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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】衛星構成用セルラーAPI
(51)【国際特許分類】
   H04W 84/06 20090101AFI20250821BHJP
   H04W 48/16 20090101ALI20250821BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20250821BHJP
【FI】
H04W84/06
H04W48/16
H04W88/02 130
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2023556835
(86)(22)【出願日】2022-03-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-03-29
(86)【国際出願番号】 US2022019483
(87)【国際公開番号】W WO2022250756
(87)【国際公開日】2022-12-01
【審査請求日】2024-02-14
(31)【優先権主張番号】63/161,123
(32)【優先日】2021-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジビン
(72)【発明者】
【氏名】アクラム,アーミル
(72)【発明者】
【氏名】シュタウファー,エリック・リチャード
(72)【発明者】
【氏名】アナン,シャラス
【審査官】伊藤 嘉彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-510405(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0180320(US,A1)
【文献】特表2020-532238(JP,A)
【文献】米国特許第08538682(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0270890(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ機器における方法であって、
サーバから1つ以上の衛星のセットの衛星エフェメリス情報を無線で受信することと、
前記衛星エフェメリス情報に基づいて、前記セットの少なくとも1つの衛星の1つ以上の衛星パラメータを計算することと、
前記1つ以上の衛星パラメータに基づいて、前記少なくとも1つの衛星を介して前記ユーザ機器に提供されるデータサービスを利用する前記ユーザ機器のソフトウェアアプリケーションの動作を制御することとを含み、
ソフトウェアアプリケーションの動作を制御することは、前記ユーザ機器が前記衛星のサービスエリア内に留まる時間の長さに基づいてデータをプリバッファリングすることを含む、方法。
【請求項2】
1つ以上の衛星パラメータを計算することは、前記ユーザ機器のアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)において1つ以上の衛星パラメータを計算することを含み、
ソフトウェアアプリケーションの動作を制御することは、
前記APIにおいて、前記ソフトウェアアプリケーションから衛星エフェメリス情報の要求を受信することと、
前記要求を受信したことに応答して、前記APIが、前記1つ以上の衛星パラメータの表現を前記ソフトウェアアプリケーションに提供することと、
前記ソフトウェアアプリケーションにおいて、前記1つ以上の衛星パラメータの表現に基づいて、前記ソフトウェアアプリケーションの動作を調整することとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記衛星エフェメリス情報は、前記セットの衛星について、前記衛星の速度、前記衛星の高度、前記衛星の送信電力インジケータ、前記衛星においてアクティブな1つ以上のビームのインジケータ、前記衛星のアクティブなビームの開口のインジケータ、および前記衛星のアクティブなビームの角度のインジケータのうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の衛星パラメータを計算することは、前記衛星エフェメリス情報に基づいて、前記ユーザ機器と衛星との間で利用可能な無線接続のスループット推定値またはレイテンシ推定値の少なくとも1つを計算することを含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ソフトウェアアプリケーションの動作を制御することは、
前記スループット推定値または前記レイテンシ推定値の少なくとも1つに基づいて、前記ソフトウェアアプリケーションのデータストリームのデータ転送速度のスロットリングを行うことと、
前記スループット推定値または前記レイテンシ推定値の少なくとも1つに基づいて、前記ソフトウェアアプリケーションのコーデックパラメータを調整することとのうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
スループット推定値またはレイテンシ推定値の少なくとも1つを計算することは、前記ユーザ機器の1つ以上の現在の動作パラメータに基づいて、前記スループット推定値または前記レイテンシ推定値の少なくとも1つをさらに計算することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ユーザ機器の前記1つ以上の現在の動作パラメータは、現在の位置、現在の速度、衛星アンテナ利得、および雑音指数のうちの少なくとも1つを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上の衛星パラメータを計算することは、前記衛星エフェメリス情報に基づいて、衛星の現在のビームカバレッジマップを計算することを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
1つ以上の衛星パラメータを計算することはさらに、前記現在のビームカバレッジマップおよび前記ユーザ機器の現在位置に基づいて、前記ユーザ機器が前記衛星のサービスエリア内に留まる時間の長さの推定値を計算することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ソフトウェアアプリケーションの動作を制御することは、前記1つ以上の衛星パラメータに基づいて、2つの衛星とのデュアル同時接続をサポートするように、前記ユーザ機器の衛星インターフェイスを構成することを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
衛星エフェメリス情報を無線で受信するセルラーインターフェイスと、
1つ以上の衛星と無線通信する衛星インターフェイスと、
前記セルラーインターフェイスおよび前記衛星インターフェイスに結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに結合され、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように前記プロセッサを操作するように構成された実行可能命令を格納したメモリとを備える、ユーザ機器。
【請求項12】
サーバにおける方法であって、
複数の衛星通信事業者の各々から、対応する衛星通信事業者の少なくとも1つの衛星の第1の衛星エフェメリス情報を受信することと、
前記サーバのデータストアにおいて前記第1の衛星エフェメリス情報を格納することと、
ユーザ機器からの要求の受信に応答して、前記データストアから少なくとも1つの衛星の第2の衛星エフェメリス情報にアクセスし、アクセスされた前記第2の衛星エフェメリス情報を請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行するように前記ユーザ機器に無線送信することとを含む、方法。
【請求項13】
前記複数の衛星通信事業者の各々から、前記第1の衛星エフェメリス情報を受信した後に、前記対応する衛星通信事業者の少なくとも1つの衛星の第3の衛星エフェメリス情報を受信することと、
前記第3の衛星エフェメリス情報を、更新された衛星エフェメリス情報として前記データストアにおいて格納することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の衛星エフェメリス情報は、衛星の速度、衛星の高度、衛星の送信電力インジケータ、衛星においてアクティブな1つ以上のビームのインジケータ、衛星のアクティブなビームの開口のインジケータ、および衛星のアクティブなビームの角度のインジケータのうちの少なくとも1つを含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
請求項12~14のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されたサーバ。
【請求項16】
衛星エフェメリス情報を無線で受信するセルラーインターフェイスと1つ以上の衛星と無線通信する衛星インターフェイスとに結合されたプロセッサによって実行可能な命令を備えたコンピュータプログラムであって、前記命令は、前記プロセッサによって実行されると、前記プロセッサに請求項1~10のいずれか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
無線通信システムは、移動ユーザ機器(user equipment:UE)と関連する基地局との間の通信を容易にするために、しばしばさまざまな技術を採用している。これらの技術は、基地局は通常静止しているという事実から恩恵を受けることが多い。しかしながら、UEとの衛星ベースの通信の発展に伴い、衛星の可動性により、UEと、UEに通信サービスを提供する1つ以上の衛星との間の通信において、適切なカバレッジ、レイテンシ、スループット、および信頼性を提供するための取り組みがさらに複雑になる。
【0002】
本開示は、添付の図面を参照することにより、より良く理解され、その多数の特徴および利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0003】
図1】いくつかの実施形態に係る、衛星エフェメラ(ephemera)を提供するためのアプリケーションプログラミングインターフェイス(application programming interface:API)を採用した衛星ベースの無線通信システムを示すブロック図である。
図2】いくつかの実施形態に係る、図1の無線通信システムのサーバを示すブロック図である。
図3】いくつかの実施形態に係る、図1の無線通信システムのUEを示すブロック図である。
図4】いくつかの実施形態に係る、APIを介して衛星エフェメラを提供するための方法を示すフロー図である。
図5】いくつかの実施形態に係る、衛星APIを利用するUEのさまざまな動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
詳細な説明
セルラー対応ユーザ機器(UE)の使用に適した衛星通信の開発により、そのようなUEは、第3世代パートナーシッププロジェクト(Third Generation Partnership Project:3GPP(登録商標))の第4世代(4G)ロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)および第5世代(5G)新無線(New Radio:NR)規格に基づく通信技術を採用するセルラーネットワークによってサポートされるものを含め、従来の地上セルラーデータサービスに加えて、衛星がサポートするデータサービスを利用することができる。しかしながら、地上無線ネットワークで採用されているほとんどの基地局とは異なり、さまざまな衛星通信事業者が提供する衛星は常に動いているため、UEは、所与の衛星の特定のエフェメラ(高度および速度など)を事前に知っていなければ、所与の衛星の現在位置を容易に特定できない。このような位置の不確かさ、および展開されているアクティブなビーム、送信電力などの特定の他の衛星ステータス情報の不確かさは、UEが衛星との初期接続を確立するのを困難にする場合がある。さらに、衛星がそのさまざまな動作パラメータについてUEを更新し続けるメカニズムがない場合、UEが衛星との確立された接続を管理することが困難になることがある。
【0005】
したがって、図1図5は、UEのソフトウェアアプリケーションの動作を、UEにデータサービスを提供する1つ以上の衛星の特性に適合させることを容易にするための例示的なシステムおよび技術を示す。少なくとも1つの実施形態では、1つ以上の衛星通信事業者が、現在の衛星エフェメリス情報をサーバに(たとえば、クラウドベースのサービスの一部として)提供する。サーバは、この情報を受信して処理し、その結果得られる処理済みの衛星エフェメリス情報を、データベースまたはその他のデータストアに格納する。更新された衛星エフェメリス情報が衛星通信事業者によって提供されると、サーバはそれに応じてデータストアを更新する。衛星通信事業者によって提供される衛星エフェメリス情報は、現在の速度(スピードおよび方向)ならびに現在の高度などの位置情報を含み得る。さらに、衛星において現在アクティブな1つ以上のビームの識別、およびアクティブなビームごとのビーム開口数、角度または方向、送信電力などの運用ステータス情報を含み得る。UEは、UEのオペレーティングシステム(operating system:OS)においてアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)またはその他のソフトウェアインターフェイスを実装して、関連する衛星エフェメリス情報をサーバから取得し、取得した衛星エフェメリス情報を処理して、衛星が提供するデータサービスに依存するUEの1つ以上のソフトウェアアプリケーションの動作を制御する。
【0006】
このために、一部の実施形態では、APIは、定期的なまたはスケジュールされたトリガの場合もあるトリガ、情報を要求するソフトウェアアプリケーションによって開始されるトリガなどのトリガに応答して、衛星エフェメリス情報の要求を生成するように構成されている。UEは、サーバに接続された基地局との無線セルラー接続を介して、要求をサーバに送信する。要求の受信に応答して、サーバは、要求された衛星エフェメリス情報にアクセスし、UEに送信して返すために情報を提供する。APIは、提供された衛星エフェメリス情報を受信し、この情報から1つ以上の衛星の1つ以上の衛星パラメータを計算する。これらの衛星パラメータには、レイテンシまたはスループットの推定値、ビームカバレッジマップなどを含めることができる。その後、APIは、計算された衛星パラメータまたは衛星エフェメリス情報の一部または全部の一方または両方を、1つ以上のソフトウェアアプリケーションに提供し、ソフトウェアアプリケーションは、この提供された情報を使用して、動作を調整、または他の態様では制御する。たとえば、計算されたスループット動作およびレイテンシ動作に基づいて、ソフトウェアアプリケーションは、対応する衛星がサポートするデータストリームに採用されるデータ転送速度のスロットリングを行い得る。別の例として、UEが衛星のサービスエリア内に留まる推定された時間の長さにより、ソフトウェアアプリケーションは、衛星のカバレッジが失われることを見越して、特定のデータを事前にバッファリングし得る。
【0007】
このように、複数の通信事業者からの複数の衛星の衛星エフェメリス情報をサーバにおいて集中し統合し、APIまたは他のOSベースのインターフェイスによるそのような情報へのアクセスを容易にし、APIまたは他のインターフェイスにおいてアクセスされた衛星エフェメリス情報から特定の衛星パラメータを事前に計算することにより、UEの個々のソフトウェアアプリケーションは、動作を現在の衛星通信条件によりシームレスに適合させることができる。
【0008】
図1は、いくつかの実施形態に係る、クラウドベースの衛星エフェメラプロビジョニングを採用する通信システム100を示す。図示の例では、通信システム100は、地上無線ネットワーク102と、1つ以上の衛星ネットワーク104(図示の衛星ネットワーク104-1および104-2など)と、クラウドサービス106とを含む。地上無線ネットワーク102はセルラー構成を含み、ネットワーク102の各セルは、コアネットワーク(図示せず)に接続される対応する基地局108によってサービスされ、この基地局は、インターネットなどの1つ以上のネットワークを介してクラウドサービス106に接続される。または、クラウドサービス106は、コアネットワークに実装されるか、他の態様では地上無線ネットワークの構成要素である。基地局108は、1つ以上のセルラー無線アクセス技術(radio access technology:RAT)、たとえば4G LTE RATまたは5G NR RATをサポートし、この場合、基地局108は、それぞれ、拡張ノードB(enhanced NodeB:eNB)または次世代ノードB(Next Generation NodeB:gNB)として識別されることが多い。基地局108は、対応するRATを使用して、UE110を含むそのサービスエリア内の1つ以上のUEと無線通信を行うように構成されている。
【0009】
各衛星ネットワーク104は、対応する衛星通信事業者によって管理され、地球を周回する軌道にあり、かつ1つ以上のゲートウェイ地上局、または簡潔に「ゲートウェイ」(また、一般に地上局、テレポート、もしくはハブとも呼ばれる)と無線通信する1つ以上の電気通信衛星を含む。例示すると、衛星ネットワーク104-1は、ゲートウェイ114と無線通信する電気通信衛星112を含む。各ゲートウェイは、順に、さまざまな有線接続または無線接続を介して、1つ以上のネットワークに接続される。
【0010】
クラウドサービス106は、少なくとも1つのサーバ116と関連するサポート機器とを含む。サーバ116は、1つ以上の有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して、各衛星ネットワーク104の1つ以上のゲートウェイまたは他のインターフェイスコンポーネントに接続され、さらに、1つ以上の有線ネットワークまたは無線ネットワークを介して、地上無線ネットワーク102の基地局108(またはコアネットワーク)に接続される(または、上述のように、サーバ116は、地上無線ネットワーク102のコアネットワークの一部であってもよい)。本明細書でより詳細に説明するように、クラウドサービス106は、サーバ116を介して、1つ以上の衛星ネットワーク104から衛星エフェメリス情報を受信して処理し、その結果得られる現在の衛星エフェメリス情報を、地上無線ネットワーク102の要求しているUEに続いて配信するために格納するように動作する。
【0011】
UE110は、図示された地上無線ネットワーク102およびその基地局108を含む、対応する基地局を介してさまざまな地上無線アクセスネットワーク(radio access network:RAN)と無線シグナリングを行うように構成されたさまざまな電子デバイスのいずれか、ならびに衛星ネットワーク104-1の電気通信衛星112などの1つ以上の対応する電気通信衛星を介して1つ以上の衛星RANと無線シグナリングを行うように構成されたさまざまな電子デバイスのいずれかを含む。したがって、UE110の例としては、スマートフォン、スマートウォッチまたは他のウェアラブルデバイス、ノートブックおよびタブレットコンピュータ、無線対応車両などを挙げることができる。基地局108との無線接続を確立および維持するために、UE110は、採用されている対応する地上RATに適したさまざまな周知の技術のいずれかを利用することができる。これらの技術は、基地局108の通常静止している構成と、UE110および基地局108が、2つのコンポーネントの相対的な近接性に一部起因する他方の能力を評価し、それに適応する能力とによって容易になる。しかしながら、衛星接続の確立の場合、UEと対応する衛星との間の相対的な距離、UEに対する衛星の相対的な動き、衛星の特定の位置および他のパラメータの不確実性、ならびにこの情報をUEに直接伝達するメカニズムの欠如によって、UEが衛星接続を確立し、衛星の現在の動作環境に従って動作する能力を不釣り合いに複雑にすることがよくある。
【0012】
したがって、衛星が提供するデータサービスに依存するソフトウェアアプリケーションの動作を適宜適応させることができるように、UEが衛星の現在のステータスを理解するのを容易にするために、少なくとも1つの実施形態では、クラウドサービス106は、UE110のオペレーティングシステム(OS)または他のソフトウェア層によって実装される衛星API120を介して、ソフトウェアアプリケーション117,118などのUE110のこれらのソフトウェアアプリケーションに、統合され統一された衛星エフェメリス情報を提供するように動作する。一般的な動作概要として、各衛星ネットワーク104のゲートウェイ114または他のコンポーネントは、衛星エフェメリス情報122-1および衛星エフェメリス情報122-2などの衛星エフェメリス情報122を、定期的に、または他の何らかのトリガに応答して、クラウドサービス106に提供する。クラウドサービス106のサーバ116は、この情報を受信し、この情報をフィルタリングし、標準化されたフォーマットに準拠するように情報をフォーマットし、データベースまたは他のデータストア(たとえば、図2のエフェメラデータベース212)を、データベースがサポートされている衛星ネットワーク104の衛星112の最新の衛星エフェメリス情報を格納するように、結果として処理された情報で更新する。提供された衛星エフェメリス情報122は、現在の高度125および現在の速度127など、衛星112の物理的ステータスに関する特定のパラメータを含み得る。衛星エフェメリス情報122はさらに、衛星112において現在アクティブな1つ以上のビーム130の識別子、および識別されたアクティブなビーム130ごとの、ビームタイプ(たとえば、ワイドビームまたはスポットビーム)、アクティブなビーム130の開口132、およびアクティブなビーム130の方向134(または角度)のうちの1つ以上など、その現在の無線周波数(radio frequency:RF)運用パラメータに関する情報を含み得る。さらに、衛星エフェメリス情報122は、実効放射電力(Effective Radiated Power:ERP)または実効等方性放射電力(Effective Isotropic Radiated Power:EIRP)パラメータの形態など、衛星の現在の送信電力のインジケータを、全てのアクティブなビーム130について、またはビーム毎に、含み得る。
【0013】
周期的タイマーの経過、またはソフトウェアアプリケーション117,118のうちの1つからの情報の要求などの指定されたトリガに応答して、衛星API120は、衛星エフェメリス情報の要求126を、UE110と基地局108との間の無線データ接続を介して、次いでBS108とクラウドサービス106との間の有線接続または無線接続として、サーバ116に送信する。例示すると、要求126は、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)GET要求、REST(Representative State Transfer)要求、他のクライアントサーバプロトコルなどとしてフォーマットされてもよい。少なくとも1つの実施形態では、要求126は、衛星エフェメリス情報が提供されるべき特定の衛星または特定の衛星通信事業者の識別子を含む。たとえば、UE110は、対応する衛星通信事業者に関連付けられた加入者識別モジュール(subscriber identity module:SIM)カードを利用することができ、SIMカード内の衛星通信事業者識別子を、要求126の一部として提供することができる。要求126はさらに、いくつかの実施形態では、UE110がサポートする周波数帯域などの適用可能なUE能力を含み得る。サーバ116は、要求126を受信し、要求126によって要求した現在の衛星エフェメリス情報にデータベースからアクセスし、要求された衛星エフェメリス情報を含む回答128を、HTTP応答またはREST応答の形式などで、基地局108を介してUE110に送信する。API120は、回答128を受信し、衛星エフェメリス情報を抽出する。
【0014】
少なくとも1つの実施形態では、広範な相互運用性を促進し、複数のソフトウェアアプリケーションの側での重複する努力を軽減するために、衛星API120は、衛星エフェメリス情報から1つ以上の衛星パラメータを計算するように、ソフトウェアアプリケーションに代わって衛星エフェメリス情報を解釈し、次に、回答128から取得されたソフトウェアエフェメリス情報に加えて、またはその代わりに、これらの1つ以上の衛星パラメータをソフトウェアアプリケーション117,118に提供するように構成されている。たとえば、各ソフトウェアアプリケーションに、衛星エフェメリス情報に基づいて、UE110と衛星112との間の無線接続のスループットおよびレイテンシを推定するための独自の個別の計算を実行させるのではなく、衛星API120は、これらの計算を1回実行し、次に、同じ結果のスループットおよびレイテンシの推定値を各ソフトウェアアプリケーション117,118に提供することができる。さらに、衛星API120は、ソフトウェアアプリケーションがアクセスできない可能性のある現在のUEパラメータ情報を使用して、さらに特定の現在の衛星パラメータを決定することが可能になり得る。一例として、いくつかの実施形態では、衛星API120は、回答128の衛星エフェメリス情報において提供されるような、衛星112の高度125および速度127、ならびに衛星112のアクティブなビーム130のビーム角度134およびビーム開口132を表すパラメータのうちの1つ以上を利用して、アクティブなビーム130の有効な地理的サービスエリアを表す現在のビームカバレッジマップを計算する。次に、衛星API120は、たとえば、全地球測位システム(Global Positioning System:GPS)センサを介して提供されるようなUE110の現在位置を利用して、現在のビームカバレッジマップ内のUE110の現在位置を決定し、さらに、UE110の位置、UE110の速度、および衛星112の速度127に基づいて、UE110が現在のビームカバレッジマップ内に留まる時間の長さを推定し得る。その後、現在のカバレッジ内に留まっている推定時間のインジケータが、ソフトウェアアプリケーション117,118の一方または両方に提供され得る。
【0015】
ソフトウェアアプリケーション117,118は、衛星API120によって計算される1つ以上の現在の衛星パラメータ、および場合によっては、提供された衛星エフェメリス情報自体を使用して、これらの提供されたパラメータで表現される現在の衛星リンク環境に動作を適合させる。例示すると、レイテンシ推定値またはスループット推定値の一方または両方が、ソフトウェアアプリケーション117によって、衛星データ接続を介してソフトウェアアプリケーション117によってアップロードまたはダウンロードされるデータストリームのデータ転送速度のスロットリングを行うために使用されるか、またはソフトウェアアプリケーション118によって、アップストリーム・マルチメディア・ストリームを符号化するために使用されるソフトウェアアプリケーション118のエンコーダによって、もしくはUE110にダウンストリーム・マルチメディア・ストリームを提供するサーバのエンコーダによって採用されるエンコーダ/デコーダ(コーデック)パラメータなどの特定の動作パラメータを調整するために使用される。
【0016】
図2は、いくつかの実施形態に係る、図1のクラウドサービス106のサーバ116の構成例を示す。図示されているように、サーバ116は、1つ以上のネットワークインターフェイス202と、1つ以上のプロセッサ204と、1つ以上の非一時的なコンピュータ読取可能媒体206とを含む。1つ以上のネットワークインターフェイス202の各々は、対応するネットワークに結合され、有線インターフェイス(有線ギガビットイーサネット(登録商標)インターフェイス等)、無線インターフェイス(IEEE802.11ベースの無線インターフェイス等)などを含み得る。1つ以上のプロセッサ204は、たとえば、1つ以上の中央処理装置(central processing unit:CPU)、グラフィック処理装置(graphics processing unit:GPU)、人工知能(artificial intelligence:AI)アクセラレータまたは他の特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:ASIC)などを含み得る。コンピュータ読取可能媒体206は、ランダムアクセスメモリ(random access memory:RAM)、読み取り専用メモリ(read-only memory:ROM)、キャッシュ、フラッシュメモリ、ソリッドステートドライブ(solid-state drive:SSD)または他の大容量記憶装置といった、データおよび/または実行可能命令を格納するために電子デバイスによって使用されるさまざまな媒体のいずれかを含み得る。説明を容易にし、簡潔にするために、プロセッサ204による実行のためのデータおよび命令を格納するためにシステムメモリまたは他のメモリを頻繁に使用することを考慮して、コンピュータ読取可能媒体206を本明細書では「メモリ206」と呼ぶが、「メモリ206」への言及は、特に断りのない限り、他のタイプの記憶媒体にも等しく適用されることが理解されるであろう。
【0017】
サーバ116の1つ以上のメモリ206は、1つ以上のプロセッサ204およびサーバ116の他のコンポーネントを操作して、本明細書に記載され、サーバ116に帰属するさまざまな機能を実行する、1つ以上の実行可能ソフトウェア命令のセットおよび関連データを格納するために使用される。実行可能ソフトウェア命令のセットの例として、オペレーティングシステム(OS)およびさまざまなドライバ(図示せず)、さまざまなソフトウェアアプリケーション(図示せず)、エフェメラアグリゲータ208およびAPIマネージャ210が挙げられる。1つ以上のメモリ206に格納されるデータは、エフェメラデータベース212を含み、これは、参照しやすくするために本明細書では「データベース」と特定されるが、さまざまなデータ構造または他のデータストアのいずれか、またはそれらの組み合わせを含み得る。エフェメラデータベース212は、衛星ネットワーク104-1の衛星112(図1)など、1つ以上の衛星ネットワークの1つ以上の衛星の衛星エフェメリス情報を格納する。エフェメラアグリゲータ208は、サーバ116がサポートする衛星ごとに、衛星を動作させる衛星ネットワークのゲートウェイまたは他のコンポーネントから、現在の衛星エフェメリス情報を受信するように動作する。この情報は、エフェメラアグリゲータ208から対応する衛星通信事業者への問い合わせに応答して、衛星通信事業者からの情報プッシュの一部として、定期的に、または指定されたスケジュールに従って、提供され得る。次に、エフェメラアグリゲータ208は、エフェメラデータベース212内の対応する衛星の衛星エフェメリス情報を更新して、対応する衛星の現在の状況を反映する。
【0018】
衛星通信事業者が提供する衛星エフェメリス情報のフォーマットは、サーバがサポートするUE110の衛星API120によって期待される衛星エフェメリス情報のフォーマットと一致しない場合がある。さらに、いくつかの実施形態では、サーバ116は、複数の衛星ネットワーク、そして複数の衛星通信事業者をサポートし、それらの各々が、提供された衛星エフェメリス情報を異なるフォーマットでフォーマットし得る。したがって、少なくとも1つの実施形態では、エフェメラアグリゲータ208は、衛星API120に提供される期待されるフォーマットと互換性を有するように、受信衛星エフェメリス情報を処理する。これは、サーバ116によって追跡されないパラメータを除去すること、重複するまたは冗長な情報を除去することなどによって、受信情報をフィルタリングすることを含み得る。この処理はさらに、単位変換(たとえば、マイル毎時のメートル毎秒への変換)、データ値の再編成、番号付けフォーマットの調和など、情報の再フォーマットを含み得る。
【0019】
APIマネージャ210は、システム100内のUE110の衛星API120から受信された衛星エフェメリス情報の要求(たとえば、要求126)を処理し、受信された要求に基づいてエフェメラデータベース212にクエリまたは他の態様ではアクセスし、基地局108および基地局108とUE110とを接続する無線リンクを介して、要求されアクセスされた衛星エフェメリス情報を対応する回答(たとえば、回答28)として衛星API120に提供するように動作する。例示すると、衛星API120がその要求126をHTTP要求として提示する実現例では、APIマネージャ210を、そのようなHTTP要求を処理するHTTPサーバとして実装することができる。
【0020】
図3は、いくつかの実施形態に係る、図1のシステム100のUE110の構成例を示す。図示された構成では、UE110は、RATごとに、各々が1つ以上のアンテナ303を有する1つ以上のアンテナアレイ302と、無線周波数(RF)インターフェイス304と、対応するモデム306とを含む。たとえば、地上無線通信の場合、UE110は、基地局108との4G LTEまたは5G NRシグナリングをサポートするために、1つ以上のアンテナアレイ302、1つ以上のRFインターフェイス304、および1つ以上のモデム306のセットを含んでもよく、この構成要素は「セルラーインターフェイス」と総称される。衛星通信の場合、UE110は、対応する衛星ネットワーク104の衛星112との無線シグナリングをサポートするために、1つ以上のアンテナアレイ、1つ以上のRFインターフェイス304、および1つ以上のモデムの別のセットを含んでもよく、この構成要素は「衛星インターフェイス」と総称される。
【0021】
UE110はさらに、1つ以上のプロセッサ308と、1つ以上の非一時的なコンピュータ読取可能媒体310とを含む。1つ以上のプロセッサ308は、たとえば、1つ以上のCPU、GPU、AIアクセラレータまたは他のASICなどを含み得る。コンピュータ読取可能媒体310は、RAM、ROM、キャッシュ、フラッシュメモリ、SSDまたは他の大容量記憶装置など、データおよび/または実行可能命令を格納するために電子デバイスによって使用されるさまざまな媒体のいずれかを含み得る。説明を容易にし、簡潔にするために、本明細書では、コンピュータ読取可能媒体310を「メモリ310」と呼ぶが、「メモリ310」への言及は、特に断りのない限り、他のタイプの記憶媒体にも等しく適用されることが理解されるであろう。
【0022】
UE110の1つ以上のメモリ310は、1つ以上のソフトウェアアプリケーション(たとえば、図1のソフトウェアアプリケーション117,118)を、1つ以上のプロセッサ308、モデム306、RFインターフェイス304、およびUE110の他のコンポーネントを操作して、本明細書に記載され、UE110に帰属するさまざまな機能を実行する、実行可能なソフトウェア命令および関連データのセットの形式で格納するために使用される。ソフトウェアは、たとえば、OS312および関連ドライバ(図示せず)、ならびに、たとえば、地上無線ネットワーク102と衛星ネットワーク104とが提供するテレフォニーおよびデータ接続を管理するテレフォニープラットフォーム314、Google(登録商標)モビリティサービス(Google Mobility Services:GMS)コア316などの、デバイス間の機能を容易にするソフトウェアアプリケーションおよびAPIのセット、ならびに、ユーザソフトウェアアプリケーション318および320などの、1つ以上のユーザソフトウェアアプリケーションを含む、さまざまなソフトウェアアプリケーションを含む。ユーザソフトウェアアプリケーション318および320は、地上無線ネットワーク102および衛星ネットワーク104が提供するデータサービスを利用する。このようなアプリケーションの例としては、ナビゲーションおよびマッピングアプリケーション、ビデオストリーミングアプリケーション、パケット化データテレフォニーアプリケーション、ビデオ会議アプリケーション、ゲームアプリケーション、ウェブブラウジングアプリケーションなどが挙げられる。格納された実行可能命令のセットはさらに、衛星API120を含む。図示された実施形態では、衛星API120は、OS312またはその関連サービスの一部として実装される。しかしながら、衛星API120は、GMSコア316またはテレフォニープラットフォーム314の一部など、UE110のさまざまなソフトウェアコンポーネントのいずれかにおいて実装されてもよい。
【0023】
動作中、UE110の一部のソフトウェアアプリケーションは、本明細書では「UEローカル情報」と呼ばれる、UE110の状態またはステータスに関するさまざまな情報を利用することがあり、これらの情報は、1つ以上のメモリ310内の1つ以上のデータストアまたは他のデータ構造に格納される。これらのデータ構造およびそこに含まれる情報は、本明細書では「UEローカル情報322」と総称される。UEローカル情報322の例としては、たとえばGPSセンサまたは視覚路程測定システムから取得されるUE110の位置情報、アンテナ利得または雑音指数などのUE110のRF能力に関する情報、バッテリ残量に関する情報、現在の電力モードなどが挙げられる。
【0024】
図4は、いくつかの実施形態に係る、取得された衛星エフェメリス情報に基づいて、UE110におけるさまざまなソフトウェアサービスの制御または適合を提供するために衛星API120を利用するための例示的な方法400を示す。なお、図示された例の目的で、線401は、サーバ116またはUE110のいずれが記載された処理を実行するかを示す役割を果たし、線401の左側に位置するブロックを参照して説明される処理はサーバ116によって実行され、線401の右側に位置するブロックを参照して説明される処理はUE110によって実行される。
【0025】
方法400は、サーバ116のエフェメラデータベース212内の最新データを維持するための反復サブプロセス402を含む。このサブプロセスのブロックにおいて、サーバ116は、1つ以上の衛星ネットワーク104からオリジナルまたは更新された衛星エフェメリス情報122を取得する。上述したように、サーバ116のエフェメラアグリゲータ208は、定期的またはスケジュールに従って、衛星通信事業者にこの情報をポーリングまたは問い合わせることができるか、または、衛星通信事業者は、独自のスケジュールなどで、この情報をサーバ116にプッシュすることができる。衛星通信事業者から受信した衛星エフェメリス情報122のブロックごとに、ブロック406において、エフェメラアグリゲータ208は、エフェメラデータベース212に含めるために情報を処理し、これは、単位変換、統一された数値表現への変換、重複または無関係なデータのフィルタリングなどのさまざまな処理を含み得る。次に、エフェメラアグリゲータ208は、結果のデータでエフェメラデータベース212を更新する。サブプロセスの反復402は、1つ以上の衛星の衛星通信事業者から受信した衛星エフェメリス情報のインスタンスごとに繰り返される。
【0026】
UE110の動作を制御する際に使用される、衛星エフェメラをUE110の衛星API120に提供する主なプロセスは、ブロック408において、UE110が衛星エフェメラの更新の要求(たとえば、要求126、図1)を生成し、サーバ116に転送するために要求を基地局108に無線送信することで開始する。要求の生成のためのトリガは、たとえば、定期的またはスケジュールされたトリガ、UE110の1つ以上のソフトウェアアプリケーションからの要求などを含み得る。要求は、UE110をサポートするように意図された衛星ネットワーク104または衛星通信事業者を識別することによって、UE110のSIM識別子または他の識別子を提供することによって、特定の衛星または衛星のセットを識別することによって、UE110の現在の位置識別子を提供することによってなど、さまざまな考慮事項のいずれかに基づいて、求められる特定の衛星エフェメリス情報を指定し得る。上述のように、要求は、REST要求またはHTTP GET要求の形式など、リモートネットワークデータソースと対話するAPIによってしばしば採用されるさまざまな要求形式のいずれかの形式をとり得る。いくつかの実施形態では、要求を開始するのは衛星API120であるが、他の実施形態では、要求生成をトリガするのは、UE110のシステムアプリケーションまたはユーザアプリケーションであり得る。
【0027】
ブロック410において、サーバ116のAPIマネージャ210は、UE110の衛星API120から要求を受信し、要求を満たすための現在の衛星エフェメリス情報を取得するために、エフェメラデータベース212にアクセスする。取得される特定の情報は、要求126において識別された衛星通信事業者または衛星ネットワーク、要求において識別された特定のUE110またはUEの位置、要求126において識別された1つ以上の衛星の特定のセットなどに基づいてもよい。ブロック412において、APIマネージャ210は、アクセスされた衛星エフェメリス情報を含む回答(たとえば、回答128)を生成し、回答をネットワークインターフェイス202に提供して基地局108へ送信し、基地局108は、回答をUE110に無線送信する。
【0028】
ブロック414において、UE110は、サーバ116から回答を受信し、衛星API120は、回答を処理して、そこに含まれる衛星エフェメリス情報を抽出し、次に、衛星エフェメリス情報のローカルデータストアを更新して、回答に含まれる更新データを反映する。現在の衛星エフェメリスと更新された衛星エフェメリスとにより、ブロック416において、衛星API120は、指定された衛星または衛星のセットの1つ以上の現在の衛星パラメータを計算または決定する。1つ以上の指定された衛星は、たとえば、UE110が現在確立されている無線接続を有する1つ以上の衛星、UE110が無線接続を確立しようとしている、または近いうちに無線接続を確立しようとすると予測される1つ以上の衛星などでもよい。1つ以上の現在の衛星パラメータは、対応する衛星の現在の状態もしくはその結果の動作のパラメータの指標を表すさまざまなデータまたは情報のいずれかを含み得る。たとえば、指定された衛星の現在の衛星パラメータは、UE110に関する衛星のレイテンシまたはスループットの推定値、推定された現在のサービスエリアなどのうちの1つまたは両方を含み得る。以下の図5の例で説明されるように、衛星API120はさらに、UE110の現在の位置または現在のアンテナ利得に基づくなど、UEローカル情報332に基づいて、1つ以上の現在の衛星パラメータを計算し得る。
【0029】
ブロック418において、衛星API120は、関心のある1つ以上の衛星について、計算された現在の衛星パラメータの一部もしくは全部、または現在の衛星エフェメリス情報の一部もしくは全部の一方もしくは両方を、UE110の1つ以上のソフトウェアアプリケーションに提供する。衛星API120によって提供される特定の情報は、ソフトウェアアプリケーションによって異なる場合がある。たとえば、いくつかの実施形態では、衛星API120は、その特定の情報を要求したソフトウェアアプリケーションにのみ(すなわち、衛星API120への呼び出しを行ったソフトウェアアプリケーションにのみ)衛星情報を提供し得る。他の実施形態では、衛星エフェメリス情報の更新、または計算された衛星パラメータの1つ以上の更新は、衛星API120をトリガして、どのソフトウェアアプリケーションが要求を開始したかに関係なく、1つ以上のソフトウェアアプリケーションに更新された情報の一部または全てをプッシュすることがある。
【0030】
ブロック420において、更新された衛星パラメータおよび/または更新された衛星エフェメリス情報を受信するソフトウェアアプリケーションは、この受信した情報に基づいて、その動作の1つ以上の側面を調整、または他の態様では制御する。一般に、ソフトウェアアプリケーションの動作の制御/修正は、更新された情報で表現される衛星と確立された、または確立されようとした無線接続のそのソフトウェアアプリケーションの使用に関係する。これは、データ使用量を調整するようにソフトウェア動作を修正すること、衛星接続を確立、破棄、または引き渡す際の動作を修正することなどを含み得る。
【0031】
図5は、図4の方法400のブロック420によって表されるように、ソフトウェアAPI120によって提供される衛星情報に応答して、UE110のソフトウェアアプリケーションの動作を制御または修正する多数の非限定的な例を示す。以下の例について、サーバ116は、これらの例で使用される対応する衛星パラメータおよび衛星エフェメラを生成するために衛星API120によって使用される更新された衛星エフェメリス情報502を提供する。
【0032】
例511によって示されるように、衛星API120は、衛星エフェメリス情報520において特定されたビーム(たとえば、ビーム130)のビーム識別子を抽出し、このビーム識別子をUE110の衛星インターフェイス(interface:IF)502に提供し、衛星IF502は、衛星RF通信用にアンテナアレイ302を制御するために使用されるモデム306およびテレフォニープラットフォーム314のソフトウェアを表す。衛星IF502は、このビーム識別子を使用して、識別されたビームを迅速に取得する(すなわち、特定されたビームを介して衛星との無線リンクを確立するようにアンテナアレイ302を迅速に構成する)。
【0033】
例512によって示されるように、衛星エフェメリス情報520は、複数の衛星通信事業者からの衛星の衛星エフェメリス情報を含んでもよく、したがって、衛星API120は、異なる衛星通信事業者からの異なる衛星のアクティブビーム情報を抽出し、この情報を衛星IF502に提供することができ、衛星IF502は、この情報を使用して、地上セルラーシステムで見られるデュアル・シム/デュアル・アクティブ(Dual Sim/Dual Active:DSDA)またはデュアル・シム/デュアル・スタンバイ(Dual Sim/Dual Standby:DSDS)プロセスに類似した方法で、異なる通信事業者との複数の同時データ接続をサポートすることができる。
【0034】
例513は、地図ソフトウェアアプリケーション504の動作を制御するための、サービング衛星の現在のサービスエリアの計算を例示する。例示するために、衛星エフェメリス情報520は、UE110にデータサービスを提供している現在の衛星112の現在の高度125および速度127、ならびにUE110によって取得されたアクティブなビーム130のビーム開口132、ビーム角度134、およびEIRPのインジケータを含み得る。衛星API120は、この情報を使用して、取得されたアクティブなビーム130の現在の有効サービスエリア(すなわち、衛星のアクティブなビーム130の現在の有効な「フットプリント」)を計算することができる。次に、衛星API120は、UE110の現在の位置、現在の速度、および現在のアンテナ利得を使用して、UE110が異なる衛星に引き渡される前に、UE110が衛星112の有効サービスエリア内に留まる時間の長さを推定することができる。衛星API120は、地図ソフトウェアアプリケーション504に残っている推測時間の表示を提供し、地図ソフトウェアアプリケーション504は、地図ソフトウェアアプリケーション504が提供するマッピング/ナビゲーションサービスがハンドオーバによって影響を受けないように、予想されるハンドオーバの前にUE110において地図情報のプリバッファリングをトリガするかどうかを決定する際に、この情報を使用する。
【0035】
例514では、衛星API120は、衛星エフェメリス情報502の高度、速度、アクティブなビーム識別、および送信電力インジケータを、位置情報ならびにUEローカル情報322のアンテナ利得および雑音指数情報と共に使用して、UE110と衛星との間のデータ接続の現在のスループット推定値およびレイテンシ推定値を計算し、これらの推定値をUE110のビデオ会議アプリケーション506に提供する。次に、ビデオ会議アプリケーション506は、レイテンシ推定値もしくはスループット推定値の一方または両方を使用して、UE110と対応する衛星との間のデータリンクを介して行われているビデオ会議について、その送信ビデオストリームまたは受信ビデオストリームの一方または両方のデータ転送速度のスロットリングを選択的に行う。たとえば、スループットは、配信されたデータ量をそのデータ量の送受信に使用された時間の長さで割ることによって推定することができる。レイテンシについては、タイムスタンプ、パケットのキューイング時間、UE110と対応する衛星との間の距離などの分析に基づいて、このメトリックを推定することができる。
【0036】
例515は、同様に、衛星API120が、UE110のビデオストリーミングアプリケーション508に提供されるレイテンシおよびスループットの推定値を計算することに依存する。ビデオストリーミングアプリケーション508は、レイテンシおよびスループットの推定値により適合するように1つ以上のコーデックパラメータを調整することによって、対応する衛星からの受信ビデオストリームまたは対応する衛星に送信される送信ビデオストリームの一方または両方を適合させるために、これらの推定値を使用することができる。これは、ビデオストリーミングアプリケーション508が、送信ビデオストリームのそれ自体の符号化パラメータを調整すること、またはリモートサーバが受信ビデオストリームのその符号化パラメータを調整するように要求することを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、上述した技術の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つ以上のプロセッサによって実施され得る。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体上に記憶されるか、または他の態様では有形に具体化される1つ以上の実行可能な命令のセットを含む。ソフトウェアは、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサを操作して上述の技術の1つ以上の態様を実行する命令および特定のデータを含み得る。非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体は、たとえば、磁気ディスクまたは光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の1つもしくは複数の不揮発性メモリ装置などのソリッドステートストレージデバイスを含み得る。非一時的なコンピュータ読取可能記憶媒体に格納される実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または、1つ以上のプロセッサによって解釈されるかもしくは他の態様では実行可能な他の命令形式であってもよい。
【0038】
コンピュータ読取可能記憶媒体は、コンピュータシステムに命令および/またはデータを提供するために使用中にコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の記憶媒体、または記憶媒体の組み合わせを含み得る。このような記憶媒体には、光媒体(たとえば、コンパクトディスク(compact disc:CD)、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc:DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク)、磁気媒体(たとえば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープもしくは磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(たとえば、ランダムアクセスメモリ(RAM)もしくはキャッシュ)、不揮発性メモリ(たとえば、読み取り専用メモリ(ROM)もしくはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(microelectromechanical systems:MEMS)ベースの記憶媒体が含まれ得るが、これらに限定されない。コンピュータ読取可能記憶媒体は、コンピューティングシステムに埋め込まれていてもよく(たとえば、システムRAMもしくはROM)、コンピューティングシステムに固定的に取り付けられていてもよく(たとえば、磁気ハードドライブ)、コンピューティングシステムに取り外し可能に取り付けられていてもよく(たとえば、光ディスクもしくはユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)ベースのフラッシュメモリ)、または有線もしくは無線ネットワークを介してコンピュータシステムに結合されていてもよい(たとえば、ネットワークアクセスストレージ(network accessible storage:NAS))。
【0039】
なお、一般的な説明で上述したアクティビティまたは要素のすべてが必要なわけではなく、特定のアクティビティまたはデバイスの一部が必要でない場合もあり、また、説明したものに加えて、1つ以上のさらに別のアクティビティが実行されたり、要素が含まれたりする場合がある。さらに、アクティビティが列挙されている順序は、必ずしもそれらが実行される順序ではない。また、概念を特定の実施形態を参照して説明してきた。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に規定される本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行うことができることを理解する。したがって、本明細書および図面は、制限的な意味ではなく例示的な意味で見なされるべきであり、そのような改変はすべて本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0040】
特定の実施形態に関して、利益、他の利点および問題の解決策について上記で説明してきた。しかしながら、これらの利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点もしくは解決策を生じさせ得るまたはより顕著にさせ得る任意の特徴は、いずれかの請求項または全ての請求項の重要な特徴、必要な特徴または本質的な特徴として解釈されるべきではない。さらに、開示された主題は、本明細書における教示の利益を有する当業者に明らかな、異なっているが同等の態様で修正および実施され得るため、上記に開示された特定の実施形態は例示にすぎない。以下の特許請求の範囲に記載されているもの以外に、本明細書に示されている構造または設計の詳細への限定は、意図されていない。それゆえ、上記に開示された特定の実施形態は、変更または修正されてもよく、全てのそのような変形例は、開示された主題の範囲内であると考えられることが明らかである。したがって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載する通りである。
図1
図2
図3
図4
図5