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特許7730387車両の乗員保護装置、少なくとも1つの乗員保護装置を備えた車両、及び乗員保護装置を動作させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-19
(45)【発行日】2025-08-27
(54)【発明の名称】車両の乗員保護装置、少なくとも1つの乗員保護装置を備えた車両、及び乗員保護装置を動作させる方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/02 20060101AFI20250820BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20250820BHJP
   B60R 21/18 20060101ALI20250820BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20250820BHJP
   B60N 2/427 20060101ALI20250820BHJP
【FI】
B60R21/02
B60R21/205
B60R21/18
B60N3/00 A
B60N2/427
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023580347
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2022066916
(87)【国際公開番号】W WO2023274793
(87)【国際公開日】2023-01-05
【審査請求日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】102021003331.0
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィース ヨッヘン
(72)【発明者】
【氏名】ガイスラー クラウス
(72)【発明者】
【氏名】リチャート ジュリアン
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/167899(WO,A1)
【文献】特開2021-084491(JP,A)
【文献】特開2009-208566(JP,A)
【文献】特開平06-092170(JP,A)
【文献】特開昭50-015235(JP,A)
【文献】特開2018-150005(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03640092(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0094503(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/02
B60R 21/205
B60R 21/18
B60N 3/00
B60N 2/427
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シート(3)に割り当てられた少なくとも1つのテーブル(4)を備える、車両(2)の乗員保護装置(1)において、
前記少なくとも1つのテーブル(4)は、前記車両(2)の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に能動的に少なくとも1つの乗員保護位置としての前記乗員(I)の少なくとも1つの上半身に向かって移動可能であり、前記乗員保護位置において、前記テーブル(4)が前記乗員(I)の前記少なくとも1つの上半身を衝突に起因する移動に対して支持する
ことを特徴とする、乗員保護装置(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのテーブル(4)は、別の車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグ(8)のための支持面を形成する
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項3】
なくとも1つのエアバッグ(8)を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項4】
前記乗員保護位置は、
-前記認識された衝突又は衝突の危険の種類、並びに/或いは
-前記乗員(I)の着座位置、並びに/或いは
-前記車両シート(3)のシート設定、並びに/或いは
-前記車両シート(3)に割り当てられたシートベルト(11)の着用状態、並びに/或いは
-支持される少なくとも1つのエアバッグ(8)に対する前記乗員(I)及び/又は前記車両シート(3)の向き、
に依存する
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項5】
前記テーブル(4)は、電気式、空気圧式、液圧式、及び/又は火工技術式で前記少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項6】
前記テーブル(4)は、前記少なくとも1つの乗員保護位置へ能動的に移動するために、少なくとも1つの回転軸(DA)を中心に回転可能、及び/又は少なくとも1つの軸を中心に旋回可能、及び/又は少なくとも1つの軸に沿って変位可能である
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項7】
前記テーブル(4)は、前記車両(2)のセンタコンソール(7)に結合されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項8】
前記テーブル(4)は、前記車両(2)の前記衝突又は衝突の危険が認識された場合に展開可能である少なくとも1つのテーブルエアバッグ(9)を有する
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項9】
-前記衝突及び/又は衝突の危険を認識するための衝突センサ系(12)、並びに/或いは
-前記乗員(I)の着座位置を認識するための乗員位置センサ系(13)、並びに/或いは
-前記車両シート(3)のシート設定を認識するためのシート設定センサ系(14)、並びに/或いは
-支持される少なくとも1つのエアバッグ(8)に対する前記乗員(I)及び/又は前記車両シート(3)の向きを認識するためのアライメントセンサ系(15)
を備える、
ことを特徴とする、請求項1に記載の乗員保護装置(1)。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の乗員保護装置(1)を備えた車両(2)。
【請求項11】
前記少なくとも1つのテーブル(4)は、前記車両(2)の衝突又は衝突の危険が認識された場合に能動的に乗員保護位置としての前記乗員(I)の少なくとも1つの上半身に向かって移動し、前記乗員保護位置において、前記テーブル(4)が前記乗員(I)の前記少なくとも1つの上半身を衝突に起因する移動に対して支持する、及び/又は別の車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグ(8)のための支持面を形成する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の乗員保護装置(1)を動作させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部の構成に係る車両の乗員保護装置、少なくとも1つの乗員保護装置を備えた車両、及び乗員保護装置を動作させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第3640092号明細書に記載されるように、車両テーブルのエアバッグシステムは従来技術から知られている。このシステムは、乗客の前に配置されたテーブルとテーブルの内部に設けられたエアバッグクッションとを備えている。エアバッグクッションは、その第1の端部がテーブル縁部の内側部分に取り付けられた状態で解放されながら膨張し、それにより第2の端部がテーブルを越えて外へ突出でき、テーブルの上表面を覆うことができる。エアバッグクッションは底領域も備え、この底領域は、エアバッグクッションが解放される間、テーブルを向き、テーブルの上側から隙間をあけて位置決めされる。ガス発生器は、エアバッグクッションにガスを供給してエアバッグクッションを解放する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に対して改良された車両の乗員保護装置、従来技術に対して改良された車両、及び従来技術に対して改良された乗員保護装置を動作させる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、本発明によれば、請求項1の構成を有する車両の乗員保護装置、請求項10の構成を有する車両、及び請求項11の構成を有する乗員保護装置を動作させる方法によって達成される。
【0005】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
車両の乗員保護装置は、車両シートに割り当てられた少なくとも1つのテーブルを備えている。特に、このテーブルは、手動及び/又は電動で、特に電動モータにより、例えば収納位置から、車両シートに座っている車両の乗員がテーブルを使用できるテーブル使用位置へ移動でき、かつ再び戻ることができる。したがって、テーブルは、特に車両シートの領域において、収納位置、例えば車両シート上又は内部、或いは車両シートの前、或いは車両シートの後ろ、或いは車両シートの横隣、或いは車両シートの下、或いは車両シートの上方に配置されるとともに、テーブル使用位置、例えば車両シートの前及び/又は横隣及び/又は上方、特に車両シートにおける乗員の前及び/又は横隣に配置される。このテーブルは、例えば折り畳みテーブルとして形成されている。
【0007】
本発明によれば、車両の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に、この少なくとも1つのテーブルが、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から、特に能動的に、すなわち、特に電気式で、特に電動モータにより、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に、少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能であり、この乗員保護位置において、このテーブルが、乗員の少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持し、及び/又は、別の車両部品、すなわちテーブルではない車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグのための支持面を形成する。この支持面は、エアバッグを特にその展開中に誘導、案内及び/又は支持するように、並びに/或いは特に展開したエアバッグを支持するように設けられている。
【0008】
本発明に係る車両は、このような乗員保護装置を備える。例えば、乗員保護装置は、複数のそのようなテーブルを有することができ、例えば、そのようなテーブルが車両の複数又はすべての車両シート、例えば少なくとも後部座席及び/又は助手席にそれぞれ割り当てられている。
【0009】
乗員保護装置を動作させる本発明に係る方法では、車両の衝突又は衝突の危険が認識された場合に、少なくとも1つのテーブルが、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から能動的に、すなわち、特に電気式で、特に電動モータにより、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に乗員保護位置へ移動し、この乗員保護位置において、テーブルが、乗員の少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持し、及び/又は別の車両部品、すなわちテーブルではない車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグのための支持面を形成する。この支持面は、エアバッグを特にその展開中に誘導、案内及び/又は支持するように、並びに/或いは特に展開したエアバッグを支持するように設けられている。
【0010】
電気式の駆動、特に電動モータによる駆動、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式の駆動は、特にテーブルの可逆的移動を可能にする。これは、衝突の危険が認識された際、衝突を防ぐ可能性が依然として存在する場合に特に有利である。火工技術式の移動は特に高速であるため、すでに起きている車両の衝突が認識された場合に特に適している。
【0011】
テーブルは、例えば、少なくとも1つの入力ユニット及び/又は少なくとも1つの表示ユニット及び/又は少なくとも1つの音響出力ユニットを備える。入力ユニットは、例えばキーボード、触覚ディスプレイ、又はジェスチャ認識を有するプロジェクションである。
【0012】
記載された解決策によって、例えば作業テーブル及び/又は物置面、及び/又は、例えばキーボード及び/又は操作ユニットとしての入力ユニット及び/又は出力ユニットとして乗員により使用され得るテーブルは、衝突又は衝突の危険が認識された場合に乗員を保護するのに最適な状態に位置決めされる。テーブルが乗員の少なくとも1つの身体部分、特に上半身を衝突に起因する移動に対して支持する乗員保護位置は、例えば、乗員の前側、特に乗員の上半身の前側、特に胸部の位置であり、すなわち、テーブルは、それに応じて乗員に向かって、特にその上半身、特にその胸部に向かって移動し、特にこれに当接するように位置決めされる。それによって、乗員、特にその上半身は、前側でテーブルによって、かつ後側で車両シートのシートバックによって有利に支持され、相応に保持される。テーブルを上半身の前、特に胸部の前に位置決めすることによって、乗員の平面的拘束が可能になるため、乗員の胸郭への荷重が軽減される。
【0013】
上述の解決策によって、乗員安全性と走行安全性とを低下させることなく、行動、特に副次的行動、特に入力ユニットを必要とする行動が可能になる。
【0014】
特に、乗員保護装置は、少なくとも1つのエアバッグも備える。それによって、テーブルとエアバッグとの機能を相互に最適化することが可能になる。少なくとも1つのエアバッグは、例えば、車両のインストルメントパネル、ダッシュボード、及び/又はコックピットに配置されてそこから展開することができ、或いはシートベルトに配置されてそこから展開することができ、或いは車両シート、例えばシートクッション又はシートバック又はアームレストの側面に配置されてそこから展開することができ、或いは車両のセンタコンソールに配置されてそこから展開することができ、或いは車両の内装トリム、例えばサイドトリム又はルーフトリムに配置されてそこから展開することができる。複数のエアバッグを設けることもでき、複数の異なる車両部品のさまざまな部分、すなわち車両における複数の異なる位置に配置され、衝突又は衝突の危険が認識された場合に特にそのときの状況に応じて展開させ、かつテーブルによって相応の乗員保護位置で支持することができる。
【0015】
衝突又は衝突の危険が認識された場合にテーブルが移動可能である若しくは移動する乗員保護位置は、認識された衝突又は衝突の危険の種類、例えば前面、側面、又は後面衝突、或いはそれらの危険、並びに/或いは乗員の着座位置、並びに/或いは車両シートのシート設定、並びに/或いは車両シートに割り当てられたシートベルトの着用状態、すなわちシートベルトが乗員により正しく着用されているか否か、特にシートベルトバックルが係合しているか否か、並びに/或いは支持される少なくとも1つのエアバッグに対する乗員及び/又は車両シートの向きに依存する。これによって、これらのそれぞれの状況に合わせてテーブルの乗員保護位置を最適化することができ、この位置にテーブルが移動可能である、若しくは移動する。
【0016】
テーブルは、乗員保護位置へ能動的に移動するために、特に少なくとも1つの回転軸、例えば複数の回転軸を中心に回転可能、及び/又は少なくとも1つの軸、例えば複数の軸を中心に旋回可能、及び/又は少なくとも1つの軸、例えば複数の軸に沿って変位可能である。有利には、テーブルを多数の考えられる乗員保護位置に移動させることができるように、これらの移動可能性のうちの複数又は上述のすべての移動可能性の組み合わせが提供される。これによって、衝突又は衝突の危険が認識された場合に、そのときのそれぞれの状況に合わせて乗員保護位置を最適化できるとともに、この乗員保護位置へのテーブルの移動が可能になる。
【0017】
考えられる実施形態では、テーブルは車両のセンタコンソールに結合されている。これによって、車両におけるテーブルの確実な固定が保証され、収納位置でのテーブルの収納が簡単になり、テーブル使用位置の最適化が可能になり、特にテーブルのために複数の乗員保護位置が可能となり、衝突又は衝突の危険が認識された場合にそのときのそれぞれの状況に応じてテーブルを乗員保護位置に移動させることができる。
【0018】
考えられる実施形態では、テーブルは、特にテーブルエアバッグとして形成されるために以下でテーブルエアバッグとも呼ばれる少なくとも1つの膨張式保護システムを有する。テーブルエアバッグは、車両の衝突又は衝突の危険が認識された場合に、特に少なくとも1つのガス発生器を作動させること、特に点火することにより展開可能である。例えば、テーブルは、そのようなテーブルエアバッグを複数有することができ、例えばテーブルの上側で展開するテーブルエアバッグと、テーブルの下側で展開して乗員の骨盤及び/又は脚、特に大腿部及び/又は膝を保護するための例えばニーエアバッグとして用いられる別のテーブルエアバッグとを有することができる。テーブルを乗員保護位置へ移動させることによって、この少なくとも1つ又はそれぞれのテーブルエアバッグの向きが最適化される。例えば、テーブル、特に少なくとも1つの入力ユニット、出力ユニット、及び/又は表示ユニットに、開口、例えばエアバッグにおけるような或いは機械式及び/又は電気式で解放可能な開裂フラップが設けられ、この開口を通じてテーブルエアバッグが特に乗員の方向、上方、又は下方に、特にテーブルが相応に位置決めされている場合に下方に、展開できることを企図することができる。
【0019】
例えば、テーブルエアバッグを1つだけ設けることもでき、その場合、このテーブルエアバッグは、そのときのそれぞれの状況に適合させた乗員保護位置へのテーブルの移動によって相応の向きにされる。例えば、衝突又は衝突の危険が認識された場合のそのときの状況に応じて、乗員の上半身及び/又は頭部を保護するために、このテーブルエアバッグが、テーブルの上部を形成する面で例えば上方に及び/又は乗員の方向に展開すること、或いは乗員の骨盤及び/又は脚、特に大腿部及び/又は膝を保護するために、テーブルを相応に移動、特に回転させることによって、テーブルエアバッグがテーブルの下側を形成する面で展開することを企図することができる。このようにして、衝突又は衝突の危険が認識された場合に、特に上半身を追加で保護する必要が特になく、膝への負担の増大が予想されたら、テーブルエアバッグが「ニーバッグ」とも呼ばれるニーエアバッグとして用いられるような乗員保護位置へテーブルを移動、特に回転させることができる。例えば、そのときに自由になっているテーブルの上部は、別の車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグのための支持面を同時に形成することができ、それにより、保護が必要な場合は乗員の頭部及び/又は上半身が同時に保護される。
【0020】
乗員保護装置は、例えば、衝突及び/又は衝突の危険を認識するための、特に衝突又は衝突の危険の種類、例えば前面、側面、又は後面衝突、或いはその危険を認識するための衝突センサ系、並びに/或いは乗員の着座位置を認識するための乗員位置センサ系、並びに/或いは車両シートのシート設定を認識するためのシート設定センサ系、並びに/或いは支持される少なくとも1つのエアバッグに対する乗員及び/又は車両シートの向きを認識するためのアライメントセンサ系を備える。
【0021】
衝突センサ系は、例えば、少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、力センサ、歪センサ、モーションセンサ、及び/又は加速度センサを有することができる。それぞれのセンサタイプから複数のセンサを設けることもできる。カメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、及び/又はレーダセンサは、特に、車両の外側周辺を検出するための周辺検出センサ系の構成要素である。
【0022】
乗員位置センサ系は、例えば、少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、力センサ、歪センサ、モーションセンサ、加速度センサ、重量センサ、接触センサ、特に身体接触センサ、及び/又はシートベルトセンサを有することができる。これらのセンサは、特に、車両の室内監視システムの構成要素である。それぞれのセンサタイプから複数のセンサを設けることもできる。少なくとも1つの力センサ、歪センサ、モーションセンサ、加速度センサ、重量センサ、及び/又は接触センサ、特に身体接触センサのそれぞれは、例えば着座認識システムの構成要素として、例えば車両シート上又は内部に配置することができる。少なくとも1つのシートベルトセンサは、特に、車両シートに割り当てられたシートベルトの着用状態、すなわち乗員がシートベルトを正しく着用しているか否か、特にシートベルトバックルが係合しているか否かを検出するために用いられる。このシートベルトセンサは、例えば、シートベルトバックルに配置されている。少なくとも1つの接触センサは、例えば、ステアリングホイール、又はテーブル上或いは内部に配置することができる。少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、及び/又はレーダセンサのそれぞれは、特に、乗員が車両シートに着座している場合に、その検出範囲が、車両シートと乗員とを、特に考えられるすべての着座位置、シート設定及び向きにおいて包含するように、車両に配置されている。
【0023】
シート設定センサ系は、例えば、車両シート、特にその調整機構に、少なくとも1つのセンサ又は複数のセンサを有することができ、このシート設定センサ系は、調整機構自体によって形成されていてもよい。
【0024】
アライメントセンサ系は、乗員位置センサ系及び/又はシート設定センサ系と部分的又は完全に同一であってもよく、すなわち上述のセンサの1つ又は複数又はすべてを使用するか、或いは同じセンサを有することができる。このようにして、そのときのそれぞれの状況に応じてテーブルの乗員保護位置の最適化が可能になる。
【0025】
記載された解決策によって、例えば、衝突又は衝突の危険が認識された場合にそのときの状況に応じてテーブルエアバッグを展開させることが可能になり、テーブルは、テーブルエアバッグを最適に位置決めするために相応に最適化された乗員保護位置へ移動させられる。例えば、特に上半身を追加で保護する必要が特になく、膝への負担の増大が予想される場合に、テーブルエアバッグがニーエアバッグとして用いられるようにテーブルが移動、特に回転させられる。
【0026】
或いは、そのときの状況に応じて、例えば、相応のシート設定により、乗員がいわゆるリラックス位置、すなわちリラックスした着座位置にいる場合、すなわち車両シートを例えば後方に大きく傾けたうえで例えば後方に変位させている場合、例えば、別の車両部品内のエアバッグが乗員に到達できないと認識できるため、テーブルは、乗員の少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持するような乗員保護位置へ移動する。この場合も、テーブルへの激しい衝撃を回避するとともに乗員の減速値を低くするために、特に乗員の方向にテーブルエアバッグを例えば追加的に展開させることができる。
【0027】
或いは、そのときの状況に応じて、特に、乗員の着座位置が、別の車両部品に配置された少なくとも1つのエアバッグにとってすでに最適であると認識された場合には、テーブルがこのエアバッグのための支持面を形成することで、このエアバッグをその展開中に最適に誘導、案内及び/又は支持し、及び/又は特に展開状態で支持するような乗員保護位置へ、テーブルを移動させることができる。
【0028】
以下では、本発明の例示的な実施形態を、図面に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】乗員が直立した着座位置である車両の概略図である。
図2】乗員がリラックスした着座位置である車両の概略図である。
図3】乗員が直立した着座位置であるとともにテーブルエアバッグが上方に展開された車両の概略図である。
図4】乗員がリラックスした着座位置であるとともにテーブルエアバッグが上方に展開された車両の概略図である。
図5】回転軸を中心とした2つの回転位置にある車両のテーブルの概略図である。
図6】乗員が直立した着座位置であるとともにテーブルエアバッグが下方に展開された車両の概略図である。
図7】乗員が直立した着座位置であるとともにテーブルが乗員の身体の少なくとも一部を衝突に起因する移動に対して支持するために乗員保護位置に移動した車両の概略図である。
図8】乗員がリラックスした着座位置であるとともにテーブルが乗員の少なくとも1つの身体部分を衝突に起因する移動に対して支持するために乗員保護位置へ移動した車両の概略図である。
図9】乗員がリラックスした着座位置であるとともにテーブルが別の車両部品から展開するエアバッグを支持するために乗員保護位置へ移動した車両の概略図である。
図10】乗員がリラックスした着座位置であるとともにテーブルが別の車両部品から展開する別のエアバッグを支持するために乗員保護位置へ移動した車両の概略図である。
図11】乗員保護装置を備えた車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
いずれの図においても、相互に対応する部分には、同一の参照符号を付している。
【0031】
図1~11をもとにして、車両2の乗員保護装置1、少なくとも1つのそのような乗員保護装置1を備えた車両2、及びそのような乗員保護装置1を動作させる方法を以下に説明する。乗員保護装置1は、車両2の車両シート3に割り当てられた少なくとも1つのテーブル4を備える。例えば、乗員保護装置1は複数のそのようなテーブル4を有することができ、例えば、車両2の複数又はすべての車両シート3、例えば少なくとも後部座席及び/又は助手席に、それぞれそのようなテーブル4が割り当てられている。
【0032】
テーブル4は、例えば手動及び/又は電動で、特に電動モータにより、収納位置から図1及び図2に示されるそれぞれのテーブル使用位置へ移動でき、かつ再び戻ることができる。テーブル使用位置は、例えば、図1及び図2に示されるように、車両シート3に着座する乗員Iの着座位置に依存する。図1では、乗員Iは、標準着座位置とも呼ばれる直立した着座位置にいるため、車両2のインストルメントパネルとも呼ばれるコックピット5の比較的近くに位置し、図2では、乗員Iは、いわゆるリラックス位置、すなわち、例えば車両シート3を後方に変位させ、及び/又は車両シート3又は車両シート3の少なくとも1つのシートバックを後方に傾けることで、乗員Iがコックピット5から遠ざかったリラックスした着座位置にいる。図7及び図8では、テーブル使用位置がそれぞれ破線で示されている。
【0033】
テーブル4は、例えば、特にテーブルホルダ6を介して車両2のセンタコンソール7に結合されている。収納位置は、例えばこのセンタコンソール7上又は内部にある。明確化のために、センタコンソール7は、図1にのみ示され、ここでは単に例示的かつ概略的に大きく簡略化して示されている。
【0034】
テーブル4は、例えば折り畳みテーブルとして形成されている。
【0035】
このようなテーブル4を車両シート3に設けることは、特に車両2の走行中に作業する必要性が増しているという事情が考慮されたものである。これは、例えば、車両2の前部座席の乗員又は後部座席の乗員に関係し、車両2が自動運転、特に高度自動運転又は自律運転の場合には、車両2の運転者にも関係する。
【0036】
例えば、このために乗員Iは、特に折り畳み可能なテーブル4を使用することができる。例えば、テーブル4は、このために少なくとも1つの入力ユニット及び/又は少なくとも1つの表示ユニット及び/又は少なくとも1つの音響出力ユニットを有する。入力ユニットは、例えばキーボード、触覚ディスプレイ、又はジェスチャ認識を有するプロジェクションである。
【0037】
このようなテーブル4の場合、これが事故状況、すなわち車両2の衝突時に、乗員の安全上危険となる可能性がある点が課題である。更に、リラックスした、すなわちもたれた着座位置では、従来の拘束システム、特に前部エアバッグの保護効果が益々低下する。
【0038】
乗員保護に関するこれらの問題を解決するために、車両2の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に、少なくとも1つのテーブル4が、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から、特に能動的に、すなわち、特に電気式で、特に電動モータで、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能であり、この乗員保護位置において、テーブル4が、乗員Iの少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持、及び/又は別の車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグ8のための支持面を形成する。この支持面は、エアバッグ8を特にその展開中に誘導、案内及び/又は支持するように、並びに/或いは特に展開したエアバッグ8を支持するように企図されている。特に、乗員保護装置1は、少なくとも1つのエアバッグ8又は複数のそのようなエアバッグ8も備える。
【0039】
電気式の駆動、特に電動モータによる駆動、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式の駆動は、特にテーブル4の可逆的移動を可能にする。これは、衝突の危険が認識された際、衝突を防ぐ可能性がまだある場合に特に有利である。火工技術式の移動は特に高速であるため、すでに起きている車両2の衝突が認識された場合に特に適している。
【0040】
乗員保護位置へのこの移動に代えて又は加えて、例えば、テーブル4が、以下にテーブルエアバッグ9として記載される少なくとも1つの膨張式保護システムを有することを企図することができる。テーブルエアバッグ9は、直立した着座位置については図3に示されるように、リラックスした着座位置については図4に示されるように、車両2の衝突又は衝突の危険が認識された場合、特に少なくとも1つのガス発生器を作動させること、特に点火することによって、展開可能である。テーブルエアバッグ9は、有利には、テーブル4と一緒に移動するようにテーブル4に組み込まれている。これによって、乗員Iをテーブル4との激しい接触から保護することと、リラックスした位置へ引き戻された乗員Iを早期に支持することとの双方が可能になる。
【0041】
テーブル4、特に少なくとも1つの入力ユニット、出力ユニット、及び/又は表示ユニットには、テーブルエアバッグ9の展開を可能にするために、例えばエアバッグシステムにおけるような或いは機械式及び/又は電気式で解放可能な開裂フラップ等の開口が設けられ、この開口を通じてテーブルエアバッグ9が特に乗員Iの方向及び/又は上方に展開可能である。図3及び図4には、開いたエアバッグフラップ10が示されており、それはテーブルエアバッグ9が展開していない閉状態では開口を閉じる。
【0042】
すでに上述したように、少なくとも1つのテーブル4は、車両2の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から、特に能動的に、すなわち特に電気式で、特に電動モータにより、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能である。このために、図5に示されるように、テーブル4は、特にそのテーブルホルダ6に対して少なくとも1つの回転軸DAを中心に回転可能であり、テーブル4は、ここでは回転した位置と、追加的に破線で回転前の位置とに示されている。
【0043】
代替的又は追加的に、テーブル4は、例えば、特にそのテーブルホルダ6に対して又はそのテーブルホルダ6と一緒に、少なくとも1つの軸を中心に旋回可能であり、及び/又は変位矢印Pで示されるように、少なくとも1つの軸に沿って、特にそのテーブルホルダ6に対して変位可能、すなわち並進変位可能である。有利には、これらの移動可能性のうちの複数又は上記の移動可能性のすべての組み合わせが企図されている。例えば、代替的又は追加的に、テーブル4は、そのテーブルホルダ6によって上述のように回転、旋回、及び/又は変位可能であり、例えばテーブルホルダ6を延長又は短縮することによって変位可能であり、例えばテーブルホルダ6を旋回させることによって旋回可能であることを企図することもできる。これによって、特に、少なくとも1つのテーブルエアバッグ9及び/又は別の車両部品に配置された少なくとも1つのエアバッグ8をテーブル4で最適に支持すること、並びに/或いはテーブル4が乗員Iの少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持することが可能になる。
【0044】
代替的又は追加的に、特に骨盤及び大腿部をより良好に固定する、及び/又はコックピット5への激しい衝撃から膝を保護するために、図6に示されるように、例えば、テーブルエアバッグ9が、テーブル4の下側で展開した後に、乗員Iの骨盤及び/又は脚、特に大腿部及び/又は膝を保護するための例えばニーエアバッグとして機能することを企図することができる。例えば、テーブル4は、複数のそのようなテーブルエアバッグ9を有することができ、例えば、そのうちの1つが上方へ、もう1つが下方へ展開でき、或いは、特に有利な実施形態では、テーブル4がテーブルエアバッグ9を1つだけ有し、このテーブルエアバッグ9がテーブル4の上記の移動によって、そのときのそれぞれの状況に適合した乗員保護位置へ相応に向けられる。
【0045】
例えば、衝突又は衝突の危険が認識されたときの状況に応じて、図3及び図4に示されるように、乗員Iの上半身及び/又は頭部を保護するために、このテーブルエアバッグ9がテーブル4の上部を形成する面上で例えば上方及び/又は乗員Iの方向に展開すること、或いは図6に示されるように、乗員Iの骨盤及び/又は脚、特に大腿部及び/又は膝を保護するため、特に骨盤及び大腿部をより良好に固定するため、及び/又はコックピット5への激しい衝撃から膝を保護するために、テーブル4を相応に移動、特に回転させることによって、このテーブルエアバッグ9がテーブル4の下側を形成する面上で展開することを企図することができる。
【0046】
すでに説明したように、有利には、少なくとも1つのテーブル4が、車両2の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から、特に能動的に、すなわち、特に電気式で、特に電動モータにより、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能であり、この乗員保護位置において、テーブルが、乗員Iの少なくとも1つの身体部分、特に上半身を、衝突に起因する移動に対して支持することが企図されている。これは、乗員Iの直立した着座位置については図7に、リラックスした着座位置については図8に例示的に示されている。これは、衝突の危険が認識された場合に特に有利であり、テーブル4は、衝突直前に予防的にこの乗員保護位置へ「プレセーフ」とも呼ばれる移動をする。このようにテーブル4を上半身の前、特に胸部の前に位置決めすることによって、乗員Iの平面的拘束が可能になり、それによって乗員Iの胸郭への荷重が軽減される。例えば、追加的に、テーブルエアバッグ9が乗員Iの方向に展開することを企図することができる。
【0047】
すでに説明したように、有利には、少なくとも1つのテーブル4が、車両2の衝突及び/又は衝突の危険が認識された場合に、特にテーブル使用位置及び/又は収納位置から、特に能動的に、すなわち、特に電気式で、特に電動モータにより、及び/又は空気圧式及び/又は液圧式及び/又は火工技術式で駆動され、特に自動的に少なくとも1つの乗員保護位置へ移動可能であり、この乗員保護位置において、テーブルが、別の車両部品から展開する少なくとも1つのエアバッグ8のための支持面を形成することが企図されている。この支持面は、エアバッグ8を特にその展開中に誘導、案内及び/又は支持する、並びに/或いは特に展開しているエアバッグ8を支持するように企図されている。特に、乗員保護装置1は少なくとも1つのエアバッグ8も備える。この実施形態の例が図9及び図10に示される。図9は、前部エアバッグとも呼ばれる、コックピット5として形成された別の車両部品から展開するエアバッグ8を示し、図10は、車両シート3に割り当てられたシートベルト11として形成された車両部品から展開するエアバッグ8を示す。このようなエアバッグ8は、ベルトバッグとも呼ばれる。
【0048】
代替的又は追加的に、テーブル4を上記のように、例えば、特に予防的に、すなわち衝突の危険が認識されると安全位置へ移動させることもでき、この安全位置ではテーブル4が車両2の1つ又は複数の既存の別の安全コンポーネントの保護効果を高める。
【0049】
衝突又は衝突の危険が認識された場合にテーブル4が移動できる、若しくは移動する乗員保護位置は、例えば、認識された衝突又は衝突の危険の種類、例えば前面、側面、又は後面衝突、或いはその危険、並びに/或いは乗員Iの着座位置、並びに/或いは車両シート3のシート設定、並びに/或いは車両シート3に割り当てられたシートベルト11の着用状態、すなわちシートベルト11が乗員Iにより正しく着用されているか否か、特にシートベルトバックルが係合しているか否か、並びに/或いは支持される少なくとも1つのエアバッグ8に対する乗員I及び/又は車両シート3の向きに依存する。
【0050】
図11は、乗員保護装置1を備えた車両2の非常に簡略化された概略図を示す。図示された例では、乗員保護装置1は、例えばテーブルホルダ6と例えばテーブルエアバッグ9とを有するテーブル4、別の車両部品から展開する例えば少なくとも1つのエアバッグ8、並びに衝突及び/又は衝突の危険を認識するための、特に衝突又は衝突の危険の種類、例えば前面、側面、又は後面衝突、或いはその危険も認識するための例えば衝突センサ系12、並びに/或いは乗員Iの着座位置を認識するための乗員位置センサ系13、並びに/或いは車両シート3のシート設定を認識するためのシート設定センサ系14、並びに/或いは支持される少なくとも1つのエアバッグ8に対する乗員I及び/又は車両シート3の向きを認識するためのアライメントセンサ系15を備える。
【0051】
衝突センサ系12は、例えば、少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、力センサ、歪センサ、モーションセンサ、及び/又は加速度センサを有することができる。それぞれのセンサタイプから複数のセンサを設けることもできる。カメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、及び/又はレーダセンサは、特に、車両2の外側周辺を検出するための周辺検出センサ系の構成要素である。
【0052】
乗員位置センサ系13は、例えば、少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、力センサ、歪センサ、モーションセンサ、加速度センサ、重量センサ、接触センサ、特に身体接触センサ、及び/又はシートベルトセンサを有することができる。これらのセンサは、特に、車両2の室内監視システムの構成要素である。それぞれのセンサタイプから複数のセンサを設けることもできる。少なくとも1つの力センサ、歪センサ、モーションセンサ、加速度センサ、重量センサ、及び/又は接触センサ、特に身体接触センサのそれぞれは、例えば着座認識システムの構成要素として、例えば車両シート3上又は内部に配置することができる。少なくとも1つのシートベルトセンサは、車両シート3に割り当てられたシートベルト11の着用状態、すなわち乗員Iがシートベルト11を正しく着用しているか否か、特にシートベルトバックルが係合しているか否かを、特に検出するために用いられる。このシートベルトセンサは、例えば、シートベルトバックルに配置されている。少なくとも1つの接触センサは、例えば、ステアリングホイール、又はテーブル4上或いは内部に配置することができる。少なくとも1つのカメラセンサ、ライダセンサ、超音波センサ、及び/又はレーダセンサのそれぞれは、特に、乗員Iが車両シート3に着座している場合に、その検出範囲が、車両シート3と乗員Iとを、特に考えられるすべての着座位置、シート設定及び向きにおいて包含するように、車両2に配置されている。
【0053】
シート設定センサ系14は、例えば、車両シート3、特にその調整機構に、少なくとも1つのセンサ又は複数のセンサを有することができ、このシート設定センサ系14は、調整機構自体によって形成されていてもよい。
【0054】
アライメントセンサ系15は、乗員位置センサ系13及び/又はシート設定センサ系14と部分的又は完全に同一であってもよく、すなわち上述のセンサの1つ又は複数又はすべてを使用する、或いは同じセンサを有することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 乗員保護装置
2 車両
3 車両シート
4 テーブル
5 コックピット
6 テーブルホルダ
7 センタコンソール
8 エアバッグ
9 テーブルエアバッグ
10 エアバッグフラップ
11 シートベルト
12 衝突センサ系
13 乗員位置センサ系
14 シート設定センサ系
15 アライメントセンサ系
DA 回転軸
I 乗員
P 変位矢印
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【文献】欧州特許出願公開第3640092号明細書
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11