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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】基板洗浄装置および基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20250820BHJP
   B08B 1/32 20240101ALI20250820BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20250820BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 644C
H01L21/304 651L
H01L21/304 644E
H01L21/304 644F
B08B1/32
B08B3/02 D
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021111824
(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公開番号】P2023008336
(43)【公開日】2023-01-19
【審査請求日】2024-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【弁理士】
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】篠原 智之
(72)【発明者】
【氏名】石井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】中村 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 吉文
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 拓馬
(72)【発明者】
【氏名】篠原 敬
(72)【発明者】
【氏名】沖田 展彬
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-052163(JP,A)
【文献】特開2005-252206(JP,A)
【文献】特開2016-152274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
B08B 1/32
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置を有し、前記基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持する第1の保持部と、
鉛直軸周りに回転可能に構成され、前記基板の下面中央領域を保持する第2の保持部と、
前記第1の保持部により保持される前記基板の前記下面中央領域に接触することにより前記下面中央領域を洗浄するとともに、前記第2の保持部により回転される前記基板の前記下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより前記下面外側領域を洗浄する洗浄具と、
前記第2の保持部および前記洗浄具が設けられ、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間での前記基板の受け渡し時に、平面視において、前記第2の保持部が前記第1の保持部の前記基準位置と重なり、前記下面中央領域の洗浄時に、前記平面視において、前記洗浄具が前記第1の保持部の前記基準位置と重なるように水平面内で移動する可動台座とを備え、
前記第2の保持部および前記洗浄具は、前記可動台座とともに水平面内で一体的に移動し、
前記第2の保持部は、前記下面中央領域の洗浄時に、前記基板を保持しない状態で回転する、基板洗浄装置。
【請求項2】
前記洗浄具と前記第2の保持部との間に配置され、前記基板に向けて気体を噴出する気体噴出部をさらに備える、請求項1記載の基板洗浄装置。
【請求項3】
前記水平面内で一方向に延びるリニアガイドをさらに備え、
前記可動台座は、前記リニアガイドに沿って直線状に移動する、請求項1または2記載の基板洗浄装置。
【請求項4】
前記下面中央領域の洗浄時における前記第2の保持部の回転速度は500rpm以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載の基板洗浄装置。
【請求項5】
基準位置を有し、前記基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持する第1の保持部と、
前記基板の下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させる第2の保持部と、
前記第1の保持部により保持される前記基板の前記下面中央領域に接触することにより前記下面中央領域を洗浄するとともに、前記第2の保持部により回転される前記基板の前記下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより前記下面外側領域を洗浄する洗浄具と、
前記洗浄具と前記第2の保持部との間で上下動可能に配置され、前記下面中央領域の洗浄時に、前記基板から所定距離だけ離間した第1の高さから前記基板に向けて気体を噴出し、前記下面中央領域の乾燥時に、前記第1の高さよりも前記基板に近い第2の高さから前記基板に向けて気体を噴出する気体噴出部と
前記第2の保持部および前記洗浄具が設けられ、前記第1の保持部と前記第2の保持部との間での前記基板の受け渡し時に、平面視において、前記第2の保持部が前記第1の保持部の前記基準位置と重なり、前記下面中央領域の洗浄時に、前記平面視において、前記洗浄具が前記第1の保持部の前記基準位置と重なるように水平面内で移動する可動台座とを備え
前記第2の保持部および前記洗浄具は、前記可動台座とともに水平面内で一体的に移動する、基板洗浄装置。
【請求項6】
前記第2の保持部は、前記下面中央領域の洗浄時に、前記基板を保持しない状態で回転する、請求項5記載の基板洗浄装置。
【請求項7】
前記洗浄具と前記気体噴出部とを支持する共通の支持部をさらに備える、請求項5または6記載の基板洗浄装置。
【請求項8】
基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に前記基板の中心が位置するように当該基板を保持することと、
前記下面中央領域の洗浄時に、前記基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることと、
前記下面中央領域の洗浄時に、前記第1の保持部により保持される前記基板の前記下面中央領域に洗浄具を接触させることと、
前記基板の前記下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、前記第2の保持部により前記基板の前記下面中央領域を保持しつつ、鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、
前記下面外側領域の洗浄時に、前記第2の保持部により回転される前記基板の前記下面外側領域に前記洗浄具を接触させることと、
前記第1の保持部と前記第2の保持部との間での前記基板の受け渡し時に、平面視において、前記第2の保持部が前記第1の保持部の前記基準位置と重なり、前記下面中央領域の洗浄時に、前記平面視において、前記洗浄具が前記第1の保持部の前記基準位置と重なるように、前記第2の保持部および前記洗浄具が設けられた可動台座を水平面内で移動させることとを含み、
前記可動台座を水平面内で移動させることは、前記第2の保持部および前記洗浄具を前記可動台座とともに水平面内で一体的に移動させることを含む、基板洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄具と前記第2の保持部との間に配置された気体噴出部により前記基板に向けて気体を噴出することとをさらに含む、請求項8記載の基板洗浄方法。
【請求項10】
前記可動台座を水平面内で移動させることは、前記水平面内で一方向に延びるリニアガイドに沿って直線状に前記可動台座を移動させることを含む、請求項8または9記載の基板洗浄方法。
【請求項11】
前記基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることは、500rpm以上の回転速度で前記第2の保持部を回転させることを含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の基板洗浄方法。
【請求項12】
基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に前記基板の中心が位置するように当該基板を保持することと、
前記下面中央領域の洗浄時に、前記第1の保持部により保持される前記基板の前記下面中央領域に洗浄具を接触させることと、
前記基板の前記下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により前記基板の前記下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、
前記下面外側領域の洗浄時に、前記第2の保持部により回転される前記基板の前記下面外側領域に前記洗浄具を接触させることと、
前記下面中央領域の洗浄時に、前記洗浄具と前記第2の保持部との間に配置された気体噴出部により前記基板から所定距離だけ離間した第1の高さから前記基板に向けて気体を噴出し、前記下面中央領域の乾燥時に、前記気体噴出部により前記第1の高さよりも前記基板に近い第2の高さから前記基板に向けて気体を噴出することと
前記第1の保持部と前記第2の保持部との間での前記基板の受け渡し時に、平面視において、前記第2の保持部が前記第1の保持部の前記基準位置と重なり、前記下面中央領域の洗浄時に、前記平面視において、前記洗浄具が前記第1の保持部の前記基準位置と重なるように、前記第2の保持部および前記洗浄具が設けられた可動台座を水平面内で移動させることとを含み、
前記可動台座を水平面内で移動させることは、前記第2の保持部および前記洗浄具を前記可動台座とともに水平面内で一体的に移動させることを含む、基板洗浄方法。
【請求項13】
前記下面中央領域の洗浄時に、前記基板を保持しない状態で鉛直軸周りに前記第2の保持部を回転させることをさらに含む、請求項12記載の基板洗浄方法。
【請求項14】
前記洗浄具と前記気体噴出部とは、共通の支持部により支持される、請求項12または13記載の基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を洗浄する基板洗浄装置および基板洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の各種基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられている。基板を洗浄するためには、基板洗浄装置が用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1に記載された基板洗浄装置は、ウエハの裏面周縁部を保持する2つの吸着パッド、ウエハの裏面中央部を保持するスピンチャック、およびウエハの裏面を洗浄するブラシを備える。2つの吸着パッドがウエハを保持するとともに横方向に移動する。この状態で、ウエハの裏面中央部がブラシで洗浄される。その後、スピンチャックが吸着パッドからウエハを受け取り、スピンチャックがウエハの裏面中央部を保持しつつ回転する。この状態で、ウエハの裏面周縁部がブラシで洗浄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5904169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の基板洗浄装置においては、スピンチャックの表面とウエハの裏面とを互いに乾燥した状態で接触させるために、スピンチャックへウエハが受け渡される際に、エアナイフによりウエハの裏面が乾燥される。しかしながら、スピンチャックの表面への洗浄液の付着を十分に防止することは容易ではない。スピンチャックの表面に汚染した洗浄液が付着すると、スピンチャックの清浄度が低下する。そのため、スピンチャックを清浄に維持することが求められる。
【0006】
本発明の目的は、基板の保持部を清浄に維持することが可能な基板洗浄装置および基板洗浄方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)第1の発明に係る基板洗浄装置は、基準位置を有し、基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持する第1の保持部と、鉛直軸周りに回転可能に構成され、基板の下面中央領域を保持する第2の保持部と、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に接触することにより下面中央領域を洗浄するとともに、第2の保持部により回転される基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより下面外側領域を洗浄する洗浄具と、第2の保持部および洗浄具が設けられ、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動する可動台座とを備え、第2の保持部および洗浄具は、可動台座とともに水平面内で一体的に移動し、第2の保持部は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で回転する。
【0008】
この発明に係る基板洗浄装置においては、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に基板の中心が位置するように当該基板が保持された状態で、基板の下面中央領域に洗浄具が接触される。また、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部が回転される。基板の下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域が保持されつつ、鉛直軸周りに当該基板が回転された状態で、基板の下面外側領域に洗浄具が接触される。
【0009】
第2の保持部および洗浄具は、可動台座に設けられる。第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、可動台座は、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動される。下面中央領域の洗浄時に、可動台座は、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動される。
【0010】
この構成によれば、基板の下面中央領域の洗浄時に、第2の保持部が基板と重ならない位置に退避される。また、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0011】
(2)基板洗浄装置は、洗浄具と第2の保持部との間に配置され、基板に向けて気体を噴出する気体噴出部をさらに備えてもよい。この場合、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することを防止することができる。また、気体噴出部から噴出される気体により、下面中央領域を効率的に乾燥させることができる。これにより、液体が第2の保持部に付着することを防止し、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0012】
(3)基板洗浄装置は、水平面内で一方向に延びるリニアガイドをさらに備え、可動台座は、リニアガイドに沿って直線状に移動してもよい。この場合、簡単な構成で可動台座を水平面内で移動させることができる。
【0013】
(4)下面中央領域の洗浄時における第2の保持部の回転速度は500rpm以上であってもよい。この場合、第2の保持部に付着した液体は第2の保持部から短時間で振り切られる。これにより、第2の保持部をより効率的に清浄に維持することができる。
【0014】
(5)第2の発明に係る基板洗浄装置は、基準位置を有し、基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持する第1の保持部と、基板の下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させる第2の保持部と、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に接触することにより下面中央領域を洗浄するとともに、第2の保持部により回転される基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより下面外側領域を洗浄する洗浄具と、洗浄具と第2の保持部との間で上下動可能に配置され、下面中央領域の洗浄時に、基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体を噴出し、下面中央領域の乾燥時に、第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体を噴出する気体噴出部と、第2の保持部および洗浄具が設けられ、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動する可動台座とを備え、第2の保持部および洗浄具は、可動台座とともに水平面内で一体的に移動する。
【0015】
この係る基板洗浄装置においては、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基板が保持された状態で、基板の下面中央領域に洗浄具が接触される。下面中央領域の洗浄時に、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体が噴出される。下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部により第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体が噴出される。
【0016】
この構成によれば、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することが防止される。また、下面中央領域の乾燥時に、基板の下面と気体噴出部とが近接した状態で、気体噴出部から基板の下面に気体が噴出されるので、下面中央領域が効率的に乾燥される。そのため、液体が第2の保持部に付着することが防止される。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0017】
(6)第2の保持部は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で回転してもよい。この構成によれば、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部をより確実に清浄に維持することができる。
【0018】
(7)基板洗浄装置は、洗浄具と気体噴出部とを支持する共通の支持部をさらに備えてもよい。この場合、基板の位置に応じた洗浄具および気体噴出部の移動が一体的に行われる。そのため、基板の下面を効率的に洗浄することができる。また、気体噴出部は上下動可能に設けられるので、洗浄具と気体噴出部とが共通の支持部により支持される場合でも、基板の下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部を基板の下面中央領域の洗浄時よりも基板に近接させることができる。これにより、基板の下面を効率的に乾燥させることができる。
【0019】
(8)第3の発明に係る基板洗浄方法は、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持することと、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることと、下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に洗浄具を接触させることと、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域を保持しつつ、鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により回転される基板の下面外側領域に洗浄具を接触させることと、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように、第2の保持部および洗浄具が設けられた可動台座を水平面内で移動させることとを含み、可動台座を水平面内で移動させることは、第2の保持部および洗浄具を可動台座とともに水平面内で一体的に移動させることを含む。
【0020】
この基板洗浄方法によれば、基板の下面中央領域の洗浄時に、第2の保持部が基板と重ならない位置に退避される。また、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0021】
(9)基板洗浄方法は、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板に向けて気体を噴出することとをさらに含んでもよい。この場合、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することを防止することができる。また、気体噴出部から噴出される気体により、下面中央領域を効率的に乾燥させることができる。これにより、液体が第2の保持部に付着することを防止し、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0022】
(10)可動台座を水平面内で移動させることは、水平面内で一方向に延びるリニアガイドに沿って直線状に可動台座を移動させることを含んでもよい。この場合、簡単な構成で可動台座を水平面内で移動させることができる。
【0023】
(11)基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることは、500rpm以上の回転速度で第2の保持部を回転させることを含んでもよい。この場合、第2の保持部に付着した液体は第2の保持部から短時間で振り切られる。これにより、第2の保持部をより効率的に清浄に維持することができる。
【0024】
(12)第4の発明に係る基板洗浄方法は、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持することと、下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に洗浄具を接触させることと、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により回転される基板の下面外側領域に洗浄具を接触させることと、下面中央領域の洗浄時に、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体を噴出し、下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部により第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体を噴出することと、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように、第2の保持部および洗浄具が設けられた可動台座を水平面内で移動させることとを含み、可動台座を水平面内で移動させることは、第2の保持部および洗浄具を可動台座とともに水平面内で一体的に移動させることを含む。
【0025】
この基板洗浄方法によれば、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することが防止される。また、下面中央領域の乾燥時に、基板の下面と気体噴出部とが近接した状態で、気体噴出部から基板の下面に気体が噴出されるので、下面中央領域が効率的に乾燥される。そのため、液体が第2の保持部に付着することが防止される。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
【0026】
(13)基板洗浄方法は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることをさらに含んでもよい。この構成によれば、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部をより確実に清浄に維持することができる。
【0027】
(14)洗浄具と気体噴出部とは、共通の支持部により支持されてもよい。この場合、基板の位置に応じた洗浄具および気体噴出部の移動が一体的に行われる。そのため、基板の下面を効率的に洗浄することができる。また、気体噴出部は上下動可能に設けられるので、洗浄具と気体噴出部とが共通の支持部により支持される場合でも、基板の下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部を基板の下面中央領域の洗浄時よりも基板に近接させることができる。これにより、基板の下面を効率的に乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、基板の保持部を清浄に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。
図2図1の基板洗浄装置の内部構成を示す外観斜視図である。
図3】基板洗浄装置の制御系統の構成を示すブロック図である。
図4図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図5図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図6図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図7図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図8図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図9図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図10図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図11図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図12図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図13図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図14図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図15図1の基板洗浄装置の概略動作を説明するための模式図である。
図16図3の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
図17図3の制御装置による基板洗浄処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態に係る基板洗浄装置について図面を用いて説明する。以下の説明において、基板とは、半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。また、本実施の形態で用いられる基板は、少なくとも一部が円形の外周部を有する。例えば、位置決め用のノッチを除く外周部が円形を有する。
【0031】
(1)基板処理装置の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板洗浄装置の模式的平面図である。図2は、図1の基板洗浄装置1の内部構成を示す外観斜視図である。本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、位置関係を明確にするために互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を定義する。図1および図2以降の所定の図では、X方向、Y方向およびZ方向が適宜矢印で示される。X方向およびY方向は水平面内で互いに直交し、Z方向は鉛直方向に相当する。
【0032】
図1に示すように、基板洗浄装置1は、上側保持装置10A,10B、下側保持装置20、台座装置30、受渡装置40、下面洗浄装置50、カップ装置60、上面洗浄装置70、端部洗浄装置80および開閉装置90を備える。これらの構成要素は、ユニット筐体2内に設けられる。図2では、ユニット筐体2が点線で示される。
【0033】
ユニット筐体2は、矩形の底面部2aと、底面部2aの4辺から上方に延びる4つの側壁部2b,2c,2d,2eとを有する。側壁部2b,2cが互いに対向し、側壁部2d,2eが互いに対向する。側壁部2bの中央部には、矩形の開口が形成されている。この開口は、基板Wの搬入搬出口2xであり、ユニット筐体2に対する基板Wの搬入時および搬出時に用いられる。図2では、搬入搬出口2xが太い点線で示される。以下の説明においては、Y方向のうちユニット筐体2の内部から搬入搬出口2xを通してユニット筐体2の外方に向く方向(側壁部2cから側壁部2bを向く方向)を前方と呼び、その逆の方向(側壁部2bから側壁部2cを向く方向)を後方と呼ぶ。
【0034】
側壁部2bにおける搬入搬出口2xの形成部分およびその近傍の領域には、開閉装置90が設けられている。開閉装置90は、搬入搬出口2xを開閉可能に構成されたシャッタ91と、シャッタ91を駆動するシャッタ駆動部92とを含む。図2では、シャッタ91が太い二点鎖線で示される。シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1に対する基板Wの搬入時および搬出時に搬入搬出口2xを開放するようにシャッタ91を駆動する。また、シャッタ駆動部92は、基板洗浄装置1における基板Wの洗浄時に搬入搬出口2xを閉塞するようにシャッタ91を駆動する。
【0035】
底面部2aの中央部には、台座装置30が設けられている。台座装置30は、リニアガイド31、可動台座32および台座駆動部33を含む。リニアガイド31は、2本のレールを含み、平面視で側壁部2bの近傍から側壁部2cの近傍までY方向に延びるように設けられている。可動台座32は、リニアガイド31の2本のレール上でY方向に移動可能に設けられている。台座駆動部33は、例えばパルスモータを含み、リニアガイド31上で可動台座32をY方向に移動させる。
【0036】
可動台座32上には、下側保持装置20および下面洗浄装置50がY方向に並ぶように設けられている。下側保持装置20は、吸着保持部21および吸着保持駆動部22を含む。吸着保持部21は、いわゆるスピンチャックであり、基板Wの下面を吸着保持可能な円形の吸着面を有し、上下方向に延びる軸(Z方向の軸)の周りで回転可能に構成される。以下の説明では、吸着保持部21により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの下面のうち吸着保持部21の吸着面が吸着すべき領域を下面中央領域と呼ぶ。一方、基板Wの下面のうち下面中央領域を取り囲む領域を下面外側領域と呼ぶ。
【0037】
吸着保持駆動部22は、モータを含む。吸着保持駆動部22のモータは、回転軸が上方に向かって突出するように可動台座32上に設けられている。吸着保持部21は、吸着保持駆動部22の回転軸の上端部に取り付けられる。また、吸着保持駆動部22の回転軸には、吸着保持部21において基板Wを吸着保持するための吸引経路が形成されている。その吸引経路は、図示しない吸気装置に接続されている。吸着保持駆動部22は、吸着保持部21を上記の回転軸の周りで回転させる。
【0038】
可動台座32上には、下側保持装置20の近傍にさらに受渡装置40が設けられている。受渡装置40は、複数(本例では3本)の支持ピン41、ピン連結部材42およびピン昇降駆動部43を含む。ピン連結部材42は、平面視で吸着保持部21を取り囲むように形成され、複数の支持ピン41を連結する。複数の支持ピン41は、ピン連結部材42により互いに連結された状態で、ピン連結部材42から一定長さ上方に延びる。ピン昇降駆動部43は、可動台座32上でピン連結部材42を昇降させる。これにより、複数の支持ピン41が吸着保持部21に対して相対的に昇降する。
【0039】
下面洗浄装置50は、下面ブラシ51、2つの液ノズル52、気体噴出部53、昇降支持部54、移動支持部55、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55cおよび気体昇降駆動部55dを含む。移動支持部55は、可動台座32上の一定領域内で下側保持装置20に対してY方向に移動可能に設けられている。図2に示すように、移動支持部55上に、昇降支持部54が昇降可能に設けられている。昇降支持部54は、吸着保持部21から遠ざかる方向(本例では後方)において斜め下方に傾斜する上面54uを有する。
【0040】
図1に示すように、下面ブラシ51は、平面視において円形の外形を有し、本実施の形態においては比較的大型に形成される。具体的には、下面ブラシ51の直径は、吸着保持部21の吸着面の直径よりも大きく、例えば吸着保持部21の吸着面の直径の1.3倍である。また、下面ブラシ51の直径は、基板Wの直径の1/3よりも大きくかつ1/2よりも小さい。なお、基板Wの直径は、例えば300mmである。
【0041】
下面ブラシ51は、基板Wの下面に接触可能な洗浄面を有する。また、下面ブラシ51は、洗浄面が上方を向くようにかつ洗浄面が当該洗浄面の中心を通って上下方向に延びる軸の周りで回転可能となるように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。
【0042】
2つの液ノズル52の各々は、下面ブラシ51の近傍に位置しかつ液体吐出口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54u上に取り付けられている。液ノズル52には、下面洗浄液供給部56(図3)が接続されている。下面洗浄液供給部56は、液ノズル52に洗浄液を供給する。液ノズル52は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に、下面洗浄液供給部56から供給される洗浄液を基板Wの下面に吐出する。本実施の形態では、液ノズル52に供給される洗浄液として純水が用いられる。
【0043】
気体噴出部53は、一方向に延びる気体噴出口を有するスリット状の気体噴射ノズルである。気体噴出部53は、平面視で下面ブラシ51と吸着保持部21との間に位置しかつ気体噴射口が上方を向くように、昇降支持部54の上面54uに取り付けられている。気体噴出部53には、噴出気体供給部57(図3)が接続されている。噴出気体供給部57は、気体噴出部53に気体を供給する。
【0044】
本実施の形態では、気体噴出部53に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。気体噴出部53に供給される気体は、クリーンドライエア(CDA)等の他の気体であってもよい。気体噴出部53は、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時および後述する基板Wの下面の乾燥時に、噴出気体供給部57から供給される気体を基板Wの下面に噴射する。この場合、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に、X方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。
【0045】
下面ブラシ回転駆動部55aは、モータを含み、下面ブラシ51による基板Wの洗浄時に下面ブラシ51を回転させる。下面ブラシ昇降駆動部55bは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、移動支持部55に対して昇降支持部54を昇降させる。下面ブラシ移動駆動部55cは、モータを含み、可動台座32上で移動支持部55をY方向に移動させる。ここで、可動台座32における下側保持装置20の位置は固定されている。そのため、下面ブラシ移動駆動部55cによる移動支持部55のY方向の移動時には、移動支持部55が下側保持装置20に対して相対的に移動する。以下の説明では、可動台座32上で下側保持装置20に最も近づくときの下面洗浄装置50の位置を接近位置と呼び、可動台座32上で下側保持装置20から最も離れたときの下面洗浄装置50の位置を離間位置と呼ぶ。気体昇降駆動部55dは、ステッピングモータまたはエアシリンダを含み、昇降支持部54上で気体噴出部53を昇降させる。
【0046】
底面部2aの中央部には、さらにカップ装置60が設けられている。カップ装置60は、カップ61およびカップ駆動部62を含む。カップ61は、平面視で下側保持装置20および台座装置30を取り囲むようにかつ昇降可能に設けられている。図2においては、カップ61が点線で示される。カップ駆動部62は、下面ブラシ51が基板Wの下面におけるどの部分を洗浄するのかに応じてカップ61を下カップ位置と上カップ位置との間で移動させる。下カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21により吸着保持される基板Wよりも下方にある高さ位置である。また、上カップ位置はカップ61の上端部が吸着保持部21よりも上方にある高さ位置である。
【0047】
カップ61よりも上方の高さ位置には、平面視で台座装置30を挟んで対向するように一対の上側保持装置10A,10Bが設けられている。上側保持装置10A,10Bは、基準位置10Rを有する。上側保持装置10A,10Bは、基準位置10Rに基板Wの中心が位置するように基板Wを保持する。具体的には、上側保持装置10Aは、下チャック11A、上チャック12A、下チャック駆動部13Aおよび上チャック駆動部14Aを含む。上側保持装置10Bは、下チャック11B、上チャック12B、下チャック駆動部13Bおよび上チャック駆動部14Bを含む。
【0048】
下チャック11A,11Bは、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。下チャック11A,11Bの各々は、基板Wの下面周縁部を基板Wの下方から支持可能な2本の支持片を有する。下チャック駆動部13A,13Bは、下チャック11A,11Bが互いに近づくように、または下チャック11A,11Bが互いに遠ざかるように、下チャック11A,11Bを移動させる。
【0049】
上チャック12A,12Bは、下チャック11A,11Bと同様に、平面視で吸着保持部21の中心を通ってY方向(前後方向)に延びる鉛直面に関して対称に配置され、共通の水平面内でX方向に移動可能に設けられている。上チャック12A,12Bの各々は、基板Wの外周端部の2つの部分に当接して基板Wの外周端部を保持可能に構成された2本の保持片を有する。上チャック駆動部14A,14Bは、上チャック12A,12Bが互いに近づくように、または上チャック12A,12Bが互いに遠ざかるように、上チャック12A,12Bを移動させる。
【0050】
図1に示すように、カップ61の一側方においては、平面視で上側保持装置10Bの近傍に位置するように、上面洗浄装置70が設けられている。上面洗浄装置70は、回転支持軸71、アーム72、スプレーノズル73および上面洗浄駆動部74を含む。
【0051】
回転支持軸71は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能に上面洗浄駆動部74により支持される。アーム72は、図2に示すように、上側保持装置10Bよりも上方の位置で、回転支持軸71の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム72の先端部には、スプレーノズル73が取り付けられている。
【0052】
スプレーノズル73には、上面洗浄流体供給部75(図3)が接続される。上面洗浄流体供給部75は、スプレーノズル73に洗浄液および気体を供給する。本実施の形態では、スプレーノズル73に供給される洗浄液として純水が用いられ、スプレーノズル73に供給される気体として窒素ガス等の不活性ガスが用いられる。スプレーノズル73は、基板Wの上面の洗浄時に、上面洗浄流体供給部75から供給される洗浄液と気体とを混合して混合流体を生成し、生成された混合流体を下方に噴射する。
【0053】
上面洗浄駆動部74は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸71を昇降させるとともに、回転支持軸71を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの上面上で、スプレーノズル73を円弧状に移動させることにより、基板Wの上面全体を洗浄することができる。
【0054】
図1に示すように、カップ61の他側方においては、平面視で上側保持装置10Aの近傍に位置するように、端部洗浄装置80が設けられている。端部洗浄装置80は、回転支持軸81、アーム82、ベベルブラシ83およびベベルブラシ駆動部84を含む。
【0055】
回転支持軸81は、底面部2a上で、上下方向に延びるようにかつ昇降可能かつ回転可能にベベルブラシ駆動部84により支持される。アーム82は、図2に示すように、上側保持装置10Aよりも上方の位置で、回転支持軸81の上端部から水平方向に延びるように設けられている。アーム82の先端部には、下方に向かって突出するようにかつ上下方向の軸の周りで回転可能となるようにベベルブラシ83が設けられている。
【0056】
ベベルブラシ83は、上半部が逆円錐台形状を有するとともに下半部が円錐台形状を有する。このベベルブラシ83によれば、外周面の上下方向における中央部分で基板Wの外周端部を洗浄することができる。
【0057】
ベベルブラシ駆動部84は、1または複数のパルスモータおよびエアシリンダ等を含み、回転支持軸81を昇降させるとともに、回転支持軸81を回転させる。上記の構成によれば、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの外周端部にベベルブラシ83の外周面の中央部分を接触させることにより、基板Wの外周端部全体を洗浄することができる。
【0058】
ここで、ベベルブラシ駆動部84は、さらにアーム82に内蔵されるモータを含む。そのモータは、アーム82の先端部に設けられるベベルブラシ83を上下方向の軸の周りで回転させる。したがって、基板Wの外周端部の洗浄時に、ベベルブラシ83が回転することにより、基板Wの外周端部におけるベベルブラシ83の洗浄力が向上する。
【0059】
図3は、基板洗浄装置1の制御系統の構成を示すブロック図である。図3の制御装置9は、CPU(中央演算処理装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)および記憶装置を含む。RAMは、CPUの作業領域として用いられる。ROMは、システムプログラムを記憶する。記憶装置は、制御プログラムを記憶する。
【0060】
図3に示すように、制御装置9は、機能部として、チャック制御部9A、吸着制御部9B、台座制御部9C、受渡制御部9D、下面洗浄制御部9E、カップ制御部9F、上面洗浄制御部9G、ベベル洗浄制御部9Hおよび搬入搬出制御部9Iを含む。CPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより制御装置9の機能部が実現される。制御装置9の機能部の一部または全部が電子回路等のハードウエアにより実現されてもよい。
【0061】
チャック制御部9Aは、基板洗浄装置1に搬入される基板Wを受け取り、吸着保持部21の上方の位置で保持するために、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御する。吸着制御部9Bは、吸着保持部21により基板Wを吸着保持するとともに吸着保持された基板Wを回転させるために、吸着保持駆動部22を制御する。
【0062】
台座制御部9Cは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wに対して可動台座32を移動させるために、台座駆動部33を制御する。受渡制御部9Dは、上側保持装置10A,10Bにより保持される基板Wの高さ位置と、吸着保持部21により保持される基板Wの高さ位置との間で基板Wを移動させるために、ピン昇降駆動部43を制御する。
【0063】
下面洗浄制御部9Eは、基板Wの下面を洗浄するために、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、気体昇降駆動部55d、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御する。カップ制御部9Fは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの洗浄時に基板Wから飛散する洗浄液をカップ61で受け止めるために、カップ駆動部62を制御する。
【0064】
上面洗浄制御部9Gは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの上面を洗浄するために、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御する。ベベル洗浄制御部9Hは、吸着保持部21により吸着保持された基板Wの外周端部を洗浄するために、ベベルブラシ駆動部84を制御する。搬入搬出制御部9Iは、基板洗浄装置1における基板Wの搬入時および搬出時にユニット筐体2の搬入搬出口2xを開閉するために、シャッタ駆動部92を制御する。
【0065】
(2)基板洗浄装置の概略動作
図4図15は、図1の基板洗浄装置1の概略動作を説明するための模式図である。図4図15の各々においては、上段に基板洗浄装置1の平面図が示される。また、中段にY方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示され、下段にX方向に沿って見た下側保持装置20およびその周辺部の側面図が示される。中段の側面図は図1のA-A線側面図に対応し、下段の側面図は図1のB-B線側面図に対応する。なお、基板洗浄装置1における各構成要素の形状および動作状態の理解を容易にするために、上段の平面図と中段および下段の側面図との間では、一部の構成要素の拡縮率が異なる。また、図4図15では、カップ61が二点鎖線で示されるとともに、基板Wの外形が太い一点鎖線で示される。
【0066】
基板洗浄装置1に基板Wが搬入される前の初期状態においては、開閉装置90のシャッタ91が搬入搬出口2xを閉塞している。また、図1に示されるように、下チャック11A,11Bは、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、上チャック12A,12Bも、互いの距離が基板Wの直径よりも十分に大きくなる状態で維持されている。また、台座装置30の可動台座32は、平面視で吸着保持部21の中心がカップ61の中心に位置するように配置されている。可動台座32上で下面洗浄装置50は、接近位置に配置されている。下面洗浄装置50の昇降支持部54は、下面ブラシ51の洗浄面(上端部)が吸着保持部21よりも下方の位置にある。
【0067】
また、受渡装置40においては、複数の支持ピン41が吸着保持部21よりも下方に位置する状態にある。さらに、カップ装置60においては、カップ61は下カップ位置にある。以下の説明では、平面視におけるカップ61の中心位置を平面基準位置rpと呼ぶ。また、平面視で吸着保持部21の中心が平面基準位置rpにあるときの底面部2a上の可動台座32の位置を第1の水平位置と呼ぶ。
【0068】
基板洗浄装置1のユニット筐体2内に基板Wが搬入される。具体的には、基板Wの搬入の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図4に太い実線の矢印a1で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内の略中央の位置に基板Wを搬入する。このとき、ハンドRHにより保持される基板Wは、図4に示すように、下チャック11Aおよび上チャック12Aと下チャック11Bおよび上チャック12Bとの間に位置する。
【0069】
次に、図5に太い実線の矢印a2で示すように、下チャック11A,11Bの複数の支持片が基板Wの下面周縁部の下方に位置するように、下チャック11A,11Bが互いに近づく。この状態で、ハンドRHが下降し、搬入搬出口2xから退出する。それにより、ハンドRHに保持された基板Wの下面周縁部の複数の部分が、下チャック11A,11Bの複数の支持片により支持される。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0070】
次に、図6に太い実線の矢印a3で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部に当接するように、上チャック12A,12Bが互いに近づく。上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部の複数の部分に当接することにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが上チャック12A,12Bによりさらに保持される。
【0071】
また、図6に太い実線の矢印a4で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpから所定距離ずれるとともに下面ブラシ51の中心が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が第1の水平位置から前方に移動する。この場合、平面視において、下面ブラシ51が上側保持装置10A,10Bの基準位置10Rと重なる。このとき、底面部2a上に位置する可動台座32の位置を第2の水平位置と呼ぶ。
【0072】
次に、図7に太い実線の矢印a5で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面中央領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、図7に太い実線の矢印a6で示すように、下面ブラシ51が中心軸51cの周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの下面中央領域に付着する汚染物質が下面ブラシ51により物理的に剥離される。
【0073】
図7の下段には、下面ブラシ51が基板Wの下面に接触する部分の拡大側面図が吹き出し内に示される。その吹き出し内に示されるように、下面ブラシ51が基板Wに接触する状態で、液ノズル52および気体噴出部53は、基板Wの下面に近接する位置に保持される。このとき、液ノズル52は、白抜きの矢印a51で示すように、下面ブラシ51の近傍の位置で基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出する。これにより、液ノズル52から基板Wの下面に供給された洗浄液が下面ブラシ51と基板Wとの接触部に導かれることにより、下面ブラシ51により基板Wの裏面から除去された汚染物質が洗浄液により洗い流される。このように、下面洗浄装置50においては、液ノズル52が下面ブラシ51とともに昇降支持部54に取り付けられている。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄部分に効率よく洗浄液を供給することができる。したがって、洗浄液の消費量が低減されるとともに洗浄液の過剰な飛散が抑制される。
【0074】
ここで、昇降支持部54の上面54uは、吸着保持部21から遠ざかる方向において斜め下方に傾斜している。この場合、基板Wの下面から汚染物質を含む洗浄液が昇降支持部54上に落下する場合に、上面54uによって受け止められた洗浄液が吸着保持部21から遠ざかる方向に導かれる。
【0075】
また、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄時には、気体噴出部53の上端の高さは、基板Wから所定距離だけ離間している。このときの気体噴出部53の上端の高さを第1の高さと呼ぶ。気体噴出部53は、図7の吹き出し内に白抜きの矢印a52で示すように、下面ブラシ51と吸着保持部21との間の位置で、第1の高さから基板Wの下面に向かって気体を噴射する。
【0076】
本実施の形態においては、気体噴出部53は、気体噴射口がX方向に延びるように昇降支持部54上に取り付けられている。この場合、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴射される際には、下面ブラシ51と吸着保持部21との間でX方向に延びる帯状の気体カーテンが形成される。それにより、下面ブラシ51による基板Wの下面の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。したがって、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄時に、汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止され、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0077】
なお、図7の例においては、気体噴出部53は、白抜きの矢印a52で示すように、気体噴出部53から下面ブラシ51に向かって斜め上方に気体を噴射するが、本発明はこれに限定されない。気体噴出部53は、気体噴出部53から基板Wの下面に向かってZ方向に沿うように気体を噴射してもよい。
【0078】
さらに、図7に太い実線の矢印a53で示すように、下面ブラシ51による基板Wの下面中央領域の洗浄時には、吸着保持部21は、基板Wを保持しない状態で回転する。このときの吸着保持部21の回転速度は、例えば500rpm以上である。この場合、基板Wの下面中央領域の洗浄時に、飛散した汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着した場合でも、洗浄液は吸着保持部21から振り切られる。これにより、吸着保持部21の吸着面が清浄に保たれる。
【0079】
次に、図7の状態で、基板Wの下面中央領域の洗浄が完了すると、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出が停止され、吸着保持部21の回転が停止される。一方、図8に示すように、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射は継続される。
【0080】
このとき、図8に太い実線の矢印a54で示すように、気体噴出部53は、図3の気体昇降駆動部55dにより上昇される。これにより、気体噴出部53の上端は、基板Wの下面中央領域の洗浄時よりも基板Wの下面に近づく。気体噴出部53の上端は、下面ブラシ51の洗浄面よりも上方に位置してもよい。このときの気体噴出部53の上端の高さを第2の高さと呼ぶ。この場合、第1の高さよりも基板Wの下面に近い第2の高さから気体噴出部53により基板Wに向けて気体が噴出される。この場合、基板Wの下面と気体噴出部53の上端とが近接するので、基板Wの下面が効率的に乾燥される。
【0081】
その後、図8に太い実線の矢印a7で示すように、吸着保持部21が平面基準位置rpに位置するように、可動台座32が後方に移動する。すなわち、可動台座32は、第2の水平位置から第1の水平位置に移動する。この場合、平面視において、吸着保持部21が上側保持装置10A,10Bの基準位置10Rと重なる。このとき、気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が継続されることにより、基板Wの下面中央領域が気体カーテンにより順次乾燥される。
【0082】
次に、図9に太い実線の矢印a8で示すように、下面ブラシ51の洗浄面が吸着保持部21の吸着面(上端部)よりも下方に位置するように、昇降支持部54が下降する。また、図9に太い実線の矢印a9で示すように、上チャック12A,12Bの複数の保持片が基板Wの外周端部から離間するように、上チャック12A,12Bが互いに遠ざかる。このとき、基板Wは、下チャック11A,11Bにより支持された状態となる。
【0083】
その後、図9に太い実線の矢印a10で示すように、複数の支持ピン41の上端部が下チャック11A,11Bよりもわずかに上方に位置するように、ピン連結部材42が上昇する。それにより、下チャック11A,11Bにより支持された基板Wが、複数の支持ピン41により受け取られる。
【0084】
次に、図10に太い実線の矢印a11で示すように、下チャック11A,11Bが互いに遠ざかる。このとき、下チャック11A,11Bは、平面視で複数の支持ピン41により支持される基板Wに重ならない位置まで移動する。それにより、上側保持装置10A,10Bは、ともに初期状態に戻る。
【0085】
次に、図11に太い実線の矢印a12で示すように、複数の支持ピン41の上端部が吸着保持部21よりも下方に位置するように、ピン連結部材42が下降する。それにより、複数の支持ピン41上に支持された基板Wが、吸着保持部21により受け取られる。この状態で、吸着保持部21は、基板Wの下面中央領域を吸着保持する。ピン連結部材42の下降と同時かまたはピン連結部材42の下降完了後、図11に太い実線の矢印a13で示すように、カップ61が下カップ位置から上カップ位置まで上昇する。
【0086】
次に、図12に太い実線の矢印a14で示すように、吸着保持部21が上下方向の軸(吸着保持駆動部22の回転軸の軸心)の周りで回転する。それにより、吸着保持部21に吸着保持された基板Wが水平姿勢で回転する。
【0087】
次に、上面洗浄装置70の回転支持軸71が回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a15で示すように、スプレーノズル73が基板Wの上方の位置まで移動し、スプレーノズル73と基板Wとの間の距離が予め定められた距離となるように下降する。この状態で、スプレーノズル73は、基板Wの上面に洗浄液と気体との混合流体を噴射する。また、回転支持軸71が回転する。それにより、図12に太い実線の矢印a16で示すように、スプレーノズル73が回転する基板Wの上方の位置で移動する。基板Wの上面全体に混合流体が噴射されることにより、基板Wの上面全体が洗浄される。
【0088】
また、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、端部洗浄装置80の回転支持軸81も回転し、下降する。それにより、図12に太い実線の矢印a17で示すように、ベベルブラシ83が基板Wの外周端部の上方の位置まで移動する。また、ベベルブラシ83の外周面の中央部分が基板Wの外周端部に接触するように下降する。この状態で、ベベルブラシ83が上下方向の軸の周りで回転(自転)する。それにより、基板Wの外周端部に付着する汚染物質がベベルブラシ83により物理的に剥離される。基板Wの外周端部から剥離された汚染物質は、スプレーノズル73から基板Wに噴射される混合流体の洗浄液により洗い流される。
【0089】
さらに、スプレーノズル73による基板Wの上面の洗浄時には、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wの下面外側領域に接触するように、昇降支持部54が上昇する。また、図12に太い実線の矢印a18で示すように、下面ブラシ51が中心軸51cの周りで回転(自転)する。さらに、液ノズル52は基板Wの下面に向かって洗浄液を吐出し、気体噴出部53は基板Wの下面に向かって気体を噴射する。これにより、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。
【0090】
なお、下面ブラシ51が比較的大型でない場合、図12に太い実線の矢印a19で示すように、移動支持部55が可動台座32上で接近位置と離間位置との間を進退動作されてもよい。この場合でも、吸着保持部21により吸着保持されて回転される基板Wの下面外側領域を全体に渡って下面ブラシ51により洗浄することができる。
【0091】
次に、基板Wの上面、外周端部および下面外側領域の洗浄が完了すると、スプレーノズル73から基板Wへの混合流体の噴射が停止される。また、図13に太い実線の矢印a20で示すように、スプレーノズル73がカップ61の一側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。また、図13に太い実線の矢印a21で示すように、ベベルブラシ83がカップ61の他側方の位置(初期状態の位置)まで移動する。さらに、下面ブラシ51の回転が停止され、下面ブラシ51の洗浄面が基板Wから所定距離離間するように、昇降支持部54が下降する。また、液ノズル52から基板Wへの洗浄液の吐出、および気体噴出部53から基板Wへの気体の噴射が停止される。この状態で、吸着保持部21が高速で回転することにより、基板Wに付着する洗浄液が振り切られ、基板Wの全体が乾燥する。
【0092】
次に、図14に太い実線の矢印a22で示すように、カップ61が上カップ位置から下カップ位置まで下降する。また、新たな基板Wがユニット筐体2内に搬入されることに備えて、図14に太い実線の矢印a23で示すように、新たな基板Wを支持可能な位置まで下チャック11A,11Bが互いに近づく。
【0093】
最後に、基板洗浄装置1のユニット筐体2内から基板Wが搬出される。具体的には、基板Wの搬出の直前にシャッタ91が搬入搬出口2xを開放する。その後、図15に太い実線の矢印a24で示すように、図示しない基板搬送ロボットのハンド(基板保持部)RHが搬入搬出口2xを通してユニット筐体2内に進入する。続いて、ハンドRHは、吸着保持部21上の基板Wを受け取り、搬入搬出口2xから退出する。ハンドRHの退出後、シャッタ91は搬入搬出口2xを閉塞する。
【0094】
(3)基板洗浄処理
図16および図17は、図3の制御装置9による基板洗浄処理を示すフローチャートである。図16および図17の基板洗浄処理は、制御装置9のCPUが記憶装置に記憶された基板洗浄プログラムをRAM上で実行することにより行われる。以下、図16および図17のフローチャートとともに、図3の制御装置9および図4図15の基板洗浄装置1を用いて基板洗浄処理を説明する。
【0095】
まず、搬入搬出制御部9Iが、シャッタ駆動部92を制御することにより、ユニット筐体2内に基板Wを搬入する(図4図5およびステップS1)。次に、チャック制御部9Aが、下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御することにより、上側保持装置10A,10Bにより基板Wを保持する(図5図6およびステップS2)。
【0096】
続いて、台座制御部9Cが、台座駆動部33を制御することにより、可動台座32を第1の水平位置から第2の水平位置に移動させる(図6およびステップS3)。その後、吸着制御部9Bが、吸着保持駆動部22を制御することにより、吸着保持部21が基板Wを保持しない状態で、吸着保持駆動部22の回転軸の軸心の周りで吸着保持部21を回転させる(図7およびステップS4)。
【0097】
また、下面洗浄制御部9Eが、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御することにより、基板Wの下面中央領域の全体を洗浄する(図7およびステップS5)。このとき、気体噴出部53の上端は、第1の高さにある。
【0098】
次に、下面洗浄制御部9Eが、気体昇降駆動部55dを制御することにより、気体噴出部53を上昇させる(図8およびステップS6)。この場合、気体噴出部53の上端は、第2の高さにある。また、下面洗浄制御部9Eが、噴出気体供給部57を制御することにより、基板Wを乾燥させる(図8およびステップS7)。さらに、台座制御部9Cが、台座駆動部33を制御することにより、可動台座32を第2の水平位置から第1の水平位置に移動させる(図8およびステップS8)。本例では、ステップS7,S8は、略同時に実行される。これにより、基板Wの下面中央領域が順次乾燥される。
【0099】
続いて、チャック制御部9Aが下チャック駆動部13A,13Bおよび上チャック駆動部14A,14Bを制御するとともに、受渡制御部9Dがピン昇降駆動部43を制御することにより、基板Wを上側保持装置10A,10Bから下側保持装置20に受け渡す(図8図11およびステップS9)。この状態で、吸着制御部9Bが、基板Wの下面中央領域を吸着するように吸着保持駆動部22を制御することにより、下側保持装置20により基板Wを保持する(図11およびステップS10)。
【0100】
その後、上面洗浄制御部9Gが、上面洗浄駆動部74および上面洗浄流体供給部75を制御することにより、基板Wの上面全体を洗浄する(図12およびステップS11)。また、ベベル洗浄制御部9Hが、ベベルブラシ駆動部84を制御することにより、基板Wの外周端部を洗浄する(図12およびステップS12)。さらに、下面洗浄制御部9Eが、下面ブラシ回転駆動部55a、下面ブラシ昇降駆動部55b、下面ブラシ移動駆動部55c、下面洗浄液供給部56および噴出気体供給部57を制御することにより、基板Wの下面外側領域の全体を洗浄する(図12およびステップS13)。
【0101】
ステップS11~S13は、略同時に実行される。ステップS11~S13の実行時には、吸着制御部9Bが、吸着保持駆動部22を制御することにより、吸着保持駆動部22の回転軸の軸心の周りで基板Wを回転させる。また、カップ制御部9Fが、カップ駆動部62を制御することにより、カップ61を下カップ位置から上カップ位置まで上昇させる。
【0102】
洗浄の終了後、吸着制御部9Bが、吸着保持駆動部22を制御して吸着保持部21を高速で回転させることにより、基板Wの全体を乾燥させる(図13およびステップS14)。乾燥後、上側保持装置10A,10Bおよびカップ61等が初期状態に戻される(図14)。最後に、搬入搬出制御部9Iが、シャッタ駆動部92を制御することにより、ユニット筐体2内から基板Wを搬出し(図15およびステップS15)、基板洗浄処理を終了する。
【0103】
(4)効果
本実施の形態に係る基板洗浄装置1においては、基板Wの下面中央領域の洗浄時に、上側保持装置10A,10Bにより基準位置10Rに基板Wの中心が位置するように当該基板Wが保持される。この状態で、基板Wの下面中央領域に下面ブラシ51が接触される。このとき、基板Wを保持しない状態で鉛直軸周りに吸着保持部21が回転される。また、下面ブラシ51と吸着保持部21との間に配置された気体噴出部53により基板Wから所定距離だけ離間した第1の高さから基板Wに向けて気体が噴出される。
【0104】
基板Wの下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部53により第1の高さよりも基板Wに近い第2の高さから基板Wに向けて気体が噴出される。基板Wの下面外側領域の洗浄時に、吸着保持部21により基板Wの下面中央領域が保持されつつ、鉛直軸周りに当該基板Wが回転された状態で、基板Wの下面外側領域に下面ブラシ51が接触される。可動台座32が第1の水平位置に移動することにより、上側保持装置10A,10Bと吸着保持部21との間で基板Wを容易に受け渡すこととができる。
【0105】
この構成によれば、下面中央領域の洗浄時に、可動台座32が第2の水平位置に移動することにより、吸着保持部21が基板Wと重ならない位置に退避される。また、気体噴出部53により下面ブラシ51と吸着保持部21との間に気体カーテンが形成される。この場合、基板Wから汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。また、下面中央領域の乾燥時に、基板Wの下面と気体噴出部53とが近接した状態で、気体噴出部53から基板Wの下面に気体が噴出されるので、下面中央領域が効率的に乾燥される。そのため、洗浄液が吸着保持部21に付着することが防止される。
【0106】
基板Wから飛散した汚染物質を含む洗浄液が吸着保持部21に付着した場合でも、吸着保持部21の回転により洗浄液は吸着保持部21から振り切られる。これにより、吸着保持部21を清浄に維持することができる。ここで、吸着保持部21の回転速度が500rpm以上である場合、吸着保持部21に付着した洗浄液を短時間で振り切ることができる。
【0107】
下面ブラシ51と気体噴出部53とは、共通の昇降支持部54により支持される。この場合、基板Wの位置に応じた下面ブラシ51および気体噴出部53の移動が一体的に行われる。そのため、基板Wの下面を効率的に洗浄することができる。また、気体噴出部53は上下動可能に設けられるので、下面ブラシ51と気体噴出部53とが共通の昇降支持部54により支持される場合でも、基板Wの下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部53を基板Wの下面中央領域の洗浄時よりも基板Wに近接させることができる。したがって、基板Wの下面を効率的に乾燥させることができる。
【0108】
(5)他の実施の形態
(a)上記実施の形態において、基板Wの下面中央領域の洗浄時に基板Wを保持しない状態で吸着保持部21が回転される。また、基板Wの下面中央領域の洗浄時と乾燥時とで異なる高さから気体噴出部53により基板Wに向けて気体が噴出される。しかしながら、実施の形態はこれに限定されない。上記の2つの動作のうち、いずれか一方が行われれば、他方は行われなくてもよい。
【0109】
具体的には、下面中央領域の洗浄時に基板Wを保持しない状態で吸着保持部21が回転される場合には、気体噴出部53は下面中央領域の洗浄時と乾燥時とで昇降されなくてもよい。あるいは、基板洗浄装置1は気体噴出部53を含まなくてもよい。一方、気体噴出部53が下面中央領域の洗浄時と乾燥時とで昇降される場合には、下面中央領域の洗浄時に基板Wを保持しない状態で吸着保持部21が回転されなくてもよい。
【0110】
(b)上記実施の形態において、図示しないブラシまたはスプレーを用いて下面ブラシ51の洗浄が行われてもよい。スプレーは、液体と気体とを供給する2流体スプレーであってもよい。また、下面ブラシ51の洗浄中にも、気体噴出部53による気体の噴出が行われてもよい。この場合、下面ブラシ51から汚染物質を含む液体が吸着保持部21に向かって飛散することが防止される。
【0111】
あるいは、下面ブラシ51の洗浄中にも、基板Wを保持しない状態で吸着保持部21が回転されてもよい。この場合、下面ブラシ51から飛散した汚染物質を含む液体が吸着保持部21に付着した場合でも、吸着保持部21の回転により液体は吸着保持部21から振り切られる。これらにより、吸着保持部21を清浄に維持することができる。
【0112】
(c)上記実施の形態において、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域が洗浄された後に、下側保持装置20において基板Wの下面外側領域が洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。下側保持装置20において基板Wの下面外側領域が洗浄された後に、上側保持装置10A,10Bにおいて基板Wの下面中央領域が洗浄されてもよい。
【0113】
(d)上記実施の形態において、下面ブラシ51と気体噴出部53とは共通の昇降支持部54により支持されるが、実施の形態はこれに限定されない。下面ブラシ51と気体噴出部53とは、別個の支持部により支持されてもよい。また、吸着保持部21、下面ブラシ51および気体噴出部53は、可動台座32に設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。吸着保持部21、下面ブラシ51および気体噴出部53は、可動台座32に設けられなくてもよい。
【0114】
(e)上記実施の形態において、可動台座32は水平面内で直線状に移動するが、実施の形態はこれに限定されない。可動台座32は、水平面内で曲線状に移動してもよい。
【0115】
(f)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20との間で基板Wを受け渡すための受渡装置40を含むが、実施の形態はこれに限定されない。上側保持装置10A,10Bと下側保持装置20とが基板Wを直接的に受け渡し可能に構成される場合には、基板洗浄装置1は受渡装置40を含まなくてもよい。
【0116】
(g)上記実施の形態において、基板Wの上面および外周端部が洗浄されるが、実施の形態はこれに限定されない。基板Wの上面は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は上面洗浄装置70を含まない。同様に、基板Wの外周端部は洗浄されなくてもよい。この場合、基板洗浄装置1は端部洗浄装置80を含まない。
【0117】
(h)上記実施の形態において、基板洗浄装置1は制御装置9を含むが、実施の形態はこれに限定されない。基板洗浄装置1が外部の情報処理装置により制御可能に構成されている場合には、基板洗浄装置1は制御装置9を含まなくてもよい。
【0118】
(6)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0119】
上記実施の形態においては、基準位置10Rが基準位置の例であり、基板Wが基板の例であり、上側保持装置10A,10Bおよび吸着保持部21がそれぞれ第1および第2の保持部の例であり、下面ブラシ51が洗浄具の例である。可動台座32が可動台座の例であり、基板洗浄装置1が基板洗浄装置の例であり、リニアガイド31がリニアガイドの例であり、気体噴出部53が気体噴出部の例であり、昇降支持部54が支持部の例である。
(6)参考形態
(6-1)第1の参考形態に係る基板洗浄装置は、基準位置を有し、基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持する第1の保持部と、鉛直軸周りに回転可能に構成され、基板の下面中央領域を保持する第2の保持部と、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に接触することにより下面中央領域を洗浄するとともに、第2の保持部により回転される基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより下面外側領域を洗浄する洗浄具と、第2の保持部および洗浄具が設けられ、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動する可動台座とを備え、第2の保持部は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で回転する。
この参考形態に係る基板洗浄装置においては、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に基板の中心が位置するように当該基板が保持された状態で、基板の下面中央領域に洗浄具が接触される。また、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部が回転される。基板の下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域が保持されつつ、鉛直軸周りに当該基板が回転された状態で、基板の下面外側領域に洗浄具が接触される。
第2の保持部および洗浄具は、可動台座に設けられる。第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、可動台座は、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動される。下面中央領域の洗浄時に、可動台座は、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように水平面内で移動される。
この構成によれば、基板の下面中央領域の洗浄時に、第2の保持部が基板と重ならない位置に退避される。また、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-2)基板洗浄装置は、洗浄具と第2の保持部との間に配置され、基板に向けて気体を噴出する気体噴出部をさらに備えてもよい。この場合、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することを防止することができる。また、気体噴出部から噴出される気体により、下面中央領域を効率的に乾燥させることができる。これにより、液体が第2の保持部に付着することを防止し、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-3)基板洗浄装置は、水平面内で一方向に延びるリニアガイドをさらに備え、可動台座は、リニアガイドに沿って直線状に移動してもよい。この場合、簡単な構成で可動台座を水平面内で移動させることができる。
(6-4)下面中央領域の洗浄時における第2の保持部の回転速度は500rpm以上であってもよい。この場合、第2の保持部に付着した液体は第2の保持部から短時間で振り切られる。これにより、第2の保持部をより効率的に清浄に維持することができる。
(6-5)第2の参考形態に係る基板洗浄装置は、基板を保持する第1の保持部と、基板の下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させる第2の保持部と、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に接触することにより下面中央領域を洗浄するとともに、第2の保持部により回転される基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域に接触することにより下面外側領域を洗浄する洗浄具と、洗浄具と第2の保持部との間で上下動可能に配置され、下面中央領域の洗浄時に、基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体を噴出し、下面中央領域の乾燥時に、第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体を噴出する気体噴出部とを備える。
この係る基板洗浄装置においては、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基板が保持された状態で、基板の下面中央領域に洗浄具が接触される。下面中央領域の洗浄時に、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体が噴出される。下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部により第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体が噴出される。
この構成によれば、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することが防止される。また、下面中央領域の乾燥時に、基板の下面と気体噴出部とが近接した状態で、気体噴出部から基板の下面に気体が噴出されるので、下面中央領域が効率的に乾燥される。そのため、液体が第2の保持部に付着することが防止される。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-6)第2の保持部は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で回転してもよい。この構成によれば、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部をより確実に清浄に維持することができる。
(6-7)基板洗浄装置は、洗浄具と気体噴出部とを支持する共通の支持部をさらに備えてもよい。この場合、基板の位置に応じた洗浄具および気体噴出部の移動が一体的に行われる。そのため、基板の下面を効率的に洗浄することができる。また、気体噴出部は上下動可能に設けられるので、洗浄具と気体噴出部とが共通の支持部により支持される場合でも、基板の下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部を基板の下面中央領域の洗浄時よりも基板に近接させることができる。これにより、基板の下面を効率的に乾燥させることができる。
(6-8)第3の参考形態に係る基板洗浄方法は、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基準位置に基板の中心が位置するように当該基板を保持することと、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることと、下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に洗浄具を接触させることと、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域を保持しつつ、鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により回転される基板の下面外側領域に洗浄具を接触させることと、第1の保持部と第2の保持部との間での基板の受け渡し時に、平面視において、第2の保持部が第1の保持部の基準位置と重なり、下面中央領域の洗浄時に、平面視において、洗浄具が第1の保持部の基準位置と重なるように、第2の保持部および洗浄具が設けられた可動台座を水平面内で移動させることとを含む。
この基板洗浄方法によれば、基板の下面中央領域の洗浄時に、第2の保持部が基板と重ならない位置に退避される。また、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-9)基板洗浄方法は、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板に向けて気体を噴出することとをさらに含んでもよい。この場合、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することを防止することができる。また、気体噴出部から噴出される気体により、下面中央領域を効率的に乾燥させることができる。これにより、液体が第2の保持部に付着することを防止し、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-10)可動台座を水平面内で移動させることは、水平面内で一方向に延びるリニアガイドに沿って直線状に可動台座を移動させることを含んでもよい。この場合、簡単な構成で可動台座を水平面内で移動させることができる。
(6-11)基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることは、500rpm以上の回転速度で第2の保持部を回転させることを含んでもよい。この場合、第2の保持部に付着した液体は第2の保持部から短時間で振り切られる。これにより、第2の保持部をより効率的に清浄に維持することができる。
(6-12)第4の参考形態に係る基板洗浄方法は、基板の下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により基板を保持することと、下面中央領域の洗浄時に、第1の保持部により保持される基板の下面中央領域に洗浄具を接触させることと、基板の下面中央領域を取り囲む下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により基板の下面中央領域を保持しつつ鉛直軸周りに当該基板を回転させることと、下面外側領域の洗浄時に、第2の保持部により回転される基板の下面外側領域に洗浄具を接触させることと、下面中央領域の洗浄時に、洗浄具と第2の保持部との間に配置された気体噴出部により基板から所定距離だけ離間した第1の高さから基板に向けて気体を噴出し、下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部により第1の高さよりも基板に近い第2の高さから基板に向けて気体を噴出することとを含む。
この基板洗浄方法によれば、下面中央領域の洗浄時に、気体噴出部から噴出される気体により、基板から汚染物質を含む液体が第2の保持部に向かって飛散することが防止される。また、下面中央領域の乾燥時に、基板の下面と気体噴出部とが近接した状態で、気体噴出部から基板の下面に気体が噴出されるので、下面中央領域が効率的に乾燥される。そのため、液体が第2の保持部に付着することが防止される。これにより、第2の保持部を清浄に維持することができる。
(6-13)基板洗浄方法は、下面中央領域の洗浄時に、基板を保持しない状態で鉛直軸周りに第2の保持部を回転させることをさらに含んでもよい。この構成によれば、基板から飛散した汚染物質を含む液体が第2の保持部に付着した場合でも、第2の保持部の回転により液体は第2の保持部から振り切られる。これにより、第2の保持部をより確実に清浄に維持することができる。
(6-14)洗浄具と気体噴出部とは、共通の支持部により支持されてもよい。この場合、基板の位置に応じた洗浄具および気体噴出部の移動が一体的に行われる。そのため、基板の下面を効率的に洗浄することができる。また、気体噴出部は上下動可能に設けられるので、洗浄具と気体噴出部とが共通の支持部により支持される場合でも、基板の下面中央領域の乾燥時に、気体噴出部を基板の下面中央領域の洗浄時よりも基板に近接させることができる。これにより、基板の下面を効率的に乾燥させることができる。
【符号の説明】
【0120】
1…基板洗浄装置,2…ユニット筐体,2a…底面部,2b~2e…側壁部,9…制御装置,9A…チャック制御部,9B…吸着制御部,9C…台座制御部,9D…受渡制御部,9E…下面洗浄制御部,9F…カップ制御部,9G…上面洗浄制御部,9H…ベベル洗浄制御部,9I…搬入搬出制御部,10A,10B…上側保持装置,10R…基準位置,11A,11B…下チャック,12A,12B…上チャック,13A,13A…下チャック駆動部,14A,14B…上チャック駆動部,20…下側保持装置,21…吸着保持部,22…吸着保持駆動部,30…台座装置,31…リニアガイド,32…可動台座,33…台座駆動部,40…受渡装置,41…支持ピン,42…ピン連結部材,43…ピン昇降駆動部,50…下面洗浄装置,51…下面ブラシ,52…液ノズル,53…気体噴出部,54…昇降支持部,54u…上面,55…移動支持部,55a…下面ブラシ回転駆動部,55b…下面ブラシ昇降駆動部,55c…下面ブラシ移動駆動部,55d…気体昇降駆動部,56…下面洗浄液供給部,57…噴出気体供給部,60…カップ装置,61…カップ,62…カップ駆動部,70…上面洗浄装置,71,81…回転支持軸,72,82…アーム,73…スプレーノズル,74…上面洗浄駆動部,75…上面洗浄流体供給部,80…端部洗浄装置,83…ベベルブラシ,84…ベベルブラシ駆動部,90…開閉装置,91…シャッタ,92…シャッタ駆動部,RH…ハンド,rp…平面基準位置,W…基板
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