(図5)。
【0047】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値と、ユーザの右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値と、の差が、閾値以上となる場合に、ユーザの下肢の左右の出力バランスが悪いと評価してもよい。この評価部13による評価結果により、ユーザの下肢の左右の出力バランスに関する身体の不具合をより明確に認識できる。
【0048】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢関節のピッチ軸周りの角度と、ユーザの右下肢関節のピッチ軸周りの角度との差が、閾値以上となる場合に、ユーザの下肢の左右の出力バランスが悪いと評価してもよい。
【0049】
このように、ピッチ軸周りの角度の差に着目するのは、人の脚部の動作の大半はピッチ軸周りの動作であるため、下肢の左右の出力差はピッチ軸周りの角度の差として大きく現れるからである。
【0050】
また、評価部13による評価結果は、表示部12あるいは、他の出力部15に出力してもよい。
【0051】
続いて、本実施形態1に係る不具合検出方法について説明する。図6は、本実施形態1に係る不具合検出方法のフローを示すフローチャートである。
【0052】
角度検出部11は、ユーザが足漕ぎ運動機器2で足漕ぎを行っている時のユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を夫々検出する(ステップS101)。
【0053】
表示部12は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を、比較表示する(ステップS102)。
【0054】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を比較することで、ユーザの下肢の左右の出力バランスを評価する(ステップS103)。
【0055】
以上、本実施形態1に係る不具合検出システム1は、ユーザの左右の足部が夫々載り、ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部22と、足載せ部22を着座部3に対し前後方向へスライドさせると共に、スライドに抵抗力を付加する抵抗部232を含む左右一対のスライド機構23と、左右のスライド機構23及び足載せ部22を独立して動作させる動作機構21と、ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部11と、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部12と、を備える。
【0056】
本実施形態1によれば、運動連鎖から動かし易い方をより大きく動かしてしまうと言う特性に着目し、左右の足載せ部22を独立して動作させ、さらに、足載せ部22が自由に前後へスライドできるように構成することで、ユーザの下肢運動により大きな冗長自由度を持たせている。これにより、ユーザは、表示部12に表示された右関節角度と左関節角度との差が視覚的に認識でき、下肢の左右の出力バランスが悪く身体に不具合が生じていることを容易に認識できる。
【0057】
(実施形態2)
本実施形態2において、ユーザの左右側のうち重心が偏る側と逆側の可動性がよくなる特性を利用してユーザの左右バランスに関する身体の不具合を検出する。図7は、本実施形態2に係る足漕ぎ運動機器を上方から見た上視図である。
【0058】
本実施形態2において、着座部30がロール軸周りに回転可能であり、ユーザの重心に偏りがある場合、ユーザはその偏りのある側へ傾くという特性を利用して、ユーザの左右の体幹バランスの崩れを検出する。
【0059】
なお、上述の如く、着座部30がロール軸周りに回転可能な状態で、ユーザが足漕ぎ運動を行うと、足漕ぎをする際に、足を頑張って伸ばさないといけない側が出てくる。この場合、股関節を回旋させて足を延ばすようにして漕ぐために、着座部30をヨー軸周りにも回転可能にする必要が生じる。
【0060】
また、上述の如く、着座部30がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となる不安定な状態で、左右の足載せ部22を独立して動作させて足漕ぎ運動を行うのは困難である。したがって、動作機構51は、左右の足載せ部22を連携して動作させる。例えば、図7に示す如く、左右のシャフト215は、直接的に、あるいはギアなどを介して接続されている。また、足載せ部22をスライドさせるスライド機構23が省略され、足載せ部22がベース部24に固定されスライドしない構成となる。
【0061】
以上から、本実施形態2に係る不具合検出システム20は、上記実施形態1に係る不具合検出システム1と略同一の構成を有している。しかし、本実施形態2において、着座部30がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成されている点、動作機構51は、左右の足載せ部22を連携して動作させる点、及び、スライド機構23が省略されている点で、上記実施形態1と相違している。
【0062】
なお、本実施形態2において、上記実施形態1と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0063】
本実施形態2に係る足漕ぎ運動機器50は、上記実施形態1に係る足漕ぎ運動機器2と同一である。しかし、本実施形態2に係る足漕ぎ運動機器50は、上述の如く、スライド機構23を省略し、足載せ部22がベース部24を介してクランク213に直接支持される形態となっている。また、左右のシャフト215は、直接的に接続されている。
【0064】
図8は、本実施形態2に係る着座部の一例の正面図を示している。着座部30の座部311は、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成されている。これにより、足漕ぎ運動の際の、下肢と体幹との運動連鎖を効果的に実現することができる。
【0065】
例えば、通常の椅子で足漕ぎ運動を行った場合、股関節は動かないため股関節の回旋、屈曲伸展は起こり得ない。一方、上述の如く、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成し、ロール軸方向の左右の揺動、ヨー軸方向の左右の回旋の自由度をもたせることで、足漕ぎ運動に伴い股関節の運動連鎖を発生させることができる。
【0066】
図8に示すように、着座部30は、可動部31と、支持部32と、復元ユニット33と、背もたれ部34と、を含む。可動部31は、ユーザが着座する座部311を含む。支持部は、可動部31を左右に移動可能に支持する。
【0067】
復元ユニット33は、可動部31を左右における中立位置に向かって付勢する。支持部32は、可動部31が中立位置から離れるにつれて可動部31が下降するように可動部31を支持する。支持部32は、2つのレール321を含む。
【0068】
各レール321は、可動部31の左右における移動の軌道を規定する。各レール321は、上に凸となるように曲がっている。これにより、各レール321は、ロール軸まわりにロール回転するように、可動部31を支持する。
【0069】
可動部31は、座部311と、可動部本体312と、ユニバーサルジョイント313と、コイルスプリング314と、一対の結合ユニット315と、を含む。
【0070】
一対の結合ユニット315と、可動部本体312と、座部311とは床面から離れる方向においてこの記載順に配置されている。ユニバーサルジョイント313とコイルスプリング314は、可動部本体312と座部311の間に配置されている。可動部本体312の下面に一対の結合ユニット315が設けられている。結合ユニット315は、レール321とスライド自在に結合している。
【0071】
座部311と可動部本体312はユニバーサルジョイント313で結合している。従って、座部311は、ヨー軸まわりに回転可能となるように可動部本体312に支持されている。
【0072】
このように、座部311は、可動部本体312と支持部32によってロール軸周りに回転可能であることに加えて、ユニバーサルジョイント313によってもヨー軸周りに回転可能に構成されている。なお、上記着座部30の構成は一例であり、これに限定されず、座部311がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成されていれば、任意の構成であってもよい。
【0073】
本実施形態2において、ユーザがロール軸及びヨー軸周りに回転可能な着座部30に着座した状態で、足漕ぎ運動機器50において足漕ぎ運動を行う。
【0074】
角度検出部11は、ユーザがロール軸及びヨー軸周りに回転可能な着座部30に着座した状態で、足漕ぎ運動機器50において足漕ぎ運動を行っている時の、ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する。
【0075】
表示部12は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を合計した左関節角度と、ユーザの右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を合計した右関節角度と、を比較表示してもよい。これにより、右関節角度と左関節角度との差が視覚的に認識でき、ユーザの左右の体幹バランスの崩れなどの身体に不具合が生じていることが容易に認識できる。
【0076】
表示部12は、画面の上下あるいは左右に、左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した左関節角度と、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した右関節角度と、を夫々比較表示してもよい。
【0077】
また、表示部12は、画面に、左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した左関節角度と、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を加算した右関節角度と、を重ねて比較表示してもよい。
【0078】
上述の如く、着座部30がロール軸周りに回転可能な状態で構成され、左右方向へ揺動する場合、そのような動的バランス下では、体幹の左右差によって強い側と弱い側が発生する。弱い側の原因として、例えば、筋力が弱く筋パフォーマンスが発揮し難いなどが考えられる。
【0079】
例えば、右関節角度が左関節角度よりも全体的に大きい場合、ユーザの左側に重心がずれた左偏りの体幹であり、着座部30が左側に揺動した結果、ユーザと右側の足載せ部22との距離が大きくなったため、右脚の足漕ぎ動作が大きくなっていると考えられる。
【0080】
このように、表示部12の比較表示により、右関節角度と左関節角度との差が視覚的に認識でき、ユーザの左右の体幹バランスの崩れを容易に認識できる。
【0081】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値の差に基づいて、ユーザの体幹バランスの崩れを評価する。これにより、重心が偏る側と逆側の可動性がよくなる特性を利用して、ユーザの左右の体幹バランスの崩れを容易に評価できる。
【0082】
例えば、評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、夫々、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合、ユーザの体幹バランスが崩れていると評価してもよい。
【0083】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値が、夫々、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも小さいと判断した場合、ユーザの体幹バランスが崩れていると評価してもよい。
【0084】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値がユーザの右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、ユーザの体幹は右側に傾いており、座位荷重バランスも右側に崩れていると評価してもよい。
【0085】
評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値がユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度の合計値よりも大きいと判断した場合に、ユーザの体幹は左側に傾いており、座位荷重バランスも左側に崩れていると評価してもよい。
【0086】
このように、着座部30がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成し、重心が偏る側と逆側の可動性がよくなる特性を利用して、ユーザの体幹バランスの崩れを容易に評価できる。
【0087】
なお、評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のピッチ軸周りの角度を比較して、ユーザの体幹バランスの崩れを評価してもよい。これは、人の脚部の動作の大半はピッチ軸周りの動作であるため、下肢の左右の出力差はピッチ軸周りの角度の差として大きく現れるからである。
【0088】
例えば、評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のピッチ軸周りの角度が、夫々、右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のピッチ軸周りの角度よりも大きいと判断した場合、ユーザの体幹バランスが崩れていると評価してもよい。
【0089】
同様に、評価部13は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のピッチ軸周りの角度がユーザの右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のピッチ軸周りの角度よりも大きいと判断した場合に、ユーザの体幹は右側に傾いており、座位荷重バランスも右側に崩れていると評価してもよい。
【0090】
以上、本実施形態2に係る不具合検出システム20は、ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部30と、ユーザの左右の足部が夫々載り、ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部22と、左右の足載せ部22を連携して動作させる動作機構51と、ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部11と、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部12と、を備える。
【0091】
本実施形態2によれば、ユーザの左右側のうち重心が偏る側と逆側の可動性がよくなる特性に着目し、着座部30がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成している。これにより、ユーザの重心に偏りがある場合、ユーザはその偏りのある側へ傾くこととなる。これにより、ユーザは、この傾きを表示部12に表示された右関節角度と左関節角度との差として視覚的に認識でき、ユーザの左右の体幹バランスの崩れを容易に認識でき、左右バランスに関する身体の不具合を容易に検出できる。
【0092】
(実施形態3)
本実施形態3において、各関節箇所の筋の硬さに問題がある場合に、運動連鎖の連動の悪さが発生し、動きが遅くなる特性を利用して、ユーザの左右バランスに関する身体の不具合を検出する。
【0093】
腰椎、股関節、膝関節、及び足首関節の運動連鎖の動きを見る場合に、足漕ぎ運動機器を使って動かした体は何かに固定されるなどして、その動きは制約を受けない方がより好ましい。
【0094】
例えば、上述の如く、着座部30をロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成し、ロール軸方向の左右の揺動、ヨー軸方向の左右の回旋の自由度をもたせることで、足漕ぎ運動に伴い股関節の運動連鎖が発生する。そして、足部へこの運動連鎖を伝えるために、足部の底屈及び背屈方向の自由度と、回内及び回外方向の自由度と、外転及び内転の自由度と、を有する足載せ部の機構的自由度が必要となる。
【0095】
これに対し、本実施形態3に係る不具合検出システムは、上記実施形態2に係る不具合検出システムと略同一の構成を有している。しかし、本実施形態3において、足載せ部が、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成されている点で、上記実施形態2と相違している。これにより、本実施形態3において、上記実施形態2よりもさらに足部の関節動作の自由度に制限を加えない構成とすることで、足漕ぎ運動に伴い股関節に発生した運動連鎖を、確実に足部へ伝えることができる。
【0096】
なお、本実施形態3において、上記実施形態1、2と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0097】
図9は、足載せ部をロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能にする構成の一例を示す図である。ベース部24に固定部40が固定されている。足載せ部41と固定部40との間には、ジョイント部42が設けられている。
【0098】
ジョイント部42は、足載せ部41が固定部40に対してピッチ軸、ロール軸、及び、ヨー軸周りに回転可能となるように足載せ部41と固定部40を連結する。足載せ部41は、ユーザが履いている靴のアウトソールにネジ止めなどにより固定されていてもよい。なお、図9は、足漕ぎ運動機器60の左側を示す図であるが、右側も左側と同様の構成となっている。
【0099】
上記構成によって、下肢運動時において、足部の底屈及び背屈方向の自由度と、回内及び回外方向の自由度と、外転及び内転の自由度と、を有する足載せ部41の機構的自由度を実現できる。なお、上記構成は一例であり、これに限定されず、足載せ部41がロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成されれば、任意の構成であってもよい。
【0100】
本実施形態3において、上述の如く、ユーザがロール軸及びヨー軸周りに回転可能な着座部30に着座した状態で、足漕ぎ運動機器60において、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能な足載せ部41を踏み込むことで足漕ぎ運動を行う。
【0101】
図10は、本実施形態3に係る不具合検出システムの概略的なシステム構成を示すブロック図である。本実施形態3に係る不具合検出システム60は、上記実施形態2に係る評価部13の代わりに不具合特定部14を有していてもよい。
【0102】
角度検出部11は、ユーザがロール軸及びヨー軸周りに回転可能な着座部30に着座した状態で、足漕ぎ運動機器において、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能な足載せ部41を踏み込む足漕ぎ運動を行っている時の、ユーザの左右下肢の股関節、膝関節、及び足首関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する。
【0103】
表示部12は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、を夫々比較表示する。
【0104】
また、表示部12は、図11に示す如く、左右下肢の股関節、膝関節及び足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度を、各軸毎及び各関節毎に比較表示してもよい。
【0105】
このように、表示部12の比較表示により、右関節角度と左関節角度との差が視覚的に認識でき、ユーザの身体の不具合箇所を容易に認識できる。
【0106】
例えば、表示部12に表示されたユーザの左右下肢の股関節、膝関節及び足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度を比較する。ここで、股関節、膝関節及び足首関節のうち動きの悪い関節は、左右差が発生する。したがって、その左右差が生じている関節を不具合箇所として容易に特定できる。
【0107】
不具合特定部14は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、の差に基づいて、ユーザの身体の不具合箇所を特定する。これにより、ユーザの左右バランスに関する身体の不具合を容易に特定できる。
【0108】
不具合特定部14は、角度検出部11により検出されたユーザの左下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、右下肢の股関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、膝関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値、足首関節のロール軸、ヨー軸及びピッチ軸周りの角度の合計値と、の角度差のうち、閾値以上となる角度差の関節を、不具合箇所として特定してもよい。このように、左右関節の角度差が閾値以上となり大きい関節は不具合箇所として特定できる。
【0109】
また、不具合特定部14による特定結果は、表示部12あるいは、他の出力部に出力してもよい。
【0110】
以上、本実施形態3に係る不具合検出システム60は、ユーザが着座でき、ロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成された着座部30と、ユーザの左右の足部が夫々載り、ロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成され、ユーザが脚部の運動を行うための左右一対の足載せ部41と、左右の足載せ部41を連携して動作させる動作機構51と、ユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を検出する角度検出部11と、角度検出部11により検出されたユーザの左右下肢関節のロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りの角度を表示する表示部12と、を備える。
【0111】
本実施形態3によれば、各関節箇所の筋の硬さに問題がある場合に、運動連鎖の連動の悪さが発生し動きが遅くなる特性に着目し、着座部30がロール軸及びヨー軸周りに回転可能となるように構成し、さらに、足載せ部41がロール軸、ヨー軸、及びピッチ軸周りに回転可能となるように構成している。この構成により、股関節、膝関節、及び足首関節の運動連鎖の動きの制約を排除でき、確実に運動連鎖を発生させることができる。これにより、ユーザは、股関節、膝関節及び足首関節のうち動きの悪い関節を、表示部12に表示された右関節角度と左関節角度との差として視覚的に認識でき、その差の生じた関節を身体の不具合箇所として容易に検出できる。
【0112】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0113】
本発明は、例えば、図6に示す処理を、プロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0114】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0115】
プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0116】
上述した各実施形態に係る不具合検出システムを構成する各部は、プログラムにより実現するだけでなく、その一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0117】
1 不具合検出システム、2 足漕ぎ運動機器、3 着座部、10 不具合検出システム、11 角度検出部、12 表示部、13 評価部、14 不具合特定部、20 不具合検出システム、21 動作機構、22 足載せ部、23 スライド機構、24 ベース部、25 車輪、30 着座部、31 座部、31 可動部、32 支持部、33 復元ユニット、34 背もたれ部、40 固定部、41 足載せ部、42 ジョイント部、50 足漕ぎ運動機器、51 動作機構、60 不具合検出システム、211 機器本体、212 シャフト、213 クランク、215 シャフト、231 ガイド本体、232 弾性体、311 座部、312 可動部本体、313 ユニバーサルジョイント、314 コイルスプリング、315 結合ユニット、321 レール、2311 レール支持板、2312 レール
図1
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図11