(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】帯電液滴の検出および制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 15/1492 20240101AFI20250819BHJP
B05B 5/057 20060101ALI20250819BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20250819BHJP
B41J 2/06 20060101ALI20250819BHJP
【FI】
G01N15/1492
B05B5/057
B05C11/10
B41J2/06
(21)【出願番号】P 2023551800
(86)(22)【出願日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 US2022017988
(87)【国際公開番号】W WO2022183045
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-08-31
(32)【優先日】2021-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507301040
【氏名又は名称】ラブサイト インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ルシアン ピー. ジスラン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルフレド ティー. サグン
(72)【発明者】
【氏名】ウンチョル チョー
(72)【発明者】
【氏名】リチャード ジー. スターンズ
【審査官】福田 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0266728(US,A1)
【文献】特開2014-198464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0185209(US,A1)
【文献】特開2005-081716(JP,A)
【文献】特開2007-073520(JP,A)
【文献】特開2018-001098(JP,A)
【文献】特開2012-216486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14~15/1492
B05B 5/057
B05C 11/10
B41J 2/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、前記デバイスは、
複数の絶縁層によって分離されている3つ以上の導電層を有するセンサ素子であって、前記3つ以上の導電層および前記複数の絶縁層は、帯電液滴が通過する前記センサ素子の開口部を画定し、前記3つ以上の導電層は、第1の導電層と第2の導電層と第3の導電層とを含み、前記3つ以上の導電層の
うちの前記第2の導電層は、互いに電気的に独立した複数の分割されたセグメントを有するセグメント化された導電層であり、かつ、前記セグメント化された導電層において前記開口部の周囲に配置されており
、前記第2の導電層は、前記第1の導電層と前記第3の導電層との間に配置されている、センサ素子と、
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれに電気的に結合されている回路素子であって、前記複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントは、帯電液滴が前記開口部を通過する際に前記回路素子において誘導電流を提供するように配置されており、前記回路素子は、前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成するように構成されている、回路素子と
を含
み、
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれは、前記開口部の周囲の対応する部分に配置されており、
前記第1の導電層および前記第3の導電層は、接地電位または基準電位に保持されており、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、デバイス。
【請求項2】
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれは、1つ以上の他の分割されたセグメントと前記開口部の周囲の等しい部分を占めている、請求項
1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記回路素子は、トランスインピーダンスアンプを含み、前記誘導電流に比例する前記
複数の信号は、
複数の電圧信号を含む、請求項1~
2のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項4】
前記複数の分割されたセグメントは、少なくとも二対の分割されたセグメントを含み、一対の分割されたセグメントの分割されたセグメントは、前記開口部のまわりに互いに対向して配置されている、請求項1~
3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
各対の分割されたセグメントは、別の対の分割されたセグメントに対して垂直に配置されている、請求項
4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記センサ素子は、前記帯電液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間に配置されている、請求項1~
5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記開口部は、前記帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている、請求項
6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
前記回路素子から前記
複数の信号を受信することと、
前記
複数の信号に基づいて帯電液滴の位置を決定することと
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記動作は、前記開口部における前記帯電液滴の到達時間、前記帯電液滴の速度、前記帯電液滴の電荷対体積比、または、1つ以上の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つ以上を決定することをさらに含む、請求項
8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記帯電液滴の位置を決定することは、前記複数の分割されたセグメントからの各信号に重み付けをすることにより、正規化された信号を決定することと、前記正規化された信号の大きさに基づいて前記帯電液滴の位置を決定することとを含む、請求項
8~
9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
各信号
に重み付け
をすることは、前記複数の分割されたセグメントからの全信号の合計によって各信号
に重み付け
をすること、または、対応する分割されたセグメントの相対的な面積または周囲の割合によって各信号に重み付けをすることを含む、請求項
10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記デバイスは、
1つ以上の絶縁層に隣接する導電性制御層を有する制御素子であって、前記導電性制御層および前記1つ以上の絶縁層は、帯電液滴が前記センサ素子の前記開口部を通過した後に通過する前記制御素子の第2の開口部を画定し、前記導電
性制御層は、互いに電気的に独立した第2の複数の分割されたセグメントを有する第2のセグメント化された導電層であり、前記導電
性制御層は、前記第2の開口部の周囲に配置されている、制御素子と、
前記第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれに電気的に結合されている電圧コントローラであって、前記第2の複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントは、前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記帯電液滴が前記第2の開口部を通過する際に電場を生成するように配置されており、前記電圧コントローラは、前記電場を生成するために、前記第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれに電圧を印加するように構成されている、電圧コントローラと
をさらに含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
前記回路素子から前記
複数の信号を受信することと、
前記
複数の信号に基づいて帯電液滴の位置を決定することと、
前記帯電液滴の位置に基づいて前記第2の複数の分割されたセグメントに印加するための電圧のセットを決定することと、
前記第2の複数の分割されたセグメントに前記電圧のセットを印加するように電圧コントローラを制御することと
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記第2の開口部は、前記センサ素子の前記開口部と位置合わせされている、請求項
12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれは、前記第2の開口部の周囲の対応する部分に配置されている、請求項
12または請求項
14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれは、前記第2の複数の分割されたセグメントのうちの他の1つ以上と前記第2の開口部の周囲の等しい部分を占めている、請求項
12または請求項
14~
15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記第2の複数の分割されたセグメントは、少なくとも二対の分割されたセグメントを含み、一対の分割されたセグメントの分割されたセグメントは、前記第2の開口部のまわりに互いに対向して配置されている、請求項
12または請求項
14~
16のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項18】
前記制御素子は、前記帯電液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間、または、前記センサ素子と前記帯電液滴ジェネレータの標的供給先との間に配置されている、請求項
12または請求項
14~
17のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記制御素子は、前記複数の絶縁層のうちの1つ以上によって前記導電性制御層から分離された基準層または接地層をさらに含み、前記第2の開口部は、前記基準層または前記接地層における開口部によってさらに画定される、請求項
12または請求項
14~
18のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記制御素子は、2つ以上の導電性制御層を含み、前記2つ以上の導電性制御層は、複数の絶縁層によって分離されており、かつ、前記電圧コントローラに結合されている、請求項
12または請求項
14~
19のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項21】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、前記デバイスは、
1つ以上の絶縁層に隣接する導電性制御層を有する制御素子であって、前記導電性制御層および前記1つ以上の絶縁層は、帯電液滴が通過する前記制御素子の開口部を画定し、前記導電性制御層は、互いに電気的に独立した複数の分割されたセグメントを有するセグメント化された導電層であり、かつ、前記開口部の周囲に配置されている、制御素子と、
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれに電気的に結合されている電圧コントローラであって、前記複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントは、前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に電場を生成するように配置されており、前記電圧コントローラは、前記電場を生成するために、前記複数の分割されたセグメントのそれぞれに電圧を印加するように構成されている、電圧コントローラと、
前記導電性制御層から分離されている少なくとも1つのセグメント化されたセンサ層を有するセンサ素子であって、前記センサ素子は、互いに電気的に独立した第2の複数の分割されたセグメントを有し、かつ、前記開口部の周囲に配置されている、センサ素子と、
前記
第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれに電気的に結合されている回路素子であって、前記
第2の複数の分割されたセグメントのそれぞれは、帯電液滴が前記開口部を通過する際に前記回路素子において誘導電流を提供するように配置されており、前記回路素子は、前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成するように構成されている、回路素子と
を含
み、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、デバイス。
【請求項22】
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれは、前記開口部の周囲の対応する部分に配置されている、請求項
21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記複数の分割されたセグメントのそれぞれは、1つ以上の他の分割されたセグメントと前記開口部の周囲の等しい部分を占めている、請求項
21~
22のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項24】
前記制御素子は、前記帯電液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間に配置されている、請求項
21~
23のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記開口部は、前記帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている、請求項
21~
24のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記複数の分割されたセグメントは、少なくとも二対の分割されたセグメントを含み、一対の分割されたセグメントの分割されたセグメントは、前記開口部のまわりに互いに対向して配置されている、請求項
21~
25のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項27】
各対の分割されたセグメントは、別の対の分割されたセグメントに対して垂直に配置されている、請求項
26に記載のデバイス。
【請求項28】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
前記複数の分割されたセグメントに電圧のセットを印加するように前記電圧コントローラを制御すること
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項
21~
27のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項29】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、前記デバイスは、
感知デバイスであって、前記感知デバイスは、第1の表面から第2の表面に向かって前記感知デバイス内に形成されている開口部を有し、前記感知デバイスは、
前記第1の表面における第1の導電層と、
前記第2の表面における第2の導電層と、
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間のセグメント化されたセンサ層と、
前記セグメント化されたセンサ層の対向する表面上に配置されている第1の誘電体層および第2の誘電体層であって、前記第1の誘電体層および前記第2の誘電体層は、前記セグメント化されたセンサ層を前記第1の導電層および前記第2の導電層から絶縁し、前記セグメント化されたセンサ層は、前記開口部の周囲に配置されている複数のセグメントを含む、第1の誘電体層および第2の誘電体層と
を含む、感知デバイスと、
前記セグメント化されたセンサ層の前記複数のセグメントのそれぞれに結合されている回路素子であって、前記複数の
セグメントの各
セグメントは、帯電液滴が前記開口部を通過する際に前記回路素子において誘導電流を提供するように配置されており、前記回路素子は、前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成するように構成されている、回路素子と
を含
み、
前記複数のセグメントのそれぞれは、前記開口部の周囲の対応する部分に配置されており、
前記第1の導電層および前記第2の導電層は、接地電位または基準電位に保持されており、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、デバイス。
【請求項30】
前記開口部は、前記帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている、請求項
29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記回路素子は、トランスインピーダンスアンプを含む、請求項
29~
30のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項32】
前記セグメント化されたセンサ層は、前記開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含む、請求項
29~
31のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記セグメント化されたセンサ層は、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントは、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントは、一対のセグメントとして前記開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されている、請求項
32に記載のデバイス。
【請求項34】
各対のセグメントは、別の対のセグメントに対して垂直に配置されている、請求項
33に記載のデバイス。
【請求項35】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記セグメント化されたセンサ層に結合されている1つ以上の回路素子から、前記複数のセグメントにおける誘導電流に対応または比例する複数の測定値を受信することと、
前記複数の測定値に基づいて前記帯電液滴の位置を決定することと
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項
29に記載のデバイス。
【請求項36】
前記動作は、前記開口部における前記帯電液滴の到達時間、前記帯電液滴の速度、前記帯電液滴の電荷対体積比、または、1つ以上の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つ以上を決定することをさらに含む、請求項
35に記載のデバイス。
【請求項37】
前記デバイスは、制御デバイスをさらに含み、
前記制御デバイスは、前記制御デバイス内に形成されている第2の開口部を有し、前記制御デバイスは、
セグメント化された制御層であって、前記セグメント化された制御層は、前記第2の開口部の周囲に配置されている第2の複数のセグメントを含む、セグメント化された制御層と、
前記セグメント化された制御層の前記第2の複数のセグメントのそれぞれに結合されている電圧コントローラと
を含む、請求項
29に記載のデバイス。
【請求項38】
前記第2の開口部は、前記感知デバイスの前記開口部と位置合わせされている、請求項
37に記載のデバイス。
【請求項39】
前記セグメント化された制御層は、前記第2の開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含む、請求項
37~
38のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項40】
前記セグメント化された制御層は、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントは、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントは、一対のセグメントとして前記第2の開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されている、請求項
39に記載のデバイス。
【請求項41】
各対のセグメントは、別の対のセグメントに対して垂直に配置されている、請求項
40に記載のデバイス。
【請求項42】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記セグメント化されたセンサ層に結合されている1つ以上の回路素子から、前記複数のセグメントにおける誘導電流に対応または比例する複数の測定値を受信することと、
前記複数の測定値に基づいて前記帯電液滴の位置を決定することと、
前記帯電液滴の位置に基づいて制御電圧のセットを決定することと、
前記帯電液滴の軌道を変更するために、前記電圧コントローラを使用して前記制御電圧のセットを前記第2の複数のセグメントに印加することと、
前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成することと
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項
37に記載のデバイス。
【請求項43】
前記制御電圧のセットは、前記帯電液滴の位置、前記帯電液滴の速度、または、標的の所定の位置のうちの1つ以上に基づいて決定される、請求項
42に記載のデバイス。
【請求項44】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、前記デバイスは、
制御デバイスであって、前記制御デバイスは、前記制御デバイス内に形成されている開口部を有し、前記制御デバイスは、
セグメント化された導電層であって、前記セグメント化された導電層は、前記開口部の周囲に配置されている複数のセグメントを含む、セグメント化された導電層と、
前記セグメント化された導電層の前記複数のセグメントのそれぞれに結合されている電圧コントローラと
を含む、制御デバイスと、
前記セグメント化された導電性から分離されている少なくとも1つのセグメント化されたセンサ層を有するセンサ素子であって、前記センサ素子は、互いに電気的に独立した第2の複数のセグメントを有し、かつ、前記開口部の周囲に配置されている、センサ素子と、
前記
第2の複数のセグメントのそれぞれに電気的に結合されている回路素子であって、前記
第2の複数
のセグメントのそれぞれは、帯電液滴が前記開口部を通過する際に前記回路素子において誘導電流を提供するように配置されており、前記回路素子は、前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成するように構成されている、回路素子と
を含
み、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、デバイス。
【請求項45】
前記開口部は、前記帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている、請求項
44に記載のデバイス。
【請求項46】
前記セグメント化された導電層は、前記開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含む、請求項
44~
45のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項47】
前記セグメント化された導電層は、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントは、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントは、一対のセグメントとして前記開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されている、請求項
46に記載のデバイス。
【請求項48】
各対のセグメントは、別の対のセグメントに対して垂直に配置されている、請求項
47に記載のデバイス。
【請求項49】
前記デバイスは、
プロセッサと、
前記プロセッサとデータ通信する非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体と
をさらに含み、
前記非一過性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、プロセッサ実行可能な命令を記憶しており、
前記プロセッサ実行可能な命令は、
前記プロセッサによって実行されると、
前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記電圧コントローラを使用して制御電圧のセットを前記複数のセグメントに印加すること
を含む動作を実行することを前記プロセッサに行わせる、請求項
44に記載のデバイス。
【請求項50】
前記動作は、前記帯電液滴の既知の位置、前記帯電液滴の既知の速度、または、標的の所定の位置のうちの1つ以上に基づいて、前記制御電圧のセットを決定することをさらに含む、請求項
49に記載のデバイス。
【請求項51】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するための方法であって、前記方法は、
帯電液滴を標的に向けて帯電液滴ディテクタの開口部を通過するように方向付けることと、
前記帯電液滴ディテクタにおいて、誘導電流に対応する複数の値を測定することであって、前記誘導電流は、前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に生成される、ことと、
前記誘導電流に対応する前記複数の値を分析することにより、前記帯電液滴の位置を決定することと、
前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成することと
を含
み、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、方法。
【請求項52】
前記方法は、前記複数の値に基づいて前記帯電液滴の総電荷を決定することをさらに含む、請求項
51に記載の方法。
【請求項53】
前記方法は、帯電液滴ゲートを形成するために、前記帯電液滴ディテクタの極性を反転させることをさらに含む、請求項
51~
52のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項54】
前記方法は、前記複数の値に基づいてサテライト液滴を同定することをさらに含む、請求項
51~
53のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項55】
前記複数の値を分析することにより、前記帯電液滴の位置を決定することは、
前記帯電液滴ディテクタの前記開口部の反対側に配置されている前記帯電液滴ディテクタの複数のセグメントからの複数の測定値の間の差異を決定することと、
前記複数の測定値の間の前記差異に基づいて、前記開口部の反対側に配置されている前記複数のセグメントの間の軸に沿った位置を決定することと
を含む、請求項
51~
54のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項56】
前記帯電液滴を方向付けることは、帯電液滴コントローラの第2の開口部を通過するように前記帯電液滴を方向付けることを含み、
前記方法は、
前記標的に向かう前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記帯電液滴コントローラに印加するための電圧のセットを決定することであって、前記電圧のセットは、前記帯電液滴の位置に基づいて決定される、ことと、
前記電圧のセットを前記帯電液滴コントローラに印加することと
をさらに含む、請求項
51~
55のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項57】
前記電圧のセットを決定することは、前記帯電液滴ディテクタにおける前記帯電液滴の位置から前記標的に向かう前記帯電液滴の軌道を修正するために、前記第2の開口部の反対側に配置されている前記帯電液滴コントローラの複数のセグメントに印加する電圧の大きさを決定することを含む、請求項
56に記載の
方法。
【請求項58】
前記方法は、前記開口部における前記帯電液滴の到達時間、前記帯電液滴の速度、前記帯電液滴の電荷対体積比、または、1つ以上の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つ以上を決定することをさらに含む、請求項
51~
57のいずれか一項に記載の
方法。
【請求項59】
前記帯電液滴の速度を決定することは、前記帯電液滴の射出または生成信号と前記複数の値の1つまたは複数のピークとの間の時間周期を決定することを含む、請求項
58に記載の
方法。
【請求項60】
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するための方法であって、前記方法は、
帯電液滴を標的に向けて帯電液滴コントローラの開口部を通過するように方向付けることと、
前記帯電液滴コントローラ
とは別個のセンサ素子において、誘導電流に対応する複数の値を測定することであって、
前記センサ素子は、前記開口部の周囲に配置されている複数のセグメントを有し、前記誘導電流は、前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に生成される、ことと、
前記標的に向かう前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記帯電液滴コントローラに電圧のセットを印加することと、
前記誘導電流に比例する
複数の信号を生成することと
を含
み、
前記複数の信号のそれぞれは、ピークと、最小値と、前記ピークと前記最小値との間に位置するゼロ交差とを含む特徴を有する曲線によって特徴付けられており、
前記帯電液滴の速度(V
drоplet
)は、少なくとも1つの信号の前記曲線の前記ピークおよび前記最小値および前記ゼロ交差のうちの少なくとも1つに基づいて決定される、方法。
【請求項61】
前記方法は、
前記帯電液滴の既知の位置、前記帯電液滴の既知の速度、または、前記標的の所定の位置のうちの1つ以上に基づいて前記帯電液滴の軌道を修正するために、前記開口部の反対側に配置されている前記帯電液滴コントローラの複数のセグメントに印加する前記電圧のセットを決定すること
をさらに含む、請求項
60に記載の
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2021年2月26日に出願された米国仮出願第63/154,633号の利益および優先権を主張し、この仮出願は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
新規で有用な材料の発見、材料の特性評価、試験の実施、およびその他のそのような手順は、物質の新たな組成を作り、特性評価する能力に依存しうる。その結果、物理的、化学的、生物学的、またはその他の材料特性に関連する最近の研究は、様々な材料の試験を実施し、分析することに加えて、潜在的に有用な化合物を合成し、評価するための方法およびシステムの開発および実装にフォーカスしている。特に、体系的、効率的、および経済的な材料合成技術、ならびに有用な特性について新規材料を分析してスクリーニングする方法に対する当技術分野における一般的なニーズに応えるために、高速コンビナトリアル法が開発されてきた。
【0003】
高速コンビナトリアル法はしばしば、化学組成、濃度、化学量論、試薬の比率、および/または体積が正確に既知である液体の正確な分注を必要とするアレイ技術の使用を伴う。そのようなアレイ技術は、様々な合成プロセスおよび評価を実施するために使用されうる。アレイ技術は、適切に配置された場合にコンビナトリアルライブラリを生み出す複数のリザーバを形成するために、多数の異なる流体を使用しうる。コンビナトリアル技法を実施するために、ピンスポッティング、ピペッティング、インクジェットプリンティング、および音響射出など、多くの流体分注技術が研究されてきた。
【0004】
しかしながら、これらの技術の多くは、コンビナトリアル法に必要な流体分注の精度および効率を達成する前に対処されなければならない固有の欠点を有している。例えば、多くの流体分注システムは、チューブまたは他の流体移送容器のネットワークを使用して構築されている。特にチューブには気泡が入り込む可能性があり、詰まった粒子によってノズルが詰まるおそれがある。その結果、システム障害が発生し、誤った結果が生じうる。さらに、液体移送イベント間のチューブおよびピペットチップのフラッシングが不十分なために、化合物ライブラリのリザーバ間で相互汚染が発生するおそれがある。相互汚染は、不正確で誤解を招く結果につながりやすい。
【0005】
音響射出は、他の液剤分注技術に勝る多くの利点を提供する。インクジェットデバイスとは対照的に、ノズルレスまたはチップレスの流体射出デバイスは、詰まりやそれに伴う不都合の影響を受けず、例えば、流体の方向がずれたり、液滴の大きさが不適切になったりすることがない。さらに、音響射出は、チューブの使用を必要とせず、例えば、液体のリザーバへのピペットチップの導入に伴うものなどの侵襲的な機械的動作を伴わず、したがって、とりわけ、汚染のリスクを低減しうる。さらに、音響射出は、より高いレベルの精度と正確性を達成でき、非常に少量の液体を分注するために使用できるため、試薬のコストを大幅に削減しうる。
【0006】
音響射出は、多くの特許に記載されている。例えば、Loveladらの米国特許第4,308,547号には、移動する書類上に液体の本体からの液滴を射出して書類上に文字またはバーコードを形成するために音響原理を利用する液滴エミッタが記載されている。ノズルレスインクジェットプリンティング装置は、制御されるインク滴が、インクの表面またはその下に湾曲トランスデューサにより生成される音響力によって推進されるように使用される。同様に、米国特許第6,666,541号は、複数の液滴を基板表面の離散的な部位に向けて音響的に射出して、その上に沈着させるためのデバイスを記載している。このデバイスは、リザーバから流体液滴を射出するため、およびリザーバの流体表面に伝達されて反射音響波となる検出音波を生成するために使用されうる音響放射ジェネレータ(generator)を含んでいる。次いで、流体表面で音響放射ジェネレータによって生成される音響エネルギーレベルを評価するために、反射音響放射の特性が分析されうる。したがって、音響射出は、音響放射の適切な使用が音響射出自体のプロセスに関連するフィードバックを提供するという点で、追加の利点を提供しうる。
【0007】
液滴の速度および方向を含む、メニスカスにおける液滴形成の初期条件の変動に加えて、空気抵抗および帯電した液滴にかかる静電気力などの液滴の飛行経路中にそれにかかる力の変動は、標的における液滴の配置の変動をもたらす。
【0008】
標的が供給先のマイクロプレートのウェルであり、複数の液滴が移送される場合、標的において全ての液滴が融合し、単一の大きな液滴へと合体することが望ましい。しかしながら、場合によっては、液滴が散弾状に標的に着弾することもある。
【0009】
多くの先行するソリューションは、変動の源を最小化するための受動的なアプローチに依存している。いくつかの例示的な技術は、メニスカスを「抑制」して、流体表面の変動を低減しているが、これは「全面的」なソリューションとはなっていない。典型的な既存のソリューションは、非リアルタイムでの液滴配置検証のために何らかのタイプの較正ソリューションを必要とするが、これは時間のかかる手作業となり得る。例えば、試験的な液滴射出の後に液滴が着弾した場所を決定するために、液体感応紙が使用されうる。そのような非リアルタイムのプロセスは、時間がかかり手作業が多いことに加えて、タイムリーな調整が不可能であり、場合によっては、液滴射出の失敗により相当なコストが発生するおそれがある。液滴の配置をリアルタイムで検証できる既存のソリューションもいくつかあるが、これらには大型の高価で複雑な機械の使用を必要とする。例えば、位相ドップラー干渉計システムなどのある種の光学システムは、液滴の位置をリアルタイムで検出するために使用可能であるが、これらは大型で高価であり、典型的にはレーザーシステムを使用するため、できれば回避したいものである。
【0010】
当技術分野では、巨大で高価な光学レーザーに依存せずに、液滴の射出、液滴の速度、および移送中の液滴の位置を正確に検出してリアルタイムデータを提供することができる、改良された方法および装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許第4,308,547号
【文献】米国特許第6,666,541号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
要約
本開示によりカバーされる発明の例は、この要約ではなく、以下の特許請求の範囲によって定義される。この要約は、様々な態様の高次レベルでの概要であり、以下の「詳細な説明」セクションでさらに説明される概念のいくつかを紹介するものである。この要約は、請求の範囲に記載の主題の重要な特徴または本質的な特徴を同定することを意図したものではなく、また、請求の範囲に記載の主題の範囲を決定するために単独で使用されることを意図したものでもない。主題は、以下の説明、全ての図面、および各請求項を含む開示の全体を参照することにより理解されるべきである。
【0013】
典型的なシステムは、音響液滴イジェクタ(ejector)の液滴射出トラッキングのために、手動の較正および/または大型で高価な光学トラッキングシステムに依存しているが、本明細書で提供されるデバイス、システム、および方法は、コンパクトかつ低コストなシステムで帯電液滴のリアルタイムのトラッキングと制御を可能にする。本明細書に記載の例は、音響液滴射出システムを示していてもよく、またそれに関して参照されうるが、本明細書に記載の技術およびシステムは、圧力ベースのシステム(例えば、インクジェット)、マイクロ流体システム、または任意の他の適切な液滴生成システムもしくはコンポーネントに適用されてもよい(例えば、蛍光活性化セルソータ、蛍光活性化単一液滴ディスペンサ、精密マイクロポンプシステム、圧電ベースのアクティブ液滴ジェネレータなど)。リアルタイムトラッキングは、光学トラッキングシステムを使用して達成され得るが、そのようなシステムは、液滴射出システムにさらなる複雑さを加えるおそれがあり、システムの使い勝手に影響を与え得る。非リアルタイムトラッキングのその他の手法は、手動による較正を必要とし、ワークフローを中断し得る。本明細書に記載のリアルタイム測定は、製造ワークフローの効率の向上と、液滴ジェネレータの較正の迅速な最適化を提供する。本明細書に記載のリアルタイム制御スキームは、液滴位置の精度および再現性をさらに提供し、リアルタイムフィードバックシステムによって、較正の繰り返しを避けることを可能とする。本システムおよび方法はまた、液滴ジェネレータ(例えば、音響液滴射出システム)と、質量分析計または他の分析システムなどの二次的なデバイスの入口との効率的なカップリングも可能にし得る。本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、例えば、分析のためのサンプル配置の際に質量分析計または他の分析システムにおける液滴の配置を検証または位置合わせするためのリアルタイムトラッキングおよび制御に特に有用である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、音響液滴射出システムなどの液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出、モニタリング、および制御するためのシステムを提供する。1つの一般的な態様は、液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出および/または制御するためのデバイスを含む。本デバイスは、絶縁層によって分離または支持された1つまたは複数の導電層を有するセンサまたは制御素子(例えば、多層プリント回路基板)を含んでいてもよく、センサまたは制御素子は、帯電液滴が通過するデバイスの開口部を画定している。いくつかの例では、センサまたは制御素子は、多層プリント回路基板として製造されうるが、当業者であれば、センサまたは制御素子が任意の適切な形態をとりうることを理解するであろう。いくつかの実施形態では、液滴ジェネレータによって射出された液滴は、特定の許容範囲内で標的に到達する必要がある場合がある。例えば、特定の用途では、液滴直径の一部の寸法内の配置公差(例えば、液滴直径の100%、75%、50%、25%、10%、または5%以内)が課されうる。そのような配置公差は、例えば、液滴が標的に到達すること、または標的に到達すると異なる液滴が合体することを保証しうる。場合によっては、液滴は液滴直径の約200%以下で標的から外れて到達してもよい(例えば、直径168ミクロンを有する2.5nLの液滴は、標的から400ミクロン離れて到達してもよい)。好ましいケースでは、液滴は一貫して標的位置に着弾するか、または標的位置から液滴直径の125%以下の距離内に着弾し、標的位置から液滴直径の125%より遠くに着弾する液滴は1000個あたり1個未満である。最初の液滴の後、標的位置に向けられた後続の液滴は、望ましくは融合、合体、および混合して単一のより大きな液滴となりうる。理想的なケースでは、標的から外れた液滴、散乱、メイン液滴から孤立した散布的な着弾は無いべきである。標的上への液滴の配置は、可能な限り広い範囲の液滴形成時の初速度および方向、ならびに液滴飛行経路に沿った変動を許容してもよい。いくつかの例では、標的は、マイクロプレート、マイクロ流体デバイス、または分析機器、デバイス、もしくはシステム内のウェルに関連付けられた入口またはオリフィスでありうる。液滴は、入口またはオリフィスの側面または壁に衝突することなく、標的に適切に到達するサイズでありうる。例えば、オリフィスは、液滴の直径の約150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%以上といった、液滴の直径の約130%以上の直径、または液滴の直径の約130%から約1000%までの直径を有しうる。
【0015】
いくつかの例では、センサ素子は、3つ以上の導電層および2つ以上の絶縁層を含んでいてもよい。一例では、センサ素子の内層は、互いに電気的に絶縁または独立した複数の分割セグメントを有するセグメント化された導電層を含んでいてもよく、複数の分割セグメントは、セグメント化された導電層における開口部の周囲に配置されている。本デバイスはまた、分割セグメントの各々に電気的に結合された回路素子(例えば、1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプ(transimpedance amplifier))を含んでいてもよい。センサ素子の各分割セグメントは、帯電液滴が開口部を通過する際に回路素子に誘導電流を提供するように配置されている。回路素子は、誘導電流に比例する測定値(例えば、電圧信号)を生成する1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプを含んでいてもよい。本デバイスはまた、回路素子から測定値を受信し、測定値の大きさに基づいて開口部内の帯電液滴の位置を同定する重み付けマップを生成しうる1つまたは複数の計算デバイスまたは手段を含んでいてもよい。いくつかの例では、信号は、計算デバイス、回路、アナログデジタルコンバータ、ソフトウェア、または他のそのようなシステムにより処理されうる。
【0016】
いくつかの例では、制御素子は、1つまたは複数の導電層および1つまたは複数の絶縁層を含んでいてもよい。一例では、制御素子の導電層は、互いに電気的に絶縁または独立した複数の分割セグメントを有するセグメント化された導電層を含んでいてもよく、複数の分割セグメントは、セグメント化された導電層における開口部の周囲に配置されている。本デバイスはまた、帯電液滴が開口部を通過する際にその軌道を変更するのに十分な配向および大きさの電場を生成するために分割セグメントの各々に電位を印加するための1つまたは複数の電圧ジェネレータおよび/または電圧コントローラ(controller)を含んでいてもよい。本デバイスはまた、液滴の軌道の特定の偏向を達成するために分割セグメントの各々に印加する電圧を決定しうる1つまたは複数の計算デバイスまたは手段を含んでいてもよい。場合によっては、電圧は、帯電液滴をセンサ素子に通過させることによって決定される帯電液滴の位置、または位置を表すか、もしくは位置を導出するのに有用な信号に基づいて、またはそれを使用して決定されてもよい。いくつかの例では、信号は、導電層の分割セグメントに印加する適切な電圧を決定するために、計算デバイス、回路、アナログデジタルコンバータ、ソフトウェア、または他のそのようなシステムにより処理されうる。
【0017】
他の例では、液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出するためのシステムは、その中の第1の表面から第2の表面にまで形成された開口部を有する感知デバイスを含んでいてもよく、感知デバイスは、第1の表面における第1の導電層、第2の表面における第2の導電層、第1の導電層と第2の導電層との間のセグメント化されたセンサ層、ならびにセグメント化されたセンサ層を第1の導電層および第2の導電層から絶縁する、セグメント化されたセンサ層の対向する表面上に配置された第1および第2の誘電体層を含んでいる。セグメント化されたセンサ層は、開口部の周囲に配置された複数のセグメントを含みうる。本システムは、セグメント化されたセンサ層の複数のセグメントの各々に結合された回路素子も含みうる。いくつかの例では、回路素子は、1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプを含む。本システムはまた、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、セグメント化されたセンサ層に結合された1つまたは複数の回路素子から、帯電液滴が開口部を通過する際にセグメント化されたセンサ層のセグメントを通過する誘導電流に対応する複数の測定値を受信すること、および測定値に基づいて帯電液滴の位置を決定することを含む動作をプロセッサに実行させる命令を記憶した非一過性コンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。
【0018】
他の例では、液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出するためのシステムは、内部に形成された開口部を有し、セグメント化された導電層を含む制御デバイスを含んでいてもよい。セグメント化された導電層は、開口部の周囲に配置された複数のセグメントを含みうる。本システムはまた、セグメント化された導電層の複数のセグメントの各々に結合された電圧コントローラも含みうる。いくつかの例では、電圧コントローラは、開口部に電場を確立するために、セグメント化された導電層の各々に電位を発生させるように駆動されうる。本システムはまた、プロセッサと、プロセッサによって実行されると、帯電液滴が開口部を通過する際に帯電液滴の軌道を制御するために、電圧コントローラを使用して制御電圧のセットを複数のセグメントに印加することを含む動作をプロセッサに実行させる命令を記憶した非一過性コンピュータ可読媒体を含んでいてもよい。制御電圧のセットは、例えば、帯電液滴の決定された位置または速度に基づいて生成されうる。
【0019】
別の態様では、液滴ジェネレータなどからの帯電液滴を検出または制御するための方法などの方法が本明細書に記載されている。いくつかの例では、方法は、本明細書に記載のシステムによって、またはそれを使用して実行されうる。いくつかの例では、この態様の方法は、液滴ジェネレータと標的との間に帯電液滴ディテクタ(detector)および/または帯電液滴コントローラを配置すること、液滴ジェネレータからの帯電液滴を標的に向けて帯電液滴ディテクタおよび/または帯電液滴コントローラの開口部を通過するように方向付けることを含みうる。この態様の方法は、帯電液滴の位置を決定するために、帯電液滴が開口部を通過する際に帯電液滴ディテクタによって生成される電圧信号を分析することを含みうる。この態様の方法は、例えば、帯電液滴の決定された位置に基づいて電圧を決定する、または帯電液滴の位置を導き出すことができる信号を決定するなどして、帯電液滴の軌道を変更するためにセグメント化された制御層のセグメントに印加する電圧を決定および/または印加することを含みうる。この態様の他の例は、方法の動作を実行するように各々構成された対応するデバイスおよびシステムを含む。場合により、本開示の方法またはその一部は、プロセッサ実行可能命令の実行中に実行されてもよい。
【0020】
別の態様において、音響液滴射出システムにおいてモニタリングされた帯電液滴に基づいて射出パラメータを調整するための方法が本明細書において説明される。いくつかの例では、本方法は、音響液滴射出システム、感知素子、および本明細書に記載の他のシステムを含む、本明細書に記載のシステムを使用して実行される。本方法は、リザーバに結合された音響液滴射出システムを使用して、第1の液滴をリザーバから帯電液滴ディテクタの開口部を通して標的に向けて射出させるために、流体に音響信号を印加することを含みうる。本方法はまた、帯電液滴ディテクタを通過する誘導電流に対応する値の測定値に基づいて、音響信号がサテライト液滴の射出を引き起こしたことを決定することを含みうる。本方法は、後続の射出におけるサテライト液滴の射出を防止または低減するために、前記決定に基づいて、音響液滴射出システムのパラメータを調整することをさらに含みうる。いくつかの例では、本開示の方法またはその一部は、プロセッサ実行可能命令の実行中に実行されてもよい。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、
絶縁層によって分離された3つ以上の導電層を有するセンサ素子であって、前記導電層および前記絶縁層が、帯電液滴が通過するセンサ素子の開口部を画定しており、前記3つ以上の導電層の内部層が、互いに電気的に独立した複数の分割されたセグメントを有するセグメント化された導電層であり、前記セグメント化された導電層における前記開口部の周囲に配置されている、センサ素子;ならびに
分割されたセグメントの各々に電気的に結合された回路素子であって、複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントが、帯電液滴が前記開口部を通過する際に回路素子に誘導電流を供給するように配置されており、前記回路素子が、前記誘導電流に比例する信号を生成するように構成されている、回路素子
を含む、デバイス。
(項目2)
(i)前記複数の分割されたセグメントの各々が、前記開口部の周囲の対応する部分に配置されている;
(ii)前記複数の分割されたセグメントの各々が、1つまたは複数の他の分割されたセグメントと等しい前記開口部の周囲の部分を占めている;
(iii)前記3つ以上の導電層の外側の導電層が、接地電位または基準電位に保持されている;
(iv)前記回路素子が、トランスインピーダンスアンプを含む;
(v)前記誘導電流に比例する信号が、電圧信号を含む;
(vi)前記複数の分割されたセグメントが、少なくとも2対の分割されたセグメントを含み、1対の分割されたセグメントの分割されたセグメントが、前記開口部のまわりに互いに対向して配置されており、場合により、分割されたセグメントの各対が、分割されたセグメントの別の対に対して垂直に配置されている;または
(vii)前記センサ素子が、帯電液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間に配置されており、場合により、前記開口部が、帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている、
項目1に記載のデバイス。
(項目3)
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
回路素子から信号を受信すること、および
前記信号に基づいて帯電液滴の位置を決定すること
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体:
をさらに含み、
場合により、
(i)前記操作が、前記帯電液滴の前記開口部における到達時間;前記帯電液滴の速度;前記帯電液滴の電荷対体積比;または1つまたは複数の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つまたは複数を決定することをさらに含む;または
(ii)前記帯電液滴の位置を決定することが、正規化された信号を決定するために、前記複数の分割されたセグメントからの各信号に重み付けをすること;および、前記正規化された信号の大きさに基づいて前記帯電液滴の位置を決定することを含み;さらに場合により、各信号を重み付けすることが、前記分割されたセグメントからの全信号の合計によって各信号を重み付けすること;または、対応する分割されたセグメントの相対的な面積または周囲の割合によって各信号に重み付けをすることを含む、
項目1に記載のデバイス。
(項目4)
1つまたは複数の絶縁層に隣接する導電性制御層を有する制御素子であって、
前記導電性制御層および1つまたは複数の絶縁層が、帯電液滴がセンサ素子の開口部を通過した後に通過する制御素子の第2の開口部を画定しており、前記導電制御層が、互いに電気的に独立した第2の複数の分割されたセグメントを有する第2のセグメント化された導電層であり、前記第2の開口部の周囲に配置されている、制御素子;ならびに
前記第2の複数の分割されたセグメントの各々に電気的に結合された電圧コントローラであって、前記第2の複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントは、前記帯電液滴の軌道を制御するために前記帯電液滴が前記第2の開口部を通過する際に電場を生成するように配置されており、前記電圧コントローラは、前記電場を生成するために前記第2の複数の分割されたセグメントの各々に電圧を印加するように構成されている、電圧コントローラ
をさらに含む、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
回路素子から信号を受信すること;
前記信号に基づいて帯電液滴の位置を決定すること;
前記帯電液滴の位置に基づいて前記第2の複数の分割されたセグメントに印加するための電圧のセットを決定すること;および
前記第2の複数の分割されたセグメントに電圧のセットを印加するように電圧コントローラを制御すること
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体
をさらに含む、項目4に記載のデバイス。
(項目6)
(i)前記第2の開口部が、前記センサ素子の前記開口部と位置合わせされている;
(ii)前記第2の複数の分割されたセグメントの各々が、前記第2の開口部の周囲の対応する部分に配置されている;
(iii)前記第2の複数の分割されたセグメントの各々が、1つまたは複数の他の前記第2の複数の分割されたセグメントと等しい前記第2の開口部の周囲の部分を占めている;
(iv)前記第2の複数の分割されたセグメントが、少なくとも2対の分割されたセグメントを含み、1対の分割されたセグメントの分割されたセグメントが、前記第2の開口部のまわりに互いに対向して配置されている;
(v)前記制御素子が、前記帯電液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間、または前記センサ素子と前記帯電液滴ジェネレータの標的供給先との間に配置されている;
(vi)前記制御素子が、前記絶縁層の1つまたは複数によって前記導電性制御層から分離された基準層または接地層をさらに含み、前記第2の開口部が、前記基準層または接地層における開口部によってさらに画定される;または
(vii)前記制御素子が、絶縁層によって分離され、前記電圧コントローラに結合された2つ以上の導電性制御層を含む、
項目4に記載のデバイス。
(項目7)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、
1つまたは複数の絶縁層に隣接する導電性制御層を有する制御素子であって、前記導電性制御層および1つまたは複数の絶縁層が、帯電液滴が通過する前記制御素子の開口部を画定しており、前記導電性制御層が、互いに電気的に独立した複数の分割されたセグメントを有するセグメント化された導電層であり、前記開口部の周囲に配置されている、制御素子;ならびに
前記複数の分割されたセグメントの各々に電気的に結合された電圧コントローラであって、前記複数の分割されたセグメントの各分割されたセグメントは、前記帯電液滴の軌道を制御するために前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に電場を生成するように配置されており、前記電圧コントローラは、前記電場を生成するために前記複数の分割されたセグメントの各々に電圧を印加するように構成されている、電圧コントローラ
を含む、デバイス。
(項目8)
(i)前記複数の分割されたセグメントの各々が、前記開口部の周囲の対応する部分に配置されている;
(ii)前記複数の分割されたセグメントの各々が、1つまたは複数の他の分割されたセグメントと等しい前記開口部の周囲の部分を占めている;
(iii)前記制御素子が、液滴ジェネレータの供給源と標的供給先との間に配置されている;
(iv)前記開口部が、帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている;
(v)前記複数の分割されたセグメントが、少なくとも2対の分割されたセグメントを含み、1対の分割されたセグメントの分割されたセグメントが、前記開口部のまわりに互いに対向して配置されており、場合により、分割されたセグメントの各対が、分割されたセグメントの別の対に対して垂直に配置されている;または
(vi)さらに
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
前記複数の分割されたセグメントに電圧のセットを印加するように電圧コントローラを制御すること
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体
を含む、
項目7に記載のデバイス。
(項目9)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、
第1の表面における第1の導電層;
第2の表面における第2の導電層;
前記第1の導電層と前記第2の導電層との間のセグメント化されたセンサ層;および
セグメント化されたセンサ層を前記第1の導電層および前記第2の導電層から絶縁する、セグメント化されたセンサ層の対向する表面上に配置された第1および第2の誘電体層で
あって、前記セグメント化されたセンサ層が、前記開口部の周囲に配置された複数のセグメントを含む、第1および第2の誘電体層
を含む、第1の表面から第2の表面に向かって形成された開口部を有する感知デバイス;ならびに
前記セグメント化されたセンサ層の前記複数のセグメントの各々に結合された回路素子
を含む、デバイス。
(項目10)
(i)前記開口部が、帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている;
(ii)前記回路素子が、トランスインピーダンスアンプを含む;
(iii)前記セグメント化されたセンサ層が、前記開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含み、場合により、前記セグメント化されたセンサ層が、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントが、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントが、1対のセグメントとして前記開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されており、さらに場合により、セグメントの各対が、セグメントの別の対に対して垂直に配置されている、
項目9に記載のデバイス。
(項目11)
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記セグメント化されたセンサ層に結合された1つまたは複数の回路素子から、前記複数のセグメントにおける誘導電流に対応または比例する複数の測定値を受信すること;および
前記複数の測定値に基づいて帯電液滴の位置を決定すること、
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体
をさらに含み、
場合により、前記操作が、前記帯電液滴の前記開口部における到達時間;前記帯電液滴の速度;前記帯電液滴の電荷対体積比;または1つまたは複数の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つまたは複数を決定することをさらに含む、
項目9に記載のデバイス。
(項目12)
その中に形成された第2の開口部を有する制御デバイスであって、
セグメント化された制御層であって、前記セグメント化された制御層が、前記第2の開口部の周囲に配置された第2の複数のセグメントを含む、セグメント化された制御層;および
前記セグメント化された制御層の前記第2の複数のセグメントの各々に結合された電圧コントローラ
を含む、制御デバイス
をさらに含む、項目9に記載のデバイス。
(項目13)
(i)前記第2の開口部が、前記感知デバイスの前記開口部と位置合わせされている;または
(ii)前記セグメント化された制御層が、前記第2の開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含み、場合により、前記セグメント化された制御層が、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントが、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントが、1対のセグメントとして前記第2の開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されており、さらに場合により、セグメントの各対が、セグメントの別の対に対して垂直に配置されている、
項目12に記載のデバイス。
(項目14)
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記セグメント化されたセンサ層に結合された1つまたは複数の回路素子から、前記複数のセグメントにおける誘導電流に対応または比例する複数の測定値を受信すること;
前記複数の測定値に基づいて帯電液滴の位置を決定すること;
前記帯電液滴の位置に基づいて制御電圧のセットを決定すること;および
前記帯電液滴の軌道を変更するために、前記電圧コントローラを使用して前記制御電圧のセットを前記第2の複数のセグメントに印加すること
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体
をさらに含み、
場合により、前記制御電圧のセットが、前記帯電液滴の位置、前記帯電液滴の速度、または標的の所定の位置のうちの1つまたは複数に基づいて決定される、
項目12に記載のデバイス。
(項目15)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するためのデバイスであって、
その中に形成された開口部を有する制御デバイスであって、
セグメント化された導電層であって、前記セグメント化された導電層が、前記開口部の周囲に配置された複数のセグメントを含む、セグメント化された導電層;および
前記セグメント化された導電層の前記複数のセグメントの各々に結合された電圧コントローラ
を含む、制御デバイス
を含む、デバイス。
(項目16)
(i)前記開口部が、前記帯電液滴ジェネレータの射出軸と位置合わせされている;または
(ii)前記セグメント化された導電層が、前記開口部を取り囲む複数の電気的に独立したセグメントを含み、場合により、前記セグメント化された導電層が、少なくとも4つのセグメントを含み、前記少なくとも4つのセグメントが、前記開口部の周りに配置されており、各セグメントが、1対のセグメントとして前記開口部のまわりに別のセグメントと対向して配置されており、さらに場合により、セグメントの各対が、セグメントの別の対に対して垂直に配置されている、
項目15に記載のデバイス。
(項目17)
プロセッサ;ならびに
プロセッサとデータ通信する非一過性コンピュータ可読記憶媒体であって、前記非一過性コンピュータ可読記憶媒体が、プロセッサによって実行されると、
前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に、前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記電圧コントローラを使用して制御電圧のセットを前記複数のセグメントに印加すること
を含む動作をプロセッサに実行させるプロセッサ実行可能命令を記憶している、非一過性コンピュータ可読記憶媒体
をさらに含み、
場合により、前記操作が、前記帯電液滴の既知の位置、前記帯電液滴の既知の速度、または標的の所定の位置のうちの1つまたは複数に基づいて、前記制御電圧のセットを決定することをさらに含む、
項目15に記載のデバイス。
(項目18)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するための方法であって、
帯電液滴を標的に向けて帯電液滴ディテクタの開口部を通過するように方向付けること;
前記帯電液滴ディテクタにおいて、前記帯電液滴が前記開口部を通過する際に生成される誘導電流に対応する複数の値を測定すること;ならびに
前記帯電液滴の位置を決定するために、誘導電流に対応する前記複数の値を分析すること
を含む方法。
(項目19)
(i)複数の値に基づいて前記帯電液滴の総電荷を決定することをさらに含む;
(ii)帯電液滴ゲートを形成するために、前記帯電液滴ディテクタの極性を反転させることをさらに含む;
(iii)前記複数の値に基づいてサテライト液滴を同定することをさらに含む;
(iv)前記帯電液滴の位置を決定するために複数の値を分析することが、
前記帯電液滴ディテクタの前記開口部の反対側に配置された前記帯電液滴ディテクタのセグメントからの測定値間の差異を決定すること;および
測定値間の差異に基づいて、前記開口部の反対側に配置された前記セグメント間の軸に沿った位置を決定すること
を含む;または
(v)前記帯電液滴を方向付けることが、帯電液滴コントローラの第2の開口部を通過するように前記帯電液滴を方向付けることを含み、本方法がさらに
標的に向かう前記帯電液滴の軌道を制御するために前記帯電液滴コントローラに印加するための電圧のセットであって、前記帯電液滴の位置に基づいて決定される電圧のセットを決定すること;および
前記電圧のセットを帯電液滴コントローラに印加すること
を含み、
場合により、前記電圧のセットを決定することが、帯電液滴ディテクタにおける前記帯電液滴の位置から標的に向かう前記帯電液滴の軌道を修正するために、前記第2の開口部の反対側に配置された前記帯電液滴コントローラのセグメントに印加する電圧の大きさを決定することを含む;または
(vi)前記帯電液滴の前記開口部における到達時間;前記帯電液滴の速度;前記帯電液滴の電荷対体積比;または1つまたは複数の帯電サテライト液滴の存在のうちの1つまたは複数を決定することをさらに含み、場合により、前記帯電液滴の速度を決定することが、前記帯電液滴の射出または生成信号と、前記複数の値の1つまたは複数のピークとの間の時間周期を決定することを含む、
項目18に記載の方法。
(項目20)
帯電液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出または制御するための方法であって、
帯電液滴を標的に向けて帯電液滴コントローラの開口部を通過するように方向付けること;および
標的に向かう前記帯電液滴の軌道を制御するために、前記帯電液滴コントローラに電圧のセットを印加すること
を含み、
場合により、さらに
前記帯電液滴の既知の位置、前記帯電液滴の既知の速度、または標的の所定の位置のうちの1つまたは複数に基づいて前記帯電液滴の軌道を修正するために、前記開口部の反対側に配置された前記帯電液滴コントローラのセグメントに印加する電圧のセットを決定すること
を含む、方法。
【0021】
図面の簡単な説明
様々な例の性質および利点は、以下の図を参照することによってさらに理解されうる。添付の図において、同様なコンポーネントまたは特徴は、同じ参照ラベルを有している場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴管理デバイスを含む液滴ジェネレータを示している。
【
図2】
図2は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタおよび帯電液滴コントローラを含む液滴ジェネレータを示している。
【
図3】
図3は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタの導電層の分解図を示している。
【
図4】
図4は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタの側面図を示している。
【
図5】
図5は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタのセグメント化された導電層の上面図を示している。
【
図6】
図6は、少なくともいくつかの例に従う、導電層の電気的接続を示す帯電液滴ディテクタの断面図を示している。
【
図7】
図7は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴コントローラの層の分解図を示している。
【
図8】
図8は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴コントローラの側面図を示している。
【
図9】
図9は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴コントローラのセグメント化された導電層の上面図を示している。
【
図10】
図10は、少なくともいくつかの例に従う、導電層の電気的接続を示す帯電液滴コントローラの断面図を示している。
【
図11】
図11は、少なくともいくつかの例に従う、対向するセグメント間の軸に沿った異なる液滴変位位置についての、セグメント化された導電層の対向するセグメントからの差分電流を示すチャートを示している。
【
図12】
図12は、少なくともいくつかの例に従う、開口部を通して移動する帯電液滴による、セグメント化された導電層のセグメントからの電流を示すチャートを示している。
【
図13】
図13は、少なくともいくつかの例に従う、開口部内における帯電液滴配置の例における、トランスインピーダンスアンプからの出力に関連する電圧信号を示している。
【
図14】
図14は、少なくともいくつかの例に従う、開口部を通して移動する液滴のディテクタ信号を示す電圧信号出力を示している。
【
図16】
図16は、少なくともいくつかの例に従う、開口部を通して移動するメイン液滴とサテライト液滴のディテクタ信号を示す電圧信号出力を示している。
【
図17】
図17は、少なくともいくつかの例に従う、
図16のメイン液滴とサテライト液滴の位置の描写を示している。
【
図18】
図18は、少なくともいくつかの例に従う、液滴ジェネレータから射出される帯電液滴を検出するためのプロセスを示すフローチャートを示している。
【
図19】
図19は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴コントローラの導電層の上面図を示している。
【
図20】
図20は、帯電液滴コントローラのセグメント間に異なる電圧差を印加することによる帯電液滴の操縦の際に帯電液滴コントローラの反対側にある2つの帯電液滴ディテクタによって測定された帯電液滴の相対位置を示している。
【
図21】
図21は、帯電液滴コントローラのセグメント間に異なる電圧差を印加することによる帯電液滴の操縦の際に帯電液滴コントローラの反対側にある2つの帯電液滴ディテクタによって測定された帯電液滴の相対位置を示している。
【
図22】
図22は、帯電液滴コントローラのセグメント間に異なる電圧差を印加することによる帯電液滴の操縦の際に帯電液滴コントローラの反対側にある2つの帯電液滴ディテクタによって測定された帯電液滴の相対位置を示している。
【
図23】
図23は、少なくともいくつかの例に従う、液滴ジェネレータから射出される帯電液滴を制御するためのプロセスを示すフローチャートを示している。
【
図24】
図24は、少なくともいくつかの例に従う、フィードバック機構を用いて液滴ジェネレータから射出される帯電液滴を検出および制御するためのプロセスを示すフローチャートを示している。
【
図25】
図25は、いくつかの例に従う、計算デバイスの一例のブロック図を示している。
【
図26】
図26は、いくつかの例に従う、帯電液滴の射出、検出、および制御システムの一例の概要を提供している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
詳細な説明
本開示は、コンパクトで低コストのデバイスを使用して、帯電液滴をリアルタイムで検出、モニタリング、および/または制御するためのデバイス、システム、および方法について説明する。本開示のシステムおよび方法により、帯電液滴の(例えば、X軸およびY軸に沿った)水平位置検出、液滴速度の測定、サテライト液滴の検出、液滴電荷の測定、液滴の計数、液滴のトラッキング、液滴の軌道制御を含む、多数の利点が達成され得る。いくつかの例では、本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、液滴ジェネレータの位置合わせ、射出された液滴の軌道における誤った方向の検出、および/または誤った方向に射出された液滴の補正のための診断的な測定に有用であり得る。有利なことに、そのような態様は、液滴生成中にリアルタイムで実行可能であり、システムコンポーネント、位置合わせ、射出パラメータなどを修正または調整するためのフィードバックを提供するために使用され得る。
【0024】
いくつかの例では、液滴が有する電荷(液滴電荷)は、特定の供給源流体の体積に関連付けることが可能であり、そのため、多数の液滴にわたる液滴電荷の測定を使用して、液滴の体積を予測および/または決定することができる。典型的なシステムは、手動の較正および/または大型で高価な光学トラッキングシステムに依存しているが、本明細書で提供されるデバイス、システム、および方法は、コンパクトかつ低コストなシステムで帯電液滴のリアルタイムのトラッキングおよび/または制御を可能にする。本明細書で可能となるリアルタイム測定は、製造ワークフローの効率の向上と、音響液滴射出システムの較正などの液滴ジェネレータの迅速な最適化を提供する。本開示のシステムおよび方法はまた、液滴ジェネレータと、質量分析計またはその他の分析システムなどの二次的なデバイスの入口との効率的なカップリングと正確な位置合わせも可能にし得る。本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、例えば、分析のためのサンプル配置の際に質量分析計または他の分析システムにおける液滴の配置を検証するためのリアルタイムトラッキングに特に有用である。また、本明細書に記載のデバイス、システム、および方法は、リアルタイムで液滴の軌道を制御するためにも有用であり、場合により、例えば、分析のためのサンプル配置の際に質量分析計または他の分析システムにおける液滴の配置を最適化するために、液滴の位置および/または軌道が決定され、液滴の軌道が調整されるフィードバック機構が使用される。
【0025】
液滴の生成は、液滴が流体リザーバから音響的に作動され、標的の表面または位置に向かって移動する音響液滴射出などのプロセスを含みうるが、本開示は、音響液滴射出システムを使用する液滴生成に限定されない。例えば、圧力ベース、インクジェット型、および/またはマイクロ流体型の液滴ジェネレータまたは射出システムなどの他のシステムが使用されてもよい。音響液滴射出のためのいくつかの実施形態では、音響エネルギーは、サンプル容器(例えば、マイクロプレートのウェル、流体サンプルチューブ、マイクロプレート、マイクロ流体デバイス)のリザーバ内に含まれる流体の流体メニスカス、または質量分析計もしくは化学組成、ゲノム内容、ゲノム配列決定、粒子サイズ、体液、細胞分析(例えば、サイトメータ、ヘモサイトメータ)などを分析するための他の機器を含む、分析機器、システム、もしくはデバイスへの入口に向けて方向付けられてもよい。いくつかの実施形態では、液滴ジェネレータは、液滴が標的の表面または位置に向かって垂直に上向きに移動するように配向されうる。ここでは液滴は上方に移動するものとして説明されているが、本明細書に記載のシステムおよび方法を実施する際に、液滴は上方に加えて下方および/または横方向などの他の方向に輸送されてもよい。音響液滴射出システムでは、少なくとも部分的に静的効果(例えば、流体メニスカスの傾き、ウェルのプラスチックにおける静電荷)および動的効果(例えば、ウェル内の毛細管波)により、射出流体メニスカスから標的の表面までの液滴の軌道が、その意図された経路からずれる可能性があり、その結果、標的の表面/供給先における液滴の誤誘導が生じるおそれがある。静的および/または動的効果により、他の液滴生成システムでも、同様な誤誘導が生じるおそれがある。本明細書に記載のシステムおよび方法は、液滴の誤誘導のリアルタイム測定を可能にし、これは例えば、液滴の軌道が調整される液滴制御スキームを実装するなどによって、液滴の誤誘導のモニタリングおよび場合によりその低減を可能にする。
【0026】
標的が供給先のマイクロプレートのウェルであり、複数の液滴が移送される場合、標的において全ての液滴が融合し、単一の大きな液滴へと合体することが望ましい場合がある。しかしながら、場合によっては、液滴ジェネレータから射出された液滴は、特定の許容範囲内で標的位置に到達してもよい。例えば、特定の用途では、液滴直径の一部の寸法内の配置公差(例えば、液滴直径の100%、75%、50%、25%、10%、または5%以内)が課されうる。そのような配置公差は、例えば、液滴が標的に到達すること、または標的に到達すると異なる液滴が合体することを保証しうる。場合によっては、液滴は液滴直径の約200%以下で標的から外れて到達してもよい(例えば、直径168ミクロンを有する2.5nLの液滴は、標的から400ミクロン離れて到達してもよい)。好ましいケースでは、液滴は一貫して標的位置に着弾するか、または標的位置から液滴直径の125%以下の距離内に着弾し、標的位置から液滴直径の125%より遠くに着弾する液滴は1000個あたり1個未満である。最初の液滴の後、標的位置に向けられた後続の液滴は、望ましくは融合、合体、および混合して単一のより大きな液滴となりうる。理想的なケースでは、標的から外れた液滴、散乱、メイン液滴から孤立した散布的な着弾は無いべきである。標的上への液滴の配置は、可能な限り広い範囲の液滴形成時の初速度および方向、ならびに液滴飛行経路に沿った変動を許容してもよい。いくつかの例では、標的は、マイクロプレートのウェル、マイクロ流体デバイス、または分析機器に関連付けられた入口またはオリフィスでありうる。液滴は、入口またはオリフィスの側面または壁に衝突することなく、標的に適切に到達するサイズでありうる。例えば、オリフィスは、液滴の直径の約150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%以上といった、液滴の直径の約130%以上の直径、または液滴の直径の約130%から約1000%までの直径を有しうる。
【0027】
場合によっては、標的は、質量分析計(例えば、質量分析計のオープンポートプローブ(OPP)インターフェース)または他の分析機器もしくはシステムと関連付けられうる。OPPの開口部は、キャピラリとハウジングとの(キャピラリ軸に沿った)同軸配置によって少なくとも部分的に画定されうる。いくつかのそのようなケースは、OPP内における正確な液滴配置を保証するために、渦コア(キャピラリ軸)からの液滴直径の約125%以下の液滴配置公差が望ましい特徴となる。このような場合、標的位置から液滴直径の125%を超える位置に液滴を配置すると、質量分析計でのイオン数が減り、電荷量が増加する可能性がある。液滴直径の約200%または250%を超える液滴配置では、イオン数のピークが失われるおそれがある。
【0028】
本明細書に記載の例によれば、帯電液滴管理システムは、標的と音響液滴射出システムの供給源ウェルとの間など、標的と液滴ジェネレータとの間に配置され得る。帯電液滴管理システムは、液滴ジェネレータによって射出された液滴が標的に向かって開口部を通過するように、液滴ジェネレータの射出軸(例えば、射出システムのトランスデューサ軸)と位置合わせされうる開口部を含んでいてもよい。帯電液滴管理システムは、感知もしくは検出コンポーネント、および/または制御コンポーネントの一方または両方を含みうる。いずれの場合でも、帯電液滴管理システムは、開口部を取り囲む多数のセグメント化された電極を含みうる。
【0029】
帯電液滴ディテクタとして使用する場合、帯電液滴が開口部を通過すると、電流が各セグメント化された電極において誘導され、各セグメント電流を対応する出力値に変換する回路素子を使用して検出される。出力値は、誘導電流を表す、または誘導電流に比例する誘導電流または電圧値に対応しうる。いくつかの例では、回路素子は、1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプを含みうる。本明細書における説明は、トランスインピーダンスアンプに言及する場合があるが、他の適切な回路要素がトランスインピーダンスアンプの代わりに実装されてもよい。センサコンポーネントおよび開口部の形状は既知であり、事前に定義されているため、誘導電流をモデル化して決定してもよい。例えば、セグメント化された電極における誘導電流に基づき、液滴の電荷、速度、および/または軌道を決定するために、ショックレー・ラモの定理が活用されうる。特に、誘導電流(したがって、トランスインピーダンスアンプの電圧)などの全ての値の合計は、液滴の電荷と速度に直接関係しうる。さらに、各液滴が開口部を通過するときの横方向の位置を決定するために、開口部の周囲の対向するセグメントからの信号の差が使用されうる。
【0030】
帯電液滴コントローラとして使用する場合、帯電液滴が開口部を通過するときに、帯電液滴に力を加えてその軌道を調整する電場を生成するために、各セグメント化された電極が電圧を印加されうる。2つの軸(例えば、X軸およびY軸)にわたって帯電液滴の軌道の正確な調整を可能にするために、セグメント化された電極の様々な構成が使用されうる。電圧は、1つまたは複数の電圧コントローラ、または電圧コントローラとして、または電圧コントローラの代わりに実装されうる他の適切なコンポーネントによって印加されてもよい。
【0031】
図1は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴管理デバイス110を有するシステム111を示している。本明細書で参照される全ての図と同様に、
図1は縮尺通りではなく、提示を明瞭にするために特定の寸法が誇張されている場合がある。システム111は、帯電液滴の生成のための液滴ジェネレータ101を含むことが示されている。
図1では、液滴ジェネレータ101は音響液滴射出システムとして描かれているが、そのような構成は限定されず、本明細書に記載の態様から逸脱することなく他の液滴ジェネレータが使用されてもよい。
図1に示されているシステム111は、場合によりシステム111とは別に、1つまたは複数のリザーバを有する消耗品(例えば、マイクロプレート、流体サンプルチューブ、またはウェルプレート)でありうるサンプル容器112を受け入れるように構成されている。例えば、サンプル容器112は、複数のリザーバ、すなわち2つ以上のリザーバを含み、第1のリザーバは113で指し示され、第2のリザーバは115で指し示され、各々が流体表面を有する流体、例えば、それぞれ117と119で指し示される流体表面を有する第1の流体114と第2の流体116を収容するように適合されている。第1の流体114と第2の流体116は、同じであっても異なっていてもよい。いくつかの例では、サンプル容器112は、単一のリザーバのみを含んでいてもよく、本明細書のシステムおよび方法は、単一のリザーバからの液滴射出の成功の検証、液滴の誤誘導のトラッキング、および液滴の制御を可能とするが、液滴が複数のリザーバから射出、トラッキング、および/または制御され得るシステムおよび方法が企図される。図示されているように、リザーバは実質的に音響的に区別できないように実質的に同一の構造になっているが、同一の構造は必要条件ではない。リザーバは、別個の取り外し可能なコンポーネントとして示されているが、望ましい場合は、プレートまたは他の基板内に固定されていてもよい。例えば、複数のリザーバは、ウェルプレート中に個々のウェルを含んでいてもよく、これは、必然的にではないが、アレイ状に配置されうる。リザーバ113および115の各々は、好ましくは図示されているように軸対称であり、リザーバ基部125および127からそれぞれ上方に延び、開口部129および131で終端する垂直壁121および123を有する。各リザーバ基部の材料および厚さは、音響放射がそこを通ってリザーバ内に含まれる流体へと伝達されうるようなものでありうる。
【0032】
システム111は、音響放射を生成する音響放射ジェネレータ135と、液滴が射出される流体内の流体表面付近で音響放射を集束させる集束デバイス137を含む、音響イジェクタ133を含む。
図1に示されているように、集束デバイス137は、音響放射を集束させるための凹面139を有する単一の固体片を含んでいてもよいが、集束デバイス137は、以下に述べるように他の方法で構築されてもよい。したがって、音響イジェクタ133は、リザーバウェル113および115、ひいては第1の流体114および第2の流体116にそれぞれ音響的に結合されたときに、流体表面117および119の各々から流体の液滴を射出するように、音響放射を生成および集束するように適合されている。音響放射ジェネレータ135および集束デバイス137は、デバイスの所望の性能に応じて、単一のコントローラによって制御される単一のユニットとして機能してもよく、または独立して制御されてもよい。典型的には、単一イジェクタ設計は、液滴配置の精度と液滴のサイズおよび速度の一貫性が、単一のイジェクタによってより容易に達成されるため、複数イジェクタ設計よりも好ましいが、本開示は、複数のイジェクタを使用されうることも想定している。
【0033】
様々な集束デバイス137の任意のものが、本発明と併せて使用されうることが理解されるであろう。例えば、1つまたは複数の曲面が、音響放射を流体表面近くの焦点に方向付けるために使用されうる。そのような技術の1つは、Loveladyらの米国特許第4,308,547号に記載されている。曲面を有する集束デバイス137は、OLYMPUS CORP.(マサチューセッツ州ウォルサム)によって製造されるもののような市販の音響トランスデューサの構造中に組み込まれている。さらに、音響エネルギーを物体面から所定の焦点距離に向けるためのフレネルレンズが当技術分野で知られている。例えば、Quateらの米国特許第5,041,849号を参照。フレネルレンズは、レンズに対して半径方向に変化する回折角で、音響エネルギーの相当な部分を所定の回折次数に回折させる、半径方向位相プロファイルを有していてもよい。回折角度は、回折次数内の音響エネルギーを所望の物体面上に集束させるように選択されうる。
【0034】
作動中、デバイスのリザーバウェル113および115はそれぞれ、
図1に示されているように、第1の流体114および第2の流体116で満たされている。音響イジェクタ133は、イジェクタポジショナ143を使用して位置決め可能であり、これは、例えば、音響カップリング媒体141を介してイジェクタとリザーバとの間の音響カップリングを達成するために、音響イジェクタ133を所望の位置に移動させることができるアクチュエータを含みうる。
図1において、基板145は、基板の一方の表面がリザーバに面し、その中の第1の流体114の流体表面117に実質的に平行であるか、または対向して配置されるように、第1のリザーバウェル113の上方および近傍に配置されて示されている。いくつかの実施形態において、基板145は、液滴射出のための標的領域を含むサンプル容器(例えば、マイクロプレート、サンプルチューブ)でありうる。イジェクタ、リザーバおよび基板が適切に位置合わせされた後、集束デバイス137によって第1のリザーバの流体表面117またはその近くの焦点147に向けられる音響放射を生成するために、音響放射ジェネレータ135が作動される。その結果として、液滴149が、ウェル155を含む基板145の下側表面上の指定された部位上に、流体表面117から射出される。場合によっては、放出された液滴が基板表面に保持されるのを、表面張力または毛細管力が助けるか、または引き起こすことができる。
図1には図示されていないが、本開示は、質量分析計(例えば、OPP)などの分析デバイス、システム、もしくは機器、または他の適切な標的のインターフェースが、基板145を置き換えうることを企図している。
【0035】
システム111は、第2の指定された部位でリザーバ115からの液滴を受け取るために、リザーバ115上に基板145を再配置するように調整されうる基板ポジショニングデバイス150を含む。例えば、音響イジェクタ133は、イジェクタポジショナ143によって、リザーバ115の下に、それに音響カップリング媒体141によって音響的にカップリングされた関係に再配置され得る。適切に位置合わせされた後、音響イジェクタ133の音響放射ジェネレータ135が、
集束デバイス137によって第2の流体116の流体表面119またはその近くの焦点148へと次いで方向付けられる音響放射を生成し、それによって追加の液滴をウェル157の基板145上に射出するために、作動させられ得る。そのような動作は、基板145上にパターン、例えばアレイを形成するために、リザーバから複数の流体を射出するために、デバイスがどのように使用されうるかを例示するものであることが理解されよう。また、デバイスは、1つまたは複数のリザーバから基板145の同じ部位に複数の液滴を射出するように適合されうることも理解されよう。
【0036】
図1は特定の構成を例示しているが、本開示は、開示された概念を適宜容易に適応させうる、あらゆる適切な構成を企図している。例えば、システム111は、異なる様式で配向されていてもよい(例えば、液滴が下方に射出されるように音響イジェクタ133が基板145の上に配置される、または液滴が側方に射出されるように音響イジェクタ133が基板145の側面に配置される)。
【0037】
図示されているように、システム111は、そこを通過する帯電液滴の速度または方向を感知、検出、特徴付け、偏向、および/または操作することができる帯電液滴管理デバイス110を含む。いくつかの実施形態では、帯電液滴管理デバイス110は、以下にさらに説明するように、1つまたは数個の導電層を含みうる。いくつかの実施形態では、システム111は、射出前、射出中、または射出後に液滴149に電荷を適用または付与しうる。したがって、液滴149は正味電荷を帯びうる。正味電荷は、帯電液滴管理デバイス110の1つまたは複数の層に電圧を印加することによって液滴上に誘導されうる。電圧は、流体メニスカスに電場を発生させ、射出された液滴に正味電荷を誘導しうる。いくつかの例では、外部電場なしで、液滴の自然電荷が測定されうる。そのような正味電荷は、例えば、
図1の流体114に電圧または電荷(例えば、1.5kVバイアス)を直接印加すること、リザーバと帯電液滴管理デバイス110との間に配置された基準電圧、例えば、高電圧に保持された追加のバイアス導電層に液滴を通過させること、または帯電液滴管理デバイス110の全体または帯電液滴管理デバイス110の一部に電圧バイアスを印加することによって、付与されうる。
【0038】
帯電液滴に付与される電荷は、流体114またはメニスカスにおける電圧および/または電場に応じて、正または負となりうる。場合により、液滴に与えられる電荷の極性は、例えば、正から負へ、または負から正へと変化しうる。極性は、例えば、電圧の極性を切り替えるなどにより、液滴生成中に流体またはメニスカスにおける電圧および/または電場を調整することによって変更されてもよい。極性は、周期的または非周期的に変更されてもよい。場合によっては、液滴の生成中に極性を変えることにより、標的(例えば、基板145)での電荷の蓄積を減少させることができるが、これは、負に帯電した液滴が標的で以前に発生して蓄積された正電荷を打ち消すことができ、かつ/または正に帯電した液滴が標的で以前に発生して蓄積された負電荷を打ち消すことができるためである。帯電液滴管理デバイス110による帯電液滴の感知または制御のために、正または負に帯電した液滴の検出または制御に適した電圧を使用する操作は、生成される液滴の極性と同期され得る。帯電液滴を質量分析計または他の分析システムへと方向付ける際に使用する場合、正または負に帯電した液滴を分析するための質量分析計または他の分析システムの操作は、生成された液滴の極性と同期され得る。
【0039】
帯電液滴管理デバイス110は、開口部109を含み、それを通して液滴149が第1のリザーバウェル113からウェル155へと移動する。開口部109は、音響イジェクタ133のトランスデューサ軸118と位置合わせされる。限定されるものではないが、帯電液滴管理デバイスの開口部は、1mmから5mm、またはそれ以上、例えば1mmから1.5mm、1.5mmから2mm、2mmから2.5mm、2.5mmから3mm、3mmから3.5mm、3.5mmから4mm、4mmから4.5mm、または4.5mmから5mmの直径を有しうる。いくつかの例では、帯電液滴管理デバイスの開口部は、液滴の直径よりも大きい直径を有していてもよく、例えば、開口部は、液滴の直径の約120%以上または約500%未満の直径を有する場合などである。限定されるものではないが、開口部は、液滴の直径の約120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、225%、250%、275%、300%、325%、350%、375%、400%、425%、450%、475%、または500%以上の直径を有しうる。場合によっては、開口部の直径は、液滴の直径の500%より大きくてもよく、例えば、開口部の直径は、液滴の直径の3000%または5000%またはそれ以上の大きさであってもよい。
【0040】
いくつかの例では、帯電液滴管理デバイス110は、第1のリザーバウェル113の表面に対して平行に、または一定の角度をなして配置されうる。いくつかの例では、帯電液滴管理デバイス110は、第1のリザーバウェル113に対して一定の角度をなして、斜めに配置されうる。
【0041】
帯電液滴管理デバイス110は、本明細書において帯電液滴ディテクタまたは帯電液滴センサと呼ばれる構成において、帯電液滴の感知、検出、または特性評価に使用されうる。帯電液滴管理デバイス110は、代替的または追加的に、本明細書で帯電液滴コントローラと呼ばれる構成において、帯電液滴の方向、速度、または軌道を制御するために使用されうる。帯電液滴ディテクタまたは帯電液滴センサは、帯電液滴の横方向(例えば、X、Y)の位置を決定するなど、開口部109を通過する帯電液滴の位置を同定するのに有利に有用でありうる。さらに、帯電液滴ディテクタは、速度、液滴のタイミング(例えば、開口部への到達)、総液滴電荷、および/または1つまたは複数の帯電サテライト液滴の存在を決定するために使用されうる。帯電液滴コントローラは、帯電液滴を操縦するために力(例えば、衝撃力)を加えることによって(例えば、横方向に偏向を生じさせることによって)、帯電液滴の軌道を調整するのに有利に有用でありうる。
【0042】
フィードバックシステムは、帯電液滴ディテクタを用いて帯電液滴の横方向の位置を決定し、帯電液滴の横方向の位置に基づいて決定される電圧信号などのステアリング信号を帯電液滴コントローラに提供することを可能にするように、帯電液滴管理デバイス110と共に、または帯電液滴管理デバイス110の一部として含まれていてもよい。このようにして、帯電液滴管理デバイス110は、誤った方向に向けられた帯電液滴を同定し、それらが意図された標的に受け取られるようにその軌道を調整することができる。例えば、以下でさらに詳細に説明するように、帯電液滴管理デバイス110の帯電液滴ディテクタコンポーネントを使用して、帯電液滴の通過による電流および/または電圧波形を生成し、そのような波形を信号処理コンポーネントに提供して、帯電液滴ディテクタで帯電液滴の位置を抽出することができる。帯電液滴管理デバイス110の帯電液滴コントローラコンポーネントに印加する適切なステアリング電圧を決定するために、帯電液滴ディテクタの位置が、信号処理コンポーネントまたは他の処理コンポーネントなどによってさらに分析および/または使用され得る。いくつかの例では、ステアリング電圧は、位置が入力として提供され、ステアリング電圧が出力として提供されるルックアップテーブルまたは関数を使用して決定されてもよい。
【0043】
いくつかの例では、帯電液滴ディテクタと帯電液滴コントローラの両方が使用されうるが、これらは、単一の帯電液滴管理デバイスに統合されていても、または別個のコンポーネントとして組み込まれていてもよい。
図2は、
図1に示されているシステム111と同じであっても異なっていてもよい例示的なシステム211を示しているが、このシステム211は、液滴ジェネレータ101および基板145を含むシステム111に示されている他のコンポーネントに加えて、帯電液滴ディテクタ210Aおよび帯電液滴コントローラ210Bを含んでいる。図示されている構成では、帯電液滴ディテクタ210Aは、液滴ジェネレータ101の近くに配置され、帯電液滴コントローラ210Bは、基板145の近くに配置され、それぞれの開口部209Aおよび209Bは、液滴249が、軸218に沿って基板145に向かって移動する際に、開口部209Aおよび209Bの両方を通過するように互いに対して配置されている。そのような構成は、限定的となることを意図したものではない。例えば、代わりに、帯電液滴コントローラ210Bが、液滴ジェネレータ101により近い位置に配置され、帯電液滴ディテクタ210Aが、基板145により近い位置に配置されてもよい。いくつかの例では、帯電液滴ディテクタ210Aのみが使用され、帯電液滴コントローラ210Bは存在しない。他の例では、帯電液滴コントローラ210Bのみが使用され、帯電液滴ディテクタ210Aは存在しない。場合により、複数の帯電液滴ディテクタ210Aが使用されてもよい。場合により、複数の帯電液滴コントローラ210Bが使用されてもよい。いくつかの例では、2つの帯電液滴ディテクタ210Aが、それらの間にある単一の帯電液滴コントローラ210Bと共に使用され得る。そのような構成は、いくつかの例では、第1の帯電液滴ディテクタにより帯電液滴の位置を検出して、帯電液滴コントローラにより帯電液滴の軌道を修正し、そして軌道修正後に、第2の帯電液滴ディテクタにより帯電液滴の位置を検出するのに有用となりうる。帯電液滴管理デバイスのコンポーネント間(例えば、帯電液滴ディテクタ210Aと帯電液滴コントローラ210Bの間)の任意の適切な間隔または距離が使用されうる。いくつかの例では、帯電液滴ディテクタ210Aと帯電液滴コントローラ210Bとの間の間隔は、開口部209Aおよび/または開口部209Bの直径の25%から400%でありうる。いくつかの例では、帯電液滴管理システムのコンポーネント(例えば、帯電液滴ディテクタおよび/または帯電液滴コントローラ)間の間隔は、0.1mmから10mm、またはそれ以上、例えば、0.1mmから0.5mm、0.5mmから1mm、1mmから1.5mm、1.5mmから2mm、2mmから2.5mm、2.5mmから3mm、3mmから3.5mm、3.5mmから4mm、4mmから4.5mm、4.5mmから5mm、5mmから5.5mm、5.5mmから6mm、6mmから6.5mm、6.5mmから7mm、7mmから7.5mm、7.5mmから8mm、8mmから8.5mm、8.5mmから9mm、9mmから9.5mm、または9.5mmから10mmでありうる。いくつかの例では、帯電液滴管理システムのコンポーネント間の間隔は、液滴の直径と同じかそれより大きくてもよく、例えば、間隔は液滴の直径よりも大きいか、その約100%であるか、それ以上でありうる。限定されるものではないが、帯電液滴管理コンポーネント間の間隔は、液滴の直径の約50%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1500%、2000%、3000%、4000%、もしくは5000%であるか、またはそれ以上である。
【0044】
帯電液滴ディテクタを使用した帯電液滴の感知、検出、または特性評価では、帯電液滴149または249が開口部109または209Aを通って移動するときに、帯電液滴ディテクタの導電層に電流が誘導される。誘導電流の大きさは、
図3に示されるセグメント366A、366B、366C、および366D、ならびに
図5に示されるセグメント566A、566B、566C、および566Dのような、ディテクタプレートまたはそのセグメントからの帯電液滴の相対位置に関連しうる。例えば、より大きな誘導電流を生成するセグメントは、他のセグメントよりも液滴149に相対的に近い可能性があり、異なるセグメントの誘導電流間の差分を決定することによって、液滴149が開口部109を通過する際の液滴149の二次元位置(例えば、X-Y)と、通過したディテクタプレートのセグメントを同定するために使用され得る重み付けまたはスケーリング係数が生成されうる。
【0045】
図2に示されているように、帯電液滴249は、帯電液滴249の意図された標的位置を表す軸218からシフトしたウェル155に到達するような軌道を有する(例えば、帯電液滴コントローラ209Bによる影響がない場合)。開口部209Aにおける軸218からの帯電液滴の横方向のずれは、帯電液滴ディテクタ210Aを使用して決定することができ、そのような横方向のずれを使用して、帯電液滴コントローラ210Bのコンポーネントに印加する電圧を決定し、帯電液滴249の軌道をウェル155の標的位置に戻す方向に偏向させる電場を開口部209Bに生成することができる。
。
【0046】
図3は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタ310の導電層の分解図を示している。帯電液滴ディテクタ310は、
図1の帯電液滴管理デバイス110の一実施態様に対応しうる。帯電液滴ディテクタ310は、第1の導電層360、第2の導電層362、およびセンサ層361を含む。帯電液滴349が帯電液滴ディテクタ310の開口部、例えば、開口部363、364、および365を含む、または含有する開口部を通過すると、センサ層361の各セグメント(例えば、
図3のセグメント366A、366B、366C、および366D)に誘導電流が発生する。間隔または絶縁領域307は、セグメント366A、366B、366C、および366Dの間に配置されて、セグメントを互いに電気的に絶縁する。各セグメント366A、366B、366C、366Dにおける誘導電流の量は、帯電液滴349が開口部364を通過するときの横方向の位置およびセグメントの相対的なサイズに依存しうる。各セグメントにおけるこの誘導電流は、1つまたは複数の回路素子を使用して測定されうる。例えば、トランスインピーダンスアンプが各セグメントに接続されていてもよく、そのようなトランスインピーダンスアンプは、測定可能な各セグメントからの電圧出力を生成しうる。当業者であれば分かるように、そのような電圧出力は、オームの法則の適用により、トランスインピーダンスアンプのフィードバック抵抗を介して、ディテクタセグメント内の誘導電流に直接的に関係付けられうる。したがって、本開示は、帯電液滴ディテクタまたは関連するシステムが、誘導電流を導き出すことができる電圧、電流、またはその他の測定値を測定しうることを想定している。この開示は、任意の適切な電圧/電流/電荷測定回路素子が使用されうることを想定しているが、出力電圧を測定するためにトランスインピーダンスアンプを使用する例が、一例として提供される。
【0047】
開口部364の正確な中心を通過する液滴は、セグメントの寸法が等しい場合、4つのセグメント366A、366B、366C、366D全てに等しい電流を誘導し、したがって、セグメントに接続されたトランスインピーダンスアンプのそれぞれの出力において等しい電圧を誘導する。開口部の中心から誤った方向に向けられ、別のものよりも1つのセグメントの近くを通過する液滴は、それがデバイス中を移動する際に、近くを通過するセグメントではより大きな電流を誘導し、遠方を通過するセグメントではより小さな電流を誘導することになる。誘導電流のこれらの違いは、例えばショックレー・ラモの定理を用いて、当業者によって十分にモデル化されうる。同様に、誘導電流の差は、非等価セグメント366A、366B、366Cおよび366Dについて、それらの大きさの差をモデルの中で考慮することによって、当業者によって十分にモデル化されうる。様々なセグメントから検出された信号間の差を測定し、例えば、全てのセンサからの信号の合計、および/または各セグメントが占める開口部の周囲部分により、またはモードから決定される何らかのより複雑な方法により、適切に正規化または重み付けすることによって、帯電液滴ディテクタ310の開口部364を通過する液滴の横方向の位置を抽出してもよい。差分信号を使用して測定される開口部中心からの液滴の横方向の位置ずれに起因するわずかな補正を加えて、全てのセンサからの総和信号から液滴の総電荷、または液滴の総電荷に比例する信号を抽出してもよい。
【0048】
いくつかの例では、対向するセグメント、例えば、X軸および/またはY軸に沿って対向するセグメント(例えば、
図3を参照すると、対向するセグメント366Aおよび366C、対向するセグメント366Bおよび366D)から検出される信号間の測定電流の差を測定し、適切に正規化または重み付けすることによって、例えば、センサ層361の全てのセグメントからの総和信号によって、または各セグメントによって占められる周囲部分に特有の、もしくはセグメントの他の側面または挙動に特有の重み付け係数を使用することによって、液滴が帯電液滴ディテクタ310の開口部364を通過するときのその横方向(例えば、X、Y)の位置を抽出することができる。場合によっては、差分信号を使用して測定される開口部中心からの液滴の横方向の位置ずれに起因するわずかな補正を加えて、全てのセグメントからの総和信号を使用するなどして、液滴電荷を抽出することもできる。液滴の横方向の位置と液滴の電荷の両方の測定は基本的なことであり、その形状の知識とトランスインピーダンスアンプの電流-電圧変換特性の知識以外には、センサの較正を必要としない場合があるが、いくつかの例では較正が使用されてもよい。
【0049】
いくつかの例では、液滴がセンサデバイス310の開口部を通過するときに液滴を追跡するために、追加のセンサ層361が、液滴349の移動軸に対して垂直に一緒に積層されていてもよい。本明細書で説明する例は、トランスインピーダンスアンプからの電圧を測定することによって、誘導電流を決定または推測することに焦点を当てているが、本開示は、誘導電流が決定され得る任意の適切な値を測定することを想定している。
【0050】
図4は、帯電液滴ディテクタ410の側面図を示しており、少なくともいくつかの例によれば、この帯電液滴ディテクタは、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴ディテクタ210A、または
図3の帯電液滴ディテクタ310のコンポーネントとは異なっていても、あるいは同じであってもよい。帯電液滴ディテクタ410の層が示されているが、いくつかの例では追加の層が実装されていてもよい。いくつかの例では、帯電液滴ディテクタ410は、印刷および/またはシルクスクリーン印刷されたトップ層470、ならびにソルダーマスク層469および471を含むプリント回路基板であるか、またはそれを含みうる。帯電液滴ディテクタ410のプリント回路内には、
図3の帯電液滴ディテクタ310のコンポーネントを参照して上述したように、導電層460および462と、センサ層461(それ自体が導電層である)がある。絶縁層467および468は、導電層460および462とセンサ層461とを電気的に絶縁するために、導電層460および462とセンサ層461の間に配置される。全ての層は、帯電液滴ディテクタ410を通過する開口部409を画定する。
【0051】
絶縁層467および468、導電層460および462、ならびにセンサ層461はそれぞれ、任意の適切な厚さを有しうる。例えば、帯電液滴ディテクタ内の絶縁層および/または導電層(センサ層を含む)は、0.1mmから5mm、例えば0.1mmから1.0mmまたはそれ以上、例えば、0.1mmから0.2mm、0.2mmから0.3mm、0.3mmから0.4mm、0.4mmから0.5mm、0.5mmから0.6mm、0.6mmから0.7mm、0.7mmから0.8mm、0.8mmから0.9mm、0.9mmから1mm、1mmから1.1mm、1.1mmから1.2mm、1.2mmから1.3mm、1.3mmから1.4mm、1.4mmから1.5mm、1.5mmから1.6mm、1.6mmから1.7mm、1.7mmから1.8mm、1.8mmから1.9mm、1.9mmから2mm、2mmから2.1mm、2.1mmから2.2mm、2.2mmから2.3mm、2.3mmから2.4mm、2.4mmから2.5mm、2.5mmから2.6mm、2.6mmから2.7mm、2.7mmから2.8mm、2.8mmから2.9mm、2.9mmから3mm、3mmから3.1mm、3.1mmから3.2mm、3.2mmから3.3mm、3.3mmから3.4mm、3.4mmから3.5mm、3.5mmから3.6mm、3.6mmから3.7mm、3.7mmから3.8mm、3.8mmから3.9mm、3.9mmから4mm、4mmから4.1mm、4.1mmから4.2mm、4.2mmから4.3mm、4.3mmから4.4mm、4.4mmから4.5mm、4.5mmから4.6mm、4.6mmから4.7mm、4.7mmから4.8mm、4.8mmから4.9mm、4.9mmから5mmの厚さを有しうる。場合によっては、導電層および絶縁層の厚さは、これらの範囲外に及んでもよく、特に、導電層の厚さは0.2mm未満または0.1mm未満であってもよい。いくつかの例では、導電層または絶縁層の厚さは、液滴の直径と同じかそれより大きくてもよく、例えば、厚さは液滴の直径より大きいか、その約100%であるか、またはそれ以上でありうる。限定されるものではないが、導電層または絶縁層の厚さは、液滴の直径の約50%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、1000%、1500%、2000%、3000%、4000%、もしくは5000%であるか、またはそれ以上である。場合によっては、開口部の直径と1つまたは複数の絶縁層の厚さの比は、0.25から4でありうる。場合によっては、開口部の直径と1つまたは複数の導電層の厚さの比は、0.25から4でありうる。場合により、導電層の厚さは、プリント回路基板を含む帯電液滴管理デバイスの場合などでは、銅箔または銅めっきの厚さが標準化されている場合があり(例えば、約35μm、約70μm、約105μm、または約140μmの銅層の厚さ)、製造によって規定されうる。いくつかの例では、各絶縁層の厚さは同じであるが、それらは場合により異なっていてもよい。いくつかの例では、センサ層を含む各導電層の厚さは同じであるが、それらは場合により異なっていてもよい。いくつかの例では、導電層と絶縁層の厚さは互いに異なっているが、それらは場合により同じであってもよい。
【0052】
図4のディテクタは、合計3つの電極層とセンサ層を示しているが、いくつかの例では、追加の導電層もしくはより少ない導電層、ならびに/または追加のセンサ層が含められうる。いくつかの例では、導電層460および462ならびにセンサ層461を含む層ならびに他の層は、非平行に配置されて、層が平行な平面に沿っていなくてもよく、これは、帯電液滴位置の三次元検出に有用でありうる。いくつかの実施形態では、センサ層461ならびに導電層460および462は、例えば銅などの金属であるか、またはそれを含む。センサ層461ならびに導電層460および462は、0.5cmから5cm(例えば、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1.0cm、1.1cm、1.2cm、1.3cm、1.4cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cm、4.5cm、または5cm))などの任意の適切な横寸法を有しうるが、より大きいかまたはより小さい寸法で実装されてもよい。いくつかの例では、トランスインピーダンスアンプへの電気的接続を提供するために、センサ層461、またはセンサ層461のセグメントなどのそのコンポーネントは、導電層460および462よりも大きな横寸法を有していてもよい。帯電液滴感知の場合、導電層460および462は、接地されるなどして基準電位に電気的に結合され得る一方、センサ層461は、トランスインピーダンスアンプなどの電荷感知回路またはプリアンプに電気的に結合される。トランスインピーダンスアンプの積分回路は、誘導電流を検出可能な電圧出力に変換するために使用され得る。絶縁層467および468は、(例えば、一部のプリント回路基板で使用されるような)ラミネートなどの適切な誘電体および/または絶縁材料から形成されうる。
【0053】
図5は、
図1の帯電液滴管理デバイス110の帯電液滴ディテクタ、
図2の帯電液滴ディテクタ210A、
図3の帯電液滴ディテクタ310、または
図4の帯電液滴ディテクタ410など、少なくともいくつかの実施例に従う帯電液滴ディテクタのセンサ層561の上面図を示している。センサ層561は、いくつかの実施形態では、帯電液滴ディテクタ510の開口部509の少なくとも一部でありうる開口部564を画定し、2mmの直径を有しうる。いくつかの例では、直径は2mmより大きくても小さくてもよい。センサ層561のセグメント566A、566B、566C、および566Dは、層を開口部564を取り囲む等しいサイズのセグメントに分割し、各セグメントは場合により、開口部564の周囲の等しい部分を提供するが、そのような構成は限定を意図するものではなく、セグメントの任意の適切な寸法または構成が使用されうる。間隔または絶縁領域507は、セグメント566A、566B、566C、および566Dの間に配置されて、セグメントを互いに電気的に絶縁する。セグメント566A、566B、566C、566Dのそれぞれは、後述のように、対応するトランスインピーダンスアンプ573A、573B、573C、573Dに接続され、セグメント566A、566B、566C、566Dのそれぞれにおける誘導電流に比例した電圧を出力する。いくつかの例では、開口部564を通過する液滴上の総電荷を決定するために、単一のトランスインピーダンスアンプまたは複数のトランスインピーダンスアンプが使用されうる。
【0054】
図6は、少なくともいくつかの例に従う、センサ層の電気的接続を示す帯電液滴ディテクタ510の断面図を示している。帯電液滴ディテクタ510は、2つの絶縁層567および568によって分離された3つの導電層560、561および562を含む、
図4に関して説明したのと同じ層を有するように示されている。いくつかの実施形態では、帯電液滴ディテクタ510の全体の厚さは約1mmであるが、1mmより大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、層は全て200マイクロメートル(0.008インチ)の厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、全体の厚さは約2mmでありうる。帯電液滴ディテクタ510は、液滴が開口部509を通って上方に移動するように、帯電液滴の供給源と標的との間に取り付けられうる。ディテクタを帯電液滴供給源の上にX-Y-Zで位置決めし、開口部509をトランスデューサ軸に位置合わせするためのマウントは示されていない。
【0055】
液滴感知のために、2つの導電層560および562、ならびにセンサ層561などの任意の他の層が、高電圧源などの基準電圧に電気的に結合され得るか、またはそれに対してバイアスされていてもよく、センサ層561のセグメント566A、566B、566C、および566Dの各々は、誘導電流または電圧などの信号を生成するために、トランスインピーダンスアンプなどの回路素子に電気的に結合され得る。導電層560および562ならびにセンサ層561のそれぞれは、帯電液滴を生成しない液滴ジェネレータの場合など、液滴が開口部564を通過するときに液滴上に電荷を生成するために、場合により高電圧にバイアスされていてもよい。いくつかの例では、高電圧は、ワイヤメッシュグリッドを使用して標的に印加されても、またはオープンポートプローブに直接印加されてもよい。液滴が開口部564を通過するとき、電圧バイアスから生じる電場は、帯電液滴に力を加えうるが、これは、望ましくない様式で液滴を加速、減速させ、その軌道を偏向させるおそれがある。したがって、液滴ジェネレータと標的との間の軸に沿った均一な電場など、液滴の軌道に沿った均一な電場が有利となる。いくつかの例では、導電層560および562のうちの1つまたは複数、または他の任意の導電層は、フローティングおよび/または基準(例えば、接地)電圧にされてもよい。本明細書で提供および説明される例には、高電位にバイアスされた流体リザーバが含まれうるが、その一方で、帯電液滴ディテクタ510は基準電位または接地電位にある。射出された液滴に帯電を誘導するために、帯電液滴ディテクタ510を高電圧にバイアスするなどの他の実装が使用されうること、また、それが本明細書に記載のシステムおよび方法での使用に適しうることが理解されるであろう。
【0056】
いくつかの例では、
図6には1つのトランスインピーダンスアンプ573のみが示されているが、各セグメント566A、566B、566C、および566Dは、場合により1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプを含みうるトランスインピーダンスアンプに関連付けられうる。
図5に示されている例では、4つのトランスインピーダンスアンプ573A、573B、573C、573Dが示されており、それぞれがセンサ層561の対応するセグメントに結合されている。いくつかの例では、センサ層561は、任意の数のセグメントから構成することができ、各セグメントは、対応するトランスインピーダンスアンプまたは他の回路素子に結合されていてもよい。いくつかの実施形態では、トランスインピーダンスユニット573は、0.5pFのCfおよび1ギガオームのRfなどのフィードバックコンポーネントを有するペルチェ冷却入力トランジスタを含み得る。トランスインピーダンスユニット573の積分回路は、帯電液滴549によって誘導されたセンサ層561のセグメント内の電流を電圧出力へと変換する。
【0057】
図7は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴コントローラ710の層の分解図を示している。帯電液滴コントローラ710は、
図1の帯電液滴管理デバイス110の一実施態様に対応しうる。帯電液滴コントローラ710は、第1の導電層760、第1の支持層または絶縁層761、第2の導電層762、および第2の支持層または絶縁層763を含む。セグメント化されていてもよい帯電液滴コントローラの導電層は、本明細書では導電制御層と呼ばれる場合がある。帯電液滴749が、帯電液滴コントローラ710の開口部、例えば、開口部764、765、766、および767を含むまたは包含する開口部を通過すると、導電層760または762の対向するセグメント間、例えば、第1の導電層760のセグメント768Aと768Bとの間、および第2の導電層762のセグメント768Cと768Dとの間に、電場が印加されうる。
【0058】
電場は、導電層内の対向するセグメントのそれぞれを異なる相対電圧に保持することによって印加されうる。図示されているように、第1の導電層760のセグメント768Aおよび768Bは、X方向に沿った電場を生成し、X方向に沿った帯電液滴749の偏向を誘導しうる一方、第2の導電層762のセグメント768Cおよび768Dは、Y方向に沿った電場を生成し、Y方向に沿った帯電液滴749の偏向を誘導しうる。
図7には、セグメント768A、768B、768C、および768Dが別々の導電層762に配置されるものとして示されているが、いくつかの帯電液滴コントローラでは、帯電液滴の軌道を修正するためのセグメントが、全て同じ平面または層に配置されていてもよい。さらに、4つのセグメントが示されているが、任意の適切な数のセグメントを使用することができ、様々なセグメント間の電圧を調整して、帯電液滴が開口部を通過するときにその軌道を修正する適切な電場を生成することができる。さらに、
図7には2つの支持層または絶縁層761および763が示されているが、任意の適切な数の支持層または絶縁層が使用されうる。例えば、いくつかの構成は、いかなる支持層または絶縁層も使用しないことがある(例えば、導電層がそれ自身の支持構造を提供する場合)。他の例では、支持体または絶縁層を1つだけ使用してもよい(例えば、導電層のセグメントが、全て同じ平面または層にあり、単一の支持体または絶縁層によって支持される場合)。
【0059】
場合により、帯電液滴が開口部を通過する際の軌道を調整するために使用される導電層以外にも、追加の導電層が帯電液滴コントローラにおいて使用されうる。いくつかの例では、
図3に示されている導電層362および360と同様な1つまたは複数の接地または基準導電層が、セグメントを含む一次導電層の上および/または下に配置され、帯電液滴の軌道を修正するために使用されうる。そのような接地導電層または基準導電層の使用は、セグメント化された導電層によって生成される電場の範囲が、開口部を有意に超えて広がるのを制限するのに有用となりうる。いくつかの例では、帯電液滴コントローラの全てのコンポーネントが、地面よりも高い、もしくは低い相対電位に、および/または液滴ジェネレータもしくは標的の電位に対して、バイアスされていてもよい。各セグメントに印加される電圧は、帯電液滴コントローラ710の一部として統合されているか、または外部回路によって提供される、1つまたは複数の電圧コントローラまたは電圧ジェネレータを使用して制御されうる。
【0060】
導電層760および762は、
図7では平面として示されている一方で、絶縁層761は特定の厚さで示されているが、任意の適切な厚さ寸法が使用され得る。例えば、帯電液滴コントローラ内の絶縁層および/または導電層は、0.1mmから5mm、例えば0.1mmから1.0mmまたはそれ以上、例えば、0.1mmから0.2mm、0.2mmから0.3mm、0.3mmから0.4mm、0.4mmから0.5mm、0.5mmから0.6mm、0.6mmから0.7mm、0.7mmから0.8mm、0.8mmから0.9mm、0.9mmから1mm、1mmから1.1mm、1.1mmから1.2mm、1.2mmから1.3mm、1.3mmから1.4mm、1.4mmから1.5mm、1.5mmから1.6mm、1.6mmから1.7mm、1.7mmから1.8mm、1.8mmから1.9mm、1.9mmから2mm、2mmから2.1mm、2.1mmから2.2mm、2.2mmから2.3mm、2.3mmから2.4mm、2.4mmから2.5mm、2.5mmから2.6mm、2.6mmから2.7mm、2.7mmから2.8mm、2.8mmから2.9mm、2.9mmから3mm、3mmから3.1mm、3.1mmから3.2mm、3.2mmから3.3mm、3.3mmから3.4mm、3.4mmから3.5mm、3.5mmから3.6mm、3.6mmから3.7mm、3.7mmから3.8mm、3.8mmから3.9mm、3.9mmから4mm、4mmから4.1mm、4.1mmから4.2mm、4.2mmから4.3mm、4.3mmから4.4mm、4.4mmから4.5mm、4.5mmから4.6mm、4.6mmから4.7mm、4.7mmから4.8mm、4.8mmから4.9mm、4.9mmから5mmの厚さを有しうる。場合によっては、導電層および絶縁層の厚さは、これらの範囲外に及んでもよく、特に、導電層の厚さは0.2mm未満または0.1mm未満であってもよい。場合によっては、開口部の直径と1つまたは複数の絶縁層の厚さの比は、0.25から4でありうる。場合によっては、開口部の直径と1つまたは複数の導電層の厚さの比は、0.25から4でありうる。場合により、導電層の厚さは、プリント回路基板を含む帯電液滴管理デバイスの場合などでは、銅箔または銅めっきの厚さが標準化されている場合があり(例えば、約35μm、約70μm、約105μm、または約140μmの銅層の厚さ)、製造によって規定されうる。いくつかの例では、各絶縁層の厚さは同じであるが、それらは場合により異なっていてもよい。いくつかの例では、各導電層(複数の導電層が存在する場合)の厚さは同じであるが、それらは場合により異なっていてもよい。いくつかの例では、導電層と絶縁層の厚さは互いに異なっているが、それらは場合により同じであってもよい。いくつかの例では、導電層が厚くなると、帯電液滴が電場と相互作用する時間が長くなるため、帯電液滴に強い軌道変化を与えるために、0.1mmまたは0.2mmを超える厚さの導電層の使用が有用となりうる。そのようなケースは、いくつかの例ではセグメント化されているが、円筒形の開口部を有する導電層としてみなされうる。
【0061】
第1の導電層760のセグメント768Aおよび768Bと、第2の導電層762のセグメント768Cおよび768Dとの間に生成される電場の強度は、例えば、各セグメントの相対電圧または対向するセグメント間の電圧差によって規定されうる。いくつかの例では、対向するセグメント間に任意の適切な電圧差が印加されうるが、非常に高い電圧は、空気を分解して静電気放電を引き起こすのに十分な電場を生成するおそれがあり、そのような状態は回避することが望ましい。いくつかの例では、異なるセグメント間の相対電圧は、セグメントの形状に応じて、0Vから500V以上でありうる。異なるセグメント間の相対電圧の例は、0Vから25V、0Vから50V、0Vから75V、0Vから100V、0Vから125V、0Vから150V、0Vから175V、0Vから200V、0Vから225V、0Vから250V、0Vから275V、0Vから300V、0Vから325V、0Vから350V、0Vから375V、0Vから400V、0Vから425V、0Vから450V、0Vから475V、または0Vから500Vでありうる。セグメント間の電圧差が大きいほど、電場が強くなり、軌道調整がより大きくなることが理解されるであろう。
【0062】
例えば、帯電液滴コントローラの異なるセグメントに印加される電圧を必要な軌道の調整に基づいて決定および選択できるようにするために、フィードバック機構が本明細書に記載のシステム、技術、デバイス、および方法において実装されてもよい。例えば、本明細書に記載の帯電液滴ディテクタを用いるなどして帯電液滴の位置を測定し、システムおよび標的の固定または既知の形状パラメータを用いることにより、帯電液滴コントローラ内の異なるセグメントへの印加に必要な電圧を決定することができる。例えば、帯電液滴ディテクタと帯電液滴コントローラの開口部を帯電液滴ジェネレータの射出軸と一致させ、さらに標的と一致させたとすると、帯電液滴ディテクタと帯電液滴コントローラの開口部の正確な中心を通過する液滴は、軌道調整を何ら必要としないため、帯電液滴コントローラのセグメントに印加される電圧は、軌道に偏向が加えられないように、非常に小さい電場またはゼロ電場を生じるように選択され得る。別の例では、開口部の中心から誤った方向に向けられ、別のものよりも1つのセグメントの近くを通過する液滴は、帯電液滴ディテクタによってその位置が同定され、これは、軸上で標的に到達するように帯電液滴の軌道を修正するために帯電液滴コントローラのセグメントに適用する適切な電圧の決定および選択を可能とする。いくつかの例では、帯電液滴ディテクタにおいて決定された帯電液滴の位置に基づいて、帯電液滴コントローラの異なるセグメントに印加すべき電圧を生成するために、ルックアップテーブルまたは適合した分析ソリューションが使用されうる。
【0063】
図8は、帯電液滴コントローラ810の側面図を示しており、少なくともいくつかの例によれば、この帯電液滴ディテクタは、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴コントローラ210B、または
図7の帯電液滴コントローラ710のコンポーネントとは異なっていても、あるいは同じであってもよい。帯電液滴コントローラ810の層が示されているが、いくつかの例では追加の層が実装されていてもよい。いくつかの例では、帯電液滴コントローラ810は、印刷および/またはシルクスクリーン印刷されたトップ層870、ならびにソルダーマスク層869および871を含むプリント回路基板であるか、またはそれを含みうる。帯電液滴コントローラ810のプリント回路内には、
図7の帯電液滴コントローラ710のコンポーネントを参照して上述したように、導電層860と862がある。絶縁層861および863は、導電層860および862を互いに支持および/または電気的に絶縁するように、導電層860と862の間に配置される。全ての層は、帯電液滴ディテクタ810を通過する開口部809を画定する。絶縁層861および863は、いくつかの例では、0.1ミリメートルから1.0ミリメートルの間の厚さを有しうる。
図8の帯電液滴コントローラ810は、合計2つの導電層および合計2つの絶縁層を示しているが、他の例では、より多いかまたはより少ない導電層および/または絶縁層が含まれていてもよい。いくつかの例では、導電層860および862ならびに絶縁層861および863を含む層ならびに他の層は、非平行に配置されて、層が平行な平面に沿っていなくてもよい。いくつかの実施形態では、導電層860および862は、例えば、銅または金であるか、またはそれらを含む。導電層860および862は、0.5cmから5cm(例えば、0.5cm、0.6cm、0.7cm、0.8cm、0.9cm、1.0cm、1.1cm、1.2cm、1.3cm、1.4cm、1.5cm、2cm、2.5cm、3cm、3.5cm、4cm、4.5cm、または5cm))などの任意の適切な横寸法を有しうるが、より大きいかまたはより小さい寸法で実装されてもよい。いくつかの例では、導電層860および862、または導電層860および862のセグメントなどのそのコンポーネントは、1つまたは複数の電圧コントローラへの電気的接続を提供するために、絶縁層861および863よりも大きな横方向寸法を有していてもよい。絶縁層861および863は、(例えば、一部のプリント回路基板で使用されるような)ラミネートなどの適切な誘電体および/または絶縁材料から形成されうる。
【0064】
図9は、帯電液滴コントローラ910の導電層960の上面図を示しており、これは、少なくともいくつかの例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴コントローラ210B、
図7の帯電液滴コントローラ710、または
図8の帯電液滴コントローラ810の帯電液滴コントローラと同じであっても異なっていてもよい。導電層960は、帯電液滴コントローラ910の開口部909の少なくとも一部であって、いくつかの実施形態では2mmの直径を有しうる開口部965を画定する。いくつかの例では、直径は2mmより大きくても、または小さくてもよい。導電層960のセグメント968A、968B、968C、および968Dは、層を開口部965を取り囲む等しいサイズのセグメントに分割し、各セグメントは場合により、開口部965の周囲の等しい部分を提供する。間隔または絶縁領域907は、セグメント968A、968B、968C、および968Dの間に配置されて、セグメントを互いに電気的に絶縁する。セグメント968A、968B、968C、および968Dの各々は、以下に記載されるように、対応する電圧コントローラ974A、974B、974C、および974Dに接続されて、所望のまたは所定の大きさおよび向きの電場を開口部965において生成し、開口部965を通過する帯電液滴949の軌道を修正する。いくつかの例では、導電層960の異なるセグメント間に電圧を印加するために、単一の電圧コントローラまたは複数の電圧コントローラが使用されうる。場合により、対向するセグメントの間に電圧差を設定するために、単一の電圧コントローラが、対向するセグメントの間に接続されうる。例えば、電圧コントローラ974Aおよび974Cは、セグメント968Aと968Cの間に電圧差を設定するための同じ電圧コントローラであってもよく、または電圧コントローラ974Bおよび974Dは、セグメント968Bと968Dの間に電圧差を設定するための同じ電圧コントローラであってもよい。いくつかの例では、
図10には1つの電圧コントローラ974のみが示されているが、各セグメント968A、968B、968C、および968Dは、場合により1つまたは複数の電圧コントローラを含みうる電圧コントローラに関連付けられうる。
図9に示されている例では、4つのトランスインピーダンスアンプ974A、974B、974C、974Dが示されており、それぞれが導電層960の対応するセグメントに結合されている。
【0065】
図10は、少なくともいくつかの例に従う、導電層の電気的接続を示す帯電液滴コントローラ910の断面図を示している。帯電液滴コントローラ910は、1つの導電層960および1つの絶縁層961を含む、
図8に関して説明されている異なる数および構成の層を有するように示されている。いくつかの実施形態では、帯電液滴コントローラ910の全体の厚さは約0.4mmであるが、0.4mmより大きくても小さくてもよい。いくつかの実施形態では、層は全て200マイクロメートル(0.008インチ)の厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態では、全体の厚さは約0.8mmでありうる。帯電液滴コントローラ910は、液滴が開口部909を通って上方に移動するように、帯電液滴の供給源と標的との間に取り付けられうる。コントローラを帯電液滴供給源の上にX-Y-Zで位置決めし、開口部909をトランスデューサ軸に位置合わせするためのマウントは示されていない。
【0066】
液滴制御の場合、対向するセグメント968Aと968Cの間に印加される電圧差は、Y方向に沿って帯電液滴の偏向を調整するために使用することができ、対向するセグメント968Bと968Dの間に印加される電圧差は、X方向に沿って帯電液滴の偏向を調整するために使用することができる。導電層960のセグメントに印加される電圧は、帯電液滴コントローラ910に対する全体的な浮遊電位を確立するために、接地電位より上または下にバイアスされてもよく、これは、帯電液滴コントローラ910に接近またはそれから離脱する帯電液滴の相対速度を加速、減速、または維持するために使用され得る。液滴が開口部965を通過するとき、異なるセグメントに印加される電圧によって生成される電場は、帯電液滴に力を加えうるが、これは、帯電液滴949の軌道を制御された様式で加速、減速、および偏向させうる。
【0067】
図11、
図12および
図13は、帯電液滴が帯電液滴ディテクタの開口部を通過する際の、異なるセグメントにおける誘導電流に対応する値を示すチャートを示している。
図11は、対向するセグメントを流れる差分電流を示しており、これは以下でさらに詳しく説明される。
図12は、少なくともいくつかの例に従う、帯電液滴ディテクタの開口部を通って移動する帯電液滴による、帯電液滴ディテクタのセンサ層のセグメントからの電流を経時的に示すチャート1279を示している。図示されているデータセット1282、1281、1280の各々は、耐電液滴が流体リザーバから開口部を通って標的位置に向かって射出される際にセグメント内で測定される電流を表している。図示されているように、データセット1282、1281、および1280は、センサ層のセグメントからの帯電液滴の異なる横方向オフセットにおけるセグメント内の電流を表している。例えば、データセット1280は、開口部の中心を通過する液滴を表しうる一方で、データセット1282は、センサ層のセグメントに近い側で横方向にオフセットされ、データセット1281は、データセット1282に関連する位置とは開口部の反対側に、セグメントから離れて横方向にオフセットされる。図示されているように、データセット1282により示される大きな電流は、データセット1281により示されるような小さな電流よりもセグメントの近くに位置する帯電液滴を表す。
図12の左側では、各データセット1280、1281、1282は、帯電液滴が開口部内にないことを指し示すt0での初期誘導電流を示している。液滴がt1において帯電液滴ディテクタのセンサ層を通過すると、データセット1280、1281、および1282によって表される電流は、初期基準を通過し、液滴が開口部から出るt2まで誘導電流の方向が反転するにつれて反転する。同様に、
図13には、4つのトランスインピーダンスアンプからの出力電圧が示されているが、液滴が帯電液滴ディテクタの開口部を通過する際の経時的なセグメントの電流値の変動に基づいて振幅が変動している。例えば、
図13のチャート1383に描かれている測定電圧は、(より大きな電圧の変動により証明されるように)対応する液滴が、データセット1384および1387に関連するセグメントよりも、データセット1385および1386に関連するセグメントの近くで帯電液滴ディテクタを通過したことを指し示している。
【0068】
図11は、少なくともいくつかの例に従う、液滴供給源と液滴の標的供給先との間の軸に沿った異なる帯電液滴変位位置に対する、帯電液滴ディテクタのセンサ層の対向するセグメントからの差分電流を示すチャート1174を示している。チャート1174において、横軸は時間であり、信号が測定される際、これは帯電液滴の垂直位置(Z位置)に相関しうる一方、差分電流は縦軸に示されている。異なる信号を表す異なるデータセットが、帯電液滴が開口部を通過する際に、開口部の反対側に配置された対向するセグメント間の測定電流の差に対応するチャート1174に示されている。
【0069】
チャートの第1のデータセット1175は、軌道が垂直であるが、開口部の中心からセグメントの1つに向かって横方向にオフセットされた液滴での、
図3のセグメント366Bおよび366D、または
図5のセグメント566Bおよび566Dのような対向するセグメント間の出力電圧の差を示している。
図3のセグメント366Aと366C、または
図5のセグメント566Aと566Cの間の測定電流の差からの対応する一連の曲線は、さらに、液滴が開口部を通過する際の、開口部中心に対する第2の方向に沿った(例えば、
図5を参照すると、図示されているY軸に沿った)液滴の位置に関する情報をもたらすであろう。液滴が両方の方向(例えば、
図5に示されているX方向およびY方向)において開口分の中心を通過した場合、全ての微分曲線が実質的に平坦となり、0Vの出力を指し示すことになるであろう。各セグメントからの出力は、全てのセグメントを流れる電流の合計に関して重み付けまたは正規化されてもよく(差分測定から液滴電荷を基本的に正規化して除外)、あるいはセグメントの面積またはセグメントによって占有される開口部の周縁の割合に代表される重み付け係数を使用して正規化されてもよい。いくつかの例では、出力は、各出力を各センサからの全ての出力の合計で除算することによって正規化されうる。いくつかの例では、デバイスを通過する液滴による全てのセグメントからの合計信号は、バイポーラパルスの形状を有する。この合計された信号の大きさは、差分電流の適切な正規化係数として働き得る。液滴電荷の極性は、センサ信号の合計から得られるバイポーラパルスの位相に注目することによって抽出されうる。第2のデータセット1176は、第1のデータセット1175の反対方向に第1の量だけ開口部の中心軸から第2のセグメントに向かってオフセットされた液滴軌道での、セグメント間の測定電流の差を示す。第3のデータセット1177は、第1の方向に沿って(例えば、
図5に示されるX軸に沿って)セグメントのうちの第1の方向に向かって第1の量よりも少ない第2の量だけオフセットされ、それによって対向するセグメント間の測定電流の差がより少なくなる液滴での、セグメント間の測定電流の差を示す。チャート1174の第4のデータセット1178は、第3のデータセット1177の反対方向に第2の量だけ開口部の中心軸から第2のセグメントに向かってオフセットされた液滴での、セグメント間の測定電流の差を示す。セグメントからの差分電流は、加算されたセンサ信号によって上述のように正規化された場合、また加算されたセンサ信号から得られる液滴の帯電極性の知識と共に、第1の方向に沿った(例えば、
図3および
図5に示されるX軸に沿った)液滴軌道の横方向のオフセットを決定するために使用されうる。追加のセグメント(例えば、垂直セグメント)からの差分電流の同様な解析は、
図3および
図5のY軸に沿った液滴軌道の横方向オフセットの決定を可能とし得る。X軸およびY軸に沿った横方向のオフセットは、液滴の位置の重み付けマップなど、液滴の位置を同定する重み付けを生成するために使用されてもよく、液滴の相対的な位置は、対向するセグメントからの電流の重み付けに対応する。
【0070】
出力電圧および/または差分電流は、帯電液滴の位置ならびに帯電液滴の速度を同定するのに有用でありうる。いくつかの例では、全ての出力電圧または電流の合計を使用して、液滴電荷および液滴速度が決定されうる(例えば、
図14の合計1494を使用)。チャート1174において、横軸は時間であり、信号が測定される際、これは帯電液滴の垂直位置(Z位置)に相関しうる一方、差分電流は縦軸に示されている。速度は、例えば、帯電液滴ディテクタを横切る時間に基づいて決定されうる。液滴は本質的に一定の速度でデバイスを通過するため、チャート1174および1279に示される位置は、液滴速度によって時間に関連付けられる。チャート1174および1279では、曲線のそれぞれに、ピーク、最小値、およびピークと最小値の間のほぼ中間で発生するゼロ交差という3つの明確な特徴がある。これらの各特徴に関連するそれぞれの時間は、T
peak、T
min、T
zerocrossingである。音響エネルギーが液滴を生成するために流体表面に送り出される時間をT
0とすることができる。液滴は、時間T
zerocrossing(これは、液滴が各セグメントへの最短距離に達して、電流がゼロになるときである)においてセンサ層の平面にある。ウェルの流体上のセンサ層の高さを考えると(一般的にはそうなる)、この高さをH
sensorと呼ぶが、液滴速度の1つの計測は式H
sensor/(T
zerocrossing-T
0)で決定される。この式は、流体表面上のセンサ層の高さがわかっているので、液滴が流体表面からセンサ層に到達するまでにかかる時間に基づいて速度を算出する。
【0071】
いくつかの例では、液滴速度はT
peakとT
minの差に基づいて測定されうる。この差は、液滴速度と、本明細書では距離dとして参照される導電層間の距離(例えば、
図3の導電層362と360)とに関連し得る。例示的な導電層の形状では、時間T
peak-T
min=0.71*d/v
dropletであり、ここで、v
dropletはセンサ層を通過する際の液滴の「瞬間」速度である。したがって、瞬時速度は、v
droplet=0.71*d/|T
peak-T
min|として決定され得る。0.71という係数は、デバイスのモデリングから得られたものだが、厳密にその形状に起因するものであり、液滴の電荷、体積、その他の要因とは無関係であるため、他の形状については、他の係数が使用されうる。
【0072】
図14は、出力電圧信号1489、1490、1491、および1492、ならびに上述の
図5に関して示され説明されたような、センサ層の4つのセグメントに関連したトランスインピーダンスアンプから受信された全ての出力電圧信号の合計1494を示すチャート1488を示している。少なくともいくつかの例によれば、出力電圧信号は、センサデバイスの開口部を通って移動する液滴の位置1496を決定するために使用されうる。チャート1488の出力信号を使用し、本明細書に記載の計算を実行することにより、液滴の推定X-Y位置1496が決定され、そして
図15に示されている。液滴の推定X-Y位置1496は、液滴が開口部を通過する予測位置(本明細書に記載の出力信号を用いて予測される)に対応し、一方、ステージポジションX-Y位置1495は、
図1のトランスデューサ軸118のような、トランスデューサが配置されるステージの位置によって定義されるトランスデューサ軸を指し示す。すなわち、ステージポジションX-Y位置1495は、液滴の軌道が音響トランスデューサの軸に沿って整列していると仮定すると、液滴が開口部を通過すると予想される場所である。
図15に示されているように、推定X-Y位置1496とステージポジションX-Y位置1495は一致しており、よって、本明細書に記載の液滴位置を予測するための誘導電流の使用が検証される。上述のように、センサ層のセグメント内の誘導電流を使用して、出力電圧信号1489、1490、1491、および1492のピークの相対的なサイズに基づき、位置を決定することができる。
【0073】
図16は、少なくともいくつかの実施例に従う、出力電圧信号1601、1602、1603、および1604ならびに開口部を通って移動するメイン液滴1608およびサテライト液滴1606に対応する全ての出力電圧信号の合計1609を提供するチャート1600を示している。サテライト液滴1606は、所定の射出中に流体から射出されうる望ましくない二次的な液滴であり、デバイスが適切に調整されていないか、またはメイン液滴1608が生成されるときに過大な力がかかる場合に生成されうる。トランスインピーダンスアンプからの出力としてセンサ層の4つのセグメントから結果として生じる信号が
図16に示されており、メイン液滴1608およびサテライト液滴1606の推定X-Y位置が、ステージポジション1607と共に
図17に示されている。メイン液滴1608およびサテライト液滴1606の位置は、メイン液滴1608およびサテライト液滴1606の位置を示すピークを同定する、示されているセンサ層のセグメントの誘導電流から決定される。サテライト液滴1606の位置は、例えば、メイン液滴1608とサテライト液滴1606とを区別するために、相対振幅に基づいて決定されうる。例えば、
図16では、サテライト液滴1606はT
2において同定可能である一方、メイン液滴1608はT
1であり、合計1609を表すデータセットのピークの差に基づいて明確に同定可能である。いくつかの実施形態では、サテライト液滴の同定は、射出パラメータ(例えば、トランスデューサパラメータ)を調整する必要があるかどうかを決定する上で有用でありうる。例えば、方法は、本明細書に記載の誘導電流に対応する値の測定値に基づいて、特定の射出においてサテライト液滴が射出されたことを決定することを含みうる。この決定に基づいて、サテライト液滴のさらなる射出を防ぐためにトランスデューサパラメータを調整する必要があると決定されうる。したがって、トランスデューサパラメータは、次の射出のために(例えば、音響信号の振幅または周波数を低減することによって)調整されうる。これらのステップは、射出の反復的な微調整を提供し、サテライト液滴の射出を防止または少なくとも低減するように、必要に応じて何度でも繰り返されうる。
【0074】
図18は、少なくともいくつかの例に従う、液滴ジェネレータからの帯電液滴を検出するためのプロセスを示すフローチャートを示している。任意の適切な計算システムまたは計算システム群が、本明細書に記載の方法の態様を実行するために使用され得る。例えば、
図25は、本明細書に記載の操作または方法を実行するための計算システムの少なくとも一部でありうる計算デバイス2500の例を示している。
【0075】
ブロック1802では、方法1800は、
図1および
図2に示されるように、液滴ジェネレータと標的との間に帯電液滴ディテクタを配置することを含む。ディテクタは、少なくともいくつかの例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴ディテクタ210A、
図3の帯電液ディテクタ310、
図4の帯電液滴ディテクタ410、または
図6の帯電液滴ディテクタ510のコンポーネントでありうる。帯電液滴ディテクタは、液滴ジェネレータの射出軸(例えば、音響液滴射出システムのトランスデューサ軸)と整列して配置された開口部を有するように配置されてもよい。
【0076】
ブロック1804では、方法1800は、帯電液滴ディテクタの開口部を通して液滴ジェネレータから標的に向かって帯電液滴を方向付けることを含む。帯電液滴は、例えば、
図1に関して説明したような液滴ジェネレータによって推進されうる。
【0077】
ブロック1806では、方法1800は、帯電液滴ディテクタによって生成された電圧信号を分析して、液滴の位置および/または速度を決定することを含む。電圧信号は、センサ層のセグメントのそれぞれに接続されたトランスインピーダンスアンプによって出力されうる。電圧信号は、帯電液滴が開口部を通過した結果として生じる各セグメントの誘導電流に対応しうる。本明細書に記載されるように、液滴の位置は、センサ層のセグメントからの電圧信号の重み付けに基づいて決定されうる。
【0078】
図19は、帯電液滴コントローラの導電層1960の上面図を示しており、これは、少なくともいくつかの実施例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴コントローラ210B、
図7の帯電液滴コントローラ710、
図8の帯電液滴コントローラ810、または
図8の帯電液滴コントローラ810の帯電液滴ディテクタと同じであっても異なっていてもよい。
図19では、導電層1960のセグメント1968A、1968B、1968C、1968Dにそれぞれ印加される電圧V1、V2、V3、V4が示されている。
【0079】
図20、
図21および
図22は、
図19と同様に帯電液滴コントローラのセグメント1968A、1968B、1968Cおよび1968Dに電圧が印加されている、帯電液滴コントローラの反対側にある2つの帯電液滴ディテクタによって測定されるような、第1のZ位置(+)と第2のZ位置(O)における帯電液滴の相対位置を示している。
図20、
図21、および
図22において、帯電液滴の第1のZ位置2095(+)は、開口部の中心2019からXおよびYの両方の方向に沿ってオフセットされていると決定される。
【0080】
図20は、セグメント1968Aと1968Cの間に印加される電圧差がゼロ(V1-V3=0V)であり、セグメント1968Bと1968Dの間に印加される電圧差がゼロ(V2-V4=0V)である構成を示しており、これは、帯電液滴コントローラが帯電液滴を偏向させていないことを指し示している。帯電液滴の第2のZ位置2096(O)も、中心2019からずれていると
図20に示されている。
【0081】
図21は、セグメント1968Aと1968Cの間に印加される電圧差がゼロ(V1-V3=0V)であるが、セグメント1968Bと1968Dの間に印加される電圧差が200V(V2-V4=200V)である構成を示しており、これは、帯電液滴コントローラが帯電液滴をX方向に沿って偏向させているが、Y方向に沿っては偏向させていないことを指し示している。帯電液滴の第2のZ位置2097(O)は、
図21において、中心2019から引き続きずれているが、
図20の場合よりもX方向に少ない程度ずれていることが示されており、これは、帯電液滴コントローラによって適用される帯電液滴の軌道に対する調整が、軌道にある程度の補正を提供しているが、さらなる補正によってさらなる改善が可能であることを指し示している。
【0082】
図22は、セグメント1968Aと1968Cとの間に印加される電圧差が400V(V1-V3=400V)であり、セグメント1968Bと1968Dとの間に印加される電圧差が400V(V2-V4=400V)である構成を示しており、これは、帯電液滴コントローラが、
図21におけるX方向の偏向よりもさらに大きく帯電液滴をX方向およびY方向に沿って偏向させていることを指し示している。そのような電圧条件下での基板における帯電液滴の位置2098(O)は、
図22に示されているように、中心2019の非常に近くに補正される。
図20、
図21、および
図22について上記で言及した様々なセグメントに印加される電圧は、単なる例示であり、限定することを意図したものではないことが理解されよう。帯電液滴の軌道を調整するために任意の適切な電圧または電圧差が使用され得るが、そのような電圧または電圧差は、システムの形状、帯電液滴の位置および/もしくは速度、ならびに/または軌道の所望の変化(大きさおよび方向を含む)によって決定されうる。
【0083】
図23は、少なくともいくつかの例に従う、液滴ジェネレータから射出される帯電液滴を制御するためのプロセスを示すフローチャートを示している。任意の適切な計算システムまたは計算システム群が、本明細書に記載の方法の態様を実行するために使用され得る。例えば、
図25は、本明細書に記載の操作または方法を実行するための計算システムの少なくとも一部でありうる計算デバイス2500の例を示している。
【0084】
ブロック2302では、方法2300は、
図1および
図2に示されるように、液滴ジェネレータと標的との間に帯電液滴コントローラを配置することを含む。帯電液滴コントローラは、少なくともいくつかの例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴コントローラ210B、
図7の帯電液コントローラ710、
図8の帯電液滴コントローラ810、または
図10の帯電液滴コントローラ910のコンポーネントでありうる。帯電液滴コントローラは、液滴ジェネレータの射出軸(例えば、音響液滴射出システムのトランスデューサ軸)と整列して配置された開口部を有するように配置されてもよい。
【0085】
ブロック2304では、方法2300は、帯電液滴コントローラの開口部を通して液滴ジェネレータから標的に向かうように帯電液滴を方向付けることを含む。帯電液滴は、
図1に関して説明したような液滴ジェネレータによって推進されうる。
【0086】
ブロック2306では、方法2300は、液滴の軌道を修正するために、帯電液滴コントローラの1つまたは複数の導電層のセグメントに対して電圧を決定し、印加することを含む。電圧は、自動的に生成されてもよいし、例えば、帯電液滴ディテクタによって決定される帯電液滴の速度または位置のフィードバックを使用して生成されてもよい。他の例では、例えば、標的に到達するための液滴の軌道を調整または最適化するか、または到達を改善するために、電圧がユーザ入力によって追加の液滴の軌道を制御するために経験的に決定され、印加されてもよい。
【0087】
図24は、少なくともいくつかの例に従う、フィードバックスキームを用いて液滴ジェネレータから射出される帯電液滴を検出および制御するためのプロセスを示すフローチャートを示している。任意の適切な計算システムまたは計算システム群が、本明細書に記載の方法の態様を実行するために使用され得る。例えば、
図25は、本明細書に記載の操作または方法を実行するための計算システムの少なくとも一部でありうる計算デバイス2500の例を示している。
【0088】
ブロック2402では、方法2400は、
図2に示されるように、液滴ジェネレータと帯電液滴コントローラとの間に帯電液滴ディテクタを配置することを含む。帯電液滴ディテクタは、少なくともいくつかの例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴ディテクタ210A、
図3の帯電液ディテクタ310、
図4の帯電液滴ディテクタ410、または
図6の帯電液滴ディテクタ510のコンポーネントでありうる。帯電液滴コントローラは、少なくともいくつかの例によれば、
図1の帯電液滴管理デバイス110、
図2の帯電液滴コントローラ210B、
図7の帯電液コントローラ710、
図8の帯電液滴コントローラ810、または
図10の帯電液滴コントローラ910のコンポーネントでありうる。帯電液滴ディテクタおよび帯電液滴コントローラは、互いに整列した、および/または液滴ジェネレータの射出軸と整列した(例えば、音響液滴射出システムのトランスデューサ軸と整列した)開口部を有するように配置されてもよい。
【0089】
ブロック2404では、方法2400は、帯電液滴ディテクタおよび帯電液滴コントローラの開口部を通るように液滴ジェネレータからの帯電液滴を方向付けることを含む。帯電液滴は、
図1に関して説明したような液滴ジェネレータによって推進されうる。
【0090】
ブロック2406では、方法2400は、帯電液滴ディテクタによって生成された電圧信号を分析して、液滴の位置および/または速度を決定することを含む。電圧信号は、帯電液滴ディテクタのセンサ層のセグメントのそれぞれに接続されたトランスインピーダンスアンプによって出力されうる。電圧信号は、帯電液滴が開口部を通過した結果として生じる各セグメントの誘導電流に対応しうる。本明細書に記載されるように、液滴の位置は、センサ層のセグメントからの電圧信号の重み付けに基づいて決定されうる。いくつかの例では、トランスインピーダンスアンプからの電圧波形は、信号処理コンポーネントによって分析されて、帯電液滴ディテクタにおける帯電液滴の位置および/または速度を抽出しうる。
【0091】
ブロック2410では、方法2400は、液滴の軌道を修正するために、帯電液滴コントローラの1つまたは複数の導電層のセグメントに対して電圧を決定し、印加することを含む。電圧は、信号処理コンポーネントからの帯電液滴の速度または位置を使用して決定され、例えば、帯電液滴の1つまたは複数の座標(例えば、XおよびY)を入力とするなどして、ルックアップテーブルまたは分析関数を使用して決定されてもよく、そして、セグメントに印加される電圧(または互いに対向するセグメントへの印加のための電圧差)が、導電層のセグメントに印加される出力として決定される。
【0092】
図25は、計算デバイス2500の一例のブロック図を示している。計算デバイス2500は、方法1800を実行し、1つまたは複数のトランスインピーダンスアンプから信号を受信する計算デバイス、例えば、方法2300、方法2400、本明細書に記載の他の方法、または様々な態様、またはそのような方法の一部を実行する計算デバイスを含む、本明細書に記載のコンピュータのいずれかでありうる。計算デバイス2500は、例えば、一体型コンピュータ、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、タブレット、サーバ、または他の電子デバイスであってもよいし、それらを含むものでもよい。
【0093】
計算デバイス2500は、バス2505を介して他のハードウェアとつなぎ合わされるプロセッサ2540を含み得る。メモリ2510は、RAM、ROM、EEPROMなどの任意の適切な有形(および非一過性)のコンピュータ可読媒体を含むことができ、計算デバイス2500の動作を構成するプログラムコンポーネント(例えば、プログラムコード2515)を具現化することができる。メモリ2510は、プログラムコード2515、プログラムデータ2517、またはその両方を記憶し得る。いくつかの例では、計算デバイス2500は、(例えば、ディスプレイ2545、キーボード、マウスなどとつなぎ合わせるための)入力/出力(「I/O」)インターフェースコンポーネント2525および追加のストレージ2530を含むことができる。
【0094】
計算デバイス2500は、本明細書で説明される動作のうちの1つまたは複数を実行するようにプロセッサ2540を構成するプログラムコード2515を実行する。プログラムコード2515の例には、様々な例において、上述の
図18、
図23、および
図24に関して説明されているフローチャートのロジックが含まれる。プログラムコード2515は、メモリ2510または任意の適切なコンピュータ可読媒体に常駐していてもよく、プロセッサ2540または任意の他の適切なプロセッサによって実行されうる。
【0095】
計算デバイス2500は、プログラムコード2515を実行することによってプログラムデータ2517を生成または受信しうる。例えば、センサデータ、トリップカウンタ、認証されたメッセージ、トリップフラグ、および本明細書に記載の他のデータは全て、プログラムコード2515の実行中に計算デバイス2500によって使用されうるプログラムデータ2517の例である。
【0096】
計算デバイス2500は、ネットワークコンポーネント2520を含み得る。ネットワークコンポーネント2520は、ネットワーク接続を容易にする任意のコンポーネントのうちの1つまたは複数を表し得る。いくつかの例では、ネットワークコンポーネント2520は、無線接続を容易にすることができ、IEEE 802.11、BLUETOOTH(登録商標)、または携帯電話ネットワークにアクセスするための無線インターフェース(例えば、CDMA、GSM、UMTS、または他のモバイル通信ネットワークにアクセスするためのトランシーバ/アンテナ)などの無線インターフェースを含み得る。他の例では、ネットワークコンポーネント2520は、有線接続することができ、イーサネット、USB、またはIEEE1394などのインターフェースを含み得る。
【0097】
図25は、プロセッサ2540を備えた計算デバイス2500を描いているが、システムは、任意の数の計算デバイスおよび任意の数のプロセッサを含み得る。例えば、複数の計算デバイスまたは複数のプロセッサが、有線または無線ネットワーク(例えば、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、またはインターネット)を介して分散していてもよい。複数の計算デバイスまたは複数のプロセッサは、本開示のステップのいずれかを個別に、または互いに連携して実行し得る。
【0098】
本発明の態様は、以下の非限定的な実施例を参照することにより、さらに理解され得る。
【実施例】
【0099】
実施例1:帯電液滴の射出、検出、および制御システム
図26は、いくつかの例に従う、帯電液滴の射出、検出、および制御システム2600の一例の概要を提供している。システム2600は、
図1および
図2を参照して説明されている液滴ジェネレータ101などの1つまたは複数の液滴ジェネレータ、
図1の帯電液滴管理デバイス110などの1つまたは複数の帯電液滴管理デバイス、
図2の帯電液滴ディテクタ210A、
図3の帯電液滴ディテクタ310、
図4の帯電液滴ディテクタ410、または
図6の帯電液滴ディテクタ510などの1つまたは複数の帯電液滴ディテクタ、
図2の帯電液滴コントローラ210B、
図7の帯電液滴コントローラ710、
図8の帯電液滴コントローラ810、または
図10の帯電液滴コントローラ910などの1つまたは複数の帯電液滴コントローラ、ならびに計算デバイス2500などの1つまたは複数の計算デバイスを含む、本開示中の他の箇所に記載されているコンポーネントを含みうる。
【0100】
図26に示されているように、システム2600は、帯電液滴制御検出システム2605を含む。帯電液滴制御検出システム2605は、例えば、液滴ジェネレータおよび帯電液滴管理デバイスを含む物理的ハードウェアを含みうる。
図1を参照して上に説明されているように、帯電液滴制御検出システムの液滴ジェネレータは、音響ジェネレータを駆動するためにトーンバースト励起2610を採用して、液滴を射出する音響液滴射出システムを含みうる。
【0101】
帯電液滴制御検出システム2605は、本明細書に記載の例に従う1つまたは複数の計算デバイスを含みうるデータ収集システム2615とデータ通信および/または制御通信してもよい。図示されているように、トーンバースト励起2610に関連付けられたデジタル信号は、データ収集システム2615の外部割り込み2620に伝達されてもよく、これにより、データ収集システム2615は、帯電液滴制御検出システム2605によって液滴が生成される時間を決定できるようになりうる。
【0102】
帯電液滴制御システムの帯電液滴ディテクタは、上述のように、センサ層のセグメントに対する射出された帯電液滴の近接を表す電圧を生成することができ、液滴電圧検出制御2625は、そのような電圧を電圧制御収集システム2630に伝達しうる。具体的には、電圧は、電圧増幅回路2635に伝達されてもよく、これは次いで、増幅された電圧をアナログデジタルコンバータ2640へと送って、データ収集システム2615への通信のために電圧をデジタル信号へと変換する。
【0103】
データ収集システム2615において、電圧を表すデジタル信号は、アナログ/デジタル(ADC)割り込み2645または他のデジタル入力システムにおいて受信され得る。ADC割り込み2645は、生のADCデータを抽出して、それをタイマー割り込み2650および/または計算システム2655へと通信することができる。計算システム2655は、生のADCデータを分析して、帯電液滴ディテクタにおける帯電液滴の位置データを生成しうる。タイマー割り込み2650は、例えば、帯電液滴の検出のためのタイミング情報を決定するために、外部割り込み2620からの情報を使用しうる。そのようなタイミング情報および位置データは、帯電液滴の速度または軌道を決定するために計算システム2655によって使用されうる。生のADCデータおよび位置データは、データ収集システム2615内でローカルにデータをキャッシュおよび/または保存するために、ローカルストレージバッファ2660へと通信されてもよい。コントローラエリアネットワーク(CAN)バス2665または他の入出力システムは、ローカルストレージバッファ2660または計算システム2655から位置データおよび/または生のADCデータを受信し、その情報をユーザ計算デバイス2670に伝達して、そこで実行される誘導電荷液滴検出(ICDD)アプリケーション2675によって使用されるようにしてもよい。
【0104】
液滴軌道制御の場合、計算システム2655は、位置データを分析して、帯電液滴制御検出システム2605内の帯電液滴コントローラの制御層のセグメントに印加するのに適切な電圧のセットを決定しうる。電圧は、例えば、電圧制御収集システム2630にデジタル形式で伝達されてもよく、ここで、デジタルアナログコンバータ2680は、液滴軌道の修正をもたらすために液滴電圧検出制御2625に伝達される電圧を生成することができる。
【0105】
本発明の実施例の主題は、法令上の要件を満たすために具体的にここに記載されているが、この記載は必ずしも特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。特許請求される主題は、他の方法で具体化することもでき、異なる要素またはステップを含んでもよく、他の既存の技術または将来の技術と組み合わせて使用されてもよい。この説明は、個々のステップの順序または要素の配置が明示的に記載されている場合を除き、様々なステップまたは要素の中またはその間の特定の順序または配置を意味するものとして解釈されるべきものではない。
【0106】
分かりやすくする目的から、本明細書に記載されている実施例のルーチン的な特徴の全てが示され、説明されているわけではない。もちろん、そのような実際の実装の開発では、アプリケーションおよびビジネスに関連した制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装固有の決定を行う必要があり、これらの特定の目標は実装ごとに、また開発者ごとに異なるものとなることが理解されよう。
【0107】
本主題は、その特定の態様に関して詳細に説明されてきたが、当業者であれば、前述の理解を得た上で、そのような態様に対する変更、変形、および等価物を容易に作り出しうることが理解されよう。多数の特定の詳細が、特許請求される主題の完全な理解を提供するために本明細書に記載されている。しかしながら、当業者であれば、特許請求の範囲に記載の主題は、これらの特定の詳細がなくても実施しうることを理解するであろう。他の例では、特許請求された主題を曖昧にしないように、当業者には知られているであろう方法、装置、またはシステムは、詳細には記載されていない。したがって、本開示は、限定ではなく例示の目的で提示されており、当業者に容易に明らかとなるような本主題の修正、変形、および/または追加を含めることを排除するものではない。本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本発明の方法およびシステムに様々な修正および変形を加えることができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある修正および変形を含むことが意図されている。本明細書に開示の特徴および能力の実行可能な任意の組み合わせもまた開示されているとみなされることを理解されたい。