(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】グラフェン材料‐金属ナノコンポジットおよび、その製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
B22F 1/16 20220101AFI20250821BHJP
B82Y 30/00 20110101ALI20250821BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20250821BHJP
B22F 9/24 20060101ALI20250821BHJP
B22F 1/00 20220101ALI20250821BHJP
B22F 1/054 20220101ALI20250821BHJP
B22F 1/06 20220101ALI20250821BHJP
C01B 32/182 20170101ALI20250821BHJP
【FI】
B22F1/16
B82Y30/00
B82Y40/00
B22F9/24 B
B22F1/00 L
B22F1/054
B22F1/06
C01B32/182
(21)【出願番号】P 2021511658
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019049199
(87)【国際公開番号】W WO2020047500
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-06-20
(32)【優先日】2018-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519411043
【氏名又は名称】ザ リサーチ ファウンデイション フォー ザ ステイト ユニバーシティー オブ ニューヨーク
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】弁理士法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レン,センチィァン
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-524883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0231718(US,A1)
【文献】国際公開第2017/048923(WO,A1)
【文献】特開2013-080565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00
B82Y 30/00
B82Y 40/00
B22F 1/00
H01B 1/00
C23C 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジットを製造する方法であって、当該方法が、
(1)金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部に、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成する工程
;ここで、当該層を形成する工程が、
金属粉末または金属前駆体と、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液を形成することを含み、前記分散液の形成が、
前記金属粉末または金属前駆体を分散剤中に分散させて第1の前駆分散液を形成することと、
前記グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料を分散剤中に分散させて第2の前駆分散液を形成することと、
前記第1の前駆分散液を、前記第2の前駆分散液に添加することを含み、
当該工程において、金属ナノワイヤが形成され、当該金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部に、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層が形成される;
(2)前記金属ナノワイヤを整列させる工程
;および
(3)任意に、グラフェン前駆体材料の層を含む金属ナノワイヤをか焼する工程を含み、 前記グラフェン材料‐金属ナノコンポジットが形成されることを特徴とするグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの製造方法。
【請求項2】
前記第1の前
駆分散液が、1以上の水溶性第一級アミンをさらに含み、
および、
前記金属粉末が、銅粉末、アルミニウム粉末、銅合金粉末、またはそれらの組み合わせであり、前記金属前駆体が、アルミニウム前駆体粉末または銅前駆体粉末であり、しかも任意に、1つ以上の粉末が、ニッケル前駆体粉末、マンガン前駆体粉末、亜鉛前駆体粉末、およびそれらの組合せから選択され、前記金属粉末または金属前駆体が、前記分散液中に95~99重量%(金属粉末または金属前駆体およびグラフェン材料の総重量に基づく)存在し、前記グラフェン材料が、前記分散液中に1~5重量%(金属粉末または金属前駆体およびグラフェン材料の総重量に基づく)存在し、前記分散剤が、水、C
1~C
6アルコール、またはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
金属粉末または金属前駆体の重量と、グラフェン材料
の重量との比が、95:5~99:1であることを特徴とする請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記
グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を含む金属ナノワイヤを、前記分散液から分離することをさらに含むことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記グラフェン材料が、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、剥離グラフェンシート、剥離還元グラフェンシート、または剥離酸化グラフェンシートまたはそれらの組み合わせであることを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ナノコンポジットを含むインクを形成すること、および、任意に前記インクからフィルムを形成することをさらに含むことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記の整列が、前記フィルムに剪断力を加えることを含むことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記ナノコンポジットをか焼することをさらに含み、前記か焼が625~1110Kの温度で行われることを特徴とする請求項1~
7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ナノコンポジットを含むペレットを形成すること、前記ペレットからワイヤを形成することをさらに含み、前記ワイヤの形成が、前記ペレットを押し出すことを含むことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
金属コアと、当該金属コアの表面の少なくとも一部または金属コアの表面の全ての上に配置されたグラフェン材料層とを含み、前記金属コアが、銅、アルミニウム、銅合金、またはそれらの組み合わせを含み、前記グラフェン材料が、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、またはそれらの組み合わせであり、前記グラフェン材料層が、グラフェン材料の1~2層を含み、しかも、前記グラフェン材料層が2nm以下の厚さを有し、前記グラフェン材料層がシェルであり、当該シェルが少なくとも部分的に連続しているか、または完全に連続していることを特徴とするナノコンポジット。
【請求項11】
前記ナノコンポジットがワイヤ、フィルム、またはペレットであり、以下の1つ以上:
4×10
6~5.5×10
6 S/cmの電気伝導率;
(グラフェン材料層のない)金属ナノワイヤの絶縁破壊電流の少なくとも10倍、25倍、50倍、75倍、または100倍である絶縁破壊電流;または
(グラフェン材料層のない)金属ナノワイヤのヤング率の少なくとも2倍または5倍のヤング率
を示すことを特徴とする請求項
10に記載のナノコンポジット。
【請求項12】
電子デバイスの導電素子を作製する方法であって、
ナノコンポジットを含むインクを用いて電子デバイスの導電素子を形成する工程で、前記ナノコンポジットが、金属コアと、当該金属コアの表面の少なくとも一部または金属コアの表面の全ての上に配置されたグラフェン材料層とを含み、前記金属コアが、銅、アルミニウム、銅合金、またはそれらの組み合わせを含み、前記グラフェン材料が、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、またはそれらの組み合わせであり、前記グラフェン材料層が、グラフェン材料の1~2層を含み、しかも、前記グラフェン材料層が2nm以下の厚さを有すること、および
前記電子デバイスの素子を有機酸水溶液または有機溶媒酸溶液と接触させる工程
を含むことを特徴とする、電子デバイスの導電素子の作製方法。
【請求項13】
請求項
10に記載の1以上のナノコンポジットを含む、製造品。
【請求項14】
前記製造品が電気デバイスであり、前記電気デバイスが、電気モータ、発電機、変圧器、スイッチングレギュレータ、コンバータ、インバータ、充電回路、放電回路、PCL制御デバイス、送信ユニット、分配ユニット、バッテリデバイス、またはバッテリ電力管理デバイスであることを特徴とする請求項
13に記載の製造品。
【請求項15】
前記製造品が電子デバイスであり、前記電子デバイスが
、家庭用電子デバイス、または家電デバイス、太陽電池、無線センサデバイス、制御デバイス、増幅器、減衰器、IOT(Internet of Things)デバイス、バッテリデバイス、バッテリ充電デバイス、バッテリ電力管理デバイス、オーディオデバイス、RFIDデバイス、または照明デバイスであることを特徴とする請求項
13に記載の製造品。
【請求項16】
電気デバイスまたは電子デバイスの1つ以上の構成品が、1つ以上のナノコンポジットを含み、前記構成品が、アンテナ、接触、導体、リレー、スイッチリード、または無線周波数(RF)シールドであることを特徴とする請求項
13に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願への相互参照】
【0001】
本出願は2018年8月30日に出願された米国仮出願第62/725,154号の優先権を主張し、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の分野】
【0002】
本発明は、一般にナノコンポジットに関する。より詳細には、本発明は一般に、グラフェン‐金属ナノコンポジットに関する。
【発明の背景】
【0003】
デバイスの小型化とナノ製造の急増する要求に伴い、マイクロエレクトロニクスデバイスのサイズは縮小し続けている。この縮小は、より高い効率、可搬性、および汎用性に対する増大するニーズを満たすことを目的とする。その結果、必要な電力を供給するための金属ワイヤ(銅、アルミニウムなど)の寸法が大幅に縮小されている。その結果としての高い電流密度は、マイクロデバイスが絶縁破壊を起こすことなくより高い電流を運ぶ能力を有することを要求する。さらに、金属導体のジュール加熱(オーム加熱または抵抗加熱)は、大きな熱流束を蓄積する。これが適時、放散されない場合、金属導体の温度および抵抗率が大幅に上昇する。これはさらに、マイクロエレクトロニクスの輸送性能と寿命を劣化させる。高い通電能力(電流容量)、電気伝導性および熱伝導性を有する新規な導体が必要とされている。
【0004】
上述の課題は、ナノスケールで大量の電流を流すことができる新しい導体の探索に向けられる。このような導体はまた、マイクロデバイスの温度を安全なレベルに維持するために、可能な限り多くの余分な熱を放散させるべきである。さらに、各新世代のマイクロデバイスは、製造コストを著しく増加させることなく、その先行技術を上回る必要がある。加えて、新しい導体の製造方法は、簡便でスケールアップが容易でなければならない。
【0005】
最近、カーボンナノチューブと銅のコンポジットが、改善された安定性とともに、高い通電容量をもたらすことが報告された。しかしながら、高純度金属カーボンナノチューブの結束を誘起するvan der Waalsは、電気伝導性能および熱伝導性能を著しく低下させる。これは、電着アプローチを通して重なり合ったナノチューブ間の高い接合抵抗によるものと思われる。
【0006】
上記に基づき、改善された導体に対する継続的かつ満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、グラフェン‐金属ナノコンポジットおよびその製造方法を提供する。本発明はまた、グラフェン‐金属ナノコンポジットの使用を提供する。
【0008】
本発明は、金属グラフェンナノコンポジットの製造方法を提供する。特定の実施形態では、ナノコンポジットは(ナノコンポジットが本発明の方法によって製造される)方法による物として特徴付けられてもよい。様々な例では、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットを製造する方法は、金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部またはすべての表面上にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成することを含む。ある方法は、予備成形された金属ナノワイヤを使用することができる。ある方法は、in situ金属ナノワイヤ形成を含むことができる。分散液は、1以上の添加剤を含んでもよい。
【0009】
ある方法では、1以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジット(例えば、1以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットから形成された粉末)からインクを形成することを含んでもよい。インクは、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットのフィルムを形成するのに使用できる。フィルムは、様々なコーティングまたは印刷方法を使用して形成することができる。
【0010】
本発明は、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットを提供する。様々な実施例において、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、本発明の方法によって製造される。グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、金属コアと、金属コアの表面の少なくとも一部または金属コアの表面の全ての上に配置された1以上のグラフェン材料層とを含む。グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、様々な形態を有することができる。グラフェン材料‐金属ナノコンポジットの形態の非限定的な例としては、ワイヤ、フィルム、およびバルク形態(例えば、ペレット)が挙げられる。フィルムは自立フィルムであってもよいし、基板上に配置されたフィルムであってもよい(例えば、印刷可能な電子機器の場合)。グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、1つ以上の望ましい特性を有し得る。望ましい特性の非限定的な例としては、電気伝導率、熱伝導率、熱放散、破壊電流、機械的特性(例えば、ヤング率)等、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0011】
本発明は、本発明のグラフェン‐金属ナノコンポジットを使用する方法を提供する。様々な例では、本発明のインクがデバイス(例えば、電気デバイスまたは電子デバイス)の構成品を、例えば、印刷によって形成するために使用される。
【0012】
本発明は、本発明のグラフェン‐金属ナノコンポジットの使用を提供する。製造品は、本発明の1以上のグラフェン材料‐金属コンポジットを含むことができる。様々な実施例において、1以上のナノコンポジットを含む製造品。製造品は、1つ以上の構成品を含むことができ、この構成品は、1つまたは複数のグラフェン材料‐金属コンポジットを含む、受動部品または構成品(例えば、導体、ワイヤなど、およびそれらの組合せ)および/または能動部品または構成品(例えば、アンテナ、リレー、スイッチリード、無線周波(RF)シールドなど、およびそれらの組合せ)であってもよい。製造品は、電気デバイスであってもよい。製造品は、電子デバイスであってもよい。電気デバイスや電子デバイスは、1または複数のナノコンポジットを含む1つまたは複数の構成品を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の性質および目的をより完全に理解するために、添付の図面と併せて以下の詳細な説明を参照すべきである。
【0014】
図1(
図1A,
図1B)には、グラフェン‐銅ナノコンポジットの作製が示されている。(a)伝統的な金属、ナノカーボンおよびコンポジットを含む様々な材料について、電気伝導率対熱伝導率のプロット。(b)プレスされたグラフェン‐銅ナノコンポジット製造のための工程の概略図。(c)グラフェン‐銅フィルムの圧力と厚さの関係;挿入図は、調製したままのフィルムを示す。(d、e)銅ナノワイヤ(Cu NW)と、グラフェン‐銅コンポジットの走査型電子顕微鏡(SEM)画像。挿入図は、グラフェンナノシートのSEM画像と、グラフェン‐銅コンポジットの断面画像をそれぞれ示している。(f)グラフェン‐銅コンポジットのEDSマッピングおよびTEM画像。(g)調製したままのCu NWと、か焼後のグラフェン‐銅ナノコンポジットのXRDパターン。(h)Cu NWとグラフェン‐銅ナノコンポジットの荷重対変位応答。(i, j)微小力(100μN)のXPMを用いたCu NWとグラフェン‐銅コンポジットのヤング率マッピング。
【0015】
図2には、グラフェン‐銅コンポジットの電気伝導率と熱伝導率が示されている。(a)Cu NWとグラフェン‐銅コンポジットの絶縁破壊特性であり、電流(I2)の2乗の関数としてプロットした抵抗の相対変化を示す。(b)測定前後のCu NW(上部)とグラフェン‐銅コンポジット(下側)のSEM像。(c)銅ナノワイヤとグラフェン‐銅コンポジットについての温度による電気伝導率の変動であり、グラフェン‐銅コンポジットの温度に影響されない特性を示している。(d)363 Kにおけるホットプレート上で同時に加熱されたCu NWとグラフェン‐銅コンポジットの熱画像(上部画像);4Aの高電流密度で機能したCu NW(中部画像)とグラフェン‐銅コンポジット(下部画像)の熱画像であり、グラフェンからのフォノン透過速度が速いため、コンポジットの温度が低いことを示している。(e)Cu NWとグラフェン‐銅コンポジットの電流密度と時間依存温度変化。
【0016】
図3には、グラフェン‐銅コンポジットの電気伝導率への様々な要因の影響が示されている。(a)グラフェン濃度対、異なるコンポジットの温度による電気伝導度。左から右への各セットのバーは、グラフェン(2重量%)、グラフェン(1重量%)、およびグラフェン(4重量%)である。(b)2wt%のグラフェン‐銅コンポジットのSEM画像。(c)異なる方法条件下でのグラフェン‐銅コンポジットの温度依存電気伝導率。(d)プレスなし(上)および、せん断力プレス工程あり(下側)のサンプルのSEM画像。
【0017】
図4には、メカニズム解析が示されている。(a)Cu(111)表面の上部のグラフェンの模式的モデリング構造。(b)Cu(111)表面の上部のグラフェンの投影状態密度(PDOS, projected density of states)は、5層のCu原子、1層のグラフェンおよび厚さ15Åの真空を含む。(c‐d)グラフェン‐銅コンポジットの電子‐フォノン結合であり、密度汎関数摂動論(DFPT, density functional perturbation theory)に基づいて計算されたものである。
【0018】
図5には、バルクグラフェン‐銅コンポジットの電気伝導率が示されている。(a)合成したままのグラフェン‐銅コンポジットのSEM像と写真。(b)バルクグラフェン‐銅コンポジットの異なる焼結温度での電気伝導率。(c)温度対電気伝導率のグラフェン‐銅コンポジット。(d)合成したままのグラフェン‐銅コンポジットと市販の銅の電気伝導率減少率。
【0019】
図6は、高性能導体用の高温(ホットプレス)金属/rGOコンポジットのコスト効率の良い製造方法を示す概略図である。
【0020】
図7には、Cu‐G導体の予備的結果が示されている。(a)Cu‐G導体の走査型電子顕微鏡(SEM)像、(bおよびc)Cu‐Gの焼結および試験温度依存伝導率、ならびに密度に基づく投影伝導率。
【0021】
図8には、銅サンプル形態制御における還元剤(トリス(トリメチルシリル)シラン)の役割および反応時間が示されている。185℃下で合成した種々の還元剤と時間で反応させた銅サンプルのSEM画像:(a)銅ナノ粒子、0.62mL/8h;(b)ナノワイヤと混合した銅ナノ粒子、0.65mL/10h(h =時間(s));(c)銅ナノワイヤは、最終生成物中の主要部分となった、0.68mL/12h。
【0022】
図9には、水/空気の界面にさらなる保護なしで膜を形成した合成したままのインクの(a)低および(b)高SEM像が示されており、挿入図は合成したままの膜の像である。この写真には典型的な銅赤(copper red)((a)の黒いボックス内)が依然として見られ、このことは合成されたままのサンプルが良好なフィルム形成特性を有し、しかも、水中でも安定であることを示している。
【0023】
図10には、(a)か焼およびプレス工程を伴わないCu NW膜のSEM画像;(b-e)還元雰囲気(5% H
2、95% N
2)下にて、それぞれ200、300、400、および500℃の温度で30分、か焼したCu NW膜のSEM画像;(e)異なるCu NW膜の種々のアニール温度対電気伝導率であり、400℃か焼サンプルが最も高い伝導率を示したことが示されている。従って、この温度を、他のサンプル(Cu NWおよびグラフェン‐銅コンポジット)の熱処理を行うために採用した。
【0024】
図11には、Cu NWおよびグラフェン‐銅コンポジットの373~423Kの温度による電気伝導率の変動が示されており、純粋なCu NWと比較してグラフェン‐Cuコンポジットの伝導率がはるかに高いことを示している。
【0025】
図12には、異なる時間(a.2時間、b.4時間、c.6時間、d.9時間、e.10.5時間、およびf.16時間)についての、水熱反応器中で調製された銅ナノワイヤの(a-f)SEM画像が示されている。
【0026】
図13には、(a)を行う前で、ドデカン酸(エタノール)処理(b)後の銅薄膜導体が示されている。
【0027】
図14には、直接描画(印刷)による銅‐ニッケルインクプリント回路が示されている。
【0028】
図15には、厚さ2μmの銅ナノワイヤ薄膜の抵抗についての、異なる濃度の酢酸処理時間が示されている。
【0029】
図16には、厚さ2μmの銅ナノワイヤ薄膜の抵抗変化についての、異なる濃度のドデカン酸(トルエン)の処理時間が示されている。
【0030】
図17には、厚さ2μmの銅ナノワイヤ薄膜の抵抗変化についての、異なる濃度のドデカン酸(エタノール)の処理時間が示されている。
【0031】
図18には、厚さ4μmの銅‐ニッケルナノワイヤ薄膜の経時抵抗(高温加速酸化試験)が示されている。
【0032】
図19には、厚さ4μmの銅ナノワイヤ薄膜の時間依存抵抗(高温加速酸化試験) が示されている。
【0033】
図20には、500℃でアニールした銅‐グラフェンバルク導体の抵抗‐温度曲線が示されている。
【0034】
図21には、500℃でアニールした銅‐グラフェン(ドーパミン由来)の抵抗‐温度曲線が示されている。
【0035】
図22には、1030℃でのアニール前後の銅バルク導体の抵抗‐温度曲線が示されている。
【発明の詳細な説明】
【0036】
特許請求される主題は、特定の実施形態および実施例に関して記載されるが、本明細書に記載される利点および特徴のすべてを提供しない実施形態および実施例を含む他の実施形態および実施例もまた、本発明の範囲内である。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な構造的、論理的、および方法工程の変化を行うことができる。
【0037】
本明細書を通じて与えられるすべての数値範囲はその上限値および下限値、ならびにその中に入るすべてのより狭い数値範囲を含み、そのようなより狭い数値範囲がすべて明細書中に特別に記載されていた場合でも、すべての値が下限の値の小数第1位に含まれる。
【0038】
本明細書中で使用される場合、特に示されない限り、「アルキル」という用語は、分岐または非分岐飽和炭化水素基をいう。
【0039】
本明細書で使用される場合、特に示されない限り、「ナノワイヤ」という用語は、ナノワイヤ、ナノロッド、およびそれらの組合せを含む。
【0040】
本発明は、グラフェン‐金属ナノコンポジットおよびその製造方法を提供する。本発明はまた、グラフェン‐金属ナノコンポジットの使用を提供する。
【0041】
グラフェン‐金属ナノコンポジットは例えば、望ましい電気伝導率および熱伝導率、ならびに望ましい通電電流容量を有する次世代金属導体となり得るように開発された。グラフェン‐Cuコンポジット導体は、伝統的な純Cu導体よりもいくつかの点で優れている。このコンポジットは例えば、純Cu(例えば、グラフェンを含まない銅ナノワイヤ)よりも、優れた熱伝導率、熱放散、破壊電流、機械的性質、またはそれらの組合せを有する。
【0042】
本発明には、特に、i)グラフェン‐Cuコンポジットインクの大規模に実施可能な溶液ベースの成長、ii)我々のテンプレート成長および分子レベル混合方法によるグラフェンとナノ構造Cuとの界面結合、およびiii)剪断支援加工および圧密化によるグラフェン‐Cuコンポジットの圧密化が含まれる。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、本発明者らの分子レベルの組織化および界面結合方法は、グラフェンがCuナノ構造上に均一にコーティングされることを可能にし、剪断支援フィルム方法および圧密化のためのコンポジットインク溶液の製造を可能にする。
【0043】
本発明は、金属グラフェンナノコンポジットを製造する方法を提供する。特定の実施形態では、ナノコンポジットは、(ナノコンポジットが本発明の方法によって製造される)方法により特定された物(product-by-process)として特徴付けられてもよい。
【0044】
本発明のすべての方法について、金属は、様々な実施形態において、銅、アルミニウム、または青銅であってもよい。本発明の全ての方法に適用可能な実施形態では、グラフェンがグラフェンナノシートを含んでもよい。グラフェンナノシートは、液体剥離グラフェンナノシートであってもよい。本発明のすべての方法の別の実施形態では、グラフェンは、還元型酸化グラフェンまたは酸化グラフェンを含んでもよい。
【0045】
様々な例では、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットを製造する方法は、金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部またはすべての表面上にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成することを含む。
【0046】
ある方法は、予備成形された金属ナノワイヤを使用することができる。金属ナノワイヤは、100nm未満の全ての0.1nm値を含む100nm未満(例えば、40~50nm)の寸法(例えば、直径)、および/または全ての0.1μm範囲およびそれらの間の値を含む1μm~1mmの寸法(例えば、長さ)を有していてもよい。金属ナノワイヤは、当技術分野で知られている方法によって製造することができる。例えば、金属ナノワイヤは、金属塩の水熱還元(水をベースとする水熱還元であってもよい)によって形成される。
【0047】
予備成形された金属ナノワイヤが使用される場合、金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成することは、金属ナノワイヤおよびグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液を形成することを含んでもよい。この分散液は、物理的混合(例えば、超音波方法などの超音波処理)を用いて形成することができる。
【0048】
様々な実施例において、グラフェン‐金属ナノコンポジットを製造する方法は、a)溶液中に金属ナノワイヤを分散させること、b)溶液中にグラフェンを分散させること、c)工程(a)の分散液を工程(b)の分散液に超音波方法下で添加してナノコンポジットを形成すること、及び、d)任意に、ナノコンポジットを含むインクを形成することを含む。
【0049】
本発明のすべての方法に適用可能な特定の実施形態では、溶液中に金属ナノワイヤおよび/またはグラフェンを分散させる1つ以上の工程が、溶液中に金属ナノワイヤおよび/またはグラフェンを得る1つ以上の工程に置き換えることができる。
【0050】
種々の金属ナノワイヤを使用することができる。ナノワイヤは、少なくとも1つのナノメートルスケール寸法を有する。金属ナノワイヤの組合せを使用することができる。金属ナノワイヤの非限定的な実施例としては、銅ナノワイヤ、アルミニウムナノワイヤ、銅合金ナノワイヤ、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0051】
ある方法では、その場で(in situ)金属ナノワイヤ形成を含むことができる。金属ナノワイヤは、金属粉末または金属前駆体の反応によってその場で形成することができる。予備成形された金属ナノワイヤがその場で形成される場合、金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成することは、金属ナノワイヤおよびグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液を形成することを含んでもよい。この分散液はまた、1つ以上の還元剤を含んでもよい。この分散液は、物理的混合(例えば、超音波方法などの超音波処理)を用いて形成することができる。
【0052】
種々の例において、グラフェン‐金属コンポジットを製造する方法は、例えば、水、エタノール、トルエンなどの液体中に、グラフェンと金属粉末を分散させることを含む。一実施形態では、グラフェンと金属粉末が超音波方法によって液体中に分散される。一実施形態では、この方法はコンポジットを集めることをさらに含む。
【0053】
様々な金属粉末を使用することができる。金属粉末の非限定的な例としては、銅粉末、アルミニウム粉末、銅合金粉末、およびそれらの組合せが挙げられる。適した金属粉末は、市販されているか、または当技術分野で公知の方法によって製造することができる。
【0054】
ナノサイズの金属粉末およびミクロンサイズの金属粉末を使用することができる。好ましい実施形態では、金属粉末はナノサイズ化される。一例では、直径約4μmの銅粉末が使用される。
【0055】
金属前駆体は反応または分解(例えば、熱反応または熱分解)して、金属ナノワイヤを形成する。種々の金属前駆体を使用することができる。金属前駆体の非限定的な例としては、アルミニウム前駆体粉末、銅前駆体粉末、および任意にニッケル前駆体粉末、マンガン前駆体粉末、亜鉛前駆体粉末、およびそれらの組合せから選択される1以上の粉末が挙げられる。金属前駆体は金属塩であってもよい。金属塩(例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、マンガン、または亜鉛塩)の非限定的な例としては、金属塩化物、金属硝酸塩、金属硫酸塩、およびそれらの組合せが挙げられる。適した金属前駆体は当技術分野にて公知であり、市販されているか、または当技術分野で公知の方法によって製造できる。
【0056】
分散液は、1以上の添加剤を含んでもよい。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、添加剤は金属コアとグラフェン材料との間の相互作用を改善し、および/または分散液の流動性および/または粘度を改善し、分散液はインク、例えば、印刷用インクとして使用することができると考えられる。一般に、グラフェン材料ナノコンポジットがインクを形成するために使用される場合、1以上の添加剤が使用される。添加剤の非限定的な例としては、水溶性第一級アミン(例えば、C10~C20アルキルアミン(ヘキサデシルアミン)などのアルキルアミン)が挙げられる。添加剤は、分散液の全重量に基づいて1~10重量%で分散液中に存在してもよい。
【0057】
様々な量の金属ナノワイヤ、金属前駆体、およびグラフェン材料が使用できる。様々な例では金属ナノワイヤおよび/または金属前駆体は分散液中に、0.1重量%の値およびそれらの間の範囲をすべて含む95~99重量%(金属ナノワイヤまたは金属前駆体およびグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の総重量に基づく)で存在し、および/または、グラフェン材料またはグラフェン前駆体材料は分散液中に、0.1重量%の値およびそれらの間の範囲をすべて含む1~5重量%(金属ナノワイヤおよび/または金属前駆体およびグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の総重量に基づく)で存在する。
【0058】
グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料に対する金属ナノワイヤおよび/または金属前駆体重量の様々な比を使用することができる。様々な実施例において、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の重量に対する金属ナノワイヤの重量の比は95:5~99:1であり、全ての0.1割合の値およびそれらの間の範囲を含む。
【0059】
様々なグラフェン材料を使用することができる。グラフェン材料の組合せを使用してもよい。グラフェン材料の非限定的な例としては、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、およびそれらの組合せが挙げられる。グラフェン材料は、剥離シートであってもよい。剥離シートグラフェン材料の非限定的な例としては、剥離グラフェンシート、剥離還元グラフェンシート、剥離酸化グラフェンシート、およびそれらの組合せが挙げられる。適したグラフェン材料は当技術分野にて公知であり、市販されているか、または当技術分野で公知の方法によって製造できる。
【0060】
グラフェン材料前駆体は反応または分解(例えば、熱反応または熱分解)してグラフェン材料を生成する。様々なグラフェン材料前駆体を使用することができる。グラフェン材料前駆体の組合せを使用してもよい。グラフェン材料前駆体は、有機小分子であってもよい。グラフェン材料前駆体の非限定的な例としては、ドーパミン、アニリンなど、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0061】
様々な還元剤を使用することができる。還元剤の非限定的な例としては、炭水化物(例えば、糖)およびそれらの組合せが挙げられる。一例では、還元剤はグルコース(例えば、D-グルコース)である。還元剤の量は金属前駆体を還元し、金属ナノワイヤを形成するのに十分である。
【0062】
分散剤または溶媒と呼ぶことができる様々な液体が、金属ナノワイヤおよび/またはグラフェン材料の分散液を形成するのに使用できる。様々な例において、液体は水、有機液体、例えば、C1~C6アルコール(例えば、エタノール)、またはそれらの組合せである。
【0063】
分散液は、様々な量の液体を含むことができる。様々な例において、分散液は、金属ナノワイヤおよび/または金属前駆体および/またはグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の重量に基づいて5~20重量%の液体を含む。金属ナノワイヤおよび/または金属前駆体および/またはグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液またはスラリーを形成する量の液体を使用することが望ましい。
【0064】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、グラフェン材料および金属ナノワイヤの分散液から分離されてもよい。適した分離方法の例は、当該分野において公知である。本発明の全ての方法の様々な実施形態において、例えば、工程(c)は、ナノコンポジットを集めることをさらに含んでもよい。
【0065】
ある方法は、1以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジット(例えば、1以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットから形成された粉末)からインクを形成することを含んでもよい。様々な実施例において、形成されたままのグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの分散液はインクである。本発明のすべての方法の様々な実施形態では、このインクは、トルエンなどの液体中にナノコンポジット(単数または複数)(個別に集められてもよい)を分散させることによって形成されてもよい。
【0066】
様々な実施例において、グラフェン‐金属ナノコンポジットを製造する方法は、a)溶液中に金属ナノワイヤを分散させること、b)溶液中にグラフェンを分散させること、c)工程(a)の分散液を工程(b)の分散液に超音波方法下で添加してナノコンポジットを形成すること、d)ナノコンポジットを含むインクを形成すること、及び、e)インクからフィルムを形成する工程と、f)任意にフィルムをか焼することを含む。
【0067】
1つ以上のグラフェン材料‐ナノコンポジットをインク形態に分散させることができる。インクは例えば、マイクロエレクトロニクス製造に利用することができる。例えば、それは、3Dプリント回路基板、他の電気回路または電極に使用することができる。本発明は、本発明のインクを使用して3D印刷によって製造される全ての製造品を包含する。
【0068】
インクは、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットのフィルムを形成するのに使用することができる。このフィルムは、様々なコーティングまたは印刷方法を使用して形成することができる。フィルムは例えば、コーティング(例えば、ドロップキャスティング、ディップキャスティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、スピンコーティングなど)、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷など)、添加剤製造(例えば、直接描画ベースの添加剤製造など)などによって形成できる。様々な実施例では、方法は、1つ以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットを含むインクからフィルムを形成することをさらに含む。
【0069】
グラフェン材料ナノコンポジット内の金属ナノワイヤ(例えば、ワイヤ、フィルムまたはペレット内)は、整列されてもよい。「整列」とは、整列したグラフェン材料ナノコンポジット中の個々の金属コアの一部が整列したグラフェン材料ナノコンポジットの最長寸法と平行に整列されることを意味する。様々な例において、整列したグラフェン材料ナノコンポジットにおける個々の金属コアの寸法の60%以上、70%以上、または80%以上は、整列したグラフェン材料ナノコンポジットの寸法の5度以下、2度以下、または1度以下の範囲内である。任意に、工程、例えば工程(e)は、ナノワイヤを液体形態に(例えば、液体流によって)整列させることをさらに含むことができる。
【0070】
加えて、または代替として、工程、例えば、工程(e)は、任意に、フィルムに剪断力を加えることをさらに含むことができる。圧延、摺動(水平)または垂直剪断力などの任意の剪断力を加えることができる。一実施形態では、剪断力が室温で加えることができる。別の実施形態では、剪断力はホットプレスであってもよい。一実施形態では、ホットプレスが約300~約1000℃で行われる。
【0071】
様々な実施形態において、剪断力は、約3500~約7000kPaの範囲であってもよく、それらの間の全ての範囲および整数であってもよい。いくつかの実施形態では、剪断力が5分間~30分間、およびそれらの間のすべての範囲および整数にわたって適用されてもよい。任意の特定の理論に束縛されることを意図するものではないが、剪断力はナノワイヤを整列させるために、ならびにナノワイヤを圧縮するために使用され得る。
【0072】
一実施形態では、前記方法は、コンポジット(集められてもよい)に剪断力を加えることをさらに含む。
【0073】
好ましい実施形態では、剪断力はホットプレスを含む。一実施形態では、ホットプレスは約300~約1000 ℃で行われる。別の実施形態では、剪断力は室温で加えることができる。圧延、摺動(水平)または垂直剪断力などの任意の剪断力を使用することができる。
【0074】
様々な実施形態において、剪断力は、約3500~約7000kPaの範囲であってもよく、それらの間の全ての範囲および整数であってもよい。いくつかの実施形態では、剪断力が5分間~30分間、およびそれらの間の全ての範囲および整数にわたって適用されてもよい。
【0075】
特定の実施形態においては、剪断力の適用に続いて押出成形を行ってもよい。一実施形態では、押出は室温で行われる。好ましい実施形態では、押出成形は、せん断支援方法および押出成形(Shear Assisted Processing and Extrusion, ShAPE)である。別の実施形態では、押出が等チャネル角度押出(Equal Channel Angular Extrusion, ECAE)である。好ましい実施形態では、押出は、液体中でのグラフェンおよび金属粉末の超音波分散後に集められたコンポジットのホットプレスに続いて行われる。押出は例えば、ワイヤまたはケーブルを作るために使用されてもよい。ワイヤは例えば、モータ用の金属を巻くために使用されてもよい。本発明のナノコンポジットで作られたワイヤ、ケーブルなどは、本発明の範囲内である。
【0076】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジット、またはグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの組合せは、ペレットを形成するのに使用できる。ペレットは、粉末形態であってもよい1つ以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの圧縮によって形成されてもよい。様々な例では、ペレットは、粉末形態および/または鋳型内であってもよい1つ以上のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットを静水圧(例えば、20トン)下で圧縮することによって形成される。ある方法は、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットまたはグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの組合せのペレットを形成することを含んでもよい。
【0077】
ワイヤを形成するために、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットまたはグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの組合せを使用してもよい。ワイヤは、複数の個々のワイヤから形成されてもよい(含んでもよい)。ある方法は、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットまたはグラフェン材料‐金属ナノコンポジットの組合せから形成されたペレットからワイヤを形成することを含んでもよい。様々な例において、ワイヤは、1つ以上のペレットの押出成形によって形成される。適した押出方法は、当技術分野で知られている。
【0078】
前記グラフェン材料金属ナノコンポジットは、か焼されてもよい。一実施形態では、か焼は約625~約1110 Kの温度で行うことができる。一実施形態では、か焼は約30分~約2時間の持続時間にわたって行うことができる。特定の実施形態では、か焼は、Arまたは、N2によって平衡化された5% H2などの任意の不活性ガス下で行うことができる。
【0079】
本発明は、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットを提供する。様々な実施例において、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、本発明の方法によって製造される。様々な実施例では、グラフェン‐金属ナノコンポジットは、純金属(例えば、1つ以上のグラフェン材料層がない金属ナノワイヤ)と比較して、1つ以上の改善された特性を有する。
【0080】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、金属コアと、金属コアの表面の少なくとも一部または金属コアの表面の全ての上に配置された1つ以上のグラフェン材料層とを含む。前記の層(単数または複数)は、少なくとも部分的に連続しているか、または完全に連続している。一例では、1つまたは複数のグラフェン材料層は、金属コア上に(例えば、化学蒸着、原子層堆積などの方法によって)成長されない。
【0081】
層は、様々な厚さを有することができる。個々の層は、一貫した厚さ、または層の個々の領域で変化する厚さを有していてもよい。グラフェン材料層は、シェルであってもよい。シェルは、少なくとも部分的に連続しているか、または完全に連続している。グラフェン材料層は、グラフェンの1~2層を含むことができ、あるいは、2nm以下の厚さを有していてもよい。
【0082】
様々な金属コアを使用することができる。金属コアは、金属ナノワイヤであってもよい。金属コアは、100nm未満の全ての0.1nm値を含む100nm未満(例えば、40~50nm)の寸法(例えば、直径)、および/または全ての0.1μm範囲およびそれらの間の値を含む1μm~1mmの寸法(例えば、長さ)を有していてもよい。金属コアの組合せを使用してもよい。金属コアの非限定的な例としては、銅、アルミニウム、銅合金(例えば、青銅、銅‐ニッケル合金など)、またはそれらの組合せを含むコアが挙げられる。一例では、銅‐ニッケル合金は、(合金の全重量を基準にして)2~12重量%のニッケルを含み、0.1重量%の値およびそれらの間の範囲をすべて含む。
【0083】
様々なグラフェン材料を使用することができる。グラフェン材料の組合せを使用することができる。グラフェン材料の非限定的な例としては、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0084】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、様々な形態を有することができる。グラフェン材料‐金属ナノコンポジットの形態の非限定的な例としては、ワイヤ、フィルム、およびバルク形態(例えば、ペレット)が挙げられる。フィルムは、自立フィルムであってもよいし、基板上に配置されたフィルムであってもよい(例えば、印刷可能な電子機器の場合)。様々な例では、ワイヤは、ワイヤの長軸に対して垂直な寸法(例えば、直径)が1ミクロン~1cm(例えば、1~10ミクロンおよび1ミクロン~10mm、および100ミクロン~1cm)であり、それらの間の全ての1ミクロン値および範囲を含む。様々な例では、フィルムは、100nm~100ミクロン(例えば、100nm~50ミクロン)のフィルムの最長寸法(例えば、厚さ)に対して垂直な寸法を有し、これらの間の全ての1nm値および範囲を含む。ワイヤは、複数のワイヤを含んでもよい。
【0085】
グラフェン材料‐金属ナノコンポジットは、1つ以上の望ましい特性を有し得る。望ましい特性の非限定的な例としては、電気伝導率、熱伝導率、熱放散、破壊電流、機械的特性(例えば、ヤング率)等、およびそれらの組合せが挙げられる。様々な実施例では、グラフェン材料ナノコンポジットは、4×106~5.5×106 S/cmの電気伝導率、金属ナノワイヤの少なくとも10倍、25倍、50倍、75倍、または100倍の絶縁破壊電流(グラフェン材料層なし)、金属ナノワイヤの少なくとも2倍または5倍のヤング率(グラフェン材料層なし)、またはそれらの組合せを示す。様々な実施例において、前記ナノコンポジットの導電率は、150℃の温度で10%以下または5%以下減少する。
【0086】
本発明は、本発明のグラフェン‐金属ナノコンポジットを使用する方法を提供する。様々な例では、本発明のインクは、デバイス(例えば、電気デバイスまたは電子デバイス)の部品を、例えば、印刷によって形成するために使用される。
【0087】
一例では、電子デバイスの導電性素子を形成する方法は、本発明のインクを使用して電子デバイスの導電性素子を形成すること、及び、電子デバイスの素子を有機酸水溶液または有機溶媒酸溶液と接触させることを含む。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、酸水溶液または有機溶媒酸溶液は、添加剤であってもよい1つ以上の絶縁材料の少なくとも一部または全部を除去すると考えられる。電子デバイスの導電素子は、本明細書に記載される印刷方法によって形成されてもよい。
【0088】
種々の有機酸水溶液を使用することができる。水性有機酸溶液は、水および1つ以上の有機酸を含む。有機酸の非限定的な例としては、アルキルカルボン酸(例えば、C1~C5アルキルカルボン酸、例えば、酢酸など)が挙げられる。
【0089】
種々の有機溶媒酸溶液を使用することができる。有機溶媒酸溶液は、1つ以上のアルコールおよび1つ以上の有機酸を含む。アルコールの非限定的な例としては、C1~C5アルコール(例えば、エタノールなど、およびそれらの組合せ)が挙げられる。有機酸の非限定的な例としては、アルキルカルボン酸(例えば、C6~C15アルキルカルボン酸、例えば、ドデカン酸など)が挙げられる。
【0090】
本発明は、本発明のグラフェン‐金属ナノコンポジットの使用を提供する。製造品は、本発明の1つ以上のグラフェン材料‐金属コンポジットを含むことができる。
【0091】
様々な実施例において、製造品は、1つ以上のナノコンポジットを含む。この製造品は、1つ以上の構成品を含んでもよく、この構成品は、1つ以上のグラフェン材料‐金属コンポジットを含む、1つ以上の受動部品(例えば、導体、ワイヤ等、およびそれらの組合せ)および/または1つ以上のアクティブ部品(例えば、アンテナ、リレー、スイッチリード、RFシールド等、およびそれらの組合せ)であってもよい。
【0092】
製造品は、電気デバイスであってもよい。電気デバイスの非限定的な例としては、電気モータ、発電機、変圧器、スイッチングレギュレータ、コンバータ、インバータ、充電回路、放電回路、PCL制御装置、分布ユニット(高圧分布ユニットであってもよい)、回路遮断器などが挙げられる。
【0093】
製造品は、電子デバイスであってもよい。電子デバイスの非限定的な例としては、消費者電子デバイス(例えば、コンピュータ、携帯電話等)、家電デバイス(例えば、テレビ、洗濯機、乾燥機等)、太陽電池、センサデバイス(例えば、無線センサデバイス)、制御デバイス、増幅器、減衰器、IOT(Internet of Things)デバイス、オーディオデバイス、RFIDデバイス、照明デバイス等が挙げられる。
【0094】
電気デバイスや電子デバイスは、1つ以上のナノコンポジットを含む1つ以上の構成品を含んでもよい。構成品の非限定的な例としては、アンテナ、接触、導体、リレー、スイッチリード、RFシールド等が挙げられる。
【0095】
本明細書に開示される様々な実施形態および実施例に記載される方法の工程は、本発明の方法を実行するのに十分である。したがって、一実施形態では、方法は、本質的に、本明細書で開示される方法の工程の組合せからなる。別の実施形態では、方法は、そのような工程からなる。
【0096】
以下の記載は、本発明のグラフェン材料‐コンポジット、その製造方法、およびその使用の様々な非限定的な例を示している:
ステートメント1.
本発明のグラフェン材料‐金属ナノコンポジットを製造する方法(例えば、金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成する工程と、任意に、グラフェン前駆体材料の層を含む金属ナノワイヤをか焼する工程とを含み、この際、グラフェン材料‐金属ナノコンポジットが形成される方法)。
ステートメント2.
金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成する工程が、金属ナノワイヤおよびグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液を形成する工程を含む、ステートメント1に記載の方法。
ステートメント3.
金属ナノワイヤと、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の分散液を形成する工程が、金属ナノワイヤを分散剤中に分散させる工程と、グラフェン材料またはグラフェン前駆体材料を分散剤中に分散させる工程と、前記金属ナノワイヤ分散液を、前記グラフェン材料またはグラフェン前駆体材料分散液に添加する工程を含む、ステートメント2に記載の方法。
ステートメント4.
前記金属ナノワイヤが、前記分散液中に95~99重量%(金属ナノワイヤと、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の総重量に基づく)存在する、ステートメント2または3に記載の方法。
ステートメント5.
前記グラフェン材料又はグラフェン前駆体材料が、前記分散液中に1~5重量%(金属ナノワイヤと、グラフェン材料及び/又はグラフェン前駆体材料の総重量に基づく)存在する、ステートメント2~4のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント6.
前記分散液の分散剤が水、C1~C6アルコール、またはそれらの組み合わせである、ステートメント2~5のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント7.
前記金属ナノワイヤ重量の、前記グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料重量に対する比が95:5~99:1である、ステートメント2~6のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント8.
前記金属ナノワイヤが、銅ナノワイヤ、アルミニウムナノワイヤ、銅合金ワイヤ、およびそれらの組み合わせから選択される、ステートメント2~7のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント9.
前記金属ナノワイヤの表面の少なくとも一部または全部にグラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料の層を形成する工程が、金属粉末または金属前駆体と、グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料との分散液を形成する工程を含む、先行するステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント10.
前記分散液を形成する工程が、金属粉末または金属前駆体を分散剤中に分散させる工程と、前記グラフェン材料および/またはグラフェン前駆体材料を分散剤中に分散させる工程とを含む、ステートメント9に記載の方法。
ステートメント11.
前記分散液が、1以上の水溶性第一級アミンをさらに含む、ステートメント9または10に記載の方法。
ステートメント12.
前記金属粉末がナノ粉末である、ステートメント9~11のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント13.
前記金属粉末が銅粉末、アルミニウム粉末、銅合金粉末、またはこれらの組合せである、ステートメント9~12のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント14.
金属前駆体がアルミニウム前駆体粉末または銅前駆体粉末であり、任意に、1つ以上の粉末が、ニッケル前駆体粉末、マンガン前駆体粉末、亜鉛前駆体粉末、およびそれらの組合せから選択される、ステートメント9~13のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント15.
前記金属粉末または金属前駆体が、前記分散液中に95~99重量%(金属粉末または金属前駆体およびグラフェン材料の総重量に基づく)存在する、ステートメント9~15のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント16.
前記グラフェン材料が、前記分散液中に1~5重量%(金属粉末または金属前駆体およびグラフェン材料の総重量に基づく)存在する、ステートメント9~15のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント17.
金属粉末または金属前駆体重量の、グラフェン材料重量に対する比が95:5~99:1である、ステートメント9~16のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント18.
前記分散剤が、水、C1~C6アルコール、またはそれらの組み合わせである、ステートメント9~17のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント19.
前記ナノコンポジットを前記分散液から分離することをさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント20.
前記グラフェン材料が、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、またはそれらの組み合わせである、前述のステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント21.
前記グラフェン材料が、剥離グラフェンシート、剥離還元グラフェンシート、または剥離酸化グラフェンシートである、前述のステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント22.
前記グラフェン前駆体材料が小分子である、前述のステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント23.
前記ナノコンポジットを含むインクを形成することをさらに含む、前述のステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント24.
前記インクを用いてフィルムを形成することをさらに含む、ステートメント23に記載の方法。
ステートメント25.
前記フィルムが、コーティング、印刷、または添加剤製造によって形成される、ステートメント24に記載の方法。
ステートメント26.
前記金属ナノワイヤを整列させることをさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント27.
前記の整列が、前記フィルムにせん断力を加えることを含む、ステートメント26に記載の方法。
ステートメント28.
前記せん断力が3500~7000kPaである、ステートメント27に記載の方法。
ステートメント29.
前記ナノコンポジットをか焼することをさらに含む、先行するステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント30.
前記か焼が625~1110Kの温度で行われる、ステートメント20~29のいずれか1つに記載の方法。
ステートメント31.
前記ナノコンポジットを含むペレットを形成することをさらに含む、前述のステートメントのいずれか1つに記載の方法。
ステートメント32.
前記ペレットからワイヤを形成することをさらに含む、ステートメント31に記載の方法。
ステートメント33.
前記ワイヤの形成が、前記ペレットを押し出すことを含む、ステートメント32に記載の方法。
ステートメント34.
本発明の方法(例えば、ステートメント1~33のいずれか1つの方法)によって作製することができる、本発明のナノコンポジット(例えば、金属コアと、当該金属コアの表面の少なくとも一部または金属コアの表面のすべての上に配置されたグラフェン材料層とを含むナノコンポジット)。
ステートメント35.
前記金属コアが、銅、アルミニウム、銅合金、またはそれらの組み合わせを含む、ステートメント34に記載のナノコンポジット。
ステートメント36.
前記グラフェン材料が、グラフェン、還元グラフェン、酸化グラフェン、またはそれらの組み合わせである、ステートメント34または35に記載のナノコンポジット。
ステートメント37.
前記グラフェン材料層が、グラフェン材料の1~2層を含む、ステートメント34~36のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント38.
前記グラフェン材料層が2nm以下の厚さを有する、ステートメント34~37のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント39.
前記グラフェン材料層が、少なくとも部分的に連続しているか、または完全に連続している、ステートメント34~38のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント40.
前記グラフェン材料層がシェルであり、当該シェルが少なくとも部分的に連続しているか、または完全に連続している、ステートメント34~39のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント41.
前記ナノコンポジットがワイヤ、フィルム、またはペレットである、ステートメント34~40のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント42.
前記ナノコンポジットが、以下のうちの1つ以上:4×106~5.5×106 S/cmの電気伝導率;金属ナノワイヤ(グラフェン材料層なし)の少なくとも10倍、25倍、50倍、75倍、または100倍の絶縁破壊電流;または金属ナノワイヤ(グラフェン材料層なし)のヤング率の少なくとも2倍または5倍のヤング率;を示す、ステートメント34~41のいずれか1つに記載のナノコンポジット。
ステートメント43.
本発明の製造品(例えば、本発明の電気デバイスまたは電子デバイス)の導電素子を製造する方法(例えば、本発明の1以上のナノコンポジット(例えば、ステートメント34~42のいずれか1つに記載の1以上のナノコンポジット)を含むインクを用いて電子デバイスの導電素子を形成する工程と、前記電子デバイスの素子を有機酸水溶液または有機溶媒酸溶液と接触させる工程とを含む方法)。
ステートメント44.
前記有機酸水溶液が有機酸および水を含む、ステートメント43に記載の方法。
ステートメント45.
前記有機溶媒酸溶液が、有機酸およびC1~C5アルコールを含む、ステートメント43または44に記載の方法。
ステートメント46.
本発明の製造品(例えば、本発明の1以上のナノコンポジット(例えば、ステートメント34~42のいずれか1つに記載の1以上のナノコンポジット)を含む製造品)。
ステートメント47.
前記製造品が電気デバイスである、ステートメント46に記載の製造品。
ステートメント48.
前記電気デバイスが、電気モータ、発電機、変圧器、スイッチングレギュレータ、コンバータ、インバータ、充電回路、放電回路、PCL制御装置、伝送ユニット、分配ユニット、バッテリ装置、またはバッテリ電力管理装置である、ステートメント46または47に記載の製造品。
ステートメント49.
前記製造品が、電子デバイスである、ステートメント46~48のいずれか1つに記載の製造品。
ステートメント50.
前記電子デバイスが、消費者向け電子デバイス、消費者向け電子デバイス、または家電デバイス、太陽電池、無線センサデバイス、制御デバイス、増幅器、減衰器、モノのインターネット(IOT)デバイス、バッテリデバイス、バッテリ充電デバイス、バッテリ電力管理デバイス、オーディオデバイス、RFIDデバイス、または照明デバイスである、ステートメント49に記載の製造品。
ステートメント51.
電気デバイスまたは電子デバイスの1つ以上の構成品が、1つ以上のナノコンポジットを含む、ステートメント46~50のいずれか1つに記載の製造品。
ステートメント52.
前記構成品が、アンテナ、接触、導体、リレー、スイッチリード、または無線周波数(RF)シールドである、ステートメント51に記載の製造品。
【0097】
以下の実施例は、本発明を例示するために提示される。これらは、いかなる点においても限定することを意図していない。
【実施例】
【0098】
実施例1
この実施例は、本発明の金属ナノコンポジット、その製造方法、およびその特徴の説明を提供する。
【0099】
我々は、2つの成分の間にきれいな界面を持つグラフェンと銅のコンポジットを、相乗的に統合されるように作製した(
図1b)。これは、グラフェン特有の特性(高い熱伝導率と通電性)と銅(高い電気伝導性)を兼ね備えている。炭素の同素体であるグラフェンは、環境に優しい。それは、2,000~4,000W m
-1K
-1のフォノン誘起熱伝導率を示し、10
8 A cm
-2の高い通電電流容量を実証する。そのアンペア数は従来の金属導体(例えば、Cu ~10
6 A cm
-2)の100倍である。グラフェン単独では、自由電子密度が限られているため、電気回路内の金属導体を置き換えることができない。グラフェンは室温で28μmまでの大きな平均自由行程を保持し、これは銅の約700倍である。銅は比較的小さい平均自由行程(RTで~0.04μm)と電子誘起熱伝導率を持つ。これは、グラフェンと比べてはるかに低い熱伝導率に寄与する。しかし、銅は高い電気伝導率とかなり良好な延性を有している。我々は、フォノン支配グラフェンと電子支配銅を統合し、より優れた熱管理を有する導電性高電流金属コンポジットを創り出した。
図1aは、金属およびナノカーボン材料の電気伝導率および熱伝導率を示す。
【0100】
我々の大規模に実現可能なグラフェン‐銅導電体(グラフェン‐Cu、
図1a)は、広い温度範囲で高い電気・熱伝導性と高い通電性(電流容量)を示した。我々の溶液処理グラフェン‐Cuコンポジットは、363 Kで3.1×10
5 S cm
-1(293 Kで3.67×10
5 S cm
-1)の導電率と1.06 A
2の降伏電流を示した。これらの特性は、純Cuの特性よりもそれぞれ63%および39%高かった。さらに、グラフェン‐Cuコンポジットのキャリア輸送挙動の第一原理に基づくシミュレーションは、Fermiレベルでの表面銅原子の状態密度が効果的に増加することを示した。グラフェン‐Cuコンポジット系では、電子とフォノン間の相互作用が効果的に減少した。特定の理論に束縛されることを意図することなく、この機構は、Cuのような従来のものに関してコンポジット導体の熱伝導率を改善すると考えられる。このグラフェンパーコレーションネットワークは、フォノンモードが高温で活性化されても、銅‐グラフェンコンポジットにおける電子‐フォノン結合を効率的に減少させる。このコンポジット膜は、インクの濃度と印加される圧力に依存する制御された膜厚フィルム(1.2μm~4.1μm、
図1c)と共に、高密度で好ましいCuナノワイヤ配列を示した。
【0101】
前記グラフェン‐銅金属導体を、大規模に実施可能な汎用性のある溶液方法を通して成長させた。作製手順は、液相剥離グラフェンナノシートを作製することから開始した。次いで、グラフェンシートをCuナノワイヤと混合して、超音波ラッピング方法によって促進される緻密なグラフェン‐Cu溶液インクを作製した。超音波方法の間、Cuナノワイヤの表面上のリガンドは、非極性溶媒中に分散された。その後、グラフェンナノシートをCuナノワイヤに巻き付けることが容易になり、その結果、コアシェル型ナノ構造が形成された。Cuナノワイヤの形態は、還元剤の量と反応時間によって制御された(
図8)。合成されたままのインクは、水/空気界面で空気安定性フィルムを形成した(
図9)。
【0102】
構造。いかなる特定の理論にも束縛されることを意図するものではないが、
図1dおよび1eは、グラフェンの薄いシート(
図1dの挿入図)が銅ナノワイヤの周りに巻き付けられたという本発明者らの仮説を支持している。これらの図は、グラフェンと混合される前後の、銅ナノワイヤーの走査型電子顕微鏡(SEM)像の相違を示している。この結果は、透過型電子顕微鏡(TEM)像でさらに確認され、二つの材料の間に明瞭な界面が示された。これらの像はまた、Cu NWの表面上の薄い被覆(~2nm)を示している(
図1f)。得られたコンポジットのエネルギー分散X線分光(EDS)マッピング(
図1f)により、シェルが炭素で構成されていることが確認され、グラフェンの存在が示唆された。X線回折(XRD)パターンにより、か焼後のグラフェン‐Cu(111)コンポジットと純Cuの形成を確認した(
図1g)。
【0103】
特性。グラフェン‐Cuナノコンポジットの機械的性質(ヤング率と硬さ)は、強さを要する技術応用において重要である。グラフェンのヤング率(~1TPa)はコンポジットを強化した。グラフェン‐Cuフィルムのナノインデンテーションは、コンポジットのヤング率がフィルム全体で約55.40 GPaであることを示した。これは、成長したままのCuよりもはるかに高かった(1.33 GPa、
図1h)。フィルムを横切るナノインデンテーションマッピングは、グラフェン‐Cuコンポジットフィルムを横切るヤング率の均一で顕著な増加を検証した(
図1i‐1j、それぞれCuおよびグラフェン‐Cu)。また、このコンポジットは、グラフェンの優れた引張強さ(~130GPa)によって強化された。
【0104】
グラフェン‐Cuコンポジットの電気導電性も重要である。ナノコンポジットの絶縁破壊電流と温度依存電気伝導率を4点プローブ測定スキームを用いて解析した。その結果は、両方のサンプルにおいて線形の相対抵抗変化を示した(
図2a)。電気抵抗の急激な増加は絶縁破壊電流を示した。
図2(a)は、グラフェン‐銅コンポジットが純粋なCu NWの場合よりも大きな破壊電流を示すことを示している。グラフェン‐Cuコンポジットは、純Cuよりも39%高い破壊電流を持続した。これは、グラフェンシェルがCuの電流容量を著しく増加させることを実証した。選択したCu NWおよびグラフェン‐Cuコンポジット(
図10)を、同じ試験条件(293 Kから423 K)で特性化した。
図2cに示されるように、グラフェン‐Cuコンポジットは、純粋なCu(5.3×10
5 S cm
-1)と同等の電気伝導率(293 Kで3.6×10
5 S cm
-1)を示し、純粋なグラフェン(~10
2 S cm
-1)より3倍大きい電気伝導率を示した。グラフェンの存在は、コンポジットがより高い温度(363 K)で室温伝導率の89%を保持することを可能にした。対照的に、純銅は同じ条件下で電気伝導率の34%しか保持しなかった。温度を423 Kまで上昇させると、グラフェン‐Cuコンポジットの伝導率はCuの伝導率よりも高かった(4.3倍大きい)(
図11)。
【0105】
高電流通電電流容量測定の前後のSEM画像は、グラフェンが、グラフェン‐Cuコンポジットの構造保存を支援することを示した。
図2bは、グラフェン‐Cuコンポジットが純粋なCuフィルムとは対照的に、高電流通電測定後、そのワイヤー状構造の大部分を保持していることを実証した。このような構造安定性は、マイクロデバイスの寿命を増加させ、性能を延ばすのに役立つ可能性がある。
【0106】
マイクロデバイスにおいて考慮すべき重要な特徴は、それらの回路が熱を放散する能力である。そこで、我々は、熱カメラと熱電グラフにより捉えた画像を解析した。
図2dの上側の画像は、温度363 Kの加熱平板上のグラフェン‐CuおよびCu導体の熱画像を示している。我々はこの画像の差し込み図に示すように、4点プローブ試験のために矩形形状の銀(Ag)電極で被覆された典型的なフィルムを使用した。熱画像形成前に両試料を熱平衡状態に維持した。グラフェン‐Cuフィルムについては、銀面積が残りのものよりも高い温度を示すのに対して、グラフェン‐Cuフィルム面積についての測定温度は約318 Kであることを観察した。対照的に、Cu導体は矩形のAg領域よりも高い温度を示した。グラフェンの高放射率と熱放射により、グラフェン‐Cuは冷たく見えた。これは、グラフェンがフォノン透過に有益であることを示した。さらに、グラフェン‐CuおよびCuフィルムに4Aの高電流密度を与えた。グラフェン‐Cu(~308K)導体は、同じ電流密度の下で、Cu導体(~338K)よりもはるかに低い温度を示すことを観察した(
図2dの中央及び下側の画像)。この相違点についてより多くの洞察を得るために、
図2eにCuとグラフェン‐Cuの、時間に対する温度変化をプロットした。プロットに示されるように、1AでのコンポジットよりもCuではかなり速い温度上昇速度が見られた。さらに、4.5Aでは、本来のCuの温度は~347Kに達した。しかし、同じ条件下で、コンポジットは316 K(Cuより30 K以上低い)に達した。さらに、グラフェン‐CuおよびCuフィルムの熱拡散速度も同様の傾向を示した。グラフェン‐Cu導体は、Cu導体と比較した場合、温度の速い降下を示した(Δt/ΔTの大きな絶対値)。
【0107】
これらの結果の全てにより、グラフェン‐Cuコンポジット導体は、Cuよりも広い温度範囲において、より大きな通電能力、より高い電気伝導率、より高い熱伝導率およびより良い熱散逸を有することが立証された。
【0108】
さらに、我々は、コンポジット中のグラフェンの重量%を変えて、温度依存導電率に及ぼすその効果を調べた。
図3aは、2wt%(363 Kでの導電率3.1×10
5 S cm
-1)がコンポジットの温度依存導電率を補完する最適なマトリックス中のグラフェン量であったことを示している。グラフェン‐Cuコンポジット中に浸透ネットワークが形成された(
図3b)。比較して、1wt%のグラフェンを含むCuは、363 Kで1.4×10
5 S cm
-1のより低い導電率を示した。グラフェンを4重量%に増加させた後、293 Kで0.52×10
5 S cm
-1というさらに低い初期導電率が得られた。しかしながら、4重量%のグラフェンは、より良好な温度安定性を有していた(363 Kで測定した場合、0.5×10
5 S cm
-1)。我々は、さらなる研究のための試作例として、2重量%のグラフェンを含むCuコンポジットを選択した。
【0109】
機械的プレスの効果。さらに、2wt%グラフェン‐Cuコンポジット薄膜の熱伝導率に及ぼす機械的プレスの効果を解析した。
図3cには、水圧一軸加圧およびせん断力加圧下でのグラフェン‐Cuコンポジットの温度依存導電率が示されている。50 Nの力を室温で10分間加えた。非圧縮フィルムと比較して、プレスしたものは、異なる温度下で、はるかに少ない多孔度(
図3d)と、はるかに高い導電性(プレス力とせん断力のサンプルについて:293Kで4.42倍と3.86倍)を示した。より重要なことに、プレスされたフィルムは、293 Kでより高い導電率(4.2×10
5 S cm
-1)を示した。非圧縮フィルムよりも大きいが、導電率は温度が333 K以上上昇すると減少した。特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、我々は、せん断力がグラフェン‐Cuワイヤ間に効果的なネット接合を作り出したと考えている。我々は、特定の理論に束縛されることを意図することなく、フィルム中の電子およびフォノンがより容易に透過し、高温でより高い伝導率をもたらすことを提案する。特に高温での用途には、グラフェン‐Cu膜のプレスが好ましい実施形態である。
【0110】
ホットプレスを施した~82%の高密度グラフェン‐Cuコンポジットについての我々の結果は、293 Kで52×10
6 S/m,373 Kで48×10
6 S/mであった(
図7b)。温度依存性において同様の挙動を示すほぼ100%の高密度試料について、グラフェン‐Cuの電気伝導率は、
図7cに見込まれているように、423 Kで55×10
6 S/m(純Cu導体の電気伝導率は423 Kで35×10
6 S/m)と予測される。
【0111】
連続せん断変形は室温で完全に緻密な異方性構造をもたらす。いかなる特定の理論に束縛されることを意図することなく、押出中のせん断力は、グラフェンの2D性質による軸方向電流伝導率および円周方向熱伝導率を高めるために、Cuマトリックスにおけるグラフェン整列を容易にする。ミクロンからミリメートル(他の炭素同素体よりはるかに大きい)に及ぶ横方向サイズを有する2D炭素単結晶である大規模に実施可能な耐酸化性のグラフェンは、横方向の粒界を最大限に排除する。特定の理論に束縛されることを意図することなく、グラフェンナノシートと相互作用するナノ構造Cuは、グラフェンの原子間隔を選定し、格子整合効果により(111)リッチの結晶配置でわずかに歪み、より低い抵抗およびジュール加熱をもたらすことになる。これらのコンポジットは既存の通電金属導体と比較して、電流容量と同様に、電気伝導率及び熱伝導率の桁違いの向上を達成することができる。
【0112】
キャリア輸送挙動。グラフェン‐Cuコンポジットのキャリア輸送挙動とそのCu系との相違を評価するために、第一原理計算を、量子Espressoコードに実装した密度汎関数理論へのPerdew‐Burke‐Ernzerhof一般化勾配近似(PBE)の平面波実装で行った。グラフェン‐Cuの場合、長距離van der Waals相互作用に対して非局所相関汎関数(vdW‐DF)が含まれ、これは文献と比較してグラフェンとCu表面の間に類似の距離を与えた。Cu(111)表面上のグラフェンの周期的スラブモデルは、5層のCu原子、1層のグラフェンおよび15Åの厚さの真空を含んでいた(
図4a)。原子上の力が0.005 eV/°A以下、応力が0.01 kbar以下になるまで構造を最適化した。密度汎関数摂動論(DFPT)に基づいて電子‐フォノン結合を計算した。Cuについての計算した電子‐フォノン結合定数はλ=0.158であり、これは以前の結果に近かった。
図4bに示されるように、グラフェン‐Cu界面系については、フェルミレベルでの表面Cu原子の状態密度が効果的に増加し、これがグラフェン‐Cuコンポジット系の電子構造工学の意義を示した。さらに重要なことに、我々の計算結果(
図4c~4d)は、グラフェン‐Cu界面系の電子フォノン結合定数が0.085に近いことを示した。この値は、Cu系の値よりもはるかに小さかった。コンポジット系の減少した電子‐フォノン結合強度は、高温での電気伝導率の改善と一致した。Cuと比較して、コンポジット系ではグラフェンの取り込みにより電子とフォノン間の相互作用が効果的に減少した。従って、それらの電荷キャリアは、温度上昇によってより多くのフォノンモードが活性化されても、電子‐フォノン散乱を受ける可能性は少なかった。
【0113】
バルク中の使用。金属導体について実際にグラフェン含有戦略の実現可能性を調べるために、一連の高密度グラフェン‐Cu NWコンポジットをバルク中で調製した(
図5a)。
図5bは、焼結温度が、グラフェン‐銅コンポジットの導電率の改善に重要な役割を果たしていることを示している。特に、この図は、グラフェン‐Cu NWコンポジット導体が焼結温度の上昇とともに電気伝導率を増加させたことを示している。最適焼結温度1223 Kに対して室温で5.2×10
5 S cm
-1の導電率を示す。さらに、温度の上昇と共に、見掛けの導電率低下は観察されなかった。373 Kでは、4.9×10
5 S cm
-1の導電率(293 Kでの導電率の94%)が観察された(
図5c)。バルクコンポジットグラフェン‐Cu NWの電気伝導率低下割合は、バルクCuよりもはるかに低かった(
図5d、Δσ/ΔT)。これらの結果は、バルク中のグラフェン含有の実現可能性を示している。あるいは、Cu粉末をバルク中でグラフェンと共に使用することもできる。
【0114】
方法。材料。文献中の変更された方法を用いてSchlenkラインにて銅ナノワイヤを合成した。合成した銅ナノワイヤをトルエン溶液中に分散させた。液相グラフェンナノシートを、一般的な剥離法を用いて合成した。すべての化学物質はSigma-Aldrichから購入し、容器に入った状態のまま使用した。
【0115】
グラフェン‐銅導体の作製。グラフェンナノシート溶液(1mg/mL、0.66mL)を25mLのメタノール中に希釈した。このようにして希釈されたグラフェン溶液に、Cu NWトルエン溶液(11mg/mL、3mL)を超音波条件下で添加した。次いで、この混合物をさらに10分間超音波処理して、グラフェン‐銅コンポジットを形成した。この生成物を分離し、5500rpmで5分間の遠心分離によってペレットを集めた。次に、得られた試料をトルエンで3回洗浄し、トルエン2.5mL中に分散させた。十分にパーコレーションされた導電性ネットワークを有する圧密化グラフェン‐Cuフィルムを得るために、インク溶液を優先的な流れで基材上に滴下キャストし、続いて、せん断力処理(せん断力支援圧延圧密(
図1b))を通して圧延した。最後に、合成したままのコンポジットフィルムを、最終的なグラフェン‐銅導体を得るために、N
2によってバランスさせた5% H
2の雰囲気中で673 Kにて30分間か焼した。
【0116】
別の手順では、せん断力支援圧延圧密とか焼をホットプレスで置き換えた。ホットプレスは約500 ℃の温度で起こった。
【0117】
図6のバルクグラフェン‐銅試料について、市販の銅粉末(Alfa Aesar、-325メッシュ、99%)を、改変ハンマー法を用いて得られた還元酸化物グラフェン(~2重量%)と混合した。次いで、合成したままのコンポジットを300,400,450および500℃で熱焼結した。
【0118】
キャラクタリゼーション。得られた試料の形態を走査型電子顕微鏡(SEM、FEI Quanta 450)および透過型電子顕微鏡(TEM、JEOL JEM-1400)により調査した。構造特性は、エネルギー分散分光法(FEI Quanta 450)とX線回折(Bruker D8 Discover)によって決定した。膜のヤング率と硬度をナノインデンタ(Hysitron Com. TI 980 TriboIndenter)を用いて測定した。ヤング率と硬度値は、ナノインデンタソフトウェアを通して実験曲線を当てはめることにより決定できた。電気伝導率測定は4プローブ伝導率計(Keithley 2400)を用いて行い、熱画像はIRカメラ(FLIR)で撮影した。
【0119】
電子フォノン結合計算。第一原理計算は、Perdew‐Burke‐Ernzerhof一般化勾配近似(PBE)を量子Espressoコードに実装した密度汎関数理論の平面波実装内で行った。波動関数と電荷遮断エネルギーはそれぞれ30 Ryと120 Ryとした。ノルム保存擬ポテンシャルをこれらの計算において使用した。Cuの計算には21×21×21と21×21×1 Г-centered k点メッシュを、Cu(111)面上のグラフェンのスラブモデルをそれぞれ用いた。
【0120】
実施例2
この実施例は、本発明の金属ナノコンポジット、その製造方法、およびその特徴付けの説明を提供する。
【0121】
銅ベースのナノワイヤインク供給原料の調製:
1) 銅ナノワイヤ調製:2.4gの塩化銅、3.9gのD-グルコースおよび14.55gのヘキサデシルアミン(HDA)を900mLのDI水に添加し、次いで12時間撹拌して均一なエマルジョンを達成した。次いで、上記溶液を水熱反応器中で異なる時間(6時間、9時間、9.5時間、10時間、12時間、および15時間)加熱する。次いで、得られた銅ナノワイヤ溶液を、インク調製のために集める。
2) 銅‐グラフェン供給原料調製:銅ナノワイヤをドデカン酸(エタノール溶媒で希釈)で洗浄して、HDAリガンドを除去する。次いで、サンプルに、異なる重量濃度の剥離グラフェン(0.1重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重量%)またはドーパミン(0.1重量%、0.5重量%、1重量%、3重量%、5重量%)のいずれかを添加する。混合後、パウダーをシンキー(Thinky)ミキサーによって均一に混合して、銅‐グラフェンまたは銅‐ドーパミンインク溶液を調製する。
3) 銅‐ニッケルナノワイヤ調製:異なる量の塩化銅および塩化ニッケル(例えば、2.16gの塩化銅および0.182gの塩化ニッケル;1.92gの塩化銅および0.364gの塩化ニッケル;1.68gの塩化銅および0.546gの塩化ニッケル;1.2gの塩化銅および0.950gの塩化ニッケル;)、3.9gのD-グルコースおよび14.55gのヘキサデシルアミンを、900mLのDI水に添加し、次いで、12時間撹拌して、均一なエマルジョンを得る。上記の溶液を水熱反応器中で異なる反応時間(9時間、9.5時間、および10時間)加熱する。
【0122】
銅ベースの導体調製:
1) 印刷可能な銅薄膜導体:銅ベースのインク溶液(銅、銅‐グラフェン、または銅‐ニッケル)は、様々なコーティング技術(スピンコーティング、ディップコーティング、スクリーン印刷、インクジェット、および直接描画ベースの添加剤製造)を介して、室温で可撓性基板上に堆積させることができる。次に、この薄膜導体を30秒以内に20重量%のドデカン酸およびエタノール溶液に浸漬して、非導電性添加剤を除去することによって導電率を著しく改善することができる。
2) 銅系バルク導体:乾燥させた銅系粉末(銅、銅‐グラフェン、銅‐ドーパミン、または銅‐ニッケル)をフォーミングガス中にて500℃で300分間加熱して、インク供給原料中の有機残渣を除去する。次いで、それらを研削し、静水圧プレスを用いてバルクペレット導電体中にプレスした。次いで、バルク導体をフォーミングガス中にて1030℃で10分間加熱した。
【0123】
図12~22には、本実施例の方法によって作製されたナノコンポジット材料の様々な特徴付けが示されている。
【0124】
本発明は1つ以上の特定の実施形態および/または例に関して説明されたが、本発明の他の実施形態および/または例は本発明の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解されるであろう。