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特許7730312粘膜糖質及び関連状態を検出するスクリーニング方法、デバイス及びキット
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  • 特許-粘膜糖質及び関連状態を検出するスクリーニング方法、デバイス及びキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】粘膜糖質及び関連状態を検出するスクリーニング方法、デバイス及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/40 20060101AFI20250820BHJP
   C12Q 1/26 20060101ALI20250820BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20250820BHJP
【FI】
C12M1/40 B
C12Q1/26
G01N33/50 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022513620
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-28
(86)【国際出願番号】 US2020043461
(87)【国際公開番号】W WO2021040926
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2023-07-19
(31)【優先権主張番号】62/893,477
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/936,998
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522075139
【氏名又は名称】シャムスッディーン アブルカラム ムハンマド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャムスッディーン アブルカラム ムハンマド
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-191798(JP,A)
【文献】特表平09-505405(JP,A)
【文献】Guilherme B. C. MARTINS et al.,Papel indicador colorimetrico para deteccao de formol em produtoslacteos e produtos de higiene pessoal,Quim. Nova,2017年08月04日,Vol. 40, No. 8,pp. 946-951,DOI: 10.21577/0100-4042.20170102
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12Q
G01N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するためのスクリーニングデバイスであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を備え、
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されており、且つ、ガラクトースオキシダーゼによる酸化後に、前記シッフ試薬が活性化されてサンプルと接触し得る、スクリーニングデバイス。
【請求項2】
ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するためのスクリーニングデバイスであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を備え、
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されており、且つ、ガラクトースオキシダーゼによる酸化後に、前記シッフ試薬が活性化されてサンプルと接触し得る、スクリーニングデバイス。
【請求項3】
予め埋め込まれたシッフ試薬と細孔形成剤とを接触させることによってシッフ試薬溶液が活性化される、請求項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
【請求項4】
前記ガラクトースオキシダーゼ溶液が貯蔵安定性ガラクトースオキシダーゼ溶液である、請求項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
【請求項5】
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するためのスクリーニング方法であって、
粘液又は体液とガラクトースオキシダーゼ溶液とを混合すること、
前記粘液又は体液中のマーカー糖質をガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化し、酸化されたサンプルを形成すること、
前記酸化されたサンプルを、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンに適用すること、
前記試験ストリップ又はメンブレン中の前記シッフ試薬を活性化して、前記酸化されたサンプルと接触させること、
を含み、
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、
スクリーニング方法。
【請求項6】
前記試験ストリップ又はメンブレンに粘液又は体液を適用する前に、該試験ストリップ又はメンブレン上に水を適用することを更に含む、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項7】
前記粘液又は体液中のマーカー糖質を、5分間~20分間にわたってガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化する、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項8】
予め埋め込まれたシッフ試薬を活性化する前に、前記粘液又は体液を洗浄によって除去することを更に含む、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項9】
前記シッフ試薬を前記サンプルと0.5分間~5分間にわたって接触させることを更に含む、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項10】
前記シッフ試薬を前記サンプルと0.5分間~5分間にわたって接触させた後に、前記試験ストリップ又はメンブレンを水道水で洗浄することと、該試験ストリップ又はメンブレンを乾燥させることと、該試験ストリップ又はメンブレンの色を評価することとを更に含む、請求項に記載のスクリーニング方法。
【請求項11】
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するためのスクリーニングキットであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を含み、
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、
スクリーニングキット。
【請求項12】
ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するためのスクリーニングキットであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を含み、
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、
スクリーニングキット。
【請求項13】
前記癌状態又は前癌状態が直腸、結腸、血液、リンパ節、胃、腎臓、胆嚢、前立腺、精巣、乳房、子宮頸部又は卵巣の癌状態又は前癌状態である、請求項に記載のスクリーニングデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2019年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/893,477号及び2020年7月23日に出願された米国非仮特許出願第16/936,998号に対する優先権及びその利益を主張するものであり、これら開示全体が引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
本開示は概して、粘膜糖質、並びに癌状態及び前癌状態を含むが、これらに限定されない関連状態を検出するスクリーニング試験方法、デバイス及びキットに関する。具体的には、この方法により、酵素ガラクトースオキシダーゼ及びシッフ試薬を用いて粘液又は体液中の異常糖質が試験される。本開示は、異常糖質及び関連状態の初期評価のための医療施設におけるデバイス又はキットの使用に更に関する。
【背景技術】
【0003】
早期検出及び予防は依然として、スクリーニングにより様々な癌と戦うための最良の戦略である。理想的なスクリーニング試験は、或る特定の基準、すなわち、高い感度、特異度及び陽性適中率、費用対効果、非侵襲性、大衆に受け入れられやすいこと等を満たす必要がある。残念なことに、大腸癌に対する既存のスクリーニングアッセイ、すなわち、糞便潜血検査(FOBT)の非感受性及び非特異性、それぞれ乳癌及び肺癌に対するマンモグラム及び胸部X線の高いコスト及び放射線リスク等のために、この努力は妨げられてきた。さらに、癌が既に形成されてからの疾患の検出では遅すぎ、前癌段階での検出が更により重要となる。このため、特異的マーカーの特定、並びに癌及び前癌の検出のための実施が容易であり、費用対効果が高く、正確な方法が、この問題に効果的に対処する上で極めて重要である。
【0004】
ムチンは、高分子量の高度にグリコシル化された糖タンパク質である。ムチンは、正常及び悪性組織の上皮細胞によって分泌型又は膜結合型分子のいずれかとして産生される。癌の発生及び進行は殆どの場合、ムチンコアペプチドの異常グリコシル化及びムチン遺伝子の発現の変化の両方を含むムチンの生化学的特性の変化を伴う。
【0005】
特許文献1及び非特許文献1には、直腸粘液を用いて大腸の癌を検出することができる大腸癌のスクリーニング試験が報告されている。予め酵素のリン酸緩衝液を含浸させた後、凍結乾燥したセルロースメンブレンフィルターを湿らせ、次いで湿らせたセルロースメンブレンフィルターと粘液サンプルを含有するMetricelメンブレンフィルターとを1時間~2時間接触させることによって、粘液を酵素ガラクトースオキシダーゼと反応させる。次いで、粘液を含有するメンブレンフィルターを蒸留水で1分間洗浄し、塩基性フクシンと15分間反応させ、水道水で10分間洗浄した後、空気乾燥させる。
【0006】
特許文献2には、(a)以下の調製法に従って調製した、(b)を2回飽和させるのに十分な量の貯蔵安定性塩基性フクシンの入ったキャップ付きバイアル、(b)メンブレンフィルター(Metricelメンブレンフィルター0.46μm、Gelman Sciences, Inc.,Ann Arbor,Michigan)のストリップを含む、従来の方法で段ボール箱に包装された試験キットが開示されている。また、(c)メンブレンフィルターのストリップに含浸させ、密封キャップ付きボトルに入れてキットに含まれる、サンプル中のマーカー糖質を酸化するのに十分な量の貯蔵安定形態のガラクトースオキシダーゼがキットに含まれる。また、(d)過ヨウ素酸、並びに(e)試験結果との比較及びその解釈のためのカラーチャートが含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第4,857,457号
【文献】米国特許第5,348,860号
【非特許文献】
【0008】
【文献】Shamsuddin et al., Human Pathology, 19: 7-10, 1988
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、試験キットが複数の液体成分を含み、試験方法が複数の工程を必要とすることで、サンプリング又は手順の誤りにより偽陰性が生じる。
【0010】
このため、癌状態及び前癌状態のスクリーニング試験方法を改良し、スクリーニング試験デバイス又はキットを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、癌状態及び前癌状態のスクリーニング試験方法、デバイス及びキットに関する。具体的には、この方法により、ガラクトースオキシダーゼ試薬及びシッフ試薬を用いて粘液又は体液中の異常糖質が試験される。このスクリーニング試験方法、デバイス及びキットは、精度の改善をもたらし、取扱い手順を最小限にする。本開示は、癌状態及び前癌状態の初期評価のための医療施設におけるデバイス又はキットの使用に更に関する。
【0012】
一態様においては、癌及び前癌の状態及び病変のスクリーニング方法は、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンに粘液又は体液を適用する工程と、マーカー糖質を含有する粘液又は体液中のマーカー糖質をガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化する工程と、試験ストリップ又はメンブレンに埋め込まれたシッフ試薬を活性化して、試験ストリップ又はメンブレンと接触させる工程とを含む。
【0013】
幾つかの実施の形態においては、癌及び前癌の状態及び病変のスクリーニング方法は、試験ストリップ又はメンブレンに粘液又は体液を適用する前に試験ストリップ又はメンブレン上に水を適用する工程、シッフ試薬を活性化する前に粘液又は体液を洗浄によって除去する工程、シッフ試薬をサンプルと接触させた後に試験ストリップ又はメンブレンを水道水で洗浄する工程、試験ストリップ又はメンブレンを乾燥させる工程、及び/又は試験ストリップ又はメンブレンの色を評価する工程から選択される1つ以上の付加的な工程を含む。
【0014】
別の態様においては、癌及び前癌の状態及び病変に対するデバイスは、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器とを備え、シッフ試薬は、マーカー糖質がガラクトースオキシダーゼによって酸化された後に活性化されてサンプルと接触し得る。シッフ試薬溶液を活性化する(マーカー糖質がガラクトースオキシダーゼによって酸化された後にサンプルと接触させる)機構は、限定されない。一態様においては、この機構は、細孔形成剤の添加によるものであり得る。
【0015】
別の態様においては、本開示は、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、ガラクトースオキシダーゼ試薬溶液の入った容器とを含む、癌状態及び前癌状態の試験キットを提供する。一態様においては、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンは、乾燥培養培地を更に含有し、試験ストリップ又はメンブレン上に水を添加すると、乾燥培養培地がガラクトースオキシダーゼを活性化し得る。別の態様においては、試験ストリップ又はメンブレンのシッフ試薬は、マイクロカプセル化されている。
【0016】
別の態様においては、本開示は、癌状態又は前癌状態をスクリーニングするための開示のデバイス又はキットの使用に更に関する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のキット及び方法に関与する反応の原理を示す図である。図1においては、マーカーGal-GalNAcがガラクトースオキシダーゼ(GO)と反応して、C6位に2つの隣接アルデヒドを生じ、これが次いで塩基性フクシンと結合して、マゼンタ色が付与される。
図2】サンプルをスライドガラス上で反応させて癌状態又は前癌状態を特定する、特許請求される発明の方法の一実施形態を示す図である。いかなる癌又は前癌も有しない被験体に由来するサンプルにおいては、試験パネルは無色であるが、通例、マゼンタ色(ピンク色から紫色までの範囲がある)が、癌及び前癌状態及び病変に特異的なマーカー二糖類を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、当業者が本開示を実施するのを助けるために提示される詳細な説明である。当業者は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態に修正及び変更を加えることができる。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、図面及び他の参照文献は、それらの全体が引用することにより明示的に本明細書の一部をなす。
【0019】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図したものではない。
【0020】
値の範囲が提示される場合、その範囲の上限と下限との間にある、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り(例えば、範囲内に含まれる各炭素原子数が提示される、多数の炭素原子を有する基の場合)、下限の単位の10分の1までの各中間値、及びその規定範囲内の任意の他の規定値又は中間値が本開示に包含されることが理解される。これらのより小さな範囲の上限及び下限は、規定範囲の任意の具体的に除外される限界には従うが、より小さな範囲に独立して含まれていてもよく、同様に本開示に包含される。規定範囲が限界の一方又は両方を含む場合、これらの含まれる限界の両方を除外した範囲も本開示に含まれる。
【0021】
本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲における全ての数値は、指定の値が「約」又は「およそ」によって修飾され、当業者によって予想される実験誤差及び変動を考慮に入れたものである。
【0022】
以下の用語が本開示を説明するために使用される。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本開示を限定することを意図したものではない。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される数量を特定しない冠詞(articles "a" and "an")は、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、冠詞の文法上の対象の1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)を指すために本明細書において使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素又は2つ以上の要素を意味する。
【0024】
本明細書及び特許請求の範囲において用いられる語句「及び/又は」は、そのように接続された要素の「いずれか又は双方」、すなわち、幾つかの場合には連言的に存在する要素、及びそれ以外の場合には選言的に存在する要素を意味するものと理解される。「及び/又は」を用いて列挙された複数の要素は、同様に、すなわち、そのように接続された要素の「1つ以上」と解釈される。「及び/又は」節によって具体的に特定された要素以外の他の要素が、具体的に特定された要素との関係の有無を問わず、任意選択で存在してもよい。したがって、非限定的な例として、「A及び/又はB」というとき、これは、「~を備える/含む(comprising)」等の非限定的(open-ended:開放型)な文言とともに用いられる場合に、1つの実施形態においては、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態においては、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、更に別の実施形態においては、A及びBの双方(任意選択で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0025】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられる「又は」は、上記で定義したような「及び/又は」と同じ意味を有すると理解される。例えば、一覧の項目を分離するとき、「又は」又は「及び/又は」は、包含的であると解釈される。すなわち、複数の要素又は要素の一覧のうちの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、任意選択で、一覧にない追加の項目も含むものと解釈される。「~のうちの1つ/一方のみ」若しくは「~のうちの厳密に1つ/一方」、又は特許請求の範囲において用いられるときは「~からなる(consisting of)」等の明らかに逆のことを示す用語のみが、複数の要素又は要素の一覧のうちの厳密に1つ/一方の要素を含むことを指す。一般に、本明細書において用いられる用語「又は」は、「いずれか」、「~のうちの1つ/一方」、「~のうちの1つ/一方のみ」、又は「~のうちの厳密に1つ/一方」等の排他的な用語が後置されているときにのみ排他的な二者択一(すなわち「一方又は他方であって、双方ではない」)を示すものと解釈される。
【0026】
特許請求の範囲及び本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「保有する(carrying)、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「伴う(involving)」、「保持する(holding)」、「から構成される(composed of)」等の全ての移行句は、オープンエンドであり、すなわち、含むが限定されないことを意味すると理解されたい。「からなる(consisting of)」及び「から本質的になる(consisting essentially of)」という移行句のみが、米国特許庁特許審査手続便覧第2111.03項に記載されるように、それぞれクローズド又はセミクローズドの移行句であるものとする。
【0027】
1つ以上の要素の一覧に関して、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる語句「少なくとも1つ/一方」は、要素の一覧内の要素のうちの任意の1つ以上から選択された少なくとも1つ/一方の要素を意味するが、要素の一覧内に具体的に挙げられたありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つ/一方を必ずしも含むものではなく、要素の一覧内の要素の任意の組合せを除外しないものと理解される。この定義も、具体的に特定された要素との関係の有無を問わず、語句「少なくとも1つ/一方」が指す要素の一覧内で具体的に特定される要素以外の要素が任意選択で存在してもよいことを可能にする。したがって、非限定的な例として、「A及びBのうちの少なくとも一方」(又は同様の意味として「A又はBのうちの少なくとも一方」、又は同様の意味として「A及び/又はBのうちの少なくとも一方」)は、1つの実施形態においては、少なくとも1つのA(任意選択で2つ以上を含む)を指すとともにBが存在しない(任意選択でB以外の要素を含む)ことを指し、別の実施形態においては、少なくとも1つのB(任意選択で2つ以上を含む)を指すとともにAが存在しない(任意選択でA以外の要素を含む)ことを指し、更に別の実施形態においては、少なくとも1つのA(任意選択で2つ以上を含む)及び少なくとも1つのB(任意選択で2つ以上を含む)(任意選択で他の要素を含む)を指す等とすることができる。
【0028】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「マーカー糖質」又は「マーカー糖類」という語句は、本明細書に記載される方法を用いることで癌及び前癌の情報を与えることができる糖質を意味すると理解されるべきである。マーカー糖質としては、β-D-Gal-(1→3)-D-GalNAc、Fuc-α-1→2-Galβ-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAc、Fuc-α-1→2-Galβ-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAc-β-(1→3)-Gal-β-(1→4)-GlcNAc又はFuc-α-1→2-Gal-β-(1→4)-Fucα-1→3-GlcNAc-β-(1→3)-Gal-β-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAcが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「粘液」又は「体液」という語句は、置き替え可能であるものとする。「粘液」又は「体液」という語句は、マーカー糖質(複数の場合もある)を含有する、人体に由来する任意の流体又は粘液と広く解釈されるものとする。
【0030】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される場合、「埋め込まれた」、「含浸させた」及び「予め埋め込まれた」という語句は、置き替え可能であるものとする。或る特定の実施形態においては、本発明の試薬は、試薬をメンブレン若しくは試験ストリップの表面上に結合若しくは固定化するか、又は試薬をコーティングによって多孔質メンブレンの細孔内に装填することでメンブレン又は試験ストリップに直接埋め込むことができる。更に他の実施形態においては、本発明の試薬をカプセル又はマイクロカプセルにカプセル化し、続いて試薬又は試験ストリップに埋込み、コーティング又は含浸させる。
【0031】
癌状態又は前癌状態について試験される個体の粘液又は体液中のマーカー糖質の存在を検出するために本開示において用いられる背景技術及び理論は、特許文献1、米国特許第5,162,202号及び特許文献2、並びにUsefulness of Galactose Oxidase-Schiff Test in Rectal Mucus for Screening of Colorectal Malignancy ANTICANCER RESEARCH 21:1247-1256 (2001)に開示されている。これらの参照文献は全て、引用することにより本明細書の一部をなす。本発明の方法及びキットにおいて用いられる反応を図1に示す。
【0032】
本発明は、サンプリング又は手順の誤りの結果としての偽陽性を最小限に抑えることに関して上述したアッセイを改良したものである。
【0033】
本開示は、例えば直腸、結腸、血液、リンパ節、胃、腎臓、胆嚢、前立腺、精巣、乳房、子宮頸部及び卵巣の広範な癌の検出のための信頼性の高いスクリーニング方法、デバイス及び/又はキットを提供する。前癌状態、すなわち、個体が高リスクの症状を示す状態においては、個体は、「後に癌に非常に罹患しやすい」カテゴリーに入る。
【0034】
詳細には、粘液又は体液サンプル中のマーカー糖質又は糖類は、糖タンパク質に存在する糖類のガラクトース部分のみの第1級ヒドロキシ基をアルデヒド基へと酸化するガラクトースオキシダーゼ又は同等の酸化剤を用いた粘液又は体液サンプル中の糖タンパク質の選択的酸化によって検出される。次いで、得られるアルデヒド基をシッフ試薬、例えばマゼンタ色を生じる塩基性フクシンで可視化することができる。
【0035】
ガラクトース部分のマーカー糖質又は糖類は、ガラクトースオキシダーゼによって室温で急速に、例えば約15分未満、例えば約5分~10分で、酵素の失活温度までの高温では更により急速にアルデヒド糖部分へと選択的に酸化される。この酵素を使用する場合に当該技術分野で既知の酵素の活性化に適した酵素と基質及びビヒクルとの比率を用いることができる。
【0036】
次いで、ガラクトースオキシダーゼの最初の除去又は不活性化を行うか否かを問わず、酸化されたサンプルを、このようにして生成したアルデヒド糖部分を可視化するか、又はその可視化を可能にする試薬、例えばフクシン、ローザニリン、マゼンタ又は他のシッフ塩基脱色色素で処理する。
【0037】
本発明の目的、特徴及び利点は、その一態様において、ヒトにおける前癌状態又は癌状態の存在を検出するための、迅速であり、偽陰性に関して信頼性が高く、商業的に実現可能な方法を提供することによって達成される。本発明は、粘液又は体液のサンプルを得ることと、サンプルをアッセイして、その中のマーカー糖質β-D-Gal-(1→3)-D-GalNAc、Fuc-α-1→2-Galβ-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAc、Fuc-α-1→2-Galβ-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAc-β-(1→3)-Gal-β-(1→4)-GlcNAc又はFuc-α-1→2-Gal-β-(1→4)-Fucα-1→3-GlcNAc-β-(1→3)-Gal-β-(1→4)-Fuc-α-1→3-GlcNAcの少なくとも1つの存在を検出することと、任意に、粘液又は体液中で検出されたマーカー糖質(複数の場合もある)の量に基づいて前癌又は癌の存在及び程度を診断することとを含む試験方法を用いる。
【0038】
貯蔵安定性シッフ試薬溶液
1.0gの塩基性フクシンを200.0mlの熱蒸留水に溶解し、沸点まで加熱する。50℃に冷却し、20.0mlの1N HClを添加し、更に冷却し、1.0gのメタ重硫酸ナトリウム(sodium metabisulfate)を添加する。溶液が淡黄色になるまで暗所で冷蔵する(約48時間)。次いで、5gの活性炭を添加し、十分に撹拌し、濾過によって炭を除去する。この透明な濾液がシッフ試薬であり、何カ月も、例えば少なくとも1年間にわたって貯蔵安定性である。さらに、これによって生じるマゼンタ色は、従来の方法で調製されたシッフ試薬によって得られる色よりも濃い。
【0039】
シッフ試薬が埋め込まれたガラクトースオキシダーゼ試験ストリップ
本開示は、シッフ試薬が予め埋め込まれた、サンプルとガラクトースオキシダーゼとの反応のための試験ストリップ又はメンブレンを提供する。試験ストリップ又はメンブレン中のシッフ試薬は、カプセル化されていてもよく、水分による膨潤又は細孔形成剤との接触によって活性化され得る。試験ストリップ又はメンブレン中のシッフ試薬の量は、ガラクトースオキシダーゼによる酸化後にサンプル中のマーカー糖質と反応するのに十分な量である限りにおいて限定されない。
【0040】
一態様においては、本開示の試験ストリップ又はメンブレンは、異なる粘液又は体液中のマーカー糖質の異なる量に対応するために、異なる流体取込み量を有するように設計され得る。例えば、直腸粘液を試験するためのストリップ又はメンブレンは、乳房の分泌物を試験するためのストリップ又はメンブレンと流体取込みの点で異なり得る。別の態様においては、試験ストリップ又はメンブレン中のガラクトースオキシダーゼの量を、異なる粘液又は体液中のマーカー糖質の濃度に基づいて変更することもできる。別の態様においては、試験ストリップ又はメンブレンは、乾燥培養培地を更に含有し、該試験ストリップ又はメンブレン上に水を添加すると、該乾燥培養培地は、ガラクトースオキシダーゼを活性化し得る。
【0041】
シッフ試薬が埋め込まれたガラクトースオキシダーゼ試験ストリップデバイス
本開示は、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、ガラクトースオキシダーゼ試薬溶液の入った容器とを備え、ガラクトースオキシダーゼ試薬溶液が最初は試験ストリップ又はメンブレンと接触していない、デバイスを提供する。サンプル及びガラクトースオキシダーゼ試薬溶液を、シッフ試薬の活性化前に試験ストリップに添加し、反応させる。
【0042】
一態様においては、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンは、乾燥培養培地を更に含有し、試験ストリップ又はメンブレン上にサンプルを添加すると、乾燥培養培地が活性化し得る。別の態様においては、試験ストリップ又はメンブレンの予め埋め込まれたシッフ試薬は、マイクロカプセル化されている。また別の態様においては、試験ストリップ又はメンブレンの予め埋め込まれたシッフ試薬は、数滴の水を試験ストリップ若しくはメンブレン上に添加するか、又は粘液若しくは体液を試験ストリップ若しくはメンブレン上に添加することによって活性化することができる。別の態様においては、試験ストリップの予め埋め込まれたシッフ試薬は、サンプルの添加の前、その後又はそれと同時に細孔形成剤をストリップに添加することによって活性化することができる。
【0043】
一態様においては、本開示は、癌状態又は前癌状態をスクリーニングするためのデバイスの使用に関する。例えば直腸、結腸、血液、リンパ節、胃、腎臓、胆嚢、前立腺、精巣、乳房、子宮頸部及び卵巣の癌状態又は前癌状態の粘液又は体液に存在するマーカー糖質を考えると(giving that)、癌状態又は前癌状態のタイプは限定されない。
【0044】
或る特定の実施形態においては、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンは、予め埋め込まれたガラクトースオキシダーゼを更に含有する。かかる実施形態においては、サンプルとガラクトースオキシダーゼとの反応がシッフ試薬との反応の前に起こるように、予め埋め込まれたガラクトースオキシダーゼが、シッフ試薬の活性化の前に活性化される。
【0045】
埋込み及びカプセル化
上で論考されるように、或る特定の実施形態においては、ガラクトースオキシダーゼを試験ストリップ又はメンブレンに予め埋め込む。幾つかの実施形態においては、シッフ試薬をメンブレン又は試験ストリップに直接埋込み、吸収、コーティング又は含浸させる。特定の実施形態においては、シッフ試薬をメンブレン又は試験ストリップに埋込み、吸収、コーティング又は含浸させる前にカプセル化する。
【0046】
シッフ試薬がカプセル化又はマイクロカプセル化された実施形態においては、カプセル化材料は、試薬の制御放出、持続放出又は即時放出をもたらすために1つ以上のポリマーで作製され得る。
【0047】
或る特定の実施形態においては、カプセル化材料は、Caruso (Phys. Chem. Chem. Phys., 2011,13, 4782)、Sukhishvili (Chem. Mater., 2006, 18 (2), 328)、米国特許出願公開第20150164805号、欧州特許第2213280号又はSchwendeman (J Control Release. 2014;196:60)の方法に従って調製することができる。カプセル化材料の作製に用いられる材料としては、乳化剤、融点の異なる材料、異なる親水性/親油性バランス(HLB)を有する材料、リン脂質、脂肪酸、植物ステロール、ソルビタンエステル、蜜蝋、カルナウバワックス、パラフィン、ステアレート、シェラック、セルロース誘導体、マルトデキストリン、デンプン、ガム、セルロース、ポリピロール、ポリカーボネート、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、シラン、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、例えばP123(PEO20PPO70PEO20)及びF127(PEO106PPO70-PEO106)と呼ばれるポリ(エチレンオキシド)-ブロック-ポリ(プロピレンオキシド)-ブロック-ポリ(エチレンオキシド)、アルギネート、キトサン、キサンタンガム、多糖、多糖ヒドロゲル、ポリ(リジン)、ポリ(アクリル酸)、アガロース、PEG、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート-メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸-co-アクリルアミド)、ポリ(アリルアミン塩酸塩)、ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム塩)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ポリ(エチレンイミン)、N-ヒドロキシスクシンイミド-PEG、マレイミド-PEGコンジュゲートリン脂質、パラフィン、シクロデキストリン、カルボキシメチル化多糖、ポリカプロラクトン、フミン質、Span 60、コレステロール、N-トリメチルキトサンクロリド、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)、ポリ(N-イソプロピルメタクリルアミド)、ポリ(N-n-プロピルアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、プラスチック(plastic)、金、分子量カットオフフィルター、有機/無機ハイブリッド材料、金属酸化物、プラスチック(plastics)、SBA-15(PD 50Å~89Å)及びMCM-41を含むシリカ、セラミックス、クレイ、スメクチッククレイ及びニオソームが挙げられる(が、これらに限定されない)。
【0048】
或る特定の実施形態においては、カプセル化材料は、標準的な合成反応を用いてメンブレン又は試験ストリップと後に反応することが可能な官能基を有するか、又はそれを提示するように後に修飾される。例えば、或る特定の実施形態においては、カプセル化材料は、メンブレン又は試験ストリップ上の活性基と反応し、試薬の固定化をもたらすことができるアミノアルキル官能基、エステル官能基、アミド官能基又はカルバメート官能基を有し得る。多数の標準的なカップリング法が、March (Advanced Organic Chemistry, 3rd Edition, Wiley, New York, 1985)、Odian (The Principles of Polymerization, 2nd Edition, Wiley, New York, 1981)及びBioconjugate Techniques (Hermanson, G. T., Bioconjugate Techniques; Academic Press: San Diego, 1996)を含むが、これらに限定されない文献上で知られている。
【0049】
カプセル化の他の方法としては、米国特許出願公開第20160075976号又は米国特許第6258870号(各々が引用することにより本明細書の一部をなす)に開示されている方法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
ポリマー材料
カプセル化材料として組み込むのに適した熱可塑性ポリマーとしては、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ酸無水物、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステルアミド、ポリオルトエステル、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)ポリマー、ポリマレイン酸無水物、ポリ(メチルビニル)エーテル、ポリ(アミノ酸)、キチン、キトサン、及び上記の材料のコポリマー、ターポリマー、又は組合せ若しくは混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
本発明の組成物及び方法における使用に適した生分解性ポリマー及びオリゴマーの例としては、ポリ(ラクチド);ポリ(グリコリド);ポリ(ラクチド-co-グリコリド);ポリ(乳酸);ポリ(グリコール酸);及びポリ(乳酸-co-グリコール酸);ポリ(カプロラクトン);ポリ(リンゴ酸);ポリアミド;ポリ酸無水物;ポリアミノ酸;ポリオルトエステル;ポリエーテルエステル;ポリシアノアクリレート;ポリホスファジン;ポリホスホエステル;ポリエステルアミド;ポリジオキサノン;ポリアセタール;ポリケタール;ポリカーボネート;ポリオルトカーボネート;分解性ポリウレタン;ポリヒドロキシブチレート;ポリヒドロキシバレレート;ポリアルキレンオキサレート;ポリアルキレンスクシネート;キチン;キトサン;酸化セルロース;及び上記の材料のいずれかのコポリマー、ターポリマー、ブレンド、組合せ又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書において使用される場合、「疎水性」は、水に実質的に可溶でないポリマーを指す。本明細書において使用される場合、「親水性」は、水溶性であり得るポリマー又は吸水に対して親和性を有するポリマーを指すが、通例、コポリマーとして疎水性成分に共有結合している場合にはそうではなく、水をデバイスに引き込むポリマーを指す。
【0053】
本明細書における使用に適した親水性ポリマーは、当該技術分野で既知の様々な市販、天然又は合成の供給源から得ることができる。好適な親水性ポリマーとしては、アルギネート等のアニオン性多糖類を含むポリアニオン;アガロース;ヘパリン;ポリアクリル酸塩;ポリメタクリル酸塩;エチレン無水マレイン酸コポリマー(ハーフエステル);カルボキシメチルアミロース;カルボキシメチルセルロース;カルボキシメチルデキストラン;カルボキシメチルスターチ;カルボキシメチルキチン/キトサン;カルボキシセルロース;2,3-ジカルボキシセルロース;トリカルボキシセルロース;カルボキシアラビアガム;カルボキシカラギーナン;カルボキシペクチン;カルボキシトラガカントガム;カルボキシキサンタンガム;カルボキシグアーガム;カルボキシスターチ;ペントサンポリスルフェート;カードラン;イノシトール六硫酸塩;β-シクロデキストリンスルフェート;ヒアルロン酸;コンドロイチン-6-スルフェート;デルマタンスルフェート;デキストランスルフェート;ヘパリンスルフェート;カラギーナン;ポリガラクツロネート;ポリホスフェート;ポリアルデヒド-炭酸;ポリ-1-ヒドロキシ-1-スルホネート-プロペン-2;コポリスチレンマレイン酸;メソグリカン;スルホプロピル化ポリビニルアルコール;セルローススルフェート;プロタミンスルフェート;ホスホグアーガム;ポリグルタミン酸;ポリアスパラギン酸;ポリアミノ酸;及びそれらの任意の誘導体又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。当業者には、同様に本発明の範囲内にある他の親水性ポリマーが認識される。
【0054】
本明細書における使用に適した様々な水溶性ポリマーとしては、ポリ(アルキレングリコール)、ポリエチレングリコール(「PEG」);プロピレングリコール;エチレングリコール/プロピレングリコールコポリマー;カルボキシルメチルセルロース;デキストラン;ポリビニルアルコール(「PVOH」);ポリビニルピロリドン;ポリ(アルキレンアミン);ポリ(アルキレンオキシド);ポリ-1,3-ジオキソラン;ポリ-1,3,6-トリオキサン;エチレン/無水マレイン酸コポリマー;ポリアミノ酸;ポリ(n-ビニルピロリドン);ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー;ポリオキシエチル化ポリオール;ポリビニルアルコールスクシネート;グリセリン;エチレンオキシド;プロピレンオキシド;ポロキサマー;アルコキシル化コポリマー;水溶性ポリアニオン;及びそれらの任意の誘導体又は組合せが挙げられるが、これらに限定されない。加えて、水溶性ポリマーは、任意の好適な分子量であってもよく、分岐していても又は分岐していなくてもよい。
【0055】
カプセル化材料の所望の軟度及び可撓性、試薬放出の速度及び範囲、分解速度等に応じて、所望の結果が得られるようにポリマーの量及び種類を変更することができる。
【0056】
カプセル化シェル及び含浸層
或る特定の実施形態においては、ポリマーは、或る特定の条件下で経時的に多孔質となり、それにより放出を制御し得るカプセル化シェルを形成する。細孔は、ポリマーシェルの膨潤又はシェルの溶解若しくは分解によって形成され得る。
【0057】
各カプセル化シェル/球中のポリマーの質量、体積及び厚さも、組み込まれた試薬の放出速度を調整するために変更することができる。
【0058】
シェル/球という用語の使用は、本明細書において使用される場合、カプセル化材料の形状に関して限定するものではない。材料の形状は概して、球状であるが、円錐形のシェル、管状のシェル、長円形のシェル、円柱形のロッド等を作製し、用いることが可能である。或る特定の実施形態においては、材料は不定形又は不整形であってもよい。或る特定の他の実施形態においては、カプセル化材料を足場材料又はクロマトグラフィー材料の表面にコーティング又は接着してもよい。かかる実施形態においては、カプセル化材料は、それが接着する材料の形状をとることがある。クロマトグラフィー材料又は足場材料が多孔質である、或る特定の実施形態においては、カプセル化材料は、下にある材料の細孔に浸透しても又は浸透しなくてもよい。
【0059】
或る特定の他の実施形態においては、ポリマーに試薬を含浸させ、メンブレン又は試験ストリップの表面にコーティングすることができる。かかる実施形態においては、試薬がポリマーマトリクスに埋込み、カプセル化又は含浸されるように、試薬をポリマーとブレンド又は混合する。かかる実施形態においては、カプセル化材料は、目立たないカプセル化シェルを形成しないが、代わりに、試薬を含有するカプセル化材料がメンブレン又は試験ストリップ上に層としてコーティングされ、任意にそれと共有結合又はイオン結合し得る。
【0060】
或る特定の実施形態においては、カプセル化材料は、ワックス、ヒドロゲル、シリコーンゴム又はトレハロースガラスであり得る。ヒドロゲル、シリコーンゴム及びトレハロースガラスの使用がポリマー材料への試薬の含浸に特に適しているが、任意の好適なポリマーを、かかる実施形態に使用することができる。
【0061】
更に他の実施形態においては、試薬を多孔質メンブレン又は試験ストリップ材料の細孔に装填することができる。かかる実施形態においては、試薬を多孔質材料の細孔に装填した後、本明細書に記載されるような1つ以上のポリマーカプセル化材料で多孔質材料をコーティングすることができる。
【0062】
放出の誘導
カプセル化されたシッフ試薬は、当業者に既知であり得る様々な手段によってカプセル化材料から放出させることができる。本発明の或る特定の実施形態においては、かかる放出は、カプセル化材料と細孔形成剤とを接触させることによって誘導することができる。本発明の他の実施形態においては、放出は、物理的変化又は化学的変化によって誘導することができる。例えば、限定されるものではないが、温度、pH、イオン電荷、対イオン電荷又は対イオン原子の変化によって放出を誘導することができる。同様に、カプセル化材料と、有機溶媒、水性溶媒、脂肪族溶媒、芳香族溶媒、酸素化溶媒若しくはハロゲン化溶媒、又は水を含むが、これらに限定されない溶媒とを接触させることによって放出を誘導することができる。
【0063】
概して、試薬の放出速度は、用いられるメンブレン又は試験ストリップに基づき、当業者によって決定される。或る特定の実施形態においては、所望の放出速度は即時であるが、他の実施形態においては、試薬が一定期間にわたって放出されるように放出速度が制御される。或る特定の実施形態においては、サンプルの約100%が導入されるまでに試薬の約100%が放出されるように、試験/ワークフローの過程で試薬が放出される。他の実施形態においては、サンプルの約90%が導入されるまで、サンプルの約80%が導入されるまで、サンプルの約75%が導入されるまで、サンプルの約50%が導入されるまで、又はサンプルの約25%が導入されるまでに試薬の約100%が放出されるように、試験/ワークフローの過程で試薬が放出される。
【0064】
細孔形成剤
特定の試験/ワークフロープロトコルのために試薬の所望の放出速度を更に制御する際に、他の添加剤を有利に使用することができる。例えば、熱可塑性ポリマー液体組成物が水に対して過度に不浸透性である場合、細孔形成剤を添加して、マトリクス中に付加的な細孔を生成することができる。任意の適合する水溶性材料を細孔形成剤として使用することができる。これらの作用物質は、液体組成物に可溶であるか、又は単にその中に分散しているかのいずれかであり得る。これらの作用物質は、凝固ポリマーマトリクス及び形成されるポリマー系の両方から溶解、拡散又は分散させることができ、その結果、マトリクス及び系内に細孔及び微孔チャネルが生成する。組成物中の細孔形成剤の量(及び適切な場合には、かかる細孔形成剤の分散粒子のサイズ)は、ポリマー系内の細孔のサイズ及び数に直接影響を与える。
【0065】
他の要因もポリマー系内に形成される細孔のサイズ及び/又は直径に影響を及ぼす可能性がある。例えば、有機溶媒の量及びポリマー系が固化する速度は、いずれもポリマー系の多孔性に影響を及ぼし得る。本発明によると、分解されたコア及びスキンを有しない、概ね微孔性のマトリクスを作製することができるが、通例、付加的な細孔形成剤を用いなければ、液体組成物から形成されるポリマー系は、表面スキン及び内部コアから構成される。表面スキンは通例、内部コアと比較すると、あまり多孔性でなく、更には比較的非多孔性である。内部コアは、直径約10μm~1000μmの細孔を有し得る。付加的な細孔形成剤を用いることで、コア及びスキンの細孔サイズが実質的に均一となり、どちらも10μm~1000μmの範囲の細孔を有する。
【0066】
組成物中の熱可塑性ポリマーに対する細孔形成剤の濃度は、所望の細孔形成の程度によって異なる。概して、この濃度は、ポリマー1グラム当たり約0.01グラム~1グラムの細孔形成剤の範囲である。作用物質が液体組成物に可溶である場合、液体組成物への作用物質の混合又は分散及び熱可塑性ポリマーが凝固する場合の凝集が、作用物質がポリマーマトリクスから溶解する際に得られる細孔のサイズを決定する。
【0067】
細孔形成剤には、水及び体液に実質的に混和性であり、形成する及び形成されたマトリクスから水性媒体若しくは体液、又は急速に水溶性物質へと分解される水不混和性物質に消散する任意の薬学的に許容可能な有機又は無機物質が含まれる。細孔形成剤は、本発明のポリマー液体組成物に可溶であっても又は不溶であってもよい。本発明の液体組成物において、細孔形成剤が有機溶媒に混和性又は分散性であり、均一な混合物を形成することが更に好ましい。好適な細孔形成剤としては、例えば、スクロース及びデキストロース等の糖、塩化ナトリウム及び炭酸ナトリウム等の塩、並びにヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール及びポリビニルピロリドン等のポリマーが挙げられる。ポリマー系に組み込まれる細孔形成剤の分子量及び割合を変化させることで、細孔のサイズ及び範囲を幅広く変更することができる。
【0068】
他の賦形剤材料、例えばスクロース、デキストロース、塩化ナトリウム、ソルビトール、ラクトース、ポリエチレングリコール、マンニトール、フルクトース、ポリビニルピロリドン又はそれらの適切な組合せのような材料をデバイスに添加して、多孔性を変えることができる。さらに、活性剤を油(例えば、ゴマ油、トウモロコシ油、植物油)、又はリン脂質(例えば、レシチン)とのそれらの混合物、又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(例えば、Miglyol 812)に分散させ、油性懸濁液を得ることができる。
【0069】
試験方法
本開示は、ガラクトースオキシダーゼ及び予め埋め込まれたシッフ試薬とともに試験ストリップ又はメンブレンを用いて、被験体におけるマーカー糖質の発現を迅速に検出する方法を提供する。
【0070】
本開示はまた、ガラクトースオキシダーゼ及び予め埋め込まれたシッフ試薬とともに試験ストリップ又はメンブレンを用いて、ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験する方法を提供する。
【0071】
一態様においては、本方法は、粘液又は体液とガラクトースオキシダーゼとを反応させる工程と、酸化されたサンプルを、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンに接触させる工程と、試験ストリップ又はメンブレン中のシッフ試薬溶液を活性化して、サンプルと接触させる工程とを含む。
【0072】
幾つかの実施形態においては、本方法は、試験ストリップ又はメンブレンに粘液又は体液を適用する前に試験ストリップ又はメンブレン上に水を適用する工程、シッフ試薬を活性化する前に粘液又は体液を洗浄によって除去する工程、シッフ試薬をサンプルと接触させた後に試験ストリップ又はメンブレンを水道水で洗浄する工程、試験ストリップ又はメンブレンを乾燥させる工程、及び/又は試験ストリップ又はメンブレンの色を評価する工程から選択される1つ以上の工程を含む。
【0073】
一態様においては、粘液又は体液中のマーカー糖質をガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化する時間は、特に限定されない。例えば、酸化時間は、3分間~30分間、5分間~20分間、7分間~15分間又は8分間~12分間であり得る。別の態様においては、シッフ試薬溶液を試験ストリップ又はメンブレンと接触させる時間は、特に限定されない。例えば、接触時間は、0.2分間~10分間、0.5分間~5分間、0.8分間~3分間又は1分間~2分間であり得る。
【0074】
試験キット
本開示は、ガラクトースオキシダーゼ及び予め埋め込まれたシッフ試薬とともに試験ストリップ又はメンブレンを用いて、被験体におけるマーカー糖質の発現を迅速に検出するスクリーニングキットを提供する。
【0075】
本開示は、ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するスクリーニングキットであって、ガラクトースオキシダーゼ及び予め埋め込まれたシッフ試薬とともに試験ストリップ又はメンブレンを含む、スクリーニングキットを更に提供する。
【0076】
一態様においては、試験ストリップ又はメンブレンの予め埋め込まれたシッフ試薬は、マイクロカプセル化されている。
【0077】
一態様においては、本開示は、癌状態又は前癌状態をスクリーニングするための試験キットの使用に関する。癌状態又は前癌状態、例えば直腸、結腸、血液、リンパ節、胃、腎臓、胆嚢、前立腺、精巣、乳房、子宮頸部及び卵巣の癌状態又は前癌状態の粘液又は体液に存在するマーカー糖質を考えると、癌状態又は前癌状態のタイプは限定されない。
[項1]
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するスクリーニングデバイスであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を備え、ガラクトースオキシダーゼによる酸化後に、前記シッフ試薬が活性化されてサンプルと接触し得る、スクリーニングデバイス。
[項2]
ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するスクリーニングデバイスであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を備え、ガラクトースオキシダーゼによる酸化後に、前記シッフ試薬が活性化されてサンプルと接触し得る、スクリーニングデバイス。
[項3]
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
[項4]
前記試験ストリップ又はメンブレンが乾燥培養培地を更に含有し、該試験ストリップ又はメンブレン上にサンプルを添加すると、該乾燥培養培地がガラクトースオキシダーゼを活性化し得る、項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
[項5]
前記予め埋め込まれたシッフ試薬と細孔形成剤とを接触させることによってシッフ試薬溶液が活性化される、項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
[項6]
前記ガラクトースオキシダーゼ溶液が貯蔵安定性ガラクトースオキシダーゼ溶液である、項1又は2に記載のスクリーニングデバイス。
[項7]
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するスクリーニング方法であって、
粘液又は体液とガラクトースオキシダーゼ溶液とを混合すること、
前記粘液又は体液中のマーカー糖質をガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化し、酸化されたサンプルを形成すること、
前記酸化されたサンプルを、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンに適用すること、
前記試験ストリップ又はメンブレン中の前記シッフ試薬を活性化して、前記酸化されたサンプルと接触させること、
を含む、スクリーニング方法。
[項8]
ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するスクリーニング方法であって、
粘液又は体液とガラクトースオキシダーゼ溶液とを混合すること、
前記粘液又は体液中のマーカー糖質をガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化し、酸化されたサンプルを形成すること、
前記酸化されたサンプルを、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンに適用すること、
前記試験ストリップ又はメンブレン中の前記シッフ試薬を活性化して、前記酸化されたサンプルと接触させること、
を含む、スクリーニング方法。
[項9]
前記試験ストリップ又はメンブレンに粘液又は体液を適用する前に、該試験ストリップ又はメンブレン上に水を適用することを更に含む、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項10]
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項11]
前記試験ストリップ又はメンブレンが乾燥培養培地を更に含有し、該試験ストリップ又はメンブレン上に水を添加すると、該乾燥培養培地が前記ガラクトースオキシダーゼを活性化し得る、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項12]
前記粘液又は体液中のマーカー糖質を、5分間~20分間にわたってガラクトースオキシダーゼと反応させることによって酸化する、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項13]
前記予め埋め込まれたシッフ試薬を活性化する前に、前記粘液又は体液を洗浄によって除去することを更に含む、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項14]
前記シッフ試薬を前記サンプルと0.5分間~5分間にわたって接触させることを更に含む、項7又は8に記載のスクリーニング方法。
[項15]
前記シッフ試薬を前記サンプルと0.5分間~5分間にわたって接触させた後に、前記試験ストリップ又はメンブレンを水道水で洗浄することと、該試験ストリップ又はメンブレンを乾燥させることと、該試験ストリップ又はメンブレンの色を評価することとを更に含む、項16に記載のスクリーニング方法。
[項16]
ヒトの粘膜糖質の発現を迅速に試験するスクリーニングキットであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を含む、スクリーニングキット。
[項17]
ヒトの癌状態又は前癌状態を迅速に試験するスクリーニングキットであって、
シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップ又はメンブレンと、
ガラクトースオキシダーゼ溶液の入った容器と、
を含む、スクリーニングキット。
[項18]
前記シッフ試薬がマイクロカプセル化されている、項16又は17に記載のスクリーニングキット。
[項19]
癌状態又は前癌状態をスクリーニングするための項2に記載のスクリーニングデバイスの使用。
[項20]
癌状態又は前癌状態をスクリーニングするための項17に記載のスクリーニングキットの使用。
[項21]
前記癌状態又は前癌状態が直腸、結腸、血液、リンパ節、胃、腎臓、胆嚢、前立腺、精巣、乳房、子宮頸部又は卵巣の癌状態又は前癌状態である、項19に記載のスクリーニングデバイスの使用。
【実施例
【0078】
実施例1-粘膜擦過サンプルを被験体から採取する。擦過サンプルを蒸留水又は逆浸透水と混合し、濃度100U/mLのガラクトースオキシダーゼの溶液に添加する。サンプルをガラクトースオキシダーゼと10分間接触したままにし、その後、シッフ試薬が予め埋め込まれた試験ストリップにサンプルを添加する。試験ストリップを更なる蒸留水ですすいだ後、シッフ試薬を活性化し、サンプルと1分間接触したままにし、その後、試験ストリップを水ですすぎ、外気中又は炉内で乾燥させる。図2に試験サンプル処理を図示する。色の変化(白色又は無色からマゼンタ色)は、糖質マーカーの存在を示す。
【0079】
本明細書に引用される他の文献は、かかる開示が本開示と矛盾しない限りにおいて、また、かかる組込みが許容される全ての管轄区域について、引用することにより完全に本明細書の一部をなす。
【0080】
数値的下限及び数値的上限が本明細書に挙げられる場合、任意の下限から任意の上限までの範囲が企図される。本開示の例示的な実施形態を詳細に記載したが、様々な他の修正が当業者には明らかであり、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく容易に加えられ得ることが理解される。したがって、本明細書に添付される特許請求の範囲が本明細書に記載される例及び説明に限定されることは意図されず、むしろ、特許請求の範囲が、本開示が関連する技術分野の当業者によってその均等物として扱われる全ての特徴を含む、本開示に存在する特許性のある新規性を有する全ての特徴を包含すると解釈されることが意図される。
【0081】
多数の実施形態及び具体例を参照して本開示を上に説明した。上記の詳細な説明を考慮して、多くの変更が当業者には想到される。このように明白な変更は全て、添付の特許請求の範囲の完全な対象範囲内に含まれる。
図1
図2