(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】株価予測システムおよび株価予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20250822BHJP
【FI】
G06Q40/04
(21)【出願番号】P 2025027567
(22)【出願日】2025-02-25
【審査請求日】2025-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505394921
【氏名又は名称】有限会社福島バネ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】池田 哲雄
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-26144(JP,A)
【文献】特開2001-101276(JP,A)
【文献】特開2006-39952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
企業の株価を予測する株価予測システムであって、
予測対象とする企業について基準日における終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する基準値設定部と、
所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得部と、
前記基準値と、前記記録DBに保存された前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DBに記録する変動率算出部と、
前記保管DBに記録された前記日別変動率に基づき、
エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析部と、
を備え、
前記
傾向分析部におけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別変動率」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別変動率X1と当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別変動率Xnを、前日の日別変動率X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別変動率Xnと当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする株価予測システム。
【請求項2】
企業の株価を予測するプログラムであって、コンピュータに、
予測対象とする企業について基準日における終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する基準値設定ステップと、
所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得ステップと、
前記基準値と、前記記録DBに保存された前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DBに記録する変動率算出ステップと、
前記保管DBに記録された前記日別変動率に基づき、
エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析ステップと、
を実行させるとともに、
前記
傾向分析ステップにおけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別変動率」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別変動率X1と当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別変動率Xnを、前日の日別変動率X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別変動率Xnと当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする株価予測プログラム。
【請求項3】
企業の株価を予測する株価予測システムであって、
予測対象とする企業について、所定期間における日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得部と、
前記記録DBに記録された前記日別株価に基づき、
エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析部と、
を備え、
前記
傾向分析部におけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別株価」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別株価X1と当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別株価Xnを、前日の日別株価X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別株価Xnと当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする株価予測システム。
【請求項4】
企業の株価を予測するプログラムであって、コンピュータに、
予測対象とする企業について、所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得ステップと、
前記記録DBに記録された前記日別株価に基づき、
エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析ステップと、
を実行させるとともに、
前記
傾向分析ステップにおけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別株価」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別株価X1と当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別株価Xnを、前日の日別株価X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別株価Xnと当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする株価予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業の株価を予測する株価予測システムおよび株価予測プログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、日々変動する株価を予測する株価予測装置が知られている。例えば、特許文献1 においては、非線形性の強い時系列データの同定と予測を、主変数と補助変数をあらわす非線形微分方程式をとき、主変数の同定を行うことにより、予測を行うことを特徴とする「時系列データ予測方法」が公開されている。
【0003】
特許文献1の「時系列データ予測方法」では、非線形性の強い時系列データ、特に、株価、為替レートといった証券、金融分野、消費財需要量といった流通分野における時系列データの予測に特に有用であることが言及されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、株価基準値からの変動率を時系列で分析することにより、株価変動の傾向を高精度に把握する株価予測システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、第1発明に係る株価予測システムは、
企業の株価を予測する株価予測システムであって、
予測対象とする企業について基準日における終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する基準値設定部と、
所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得部と、
前記基準値と、前記記録DBに保存された前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DBに記録する変動率算出部と、
前記保管DBに記録された前記日別変動率に基づき、エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析部と、
を備え、
前記傾向分析部におけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別変動率」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別変動率X1と当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別変動率Xnを、前日の日別変動率X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別変動率Xnと当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする。
【0007】
第2発明に係る株価予測プログラムは、
企業の株価を予測するプログラムであって、コンピュータに、
予測対象とする企業について基準日における終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する基準値設定ステップと、
所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得ステップと、
前記基準値と、前記記録DBに保存された前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DBに記録する変動率算出ステップと、
前記保管DBに記録された前記日別変動率に基づき、エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析ステップと、
を実行させるとともに、
前記傾向分析ステップにおけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別変動率」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別変動率X1と当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別変動率Xnを、前日の日別変動率X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別変動率Xnと当日の日別変動率Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする。
【0008】
第3発明に係る株価予測システムは、
企業の株価を予測する株価予測システムであって、
予測対象とする企業について、所定期間における日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得部と、
前記記録DBに記録された前記日別株価に基づき、エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析部と、
を備え、
前記傾向分析部におけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別株価」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別株価X1と当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別株価Xnを、前日の日別株価X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別株価Xnと当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする。
【0009】
第4発明に係る株価予測プログラムは、
企業の株価を予測するプログラムであって、コンピュータに、
予測対象とする企業について、所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DBに保存する株価取得ステップと、
前記記録DBに記録された前記日別株価に基づき、エンタルピー変換を用いて、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する傾向分析ステップと、
を実行させるとともに、
前記傾向分析ステップにおけるエンタルピー変換は、
横軸に「日」、縦軸に「日別株価」で表したチャート図を用いて、
前記チャート図において、前日の日別株価X1と当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Y1として導出するとともに、
前記チャート図において、前記所定期間において任意に選択されたn(n≧2)日前の日別株価Xnを、前日の日別株価X1を表す縦線上に平行移動し、その平行移動後の日別株価Xnと当日の日別株価Yを結ぶ直線を一次関数Ynとして導出し、
一次関数Y1の傾きと複数個の一次関数Ynの傾きの数値を分析し、株価変動の傾向に関する情報を提示する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、取引市場において価格が変動する企業の価格について、株価基準値からの変動率を時系列で分析することにより、高精度に株価変動の傾向を把握することが可能になり、さらに今後の動向について予測精度を向上させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る株価予測システムにおける機能構成を示した機能構成図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る株価予測システムにおいて、全体の処理手順を示したフローチャート図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る株価予測システムにおいて、エンタルピー変換の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施形態により限定されるものではない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る株価予測システムについて機能構成を示した機能構成図である。
図1に示すように、株価予測システム10は、基準値設定部11、株価取得部12、変動率算出部13、傾向分析部14、を備えており、予測対象とする企業について株価基準値からの変動率を時系列で分析することにより、企業の株価の傾向を分析し予測傾向を算出するように構成されている。
【0014】
ここで、株価予測システム10は、一般的なコンピュータ装置であり、例えば、演算装置(CPU)、主記憶装置(RAM)、HDDやSSD、フラッシュメモリ等の補助記憶装置、キーボードやマウス、タッチパネル等の入力装置、ディスプレイやスピーカ等の出力装置、外部の装置と通信するための通信装置、などを備えたものである。またコンピュータ装置として、スマートフォンやタブレット端末、PC(Personal Computer)などを用いることができる。
【0015】
基準値設定部11は、予測対象とする企業について、基準日における前記企業の終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する。
【0016】
ここで上記の「予測対象とする企業」については、予測対象とする一つ以上の企業(例えば、A社とB社)の情報が予め設定される構成とすることができる。あるいは適時にオペレータの指示により入力装置から一つ以上の企業(例えば、A社とB社)の情報が入力され設定されるように構成してもよい。
【0017】
また上記の「基準日」については、分析の基準とする過去の年月日の情報が予め設定される構成とすることができる。あるいは適時にオペレータの指示により入力装置から基準とする過去の年月日の情報が入力され設定されるように構成してもよい。
【0018】
また上記の「基準日」における前記企業の終値の株価を取得する手段として、例えば、通信ネットワークを介して他のシステムと連携することにより、目的の株価の情報を取得すように構成することができる。あるいはオペレータの指示により入力装置から目的の株価の情報が入力され設定されるように構成してもよい。
【0019】
株価取得部12は、基準値設定部11で設定された企業について、所定期間における日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DB16に保存する。すなわち記録DB16には、予測対象とする企業について、企業毎に日別株価が保存されることになる。
【0020】
ここで上記の「所定期間」については、分析対象とする過去の期間の年月日の情報が予め設定される構成とすることができる。あるいは適時にオペレータの指示により入力装置から基準とする分析対象とする過去の期間の年月日の情報が入力され設定されるように構成してもよい。
【0021】
また上記の「所定期間」における日々の終値の株価を日別株価として取得する手段として、例えば、通信ネットワークを介して他のシステムと連携することにより、目的の株価の情報を取得すように構成することができる。あるいはオペレータの指示により入力装置から目的の株価の情報が入力され取得されるように構成してもよい。
【0022】
変動率算出部13は、予測対象とする企業について、前記基準値と、記録DB16に保存された前記日別株価(所定期間における日々の終値の株価)との変動率を算出し、日別変動率として保管DB17に記録する。すなわち保管DB17には、予測対象とする企業について、企業毎に日別変動率が時系列データとして記録されることになる。
【0023】
また変動率算出部13は、50日前を含む当日までの期間に複数ポイントの比較日を設定するとともに、前記基準値と、記録DB16に保存された前記比較日における前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DB17に記録するように構成することもできる。すなわち、日別変動率を算出する際に、所定期間における全ての日別株価を用いるのではなく、所定期間における複数ポイントの比較日における日別株価を用いるように構成することもできる。
【0024】
傾向分析部14は、保管DB17に記録された前記日別変動率に基づき、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析する。
【0025】
ここで上記の「予測対象とする期間」については、予測対象とする期間の情報が予め設定される構成とすることができる。あるいは適時にオペレータの指示により入力装置から予測対象とする期間の情報が入力され設定されるように構成してもよい。
【0026】
また傾向分析部14は、前記企業の株価の傾向を分析する際に、保管DB17に記録された前記日別変動率を用いて、前記所定期間において任意に選択された日における前記日別変動率の値と当日における前記日別変動率の値による線形関数としてエンタルピー変換を行うことにより、前記企業の株価の傾向を線で示すように構成することができる。
【0027】
上記で説明した構成の他に、傾向分析部14は、記録DB16に記録された前記日別株価に基づき、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析するように構成してもよい。この場合、傾向分析部14は、前記企業の株価の傾向を分析する際に、記録DB16に記録された前記日別株価を用いて、前記所定期間において任意に選択された日における前記日別株価の値と当日における前記日別株価の値による線形関数としてエンタルピー変換を行うことにより、前記企業の株価の傾向を線で示すように構成することができる。
【0028】
次に、
図2に示すフローチャート図を用いて、本システムの実行するプロセスについて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る株価予測システムにおいて、全体の処理手順を示したフローチャート図である。
【0029】
<ステップS11>
予測対象とする企業について、基準日における前記企業の終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する。
【0030】
<ステップS12>
予測対象とする企業について、所定期間における日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DB16に保存する。すなわち記録DB16には、予測対象とする企業について、企業毎に日別株価が保存される。
【0031】
<ステップS13>
予測対象とする企業について、ステップS11で設定された前記基準値と、記録DB16に保存された前記日別株価(所定期間における日々の終値の株価)との変動率を算出し、日別変動率として保管DB17に記録する。すなわち保管DB17には、予測対象とする企業について、企業毎に日別変動率が時系列データとして記録される。
【0032】
また、前記日別変動率を算出する際に、所定期間における全ての日別株価を用いるのではなく、所定期間における複数ポイントの比較日における日別株価を用いることもできる。すなわち前記日別変動率を算出する際に、50日前を含む当日までの期間に複数ポイントの比較日を設定するとともに、前記基準値と、記録DB16に保存された前記比較日における前記日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DB17に記録するようにできる。
【0033】
<ステップS14>
保管DB17に記録された前記日別変動率に基づき、予測対象とする期間における前記企業の株価の傾向を分析し予測値を算出する。具体的には、前記企業の株価の傾向を分析する際に、保管DB17に記録された前記日別変動率を用いて、前記所定期間において任意に選択された日における前記日別変動率の値と当日における前記日別変動率の値による線形関数としてエンタルピー変換を行うことにより、前記企業の株価の傾向を線で示すように構成されている。
【0034】
次に、エンタルピー変換を用いて予測値を算出する手順について説明する。
図3に示すように、連続する変動率または株価の値から、当日値と前日値で描かれる線と、任意に選択される過去の値(例えば、5日前、10日前、25日前、50日前)を、前日値の縦線上に移行し、移行された点と当日値とで描かれる線により、その線の角度と上昇か下降かにより、今後の傾向を予測するものである。接線yは、y=ax+bの方程式から導き出される。例えば、過去の値との線が、全て上昇傾向にあり、角度も鋭角であり、当日値と前日値で描かれる線が鈍角な下降傾向を示すときは、売り気配と判断する情報となる。また、過去の値との線が、全て下降傾向にあり、角度も鋭角であり、当日値と前日値で描かれる線が鈍角な上昇傾向を示すときは、買い気配と判断する情報となる。
【0035】
さらに、変動率または株価について、任意の複数ポイント(例えば、50日前、25日前、10日前、5日前)の比較日を設定し、前日値を基準とし、当日値及び、任意に選択される過去の値(例えば、5日前、10日前、25日前、50日前)を、前日値の縦線上に移行し、移行された点と当日値とを比較し、過去から現在の傾向を描かれる線により示す、エンタルピー変換により、今後の傾向を予測する情報を提供するものである。
【0036】
上記のデータ処理手順(ステップS11~ステップS14)を実行することにより、予測対象とする企業について株価基準値からの変動率を時系列で分析できるようになり、さらに株価変動の傾向を高精度に把握することができるようになる。
【0037】
また上記のデータ処理手順(ステップS11~ステップS14)をコンピュータによって実行される方法として実現されてもよいし、またコンピュータに実行されるためのプログラムとして実現されてもよい。
【0038】
また上記のデータ処理手順(ステップS11~ステップS14)において、前記変動率を用いず、株価を利用するようにしてもよい。すなわち変動率の推移に換えて、株価の推移を用いるものである。変動率に比べ、変化量が増幅されないことから、エンタルピー変換で描かれる線の角度が鈍角になるが、予測手段としての利用は可能である。
【0039】
上述したように、本発明の株価予測システムによれば、取引市場において価格が変動する企業の価格について、株価基準値からの日別変動率(または日別株価)を用いて、エンタルピー変換により分析することにより、高精度に株価変動の傾向を把握することが可能になり、さらに今後の動向について予測精度を向上させることが期待できる。
【符号の説明】
【0040】
11…基準値設定部
12…株価取得部
13…変動率算出部
14…傾向分析部
16…記録DB
17…保管DB
【要約】 (修正有)
【課題】株価変動の傾向を高精度に把握する株価予測システム及びプログラムを提供する。
【解決手段】株価予測システム10は、予測対象とする企業について基準日における終値の株価を取得し、該株価を基準値として設定する基準値設定部11と、所定期間における前記企業の日々の終値の株価を日別株価として取得し、記録DB16に保存する株価取得部12と、基準値と、記録DBに保存された日別株価との変動率を算出し、日別変動率として保管DB17に記録する変動率算出部13と、保管DBに記録された日別変動率に基づき、企業の株価の傾向を分析する傾向分析部14とを備え、傾向分析部は、保管DBに記録された日別変動率を用いて、所定期間において任意に選択された日における日別変動率の値と当日における日別変動率の値による線形関数としてエンタルピー変換を行うことにより、企業の株価の傾向を線で示す。
【選択図】
図1