(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】ポリアクリルアミドゲル電解質、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
G01N 27/26 20060101AFI20250820BHJP
C08F 20/56 20060101ALI20250820BHJP
【FI】
G01N27/26 351C
G01N27/26 351D
C08F20/56
(21)【出願番号】P 2025018914
(22)【出願日】2025-02-07
【審査請求日】2025-02-07
(31)【優先権主張番号】202411437167.4
(32)【優先日】2024-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520154254
【氏名又は名称】江蘇科技大学
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU UNIVERSITY OF SCIENCE AND TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】No.2 Mengxi Road,Zhenjiang,Jiangsu 212003,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】丹 媛媛
(72)【発明者】
【氏名】于 化龍
【審査官】大瀧 真理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-272148(JP,A)
【文献】特開平04-184163(JP,A)
【文献】特開平01-302153(JP,A)
【文献】特開2021-006765(JP,A)
【文献】特表2015-510116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26 - 27/447
C08F 20/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアクリルアミドゲル電解質であって、アクリルアミドモノマー、開始剤、架橋剤及びグリセリンを原料として使用し、水相条件下でアクリルアミドモノマーを溶解し、開始剤と架橋剤を加え、無酸素条件下で開始剤によってアクリルアミドのラジカル重合を開始することにより得られ
、
前記水相は、硫酸ナトリウム溶液又は模擬雨水溶液であり、硫酸ナトリウム溶液の濃度は、0.002~1mol/Lであり、模擬雨水溶液中の全溶質の濃度は、0.0005~0.05mol/Lであり、
前記模擬雨水溶液には、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸ナトリウムが含有されることを特徴とするポリアクリルアミドゲル電解質。
【請求項2】
前記開始剤は、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムであり、前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミドであり、水相中のアクリルアミドモノマーの濃度は、10~50%であり、開始剤の使用量は、モノマー質量の4~6%であり、架橋剤の使用量は、モノマー質量の0.01~0.5%であることを特徴とする請求項1に記載のポリアクリルアミドゲル電解質。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質の製造方法であって、アクリルアミドを水相に溶かし、開始剤、架橋剤、グリセリン及び硫酸ナトリウム溶液を加えて均一に撹拌した後に不活性ガスを導入して10~20minバブリングし、60~100℃で30~60min放置し、室温まで冷却してポリアクリルアミドゲル電解質を得るステップを含むことを特徴とするポリアクリルアミドゲル電解質の製造方法。
【請求項4】
請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの製造における
使用。
【請求項5】
外型(1)を含む、請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサであって、外型(1)内には請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質(5)が充填され、請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質(5)内には対電極(2)と参照電極(3)が挿入され、請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質(5)の底部には作用電極(4)が設けられることを特徴とする携帯式三電極腐食型センサ。
【請求項6】
外型(1)は、エポキシ樹脂と硬化剤で製造され、参照電極(3)は、銀/塩化銀電極、銀線電極又は銀線めっきした銀電極であり、電極(2)は、炭素棒又は炭素板であり、作用電極(4)は、ステンレス鋼板であることを特徴とする請求項
5に記載の携帯式三電極腐食型センサ。
【請求項7】
参照電極(3)と対電極(2)は、平行に設けられ、参照電極(3)の底端は、いずれも作用電極(4)の上面から2~6mm離れることを特徴とする請求項
5に記載の携帯式三電極腐食型センサ。
【請求項8】
請求項1
または2に記載のポリアクリルアミドゲル電解質の大気腐食モニタリングにおける
使用。
【請求項9】
請求項
5に記載の携帯式三電極腐食型センサの大気腐食モニタリングにおける
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリアクリルアミドゲル電解質、その製造方法及び応用に関し、金属腐食モニタリングの分野に属する。
【背景技術】
【0002】
電気化学試験技術は、腐食研究に広く応用されている。しかしながら、これらの技術は、文化建造物分野での腐食研究においていくつかの特別な困難が存在し、一般的な試験では、いずれも人工材料を用意して金属の元の成分を模倣し、従来の実験室技術を使用して研究を実施するが、所属する建造物上で長時間にわたって形成されたこれらの成分を完全に繰り返し再現することができないので、これらが提供する情報にも限界がある。どのように腐食情報を非破壊的にモニタリングできるかは、研究の重点となっている。
【0003】
従来の液体電解質が長時間の使用過程で蒸発したり漏れたりしやすくなるので、モニタリングデータが不安定で不正確になる。
【0004】
大気腐食モニタリングの分野では、従来の液体電解質の代わりにポリマー電解質を使用することは、一般的かつ効果的な方法となっている。このような代替案は、液体の漏れ又は蒸発によるリスクを効果的に回避できるので、携帯式腐食型センサの設計と応用において特に重要である。モニタリング分野では、いくつかの解決すべき問題が依然として存在する。先ず、長期モニタリングの精度を確保するために、既存のポリマー電解質の異なる環境条件下での安定性と導電性を依然としてさらに最適化する必要がある。次に、どのようにセンサの感度と応答速度を向上させて、微小な腐食変化を捕捉するかも、現在の研究の重点である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の目的について、本発明の第1目的は、ポリアクリルアミドゲル電解質を提供することであり、本発明の第2目的は、該ポリアクリルアミドゲル電解質の製造方法を提供することであり、本発明の第3目的は、該ポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの製造における応用を提供することであり、本発明の第4目的は、該ポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサを提供することであり、それにより、特に大気腐食モニタリングの分野では、液体電解質を使用してその場で試験するときに直面する関連困難が解消される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
技術的解決手段について、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質は、アクリルアミドモノマー、開始剤、架橋剤及びグリセリンを原料として使用し、水相条件下でアクリルアミドモノマーを溶解し、開始剤と架橋剤を加え、無酸素条件下で開始剤によってアクリルアミドのラジカル重合を開始することにより得られる。
【0007】
さらに、前記開始剤は、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウムである。
【0008】
さらに、前記架橋剤は、メチレンビスアクリルアミドである。
【0009】
さらに、前記水相は、硫酸ナトリウム溶液又は模擬雨水溶液であり、硫酸ナトリウム溶液の濃度は、0.002~1mol/Lであり、模擬雨水溶液中の全溶質の濃度は、0.0005~0.05mol/Lである。
【0010】
さらに、模擬雨水溶液には、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、及び硝酸ナトリウムが含有される。
【0011】
さらに、水相中のアクリルアミドモノマーの濃度は、10~50%であり、開始剤の使用量は、モノマー質量の4~6%であり、架橋剤の使用量は、モノマー質量の0.01~0.5%である。
【0012】
本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質の製造方法は、
アクリルアミドを水相に溶かし、開始剤、架橋剤、グリセリン及び硫酸ナトリウム溶液を加えて均一に撹拌した後に不活性ガスを導入して10~20minバブリングし、60~100℃で30~60min放置し、室温まで冷却してポリアクリルアミドゲル電解質を得るステップを含む。
【0013】
本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの製造における応用。
【0014】
本発明は、外型を含む、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサをさらに含み、外型内には本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質が充填され、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質内には対電極と参照電極が挿入され、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質の底部には作用電極が設けられる。
【0015】
さらに、外型は、エポキシ樹脂と硬化剤で製造され、参照電極は、銀/塩化銀電極、銀線電極又は銀線めっきした銀電極であり、電極は、炭素棒又は炭素板であり、作用電極は、ステンレス鋼板である。
【0016】
さらに、参照電極と対電極は、平行に設けられ、参照電極の底端は、いずれも作用電極の上面から2~6mm離れる。
【0017】
さらに、外型は、エポキシ樹脂と硬化剤を混合した後にシリカゲル金型に注ぎ入れて24~48h静置したものである。
【0018】
さらに、作用電極を前処理する必要があり、前処理ステップは、作用電極をアセトン、エタノール、及び脱イオン水中できれいに洗浄するまでそれぞれ20~40min順次超音波処理し、処理した作用電極を40~60℃で1~2h乾燥させ、280#、800#、及び1200#のサンドペーパーを使用して乾燥した作用電極を順次研磨するステップを含む。
【0019】
本発明は、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質又は本発明に係る携帯式三電極腐食型センサの大気腐食モニタリングにおける応用をさらに含む。
【0020】
本発明が使用するポリアクリルアミドゲル電解質は、金属を非破壊的にモニタリングし、その腐食状態をリアルタイムで評価し、それにより金属材料の保守と保護に科学的根拠を提供し、その使用寿命を延ばし、潜在的な安全上のリスクを低下させることができる。グリセリンを添加することにより、該電解質の保湿性能が向上するだけでなく、モニタリングの適時性が向上し、電解質が長期の環境条件下で安定して動作することができる。このような改良により、ポリアクリルアミドゲル電解質によるセンサの信頼性と耐久性を向上させるだけでなく、この特性により、該電解質が実際の応用において金属材料の腐食状態を継続的かつ効果的にモニタリングすることができ、金属材料の大気中の腐食状態のリアルタイムモニタリングに対してより効果的な解決策を提供し、防食対策の実施に信頼性の高いデータサポートを提供し、さらに金属構造の安全性と耐久性を確保し、関連する防食対策の制定に科学的根拠を提供する。
【発明の効果】
【0021】
有益な効果について、従来技術と比較して、本発明は、以下の顕著な利点を有する。
【0022】
(1)本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質は、安定性が良好であり、製造方法が簡単であり、特に以下の利点を有する。(I)電解質の安定性について、アクリルアミドゲル電解質は、一定時間の保存が可能であり、複数回の試験に適され、実験の柔軟性と効率を向上させる。(II)グリセリンを添加することにより、ゲル電解質の保湿性能が向上し、電解質が様々な環境条件下で安定状態を保持することができ、それにより長時間のモニタリングが実現される。このような改良により、センサの信頼性と耐久性が向上する。
【0023】
(2)本発明が提供する携帯式三電極腐食型センサの利点は、非破壊試験を実現し、異なる環境での腐食モニタリングを容易にすることができることである。具体的な利点は以下を含む。(I)センサは、携帯式に設計され、現場での迅速な検出が容易となり、サンプルに対する損傷を低減させる。(II)良好な再現性について、センサの安定性が良好であり、同一のサンプルを連続して3回繰り返し試験したとしても、結果の差が大きくなく、その信頼性の高い測定能力が示される。(III)電極のゲル電解質における位置レイアウトが最適化され、炭素板を対電極として使用することで、電極間の電界の均一な分布に寄与し、それにより干渉を低減させ、測定の精度を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の携帯式三電極腐食型センサの構造模式図である。
【
図2】
図2は実施例2で製造された、硫酸ナトリウム含有量の異なる5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTafelの比較図である。
【
図3】
図3は実施例3で製造された、5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTafelの比較図である。
【
図4】
図4は実施例3で製造された、5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの有効使用時間試験結果を示す図である。
【
図5】
図5は実施例4で製造された、ポリアクリルアミドゲル電解質による3群の携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトルの比較図である。
【
図6】
図6は実施例5で製造された、ポリアクリルアミドゲル電解質による3群の携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトルの比較図である。
【
図7】
図7は実施例6で製造された、ポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの安定した電気化学インピーダンススペクトルである。
【
図8】
図8は比較例1で製造された、7群の寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTAFELの比較図である。
【
図9】
図9は比較例1における最適な割合の連続2日間の安定性試験結果を示す図である。
【
図10】
図10は実施例7におけるポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサ及び寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサの、異なる金属塊の24h以内の腐食状況に対する電気化学インピーダンススペクトルである。
【
図11】
図11は実施例7におけるクーポン法を使用した異なる金属塊の24h以内の腐食状況の腐食速度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の技術的解決手段をさらに説明する。
【0026】
実施例1
図1に示すように、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサは、外型1を含み、外型1内には本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質5が充填され、本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質5内には対電極2と参照電極3が挿入される。本発明に係るポリアクリルアミドゲル電解質5の底部には作用電極4が設けられる。
【0027】
参照電極3と電極2は、平行に設けられ、参照電極3と電極2との間の距離は、2cmであり、参照電極3と電極4との間の距離は、2~6mmである。対電極2と電極4との間の距離は、参照電極3と電極4との間の距離よりも長い(約1mm長い)。外型1は、エポキシ樹脂接着剤E44(東莞艾力克新材料有限公司)25mLとエポキシ硬化剤650(東莞艾力克新材料有限公司)25mLを混合した後に内径4cm、外径5cm、高さ6cm、層厚5mmの2層の円筒形シリカゲル金型に注ぎ入れて30h静置したものであり、参照電極3は、銀/塩化銀電極であり、電極2は、炭素棒であり、作用電極4は、長さ×幅×厚さが5cm×5cm×0.2cmのステンレス鋼板である。作用電極4の前処理過程としては、具体的に、作用電極4をアセトン、エタノール、及び脱イオン水中できれいに洗浄するまでそれぞれ30min順次超音波処理し、次に280#、800#、及び1200#のサンドペーパーを使用して洗浄した作用電極4を順次研磨し、最後に処理した作用電極4を60℃のオーブンで2h乾燥させて、作用電極4を得る。
【0028】
実施例2 実施例1に記載のポリアクリルアミド電解質による携帯式三電極腐食型センサの異なる硫酸ナトリウム濃度での製造
【0029】
(1)硫酸ナトリウム濃度が0.002mol/Lのポリアクリルアミドゲル電解質の製造
先ず硫酸ナトリウム2.84mgを秤量して水10mLに溶解して硫酸ナトリウム溶液を得て、その後、アクリルアミド2g、過硫酸アンモニウム0.1g、及びメチレンビスアクリルアミド2.5mgを秤量して上記硫酸ナトリウム溶液に溶解し、窒素ガスを利用して混合溶液を10min脱酸素した後、60℃で30min加熱して重合し、直径40mm、高さ40mmの円筒形シリカゲル金型に注ぎ入れ、冷却してポリアクリルアミドゲル電解質を得た。
【0030】
(2)ステップ(1)で得られたポリアクリルアミドを対電極2と、参照電極3としての銀/塩化銀が挿入された金型1に注ぎ入れ、次にゲル電解質を備えた上記金型1を作用電極4に置いて携帯式三電極腐食型センサを形成した。参照電極3と電極4との間の距離が4mmであり、対電極2と電極4との間の距離が5mmであった。
【0031】
上記過程を使用して、それぞれ0.02mol/L、0.2mol/L、0.5mol/L、及び1mol/Lの硫酸ナトリウム濃度で4群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサをそれぞれ製造した。
【0032】
本例における5群のポリアクリルアミドゲル電解質による三電極腐食型センサに対して電気化学的性能試験を行い、それらの作用電極に対する影響を研究し、試験結果を
図2に示す。
図2は、実施例2で製造された、硫酸ナトリウム含有量の異なる5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTafelの比較図であり、
図Aは、電気化学インピーダンススペクトルであり、
図Bは、Tafel図である。
図2Aからわかるように、硫酸ナトリウム含有量が増加するにつれて、容量性リアクタンスアークが徐々に減少し、硫酸ナトリウムの濃度が0.2mol/L~1mol/Lの間で変化するときに、容量性リアクタンスアークの変化幅が小さくなる。これにより、この濃度範囲内で、電解質の影響が安定する傾向があることが示されるので、総合的に考慮した結果、硫酸ナトリウム0.5mol/Lが電解質の最適な濃度として選択され、この濃度であれば、良好な導電性を確保するとともに、過剰な濃度がもたらす可能性のある悪影響を回避し、それによりその後の腐食モニタリングに対してより信頼性の高い電気化学環境を提供することができる。
【0033】
実施例3 ポリアクリルアミドゲル電解質の異なるグリセリン濃度での製造
製造過程は、実施例1と同じであるが、相違点は、グリセリンの濃度を変更することであり、具体的に以下のとおりである。
【0034】
(1)グリセリン含有量が30%W/Wのポリアクリルアミドゲル電解質の製造
先ず硫酸ナトリウム0.710gを秤量して水10mLに溶解して濃度0.5mol/Lの硫酸ナトリウム溶液を得て、その後、アクリルアミド2g、過硫酸アンモニウム0.1g、及びメチレンビスアクリルアミド2.5mgを秤量して上記硫酸ナトリウム溶液に溶解して、均一な混合溶液を得た。濃度30%W/Wのグリセリンを混合溶液に加え、窒素ガスを利用して混合溶液を10min脱酸素した後、60℃で30min加熱して重合し、直径40mm、高さ40mmの円筒形シリカゲル金型に注ぎ入れ、冷却してポリアクリルアミドゲル電解質を得た。
【0035】
(2)ステップ(1)で得られたポリアクリルアミドを対電極2と、参照電極3としての銀/塩化銀が挿入された金型1に注ぎ入れ、次にゲル電解質を備えた上記金型1を作用電極4に置いて携帯式三電極腐食型センサを形成した。
【0036】
上記過程を使用して、それぞれ0%W/W、10%W/W、20%W/W、及び40%W/Wのグリセリン含有量で4群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサをそれぞれ製造した。
【0037】
本例で実施された5群のポリアクリルアミドゲル電解質による三電極腐食型センサに対して電気化学的性能試験を行い、試験結果を
図3に示す。
図3は、実施例3で製造された、5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTafelの比較図であり、Aは、グリセリン含有量の異なるポリアクリルアミドゲル電解質の電気化学インピーダンススペクトルであり、Bは、グリセリン含有量の異なるポリアクリルアミドゲル電解質のTafel図である。
図3におけるデータを分析することにより、グリセリン濃度の異なる全ての曲線特性がいずれも同様の傾向を示すことを観察でき、グリセリンの添加量によって電極反応の特性が顕著に変化しないことが示されるので、このようなゲル電解質を使用して電気化学試験を行う有効性がサポートされる。
【0038】
EIS及びTafelの試験結果をさらに分析したところ、グリセリン含有量が徐々に増加するにつれて、ゲル電解質の作用電極に対する腐食影響が徐々に減少し、センサの性能も向上することがわかった。これにより、適量のグリセリンが電解質の安定性と耐食能力を効果的に改善できることが示されるが、グリセリン含有量が40%を超えるときに、該電解質が高い軟化特性と粘度を示し、実験には適用できない。従って、電気化学試験結果及び実際の使用時の電解質の状態に基づいて、グリセリン含有量が30%~40%のゲル電解質を選択して試験に応用することが適切である。
【0039】
図4は、実施例3で製造された、5群のポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサの有効使用時間試験結果を示す図であり、Aは、グリセリンを添加していない電解質の異なる時間におけるインピーダンス試験の統計図であり、Bは、10%グリセリンを添加した電解質の異なる時間におけるインピーダンス試験の統計図であり、Cは、20%グリセリンを添加した電解質の異なる時間におけるインピーダンス試験の統計図であり、Dは、30%グリセリンを添加した電解質の異なる時間におけるインピーダンス試験の統計図であり、Eは、40%グリセリンを添加した電解質の異なる時間におけるインピーダンス試験の統計図である。該
図4からわかるように、グリセリン含有量が30%に増加するにつれて、ポリアクリルアミドゲル電解質による腐食型センサの有効使用時間も対応して延長する。
図4Eは、40%グリセリンを添加したセンサの30日間のインピーダンス試験の統計図であり、最初の11日間の試験期間では、センサの試験結果が安定し、変化が起こらず、この期間内に腐食状況を効果的にモニタリングできることが示された。時間が経つにつれて、電解質の保湿効果が徐々に低下し、相変化を引き起こす可能性があり、さらに導電性が向上してインピーダンスが低下し、ステンレス鋼に対する腐食影響も徐々に大きくなった。
【0040】
以上より、該センサは、最長11日間に腐食状況を効果的にモニタリングすることができ、この結果により、グリセリンのポリアクリルアミドゲル電解質の長期モニタリング能力の向上における重要な作用がさらに検証され、大気腐食モニタリングにおけるその応用に強固な基礎が提供される。
【0041】
実施例4 異なる電極を使用したゲルによる三電極腐食型センサの製造
ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサを製造する基本的なステップは、実施例3と同じであり、本実施例では、グリセリンの濃度を40%W/Wに設定する。相違点は、使用される対電極2が炭素板であり、参照電極3がそれぞれ銀/塩化銀電極、銀線電極及び塩化銀めっきした銀線電極を使用することにより、3群のポリアクリルアミドゲルによる携帯式三電極腐食型センサを製造することである。
【0042】
この3群の三電極腐食型センサに対して電気化学試験を行い、結果を
図5に示す。
図5では、実施例4で製造された3群の腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトルの比較図が示される。
図5からわかるように、これら3種類の参照電極の曲線特性が基本的に一致し、参照電極3を交換しても腐食試験結果に顕著な影響を与えないことが示された。この発見により、センサの柔軟な応用に対してより多くの可能性が提供され、異なる実験条件下で、試験の精度に影響を与えることなく適切な参照電極を選択できるようになる。
【0043】
以上より、本実施例の結果により、ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサの信頼性と適応性がさらに検証され、将来の研究と応用の基礎が築かれる。
【0044】
実施例5 参照電極と作用電極との様々な距離による、ゲルによる三電極腐食型センサに対する影響
ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサを製造する基本的なステップは、実施例4と同じであり、本実施例では、グリセリンの濃度を40%W/Wに設定する。使用される対電極2が炭素板であり、相違点は、参照電極3が銀/塩化銀電極を使用することであり、実際の応用と組み合わせると、参照電極3と作用電極4との間の距離をそれぞれ2mm、4mm、及び6mmに選択することにより3群のポリアクリルアミドゲルによる携帯式三電極腐食型センサを製造した。これら3群の三電極腐食型センサに対して電気化学試験を行い、結果を
図6に示す。
図6では、実施例5で製造された3群の腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトルの比較図が示される。
図Aは、Nyquist図であり、
図Bは、bode図であり、
図6Aからわかるように、これら3種類の参照電極の曲線特性が基本的に一致し、3種類の参照電極の曲線特性が基本的に一致することは、電極の間隔が電気化学反応の全体的な特性にほとんど影響を与えないことを示す。
図6のBode図の低周波領域のインピーダンスの上昇から、電解質の抵抗が徐々に増加することが示され、このことから、電解質の導電率が距離の影響を受けることが示された。実際の試験と組み合わせると、異なる参照電極の距離が電気化学反応の特性曲線にほとんど影響を与えないが、電解質の抵抗が確かに影響を受ける。従って、実際の試験を考慮した結果、参照電極と作用電極との間の距離として4mmを選択することで、実験の有効性と再現性を効果的に確保することができる。
【0045】
実施例6 様々な塩溶液で調製されたゲルによる三電極腐食型センサに対する影響
ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサを製造する基本的なステップは、実施例2と同じであり、相違点は、ポリアクリルアミドゲル電解質を製造するときに模擬雨水溶液を水相として使用し、模擬雨水溶液中の全溶質の濃度が0.00073mol/Lであることであり、具体的に以下のとおりである。
【0046】
(1)模擬雨水電解液の調製
先ず硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)14.43mg、硫酸アンモニウム[(NH4)2SO4]15.04mg、塩化アンモニウム[(NH4)Cl]19.15mg、及び硝酸ナトリウム(NaNO3)15.13mgを秤量して蒸留水1000mLに溶解し、該混合溶液を液体電解質として使用し、1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpHを6.5に調節して模擬雨水電解液を得た。
【0047】
(2)ポリアクリルアミドゲル電解質による三電極腐食型センサの製造
先ずアクリルアミド2g、過硫酸アンモニウム0.1g、及びメチレンビスアクリルアミド2.5mgを秤量して模擬雨水電解液20mLに溶解して、均一な混合溶液を得た。濃度40%W/Wのグリセリンを混合溶液に加え、窒素ガスを利用して混合溶液を10min脱酸素した後、60℃で30min加熱して重合し、直径40mm、高さ40mmの円筒形シリカゲル金型に注ぎ入れ、冷却してポリアクリルアミドゲル電解質を得た。
【0048】
(3)ステップ(2)で得られたポリアクリルアミドを対電極2と、参照電極3としての銀/塩化銀が挿入された金型1に注ぎ入れ、次にゲル電解質を備えた上記金型1を作用電極4に置いて携帯式三電極腐食型センサを形成した。参照電極3と電極4との間の距離が4mmであり、対電極2と電極4との間の距離が5mmであった。
【0049】
該三電極腐食型センサに対して電気化学試験を行うことでシステム及びその安定性を検証し、
図7では、同一のサンプルに対する3回の連続したEIS測定が示される。結果により、全体的な測定の安定性が良好であることが示された。
【0050】
比較例1 寒天ゲル電解質
(1)模擬雨水電解液の調製
先ず硫酸カルシウム二水和物(CaSO4・2H2O)14.43mg、硫酸アンモニウム[(NH4)2SO4]15.04mg、塩化アンモニウム[(NH4)Cl]19.15mg、及び硝酸ナトリウム(NaNO3)15.13mgを秤量して蒸留水1000mLに溶解し、該混合溶液を液体電解質として使用し、1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpHを6.5に調節して液体電解液を得た。
【0051】
(2)寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサの製造
濃度2%W/Wで寒天粉末を電解液40mLに加え、先ず常温で30min撹拌した後、溶液を110℃の油浴に放置して30min保持し、室温で一定時間冷却した後に電解液を対電極2としての炭素棒と、参照電極3としての銀/塩化銀が充填された金型1に注入し、その後、凝固するまで冷却して三電極腐食型センサを得て、三電極腐食型センサの構造が実施例1と同じであるが、相違点は、電解質が異なることである。
【0052】
上記過程を使用して、それぞれ3%W/W、4%W/W、5%W/W、6%W/W、8%W/W、及び10%W/Wの寒天含有量で、6群の寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサをそれぞれ得た。
【0053】
図8に示すように、本例で実施された7群の寒天ゲル電解質による腐食型センサに対して電気化学的性能試験を行った。
図8は、比較例1で製造された、7群の寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトル及びTAFELの比較図であり、Aは、寒天含有量の異なるゲル電解質による腐食型センサの電気化学インピーダンススペクトルであり、Bは、対応するTAFEL図である。該
図8に示すように、全ての寒天濃度の曲線特性がいずれも同様であり、寒天含有量を追加しても電極反応が顕著に変化しないことが示されるので、このようなゲル電解質を使用して電気化学試験を行うことがサポートされる。EIS及びTAFELの試験図から、寒天含有量が4%W/Wであるときに、ゲル電解質が作用電極の腐食に最小限の影響を与えることがわかり、上記から、この濃度で製造された寒天ゲルによる腐食型センサが最適な性能を有することがわかった。
【0054】
図9に示すように、寒天含有量が4%W/Wの腐食型センサに対して適時性試験を行ったところ、24時間後に電気化学インピーダンススペクトルの試験結果が一致しなくなることが示された。このことから、時間が経つにつれて、寒天ゲル電解質の性能が変化して、センサの安定性と精度に影響を与える可能性があることが示された。
【0055】
実施例7 ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサの実際の応用
実施例6で製造されたポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサ及び比較例1で製造された寒天ゲルによる腐食型センサを使用して、異なる金属塊の24h以内の腐食状況を検出した。具体的に以下のとおりである。
【0056】
長さ5cm、幅5cm、厚さ0.2cmの316Lステンレス鋼板、201ステンレス鋼板、及びQ235鋼板をそれぞれ作用電極として使用し、アセトン、エタノール、及び脱イオン水中できれいに洗浄するまでそれぞれ30min順次超音波処理し、280#、800#、及び1200#のサンドペーパーを使用して洗浄した作用電極を順次研磨した後に乾かして使用に備えた。処理した316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼を恒温恒湿試験箱に入れ、温度15℃、湿度100の条件下で1h、4h、8h、及び24h腐食した。実施例6で製造されたポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサ及び比較例1で製造された寒天ゲルによる腐食型センサをそれぞれ上記鋼板サンプルに置いた後、電気化学ワークステーションに接続して、試験を開始することができた。316Lステンレス鋼板、201ステンレス鋼板、及びQ235鋼板の1~24h以内の腐食状況に対して電気化学インピーダンススペクトル試験をそれぞれ行い、結果を
図10に示す。
【0057】
図10は、実施例7におけるポリアクリルアミドゲル電解質による携帯式三電極腐食型センサ及び寒天ゲル電解質による三電極腐食型センサの、異なる金属塊の24h以内の腐食状況に対する電気化学インピーダンススペクトルであり、Aは、ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサの316Lステンレス鋼に対する電気化学インピーダンススペクトルであり、Bは、ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサの201ステンレス鋼に対する電気化学インピーダンススペクトルであり、Cは、ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサのQ235鋼に対する電気化学インピーダンススペクトルであり、Dは、寒天ゲルによる腐食型センサの316Lステンレス鋼に対するインピーダンス試験図であり、Eは、寒天ゲルによる腐食型センサの201ステンレス鋼に対するインピーダンス試験図であり、Fは、寒天ゲルによる腐食型センサのQ235鋼に対するインピーダンス試験図であり、Gは、ポリアクリルアミドゲルによる腐食型センサの、316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼の24hにおける腐食比較に対する電気化学インピーダンススペクトルであり、Hは、寒天ゲルによる腐食型センサの、316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼の24hにおける腐食比較に対する電気化学インピーダンススペクトルである。
図10のA、B、Cからわかるように、顕著なインピーダンス変化が示され、ポリアクリルアミドゲルセンサが異なる材料の異なる時点での腐食状況を明確に反映することができる。このことから、ポリアクリルアミドゲルセンサの金属腐食に対する感度が高く、腐食過程における電気化学変化を効果的に捕捉できることが示された。寒天ゲルによる腐食型センサの試験結果(
図10のD、E、F)により、弱い電気化学応答が示され、異なる時点での腐食の違いを区別することが困難であった。従って、金属の腐食状況を短時間で評価するときに、ポリアクリルアミドゲルの結果がより明確になる。
【0058】
図10のGとHの分析からわかるように、同じ時間で、ポリアクリルアミドゲル及び寒天ゲルは、いずれもQ235のインピーダンスが小さい一方、316Lのインピーダンスが大きいことを示し、316Lの耐食性能がより良好であることが示された。これにより、ポリアクリルアミドゲルセンサの金属腐食評価における優位性がさらに検証された。
【0059】
クーポン法は、サンプルの腐食状況を判断するために一般的に使用される。具体的な操作は以下のとおりである。316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼をアセトン、エタノール、及び脱イオン水中できれいに洗浄するまでそれぞれ30min順次超音波処理し、280#、800#、及び1200#のサンドペーパーを使用して洗浄した作用電極を順次研磨した後に乾かして使用に備える。処理した316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼を恒温恒湿試験箱に入れ、温度15℃、湿度100の条件下で腐食する。質量差でサンプルの24h以内の腐食状況を判断し、結果を
図11に示す。
【0060】
図11は、実施例7におけるクーポン法を使用した異なる金属塊の24h以内の腐食状況の腐食速度を示す図であり、Aは、腐食前のサンプル図であり、左から右へそれぞれ316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼であり、Bは、24h腐食後のサンプル図であり、左から右へそれぞれ316Lステンレス鋼、201ステンレス鋼、及びQ235鋼であり、Cは、316Lステンレス鋼の質量減少を示す図であり、Dは、201ステンレス鋼の質量減少を示す図であり、Eは、Q235鋼の質量減少を示す図である。
図11のAとBの比較により、肉眼でサンプルの変化を観察することは、特に表面には顕著な腐食の兆候がない場合に、腐食状況を正確に判断することができなかった。質量減少のデータ(
図11のC、D及びE)により、各材料の腐食程度をより客観的に評価することができた。
図11からわかるように、Q235鋼の質量減少が最も大きく、その腐食速度が高いが、316Lステンレス鋼が良好な耐食性能を示す。
【0061】
クーポン法は、効果的な腐食評価方法であるが、その操作が複雑で長い時間を待つ必要があるので、迅速な評価が必要な場合に適用できない可能性がある。クーポン法と比較して、本発明のポリアクリルアミドゲル電解質センサは、より効率的な検出方式を提供する。電気化学試験を直接行うことにより、電気化学インピーダンススペクトルデータを迅速に取得し、さらに異なる金属の耐食性能を比較することができる。実験結果により、ゲルセンサの結果がクーポン法の結果と一致し、その精度と信頼性を示すことが示される。
【0062】
以上より、ゲルによる腐食型センサは、操作がより簡単で迅速であり、実験待ち時間を効果的に短縮することができ、金属腐食性能を迅速に評価する必要がある場合に適用される。従って、ゲル電解質センサは、普及する価値のある腐食検出方法である。
【要約】 (修正有)
【課題】大気中の金属の腐食をモニタリングする携帯式三電極腐食型センサに使用するポリアクリルアミドゲル電解質、その製造方法を提供する。
【解決手段】ポリアクリルアミドゲル電解質5は、アクリルアミドモノマー、開始剤、架橋剤及びグリセリンを水相条件下、無酸素条件下でラジカル重合により得る。このようにして得たポリアクリルアミドゲル電解質は、グリセリンが存在するので、優れた保湿性能を示し、室温での安定保存と有効使用が可能であり、金属材料の腐食状況の長期モニタリングに適する。
【選択図】
図1