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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】海上水素充電所
(51)【国際特許分類】
   B63B 35/00 20200101AFI20250821BHJP
   H02J 15/00 20060101ALI20250821BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20250821BHJP
   F03D 13/25 20160101ALI20250821BHJP
【FI】
B63B35/00 T
H02J15/00 G
F03D1/06 A
F03D13/25
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024524415
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(86)【国際出願番号】 KR2022016226
(87)【国際公開番号】W WO2023075321
(87)【国際公開日】2023-05-04
【審査請求日】2024-04-23
(31)【優先権主張番号】10-2021-0147915
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523406037
【氏名又は名称】ティーエムシー株式会社
【氏名又は名称原語表記】T.M.C CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】チュン サングエオン
【審査官】福田 信成
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-213388(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0038062(KR,A)
【文献】国際公開第2007/009464(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0084363(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 35/00
H02J 15/00
F03D 1/06
F03D 13/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海上で浮遊する浮力体上に備えられ風力を利用して電気を生産する風力発電部と、
前記風力発電部から生産された前記電気を用いて海水を電気分解する電気分解部と、
前記電気分解部から生成された水素を貯蔵する水素貯蔵部と、を含み、
前記風力発電部は、
前記浮力体の上部に備えられるプロペラと、
前記プロペラに結合されて電気を生産する発電機と、
前記浮力体の上部で前記プロペラの下部を支持する支持部材と、
を含み、
前記支持部材は、前記浮力体から上方に向かって延び、平面視における前記支持部材の長手方向の幅は短手方向の幅よりも大きく、平面視における前記支持部材の長手方向は前記浮力体の長手方向である第1方向に沿って形成され、
前記支持部材は、上部から下部に行くほど前記長手方向の幅が広くなる形状で形成され、前記プロペラを前記第1方向に沿う軸回りに回転するように支持する、海上水素充電所。
【請求項2】
前記海上で前記浮力体の移動範囲が既に設定された範囲内に制限されるように、前記浮力体の一端を海底面に固定させる固定手段、をさらに含む、請求項1に記載の海上水素充電所。
【請求項3】
前記浮力体に連結され、居住区、水電解設備、圧縮装備、貯蔵タンク、及び事務装備のうち少なくとも1以上収容が可能な収容空間をさらに含む、請求項1に記載の海上水素充電所。
【請求項4】
前記収容空間の上部に備えられ、ドローン及びヘリコプターのうち少なくとも一つを含む移送手段が無事に到着する安着部をさらに含む、請求項3に記載の海上水素充電所。
【請求項5】
前記浮力体の上部に備えられるものの、水平面上で前記浮力体の長手方向である第1方向と垂直な第2方向を幅方向にする支持体をさらに含み、前記第2方向を基準として、前記支持体の幅が前記浮力体の幅よりも広く形成される、請求項1に記載の海上水素充電所。
【請求項6】
前記風力発電部のプロペラ及び支持部材は、前記支持体上で前記第2方向に所定間隔を有して多数個配置される、請求項5に記載の海上水素充電所。
【請求項7】
前記支持体の前後の端に前記第1方向に沿って配置されるものの、前記支持体の上端部から前記浮力体の上部に向かってテーパするように形成される補助部材をさらに含む、請求項5に記載の海上水素充電所。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上水素充電所に関するものであって、具体的には、海上で風力発電と電気分解を通じて水素を生産及び貯蔵可能であり、移送手段が貯蔵タンクと連結可能であることにより、海上でも水素を容易に充電することができる海上水素充電所に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、風力発電機は主に陸上に設置されたが、このような風力発電で生成された水素を海上に移送する過程が煩わしく費用が多く発生し、最近では海上で風力発電を通じて水素を生産する方式が使用されている。
【0003】
海上に設置される際には、浅い海の上に主に設置され、海底面に直接固定する方式であるため、陸上で設置する方式と大きく変わらなかった。
【0004】
すなわち、風力発電機を海底面に固定して流動しないようにする方式が使用されてきたが、この場合、風向きのような海上環境の変化によって電気生産量に深刻な格差が発生して、エネルギー効率が落ちる問題点があった。
【0005】
これを解決するために、プロペラにヨーイング構造を使用して風向きに沿ってプロペラが回動する方式を適用したりもしたが、ヨーイング方式は外部衝撃に非常に弱く、メンテナンス時に費用が多くかかる短所があった。
【0006】
さらには、従来の海上風力発電機の場合、特定の位置に固定されるように設置されることにより、海上環境によって風向きが弱い場合、エネルギー効率が著しく落ちる問題点があった。
【0007】
このように、従来技術は単に風力発電機を船舶に装着し、電気分解を利用して水素を生産する原論的技術のみを開示するだけである。
【0008】
これにより、海上環境の変化などによって風力発電機の発電効率が低下し、これにより水素の生産量が少ない場合、水素を貯蔵するタンクの内部圧力が変化して、少ない量の水素を貯蔵して管理するのが非常に難しくなる短所を有する。
【0009】
また、従来技術では、海上で風の方向に対応するように姿勢または均衡を積極的に制御できる手段が不在であることにより、風の方向の変化によって急激に発電効率と水素生産効率が落ちる短所がある。
【0010】
そこで、海上環境の変化による影響を最小化して、エネルギー効率を向上させることができる風力発電技術と、このように生産された水素を容易に充電できる水素生産技術の必要性が提起された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、海上で風力発電と電気分解を通じて水素を生産及び貯蔵可能であり移送手段が貯蔵タンクと連結可能であることより、海上でも水素を容易に充電できる海上水素充電所を提供することにある。
【0012】
本発明で成そうとする技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないさらに他の技術的課題は、下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述したような課題を解決するために、本発明は、海上で浮遊する浮力体上に備えられ風力を利用して電気を生産する風力発電部、風力発電部から生産された電気を用いて海水を電気分解下は電気分解部、及び電気分解部から生成された水素を貯蔵する水素貯蔵部、を含み、前記風力発電部は、前記浮力体の上部に備えられるプロペラと、前記プロペラに結合されて電気を生産する発電機と、前記浮力体の上部で前記プロペラの下部を支持する支持部材と、を含み、前記支持部材は、前記浮力体から上方に向かって延び、平面視における前記支持部材の長手方向の幅は短手方向の幅よりも大きく、平面視における前記支持部材の長手方向は前記浮力体の長手方向である第1方向に沿って形成され、前記支持部材は、上部から下部に行くほど前記長手方向の幅が広くなる形状で形成され、前記プロペラを前記第1方向に沿う軸回りに回転するように支持する
【0014】
また、本発明は、海上で浮力体の移動範囲が既に設定された範囲内に制限されるように、浮力体の一端を海底面に固定させる固定手段、をさらに含む。
【0015】
【0016】
また、本発明は、浮力体に連結され、居住区、水電解設備、圧縮装備、貯蔵タンク、及び事務装備のうち少なくとも1以上収容が可能な収容空間をさらに含む。
【0017】
また、本発明は、収容空間の上部に備えられるものの、ドローン及びヘリコプターのうち少なくとも一つを含む移送手段が無事に到着する安着部をさらに含む。
【0018】
また、本発明は、浮力体の上部に備えられるものの、水平面上で浮力体の長手方向である第1方向と垂直な第2方向を幅方向とする支持体をさらに含み、第2方向を基準として、支持体の幅が浮力体の幅よりも広く形成される。
【0019】
また、風力発電部のプロペラ及び支持部材は、支持体上で第2方向に所定間隔を有して多数個配置される。
【0020】
また、本発明は、支持体の前後の端に第1方向に沿って配置されるものの、支持体の上端部から浮力体の上部に向かってテーパするように形成される補助部材をさらに含む。
【0021】
【0022】
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施例によれば、海上で風力発電と電気分解を通じて水素を生産及び貯蔵可能であり移送手段が貯蔵タンクと連結可能であることにより、海上でも水素を容易に充電することができる効果がある。
【0024】
本発明で得ることができる効果は、以上で言及した効果に制限されず、言及していないさらに他の効果は、下の記載から本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解され得るだろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施例による海上水素充電所の斜視図である。
図2】本発明の一実施例による支持体及び補助部材を示した斜視図である。
図3】本発明の一実施例による固定手段を示した図面である。
図4】本発明の一実施例による収容空間及び安着部を示した斜視図である。
図5】本発明の一実施例による海上水素充電所を用いた移送手段の水素充電方法を示した図面である。
図6】本発明の一実施形態による海上水素充電所の製作方法を示した図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明による好ましい実施形態を添付された図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
添付された図面とともに、以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明しようとするものであり、本発明が実施され得る唯一の実施形態を示そうとするものではない。
【0028】
図面において、本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略することができ、明細書全体を通じて同一又は類似の構成要素に対しては同一の参照符号を使用することができる。
【0029】
本発明の実施形態において、「又は」、「少なくとも一つ」などの表現は、共に羅列された単語のうちの一つを示したり、又は2以上の組み合わせを示すことができる。
【0030】
以下、本発明の実施例において、各構成の大きさ、厚さ及び形状は、説明の便宜のために誇張されるように図示され、実際の海上水素充電所ではこれと異なる大きさと形状を有することができる。
【0031】
また、図示された配線の連結構造は、便宜のために簡略に示されたもので、これと異なる連結形態が適用されてよく、所定の構成要素を基準として上部、下部、側部などを表示したが、これは説明の便宜のためのものであって、装置の回転や配置によって指称した方向と異なる方向と解釈されてよい。
【0032】
本発明の海上水素充電所について説明するのに先立って、従来技術について先ず説明する。
【0033】
一般的に、風力発電機は主に陸上に設置されたが、このような風力発電で生成された水素を海上に移送する過程が煩わしく費用が多く発生し、最近では海上で風力発電を通じて水素を生産する方式が使用されている。
【0034】
海上に設置される際には、浅い海上に主に設置され、海底面に直接固定する方式であるため、陸上で設置する方式と大きく異ならなかった。
【0035】
すなわち、風力発電機を海底面に固定して流動されないようにする方式が使用されてきたが、この場合、風向きのような海上環境の変化によって電気生産量に深刻な格差が発生し、エネルギー効率が落ちる問題点があった。
【0036】
これを解決するために、プロペラにヨーイング構造を使用して風向きに応じてプロペラが回動する方式を適用したりもしたが、ヨーイング方式は外部の衝撃に非常に弱く、メンテナンス時に費用が多くかかる短所があった。
【0037】
さらには、従来の海上風力発電機の場合、特定の位置に固定されるように設置されることにより、海上環境によって風向きが弱い場合、エネルギー効率が著しく落ちる問題点があった。
【0038】
このように、従来技術は単純に風力発電機を船舶に装着し、電気分解を利用して水素を生産する原論的技術のみを開示するだけである。
【0039】
これにより、海上環境の変化などによって風力発電機の発電効率が低下し、これによって水素生産量が少ない場合、水素を貯蔵するタンクの内部圧力が変化して少ない量の水素を貯蔵して管理するのが非常に難しくなる短所を有する。
【0040】
また、従来技術では、海上で風の方向に対応するように姿勢または均衡を積極的に制御できる手段が不在であることにより、風の方向の変化によって急激に発電効率と水素生産効率が落ちる短所があった。
【0041】
本発明の一実施例による海上水素充電所は、このような技術的必要性によって考案されたもので、海上環境の変化による影響を最小化してエネルギー効率を向上させることができる風力発電技術と、このように生産された水素を容易に充電できる利点がある。
【0042】
以下、本発明の一実施例による海上水素充電所について説明する。
【0043】
図1は、本発明の一実施例による海上水素充電所の斜視図である。
【0044】
図1を参照すると、本発明の海上水素充電所10は、風力発電部110、電気分解部120、及び水素貯蔵部130の構成を含んでよい。
【0045】
まず、風力発電部110は、海上で浮遊する浮力体上に備えられ、風力を利用して電気を生産する機能をする構成で、プロペラ111、発電機112、及び支持部材113の構成からなってよい。
【0046】
プロペラ111は浮力体の上部に備えられ、発電機112はプロペラ111に結合されて電気を生産するように設けられ、支持部材113は発電機112及び浮力体の上部でプロペラ111の下部を支持する機能をする。
【0047】
発電機112は、支持部材113の上部、内部、あるいは浮力体100の上部に備えられてよく、その設置位置を限定するわけではない。
【0048】
支持部材113は、浮力体100の長手方向である第1方向に沿って形成された垂直面を有し、垂直面は、上部から下部に行くほど幅が広くなる形状で形成されることにより、外力によってプロペラ111が流動されるのを防止するように設けることができる。
【0049】
例えば、支持部材113は、飛行機の垂直尾翼の形状で提供されてよく、これによって、本発明のプロペラ111にヨーイング(yawing)構造を適用する必要がない利点がある。
【0050】
既存の風力発電機112は、全てシリンダー型タワーにタービンを装着して、風の方向に応じてタービンの方向を制御するヨーイング方式を適用するのが一般的であったが、ヨーイング構造は外部衝撃に非常に弱くメンテナンス時に費用が多くかかる短所があった。
【0051】
しかし、本発明の浮力体100は、位置が固定されず海上で浮遊する状態であるため、前記のような支持部材113の構成を適用する場合、風向きによって別途の制御装置なしに浮力体100の方向が自動的に制御され、良質の風の利用が可能なように設けることができる。
【0052】
したがって、構造的な安定性が確保されると同時に、風力発電のエネルギー効率を最大化することができ、方向制御のためのタービン製作費用が節減され、タービンの故障の可能性を下げて、維持費用を節減できる利点がある。
【0053】
次いで、電気分解部120は、風力発電部110から生産された電気を用いて海水を電気分解下は機能をする。
【0054】
電気分解部120は、海水を電気分解して水素、酸素、及び次亜塩素酸ナトリウムを生産する。
【0055】
このように生産された水素は、後述する水素貯蔵部130に移送され、次亜塩素酸ナトリウムは船舶内のバラストタンク(Ballast Tank)に流入した海水を殺菌する用途に使用されてよい。
【0056】
通常、ポンプを用いて周辺の海水を必要に応じて平衡数タンクに流入したり平衡数タンク内の海水を流出させる作業を通じて、船舶のバランスを合わせることができる。
【0057】
この時、流入する地域の海水に含まれている各種の異物やプランクトンなどの微生物、細菌などが全く異なる環境の海洋に排出される場合、海洋生態系に変化を招く危険が発生する恐れがある。
【0058】
しかし、本発明の電気分解部120を使用すれば、次亜塩素酸ナトリウムを介してバラストタンク内の海水に含まれた微生物を死滅させた後、海洋に流出することが可能になることにより、海洋生態系の撹乱及び破壊を防止することができる利点がある。
【0059】
次いで、水素貯蔵部130は、上述した電気分解部120から生成された水素を貯蔵するように提供されてよい。
【0060】
水素貯蔵部130は、貯蔵タンクの形態で設けられてよく、生成された水素は、電気分解部120に連結された圧縮機及び水素移送ラインを経て、液化水素、水素ガスの形態で貯蔵タンクに貯蔵することができる。
【0061】
上述した電気分解部120及び水素貯蔵部130は、浮力体100の上部または内部に備えられてよく、後述する支持体の上部または内部に備えられてもよく、その配置位置を限定しない。
【0062】
以上では、本発明の一実施例による海上水素充電所の基本構成について詳しく見てみた。
【0063】
ただし、本発明の一実施例による海上水素充電所は、下記のような多様な形態でも提供することができる。
【0064】
一実施例において、本発明の海上水素充電所は、支持体の構成をさらに含むように設けられてよい。
【0065】
図2は、本発明の一実施例による支持体及び補助部材を示した斜視図である。
【0066】
図2を参照すると、支持体200は、浮力体100の上部に備えられるものの、水平面上で浮力体100の長手方向である第1方向と垂直な第2方向を幅方向にするように設けられてよく、第2方向を基準として、支持体200の幅が浮力体100の幅よりも広く形成されてよい。
【0067】
これにより、風力発電部110のプロペラ111及び支持部材113は、支持体200上で第2方向に所定間隔を有して多数個配置されることが可能になる。
【0068】
すなわち、一つの浮力体100に多数のプロペラ111を通じた電気生産が可能になるので、エネルギー効率を向上させることができる利点がある。
【0069】
このような支持体200は、両端と中央部に上部方向に突出する柱を有する形状で設けられてよく、上述した風力発電部110の支持部材113が柱の上部で支持されるように設けられてよい。
【0070】
一実施例において、必要に応じて支持体200の柱構造の上部で柱の間を連結する天井部材を選択的に設けることもできる。
【0071】
図2は、天井部材を省略した様子であり、図4は、室内作業空間を確保するために支持体200の柱上部に天井部材を設けた様子を示したものである。
【0072】
このように、支持体200の柱上部に天井部材を設ける場合、柱の間の構造的安定性をより一層向上させることができるようになり、上述した風力発電部110の支持部材113の下部をより一層堅固に支持することができる利点を有する。
【0073】
再び図2を参照すると、一実施例において、本発明の海上水素充電所は、補助部材210をさらに含むように提供されてもよい。
【0074】
補助部材210は、支持体200の前後の端に第1方向に沿って配置されるものの、支持体200の上端から浮力体100の上部に向かってテーパするように形成されてよい。
【0075】
このような補助部材210は、支持体200に溶接結合して設けられることにより、支持体200の構造的安定性をより一層向上させる機能をする。
【0076】
また、一実施例において、本発明の海上水素充電所は、海上で浮力体100の移動範囲が既に設定された範囲内に制限されるように、浮力体100の一端を海底面に固定させる固定手段をさらに含んでよい。
【0077】
図3は、本発明の一実施例による固定手段を示した図面である。
【0078】
図2及び図3を参照すると、固定手段140は、タレット(Turret)または錨の形態で設けられてよく、本発明の海上水素充電所が固定手段140をさらに含むことにより、海上における浮力体100の位置と移動半径を一定範囲内に容易に維持することができる効果がある。
【0079】
図3は、一実施例において、タレットが備えられた海上水素充電所を示したもので、タレットが係留線MCによって海底面SBに連結されることにより、海上の特定地点に位置が固定されることになる。
【0080】
すなわち、タレットの位置が固定されることにより、本発明の海上水素充電所は、タレットの位置を基準として、その移動範囲が制限されることになる。
【0081】
これにより、タレットを中心に浮力体100が風が吹く方向の反対方向に自動的に回転することになるので、浮力体100の方向転換がより一層容易になって、より安定した海上水素充電所の運営が可能である。
【0082】
また、一実施例において、本発明の海上水素充電所は、収容空間をさらに含んでよい。
【0083】
図4は、本発明の一実施例による収容空間及び安着部を示した斜視図である。
【0084】
図4を参照すると、収容空間150は、浮力体100に連結され、居住区、水電解設備、圧縮装備、貯蔵タンク、及び事務装備のうち少なくとも1以上収容が可能なように設けられてよい。
【0085】
例えば、収容空間150には、水素を生産する水電解設備及び生産された水素を貯蔵できる貯蔵タンク、そして充電のための圧縮設備が備えられてよい。
【0086】
また、本発明の一実施例による海上水素充電所は、収容空間150の上部に備えられる安着部160をさらに含むように提供することができる。
【0087】
安着部160には、本発明の海上水素充電所で生産された水素を陸上プラントに移送する、後述する移送手段が安着されるように設けられるもので、ここでの移送手段は、ドローン及びヘリコプターのうち少なくとも一つを含んでよい。
【0088】
一実施例において、安着部160は、風力発電部110の後方に配置されてよく、この場合、浮力体100は、風の方向によるヨーイング(weathervaning)を通じて自動的に常に風が吹く方向に向かうようになる。
【0089】
これにより、ドローンやヘリコプターのような移送手段が海上水素充電所に接近する際に風力発電部110の後方で風を抱いて安着部160に接近することができるので、より一層安定した安着が可能になる。
【0090】
また、移送手段が風力発電部110の後方から移動することにより、風力発電に使用される風の流れを妨害することが防止され、これによって良質の風を得ることができる利点がある。
【0091】
なお、本発明の一実施例による海上充電所は、モータのような自航手段(図示せず)をさらに含むように提供されてもよい。
【0092】
これにより、本発明の海上充電所が海上で自航することができるようになるので、風力が強い地域を選択及び移動可能であることによって、より良質の風を利用した風力発電を通じてエネルギー効率を最大化できる利点を有する。
【0093】
さらに、本発明の一実施例による海上水素充電所を適用すれば、下記のように水素移送手段に水素を充電することが可能である。
【0094】
図5は、本発明の一実施例による海上水素充電所を用いた移送手段の水素充電方法を示した図面である。
【0095】
図5を参照すると、本発明の海上水素充電所は、水素貯蔵部から連結される移送ラインを備え、水素貯蔵部から移送手段70で水素を移送することができるように設けられてよい。
【0096】
移送手段70は、水素推進船舶、海上ドローンタクシー、上空運送機をはじめとする海洋ドローン、飛行船、及びヘリコプターなどの形態で提供することができる。
【0097】
移送ラインは、パイプの形態で設けられ、高圧ポンプのポンピングによって水素が貯蔵タンクから移送ラインに沿って移送手段70に移送されることになる。
【0098】
一実施例において、ドローン型の移送手段70を使う場合、小型飛行体に大気圧容器に水素を満たして陸上に空輸したり、あるいは、船舶やタクシー型ドローンに移送ラインを連結して水素を供給することが可能になる。
【0099】
従来には、海岸から約50km~約100km離れた海上で生産された高圧あるいは液化水素を船舶で大量運送する方式を採択していたが、移送過程で時間及び費用が多く消耗する短所があった。
【0100】
しかし、ドローン型の移送手段70を利用すれば、小型飛行体に大気圧容器に水素を満たして陸上に空輸することが可能になることにより、大気圧水素を少量であるが経済的に運送することができる利点がある。
【0101】
特に、水素は空気より軽いので、これといったエネルギーの必要なしに、空気中で浮力を有する大気圧水素を海風を利用して近郊の陸上水素充電所に供給する場合、従来の運送方式よりはるかに値段が安い費用でグリーン水素を供給することができる利点を有する。
【0102】
また、一実施例において、上述した移送ラインは、上述した例示の他にも多様な形態で提供されてよく、海底面に沿って設置されて陸上に連結される配管ラインの形態で設けられ、水素を直接陸上プラントに移送可能なように提供することもできる。
【0103】
以上で詳しく見てみた本発明の一実施例による海上水素充電所は、下記のような段階を経て製作されてよい。
【0104】
図6は、本発明の一実施例による海上水素充電所の製作方法を示した図面である。
【0105】
図2及び図6を参照すると、まず、ドック内で浮力体100を生産する段階と、ドック内で支持体200を生産する段階が遂行される。
【0106】
その次に、第1方向を長手方向に浮力体100を配置し、浮力体100の上部に第1方向と垂直な第2方向を長手方向に支持体200を結合させる段階が遂行される。
【0107】
これを通じて、浮力体100及び支持体200をドック内でそれぞれ製作した後、長手方向を基準として組み立て方向が相互垂直になるように組み立てることが可能である。
【0108】
すなわち、横と縦の幅が共に大きいドックを新たに設けなくても、従来のドックを活用できる利点がある。
【0109】
この時、フローティングドックを利用する場合、浮力体100の内部に備えられたバラストタンクに海水を流入させて浮力体100を沈めた後、支持体200を海水面上に浮かべて浮力体100の上部に移送させた後、浮力体100に支持体200を結合させることができる。
【0110】
この後、支持体200の前後の端において第1方向に沿って支持体200の上端部から浮力体100の上部に向かってテーパするように補助部材210を設け、補助部材210を支持体200に溶接結合する段階が遂行される。
【0111】
図面を参照すると、支持体200は、両端と中央部に上部方向に突出する柱を有する形状で設けられてよく、この場合、柱の間を連結する天井部材を選択的に設けることもできる。
【0112】
図2は、天井部材を省略した様子であり、図4は、室内作業空間を確保するために支持体200の柱上部に天井部材を設けた様子を示したものである。
【0113】
このように、天井部材を設ける場合、柱の間の構造的安定性をより一層向上させることができるようになり、支持体200上部に設けられる風力発電部110の下部をより一層堅固に支持することができる利点を有する。
【0114】
再び図2及び図6を参照すると、支持体200の上部に風力を利用して電気を生産する風力発電部110を設ける段階が遂行される。
【0115】
この段階で、支持体200上部に支持部材113を設け、支持部材113の上部にプロペラ111を備えた後、プロペラ111に発電機112を連結してプロペラ111の動作によって電気が生産され得るように設けられてよい。
【0116】
この時、発電機112は、支持部材113の内部あるいは支持体200の内部に設けられてよく、その設置位置を限定しない。
【0117】
この後、浮力体100の内部に、風力発電部110から生産された電気を用いて海水を電気分解する電気分解部を設ける段階が遂行される。
【0118】
続いて、浮力体100の内部に、電気分解部から生成された水素を貯蔵する水素貯蔵部を設ける段階が遂行される。
【0119】
電気分解部及び水素貯蔵部は、浮力体100の上部または内部に設けられてよく、支持体200の内部に備えられてもよく、その配置位置を限定しない。
【0120】
さらに、必要に応じて、前記浮力体100の一端を海底面に固定させる固定手段140と、水素貯蔵タンク及び圧縮設備が備えられる収容空間150、水素移送手段が無事に到着する安着部160などをさらに設けることもできる。
【0121】
本発明の海上水素充電所の構造及び形状は、前述したところに限定されるわけではなく、本発明が属する技術分野で多様な修正及び変形が可能であろう。
【0122】
今まで詳しく見てみたところ、本発明の一実施例による海上水素充電所を使用すれば、下記のような利点を有することができる。
【0123】
浮力体及び支持体をドック内でそれぞれ製作した後、長手方向を基準として組み立て方向が相互垂直になるように組み立てるのが可能であることにより、浮力体の長手方向と垂直に配置される支持体を容易に製作できるようになる。
【0124】
これにより、支持体の長手方向に沿って風力発電のためのプロペラと発電機を多数設置することが可能であり、エネルギー効率が著しく向上する効果がある。
【0125】
また、プロペラの下部を支持する支持部材が飛行機の垂直尾翼の形状で提供されることにより、ヨーイングシステムがなくても浮力体の方向転換が自動的に制御され、良質の風の利用が可能なように設けることができる。
【0126】
さらに、固定手段を使用して浮力体の一側を海上で固定することが可能であることにより、浮力体が風が吹く方向の反対方向に自動的に回転することになるので、浮力体の方向転換がより一層容易になる利点がある。
【0127】
本明細書と図面に開示された本発明の実施例は、本発明の技術内容を容易に説明して本発明の理解を助けるために特定の例を提示しただけであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0128】
したがって、本発明の範囲は、ここに開示された実施例以外にも、本発明の技術的思想をもとに導出される全ての変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれると解釈されなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6