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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20250819BHJP
   G08G 1/015 20060101ALI20250819BHJP
【FI】
G08G1/00 J
G08G1/015 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022195225
(22)【出願日】2022-12-06
(65)【公開番号】P2024081531
(43)【公開日】2024-06-18
【審査請求日】2024-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 周典
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 主税
(72)【発明者】
【氏名】渡津 弘大
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 進哉
(72)【発明者】
【氏名】小渕 達也
(72)【発明者】
【氏名】辰本 裕樹
【審査官】西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-288665(JP,A)
【文献】特開2002-133585(JP,A)
【文献】特開2003-281664(JP,A)
【文献】特開2019-185443(JP,A)
【文献】特開2015-166974(JP,A)
【文献】特表2009-500765(JP,A)
【文献】特開平11-259792(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0351205(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星画像を取得する衛星画像取得部と、
該衛星画像取得部により取得された前記衛星画像から予め定められた所定値以上の大きさの大型車両を抽出する車両抽出部と、
前記衛星画像において、前記大型車両の走行が所定値以上の道路を検出し、該道路における車両データを分析する分析部と、
該分析部による分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測する予測部と、
前記大型車両を走行させる営業所から、当該営業所の稼働日を示すデータを取得する稼働日取得部と、
を備え
前記衛星画像取得部は、該稼働日取得部により取得されたデータで示される前記営業所の稼働日に取得された衛星画像を取得する情報処理装置。
【請求項2】
前記衛星画像取得部は、取得した前記衛星画像に関連付けられた気象情報を取得し、取得した該気象情報に基づいて晴天の日中に取得された前記衛星画像を取得する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記衛星画像取得部は、取得した前記衛星画像に関連付けられた気象情報を取得し、
前記予測部は、予測した前記路面の劣化状態に対して、前記衛星画像取得部により取得された前記気象情報に基づいて天候に応じた重み付けを付与する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記車両抽出部は、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両の少なくとも一方を前記大型車両として抽出する請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大型車両の走行台数が増えると路面劣化が早まり、道路の寿命が短くなることが知られている。そこで、特許文献1には、交通量感知器からのデータに基づいて大型車交通量を推定し、路面性状を予測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-288665号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された方法においては、大型車交通量を推定しているため、推定量と実際の大型車交通量とに差異が生じる場合には、予測値の精度が低減してしまう。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、路面の劣化状態を精度よく予測することができ、かつ道路長寿命化と道路予算削減とを実現することができる情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置は、衛星画像を取得する衛星画像取得部と、該衛星画像取得部により取得された前記衛星画像から予め定められた所定値以上の大きさの大型車両を抽出する車両抽出部と、前記衛星画像において、前記大型車両の走行が所定値以上の道路を検出し、該道路における車両データを分析する分析部と、該分析部による分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測する予測部と、前記大型車両を走行させる営業所から、当該営業所の稼働日を示すデータを取得する稼働日取得部と、を備え、前記衛星画像取得部は、該稼働日取得部により取得されたデータで示される前記営業所の稼働日に取得された衛星画像を取得する。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置では、衛星画像から予め定められた所定値以上の大きさの大型車両を抽出し、当該大型車両の走行が所定値以上の道路を検出している。そのため、衛星画像から道路を実際に走行する大型車両の台数を把握することができる。また、請求項1に記載の本発明に係る報知装置では、大型車両の走行が所定値以上の道路における車両データを分析し、分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測している。そのため、実際に大型車両の走行量の多い道路における車両データに基づいて、路面の劣化状態を予測することができるので、路面の劣化状態を精度よく予測することができる。また、路面の劣化状態を精度よく予測できることにより、道路のインフラ及びライフサイクルコストを適正化することができるので、道路長寿命化と道路予算削減とを実現することができる。
また、請求項1に記載の本発明に係る情報処理装置では、大型車両を走行させる営業所の稼働日に撮影された衛星画像を取得している。そのため、実際に大型車両が走行する日に撮影された衛星画像を取得することができるので、路面の劣化状態をより精度よく予測することができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1に記載の構成において、前記衛星画像取得部は、取得した前記衛星画像に関連付けられた気象情報を取得し、取得した該気象情報に基づいて晴天の日中に取得された前記衛星画像を取得する。
【0009】
請求項2に記載の本発明に係る情報処理装置では、晴天の日中に取得された衛星画像を取得するので、より鮮明な衛星画像を取得することができる。これにより、取得した衛星画像から大型車両を抽出し易くすることができるので、より路面の劣化状態を精度よく予測することができる。
【0010】
請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記衛星画像取得部は、取得した前記衛星画像に関連付けられた気象情報を取得し、前記予測部は、予測した前記路面の劣化状態に対して、前記衛星画像取得部により取得された前記気象情報に基づいて天候に応じた重み付けを付与する。
【0011】
例えば、晴天の日中に撮影された衛星画像は、雨天及び曇天に撮影された衛星画像と比較して照度が高いため、雨天及び曇天に撮影された衛星画像よりも大型車両が抽出し易い。これに対して、雨天及び曇天の夕方等に撮影された衛星画像は、晴天の日中に撮影された衛星画像と比較して照度が低いため、晴天の日中に撮影された衛星画像よりも大型車両が抽出し難い。そこで、請求項3に記載の本発明に係る情報処理装置では、予測した路面の劣化状態に対して、衛星画像に関連付けられた気象情報に基づいて天候に応じた重み付けを付与している。これにより、衛星画像における大型車両の抽出の信頼度が予測した路面の劣化状態に反映されることになるので、より路面の劣化状態を精度よく予測することができる。
【0012】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置は、請求項1~3の何れか1項に記載の構成において、前記車両抽出部は、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両の少なくとも一方を前記大型車両として抽出する。
【0013】
請求項4に記載の本発明に係る情報処理装置では、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両の少なくとも一方を大型車両として抽出する。そのため、所定の重量以上の車両を大型車両として抽出する場合には、例えば、大きさは比較的小さい車両であっても、より多くの荷物を積んだ車両も大型車両として抽出される。そのため、路面の劣化に影響すると考えられる重量が重い車両も路面の劣化状態の予測に反映することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係る情報処理装置は、路面の劣化状態を精度よく予測することができ、かつ道路長寿命化と道路予算削減とを実現することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報処理システムの概略構成の例を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るセンタサーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るセンタサーバにおけるCPUの機能構成の例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態に係る情報処理の流れの例を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2実施形態に係るセンタサーバにおけるCPUの機能構成の例を示すブロック図である。
図7】本発明の第2実施形態に係る情報処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る情報処理システム100について説明する。図1に示されるように、本実施形態の情報処理システム100は、衛星サーバ10と、センタサーバ20と、ユーザ端末30と、を含んで構成されている。センタサーバ20は情報処理装置の一例である。なお、情報処理システム100に含まれるユーザ端末30の数は、図1に示した数に限られない。衛星サーバ10と、センタサーバ20と、ユーザ端末30とは、それぞれ、ネットワークCN1を介して相互に接続されている。
【0019】
衛星サーバ10は、人工衛星又は航空機等により上空から撮影された地上の画像である衛星画像を蓄積している。具体的に、衛星サーバ10は、衛星画像、当該衛星画像が撮影された日時、当該衛星画像が撮影された日の気象情報、及び当該衛星画像が撮影された地点を関連付けて蓄積している。なお、「気象情報」は、照度、降雨の有無等の情報が含まれており、具体的には、一例として、晴天、雨天、及び曇天が区別された情報が含まれている。
【0020】
(ユーザ端末)
ユーザ端末30は、ユーザが所有するスマートフォン又はコンピュータ等の端末である。
【0021】
図2に示されるように、ユーザ端末30は、CPU(Central Processing Unit)30A、ROM(Read Only Memory)30B、RAM(Random Access Memory)30C、入力部30E、表示部30F、及び通信インタフェース(I/F)30Gを含んで構成されている。CPU30A、ROM30B、RAM30C、入力部30E、表示部30F、及び通信I/F30Gは、内部バス30Hを介して相互に通信可能に接続されている。なお、ユーザ端末30は、ROM30Bに加えて、SDカードなどの不揮発性のメモリを備えてもよい。
【0022】
CPU30Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU30Aは、ROM30Bからプログラムを読み出し、RAM30Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0023】
ROM30Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM30Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0024】
入力部30Eは、例えば、キーボード、押しボタン式のテンキー、及びタッチパッド等であり、各種の情報の入力をユーザの手指により行うために使用される。
【0025】
表示部30Fは、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部30Fは、入力部30Eを兼ねたタッチディスプレイとして設けてもよい。
【0026】
通信I/F20Gは、ネットワークCN1と接続するためのインタフェースである。
【0027】
(センタサーバ)
図3に示されるように、センタサーバ20は、CPU20A、ROM20B、RAM20C、及び通信I/F20Gを含んで構成されている。CPU20A、ROM20B、RAM20C、及び通信I/F20Gは、内部バス20Hを介して相互に通信可能に接続されている。
【0028】
CPU20Aは、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU20Aは、ROM20Bからプログラムを読み出し、RAM20Cを作業領域としてプログラムを実行する。
【0029】
ROM20Bは、各種プログラム及び各種データを記憶している。RAM20Cは、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。
【0030】
本実施形態のROM20Bには、情報処理プログラムが記憶されている。情報処理プログラムは、センタサーバ20が有する各機能を実現するためのプログラムである。
【0031】
通信I/F20Gは、ネットワークCN1と接続するためのインタフェースである。
【0032】
図4は、CPU20Aの機能構成の例を示すブロック図である。図4に示されるように、CPU20Aは、衛星画像取得部200、車両抽出部210、分析部220、及び予測部230を有している。各機能構成は、CPU20AがROM20Bに記憶された情報処理プログラムを読み出し、これを実行することによって実現される。
【0033】
衛星画像取得部200は、通信I/F20Gを介して、衛星サーバ10から衛星画像を取得する。本実施形態においては、一例として、衛星画像取得部200は、予め設定された対象地点における予め設定された対象日時に撮影された衛星画像を取得する。なお、対象地点及び対象日時は、ユーザ端末30によって予め定められていてもよいし、センタサーバ20の管理人等によって予め定められていてもよい。対象地点及び対象日時は、例えばユーザ端末30の入力部30Eからの入力によって、通信I/F30G及び通信I/F20Gを介して変更することができる。
【0034】
本実施形態では、衛星画像取得部200が、衛星サーバ10に対して、予め設定された対象地点、対象日、及び対象時刻を送信する。そして、衛星サーバ10は、センタサーバ20に対して、衛星画像取得部200から受信した対象日の対象時刻に対象地点において撮影された衛星画像を送信する。本実施形態において、対象日時は、一例として、連続する1週間の日中であり、一例として午前10時及び午後2時を対象時刻とする。これにより、衛星画像取得部200は、連続する1週間の午前10時及び午後2時に撮影された対象地点の衛星画像を取得する。なお、対象日時は午前10時及び午後2時に限られず、衛星画像取得部200は、日中に撮影された衛星画像を連続して取得してもよい。なお、本実施形態においては、一例として午前8時から午後3時を日中として定義する。
【0035】
車両抽出部210は、衛星画像から予め定められた所定値以上の大きさの大型車両を抽出する。本実施形態においては、具体的には、車両抽出部210は、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両を大型車両として抽出する。車両抽出部210によるトラック及びバスの抽出は、例えば、予め複数種類のトラック及びバスを上方から撮影したテンプレートを生成しておき、このテンプレートをマッチングさせることにより抽出してもよい。
【0036】
また、車両抽出部210による所定の重量以上の車両の抽出は、一例として、宅配車両等の所定重量以上となる可能性のある車両の上部に、当該車両が所定重量以上の車両であることを特定する二次元コードやマーク等のコードを配置しておき、衛星画像からこのコードを抽出することにより、このコードが配置された車両を所定の重量以上の車両として抽出してもよい。なお、衛星画像から大型車両を抽出する方法は、特に限定されるものではなく、公知の技術を使用することができる。
【0037】
分析部220は、衛星画像において、大型車両の走行が所定値以上の道路を検出し、検出された道路における車両データを分析する。具体的には、分析部220は、衛星画像において、車両抽出部210により抽出された大型車両が予め定められた道路の範囲(例えば1km等)毎に所定台数以上走行した道路を検出する。分析部220は、衛星画像において検出した道路に対して、走行する車両の分類(一例として、大型車両、乗用車、軽自動車等)を分析する。なお、車両の分類は、公知の技術を使用することができる。
【0038】
予測部230は、分析部220による分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測する。具体的には、一例として、分析部220により検出された大型車両の走行が所定値以上の道路において、走行する車両のうち大型車両が占める割合を路面の劣化度として算出することができる。すなわち、連続する1週間の午前10時及び午後2時に撮影された衛星画像に写る上記道路において、走行する全車両に対する大型車両の割合を路面の劣化度として算出する。
【0039】
具体的には、一例として、走行する車両が全て大型車両である場合には、劣化度は100%とし、走行する車両の50%が大型車両である場合には、劣化度は50%とする。なお、本実施形態においては、一例として劣化度の値の範囲は0%から100%の範囲とするが、本発明はこれに限られず、異なる値の範囲の劣化度を用いてもよい。このように予測された路面の劣化状態すなわち劣化度は、通信I/F20G及び通信I/F30Gを介してユーザ端末30に出力される。
【0040】
また、予測部230は、予測した路面の劣化状態に対して、衛星画像に関連付けられている気象情報に基づいて天候に応じた重み付けを付与してもよい。この場合、衛星画像取得部200が、取得した衛星画像に関連付けられている気象情報を取得する。具体的には、一例として、例えば、予測部230が、劣化度を50%と算出した場合、衛星画像取得部200が、この算出に使用した衛星画像、つまり大型車両の台数を検出する際に使用した衛星画像に関連付けられている気象情報を取得する。予測部230は、衛星画像取得部200が取得した気象情報に基づいて、例えば、取得した気象情報のうち晴天を示す情報が関連付けられている場合には、「1」、曇天を示す情報が関連付けられている場合には「0.8」、雨天を示す情報が関連付けられている場合には、「0.5」を重み付け係数として劣化度に掛け合わせる。なお、重み付け係数の値は、これに限られず、異なる値を使用してもよい。また、適宜変更可能としてもよい。
【0041】
また、予測部230は、分析部220による分析結果と、路面の実際の劣化度とをデータセットとして学習した劣化状態予測モデルに、分析部220が分析した分析結果を入力することで路面の劣化状態を予測してもよい。
【0042】
次に、図5を用いて、路面の劣化状態を予測する予測処理の流れについて説明する。CPU20AがROM20Bから予測プログラムを読み出して、RAM20Cに展開して実行することにより、予測処理が行なわれる。なお、衛星サーバ10は、逐次、衛星データを取得して蓄積している。
【0043】
図5に示されるように、先ずステップS11にて、衛星画像取得部200が上述したようにして衛星画像を取得する。次に、ステップS12にて、車両抽出部210が衛星サーバ10から取得した衛星画像から上述したようにして大型車両を抽出する。
【0044】
ステップS13にて、分析部220が上述したようにして、大型車両の走行が所定値以上の道路を検出する。次に、分析部220が、検出された道路があるか否かを判定する。検出された道路がない場合(ステップS14;NO)、分析部220はステップS11に処理を移行する。
【0045】
一方、ステップS14にて、検出された道路がある場合(ステップS14;YES)、ステップS15にて、分析部220は、上述のようにして、検出された道路を走行する車両データを分析する。次に、ステップS16にて、予測部230は、上述のようにして、ステップS15における分析部220の分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測し、一例の処理を終了する。
【0046】
次に第1実施形態における情報処理装置としてのセンタサーバ20の作用効果について説明する。
【0047】
第1実施形態のセンタサーバ20は、衛星画像から予め定められた所定値以上の大きさの大型車両を抽出し、当該大型車両の走行が所定値以上の道路を検出している。そのため、衛星画像から道路を実際に走行する大型車両の台数を把握することができる。また、本実施形態のセンタサーバ20では、大型車両の走行が所定値以上の道路における車両データを分析し、分析結果に基づいて、路面の劣化状態を予測している。そのため、実際に大型車両の走行量の多い道路における車両データに基づいて、路面の劣化状態を予測することができるので、路面の劣化状態を精度よく予測することができる。また、路面の劣化状態を精度よく予測できることにより、道路のインフラ及びライフサイクルコストを適正化することができるので、道路長寿命化と道路予算削減とを実現することができる。
【0048】
また、第1実施形態のセンタサーバ20は、晴天の日中に取得された衛星画像を取得するので、より鮮明な衛星画像を取得することができる。これにより、取得した衛星画像から大型車両を抽出し易くすることができるので、より路面の劣化状態を精度よく予測することができる。
【0049】
また、例えば、晴天に撮影された衛星画像は、雨天及び曇天に撮影された衛星画像と比較して照度が高いため、雨天及び曇天に撮影された衛星画像よりも大型車両が抽出し易い。これに対して、雨天及び曇天に撮影された衛星画像は、晴天に撮影された衛星画像と比較して照度が低いため、晴天に撮影された衛星画像よりも大型車両が抽出し難い。そこで、第1実施形態のセンタサーバ20では、予測した路面の劣化状態に対して、衛星画像に関連付けられた気象情報に基づいて天候に応じた重み付けを付与している。これにより、衛星画像における大型車両の抽出の信頼度が予測した路面の劣化状態に反映されることになるので、より路面の劣化状態を精度よく予測することができる。
【0050】
また、第1実施形態のセンタサーバ20は、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両を大型車両として抽出する。そのため、所定の重量以上の車両を大型車両として抽出する場合には、例えば、大きさは比較的小さい車両であっても、より多くの荷物を積んだ車両も大型車両として抽出される。そのため、路面の劣化に影響すると考えられる重量が重い車両も路面の劣化状態の予測に反映することができる。
【0051】
次に、本発明の第2実施形態に係る情報処理装置としてのセンタサーバ20-2について説明する。なお、本実施形態において、上記第1実施形態と同様に構成については同符号で示し、ここでの詳細な説明は省略する。
【0052】
本実施形態のセンタサーバ20-2のCPU20A-2は、図6に示されるように、上記第1実施形態のセンタサーバ20のCPU20Aの構成に対して、さらに稼働日取得部240を備えている。
【0053】
稼働日取得部240は、大型車両を走行させる配送会社及び工事会社等の営業所から、当該営業所の稼働日を示すデータを取得する。すなわち、稼働日取得部240は、実際に大型車両が走行する日を示すデータを取得する。そして、衛星画像取得部200は、稼働日取得部240により取得されたデータで示される営業所の稼働日に取得された衛星画像を衛星サーバ10から取得する。
【0054】
次に、図7を用いて、路面の劣化状態を予測する予測処理の流れについて説明する。CPU20A-2がROM20Bから予測プログラムを読み出して、RAM20Cに展開して実行することにより、予測処理が行なわれる。なお、衛星サーバ10は、逐次、衛星データを取得して蓄積している。
【0055】
図7に示されるように、先ずステップS21にて、稼働日取得部240は、上述したようにして営業所の稼働日を示すデータを取得する。次にステップS22にて、衛星画像取得部200が上述したようにして稼働日の衛星画像を取得する。なお、ステップS23~ステップS27は、上記第1実施形態の図5に示されるステップS12~ステップS16と同様の処理であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0056】
次に第2実施形態における情報処理装置としてのセンタサーバ20-2の作用効果について説明する。
【0057】
第2実施形態のセンタサーバ20-2によれば、大型車両を走行させる営業所の稼働日に撮影された衛星画像を取得している。そのため、実際に大型車両が走行する日に撮影された衛星画像を取得することができるので、路面の劣化状態をより精度よく予測することができる。
【0058】
[備考]
なお、上記実施形態では、衛星画像取得部200は、日中、すなわち午前10時及び午後2時に撮影された衛星画像を取得しているが、本発明はこれに限られない。例えば、一例として、午前8時から午後3時を日中として定義した場合に、日中以外、一例として午後4時に撮影された衛星画像を取得してもよい。この場合、予測部230は、さらに、衛星画像が取得された時間に基づいて、予測した路面の劣化状態に対して重み付けを付与してもよい。例えば日中に撮影されている場合には「1」、日中以外に撮影されている場合には「0.5」を重み付け係数としてさらに劣化度に掛け合わせる。なお、重み付け係数の値は、これに限られず、異なる値を使用してもよい。また、適宜変更可能としてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、車両抽出部210は、トラック及びバス、並びに所定の重量以上の車両を大型車両として抽出しているが、トラック及びバスのみを大型車両として抽出してもよいし、所定の重量以上の車両のみを大型車両として抽出してもよい。大型車両として抽出する車両は、適宜変更することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、情報処理装置として、ユーザ端末30とは別体で構成されたセンタサーバ20を適用しているが、本発明はこの例に限られない。情報処理装置としてユーザ端末30に内蔵された装置を適用してもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、センタサーバ20とは別体で構成された衛星サーバ10に、衛星画像が蓄積されていたが、本発明はこの例に限られない。センタサーバ20が含むROM20B又はストレージ等の記憶装置に、衛星画像が蓄積されていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、上述した処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0063】
また、上記実施形態では、各プログラムがROMに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0064】
上記実施形態で説明した処理の流れも、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0065】
その他、上記実施形態で説明した衛星サーバ10と、センタサーバ20と、ユーザ端末30と、の各々の構成は、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において状況に応じて変更してもよい。
【符号の説明】
【0066】
20 センタサーバ(情報処理装置)
200 衛星画像取得部
210 車両抽出部
220 分析部
230 予測部
240 稼働日取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7