(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】半導体チップ及び半導体チップの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20250820BHJP
【FI】
H01L21/92 602H
H01L21/92 602D
H01L21/92 604B
(21)【出願番号】P 2023104881
(22)【出願日】2023-06-27
【審査請求日】2025-02-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【氏名又は名称】八島 耕司
(72)【発明者】
【氏名】脇坂 伸治
(72)【発明者】
【氏名】福島 正人
(72)【発明者】
【氏名】古屋 愛子
【審査官】豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-261111(JP,A)
【文献】特開平09-275108(JP,A)
【文献】特開平05-283412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0084381(US,A1)
【文献】特開昭64-057649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の第1の主面上に設けられた電極パッドと、
前記基材の前記第1の主面上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための開口部が設けられたパッシベーション膜と、
前記電極パッドのうち前記開口部によって露出された部分と、前記開口部の内周面と、前記パッシベーション膜の上面における前記開口部の周辺部と、の上に設けられた台座部、及び、
前記台座部の上面内に設けられた柱部であって、該柱部の外形が、前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部の外形より小さく形成された柱部、
を有する柱状電極と、
前記柱部の上部に設けられたはんだ部と、
を備え、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料から形成されており、
前記柱部は前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有し、
前記パッシベーション膜は、前記開口部の周辺部に第1突起部を有し、
前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部は、前記
第1突起部の外側まで形成され、前記柱部は、前記電極パッドの内側に形成されている、半導体チップ。
【請求項2】
前記電極パッドのうち前記開口部によって露出された部分と、前記開口部の内周面と、前記パッシベーション膜の上面における前記開口部の周辺部と、を覆って設けられたシード層を更に備え、
前記台座部は前記シード層上に設けられており、前記シード層と前記台座部とは前記第1の主面を平面視した場合に同一形状に形成される、
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項3】
前記台座部は、前記第1突起部の上に位置する第2突起部を有する、
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項4】
前記柱部の高さは10μm以上であり、
前記台座部の厚さは5μm以下である、
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項5】
前記柱部の径は5~30μmの範囲にある、
請求項1に記載の半導体チップ。
【請求項6】
基材の第1の主面上に設けられた電極パッドと、
前記基材の前記第1の主面上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための第1の開口部が設けられたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜及び前記電極パッド上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための第2の開口部が設けられた絶縁膜と、
前記電極パッドのうち前記第2の開口部によって露出された部分と、前記絶縁膜の前記第2の開口部の内周面と、前記絶縁膜の上面における前記第2の開口部の周辺部と、の上に設けられた台座部、及び、
前記台座部の上面内に設けられた柱部であって、該柱部の外形が、前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部の外形より小さく形成された柱部、
を有する柱状電極と、
前記柱部の上部に設けられたはんだ部と、
を備え、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料から形成されており、
前記柱部は前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有し、
前記パッシベーション膜は、前記第1の開口部の周辺部に第1突起部を有し、
前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部は、前記
第1突起部の外側まで形成され、前記柱部は、前記電極パッドの内側に形成されている、半導体チップ。
【請求項7】
第1の主面上に電極パッドが設けられ、且つ前記第1の主面上に、前記電極パッドを部分的に露出するための開口部が形成されたパッシベーション膜
であって、前記開口部の周辺部に第1突起部を有する前記パッシベーション膜が設けられた基材を準備する工程と、
前記電極パッドのうち前記開口部によって露出された部分と、前記パッシベーション膜との上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上に、めっきにより台座部を形成する工程と、
前記台座部の上面内に、めっきにより
前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有する柱部を形成する工程と、
前記柱部の上部にはんだ層を形成する工程と、
前記シード層の前記台座部に被覆されていない部分を、エッチングにより除去する工程と、
を有し、
前記台座部を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記
第1突起部の外側まで形成し、
前記柱部の外形を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記電極パッドより内側に形成し、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料を用いて形成する、半導体チップの製造方法。
【請求項8】
前記柱部を、前記電極パッドが前記開口部によって露出された領域の上にのみ位置するように形成する、
請求項7に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項9】
前記柱部の高さを10μm以上に形成し、
前記台座部の厚さを、5μm以下に形成する、
請求項7に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項10】
前記柱部を、前記柱部の径が5~30μmの範囲にあるように形成する、
請求項7に記載の半導体チップの製造方法。
【請求項11】
第1の主面上に電極パッドが設けられ、且つ前記第1の主面上に、前記電極パッドを部分的に露出するための第1の開口部が設けられたパッシベーション膜
であって、前記第1の開口部の周辺部に第1突起部を有する前記パッシベーション膜が設けられた基材を準備する工程と、
前記パッシベーション膜及び前記電極パッド上に、前記電極パッドを部分的に露出するための第2の開口部が設けられた絶縁膜を形成する工程と、
前記電極パッドのうち前記第2の開口部によって露出された部分と、前記絶縁膜との上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上に、めっきにより台座部を形成する工程と、
前記台座部上に、めっきにより
前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有する柱部を形成する工程と、
前記柱部の上に、はんだ層を形成する工程と、
前記シード層の前記台座部に被覆されていない部分を、エッチングにより除去する工程と、
を有し、
前記台座部を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記
第1突起部の外側まで形成し、
前記柱部の外形を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記電極パッドより内側に形成し、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料を用いて形成する、半導体チップの製造方法。
【請求項12】
前記台座部は、前記第1の主面を平面視した場合の形状が方形である、
請求項1又は6に記載の半導体チップ。
【請求項13】
前記台座部を形成する工程では、前記台座部を、前記第1の主面を平面視した場合に、方形に形成する、
請求項7又は11に記載の半導体チップの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体チップ及び半導体チップの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体チップを実装する方法としてフリップチップ実装が知られている。フリップチップ実装では、半導体チップ上の電極パッドと、配線基板上のパッド(FCパッド)とは、柱状電極、はんだ等によって接合されている。
【0003】
咋今、半導体チップの高性能化、高集積化に伴い、電極パッドの配置ピッチの狭小化(ファインピッチ化)が進んでいる。パッドピッチが狭くなるにつれ、半導体チップに設けられる柱状電極を細く形成する必要が生ずる。また、柱状電極が細くなるに従い、柱状電極と電極パッドとの接合面積が減少し、製造工程中、実装基板の搭載時、基板実装後等に柱状電極の剥離、傾き等による不良が発生する可能性がある。
【0004】
そこで、特許文献1では、電極パッドやバンプの密着性を高めるための構成が開示されている。特許文献1では、半導体チップ上に、電極パッドと保護膜とが、配置されており、保護膜には電極パッドを露出するための開口が設けられる。また、保護膜上には1つの金属膜と、別の金属層とが積層され、別の金属層の上に柱状電極が形成される。また、柱状電極の上にはバンプが形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、電極パッドの配置ピッチがより狭くなり、柱状電極をさらに細く形成する必要が生じた場合、特許文献1の構成では、柱状電極の径は、電極パッドを露出するための保護膜の開口よりも小さく形成することができないという問題がある。
【0007】
また、特許文献1の構成のように、導電膜を電解メッキのシード層として柱状電極を電解メッキにより形成する場合、柱状電極形成後、導電膜をエッチングにより除去する必要がある。そのエッチングの腐食作用により導電膜は逆円錐状に細くなり、柱状電極より導電膜の底面積は小さくなる。柱状電極の根元部分である導電膜の接合面積が減少することで、柱状電極の接合強度が低下する可能性がある。
【0008】
この問題は、特に電極パッドのピッチが45μm~85μmであるような高集積半導体チップにおいて顕著に問題となる。
【0009】
そこで、半導体チップの高性能化、高集積化による、パッド配置ピッチのファインピッチ化に伴い、柱状電極を細く形成する必要が生じた場合に、柱状電極の接合面積の減少による密着強度の低下を防ぎ、不良発生等の問題を抑制することが求められている。
【0010】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、柱状電極が良好な密着強度を有する半導体チップ及び半導体チップの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の態様に係る半導体チップは、
基材の第1の主面上に設けられた電極パッドと、
前記基材の前記第1の主面上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための開口部が設けられたパッシベーション膜と、
前記電極パッドのうち前記開口部によって露出された部分と、前記開口部の内周面と、前記パッシベーション膜の上面における前記開口部の周辺部と、の上に設けられた台座部、及び、
前記台座部の上面内に設けられた柱部であって、該柱部の外形が、前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部の外形より小さく形成された柱部、
を有する柱状電極と、
前記柱部の上部に設けられたはんだ部と、
を備え、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料から形成されており、
前記柱部は前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有し、
前記パッシベーション膜は、前記開口部の周辺部に第1突起部を有し、
前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部は、前記第1突起部の外側まで形成され、前記柱部は、前記電極パッドの内側に形成されている。
【0012】
本開示の第2の態様に係る半導体チップは、
基材の第1の主面上に設けられた電極パッドと、
前記基材の前記第1の主面上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための第1の開口部が設けられたパッシベーション膜と、
前記パッシベーション膜及び前記電極パッド上に設けられ、前記電極パッドを部分的に露出するための第2の開口部が設けられた絶縁膜と、
前記電極パッドのうち前記第2の開口部によって露出された部分と、前記絶縁膜の前記第2の開口部の内周面と、前記絶縁膜の上面における前記第2の開口部の周辺部と、の上に設けられた台座部、及び、
前記台座部の上面内に設けられた柱部であって、該柱部の外形が、前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部の外形より小さく形成された柱部、
を有する柱状電極と、
前記柱部の上部に設けられたはんだ部と、
を備え、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料から形成されており、
前記柱部は前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有し、
前記パッシベーション膜は、前記第1の開口部の周辺部に第1突起部を有し、
前記第1の主面を平面視した場合に、前記台座部は、前記第1突起部の外側まで形成され、前記柱部は、前記電極パッドの内側に形成されている。
【0013】
本開示の第3の態様に係る半導体チップの製造方法は、
第1の主面上に電極パッドが設けられ、且つ前記第1の主面上に、前記電極パッドを部分的に露出するための開口部が形成されたパッシベーション膜であって、前記開口部の周辺部に第1突起部を有する前記パッシベーション膜が設けられた基材を準備する工程と、
前記電極パッドのうち前記開口部によって露出された部分と、前記パッシベーション膜との上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上に、めっきにより台座部を形成する工程と、
前記台座部の上面内に、めっきにより前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有する柱部を形成する工程と、
前記柱部の上に、はんだ部を形成する工程と、
前記シード層の前記台座部に被覆されていない部分を、エッチングにより除去する工程と、
を有し、
前記台座部を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記第1突起部の外側まで形成し、
前記柱部の外形を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記電極パッドより内側に形成し、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料を用いて形成する。
【0014】
本開示の第4の態様に係る半導体チップの製造方法は、
第1の主面上に電極パッドが設けられ、且つ前記第1の主面上に、前記電極パッドを部分的に露出するための第1の開口部が設けられたパッシベーション膜であって、前記第1の開口部の周辺部に第1突起部を有する前記パッシベーション膜が設けられた基材を準備する工程と、
前記パッシベーション膜及び前記電極パッド上に、前記電極パッドを部分的に露出するための第2の開口部が設けられた絶縁膜を形成する工程と、
前記電極パッドのうち前記第2の開口部によって露出された部分と、前記絶縁膜との上にシード層を形成する工程と、
前記シード層上に、めっきにより台座部を形成する工程と、
前記台座部上に、めっきにより前記台座部の厚さの2倍以上の高さを有する柱部を形成する工程と、
前記柱部の上に、はんだ部を形成する工程と、
前記シード層の前記台座部に被覆されていない部分を、エッチングにより除去する工程と、
を有し、
前記台座部を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記第1突起部の外側まで形成し、
前記柱部の外形を、前記第1の主面を平面視した場合に、前記電極パッドより内側に形成し、
前記台座部と前記柱部とは同じ材料を用いて形成する。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、柱状電極が良好な密着強度を有する半導体チップ及び半導体チップの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施形態1に係る半導体チップの一部を模式的に示す上面図である。
【
図3】(a)~(c)は実施形態1に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図4】(a)及び(b)は実施形態1に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図5】(a)及び(b)は実施形態1に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図6】(a)及び(b)は実施形態1に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図7】実施形態2に係る半導体チップの一部を模式的に示す上面図である。
【
図8】
図7におけるVIII-VIII線断面図である。
【
図9】(a)~(c)は実施形態2に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図10】(a)及び(b)は実施形態2に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図11】(a)及び(b)は実施形態2に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図12】(a)及び(b)は実施形態2に係る半導体チップの製造方法を模式的に示す図である。
【
図13】(a)は従来の半導体チップの構造を説明する図であり、(b)は電極パッドとピラーとの接合部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本実施形態に係る半導体チップ及び半導体チップの製造方法を説明する。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1に係る半導体チップ10を
図1及び
図2に示す。半導体チップ10は、
図1及び
図2に示すように、基材11、電極パッド12、パッシベーション膜13、シード層14、柱状電極20、及びはんだ17、を備える。また、柱状電極20は、台座部21と、台座部21の上に設けられた柱部22とを備える。
【0019】
基材11の内部には図示しない回路等が形成される。
【0020】
電極パッド12は、基材11の第1の主面(
図2に示す上面)上に設けられる。電極パッド12は、45μm~85μmのピッチで配置され、例えば、50μmのピッチで配置される。
【0021】
パッシベーション膜13は、基材11の第1の主面上に設けられる。また、パッシベーション膜13には、電極パッド12を部分的に露出するための第1の開口部13aが設けられる。第1の開口部13aは、例えば正方形の平面形状を有する。一例として、第1の開口部13aは、一辺がそれぞれ35μmの正方形である。
【0022】
シード層14は、例えば、Ti又はWから形成され、後述するように柱状電極20を電解メッキによって形成する際に使用される。シード層14は、0.5μm~1μmの厚さである。なお、シード層14は、1層構造であってもよく、Ti又はWからなる層の上に、Cuからなる層を備える2層構造であってもよい。また、シード層14は、
図2に示すように、第1の開口部13aより一回り大きく形成されている。具体的には、シード層14は、
図2に示すように、電極パッド12のうちパッシベーション膜13の第1の開口部13aによって露出された部分と、第1の開口部13aの内周面と、パッシベーション膜13の上面における第1の開口部13aの周辺部と、を覆うように設けられる。
【0023】
柱状電極20は、台座部21と、台座部21の上に設けられた柱部22とを備える。台座部21は、シード層14上に設けられており、電極パッド12のうち第1の開口部13aによって露出された部分と、第1の開口部13aの内周面と、パッシベーション膜13の上面における第1の開口部13aの周辺部と、の上に設けられる。また、台座部21は、導体材料、例えば銅から形成される。詳細に後述するように、シード層14は、台座部21をマスクとしてエッチングすることで形成される。このため、台座部21の外形はシード層14の外形と同一、つまり
図1及び
図2に示すように、基材11の第1の主面を平面視した場合に、台座部21の輪郭と、シード層14の輪郭とは同一の形状である。一例として、台座部21は、
図1に示すように、一辺が45μmの正方形に形成される。シード層14の外形も台座部21の外形と同じであるため、一辺が45μmの正方形に形成される。また、台座部21の厚さは、ファインピッチに対応するため、5μm以下とすることが好ましい。なお、本明細書において、「同一の形状」には、製造上生ずる誤差が含まれる。
【0024】
柱部22は、円柱状の形状である。柱部22は、台座部21と同じ材料から形成され、例えば、銅から形成される。なお、
図2では、説明のために、台座部21と柱部22との間に境界が示されているが、台座部21と柱部22とは、同一の材料から形成され、更に連続するメッキによって形成されるために、実際は境目を有しない。このため、台座部21と柱部22とは良好な接合強度を有する。また、柱部22は、第1の主面を平面視した場合に、柱部22の外形は、台座部21の外形より小さく形成されており、柱部22は台座部21の上面内に位置するように配置される。例えば、柱部22の径は、基材11の第1の主面を平面視した場合における台座部21の幅及び長さより小さく、柱部22は台座部21の上面の領域内に位置する。柱部22の径は、5~30μmである。柱部22の高さは10~30μmであり、例えば25μmである。台座部21の一辺は、柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましい。一例として柱部22の径は25μmである場合、台座部21は、一辺が45μmの正方形に形成されることが好ましい。
【0025】
柱部22は、
図1に示すように、第1の開口部13aの直上に配置される。換言すると、柱部22は、電極パッド12の第1の開口部13aによって露出された領域内に位置するように設けられる。また、柱部22の径は、第1の開口部13aの一辺の長さより小さい。第1の開口部13aの一辺は、柱部22の径より5~20μm大きいことが好ましい。一例として、柱部22の径は25μmである場合、第1の開口部13aの一辺は35μmであることが好ましい。
【0026】
はんだ17は、柱部22の上に設けられる。はんだ17は、例えば、SnAgから形成される。はんだ17の高さは、一例として10μmである。
【0027】
(半導体チップの製造方法)
以下、半導体チップ10の製造方法について図を用いて説明する。
【0028】
図3(a)に示すように、第1の主面上に、電極パッド12、パッシベーション膜13が形成された基材11を準備する。基材11内には図示しない回路等が形成されている。また、基材11は、個片化前であり、複数の半導体チップがつながった状態である。従って、
図3~
図6では、1つの半導体チップが形成される領域を示している。
【0029】
図3(b)に示すように、基材11の第1の主面側にシード層51を形成する。シード層51は、スパッタ工法を用いて形成される。シード層51は、例えば、0.5μm~1μmの厚さの金属の薄膜であり、基材11上の全面に形成する。シード層51は、例えば、Ti、Wを用いて形成される。なお、シード層51は、1層から構成されてもよく、Ti又はWからなる層の上に、Cuからなる層を備える2層構造であってもよい。
【0030】
シード層51上に、台座部21を形成するための第1のレジスト層52を形成する。第1のレジスト層52としては、感光性材料を使用する。第1のレジスト層52は、液状のレジスト材料を、例えば、スピンコートのようなコーティング法を用いて塗布することで、形成される。
【0031】
次に、第1のレジスト層52をパターニングし、
図3(c)に示すように、レジスト開口52aを形成する。具体的には、フォトマスクを使用し、露光装置で第1のレジスト層52を露光して現像処理を行い、硬化させることにより、第1のレジスト層52をパターニングする。ここで、レジスト開口52aの形状が台座部21の形状に対応する。
【0032】
Cuメッキを行い、
図4(a)に示すように、台座部21を形成する、Cuメッキは、電解メッキ法を用いて行う。具体的には、シード層51から給電し、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0033】
次に、
図4(b)に示すように、第1のレジスト層52を、剥離液を用いて溶解させ、除去する。
【0034】
柱部22を形成するためのメッキ用の第2のレジスト層53を形成する。第2のレジスト層53としては、感光性材料を使用する。第2のレジスト層53は、液状のレジスト材料を、例えば、スピンコートのようなコーティング法を用いて塗布することで、形成される。また、液状のレジスト材料に代え、ドライフィルムをラミネート工法を用いて積層して、第2のレジスト層53を形成してもよい。
【0035】
第2のレジスト層53をパターニングし、
図5(a)に示すように、レジスト開口53aを形成する。具体的には、フォトマスクを使用して、露光装置で露光を行い、現像処理を行って、硬化させることにより、パターニングを行う。また、レジスト開口53aの形状が柱部22の形状に対応する。また、
図1に示すように、基材11の第1の主面を平面視した場合に、柱部22が、パッシベーション膜13の第1の開口部13a内に位置するように、レジスト開口53aの位置を決定する。
【0036】
Cuメッキを行い、
図5(b)に示すように、柱部22を形成する。Cuメッキは、電解メッキ法を用いて行う。具体的には、シード層51から給電し、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0037】
続いて、
図6(a)に示すように、はんだ層54を形成するためのメッキを行う。Cuメッキと同様に、電解メッキ法を用いて行う。具体的にはシード層51から給電し、SnAgのようなはんだ合金を、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0038】
第2のレジスト層53を剥離液を用いて溶解させ、除去する。
【0039】
次に、シード層51のうち、台座部21に被覆されていない部分をエッチングによって除去する。これにより、
図6(b)に示すように、シード層51は台座部21下に位置する部分だけが残存し、シード層14が形成される。シード層51のエッチングの際、台座部21はエッチングマスクのように機能するため、第1の主面を平面視した場合に、シード層14の外形が台座部21の外形と同一の形状に形成される。ここで、シード層14の外周は、エッチングの際に一部が削られる可能性がある。従って、本明細書における「同一の形状」には、このような製造上生ずる誤差を含むものである。
【0040】
続いて、リフロー処理により、はんだ層54を溶融させて、整形及び固着を行い、はんだ17を形成する。次に、ダイシングによって個片化することで、半導体チップ10が製造される。
【0041】
本実施形態によれば、柱状電極が良好な密着強度を有する半導体チップ及び半導体チップの製造方法が提供される。
【0042】
まず、比較のため、半導体チップの従来例を
図13(a)に示す。この例では、ピラーがシード層を介して電極パッド上に直接設けられている。この例では、半導体チップの高性能化、高集積化に伴い、ピラーを細くしなくてはならない場合に、ピラーと電極パッドとの接合面積が減少することにより密着強度が低下するという問題がある。密着強度が低下すると、半導体チップの製造時又は実装後に、ピラーの剥離、傾き、又は倒れのような不良が生ずる可能性があった。また、
図13(b)に示すように、ピラーと電極パッドとの間に位置するシード層の外周がエッチングにより逆円錐状に細くなると、ピラー底部の接合面積が減少し、更なる強度低下を起こす可能性があった。
【0043】
これに対し、実施形態1の半導体チップ10では、台座部21と柱部22とは、同一の材料から形成され、更に連続するメッキによって形成されるために、境目を有しない。このため、台座部21と柱部22とは、良好な接合強度を有する。また、シード層14がエッチングにより細った場合でも、台座部21と柱部22との接合には影響を及ぼさない。また、台座部と柱部とを異なる材料を使用して形成する場合と比べて、製造工程が簡便になり、材料費や製造価格を抑えることもできる。加えて、本実施形態の半導体チップ10では、台座部21は柱部22より広く形成されているため、異なる材料から形成されるシード層14と台座部21との接合面積は、柱部を、シード層を介して電極パッド上に直接設ける場合と比較して、広くすることができ、柱状電極20と電極パッド12との接合強度を高めることができる。
【0044】
(実施形態2)
実施形態2に係る半導体チップ30及びその製造方法を図を用いて説明する。本実施形態の半導体チップ30が実施形態1に係る半導体チップ10と異なるのは、パッシベーション膜13上に絶縁膜31を有する点にある。実施形態1と共通する部分については、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0045】
実施形態2に係る半導体チップ30を
図7及び
図8に示す。
図8は、
図7に示すVIII-VIII線断面図である。
【0046】
半導体チップ30は、
図7及び
図8に示すように、基材11、電極パッド12、パッシベーション膜13、絶縁膜31、シード層14、柱状電極20、及びはんだ17、を備える。また、柱状電極20は、台座部21と、台座部21の上に設けられた柱部22とを備える。
【0047】
電極パッド12は、実施形態1と同様に、基材11の第1の主面(
図8に示す上面)上に設けられる。電極パッド12は、45μm~85μmのピッチで配置され、例えば、50μmのピッチで配置される。
【0048】
パッシベーション膜13は、基材11の第1の主面上に設けられる。また、パッシベーション膜13には、電極パッド12を部分的に露出するための第1の開口部13aが設けられる。第1の開口部13aは、例えば正方形の平面形状を有する。一例として、第1の開口部13aは、一辺がそれぞれ35μmの正方形である。
【0049】
絶縁膜31は、絶縁性の材料、例えばポリイミドから形成される。また、絶縁膜31には、電極パッド12を露出するための第2の開口部31aが形成される。第2の開口部31aは、基材11の第1の主面側から平面視した場合の平面形状が円形に形成されており、第2の開口部31aの内周面は、
図8に示すように傾斜しており、第2の開口部31aの内径は、絶縁膜31の上面から底面に向かって徐々に小さくなる。また、第2の開口部31aは、電極パッド12を例えば直径15μmの円形状に露出するように形成される。ここで、
図7に示す、第2の開口部31aは、絶縁膜31と電極パッド12との境界部分の形状を示しており、電極パッド12が絶縁膜31から露出する部分を示す。
【0050】
シード層14は、例えば、Ti又はWから形成され、後述するように柱状電極20を電解メッキによって形成する際に使用される。シード層14は、0.5μm~1μmの厚さである。なお、シード層14は、1層構造でも2層構造でもよい。また、シード層14は、
図8に示すように、第2の開口部31aより大きく形成されている。具体的には、シード層14は、
図8に示すように、電極パッド12のうち、絶縁膜31の第2の開口部31aによって露出された部分と、第2の開口部31aの内周面と、絶縁膜31の上面における第2の開口部31aの周辺部と、を覆うように設けられる。
【0051】
柱状電極20は、台座部21と、台座部21の上に設けられた柱部22とを備える。台座部21は、シード層14上に設けられ、電極パッド12のうち第2の開口部31aによって露出された部分と、絶縁膜31の第2の開口部31aの内周面と、絶縁膜31aの上面における第2の開口部31aの周辺部と、の上に設けられる。本実施形態でも、台座部21の外形は、シード層14の外形と同一の形状、つまり、
図7及び
図8に示すように、基材11の第1の主面を平面視した場合に、台座部21の輪郭と、シード層14の輪郭とは同一の形状である。一例として、台座部21は、
図7に示すように、一辺が45μmの正方形に形成される。シード層14の外形も台座部21の外形と同じであるため、一辺が45μmの正方形に形成される。また、台座部21の厚さは、5μm以下とすることが好ましい。
【0052】
柱部22は、円柱状の形状である。柱部22は、台座部21と同じ材料から形成され、例えば、銅から形成される。台座部21と柱部22とは、同一の材料から形成され、更に連続するメッキによって形成されるために、実際は
図8のような境目を有しない。また、柱部22は、台座部21の上面内に設けられる。柱部22は、第1の主面を平面視した場合に、柱部22の外形は、台座部21の外形より小さく形成されており、柱部22は台座部21の上面内に位置するように配置される。例えば、柱部22の径は、基材11の第1の主面側から平面視した場合における台座部21の幅及び長さより小さく、柱部22は台座部21の上面内に配置されている。また、柱部22の径は、5~30μmであり、高さは25μmである。台座部21の一辺は、柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましい。一例として台座部21の一辺は45μmであり、柱部22の径は25μmである。
【0053】
また、柱部22は、実施形態1と同様に、
図7に示すように、パッシベーション膜13の第1の開口部13aの直上に配置される。また、柱部22の径は、第1の開口部13aの一辺の長さより小さい。第1の開口部13aの一辺は、柱部22の径より5~20μm大きいことが好ましい。一例として、柱部22の径が25μmである場合、第1の開口部13aの一辺は35μmであることが好ましい。
【0054】
はんだ17は、柱部22の上に設けられる。はんだ17は、例えば、SnAgから形成される。はんだ17の高さは、一例として10μmである。
【0055】
(半導体チップの製造方法)
以下、半導体チップ30の製造方法について図を用いて説明する。
【0056】
まず、第1の主面上に、電極パッド12、パッシベーション膜13が形成された基材11を準備する。また、本実施形態でも基材11は、個片化前である。
【0057】
基材11上の電極パッド12及びパッシベーション13上に、絶縁材料、例えば感光性ポリイミドを塗布する。続いて、フォトマスクを使用し、露光装置で露光して現像処理をすることにより、
図9(a)に示すように、電極パッド12上に第2の開口部31aが形成された絶縁膜31を形成する。
【0058】
続いて、
図9(b)に示すように、基材11の第1の主面側にシード層51を形成する。シード層51は、スパッタ工法を用いて形成される。
【0059】
シード層51上に、台座部21を形成するための第1のレジスト層52を形成する。第1のレジスト層52は、感光性材料を使用して形成される。次に、第1のレジスト層52をパターニングし、
図9(c)に示すように、レジスト開口52aを形成する。ここで、レジスト開口52aの形状が台座部21の形状となる。
【0060】
Cuメッキを行い、
図10(a)に示すように、台座部21を形成する。Cuメッキは、電解メッキ法を用いて行う。具体的には、シード層51から給電し、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0061】
次に、
図10(b)に示すように、第1のレジスト層52を剥離液を用いて溶解させ、除去する。
【0062】
柱部22を形成するためのメッキ用の第2のレジスト層53を形成し、続いて第2のレジスト層53をパターニングし、
図11(a)に示すように、レジスト開口53aを形成する。また、レジスト開口53aの形状が柱部22の形状となる。また、基材11の第1の主面側から平面視した場合に、柱部22が、パッシベーション膜13の第1の開口部13a内に位置するように、レジスト開口53aの位置を決定する。
【0063】
Cuメッキを行い、
図11(b)に示すように、柱部22を形成する。Cuメッキは、電解メッキ法を用いて行う。具体的には、シード層51から給電し、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0064】
続いて、
図11(b)に示すように、はんだ層54を形成するためのメッキを行う。Cuメッキと同様に、電解メッキ法を用いて行う。具体的にはシード層51から給電し、SnAgのようなはんだ合金を、所定の厚さになるようにメッキを行う。
【0065】
図12(a)に示すように、第2のレジスト層53を剥離液を用いて溶解させ、除去する。
【0066】
次に、
図12(b)に示すように、シード層51のうち、台座部21により被覆されていない部分をエッチングによって除去する。これにより、シード層51は、台座部21下に位置する部分のみが残存し、シード層14が形成される。シード層51のエッチングの際、台座部21はエッチングマスクとして機能するため、シード層14の外形が台座部21の外形と同じ形状に形成される。
【0067】
続いて、リフロー処理により、はんだ層54を溶融させて、整形及び固着を行い、はんだ17を形成する。次に、ダイシングによって個片化することで、
図8に示す半導体チップ30が製造される。
【0068】
本実施形態の半導体チップ30では、パッシベーション膜13上にさらに絶縁膜31が設けられているが、実施形態1と同様に、台座部21と柱部22とは連続するメッキにより形成されているために、境目を有しない。よって、台座部21と柱部22とは、良好な接続強度を有する。これにより、絶縁膜31の第2の開口部31aの内周面が傾斜していても、台座部21が傾斜に沿って絶縁膜31上に形成されていることで、柱部22が絶縁膜31の傾斜面上に位置していた場合でも、良好な接合強度を有することができる。
【0069】
本開示は、上述した実施形態に限られず、様々な変形および応用が可能である。
【0070】
上述した各実施形態では、柱状電極20の柱部22の上にはんだ17が形成される構成を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、柱部22とはんだ17との間に、Niのような拡散係数の低い金属層を設けることができる。このような金属層を設けることにより、柱部がCuから形成される場合、はんだと柱部との間の拡散及び合金化を抑制することができ、それによりエレクトロマイグレーションの抑制する、又ははんだ接合部のバルク強度を向上させることができる。
【0071】
また、台座部21の平面形状は正方形状に形成される場合に限らず、円形、長方形等であってもよい。円形であれば、台座部21の直径が、柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましく、長方形であれば、台座部21の短い方の辺が柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましい。パッシベーション膜13の第1の開口部13aの平面形状についても、同様に正方形状に形成される場合に限らず、円形、長方形等であってもよい。円形であれば、第1の開口部13aの直径が、柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましく、長方形であれば、第1の開口部13aの短い方の辺が柱部22の径と比較し、5μm~20μm大きいことが好ましい。
【符号の説明】
【0072】
10,30 半導体チップ
11 基材
12 電極パッド
13 パッシベーション膜
13a 第1の開口部
14,51 シード層
17 はんだ
20 柱状電極
21 台座部
22 柱部
31 絶縁膜
31a 第2の開口部
52 第1のレジスト層
53 第2のレジスト層
52a,53a レジスト開口
54 はんだ層