(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】消火栓装置
(51)【国際特許分類】
A62C 35/20 20060101AFI20250820BHJP
【FI】
A62C35/20
(21)【出願番号】P 2021174441
(22)【出願日】2021-10-26
【審査請求日】2024-09-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【氏名又は名称】竹内 進
(72)【発明者】
【氏名】松熊 秀成
(72)【発明者】
【氏名】梅原 寛
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-078429(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0027959(KR,A)
【文献】特開2019-126465(JP,A)
【文献】特開昭62-038183(JP,A)
【文献】特開2021-132743(JP,A)
【文献】特開2004-049775(JP,A)
【文献】実開昭51-103896(JP,U)
【文献】実開昭49-127200(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2013/0284465(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0005723(KR,A)
【文献】韓国公開実用新案第20-2021-0001509(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接させて筐体が設置された消火栓装置であって、
前記筐体の側面に
、前記筐体の側面開口の上端前後方向を軸として前記筐体の側面を下から上まで上開き自在に支持された側面扉を備え、
前記側面扉を開いて前記筐体内に対する作業が側面外部から可能であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置において、
前記筐体は、
消火栓機器が収納された第1筐体と消火器及び電装機器が収納された第2筐体とが側面方向で連結され、
前記第1筐体の連結側面を除く側面に第1側面扉を備えるとともに、前記第2筐体の連結側面を除く側面に第2側面扉を備え、
前記第1側面扉を開いて前記消火栓機器に対する作業が側面外側から可能であり、前記第2側面扉を開いて前記消火器及び前記電装機器に対する作業が側面外側から可能であることを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項
1又は2記載の消火栓装置において、
前記側面扉は、開放した位置を保持する開放保持部を備えたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1乃至
3の何れかに記載の消火栓装置において、
前記筐体は、前記トンネル壁面側に寄せて前記監視員通路の路面に設置された架台の上部に取り付け固定されることを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項1乃至
3の何れかに記載の消火栓装置において、
前記筐体は、前記監視員通路の路面上方の前記トンネル壁面に設置された架台の前記道路側となる前部に取り付け固定されることを特徴とする消火栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消火用ホース、消火器等を収納してトンネル内に設置された消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。消火栓装置は、前傾扉(消火栓扉)を備えた筐体の消火栓収納部に、先端にノズルを装着した消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納され、また、消火器扉を備えた消火器収納部に、例えば、2本の消火器が収納されている。また、消火栓装置は、一般的に、トンネル長手方向に、例えば、50メートル間隔でトンネル壁面を箱抜きして埋込み設置されている。
【0003】
ところで、シールド工法等により作られたトンネルにあっては、トンネル躯体の構造上、トンネル壁面を箱抜きして消火栓装置を埋込み設置することがコストや手間の関係から困難であることから、監視員通路に消火栓装置を露出した状態で設置する必要がある。
【0004】
また、消火栓装置をトンネル壁面に箱抜きすることなく設置するため、トンネル壁面に設置された架台に消火栓装置を取り付け固定する壁掛け構造が提案されており、この場合、架台は壁面に固定される主支持部と消火栓装置の姿勢を保持する姿勢保持部材等から構成されている(特許文献2)。
【0005】
また、壁掛け構造の消火栓装置はトンネル壁面への取付けに工数と時間がかかる等の課題があることから、設置が容易である監視員通路の路面上に設置した架台に消火栓装置を露出した状態で取り付け固定する、いわゆる据置き構造とすることが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-055073号公報
【文献】特開2020-078429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、壁掛け構造又は据え置き構造の消火栓装置を、架台を用いて監視員通路の所定の高さに設置した場合には、架台に対し消火栓装置の筐体をボルトとナットにより取り付け固定する作業、筐体内のバルブ類に対し監視員通路の路面側から立ち上げられた給水配管を接続する作業、外部からケーブルを引き込んで筐体内の端子箱に接続する作業を設置現場で必要とする。この現場作業は、筐体前面の前傾扉や消火器扉を監視員通路側に開き、扉開口越しに作業者が筐体内に手や体を入れて行う作業となる。
【0008】
このため消火栓装置の作業に伴う前傾扉や消火器扉の開放により監視員通路の通行が妨げられ、別の作業のための行き来に支障をきたす問題がある。また、筐体内の作業によっては、作業員が監視員通路側に開いた前傾扉に乗って作業する場合もあり、そのため前傾扉の強度を高める必要があり、その分、構造が複雑となり、コストアップとなっている。
【0009】
本発明は、監視員通路の通行を妨げることなく、監視員通路やトンネル壁面に露出して設置されている消火栓装置の筐体内に対する外部からの作業を容易に行うことを可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(消火栓装置)
本発明は、道路を有するトンネルの壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上方の所定高さに、当該トンネル壁面に近接又は当接させて筐体が設置された消火栓装置であって、
筐体の側面に側面扉を備え、
側面扉を開いて筐体内に対する作業が側面外部から可能であることを特徴とする。
【0011】
(消火栓機器と消火器を収納した筐体)
筐体は、
消火栓機器が収納された第1筐体と消火器及び電装機器が収納された第2筐体とが側面方向で連結され、
第1筐体の連結側面を除く側面に第1側面扉を備えるとともに、第2筐体の連結側面を除く側面に第2側面扉を備え、
第1側面扉を開いて架台及び消火栓機器に対する作業が側面外側から可能であり、第2側面扉を開いて架台、消火器及び電装機器に対する作業が側面外側から可能である。
【0012】
(側面扉のトンネル壁面側への横開き構造)
側面扉は、筐体の側面開口部のトンネル壁面側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持される。
【0013】
(側面扉の前面側への横開き構造)
側面扉は、筐体の側面開口部の道路側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持される。
【0014】
(側面扉の上開き構造)
側面扉は、筐体の側面開口部の上端前後方向を軸として上開き自在に支持される。
【0015】
(開放した側面扉の保持)
側面扉は、開放した位置を保持する開放保持部を備える。
【0016】
(監視員通路上の架台による筐体の取付け固定)
筐体は、トンネル壁面側に寄せて監視員通路の路面に設置された架台の上部に取り付け固定される。
【0017】
(トンネル壁面上の架台による筐体の取付け固定)
筐体は、監視員通路の路面上方のトンネル壁面に設置された架台の道路側となる前部に取り付け固定される。
【発明の効果】
【0018】
(基本的な効果)
本発明の消火栓装置によれば、監視員通路又はトンネル壁面に露出状態で設置された消火栓装置にあっては、筐体の側面に相対する外部空間は空き空間となっており、筐体の側面に側面扉を備えたことで、側面扉を開いて筐体内に対する作業を側面外部から簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0019】
また、筐体前面に設けられている前傾扉や消火器扉が閉じたままでも、側面扉を開くことで筐体内に対する外部からの作業が可能であり、前傾扉や消火器扉の開放により監視員通路の通行を妨げることがない。
【0020】
また、開放した前傾扉に乗って作業をする必要がなく、前傾扉の強度を必要以上に高くすることが不要となり、前傾扉に補強構造を設ける必要がなくなり、扉構造が簡単となり、コストを低減可能とする。
【0021】
(消火栓機器と消火器を収納した筐体の効果)
また、筐体は、消火栓機器が収納された第1筐体と消火器及び電装機器が収納された第2筐体とが側面方向で連結され、第1筐体の連結側面を除く側面に第1側面扉を備えるとともに、第2筐体の連結側面を除く側面に第2側面扉を備えため、第1側面扉を開くことで扉開口から消火栓機器、例えば、バルブ類に対し給水配管を接続するなどの作業を簡単且つ容易に行うことを可能とし、また、第2側面扉を開くことで扉開口から消火器及び電装機器に対する作業を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0022】
(側面扉のトンネル壁面側への横開き構造の効果)
また、側面扉は、筐体の側面開口のトンネル壁面側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持されたことで、側面扉のトンネル壁面側への横開きにより筐体の側面開口部を開き、筐体側面の広い空間から筐体内に手を入れて必要な作業を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0023】
(側面扉の前面側への横開き構造の効果)
また、側面扉は、筐体の側面開口部の道路側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持されたことで、側面位置から前方側へ略3/4回転した筐体前面に当たる位置まで大きく開放され、筐体側面の広い空間から筐体内に手を入れて必要な作業を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0024】
(側面扉の上開き構造の効果)
側面扉は、筐体の側面開口部の上端前後方向を軸として上開き自在に支持されたことで、側面扉を上開きした開放により筐体の側面開口を開き、筐体側面の広い空間から筐体内に手を入れて必要な作業を簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0025】
(開放した側面扉の保持の効果)
また、側面扉は、開放保持部により開放した位置に保持されることで、開放した側面扉が動いて作業を妨げることを防止可能とする。
【0026】
(監視員通路上の架台による筐体の取付け固定の効果)
また、筐体は、トンネル壁面側に寄せて監視員通路の路面に設置された架台の上部に取り付け固定される据置き構造であることで、監視員通路に設置された架台に対し筐体をボルトとナットを使用して取付け固定する筐体内の作業を、側面扉を開いて筐体側面の広い空間から筐体内に手を入れて簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【0027】
(トンネル壁面上の架台による筐体の取付け固定の効果)
また、筐体は、監視員通路の路面上方のトンネル壁面に設置された架台の道路側となる前部に取り付け固定される壁掛け構造であることで、トンネル壁面に設置された架台に対し筐体をボルトとナットを使用して取付け固定する筐体内の作業を、据置き構造と同様に、側面扉を開いて筐体側面の広い空間から筐体内に手を入れて簡単且つ容易に行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】トンネル内における消火栓装置の設置状態を示した説明図である。
【
図2】トンネル横断面における消火栓装置の設置状態を概略的に示した説明図である。
【
図3】消火栓装置を取り付け固定する架台を取り出して示した斜視図である。
【
図4】消火栓装置の内部構造を、前傾扉を開いて正面から示した説明図である。
【
図5】トンネル壁面側へ開放する側面扉を備えた消火栓装置の内部構造を平面で示した説明図である。
【
図6】消火栓装置の内部構造を右側面から示した説明図である。
【
図7】
図5の第1側面扉を開いた状態で示した斜視図である。
【
図8】筐体前面側へ開放する側面扉を備えた消火栓装置の内部構造を平面で示した説明図である。
【
図9】
図8の第1側面扉を開いた状態で示した斜視図である。
【
図10】筐体上方へ開放する側面扉を開いた状態で示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る消火栓装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0030】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に、筐体内に消火栓機器、電装機器、端子箱及び消火器が配置される消火栓装置に関するものである。
【0031】
ここで、「消火栓装置」とは、消火対象領域となる高速道路や自動車専用道路のトンネル内等に設置される非常用設備の一種であり、消火対象領域に設置された筐体内に消火用ホース等の消火栓機器、電装扉に赤色表示灯や発信機等の電装機器、端子箱及び消火器が配置又は収納されたものであり、消火栓装置が設置された消火栓設備を含む概念である。
【0032】
また、消火栓装置は、道路を有するトンネルの内部の壁面に沿って設けられた監視員通路の路面上の所定の高さに露出した状態で設置されるものである。ここで、「所定の高さ」とは、消火栓装置をトンネル壁面に近接又は当接した位置に設置することが可能な高さであり、例えば、監視員通路の路面上に設置された架台の上部に筐体を取り付け固定すること、或いは、監視員通路の路面上方のトンネル壁面に設置された架台の道路側となる前部に筐体を取り付け固定することで、所定の高さに設置されるものである。
【0033】
また、「架台」とは、柱と梁などによって物を支える構造を指すものであり、具体例は図示していないが、支持台、土台、基台、台座、ベースなどの概念を含むものである。
【0034】
本実施形態の消火栓装置は、筐体の側面に側面扉を備えたことを特徴とするものであり、作業者が側面扉を開いて筐体内に対する作業を側面外部から可能するものである。ここで、「側面扉」とは、監視員通路の路面上の所定の高さに露出状態で設置された消火栓装置の筐体の側面の側面開口部に設けられた扉であり、両側の側面に設けるか片側の側面に設けるかは任意である。
【0035】
例えば、消火栓装置の筐体は、消火栓機器が収納された第1筐体と、消火器、電装機器及び端子箱が収納された第2筐体を側面方向で連結しており、第1筐体の連結側面を除く側面に第1側面扉を備えるとともに、第2筐体の連結側面を除く側面に第2側面扉を備え、第1側面扉および第2側面扉を開いて架台に筐体を取り付け固定する作業を側面外側から可能とし、また、第1側面扉を開いて消火栓機器に対する作業を側面外側から可能とし、さらに、第2側面扉を開いて消火器、電装機器及び端子箱に対する作業を側面外側から可能とするものである。
【0036】
ここで、「消火栓機器」とは、消火用ホースや消火栓弁等のバルブ類を含む所定の機器であり、「電装機器」とは、電装扉に配置された赤色表示灯、発信機、応答ランプ及び電話ジャックを含む所定の機器であり、「端子箱」とは、消火栓装置の外部から筐体内に引き込まれた配線用ケーブル等を電装機器に接続するための端子台を備えた収納箱である。
【0037】
側面扉の開放方向は任意であるが、例えば、側面扉は、筐体の側面開口のトンネル壁面側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持される。この場合、側面扉には、トンネル壁面側まで開放した位置を保持する開放保持部を備える。
【0038】
また、側面扉は、筐体の側面開口の道路側の側端上下方向を軸として横開き自在に支持される。この場合、側面扉には、筐体の前面側まで開放した位置を保持する開放保持部を備える。
【0039】
また、側面扉は、筐体の側面開口の上端前後方向を軸として上開き自在に支持される。この場合、側面扉には、斜め上方もしくは水平となる開放位置を保持する開放保持部を備える。
【0040】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「消火栓装置がトンネル内の監視員通路上の設置された架台上に取り付け固定された」ものであり、筐体の消火栓機器の収納部に近い側面に設けた側面扉が「第1側面扉」であり、筐体の消火器の収納部に近い側面に設けた側面扉が「第2側面扉」である場合について説明する。
【0041】
[実施形態の具体的内容]
消火栓装置について、より詳細に説明する。その内容については以下のように分けて説明する。
a.消火栓装置の概要
b.消火栓装置の設置
c.消火栓装置の設置高さと薄型化
d.消火栓装置の薄型化に対応した構成
e.消火栓装置の架台
f.側面扉を備えた消火栓装置の構造
f1.第1筐体の構造
f2.第1筐体の側面扉
f3.第2筐体の構造
f4.消火器の収納
f5.第2筐体の側面扉
g.側面扉を開いて行う現場作業
g1.架台に対する筐体の取付け固定作業
g2.給水配管の接続作業
g3.ケーブル引き込み作業
g4.運用中の点検修理作業
h.側面扉の他の実施形態
h1.前開き構造の側面扉
h2.上開き構造の側面扉
i.本発明の変形例
【0042】
[a.消火栓装置の概要]
消火栓装置の概要について、より詳細に説明する。
図1は、トンネル内における消火栓装置の設置状態を示した説明図であり、
図1(A)にトンネル横断面で見た消火栓装置の設置状態を示し、
図1(B)にトンネル壁面方向に見た消火栓装置の設置状態を示している。
【0043】
図1(B)に示すように、本実施形態の消火栓装置10の筐体は、第1筐体11a及び第2筐体11bに分割されている。
【0044】
第1筐体11aの前面には化粧枠13aが装着されている。化粧枠13aの扉開口部は上下に分割され、扉開口部の下側にヒンジ12aにより下向きに開く消火栓扉として機能する前傾扉12が配置され、扉開口部の上側にヒンジ14aにより上向きに開く保守扉14が配置され、第1筐体11aの内部となる消火栓機器の収納部に消火用ホース及び消火栓弁等のバルブ類を含む所定の消火栓機器が収納されている。
【0045】
第1筐体11aの右側面には、側面開口部のトンネル壁面側の側端上下方向を軸として右方向に横開き可能な第1側面扉32が設けられている。
【0046】
また、第2筐体11bの前面には化粧枠13bが装着されている。化粧枠13bには2か所に分けて扉開口部が設けられ、右側の扉開口部にはヒンジ18aにより右向きに横開きする電装扉18が配置され、左側にヒンジ20aにより左向きに横開きして、内部の端子箱26a,26bへのアクセスを可能とする補助扉20が配置されている。電装扉18には、電装機器として、例えば、赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ25が設けられ、内側には電話ジャックが設けられている。
【0047】
赤色表示灯22は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から確認できるようになっている。火災が発生し、発信機24が押されて押し釦スイッチがオンすると、発信信号が送信され、これを受信した電気室等に設置された防災受信盤から火災警報が出力される。消火栓装置10は、防災受信盤からの応答信号を受信して、赤色表示灯22が点滅し、応答ランプ25が点灯する。
【0048】
補助扉20に相対した第2筐体11b内の後面には、高圧用の端子箱26aと低圧用の端子箱26bが上下方向に配置されている。高圧用の端子箱26aは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた強電用ケーブルと赤色表示灯22を接続する。低圧用の端子箱26bは、内蔵した端子台を使用して、消火栓装置10の外部から引き込まれた弱電用ケーブルと発信機24、応答ランプ25及び電話ジャック等を接続する。
【0049】
また、化粧枠13bの左側の扉開口部には、ヒンジ16aにより左向きに横開きする消火器扉16が設けられ、消火器扉16の内側には、例えば、2本の消火器が収納可能となっている。また、消火器扉16の下側には、覗き窓17が設けられ、外部から消火器の有無が確認可能となっている。
【0050】
また、第2筐体11bの左側面には、側面開口部のトンネル壁面側の側端上下方向を軸として左方向に横開き可能な第2側面扉34が設けられている。
【0051】
[b.消火栓装置の設置]
トンネル内の消火栓装置の設置について、より詳細に説明する。シールド工法により構築された円筒状(円形断面)のトンネル躯体の下部には道路46がトンネル長手方向(左右方向)に構築され、道路46の後側に沿ったトンネル壁面26の下側に、道路46に対し所定高さの監視員通路35が構築されている。
【0052】
シールド工法によるトンネル壁面26は、消火栓装置10を設置するための箱抜きが困難であることから、監視員通路35の路面上にトンネル壁面26に近接させて架台30を設置し、連結された第1筐体11a及び第2筐体11bを架台30上に取付け固定することで、消火栓装置10が設置されている。ここで、監視員通路35の路面から消火栓装置10に配置された発信機24までの高さが、法的に定められた800mm~1500mmの間に入るように、架台30の高さH1が設定されている。
【0053】
また、本実施形態の架台30は、
図1(A)に示すように、側面形状を底辺に対し上辺が長い逆台形とし、トンネル壁面26の湾曲形状に沿って後側が斜め下向きの傾斜面となっている。架台30の上端面は、消火栓装置10の連結された第1筐体11a及び第2筐体11bが取付け固定されるものである。
【0054】
[c.消火栓装置の設置高さと薄型化]
消火栓装置の設置高さと薄型化について、より詳細に説明する。架台30により監視員通路35の路面上に設置された消火栓装置10の、トンネル壁面26からの突出(出っ張り)による通路幅の制約を低減するため、消火栓装置10の設置高さを最適化し、併せて、消火栓装置10を可能な限り薄型化している。
【0055】
まず、消火栓装置10の設置高さは、架台30により定まるものであるから、架台30の高さH1の最適化について、より詳細に説明する。
図2は、トンネル横断面における消火栓装置の設置状態を概略的に示している。消火栓装置10が設置されるトンネル壁面26は円形断面となっており、
図2(A)にあっては、トンネル中心(円形断面の中心)Pからの水平方向のトンネル中心線SL1に対し、監視員通路35上に設置された消火栓装置10は、その高さ方向の中心を通る横方向の筐体中心線SL2が可能な限り近付くように、架台30の高さH1が設定されている。
【0056】
この場合、筐体中心線SL2をトンネル中心線SL1に近づけるほど、消火栓装置10がトンネル壁面26から突出する度合いを低減することができる。
【0057】
図2(B)は、筐体中心線SL2をトンネル中心線SL1に一致させるように架台30の高さH1が設定された場合を示す。この場合には、消火栓装置10がトンネル壁面26から突出する度合いを最小とすることができる。ただし、架台30の高さH1は消火器の取出し等を踏まえ、可能な範囲での調整となる。
【0058】
次に、消火栓装置10の薄型化について、より詳細に説明する。消火栓装置10に収納される機器の中で前後方向のサイズが最大となるのは、第2筐体11bに収納される消火器であり、消火栓装置の幅(前後方向の厚さ)が第2筐体11bに消火器が収納できる最小値であれば、消火栓装置10の薄型化が可能であるから、消火栓装置10の幅は第2筐体11bに収納する消火器の外径に対応した所定の幅に設定される。
【0059】
消火器の外径は150~160mm程度であり、収納された消火器が第2筐体11bに接触しないように隙間を確保すると、消火栓装置10の最小幅は、例えば、180~200mm程度の範囲内となり、消火栓装置10の幅は当該範囲内の所定の幅に設定される。これに対し、トンネル躯体の壁面を箱抜きして埋込設置する従来の消火栓装置10の幅は300mm程度であることから、本実施形態の消火栓装置10の幅は従来の2/3以下にすることができ、消火栓装置10を薄型化することができる。
【0060】
[d.消火栓装置の薄型化に対応した構成]
消火栓装置10を消火器の外径に対応して、180~200mm程度の範囲の所定の幅に薄型化した場合、第1筐体11aに従来の消火栓装置と同様に所定長の消火用ホース、例えば、30mの保形ホースを内巻き状態で収納することが困難となる。そこで、本実施形態にあっては、第1筐体11aの横幅(左右方向の幅)を拡大することで、従来と同じ所定長の保形ホースが内巻き状態で収納可能となっている。
【0061】
また、消火栓装置10の薄型化に伴い、従来の消火栓装置10のように、消火器が収納される消火器収納部の後側の筐体後面に端子箱26a,26bを配置することが困難となる。そこで、本実施形態にあっては、第2筐体11bの横幅(左右方向の長さ)を消火器の収納に加え、電装機器と端子箱を配置可能とする横幅に拡大している。
【0062】
[e.消火栓装置の架台]
消火栓装置の架台について、より詳細に説明する。
図3は、架台の斜視図である。架台30は、例えば、アングル材等を所定長さに切断して箱形に溶接固定したものであり、側面から見て底辺に対し上辺が長い逆台形となるようにアングル材等が配置されている。架台30の上端面には、前後の2つをペアとする取付穴31が上面の長手方向の3箇所に分けて形成されている。取付穴31は、消火栓装置10の第1筐体11a及び第2筐体11bの底部の取付穴に対応した位置に形成されており、両者の取付穴を位置合せした状態でボルトを通してナットを嵌めることで、第1筐体11a及び第2筐体11Bを架台30に取り付け固定される。
【0063】
[f.側面扉を備えた消火栓装置の構造]
側面扉を備えた消火栓装置の構造について、
図4乃至
図7を参照して、より詳細に説明する。
【0064】
(f1.第1筐体の構造)
第1筐体11aの構造について、より詳細に説明する。尚、消火栓装置の内部構造を前傾扉(消火栓扉)及び保守扉を開いた前面で示した
図4、消火栓装置の内部構造を上面から見た断面で示した
図5、第1筐体のホース収納部を右側面から見た断面を示した
図6、第1筐体の第1側面扉を開いた
図7を参照する。このうち、
図5は
図4の切断線a-aで示す断面であり、
図6は
図4の切断線b-bで示す断面である。なお、
図6の前傾扉12については、
図4の扉側面を示している。
【0065】
消火栓機器の収納部となる第1筐体11aの内部は、バルブ類収納部50aとホース収納部50bに分けられている。バルブ類収納部50aには、架台30を通して下から給水配管48が引き込まれて給水栓52に接続され、また、給水配管48は下向きに分岐し、分岐先には消火栓弁54及び自動調圧弁56が設けられ、続いて保形ホースを用いた消火用ホース60が接続されている。
【0066】
消火栓弁54は、消火栓弁開閉レバー58により開閉操作されるものであり、消火栓弁開閉レバー58が開閉操作されると公知のワイヤーリンク機構により消火栓弁54が遠隔的に開閉する。また、消火栓弁開閉レバー58が開閉操作されると、操作ボックスに設けられたポンプ起動連動スイッチがオン、オフする。また、給水栓52の右上には、消防隊が使用するポンプ起動スイッチ64が設けられている。
【0067】
ホース収納部50bには、ホース収納フレーム62が設けられ、下側から引き込まれた消火用ホース60が右回り又は左回りの内巻き状態で収納されている。ここで、ホース収納フレーム62は、消火栓装置10の薄型化に伴う第1筐体11aの横幅の拡大に対応して横幅を広くしており、従来の消火栓装置に比べて少ない巻き数で従来と同じ所定長の消火用ホース60が収納可能となっている。また、ホースガイド66を通して引き出された消火用ホース60の先端にはノズル68が装着され、ノズル68はノズルホルダー70に着脱自在に保持されている。
【0068】
また、
図6に示すように、ホース収納部50bの上部には第1筐体11aの外部から引き込んだケーブル、例えば、架台30を通して立ち上げられたケーブルを第2筐体11b側へ通線するため、ケーブルラック49が設けられ、ケーブルラック49の左端に相対する第1筐体11aの隔壁には通線口が開口されている。
【0069】
(f2.第1筐体の側面扉)
第1筐体11aの右側面には、第1側面扉32が設けられている。第1側面扉32は、
図5に示すように、右側面のトンネル壁面側の側端上下方向を軸とするヒンジ32aにより右方向に横開き自在に支持されており、トンネル壁面に沿った位置まで開放することができる。
【0070】
第1側面扉32の詳細は、
図7に示すように、例えば、第1筐体11aの右側面に形成された側面開口部33のトンネル壁面側の側端上下方向の3か所に設置されたヒンジ(蝶番)32aにより横開き自在に支持されている。また、第1側面扉32を閉鎖位置に保持する扉閉鎖構造が設けられ、扉閉鎖構造は任意であるが、
図7では、扉側に通し穴38を形成するとともに、通し穴38に相対する開口周縁部にねじ穴40を形成し、扉固定ねじを通し穴38に通してねじ穴40にねじ込むことで、第1側面扉32が閉鎖位置に固定可能となっている。
【0071】
また、第1側面扉32には、トンネル側壁に沿った開放位置に扉を保持する扉保持部が設けられている。扉保持部の構造や機構は任意であるが、
図7では、扉上部に設けられたステー36により第1側面扉32の扉開放位置が保持される。ステー36による第1側面扉32の開放位置の保持により、側面開口部33を介して第1筐体11a内に対し作業を行う場合に、開放した第1側面扉32が動いて作業の妨げとならないようになっている。なお、第1側面扉32の内面には、必要に応じて補強リブを配置することで扉強度を高くしてもよい。
【0072】
(f3.第2筐体の構造)
第2筐体11bの電装機器配置側の構造について、より詳細に説明する。
図4及び
図5に示すように、第2筐体11bの右側の扉開口部には、ヒンジ18aにより右方向に横開きする電装扉18が配置され、電装扉18には、上から順に赤色表示灯22、発信機24、電話ジャック28、及び応答ランプ25が配置され、電話ジャック28は電装扉18の内側に配置されている。
【0073】
ここで、電装機器の内、第2筐体11bの内部となる消火器収納部50cでの前後方向のサイズが最大となるのは赤色表示灯22であり、そのサイズは120mm程度であるから、消火栓装置10を180~200mm程度の範囲の所定の幅に薄型化した場合でも、第1筐体11a側から引き込んだケーブルの通線スペースを確保した上で各電装機器を配置することができる。
【0074】
また、電装扉18の左側にはヒンジ20aにより左方向に横開きする補助扉20が配置され、
図4に示すように、補助扉20に相対した第2筐体11bの筐体後面に、端子箱26a,26bが上下方向に配置されている。
【0075】
端子箱26a,26bは、箱本体と蓋部材で構成され、第2筐体11bに配置された状態での縦(上下)×横(左右)×奥行(前後)のサイズは、220mm×140mm×80mm程度である。
【0076】
このため、消火栓装置10を180~200mm程度の範囲の所定の幅に薄型化した場合でも、端子箱26a,26bの奥行(前後)のサイズは80mm程度であるから、第2筐体11b内には端子箱26a,26bを配置する十分なスペースが確保される。また、端子箱26a,26bは第1扉18に配置された赤色表示灯22等の電装機器に近い位置に配置されることから、端子箱26a,26bと電装機器との間は短い配線長による接続が可能となっている。
【0077】
このため、工場での第2筐体11bの組み立て等の段階で、
図5に示すように、電装扉18と補助扉20を想像線で示す位置に開くことで第2筐体11bの前面を開放し、端子台26a,26bと電装扉18に配置した電装機器との間を信号線で接続する作業を容易に行うことが可能となっている。
【0078】
また、消火栓装置10をトンネル内に設置した場合にも、電装扉18と補助扉20の扉固定を解除し、
図5に示すように、電装扉18と補助扉20を想像線で示す位置に開くことで、端子箱26a,26bに第1筐体11a側から引き込んだ配線ケーブルを接続する作業を容易に行うことが可能となっている。
【0079】
(f4.消火器の収納)
第2筐体11bの消火器の収納について、より詳細に説明する。
図4及び
図5に示すように、第2筐体11bの消火器扉16の内側には、外径が150~160mm程度となる消火器72が2台収納できるスペースが確保されている。また、前述したように、消火栓装置10を薄型化するため、消火栓装置10の幅は消火器72の外径に対応した180~200mmの範囲の所定の幅となっており、これにより収納された消火器72の前後に15~25mm程度の隙間が確保され、消火器72が第2筐体11bに接触することなく収納可能となっている。
【0080】
(f5.第2筐体の側面扉)
第2筐体11bの側面扉について、より詳細に説明する。第2筐体11bの左側面には、第2側面扉34が設けられている。第2側面扉34は、
図5に示すように、左側面のトンネル壁面側の側端上下方向を軸とするヒンジ34aにより左回りに横開き自在に支持されており、トンネル壁面に沿った位置まで開放することができる。第2側面扉34の詳細は、
図7に示した第1側面扉32と横開きする方向が相違するが、それ以外の構造は同様な構造となることから、その説明は省略する。
【0081】
[g.側面扉を開いて行う現場作業]
側面扉を開いて行う現場作業、即ち、第1側面扉32及び又は第2側面扉34を開いて消火栓装置の設置場所で行う現場作業について、より詳細に説明する。
【0082】
(g1.架台に対する筐体の取付け固定作業)
図1に示すように、監視員通路35に消火栓装置10を設置する場合には、まず、
図3に示した架台30を監視員通路35上のトンネル壁面26に当接又は近接する位置にアンカーボルトなどを用いて固定設置する。
【0083】
続いて、クレーンなどにより吊下げた消火栓装置10を架台30の上に乗せ、架台30の取付穴31を、第1筐体11a及び第2筐体11bの底部の取付穴に位置合わせし、ボルトを通してナットの締結で固定する作業を行う。
【0084】
このとき、第1筐体11aについては、
図7に示すように、右側面の第1側面扉32を開き、第1側面扉32側に近い架台30の取付穴31を第1筐体11aの底部の取付穴に位置合わせしてボルトを差し込み、ナットを嵌めて締結固定する作業を、開放された扉開口部33を介して筐体側面側から作業者が手をいれて行う。同様に、第2筐体11bの左側面の第2側面扉34を開き、第2側面扉34側に近い架台30の取付穴31を第2筐体11bの底部の取付穴に位置合わせしてボルトを差し込み、ナットを嵌めて締結固定する作業を、開放された扉開口33を介して筐体側面側から作業者が手を入れて行う。
【0085】
これにより架台30上に第1筐体11a及び第2筐体11bを取り付け固定する現場作業を、簡単且つ容易に行うことができる。また、第1側面扉32及び第2側面扉34が開くことで、従来のように、前傾扉12や消火器扉16を開く必要がなく、監視員通路の行き来を妨げることがない。
【0086】
(g2.給水配管の接続作業)
また、架台30上に第1筐体11aを取り付け固定した場合には、架台30を通して監視員通路35の路面から筐体内に立ち上げられている給水配管48に給水栓52の一次側の配管を接続する作業を必要とする。この場合にも、
図7に示すように、第1側面扉32を開き、この作業を、開放された扉開口部33を介して筐体側面側から作業者が手を入れて行うことで、簡単且つ容易に、給水配管48を給水栓52の一次側配管に接続する作業を行うことができる。
【0087】
(g3.ケーブル引き込み作業)
また、架台30上に第1筐体11aを取り付け固定した場合には、
図6に示すように、第1筐体11aの上部に形成されたケーブルラック49に外部から引き込んだケーブルを挿通し、第2筐体11b内に配置された端子箱26a,26b内の端子台にケーブルを接続する作業を必要とする。この場合にも、
図7に示すように、第1側面扉32を開き、開放された扉開口33を介してケーブルラック49に、例えば、架台30を通して監視員通路35側から立ち上げたケーブルを挿通し、端子台26a,26b側に引き出す作業を、作業者が側面開口33から手を入れて行うことで、簡単且つ容易に行うことができる。
【0088】
(g4.運用中の点検修理作業)
また、トンネル運用中に行われる消火栓装置10の定期的な点検などに際に、第1筐体11a内に配置されている消火栓弁54や自動調圧弁56などの消火栓機器の点検を、
図7に示すように、第1側面扉32を開いて簡単且つ容易にを行うことが可能となっている。また、消火栓弁54や自動調圧弁56などの消火栓機器に不具合が発生した場合には、
図5に示すように、第1側面扉32を開いて、簡単且つ容易に、交換修理などの作業を行うことを可能となっている。
【0089】
[h.側面扉の他の実施形態]
側面扉の他の実施形態について、より詳細に説明する。側面扉の他の実施形態は、前開き構造の側面扉と上開き構造の側面扉に分けられる。
【0090】
(h1.前開き構造の側面扉)
前開き構造の側面扉について、より詳細に説明する。尚、消火栓装置の内部構造を上面から見た断面で示した
図8、第1筐体の第1側面扉を開いた
図9を参照する。
【0091】
図8に示すように、第1筐体11aの右側面に設けられた第1側面扉32は、右側面の道路側(手前側)の側端上下方向を軸とするヒンジ32aにより右回りに横開き自在に支持されており、第1筐体11aの前面に沿った位置まで開放することができる。
【0092】
第1側面扉32の詳細は、
図9に示すように、例えば、第1筐体11aの右側面に形成された側面開口部33の道路側(前面側)の側端上下方向の3か所に設置されたヒンジ(蝶番)32aにより横開き自在に支持されている。また、第1側面扉32を閉鎖位置に保持する扉閉鎖構造が設けられ、扉閉鎖構造は任意であるが、
図9では、扉側に通し穴38を形成するとともに、通し穴38に相対する開口周縁部にねじ穴40を形成し、扉固定ねじを通し穴38にしてねじ穴40にねじ込むことで、第1側面扉32が閉鎖位置に固定可能となっている。
【0093】
また、第1側面扉32には、筐体前面に沿った開放位置に扉を保持する扉保持部が設けられている。扉保持部の構造や機構は任意であるが、
図9では、第1側面扉32の開放端側の上下2個所にマグネット42を配置し、化粧枠13aに対する磁気吸着により第1側面扉32の扉開放位置が保持される。このようなマグネット42の磁気吸着による第1側面扉32の開放位置の保持により、作業者が側面開口部33を介して第1筐体11a内に対し作業を行う場合に、開放した第1側面扉32が動いて作業の妨げとならないようになっている。なお、化粧枠13aが磁気吸着されない材質で形成されている場合には、化粧枠13aの、開放された第1側面扉32のマグネット42に対応する位置に、磁気吸着可能な部材を配置すればよい
また、第2筐体11bの左側面に設けられた第2側面扉34は、
図8に示すように、左側面の道路側(前面側)の側端上下方向を軸とするヒンジ34aにより左回りに横開き自在に支持されており、筐体前面に沿った位置まで開放することができる。第2側面扉34の詳細は、
図9に示した第1側面扉32と横開きする方向が相違するが、それ以外の構造は同様な構造となることから、その説明は省略する。
【0094】
(h2.上開き構造の側面扉)
上開き構造の側面扉について、より詳細に説明する。尚、第1筐体の第1側面扉を開いた
図10を参照する。
【0095】
図10に示すように、第1筐体11aの右側面に設けられた第1側面扉32は、例えば、第1筐体11aの右側面に形成された側面開口部33の上端前後方向の2箇所に設置されたヒンジ(蝶番)32aにより上開き自在に支持されている。また、第1側面扉32を閉鎖位置に保持する扉閉鎖構造が設けられ、扉閉鎖構造は任意であるが、例えば、扉側に通し穴38を形成し、通し穴38に相対する開口周縁部にねじ穴40を形成し、扉固定ねじを通し穴38を通してねじ穴40にねじ込むことで、第1側面扉32が閉鎖位置に固定可能となっている。
【0096】
また、第1側面扉32には、筐体上面に対し斜め上方又は水平となる開放位置に扉を保持する扉保持部が設けられている。扉保持部の構造や機構は任意であるが、
図10では、トンネル壁面側となる扉内側に設けたステー36により扉開放位置を保持するようになっている。なお、開放した第1側面扉32はステー36で開放位置を保持せず、さらに、第1側面扉32を回動して第1筐体11aの上面に乗せた開放位置としても良い。
【0097】
また、第2筐体11bの左側面に設けられた第2側面扉34は、
図10の第1側面扉32と同様に、第2筐体11bの右側面に形成された側面開口部の上端前後方向の2箇所に設置されたヒンジ(蝶番)により上開き自在に支持され、トンネル壁面側となる扉内側に設けたステーにより扉開放位置を保持するようになっている。また、ステーで保持せず、第2筐体11bの上面に乗せる位置まで開放するようにしても良い。
【0098】
[i.本発明の変形例]
本発明による消火栓装置の変形例について説明する。本発明の消火栓装置は、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0099】
(壁掛け構造の消火栓装置)
上記の実施形態は、トンネル壁面側に寄せて監視員通路の路面に設置された架台の上部に筐体が取り付け固定される据え置き構造の消火栓装置を例にとるものであったが、これに限定されず、監視員通路の路面上方のトンネル壁面に設置された架台の道路側となる前部に筐体が取り付け固定される壁掛け構造の消火栓装置についても、同様に、筐体の側面に側面扉が設けられ、側面扉を開いて筐体内に対する作業を側面外部から可能とするものである。
【0100】
(消火栓装置)
上記の実施形態は、第2筐体に消火器を収納しているが、第2筐体の消火器収納部を設けずに前面開口部に電装扉と補助扉を設け、筐体内に端子箱を設けた構造の消火装置としても良く、この場合にも、消火栓機器を収納した第1筐体の連結側面以外の側面に第1側面扉を設け、第2筐体の連結側面以外の側面に第2側面扉を設けるようにする。
【0101】
(トンネル壁面が円形断面以外の場合)
上記の実施形態におけるトンネル断面形状は円形となっているが、トンネル断面が円形以外、例えば、三心円等の場合には、トンネル断面形状の水平方向の幅が最も広い位置の水平線を、上記の説明におけるトンネル中心線SL1とすることで、本発明を適用することができる。
【0102】
(薄型化に対応した消火栓装置の構造)
上記の実施形態における消火栓装置では、消火栓装置の薄型化に対応して第1筐体及び第2筐体の横幅を広くして薄型化により減少した分の内部容積を確保しているが、第1筐体及び第2筐体の上下幅を広くして薄型化により減少した分の内部容積を確保するようにしても良い。
【0103】
(給水配管の立ち上げやケーブル類の引き込みが側面から行われる場合)
上記の実施形態では、給水配管の立ち上げやケーブル類の引き込みが、全て第1筐体の下方から行われているが、第1筐体の側面から行われる場合には、その部分を固定板で構成し、側面扉はその固定板を除いた部分に配置される。
【0104】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、さらに、上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0105】
10:消火栓装置
11a:第1筐体
11b:第2筐体
12:前傾扉
13a,13b:化粧枠
14:保守扉
16:消火器扉
17:覗き窓
18:電装扉
20:補助扉
22:赤色表示灯
24:発信機
25:応答ランプ
26a,26b:端子箱
28:電話ジャック
30:架台
32:第1側面扉
32a,34b:ヒンジ
33:側面開口部
34:第2側面扉
35:監視員通路
36:ステー
38:通し穴
40:ねじ穴
42:マグネット
46:道路
48:給水配管
49:ケーブルラック
50a:バルブ類収納部
50b:ホース収納部
50c:消火器収納部
52:給水栓
54:消火栓弁
56:自動調圧弁
58:消火栓弁開閉レバー
60:消火用ホース
62:ホース収納フレーム
64:ポンプ起動スイッチ
66:ホースガイド
68:ノズル
70:ノズルホルダー
72:消火器