(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】火災感知器及び火災感知器を備えたシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B  17/06        20060101AFI20250822BHJP        
   G08B  17/00        20060101ALI20250822BHJP        
【FI】
G08B17/06 A 
G08B17/00 A 
(21)【出願番号】P 2022166756
(22)【出願日】2022-10-18
【審査請求日】2024-10-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋田  知弘
【審査官】田邉  学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-207526(JP,A)      
【文献】特表2020-501288(JP,A)      
【文献】特開2019-175153(JP,A)      
【文献】特開2022-019917(JP,A)      
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B    17/06
G08B    17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
  火災に基づく物理現象の変化を検知する感知部と、
  前記感知部が火災の発生を検知した場合に点灯する確認灯とを備え、
  前記確認灯は、前記感知部が火災の発生を検知していないときに、Li-Fi信号を出力する
  火災感知器。
【請求項2】
  前記確認灯は、前記火災感知器が感知器回線における終端端末であるか否かを示す情報、及び前記火災感知器の状態を示す情報のいずれか又は両方を、前記Li-Fi信号により出力する
  請求項1記載の火災感知器。
【請求項3】
  請求項1又は請求項2に記載の火災感知器と、
  前記Li-Fi信号を受信する受光素子及び受信したLi-Fi信号に基づく情報を出力する出力装置を備えた端末と、
  を備えたシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
  本発明は、火災感知器及び火災感知器を備えたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
  従来、アンテナを接続した無線通信部を備え、例えば400MHz帯の特定省電力無線局の標準規格に準拠して電文を間欠的に送信する無線式の火災感知器と、この火災感知器と通信する中継器とを備えたシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
  特許文献1に開示された火災感知器は、中継器と通信するために、400MHz帯等の特定省電力無線局の標準規格に準拠した電波を送信している。ここで、火災感知器が設置される建築物においては、昨今、Wi-Fi環境の整備が拡大され、また多種多様な機器が電波を利用している。このため、これらの電波同士の干渉が問題となる。火災感知器と他の機器との間での通信は、火災感知器を建築物に設置する際、又は設置後の火災感知器の点検の際などに行われうるが、いずれの作業も迅速さを要求されるものであり、電波の干渉のための通信遅延による作業の遅滞を回避することが望まれる。また、電波干渉によって、Wi-Fi通信及び他の機器の電波利用が妨げられることも回避したい。このため、電波を利用せずに火災感知器と他の機器とで通信できる技術が望まれていた。
【0005】
  本発明は、上記のような課題を背景としたものであり、電波を利用せず他の機器と通信することのできる火災感知器及び火災感知器を備えたシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
  本発明に係る火災感知器は、火災に基づく物理現象の変化を検知する感知部と、前記感知部が火災の発生を検知した場合に点灯する確認灯とを備え、前記確認灯は、前記感知部が火災の発生を検知していないときに、Li-Fi(光無線通信)信号を出力するものである。
【0007】
  本発明に係るシステムは、上記火災感知器と、前記Li-Fi信号を受信する受光素子及び受信したLi-Fi信号に基づく情報を出力する出力装置を備えた端末とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
  本発明によれば、火災感知器に設けられ火災の発生を検知した場合に点灯する確認灯が、Li-Fi信号を出力するので、電波を利用することなく、火災感知器から他の機器に信号を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
            【
図1】実施の形態1に係る火災感知器を含むシステムの構成を説明する図である。
 
            【
図2】実施の形態1に係る火災感知器の機能ブロック図である。
 
            【
図3】実施の形態1に係る端末の機能ブロック図である。
 
          
【発明を実施するための形態】
【0010】
  本発明に係る火災感知器及び火災感知器を備えたシステムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。本発明は、以下の実施の形態及び図示された態様に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、本発明は、以下の実施の形態に示す構成のうち、組合せ可能な構成のあらゆる組合せを含む。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又は相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。方向を表す用語としては、例えば、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」又は「後」等が挙げられる。
【0011】
実施の形態1.
(システム100の構成)
  
図1は、実施の形態1に係る火災感知器10を含むシステム100の構成を説明する図である。システム100は、火災を感知して警報を出力するものであり、例えばマンション、ビル地下街等の地下施設等の防火対象物である建築物に設置される。システム100は、確認灯11を有する火災感知器10と、火災感知器10と通信する端末20とを有している。さらに本実施の形態のシステム100は、1又は複数個の火災感知器10と信号線31を介して接続された火災受信機30を有している。本実施の形態では、P型の火災受信機30が接続されたシステム100を例示しているが、本発明はR型の火災受信機が接続されたシステムにも適用される。
 
【0012】
  火災感知器10は、火災の発生を感知すると、確認灯11が発光して火災感知器10が設置された場所にいるユーザに火災の発生を視覚的に知らせるとともに、信号線31を介して火災信号を出力する。火災受信機30は、信号線31を介して火災感知器10に電力を供給するとともに、火災感知器10から出力される火災信号を、信号線31を介して取得する。信号線31は、一対の電線で構成されている。火災受信機30は、火災感知器10からの火災信号を取得した場合には、信号用回線(図示なし)を介して火災受信機30と接続される各種機器、例えば音響警報装置、表示警報装置、及び光警報装置のいずれか一つ以上、を作動させて火災警報を行うとともに、防火扉及びシャッター等の防排煙装置を動作させる。
【0013】
  図1の例では、システム100が設置された建築物が複数の警戒区域に分けられており、警戒区域それぞれに信号線31が敷設されて火災受信機30が接続されている。警戒区域ごとの信号線31を、
図1では、感知器回線32a、32b、32cとして区別して示している。複数の感知器回線32a~32cのそれぞれについて、火災を検出することが可能である。
 
【0014】
  火災感知器10と端末20との間では、可視光を利用した無線通信であるLi-Fi(Light  Fidelity)通信が行われる。火災感知器10の確認灯11がLi-Fi通信のための光信号を出力し、端末20は確認灯11から出力された光信号を受信する。
【0015】
(火災感知器10)
  図2は、実施の形態1に係る火災感知器10の機能ブロック図である。火災感知器10は、感知部12と、確認灯11と、制御部13と、記憶部14と、点灯回路15と、スイッチング回路16とを備える。
 
【0016】
  感知部12は、煙、赤外線、紫外線、又は燃焼ガス等の火災に起因する物理現象又は物理現象の変化を検出する。感知部12が検出した火災に起因する物理現象又は物理現象の変化の情報は、信号として制御部13に入力され、制御部13が火災発生の有無を判定する。火災感知器10が熱感知器である場合、感知部12は、温度を検出する例えばサーミスタ等の温度検知素子又は熱電対等を含む。火災感知器10が煙感知器である場合、感知部12は、煙濃度を検出するイオン化式又は光電式の煙感知部である。火災感知器10が炎感知器である場合、感知部12は、紫外線式又は赤外線式の炎感知部である。火災感知器10がガス感知器である場合、感知部12は、ガスセンサである。火災感知器10が複合式の感知器である場合、感知部12は、上記で例示した感知部12を複数含む。なお、火災感知器10及び火災受信機30がアナログ式である場合には、火災感知器10が検出した物理現象又は物理現象の変化の情報が火災受信機30に入力され、火災受信機30にて火災発生の有無が判定される。
【0017】
  制御部13は、火災感知器10の全体の動作を制御する。制御部13は、感知部12から入力された火災に起因する物理現象の信号に基づいて、火災発生の有無を判定する。火災が発生していると判定した場合には、点灯回路15を制御して確認灯11を点灯させるとともに、スイッチング回路16に制御信号を出力する。制御部13は、専用の制御回路、又はメモリに格納されるプログラムを実行するCPU(Central  Processing  Unit)若しくはこれらの組み合わせにより構成される。制御部13がCPUである場合、制御部13が実行する各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。
【0018】
  記憶部14は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。記憶部14は、火災感知器10の製造時に書き込まれた各種情報を保持するほか、火災感知器10の動作中に制御部13によって書き込まれた各種情報を保持する。記憶部14には、制御部13が火災発生の有無を判断するときに、感知部12が検出した情報と比較する閾値のデータが記憶される。また、記憶部14は、火災感知器10それぞれに一意に付与された個体識別情報が記憶される。さらに、記憶部14には、火災感知器10が終端端末であるか否かの情報、及び火災感知器10の状態情報のいずれか一つ以上が、記憶される。これらの情報については、後述する。
【0019】
  確認灯11は、火災感知器10が火災を検出したことを視覚的に報知するものである。確認灯11は、例えば赤色などの可視光を発光する発光ダイオード(LED:Light  Emitting  Diode)である。確認灯11は、天井又は壁等に設置された火災感知器10の周囲のどの方向からでも視認されるように、火災感知器10の筐体の外面に円環状に設けられたり、2つ以上設けられたりしてもよい。
【0020】
  点灯回路15は、制御部13からの信号に基づいて、確認灯11の点灯状態を制御する。点灯回路15に設けられたスイッチがオンすると、確認灯11が点灯する。点灯回路15は確認灯11を連続点灯させる場合には、このスイッチをオン状態に維持する。また、点灯回路15は、確認灯11からLi-Fi信号を出力する場合には、スイッチを高速でオン又はオフさせて、高速変調した光信号を確認灯11から出力させる。
【0021】
  スイッチング回路16は、制御部13からの信号に基づいてオンされる自己保持回路である。スイッチング回路16は信号線31に接続されている。スイッチング回路16がオン状態を保持することにより、火災受信機30に接続されている信号線31を構成する一対の電線間のインピーダンスが高インピーダンスから低インピーダンスに変化し、火災受信機30に火災信号が出力される。
【0022】
(端末20)
  図3は、実施の形態1に係る端末20の機能ブロック図である。端末20は、受信部21と、制御部22と、記憶部23と、表示装置24とを備える。
 
【0023】
  受信部21は、火災感知器10の確認灯11から出力されたLi-Fi信号を受信する。受信部21は、検出した光を電気信号として出力するフォトダイオードを含む。フォトダイオードの受光素子には、受光素子の受光可能範囲を制御するためのレンズが設けられているのが望ましい。受信部21が出力した電気信号は、制御部22に入力される。受信部21は、火災感知器10の確認灯11からの光を受光可能とするために、端末20の外面に設けられる。
【0024】
  制御部22は、受信部21から入力された電気信号を数字又は文字等のデータに変換する。制御部22は、数字又は文字等のデータを記憶部23に記憶させ、また、図示しない端末20の入力装置からの指示に基づいて、数字又は文字等のデータを表示装置24に表示させる。
【0025】
  記憶部23は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM等の、不揮発性又は揮発性の半導体メモリである。記憶部23は、端末20の製造時に書き込まれた各種情報を保持するほか、受信部21を介して受信した火災感知器10からのLi-Fi信号に基づく情報を保持する。
【0026】
  表示装置24は、火災感知器10からのLi-Fi信号に基づく情報を表示する装置である。表示装置24は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパーである。なお、表示装置24は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置24に代えて、あるいはこれに加えて、情報を音声として出力するスピーカが出力装置として設けられていてもよい。
【0027】
(動作)
  実施の形態1に係るシステム100の動作を説明する。火災感知器10は、日常的に火災発生の有無を監視する監視状態にある。監視状態にある火災感知器10が火災を検知すると、確認灯11が火災を報知するために点灯するとともに、火災受信機30に火災信号が出力される。
【0028】
  また、監視状態にある火災感知器10は、火災を検知していないときに、確認灯11からLi-Fi信号を出力することにより、火災感知器10の記憶部14が保持している情報を端末20に送信する。端末20は、火災感知器10からのLi-Fi信号を受信し、受信した情報を表示装置24に表示する。これにより、端末20を使用するメンテナンス業者又は点検者等の作業者は、火災感知器10の情報を確認することができる。また、確認灯11は、火災を報知するときとLi-Fi信号を出力するときとで、点灯態様を異ならせるとよい。例えば、確認灯11は、火災を報知するときには連続点灯し、Li-Fi信号を出力する際には点滅する。このように点灯の目的によって確認灯11の点灯態様を異ならせることで、火災検知の有無を利用者に誤認させにくくなる。
【0029】
  火災感知器10からLi-Fi信号を用いて出力される情報について説明する。火災感知器10は、記憶部14に保持された火災感知器10が終端端末であるか否かの情報、及び火災感知器10の状態情報のいずれか1つ以上を出力する。
【0030】
  火災感知器10が終端端末であるか否かの情報について説明する。終端端末とは、信号線31に接続された終端抵抗又は終端器を含む火災感知器10をいう。
図1の例では、各信号線の末端に取り付けられた火災感知器10が終端端末となる。終端端末は例えば、火災感知器10の設置完了後にアドレス設定器を用いて設定されたり、火災感知器10にディップスイッチ(図示なし)を設け、終端端末とする感知器のディップスイッチをオンにしたりすることで設定することができる。終端端末は、信号線31が複数の感知器回線に分かれている場合には、その感知器回線毎に設けられる。
図1の例では、3つの感知器回線32a~32cがあり、感知器回線32a~32cのそれぞれに接続された火災感知器10のうちの1つが、終端端末である。建築物に敷設されてから長期間にわたって使用されるシステム100においては、敷設から時間がたつと終端端末がどこに設置されているかが不明となることがある。特に、システム100の施工業者と、システム100のメンテナンス業者とが異なる場合には、終端端末に関する情報共有が困難である。メンテナンス時に終端端末を探すためには、建築物に設置された複数の火災感知器10を一つずつ取り外したり、火災感知器10のカバーを外したりして確認する必要があり、その作業負荷はシステム100の規模が大きくなるほど増大する。そこで、端末20又は火災受信機30から指示信号を受信したタイミングで、火災感知器10が終端端末であるか否かに関する情報を端末20に送信することで、端末20を使用する作業者は、複数の火災感知器10の中から終端端末を容易に探すことができる。
 
【0031】
  火災感知器10の状態を示す情報とは、終端端末であるか否かの情報のほかに、感知部12の感度情報、感知部12の汚れ量を示す情報、トレンド情報、及び製造関連情報のいずれか1つ以上を含む。このような状態情報を火災感知器10から端末20に送信することで、端末20を使用する作業者は、火災感知器10を取り外したり分解したりせずとも、火災感知器10の情報を把握することができる。
【0032】
  感度情報とは、感知部12の感度が正常か否か、及び感度の基準値からのズレの度合いを示す情報である。煙、赤外線、紫外線、又は燃焼ガス等を検出する感知部12の感度は経年変化し、また感知部12の周囲の汚れ度合い等によっても感知部12の感度は変化する。このため、火災感知器10には、図示しない判定部が設けられ、記憶部14に記憶された感知部12のアナログ値(センサ出力ともいう)が適正な値であるかを定期的に判定し、感知部12の汚れ度合(汚れ量)を判定する。火災感知器10は、汚れ度合によって検出した感度情報を記憶部14に保持する。このような感度情報を火災感知器10から端末20に送信することで、端末20を使用する作業者は、火災感知器10の感知部12の感度に関する情報を容易に得ることができる。したがって、感度に異常がある場合には、感知部12及びその周囲の清掃を行う、又は火災感知器10を交換するといった対策を講じやすくなり、火災感知器10の監視状態を良好に維持できる。
【0033】
  トレンド情報とは、感知部12が検出した物理現象の一定期間におけるアナログ値の履歴である。感知部12が検出する煙、赤外線、紫外線、又は燃焼ガス等の量は、火災の状況又は建築物の構造等の様々な条件によって、急峻に変化する場合もあれば緩慢に変化する場合もある。火災感知器10は、感知部12が検出した物理現象のアナログ値を履歴として記憶部14に保持する。例えば、火災感知器10が熱感知器であれば、温度情報がトレンド情報として保持され、火災感知器10が煙感知器であれば、煙濃度がトレンド情報として保持される。トレンド情報は、例えばリングバッファ形式で記憶部14に保持される。トレンド情報を火災感知器10から端末20に送信することで、端末20を使用する作業者は、火災感知器10の感知部12が検出した情報の履歴を確認できる。トレンド情報は、感知部12の経年に伴う変化を示す情報でもあるため、作業者は、端末20のトレンド情報を確認することで、感知部12の変化を把握することができる。
【0034】
  火災感知器10の製造関連情報とは、火災感知器10の製造年、製造番号又は型式等の情報である。製造関連情報を火災感知器10から端末20に送信することで、端末20を使用する作業者は、システム100のリニューアルの際に、火災感知器10の置き換え又は火災感知器10に接続される他の機器の置き換えを、容易に行うことができる。
【0035】
  次に、火災感知器10が上述した情報をLi-Fi信号を用いて出力するタイミングを説明する。火災感知器10は、火災受信機30と通信をするための送受信部(図示なし)を備え、火災受信機30からの信号を受信し、その信号の内容によって制御部13が必要な処理を行う。ここでは、火災受信機30からの信号が、終端端末情報、感度情報、トレンド情報のいずれを出力する信号であるかを判断し、対応するLi-Fi信号を出力する。火災受信機30から信号線31を介して取得した信号に基づいて、Li-Fi信号を出力することができる。具体的に、火災受信機30は、定期的に、又は火災受信機30に対する試験開始の操作入力があると、試験実施を指示する試験信号を、信号線31を介して火災感知器10に送信する。試験信号を取得した火災感知器10は、確認灯11からLi-Fi信号を出力する。火災感知器10は、火災受信機30から試験の停止を指示する試験停止信号を受信すると、Li-Fi信号の出力を停止する。あるいは、火災感知器10は、Li-Fi信号の出力を開始してから予め定められた時間を経過すると、Li-Fi信号の出力を停止してもよい。
【0036】
  火災受信機30からの試験信号に応じてLi-Fi信号を出力することに代えて、あるいはこれに加えて、端末20からの信号に応じて火災感知器10がLi-Fi信号を出力してもよい。具体的には、火災感知器10が、端末20と通信し、端末20からの信号を受信するための受信部(図示なし)を備え、端末20からの信号を受信し、その信号の内容によって、制御部13が必要な処理を行う。ここでは、端末20からの信号が、終端端末情報、感度情報、トレンド情報のいずれを出力する信号であるかを判断し、対応するLi-Fi信号を出力する(上述の送受信部と同様の機能)。端末20がLi-Fi通信を用いて試験信号を出力し、火災感知器10は、端末20からの試験信号を受信すると、Li-Fi信号を出力する。この場合、端末20は、火災感知器10の点灯回路15及び確認灯11と同等の機能を備えた点灯回路及び発光ダイオードを備える。また、火災感知器10は、端末20の受信部21と同等の機能の受光素子を備えた受信部を、筐体の外面に備える。このように、端末20と火災感知器10との間でLi-Fi信号を用いた双方向通信を行うことで、端末20を使用する作業者の任意のタイミングで火災感知器10にLi-Fi信号を出力させることができる。
【0037】
  また、火災感知器10は、筐体に設けられたボタン又はスイッチ等のハードウェア操作部が操作されると、Li-Fi信号を出力してもよい。例えば、火災感知器10に、試験実施又は火災停止等のためのハードウェア操作部が設けられている場合、このハードウェア操作部に対して長押し等の特殊操作が行われると、火災感知器10は、Li-Fi信号を出力する。このようにすることで、作業者の任意のタイミングで火災感知器10にLi-Fi信号を出力させることができる。また、火災感知器10に設けられているハードウェア操作部を利用することで、火災感知器10に追加の構造物を設けることなく、Li-Fi信号の出力タイミングを指示できる。
【0038】
  以上のように、本実施の形態のシステム100は、火災感知器10と、端末20とを備える。火災感知器10は、火災に基づく物理現象の変化を検知する感知部12と、感知部12が火災の発生を検知した場合に点灯する確認灯11とを備える。そして、確認灯11は、感知部12が火災の発生を検知していないときに、Li-Fi信号を出力する。このため、電波を利用することなく、火災感知器10から端末20に信号を出力することができる。また、確認灯11は、火災の発生を知らせるという機能を発揮するとともに、火災が発生していないときには光通信手段として機能する。このように、確認灯11がLi-Fi信号を出力するので、火災感知器10から端末20に信号を出力するための専用の通信回路を火災感知器10に設けなくてよい。このため、火災感知器10の製造コスト及びサイズの増大を回避することができる。
【0039】
  なお、実施形態では、確認灯11を用いてLi-Fi信号を出力する構成で説明したが、確認灯11とは別にLi-Fi信号を出力するための専用の表示灯を設けるようにしてもよい。また、火災感知器10からのLi-Fi信号を受信した端末20が、Li-Fi信号に基づく情報を、表示装置24等の出力装置を用いて出力するので、端末20を使用する作業者は、情報を容易に把握することができる。
【0040】
  また、火災感知器10の確認灯11は、火災感知器10が感知器回線32a~32cにおける終端端末であるか否かを示す情報、及び火災感知器10の状態を示す情報のいずれか又は両方を、Li-Fi信号により出力する。このため、火災感知器10からのLi-Fi信号を取得した端末20を使用する作業者は、火災感知器10を取り外したり分解したりせずとも、火災感知器10の情報を把握することができる。
【符号の説明】
【0041】
  10  火災感知器、11  確認灯、12  感知部、13  制御部、14  記憶部、15  点灯回路、16  スイッチング回路、20  端末、21  受信部、22  制御部、23  記憶部、24  表示装置、30  火災受信機、31  信号線、32a  感知器回線、32b  感知器回線、32c  感知器回線、100  システム。