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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-20
(45)【発行日】2025-08-28
(54)【発明の名称】早期のリアルタイム無線リンク問題検出
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/04 20090101AFI20250821BHJP
   H04W 76/19 20180101ALI20250821BHJP
【FI】
H04W24/04
H04W76/19
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2024515114
(86)(22)【出願日】2021-09-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-12
(86)【国際出願番号】 US2021049471
(87)【国際公開番号】W WO2023038620
(87)【国際公開日】2023-03-16
【審査請求日】2024-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Google LLC
【住所又は居所原語表記】1600 Amphitheatre Parkway 94043 Mountain View, CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マオ,ルクン
(72)【発明者】
【氏名】スン,シャンタオ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,チン
(72)【発明者】
【氏名】オウ,シュ
(72)【発明者】
【氏名】テラン,マヘシュ・デブダッタ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イーロン
【審査官】山中 実
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/253542(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0046573(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0253949(US,A1)
【文献】特開2011-040851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0065433(US,A1)
【文献】NTT DOCOMO, INC.,Evaluation model for Rel-8 mobility performance,3GPP TSG-RAN WG1#56b R1-091578,2009年03月27日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC H04W 4/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
DB名 3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有害な無線リンク状態を検出するための、セルラユーザ機器(UE)装置(102)の通信プロセッサ(500)における方法であって、
アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の通信スタック(608)の複数の層(610)を監視することを含み、前記UE装置(102)のアプリケーションプロセッサ(604)は、1つまたは複数の前記複数の層(610)に音声データ(614)を提供し前記方法はさらに、
前記複数の層の監視に応答して(610)、前記アクティブ音声通話(701)に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することと、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、無線リンク劣化(RLD)指示(622)を前記UE装置(102)の前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含む、方法。
【請求項2】
有害な無線リンク状態を検出するための、セルラユーザ機器(UE)装置(102)の通信プロセッサ(500)における方法であって、
アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の通信スタック(608)の複数の層(610)を監視することと、
前記複数の層の監視に応答して(610)、前記アクティブ音声通話(701)に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することと、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、無線リンク劣化(RLD)指示(622)を前記UE装置(102)のアプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含み、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、
前記複数の層の監視に応答して(610)、信号強度の更新(705)を検出することと、
前記信号強度の更新(705)を検出したことに応答して、前記信号強度の更新(705)に関連付けられる1つまたは複数の信号関連特性(707)にアクセスすることと、
前記1つまたは複数の信号関連特性(707)のいずれかに関連付けられる値が対応する閾値(709)を満たすかどうかを判定することと、
前記1つまたは複数の信号関連特性(707)のいずれかに関連する前記値が前記対応する閾値(709)を満たしたことに応答して、前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在すると判定することと、を含み、前記方法は、
送信時間間隔(TTI)バンドリングが前記UE装置(102)で有効であるかどうか
を判定することと、
TTIバンドリングが有効化されていることに応答して、第1の閾値セット(709-1)から前記対応する閾値(709)を選択することと、
TTIバンドリングが無効にされていることに応答して、第2の閾値セット(709-2)から前記対応する閾値(709)を選択することと、をさらに含み、前記第2の閾値セットは前記第1の閾値セットよりも低く設定される、方法。
【請求項3】
有害な無線リンク状態を検出するための、セルラユーザ機器(UE)装置(102)の通信プロセッサ(500)における方法であって、
アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の通信スタック(608)の複数の層(610)を監視することと、
前記複数の層の監視に応答して(610)、前記アクティブ音声通話(701)に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することと、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、無線リンク劣化(RLD)指示(622)を前記UE装置(102)のアプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含み、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、
前記アクティブ音声通話(701)に関連するダウンリンクチャネル上の現在の音声トラフィックに対して、前記複数の層(610)のうちの物理層(610-1)で必要な帯域幅(1103)を決定することと、
前記アクティブ音声通話(701)に関連付けられる専用音声無線ベアラ上の前記複数の層(610)のうちのデータパス層(610-2)における現在のスループット(1109)を決定することと、
前記要求される帯域幅(1103)が前記現在のスループット(1109)よりも大きいことに応答して、低機能状態(1115)が前記物理層に存在すると判定することと、
低機能状態(1115)が存在するとの決定に応答して、低機能カウント(1113)をインクリメントすることと、
前記低機能カウントを低機能カウント閾値(1117)と比較することと、を含み、
前記RLD指示は、前記低機能カウント(1113)が前記低機能カウント閾値(1117)を満たしたことに応答して、前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供される、方法。
【請求項4】
有害な無線リンク状態を検出するための、セルラユーザ機器(UE)装置(102)の通信プロセッサ(500)における方法であって、
アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の通信スタック(608)の複数の層(610)を監視することと、
前記複数の層の監視に応答して(610)、前記アクティブ音声通話(701)に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することと、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、無線リンク劣化(RLD)指示(622)を前記UE装置(102)のアプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含み、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、
前記複数の層(610)のうちの物理層(610-1)における前記アクティブ音声通話(701)に関連する発信音声トラフィックに必要な帯域幅(1205)を決定することと、
前記アクティブ音声通話(701)に関連付けられるアップリンクチャネル上の前記複数の層(610)のうちのデータパス層610-2)で現在達成されているスループット(1207)を決定することと、
前記要求される帯域幅(1205)が前記現在達成されているスループット(1207)よりも大きいことに応答して、低機能状態(1213)が前記物理層(610-1)に存在すると判定することと、を含む、方法。
【請求項5】
有害な無線リンク状態を検出するための、セルラユーザ機器(UE)装置(102)の通信プロセッサ(500)における方法であって、
アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の通信スタック(608)の複数の層(610)を監視することと、
前記複数の層の監視に応答して(610)、前記アクティブ音声通話(701)に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することと、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、無線リンク劣化(RLD)指示(622)を前記UE装置(102)のアプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含み、
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、
高送信電力不足状態(1311)が存在すると判定することと、
前記複数の層(610)のうちのデータパス層(610-2)における発信音声パケットのスループット(1319)は、前記複数の層(610)のうちのデータパス層(610-2)で生成される音声トラフィックのスループット(1321)より小さいと判定することと、を含む、方法。
【請求項6】
前記RLD指示(622)は、前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを前記アプリケーションプロセッサ(604)に通知し、前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態の原因を識別する、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記RLD指示(622)を提供することは、前記アクティブ音声通話(701)中に前記RLD指示(622)を前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は同期外れ状態であり(903)、前記RLD指示(622)を提供することは、
前記同期外れ状態(903)の発生に応答して、無線リンク障害(RLF)タイマ(905)が開始されたと判定することと、
前記RLFタイマ(905)の開始時および前記RLFタイマ(905)が満了する前に、前記RLD指示(622)を前記アプリケーションプロセッサに提供することと、を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記RLFタイマ(905)がアクティブである間に同期状態(909)が発生したこと、
前記RLFタイマ(905)が満了したこと、または、
前記RLFタイマ(905)が満了し、前記UE装置(102)が無線リソース制御(RRC)接続再確立手順(911)を正常に実行したこと、
のうちの1つを検出したことに応答して、
前記通信プロセッサ(500)によって内部的に維持されるRLD指示(622)をリセットすることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は同期外れ状態であり(903)、
前記方法は、
無線リンク障害(RLF)タイマ(905)が満了したと判定することを含み、前記RLFタイマ(905)は、前記同期外れ状態(903)の発生に応答して開始され、
前記方法は、
前記RLFタイマ(905)が満了したことに応答して、前記UE装置(102)が無線リソース制御(RRC)接続再確立手順(911)を正常に実行したと判定することと、
前記RRC接続再確立手順(911)に成功したことに応答して、前記通信プロセッサ(500)によって内部的に維持されるRLD指示(622)をリセットすることと、を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、データトラフィックに関連する無線リンク制御(RLC)最大再送信状態(1005)であり、前記RLD指示(622)を提供することは、
前記RLC最大再送信状態(1005)により無線リンク障害(RLF)が発生したと判定することと、
前記RLFに応答して、前記RLD指示(622)を前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記RLFに応答して前記UE装置(102)が無線リソース制御(RRC)接続再確立手順(1007)を正常に完了したと判定することと、
前記RRC接続再確立手順(1007)が前記正常に完了したことに応答して、他の有害な無線リンク状態(1009)が存在するかどうかを判定することと、
少なくとも1つの他の有害な無線リンク状態(1009)が存在することに応答し、前記少なくとも1つの他の有害な無線リンク状態(1009)が存在し、前記RLC最大再送信状態(1005)がもはや存在しないことを示す更新されたRLD指示(622)を前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供することと、
他の有害な無線リンク状態(1009)が存在しないことに応答して、前記通信プロセッサ(500)によって内部的に維持されるRLD指示(622)をリセットすることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記低機能カウント(1113)が前記低機能カウント閾値(1117)を満たさないことに応答して、前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを示す、前記通信プロセッサ(500)によって内部的に維持されるRLD指示(622)をリセットする、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、
低機能状態(1213)が存在するとの決定に応答して、低機能カウント(1211)をインクリメントすることと、
前記低機能カウント(1211)を低機能カウント閾値(1215)と比較することと、を含み、
前記RLD指示(622)は、前記低機能カウント(1211)が前記低機能カウント閾値(1215)を満たしたことに応答して、前記アプリケーションプロセッサ(604)に提供される、請求項に記載の方法。
【請求項15】
前記低機能カウント(1211)が前記低機能カウント閾値(1215)を満たさないことに応答して、前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを示す、前記通信プロセッサ(500)によって内部的に維持されるRLD指示(622)をリセットする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
高送信電力不足状態(1311)が存在すると判定することは、
送信電力不足(1303)を検出することと、
前記送信電力不足(1303)を送信電力不足閾値(1309)と比較することと、
前記送信電力不足(1303)が前記送信電力不足閾値(1309)を満たしたことに応答して、高送信電力不足カウント(1313)をインクリメントすることと、
所与の数の送信インスタンスの監視ウィンドウについて、前記高送信電力不足カウント(1313)に基づいて高送信電力不足インスタンスの比率(1315)を決定することと、
高送信電力不足インスタンスの前記比率(1315)が比率閾値(1317)を満たしたことに応答して、前記高送信電力不足状態(1311)が存在すると判定することと、を含む、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記アクティブ音声通話(701)中に前記UE装置(102)の前記通信スタック(608)の前記複数の層(610)を監視することは、前記通信スタックの前記複数の層のうちの1つまたは複数にわたって少なくとも1つのパラメータを監視することを含み、前記少なくとも1つのパラメータは、前記アクティブ音声通話の維持に関連し、
前記アクティブ音声通話(701)に関連する前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、前記少なくとも1つのパラメータに基づいて、前記アクティブ音声通話(701)に関連する前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つのパラメータに基づいて前記アクティブ音声通話(701)に関連する前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、所定の基準を満たす前記少なくとも1つのパラメータに応じて前記少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ユーザ機器装置(102)は、
少なくとも1つのネットワーク(100)と無線通信するように構成される1つまたは複数の無線周波数(RF)モデム(306)と、
前記1つまたは複数のRFモデム(306)に結合される1つまたは複数のプロセッサ(310)と、
実行可能命令を記憶する少なくとも1つのメモリ(312)と、を含み、前記実行可能命令は、前記1つまたは複数のプロセッサ(310)または前記1つまたは複数のRFモデム(306)のうちの少なくとも1つを操作して、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、ユーザ機器装置(102)。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一項に記載の前記方法をコンピュータシステム(102)に実行させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
セルラベースのネットワークでは、信号や送信電力の問題、内部エラーなど、さまざまな理由で通信リンク障害が発生し得る。アクティブ音声通話中に無線リンクに障害が発生するか切断されると、リンク障害と無線通信装置のアプリケーションによる障害の認識との間に遅延が発生し得る。この遅延は通常、さまざまな通信スタック層の独立したコンポーネントがリンク障害を検出することによって引き起こされ、場合によっては、無線通信装置が音声通話を回復できなくなったり、接続がない状況などユーザエクスペリエンスが低下したりすることがある。
【発明の概要】
【0002】
実施形態の概要
一態様によれば、有害な無線リンク状態を検出するためにセルラユーザ機器(UE)装置の第1のコンポーネントで実行される方法は、アクティブ音声通話中にUE装置の通信スタックの複数の層を監視することを含む。複数の層の監視に応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。無線リンク劣化(RLD)は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置の第2のコンポーネントに提供される。
【0003】
少なくともいくつかの実施形態では、アクティブ音声通話中にUE装置の通信スタックの複数の層を監視することは、複数の層のうちの1つまたは複数にわたって少なくとも1つのパラメータを監視することを含み、少なくとも1つのパラメータはアクティブ音声通話の維持に関連付けられる。アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、少なくとも1つの監視されるパラメータに基づいて検出することができる。いくつかの例では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、少なくとも1つの監視パラメータが1つまたは複数の所定の基準を満たすことに基づいて(またはそれに応答して)検出され得る。基準は、アクティブ音声通話の品質を示すことができる。
【0004】
任意選択で、いくつかの例示的な実施形態では、複数の層のうちの1つまたは複数にわたって少なくとも1つのパラメータを監視することは、複数の層にわたって複数のパラメータを監視することを含み、複数のパラメータはアクティブ音声通話の維持に関連付けられる。アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、監視される複数のパラメータのうちの1つまたは複数に基づいて検出され得る。いくつかの例では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、監視される複数のパラメータのうちの1つまたは複数が1つまたは複数の所定の基準を満たすことに基づいて(またはそれに応答して)検出され得る。基準は、アクティブ音声通話の品質を示すことができる。
【0005】
少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを第2のコンポーネントに通知し、少なくとも1つの有害な無線リンク状態の原因を識別する。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示を提供することは、アクティブ音声通話中に第2のコンポーネントにRLD指示を提供することを含む。
【0006】
少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、複数の層の監視に応答して信号強度更新を検出することを含む。信号強度の更新は、監視されるパラメータの一例である。信号強度更新を検出したことに応答して、信号強度更新に関連付けられる1つまたは複数の信号関連特性がアクセスされる。1つまたは複数の信号関連特性のいずれかに関連付けられる値が対応する閾値を満たすかどうかの決定が行われる。対応する閾値を満たす1つまたは複数の信号関連特性のいずれかに関連付けられる値に応じて、少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在するという決定が行われる。
【0007】
少なくともいくつかの実施形態では、方法は、送信時間間隔(TTI)バンドリングがUE装置で有効であるかどうかを判定することをさらに含む。TTIバンドリングが有効になることに応答して、対応する閾値が第1の閾値セットから選択される。TTIバンドリングが無効になることに応答して、対応する閾値が第2の閾値セットから選択される。第2の閾値セットは、第1の閾値セットよりも低く設定される。
【0008】
少なくともいくつかの実施形態では、検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は同期外れ状態であり、RLD指示を提供することは、同期外れ状態に応答して無線リンク障害(RLF)タイマが開始されたと判定することを含む。同期外れ状態は、監視対象パラメータの一例である。RLD指示は、RLFタイマの開始時およびRLFタイマが満了になる前に第2のコンポーネントに提供される。
【0009】
少なくともいくつかの実施形態では、方法は、以下のうちの1つを検出したことに応答して、第1のコンポーネントによって内部的に維持されるRLD指示をリセットすることをさらに含む:RLFタイマがアクティブである間に発生した同期状態、RLFタイマの満了、または、RLFタイマが満了し、UE装置が無線リソース制御(RRC)接続再確立手順を正常に実行した。
【0010】
少なくともいくつかの実施形態では、検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、同期外れ状態である。この方法はさらに、RLFタイマが満了し、同期外れ状態(903)の発生に応答してRLFタイマが開始されたと判定することを含む。RLFタイマが満了したことに応答して、UE装置がRRC接続再確立手順を正常に実行したと判定する。RRC接続再確立手順が成功したことに応答して、第1のコンポーネントによって内部的に維持されるRLD指示をリセットする。
【0011】
少なくともいくつかの実施形態では、検出される少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、データトラフィックに関連付けられる無線リンク制御(RLC)最大再送信状態であり、RLD指示を提供することは、RLC最大再送信状態がRLFをもたらしたと判定することを含む。RLC最大再送信状態は、監視されるパラメータの一例である。RLFに応答して、RLD指示が第2のコンポーネントに提供される。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置がRLFに応答してRRC接続再確立手順を正常に完了したという決定がなされる。RRC接続再確立手順が正常に完了したことに応答して、他の有害な無線リンク状態が存在するかどうかが決定される。少なくとも1つの他の有害な無線リンク状態に応答して、少なくとも1つの他の有害な無線リンク状態が存在し、RLC最大再送信状態がもはや存在しないことを示す更新されたRLD指示が第2のコンポーネントに提供される。他に有害な無線リンク状態が存在しないことに応答して、第1のコンポーネントによって内部的に維持されるRLD指示がリセットされる。
【0012】
少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、アクティブ音声通話に関連付けられるダウンリンクチャネル上の現在の音声トラフィックに対して複数の層のうちの第1の層で必要な帯域幅を決定することを含む。複数の層のうちの第2の層における現在のスループットが決定される。現在のスループットは、アクティブ音声通話に関連付けられる専用音声無線ベアラに対するものである。必要な帯域幅が現在のスループットよりも大きいことに応じて、第1の層に低機能状態が存在すると判定される。低機能状態は、監視対象パラメータの一例である。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、低機能状態が存在するという決定に応答して低機能カウントをインクリメントすることをさらに含む。低機能カウントは、低機能カウント閾値と比較される。RLD指示は、低機能カウントが低機能カウント閾値を満たしたことに応答して第2のコンポーネントに提供される。少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを示す、第1のコンポーネントによって内部的に維持されるRLD指示は、低機能カウントが低機能カウント閾値を満たさないことに応答してリセットされる。
【0013】
少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、複数の層のうちの第1の層におけるアクティブ音声通話に関連する発信音声トラフィックに必要な帯域幅を決定することを含む。アクティブ音声通話に関連するアップリンクチャネル上の複数の層のうちの第2の層で現在達成されているスループットが決定される。要求される帯域幅が現在達成されているスループットよりも大きいことに応じて、第2の層に低機能状態が存在すると判定される。
【0014】
少なくともいくつかの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、低機能状態が存在するという決定に応答して低機能カウントをインクリメントすることをさらに含む。低機能カウントは、低機能カウント閾値と比較される。RLD指示は、低機能カウントが低機能カウント閾値を満たしたことに応答して第2のコンポーネントに提供される。少なくともいくつかの実施形態では、第1のコンポーネントによって内部的に維持され、少なくとも1つの有害な無線リンク状態が存在することを示すRLD指示は、低機能カウントが低機能カウント閾値を満たさないことに応答してリセットされる。
【0015】
少なくとも1つの実施形態では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出することは、高送信電力不足状態が存在すると判定することを含む。高送信電力不足状態は、監視されるパラメータの一例である。複数の層のうちの第1の層における発信音声パケットのスループットが、複数の層のうちの第2の層において生成される音声トラフィックのスループットよりも小さいという決定がなされる。少なくともいくつかの実施形態では、高送信電力不足状態が存在すると判定することは、送信電力不足を検出することと、送信電力不足を送信電力不足閾値と比較することを含む。高送信電力不足カウントは、インクリメントされた送信電力不足閾値を送信電力不足が満たしたことに応答してインクリメントされる。所与の数の送信インスタンスの監視ウィンドウについて、高送信電力不足インスタンスの比率は、高送信電力不足カウントに基づいて決定される。比率閾値を満たす高送信電力不足インスタンスの比率に応じて、高送信電力不足状態が存在するかどうかの決定が行われる。
【0016】
別の態様によれば、ユーザ機器装置は、少なくとも1つのネットワークと無線通信するように構成される1つまたは複数の無線周波数(RF)モデムを含む。1つまたは複数のプロセッサが1つまたは複数のRFモデムに結合される。少なくとも1つのメモリには実行可能な命令が記憶される。実行可能命令は、1つまたは複数のプロセッサまたは1つまたは複数のRFモデムのうちの少なくとも1つを操作して、本明細書に記載される方法動作のいずれかを実行するように構成される。
【0017】
さらに別の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体は、実行可能命令のセットを具体化する。実行可能な命令のセットは、コンピュータシステムを操作して、本明細書に記載されている方法動作のいずれかを実行するためのものである。
【0018】
図面の簡単な説明
添付の図面を参照することによって、本開示がよりよく理解され、その多くの特徴および利点が当業者に明らかになり得る。異なる図面での同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【0019】
添付の図面を参照することによって、本開示がよりよく理解され、その多くの特徴および利点が当業者に明らかになり得る。異なる図面での同じ参照符号の使用は、類似または同一の項目を示す。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】いくつかの実施形態による、有害な無線リンク状態に対する1つまたは複数の検出機構を実装するユーザ機器(UE)装置を使用する例示的な無線通信システムを示す図である。
図2】いくつかの実施形態による、図1のUE装置によって使用される有害な無線リンク状態の検出機構の例示的なモードを示すブロック図である。
図3】いくつかの実施形態による、有害な無線リンク状態に対する1つまたは複数の検出機構を実装するUE装置の例示的な構成を示す図である。
図4】いくつかの実施形態による、有害な無線リンク状態に対する1つまたは複数の検出機構を実装するシステムオンチップ(SoC)の例示的な構成を示す図である。
図5】いくつかの実施形態による、有害な無線リンク状態に対する1つまたは複数の検出機構を実装する通信プロセッサの例示的な構成を示す図である。
図6】いくつかの実施形態による、有害な無線リンク状態に対する1つまたは複数の検出機構を実装する通信プロセッサの例示的な機能構成を示す図である。
図7】いくつかの実施形態による、低信号強度に基づいてUE装置において有害な無線リンク状態の検出を実装する例示的な動作の図を一緒に示す図である。
図8】いくつかの実施形態による、低信号強度に基づいてUE装置において有害な無線リンク状態の検出を実装する例示的な動作の図を一緒に示す図である。
図9】いくつかの実施形態による、同期外れによって引き起こされる無線リンク障害に基づいて、UE装置において有害な無線リンク状態検出を実装する動作例を示す図である。
図10】いくつかの実施形態による、最大再送信誘発無線リンク障害に基づいて、UE装置において有害な無線リンク状態検出を実装する動作例を示す図である。
図11】いくつかの実施形態による、ダウンリンクチャネル上の低物理層能力に基づいて、UE装置において有害な無線リンク状態検出を実装する動作例を示す図である。
図12】いくつかの実施形態による、アップリンクチャネル上の低物理層能力に基づいて、UE装置において有害な無線リンク状態検出を実装する動作例を示す図である。
図13】いくつかの実施形態による、送信電力不足に基づいてUE装置において有害な無線リンク状態の検出を実装する動作例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
詳細な説明
ユーザ機器(UE)装置内のコンポーネントは通常、限られた無線リンク情報を共有する。無線リンク情報の共有を制限または遅延することにより、コンポーネントは電力を節約し、アプリケーションへの不必要な混乱を回避することなどができる。しかし、アクティブ音声通話に関連する無線リンク情報を制限または遅延すると、動作上およびユーザエクスペリエンスに関するさまざまな問題が発生し得る。例えば、アプリケーションプロセッサなどのコンポーネントが、アクティブ音声通話の有害な無線リンクに関する遅延または制限される情報を受信した場合、アプリケーションプロセッサは、Voice over Wireless-Fidelity(VoWiFi)に切り替えるなどの適切なアクションを実行することで、通話を保存する機会を逃す可能性がある。また、UE装置は、通話を開いたままにし、無線リンクに障害が発生しているにもかかわらず通話が接続されていることがUE装置のユーザインターフェースに表示されることにより、コンピュータリソースを不必要に使用し得、その結果、ユーザエクスペリエンスが低下する。
【0022】
したがって、以下では、音声トラフィックに関連する有害な無線リンク状態をリアルタイムでアクティブに検出および報告するようにUE装置の少なくとも1つのコンポーネントを構成するためのシステムおよび方法の実施形態について説明する。例えば、UE装置のコンポーネントは、音声通話の切断や低品質音声エクスペリエンスの原因となった、またはその可能性がある無線リンク情報などの音声通話関連情報を監視、分析、および報告するように構成されている。このような無線リンク情報の例には、低信号、無線リンク障害(RLF)などが含まれる。少なくともいくつかの実施形態では、構成されるUEコンポーネントは、例えば通信プロセッサ内のさまざまなネットワークプロトコルスタック層にわたって情報を収集する。構成されるUEコンポーネントは、音声通話接続を許容可能な品質で維持することに関連する主要な要素(またはパラメーター)を監視および処理する。例えば、UEコンポーネントは、少なくとも1つのネットワークプロトコルスタック層にわたって1つまたは複数のパラメータ、アクティブ音声通話の維持に関連する1つまたは複数のパラメータを監視する(特に、品質閾値を超える品質でアクティブ音声通話を維持することに関連する)。ネットワークプロトコルスタック層全体で重要な要素を監視および分析することにより、構成されるUEコンポーネントは、従来の無線リンク障害機構よりも精度が向上して、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで無線リンクの問題を検出できる。無線リンク障害(または障害の可能性)を検出すると、構成されるUEコンポーネントは、アプリケーションプロセッサなどの別のUEコンポーネントに通知するため、無線リンク障害または差し迫った障害によって引き起こされる動作上およびリソース上の問題、およびユーザエクスペリエンス上の問題を軽減するために適切なアクションを実行できる。
【0023】
説明を容易にするために、以下の技術は、1つまたは複数のUE装置および無線アクセスネットワーク(RAN)が1つまたは複数の無線アクセス技術(RAT)を実装するコンテキスト例で説明され、少なくとも第5世代(5G)新無線(NR)規格(例えば、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))リリース15、3GPPリリース16など)(以下、「5GNR」または「5GNR規格」)を含む。しかし、本開示は、5GNRRAT構成を採用するネットワークに限定されず、むしろ、本明細書で説明される技術は、UE装置およびRANで採用される異なるRATの任意の組み合わせに適用できることが理解されるべきである。また、本開示は、UE装置で無線リンク障害検出を実装するために本明細書で説明される特定のネットワーク構成またはアーキテクチャに限定されないことも理解されたい。代わりに、本明細書で説明する技術は、RANの任意の構成に適用することができる。また、本開示は、本明細書で説明される例および状況に限定されず、むしろ、本明細書で説明される技術は、UE装置が有害な無線リンク状態の検出技術を実装する任意のネットワーク環境に適用することができる。
【0024】
図1は、少なくともいくつかの実施形態によるモバイルセルラネットワーク(システム)100を示す。図示のように、モバイルセルラネットワーク100は、1つまたは複数の無線通信リンク106(無線リンク106-1および106-2)を介して1つまたは複数の基地局104(基地局104-1および104-2)と通信するように構成されるユーザ機器(UE)装置102を含む。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、さまざまな無線通信装置のいずれかを含み、携帯電話、セルラ対応のタブレットコンピュータまたはセルラ対応のノートブックコンピュータ、セルラ対応のウェアラブル装置、自動車、またはセルラサービスを利用するその他の車両(例えば、ナビゲーション、エンターテイメントサービスの提供、車内モバイルホットスポットなど)などである。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は単一のRAT108を使用する。他の実施形態では、UE装置102は、複数のRAT108を使用するマルチモードUE装置である。複数のRATの例には、3GPPロングタームエボリューション(3GPPLTE)RAT108-1および3GPP第5世代新無線(5GNR)RAT108-2が含まれる。
【0025】
少なくともいくつかの実施形態では、基地局104は、マクロセル、マイクロセル、スモールセル、ピコセルなど、またはそれらの任意の組み合わせで実装される。基地局104の例には、進化型ユニバーサル地上無線アクセスネットワークノードB(E-UTRANノードB)、進化型ノードB(eNodeBまたはeNB)、次世代(NGまたはNGEN)ノードB(gNodeBまたはgNB)などが含まれる。基地局104は、任意の適切なタイプの無線リンクを使用して実装される無線リンク106を介してUE装置102と通信する。少なくともいくつかの実施形態では、無線リンク106には、基地局104からUE装置102に通信されるデータおよび制御情報のダウンリンク、UE装置102から基地局104に通信されるデータおよび制御情報のアップリンク、またはその両方が含まれる。無線リンク106(またはベアラ)は、少なくともいくつかの実施形態では、3GPP4GLTE、5GNRなどの任意の適切な通信プロトコルもしくは規格、または通信プロトコルもしくは規格の組み合わせを使用して実装される。少なくともいくつかの実施形態では、複数の無線リンク106がキャリアアグリゲーションに集約されて、UE装置102により高いデータレートを提供する。また、複数の基地局104からの複数の無線リンク106は、少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102との協調マルチポイント(CoMP)通信およびデュアル接続のために構成され、例えば、単一RAT LTE-LTEまたはNR-NRデュアル接続、またはE-UTRA-NRデュアル接続(EN-DC)、NGEN無線アクセスネットワーク(RAN)E-UTRA-NRデュアル接続(NGEN-DC)、およびNRE-UTRAデュアル接続(NE-DC)を含むマルチ無線アクセス技術(Multi-RAT)デュアル接続(MR-DC)などである。
【0026】
基地局104は集合的に、E-UTRANまたは5GNRRANなどの無線アクセスネットワーク110を形成する。基地局104は、1つまたは複数のリンク114(リンク114-1および114-2)を介して、制御プレーンおよびユーザプレーンインターフェースを介してコアネットワーク112に接続される。モバイルセルラネットワーク100の構成に応じて、コアネットワーク112は、進化型パケットコア(EPC)ネットワーク112-1または5Gコアネットワーク(5GC)112-2のいずれかである。例えば、E-UTRAN構成または5G非スタンドアロン(NSA)EN-DC構成では、コアネットワーク112は、例えば、モビリティ管理エンティティ(MME)116およびサービングゲートウェイ(S-GW)118を含むEPCネットワーク112-1である。MME116は、複数のUE装置102の登録および認証、認可、モビリティ管理などの制御プレーン機能を提供する。S-GW118は、UE装置102と外部ネットワーク120(例えば、インターネット)および1つまたは複数のリモートサービス122との間でユーザプレーンデータを中継する。5Gスタンドアロン(SA)構成またはNSANE-DCもしくはNGEN-DC構成では、コアネットワーク112は5GCネットワーク112-2である。5GC112-2は、例えば、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)124およびユーザプレーン機能(UPF)126を含む。AMF124は、複数のUE102の登録および認証、認可、モビリティ管理などの制御プレーン機能を提供する。UPF126は、UE102と外部ネットワーク120(例えば、インターネット)および1つまたは複数のリモートサービス122との間でユーザプレーンデータを中継する。
【0027】
少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102がEN-DCを使用する場合、UE装置102は、例えば、マスタノード(MN)として機能する4GLTERATを実装する第1の基地局104-1と通信し、無線リンク106-1はE-UTRAリンクである。UE装置102は、例えばセカンダリノード(SN)として機能する5GNRRATを実装する第2の基地局104-2とも通信し、無線リンク106-2は5GNRリンクである。リンク128において、第1の基地局(例えば、eNB)104-1および第2の基地局(例えば、5GNR)104-2は、例えばX2インターフェースを介してユーザプレーンおよび制御プレーンのデータを通信する。第1の基地局104-1は、例えばS1-MMEインターフェースを介して制御プレーン情報をEPC112-1内のMME116と通信し、例えばX2インターフェースを介して制御プレーン情報を第2の基地局104-2に中継する。
【0028】
ユーザプレーン(UP)データは、データ無線ベアラ(DRB)を使用してEPCネットワーク112-1とUE装置102との間で伝送される。EN-DCにおけるDRBの例には、マスターセルグループ(MCG)ベアラ、セカンダリセルグループ(SCG)ベアラ、およびスプリットベアラが含まれる。MCGベアラは、MN(例えば、第1の基地局104-1)で終端し、MNの下位層(無線リンク制御(RLC)、媒体アクセス層(MAC)、および物理層(PHY))のみを使用する直接DRBである。MCGベアラが使用される場合、MNはEPCネットワーク112-1からデータを受信し、そのデータをUE装置102に送信する。SCGベアラは、SN(例えば、第2の基地局104-2)で終端し、SNの下位層(RLC、MAC、およびPHY)のみを使用する直接DRBである。
【0029】
SCGベアラが使用される場合、SNは、EPCネットワーク112-1からデータを受信し、そのデータをUE装置102に送信する。スプリットベアラは、MCGスプリットベアラまたはSCGスプリットベアラのいずれかである。MCGスプリットベアラは、MCGで終端し、MNとSNの下位層のいずれかまたは両方を使用するDRBである。MCGスプリットベアラが使用される場合、MNはEPCネットワーク112-1からデータを受信し、そのデータを2つの部分に分割する。データの一部はMNからUE装置102に送信され、データの第2の部分はSNからUE装置102に送信される。SCGスプリットベアラは、SNで終端し、MNとSNの下位層のいずれかまたは両方を使用するDRBである。SCGスプリットベアラが使用される場合、SNはEPCネットワーク112-1からデータを受信し、そのデータを2つの部分に分割する。データの一部はSNからUE装置102に送信され、データの第2の部分はMNからUE装置102に送信される。
【0030】
他の実施形態では、UE装置102がNGEN-DCを使用する場合、UE装置102は、MNとして機能する第1の基地局104-1と通信し、無線リンク106-1はE-UTRAリンクである。UE装置102は、SNとして機能する第2の基地局104-2とも通信し、無線リンク106-2は5GNRリンクである。リンク128において、第1の基地局104-1および第2の基地局104-2は、例えばXnインターフェースを介してユーザプレーンおよび制御プレーンのデータを通信する。第1の基地局104-1は、例えば、NG-Cインターフェースを介して5GCネットワーク112-2内のAMF124と制御プレーン情報を通信し、例えばXnインターフェースを介して制御プレーン情報を第2の基地局104-2に中継する。
【0031】
さらなる実施形態では、UE装置102がNE-DCを使用する場合、UE装置102は、MNとして機能する第2の基地局104-2と通信し、無線リンク106-1は5GNRリンクである。UE装置102は、SNとして機能する第1の基地局104-1とも通信し、無線リンク106-1はE-UTRAリンクである。リンク128では、第1の基地局104-1と第2の基地局104-2は、例えばXnインターフェースを介してユーザプレーンデータと制御プレーンデータを通信する。第2の基地局104-2は、例えばNG-Cインターフェースを介して5GCネットワーク112-2内のAMF124と制御プレーン情報を通信し、例えばXnインターフェースを介して制御プレーン情報を第1の基地局104-1に中継する。
【0032】
MR-DC構成から転じると、少なくともいくつかの実施形態では、図1の環境は、単一RATDC構成を表す。あるタイプの単一RATDC状況では、両方の基地局104-1と104-2は、E-UTRA基地局であり、例えばリンク128上のX2インターフェースを介してユーザプレーンおよび制御プレーンのデータを通信し、基地局104-1および104-2は両方ともEPC112-1にリンクする。別のタイプの単一RATDC構成では、基地局104-1および104-2は両方とも5GNR基地局であり、例えばリンク128上のXnインターフェースを介してユーザプレーンおよび制御プレーンのデータを通信し、両方の基地局ステーション104-1および104-2は、5GCネットワーク112-2にリンクする。
【0033】
音声通話の動作中に、UE装置102は、無線リンク障害または音声品質の低下をもたらす、または潜在的にそれらを引き起こす可能性のある、有害な無線リンク状態に遭遇し得る。音声通話の品質は、無線リンクの状態が悪いために所定の品質閾値を下回ることもあるし、UE装置102から完全に切断/失われることもある。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、1つまたは複数の有害な無線リンク状態(ARLC)検出機構130を使用して、アクティブ音声通話に関連する有害な無線リンク状態および無線リンク障害を、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出する。以下でさらに詳しく説明するが、ARLC検出機構130には、音声トラフィックに関連する有害な無線リンク状態を(例えば、通話の維持に関連する1つまたは複数の監視パラメータに基づいて)アクティブに検出する1つまたは複数のモードが含まれ、無線リンク障害または潜在的な障害の原因に関するリアルタイムのフィードバックを提供する。いくつかの例では、少なくとも1つの有害な無線リンク状態は、音声通話の品質を示す(または音声通話の品質に関連する)ことができる、1つまたは複数の所定の基準を満たす、監視される複数のパラメータのうちの1つまたは複数に基づいて検出することができる。無線リンクの状態を監視し、リアルタイムまたはほぼリアルタイムでフィードバックを提供することにより、音声通話中のユーザエクスペリエンスが向上する。例えば、音声通話の接続に関する洞察をタイムリーに提供することで、ユーザに現在のリンク状態を常に通知し、ユーザがイライラするシナリオを回避する。また、ARLC検出機構130によって採用されるさまざまな検出モードは、UE装置102の1つまたは複数のコンポーネントに無線リンク問題の早期報告を提供する。有害なリンク状態を早期に報告することにより、アプリケーションプロセッサなどのUE装置102のコンポーネントは、アクティブ通話をVoWiFiに切り替えるなど、通話を保存するために1つまたは複数のアクションを実行できるようになる。したがって、リソースの使用が改善され得る。
【0034】
図2は、いくつかの実施形態による、ARLC検出機構130の一部としてUE装置102によって単独で、またはさまざまな組み合わせで使用されるさまざまなモード例を示す。これらのモードのそれぞれについては、図7から図13を参照して以下でより詳細に説明する。これらのモードは個別に提供されてもよいし、1つまたは複数のモードがARLC検出機構130の一部として任意の適切な組み合わせで提供されてもよい。
【0035】
そのようなモードの1つは、第1のARLC検出モード202を含む。このモードでは、ARLC検出機構130は、1つまたは複数の信号関連特性/パラメータに基づいて、4GLTE、5GNR信号またはビーム、またはそれらの組み合わせの信号強度を決定することによって低信号状態を監視する。信号関連の特性の例には、基準信号受信電力(RSRP)、基準信号受信品質(RSRQ)、搬送波対干渉プラス雑音比(CINR)、信号対干渉プラス雑音比(SINR)などが含まれる。ARLC検出機構130は、通話に関連する信号強度が閾値を下回る場合、アクティブ音声通話中に有害な無線リンク状態が存在すると判定する。換言すれば、この例では、ARLC検出機構130は、信号強度の監視されるパラメータに基づいて、有害な無線リンク状態を検出する。これに応答して、ARLC検出機構130は、無線リンク劣化(RLD)指示を報告して、検出される有害な無線リンク状態をUE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネントに知らせる。少なくともいくつかの実施形態では、低信号状態などのRLDの考えられる原因も、UE装置102の他のコンポーネントに送信される。
【0036】
別のモードには、第2のARLC検出モード204が含まれる。このモードでは、ARLC検出機構130は、同期外れ状態または無線リンク制御(RLC)最大(max)再送信状態による無線リンク障害(RLF)を監視する。しかし、3GPP仕様で定義される同期外れまたは最大再送信によるRLFとは異なり、少なくともいくつかの実施形態の第2のARLC検出モード204は、音声トラフィックおよび品質に対するRLDの影響を評価する際の柔軟性を提供する。換言すれば、少なくともいくつかの実施形態では、第2のARLC検出モード204は音声通話指向であり、ARLC検出機構130は、RLDが音声通話にどのような影響を与えるかに基づいてRLDを報告する。例えば、アクティブ音声通話中に、ARLC検出機構130は、1つまたは複数のプロトコルスタック層によって生成される同期外れの指示を監視する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC検出機構130は、生成される同期外れ指示/状態(またはパラメータ)について、1つまたは複数の(ネットワーク)プロトコルスタック層にわたって監視することができる。少なくともいくつかの実施形態では、同期外れ指示は、UE装置102が物理ダウンリンク制御チャネル(PDCCH)を正常に復号化できなかった間隔の数を識別する。同期外れ指示の一例は、4GLTEおよび5GNRの3GPP規格で定義されているN310指示である。閾値数の連続した同期外れ指示が検出されると、ARLC検出機構130は、4GLTEおよび5GNRの3GPP規格で定義されるネットワーク構成のT310タイマなどのタイマを開始する。タイマが満了になるか、タイマの実行中に連続する同期指示の閾値数が受信されなかった場合、ARLC検出機構130は、同期外れ状態により無線リンク障害が発生したと判定する。換言すれば、この例では、ARLC検出機構130は、同期外れ状態の監視されるパラメータに基づいて、有害な無線リンク状態を検出する。同期指示の一例は、4GLTEおよび5GNRの3GPP規格で定義されているN311指示である。これに応じて、ARLC検出機構130は、RLD指示を報告して、UE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネントに、無線リンク障害などの、検出される有害な無線リンク状態を知らせる。少なくともいくつかの実施形態では、同期外れ状態などの無線リンク障害の考えられる原因も、UE装置102の他のコンポーネントに送信される。
【0037】
RLC最大再送信状態を監視する場合、ARLC検出機構130は、RLC確認モード(AM)でのデータトラフィック中のRLC再送信試行の数を監視する。RLC再送信試行回数が閾値数を超えた場合、ARLC検出機構130は、RLC最大再送信状態が発生したと判定する。ARLC検出機構130は、RLD指示を送信して、UE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネントに、無線リンク障害など、検出される有害な無線リンク状態を知らせる。少なくともいくつかの実施形態では、RLC最大再送信状態などの無線リンク障害の考えられる原因も、UE装置102の他のコンポーネントに送信される。
【0038】
さらに別のモードは、ARLC検出機構130が物理(PHY)層の能力を監視する第3のARLC検出モード206を含む。このモードでは、ARLC検出機構130は、ダウンリンク(DL)PHY層およびアップリンク(UL)PHY層の能力を監視する。少なくともいくつかの実施形態では、能力は、セルラネットワーク100によって割り当てられた無線リソースおよび現在のブロックエラー率(BLER)に基づくUE装置102の予想スループットを指す。音声トラフィックのDLまたはUL能力のいずれかが閾値を下回る場合、ARLC検出機構130は、検出される有害な無線リンク状態をUE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネントに通知するためのRLD指示を生成する。換言すると、ARLC検出機構130は、この例では、監視される能力のパラメータに基づいて有害な無線リンク状態を検出する。少なくともいくつかの実施形態では、低いDLまたはUL能力などのRLDの考えられる原因も、UE装置102の他のコンポーネントに送信される。
【0039】
追加のモードには、ARLC検出機構130がUE装置102における送信(Tx)電力不足を監視する第4のARLC検出モード208が含まれる。Tx電力不足は、実際のTx電力が目標Tx電力と等しくない場合に発生する。これは通常、最大送信電力レベル(MTPL)の上限または内部エラーによって引き起こされる。その結果、実際に適用されるTx電力はMTPLよりも低くなる。Tx電力不足が大きく、持続する場合(例えば、1つまたは複数の層でのスループットが低下し得る)、Tx電力不足はULパケット送信に影響する。多くの音声パケットが失われると、アクティブ音声通話が切断されるか、少なくとも音声品質が低下し得る。パス損失が大きい場合、目標のTx電力が高くなり、Tx不足が増加する可能性がある。したがって、ARLC検出機構130が閾値を超えるTx不足を検出すると、ARLC検出機構130は、検出される有害な無線リンク状態をUE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネントに通知するためのRLD指示を生成する。換言すれば、ARLC検出機構130は、この例では、送信電力不足の監視されるパラメータに基づいて、有害な無線リンク状態を検出する。少なくともいくつかの実施形態では、Tx電力不足などのRLDの考えられる原因も、UE装置102の他のコンポーネントに送信される。このモードでは、ARLC検出機構130は、少なくともいくつかの実施形態では、音声トラフィックに対するTx電力不足の影響をより正確に推定するために、専用音声無線ベアラにおけるプロトコルデータユニット(PDU)フローも監視する。
【0040】
図3は、UE装置102の例示的な装置図300を示す。少なくともいくつかの実施形態では、装置図300は、音声通話に対する有害な無線リンク状態をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出するさまざまな態様を実装するUE装置を説明する。UE装置102は、明確にするために図3から省略されている追加の機能およびインターフェースを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、アンテナ302、無線周波数(RF)フロントエンド304、5GRAN、E-UTRAN、それらの組み合わせなどRAN110内の1つまたは複数の基地局104と通信するための1つまたは複数のRFトランシーバ306(例えば、3GPP4GLTEトランシーバ306-1および5GNRトランシーバ306-2)を含む。少なくともいくつかの実施形態では、RFフロントエンド304は、送信(Tx)フロントエンド304-1および受信(Rx)フロントエンド304-2を含む。Txフロントエンド304-1は、1つまたは複数のパワーアンプ(PA)、ドライバ、ミキサ、フィルタなどのコンポーネントを含む。Rxフロントエンド304-2は、低雑音アンプ(LNA)、ミキサ、フィルタなどのコンポーネントを含む。少なくともいくつかの実施形態では、RFフロントエンド304は、LTEトランシーバ306-1および5GNRトランシーバ306-2などの1つまたは複数のトランシーバ306をアンテナ302に結合または接続して、さまざまなタイプの無線通信を容易にする。
【0041】
少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102のアンテナ302は、互いに同様に構成される、または互いに異なる複数のアンテナのアレイを含む。少なくともいくつかの実施形態では、アンテナ302およびRFフロントエンド304は、3GPPLTE、3GPP5GNR、IEEE無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、IEEE無線メトロポリタンエリアネットワーク(WMAN)、または他の通信規格によって定義される周波数帯域など、1つまたは複数の周波数帯域に調整されているか、または調整可能である。少なくともいくつかの実施形態では、アンテナ302、RFフロントエンド304、LTEトランシーバ306-1、および5GNRトランシーバ306-2は、ビームフォーミング(例えば、アナログ、デジタル、ハイブリッド)または同相および直角位相(I/Q)動作(例えば、I/Q変調または復調動作)をサポートするように構成され、1つまたは複数の基地局104との通信の送信および受信を行う。例として、アンテナ302およびRFフロントエンド304は、3GPPLTE、3GPP5GNR、または他の通信規格によって定義されるサブギガヘルツ帯域、サブ6GHz帯域、6GHz以上の帯域、またはこれらの帯域の組み合わせで動作する。
【0042】
少なくともいくつかの実施形態では、アンテナ302は、実装のために一次元形状(例えば、線)または二次元形状(例えば、三角形、長方形、またはL字形)に配置される1つまたは複数の受信アンテナを含み、それらは、3つ以上の受信アンテナ素子を含む。一次元形状では1つの角度寸法(例えば、方位角または仰角)の測定が可能であるが、二次元形状では2つの角度寸法(例えば、方位角と仰角の両方)の測定が可能になる。アンテナ302の少なくとも一部を使用して、UE装置102は、操縦されるまたは操縦されない、広いまたは狭い、または形状(例えば、半球、立方体、扇形、円錐形、または円筒形)のビームを形成することができる。1つまたは複数の送信アンテナは、操縦されていない全方向性放射パターンを有してもよく、または操縦可能な広いビームを生成してもよい。これらの技術のいずれかにより、UE装置102は無線信号を送信して大空間を照らすことができる。いくつかの実施形態では、受信アンテナは、所望のレベルの角度精度および角度分解能を達成するために、デジタルビーム形成により数千の狭い操縦ビーム(例えば、2000ビーム、4000ビーム、または6000ビーム)を生成する。
【0043】
少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、温度、供給電力、電力使用量、バッテリ状態などのうちの1つまたは複数などのさまざまな特性を検出するために実装される1つまたは複数のセンサ308を含む。センサの例には、熱センサ、バッテリーセンサ、電力使用量センサなどが含まれる。
【0044】
UE装置102はまた、少なくとも1つのプロセッサ310を含む。プロセッサ310は、少なくともいくつかの実施形態では、シリコン、ポリシリコン、高-K誘電体、銅などのさまざまな材料で構成される単一コアプロセッサまたはマルチコアプロセッサである。少なくともいくつかの実施形態では、プロセッサ310は、例えば、集積回路またはシステムオンチップ(SoC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、複合プログラマブル論理装置(CPLD)のコンポーネント、シリコンまたはその他のハードウェアでのその他の実装、またはそれらの組み合わせを含むハードウェアで少なくとも部分的に実装される。
【0045】
プロセッサ310の例には、通信プロセッサ、アプリケーションプロセッサ、マイクロプロセッサ、DSP、コントローラなどが含まれる。通信プロセッサは、少なくともいくつかの実施形態では、モデムベースバンドプロセッサ、ソフトウェア無線モジュール、構成可能なモデム(例えば、マルチモード、マルチバンドモデム)、無線データインターフェース、無線モデムなどとして実装される。少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサは、無線ネットワークのデータアクセス、メッセージング、またはデータベースのサービスのうちの1つまたは複数、ならびにさまざまな音声ベースの通信(例えば、音声通話)をサポートする。アプリケーションプロセッサは、少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102上で実行されるアプリケーションにコンピューティングリソースを提供する。例えば、アプリケーションは、UE装置102上で実行されるアプリケーションをサポートするために、システム機能(例えば、グラフィックス処理、メモリ管理、およびマルチメディア処理)を提供する自己完結型の動作環境を提供する。
【0046】
UE装置102はさらに、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体312(CRM312)を含む。本明細書で説明するコンピュータ可読記憶媒体には、伝播信号は含まれない。少なくともいくつかの実施形態では、CRM312は、任意の適切なメモリまたは記憶装置を含み、ランダムアクセスメモリ(RAM)、スタティックRAM(SRAM)、ダイナミックRAM(DRAM)、不揮発性RAM(NVRAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、またはUE装置102の装置データ314を記憶するために使用可能なフラッシュメモリなどである。少なくともいくつかの実施形態では、装置データ314は、ユーザデータ、マルチメディアデータ、ビームフォーミングコードブック、アプリケーション316、ユーザインターフェース318、UE装置102の動作システムなどを含み、これらは、ユーザプレーン通信、制御プレーンシグナリング、およびUE装置102とのユーザインタラクションを可能にするために、プロセッサ310によって実行可能である。ユーザインターフェース318は、少なくとも1つの実施形態において、UE装置102のユーザから入力を受信するように構成され、例えば、有害な無線リンク状態検出の1つまたは複数の態様を定義および/または容易にするユーザからの入力を受信するように構成される。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザインターフェース318は、タッチ入力を介して入力情報を受信するグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を含む。他の例では、ユーザインターフェース318は、可聴入力または音声を介して入力情報を受信するインテリジェントアシスタントを含む。代替的に、または追加的に、UE装置102の動作システムは、CRM312上のファームウェアまたはアプリケーションとして維持され、プロセッサ310によって実行される。
【0047】
CRM312は、少なくともいくつかの実施形態では、通信マネージャ320およびARLC監視モジュール322のいずれかまたは両方も含む。代替的に、または追加的に、通信マネージャ320およびARLC監視モジュール322のいずれかまたは両方は、少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102の他のコンポーネントと一体化される、または別個のハードウェア論理または回路として全体または一部が実装される。少なくともいくつかの実施形態では、通信マネージャ320は、RFフロントエンド304、LTEトランシーバ(モデム)306-1、5GNRトランシーバ(モデム)306-2、またはそれらの組み合わせを構成して、1つまたは複数の無線通信動作を実行する。
【0048】
ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、有害な無線リンク状態および無線リンク障害をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出するためのARLC検出機構130を実装する。例えば、ARLC監視モジュール322は、低信号ベースのARLC検出202、RLFベースのARLC検出204、PHY層能力ベースのARLC検出206、および送信電力不足ベースのARLC検出208のうちの1つまたは複数を実行するように構成されている。以下でより詳細に説明するように、少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、UE装置102の1つまたは複数のプロセッサ310内のさまざまなネットワークプロトコルスタック層にわたって情報を収集することによってARLC監視を実行する。この情報は、許容可能な品質で音声通話接続を維持することに関連する要素またはパラメータを表す。ネットワークプロトコルスタック層全体の主要な要素を分析することにより、構成されるUEコンポーネントは、従来の無線リンク障害機構よりも精度が向上して、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで無線リンクの問題を検出する。無線リンク障害(または潜在的な障害)を検出すると、構成されるUEコンポーネントはアプリケーションプロセッサなどの別のUEコンポーネントに通知し、無線リンク障害または差し迫った障害によって引き起こされる動作上およびユーザエクスペリエンスの問題を軽減するための適切なアクションを実行できるようにする。
【0049】
少なくともいくつかの実施形態では、CRM312には、音声通話ARLC監視動作を実行するためにARLC監視モジュール322によって使用されるARLC監視情報324がさらに含まれる。ARLC監視情報324は、少なくともいくつかの実施形態では、信号情報324-1、RLF情報324-2、PHY層能力情報324-3、送信電力不足情報324-4などを含む。信号情報324-1は、少なくともいくつかの実施形態では、信号関連特性/パラメータ(例えば、RSRP、RSRQ、CINR、SINRなど)信号強度測定値、信号強度閾値などの情報を含む。少なくともいくつかの実施形態では、RLF情報324-2情報には、情報が含まれ、例えば、同期外れの指示(例えば、N310指示)、タイマ(例えば、T310タイマ)情報、同期指示(例えば、N311指示)、RLD指示、無線リソース制御(RRC)接続再確立指示、RLC再送信指示などである。PHY層能力情報324-3は、少なくともいくつかの実施形態では、アップリンク能力情報およびダウンリンク能力情報などの情報を含む。ダウンリンクPHY層能力情報には、例えば、ダウンリンク帯域幅要件、専用音声無線ベアラのRLC層での現在のスループット、PHY能力低下指示、RLD指示などが含まれる。アップリンクPHY層能力情報には、例えば、進行中の音声トラフィックの専用ベアラ上のRLCPDU、現在達成されているアップリンクPHY層能力、PHY能力低下指示、RLD指示などが含まれる。送信電力不足情報324-4は、少なくともいくつかの実施形態では、送信電力不足が不足マージンよりも大きいインスタンスの数、高不足インスタンスの比率、比率閾値、PLCPDUの音声パケットのスループット、生成された音声トラフィックのスループット、RLD指示などの情報を含む。
【0050】
図4は、少なくともいくつかの実施形態において、本明細書に記載のARLC監視技術のさまざまな態様を実装する例示的なシステムオンチップ(SoC)400を示す。SoC400は、明確にするために図4から省略されている追加の機能およびインターフェースを含むことができる。少なくともいくつかの実施形態では、SoC400は、アクティブ音声通話に対するARLC監視を実装するために、任意のタイプのUE装置102または別の装置/システムとして、またはその内部で具体化される。チップベースのパッケージングを参照して説明したが、図4に示されるコンポーネントは、限定ではないが、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け規格製品(ASSP)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複合プログラマブル論理装置(CPLD)、システムインパッケージ(SiP)、パッケージオンパッケージ(PoP)、処理および通信チップセット、通信コプロセッサ、センサコプロセッサなどの他のシステムまたはコンポーネント構成として具現化されてもよい。
【0051】
図4に示される例では、SoC400は、データ406(例えば、受信データ、受信中のデータ、ブロードキャストにスケジュールされるデータ、パケット化されるデータなど)の有線または無線通信を可能にする通信トランシーバ402および無線モデム404を含む。少なくともいくつかの実施形態では、無線モデム404は、さまざまな通信プロトコルに従って、異なる周波数帯域、またはそれらの組み合わせに従って通信するように構成可能なマルチモードマルチバンドモデムまたはベースバンドプロセッサである。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、無線モデム404は、符号化または変調される信号をトランシーバ回路と通信するためのトランシーバインターフェース(図示せず)を含む。
【0052】
少なくともいくつかの実施形態では、データ406または他のシステムコンテンツは、SoC400またはさまざまなコンポーネントの構成設定、システムによって記憶されるメディアコンテンツ、および/またはシステムユーザに関連する情報を含む。SoC400に記憶されるメディアコンテンツには、あらゆるタイプの音声、ビデオ、および/または画像データが含まれる。SoC400はまた、1つまたは複数のデータ入力408を含み、それらを介してあらゆるタイプのデータ、メディアコンテンツ、および/または入力は、ユーザ入力、ユーザが選択可能な入力(明示的または暗黙的)、またはコンテンツソースやデータソースから受信したその他のタイプの音声、ビデオ、および/または画像データなどを受信できる。代替的に、または追加的に、データ入力408は、さまざまなデータインターフェースを含み、これらは、シリアルおよび/またはパラレルインターフェース、無線インターフェース、ネットワークインターフェースのうちの任意の1つまたは複数として、または他の装置またはシステムとの通信を可能にする任意の他のタイプの通信インターフェースとして実装可能である。
【0053】
SoC400は、SoC400の動作を制御し、音声通話ARLC監視技術を可能にするために、さまざまなコンピュータ実行可能命令を処理する1つまたは複数のプロセッサコア410を含む。代替的に、または追加的に、SoC400は、処理および制御回路412と関連して実装されるハードウェア、ファームウェア、または固定論理回路のいずれか1つまたは組み合わせで実装される。図示されていないが、SoC400は、SoC400内のさまざまなコンポーネントを結合するバス、相互接続、クロスバー、またはファブリックのうちの1つまたは複数を含む。
【0054】
SoC400はまた、永続的および/または非一時的なデータ記憶を可能にし、したがって一時的な信号または搬送波を含まない1つまたは複数のメモリ回路などのメモリ414(例えば、コンピュータ可読媒体)を含む。メモリ414の例には、RAM、SRAM、DRAM、NV-RAM、ROM、EPROM、またはフラッシュメモリが含まれる。メモリ414は、システムデータ406、ファームウェア16、アプリケーション418、およびSoC400の動作態様に関連する任意の他のタイプの情報および/またはデータのためのデータ記憶装置を提供する。例えば、ファームウェア416は、少なくともいくつかの実施形態では、メモリ414内の動作システム(例えば、リアルタイムOS)のプロセッサ実行可能命令として維持され、1つまたは複数のプロセッサコア410上で実行される。
【0055】
アプリケーション418は、少なくともいくつかの実施形態では、任意の形式の制御アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、信号処理および制御モジュール、特定のシステムに固有のコード、抽象化モジュール、ジェスチャモジュールなどのシステムマネージャを含む。少なくともいくつかの実施形態では、メモリ414はまた、本明細書で説明される音声通話ARLC監視技術の態様を実装するためのシステムコンポーネント、ユーティリティ、または情報のうちの1つまたは複数を記憶し、信号情報324-1、RLF情報324-2、PHY層能力情報324-3、送信電力不足情報324-4などである。
【0056】
少なくともいくつかの実施形態では、SoC400はARLC監視モジュール322を含む。ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、全体的または部分的に、ハードウェアもしくはファームウェアを通じて、または少なくとも部分的にメモリ414内に実装される。少なくともいくつかの実施形態では、SoC400は、グラフィックプロセッサ420、音声プロセッサ422、および画像センサプロセッサ424などの他の機能を可能にする追加のプロセッサまたはコプロセッサも含む。グラフィックプロセッサ420は、少なくともいくつかの実施形態では、SoC400のユーザインターフェース、動作システム、またはアプリケーションに関連付けられるグラフィックコンテンツをレンダリングする。場合によっては、音声プロセッサ422は、音声通話または再生用の符号化される音声データに関連する音声信号および情報などの音声データおよび信号を符号化または復号化する。画像センサプロセッサ424は、少なくともいくつかの実施形態では、画像センサに結合され、画像データ処理、ビデオ捕捉、および他の視覚媒体調整および処理機能を提供する。
【0057】
少なくともいくつかの実施形態では、SoC400は、安全な通信プロトコルおよび暗号化されるデータ記憶装置を提供するなど、さまざまなセキュリティ、暗号化、および暗号化動作をサポートするセキュリティプロセッサ426も含む。図示されていないが、セキュリティプロセッサ426は、少なくともいくつかの実施形態では、SoC400の情報または通信の暗号化および暗号処理をサポートするために、1つまたは複数の暗号エンジン、暗号ライブラリ、ハッシュモジュール、または乱数生成器を含む。代替的に、または追加的に、SoC400は、位置および位置エンジン428およびセンサインターフェース430を含む。一般に、位置および位置エンジン428は、全地球航法衛星システム(GNSS)および/または他の運動または慣性センサデータ(例えば、推測航法)の信号を処理することによって、測位または位置データを提供する。センサインターフェース430は、SoC400が静電容量センサやモーションセンサなどのさまざまなセンサからデータを受信できるようにする。
【0058】
図5は、少なくともいくつかの実施形態において、本明細書で説明されるARLC監視技術のさまざまな態様を実装する無線通信プロセッサ(CP)500の構成例を示す。SoC400は、明確にするために図5から省略されている追加の機能およびインターフェースを含むことができる。一般に通信プロセッサと呼ばれるが、通信プロセッサ500は、少なくともいくつかの実施形態では、モデムベースバンドプロセッサ、ソフトウェア無線モジュール、設定可能なモデム(例えば、マルチモード、マルチバンドモデム)、無線データインターフェース、または無線モデムとして実装され、UE装置102のRFトランシーバ306またはSoC400の無線モデム404などである。少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ500は、無線ネットワークのデータアクセス、メッセージング、またはデータベースのサービス、ならびにさまざまな音声ベースの通信をサポートするために、UE装置102などの装置またはシステムに実装される(音声通話など)。
【0059】
この例では、通信プロセッサ500は、少なくとも1つのプロセッサコア502およびメモリ504を含む。プロセッサコア502は、少なくともいくつかの実施形態では、任意の適切なタイプのプロセッサコア、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサコアなどとして構成される。メモリ504は、永続的な記憶を可能にし、伝播信号を排除するハードウェアベースのメモリとして実装される。少なくともいくつかの実施形態では、メモリ504は、RAM、DRAM、SRAM、不揮発性メモリ、フラッシュメモリなどの任意の適切なタイプのメモリ装置または回路を含む。一般に、メモリは、通信プロセッサ500のデータ506、ファームウェア508、および他のアプリケーションを記憶する。プロセッサコア502は、少なくともいくつかの実施形態では、ファームウェア508またはアプリケーションのプロセッサ実行可能命令を実行して、信号処理およびデータ符号化動作などの通信プロセッサ500の機能を実装する。メモリ504は、少なくともいくつかの実施形態では、本明細書で説明される音声通話ARLC監視技術の態様を実装するためのシステムコンポーネント、ユーティリティ、または情報のうちの1つまたは複数も記憶する。例えば、メモリ504は、信号情報324-1、RLF情報324-2、PHY層能力情報324-3、送信電力不足情報324-4などを含む。
【0060】
少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ500はARLC監視モジュール322を含む。ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、全体的もしくは部分的に、ハードウェアもしくはファームウェアを通じて、または少なくとも部分的にメモリ504内に実装される。通信プロセッサ500は、少なくともいくつかの実施形態では、さまざまなコンポーネントの動作を管理または調整するための電子回路510と、音声信号およびデータを処理するための音声コーデック512も含む。少なくともいくつかの実施形態では、電子回路510は、通信プロセッサ500の処理回路および制御回路およびさまざまなコンポーネントに関連して実装されるハードウェア、固定論理回路、または物理的相互接続(例えば、トレースまたはコネクタ)を含む。少なくともいくつかの実施形態では、音声コーデック512は、音声情報および音声信号の符号化および/または復号化をサポートするための論理、回路、またはファームウェア(例えば、アルゴリズム)の組み合わせを含み、通信プロセッサ500の音声または音響機能に関連するアナログ信号およびデジタルデータなどである。
【0061】
通信プロセッサ500のシステムインターフェース514は、ホストシステムまたはアプリケーションプロセッサとの通信を可能にする。例えば、通信プロセッサ500は、システムインターフェース514を介してシステムまたはアプリケーションプロセッサにデータアクセス機能を提供または公開する。この例では、通信プロセッサ500はまた、通信プロセッサ500がトランシーバ回路またはRFフロントエンドのそれぞれの機能を管理または制御して、さまざまな通信プロトコルおよび技術を実装するトランシーバ回路インターフェース516およびRF回路インターフェース518も含む。さまざまな態様において、通信プロセッサ500は、送信用のデータを符号化および変調するため、または受信データを復調および復号化するためのデジタル信号処理または信号処理ブロックを含む。
【0062】
少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ500は、トランシーバ回路インターフェース516に送信されるデータを符号化、変調、および変換するためのエンコーダ520、変調器522、およびデジタルアナログコンバータ524(D/Aコンバータ524)を含む。通信プロセッサ500はまた、トランシーバ回路インターフェース516から受信したデータを変換し、復調し、復号化するためのアナログデジタルコンバータ526(A/Dコンバータ526)、復調器528、およびデコーダ530を含む。少なくともいくつかの実施形態では、これらの信号処理ブロックおよびコンポーネントは、異なる無線アクセス技術または周波数帯域に対して構成可能な、通信プロセッサ500のそれぞれの送信および受信チェーンとして実装される。
【0063】
図6は、ARLC監視モジュール322を実装する通信プロセッサ602の機能ブロック図を示す。少なくともいくつかの実施形態では、図6の通信プロセッサ602は、図5に関して上述した通信プロセッサ500として具体化される。図6に示される例では、通信プロセッサ602は、アプリケーションプロセッサなどのUE装置102の1つまたは複数の他のコンポーネント604に通信可能に結合される。少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ602は、UEコンポーネント604に情報を送信し、UEコンポーネント604から情報を受信するために、1つまたは複数のメッセージングチャネルなどの1つまたは複数のインターフェース606を介してUEコンポーネント604に結合される。
【0064】
少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ602は、UE装置102がモバイルセルラネットワーク100のエンティティと通信するネットワークプロトコルスタック608(通信スタック608)を実装する。例えば、UE装置102は、通信スタック608を利用して、モバイルセルラネットワーク100のセルまたはコアネットワークなどのエンティティと通信する。図示されていないが、通信スタック608は、ユーザプレーンおよび制御プレーンを含み、各々が層610(層610-1~610-4として示される)のうちの1つまたは複数で構成される。ユーザプレーンと制御プレーンの上位層は、通信スタック608内の共通の下位層を共有する。「上位層」と「下位層」という用語は相互に関連し、通信スタック608内の各層は、通信スタック608内の「上位層」から下位の層(「下位層」)であることを理解されたい。UE装置102は、通信プロセッサ602内の各層を、その層に対して定義されるそれぞれのプロトコルを使用して他の装置と通信するためのエンティティとして実装する。例えば、UE装置102は、RRCエンティティを使用して、適切なRRCプロトコルまたはRRC接続を使用して基地局104内のピアRRCエンティティと通信する。
【0065】
共有下位層には、物理(PHY)層610-1と、データパス層610-2として示される1つまたは複数の層とが含まれる。共有下位層であるデータパス層610-2の例には、メディアアクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層、およびパケットデータ収束プロトコル(PDCP)層が含まれる。一般に、PHY層610-1は、相互に通信する装置のハードウェア仕様を提供し、MAC層は、装置間でデータがどのように転送されるかを指定する。RLC層は、例えば、通信スタック608内の上位層にデータ転送サービスを提供する。例えば、RLC層は、上位層のプロトコルデータユニット(PDU)を転送し、エラー訂正などを行う。PDCP層は、例えば、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータのデータ転送サービスを提供する。
【0066】
PDCP層の上では、通信スタック608はユーザプレーンと制御プレーンに分割される。ユーザプレーンの層には、例えば、インターネットプロトコル(IP)層、トランスポート層(図示せず)、アプリケーション層(図示せず)が含まれる。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザプレーンは、5GNRネットワークにおけるサービス品質(QoS)フローの実装および管理のためのサービスデータアダプテーションプロトコル(SDAP)層も含む。一般に、IP層(データパス層610-2の1つとして図6に示される)は、アプリケーション層からのデータが宛先ノードにどのように転送されるかを指定する。トランスポート層は、アプリケーション層によるデータ転送に伝送制御プロトコル(TCP)またはユーザデータグラムプロトコル(UDP)を使用して、宛先ノードに転送する予定だったデータパケットが宛先ノードに到着したかどうかを検証する。少なくともいくつかの実施形態では、ユーザプレーンには、Webブラウジングコンテンツ、ビデオコンテンツ、画像コンテンツ、音声コンテンツ、ソーシャルメディアコンテンツなどを含むIPパケットなどのアプリケーションデータを転送するためのデータトランスポートサービスを提供するデータサービス層(図示せず)も含まれる。
【0067】
通信スタック608の制御プレーンは、RRC層610-3と、アプリケーション層/コントローラおよび非アクセス層(NAS)層などの1つまたは複数の上位層610-4とを含む。RRC層は、無線接続と無線ベアラの確立と解放、システム情報のブロードキャスト、または電力制御を実行する。NAS層は、UE装置102とコアネットワーク112内のエンティティまたは機能との間のモビリティ管理およびパケットデータベアラコンテキストをサポートする。図6の例では、上位層610-4のうちの1つまたは複数が、APインターフェース606を介してUEコンポーネント604から通話関連情報/要求612を受信する。例えば、UEコンポーネント604は、関連する通話状態情報とともに通話要求を上位層610-4に提供し、ネットワークカバレッジ情報(例えば、LTE、5Gなど)、IPマルチメディアサブシステム(IMS)の登録ステータスなどである。いくつかの例では、UEコンポーネント604は、APインターフェース606を介して、音声データ614を1つまたは複数の上位層610-4に提供する。UE装置102が通信プロセッサ602を実装する実施形態では、通信スタック608のユーザプレーンと制御プレーンの両方の各層は、セル内の対応するピア層またはエンティティ、コアネットワークエンティティまたは機能、および/またはリモートサービスと対話して、ユーザプリケーションをサポートし、RAN110内のUE装置102の動作を制御する。
【0068】
少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ602はARLC監視モジュール322を含む。上述したように、ARLC監視モジュール322は、有害な無線リンク状態および無線リンク障害をリアルタイムまたはほぼリアルタイムで検出するためのARLC検出機構130を実装する。ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、通信スタック608の1つまたは複数の層610からのさまざまなスタック情報/パラメータ616(616-1から616-4として示される)にアクセスするために通信スタック608と統合する。例えば、ARLC監視モジュール322は、信号情報(例えば、信号強度品質)、復号情報、送信電力情報、無線リンク障害情報などのPHY層情報616-1にアクセスする。別の例では、ARLC監視モジュール322はデータパス層情報616-2にアクセスし、データフロー/損失情報(例えば、デコードエラー、信号不良などによるデータ損失)、リアルタイムトランスポートプロトコル(RTP)情報、RTP制御プロトコル(RTCP)情報などである。さらに別の例では、ARLC監視モジュール322は、ネットワーク制限情報(例えば、装置のグループに対するサービスがブロックされているか利用できない期間)、ハンドオーバ情報、接続セットアップ/解放情報などのRRC層情報616-3にアクセスする。さらなる例では、ARLC監視モジュール322は、セットアップステータス情報(例えば、ダイヤル、呼び出し音、ピックアップ/接続など)、登録状態情報(例えば、装置のサービスが制限あり)や混雑情報などの上位層情報616-4にアクセスする。
【0069】
少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、音声ギャップ情報620にアクセスするために、通信プロセッサ602の音声処理モジュール618にも結合される。音声ギャップは通常、UE装置102があるセルから切断され、別のセルに接続することにより、ハンドオーバ手順中に発生する。ARLC監視モジュール322は、音声処理モジュール618と対話して、音声ギャップがいつ発生するか、その継続時間などを決定する。以下でより詳細に説明するように、ARLC監視モジュール322は、スタック情報616、音声ギャップ情報620、またはそれらの組み合わせを監視および処理して、RLDを引き起こす可能性が高い、または潜在的に引き起こすであろう有害な無線リンク状態を検出または予測する(例えば、音声通話の無線リンク障害や音声状態の悪化など)。ARLC監視モジュール322は、スタック情報616、音声ギャップ情報620、またはそれらの組み合わせの処理に基づいて出力622(RLD指示622)を生成する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322の出力622は、無線リンク障害がいつ発生したか、または発生する可能性があるとき、無線リンク障害または潜在的な障害の考えられる原因などを示すアクティブ音声通話の接続ステータスインジケータである。少なくともいくつかの実施形態では、出力622は、アクティブ音声通話中に発生した、または潜在的に発生する可能性のある音声品質の低下の考えられる原因も示す。少なくともいくつかの実施形態では、出力622は、フラグ、ビット、ビットマスク、アレイなどの機構を使用してRLDの原因を示す。ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、APインターフェース606を介して出力622をUEコンポーネント604に送信する。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、ARLC監視モジュール322から受信した出力622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(例えば、VoWiFi)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、など。
【0070】
図7および図8は共に、低信号強度に基づいてARLC監視の第1のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の方法700の一例をフローチャートの形式で示す。この例示的な方法700では、ARLC監視モジュール322は、低信号強度の発生を検出するためにUE装置102によって実行される信号強度更新を監視する。低信号強度が閾値回数検出される場合、ARLC監視モジュール322は、UEコンポーネント604などのUE装置102の別のコンポーネントに、RLD状態および信号強度の低下などのRLD状態の考えられる原因を通知する。
【0071】
図7のブロック702を参照すると、ARLC監視モジュール322は、UE装置102においてアクティブ音声通話701を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話701が開始されたと判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック704で、音声通話の開始に応答して、最初に低信号指示703をFALSE(または同等)に設定する。少なくともいくつかの実施形態では、低信号指示703は、現在の音声通話701に対して低信号強度がいつ検出されるかを追跡するために、ARLC監視モジュール322によって実装される、フラグ、ビット、ビットマスク、配列などの機構である。
【0072】
ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話701中に通信スタック608の1つまたは複数の層610を監視する。アクティブ音声通話の維持に関連する少なくとも1つのパラメータは、1つまたは複数の層610にわたって監視され得る。ARLC監視モジュール322は、ブロック706で、UE装置102が信号強度更新705を実行したと判定する。例えば、ARLC監視モジュール322は、信号強度更新705が実行されたことを示す情報またはメッセージについて通信スタック608を監視する。別の例では、UE装置102の1つまたは複数のコンポーネントは、信号強度更新705が実行されたことをARLC監視モジュール322に通知する。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、1つまたは複数のトリガイベントに応答して、サービングセルおよび/または目標セルの1つまたは複数の信号の信号強度を計算することによって、信号強度更新705を実行する。例えば、UE装置102は、通常、UE装置102が接続モードにあるとき(例えば、音声通話がアクティブであるとき)、ハンドオーバイベントの信号強度を測定する。別の例では、UE装置102は、定期的に、または他のトリガイベントに応答して信号強度を測定する。UE装置102は、基地局104から受信した特定のRRCメッセージに基づいて信号強度の測定基準を決定する。
【0073】
少なくともいくつかの実施形態では、通信プロセッサ500などのUE装置102の1つまたは複数のコンポーネントは、信号(強度)関連特性707に基づいてセルの信号強度を決定する。LTEベースの信号の場合、UE装置102は、セル固有基準信号(CRS)に関連する信号関連特性を決定する。5GNRベースの信号の場合、UE装置102は、CRSの代わりに、同期信号(SS)およびチャネル状態情報(CSI)に関連する信号関連特性を決定する。信号関連特性707の例には、RSRP、RSRQ、CINR/SINRなどの測定値が含まれる。RSRP測定値は、考慮される帯域幅内でセル固有の基準信号(RS)を伝送するリソースエレメント(RE)の平均電力(ワット単位)として定義される。換言すれば、RSRP測定値は信号副搬送波の電力測定値である。RSRQ測定値は、全体に対する基準信号電力の比率として定義され、受信信号の品質を示す。CINR/SINR測定は、対象となる特定の信号の信号強度を、同一チャネル干渉信号の信号強度と受信機の電子機器によって生成される熱雑音の合計で割ったものとして定義される。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の1つまたは複数の層610、UE装置102のコンポーネント、UE装置102のメモリ/記憶装置(例えば、CRM312)などから信号関連特性707のうちの少なくとも1つを取得する。一例では、ARLC監視モジュール322は、PHY層情報616-1の一部として信号関連特性707を受信し、この情報616-1を信号情報324-1として記憶する。
【0074】
信号強度更新705が発生したと判定すると、ARLC監視モジュール322は、1つまたは複数の信号関連特性707を対応する低信号閾値709と比較する。しかし、少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、ブロック708で、例えばPHY層610-1から得られた情報に基づいて、送信時間間隔(TTI)バンドリングが有効であるかどうかを最初に決定する。通常、TTIバンドリングは、Voice over LTE(VoLTE)などのサービスのセルエッジでのアップリンクカバレッジを最適化するために有効になる。TTIバンドリングが有効な場合、UE装置102は、無線リンクの堅牢性を高めるために、所定の数の連続したTTIで同じパケットを送信する。TTIバンドリングが有効である場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック710で、信号関連特性707について低信号閾値の第1のセット709-1を選択する。TTIバンドリングが無効化されている場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック712で、信号関連特性707に対して低信号閾値の第2のセット709-2を選択する。少なくともいくつかの実施形態では、低信号閾値709は、低信号強度のインスタンスが発生したかどうかを判定するために、対応する信号関連特性と比較される値または値の範囲である。少なくともいくつかの実施形態では、低信号閾値の第2のセット709-2は、低信号閾値の第1のセット709-1よりも低く設定される。これは、UE装置102がセルエッジにあり、TTIが有効になっている場合、無線リンクの堅牢性が高められるためである。少なくともいくつかの実施形態では、低信号閾値の第1のセット709-1および低信号閾値の第2のセット709-2は各々、RSRP閾値、RSRQ閾値、およびCINR/SINR閾値を含む。少なくともいくつかの実施形態では、TTIバンドリングは考慮されず、方法はブロック706からブロック710に直接流れる。
【0075】
ARLC監視モジュール322は、ブロック714で、1つまたは複数の信号関連特性707を、TTIバンドリングが有効化され考慮されるかどうかに応じて、第1のセットの低信号閾値709-1または第2のセットの低信号閾値709-2のいずれかで、対応する低信号閾値と比較する。例えば、ARLC監視モジュール322は、RSRP測定値とRSRQ閾値、RSRQ測定値とRSRQ閾値、CINR/SINR測定値とCINR/SINR閾値、またはそれらの組み合わせを比較する。一例では、TTIが有効になっていない場合、ARLC監視モジュール322は、1つまたは複数のRSRP測定値が-125デシベルミリワット(dBm)未満であるか、RSRQ測定値が-20デシベル(dB)未満であるか、またはCINR/SINR測定値が-3dB未満、またはその組み合わせかどうかを判定する。TTIが有効になっている例では、ARLC監視モジュール322は、1つまたは複数のRSRP測定値が-120dBm未満、RSRQ測定値が-15dB未満か、CINR/SINR測定値が0dB未満、またはそれらの組み合わせかどうかを判定する。これらの閾値は説明のみを目的としており、他の閾値(または値の範囲)も適用可能であることを理解されたい。
【0076】
ARLC監視モジュール322は、ブロック716で、1つまたは複数の信号関連特性707の各々が、対応する低信号閾値709を満たすか満たさないかを決定する。この説明を通じて、閾値を満たす、または満たさないとは、閾値および比較プロセスがどのように構成されるかに応じて、閾値未満、閾値より大きい、または閾値に等しいいずれかの対応する値を指すことを理解されたい。一例では、低信号閾値709を満たさないことは、信号関連特性707が低信号閾値709以上の値を有することを示す。しかし、低信号閾値709は、他の例では、低信号閾値709を満たすことが、低信号のインスタンスが発生していないことを示すように構成可能である。
【0077】
現在の例では、1つまたは複数の信号関連特性707の各々が、対応する低信号閾値709を満たさない場合、ブロック718で、ARLC監視モジュール322は、低信号のインスタンスが発生していないと判定し、低信号カウント711を0に設定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック720で、低信号指示703がFALSE(または同等)に設定されているかどうかを判定する。低信号指示703がFALSEに設定されていない場合、フローはブロック704に戻り、ARLC監視モジュール322が低信号指示703をFALSEに設定する。しかし、ARLC監視モジュール322が、低信号指示703がFALSEに設定されていると判定した場合、フローはブロック706に戻り、ARLC監視モジュール322は信号強度更新705を監視する。
【0078】
1つまたは複数の信号関連特性707のいずれかが対応する低信号閾値709を満たす場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック722で、低信号カウント711をインクリメントする。ARLC監視モジュール322は、ブロック724(図8)で、低信号カウント711を低信号カウント閾値713と比較する。ARLC監視モジュール322は、ブロック726で、低信号カウント711が低信号カウント閾値713を満たすかどうかを判定する。低信号カウント711が低信号カウント閾値713を満たさない場合、フローはブロック706に戻り、ARLC監視モジュール322が信号強度の更新705を監視する。しかし、低信号カウント711が低信号カウント閾値713を満たす場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック728で、低信号指示703が現在FALSEに設定されているかどうかを判定する。信号指示703が現在FALSEに設定されている場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック730で、低信号指示703をTRUE(または同等のもの)に設定する。そうでない場合、フローはブロック706に戻り、ARLC監視モジュール322が信号強度の更新705を監視する。低信号指示703がTRUEに設定されている場合、ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話に関連する無線リンクの低信号状態715(または潜在的な低信号状態)を検出している。例えば、層610のうちの1つまたは複数を監視することに応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。少なくともいくつかの実施形態では、検出は、低信号状態または基準を満たすことができる監視されるパラメータに基づく。
【0079】
低信号指示703をFALSEに設定すると、ARLC監視モジュール322は、ブロック732で、RLD指示622を生成し、アプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のUEコンポーネント604にRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、無線リンクの劣化がアクティブ音声通話に対して発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、また、検出される低信号状態715などのRLDの考えられる原因も含む。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、低信号状態715が発生したと判定するために使用されるRSRP、RSRQ、CINR/SINR測定値のうちの1つまたは複数も含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。フローはブロック706に戻り、ARLC監視モジュール322が信号強度の更新705を監視する。音声通話701が終了または切断されるまで、上記の処理が繰り返される。
【0080】
図9は、RLFに基づいてARLC監視の第2のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の方法900の一例をフローチャート形式で示す。この例示的な方法900では、ARLC監視モジュール322は、同期外れ状態によるRLFを監視する。図9のブロック902を参照すると、ARLC監視モジュール322は、UE装置102においてアクティブ音声通話901を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話901が開始されたと判定する。
【0081】
ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話701中に通信スタック608の1つまたは複数の層610を監視する。アクティブ音声通話の維持に関連する少なくとも1つのパラメータは、1つまたは複数の層610にわたって監視され得る。ARLC監視モジュール322は、ブロック904で、アクティブ音声通話に関連する同期外れ指示903(例えば、N310指示)を監視する。一例では、同期外れ状態は、UE装置102がPDCCHを正常に復号化できないときに発生する。少なくともいくつかの実施形態では、UE装置102は、通信スタック608の1つまたは複数の層610を監視して、同期外れ指示903がいつ生成されるかを検出する。ARLC監視モジュール322は、ブロック906で、同期外れ指示903が検出されるかどうかを判定する。同期外れ指示903が検出されなかった場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック904で同期外れ指示903を監視し続ける。しかし、同期外れ指示903が検出される場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック908で、RLFタイマ905(例えば、T310タイマ)が開始されるかどうかを判定する。少なくともいくつかの実施形態では、RLFタイマ905は、閾値数の連続した同期外れ指示903が受信/検出された後に、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610によって開始される。ARLC監視モジュール322は、少なくともいくつかの実施形態では、ネットワークプロトコルスタック層610を監視して、RLFタイマ905がいつ開始されるかを検出する。RLFタイマ905が開始されていない場合、フローはブロック904に戻り、ARLC監視モジュール322が同期外れ状態を監視し続ける。しかし、RLFタイマ905が開始されている場合、ARLC監視モジュール322は複数の選択肢のうちの1つを実行する。
【0082】
第1の選択肢では、ARLC監視モジュール322は、ブロック910で、RLFタイマ905が満了したかどうかを判定する。RLFタイマ905が満了していない場合、ARLC監視モジュール322は、RLFタイマ905の満了を監視し続ける。RLFタイマ905が満了した場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック912で、RLF907が発生したと判定する。例えば、層610のうちの1つまたは複数を監視することに応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。一例では、検出は、RLF状態または基準を満たすことができる監視パラメータに基づく。
【0083】
ARLC監視モジュール322は、ブロック914で、内部RLD指示622を設定し、アプリケーションプロセッサなどのUE装置102の1つまたは複数のコンポーネント604にRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示907は、アクティブ音声通話に対して無線リンク障害が発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、同期外れ状態などのRLDの考えられる原因も含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。ARLC監視モジュール322は、ブロック916で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610を監視し、1つまたは複数のイベントを検出すると内部RLD指示622をリセットし、同期状態/指示909、RRC再確立の成功911、通話切断913などである。同期指示の一例は、4GLTEおよび5GNRの3GPP規格で定義される。N311指示は、RLFタイマ905が動作している間にUE装置102がPDCCHを正常に復号化することができた間隔の数を識別する。UE装置102は、少なくともいくつかの実施形態では、RLFタイマ905が満了すると、RRC再確立手順を実行する。RRC再確立プロセスが失敗すると、通話は切断される。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604が通話ごとにRLD指示を処理する場合、UEコンポーネント604は、ARLC監視モジュール322から受信したRLD指示907をクリアする。
【0084】
第2の選択肢では、ARLC監視モジュール322は、ブロック918で、内部RLD指示907を設定し、RLFタイマ905の開始時にRLD指示907をUEコンポーネント604に送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。ARLC監視モジュール322は、ブロック920で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610を監視し、1つまたは複数のイベントを検出すると内部RLD指示622をリセットし、同期指示909、成功したRRC再確立911、通話切断913などである。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604が通話ごとにRLD指示を処理する場合、UEコンポーネント604は、ARLC監視モジュール322から受信したRLD指示907をクリアする。
【0085】
図10は、無線リンク障害(RLF)に基づいてARLC監視の第2のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の別の例示的な方法1000をフローチャート形式で示す。例示的な方法1000では、ARLC監視モジュール322は、UE装置102がRLC確認モード(AM)にあるときにデータトラフィック送信中に発生するRLC最大再送信状態によるRLFを監視する。例えば、音声トラフィックは通常、RLC未確認(UM)モードを使用して送信され、再送信されない。しかし、データトラフィックは通常、RLCAMを使用して送信される。RLCAMモードでは、最大再送信閾値に達するとRLFがトリガーされる。データトラフィックのRLFは、データトラフィックと音声トラフィックの両方で無線状態に問題があり、そのデータ無線ベアラ(DRB)も同様の影響を受けるはずであることを示す。また、データトラフィックのRRC接続の再確立が成功しない場合、音声トラフィックとデータトラフィックの両方のDRBが切断され、音声通話が切断される。したがって、図10に示される例示的な方法1000では、ARLC監視モジュール322は、再送信が音声トラフィックに対するものではない場合でも、RLC再送信を監視する。
【0086】
図10のブロック1002を参照すると、ARLC監視モジュール322は、ブロック1002で、UE装置102においてアクティブ音声通話1001を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話1001が開始されたと判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1004で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610(例えば、RLC層1003)を監視し、RLC最大再送信状態1005が発生したと判定する。例えば、ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話701中に通信スタック608の1つまたは複数の層610を監視する。アクティブ音声通話の維持に関連する少なくとも1つのパラメータは、1つまたは複数の層610にわたって監視され得る。RLC最大再送信状態1005は、例えば、一部のPDUが前の送信で受信されなかったことを示す否定確認(NACK)情報を含むSTATUSPDUをUE装置102が受信したときに発生する。これに応答して、UE装置102は、失われたPDUの再送信を試みる。再送信は、すべてのPDUが受信エンティティによって受信されるか、NACKに関連付けられるPDUの最大再送信閾値に達するまで行われる。最大再送信閾値に達した場合、RLC最大再送信状態1005が発生し、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610によって検出される。例えば、複数の層610の監視に応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。少なくともいくつかの実施形態では、検出は、RLC最大再送信状態または基準を満たすことができる監視されるパラメータに基づく。
【0087】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1006で、内部RLD指示622を設定し、アプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のUEコンポーネント604にRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、アクティブ音声通話に対して無線リンク障害が発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、また、RLC最大再送信などのRLDの考えられる原因も含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。
【0088】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1008で、ネットワークプロトコルスタック層610のうちの1つまたは複数を監視し、UE装置102がRRC再確立動作1007を試みていると判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1010で、RRC再確立動作1007が成功したかどうかを判定する。RRC再確立動作1007が失敗した場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1012で、そのRLD指示622(例えば、ステータス=FALSE)をクリア/リセットする。次に、ARLC監視モジュール322は、ブロック1022で新しいアクティブ音声通話を監視する。RRC再確立動作1007が成功した場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1014で、他のARLC(RLD要因またはパラメータ)1009が無線リンク劣化を引き起こしているか、または潜在的に引き起こす可能性があるかどうかを判定する。これらの他の監視されるパラメータまたは要因1009の例には、本明細書で説明される低信号状態、同期外れ状態、PHY低機能状態、およびTx電力不足状態が含まれる。少なくとも1つの要因1009がRLDを引き起こしている、または潜在的にRLDを引き起こす可能性がある場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1016で、RLFトリガイベントビットマスク1013をクリアしたRLD指示更新1011をUEコンポーネント604に送信する。少なくとも1つの実施形態では、RLFトリガイベントビットマスク1013は、RLFが発生したことを示すRLD指示622の一部として送信されるビットマスクである。RLFトリガイベントビットマスク1013は、少なくともいくつかの実施形態では、RLFの原因も識別する。RLDを引き起こす要因1009がない、またはRLDを引き起こす可能性がある要因1009がない場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1018で、そのRLD指示622(例えば、ステータス=FALSE)をクリア/リセットする。ARLC監視モジュール322は、ブロック1020で、音声通話1001がまだアクティブであるかどうかを判定する。そうであれば、フローはブロック1004に戻る。音声通話901がもはやアクティブでない場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1022で、新しいアクティブ音声通話を監視する。
【0089】
図11は、ダウンリンク上のPHY層610-1の能力に基づいてARLC監視の第3のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の例示的な方法1100をフローチャート形式で示す。通常、音声トラフィックはデータトラフィックよりも優先される。しかし、PHY全体の機能(スループット)が、進行中の音声トラフィックを伝送するために必要な帯域幅よりも低い場合、音声通話は切断され得る。PHYの機能を制限する要因の例には、高いBLER、ネットワークからの限られたリソースブロック(RB)割り当てなどが含まれる。したがって、図11の例示的な方法1100では、ARLC監視モジュール322は、有害な無線リンク状態として低PHY能力1115を監視する。
【0090】
図11のブロック1102を参照すると、ARLC監視モジュール322は、UE装置102においてアクティブ音声通話1101を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話1101が開始されたと判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1104で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610(例えば、PHY層610-1)を監視して、例えば通話特性1105に基づいて現在の音声トラフィックに必要なダウンリンク帯域幅(T_voice_dl)1103を計算し、音声通話1101に使用されているコーデックのタイプや音声パターン(アクティブまたはサイレントなど)などである。ARLC監視モジュール322は、ブロック1106で、1つまたは複数の他のネットワークプロトコルスタック層610(例えば、RLC層1107)も監視し、専用音声無線ベアラの現在のスループット(T_rlc_dl)1109を決定する。これは、このネットワークプロトコルスタック層610におけるPHY能力によって制限される。例えば、ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話701中に通信スタック608の1つまたは複数の層610を監視する。アクティブ音声通話の維持に関連する少なくとも1つのパラメータは、1つまたは複数の層610にわたって監視され得る。
【0091】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1108で、必要なダウンリンク帯域幅(T_voice_dl)1103を、調整係数(coef_dl)1111を乗算した専用音声無線ベアラの現在のスループット(T_rlc_dl)1109と比較し、これは、必要な音声帯域幅と実際に利用可能な帯域幅との比率に基づいている。ARLC監視モジュール322は、ブロック1110で、必要なダウンリンク帯域幅1103が専用音声無線ベアラの調整される現在のスループット1109より大きいかどうかを判定する(すなわち、T_voice_dl>(T_rlc_dl*coef_dl)である)。必要なダウンリンク帯域幅1103が専用音声無線ベアラの調整される現在のスループット1109より大きくない場合、制御フローはブロック1104に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1104から1112の動作が繰り返される。必要なダウンリンク帯域幅1103が専用音声無線ベアラの調整される現在のスループット1109より大きい場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1112で、低PHY能力カウント1113をインクリメントする。
【0092】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1114で、内部RLD指示622が設定されているかどうか(例えば、ステータス=TRUE)を決定する。内部RLD指示622が設定されていない場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1116で、低PHY能力カウント1113が低PHY能力カウント閾値1117(N_番目1117)より大きい(または等しい)かどうかを判定する。そうである場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1118で、低PHY能力状態(1115)が検出されると判定し、内部RLD指示622(例えば、ステータス=TRUE)を設定する。例えば、複数の層610の監視に応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。少なくともいくつかの実施形態では、検出は、低PHY能力の状態または基準を満たすことができる監視されるパラメータに基づく。
【0093】
ARLC監視モジュール322はまた、アプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のUEコンポーネント604にRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、無線リンクの劣化がアクティブ音声通話に対して発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、また、ダウンリンク上の低PHY能力などのRLDの考えられる原因も含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。制御フローはブロック1104に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1104~1118の動作が繰り返される。低PHY能力カウント1113が低PHY能力カウント閾値1117を満たさない(例えば、未満である)場合、制御フローはブロック1104に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1104から1116の動作が繰り返される。
【0094】
ブロック1114に戻って参照すると、内部RLD指示622が設定されている場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1120で、低PHY能力カウント1113が低PHY能力カウント閾値1117未満であるかどうかを判定する。低PHY能力カウント1113が低PHY能力カウント閾値1117以上である場合、制御フローはブロック1104に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1104から1120の動作が繰り返される。低PHY能力カウント1113が低PHY能力カウント閾値1117より小さい場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1122で、その内部RLD指示1117(例えば、ステータス=FALSE)をクリア/リセットする。制御フローはブロック1104に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1104~1122の動作が繰り返される。また、いずれかの時点でARLC監視モジュール322が音声通話が切断されたと判定した場合、ARLC監視モジュール322はその内部RLD指示622をクリア/リセットし、アクティブ音声通話を監視する。
【0095】
図12は、アップリンク上のPHY層610-1の能力に基づいてARLC監視の第3のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の別の例示的な方法1200をフローチャート形式で示す。上で説明したダウンリンクの例と同様に、音声トラフィックはデータトラフィックよりも優先される。しかし、PHY能力がUE装置102で生成される音声トラフィックをサポートできない場合、音声通話が切断される可能性が高く、または少なくとも音声品質が低下する。ダウンリンク上のトラフィックとは異なり、所望のアップリンク音声トラフィックの量は、UE装置102によってローカルに生成される(RTPパケット→RLCPDU)。したがって、ダウンリンクの例で行ったように音声トラフィックを推定する必要はない。
【0096】
図12のブロック1202を参照すると、ARLC監視モジュール322は、UE装置102においてアクティブ音声通話1201を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話1201が開始されたと判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1204で、ネットワークプロトコルスタック層610(例えば、RLC層1203)のうちの1つまたは複数を監視して、RLCPDUに基づいて専用ベアラ上の発信音声トラフィックに必要な帯域幅(T_voice_ul)205を決定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1206で、PHY層610-1を監視して、現在達成されているアップリンクPHY能力/スループット1207(T_phy_ul1207)を取得する。さまざまな要因がアップリンクPHY能力/スループット1207に影響を与える。これらの要因の例には、アップリンク割り当て、Tx電力、NACKによる再送信(BLER)などが含まれる。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の少なくとも1つの層にわたるアクティブ音声通話の維持に関連する1つまたは複数のパラメータを監視する。
【0097】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1208で、必要な帯域幅(T_voice_ul)を、調整係数1209(coef_ul)を乗算したアップリンクPHY能力1207(T_phy_ul)と比較する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1210で、必要な帯域幅1205が調整されるアップリンクPHY能力1207よりも大きいかどうか(すなわち、T_voice_ul>(T_phy_ul*coef_ul)であるかどうか)を決定する。必要な帯域幅1205が調整されるアップリンクPHY能力1207より大きくない場合、制御フローはブロック1204に戻り、音声通話1201が終了または切断されるまでブロック1204から1210の動作が繰り返される。しかし、必要な帯域幅1205が調整されるアップリンクPHY能力1207よりも大きい場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1212で、低PHY能力状態1213が存在し、低PHY能力カウント(N_low_ul)1211をインクリメントすると判定する。例えば、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が、低PHY能力の状態または基準を満たすことができる監視されるパラメータに基づいて検出される。
【0098】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1214で、内部RLD指示622が設定されているかどうか(例えば、ステータス=TRUE)を決定する。内部RLD指示622が設定されていない場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1216で、低PHY能力カウント1211が低PHY能力カウント閾値1215(N_番目)1215より大きい(または等しい)かどうかを判定する。そうである場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1218で、内部RLD指示622(例えば、ステータス=TRUE)を設定し、アプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のUEコンポーネントにRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、無線リンクの劣化がアクティブ音声通話に対して発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、アップリンク上の低PHY能力1213などのRLDの考えられる原因を含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。制御フローはブロック1204に戻り、音声通話1201が終了または切断されるまで、ブロック1204~1218の動作が繰り返される。低PHY能力カウント1211が低PHY能力カウント閾値1215を満たさない(例えば、未満である)場合、制御フローはブロック1204に戻り、音声通話1201が終了または切断されるまで、ブロック1204から1218の動作が繰り返される。
【0099】
ブロック1214に戻って参照すると、内部RLD指示622が設定されている場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1220で、低PHY能力カウント1211が低PHY能力カウント閾値1215未満であるかどうかを判定する。低PHY能力カウント1211が低PHY能力カウント閾値1215以上である場合、制御フローはブロック1204に戻り、音声通話1101が終了または切断されるまで、ブロック1204から1220の動作が繰り返される。低PHY能力カウント1211が低PHY能力カウント閾値1215より小さい場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1222で、内部RLD指示622をクリア/リセット(例えば、ステータス=FALSE)する。制御フローはブロック1204に戻り、音声通話1201が終了または切断されるまで、ブロック1204~1222の動作が繰り返される。また、いずれかの時点でARLC監視モジュール322が音声通話が切断されたと判定した場合、ARLC監視モジュール322はその内部RLD指示622をクリア/リセットし、アクティブ音声通話を監視する。
【0100】
図13は、送信電力不足に基づいてARLC監視の第4のモードを実行するUE装置102の通信プロセッサ500(または別のコンポーネント)の例示的な方法1300をフローチャート形式で示す。少なくともいくつかの実施形態では、Tx電力不足は、目標Tx電力から実際のTx電力を引いたものに等しい。Tx電力不足は通常、MTPLの上限または内部エラーによって発生する。Tx電力不足により、通常、実際に適用されるTx電力がMTPLよりも低くなり、アクティブ音声通話が切断されたり、音声品質が低下したりし得る。したがって、図13の例示的な方法1300では、ARLC監視モジュール322はTx電力不足を監視する。また、少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、音声トラフィックに対するTx電力の影響をより正確に推定するために、専用音声無線ベアラでRLCPDUフローも監視する。
【0101】
図13のブロック1302を参照すると、ARLC監視モジュール322は、UE装置102においてアクティブ音声通話1301を検出する。例えば、UE装置102のユーザは、UE装置102上で実行される1つまたは複数のアプリケーションを使用して、音声通話発信を行うか、または音声通話着信を受信する。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、通信スタック608の監視に基づいて、音声通話1301が開始されたと判定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1304で、ネットワークプロトコルスタック層610(例えば、PHY層610-1)のうちの1つまたは複数を監視し、アクティブ音声通話1301中にTx電力不足(P_d)1303を検出する。例えば、ARLC監視モジュール322は、アクティブ音声通話701中に、通信スタック608の複数の層のうちの1つまたは複数の層610を監視する。アクティブ音声通話の維持に関連する少なくとも1つのパラメータは、1つまたは複数の層610にわたって監視され得る。少なくともいくつかの実施形態では、ARLC監視モジュール322は、PHY層610-1から目標Tx電力情報1305および実際のTx電力情報1307を取得することによって、Tx電力不足1303が存在すると判定する。実際のTx電力が目標Tx電力よりも小さい場合、Tx電力不足が存在する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1306で、Tx電力不足1303をTx電力不足マージン/閾値(Th)1309と比較する。Tx電力不足1303がTx電力不足マージン1309を満たさない(例えば、それ未満である)場合、制御フローはブロック1304に戻る。しかし、Tx電力不足1303がTx電力不足マージン1309を満たす(例えば、それよりも大きい)場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1308で、このTx電力不足インスタンスを「高」Tx電力不足状態1311とみなし、高Tx電力不足カウント1313をインクリメントする。
【0102】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1310で、N個のTxインスタンスの1つまたは複数の監視ウィンドウについて、高Tx電力不足カウント比1315を決定する。例えば、N=10で、これら10個のTxインスタンスのTx電力不足数が7の場合、高Tx電力不足数の比率は7/10=70%として計算される。ARLC監視モジュール322は、ブロック1312で、比率1315を比率閾値1317と比較する。比率1315が比率閾値1317を満たさない(例えば、比率閾値1317未満である)場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1314で、UE装置102が電力制限状態にないと判定し、任意のRLD指示622をクリア/リセットする。制御はブロック1304に進み、音声通話1301が終了または切断されるまで、ブロック1304から1314の動作が繰り返される。比率1315が比率閾値1317を満たす(例えば、それより大きい)場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1316で、UE装置102が電力制限状態にあると判定する。
【0103】
ARLC監視モジュール322は、ブロック1318で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610を監視して、RLCPUDからの音声パケットのスループット(TPUT_v)1319を決定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1320で、1つまたは複数のネットワークプロトコルスタック層610も監視して、コーデックに依存する、生成される音声パケットのスループット(TPUT_gen)1321を決定する。ARLC監視モジュール322は、ブロック1322で、TPUT_v1319が係数(coef)1323を乗じたTPUT_gen1321よりも小さいかどうかを判定する。例えば、複数の層610の監視に応答して、アクティブ音声通話に関連する少なくとも1つの有害な無線リンク状態が検出される。少なくともいくつかの実施形態では、検出は、TPUT_gen1321に係数(coef)1323を乗算したものよりも小さいTPUT_v1319の状態または基準を満たすことができる、監視されるパラメータに基づく。
【0104】
TPUT_v1319が、係数(coef)1323を乗じたTPUT_gen1321よりも小さい場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1324で、内部RLD指示622(例えば、ステータス=TRUE)を設定し、アプリケーションプロセッサなどの1つまたは複数のUEコンポーネントにRLD指示622を送信する。例えば、無線リンク劣化(RLD)指示622は、少なくとも1つの有害な無線リンク状態を検出したことに応答して、UE装置102のコンポーネント604に提供される。少なくともいくつかの実施形態では、RLD指示622は、無線リンクの劣化がアクティブ音声通話に対して発生したか、または発生する可能性が高いことを示す情報を含み、また、高Tx電力不足などのRLDの考えられる原因も含む。少なくともいくつかの実施形態では、UEコンポーネント604は、RLD指示622を利用して、1つまたは複数のアクションを実行し、アクティブ通話を別のモード(VoWiFiなど)に切り替えて通話を保存する、通話が切断される可能性がある、または通話の品質が低下する可能性があることをユーザに通知する、通話が切断される理由をユーザに通知する、などである。TPUT_v1319が、TPUT_gen1321に係数1323を乗算した値より大きい(または等しい)場合、ARLC監視モジュール322は、ブロック1326で、任意のRLD指示622をクリア/リセットする。音声通話1301がまだアクティブである場合、制御はブロック1304に進み、音声通話1301が終了または切断されるまで、ブロック1304から1326の動作が繰り返される。また、いずれかの時点でARLC監視モジュール322が音声通話が切断されたと判定した場合、ARLC監視モジュール322はその内部RLD指示622をクリア/リセットし、アクティブ音声通話を監視する。
【0105】
いくつかの実施形態では、上述の技術の特定の態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つまたは複数のプロセッサによって実装され得る。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されるか、そうでなければ有形に具体化される、1つまたは複数の実行可能命令のセットを備える。ソフトウェアは、1つまたは複数のプロセッサによって実行されると、1つまたは複数のプロセッサを操作して、上述の技術の1つまたは複数の態様を実行する命令および特定のデータを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気または光ディスク記憶装置、フラッシュメモリ、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの固体記憶装置、または他の不揮発性メモリ装置などを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶される実行可能命令は、ソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つまたは複数のプロセッサによって解釈または実行可能な他の命令フォーマットであってもよい。
【0106】
コンピュータ可読記憶媒体には、使用中にコンピュータシステムに命令および/またはデータを提供するためにコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の記憶媒体または記憶媒体の組み合わせが含まれ得る。このような記憶媒体には、光媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、磁気ハードドライブ)、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(MEMS)ベースの記憶媒体が含まれるが、これに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータシステム(例えば、システムRAMまたはROM)に埋め込まれ、コンピューティングシステムに固定的に取り付けられ(例えば、磁気ハードドライブ)、コンピューティングシステムに取り外し可能に取り付けられ(例えば、光ディスクやユニバーサルシリアルバス(USB)ベースのフラッシュメモリ)、または、有線または無線ネットワーク(例えば、ネットワークアクセス記憶装置(NAS))を介してコンピュータシステムに接続され得る。
【0107】
上記の一般的な説明で説明したアクティビティや要素のすべてが必要なわけではなく、特定のアクティビティや装置の一部は必要ではない可能性があり、記載されているものに加えて、1つまたは複数のさらなるアクティビティが実行されるか、要素が含まれ得ることことに留意されたい。さらに、アクティビティがリストされている順序は、必ずしも実行される順序ではない。また、概念は、特定の実施形態を参照して説明される。しかし、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に記載される本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな修正および変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、明細書および図面は、限定的な意味ではなく例示としてみなされるべきであり、そのような修正はすべて本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0108】
利益、他の利点、および問題の解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。しかし、利益、利点、問題の解決策、および利益、利点、または解決策が発生する、またはより顕著になる可能性のある特徴は、いずれかのまたはすべての請求項の重要な、必須の、または本質的な特徴として解釈されるべきではない。さらに、上に開示した特定の実施形態は単なる例示であり、開示の主題は、本明細書の教示の恩恵を受ける当業者にとって明白な、異なるが同等の方法で変更および実施することができる。以下の特許請求の範囲に記載されているものを除き、本明細書に示される構造または設計の詳細に対して制限を意図するものではない。したがって、上で開示した特定の実施形態が変更または修正され得ることは明らかであり、そのような変形はすべて、開示される主題の範囲内にあるとみなされる。したがって、本明細書で求められる保護は、以下の特許請求の範囲に記載されているとおりである。
図1
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図13