IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノースボルト・エービーの特許一覧

<>
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図1
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図2
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図3
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図4
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図5
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図6
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図7
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図8
  • 特許-円筒形二次電池及びその製造方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-18
(45)【発行日】2025-08-26
(54)【発明の名称】円筒形二次電池及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/533 20210101AFI20250819BHJP
   H01M 50/583 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/586 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/593 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/536 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/179 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/184 20210101ALI20250819BHJP
   H01M 50/548 20210101ALI20250819BHJP
【FI】
H01M50/533
H01M50/583
H01M50/586
H01M50/593
H01M50/536
H01M50/179
H01M50/184 D
H01M50/548 201
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023563885
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-02
(86)【国際出願番号】 EP2022060224
(87)【国際公開番号】W WO2022223506
(87)【国際公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】2150504-5
(32)【優先日】2021-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】521444701
【氏名又は名称】ノースボルト・エービー
【氏名又は名称原語表記】Northvolt AB
【住所又は居所原語表記】Alstroemergatan 20,112 47 Stockholm,Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 哲也
(72)【発明者】
【氏名】セクストン、ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】車谷 建弥
(72)【発明者】
【氏名】メッサウド、マルエン・ベン
【審査官】土屋 知久
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-071265(JP,A)
【文献】国際公開第2022/158859(WO,A2)
【文献】特開2015-056391(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/50-50/598
H01M50/00-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子部(4)と、導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)のための電極リード板(6)であって、ここにおいて、前記電極リード板(6)は、
- 前記端子部(4)と直接電気的に接触して配置されるように構成された内側接触領域(6c)と、
- 前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触して配置されるように構成された外側接触領域(6e)、ここにおいて、前記外側接触領域(6e)は、前記内側接触領域(6c)を半径方向に取り囲み、前記内側接触領域(6c)は、前記外側接触領域(6e)に対して凹んでいる、と、
- 前記内側接触領域(6c)と前記外側接触領域(6e)との間に配置されたヒューズ領域(6d)、前記ヒューズ領域(6d)は、所定の電流が前記ヒューズ領域(6d)を通過するときに破断するように適合されている、と、
を備える、電極リード板(6)。
【請求項2】
前記ヒューズ領域(6d)は、前記電極リード板(6)において形成された窪みによって低減される電流伝導エリアを備える、請求項1に記載の電極リード板(6)。
【請求項3】
前記ヒューズ領域(6d)は、少なくとも1つのヒューズエレメント(6f)が、前記電極リード板(6)において形成されるように、前記電極リード板(6)を貫通して形成された少なくとも1つの貫通孔を備え、前記ヒューズエレメント(6f)は、電流伝導エリアを形成する、請求項1又は2に記載の電極リード板(6)。
【請求項4】
複数の電解液流動孔(6g)を備える、請求項1に記載の電極リード板(6)。
【請求項5】
請求項1に記載の電極リード板(6)と、端子部(4)と、導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)を製造する方法であって、前記方法は、
- 前記電極リード板(6)を、前記端子部(4)及び前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触させて配置すること
を備える、方法。
【請求項6】
円筒形二次電池(1)の電極ロール(3)の導電性シート(3a)を、前記円筒形二次電池(1)の端子部(4)に接続するための、請求項1に記載の電極リード板(6)の使用であって、ここにおいて、前記電極リード板(6)は、前記導電性シート(3a)及び前記端子部(4)と直接電気的に接触して配置されている、使用。
【請求項7】
請求項1に記載の電極リード板(6)を備える円筒形二次電池(1)のための端子部(4)であって、ここにおいて、前記端子部(4)は、
- 前記円筒形二次電池(1)の外部端子を形成する第1の端子部端部(4a)と、 - 前記電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されるように構成された第2の端子部端部(4b)と、
- ヘッド部分(4c)と、
- シャフト部分(4d)と、
- 少なくとも前記シャフト部分(4d)を取り囲む電気的絶縁手段(7)と、
を備える、端子部(4)。
【請求項8】
前記電気的絶縁手段(7)は、前記ヘッド部分(4c)と前記円筒形二次電池(1)との間に延在する第1の部分(7a)と、前記シャフト部分(4d)を取り囲む第2の部分(7b)と、を備える、請求項に記載の端子部(4)。
【請求項9】
前記第1の部分(7a)及び前記第2の部分(7b)は、2つの別個の部分である、請求項に記載の端子部(4)。
【請求項10】
前記シャフト部分(4d)は、前記円筒形二次電池(1)の筐体(2)における端子貫通孔(2c)を通って延在するように適合されている、請求項のいずれか一項に記載の端子部(4)。
【請求項11】
電極リード板(6)と、電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)のための端子配置(10)であって、ここにおいて、前記端子配置(10)は、請求項に記載の端子部(4)と、前記電極リード板(6)と、を備える、端子配置(10)。
【請求項12】
請求項に記載の端子部(4)と、電極リード板(6)と、を備える円筒形二次電池(1)を製造する方法であって、ここにおいて、前記方法は、
- 前記端子部(4)を前記電極リード板(6)と直接電気的に接触させて配置することと
- 前記端子部(4)を前記電極リード板(6)に溶接することと、
を備える、方法。
【請求項13】
円筒形二次電池(1)の外部端子(4a)を形成するための、請求項に記載の端子部(4)の使用であって、ここにおいて、前記端子部(4)は、前記円筒形二次電池(1)の電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されている、使用。
【請求項14】
円筒形二次電池(1)であって、
- 導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、
- 請求項1に記載の電極リード板(6)と、
- 前記円筒形二次電池(1)の外部端子を形成し、前記電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されるように構成された端子部(4)と、
を備える円筒形二次電池(1)。
【請求項15】
円筒形二次電池(1)であって、
- 導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、
- 前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触して配置されるように構成された電極リード板(6)と、
- 請求項に記載の端子部(4)と、
を備える円筒形二次電池(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、円筒形二次電池、並びに円筒形二次電池及びその構成要素の製造方法に関する。本開示は、更に、円筒形二次電池のための電極リード板及び端子部に関する。
【0002】
気候変動に取り組むに当たり、例えば、輸送機関の電化を可能にし、再生可能エネルギーを補うための、充電式バッテリに対する需要が高まっている。現在、リチウムイオンバッテリが、ますます普及しつつある。これらは、リチウムイオンが、放電中に負極から正極に移動し、充電時に戻る、充電式バッテリの一種を表す。
【0003】
充電式バッテリの需要が増大するにつれて、生産速度にますます焦点が当てられている。充電式バッテリの効果的な生産を実現するために、バッテリの設計並びにそれらの製造プロセスが、最適化され得る。
【0004】
しばしば、二次バッテリと呼ばれる充電式バッテリは、典型的に、互いに電気的に接続された1つ以上の二次電池を備える。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、上記の考察及び他の考察に鑑みてなされたものである。本開示は、製造効率が良く、信頼性の高い二次電池を提供することを目的とする。構成要素の数が低減されるべきであり、その組み立てが簡略化されるべきである。
【0006】
本開示の第1の態様によれば、円筒形二次電池のための電極リード板が提供される。電極リード板は、端子部と、導電性シートを備える電極ロールと、を備える。電極リード板は、端子部と導電性シートとの両方に直接電気的に接触して配置されるように構成される。電極リード板は、端子部と直接電気的に接触して配置されるように構成された内側接触領域と、導電性シートと直接電気的に接触して配置されるように構成された外側接触領域と、を備える。外側接触領域は、内側接触領域を半径方向に取り囲む。
【0007】
電極リード板は、端子部と導電性シートとに直接電気的に接触するので、端子部と導電性シートとは、効率的且つ確実に互いに接触する。直接の電気的接触は、直接の電気的及び物理的な接触を意味する。電極リード板は、導電性シートと端子部との間に電気的に結合された1つの単一の構成要素であり得る。換言すると、電極リード板は、導電性シートと端子部との間に電気的に結合された唯一の構成要素であり得る。それによって、円筒形二次電池の構成要素の数は、少なく抑えられ、その製造は、少ないステップを伴う。
【0008】
電極リード板は、円形ディスクの一般的形状を有し得る。外側接触領域は、環状であり得る。内側接触領域は、円形であり得る。
【0009】
電極リード板は、内側接触領域と外側接触領域との間に配置されたヒューズ領域を備え得る。換言すると、電極ロールの導電性シートから端子部に流れる電流は、ヒューズ領域を通過する。ヒューズ領域は、所定の電流がヒューズ領域を通過するときに、破断する、即ち、焼き切れるように適合され得る。このようにして、電極リード板は、導電性シートと端子部との間の電流経路を提供するのみならず、ヒューズ機能も提供する。
【0010】
ヒューズ領域は、環状であり得る。外側接触領域は、内側接触領域を包囲し得るヒューズ領域を包囲し得る。外側接触領域、ヒューズ領域及び内側接触領域は、同心円状であり得る。
【0011】
ヒューズ領域は、電極リード板において形成された窪みによって選択的に低減される電流伝導エリアを備え得る。このような窪みは、電極リード板の一方又は両方の端面に形成され得る。窪みは、単純且つ空間効率の良い方法でヒューズ領域を提供し得る。窪みは、内側接触領域を包囲し得る。
【0012】
ヒューズ領域は、少なくとも1つのヒューズエレメントが、電極リード板において形成されるように、電極リード板を貫通して形成された少なくとも1つの貫通孔を備え得る。ヒューズエレメントは、電流伝導エリアを形成する。このような少なくとも1つの貫通孔は、特定の電流で破断するように正確に適合され得る、明確に画定されたヒューズ領域を提供し得る。
【0013】
ヒューズ領域は、窪みと貫通孔との両方を備え得る。例えば、内側領域と外側領域との間に3つのブリッジを形成する、3つの細長い貫通孔が存在し得る。従って、ブリッジは、ヒューズエレメントを形成する。ブリッジは、窪みを備え得る。貫通孔は、円形であり得る。代替的に、2つ又は4つの貫通孔が存在し、それぞれ、2つ又は4つのブリッジを形成し得る。
【0014】
内側接触領域は、例えば、ピンの形態における端子部が溶接又ははんだ付けによってそれに取り付けられ得るように構成され得る。内側接触領域は、例えば、平坦であり、端子部の端部に適合された寸法のものであり得る。
【0015】
内側接触領域は、外側接触領域に対して凹み得る。換言すると、内側接触領域及び外側接触領域は、互いに距離を置いた平行平面において延在し得る。これら平面は、電極リード板の全体的な延長と平行であり得、両方の平面に垂直な軸に沿って距離を置かれ得る。
【0016】
内側接触領域が凹んでいるとき、端子部は、外側接触領域を通って延在し、端子部の変形によって円筒形二次電池に取り付けられ得る。端子部は、リベットであり得る。リベットは、外部端子を提供するために、円筒形二次電池の外側に配置されたファクトリーリベットヘッド(factory rivet head)を備え得る。リベットは、円筒形二次電池の内側に配置されたショップリベットヘッド(shop rivet head)を更に備え得る。ショップリベットヘッドは、凹んだ内側接触領域によって収容され得る。
【0017】
内側及び外側接触領域6c、6eは、互いに半径方向に分離され得る。半径方向の分離は、内側接触領域6cと外側接触領域6eとの間でのヒューズ領域の配置を可能にする。更に、このような半径方向の分離は、内側接触領域6cを、外側接触領域6eに対して凹ませることを可能にする。
【0018】
電極リード板は、複数の電解液流動孔(a number of electrolyte flow holes)を備え得る。電解液流動孔は、電解液が電極リード板を通って流れることを可能にし得る。電解液流動孔は、電極リード板上にパターン状に配置され得、このパターンは、電極リード板を横断して延在する複数の交差しない直線状の溶接線によって、電極リード板を導電性シートに溶接することを可能にする。溶接線は、例えば、レーザ溶接線であり得る。
【0019】
電極リード板を横断して、即ち、一方の側から他方の側へと延在する溶接線は、電極リード板を、電極ロールの導電性シートに強固に取り付けるのに有益であり得る。更に、電極リード板の外縁部と電極リード板の中心点との間に延在する放射状の溶接線と比較すると、電極リード板を横断して延在する溶接線は、製造においてコスト効率が高くなり得る。
【0020】
パターンは、複数の本質的に平行な溶接線が、電極リード板を横断して互いに隣接して位置決めされ得るように構成され得る。溶接線は、本質的に均等に、即ち、本質的に規則的な相互距離において、互いに隣接して位置決めされ得る。このような溶接線は、電極リード板と導電性シートとの間の界面において、均一な力分布をもたらし得る。
【0021】
上述の複数の本質的に平行な溶接線は、第1のセットの溶接線と呼ばれ得る。パターンは、第2のセットの溶接線が電極リード板上に配置され得るように構成され得、この第2のセットは、第1のセットに対応するが、第1のセットに対してある角度をなして延在する。加えて、パターンは、第3のセットの溶接線が電極リード板上に配置され得るように構成され得、この第2のセットは、第1及び第2のセットに対してある角度をなして延在する。角度的に隣接するセット間の角度は、略60度であり得る。
【0022】
パターンは、複数の電解液流動孔グループを備え得、各流動孔グループは、少なくとも1つの流動孔を備える。電解液流動孔グループは、直線状の溶接線が、2つの隣接する電解液流動孔グループの間に位置決めされ得るように配置され得、ここにおいて、少なくとも4つの溶接線が、各溶接線の間に1つの電解液流動孔グループが配置されている状態で、電極リード板を横断して延在し得る。例えば、5つ又は6つのこのような溶接線が存在し得る。
【0023】
パターンは、外側接触領域上に配置され得る。パターンは、外側接触領域上に互いに本質的に等距離に位置決めされた電解液流動孔を備え得る。電解液流動孔は、互いに、及び外側接触領域の境界(delimits)から、本質的に等距離に位置決めされ得る。
【0024】
パターンは、六角星(six-pointed star)の形態を有し得る。このような形態は、上述したような複数の溶接線を可能にし得、本質的に等距離の電解液流動孔を可能にし得る。12個の電解液流動孔が存在し得る。六角星のパターンは、電解液流動孔の内側六角形パターンを含み且つ電解液流動孔の外側六角形パターンを含むパターンとも呼ばれ得、内側パターンと外側パターンとは、互いに対して略30度回転されている。
【0025】
電解液流動孔は、電極リード板上に代替のパターン状に配置され得、これらパターンは、電極リード板を横断して延在する複数の交差しない直線状の溶接線によって、電極リード板を導電性シートに溶接することを可能にする。
【0026】
代替のパターンは、内側正方形パターンと外側正方形パターンとで配置されている電解液流動孔を伴い得る。内側正方形パターンと外側正方形パターンとは、互いに対して略45度回転されている。別の例では、電解液流動孔は、内側五角形パターンと外側五角形パターンとで配置されている。従って、8個又は10個の電解液流動孔があり得る。
【0027】
本開示の第2の態様によれば、円筒形二次電池を製造する方法が提供される。このような円筒形二次電池は、電極リード板と、端子部と、導電性シートを備える電極ロールと、を備え得る。方法は、電極リード板を、端子部及び導電性シートと直接電気的及び物理的に接触させて配置することを備える。
【0028】
このような方法の利点及び更なるステップは、円筒形二次電池のための電極リード板に関する、本開示の上記第1の態様を検討した当業者には明らかになるであろう。例えば、方法は、リベットをリベット留めすることと、電極リード板を溶接することと、を伴い得る。第2の態様の方法は、第1の態様による電極リード板を伴い得るが、必ずしも伴う必要はない。例えば、方法は、第1の態様に関連して説明されたような、内側及び外側接触領域を備える電極リード板を伴う必要はない。
【0029】
本開示の第3の態様によれば、円筒形二次電池の電極ロールの導電性シートを、円筒形二次電池の端子部に接続するための、電極リード板の使用が提供される。この使用は、電極リード板を、導電性シート及び端子部と直接電気的及び物理的に接触させて配置することを伴う。
【0030】
このような使用の利点及び更なるステップは、円筒形二次電池のための電極リード板に関する、本開示の上記第1の態様を検討した当業者には明らかになるであろう。第3の態様の使用は、第1の態様の電極リード板を伴い得るが、必ずしも伴う必要はない。例えば、この使用は、第1の態様に関連して説明されたような、内側及び外側接触領域を備える電極リード板を伴う必要はない。
【0031】
本開示の第4の態様によれば、円筒形二次電池のための端子部が提供される。円筒形二次電池は、電極リード板を備える。端子部は、円筒形二次電池の外部端子を形成する第1の端子部端部と、電極リード板と直接電気的に接触して配置されるように構成された第2の端子部端部と、を備える。これら端子部端部は、端子部の両端に位置決めされ得る。
【0032】
端子部は、電極リード板に取り付けられ得る。端子部は、円筒形二次電池の外部端子として機能し、円筒形二次電池を密封し得る。
【0033】
端子部は、端子部の少なくとも一部を取り囲む電気的絶縁手段を備え得る。
【0034】
端子部は、ヘッド部分と、シャフト部分と、を備え得、電気的絶縁手段は、シャフト部分を取り囲み得る。端子部は、ファクトリーリベットヘッドと、円筒形二次電池の壁を通って延在し、リベット留め後に、ショップリベットヘッドを形成するように適合されたリベットシャフトと、を有するリベットであり得る。リベットは、円筒形二次電池を緊密に且つコスト効率良く密閉するのに有利であり得る。電気的絶縁手段は、円筒形二次電池の壁からリベットを共同して電気的に絶縁する別個の部品としてコスト効率良く設けられ得る。
【0035】
電気的絶縁手段は、ヘッド部分と円筒形二次電池との間、より正確には、ヘッド部分と円筒形二次電池の壁との間に延在する第1の部分を備え得る。電気的絶縁手段は、シャフト部分を取り囲む第2の部分を更に備え得る。
【0036】
加えて、電気的絶縁手段は、電極リード板に沿って延在する第3の部分を備え得る。より正確には、第3の部分は、電極リード板と円筒形二次電池の壁との間で、円筒形二次電池の内側に延在し得る。
【0037】
電気的絶縁手段の第1の部分は、端子部のための中央貫通孔を有するディスク、例えば、円形ディスクの形態を有し得る。従って、電気的絶縁手段の第1の部分は、環状であり得る。電気的絶縁手段の第2の部分は、円筒形であり得る。電気的絶縁手段の第3の部分は、環状であり得る。電気的絶縁手段のこのような部分は、生産及び組み立てにおいてコスト効率が良くなり得る。
【0038】
電気的絶縁手段の第1及び第2の部分は、別個の部品であり得る。このような部品は、生産及び組み立てにおいて特にコスト効率が良くなり得る。また、電気的絶縁手段の第3の部分も、別個の部品であり得る。第1、第2、及び第3の部分は、端子部を円筒形二次電池の円筒形筐体から電気的に絶縁するのみならず、電解液の漏れを阻止する密閉を提供するためにも設けられ得る。
【0039】
本開示の第5の態様によれば、円筒形二次電池のための端子配置(terminal arrangement)が提供される。円筒形二次電池は、電極リード板と、電極ロールと、を備える。端子配置は、電極リード板と、上述の端子部と、を備える。従って、端子配置は、上述の電気的絶縁手段を備え得るということになる。
【0040】
本開示の第6の態様によれば、円筒形二次電池を製造する方法が提供される。円筒形二次電池は、端子部と、電極リード板と、を備える。方法は、端子部を電極リード板と直接電気的に接触させて配置することを備える。端子部及び電極リード板は、上述したタイプのものであり得る。従って、端子部は、ピン又はリベットであり得る。方法は、電極リード板をピン又はリベットの内側端面に、即ち、リベットショップヘッドに溶接することを備え得る。
【0041】
本開示の第7の態様によれば、円筒形二次電池の外部端子を形成するための端子部の使用が提供される。端子部は、円筒形二次電池の電極リード板と直接電気的に接触して配置されている。端子部、電極リード板及び円筒形二次電池は、上述したタイプのものであり得る。従って、端子部は、ピン又はリベットであり得る。
【0042】
本開示の第8の態様によれば、円筒形二次電池が提供される。円筒形二次電池は、導電性シートを備える電極ロールと、導電性シートと直接電気的に接触して配置されるように構成された電極リード板と、円筒形二次電池の外部端子を形成し、電極リード板と直接電気的に接触して配置されるように構成された端子部と、を備える。電極ロールは、円筒形二次電池の別の外部端子と電気的に接触している別の導電性シートを備え得る。電極リード板及び端子部は、上述したタイプのものであり得る。
【0043】
本開示の第9の態様によれば、前述の段落の円筒形二次電池を製造する方法が提供される。方法は、電極リード板を、端子部及び導電性シートと直接電気的に接触させて配置することを備える。
【0044】
本明細書で開示される実施形態は、添付の図面の図において、例として例示され、限定として例示されるものではない。同様の参照番号は、図面の全体を通して対応する部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、円筒形二次電池の第1の端部を断面において示す。
図2図2は、図1の拡大切り抜き図である。
図3図3は、電極リード板を示す。
図4図4は、電極リード板の第2の実施形態を示す。
図5図5は、電極リード板の第3の実施形態及び電極ロールを分解図で示す。
図6図6は、電極リード板の第4の実施形態を示す。
図7図7は、第1のセットの溶接線を有する図4の電極リード板を示す。
図8図8は、第1及び第2のセットの溶接線を有する図4の電極リード板を示す。
図9図9は、電極リード板の第5の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
次に、本開示の実施形態が、以下でより完全に記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分且つ完全であり、当業者に本発明の範囲を十分に伝えるように、例として提供され得る。
【0047】
図1は、第1の筐体端部2a(図1中の上端部)と、反対側の第2の筐体端部2b(図示せず)と、を有する円筒形筐体2を備える円筒形二次電池1(以下、電池と呼ぶ)の第1の実施形態を示す。円筒形筐体2はまた、缶とも呼ばれ得る。円筒形筐体2の内部には、電極ロール3が含まれている。第1の筐体端部2aは、(図1に例示されるように)円筒形筐体2と一体に形成され得、第2の筐体端部2bは、別個の第2の筐体端部蓋(図示せず)によって形成され得るか、又はその逆であり得る。両方の筐体端部2a、2bは、代替的に、それぞれの蓋によって形成され得る。
【0048】
電池1の第1及び(簡潔に説明される)第2の実施形態は、円筒形二次電池1の1つの同じ端部(図1中の上端部)において、正端子4と負端子5との両方を有するタイプの電池1に関する。第1の筐体端部2aは、正端子4のための中央端子貫通孔2cを備える。負端子5は、円筒形筐体2に電気的に接続されている。より正確には、負端子5は、端子貫通孔2cを取り囲む円筒形筐体2の上面によって形成されている。従って、円筒形筐体2全体(上端部における正端子4を除く)が、負端子であり得る。
【0049】
両端子4、5を一端において有する円筒形二次電池は、電池を負荷に電気的に接続することに関して利点をもたらし得る。端子を負荷に電気的に接続する導体は、電池の同じ端部、即ち、端子端部上に位置決めされ得る。電池の反対側の端部、即ち、電解液充填端部は、電解液充填及びガス抜き専用であり得る。本開示では、電解液充填端部は、詳細には説明されない。過圧が、動作中、特に、電池又は電池に接続された負荷の故障時に、電池内に発生する場合がある。このような故障は、電池からのガス及び/又は電解液の放出を必要とし得、放出されたガス及び/又は電解液を導体から離れるように導くことが有利であり得る。
【0050】
例えば、電気車両では、複数の電池が、低い位置において位置決めされ得る。これら電池は、端子端部が上方に向けられ、電解液充填端部が下方に向けられて配置され得る。例えば、故障した電気車両充電器又は故障した電池から生じる故障時に、電解液充填端部(複数可)からのガス及び/又は電解液の放出は、有利には、車両の下の地面に向かって下方に導かれることになる。
【0051】
電極ロール3は、第1及び第2の導電性シート3a、3bと、分離手段(図示せず)と、を備える。分離手段は、セパレータとも呼ばれ得る。導電性シート3a、3b及び分離手段は、中央チャネル3cを画定する円形の円筒形ロールを形成するように巻かれる。シート3a、3bは、電極コーティングで被覆され、電池1の組み立て時に、円筒形筐体2は、電解液で充填される。電解液は、中央チャネル3c又は導管を通って流れ得る。導電性シート3a、3b上のコーティングは、それぞれカソード及びアノードとして機能する。カソード、アノード及び電解液は、電気化学的エネルギー貯蔵を提供する。この原理はそれ自体知られており、電極ロール3は、一般にジェリーロールと呼ばれる。
【0052】
電極ロール3のシート3a、3bは、互いに対して軸方向にオフセットされ、電極コーティングで被覆されていない端部セクションをそれぞれ備える。図1では、電極ロール3の一端のみが示されており、この端部において、第1の導電性シート3aが、電極ロール3から軸方向に突出している。電極ロール3の反対側の端部(図示せず)においては、第2の導電性シート3bが、軸方向に突出している。第2の電極ロール3bは、図1において破線の矢印によって概略的に示されている。
【0053】
図1では、第1の導電性シート3aの上端は、電極コーティングで被覆されていない。同様に、図示されていないが、第2の導電性シート3bの下端も、電極コーティングで被覆されていない。このようにして、電極ロール3のそれぞれの端部は、電池1のそれぞれの割り当てられた端子4、5に効率的に電気的に接続され得る。この設計は、それ自体知られており、一般にタブレス電池と呼ばれる。
【0054】
本開示では、導電性シート3a、3bの一方と、端子4、5の一方との間の接続のみが、詳細に説明される。導電性シート3a、3bの他方は、本明細書では詳細に説明しない方法で、端子4、5の他方に電気的に接続される。
【0055】
図1及び図2に例示されるように、電池1は、電極ロール3の上端において配置された電極リード板6を備える。電極リード板6は、第1の導電性シート3aと、より正確には、第1の導電性シート3aの非被覆端部セクションと、直接電気的に接触している。電極リード板6は、第1の導電性シート3aと直接電気的及び直接物理的に接触している。電極リード板6は、第1の導電性シート3aに、取り付けられ、例えば、溶接され、例えば、レーザ溶接され得る。
【0056】
電池1は、端子部4を更に備える。本開示の実施形態では、端子部は、その長手方向中心軸(例示せず)の周りに回転対称である。端子部4は、第1の筐体端部2aを通って延在し、外側端部、即ち、第1の端部4aと、内側端部、即ち、第2の端部4bと、を有する。端子部4の外側端部4aは、電池1の第1の端子を形成し得る。図1に示されるように、端子部4は、電極リード板6と直接電気的に接触している。端子部4は、電極リード板6と直接電気的及び物理的に接触している。より正確には、端子部4の内側端部4bは、電極リード板6と直接電気的に接触している。内側端部4bは、電極リード板6に、取り付けられ、例えば、溶接され、例えば、レーザ溶接され得る。
【0057】
図2に最もよく示されているように、端子部4は、端子部4の少なくとも一部を取り囲む電気的絶縁手段7を備え得る。図1及び図2の実施形態では、端子部4は、ヘッド部分4c、即ち、所謂ファクトリーリベットヘッドと、シャフト部分4d、即ち、リベットシャフトと、を有するリベットの形状を有する。図1及び図2の実施形態では、電気的絶縁手段は、回転対称である。例示されるように、電気的絶縁手段7は、リベットシャフト4dを取り囲む。電気的絶縁手段は、リベットガスケットと呼ばれ得る。
【0058】
より詳細には、電気的絶縁手段7は、ファクトリーリベットヘッド4cと第1の筐体端部2aとの間に配置された第1の部分7aと、リベットシャフト4dを取り囲む第2の部分7bと、を備え得るか、又はそれらで構成され得る。第1の部分7aは、ファクトリーリベットヘッド4cよりも大きい外径を有する環状ディスクであり得る。第1の部分7aの内径は、リベットシャフト4dの直径に対応し得る。従って、第1の部分7aは、ファクトリーリベットヘッド4c、より正確には、ファクトリーリベットヘッド4cの内側(即ち、電池1の方にある)表面を、第1の筐体端部2aから電気的に絶縁し得る。
【0059】
リベットシャフト4dは、第1の筐体端部2aにおける貫通孔(端子貫通孔2c)を通って延在し、電気的絶縁手段7の第2の部分7bによって、貫通孔から電気的に絶縁される。図1及び図2の実施形態では、第2の部分7bは、円形の円筒形である。
【0060】
電池1の製造中、リベット4は、リベット留めされ、従って、塑性変形され、その結果、リベットシャフト4dの一部が半径方向に拡張される、特に、図2を参照。リベットシャフト4dは、所謂ショップリベットヘッド4eを形成するように変形される。ショップリベットヘッド4eは、リベット4(端子リベットと呼ばれ得る)が、第1の筐体端部2aの貫通孔から引き抜かれるのを阻止する。
【0061】
図2に例示されるように、電気的絶縁手段7は、ショップリベットヘッド4eと第1の筐体端部2aとの間に配置された第3の部分7cを備え得る。加えて、第3の部分7cは、電極リード板6を第1の筐体端部2aから電気的に絶縁させるために、第1の筐体端部2aの内側で、電極ロール3の上面に沿って延在し得る。第3の部分7cは、電極リード板6の外径に対応する外径と、リベットシャフト4dの直径に対応する内径と、を有する環状ディスクであり得る。
【0062】
図3は、図1及び図2の電極リード板6をより詳細に示す。図3(及び図4図6)の電極リード板6は、円筒形二次電池において、且つ本明細書で説明されているもの以外の設計の端子部と共に使用され得る。第1の実施形態の電極リード板6は、電極ロール3の導電性シート3aと直接電気的に接触し、且つ端子部4と直接電気的に接触して配置されるように構成されている。電極ロールは、タブレス電極ロールであり得る。端子部4は、電池1の外部端子を形成し得る。
【0063】
図3の電極リード板6は、第1の端面6aと、反対側の第2の端面6bと、を備える。組み立てられたとき、第1の端面6aは、電極ロール3から離れる方に面し、第2の端面6bは、電極ロール3に面する。図3(並びに、電極リード板6がそのような電池1に取り付けられたときの図1及び図2)では、第1の端面6aは、上面であり、第2の端面6bは、下面である。
【0064】
図3の電極リード板6は、内側接触領域6cと、外側接触領域6eと、を備える。外側接触領域は、以下に説明される、複数の電解液流動孔6gを備える。本例では、電池1は、円形の円筒形であり、電極リード板6は、円形ディスクの一般的形状を有する。内側接触領域6cは、端子部4と直接電気的に接触して配置されるように構成され、外側接触領域6eは、第1の導電性シート3aと直接電気的に接触して配置されるように構成される(図2参照)。内側接触領域6cは、円形であり、外側接触領域6eは、円形環状である。
【0065】
ヒューズ領域6dが、内側接触領域6cと外側接触領域6eとの間に配置される。第1の実施形態では、ヒューズ領域6dは、ブリッジの形態における3つのヒューズエレメント6fを形成する、3つの細長い貫通孔を備える。ブリッジ6fは、外側接触領域6eと内側接触領域6cとの間で電流を伝導する。従って、これらブリッジ6fは、外側接触領域6eと内側接触領域6cとの間で電流を伝導する電流伝導エリアを共同して画定する。電流伝導エリアは、ヒューズ領域6dが所定の値の電流を遮断するような寸法にされ得る。従って、電流が所定の値を超える場合、ブリッジ6fは、溶融し、即ち、焼き切れる。各ブリッジ6fには、電流伝導エリアを低減させるために、窪みが設けられ得る。このような窪み、又はノッチは、図3において、細長い貫通孔を接続する比較的太い線として例示されており、従って、窪みは、ブリッジ6fを横断して延在する。
【0066】
換言すると、ブリッジ6fの(上面6a又は下面6bの平面図で見たときの)幅は、細長い貫通孔のサイズによって適合され得、ブリッジの厚さは、窪みによって低減され得る。
【0067】
図1図3から明らかなように、電池1と電極リード板6との第1の実施形態では、内側接触領域6cは、外側接触領域6eに対して凹んでいる。環状の外側接触領域6aは、第1の平面に配置され、円形の内側接触領域6cは、第1の平面に平行な第2の平面に配置される。従って、ブリッジ6fは、半径方向及び軸方向の両方に延在し、2つの平面、即ち、内側接触領域6cと外側接触領域6eを接続する。従って、ブリッジ6fは、ヒューズ機能を提供するとともに、内側接触領域6cを、外側接触領域6eから軸方向に距離を置いて位置決めするように機能する。加えて、ブリッジを形成する貫通孔は、電解液流動孔として機能し得る。
【0068】
図2を参照すると、凹んだリード板6は、端子要素4としてのリベットの使用を容易にする。ショップヘッド4eは、電池1内のいくらかの空間を占有することになり、この空間は、内側接触領域6cが凹んでいることによって、電極リード板6によって設けられている。リベットショップヘッド4e及び内側接触領域6cは、電極ロール3の中央チャネル3c内に位置決めされ得る。
【0069】
図4は、第2の実施形態による電極リード板6を示す。第2の実施形態の電極リード板6は、内側及び外側接触領域6c、6eが同一平面内に位置決めされている点で、第1の実施形態のものとは異なる。従って、電極リード板は、円形且つ平坦なディスクの形態を有する。
【0070】
本明細書では示されていない、電池1の第2の実施形態が、図4の電極リード板6を備える。このような電池では、端子要素4は、ピン、即ち、ヘッド部分4c(ピンヘッド)と、シャフト部分4d(ピンシャフト)と、を含む構造であり得る。第2の実施形態による端子要素4のシャフト部分4dは、第1の実施形態のリベットシャフトよりも軸方向に短くなり得る。図2及び図4を併せて検討することから明らかになるように、シャフト部分4dは、ヘッド部分4cから、電気的絶縁手段7を通って延在し、電極リード板6の上面6aで終端し得る。製造中、シャフト部分4dの端面は、電極リード板6、より正確には、内側接触領域6cに溶接され得る。電気的絶縁手段は、ピンガスケットと呼ばれ得る。
【0071】
第2の実施形態(図4)による電極リード板6は、第1の実施形態(図3)のヒューズ領域に本質的に対応するヒューズ領域6dを備える。しかしながら、第2の実施形態のブリッジ6fは、軸方向と半径方向との両方には延在せず、半径方向にのみ、即ち、ディスクと同一面内にのみ延在する。更に、第2の実施形態のブリッジには、窪みが備わっていない。更なる実施形態(図示せず)では、図4のものに対応する電極リード板6のブリッジ6fに、電流伝導エリアを低減するための窪みが設けられ得る。
【0072】
図5は、電極リード板6の第3の実施形態と、この電極リード板6が取り付けられ得る電極ロール3と、を示す。図5の斜視図に示される電極ロール3は、図1及び図2に示される電極ロール3に対応する。
【0073】
第3の実施形態の電極リード板6は、ブリッジ6fを形成する貫通孔が、細長い代わりに円形であるという事実を除いて、第1の実施形態のもの(図3)に対応する。第3の実施形態の電極リード板6は、窪みを備えるが、代替の実施形態は、窪みがない場合がある。
【0074】
図6は、電極リード板6の第4の実施形態を示す。図6の電極リード板は、図3の電極リード板に対応するが、ヒューズ領域6dにおいて貫通孔がなく、電解液流動孔6gがない。従って、ヒューズ領域6dの電流伝導エリアは、窪み分のみによって低減される。図6では、窪みは、ヒューズ領域6dに配置された円として示されている。
【0075】
図7は、図4の電極リード板6を示し、第1のセットの溶接線6hを例示し、そしてまた、電解液流動孔6gが、六角星の形態を有するパターン状に配置され得ることを示す。
【0076】
電解液流動孔6gは、複数の交差しない直線状の溶接線6hによって、電極ロールの導電性シート3aに電極リード板6を溶接することを可能にする、電極リード板6上のパターン状に配置され得る。6つの溶接線で構成された、第1のセットのこのような溶接線が、図7に例示されている。
【0077】
図7では、電解液流動孔6gは、5つの別個の電解液流動孔グループに割り当てられていると見なされ得る。1つの直線状の溶接線6hが、各電解液流動孔グループの間で、電極リード板6を横断して延在する。詳細には、図7の向きを参照すると、最上部の電解液流動孔6gは、第1の電解液流動孔グループに属する。電極リード板6の本質的に同一の高さに配置された4つの電解液流動孔6gは、第2の電解液流動孔グループに属する。内側接触領域6cの左右に配置された2つの電解液流動孔6gは、第3の電解液流動孔グループに属する。第4の電極流動孔グループは、第2の電解液流動孔グループに対応し、最後に、最下部の電解液流動孔6gは、第5の電解液流動孔グループに属する。
【0078】
ヒューズ領域6dの貫通孔が存在する場合、第3の電解液流動孔グループの一部と見なされ得る。
【0079】
図8は、第1のセットの溶接線6hと同一であるが、第1のセットの溶接線6hに対して略60度の角度αをなして配置された第2のセットの溶接線6iを例示する。図8から理解されるように、第2のセットの溶接線6iに対して略60度の角度をなして配置された第3のセットの溶接線(図示せず)を適用することが更に可能である。
【0080】
電解液流動孔6gを備える電極リード板6の実施形態では、電解液流動孔6gは、六線星形又は六角星の形態を有するパターン状に配列され得る。換言すると、12個の電解液流動孔6gが、各隣接する電解液流動孔6gから電極リード板6の周方向に沿って次のものまで引いた仮想直線によって結ばれると、六角星が形成される。このようなパターンは、電解液の分配に有益である均等に位置決めされた電解液流動孔6gを提供し得、そしてまた、電極リード板を横断して直線状且つ均等に距離を置いて描かれた連続した溶接線のための余地を残し得る。
【0081】
図9は、代替のパターン状に配置された電解液流動孔6gを有する電極リード板6の第5の実施形態を示す。図9のパターンは、本明細書に示される電極リード板の他の実施形態(図3図4図5図6)にも適用可能であることを理解されたい。
【0082】
図9の代替のパターン、即ち、第2のパターンは、電解液流動孔6gが、内側正方形パターン状と外側正方形パターン状とに配置されているとして説明され得る。内側及び外側の正方形パターンは、互いに対して略45度回転されている。先と同様に、第1のセットの交差しない直線状の溶接線6hが例示されている。第2のセットの交差しない直線状の溶接線も適用され得ることを理解されたい(図8と比較)。図9の実施形態では、2つのセット間の角度は、略90度であり得る。
【0083】
同じ原理に従って、なお代替のパターンが、電解液流動孔6gの内側五角形パターンと外側五角形パターンとを伴い得ることを理解されたい。
【0084】
次に、円筒形二次電池を製造する方法について説明すると、このような方法は、電極ロール3に電極リード板6を溶接することを伴い得る。レーザ溶接が用いられ得、図7に例示されるような、第1のセットの溶接線6iが適用され得る。第2のセットの溶接線6h及び第3のセットの溶接線を適用することも可能である。
【0085】
別個に、電気的絶縁手段7(リベット/ピンガスケット)及び端子部4(リベット/ピン)が、円筒形筐体2に取り付けられ得る。例えば、端子部4は、シャフト部分4dを上向きにしてテーブル上に設置され得る。次に、電気的絶縁手段7の第1の部分7a及び第2の部分7bが、シャフト部分4d上に通され得る。これらの部分7a、7bは、1つの接合部品として、又は低コストの別個の部品として設けられ得る。次いで、円筒形筐体2は、その第1の筐体端部2aがテーブルに面している状態で位置合わせされ、シャフト部分4d上に通され、これにより、シャフト部分4dは、端子貫通孔2cを貫通し得る。次に、電気的絶縁手段7の第3の部分7cが、シャフト部分4d上に通され、これにより、第3の部分7cは、第1の筐体端部2aの内面に接して載置される。
【0086】
端子部4がリベットである実施形態では、これは、ここで、ショップリベットヘッド4eを形成するためにリベット留めされる。
【0087】
次に、電極リード板6を有する電極ロール3が、第2の筐体端部2bを通って円筒形筐体2内に導入され、電極ロール3は、電極リード板6がテーブルに面している状態で(with)位置合わせされている。次いで、電極リード板6の内側接触領域6cが、端子部4(ショップリベットヘッド4eの内側端面又はピンシャフト4dの内側端面)に取り付けられる。例えば、電極リード板6の内側接触領域6cは、端子部4に溶接され得、溶接は、中央チャネル3cを通じて行われ得る。
【0088】
方法は、第2の導電性シート3bを円筒形筐体2に電気的に接続することと、本明細書に説明されていない方法で、第2の筐体端部2bを閉鎖することと、を更に備え得る。
【0089】
電極ロール3の第1の導電性シート3a上のコーティングは、カソード材料を形成し得、第2の導電性シート3b上のコーティングは、アノード材料を形成し得る。典型的に、二次電池のカソードの導電性シートは、アルミニウム(aluminium)(米国英語ではアルミニウム(aluminum))を備え、従って、第1の導電性シート3aは、アルミニウムで作製され得る。典型的に、二次電池のアノード側の導電性シートは、銅又は鋼を備え、従って、第2の導電性シート3bは、銅又は鋼のものであり得る。ここに列挙された金属に関しては、それらの合金が含まれる。例えば、銅は、銅合金、即ち、銅を主に備える合金を含むものとして解釈されるべきである。同様に、鋼は、ニッケルめっき鋼を含むものと解釈されるべきである。
【0090】
特に電解液を含むバッテリ内では、電流経路全体にわたって同じ金属を使用することが有利であり得るので、円筒形筐体2は、好ましくは、第2の導電性シート3bと同じ金属のものである。従って、円筒形筐体2は、銅又は鋼から作製され得る。これは、銅及び鋼が、アルミニウムよりも高い引張強度を有するので、円筒形筐体2が、アルミニウムの円筒形筐体と比較して、薄い壁で設計され得るという利点をもたらす。別の利点は、銅及び鋼の両方がアルミニウムよりも高い融点を有し、これは、電池1の安全性を高め得る。
【0091】
以上から、また、添付図面の図からも明らかなように、電極リード板6の内側及び外側接触領域6c、6eは、別個の領域であり得る。本実施形態では、内側接触領域6cは、外側接触領域6eから半径方向に分離されている、特に、図3及び図4を参照。電極リード板6の平面図に見られるように、内側及び外側接触領域6c、6eは、重なり合わない。従って、内側及び外側接触領域6c、6eは、半径方向に重なり合わない。内側及び外側の接触領域6c、6eの半径方向の分離は、ヒューズ領域の配置を可能にする。内側及び外側の接触領域6c、6eの半径方向の分離は、内側接触領域6cを、外側接触領域6eに対して凹ませることを可能にする。
【0092】
以上から、また、特に、図1及び図2からも更に明らかなように、本実施形態では、内側接触領域6cは、端子部4と直接電気的に接触して配置されており、導電性シート3aとは直接電気的に接触して配置されていない。外側接触領域6eは、導電性シート3aと直接電気的に接触して配置されており、端子部4とは直接電気的に接触して配置されていない。説明された実施形態の修正及び他の変形が、前述の説明及び関連付けられた図面において提示される教示の利益を享受する当業者には想起されよう。従って、実施形態は、本開示で説明された特定の例となる実施形態に限定されないこと、並びに修正及び他の変形が、本開示の範囲内に含まれるように意図されることを理解されたい。
【0093】
例えば、円筒形二次電池は、円形の円筒形として示されている。しかしながら、丸みを帯びた正方形又は丸みを帯びた長方形の断面等の、他の断面も考えられる。更に、アノードとカソードとが、入れ替わり得る。
【0094】
更に、本明細書では特定の用語が用いられ得るが、それらは、一般的且つ説明的な意味合いでのみ使用され、限定を目的としては使用されない。従って、当業者であれば、添付の特許請求の範囲内に依然として含まれることになる、説明された実施形態に対する多数の変形を認識するであろう。本明細書で使用される場合、「備える(comprise/comprises)」又は「含む(include/includes)」という用語は、他の要素又はステップの存在を除外しない。更に、個々の特徴が異なる請求項(又は実施形態)に含まれ得るが、これらは、場合によっては、有利に組み合わされ得、異なる請求項(又は実施形態)の包含は、特徴のある特定の組合せが有利及び/又は実現可能でないことを意味するものではない。加えて、単数への言及は、複数を除外するものではない。最後に、請求項における参照番号は、単に明確な例として提供され、決して特許請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[C1]
端子部(4)と、導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)のための電極リード板(6)であって、ここにおいて、前記電極リード板(6)は、
- 前記端子部(4)と直接電気的に接触して配置されるように構成された内側接触領域(6c)と、
- 前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触して配置されるように構成された外側接触領域(6e)、ここにおいて、前記外側接触領域(6e)は、前記内側接触領域(6c)を半径方向に取り囲む、と、
- 前記内側接触領域(6c)と前記外側接触領域(6e)との間に配置されたヒューズ領域(6d)、前記ヒューズ領域(6d)は、所定の電流が前記ヒューズ領域(6d)を通過するときに破断するように適合されている、と、
を備える、電極リード板(6)。
[C2]
前記ヒューズ領域(6d)は、前記電極リード板(6)において形成された窪みによって低減される電流伝導エリアを備える、C1に記載の電極リード板(6)。
[C3]
前記ヒューズ領域(6d)は、少なくとも1つのヒューズエレメント(6f)が、前記電極リード板(6)において形成されるように、前記電極リード板(6)を貫通して形成された少なくとも1つの貫通孔を備え、前記ヒューズエレメント(6f)は、電流伝導エリアを形成する、C1又は2に記載の電極リード板(6)。
[C4]
前記内側接触領域(6c)は、前記外側接触領域(6e)に対して凹んでいる、C1~3のいずれか一項に記載の電極リード板(6)。
[C5]
複数の電解液流動孔(6g)を備える、C1~4のいずれか一項に記載の電極リード板(6)。
[C6]
C1~5のいずれか一項に記載の電極リード板(6)と、端子部(4)と、導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)を製造する方法であって、前記方法は、
- 前記電極リード板(6)を、前記端子部(4)及び前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触させて配置すること
を備える、方法。
[C7]
円筒形二次電池(1)の電極ロール(3)の導電性シート(3a)を、前記円筒形二次電池(1)の端子部(4)に接続するための、C1~5のいずれか一項に記載の電極リード板(6)の使用であって、ここにおいて、前記電極リード板(6)は、前記導電性シート(3a)及び前記端子部(4)と直接電気的に接触して配置されている、使用。
[C8]
電極リード板(6)を備える円筒形二次電池(1)のための端子部(4)であって、ここにおいて、前記端子部(4)は、
- 前記円筒形二次電池(1)の外部端子を形成する第1の端子部端部(4a)と、
- 前記電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されるように構成された第2の端子部端部(4b)と、
- ヘッド部分(4c)と、
- シャフト部分(4d)と、
- 少なくとも前記シャフト部分(4d)を取り囲む電気的絶縁手段(7)と、
を備える、端子部(4)。
[C9]
前記電気的絶縁手段(7)は、前記ヘッド部分(4c)と前記円筒形二次電池(1)との間に延在する第1の部分(7a)と、前記シャフト部分(4d)を取り囲む第2の部分(7b)と、を備える、C8に記載の端子部(4)。
[C10]
前記第1の部分(7a)及び前記第2の部分(7b)は、2つの別個の部分である、C9に記載の端子部(4)。
[C11]
前記シャフト部分(4d)は、前記円筒形二次電池(1)の筐体(2)における端子貫通孔(2c)を通って延在するように適合されている、C8~10のいずれか一項に記載の端子部(4)。
[C12]
電極リード板(6)と、電極ロール(3)と、を備える円筒形二次電池(1)のための端子配置(10)であって、ここにおいて、前記端子配置(10)は、C8~11のいずれか一項に記載の端子部(4)と、前記電極リード板(6)と、を備える、端子配置(10)。
[C13]
C8~11のいずれか一項に記載の端子部(4)と、電極リード板(6)と、を備える円筒形二次電池(1)を製造する方法であって、ここにおいて、前記方法は、
- 前記端子部(4)を前記電極リード板(6)と直接電気的に接触させて配置することと、オプションで、
- 前記端子部(4)を前記電極リード板(6)に溶接することと、
を備える、方法。
[C14]
円筒形二次電池(1)の外部端子(4a)を形成するための、C8~11のいずれか一項に記載の端子部(4)の使用であって、ここにおいて、前記端子部(4)は、前記円筒形二次電池(1)の電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されている、使用。
[C15]
円筒形二次電池(1)であって、
- 導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、
- C1~6のいずれか一項に記載の電極リード板(6)と、
- 前記円筒形二次電池(1)の外部端子を形成し、前記電極リード板(6)と直接電気的に接触して配置されるように構成された端子部(4)と、
を備える円筒形二次電池(1)。
[C16]
円筒形二次電池(1)であって、
- 導電性シート(3a)を備える電極ロール(3)と、
- 前記導電性シート(3a)と直接電気的に接触して配置されるように構成された電極リード板(6)と、
- C8~11のいずれか一項に記載の端子部(4)と、
を備える円筒形二次電池(1)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9