(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】自動車用途の為のアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 1/02 20060101AFI20250821BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20250821BHJP
【FI】
F16H1/02
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2023517258
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 DE2021100611
(87)【国際公開番号】W WO2022057965
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】102020124091.0
(32)【優先日】2020-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ランズクロン, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エガート, マルコ
(72)【発明者】
【氏名】スターム, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュテッフェン, トビアス
(72)【発明者】
【氏名】オズドガン, ムラト
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ, ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ジェン, ボアン
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-97486(JP,A)
【文献】特開2009-287581(JP,A)
【文献】特開平6-200987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0340926(US,A1)
【文献】国際公開第97/04248(WO,A1)
【文献】実開昭51-43362(JP,U)
【文献】米国特許第4226136(US,A)
【文献】特表2023-510967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/02
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータ(9)と、前記電気モータ(9)の下流に接続され、駆動ホィール(11)および出力ホィール(12)を有する少なくとも1つの歯車段(4、5、6)と、作動手段(3)とを有する、自動車用、特に自動車の閉鎖装置用のアクチュエータ(1)であって、
前記作動手段(3)は、前記歯車段(4、5、6)によって動作可能であり、前記歯車段(4、5、6)は、少なくとも領域内で歯車構成要素(11、12)を案内する
案内手段(20)を有し、
前記案内手段(20)は、前記駆動ホィール(11)上の延長部(16)から形成され、前記出力ホィール(12)上には案内溝(18)が形成され、前記延長部(16)が前記案内溝(18)に係合することにより、前記歯車構成要素(11、12)は連続的に案内可能であ
り、
前記駆動ホィール(11)および出力ホィール(12)が内部に配置されるハウジング(2)は、第1の軸受手段(25)、第2の軸受手段(26)および第3の軸受手段(27)を提供し、前記第1の軸受手段(25)は前記電気モータ(9)を固定し、前記第2の軸受手段(26)は、前記延長部(16)に係合して前記駆動ホィール(11)の軸受点を設け、前記第3の軸受手段(27)は前記出力ホィール(12)の軸受点を設けることを特徴とするアクチュエータ(1)。
【請求項2】
前記歯車構成要素(11,12)は、案内する為の手段(16,18,20)を有することを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項3】
前記案内する為の手段(16、18、20)は、前記駆動ホィール(11)と前記出力ホィール(12)との間の形状嵌合によってもたらすことができることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの歯車段(4,5,6)は、クラウン歯車段(4)であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項5】
少なくとも2つの歯車段(4,5,6)が存在し、少なくとも1つの歯車段(4,5,6)がクラウン歯車段(4)であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項6】
前記駆動ホィール(11)は、
前記延長部(16)を有しており、前記延長部(16)を前記出力ホィール(12)内に案内することができることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項7】
前記延長部(16)は、少なくとも前記案内溝(18)
に形状適合することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(1)は
前記ハウジング(2)を有し、前記ハウジング(2)によって前記歯車段(4,5,6)を更に案内することができることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項9】
前記延長部(16)は、前記ハウジング(2)によって案内することができることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【請求項10】
前記駆動ホィール(11)および/または前記
電気モータ(9)の駆動シャフトを一体に形成することができることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のアクチュエータ(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、自動車用途、特に自動車閉鎖装置用のアクチュエータに関し、このアクチュエータは、電気モータと、少なくとも1つの歯車段とを有し、少なくとも1つの歯車段は、電気モータの下流に接続され、駆動ホィール及び出力ホィールを有し、作動手段は、歯車段によって動作可能であり、歯車段は、少なくとも領域内で歯車構成要素を案内する為の手段を有する。
【0002】
[0002]自動車の快適性を向上させ、または自動車の安全な動作を可能にするために、今日の自動車では、ますます多くの電気動作式アクチュエータが使用されている。快適性を向上させるために、たとえば、電気的に調整可能な車外ミラー、シート調整装置またはヘッドライト調整装置を幾つかの例を挙げて挙げるべきものとする。たとえば、アクチュエータが充電ソケットをロックするために使用されるか、たとえば、燃料フィラーフラップロックの場合に自動車の安全性を高めるために使用されるという点で、自動車を動作させる際の安全性を高めることができる。
【0003】
[0003]アクチュエータに対するこれらの一般的な用途に加えて、後者は、自動車の閉鎖装置に関連して、たとえば、閉鎖駆動装置として、または自動車用ロックをロックするためにも使用される。さらに、このようなアクチュエータを使用して、自動車用ドアを閉鎖するために、いわゆる電気的に動作可能なロック保持装置を移動させることができる。
【0004】
[0004]自動車において複数の機能を実施することが可能であり、また実施すべきであるという理由もあって、自動車における既存の空間は制限されている。この要求を満たすために、アクチュエータの歯車段には高い要求が課せられる。コンパクトな設計に加えて、歯車段を介して時には高い力でも発生し、伝達することが可能でなければならない。
【0005】
[0005]したがって、DE 10 2010 003 044 A1の範囲内で、自動車の構造ユニットを調整する多段歯車装置が記載されている。構造ユニットは、シート調整装置、車外ミラー調整装置またはヘッドライト調整装置であってもよく、原理的にはウインドウリフターであってもよい。周知の多段歯車装置は、ウォームと、このウォームに噛み合う平歯車またはウォームホイールとからなる第1の歯車段と働く。第2の歯車段もまた実行される。第2の歯車段はエボロイドピニオンと、それに噛み合う出力ホィールからなる。ウォームに係合するスパーまたはウォームホイールは、エボロイドピニオンに結合される。このようにして、高いトルクを伝達することもできるコンパクトな歯車装置が提供される。
【0006】
[0006]DE 102017125819 A1はまた、自動車用途のためのアクチュエータを開示しており、そこでは、電気モータが駆動列に作用し、駆動列が次に作動要素を移動させる。第1の歯車段の出力ホィールと平歯車段を形成するエボロイドピニオンが、駆動列内に、好ましくは電気モータの駆動シャフト上に配置される。
【0007】
[0007]大きな歯車比を可能にし、高い効率を有し、同時に逆転可能なコンパクトなアクチュエータを提供することができるようにするために、未公表のDE 10 2020101 362.0は、クラウン歯車段を有するアクチュエータを開示している。クラウン歯車段は、高い効率と同時に高い歯車比を可能にする。特に、アクチュエータのコンパクトな設計は、クラウン歯車段によって確実にできる。
【0008】
[0008]高い効率とコンパクトな設計は、アクチュエータの構造に対して高い要求を課す。ここで、特に大きな力が発生するときには、大部分がプラスチックから製造される歯車段の構成要素を、少なくともその技術的限界の領域で動作させることができる。たとえば、アクチュエータによって非常に高い力を発生させなければならない場合など、技術的に可能な限界に到達することができる。たとえば、サイドドアを閉鎖するためには、ドアを閉鎖位置に移動させるために500 Nの力が必要な場合がある。この場合に使用されるのは、たとえば、閉鎖駆動装置または電気的に動作されるロック保持装置、いわゆるサーボロック保持装置である。
【0009】
[0009]DE 10 2014 005 656 A1は、制限範囲内で歯車段を動作させることができるようにするために、制限範囲内でも歯車段の係合を確実にする歯車構造を開示している。この公報は、互いに係合している歯車要素、特に歯付きセグメントの飛び越し(skipping)を防止し、従って歯車要素の摩耗及び騒音放出を低減することを目的としている。この目的のために、歯車要素が限界位置で離れてドリフトすることを防止するロック要素が設けられる。
【0010】
[0010]従来技術は、自動車用途におけるアクチュエータ用のコンパクトで高比の安全歯車段のための解決策を示している。用途は原理的に成功していることが証明されているが、歯車要素の確実な係合を確保するために利用可能な十分な設置スペースがない場合には、その限界に達する。ここに発明が存在する。
【0011】
【概要】
【0012】
[0011]本発明は、これまでの先行技術と比較して、力の伝達中の歯車段における最大の安全度を確実にする自動車用途のためのアクチュエータを提供するという技術課題に基づいている。従って、本発明の目的は、自動車用途の改良されたアクチュエータを提供することである。特に、本発明の目的は、コンパクトな設計を有し、歯車段内の大きな力の伝達において最大限の安全性を可能にするアクチュエータを提供することである。
【0013】
[0012]独立クレーム1の特徴により、本発明に従って目的が達成される。本発明の有利な形態は、サブクレームに示されている。以下に説明する例示的な実施形態は、限定するものではないことが指摘される。むしろ、明細書及び従属クレーム並びに図面に記載された特徴の変形のための任意の選択肢が可能である。
【0014】
[0013]請求項1によれば、本発明の目的は、自動車用途、特に自動車の閉鎖装置用のアクチュエータを提供することで達成されるが、このアクチュエータは、電気モータと、電気モータの下流に接続され、駆動ホィールおよび出力ホィールを有する少なくとも1つの歯車段と、前記歯車段によって動作可能な作動手段と、を有し、歯車段は、少なくとも、連続的に案内可能な領域において歯車構成要素を案内する為の手段を有する。アクチュエータの本発明による設計は、最小の構造手段で歯車段を介して連続的に大きな力を伝達することを可能にする。特に、歯車構成要素の連続的な案内により、変化する負荷の下であっても、運転中の安全をいつでも確保することができる。歯車構成要素の係合中に案内手段を連続的に係合させることにより、いつでも安全な力伝達を同時に確保することができるコンパクトな設計を生成することが可能となる。
【0015】
[0014]本発明に関連するアクチュエータは、自動車用途に使用される。導入部で説明したように、これらは、幾つかの例示的な技術的用途を挙げるために、閉鎖機構用のアクチュエータ、ロック、シート調整装置、または電気自動車の充電ソケット用のロックであってもよい。アクチュエータは、たとえば、充電ソケットロックの場合、充電処理中にプラグとソケットを固定するロックピンとすることができる作動手段を有する。この場合、たとえば、プラグが正確に挿入されていないとき、すなわち、ロックピンがその意図された開口内に移動することができないが、たとえば、プラグハウジングに対して移動するとき、歯車段における極端な状況が生じ得る。プラグハウジングの移動および打撃の間に、作動手段の歯車段に高い負荷が生じる。電気モータまたは電気モータの制御装置は、消費電流を検出して消費電流が増加していると判定し、電気モータを停止させる。しかしながら、電流消費量の変化はある程度の遅れを伴って発生するので、停止位置に到達したときに電気モータを直ちに停止させることはできず、その後ほんの数ミリ秒しか停止させることができない。この間、非常に高い力が歯車段に作用し、歯車段の歯付きセグメントを飛び越させることなく、案内手段の連続的な係合によって吸収することができる。
【0016】
[0015]電気モータとしては、高い回転速度および大きな歯車比によってアクチュエータに高い力を与えることができる小型のDCモータが好ましく使用される。
【0017】
[0016]本発明によれば、歯車段としては、設置スペースを最小限にしたクラウン歯車段を用いることが好ましい。特に、駆動ホィールの中心軸を出力ホィールの中心軸に対して直角に、好ましくはほぼ直角に配置または形成することが可能である。その結果、出力ホイールを駆動ホイールの長手方向に延びる方向に配置して、電気駆動装置の幅によって本質的に制限可能な歯車段を提供する可能性がある。従って、伝達装置のコンパクトさは、高い伝達比及び高い効率と有利に組み合わせることができる。
【0018】
[0017]本発明の有利な設計変形例は、歯車構成要素が案内手段を有する場合に生じる。本発明によれば、歯車構成要素を連続的に案内することができる。しかしながら、歯車段自体の歯車が案内手段を有していれば、さらに小型化できるという利点があることが分かった。特に、さらなる構造的案内手段を省略することができ、その結果、さらなる構造的自由度が可能になる。この場合、歯車構成要素、すなわち駆動ホィールと出力ホィールとは、一方では力の伝達が確保され、他方では互いに係合している歯車が同時に案内されるように互いに係合している。従って、歯車段は二重の機能を果たす。一方では駆動機能、他方では案内機能である。
【0019】
[0018]案内手段が、歯車構成要素、特に駆動ホィールと出力ホィールとの間の形状適合によってもたらされる場合、本発明の更なる設計変形例が得られる。形状適合の結果として、歯車構成要素自体によって形成される案内手段を提供することができる。特に、形状適合は、力の伝達中に歯車構成要素間の軸方向距離および/または係合条件を確保する案内手段を提供する。これにより、アクチュエータの動作時間に応じて許容範囲が変化しても、係合条件が変化しないようにすることができる。歯車構成要素間の形状適合は、一方では軸方向距離が確保され、他方では係合条件が確保されるように設計することができる。歯車段のコンパクトな設計を実現するために、形状適合により構造的に簡単な手段を提供することができる。位置を固定するための更なる手段を省略することができる。
【0020】
[0019]歯車段をクラウン歯車段として形成することが特に有利であることが分かっている。クラウン歯車段を用いることにより、最小限の設置スペースを必要とする歯車段を提供することができる。特に、駆動ホィールの中心軸を出力ホィールの中心軸に対して直角に、好ましくはほぼ直角に形成することができる。その結果、出力ホイールを駆動ホイールの長手方向に延びる方向に配置して、電気駆動装置の幅によって実質的に制限される歯車段を提供する可能性がある。従って、歯車のコンパクトさは、高い歯車比及び高い効率と有利に組み合わせることができる。さらに、クラウン歯車段は、リセットの可能性を提供する。すなわち、クラウン歯車段を手動でリセットすることができる。これにより、電源が故障した場合に、作動要素を手動でリセットすることができるという利点が得られる。
【0021】
[0020]本発明の更なる設計変形例は、駆動ホィールが延長部を有し、その延長部が出力ホィール内に案内可能である場合に達成される。駆動ホィールは、好ましくは、電気モータの駆動シャフト上に形状適合方式で受容され、出力ホィールの方向に延びる。歯車段が、たとえば、クラウン歯車段として設計されている場合、駆動ホィールの第1の部分は、1つ、2つ、3つまたはそれ以上の歯から形成された歯部を有することができる。駆動ホィールの後続の第2の部分は、歯車段における案内手段として働く延長部を形成する。この延長部は、出力ホイールを案内する手段として使用することができる。出力ホイールが案内溝を有し、延長部が少なくとも案内溝内の領域に延びる場合に有利であることが分かっている。案内溝に延長部をこのように構造的に有利に導入することにより、多くの利点が得られる。第1の利点は、駆動ホィールを一体に形成することができ、電気モータの駆動シャフトへの装着が容易になることである。第2の利点は、案内溝を出力ホイール上に一体に形成することもできるという事実から生じる。第3の利点は、案内手段を歯車段自体に一体化することができるので、延長部と案内溝との構造的相互作用に起因する。構成要素の数を最小限に減らし、機能的信頼性の利点を構造上の利点と組み合わせることができる。その結果、公差とは独立して、または少なくとも公差とはほとんど独立して働き、コンパクトな設計を有し、高い機能的信頼性を提供する歯車段が提供される。
【0022】
[0021]アクチュエータがハウジングを有し、歯車段がハウジングによって更に案内可能である場合、本発明の更に有利な設計の変形例が得られる。案内手段は、歯車段自体によって提供することができる。ハウジング自体が歯車段に係合することによって、歯車段構成要素の追加の固定および案内を達成することができる。駆動ホィールおよび出力ホィールを有する電気モータをハウジングに装着または受容すると、ハウジングカバーによって更に誘導することができ、機能的信頼性を更に高めることができる。一方で、出力ホイールは、たとえば、ハウジングカバーによって装着することができ、他方で、駆動ホイールのための軸受点は、ハウジングカバーによって提供することができる。
【0023】
[0022]この場合、延長部がハウジングによって案内されることができれば、特に有利であることが分かっている。駆動ホィールが受容領域、歯車領域および延長部を有する場合、延長部は、一方で、出力ホィールと相互作用する案内手段として役立つことができる。しかしながら、延長部は、出力ホイールとの係合領域から突出するように設計して、駆動ホイールのための軸受点を提供することもできる。この構造的係合により、駆動シャフトを更に装着することが可能となり、誘導に加えて駆動ホィールの装着も可能となる。
【0024】
[0023]アクチュエータは、少なくとも2つの歯車段を有し、少なくとも1つの歯車段はクラウン歯車段として設計することができる。駆動ホィールを出力ホィールに案内することは、クラウン歯車段としての第1の歯車段がクラウン歯車段の利点をアクチュエータに統合することで、高い動作信頼性を確保する可能性を構成する。第2の歯車段は、一方で高い歯車比を達成することができ、他方で確立された技術を使用することができるように、調整ホイール段として設計されることが好ましい。次に、アクチュエータまたは作動手段は、たとえば、更なる歯車段を介して作動手段の直線駆動を可能にすることができる。全体として、アクチュエータの歯車への力の確実な導入がこのようにして保証され、構造設計の結果として、軸方向距離が保証され、かつ作動手段の公差に依存しない駆動が可能にされる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
[0024]以下、添付図面を参照しながら、好適な実施形態に基づいて、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、例示的実施形態は本発明を限定するものではなく、単に有利な実施形態であるという原則が適用される。示された特徴は、個別に、又はクレームと同様に明細書の更なる特徴と組み合わせて、個別に又は組み合わせて実施することができる。
[0025]
【
図1】
図1は、直線的に調整可能な作動手段を有するアクチュエータの三次元図を示す。
【
図2】
図2は、
図1のアクチュエータによる図を示し、
図2は、ハウジングカバーを有するアクチュエータを示す。
【発明の詳細な説明】
【0026】
[0026]
図1は、アクチュエータ1の三次元図を三次元図および開放ハウジング2の図で示す。本実施形態において、アクチュエータ1は、直線的に調整可能な作動手段3を有する。作動手段は、たとえば、燃料フィラーフラップまたは充電プラグをロックする役割を果たすことができる。本実施形態において、アクチュエータ1は、クラウン歯車段4としての第1の歯車段と、平歯車段5としての第2の歯車段と、歯付きラック段6としての第3の歯車段とを有する。クラウン歯車段4は、第1の軸7に装着され、平歯車段5および歯付きラック段6は、第2の軸8に装着される。歯車段4、5、6は、電気モータ9と電気モータ9の駆動シャフト10とによって駆動される。電気モータ9および軸7,8はハウジング2の少なくとも一方の側に受容される。
【0027】
[0027]クラウン歯車段4は、駆動ホィール11と出力ホィール12とから形成されている。全ての歯車構成要素4、5、6は、ハウジング2の内部13に配置される。駆動ホィール11は、電気モータ9の駆動シャフト10に形状適合方式で受容される。駆動ホィール11は、機能領域に分割されている。駆動ホィール11は、受容領域14と、歯車領域15と、延長部16の形をした案内領域16とを有する。クラウン歯車段4は、クラウン歯車17と、案内溝18と、平歯車19とを更に有する。本実施形態において、クラウン歯車17と案内溝18と平歯車19とが一体に形成されている。
【0028】
[0028]本実施形態において、案内手段20は駆動ホィール11上の延長部16から形成され、案内溝18は出力ホィール12上に形成されている。延長部16は、出力ホイール12の溝18に形状適合するように係合し、その結果、クラウン歯車段において確実な係合とその結果としての安全な力伝達が達成できる。案内手段20の構造的な設計により、アクチュエータ1の高い機能的信頼性を、最小限の構造的な努力と最小の部品数で確保することができる。
【0029】
[0029]駆動シャフト10は電気モータ9を介して駆動されることにより、クラウン歯車段4への力伝達またはトルク伝達が行われる。クラウン歯車17は平歯車19と一体に形成されており、平歯車段5へのトルク伝達を行うことができる。平歯車段5は歯付きラック段6の歯車21に動作可能に接続されており、作動手段3は歯付きラック段6によってハウジング2からハウジング2内に移動可能である。作動手段3はシールを介して移動可能であることが示されている。さらに円周状のハウジングシール23がハウジングカバー24と相互作用してハウジング2を密封する。
【0030】
[0030]
図2は、ハウジングカバー24が追加的に装着された、
図1に従う図におけるアクチュエータ1を示す。ハウジングカバー24は、アクチュエータ1に対して軸受手段25,26,27を提供していることが分かる。第1の軸受手段25は、電気モータ9をハウジング2内に確実にかつ遊びなく収容できるように固定するためのものである。円筒形延長部27は、クラウン歯車段4のクラウン歯車17の軸7に対する軸受手段27として役立つ。また、駆動ホィール11の軸受点26がハウジングカバー24によって設けられていることも分かる。軸受点26は、少なくとも領域において駆動ホィール11の延長部16に係合する。これにより、軸受手段26によって駆動ホィール1の軸受点26を設けることができ、アクチュエータ11の機能的信頼性を更に高めることができる。アクチュエータ1の本発明に係る設計の結果として、アクチュエータ1のコンパクトな設計を確保することができ、高い力を伝達することができ、極端な状況、特にクラウン歯車段4においても、互いに係合する歯付きセグメントの飛び越しを防止することができる。
【0031】
【符合の説明】
【0032】
1…アクチュエータ、
2…ハウジング、
3…作動手段、
4…歯車段、クラウン歯車段、
5…平歯車段、
6…歯付きラック段、
7、8…軸、
9…電気モータ、
10…駆動シャフト、
11…駆動ホィール、
12…出力ホィール、
13…ハウジングの内部、
14…受容領域、
15…歯車領域、
16…案内領域、延長部、
17…クラウン歯車、
18…案内溝、
19…平歯車、
20…案内手段、
21…歯車、
22…シール、
23…ハウジングシール、
24…ハウジングカバー、
25, 26, 27…軸受手段。