(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】健康管理システム及び健康管理方法
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20250821BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20250821BHJP
A61B 5/0245 20060101ALI20250821BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20250821BHJP
【FI】
A61B10/00 K
A61B5/1455
A61B5/0245 B
A61B5/0245 100B
A61B5/107 300
(21)【出願番号】P 2025042311
(22)【出願日】2025-03-17
【審査請求日】2025-05-13
(31)【優先権主張番号】P 2024078121
(32)【優先日】2024-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】506208908
【氏名又は名称】学校法人兵庫医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 雅啓
(72)【発明者】
【氏名】能登 大典
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太
(72)【発明者】
【氏名】塩本 凌也
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 正紀
(72)【発明者】
【氏名】石原 正治
(72)【発明者】
【氏名】閔 庚徳
(72)【発明者】
【氏名】砂山 勇
(72)【発明者】
【氏名】織原 良行
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/049984(WO,A1)
【文献】特開2024-22122(JP,A)
【文献】特開2018-164692(JP,A)
【文献】特開2017-117004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00
A61B 5/1455
A61B 5/0245
A61B 5/107
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、
前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、
前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、
前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、
前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、
前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、
を実行する
健康管理システム。
【請求項2】
前記判定処理において、
前記第1酸素飽和度の値が、前記第2酸素飽和度の値より小さく、且つ、前記第1酸素飽和度の値と前記第2酸素飽和度の値との差が、予め定められた第1閾値以上である場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項3】
前記第1閾値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値である
請求項2に記載の健康管理システム。
【請求項4】
前記脈拍データ取得処理では、
前記第1計測期間中の脈拍数を第1脈拍数として取得し、且つ、前記第2計測期間中の脈拍数を第2脈拍数として取得し、
前記判定処理において、
前記第1脈拍数が、前記第2脈拍数に対して、予め定められた第2閾値以上大きい場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項5】
前記脈拍データ取得処理では、
前記入浴判定処理において入浴開始が判定される前の入浴前期間での脈拍数を入浴前脈拍数として取得し、且つ、前記入浴判定処理において入浴終了が開始されてから予め定められた規定時間後の脈拍数を入浴後脈拍数として取得し、
前記判定処理において、
前記入浴後脈拍数が、前記入浴前脈拍数に対して予め定められた基準値以上大きい場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項6】
前記第2計測期間は、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから予め定められた特定時間後のタイミングを含み、
前記第2酸素飽和度は、前記特定時間後のタイミングでの前記被験者の血中酸素飽和度であり、
前記判定処理において、
前記第2酸素飽和度から前記第1酸素飽和度を減算した値が、3%以上4%以下の範囲内で定められた所定値以下である場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項7】
前記出力処理では、
前記判定処理での判定結果を、携帯端末に出力することにより実行する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項8】
前記入浴判定処理では、
浴室内に取り付けられた人感センサが、人を感知したことに基づいて前記被験者の入浴開始を判定し、
当該入浴開始を判定した後、前記人感センサが、人を感知しなくなったことに基づいて前記被験者の入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項9】
前記入浴判定処理では、
浴室の前室に取り付けられた人感センサが、人を感知した状態から人を感知しなくなったことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、
当該入浴開始を判定した後、前記人感センサが、人を感知していない状態から人を感知したことに基づいて前記被験者の入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項10】
前記入浴判定処理では、
浴室の扉に取り付けられ、前記浴室の扉の開状態と閉状態とを検出可能な開閉センサが、前記開状態から前記閉状態への切り替わりを検出したことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、
当該入浴開始を判定した後、前記開閉センサが、前記開状態を初めて検出したことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項11】
前記入浴判定処理では、
浴室内に取り付けられた温度センサが検出する温度の正の変化量が、予め定められた第1温度変化量以上になり、
且つ、浴室内に取り付けられた湿度センサが検出する湿度の正の変化量が、予め定められた第1湿度変化量以上になったことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、
前記温度センサが検出する温度の負の変化量が、予め定められた第2温度変化量以上になり、
且つ、前記湿度センサが検出する湿度の負の変化量が予め定められた第2湿度変化量以上になったことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項12】
前記入浴判定処理では、
前記被験者に取り付けられた加速度センサが検出する検出値に基づいて、前記被験者の姿勢を検出し、当該姿勢と予め定められた入浴時の姿勢との類似度に基づいて、前記被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項13】
前記入浴判定処理では、
浴室に取り付けられたマイクロホンがシャワーの音を検出したことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、
前記マイクロホンが、前記シャワーの音を検出した後、予め定められた所定時間に前記シャワーの音を検出しないことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する
請求項1に記載の健康管理システム。
【請求項14】
コンピュータが、
被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、
前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、
前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、
前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、
前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、
前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、
を実行する
健康管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康管理システム及び健康管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の心不全監視装置は、血中酸素飽和度測定手段と、酸素飽和度変動幅算出手段と、心不全警報手段とを備えている。血中酸素飽和度測定手段は、被験者の血中酸素濃度を経時的に測定可能である。また、酸素飽和度変動幅算出手段は、血中酸素飽和度測定手段において測定された血中酸素濃度の変化量を算出する。心不全警報手段は、当該変化量が予め定められた基準値を超えたことに基づいて、心不全の発生に対する警報を示す信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被験者の血中酸素飽和度は、被験者が何らかの行動をすることで変化し得る。また、被験者の血中酸素飽和度の変化の仕方は、被験者の行動の種類によっても変わり得る。この点を考慮せずに、特許文献1に記載の心不全監視装置のように血中酸素濃度の変化量と基準値との比較に基づいて判定したのでは、心不全に関する健康の変化の発生を正確に検知することが難しいという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、被験者の入浴及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行する健康管理システムである。
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、コンピュータが、被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行する健康管理方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、心不全に関する容態の変化をより正確に検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態における健康管理システムの全体構成である。
【
図2】
図2は、心不全の既往のない被験者の血中酸素飽和量の平均値を示す図である。
【
図3】
図3は、心不全の既往のある被験者の血中酸素飽和量の平均値を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における健康管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【
図5】
図5は、再入院経験のない心不全患者を被験者としたときの、入浴終了してから30分間の生体情報の標準偏差を示すグラフである。
【
図6】
図6は、再入院経験のある心不全患者を被験者としたときの、入浴終了してから30分間の生体情報の標準偏差を示すグラフである。
【
図7】
図7は、第2実施形態における健康管理システムの処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、健康管理システムの第1実施形態及び第2実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
<全体構成について>
健康管理システム10は、心不全患者である被験者に対して、心不全に基づく容態に関する判定をするためのシステムである。
【0010】
図1に示すように、健康管理システム10は、生体センサ20と、入浴検知センサ30と、携帯端末40と、サーバ50と、外部端末60と、を備えている。携帯端末40、サーバ50、及び外部端末60は、いずれもコンピュータの一例である。
【0011】
生体センサ20は、被験者の生体情報BIとして、血中酸素飽和度と脈拍数とを測定可能である。本実施形態では、生体センサ20は、パルスオキシメータである。なお、当該パルスオキシメータは、被験者に対して赤色光と赤外光とを照射したときの各光の透過率から血中酸素飽和度及び脈拍数を算出するものが好ましい。また、生体センサ20は、被験者の指先又は手首に取り付け可能なものが好ましい。
【0012】
図示は省略するが、生体センサ20は、記憶部と、通信部とを備えている。なお、これらの記憶部、及び通信部は、1つのチップ、モジュールとして構成されていることもあるし、個別のチップ、モジュールとして構成されていることもある。記憶部は、読み取りのみが可能なROM、読み取り及び書き込みが可能な不揮発性メモリ、読み取り及び書き込みが可能な揮発性メモリ等を含む。この点、以下同様である。
【0013】
記憶部は、検出した生体情報BIを記憶する。通信部は、外部機器と通信可能である。通信部の通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。生体センサ20は、通信部を介して、記憶部に記憶された生体情報BIを、外部機器に対して送信可能である。
【0014】
生体センサ20は、当該生体センサ20の電源がオンのとき、予め定められた所定の間隔、例えば、3分毎に生体情報BIを測定する。すなわち、生体センサ20は、所定の間隔毎に被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を検出する。生体センサ20は、測定した生体情報BIを記憶部に記憶する。そして、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。
【0015】
入浴検知センサ30は、本実施形態では、浴室内における人の有無を検出する人感センサである。当該人感センサは、例えば、検出エリア内の熱源の温度変化を検出する焦電型赤外線センサである。また、当該人感センサは、浴室内の電球等に組み込まれたものであってもよい。図示は省略するが、入浴検知センサ30は、通信部を備えている。通信部は、外部機器と通信可能である。通信部の通信の方式は、例えば、Bluetooth(登録商標)である。
【0016】
入浴検知センサ30は、浴室内に人がいると検出した場合、検出信号を携帯端末40に送信する。また、入浴検知センサ30は、浴室内に人がいないと検出した場合、非検出信号を携帯端末40に送信する。入浴検知センサ30は、通信部を介して、検出信号及び非検出信号を、携帯端末40に対して通信で送信可能である。
【0017】
携帯端末40は、本実施形態では、スマートフォンである。携帯端末40は、例えば、被験者が所有しているものである。図示は省略するが、携帯端末40は、記憶部と、第1通信部と、第2通信部と、を備えている。本実施形態において、第1通信部の通信の方式は、Bluetooth(登録商標)である。第2通信部の通信の方式は、携帯電話通信網を利用した方式である。したがって、携帯端末40の第2通信部の通信可能範囲は、第1通信部の通信可能範囲よりも広くなっている。
【0018】
携帯端末40は、第1通信部を介して、生体センサ20から生体情報BIを取得可能である。また、携帯端末40は、第1通信部を介して、入浴検知センサ30から検出信号及び非検出信号を取得可能である。また、携帯端末40は、記憶部にこれらの生体情報BI、検出信号、及び非検出信号を記憶可能である。
【0019】
携帯端末40は、第2通信部を介して、当該携帯端末40の記憶部に記憶されている生体情報BI、検出信号、及び非検出信号をサーバ50に送信可能である。
サーバ50は、図示は省略するが、制御部と記憶部と通信部とを有している。具体的には、制御部はCPUである。通信部の通信方式は、携帯電話通信網を利用した方式である。サーバ50は、記憶部に記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。また、サーバ50は、通信用の処理を実行することにより、携帯端末40に向けて信号を送信可能である。
【0020】
サーバ50は、入浴判定処理を実行可能である。入浴判定処理は、被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する処理である。具体的には、サーバ50は、検出信号を取得することにより、被験者が入浴したと判定する。また、サーバ50は、非検出信号を取得することにより被験者が入浴終了したと判定する。上述したように、検出信号は、浴室内に人がいると検出した場合に、入浴検知センサ30から送信される信号である。また、非検出信号は、浴室内に人がいないと検出した場合に、入浴検知センサ30から送信される信号である。そのため、入浴判定処理では、入浴検知センサ30が、人を感知したことに基づいて被験者の入浴開始を判定し、入浴開始を判定した後、入浴検知センサ30が、人を感知しなくなったことに基づいて被験者の入浴終了を判定する処理である。なお、「サーバ50が実行可能」とは、サーバ50の制御部が実行可能であることを示す。以降の説明についても同様である。
【0021】
サーバ50は、第1取得処理を実行可能である。ここで、入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とする。本実施形態では、第1計測期間は、入浴期間の全体である。サーバ50は、第1取得処理において、記憶部に記憶されている複数の生体情報BIの中から、第1計測期間中の被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、当該第1計測期間における生体情報BIに含まれる血中酸素飽和度の平均値を第1酸素飽和度として取得する。
【0022】
サーバ50は、第2取得処理を実行可能である。ここで、入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とする。換言すると、第2計測期間は、被験者の入浴前の期間及び入浴後の期間における少なくとも一部の期間である。本実施形態では、第2計測期間は、入浴前において生体センサ20の電源がオンになってから、入浴判定処理において入浴開始と判定されるまでの期間である。サーバ50は、第2取得処理において、記憶部に記憶されている複数の生体情報BIの中から、第2計測期間中の被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、当該第2計測期間における生体情報BIに含まれる血中酸素飽和度の平均値を、第2酸素飽和度として取得する。
【0023】
サーバ50は、脈拍データ取得処理を実行可能である。脈拍データ取得処理は、被験者の脈拍数を取得する処理である。具体的には、サーバ50は、記憶部に記憶されている複数の生体情報BIの中から、第1計測期間中の被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、当該第1計測期間における生体情報BIに含まれる脈拍数の平均値を第1脈拍数として取得する。また、サーバ50は、記憶部に記憶されている複数の生体情報BIの中から、第2計測期間中の被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、当該第2計測期間における生体情報BIに含まれる脈拍数の平均値を第2脈拍数として取得する。
【0024】
サーバ50は、判定処理を実行可能である。判定処理は、第1酸素飽和度の値、第2酸素飽和度の値、及び、脈拍数の変化に基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う処理である。例えば、サーバ50は、判定処理において、第1条件と第2条件との双方が満たされた場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。また、サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件のいずれか一方、又は双方が満たされなかった場合には、被験者の心不全の容態が悪化していないと判定する。
【0025】
第1条件は、第1酸素飽和度の値が第2酸素飽和度の値より小さく、且つ、第1酸素飽和度の値と第2酸素飽和度の値との差が、予め定められた第1閾値以上であることである。また、第2条件は、第1脈拍数が、第2脈拍数に対して、予め定められた第2閾値以上大きいことである。なお、上述した第1閾値及び第2閾値は、実験等において被験者の心不全の容態の悪化がみられたときの値として定めることができる。例えば、第1閾値は、4.5%である。すなわち、第1閾値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値である。また、例えば、第2閾値は、30回/分である。
【0026】
サーバ50は、出力処理を実行可能である。出力処理は、判定処理における判定結果を出力する処理である。具体的には、サーバ50は、出力処理では、判定処理での判定結果を、携帯端末40、及び外部端末60に出力する。
【0027】
外部端末60は、本実施形態では、病院に備え付けられたPCである。図示は省略するが、外部端末60は、通信部を備えている。本実施形態において、通信部の通信の方式は、携帯電話通信網を利用した方式である。外部端末60は、通信部を介して、サーバ50から信号を受信可能である。
【0028】
<第1閾値について>
図2に示すように、9つの状態において、心不全の既往のない被験者の血中酸素飽和度を測定し、その上で、各状態の平均値を算出した。1つ目の状態は、被験者の1日全体を平均した状態である。2つ目の状態は、非入浴時の状態である。3つ目の状態は、入浴中の状態である。4つ目の状態は、入浴終了してから30分後の状態である。5つ目の状態は、被験者の入浴後、且つ日中の状態である。6つ目の状態は、就寝中の状態である。7つ目の状態は、起床後の状態である。8つ目の状態は、6分間歩行テスト中の状態である。9つ目の状態は、6分間歩行テスト終了から30分後の状態である。なお、6分間歩行テストとは、被験者が平地を6分間に亘って歩行することにより行われる。
【0029】
図2に示すように、心不全の既往のない被験者の場合、各状態において、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、95%以上であった。すなわち、心不全の既往のない被験者の場合、入浴中においても、著しい血中酸素飽和度の低下はみられなかった。
【0030】
図3に示すように、9つの状態において、心不全の既往のある被験者の血中酸素飽和度を測定し、その上で、各状態での平均値を算出した。9つの状態は
図2で示す状態と同じである。
図3に示すように、1つ目の状態、2つ目の状態、5つ目の状態、6つ目の状態、7つ目の状態、9つ目の状態においては、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、95%以上であった。
【0031】
一方で、8つ目の状態、すなわち被験者が6分間歩行中の状態においては、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、93%以下であった。このように、実験により、心不全の既往のある被験者の場合、6分間歩行テスト中において、血中酸素飽和度が低下することが分かった。
【0032】
また、3つ目の状態、すなわち被験者が入浴中の状態においては、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、91%以下であった。すなわち、心不全の既往のある被験者の場合、6分間歩行テスト中だけでなく、入浴中においても、6分間歩行テストと同等以上に血中酸素飽和度が低下することが分かった。
【0033】
また、2つ目の状態、すなわち被験者の非入浴時においては、血中酸素飽和度の平均値は、95.5%以上である。そのため、入浴中の血中酸素飽和度の平均値と非入浴時の血中酸素飽和度の平均値とを比較すると、4.5%以上の差がみられた。このような測定結果により、第1閾値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値であることが好ましい。
【0034】
<健康管理システムが実行する処理について>
図4を参照して、健康管理システム10が実行する処理の一例を説明する。
先ず、被験者に取り付けられた生体センサ20の電源をオンにする。生体センサ20は、3分毎に、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を生体情報BIとして測定する。生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。なお、
図4において、生体センサ20から携帯端末40への生体情報BIの送信の一部を省略して図示している。
【0035】
そして、携帯端末40は、生体情報BIを受信する毎に、第2通信部を介して生体情報BIをサーバ50に送信する。サーバ50は、生体情報BIを記憶する。なお、
図4において、携帯端末40からサーバ50への生体情報BIの送信の一部を省略して図示している。
【0036】
ある時点において、被験者が入浴開始したとする。すなわち、被験者が浴室に入室したとする。入浴検知センサ30は、被験者が入浴開始したことを検出し、通信部を介して検出信号を携帯端末40に対して送信する。
【0037】
そして、携帯端末40は、受信した検出信号を、第2通信部を介してサーバ50に送信する。そして、サーバ50は、生体センサ20から検出信号を取得することにより、入浴判定処理実行する。換言すると、サーバ50は、検出信号を取得することにより、被験者が入浴開始したと判定する。
【0038】
ここで、サーバ50は、入浴開始の判定に応じて、第2取得処理及び脈拍データ取得処理を実行する。サーバ50は、第2取得処理において、前回の入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部の第2計測期間において、被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する。なお、上述したおり、第2計測期間は、入浴前において生体センサ20の電源がオンになってから、入浴判定処理において入浴開始と判定されるまでの期間である。
【0039】
サーバ50は、第2取得処理において、先ず、取得した生体情報BIの中から、第2計測期間の血中酸素飽和度を抽出する。そして、サーバ50は、第2取得処理において、抽出した血中酸素飽和度の平均値を第2酸素飽和度として取得する。また、サーバ50は、第2取得処理において、脈拍データ取得処理として、先ず、取得した生体情報BIの中から、第2計測期間の脈拍数を抽出する。そして、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、抽出した脈拍数の平均値を第2脈拍数として取得する。
【0040】
生体センサ20は、サーバ50で入浴開始が判定された後も、入浴前と同様に、3分毎に、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を生体情報BIとして測定する。そして、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。そして、携帯端末40は、生体情報BIを受信する毎に、第2通信部を介して生体情報BIをサーバ50に送信する。
【0041】
ある時点において、被験者が入浴終了したとする。すなわち、被験者が浴室から退出したとする。入浴検知センサ30は、被験者が入浴終了したことを検出し、通信部を介して非検出信号を、携帯端末40に対して送信する。
【0042】
そして、携帯端末40は、非検出信号を、第2通信部を介してサーバ50に送信する。そして、サーバ50は、生体センサ20から非検出信号を取得することにより、入浴判定処理を実行する。換言すると、サーバ50は、非検出信号を取得することにより、被験者が入浴終了したと判定する。そして、サーバ50は、被験者の入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの期間を、第1計測期間として取り扱う。
【0043】
サーバ50は、入浴終了の判定に応じて、第1取得処理及び脈拍データ取得処理を実行する。換言すると、入浴期間の少なくとも一部の第1計測期間において、サーバ50は、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を取得する。
【0044】
サーバ50は、第1取得処理において、先ず、取得した生体情報BIの中から、第1計測期間の血中酸素飽和度を抽出する。そして、サーバ50は、第1取得処理において、抽出した血中酸素飽和度の平均値を第1酸素飽和度として取得する。また、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、取得した生体情報BIの中から、第1計測期間の脈拍数を抽出する。そして、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、抽出した脈拍数の平均値を第1脈拍数として取得する。
【0045】
サーバ50は、判定処理を実行する。具体的には、第1酸素飽和度が、第2酸素飽和度に対して、第1閾値以上小さいか否かを判定する。すなわち、サーバ50は、上述した第1条件が満たされているか否かを判定する。
【0046】
さらに、サーバ50は、第1脈拍数が、第2脈拍数に対して、第2閾値以上大きいか否かを判定する。すなわち、サーバ50は、上述した第2条件が満たされているか否かを判定する。
【0047】
サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件の双方が満たされた場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。また、サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件のいずれか一方、又は双方が満たされなかった場合には、被験者の心不全の容態が悪化していないと判定する。なお、本実施形態において「被験者の心不全の容態の悪化」は、悪化そのものに加え、悪化の予兆を含む。
【0048】
サーバ50は、出力処理を実行する。サーバ50は、出力処理において、判定処理での判定結果を、携帯端末40に出力することにより実行する。例えば、判定結果が「被験者の心不全の容態が悪化」である場合、サーバ50は、第1信号を携帯端末40に対して送信する。そして、携帯端末40は、第1信号を受信することにより、被験者の心不全の容態が悪化している旨を示す文字及び画像等を当該携帯端末40が有するディスプレイに表示する。また、携帯端末40は、第1信号を受信することにより、上記旨を示す文字及び画像等と共に、通院を促す等の旨を示す文字及び画像等をディスプレイに表示してもよい。また、例えば、判定結果が「被験者の心不全の容態が悪化していない」である場合、サーバ50は、第2信号を携帯端末40に対して送信する。そして、携帯端末40は、第2信号を受信することにより、被験者の心不全の容態が悪化していない旨を示す文字及び画像等を当該携帯端末40が有するディスプレイに表示する。なお、サーバ50は、出力処理において、判定結果を外部端末60にも出力する。外部端末60は、携帯端末40と同様に、外部端末60が有するディスプレイ又は外部端末60に接続されているディスプレイに、判定結果を出力する。
【0049】
<第1実施形態の効果>
(1-1)上記実施形態では、第1酸素飽和度、第2酸素飽和度、及び脈拍データに基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う。上述したように、被験者に心不全の既往がある場合、入浴中と非入浴時とで生体情報BIに心不全の既往がない被験者では見られないような変化が生じる。上記実施形態では、判定処理において第1酸素飽和度の値、第2酸素飽和度の値、及び、第1脈拍数と第2脈拍数との比較結果に基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定が行われる。そのため、心不全の容態の悪化をより正確に検知できる。
【0050】
(1-2)上記実施形態では、サーバ50は、判定処理において、第1酸素飽和度の値が第2酸素飽和度の値より小さく、且つ、第1酸素飽和度の値と第2酸素飽和度の値との差が、予め定められた第1閾値以上である場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。すなわち、入浴における血中酸素飽和度の低下が、心不全の容態の悪化に基づく低下であることを、より正確に判定できる。
【0051】
(1-3)上記実施形態では、第1閾値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値である。この第1閾値の範囲によれば、上述したように、入浴に基づく心不全の容態の悪化であることをより正確に評価できる。
【0052】
(1-4)上記実施形態では、サーバ50は、判定処理において、第1脈拍数が、第2脈拍数に対して、予め定められた第2閾値以上大きい場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。すなわち、入浴前後における脈拍の変化が、心不全に基づく低下であることを、より正確に判定できる。
【0053】
(1-5)上記実施形態では、サーバ50は、出力処理において、判定処理での判定結果を、携帯端末40に出力することにより実行する。これにより、被験者自身が、心不全の容態について確認できる。
【0054】
(1-6)上記実施形態では、サーバ50は、入浴判定処理において、入浴検知センサ30が、人を感知した状態から人を感知しなくなったことに基づいて、被験者の入浴開始を判定する。また、サーバ50は、入浴開始を判定した後、入浴検知センサ30が、人を感知していない状態から人を感知したこと基づいて被験者の入浴終了を判定する。このように入浴判定処理を自動で行うことにより、上述したようなタイミングの入力忘れを防止できるため、判定処理における判定がより正確なものとなる。
【0055】
(第2実施形態)
以下、健康管理システムの第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と同様の構成については記載を省略又は簡略化して説明する。
【0056】
生体センサ20は、当該生体センサ20の電源がオンのとき、予め定められた所定の間隔、例えば、数十秒毎に生体情報BIを測定する。すなわち、生体センサ20は、所定の間隔毎に被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を検出する。生体センサ20は、測定した生体情報BIを記憶部に記憶する。そして、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。
【0057】
サーバ50は、第1取得処理を実行可能である。ここで、入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とする。本実施形態では、第1計測期間は、入浴期間の全体である。サーバ50は、第1取得処理において、記憶部に記憶されている複数の生体情報BIの中から、第1計測期間中の被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、第1取得処理において当該第1計測期間における生体情報BIに含まれる血中酸素飽和度の平均値を第1酸素飽和度として取得する。
【0058】
サーバ50は、第2取得処理を実行可能である。ここで、入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とする。換言すると、第2計測期間は、被験者の入浴前の期間及び入浴後の期間における少なくとも一部の期間である。本実施形態では、第2計測期間は、入浴終了が判定されてから生体センサ20の電源がオフにされるまでの期間である。また、第2計測期間は、入浴判定処理において入浴終了が判定されてから予め定められた特定時間後のタイミングを含んでいる。特定時間は、例えば、30分である。サーバ50は、第2取得処理において、第2計測期間中の被験者の生体情報BIのうち、入浴終了が判定されてから30分後のタイミングに最も近い生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、第2取得処理において、抽出した生体情報BIに含まれる血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する。
【0059】
サーバ50は、脈拍データ取得処理を実行可能である。脈拍データ取得処理は、被験者の脈拍数を取得する処理である。具体的には、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、入浴判定処理において入浴開始が判定される前の入浴前期間での生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、当該入浴前期間における生体情報BIに含まれる脈拍数の平均値を入浴前脈拍数として取得する。なお、サーバ50は、入浴判定処理において入浴終了を検出した後に、予め定められた所定期間経過後、当該判定をリセットする。そして、サーバ50は、リセット後において、次に入浴開始が判定されるまでの期間を入浴前期間として定めている。また、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、入浴判定処理において入浴終了が開始されてから予め定められた規定時間後のタイミングに最も近い生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、抽出した生体情報BIに含まれる脈拍数を入浴後脈拍数として取得する。本実施形態においては、上記規定時間は、10分である。なお、ここでいう規定時間後とは、規定時間が経過したその時点も、規定時間が経過した後のいずれかの時点も、含むものである。
【0060】
サーバ50は、判定処理を実行可能である。判定処理は、第1酸素飽和度の値、第2酸素飽和度の値、及び、脈拍数の変化に基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う処理である。例えば、サーバ50は、判定処理において、第1条件と第2条件との双方が満たされた場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。また、サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件のいずれか一方、又は双方が満たされなかった場合には、被験者の心不全の容態が良好であると判定する。
【0061】
第1条件は、入浴後脈拍数が、入浴前脈拍数に対して予め定められた基準値以上大きいことである。第2条件は、第2酸素飽和度から第1酸素飽和度を減算した値が、3%以上4%以下の範囲内で定められた所定値以下であることである。なお、上述した基準値及び所定値は、実験等において被験者の心不全の容態の悪化がみられたときの値として定めることができる。
【0062】
<基準値について>
上述したように、
図2に示すように、心不全の既往のない被験者の場合、各状態において、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、95%以上であった。
【0063】
図3に示すように、心不全の既往のある被験者の場合、1つ目の状態、2つ目の状態、5つ目の状態、6つ目の状態、7つ目の状態、9つ目の状態においては、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、95%以上であった。
【0064】
上述したように、3つ目の状態、すなわち被験者が入浴中の状態においては、被験者の血中酸素飽和度の平均値は、91%以下であった。また、4つ目の状態、すなわち被験者が入浴終了してから30分後の状態においては、血中酸素飽和度は、94%以上95%以下であった。そのため、入浴中の血中酸素飽和度の平均値と、入浴終了してから30分後の血中酸素飽和度とを比較すると、3%以上4%以下の差がみられた。このような測定結果により、基準値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値であることが好ましい。
【0065】
<特定タイミングについて>
心不全での再入院経験なしの患者を被験者として、入浴前における数十分間の脈拍数の分布及び血中酸素飽和度の分布を調べた。そして、
図5に示すように、同じ患者を被験者として、入浴後から30分間の脈拍数及び血中酸素飽和度の値が、入浴前の各値の分布上の平均値からどれだけはずれているかを、標準偏差のかたちで算出した。
図5において、破線は脈拍の推移を示し、実線は血中酸素飽和度の推移を示している。基準値は、入浴前における当該被験者の数十分間の測定値の平均値とした。
図5に示すグラフでは、脈拍数の標準偏差が0より小さい場合、入浴前の平均値よりも値が小さいことを示している。脈拍数の標準偏差が0より大きい場合、入浴前の平均値よりも値が大きいことを示している。また、血中酸素飽和度の標準偏差が0より小さい場合、入浴前の平均値よりも血中酸素飽和度が小さいことを示している。血中酸素飽和度の標準偏差が0より大きい場合、入浴前の平均値よりも血中酸素飽和度が大きいことを示している。
【0066】
図5に示すように、被験者が、心不全での再入院経験のない患者である場合、心拍数の標準偏差は、0~約600秒において変動しながら0に近づいた。そして、心拍数の標準偏差は、約600秒、すなわち約10分において、1未満の値となった。すなわち、被験者が再入院経験なしの心不全患者である場合、入浴終了してから10分後の脈拍数と入浴前の脈拍数とを比較すると、大きく乖離していないことが分かった。
【0067】
また、被験者が心不全での再入院経験のない患者である場合、血中酸素飽和度の標準偏差は、0~約600秒において変動しながら0に近づいた。そして、約600秒、すなわち約10分において、血中酸素飽和度の標準偏差は0に近い値を示した。また、当該被験者の場合、約1200秒、すなわち約20分においても同様に、血中酸素飽和度の標準偏差は0に近い値を示した。すなわち、被験者が再入院経験なしの心不全患者である場合、入浴終了してから10分後及び20分後の血中酸素飽和度と入浴前の血中酸素飽和度とを比較すると、大きく乖離していないことが分かった。また、当該被験者の場合、0~600秒の期間において、血中酸素飽和度の標準偏差は、負の値から始まり、途中で正の値を示すこともあった。
【0068】
図6に示すように、心不全での再入院経験ありの患者を被験者として、入浴後から30分間の脈拍数及び血中酸素飽和度の標準偏差を、
図5に示す例と同様に算出した。
図6において破線は脈拍の推移を示し、実線は血中酸素飽和度の推移を示している。基準値は、
図5に示す例と同様にして定めた。被験者が再入院経験ありの心不全患者である場合、脈拍数の標準偏差は、約600秒、すなわち約10分において、1以上であった。換言すると、被験者が再入院経験ありの心不全患者である場合、入浴前の脈拍数の平均値を基準としたとき、入浴終了してから10分後の脈拍数は、基準に対して比較的に大きくなっている。このように、入浴終了してから10分後の脈拍数と入浴前の脈拍数とを比較すると、心不全の症状がみられやすい再入院経験ありの心不全患者では、入浴終了してから10分後の脈拍数が、入浴前の脈拍数よりも大きいことが分かった。
【0069】
また、被験者が、心不全での再入院経験のある患者である場合、約600秒、すなわち約10分において、血中酸素飽和度の標準偏差は、マイナス0.5程度であった。そして、当該被験者の場合、約1200秒、すなわち約20分においても同様に、血中酸素飽和度の標準偏差は負の値であった。このように、心不全の症状がみられやすい再入院経験ありの心不全患者では、入浴終了してから10分後及び20分後の血中酸素飽和度が、入浴前の血中酸素濃度よりも小さいことが分かった。
【0070】
また、当該被験者の場合、0~約600秒の期間において、血中酸素飽和度の標準偏差は、全体として負の値であった。換言すると、被験者が再入院経験ありの心不全患者である場合、入浴前の血中酸素飽和度の平均値を基準としたとき、入浴終了してから10分間の血中酸素飽和度は、全体として基準に対して小さくなっていた。
【0071】
<健康管理システムが実行する処理について>
図7を参照して、健康管理システム10が実行する処理の一例を説明する。なお、コンピュータとしての携帯端末40、サーバ50、及び外部端末60が、協調して各処理を実行することにより、各処理からなる健康管理方法が実現される。
【0072】
先ず、心不全患者である被験者に取り付けられた生体センサ20の電源をオンにする。生体センサ20は、数十秒毎に、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を生体情報BIとして測定する。生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。なお、
図7において、生体センサ20から携帯端末40への生体情報BIの送信の一部を省略して図示している。
【0073】
そして、携帯端末40は、生体情報BIを受信する毎に、第2通信部を介して生体情報BIをサーバ50に送信する。サーバ50は、生体情報BIを記憶する。なお、
図7において、携帯端末40からサーバ50への生体情報BIの送信の一部を省略して図示している。
【0074】
ある時点において、被験者が入浴開始したとする。すなわち、被験者が浴室に入室したとする。入浴検知センサ30は、被験者が入浴開始したことを検出し、通信部を介して検出信号を携帯端末40に対して送信する。
【0075】
そして、携帯端末40は、受信した検出信号を、第2通信部を介してサーバ50に送信する。そして、サーバ50は、生体センサ20から検出信号を取得することにより、入浴判定処理を実行する。換言すると、サーバ50は、検出信号を取得することにより、被験者が入浴開始したと判定する。
【0076】
一方、サーバ50は、入浴開始の判定に応じて、脈拍データ取得処理を実行する。換言すると、サーバ50は、入浴開始が判定される前の入浴前期間での脈拍数を入浴前脈拍数として取得する。具体的には、サーバ50は、記憶部に記憶されている入浴前期間での被験者の生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、抽出した生体情報BIに含まれる脈拍数の平均値を入浴前脈拍数として取得する。
【0077】
生体センサ20は、入浴前と同様に、数十秒毎に、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を生体情報BIとして測定する。そして、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。そして、携帯端末40は、生体情報BIを受信する毎に、第2通信部を介して生体情報BIをサーバ50に送信する。
【0078】
ある時点において、被験者が入浴終了したとする。すなわち、被験者が浴室から退出したとする。入浴検知センサ30は、被験者が入浴終了したことを検出し、通信部を介して非検出信号を、携帯端末40に対して送信する。
【0079】
そして、携帯端末40は、非検出信号を、第2通信部を介してサーバ50に送信する。そして、サーバ50は、生体センサ20から非検出信号を取得することにより、入浴判定処理実行する。換言すると、サーバ50は、非検出信号を取得することにより、被験者が入浴終了したと判定する。
【0080】
サーバ50は、入浴終了の判定に応じて、第1取得処理を実行する。換言すると、入浴期間の少なくとも一部の第1計測期間において、サーバ50は、被験者の血中酸素飽和度を取得する。具体的には、サーバ50は、取得した生体情報BIの中から、第1計測期間の血中酸素飽和度を抽出する。そして、サーバ50は、抽出した血中酸素飽和度の最小値を第1酸素飽和度として取得する。
【0081】
次に、生体センサ20は、入浴中と同様に、数十秒毎に、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を生体情報BIとして測定する。そして、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に生体情報BIを携帯端末40に送信する。そして、携帯端末40は、生体情報BIを受信する毎に、第2通信部を介して生体情報BIをサーバ50に送信する。
【0082】
サーバ50は、入浴終了から30分が経過したことに応じて、第2取得処理及び脈拍データ取得処理を実行する。換言すると、入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの期間の少なくとも一部の第2計測期間において、サーバ50は、被験者の血中酸素飽和度及び脈拍数を取得する。上述したとおり、第2計測期間は、入浴終了が判定されてから生体センサ20の電源がオフにされるまでの期間である。したがって、生体センサ20の電源が30分以内にオフにされない限り、第2計測期間は、入浴判定処理において入浴終了が判定されてから予め定められた特定時間後のタイミングである30分を含んでいる。具体的には、サーバ50は、第2取得処理において、第2計測期間中の被験者の生体情報BIのうち、入浴終了が判定されてから30分後のタイミングに最も近い生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、第2取得処理において、抽出した生体情報BIに含まれる血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する。
【0083】
また、サーバ50は、入浴判定処理において、入浴終了が開始されてから予め定められた規定時間後の脈拍数を入浴後脈拍数として取得する。規定時間は、10分である。すなわち、規定時間は、第2計測期間に含まれている。具体的には、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、第2計測期間中の被験者の生体情報BIのうち、入浴終了が判定されてから10分後のタイミングに最も近い生体情報BIを抽出する。その上で、サーバ50は、脈拍データ取得処理において、抽出した生体情報BIに含まれる脈拍数を入浴後脈拍数として取得する。
【0084】
サーバ50は、判定処理を実行する。サーバ50は、第2酸素飽和度から第1酸素飽和度を減算した値が、3%以上4%以下の範囲内で定められた所定値以下であるか否かを判定する。所定値は、例えば3.5%である。すなわち、サーバ50は、第1条件が満たされているか否かを判定する。
【0085】
さらに、サーバ50は、入浴後脈拍数が、入浴前脈拍数に対して予め定められた基準値以上大きいか否かを判定する。すなわち、サーバ50は、第2条件が満たされているか否かを判定する。
【0086】
サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件の双方が満たされた場合に、被験者の心不全の容態が悪化していると判定する。また、サーバ50は、判定処理において、第1条件及び第2条件のいずれか一方、又は双方が満たされなかった場合には、被験者の心不全の容態が悪化していないと判定する。
【0087】
サーバ50は、出力処理を実行する。サーバ50は、出力処理において、判定処理での判定結果を、携帯端末40に出力することにより実行する。例えば、判定結果が「被験者の心不全の容態が悪化」である場合、サーバ50は、第1信号を携帯端末40に対して送信する。そして、携帯端末40は、第1信号を受信することにより、被験者の心不全の容態が悪化している旨を示す文字及び画像等を当該携帯端末40が有するディスプレイに表示する。また、携帯端末40は、第1信号を受信することにより、上記旨を示す文字及び画像等と共に、通院を促す等の旨を示す文字及び画像等をディスプレイに表示してもよい。また、例えば、判定結果が「被験者の心不全の容態が悪化していない」である場合、サーバ50は、第2信号を携帯端末40に対して送信する。そして、携帯端末40は、第2信号を受信することにより、被験者の心不全の容態が悪化していない旨を示す文字及び画像等を当該携帯端末40が有するディスプレイに表示する。なお、サーバ50は、出力処理において、判定結果を外部端末60にも出力する。外部端末60は、携帯端末40と同様に、当該外部端末60が有するディスプレイ又は外部端末60に接続されているディスプレイに、判定結果を出力する。
【0088】
<第2実施形態の効果について>
(2-1)第2実施形態では、サーバ50は、判定処理において、入浴後脈拍数が、入浴前脈拍数に対して予め定められた基準値以上大きい場合に、被験者の心不全に基づく容態の悪化を判定する。上述したように、再入院無しの心不全患者と再入院有りの心不全患者とで、入浴前の脈拍数の平均値を基準としたときに、入浴10分後の脈拍数は、基準に対して大きくなっている。したがって、上記構成によれば、入浴の影響を判定に加味できる。
【0089】
(2-2)第2実施形態では、サーバ50は、判定処理において、第2酸素飽和度から第1酸素飽和度を減算した値が、3%以上4%以下の範囲内で定められた所定値以下である場合に、被験者の心不全に基づく容態が悪化していると判定する。このような判定によれば、上述したように、入浴に起因する心不全の容態の悪化であることをより正確に評価できる。
【0090】
<変更例>
上記第1実施形態、第2実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0091】
<全体構成の変更例について>
・第1実施形態及び第2実施形態において、携帯端末40は、被験者が有するものでなくてもよい。また、判定結果の出力先は、スマートフォンに限らず、通信可能なものであればよい。すなわち、携帯端末40に代えて、デスクトップパソコンなどであってもよい。
【0092】
・第1実施形態及び第2実施形態において、生体センサ20、携帯端末40、サーバ50、外部端末60の通信方法は、上記実施形態の例に限定されない。例えば、通信方法は、IEEE 802.11等の諸規格によって定められるものであってもよい。また、通信方法は、無線通信に限らない。例えば、生体センサ20と携帯端末40とが有線接続によって通信可能であってもよい。また、生体センサ20は、携帯端末40との通信機能を有していなくてもよい。その場合、例えば、生体センサ20は、当該生体センサ20に対応するクレードルに対して通信可能であり、当該クレードルが有線方式で携帯端末40と通信可能であればよい。このように、生体センサ20が携帯端末40と通信するための通信部を有していない場合、その分だけ生体センサ20を小型に設計可能である。
【0093】
・第1実施形態及び第2実施形態において、生体センサ20は、パルスオキシメータに限定されない。生体センサ20は、血中酸素飽和度及び脈拍数が測定可能なものであればよい。また、生体センサ20は、血中酸素飽和度及び脈拍数に加え、例えば、体温、呼吸数などの他のパラメータを検出可能であってもよい。さらに、健康管理システム10は、複数の生体センサ20を備え、血中酸素飽和度を測定するものと、脈拍数を測定するものとが別の生体センサ20によって構成されていてもよい。なお、第1実施形態及び第2実施形態において、「脈拍数」とは、便宜的に、心臓の収縮により数えることのできる脈動の数のことを示しており、心臓の脈動の数である心拍数も含んでいる。
【0094】
・第1実施形態及び第2実施形態において、生体センサ20が生体情報BIの測定を開始及び終了するのは、電源のオンオフ以外のタイミングでもよい。例えば、サーバ50が携帯端末40を介して計測開始の信号を送信することにより、生体センサ20は生体情報BIの測定を開始してもよい。また、例えば、入浴判定処理において被験者の入浴開始が判定されたことにより、生体センサ20が生体情報BIの測定を開始してもよい。
【0095】
・第1実施形態及び第2実施形態において、生体センサ20の測定間隔は上記実施形態の例に限定されない。生体センサ20は、任意のタイミングで生体情報BIを取得可能であればよい。また、生体センサ20は、第1計測期間において少なくとも1度、また、第2計測期間において少なくとも1度測定を実行すればよい。また、例えば、サーバ50は、第2計測期間における血中酸素飽和度のデータを第2酸素飽和度として記憶しておき、当該第2酸素飽和度を、別の日に測定した第1酸素飽和度と比較してもよい。すなわち、第2取得処理と第1取得処理とが同日に実行されていなくてもよい。
【0096】
・第1実施形態及び第2実施形態において、生体センサ20は、生体情報BIを測定する毎に携帯端末40に生体情報BIを送信しなくてもよい。生体センサ20が有する記憶部に複数の生体情報BIを記憶しておき、所定の間隔毎に生体情報BIを送信してもよい。この点、携帯端末40も同様である。携帯端末40は、複数の生体情報BIをまとめてサーバ50に送信してもよい。
【0097】
・第1実施形態及び第2実施形態において、健康管理システム10は、生体センサ20、携帯端末40、サーバ50、外部端末60を備えるものに限らない。健康管理システム10におけるいずれかの構成品が、入浴判定処理、第1取得処理、第2取得処理、脈拍データ取得処理、判定処理、及び出力処理を実行可能であればよい。また、これらの処理は、1つの構成品によって実行されていてもよいし、別の構成品によって実行されていてもよい。例えば、第1実施形態において、生体センサ20が入浴判定処理を実行し、携帯端末40が第1取得処理、第2取得処理、及び脈拍データ取得処理を実行し、サーバ50が判定処理及び出力処理を実行してもよい。
【0098】
<入浴検知センサ及び入浴判定処理の変更例について>
・第1実施形態及び第2実施形態において、入浴検知センサ30は、被験者の入浴を検出可能なものであれば適宜変更可能である。
【0099】
例えば、入浴検知センサ30は、浴室の扉に取り付けられ、浴室の扉の開状態と閉状態とを検出可能な開閉センサであってもよい。その場合、例えば、サーバ50は、入浴判定処理において、開閉センサが、浴室の扉の開状態から閉状態に切り替わりを検出したことに基づいて、被験者の入浴開始を判定すればよい。また、サーバ50は、入浴判定処理において、入浴開始を判定したのち、開閉センサが開状態を初めて検出したことに基づいて被験者の入浴終了を判定すればよい。
【0100】
・また、例えば、入浴検知センサ30は、浴室内に取り付けられた温度センサ及び浴室内に取り付けられた湿度センサであってもよい。その場合、例えば、サーバ50は、入浴判定処理において、温度センサが検出する温度の正の変化量が、予め定められた第1温度変化量以上になり、且つ湿度センサが検出する湿度の正の変化量が、予め定められた第1湿度変化量以上になったことに基づいて、被験者の入浴開始を判定すればよい。また、サーバ50は、入浴判定処理において、温度センサが検出する温度の負の変化量が、予め定められた第2温度変化量以上になり、且つ、湿度センサが検出する湿度の負の変化量が予め定められた第2湿度変化量以上になったことに基づいて、被験者の入浴終了を判定すればよい。なお、第1温度変化量、第2温度変化量、第1湿度変化量、及び第2湿度変化量は、実験などにおいて入浴開始及び入浴終了における各変化量を測定し、当該測定値に基づいて定めればよい。
【0101】
・また、例えば、入浴検知センサ30は、被験者に取り付けられた加速度センサであってもよい。例えば、加速度センサは、いわゆるスマートウォッチ、スマートバンドなどと呼称されるウェアラブルデバイス内に備えられたものを適用できる。その場合、例えば、サーバ50は、入浴判定処理において、加速度センサが検出する検出値に基づいて、被験者の姿勢を検出し、当該姿勢と予め定められた入浴時の姿勢との類似度に基づいて、被験者の入浴開始及び入浴終了を判定すればよい。
【0102】
・また、例えば、入浴検知センサ30は、シャワーに取り付けられた流量センサであってもよい。その場合、サーバ50は、入浴判定処理において、流量センサが、予め定められた規定量以上の流量を検出したことに基づいて、被験者の入浴開始を判定すればよい。また、サーバ50は、入浴判定処理において、流量センサが、上述した規定量未満の流量を検出したことに基づいて、被験者の入浴終了を判定すればよい。なお、規定値は、実験などにおいて適当な値を検出して定めればよい。
【0103】
・また、例えば、入浴検知センサ30は、浴室内に取り付けられたマイクロホンであってもよい。その場合、サーバ50は、入浴判定処理において、マイクロホンが、シャワーの音を検出したことに基づいて、被験者の入浴開始を判定すればよい。また、サーバ50は、入浴判定処理において、マイクロホンが、シャワーの音を検出した後、予め定められた所定時間にシャワーの音を検出しないことに基づいて、被験者の入浴終了を判定すればよい。なお、シャワーの音の検出は、予め録音したシャワーの音を分析し、当該分析結果に基づいて検出可能である。また、一定以上の音量をマイクロホンが検出したときに、シャワーの音が検出されたと判定してもよい。
【0104】
・また、例えば、入浴検知センサ30以外の構成により、入浴判定処理が実行されてもよい。例えば、水道メータ及び電力メータ、給湯器の使用状況などに基づいて入浴判定処理が実行されてもよい。また、例えば、被験者は、入浴開始時に入浴を開始したことを示す信号を携帯端末40に入力してもよい。また、被験者は、入力終了した時に入浴を終了したことを示す信号を携帯端末40に入力してもよい。携帯端末40は、これらの信号をサーバ50に送信し、サーバ50は、これらの信号に基づいて入浴判定処理を実行してもよい。上述したような構成によれば、健康管理システム10は、入浴検知センサ30を必ずしも有していなくてもよい。
【0105】
・第1実施形態及び第2実施形態において、入浴検知センサ30である人感センサは、浴室の前室に取り付けられていてもよい。この場合も上記実施形態の例と同様に、サーバ50は、入浴判定処理において、人感センサが、人を感知した状態から人を感知しなくなったことに基づいて、被験者の入浴開始を判定すればよい。また、サーバ50は、入浴判定処理において、当該入浴開始を判定した後、人感センサが、人を感知していない状態から人を感知したことに基づいて被験者の入浴終了を判定すればよい。
【0106】
・また、入浴判定処理は、第1実施形態及び第2実施形態及び上述した入浴判定可能な方法の複数を組み合わせて実行されてもよい。すなわち、入浴判定処理において、上述したような入浴開始の判定が複数満たされた場合に、入浴開始が判定されてもよい。
【0107】
・入浴後の数十分間における血中酸素飽和度及び脈拍数は、入浴による影響を受けて入浴中と同様の傾向で変化している。そのため、例えば、サーバ50は、入浴検知センサ30が送信した非検出信号を受信してから数十分後に、被験者が入浴終了したと判定してもよい。すなわち、入浴後の数十分間は、入浴中と判定されてもよい。なお、この場合、特定時間後は、入浴判定処理において入浴終了が判定されてからの特定時間経過したタイミングを示す。
【0108】
<第1取得処理の変更例について>
・第1実施形態において、第1取得処理において取得する第1酸素飽和度は、第1計測期間における被験者の血中酸素飽和度の測定結果に基づく値であれば、上記実施形態の例に限定されない。例えば、第1酸素飽和度は、第1計測期間中の血中酸素飽和度の最大値、最小値等であってもよい。また、第1酸素飽和度は、第1計測期間における特定のタイミングでの瞬時値であってもよい。また、第1酸素飽和度は、第1計測期間において取得される血中酸素飽和度の最新値であってもよい。また、第1酸素飽和度は、血中酸素飽和度の平均以外の統計処理を施すことによって得られる値であってもよい。この点、第2実施形態においても同様である。
【0109】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1取得処理を実行するタイミングは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、サーバ50は、携帯端末40から送信される生体情報BIを記憶しておき、予め定められた時刻において、第1計測期間中の血中酸素飽和度の平均値を算出することにより、第1取得処理を実行してもよい。また、第1酸素飽和度を第1計測期間における被験者の血中酸素飽和度の最新値とする場合、第1取得処理は、携帯端末40から生体情報BIを受信する毎に実行されてもよい。
【0110】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第1計測期間は、入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の全体に限定されない。第1計測期間は、入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の一部のみであってもよい。
【0111】
<第2取得処理の変更例について>
・第1実施形態において、第2取得処理において取得する第2酸素飽和度は、第2計測期間における被験者の血中酸素飽和度の平均値に限定されない。第2酸素飽和度は、第2計測期間中の血中酸素飽和度の最大値、最小値等であってもよい。また、第2酸素飽和度は、第2計測期間における特定のタイミングでの瞬時値であってもよい。また、第2酸素飽和度は、第2計測期間において取得される血中酸素飽和度の最新値であってもよい。また、第2酸素飽和度は、血中酸素飽和度の平均以外の統計処理を施すことによって得られる値であってもよい。また、第2酸素飽和度は、第2計測期間における被験者の血中酸素飽和度から導き出される固定値であってもよい。この点、第2実施形態においても同様である。
【0112】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第2計測期間は、入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの入浴期間の全体であってもよい。すなわち、第2計測期間は、第1計測期間を除く期間の全体であってもよい。
【0113】
・第1実施形態及び第2実施形態において、第2取得処理を実行するタイミングは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、サーバ50は、携帯端末40から送信される生体情報BIを記憶しておき、予め定められた時刻において、第2計測期間中の血中酸素飽和度の平均値を算出することにより、第2取得処理を実行してもよい。また、第2酸素飽和度を第2計測期間における被験者の血中酸素飽和度の最新値とする場合、第2取得処理は、携帯端末40から生体情報BIを受信する毎に実行されてもよい。
【0114】
<脈拍データ取得処理の変更例について>
・第1実施形態及び第2実施形態において脈拍データ取得処理において取得する脈拍数は、被験者の入浴中及び非入浴中のいずれの期間であってもよい。
【0115】
・第1実施形態において、脈拍データ取得処理で取得する第1脈拍数は、第1計測期間における被験者の脈拍数の平均値に限定されない。第1脈拍数は、第1計測期間中の脈拍数の最大値、最小値等であってもよい。また、第1脈拍数は、第1計測期間における特定のタイミングでの瞬時値であってもよい。また、第1脈拍数度は、第1計測期間において取得される脈拍数の最新値であってもよい。また、第1脈拍数は、脈拍数の平均以外の統計処理を施すことによって得られる値であってもよい。この点、第2脈拍数においても同様である。また、第2実施形態における入浴前脈拍数、及び入浴後脈拍数においても同様である。
【0116】
・第1実施形態において、脈拍データ取得処理を実行するタイミングは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、サーバ50は、携帯端末40から送信される生体情報BIを記憶しておき、予め定められた時刻において、第1脈拍数として第1計測期間における脈拍数の平均値を算出することにより、脈拍データ取得処理を実行してもよい。また、第1脈拍数等の代表値を被験者の血中酸素飽和度の最新値とする場合、脈拍データ取得処理は、携帯端末40から生体情報BIを受信する毎に実行されてもよい。
【0117】
<判定処理の変更例について>
・第1実施形態及び第2実施形態において、判定処理は、第1酸素飽和度の値、第2酸素飽和度の値、及び、脈拍数の変化に基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行うものであれば上記実施形態の例に限定されない。すなわち、第1実施形態及び第2実施形態で記載した第1条件及び第2条件は、上記実施形態の例に限定されない。また、第1酸素飽和度の値第2酸素飽和度の値に関する複数の条件と、脈拍数の変化に関する複数の条件とを組み合わせて判定処理が実行されてもよい。
【0118】
・また、「脈拍数の変化」は、第1脈拍数と第2脈拍数との比較、及び入浴前脈拍と入浴後脈拍数との比較に限らず、少なくとも任意の2つのタイミングにおける脈拍数の変化であればよい。例えば、「脈拍数の変化」が示すものとして、入浴中に測定される脈拍数における最大値及び最小値の比較であってもよいし、任意の時間における脈拍数の変化量等であってもよい。
【0119】
・第1実施形態において、第1閾値の値は、上記実施形態の例に限定されない。被験者毎、及び被験者の体調、状況等によって、第1閾値は変動し得る。したがって、第1閾値は、被験者毎、又は被験者の体調、状況等によって個別に設定されると好ましい。この点、第2閾値も同様である。
【0120】
・第2実施形態において、規定時間は10分に限定されない。
・第2実施形態において、特定時間は30分に限定されない。
・第1実施形態において、判定処理を実行するタイミングは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、サーバ50は、予め定められた時刻において、判定処理を実行してもよい。また、第1実施形態において、第1酸素飽和度、及び第1脈拍数等を最新値とする場合、判定処理は、第1取得処理及び脈拍データ取得処理が実行される毎に実行されてもよい。このような構成によれば、被験者の心不全に基づく容態に関する判定をリアルタイムに実施できる。
【0121】
・ところで、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行うという観点においては、判定処理は、第1酸素濃度の値及び第2酸素濃度の値にのみ基づいて実行されてもよい。すなわち、判定処理において、脈拍数の変化に基づいた判定が実行されてなくてもよい。また、脈拍データ取得処理は、必ずしも行われなくてもよい。
【0122】
<出力処理の変更例について>
・第1実施形態及び第2実施形態において、サーバ50は、出力処理を携帯端末40に対してのみ実行してもよいし、外部端末60にのみ実行してもよい。
【0123】
・第1実施形態及び第2実施形態において、サーバ50は、判定結果と共に生体情報BIを出力してもよい。
・第1実施形態及び第2実施形態において、出力処理は、判定処理における判定結果を出力可能な機器であれば、その出力先は上記実施形態の例に限定されない。例えば、出力先は、音、振動、光のうちの少なくとも1つにより報知を行う報知器などであってもよい。なお、光による報知は、ディスプレイにおける画像及び文字の表示を含む。なお、出力先の機器の所有者は問わない。また、出力先は、報知機能を有する機器に限らない。サーバ50が、いずれかの機器に出力したことが確認可能であればよい。
【0124】
・第1実施形態及び第2実施形態において、出力処理によって信号を受信した携帯端末40は、判定結果を、音声及び振動などで通知してもよい。また、携帯端末40は、判定結果を、音、光、振動のいずれか、または複数により出力してもよい。
【0125】
・第1実施形態及び第2実施形態において、出力処理が実行されるタイミングは、上記実施形態の例に限定されない。例えば、サーバ50は、判定結果を記憶部に記憶し、予め定められた所定のタイミングにおいて出力処理を実行してもよい。また、同様に、出力処理により送信された信号を受信した携帯端末40は、判定結果を、予め定められた所定のタイミングに表示してもよい。
【0126】
<付記>
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[1]被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行する健康管理システム。
【0127】
[2]前記第1酸素飽和度の値が、前記第2酸素飽和度の値より小さく、且つ、前記第1酸素飽和度の値と前記第2酸素飽和度の値との差が、予め定められた第1閾値以上である場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する[1]に記載の健康管理システム。
【0128】
[3]前記第1閾値は、4%以上8%以下の範囲内で定められた値である[2]に記載の健康管理システム。
[4]前記脈拍データ取得処理では、前記第1計測期間中の脈拍数を第1脈拍数として取得し、且つ、前記第2計測期間中の脈拍数を第2脈拍数として取得し、前記判定処理において、前記第1脈拍数が、前記第2脈拍数に対して、予め定められた第2閾値以上大きい場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する[1]~[3]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0129】
[5]前記脈拍データ取得処理では、前記入浴判定処理において入浴開始が判定される前の入浴前期間での脈拍数を入浴前脈拍数として取得し、且つ、前記入浴判定処理において入浴終了が開始されてから予め定められた規定時間後の脈拍数を入浴後脈拍数として取得し、前記判定処理において、前記入浴後脈拍数が、前記入浴前脈拍数に対して予め定められた基準値以上大きい場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する[1]~[4]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0130】
[6]前記第2計測期間は、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから予め定められた特定時間後のタイミングを含み、前記第2酸素飽和度は、前記特定時間後のタイミングでの前記被験者の血中酸素飽和度であり、前記判定処理において、前記第2酸素飽和度から前記第1酸素飽和度を減算した値が、3%以上4%以下の範囲内で定められた所定値以下である場合に、前記被験者の心不全の容態が悪化していると判定する[1]~[5]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0131】
[7]前記出力処理では、前記判定処理での判定結果を、携帯端末に出力することにより実行する[1]~[6]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
[8]前記入浴判定処理では、浴室内に取り付けられた人感センサが、人を感知したことに基づいて前記被験者の入浴開始を判定し、当該入浴開始を判定した後、前記人感センサが、人を感知しなくなったことに基づいて前記被験者の入浴終了を判定する[1]~[7]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0132】
[9]前記入浴判定処理では、浴室の前室に取り付けられた人感センサが、人を感知した状態から人を感知しなくなったことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、当該入浴開始を判定した後、前記人感センサが、人を感知していない状態から人を感知したことに基づいて前記被験者の入浴終了を判定する[1]~[8]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0133】
[10]前記入浴判定処理では、浴室の扉に取り付けられ、前記浴室の扉の開状態と閉状態とを検出可能な開閉センサが、前記開状態から前記閉状態への切り替わりを検出したことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、当該入浴開始を判定した後、前記開閉センサが、前記開状態を初めて検出したことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する[1]~[9]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0134】
[11]前記入浴判定処理では、浴室内に取り付けられた温度センサが検出する温度の正の変化量が、予め定められた第1温度変化量以上になり、且つ、浴室内に取り付けられた湿度センサが検出する湿度の正の変化量が、予め定められた第1湿度変化量以上になったことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、前記温度センサが検出する温度の負の変化量が、予め定められた第2温度変化量以上になり、且つ、前記湿度センサが検出する湿度の負の変化量が予め定められた第2湿度変化量以上になったことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する[1]~[10]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0135】
[12]前記入浴判定処理では、前記被験者に取り付けられた加速度センサが検出する検出値に基づいて、前記被験者の姿勢を検出し、当該姿勢と予め定められた入浴時の姿勢との類似度に基づいて、前記被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する[1]~[11]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0136】
[13]前記入浴判定処理では、浴室に取り付けられたマイクロホンがシャワーの音を検出したことに基づいて、前記被験者の入浴開始を判定し、前記マイクロホンが、前記シャワーの音を検出した後、予め定められた所定時間に前記シャワーの音を検出しないことに基づいて、前記被験者の入浴終了を判定する[1]~[12]のいずれか一つに記載の健康管理システム。
【0137】
[14]コンピュータが、被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、前記被験者の脈拍数を取得する脈拍データ取得処理と、前記第1酸素飽和度の値、前記第2酸素飽和度の値、及び、前記脈拍数の変化に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行する健康管理方法。
【0138】
[15]被験者の入浴開始及び入浴終了を判定する入浴判定処理と、前記入浴判定処理において入浴開始が判定されてから入浴終了が判定されるまでの入浴期間の少なくとも一部を第1計測期間とし、当該第1計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する第1取得処理と、前記入浴判定処理において入浴終了が判定されてから入浴開始が判定されるまでの非入浴期間の少なくとも一部を第2計測期間とし、当該第2計測期間における前記被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する第2取得処理と、前記第1酸素飽和度の値、及び前記第2酸素飽和度の値に基づいて、前記被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う判定処理と、前記判定処理における判定結果を出力する出力処理と、を実行する健康管理システム。
【符号の説明】
【0139】
BI…生体情報
10…健康管理システム
20…生体センサ
30…入浴検知センサ
40…携帯端末
50…サーバ
60…外部端末
【要約】
【課題】心不全に関する容態の変化をより正確に検知する。
【解決手段】健康管理システムは、入浴判定処理と、第1取得処理と、第2取得処理と、脈拍データ取得処理と、判定処理と、出力処理と、を実行する。入浴判定処理は、被験者の入浴及び入浴終了を判定する処理である。第1取得処理は、第1計測期間における被験者の血中酸素飽和度の測定結果を第1酸素飽和度として取得する処理である。第2取得処理は、第2計測期間における被験者の血中酸素飽和度を第2酸素飽和度として取得する処理である。脈拍データ取得処理は、被験者の脈拍数を取得する処理である。判定処理は、第1酸素飽和度の値、第2酸素飽和度の値、及び、脈拍数の変化に基づいて、被験者の心不全に基づく容態に関する判定を行う処理である。出力処理は、判定処理における判定結果を出力する処理である。
【選択図】
図4