(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】接続された注射デバイスのためのステータス感知システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20250822BHJP
【FI】
A61M5/20 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189763
(22)【出願日】2023-11-07
(62)【分割の表示】P 2023550023の分割
【原出願日】2022-02-18
【審査請求日】2023-11-07
(32)【優先日】2021-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100197561
【氏名又は名称】田中 三喜男
(72)【発明者】
【氏名】パテル,ヘマント タコルバイ
(72)【発明者】
【氏名】ソムライ,ルイス スティーブンズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィースラー,アダム ナサニエル
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/072299(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0273151(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、前記
薬物送達デバイスは、内部容積、及び前記内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、前記内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、前記注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及び前記バレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、前記開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、前記注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、前記注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、前記可動ベースキャップが前記開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、を備え、前記方法は、
前記注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを検出するために、前記1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力される前記注射器アセンブリセンサ信号を監視することと、
前記可動ベースキャップが前記開口部から移動されたときを決定するために、前記1つ以上のベースキャップセンサから出力されるデータを監視することと、
前記
可動ベースキャップが前記開口部から移動された後の閾値時間内に前記注射器アセンブリが前記分注イベントを開始しないときにユーザ指示信号を生成することと、を含み、
前記方法は、
前記ユーザ指示
信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、方法。
【請求項2】
前記ユーザ指示信号に応答して、前記薬物送達システムを使用するための使用説明を表示又は再生することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記注射器アセンブリが、前記バレル内で長手方向軸に沿って摺動して前記薬剤を前記注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、
前記注射器アセンブリ信号が、前記ピストンの位置に基づいており、
前記分注イベントの開始の検出は、前記ピストンの前記位置に基づいている、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記分注イベントの開始の検出は、前記注射器アセンブリが格納位置から注射位置に移動したときを決定することに基づいている、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の注射器アセンブリセンサが、前記注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度を出力するように構成されている加速度計を備え、
前記分注イベントの開始の検出は、前記感知された加速度に少なくとも部分的に基づいている、
請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、前記少なくとも1つの処理回路に、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する、非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、薬剤送達デバイスに関し、具体的には、接続された薬剤送達デバイスで使用されるステータス感知システムに関する。
【0002】
注射器の形態又は注射器を含む注射デバイスが、医療専門家及び自己投薬する患者によって広く用いられている。いくつかの異なる疾患に苦しむ患者は、頻繁に自分自身に薬剤を注射しなければならず、そのような自己治療を促進するために様々なデバイスが開発されている。一例では、注射プロセスのステップのうちのいくつかを実施する機構を含む自動注射デバイスの使用は、患者に、特に手先の器用さが制限されている患者による自己治療をより便利にする。自動注射デバイスは、典型的には、使用後に処分される単回使用デバイスである。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの例示的な実施形態では、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときを決定することと、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときと、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときとの間の第1の持続時間を測定することと、第1の持続時間を第1のあらかじめプログラムされた閾値持続時間と比較することと、第1の持続時間が第1の閾値持続時間よりも大きいとき、第1のユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システムが提供される。
【0004】
いくつかの例示的な実施形態では、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、1つ以上の処理回路であって、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力されたデータに基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上のベースキャップセンサが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に注射器アセンブリが分注イベントを開始する前に、開口部を覆うように元に戻されたことを検出するときに、誤用指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システムが提供される。
【0005】
いくつかの例示的な実施形態では、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出し、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始する前に、皮膚組織との接触を検出することを停止する接近イベントの数をカウントすることと、接近イベントの数をあらかじめプログラムされた最大閾値と比較することと、接近イベントの数があらかじめプログラムされた最大閾値よりも大きいとき、ユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システムが提供される。
【0006】
いくつかの例示的な実施形態では、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触が検出されるときに皮膚検出信号を出力するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成されている1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときと、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときとを決定することと、分注イベントが開始された後、かつ分注イベントが完了する前に受信された1つ以上の皮膚接触センサからの1つ以上の皮膚検出信号を処理して、分注イベント中の皮膚接触の連続性を示すデータを導出することと、データが1つ以上のあらかじめプログラムされた基準を満たすときに、ユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システムが提供される。
【0007】
更に他の例示的な実施形態では、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から移動されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、1つ以上の処理回路であって、1つ以上のベースキャップセンサから出力されたデータに基づいて、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを決定することと、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力されたデータに基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、ベースキャップが開口部から移動された後の閾値時間内に注射器アセンブリが分注イベントを開始しないときにユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
この本開示の上述の及び他の特徴、並びにそれらを達成する様態は、本開示の実施形態の以下の記載を添付図面と併せて参照することによってより明らかになり、本発明自体がより良好に理解されることになる。
【
図2】注射器アセンブリが格納位置にあり、分注イベントの準備ができている注射デバイスの断面図である。
【
図3】注射器アセンブリが注射位置にある注射デバイスの断面図である。
【
図8】実施形態の第1のセットによる、注射デバイスのハウジングの端部分内の1つ以上のメインPCBの配置を例示する注射デバイスの断面図である。
【
図9A】実施形態の第1のセットによる、メインPCB及び二次PCBの上部(すなわち、遠位)斜視図である。
【
図9B】実施形態の第1のセットによる、メインPCB及び二次PCBの底部(すなわち、近位)斜視図である。
【
図10A】実施形態の第1のセットのメインPCB及び二次PCBの上面図である。
【
図10B】実施形態の第1のセットのメインPCB及び二次PCBの底面図である。
【
図11】実施形態の第1のセットによる、注射デバイスの側断面図であり、磁石と2つの磁力計との間の空間的関係を示す。
【
図12】実施形態の第1のセットによる、注射デバイス内の電気部品及び外部デバイスのシステムアーキテクチャ図である。
【
図13】実施形態の第1のセットのいずれか、並びに実施形態の第2及び第3のセットのいずれかによる、注射デバイスと外部デバイスとの間の通信セッションを「ペアリング」又は確立するためのプロセスを示すフロー図である。
【
図14A】実施形態の第1、第2、及び第3のセットのいずれかによる、外部デバイス上で動作するモバイル医療アプリケーションによって実装されるプロセスを示すフローチャートを図示する。
【
図14B】実施形態の第1、第2、及び第3のセットのいずれかによる、外部デバイス上で動作するモバイル医療アプリケーションによって実装されるプロセスを示すフローチャートを図示する。
【
図15】皮膚接触センサのステータスを外部デバイスのディスプレイ上に表示するための概略図である。
【
図16A】実施形態の第1、第2、及び第3のセットのいずれかによる、注射デバイスハウジングの外方に広がった端部分の代替形状の図である。
【
図16B】実施形態の第1、第2、及び第3のセットのいずれかによる、注射デバイスハウジングの外方に広がった端部分の代替形状の図である。
【
図16C】実施形態の第1、第2、及び第3のセットのいずれかによる、注射デバイスハウジングの外方に広がった端部分の代替形状の図である。
【
図17A】実施形態の第2のセットによる、メインPCB及び注射器位置検出器スイッチの上部斜視図である。
【
図17B】実施形態の第2のセットによる、メインPCB及び注射器位置検出器スイッチの底部斜視図である。
【
図18A】実施形態の第2のセットによる、メインPCB及び注射器位置検出器スイッチの上面図である。
【
図18B】実施形態の第2のセットによる、メインPCB及び注射器位置検出器スイッチの底面図である。
【
図19】実施形態の第2のセットによる、注射器アセンブリが格納位置又は後退位置にあるときの注射デバイスの側面図である。
【
図20】実施形態の第2のセットによる、注射器アセンブリが注射位置にあるときの注射デバイスの側面図である。
【
図21A】実施形態の第3のセットによる、メインPCBの上部斜視図である。
【
図21B】実施形態の第3のセットによる、メインPCBの底部斜視図である。
【
図22A】実施形態の第3のセットによる、メインPCBの上面図である。
【
図22B】実施形態の第3のセットによる、メインPCBの底面図である。
【
図23A】実施形態の第3のセットによる、ベースキャップ取り外しセンサの斜視図である。
【
図23B】実施形態の第3のセットによる、ベースキャップ取り外しセンサの斜視図である。
【
図24A】実施形態の第3のセットによる、エンドキャップが注射デバイスから取り外されたときの取り外しエンドキャップに関連するメインPCB及びベースキャップ取り外しセンサを示す斜視図である。
【
図24B】実施形態の第3のセットによる、エンドキャップが注射デバイスに取り付けられたときの取り外しエンドキャップに関連するメインPCB及びベースキャップ取り外しセンサを示す斜視図である。
【
図25A】実施形態の第3のセットによる、エンドキャップが注射デバイスから取り外されたときのベースキャップ取り外しセンサを示す側面図である。
【
図25B】実施形態の第3のセットによる、エンドキャップが注射デバイスに取り付けられたときのベースキャップ取り外しセンサを示す側面図である。
【
図26】実施形態の第3のセットによる、注射デバイス上に配設された加速度計から出力された例示的な信号を示すグラフである。
【
図27】実施形態の第3のセットによる、注射デバイス内の電気部品のシステムアーキテクチャ図である。
【
図28】実施形態の第3のセットによる、注射デバイス上の処理回路によって実装される例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図29】実施形態の第3のセットによる、分注イベントが開始及び完了されたか否かを決定するための例示的な論理を示す回路図である。
【
図30】実施形態の第3のセットによる、分注イベントの開始及び完了を検出するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図31】実施形態の第3のセットによる、分注イベントの開始及び完了を検出するための別の例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図32】実施形態の第3のセットによる、分注イベントの開始及び完了を検出するための更に別の例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図33】実施形態の第3のセットによる、加速度スパイクを検出するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図34】実施形態の第1、第2、又は第3セットのいずれかによる、注射デバイスを使用するための例示的な一連のユーザステップを図示する。
【
図35】ユーザが、患者の身体上にデバイスを配置する閾値時間内に分注イベントを開始しない場合にユーザ指示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図36】分注イベントを完了する閾値時間内にユーザが患者の身体からデバイスを取り外さない場合にユーザ指示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図37】ユーザが注射デバイスのベースキャップを取り外し、次いで、分注イベントを開始及び/又は完了することなく、元に戻したという誤用表示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図38】分注イベントを開始することなく、ユーザが患者の身体に対してデバイスを1回以上配置する場合にユーザ指示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図39】分注イベントを進行中にユーザが患者の身体からデバイスをリフトオフする場合にユーザ指示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【
図40】ベースキャップを取り外した後の特定の閾値時間内にユーザが分注イベントを開始するかどうかに依存してユーザ指示を生成するための例示的なプロセスを図示するフローチャートである。
【0009】
複数の図面全体を通して、対応する参照符号は、対応する部品を示す。本明細書に記載される例証は、本開示の実施形態を例示しているが、いくつかの形態では、下記に開示される実施形態は、網羅的であること、又は本発明の範囲を開示された厳密な形態に限定するように解釈されることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、薬剤送達デバイス用の感知システムに関する。感知システムは、送達デバイス内に統合されてもよく、又は送達デバイスに取り付けられる取り外し可能なモジュールに組み込まれてもよい。そのような感知システムは、デバイスの動作ステータスを表す様々なパラメータ又は信号を感知することによって、デバイスの現在の動作ステータスを決定するように構成され得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、感知システムは、他のデバイス構成要素に対するデバイス構成要素の場所又は運動を感知し得る。例えば、そのような感知システムは、薬剤送達デバイスから薬剤を排出するために使用されるプランジャの場所及び/又は運動を追跡し得る。プランジャの場所又は運動を追跡することによって、薬剤送達デバイスは、排出された薬剤の量、薬剤が排出されている速度、及び/又は送達デバイス内の薬剤が完全に送達されたときを決定し得る。そのような感知システムは、当該デバイス構成要素の運動を追跡する視覚センサ、デバイス構成要素が感知システムによって標的化された検出ゾーンに出入りするときを検出する光学又は放射線センサ、デバイス構成要素の運動によって引き起こされる感知される磁場の変化を検出する磁場センサ、又はデバイス構成要素の運動を検出する1つ以上の加速度計などの様々な種類のセンサを利用し得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、感知システムは、デバイスの配向を決定し得る。決定された配向は、薬剤送達デバイスが薬剤を送達するように適切に配向されているか否かを決定するために使用され得、例えば、送達デバイスは、デバイスが天地反対に配向されたとき、又は薬剤の安全かつ信頼性の高い送達を困難又は不可能にする任意の配向にあるときに、そのユーザに警告するか、又は薬剤の送達を防止し得る。そのような感知システムは、重力引力の方向を決定するように構成される、デバイス上の1つ以上の場所に配設された1つ以上の加速度計を利用し得る。感知システムはまた、加速度計からの読取値に基づいて、1つ、2つ、又は3つの配向軸の周囲のデバイスの配向を決定するように構成されたプロセッサ回路を備え得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、感知システムは、薬剤送達デバイス内に格納されている薬剤の温度を測定し得る。特定の薬剤は、劣化を回避するために第1の(例えば、より低い)温度範囲で保存される必要があるが、患者の体内に送達される前に第2の(例えば、より高い)温度範囲にされる必要があり得る。温度感知システムは、格納されているときに送達デバイス内の薬剤の温度を監視し、薬剤が消費に不適合にされ得る危険な温度に曝されていないことを確保するために使用され得る。温度感知システムはまた、薬剤の温度が危険なレベルに近づいているときにユーザに警告するためにも使用され得る。デバイスが使用の準備ができているとき、感知システムは、薬剤の温度がいつ第2の温度範囲内になったかを決定するために使用され得る。薬剤送達デバイスは、次いで、例えば、視覚インジケータ(例えば、1つ以上のLEDを点灯及び/又は消灯することによって)、聴覚インジケータ(例えば、スピーカからの告知又はトーン出力)、又は外部モバイルデバイスに送信され、次いで、ユーザに通知される無線信号を使用することによって、薬剤が送達される準備ができていることをユーザに通知し得る。そのような温度感知システムは、赤外線センサ又はサーミスタなどの複数の種類のセンサのいずれかを利用して、薬剤の温度を測定し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、感知システムは、薬剤送達デバイスが患者の皮膚と接触しているとき及び/又はその部分を決定するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。薬剤送達デバイスは、そのような感知システムを使用して、デバイスが患者の体内に薬剤を注射するために適切に位置付けられるときを決定し得る。そのような感知システムは、電気抵抗又は静電容量を測定するように構成された1つ以上のセンサと、測定された抵抗又は静電容量に基づいて、個々のセンサが皮膚などのヒトの組織と接触しているときを決定するように構成された処理回路と、を含み得る。感知システムが複数のセンサを含む場合、システムは、複数のセンサのうちのどの個々のセンサがヒトの組織と接触しているかを決定するように構成され得る。そのような感知システムはまた、センサがヒトの組織と接触しているときを決定するように構成される、上で考察されたものと同様の温度センサを含み得る。
【0015】
感知システムは、デバイスの現在の動作ステータスを決定し得る。この現在のステータスは、例えば、1つ以上のディスプレイ、LED、スピーカ、又は振動モータなどの送達デバイスと統合されるか又はそれらに物理的に取り付けられる、視覚、聴覚、又は触覚インジケータを介して、ユーザに通信され得る。この現在のステータスはまた、有線又は無線通信リンクを介して現在のステータスに関するデータを外部デバイスに送ることによってユーザに通信されてもよく、外部デバイスが、次いで、現在のステータスをユーザに通信し得る。例えば、いくつかの実施形態では、薬剤送達デバイスは、外部デバイスに送達デバイスの現在の動作ステータスに関するデータを送信する、近距離無線通信(Near Field Communication、NFC)、ブルートゥース(登録商標)、及び/又はブルートゥース低エネルギー(Bluetooth Low Energy、BLE)通信回路などの、短距離無線通信インターフェースを備え得る。この外部デバイスは、ソフトウェア及び/又はファームウェアを実行してデータを受信及び処理し、送達デバイスの動作ステータスをユーザに通信するように構成された電子コンピューティングデバイスであり得る。例示的な外部デバイスとしては、モバイルハンドヘルドデバイス(例えば、スマートフォン、携帯電話、ページャ、携帯情報端末(personal digital assistant、PDA)、タブレットなど)、ウェアラブルデバイス(例えば、スマートウォッチ、又は拡張若しくは仮想現実デバイス)、ポータブル汎用コンピュータ(例えば、ラップトップ)、又はデスクトップ汎用コンピュータが挙げられる。ユーザがデバイスの動作ステータスを通知されると、ユーザが、薬物送達の完了前に注射部位からデバイスを取り外すこと、又は薬物が適切な送達温度まで昇温される前に薬物を送達することなどの、デバイスの効果的な使用を損ない得る措置を講じる可能性が低下する。例示として、薬剤送達デバイスは、自動インジェクタデバイスの形態で説明されている。しかしながら、薬剤送達デバイスは、ペン型インジェクタ、注入ポンプ及び注射器などの、薬剤の用量を送達するために使用される任意のデバイスとすることができる。薬剤は、このような薬剤送達デバイスによって送達され得る種類のうちのいずれかであり得る。
【0016】
針ガード存在状態、注射準備状態、針挿入状態、薬物送達状態、及び針後退状態、又はそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを捕捉するためにデバイスに沿って位置付けられた単一感知システムを提供することが有利であり得る。送達デバイスの駆動機構の機械的アーキテクチャを変化させることを必要とせずに、モジュールを用いた注射プロセス中に、用量が送達されたか否か、及び/又は動作状態を決定することが有益であり得る。
【0017】
図1~
図3では、薬剤注射デバイス20が様々な動作状態で図示されている。そのようなデバイス及びその動作の一例は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2014年5月27日にAdamsらに発行された米国特許第8,734,394(B2)号に説明されている。デバイス20は、注射器アセンブリ22、駆動機構24、及び後退機構26を含み、例えば、
図8、
図9A、
図9B、
図10A及び
図10Bで後に示される1つ以上のメインプリント回路基板(printed circuit boar、PCB)82及び/又は1つ以上の二次PCB84を含み得る。注射器アセンブリ22は、薬剤を保持するための容器本体を形成するバレル30と、薬剤をバレルの外側に駆動するためにバレル30内に配設されたピストン32とを含む。注射器アセンブリ22はまた、中空注射針34と、針34を注射器バレル30に取り付ける針ハブ35とを有する針アセンブリ33を含む。バレル30内のピストン32を針34の方に前進させることは、針34を通して薬剤を分注させる。
【0018】
デバイス20などの本明細書に説明されるデバイスは、例えば、注射器バレル30内などの薬剤を更に含み得る。別の実施形態では、システムは、デバイス20を含む1つ以上のデバイス及び薬物を含み得る。「薬剤」又は「薬物」という用語は、限定されるものではないが、インスリン、インスリンリスプロ又はインスリングラルギンなどのインスリン類似体、インスリン誘導体、デュラグルチド又はリラグルチドなどのGLP-1受容体アゴニスト、グルカゴン、グルカゴン類似体、グルカゴン誘導体、胃抑制ポリペプチド(gastric inhibitory polypeptide、GIP)、GIP類似体、GIP誘導体、オキシントモジュリン類似体、オキシントモジュリン誘導体、限定されるものではないが、ミリキズマブなどのIL-23抗体類似体又は誘導体、イキセキズマブなどのIL-17抗体類似体又は誘導体を含む治療抗体、ガルカネズマブ、ラスミディタンなどの疼痛関連治療用の治療薬、及び上記のデバイスによって送達することができる任意の治療薬を含む、1つ以上の治療薬を指す。デバイスで使用されるような薬剤は、1つ以上の賦形剤とともに処方されてもよい。デバイスは、ヒトに薬剤を送達するために、患者、介護者、又は医療専門家によって、概して上述のような様態で操作される。
【0019】
図1は、その初期の使用前構成のデバイス20を例示する。ここで、エンドキャップ36は、注射デバイスハウジング38に固設され、ハウジング38の近位端開口部40を覆う。本明細書に使用される際、遠位及び近位は、装置が注射部位での使用のために配向されたときの注射部位に対する軸方向の場所を指し、したがって、例えば、ハウジングの近位端は、そのような注射部位に最も近いハウジング端を指し、ハウジングの遠位端は、そのような注射部位から最も遠いハウジング端を指す。ハウジング38は、プラスチック材料から形成され、長手方向軸48に沿って、作動ボタン52に近接する遠位端と近位端開口部40に近接する近位端との間で概ね長手方向に延在して示され得る。
図2及び
図8に示されるように、ハウジング38は、ユーザの手で把持されるように構成されたユーザ把持可能部分37を備え得、ユーザ把持可能部分37は、半径方向距離41だけ長手方向軸48から外方に延在している。いくつかの実施形態では、半径方向距離41は、長さが5~10mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、5~8mmが好適な長さであり得る)。また、
図2及び
図8に示されるように、ハウジング38はまた、近位開口部40に隣接する、ハウジングの近位端の外方に広がった端部分39を備え得る。端部分は、半径方向距離41より大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から外方に延在する。いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10mm超であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、半径方向距離43は、長さが10~20mmであり得る(例えば、いくつかの実施形態では、15~20mmが好適な長さであり得る)。端部分39は、
図1~
図3に示されるように、ユーザ把持可能部分37から半径方向外方に平滑に傾斜し得る。他の実施形態では、端部分39は、他の形状の形態をとってもよい。
図16A~
図16Cは、端部分39のいくつかの例示的な代替形状を示すが、端部分39は、ユーザ把持可能部分の半径方向距離41より大きい半径方向距離43だけ長手方向軸48から離れて延在する任意の形状をとることができる。
【0020】
針ガード42は、注射器アセンブリ22上に取り付けられ、針34を覆って取り囲む。エンドキャップ36及び針ガード42は、偶発的に針が刺されることからユーザを保護し、また針34の損傷も保護する。デバイス20を使用して薬剤を分注するとき、例えば、薬剤を患者に注射するとき、エンドキャップ36及び針ガード42が、最初に取り外される。
図2は、注射器アセンブリ22からエンドキャップ36及び針ガード42を取り外した後のデバイス20を例示し、注射器アセンブリは、格納位置にあり、デバイス20は、分注イベントの準備ができている。
【0021】
注射器アセンブリ22は、格納位置と注射位置との間で注射デバイス20に対して移動可能である。
図3は、注射器アセンブリ22が、
図2に示されるその格納位置から注射位置にデバイス20に対して移動された後のデバイス20を例示する。格納位置(
図1及び
図2)では、針34は、針34がデバイス20のハウジング38内に配設されるような位置まで後退される。注射位置(
図3)では、針34は、長手方向軸48に平行な近位方向に近位開口部40を越えてハウジング38から外方に突出し、それによって、針34が患者に挿入され得る。
【0022】
駆動機構24は、ピストン32と係合するプランジャ44を含む。駆動機構24は、プランジャ44を並進運動で駆動するばね46を含む。例示的な実施形態では、ばね46は、デバイス20の長手方向軸48によって画定される直線経路に沿ってプランジャ44を前進させる。プランジャ44が前進すると、プランジャ44の足部50がピストン32に接触する。プランジャ44が更に前進すると、注射器アセンブリ22は、その格納位置からその注射位置まで軸48に沿って前進する。注射器アセンブリ22がその注射位置に前進した後、プランジャ44の継続的な近位前進は、分注イベント時に、ピストン32をバレル30内でその初期ピストン位置(
図1及び
図2に示される)からその最終ピストン位置(
図3に示される)まで近位に前進させて、薬剤を針34から分注させる。薬剤の任意の分注前、及び注射器バレル30が元の薬剤の全容量を保持しているとき、ピストン32は、その初期ピストン位置にあることになる。ピストン32を針アセンブリ33に向けてその移動長さ全体に前進させた後、ピストン32は、針アセンブリ33に近接するその最終ピストン位置にあることになり、バレル30内からの薬剤は、放出されていることになる。単回使用では、注射器アセンブリ22は、単回分注イベントにおいて送達される単回用量の薬剤を保持し、ピストン32は、その単回分注イベントにおいてその初期ピストン位置からその最終ピストン位置まで前進し、それによって、注射器アセンブリ22の単回用量の内容物全体を送達する。デバイスが単回使用デバイスとして示されているが、複数回使用デバイスもまた、単回使用中のデバイスのステータス指示から利益を得ることができる。
【0023】
プランジャ44の前進は、概して、注射器アセンブリ22が注射位置に前進するまで、注射器アセンブリ22からの薬剤の分注を結果的にもたらさないことになる。注射器が注射位置に前進する前に薬剤が分注されることを阻止し得る因子が存在する。因子は、ピストン32とバレル30との間の摩擦であり得る。典型的に、ピストン32は、ゴム材料で形成され、バレル30はガラスであるはずである。これら2つの構成要素間の摩擦抵抗は、注射器アセンブリ22がその注射位置まで前進し、好適な停止部材との係合が注射器アセンブリ22の更なる前進を防止するまで、バレル30内のピストン32の前進を防止するのに十分であり得る。追加的に、注射器内の薬剤は、いくらか粘性があり、それにより、針34からの流出に対していくらか抵抗性があってもよい。必要に応じて、注射器バレル30に対する係合部材32の分注運動の摩擦抵抗を変更するためにピストン32及び注射器バレル30の修正は、容器22がその注射位置に到達する前の薬剤の早過ぎる分注を制限又は防止し得る。
【0024】
プランジャ44は、足部50に隣接する磁石25を含み得る。
図1~
図3に示されるように、磁石25は、ピストン32から一定の軸方向距離を維持するように構成される。磁石25は、
図9A、
図9B、及び11に関連して以下で考察される、磁力計118及び112によって感知される磁場を放射する。
【0025】
駆動機構24を作動させるために、使用者は、デバイス20の遠位端の作動ボタン52を押下する。ボタン52を押下することは、(
図4に示される)プランジャ44上の1つ又は2つの細長い突起54をシャトルアセンブリ60から係合解除し、それによって、ばね46がプランジャ44を軸方向に前進することを可能にする。ばね46は、らせん形状を有し、突起54を囲む。ばね46の近位端は、プランジャ44上のフランジ56と付勢係合する。
【0026】
シャトルアセンブリ60は、
図6に示される上側シャトル部材62及び
図7に示される下側シャトル部材64を含み得る。シャトル部材62、64は、最終アセンブリで一緒に固定される。最終アセンブリでは、上側シャトル部材62は、ボタン52及びばね46を捕捉して、遠位方向へのこれらの部品の軸方向運動を制限する。突起54は、デバイスが
図1及び
図2に示される状態にあるとき、上側シャトル62上の表面と係合する。ボタン52を押下することは、ボタン52上のタブを突起54の傾斜55と係合させて、突起54を内方に付勢して、突起54を上側シャトル部材62から係合解除させる。突起54が係合解除された後、ばね46は、付勢力をフランジ56に及ぼして、プランジャ44を
図2に示される位置から
図3に示される位置に前進させる。プランジャ44が前進すると、それは、注射器アセンブリ22を注射位置に移動させ、次いで、ピストン32を前進させて、上で考察されたように薬剤を分注させる。
【0027】
分注イベントが完了したとき、後退機構26は、任意選択的に、注射器アセンブリ22を
図3に示される注射位置から後退位置に戻すように移動させる。より具体的には、後退機構は、後退運動で薬剤容器を注射位置から後退位置に移動させるように適合される。後退位置は、注射器アセンブリがハウジング38内に引き戻される点で格納位置と同様であり得、それにより、針34は、もはや近位開口部40から近位に突出せず、完全にハウジング38内に配設される。いくつかの実施形態では、後退位置は、格納位置と同じであってもよい。しかしながら、他の実施形態では、後退位置にある注射器アセンブリ22は、格納位置にある注射器アセンブリに対してわずかに近位又は遠位に位置してもよい。例示される実施形態では、後退機構は、ばね66と、
図5に示される注射器キャリア68と、従動体として作用する回転部材70と、を含む。更に他の実施形態では、デバイス20は、薬剤が分注された後、注射器アセンブリがユーザによって手動で取り外されるか又は再配置されるまで、注射器アセンブリがその注射位置に無制限にとどまるように、後退機構26を含まなくてもよい。
【0028】
プランジャ44は、プランジャ44が近位方向の移動の終了に近づくと、回転部材70を係止解除するアウトリガ58を含み得る。回転部材70は、ラッチと下側シャトル部材64のラッチ凹部との間の係合によって、下側シャトル部材64に回転可能に固設される。アウトリガ58は、ラッチを押下することによって部材70を係止解除する。ばね66は、ねじり予荷重が加えられており、部材70と係合された一端と、シャトルアセンブリ60と係合された対向端とを有する。ラッチの押下の際、ばね66が部材70を回転させる。
図7を更に参照すると、部材70は、下側シャトル部材64上のタブ78を受容するスロットを含み得る。スロットの一端で、部材70は、軸方向に延在するチャネルを画定する。部材70が回転すると、タブ78は、タブ78が軸方向に延在するチャネルに到達するまで、部材70上のスロット内を移動し得る。
【0029】
部材70は、ハウジング38内で回転可能であるが、ハウジング38に対して軸方向に移動可能ではない。他の実施形態はまた、軸方向に移動可能な部材70を含み得る。回転部材70の半径方向フランジは、ハウジング部材38内の張出部と係合して、部材70の近位運動を制限し得る。ばね66は、部材70上に軸力、ねじり力又はその両方の力を近位に及ぼして、部材70を近位に付勢し、それによって、部材70の半径方向フランジがハウジング部材38の内部張出部と係合する軸方向位置に部材70を維持し得る。シャトルアセンブリ60は、シャトルアセンブリ60がハウジング38内で軸方向に移動することを可能にするが、ハウジング部材38に対するシャトルアセンブリ60の相対回転を防止する、ハウジング部材38上の対応する特徴と係合する軸方向に延在するチャネル又はリブを含み得る。
【0030】
ばね66はまた、軸方向に予荷重が加えられており、シャトルアセンブリ60上に遠位に配向された付勢力を及ぼす。タブ78が軸方向に延在するチャネルに到達すると、ばね66は、タブ78がチャネルを通って軸方向に摺動する際に、ハウジング38内でシャトルアセンブリ60を遠位に移動させる。制振複合物が回転部材70に隣接して配置されて、部材70の回転を減速させ、タブ78が、軸方向に延在するチャネルに到達する前に分注イベントの完了を可能にし得る。例えば、回転部材70は、制振を提供するためにグリースカラーに配設される複数の軸方向に延在するタブを伴うスカートを含み得る。
【0031】
シャトルアセンブリ60が遠位に移動すると、それは、注射器アセンブリ22を遠位に搬送し、注射器アセンブリ22を
図2に示される格納位置に移動し戻す。ばね66は、後退機構26を遠位に付勢し、それによって、分注イベント後、注射器アセンブリ22をその後退位置に維持する。シャトルアセンブリ60上の戻り止め及びハウジング38部材上の凹部などの係止機構は、係止係合を追加的に提供して、注射器アセンブリ22を分注イベント後、ハウジング38内に配設された針34とともに後退位置に固設し、それによって、ユーザが、次いで、安全な様態でデバイス20を処分するか又は別様に取り扱うことができる。
【0032】
注射器キャリア68を
図5に示す。キャリアの弓状アーム84は、注射器アセンブリ22のバレル30を把持し得る。注射器キャリア68はまた、フランジ86を含む。注射器バレル30上のフランジは、アーム84とフランジ86との間で捕捉される。フランジ86の下側の一部分88は、プランジャ44上の小さいフランジ90と係合し、それによって、プランジャ44が前進する前の注射器アセンブリ22の近位の軸方向運動を防止する。シャトルアセンブリ60が後退しているとき、下側シャトル部材64は、アーム84と係合して、注射器アセンブリ22をその後退位置に遠位に運ぶ。
【0033】
図1~
図7は、例示的な駆動機構24及び例示的な後退機構26を図示及び説明するが、他の機構もまた、格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に注射器アセンブリ22を駆動するために使用され得る。そのような駆動及び/又は後退機構は、それらがトリガ前状態に保持されたときにエネルギーを蓄え、トリガされたときに当該蓄えられたエネルギーを解放して、格納位置から注射位置に、及び/又は注射位置から後退位置に注射器アセンブリを駆動する、1つ以上のばね又は変形可能な部品を含んでもよい(必須ではない)。そのような機構は、化学反応又はプロセスを使用して、例えば、2つ以上の試薬の混合によってガスを発生させることによって、又は少量の可燃性又は爆発性材料を点火することによって、動力を発生させる機構を含んでもよい(必須ではない)。そのような化学的に駆動される機構は、化学試薬用の1つ以上の格納容器と、当該格納容器を穿刺又は開放し、当該試薬が混合することを可能にする、及び/又は化学反応を開始するための火花又は他の点火源を提供するトリガと、結果として生じる化学反応によって発生したガス圧の増加に応答して移動する移動可能なピストン又は他の構成要素とを備え得る。そのような機構は、蓄えられた電力(例えば、電池に)を使用して、注射器アセンブリを駆動及び/又は後退させる電気モータを動作させるか、又は他の物理的若しくは化学的機構をトリガする機構を含んでもよい(必須ではない)。そのような機構は、油圧又は空気圧システム(例えば、チューブ)、ギヤ、ケーブル、プーリ、又は運動エネルギーを1つの構成要素から別の構成要素に伝達するための他の既知の構成要素を含んでもよい(必須ではない)。いくつかの実施形態では、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させるための別個の機構を有するのではなく、単一の機構が、注射器アセンブリを駆動し、次いで、注射器アセンブリを後退させる、両方を行うように構成され得る。
【0034】
図8は、デバイス20の実施形態の第1のセットによる、端部分39内の1つ以上のメインPCB82の例示的な配置を例示する。1つ以上のメインPCBは、長手方向軸48に直交して配置され得、互いの上面上に積層され得る、及び/又は長手方向軸48に直交する同一平面上に互いに並んで配置され得る。メインPCBは、例えば、エンドキャップ36が取り外され、注射針が分注イベント中に近位に駆動されて、患者に注射するときに、注射器アセンブリ22の注射針34が通過するように構成される開口部83を画定する。示されるように、メインPCBは、ユーザ把持可能部分37の半径方向距離41よりも大きい半径方向距離45だけ長手方向軸48から離れて延在する。
図8はまた、メインPCBに実質的に直交し、かつ長手方向軸48に平行に延在する1つ以上の二次PCB84を示し、二次PCBは、1つ以上のPCBコネクタ114を介してメインPCBに通信可能に連結され得る。二次PCB84が追加の感知システムを取り付け得るが、そのような二次PCBは、任意選択であり、製造の複雑性及びコストを低減するために特定の実施形態では除外されてもよい。
【0035】
端部分39は、メインPCBを配置するようにデバイス20内で有利な場所及びサイズであり得る。端部分39の増加した占有面積は、ユーザ把持可能部分の半径方向距離41よりも大きい半径方向距離43だけ、長手方向軸48から外方の端部分の半径方向の延長によってもたらされる。占有面積の増加から、メインPCB及びその様々な構成要素を収容する空間が、デバイス20の他の場所よりも大きくなる。このため、多くの構成要素が、端部分39の有利な場所に配設される多くの構成要素がメインPCBにあらかじめ組み立てられ得る。結果として、メインPCBを端部分39に組み込むことは、既存の自動インジェクタのハウジングの形状を変更することをほとんど又は全く必要とせず、製造プロセスの中断を減少させ、製造コストを低減し得る。更に、メインPCBを端部分39に配置することは、皮膚接触センサ122、123、及び124が長手方向軸48からより遠くに離れて位置することを可能にし、これらのセンサから受信された皮膚接触読取値の信頼性を向上させる。
【0036】
図9Aは、デバイス20の実施形態の第1のセットによる、メインPCB及び二次PCBの上部斜視図を示し、一方、
図9Bは、同じPCBの底部斜視図を示す。
図10A及び
図10Bは、それぞれ、同じPCBの上面図及び底面図を示す。メインPCB82(
図8に示される)は、電源102を含むか又は支持する上面82a(
図9A及び
図10Aに示され、上面82aは、PCB82の一部であると理解される)を有し得、これらは、いくつかの実施形態では、コインセル電池などの電池を含み得る。電源102は、注射デバイス20と統合又は連結された電気部品に電力を提供する。メインPCB82はまた、処理回路108を含み得る。いくつかの実施形態では、処理回路108は、プロセッサ、メモリ、及び入力/出力ポートを含むシステムオンチップ(System on Chip、SOC)集積回路の形態をとることができる。しかしながら、処理回路108はまた、マイクロコントローラ(microcontroller、MCU)又は特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit、ASIC)などの他の種類の構成要素を使用して実装されてもよい。処理回路108は、非一時的記憶媒体に記憶されたコンピュータ実行可能命令を実行するように構成され得る。メインPCBはまた、マイクロスイッチセンサ110、磁力計112、加速度計140、周囲光センサ106、及び/又は1つ以上の皮膚接触抵抗センサ122、123及び124などの複数の異なる種類のセンサを含み得る。二次PCBを含む実施形態では、二次PCBは、別のマイクロスイッチセンサ116、磁力計118、及び赤外線温度センサ120などの更なるセンサを含み得る。
【0037】
マイクロスイッチセンサ110及び116は、処理回路108と通信可能に連結され得る。各マイクロスイッチセンサは、電気回路に連結された物理的スイッチを含み得、これは、物理的スイッチの物理的位置又は配向に依存して電気信号を処理回路108に出力する。マイクロスイッチセンサ110及び116は、注射デバイス20の構成要素の位置を検出するために使用され得る。例えば、マイクロスイッチセンサ110は、エンドキャップ36がデバイスハウジング38の近位端に取り付けられているか否かを検出するために使用され得る。以下でより詳細に考察されるように、マイクロスイッチセンサ110の出力に依存して、処理回路108は、エンドキャップ36がデバイス20に取り付けられているか否かをユーザに示し得る。同様に、マイクロスイッチセンサ116は、注射器アセンブリ22が、(i)格納位置又は(ii)注射位置などの、2つの状態のうちの1つにあるか否かを検出するために使用され得る。マイクロスイッチセンサ116はまた、注射器アセンブリ22が、(i)格納位置、(ii)注射位置、又は(iii)後退位置などの3つの状態のうちの1つにあるか否かを検出するように構成され得る。マイクロスイッチセンサ116の出力に依存して、処理回路108は、注射器アセンブリ22がどの位置にあるかをユーザに示し得る。
【0038】
周囲光センサ106は、処理回路108と通信可能に連結され得、注射デバイス20が露光される周囲光の量又は強度を検出し得る。周囲光への過度の露光は、バレル30に格納された薬剤を注射に関して無効化又は危険にする場合がある。いくつかの実施形態では、処理回路108は、周囲光センサ106によって検出された周囲光の強度及び/又は持続時間をログ記録し得る。周囲光への露光の強度及び/又は持続時間が所定閾値を超える場合、ユーザは、薬剤が使用されるべきではないことを通知され得る。
【0039】
加速度計140は、処理回路108と通信可能に連結され得、注射デバイス20の配向を決定し得る(例えば、上向き、下向き、又は横向き)。これは、特定の配向で薬物が送達されることを必要とする粒子状物質などの沈降に起因する重力によって著しく影響を受け得る特定の種類の薬物にとって重要であり得る。処理回路108はまた、加速度計140の出力を使用して、デバイス20が注射に関して不適切に配向されている場合(例えば、デバイスが天地反対である場合)にユーザに警告し得る。以下に更に詳細に説明されるように、加速度計140はまた、外部デバイスからの振動を検出して、注射デバイス20を外部デバイスと無線でペアリングすることを支援するために使用され得る。
【0040】
多くの種類の薬剤は、劣化を防止するために第1の比較的低温(例えば、華氏36~46度、又は摂氏2~8度)で格納される必要があるが、次いで、患者の体内に注射される前に第2のより高温(例えば、室温、又は華氏65~75度、若しくは摂氏18~24度)に昇温される必要がある。バレル30内の薬剤が適切な格納温度で格納されることを確保するために、及び/又は薬剤が適切な注射温度まで昇温されることを確保するために、注射デバイス20は、薬剤の温度を推定するための機構を備え得る。薬剤が適切な温度まで昇温されたことを確保することによって、この情報が電話に送信され得るか、デバイス自体がデバイスの使用の準備ができていることを患者に合図し得る。いくつかの実施形態では、この温度測定機能は、二次PCB84上の赤外線(infra-red、IR)温度センサ120によって実施され得る。IRセンサ120は、処理回路108と通信可能に連結され得る。
図8で最も良く分かるように、IRセンサ120は、バレル30に隣接し、かつバレル30の方に面して配設され得る。IRセンサ120は、バレル30からのIRスペクトル内の電磁放射を検出及び測定し、検出されたIR放射に基づいて電気信号を出力し得る。IRセンサ120によって出力された電気信号をサンプリングすることによって、処理回路108は、バレル30内の薬剤の温度を推定し得る。
【0041】
メインPCBはまた、無線通信を送受信するための1つ以上のアンテナを備え得る。例えば、
図9A及び
図9Bは、メインPCBの上面82a上に配設されたブルートゥース低エネルギー(BLE)アンテナ104、及びメインPCBの底面82b上に配設された近距離無線通信(NFC)アンテナ126(太い黒線要素として示される)を図示する。メインPCBが1つのアンテナのみ又は1つの種類のアンテナのみを備える他の実施形態も可能である。以下で更に詳細に考察されるように、これらのアンテナは、注射デバイス20が外部デバイスとの無線通信リンクを確立することを可能にし得る。
【0042】
メインPCBはまた、皮膚組織との接触を検出する複数のセンサと通信可能に連結又は統合され得る。皮膚接触センサは、ユーザが注射デバイス20を作動させる前に、ユーザの皮膚との適切な接触を検証するために使用され得る。注射デバイス20はまた、どのセンサが皮膚接触を検出し、どのセンサが検出しないかをユーザに示すことができる。これにより、ユーザは、注射前に注射デバイス20をどの方向に傾斜又は移動させるべきかを知ることができる。この機能は、針34がユーザの皮膚を貫通することに失敗するか、又は不適切に浅い角度で貫通する、注射の失敗の可能性を減少させる。
【0043】
図9B及び
図10Bは、メインPCBの底面82b上に配設され、対称的な三葉形状に配置された3つの皮膚接触センサ122、123、及び124を含む例示的な実施形態を図示する。この例示的な実施形態では、各皮膚接触センサ122、123、及び124は、2つの別個の電気端子を含み、センサ122は、端子122a及び122bを含み、センサ123は、端子123a及び123bを含み、センサ124は、端子124a及び124bを含む。2つの電気端子のみが各センサに対して図示されているが、各センサが3つ以上の電気端子を有する他の実施形態も可能である。各皮膚接触センサは、その電気端子間の電気抵抗を測定し、測定された抵抗に基づいて処理回路108に電気信号を出力し得る。皮膚組織の電気抵抗は、概して、空気の電気抵抗よりも低く、したがって、処理回路108は、測定された抵抗が所定の閾値を下回るときに、特定の皮膚接触センサが皮膚組織と接触していると決定し得る。
【0044】
図9B及び
図10Bは、2つの電気端子を有するものとして各皮膚接触センサ122、123、及び124を図示しているが、各皮膚接触センサが1つの電気端子のみを有する他の実施形態が可能である。そのような場合、1つの皮膚接触センサ(例えば、センサ122)の電気端子は、所定の電圧を出力する基準電極として機能し得る。他の2つの皮膚接触センサ(例えば、センサ123及び124)の各々上の電気端子は、それ自体と基準電極との間の導電経路の電気抵抗を測定するセンサ電極として機能し得る。基準電極と特定のセンサ電極との間の測定された抵抗が所定の閾値を下回るとき、処理回路108は、基準電極及び特定のセンサ電極の両方が皮膚などのヒト組織と接触していると決定し得る。両方のセンサ電極(例えば、センサ123及び124上の)が、所定の閾値を下回る測定された抵抗を報告するとき、処理回路108は、基準電極及び両方のセンサ電極がヒト組織と接触していると決定し得る。静電容量センサを組み込むデバイス20の例示的な実施形態が、
図17A、
図17B、
図18A及び
図18B、並びにデバイス20の実施形態の第2のセットに関連して以下で考察される。
【0045】
図10Bに最良に示されるように、各皮膚接触センサ122、123、及び124は、長手方向軸48(
図10Bに示される図では、紙面内に延びる)から外方にそれぞれ半径方向距離128、130、及び132に位置し得る。センサ122、123、及び124は、任意選択的に、半径方向距離128、130、及び132が互いに等しく、かつ各センサ間の角度分離もまた等しくなるように(例えば、この場合、120°)、開口部83を対称的に取り囲むように配置され得る。半径方向距離128、130、及び132は、ユーザ把持可能部分37の半径方向距離41よりも大きく(
図2及び
図9に示されるように)、長さが10mmよりも長くてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、半径方向距離128、130、及び132は、各々、長さが10mm~20mmであり得、いくつかの場合、15mm~20mmの距離が適切であり得る。3つの皮膚センサが図示されているが、1つ又は2つの皮膚センサのみを有する他の実施形態も可能である。反対に、4つ以上の皮膚接触センサを有する実施形態も可能であり、そのような実施形態では、皮膚センサは、開口部83を対称的に取り囲むように配置され得る(必須ではない)。例えば、4~20個の皮膚センサを含む他の実施形態も考えられる。
【0046】
皮膚接触センサ122、123、及び124は、電気抵抗を測定するように上記で説明されているが、これらの皮膚接触センサは、代替的に、電気容量を測定することによって皮膚接触を検出するように構成されてもよい。静電容量センサは、ヒト組織の近接度を、センサによって形成された電界に対するそのような組織の影響を検出することによって検出するように構成され得る(例えば、センサによって監視又は測定されている回路の静電容量に対するそのような組織の影響を検出することによって)。静電容量センサは、皮膚組織に直接接触する金属製の電気端子を必要としないため、保護用の非導電性カバー(例えば、プラスチック製など)の後ろに部分的又は完全に封止され得る。これは、敏感な電気部品への湿気又は異物の浸透を減少させることによって静電容量センサの耐久性を向上させ得る。静電容量センサはまた、静電容量センサが、露出した金属接点も必要としないため、静電放電がデバイス内の敏感な電気部品を損傷する危険性を低減し得る。静電容量センサを組み込むデバイス20の例示的な実施形態が、
図21A、
図21B、
図22A及び
図22B、並びにデバイス20の実施形態の第3のセットに関連して以下で考察される。
【0047】
注射デバイス20はまた、バレル30内のピストン32の軸方向位置又は運動を推定するための手段を備え得る。この推定された軸方向位置及び/又は運動は、バレル30内に残っている薬剤の量及び/又は、もしあれば、分注された薬剤の量を推定するために処理回路108によって使用され得る。いくつかの実施形態では、これは、ピストンが長手方向軸48に沿って摺動するときにピストン32の上又は近くに磁石と、磁石が長手方向軸に沿って摺動するときに磁石によって放射される磁場を感知する1つ以上の磁力計と、を提供することによって達成され得る。
図1~
図3及び
図11は、ピストンがバレル30内で長手方向軸48に沿って摺動するときにプランジャ44がピストン32から一定の軸方向距離を維持するように、プランジャ44上に配設された例示的な磁石25を示す。
図9A、
図9B、
図10A、及び
図10Bはまた、メインPCB82上の磁力計112及び二次PCB84上の磁力計118の2つの磁力計の例示的な配置を示す。示されるように、磁力計112は、磁力計118と比較して、長手方向軸48から半径方向に遠くに配設され得る。更に、磁力計118は、バレル30の一端に近接して位置付けられることに代えて、バレル30の長さに沿った中間点に配設されてもよい。
【0048】
図11は、デバイス20の実施形態の第1のセットによる、注射デバイス20の側面図を提供し、磁石25と磁力計112及び118との間の空間的関係を示す。
図11では、注射デバイス20は、格納位置にある注射器アセンブリ22と、近位開口部40を覆うようにデバイスハウジング38に固設されたエンドキャップ36とともに図示される。磁石25は、磁石25が当該磁力計に十分に近いときに、磁力計112及び118によって感知され得る磁場を出力する。各磁力計は、感知された磁場の強度に基づいて信号を処理回路108に出力し得る。磁力計112及び118によって感知される磁場の強度は、磁石25が長手方向軸48に沿って矢印1102の方向に摺動するときに、磁石25の位置に基づいて変化する。例えば、注射器アセンブリ22が格納位置にあり、ピストン32がバレル30の遠位端でその初期ピストン位置にあるとき(
図11並びに
図1及び
図2に図示されるように)、磁力計118及び112は、非常に弱い磁場のみを検出するか、又は磁場が存在しない場合がある。注射器アセンブリ22が注射位置に前進するが、ピストン32が依然として初期ピストン位置にあるとき、磁力計112は、弱い磁場のみを検出するか又は磁場を全く検出しないが、磁力計118は、注射器アセンブリが格納位置にあるときよりも強い磁場を検出し得る。磁力計112及び118によって測定された磁場の強度をサンプリングすることによって、処理回路108は、いくつかの実施形態では、注射器アセンブリ22が格納位置又は注射位置にあるかを決定し得る。
【0049】
注射器アセンブリ22が注射位置にあるとき、ピストン32がその初期位置から矢印1102の方向にその最終ピストン位置(
図3に示される)に向かって前進すると、磁力計118は、磁石25が磁力計118に近づき、通過し、次いで、それから離れて移動する際に、上昇し、次いで、減少する磁場を検出する。同時に、ピストン32を矢印1102の方向に前進させることは、磁力計112に、磁石25が磁力計112に近づいて移動するにつれて上昇する磁場を検出させる。磁力計118及び112の両方によって検出された磁場の強度をサンプリングすることによって、処理回路108は、長手方向軸48に沿った磁石25の位置を推定し得る。この位置推定に基づいて、処理回路108は、ピストン32の位置、並びにバレル30内に依然として残っている薬剤の量を推定し得る。
【0050】
図12は、デバイス20の実施形態の第1のセットによる、デバイス20内の電気部品、及び例示的な外部デバイス1250との通信リンクのシステムアーキテクチャ図を提供する。上で考察されたように、処理回路108は、バッテリ102によって給電され得、処理コア1208及びメモリ1210(例えば、内部フラッシュメモリ、オンボードの電気的に消去可能かつプログラム可能な読み出し専用メモリ(erasable and programmable read-only memory、EPROM)など)を備え得る。メモリ1210は、命令を記憶し得、命令は、処理コア1208によって実行されると、処理回路1208に本明細書に説明される動作を実施させる。処理回路108はまた、周囲光センサ106、エンドキャップマイクロスイッチ110、磁力計112、加速度計140、及び皮膚接触センサ122、123、及び124などの複数のセンサと通信可能に連結され得る。処理回路108はまた、任意選択的に、フレックスコネクタ114を介して1つ以上の二次PCBに通信可能に連結され得る。二次PCBは、マイクロスイッチ116、磁力計118、及びIR温度センサ120を更に組み込み得る。処理回路108はまた、デバイス20と統合される、ユーザフィードバック用手段1208に接続され得る。ユーザフィードバック用手段は、1つ以上のインジケータ光(例えば、発光ダイオード(LED)を使用して実装される)、ディスプレイ、振動モータなどの触覚インジケータ、及び/又はスピーカなどの聴覚インジケータを含み得る。処理回路108は、汎用入力/出力(General-Purpose Input/Output、GPIO)ピン、内部集積回路(Inter-Integrated Circuit、I2C)バス、シリアルペリフェラルインターフェース(Serial Peripheral Interface、SPI)接続、ユニバーサル非同期受信機/送信機(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter、UART)接続、コントローラエリアネットワーク(Controller Area Network、CAN)バスなどの(限定されるものではない)、1つ以上の物理的、電気的チャネルを介して上述された構成要素の各々と通信可能に連結され得る。いくつかの場合、センサのうちのいくつか又は全てから処理回路108によって受信された信号はまた、アナログデジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を使用してアナログ信号からデジタル信号に変換され得る。
【0051】
処理回路108はまた、注射デバイス20が外部デバイス(例えば、携帯電話、ウェアラブルデバイス、ラップトップ、及び/又はサーバデータベースなど)と無線で通信することを可能にするように構成され得る。無線通信を容易にするために、処理回路108は、
図9B及び
図10Bに図示されるNFCアンテナ126などの、NFCアンテナ1205と通信可能に連結された近距離無線通信(NFC)回路1204を備え得る。NFC回路1204及びNFCアンテナ1205は、処理回路108が外部デバイス1250との無線NFC通信リンク1232を確立することを可能にする。代替的に又は追加的に、処理回路108は、
図9A及び
図10Aに図示されるBLEアンテナ104などの、BLEアンテナ1207と通信可能に連結されたブルートゥース低エネルギー(BLE)回路1206を備え得る。BLE回路1206及びBLEアンテナ1207は、処理回路108が外部デバイス1250との無線BLE通信リンク1234を確立することを可能にする。
【0052】
図12はまた、注射デバイス20から物理的に分離されている例示的な外部デバイス1250を示す。この実施形態では、例示的な外部デバイス1250は、プロセッサ1252(例えば、マイクロプロセッサ又はCPU)及び記憶装置1258を有するモバイルスマートフォンの形態をとることができる。記憶装置1258は、コンピュータ実行可能命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体を含み得、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサ1252によって実行されると、デバイス1250に本明細書に説明されている動作を実施させる。これらのコンピュータ実行可能命令は、医療モバイルアプリケーションなどのモバイルアプリケーションを含み得る。デバイス1250は、ディスプレイ1260及びユーザ入力デバイス1262を更に含み得る。ユーザ入力デバイス1262は、スマートフォンと統合された物理的なボタン又はスイッチを含み得る。
図12では別個に図示されているが、ユーザ入力デバイス1262の全て又は一部分は、例えば、タッチ感知スクリーン内のディスプレイ1260と統合され得る。デバイス1250はまた、振動モータなどの振動源1264を含み得る。
【0053】
デバイス1250は、注射デバイス20との無線通信リンクを確立するように構成され得る。例えば、外部デバイス1250は、通信リンク1232を介して処理回路108と通信する、NFCアンテナ1255と連結されたNFC回路1254を含み得る。デバイス1250はまた、通信リンク1234を介して処理回路108と通信する、BLEアンテナ1207と連結されたBLE回路1256を含み得る。
【0054】
図13は、注射デバイス20と外部デバイス1250との間の通信セッションを「ペアリング」又は確立するための例示的なプロセス1300を示すフロー図である。プロセス1300は、デバイス20の実施形態の第1のセットのいずれか、並びに以下に説明されるデバイス20の実施形態の第2及び第3のセットのいずれかによって使用され得る。電力を節約するために、注射デバイス20は、まず、低電力スリープモード1326で格納され得る。このスリープモード1326にある間、処理回路108に連結又はそれと統合された構成要素のいくつか又は全ては、電力を節約するためにシャットダウンされるか、又は低電力状態に置かれ得る。例えば、処理回路108と連結されたセンサのいくつか又は全てが電源遮断され得、BLE回路1206及びBLEアンテナ1207が電源遮断され得、処理コア1208のいくつか又は全てが電源遮断され得るか、又はより遅いクロック速度で動作し得る。デバイス20が低電力スリープモード1326にある場合、デバイスは、それが外部デバイス1250とペアリングされ得る前に「起動」されることを必要とし得る。
【0055】
注射デバイス20を起動する1つの手段は、そのNFC回路1254及びNFCアンテナ1255を使用してNFC場(例えば、電磁場)を放射するように外部デバイス1250を構成することである(ステップ1328)。外部デバイス1250が注射デバイス20に近接して(例えば、数センチメートル以内に)配置されると、放射されたNFC場は、処理回路108と連結されたNFCアンテナ1205内を流れる電流を誘導する。処理回路108は、次いで、処理回路108がこの誘導電流を検出すると、注射デバイス20をその低電力スリープモードから起動するように構成され得る。処理回路108はまた、予期されるコード又はパターンに適合する誘導電流を検出したときにのみ、デバイス20を起動するように構成され得、それによって、偽性的バックグラウンド電磁放射が注射デバイス20を起動することを防止する。
【0056】
注射デバイス20を起動する別の方法は、デバイス20が特定の振動パターンを検出したときに起動するようにデバイス20を構成することである(同様にステップ1328)。例えば、デバイス20を起動するために、ユーザは、デバイス20を、それが外部デバイス1250と接触するように位置付けることができ、例えば、デバイス20は、外部デバイス1250の上面上に配置され得る。外部デバイス1250は、次いで、振動源1264を使用して、特定の所定のパターンに従って振動するようにユーザによって指示され得る。外部デバイス1250からの振動は、注射デバイス20内の加速度計120によって検出され得る。検出された振動が予期されたパターンと一致すると、処理回路108は、注射デバイス20をその低電力スリープモードから起動するように構成され得る。
【0057】
注射デバイス20がその低電力スリープモードから最初に起動するとき、処理回路108は、外部デバイス1250とのBLEペアリングプロセス1330に関与し得る。BLEペアリングプロセス1330は、2016年12月6日にBluetooth SIGによって公開されたBluetooth Core Specification v5.0で定義されているBLEペアリングプロセスと同様又は同じであり、その全容が参照により本明細書に組み込まれる。BLEペアリングプロセス1330は、注射デバイス20が、そのBLE回路1206及びBLEアンテナ1207を使用して1つ以上のBLEアドバタイズメントパケットをブロードキャストすることで開始し得る。外部デバイス1250が、BLE回路1256及びBLEアンテナ1257を介してブロードキャストされたBLEアドバタイズメントパケットを受信すると、外部デバイス1250は、注射デバイス20と外部デバイス1250との間の通信フローを開始する無線BLE送信で応答し得る。この通信フローの最終結果は、2つのデバイスがデータを交換し得る、注射デバイス20と外部デバイス1250との間で確立されたBLE通信セッションである。
【0058】
図14A及び
図14Bは、外部デバイス1250上で動作するモバイル医療アプリケーションによって実装される例示的なプロセス1400を示すフローチャートである。プロセス1400は、デバイス20の実施形態の第1のセットのいずれか、並びに以下に説明されるデバイス20の実施形態の第2及び第3のセットのいずれかと併せて使用され得る。プロセス1400は、BLE接続が注射デバイス20と外部デバイス1250との間に確立されるときに開始する(ステップ1402)。ステップ1404では、外部デバイス1250が、確立されたBLE接続を通して注射デバイス20からデータを受信する。注射デバイス20から受信されたデータは、注射デバイス20内の上記のセンサのいくつか若しくは全てからのデータ若しくは測定値、又はそのようなデータ若しくは測定値から導出されるか若しくはそれらに基づく情報を含み得る。注射デバイス20から受信されたデータはまた、デバイス20のメモリに記憶されたデータ、又はそのようなデータから導出される情報を含み得、そのようなデータは、注射デバイス20内に格納されている薬剤の種類、薬剤の使用期限、処方医の識別情報、薬剤の製造者の場所又は日付、注射デバイスのモデルなどを含み得る。
【0059】
ステップ1406では、プロセス1400は、薬剤が期限切れであるか否かを決定する。これは、ステップ1404で受信された薬剤の使用期限を現在の日付と比較することによって行われ得る。薬剤が期限切れである場合、プロセス1400は、ステップ1414に分岐し、外部デバイス1250は、デバイス1250のディスプレイ上のメッセージ又は音声メッセージなどを通して、薬剤が期限切れであることをユーザに通知する。薬剤が期限切れではない場合、プロセス1400は、ステップ1408に分岐する。
【0060】
ステップ1408では、プロセス1400は、薬剤が危険な条件に曝されていたか否かを決定する。このステップは、処理回路108によって記憶された周囲光の露光のログに保存されたか又はそこから導出されるデータをチェックすることを含み得る。周囲光への露光の強度及び/又は持続時間が所定の閾値を超える場合、プロセス1400は、ステップ1414に分岐し、薬剤が使用されるべきではないことをユーザに通知し得る。周囲光の露光のログからのデータを露光の強度及び/又は持続時間の所定の制限と比較するための論理は、注射デバイス20の処理回路108によって、外部デバイス1250のプロセッサ1252によって、又は両方の組み合わせのいずれかによって実施され得る。代替的に又は追加的に、ステップ1408は、薬剤が格納又は輸送中に危険な温度に曝されたか否かを決定することを含み得る。これは、処理回路108によって格納された薬剤の温度のログに保存されたか又はそこから導出されるデータをチェックすることによって達成され得る。薬剤が理想的な格納範囲外の温度(例えば、華氏36~46度)に曝された場合、又は薬剤が許容することができない長い時間にわたって理想的な格納範囲外の温度に曝された場合、プロセス1400はまた、ステップ1414に分岐し、薬剤が使用されるべきではないことをユーザに通知し得る。温度ログデータを所定の温度限界と比較するための論理はまた、注射デバイス20の処理回路108によって、外部デバイス1250のプロセッサ1252によって、又は両方の組み合わせによって実行され得る。
【0061】
ステップ1410では、プロセス1400は、薬剤が注射のための安全な温度にあるか否かを決定する。注射デバイス20の薬剤は、劣化を防止するために低温(例えば、華氏36~46度)で格納されることを必要とし得、薬剤は、それが注射される前により高温(例えば、略室温、又は華氏65~75度)まで昇温されることを必要とし得る。ステップ1410では、プロセス1400は、薬剤が標的注射温度まで昇温されたか否かを決定する。薬剤が標的注射温度まで昇温されていない場合、プロセス1400は、ステップ1416に分岐し、プロセス1400は、薬剤が依然として昇温していることをユーザに通知し、次いで、ステップ1410に分岐して戻る。薬剤が標的注射温度まで昇温された場合、プロセス1400は、ステップ1422(
図14Bに示される)に分岐する。ステップ1410において、プロセス1400が、薬剤が目標注射温度まで温められる前にユーザが注射を開始したと決定する場合、プロセス1400はステップ1414に分岐してもよく、ユーザにエラーを通知し、分注前に薬剤が目標注射温度まで温められるようにユーザにアドバイスする。代替的に又は追加的に、プロセス1400は、ユーザのエラーをメモリにログ記録し、及び/又はユーザのエラーの通知を介護者、及び/又はデバイス製造業者、支払人、若しくは設計者に送信することもできる。
【0062】
次に
図14Bを参照すると、ステップ1422では、プロセス1400は、エンドキャップ36を取り外すようにユーザに指示し得る。ステップ1424では、プロセス1400は、エンドキャップ36が取り外されたか否かを決定する。上で考察されたように、処理回路108は、エンドキャップマイクロスイッチセンサ110を使用して、エンドキャップ36が取り外されたか否かを決定し得、BLE通信リンク1234を介して外部デバイス1205に通知し得る。エンドキャップが取り外されていない場合、プロセス1400は、ステップ1422に分岐して戻る。エンドキャップが取り外された場合、プロセス1400は、ステップ1426に分岐する。
【0063】
ステップ1426では、プロセス1400は、注射のために注射デバイス20を位置付けるようにユーザに指示し得る。これは、デバイス20の近位開口部40を、ユーザの腹部又はユーザの大腿部などのユーザの身体の一部分に対して同一平面に配置するようにユーザに指示することを含み得る。ステップ1428では、プロセス1400は、全ての皮膚接触センサ(例えば、センサ122、123、及び124)が皮膚組織との接触を検出したか否かを決定する。皮膚接触センサの全てよりも少ない数のセンサが皮膚組織との接触を検出した場合、プロセス1400は、ステップ1430に分岐する。全ての皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出した場合、プロセス1400は、ステップ1432に分岐する。
【0064】
ステップ1430では、プロセス1400は、複数の皮膚接触センサ(例えば、センサ122、123、及び124)のどの個々のセンサが皮膚組織との接触を検出したか、及びどの個々のセンサが皮膚組織との接触を検出していないかをユーザに示し得る。
図15に例示されるように、これは、外部デバイス1250のディスプレイ1260上に概略
図1502を表示することによって行われ得る。概略
図1502は、それぞれ、皮膚接触センサ122、123、及び124に対応する、3つの別個のインジケータ1522、1523、及び1524を含み得る。示されるように、インジケータ1522、1523、及び1524は、皮膚接触センサ122、123、及び124の物理的配置を模倣するように配置され得、例えば、インジケータは、中央開口の周囲に対称的に配置され得る。皮膚接触センサが3つよりも少ないか又は多い実施形態では、概略
図1502はまた、対応する数のインジケータを含み得る。皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出しない場合、概略
図1502は、その皮膚センサの対応するインジケータの外観を変更し得る。
図15に示される例では、皮膚接触センサ122及び123は、皮膚接触を検出しているが、皮膚接触センサ124は、皮膚組織との接触を検出していない。したがって、皮膚接触センサ124に対応するインジケータ1524は、皮膚接触センサ122及び123に対応するインジケータ1522及び1523の色、模様、又は視覚パターンとは異なる色、模様、又は視覚パターンで塗りつぶされている(インジケータ1524に関してクロスハッチングで示されているように)。皮膚接触の有無を示す他の手段も可能であり、例えば、特定の皮膚接触センサが皮膚組織との任意の接触を検出したか否かに依存して、インジケータの形状が変化してもよく、アイコン又は図柄が表示又は非表示になってもよい。
【0065】
代替的に又は追加的に、デバイス20は、どの皮膚接触センサが皮膚接触を検出し、どの皮膚接触センサを検出していないかをユーザに示す視覚インジケータ(例えば、発光ダイオード(LED))を備え得る。例えば、デバイス20は、メインPCB82aの上面上に複数のLEDを備え得、各LEDは、皮膚接触センサのうちの1つに対応する。LEDの物理的配置は、どのLEDがどの皮膚接触センサに対応するかをユーザに明確にするように、皮膚接触センサの配置に対応し得、各LEDは、対応する皮膚接触センサの上面上に配設され得る。1つのそのような例示的なLEDが、
図11ではLED142として図示されている。センサが皮膚組織との接触を検出しているか否かに依存して、対応するLEDが点灯してもよく、消灯してもよく、及び/又は色が変化してもよい。これは、どの皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出していないこと、及びより良好な皮膚接触を達成するためにユーザがデバイス20をどのように傾けるか又は動かすべきかをユーザが迅速に決定する別の直感的な手段を提供する。
【0066】
図17Aは、デバイス20の実施形態の第2のセットによる、メインPCB1782の上部斜視図を示し、一方、
図17Bは、同じPCB1782の底部斜視図を示す。
図18A及び18Bは、それぞれ、同じPCBの上面図及び底面図を示す。実施形態の第1のセットの上記のメインPCB82と同様、メインPCB1782もまた、
図8に例示されるように、デバイス20のハウジング38の端部分39に位置付けられ得る。また、上記のメインPCB82と同様、メインPCB1782は、注射器アセンブリ22の注射針34が通過するように構成される開口部1703(PCB82の開口部83に類似)を画定する。メインPCB1782は、上面1782a及び底面1782bを含む(上面1782a及び底面1782bは、PCB1782の一部であると理解される)。上面1782aは、いくつかの実施形態では、コインセル電池などの電池を含み得る電源1702を含むか又は支持する。電源1702は、注射デバイス20と統合又は連結された電気部品に電力を提供する。メインPCB1782はまた、上記の処理回路108と同様に構成され得る処理回路1708を含み得る。
【0067】
実施形態の第2のセットのメインPCB1782は、いくつかの点で実施形態の第1のセットのメインPCB82とは異なり得る。
図9A及び
図17Aの比較で最も良く分かるように、二次PCB84の代わりに、メインPCB1782が、注射器位置検出器スイッチ1710を取り付け、注射器位置検出器スイッチ1710は、注射器アセンブリ22が格納位置、注射位置、又は後退位置にあるかを処理回路1708が決定することを可能にする。注射器位置検出器スイッチ1710は、2つの近位に延在するアーム1710a、1710bを備える。一例では、アーム1710aは、角度付きアーム1710aであり、アーム1710bは、アーム1710aに隣接して配設される。一例では、アーム1710a及びアーム1710bの各々は、PCB1782に連結された遠位端(例示的な例では、遠位端は、PCBに取り付けるための足部構成を含む)を含み、アームは、平行な関係で近位に延在し得る。角度付きアーム1710aは、移動可能な注射器バレルと接触して、アーム1710aの撓みを引き起こすために長手方向軸48に向かって内方に突出する角度付き放射状部分と、アーム1710bとの選択的な電気的接触のためにアーム1710bの接触部分と重なる側方延在部分と、を含む。両方のアームは、金属又は任意の他の比較的可撓性のある導電性材料で作製され得、処理回路1708に電気的に接続され得る。アーム1710aの接触部分がアーム1710bに接触すると、接触は、角度付きアーム1710a及び1710bの間の電気回路を完成させる。角度付きアーム1710aが直線アーム1710bと接触していないとき、2つのアーム間の電気回路は、遮断される。2つのアーム1710a及び1710bが接触しているか否かを継続的又は周期的に監視することによって、処理回路1708は、注射器アセンブリが格納位置、注射位置、又は後退位置にあるかを決定し得る。
【0068】
図19は、注射器アセンブリ22が格納位置又は後退位置にあるときのデバイス20の側面図を示す。示されるように、注射器アセンブリ22がこれらの位置の一方又は両方にあるとき、角度付きアーム1710a及び直線アーム1710bは、わずかに離れて位置付けられ、互いに接触しない。
図20は、注射器アセンブリ22が注射位置にあるときのデバイス20の側面図を示す。注射器アセンブリ22が注射位置に移動すると、注射器アセンブリ22のバレル30は、矢印1902によって表されるように、遠位方向に下方に並進する。バレル30が針34又は針ハブ35よりも広い直径を有するため、バレル30の下方並進は、バレル30を角度付きアーム1710aの角度付き部分に接触させ、角度付きアーム1710aを長手方向軸48から半径方向に離れるように押し、それにより、角度付きアーム1710aが直線アーム1710bに接触する。これは、角度付きアーム1710aと直線アーム1710bとの間の電気回路が完成させる。したがって、処理回路1708は、アーム1710aと1710bとの間の開回路を検出すると、注射器アセンブリ22が格納位置又は後退位置のいずれかにあることを決定し得る。処理回路1708は、アーム1710aと1710b間の閉回路を検出すると、注射器アセンブリが注射位置にあることを決定し得る。
【0069】
メインPCB1782はまた、皮膚接触センサのその構成でメインPCB82と異なり得る。
図9B及び
図17Bの比較で最も良く分かるように、各々が2つの電極を含む3つの皮膚接触センサを使用することに代えて(例えば、実施形態の第1のセットでは、センサ122は、電極122a及び122bを含み、センサ123は、電極123a及び123bを含み、及びセンサ124は、電極124a及び124bを含む)、実施形態の第2のセットのメインPCB1782の底面1782bは、PCBの遠位表面から遠位に向く3つの単一電極1722、1723、及び1724のみを備える。これらの電極は、長手方向軸48から半径方向に等しく配設されてもよく、互いに円周方向に等間隔に位置付けられてもよい。これらの3つの電極のうちの1つ、例えば、電極1722は、基準電圧Vを提供する電圧源に接続され得る。他の2つの電極は、別個の電圧センサと各々接続され得る。両方の電圧センサの出力は、処理回路1708に接続され得る。電極1723に接続された電圧センサが基準閾値を上回る正電圧を感知した場合、処理回路1708は、電極1722及び1723の両方が皮膚組織と接触していることを決定し得る。電極1724に接続された電圧センサが閾値を上回る正電圧を感知した場合、処理回路1708は、電極1722及び1724の両方が皮膚組織と接触していることを決定し得る。電極1722及び1723の両方に接続された電圧センサが閾値を上回る電圧を検出した場合、処理回路1708は、全ての3つの電極1722、1723、及び1724が皮膚組織と接触していることを決定し得る。実施形態の第1のセットのメインPCB82に対して、電極1722、1723、及び1724のこの配置は、必要な電極の数を減少させ、したがって、製造及び組み立ての複雑性及びコストを低減する。
【0070】
デバイス20の実施形態の第2のセットの上記の説明は、この実施形態の第2のセットと上記の実施形態の第1のセットとの間の差異を説明するが、実施形態の第2のセットもまた、実施形態の第1のセットに存在する特徴、及び他の特徴を含み得ることを理解されたい。例えば、この実施形態の第2のセットの特定の実施形態は、近位に延在するアーム1710a、1710bの代わりに、又はそれらに加えてのいずれかで、実施形態の第1のセットの二次PCB84を含んでもよい。実施形態の第2のセットのこの二次PCB84は、実施形態の第1のセットの二次PCB84上に取り付けられているように上記に説明されたセンサのうちの1つ、いくつか、又は全てを含み得る。デバイス20の実施形態の第2のセットはまた、実施形態の第1のセットに関して説明された構成と同一又は同様の構成を含む、皮膚接触センサの異なる構成を使用し得る。一例として、実施形態の第2のセットのメインPCB1782は、いくつかの実施形態では、実施形態の第1のセットで説明されたものと同様の電極ペアを備え得る(例えば、
図9Bに示されるように、電極122a及び122b、123a及び123bなど)。メインPCB1782は、そのような電極ペアの1つ、2つ、3つ、又はそれよりも多いセットを備えてもよい。
【0071】
図21Aは、実施形態の第3のセットによる、メインPCB2082の上部斜視図を示し、一方、
図21Bは、同じPCB2082の底部斜視図を示す。
図22A及び
図22Bは、それぞれ、同じPCBの上面図及び底面図を示す。実施形態の第1のセットの上記のメインPCB82と同様、メインPCB2082もまた、
図8に例示されるように、端部分39に位置付けられ得る。また、実施形態の第1のセットの上記のメインPCB82と同様、メインPCB2082は、注射器アセンブリ22の注射針34が通過するように構成される開口部2003(PCB82の開口部83に類似)を画定する。メインPCB2082は、上面2082a及び底面2082bを含む(上面2082a及び底面2082bは、PCB2082の一部であると理解される)。上面2082は、いくつかの実施形態では、コインセル電池などの電池を含み得る電源2002を含むか又は支持する。電源2002は、注射デバイス20と統合又は連結された電気部品に電力を提供する。ハウジング38内の電池ドア(図示せず)は、電源2002へのアクセスを可能にするためにヒンジ又はスイングして開くことができる。メインPCB2082はまた、上記の処理回路108と同様に構成され得る処理回路2008を含み得る。
【0072】
メインPCB2082は、任意選択的に、いくつかの点で、メインPCB82(実施形態の第1のセット)及びメインPCB1782(実施形態の第2のセット)と異なってもよい。
【0073】
まず、メインPCB2082は、二次PCB84又は注射器位置検出器スイッチ1710のいずれかを含まなくてもよい。注射器アセンブリ22の位置は、他の方法を使用して(例えば、加速度計を使用して)検出され得、二次PCB84及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710を不要にする。二次PCB84及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710を取り除くことは、製造及び組み立ての複雑性及び/又はコストを低減し得る。
【0074】
第二に、メインPCB2082は、温度チェックボタン2001を取り付けるか又は支持し得る。この温度チェックボタン2001は、デバイス20のハウジング38上のポート又は切欠き(図示せず)から突出し得る。以下に更に詳細に考察されるように、このボタン2001は、ユーザによって作動されると、処理回路2008に、電源投入させて、デバイス20の温度をチェックさせ、デバイス20が薬物を投与するための正しい温度であるか否かをユーザに示させる電気信号及び/又はデジタル信号を送る物理的ボタンであり得る。
【0075】
第三に、PCBの上面及び/又は底面上に配置されたNFC又はBLEトレースアンテナを使用することに代えて、NFC又はBLE接続は、PCB2082に取り付けられた1つ以上のチップアンテナ2004によって提供され得る。そのようなチップアンテナ2004は、アンテナに無線通信を外部デバイスに送らせる処理回路2008からの信号を受信し得る。
図21Aは、1つのチップアンテナ2004のみを図示しているが、実施形態の第3のセットのいくつかの実施形態は、2つ以上のチップアンテナ、例えば、1つのBLEチップアンテナ及び別個のNFCチップアンテナを備えてもよい。いくつかの実施形態では、処理回路2008は、それ自体が、統合されたBLEアンテナを備えてもよく、一方、チップアンテナ2004が、NFCアンテナを備えてもよい。実施形態の第3のセットのいくつかの実施形態はまた、チップアンテナの代わりに、PCBトレースアンテナ(実施形態の第1のセットについて上で考察されたものと同様)を使用してもよい。
【0076】
第四に、メインPCB2082は、ベースキャップ36がハウジング38に取り付けられているか、又はユーザによって取り外されたかを処理回路2008が検出することを可能にするベースキャップ取り外しセンサ2010を含み得る。ベースキャップ取り外しセンサ2010は、処理回路2008と通信可能に又は電気的に連結され得る。
図23A及び
図23Bは、ベースキャップ取り外しセンサ2010のより詳細な斜視図を提供する。センサ2010は、第1のアーム2304及び第2のアーム2306を支持するベース2302を備える。ベース2302は、PCBに連結され得、PCBの近位表面に沿って円周方向に配設され得る。アームは、ベース2302から離れるように近位に延在し、互いに平行な関係であり得る。第1のアーム2304は、水平レバー2310に接続されている。一例では、アーム2304及びレバー2310はL字形を形成し、かつ単一体であり得る。レバー2310は、次いで、角度付きタブ2308及び第1の接触表面2309を支持する。表面2309は、レバー2307から角度付けられ得、遠位に及び/又は半径方向内方に延在している。タブ2308は、レバー2310から垂下され、アーム2304及び2306の間に配設されて示されている。タブ2308は、長手方向軸48に向かって半径方向内方に延在する角度付き部分を含み得る。レバー2310は、アーム2304と連続する第1の部分が第1の半径方向平面に沿っており、接触表面2309と連続する第2の部分が第1の半径方向平面よりも長手方向軸48から遠い第2の半径方向平面に沿っている、多平面構造を有するように示されている。第2のアーム2306は、第2の接触表面2307に接続されている。接触表面2307は、アーム2306の本体から角度付けられ得、いくつかの角度では、近位及び/又は半径方向外方に延在し得る。接触表面2307、2309は、ベースキャップが取り外されたときなどの1つの構成では接触関係にあり、かつ、例えば、ベースキャップが取り付けられたときなどの別の構成では分離された構成にあるか、又はその逆であるように形状決め及び構成される。第1のアーム2304、第2のアーム2306、及び両方のアーム上に取り付けられたタブ及び接触表面は、金属、又は任意の他の好適な可撓性及び導電性材料から形成され得る。
【0077】
図24Aは、エンドキャップ36がデバイス20の残部から取り外されたときのエンドキャップ36に関連するPCB2082及びベースキャップ取り外しセンサ2010を示す。明確化のために、PCB2082を取り囲んで支持するハウジング38は、除去されている。センサ2010がPCB2082上に取り付けられたとき、角度付きタブ2308は、長手方向軸48に向かって内方に向く。エンドキャップ36は、内部タブ2402を備える。エンドキャップ36は、エンドキャップ36を矢印2404の方向に動かすことによって、ハウジング38に取り付けられ得る。
図24Bは、エンドキャップ36が取り付けられたときのPCB2082及びエンドキャップ36を示す。エンドキャップ36が取り付けられると、内部タブ2402は、PCB2082の開口部2003を通って上方に延在し、角度付きタブ2308を押す。これは、角度付きタブ2308、及び角度付きタブ2308が取り付けられている水平レバー2310を、矢印2406の方向に半径方向外方に押す。
【0078】
図25A及び
図25Bは、ベースキャップ取り外しセンサ2010が
図23A及び
図23Bの軸2312の方向から見られるときのベースキャップ取り外しセンサ2010を示す。
図25Aは、ベースキャップ取り外しセンサ2010がその中立状態にあるとき、例えば、エンドキャップ36が取り外され、それゆえに、内部タブ2402がセンサ2010のいかなる部分とも接触していないときのベースキャップ取り外しセンサ2010を示す。センサ2010がこの中立状態にあるとき、第1の接触表面2309は、水平レバー2310によって第2の接触表面2307と接触するように付勢される。第1の接触表面2309と第2の接触表面2307との間の接触は、第1のアーム2304と第2のアーム2306との間の電気回路を完成させる。この電気回路が形成されたことを処理回路2008が検出すると、処理回路2008は、エンドキャップ36が取り外されたことを決定し得る。
【0079】
図25Bは、エンドキャップ36が取り付けられたときのベースキャップ取り外しセンサ2010を示す。エンドキャップ36が取り付けられると、内部タブ2402は、センサ2010の角度付きタブ2308と接触し、それを押す。この押圧力は、角度付きタブ2308、並びに角度付きタブ2308が取り付けられている水平レバー2310を、矢印2406の方向に外方に変位させる。これは、第1の接触表面2309を、静止した第2の接触表面2307に対して移動させて、第2の接触表面2307との接触から外し、それによって、第1のアーム2304と第2のアーム2306との間の電気回路を遮断する。この電気回路が遮断されたことを処理回路2008が検出すると、処理回路2008は、エンドキャップ36が取り付けられていることを決定し得る。
【0080】
第五に、電気抵抗を測定することによって皮膚接触を検出する電極を使用することに代えて(実施形態の第1及び第2のセットのように)、メインPCB2082は、2つの容量性パッド2022及び2023を代わりに使用して皮膚接触を検出する。パッド2022、2023は、PCBの遠位表面に沿って配設された別個の平面構造として示されている。容量性パッド2022及び2023は、ヒト組織の近接度を、センサによって形成された電界に対するそのような組織の効果によって、例えば、センサによって監視又は測定されている電気回路の静電容量に対するそのようなヒト組織の効果を測定することによって、検出するように構成され得る。静電容量センサは、皮膚組織に直接接触する金属製の電気端子を必要としないため、保護用の非導電性カバー(例えば、プラスチック製など)の後ろに部分的又は完全に封止され得る。これは、敏感な電気部品への湿気又は異物の浸透を減少させることによって静電容量センサの耐久性を向上させ得る。静電容量センサはまた、静電容量センサが、露出した金属接点も必要としないため、静電放電がデバイス内の敏感な電気部品を損傷する危険性を低減し得る。容量性パッド2022及び2023は、皮膚組織との接触を各々独立して検出し得、それにより、処理回路2008が、一方のパッドは接触を検出したが、他方は検出していないときを決定することができる。
図21B及び
図22Bは、2つの容量性パッド2022及び2023のみを図示しているが、実施形態の第3のセットの他の実施形態は、より少ない又はより多い容量性パッドを有してもよい。例えば、メインPCB2082は、単一の容量性パッドのみを含んでもよく、又は3つ、4つ、5つ、6つ、又はそれよりも多い容量性パッドを有してもよい。
【0081】
第六に、この実施形態の第3のセットのメインPCB2082は、注射器アセンブリ22が駆動機構24によって格納位置から注射位置に駆動される分注イベントの開始によって引き起こされる衝撃又は加速度を検出する加速度計2012を備える。加速度計2012はまた、注射器アセンブリ22が後退機構26によって注射位置から後退位置まで駆動される分注イベントの完了時に後退運動によって引き起こされる衝撃又は加速度も検出し得る。加速度計2012は、1つ以上の電気接続を介して処理回路2008に出力信号を送って、処理回路が出力信号を分析することを可能にし得る。
【0082】
図26は、実施形態の第3のセットによる、加速度計2012から出力された例示的な信号を示すグラフを図示する。グラフ2600の垂直Y軸は、信号の大きさをボルトで示している。グラフ2600のx軸は、例えば、秒の単位で、時間の経過を図示する。この例では、加速度計2012からの信号は、約1.75Vの電圧の周りに集中する。この1.75の信号は、一定の下方重力加速度を表し得る。この一定の値の周囲の偏差は、デバイス20に与えられたか又はデバイス20が受けて、メインPCB2082上に取り付けられた加速度計2012によって検出される、加速度又は衝撃(重力以外)を示す。例えば、ベースキャップ36の取り外しによって(符号2062によって示される)、又は作動ボタン52の係止解除によって(符号2064によって示される)引き起こされる加速度、振動、又は衝撃が、加速度計2012によって検出され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、処理回路2008は、加速度計2012からの信号出力を分析して、デバイス20の特定の条件又は状態を決定するか、又は特定のイベント又は措置の発生を検出し得る。例えば、処理回路2008は、出力信号を分析して、ベースキャップ36が取り外されたとき(例えば、2062での信号によって示されるように)、又は作動ボタン52が係止解除されたとき(例えば、符号2064によって示されるように)を見分け得る。処理回路2008はまた、単独、又は1つ以上の皮膚接触センサからの信号と併せてのいずれかで、加速度計2012からの信号に基づいて、分注イベントが開始又は完了したときを決定するように構成され得る。
【0084】
分注イベントが開始されると、駆動機構24が作動されて、注射器アセンブリ22を格納位置から注射位置に駆動する。この駆動運動は、加速度計2012から出力された信号で検出され得る1つ以上の加速度を与える。例えば、駆動機構24が注射器アセンブリ22を格納位置から近位方向に駆動するときに駆動機構24によって与えられる押圧力は、加速度計2012に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリ22がこの駆動運動の終了時にその注射位置でその停止位置に当たると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計2012に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。この近位又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計2012に、処理回路2008によって検出され得る第1の加速度スパイク(符号2606によって示される)を出力させ得る。この第1の加速度スパイクは、分注イベントの開始を示し得る。
【0085】
同様に、分注イベントが完了したとき、後退機構26が作動されて、注射器アセンブリ22を注射位置から後退位置に駆動する。この駆動運動は、1つ以上の加速度を与え、これも、加速度計2012から出力された信号で検出され得る。例えば、後退機構26が注射器アセンブリ22を注射位置から遠位方向に駆動するときに後退機構26によって与えられる押圧力は、加速度計2012に、長手方向軸48に沿った近位方向の加速度を検出させ得る。注射器アセンブリが後退位置に到達すると、注射器アセンブリ22の突然の停止が、加速度計2012に、長手方向軸48に沿った遠位方向の加速度を検出させ得る。この近位又は遠位加速度のいずれか(又は両方)は、加速度計2012に、処理回路2008によって検出され得る第2の加速度スパイク(符号2068によって示される)を出力させ得る。この第2の加速度スパイクは、分注イベントの完了を示し得る。本明細書に使用される際、「加速度スパイク」は、分注イベントの開始及び/又は完了を示す、加速度計又は振動センサ(例えば、圧電センサ)によって出力された加速度又は振動信号の任意のアーチファクトとして定義される。
【0086】
第7に、二次PCB84に取り付けられたIRセンサ120を使用してバレル30内の薬剤の温度を測定することに代えて(
図8及び
図9Aに図示及び説明されるように)、この実施形態の第3のセットのメインPCB2082は、メインPCB2082上に直接取り付けられた温度センサ2025を利用して、薬剤の温度を推定する。この温度センサは、処理回路2008に通信可能に又は電気的に連結され得、処理回路によって受信及び分析される温度出力信号を出力する。一例では、温度センサ2025は、PCBの遠位表面に取り付けられ、いくつかの例では、パッド2022、2023から円周方向に間隔を空けて配設される。メインPCB2082上に直接取り付けられた温度センサ2025を使用すること、二次PCB84を完全に省略することによって、この実施形態の第3のセットのメインPCB2082は、製造及び組み立てのコスト及び複雑性を低減させる。
【0087】
温度センサ2025は、限定されるものではないが、サーミスタ(例えば、負温度係数(negative temperature coefficient、NTC)サーミスタ、又は抵抗温度検出器(resistance temperature detector、RTD))、熱電対、又は半導体ベースの温度センサなどの、PCB上に取り付けられ得る複数の種類の温度センサのうちのいずれかを含み得る。温度センサ2025は、熱バラストの温度を測定するように構成及び位置付けられ得る。熱バラストは、メインPCB2082自体のシリコン基板の全て又は一部分を含み得る。代替的に、熱バラストは、メインPCB2082上に取り付けられている、他の材料(例えば、ポリマー)から構成された好適なヒートシンクを含み得る。熱バラストは、温度センサ2025と接触しているか、又はその全て若しくは一部分を取り囲み得る。
【0088】
熱バラストの材料、サイズ、形状、及び位置は、熱バラストが、バレル30内の薬剤の熱時定数(τdrug)のものを近似する熱時定数(τballast)を有するように選択され得る。本明細書及び特許請求の範囲に使用される際、本体の(熱バラストの、又はバレル30内の薬剤などの)「熱時定数(τ)」は、以下の方程式1を満たす定数であると理解されるべきである。
【0089】
【数1】
ここで
T(t)=時間tにおける本体の温度、
T
∞=身体を取り囲む(例えば大気の)媒体の周囲温度、
T
i=本体の初期温度
【0090】
言い換えると、本体の熱時定数τは、本体の温度がその環境の周囲温度に一致するように調整する速さを特徴付け、高い熱定数は、本体の温度がすばやく調整されることを意味し、低い熱定数は、本体の温度がゆっくり調整されることを意味する。それゆえに、熱バラストの熱時定数(τballast)がバレル30内の薬剤の熱時定数(τdrug)に近いとき、熱バラストの温度は、薬剤の温度と略同一の速度で周囲温度に一致するように上下すると仮定され得る。熱バラストは、メインPCB2082に取り付けられ得るため、熱バラストは、概して、バレル30の薬剤と同じ周囲温度に曝されることになる。それゆえに、処理回路2008は、熱バラストの温度を測定し、バレル30内の薬剤の温度が測定された温度に等しいと仮定することによって、バレル30内の薬剤の温度を推定し得る。したがって、この実施形態の第3のセットのメインPCB2082は、バレル30のすぐ隣に(又はバレル30と物理的に接触して)赤外線(IR)センサ又は他の種類の温度センサを位置付けることを必要とせずに、バレル30内の薬剤の温度を推定し得る。これは、製造及び組み立てのコスト及び複雑性を低減させ、デバイス20の空間及び形状因子の要件も緩和させる。
【0091】
いくつかの実施形態では、熱バラストの材料、サイズ、形状、及び/又は位置は、τballastがτdrugの10%以内になるように選択され得る。他の実施形態では、熱バラストの材料、サイズ、形状、及び/又は位置は、τballastがτdrugの5%以内になるように選択され得る。薬物の温度が高い正確性で決定されることを必要とするいくつかの実施形態では、熱バラストの材料、サイズ、形状、及び/又は位置は、τballastがτdrugの2%以内になるように選択され得る。更に他の実施形態では、熱バラストの材料、サイズ、形状、及び/又は位置は、バラスト及び薬物の両方が第1の比較的低格納温度(例えば、華氏36~46度、又は摂氏2~8度)から第2の比較的高温(例えば、室温、又は華氏65~75度、若しくは摂氏18~24度)にされるときに、バラストの温度が、常に、バレル30内の薬物の特定の度数(例えば、+/-2℃、又は+/-5℃)内にあるように選択され得る。
【0092】
図27は、デバイス20の実施形態の第3のセットによるデバイス20内の電気部品のシステムアーキテクチャ図を提供する。これらの構成要素のいくつか又は全ては、
図21A、
図21B、
図22A、及び
図22Bで既に図示されたメインPCB2082に取り付けられ得る。上述の図で既に考察され図示されたように、これらの電気部品は、処理回路2008を含み得る。いくつかの実施形態では、処理回路2008は、ブルートゥース低エネルギー(BLE)システムオンチップ(SOC)の形態をとることができる。そのようなBLE SOCは、計算回路(例えば、ミニプロセッサ又は算術論理演算装置(arithmetic logic unit、ALU))、計算回路によって実行されるプログラミング命令を記憶するために使用されるオンボードメモリ(例えば、揮発性又は不揮発性メモリなどの非一時的コンピュータ可読媒体)、及びBLEアンテナ2714を含むチップを含み得る。処理回路2008は、
図27に図示される電気部品の機能を制御及び調整するように構成される。
【0093】
実施形態の第3のセットによると、処理回路2008は、2つの手段のうちの1つで給電され得、それは、電池イネーブル回路2718を介して電池2002から電力を受信し得るか、又はそれは、電力ラッチ回路2716を介して電池2002から電力を受信し得る。電池イネーブル回路2718は、特定の条件が満たされると電池2002から処理回路2008に電力をルーティングし、それらの条件が満たされないときに処理回路2008への電力を遮断する、1つ以上の物理回路であり得る。言い換えると、電池イネーブル回路2718は、感知された条件に依存して、処理回路2008の電源投入及び電源遮断の両方を行い得る。例えば、いくつかの実施形態では、電池イネーブル回路2718は、(i)ベースキャップ36が取り外されたことをベースキャップ取り外しセンサ2010が検出すること、及び/又は(ii)メインPCB2082上に取り付けられた温度チェックボタン2001が押され、ユーザによって押し下げられて保持されていること、若しくは温度チェックボタン2001が、過去の特定の期間内、例えば、過去45分内に押されたこと、の2つの条件のうちのいずれかが満たされると、電力を処理回路2008にルーティングし得る。電池イネーブル回路2718はまた、両方の条件が満たされたときに、電力を処理回路2008にルーティングしてもよい。いくつかの実施形態では、電池イネーブル回路2718は、条件(i)又は(ii)のみを考慮し、条件(ii)又は(i)の他方は考慮しなくてもよい。電池イネーブル回路2718はまた、上で考察された条件に加えて、又はその代わりに、デバイスの配向、感知された衝撃若しくは加速度、又は温度などの他の条件を考慮するように構成されてもよい。どの条件も満たされない場合、電池イネーブル回路2718は、処理回路2008への電力を遮断するように構成され得る。
【0094】
電力ラッチ回路2716は、汎用入力/出力(GPIO)ピンを介して処理回路2008から出力信号を受信する1つ以上の物理回路であり得る。電力ラッチ回路2716は、GPIOピンを介して処理回路2008から「電力ラッチ」信号を受信すると、電池2002から処理回路2008に電力をルーティングするように構成され得る。この電力ラッチ信号は、単純な電圧ハイ又は電圧ローであってもよく、又は複数の電圧ハイ及び/又は電圧ローを含むより複雑なコード化された信号であってもよい。電力ラッチ回路2716が電力ラッチ信号を受信すると、電力ラッチ回路2716は、「ラッチ」することになり、これは、電力ラッチ回路2716が電力ラッチ信号を受信し続けるか否かにかかわらず、電池2002から処理回路2008に電力をルーティングし続けることを意味する。言い換えると、電力ラッチ回路2716がラッチされると、電池2002が尽きる(又は電池2002の予期される電池寿命を示すタイマが満了することを示す、したがって、電池2002が尽きる間近であることを示す)まで、処理回路2008への給電が継続することになる。処理回路2008は、実施形態に依存して、異なる状況下で電力ラッチ回路2716に電力ラッチ信号を送るように構成され得る。
【0095】
電池イネーブル回路2718及び電力ラッチ回路2716は、上記の機能を実施する1つ以上の物理回路の形態をとり得るが、それらはまた、処理回路によって実行されたときに上記の機能を実施する、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、不揮発性メモリ)上に記憶されたソフトウェア又はハードウェア命令の形態をとってもよい。例えば、メインPCB2082は、処理回路2008とは別個で離れており、かつ電池2002から処理回路2008に給電するときを決定する、二次低電力プロセッサを取り付けてもよい。
【0096】
処理回路2008はまた、内部集積回路(I2C)バス2724に接続され得る。I2Cバスは、次いで、NFC回路2004、1つ以上のタッチセンサ2706、加速度計2012、及び電池ゲージ2710を含む、複数の電気部品と通信可能に連結され得る。
【0097】
NFC回路2004は、NFCアンテナ及びオンボード不揮発性メモリを備え得、パッシブNFC通信及びアクティブNFC通信の両方をサポートし得る。パッシブNFC通信は、NFC回路2004が給電されていない間にNFC回路2004が外部デバイスと通信するときに発生し、NFC回路2004は、外部デバイスによって無線で提供される電力のみに頼る。アクティブNFC通信は、NFC回路2004が内部電源、例えば、電池2002によって給電されている間に外部デバイスと通信するときに発生する。NFC回路2004がアクティブNFC通信をサポートする実施形態では、NFC回路2004は、電池2002と連結され得る。NFC回路2004はまた、そのNFCアンテナを介して受信されたデータ及び/又はプログラミング命令を、パッシブ方式で、つまり電池2002によって給電されずに、そのオンボード不揮発性メモリ上に記憶するように構成され得る。
【0098】
タッチセンサ2706は、
図21B及び
図22Bに既に図示され説明されたように、容量性パッド2022及び2023の形態をとり得る。しかしながら、タッチセンサ2706はまた、
図9Bに既に図示され説明された電気抵抗センサ122、123、及び124、並びに/又は
図17Bに既に図示され説明された電気抵抗センサ1722、1723、及び1724を含む、皮膚組織との接触を検出するように構成された任意の他の種類のセンサの形態をとってもよい。言い換えると、タッチセンサ2706は、実施形態の第3のセットに関連して説明されたタッチセンサに限定されず、実施形態の第1及び第2のセットに関連して説明された皮膚接触センサ特徴のうちのいくつか又は全てを含んでもよい。
【0099】
加速度計2012は、上記のように、分注イベントの開始及び/又は完了と関連付けられた衝撃、振動、及び/又は加速度を検出するように構成された任意の回路の形態をとり得る。例えば、加速度計2012は、1つ、2つ、又は3つの軸に沿った加速度を検出するように構成された加速度計の形態をとってもよく、又は圧電振動センサの形態をとってもよい。
【0100】
電池ゲージ2710は、電池2002に格納された残りの電力を監視し、この残りの電力レベルを処理回路2008に報告する物理回路、ソフトウェア、及び/又はファームウェアであり得る。
【0101】
処理回路2008はまた、I2Cバス2724以外のチャネルを介して他の電気部品に連結されてもよい。例えば、処理回路2008は、アナログ入力ピンを介して上記の温度センサ2025と連結されてもよい。処理回路はまた、GPIOピンを介してウォッチドッグ集積回路(integrated circuit、IC)2722と連結されてもよい。ウォッチドッグIC2722は、継続的に動作しているカウンタを含む集積回路であり得る。集積回路は、カウンタが満了した場合に処理回路2008をリセット又は再始動するように構成され得る(例えば、「リセット」信号を送るか、又は処理回路2008への電力を中断することによって)。カウンタは、処理回路2008からのチェックイン信号によってリセットされてもよい。処理回路2008は、次いで、チェックイン信号をウォッチドッグIC2722に周期的に送るように構成され得る。このように構成されたウォッチドッグIC2722は、処理回路2008がプログラミングループで誤ってスタックしないようにすることを確保するのを助ける。チェックイン信号をウォッチドッグIC2722に周期的に送ることによって、処理回路2008は、誤ったプログラミングループ又はいくつかの他の障害条件でスタックしていないことを実証する。カウンタが満了するときまでにウォッチドッグIC2722が処理回路2008からチェックイン信号を受信していない場合、ウォッチドッグIC2722は、「リセット」信号を処理回路2008に送って(及び/又は電源遮断して)、処理回路2008にそれ自体を再始動させることになる。
【0102】
図28は、デバイス20の実施形態の第3のセットによる、処理回路2008が電力を受信するときに処理回路2008によって実装される例示的なプロセス2800を示すフローチャートである。この例示的な実施形態では、処理回路2008が任意の時点で電力の受信を停止すると、プロセス2800を通る全ての進行が失われる。それゆえに、処理回路2008が再び電力を受信すると、処理回路2008は、プロセス2008の開始地点、すなわち、ステップ2802で再始動する。
【0103】
プロセス2800は、電池イネーブル回路2718が処理回路2008に給電するときにステップ2802で開始する。上で考察されたように、これは、(i)ベースキャップ36が取り外されたことをベースキャップ取り外しセンサ2010が検出したとき、及び/又は(ii)メインPCB2082に取り付けられた温度チェックボタン2001が特定の期間内(例えば、過去45分以内)に押されたか、若しくはユーザによって押し下げられて保持されているときのいずれかで発生する。処理回路2008は、電力の受信を開始した後、ステップ2804に進む。
【0104】
ステップ2804では、処理回路2008は、汎用一意識別子(universal unique identifier、UUID)及び/又は薬物種類を、メモリ、例えば、不揮発性かつ非一時的コンピュータ可読媒体から読み出す。このメモリは、処理回路2008と連結又は統合された不揮発性メモリであり得、デバイス20の製造又は組み立て中にプログラムされている。いくつかの実施形態では、このメモリは、NFC回路2004と連結又は統合され得る。
【0105】
UUIDは、シリアル番号又は英数字記号の配列を含み得る。実施形態に依存して、UUIDは、特定のデバイス20、デバイス20の特定の製造ロット(例えば、特定の日に特定の組み立てラインで製造されたデバイスのバッチ)、及び/又は特定のデバイス構成に固有であり得る。UUIDはまた、デバイス20内に収容される薬剤の種類を指定し得る。代替的に、メモリは、デバイス20内に収容される薬剤の種類を指定する、UUIDとは別個のデータフィールドを記憶してもよい。いくつかの実施形態では、処理回路2008はまた、メモリから他のデータ及び/又はプログラミング命令を読み出し得る。
【0106】
このデータのいくつか又は全て(例えば、UUID、薬物種類、プログラミング命令、及び/又は他のデータ)が、製造及び組み立てプロセスを簡略化するために、処理回路2008の代わりにNFC回路2004に連結又は統合されたメモリに記憶され得る。いくつかの実施形態では、デバイス20の構成に依存して、処理回路2008と連結又は統合されたメモリをプログラミングすることは、処理回路2008が電源投入されることを必要とし得る。このプログラミング動作は、電池2002に格納されている貴重な電力を消費し得、したがって、完成されたデバイスの有効な電池寿命を短縮する。一方、NFC回路2004と連結又は統合されたメモリは、電池2002からいかなる電力も引き出すことを必要とせずに、パッシブNFC通信を介してこのデータのいくつか又は全てを用いてプログラムされ得る。したがって、電力を節約するために、処理回路2008によって実行される命令は、製造中にパッシブNFC通信を介してNFC回路2004にプログラムされ得る。次いで、処理回路2008は、電源投入されると、NFC回路2004のメモリから、記憶されたデータ/命令を読み出すように構成され得る。処理回路2008がメモリからUUID、薬物種類、及び/又は任意の他のデータ若しくはプログラミング命令を読み出した後、処理回路2008は、ステップ2805に進む。
【0107】
ステップ2805では、処理回路2008は、BLEアンテナ2714を介して、注射デバイス20のステータスを通信する無線信号を周期的にブロードキャストすることを開始する。これらの無線信号は、いくつかの実施形態では、BLEアドバタイズパケットの形態をとることができるが、他の種類の無線信号及び無線プロトコルもまた、使用され得る。この無線信号は、1秒に1回、若しくは5秒に1回など、特定の周期的間隔でブロードキャストされ得、(i)デバイスのUUID、(ii)薬物種類の指示、(iii)ベースキャップがデバイスにまだ取り付けられているか否か、ベースキャップがデバイスから取り外されたか否か、及び/若しくはベースキャップが取り外されてデバイスに再び取り付けられたか否かの指示、(iv)ベースキャップが最初に取り外されてから経過した時間量(例えば、秒単位)、(v)皮膚接触持続時間(例えば、デバイスが皮膚と接触した時間量)、(vi)投与が開始されたか否か、及び/若しくは投与が開始されて完了したか否かの指示、(vii)検出された投与開始時刻、及び/若しくは開始された投与が完了してから経過した時間量、(viii)いくつかの実施形態では、投与イベントの開始と完了との間の時間量として定義され得る投与持続時間、(ix)温度センサ2025によって感知された温度、(x)加速度計によって測定されたときのデバイス配向、(xi)温度チェックカウント、例えば、ユーザが温度チェックボタンを押した回数、(xii)投与時のデバイスの配向、(xiii)温度センサ、加速度計、皮膚接触センサ、及び/若しくはベースキャップ取り外しセンサのうちのいずれか若しくは全てに関する検出された障害若しくはエラー条件、(xiv)フィールド(i)~(xiii)のうちの1つ以上から導出若しくは計算された任意のデータ、並びに/又は(xv)デバイスによって観察若しくは測定された任意の他のデバイス若しくは周囲条件、のパラメータ又はフィールドのうちのいくつか又は全てに関するデータを含有し得る。
【0108】
これらの無線信号は、プロセス2800全体を通して処理回路2008によって周期的にブロードキャストされ得る。ステップ2805のこの時点で、無線信号に含まれるフィールドのいくつか又は全ては、処理回路2008がデバイス20のオンボードセンサからのデータの受信及び処理を開始するまで、空値又は空白であり得る。処理回路2008は、デバイス20のオンボードセンサ(例えば、ベースキャップ取り外しセンサ2010、タッチセンサ2706、加速度計2012、温度センサ2025など)から信号を受信して処理するため、送信された無線信号を継続的に更新して、デバイスの最新の状態を反映することになる。処理回路2008は、次いで、ステップ2806に移行する。
【0109】
ステップ2806では、処理回路2008は、デバイス20内に格納された薬物が、UUID、薬物種類、並びに/又は他のデータ及びプログラミング命令に基づいて温度チェックを必要とするか否かを決定する。デバイス20を通して投与され得る特定の種類の薬物は、温度チェックを必要とし得るが、一方、他の種類の薬物は、温度チェックを必要としない場合がある。格納された薬物が温度チェックを必要としない場合、処理回路2008は、ステップ2810に分岐する。薬物が温度チェックを必要とする場合、処理回路2008は、ステップ2808に分岐する。
【0110】
ステップ2808では、処理回路2008は、温度センサ2025によって測定された温度をチェックする。上記のように、この温度は、バレル30内に格納された薬剤の温度を示し得る。感知された温度は、次いで、周期的にブロードキャストされる無線信号の継続的なストリーム中に含められる。
【0111】
ステップ2812では、処理回路は、測定された温度を事前設定された閾値と比較して、測定された温度が特定の事前定義及び事前記憶された理想的な注射温度パラメータを満たすか否かを決定する。例えば、測定温度が注射の理想的な温度範囲内、例えば、華氏65~75度、又は摂氏18~24度であるとき、測定された温度は、理想的な注射温度パラメータを満たし得る。他のより単純な実施形態では、処理回路は、測定された温度が特定の最大温度閾値を下回っているか否かを決定せずに、測定された温度が特定の最小温度閾値を上回っているか(例えば、華氏65度又は摂氏18度を上回っているか)否かを単純に決定し得る。測定された温度が理想的な注射温度パラメータを満たす場合、処理回路2008は、ステップ2814に分岐し、この決定をユーザに通知するようにインジケータを設定する。そのようなインジケータは、1つ以上のLED、ライトリング、ディスプレイ上のメッセージ、又は摺動して開いて、注射デバイス本体上のメッセージ又は色を出現させるパネルを含み得る。そのようなインジケータを設定した後、処理回路2008は、ステップ2810に分岐する。測定された温度が理想的な注射温度パラメータを満たさない場合、処理回路2008は、インジケータを設定せずに、直接ステップ2810に分岐する。
【0112】
ステップ2810では、処理回路2008は、タッチセンサ2706が皮膚組織との接触を検出するかどうかを確認するためにチェックする。タッチセンサ2706が接触を検出した場合、処理回路2008は、ステップ2816に分岐する。タッチセンサ2706が接触を検出しない場合、処理回路2008は、皮膚接触が検出されるまで、ステップ2810にループバックし続ける。繰り返しになるが、処理回路2008は、タッチセンサ2706の出力に従って無線信号を自動的に更新する。
【0113】
ステップ2816では、処理回路2008は、加速度計2012の出力を読み取る。プロセス2800のいくつかの実施形態では、処理回路2008は、皮膚接触が検出されない限り、加速度計2012の出力を読み取らないか、又は評価しない。これは、皮膚接触が検出されない限り、加速度計2012がいかなる加速度信号も出力しないように、皮膚接触が検出されない限り、加速度計2012への電力を遮断することによって達成され得る。代替的に、加速度計2012は、皮膚接触が検出されない場合でも、電力を受信して加速度信号を出力してもよく、処理回路2008は、皮膚接触時刻及び持続時間をメモリにログ記録するように構成されてもよいが、皮膚接触が検出されるまで加速度計2012からの出力信号に基づいて措置を別途講じない。分注イベントが検出されたことを決定する前に皮膚接触が検出されることを必要とすることによって、処理回路2008は、分注イベントが発生していない場合に処理回路2008が分注イベントを記録する偽陽性の発生を低減する。
【0114】
ステップ2818では、処理回路2008は、加速度計2012の出力に基づいて、分注イベントが開始されて完了したか否かを決定する。この決定は、様々な手段で行うことができ、この決定を行うための例示的な論理は、
図29、
図30、
図31、及び
図32で以下に更に詳細に説明される。完了した分注イベントが検出されない場合、処理回路2008は、ステップ2810に分岐して戻る。処理回路2008が、ステップ2818で分注イベントの開始及び完了の両方が行われたことを決定した場合、処理回路2008は、分注イベントの開始及び/又は完了をメモリに記録する。処理回路2008はまた、1つ以上のLED、ライトリング、又は他の視覚及び/又は聴覚インジケータなどの、インジケータを設定することによって、分注イベントの開始及び/又は完了をユーザに通信し得る。その後、処理回路2008は、ステップ2820に分岐する。
【0115】
ステップ2820では、処理回路は、電力ラッチ回路2716に信号を送り、電力ラッチ回路2716をオンにラッチさせる。上記のように、電力ラッチ回路2716は、オンにラッチされると、電池2002が尽きるまで、電池2002から処理回路2008に電力をルーティングし続けることになる。電力ラッチ回路2716がオンにラッチされた後、処理回路2008は、ステップ2822に続く。
【0116】
ステップ2822では、処理回路2008は、投与からの時間カウンタを開始する。この投与からの時間カウンタは、一定の周期的間隔、例えば、毎秒、30秒毎、又は毎分、連続的に上方カウントする、処理回路2008の内部又は外部のカウンタであり得る。いくつかの実施形態では、投与からの時間カウンタは、処理回路2008がステップ2822に達したとき(又は電力ラッチ回路2716がステップ2820でオンにラッチされたとき)のみカウントを開始し得る。他の実施形態では、投与からの時間タイマは、処理回路2008が電力を受信した瞬間から(例えば、電池イネーブルイベント2802で)カウントを開始し、処理回路2008は、処理回路2008がステップ2822に到達したときに、投与からの時間カウンタの現在値を記録する。
【0117】
ステップ2824では、処理回路2008は、ブロードキャストされている無線信号を更新して、分注イベントが正常に開始及び完了したことを示す。上で考察されたように、無線信号は、検出された投与開始時刻、及び/又は開始された投与が完了してから経過した時間量を含み得る。処理回路2008がステップ2822に到達したときに投与からの時間カウンタがカウントを開始する実施形態では、ブロードキャストされる信号は、投与からの時間カウンタの現在値を含み得る。処理回路2008が電力を受信した瞬間から、投与からの時間カウンタが連続的に上方カウントする実施形態では、ブロードキャストされる信号は、投与からの時間カウンタの現在値と、処理回路がステップ2822に到達したときの投与からの時間カウンタの値との間の差を含み得る。
【0118】
周期的にブロードキャストされる無線信号は、モバイルデバイス1250などの外部デバイスによって受信され得る。これらの無線信号は、外部デバイスが、デバイス20の種類若しくは構成、患者に投与される薬剤の種類、投与時の薬剤の温度(若しくは薬剤の温度が、投与時に理想的な注射温度パラメータを満たしたか否か)、及び/又は薬剤が投与されてから経過した時間量を決定することを可能にする。薬剤が投与されてから経過した時間量を、現在の絶対時刻(例えば、外部デバイスと統合されたか又は通信するクロックによって決定される)から差し引くことによって、外部デバイスはまた、薬剤が投与された絶対時刻を決定し得る。例えば、薬剤が1時間前に投与されたことを示す無線信号をデバイス20から外部デバイスが受信した場合、かつ外部デバイスのクロックが現在、東部標準時で2018年12月21日の午後2時であることを示す場合、外部デバイスは、現在の絶対時刻から経過時間(1時間)を差し引くことによって、東部標準時で2018年12月21日の午後1時に薬剤が投与されたことを決定し得る。
【0119】
各ブロードキャスト後、処理回路2008は、電池ゲージ2710を介して電池2002の残りの電力レベルを監視する(ステップ2826)。処理回路2008は、次いで、残りの電力レベルを最小低電池閾値と比較する(ステップ2828)。残りの電池電力レベルが低電池閾値より大きい場合、処理回路2008は、ステップ2824に分岐して戻り、無線信号を継続してブロードキャストする。残りの電池電力レベルが低電池閾値以下である場合、処理回路2008は、無線信号をアクティブにブロードキャストし続けるには電力が間もなく不足することを決定し得る。結果として、処理回路2008は、ステップ2830に分岐する。
【0120】
ステップ2830では、処理回路2008は、その「最後の状態」をNFC回路2004に書き込む。この「最後の状態」は、(i)分注イベントが開始されて完了したこと、及び(ii)処理回路がステップ2830に到達したときの、投与からの時間カウンタの現在値(例えば、X時間、分、又は秒)を示す情報を含み得る。NFC回路2004が電池2002によって完全に給電されていないときでもNFC回路2004が問い合わせられ得るため、この「最後の状態」をNFC回路2004に書き込むことは、NFC回路2004に問い合わせることによって、外部デバイスが少なくともこれら2つの情報を依然として決定することができることを確保する。言い換えると、外部デバイスは、デバイス20が(i)薬剤のその装填分を正常に分注したこと、及び(ii)この薬剤が少なくともX時間、分、又は秒前に分注されたことを依然として決定することができることになる。
【0121】
プロセス2800は、特定のステップを再配置、削除、追加、又は再構成することによって変更され得る。例えば、いくつかの実施形態では、プロセス2800は、正常な分注イベントが検出された後まで、すなわち、ステップ2824に到達する前ではなく、無線信号をブロードキャストすることを控えるように構成され得る。分注イベントが検出される前に無線信号をブロードキャストすることを控えることによって、プロセス2800は、電池電力を節約し、また、他のデバイスも無線信号を送受信している環境での信号干渉又は混乱を最小限に抑え得る。いくつかの実施形態では、プロセス2800は、電池レベル2826を継続的にチェックしなくてもよく、タイマを代わりに使用して、「最後の状態」をNFC回路2004に書き込むとき、及びシャットダウンするときを決定し得る。そのようなタイマは、処理回路2008が最初に電源投入されてから特定の時間が経過した後、又は処理回路2008が最初に無線信号の送信を開始したときに、「最後の状態」を書き込んでシャットダウンするように処理回路2008に命令するように構成され得る。
【0122】
図29は、分注イベントが開始されて完了したか否かを決定するための論理(すなわち、プロセス2800のステップ2818)を示す例示的な回路図を図示する。この論理は、回路図として図示されて説明されているが、この論理は、ハードウェア論理回路、処理回路上で実行するソフトウェア又はファームウェア命令、又はハードウェア、ソフトウェア及び若しくはファームウェアのいくつかの組み合わせとして実装され得ることを理解されたい。
【0123】
図29に示されるように、加速度計2012からの出力信号は、コンデンサ2904及びアース2908に接続された抵抗器2906を備えるハイパスフィルタを最初に通過する。ハイパスフィルタは、重力に起因する低周波数加速度信号をフィルタ除去するように構成されるが、分注イベントの開始又は完了を示す鋭い衝撃/加速度からの高周波数信号を通過する。ハイパスフィルタの出力は、信号比較器2912の第1の入力に供給される。信号比較器2912の第2の入力は、基準電圧閾値2910に接続されている。信号比較器2912は、ローパスフィルタの出力が基準電圧閾値2910以上であるときにオン信号(例えば、電圧ハイ)を出力し、そうでない場合、信号比較器2912は、オフ信号(例えば、電圧ロー)を出力する。言い換えると、加速度スパイクが検出された場合、すなわち、加速度計2012からのハイパスフィルタ処理された信号が基準電圧閾値2910以上である場合、信号比較器2912の出力は、オンになる。そうでなければ、信号比較器2912は、オフ信号を出力する。
【0124】
信号比較器2912の出力は、ANDゲート2916の第1の入力に連結される。ANDゲート2916の第2の入力は、有効なタッチ信号2914に連結される。有効なタッチ信号2914は、タッチセンサ2706の出力に基づいてオン又はオフにされ得、オン信号は、有効な皮膚接触が検出されたことを示し得、オフ信号は、有効な皮膚接触が検出されていないことを示し得る。複数の皮膚接触センサを有するデバイス20のいくつかの実施形態は、有効なタッチ信号2914をオンにする前に、全ての皮膚接触センサが有効な皮膚接触を検出することを必要とし得る。代替的に、デバイス20のいくつかの実施形態は、有効なタッチ信号2914をオンにする前に、複数の皮膚接触センサのうちの1つ、又は複数の皮膚接触センサのうちの指定された数若しくは指定されたサブセットが、有効な皮膚接触を検出することのみを必要とし得る。それゆえに、ANDゲート2916の出力は、(i)加速度スパイクが検出される(すなわち、信号比較器2912の出力がオンである)、及び(ii)有効なタッチ信号2914が検出されるという2つの条件が満たされる場合のみオンである。条件(i)及び(ii)の両方が同時に発生することは、注射器アセンブリ22が駆動機構24によって格納位置から注射位置に駆動される分注イベントが開始されたことを示す。分注イベントが開始されたことを決定する前に条件(i)及び(ii)の両方が満たされることを必要とすることによって、この論理は、分注イベントが発生していないときに記録される、偽陽性の事例を低減する。
【0125】
ANDゲート2916の出力は、発射イベントラッチとして機能するORゲート2918の第1の入力に連結される。ORゲート2918の第2の入力は、ORゲート2918の出力に連結される。ORゲート2918の出力は、ANDゲート2916の出力がオン信号を出力するまでオフのままである。その後、ORゲート2918は、それがリセットされるまで(例えば、ORゲート2918への電力を遮断することによって)無期限にオンにとどまる。ANDゲート2916の出力がオンになった後に再びオフになった場合、ORゲート2918の出力はオンにとどまる。それゆえに、ORゲート2918は、それが「ラッチ」して発射イベント(例えば、分注イベントの開始)が検出された後に無期限にオンのままであるため、発射イベントラッチと呼ばれる。
【0126】
ORゲート2918の出力は、デバウンス回路2932に連結される。デバウンス回路2932は、(i)発射イベントラッチがON信号を出力し、分注イベントの開始が検出されたことを示すこと、及び(ii)ANDゲート2916の出力がOFF信号を出力すること、の2つの条件が満たされるまでOFF信号を出力する。言い換えると、デバウンス回路2932は、分注イベントの開始を示す第1の加速度スパイクが検出された後のみオンになり、当該第1の加速度スパイクは、通過し、もはや検出されない。両方の条件が満たされると、デバウンス回路は、リセットされるまで無期限にオンにとどまる。
【0127】
デバウンス回路2932は、インバータ2920、ANDゲート2922、及びORゲート2924を備える。ANDゲート2916の出力は、ANDゲート2922の第1の入力に渡される前に、インバータ2920によって反転される。発射イベントラッチ(ORゲート2918)の出力は、ANDゲート2922の第2の入力に渡される。それゆえに、ANDゲート2922の出力は、(i)発射イベントラッチ出力がオンであり、(ii)ANDゲート2916の出力がオフであるときにのみオンになる。ANDゲート2922の出力は、ORゲート2924の第1の入力に連結される。ORゲート2924の第2の入力は、ORゲート2924の出力に連結される。それゆえに、ORゲート2924の出力は、ANDゲート2922の出力がオンになるまでオフである。その後、ORゲート2924は、例えば、ORゲート2924への電力を遮断することによって、リセットされるまで無期限にオンにとどまる。ANDゲート2922の出力がオンになった後に再びオフになった場合、ORゲート2924の出力はオンにとどまる。
【0128】
デバウンス回路2932の出力は、ANDゲート2926の第1の入力に連結される。ANDゲート2926の第2の入力は、ANDゲート2916の出力に連結される。それゆえに、ANDゲート2926の出力は、(i)デバウンス回路2932がオンであり、分注イベントの開始を示す第1の加速度スパイクが検出され、当該第1の加速度スパイクが現在通過したことを示すこと、及び(ii)ANDゲート2916の出力がオンであり、有効な皮膚接触が検出されている間に第2の加速度スパイクが検出されたことを示すこと、の2つの条件が満たされるときにのみオンになる。この第2の加速度スパイクは、分注イベントの完了を示しており、注射器アセンブリ22は、後退機構26によって、後退運動で注射位置から後退位置まで駆動される。繰り返しになるが、後退運動を記録する前の加速度スパイクと同時に有効な皮膚接触が検出されることを必要とすることによって、この論理は、実際には後退イベントが発生していないときに後退イベントが記録される、偽陽性の事例を低減する。
【0129】
ANDゲート2926の出力は、後退イベントラッチとして機能するORゲート2928の第1の入力に連結される。ORゲート2928の第2の入力は、ORゲート2928の出力に連結される。それゆえに、ORゲート2928の出力は、ANDゲート2926の出力がオンになるまでオフのままであり、したがって、分注イベントの完了時の後退運動を示す第2の加速度スパイクが検出されたことを示す。ANDゲート2926の出力がオンになると、ORゲート2928は、ORゲート2928への電力を遮断することによってリセットされるまで(ANDゲート2926の出力がその後にオフになった場合でも)無期限にオンのままであるようにラッチされる。したがって、ORゲート2928は、後退イベント、例えば、注射器アセンブリ22が後退機構26によって注射位置から後退位置に駆動される後退運動が検出された後に無期限にオンにラッチされるため、「後退イベントラッチ」と呼ばれる。ORゲート2928の出力は、分注イベント出力信号2930に連結される。
【0130】
それゆえに、要約すると、分注イベント出力信号2930は、(i)第1の加速度スパイクが有効な皮膚接触と同時に検出され、したがって、分注イベントが開始されたことを示すこと、(ii)当該第1の加速度スパイクが通過したこと、(iii)第2の加速度スパイクが有効な皮膚接触と同時に検出され、したがって、分注イベントが完了し、後退運動が検出されたことを示すこと、の条件が満たされたときにのみ、ONになり、かつONにとどまる。これらの条件(i)~(iii)の全てが満たされると、分注イベント出力信号2930がオンにラッチし、したがって、分注イベントが開始されて完了したことの両方を示す。
図28で上で考察されたように、分注イベントが開始されて完了したことの両方を処理回路2008が決定すると、処理回路2008は、分注イベントの開始及び/又は完了をメモリに記録し、また、分注イベントの完了を通信し得る。
【0131】
図29は、加速度計の出力信号をハイパスフィルタに通し、次いで、フィルタ処理された信号を基準電圧閾値と比較する、加速度スパイクを検出する1つの例示的な手段を図示しており、加速度スパイクは、フィルタ処理された信号が基準閾値よりも大きい場合に検出される。しかしながら、上記の
図29に図示された方法の代わりに、又はそれに加えてのいずれかで、加速度スパイクを検出する他の手段もまた使用され得ることを理解されたい。
【0132】
加速度スパイクを検出するための別の例示的なプロセス3300が説明され、
図33に図示されている。ステップ3302では、処理回路2008は、C[n]で示される皮膚接触サンプルを先入れ先出し(First-In-First-Out、FIFO)バッファ内にログ記録する。処理回路2008はまた、S
raw[n]で示される、加速度計2012から出力された生の加速度計サンプルを別のFIFOバッファ内にログ記録する。この例示的なプロセス3300では、C[n]及びS
raw[n]は、離散的なデジタルサンプリングされた信号である。例えば、C[n]は、タッチセンサ2706がサンプリングされるたびに皮膚接触が検出されたか否かを表すデータを含み得る。実施形態に依存して、C[n]は、タッチセンサの各センサの各サンプリング時間の別個のサンプル、センサのいずれかが皮膚接触を検出したか否かを表す単一のサンプル、センサの全て又はサブセットが皮膚接触を検出したか否かを表す単一のサンプル、又はタッチセンサ2706のうちの1つ以上の出力から導出又は計算された他のデータを含み得る。C[n]は、接触が検出されたか否かのバイナリ指示、又は皮膚接触の確実性を示すデータを含み得る。S
raw[n]は、各時間サンプルでの加速度計2012からの出力信号を含み得る。C[n]及びS
raw[n]のサンプリングレートは、異なる実施形態によって異なり得る。例えば、C[n]は、20Hzのレートでサンプリングされ得るが、S
raw[n]は、1600Hzのレートでサンプリングされ得る。C[n]及びS
raw[n]のFIFOバッファが一杯になると、最も古いサンプルが削除されて、新しいサンプル用の空間を作製する。
【0133】
ステップ3304では、処理回路2008は、Sraw[n]をハイパス又はバンドパスフィルタなどのフィルタに通過させ、次いで、Sf[n]をフィルタ処理された信号の大きさに等しく設定することによって、フィルタ処理された加速度信号Sf[n]を計算する。いくつかの実施形態では、処理回路2008はまた、フィルタ処理された信号を更に処理して、重力の影響に起因して検出された任意の加速度を除去し得る。
【0134】
ステップ3306では、処理回路は、Sf[n]を積分することによって積分された信号Sint[n]を計算する。この積分された信号Sint[n]は、時間nの前、後、又は前及び後の両方の移動ウィンドウ内のSf[n]のある数のサンプルを合計することによって計算され得る。積分された信号Sint[n]はまた、任意選択で、Sf[n]に従って変化するスケーリング係数を使用してスケーリングされ得る。Sint[n]を計算する1つの例示的な手段が、以下の方程式1に説明される。
【0135】
【0136】
方程式1によると、Sf[n]が特定の最小加速度信号閾値Smin(例えば、3.5Gs)未満である場合、Sint[n]は、0に設定されることになる。しかしながら、Sf[n]がSminよりも大きい場合、Sint[n]は、Sf[n]の次のW個のサンプルを最初に積分すし(例えば、合計する)(例えば、Sf[n]+Sf[n+1]+Sf[n+2]...+Sf[n+W])、次いで、積分の結果にスケーリング係数を乗算することによって導出されることになる。パラメータWは、実施形態に依存して変更され得、一例として、Wは、150サンプルに設定され得る。
【0137】
スケーリング係数は、デバイス20がユーザによってどの程度緊密に把持されているかに依存して、処理回路2008がその感度を適応させることを可能にするために使用され得る。スケーリング係数は、Sf[n]の大きさに基づいて計算され得る。例えば、この実施形態では、スケーリング係数は、項Smax-Sf[n]を使用して計算され、式中、Smaxは、定数である。Smaxは、いくつかの実施形態では、加速度計2012によって測定可能な最大加速度信号(例えば、8Gs)に等しくなるように設定され得る。スケーリング係数は、処理回路2008がその感度を異なる状況で感知された加速度に適応させることを助ける。例えば、デバイス20がユーザによって緊密に把持されているとき、検出された加速度信号は、大きく減衰する可能性があり、そのような状況では、スケーリング係数は、より大きくなる。デバイス20が緩く握られているとき、検出された加速度は、それほど大きく減衰されない可能性があり、そのような状況では、スケーリング係数は、より小さくなる。スケーリング係数を計算する他の手段もまた、可能である。一般に、Sf[n]の増加がより小さいスケーリング係数をもたらす(及びその逆も同様)スケーリング係数を計算する任意の方法が使用され得る。
【0138】
ステップ3308では、処理回路2008は、以下の条件を満たす全ての時間nについて加速度スパイクを検出又はログ記録する。
(1)Sf[n]≧Smin
(2)Dmin≦Sint[n]≦Dmax
(3)nの前のサンプル数N内で、加速度スパイクが検出されない。
【0139】
条件(1)の目的は、フィルタ処理された加速度信号Sf[n]が最小閾値(例えば、3.5Gs)よりも大きいときにのみ加速度スパイクが検出されることを確保することである。
【0140】
条件(2)の目的は、積分された信号Sint[n]が特定の最小閾値Dmin(例えば、2.5)と特定の最大閾値Dmax(例えば、8)との間にあることを確保することである。値2.5及び8は、単なる例示であり、実施形態に依存して変更され得る。Sint[n]が小さ過ぎる場合(すなわち、Dmin未満)、S[n]で検出された加速度は、過剰に過渡的である、及び/又は十分に大きくなく、分注イベントの開始及び/又は完了によって引き起こされないため、加速度スパイクに対応する可能性が低い。Sint[n]が大き過ぎる場合(すなわち、Dmaxよりも大きい)場合、S[n]で検出された加速度もまた、デバイスが、大き過ぎるか又は過剰に持続し、分注イベントの開始及び/又は完成によって引き起こされない加速力を受けているため、加速度スパイクに対応する可能性は低い。そのような大きい及び/又は持続的な加速度は、代わりに、例えば、ユーザがデバイス20を硬い表面上に落とすか、又はデバイス20が取り扱い又は輸送中に押し動かされることによって引き起こされ得る。
【0141】
条件(3)の目的は、加速度スパイクが検出されると、処理回路2008が少なくともN個のサンプルについて別の加速度スパイクを探すのを停止することを確保することである。例えば、処理回路2008は、第1の加速度スパイクを検出した後、1秒間、加速度スパイクを探すことを停止するように構成され得る。これは、単一の発射又は後退イベントからのノイズ又は振動が、複数の加速度スパイクの検出をもたらす偽陽性の発生を低減させる。
【0142】
プロセス3300は、単なる例示であり、様々な手段で変更され得る。例えば、ステップ3304は、積分された信号Sint[n]がSf[n]の代わりにSraw[n]から直接計算されるように、省略されてもよい。ステップ3306は、スケーリング係数を使用せず、又は方程式1のものとは異なるスケーリング係数を使用して、Sint[n]を計算することによって変更されてもよい。ステップ3306はまた、Sf[n]がSminよりも大きい値のみならず、nの全ての値についてSint[n]を計算することによって変更されてもよい。いくつかの実施形態は、条件2においてSint[n]をスクリーニングするとき、最大閾値Dmaxのみを利用し、最小閾値Dminを利用しなくてもよい。他の実施形態は、最小閾値Dminのみを利用し、最大閾値Dmaxを利用しなくてもよい。更に、Sint[n]はまた、時間nの後のSf[n]の値を積分又は合計することに加えて、又はその代わりに、時間nに先行するSf[n]の値を積分又は合計することによって計算されてもよい。
【0143】
プロセス3300はまた、Sf[n]の現在受信された値が最近のピークを表すときにのみ、Sint[n]が、ステップ3306でSf[n]を積分(及び任意選択的にスケーリング)することによって計算されるように変更されてもよい。Sf[n]の現在受信されたサンプルは、最近のN個のサンプル(例えば、Nは、1,000個の加速度計サンプルに設定され得る)内で受信された最高のサンプルであるときに最近のピークを表す。Sf[n]が最近のピークである場合のみSintが計算されるこの要件は、Sint[n]を計算するための上記の条件、例えば、Sf[n]がSmin以上である条件に加えて、又はその代わりに課され得る。Sf[n]の最近のピーク値が受信されたときにのみSint[n]が計算されることを必要とすることによって、プロセス3300は、デバイスの落下又は衝撃による揺り返し又はその後の振動が、分注イベントの開始及び/又は完了を示す加速度スパイクとして誤認される、偽陽性の発生を低減し得る。言い換えると、最近のピーク値を表さない、それゆえに、デバイスの落下又は衝撃による揺り返し又は漸減振動を示し得るSf[n]のサンプルは、分注イベントの開始及び/又は完了を示す潜在的な加速度スパイクとしての検討に値しないとされる。いくつかの実施形態では、ステップ3306は、Sminよりも大きいが最近のピーク未満であるSf[n]の更なるサンプルが受信された場合、サンプル数Nが拡張され得るように、依然として更に変更されてもよい。これは、最近のピークを算出するときに最後のN個のサンプルのみを厳密に考慮する代わりに、最後の数個のサンプルがSminよりも大きかった場合、プロセス3300がより多くの最近のサンプルを考慮し得ることを意味する。
【0144】
加速度スパイクを検出する他の方法もまた、使用され得る。例えば、そのような加速度スパイクは、例えば、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)を使用して出力信号を処理することによって、加速度計2012によって出力された信号の周波数成分を分析することによって検出され得る。特定の周波数閾値を上回るか又は特定の周波数範囲内で加速度計出力信号の周波数成分が、事前設定された閾値を超える場合、処理回路2008は、加速度スパイクが検出されたことを決定し得る。加速度スパイクを検出する更に別の手段は、加速度計出力信号を微分することであり得る。出力信号の微分が特定の閾値より大きい大きさを有する場合、処理回路は、加速度スパイクが検出されたことを決定し得る。一般に、デバイス20が受けた鋭い衝撃又は振動を示す加速度スパイクを検出するための任意のプロセス又はアルゴリズムが、処理回路2008によって使用され得る。加速度スパイクを検出するためのこれらのプロセス又はアルゴリズムのいずれも、
図30、
図31及び
図32に図示及び説明されているプロセスで使用され得る。
【0145】
図30は、実施形態の第3のセットによる、分注イベント(例えば、プロセス2800のステップ2818)の開始及び完了を検出するために処理回路2008によって実装され得る別の例示的なプロセス3000を示すフローチャートである。プロセス3000は、
図29に例示される論理と同様であり得るが、特定の点で異なり得る。
【0146】
ステップ3002で開始した後、処理回路2008は、ステップ3004に分岐し、少なくとも1つの皮膚接触センサ(例えば、少なくとも1つ、指定された数、指定されたサブセット、又はタッチセンサ2706の全て)が皮膚との接触を検出しているか否かを評価する。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3006に分岐し、処理回路は、加速度計2012によって出力された加速度信号を読み取るか又は分析して、加速度スパイクを検出する。否定である場合、処理回路2008は、皮膚接触が検出されるまで継続的にステップ3004にループバックする。処理回路2008は、皮膚接触が検出されるまで、加速度計2012によって出力された信号を読み取らないか又は分析しないため、偽陽性が低減する。繰り返しになるが、これは、皮膚接触が検出されない限り、加速度計2012がいかなる信号も出力しないように、加速度計2012への電力を遮断することによって達成され得る。代替的に、加速度計2012は、皮膚接触が検出されない場合でも、電力を受信して処理回路2008に加速度信号を出力してもよいが、処理回路2008は、皮膚接触が検出されない限り、ステップ3006に進まないように構成され得る。
【0147】
ステップ3006では、処理回路2008は、加速度計2012によって出力された加速度信号を読み取るか又は分析して、加速度スパイクを検出する。これは、上記の加速度スパイクを検出するためのプロセス又は方法のいずれかを使用して行われ得る。加速度計出力信号を分析した後、処理回路2008は、ステップ3008に分岐し得る。
【0148】
ステップ3008では、処理回路2008は、皮膚接触が検出されている間に第1の加速度スパイクが検出されたか否かを決定する。否定である場合、処理回路2008は、ステップ3004に分岐して戻る。肯定である場合、処理回路は、ステップ3010に分岐し、処理回路2008は、第1の加速度スパイクが分注イベントの開始によって引き起こされた可能性が高いことを決定する。それゆえに、処理回路2008は、メモリにインジケータを設定することによって、又は論理回路を設定することによって、分注イベントの開始を記録し、ステップ3012に進む。
【0149】
ステップ3012では、処理回路2008は、少なくとも1つの皮膚接触センサ(例えば、少なくとも1つ、指定された数、指定されたサブセット、又はタッチセンサ2706の全て)が皮膚との接触を検出しているか否かを再び評価する。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3014に分岐する。否定である場合、処理回路2008は、皮膚接触が検出されるまで継続的にステップ3012にループバックする。繰り返しになるが、処理回路2008は、皮膚接触が検出されるまで、加速度計2012からのいかなる信号出力も読み取らないか、又は評価しない。
【0150】
ステップ3014では、処理回路は、加速度計2012によって出力された加速度信号を再び読み取るか又は分析して、加速度スパイクを検出する。この分析は、上で考察された方法のいずれかを使用して実施され得る。
【0151】
ステップ3016では、処理回路2008は、皮膚接触が検出されている間に第2の加速度スパイクが検出されたか否かを決定する。否定である場合、処理回路2008は、ステップ3012に分岐して戻る。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3018に分岐し、処理回路2008は、第2の加速度スパイクが分注イベントの完了時の後退運動によって引き起こされた可能性が高いことを決定する。それゆえに、処理回路2008は、分注イベントの完了を記録し、ステップ3020に進む。
【0152】
ステップ3020では、処理回路2008は、分注イベントの開始及び完了をログ記録及び/又は通信する。これは、上記のように、分注イベントをメモリに記録すること、及び/又は分注イベントの完了を通知する無線信号をブロードキャストすることによって行われ得る。代替的に又は追加的に、処理回路2008は、1つ以上のLEDを点灯又は消灯することによって、音を発することによって、又は任意の他の視覚、触覚又は聴覚インジケータを介して、ユーザに分注イベントが完了したことを示し得る。
【0153】
図31は、実施形態の第3のセットによる、分注イベント(例えば、プロセス2800のステップ2818)の開始及び完了を検出するために処理回路2008によって実装され得る別の例示的なプロセス3100を示すフローチャートである。プロセス3100は、
図29及び30に例示される論理と同様であり得るが、特定の点で異なり得る。特に、プロセス3100は、タイマを使用して、第1の加速度スパイクが検出された後、分注イベントが完了したことを決定される前に、第2の加速度スパイクが、事前設定された時間内に検出されることを確保する。第2の加速度スパイクが事前設定された時間内に検出されない場合、処理回路2008は、第1の加速度スパイクを無視又は削除する。プロセス3100はまた、
図29及び
図30で考察された動作の順序を逆にして、少なくとも1つのタッチセンサ2706からの皮膚接触を継続的に監視して、皮膚接触が検出された場合のみ、加速度計2012からの信号を読み取る/評価するのではなく、プロセス3100は、代わりに、加速度スパイクについて加速度計2012からの信号を連続的に読み取り/評価し、加速度スパイクが検出された場合、少なくとも1つのタッチセンサ2706からの信号のみを読み取る/評価する。
【0154】
ステップ3102で開始した後、処理回路2008は、ステップ3104に進み、任意の皮膚接触が検出されたか否かにかかわらず、加速度計2012からの信号出力を連続的又は周期的に読み取る、監視する、及び/又は評価する。これは、皮膚接触が検出されるまで、処理回路が加速度計2012からの信号の読み取り、監視、評価を行わない、
図30で上で説明された論理とは異なる。処理回路2008は、上で考察された技術のいずれかを使用して、加速度スパイクについて加速度計2012からの信号を分析し得る。第1の加速度スパイクが検出されると、処理回路2008は、ステップ3105に進む。処理回路2008はまた、任意選択的に、この第1の加速度スパイクの発生をメモリにログ記録し得る。
【0155】
ステップ3105では、処理回路2008は、第1の加速度スパイクが検出されたときに、少なくとも1つの皮膚接触センサ(例えば、少なくとも1つ、指定された数、指定されたサブセット、又はタッチセンサ2706の全て)が皮膚接触を検出したか否かを決定する。否定である場合、処理回路2008は、ステップ3108に分岐し、第1の加速度スパイクを無視するか、又は第1の加速度スパイクの発生をログ記録しているメモリ記録を削除し、次いで、ステップ3104に分岐して戻る。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3106に分岐する。
【0156】
ステップ3106では、処理回路2008は、第1の加速度スパイクが分注イベントの開始によって引き起こされたことを決定し、注射器アセンブリ22は、駆動機構24によって格納位置から注射位置に駆動される。処理回路2008はまた、事前設定された持続時間、例えば、指定された秒数からカウントダウンするタイマを開始する。タイマを開始した後、処理回路2008は、ステップ3110に進む。
【0157】
ステップ3110では、処理回路2008は、タイマが満了したか否かを決定する。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3108に分岐する。否定である場合、処理回路2008は、ステップ3112に進む。
【0158】
ステップ3112では、処理回路2008は、任意の皮膚接触が検出されたか否かにかかわらず、第2の加速度スパイクについて加速度計2012からの信号出力を連続的又は周期的に読み取る、監視する、及び/又は評価する。第2の加速度スパイクが検出されない場合、処理回路2008は、ステップ3110に戻り、タイマが満了したか否かを評価する。第2の加速度スパイクが検出された場合、処理回路2008は、ステップ3114に分岐する。処理回路2008はまた、任意選択的に、この第2の加速度スパイクの発生をメモリにログ記録し得る。したがって、処理回路2008は、タイマが満了する(その場合、処理回路2008は、ステップ3108に分岐する)か、又は第2の加速度スパイクが検出される(その場合、処理回路2008は、ステップ3114に分岐する)かのいずれかまで、ステップ3110と3112との間を前後にループし続ける。
【0159】
ステップ3114では、処理回路2008は、第2の加速度スパイクが検出されたときに、少なくとも1つの皮膚接触センサ(例えば、少なくとも1つ、指定された数、指定されたサブセット、又はタッチセンサ2706の全て)が皮膚接触を検出したか否かを決定する。否定である場合、処理回路2008は、ステップ3116に分岐し、第2の加速度スパイクを無視するか、又は第2の加速度スパイクの発生をログ記録しているメモリ記録を削除し、次いで、ステップ3110に分岐して戻る。肯定である場合、処理回路2008は、ステップ3118に分岐する。
【0160】
ステップ3118では、処理回路2008は、第2の加速度スパイクが分注イベントの完了時の後退運動によって引き起こされたことを決定する。処理回路2008は、次いで、タイマを停止し、分注イベントの開始及び完了をメモリにログ記録する、及び/又は分注イベントの開始及び/又は完了を外部デバイス又はユーザに通信する。
【0161】
図32は、実施形態の第3のセットによる、分注イベント(例えば、プロセス2800のステップ2818)の開始及び完了を検出するために処理回路2008によって実装され得る更に別の例示的なプロセス3200を示すフローチャートである。プロセス3200は、
図29、
図30及び
図31に例示される論理と同様であり得るが、特定の点で異なり得る。特に、プロセス3200は、分注イベントが開始されて完了したことを決定する前に、2つの加速度スパイクが特定の時間窓内に収まるという要件を課す。プロセス3200はまた、分注イベントが正常に開始されて完了したことを決定する前に、第1及び第2の加速度スパイクの間の期間中に、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚接触を検出することを必要とする。
【0162】
ステップ3202で開始した後、処理回路2008は、ステップ3204に進み、加速度スパイクについて、加速度計2012からの信号出力を継続的に読み取る、監視する、及び/又は評価する。処理回路2008は、上で考察された技術のいずれかを使用して、加速度スパイクを検出するために加速度計2012からの信号を分析し得る。
【0163】
ステップ3206では、処理回路2008は、指定された時間窓内に収まる2つの加速度スパイクが検出されたか否かを決定する。肯定である場合、処理回路は、ステップ3212に分岐し、否定である場合、処理回路2008は、ステップ3204に分岐して戻る。例えば、処理回路2008は、最小時間閾値Tmin(例えば、1秒)以上離れて発生した2つの加速度スパイクが検出された場合のみ、ステップ3212に分岐し得る。代替的に、又は追加的に、処理回路2008は、最大時間閾値Tmax(例えば、5~10秒)以下の時間離れて発生した2つの加速度スパイクが検出された場合のみ、ステップ3212に分岐し得る。いくつかの実施形態では、時間窓は、最大時間閾値Tmaxのみを含み、最小時間閾値を含まなくてもよい。言い換えれば、最小時間閾値Tminは0秒に設定されてもよい。
【0164】
ステップ3212では、処理回路2008は、第1及び第2の加速度スパイクの間の期間中に、少なくとも1つの皮膚接触センサ(例えば、少なくとも1つ、指定された数、指定されたサブセット、又はタッチセンサ2706の全て)が皮膚接触を検出したか否かを決定する。皮膚接触を評価するためのいくつかの例示的な基準が以下に列記される:
(1)第1及び第2の加速度スパイクの間の全期間中に検出された皮膚接触。
(2)第1及び第2の加速度スパイクの間のいくつかの時点で、ただし短時間、検出された皮膚接触。
(3)第1及び第2の加速度スパイクの間のいくつかの時点の指定された持続時間、例えば、1~3秒、又は第1及び第2の加速度スパイクの間の期間の50~100%の間、検出された皮膚接触。
(4)第1の加速度スパイク時のみ、ただし短時間、検出された皮膚接触。
(5)第1の加速度スパイク時に指定された期間、検出された皮膚接触
(6)第2の加速度スパイク時のみ、ただし短時間、検出された皮膚接触
(7)第2の加速度スパイクまで指定された期間、検出された皮膚接触
【0165】
実施形態に依存して、処理回路2008は、上記に列記された基準(1)~(7)のうちのいずれか1つ以上に対して、任意の検出された皮膚接触を評価し得る。例えば、処理回路2008は、最近感知された皮膚接触の時間及び/又は持続時間のログ又はバッファをメモリ内に維持し、次いで、ステップ3212でこのログを調べて、適用可能な基準を満たす皮膚接触が存在したか否かを決定する。処理回路が、適用可能な基準を満たす皮膚接触を検出した場合、処理回路2008は、ステップ3216に分岐する。適用可能な基準が満たされていない場合、処理回路2008は、ステップ3204に分岐する。
【0166】
ステップ3216では、処理回路2008は、第1の加速度スパイクが分注イベントの開始によって引き起こされたこと、及び第2の加速度スパイクが分注イベントの完了時の後退運動によって引き起こされたことを決定する。処理回路2008は、次いで、分注イベントの開始及び完了をメモリにログ記録する、及び/又は分注イベントの開始及び/又は完了を外部デバイス又はユーザに通信する。
【0167】
プロセス3000(
図30)、3100(
図31)、及び3200(
図32)の各々は、これまで、デバイス20内の処理回路2008によって実装されるものとして説明されてきた。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらのプロセスの各々のステップのうちのいくつか又は全てのステップは、外部デバイス1250(
図12参照)のプロセッサ1252などの、デバイス20とは別個の外部デバイスの処理回路によって、又はそれらと協調して実施されてもよい。例えば、プロセス3000、3100、及び3200の各々のいくつか又は全てのステップは、モバイルデバイス(例えば、スマートフォン又はポータブルコンピュータ)内のプロセッサ、又は皮膚接触データ及び加速度計データをデバイス20から受信するサーバによって実施されてもよい。そのような皮膚接触及び加速度計データは、皮膚接触センサ2706及び/又は加速度計2012から出力された測定又は信号から導出され得、デバイス20と外部デバイスとの間の無線通信リンクを介して、又はネットワーク通信リンク(例えば、インターネット又はセルラネットワークによる)を介して受信され得る。外部デバイスは、次いで、分注イベントの完了をメモリ内又はレポート内にログ記録し、分注イベントをユーザに通知及び/若しくは通信するか、又は分注イベントの完了に基づいて他の措置若しくはステップを実施し得る。外部デバイスによって実施されるステップは、例えば、データがデバイス20によって測定されているときにリアルタイムに実施されてもよく、又は皮膚接触及び加速度計データがデバイス20によって測定されて記録された後のある時間(例えば、数時間、数日、又は数年)に実施されてもよい。
【0168】
デバイス20の実施形態の第3のセットの上記の説明は、この実施形態の第3のセットと上記の実施形態の第1及び第2のセットとの間の差異を説明するが、実施形態の第3のセットもまた、実施形態の第1及び第2のセットのいずれかに存在する特徴、及び他の特徴を含み得ることを理解されたい。例えば、この実施形態の第3のセットの特定の実施形態は、実施形態の第1のセットの二次PCB84を含んでもよく、これは、そこに取り付けられているように上記に説明されたセンサのうちのいくつか又は全てを含む。この実施形態の第3のセットの特定の実施形態はまた、実施形態の第2のセットの近位に延在するアーム1710a、1710bを含んでもよい。
【0169】
図34は、薬剤注射デバイス20を使用するためのユーザステップの例示的なシーケンス3400を示す。この例示的なシーケンス3400は、本明細書に説明されるデバイス20の実施形態の第1、第2、又は第3のセットのいずれにも適用され得る。デバイス20は、格納された薬剤を劣化から保護するために、格納環境(例えば、冷却庫)内で、デバイスがより低温の格納温度(例えば、華氏36~46度、又は摂氏2~8度)に保たれる、ステップ3402で開始し得る。
【0170】
ステップ3404では、ユーザは、デバイス20を格納環境から取り出す。
【0171】
ステップ3406では、ユーザは、任意選択的に、温度チェックボタンを押して、デバイス20上の処理回路を起動させ、その温度を検出させ得る。実施形態の第1のセットに属するデバイスについて、これは、ボタンを押して処理回路108を起動させ、IRセンサ120を読み取らせることによって行われ得る。実施形態の第3のセットに属するデバイスについて、これは、温度チェックボタン2001を押すことと、処理回路2008に温度センサ2025を読み取らせることとによって行われ得る。
【0172】
ステップ3408では、デバイス20上に取り付けられた1つ以上のLEDは、温度ステータスを示すために点灯又は点滅し得、したがって、デバイス20内に格納された薬剤が投与のために理想的な温度範囲(例えば、室温で、又は華氏65~75度、若しくは摂氏18~24度)以内にあるか否かをユーザに示す。温度チェックを必要としない薬物について、ステップ3406及び3408は、スキップされ得る。
【0173】
ステップ3410では、デバイス20は、更なる活動が検出されない場合、電池電力を節約するために、スリープに戻り得る。デバイス20は、その電気部品のいくつか又は全てを電源遮断するか、又はその部品のうちのいくつかを低電力モードで動作させることによって、スリープに入り得る。例えば、いくつかの実施形態では、デバイス20は、その処理回路への電力を遮断することによってスリープになる。いくつかの場合、電力は、ユーザが温度チェックボタンを離した瞬間に処理回路から遮断されてもよい。他の場合、電力は、ユーザが温度チェックボタンを離した後、一定の事前設定された時間(例えば、数秒又は数分)内で、処理回路から遮断されてもよい。他の電気部品、例えば、LED及び/又はセンサもまた、電力を節約するために電源遮断されてもよい。
【0174】
ステップ3412では、デバイス20は、ユーザがベースキャップ36を取り外すときを検出する。実施形態の第3のセットに属するデバイスについて、デバイス20は、ベースキャップ取り外しセンサ2010を使用してベースキャップ36が取り外されたことを検出し得る。この措置は、例えば、その処理回路に電源投入することによって、デバイス20を再び起動させる。
【0175】
ステップ3414では、ユーザは、デバイス20を自身の身体(例えば、ユーザの腹部)に押し付け、デバイス20の遠位端の作動ボタン52を係止解除して押下することによってデバイスを作動させる。作動ボタン52を係止解除して押下することは、駆動機構24に、注射器アセンブリ22を格納位置から注射位置に駆動させる。実施形態の第3のセットのデバイスについて、デバイス20は、ユーザの皮膚との接触、及び注射器アセンブリ22の運動と関連付けられた加速度スパイクを感知する。上で考察されたように、これらの2つの感知されたパラメータは、分注イベントの開始を示すようにデバイス20によって解釈され得る。
【0176】
ステップ3416では、後退機構26は、分注イベントの終了時に注射器アセンブリ22を注射位置から後退位置に駆動する。実施形態の第3のセットのデバイスについて、デバイス20は、ユーザの皮膚との接触、及び注射器アセンブリ22の後退運動と関連付けられた加速度スパイクを感知する。上で考察されたように、これらの2つの感知されたパラメータは、分注イベントの完了を示すようにデバイス20によって解釈され得る。
【0177】
ステップ3418では、デバイス20は、デバイスの本体上に取り付けられた1つ以上のLEDを点灯させて、分注イベントが正常に開始されて完了したことをユーザに示す。
【0178】
ステップ3420では、デバイス20は、注射データを繰り返しブロードキャストする。このデータは、外部デバイス(例えば、モバイルデバイス1250)によって受信され、分注イベントが正常に開始されて完了したこと、分注イベントが完了してから経過した時間量、デバイス20の種類及び/若しくは構成、投与される薬剤の種類、又はデバイス20によって感知及び/若しくは記憶される任意の他のデータ若しくはパラメータを示し得る。外部デバイス上で動作しているアプリケーションは、任意選択的に、肯定応答メッセージを送ることによって、デバイス20へのデータの受信を確認し得る。
【0179】
ステップ3422では、デバイス20は、任意の適切な様態、例えば、図示されているように鋭利物容器内に処分され得る。
【0180】
開示される注射デバイスのユーザは、デバイスを動作させる上での様々なレベルの習熟度及び/又は経験を有し得る。デバイスを動作させる際の高いレベルの習熟度及び/又は経験を有するユーザは、開示されるデバイスを使用して薬剤を分注する際に、より少ない指示及び/又は監督を必要とし得る。逆に、デバイスを動作させる際の低いレベルの習熟度及び/又は経験を有するユーザは、追加の使用説明及び/又は監督を必要とし得る。しかしながら、より長い及び/又はより詳細な使用説明を全てのユーザに提供することは、高レベルの習熟度及び/又は経験を有するユーザを苛立たせる、又は疲労させ得る。同様に、習熟度及び/又は経験レベルにかかわらず、全てのユーザに対して介護者からの強化された監督を提供することは、そのような監督が経験のあるユーザには必要とされない場合があるため、不必要に費用がかかる場合がある。必要とされるのは、本明細書に開示される注射デバイスを正しく動作させる際のユーザの習熟度及び/又は経験のレベルを決定する方法である。この決定は、本明細書に開示される注射デバイス、そのような注射デバイスと通信するモバイルデバイス、及び/又は介護者が、補助的な使用説明、監督、及び/又は訓練を、そのような使用説明又は訓練を必要とするユーザにのみ提供することを可能にし得る。また、必要されるのは、開示される注射デバイスを動作させる際のユーザの習熟度及び/又は経験のレベルが経時的にどのように変化するかを評価する方法である。複数回の使用により、ユーザは、開示されるデバイスを用いてユーザの習熟度を改善することが期待され得る。特定のユーザが、開示されるデバイスを使用する際の習熟度を経時的に改善しない場合、又は他のユーザが改善するのと同じくらい迅速に改善しない場合、介護者は、そのようなユーザに補助的な使用説明、監督、及び/又は訓練を提供し得る。代替的に又は追加的に、ユーザが習熟度を経時的に改善しない場合、又はデバイスを動作させる際に特定の一般的に繰り返される誤りを示す場合、そのような送達デバイスの介護者、製造者、設計者、販売者、及び/又は支払者は、デバイスを再設計し、及び/又は使用のための修正又は補足された使用説明を提供し得る。
【0181】
図35~
図40は、本明細書に開示される注射デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度及び/又は経験を有するかどうかの洞察を得るための種々の例示的なプロセスを図示する。これらのプロセスのうちのいくつか又は全てはまた、注射デバイスの特定の潜在的な誤用を検出するために使用され得る。各プロセスは、1つ以上の処理回路上で実装され得る。1つ以上の処理回路は、注射デバイス(例えば、デバイス20内の処理コア1208、
図12参照)上に全体的に、注射デバイスと無線通信している外部デバイス(例えば、通信リンク1232及び/又は1234を介してデバイス20と無線通信している外部デバイス1250上のプロセッサ1252、
図12を参照)上に完全に配設され得、又は注射デバイスと外部デバイスとの両方の間に分散され得る。1つ以上の処理回路が注射デバイスと外部デバイスとの間に分散される実施形態では、各プロセスのあるステップは、注射デバイス上で実装されてもよく、一方、プロセスの他のステップは、外部デバイス上で実装されてもよい。いくつかの実施形態では、各プロセスのあるステップ又は全てのステップはまた、注射デバイス及び外部デバイスの両方上の処理回路によって共同で実行されてもよい。
図35~
図40に示されるプロセスは、独立して、次々に連続して、又は互いに並行して実行又は実装され得る。
【0182】
図35は、本明細書に開示される注射デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための例示的なプロセス3500を図示するフローチャートである。プロセス3500は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときと、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときとの間に経過する時間の量を測定する。測定された時間量が閾値持続時間よりも大きい場合、プロセス3500が実装される1つ以上の処理回路は、ユーザが比較的低いレベルの習熟度又は経験を有する可能性があることを示すユーザ指示信号を生成し得る。
【0183】
プロセス3500は、薬物送達デバイスが提供されるステップ3502で開始する。好適な薬物送達デバイスの一例は、本明細書に開示されるその実施形態のうちのいずれかを含む、デバイス20である。提供される薬物送達デバイスは、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングを備える。薬物送達デバイスは、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射器アセンブリを格納位置から、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出する注射位置へ移動させるように構成された駆動機構とを含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるように、薬物送達デバイスはまた、注射器アセンブリを注射位置から後退位置に移動させるように構成された後退機構を任意選択で備え得る。
【0184】
薬物送達デバイスは、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサを更に含み得る。好適な皮膚接触センサは、本明細書で考察されるように、抵抗センサ及び容量センサの両方を含む。
【0185】
薬物送達デバイスはまた、デバイスハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、前注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサを含み得る。いくつかの実施形態では、注射器アセンブリセンサは、磁石25(
図11参照)によって生成される磁場を検出又は測定するように構成された磁力計112及び/又は118など、注射器アセンブリのバレルの長手方向軸に沿って摺動するピストンの位置を決定するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。他の実施形態では、注射器アセンブリセンサは、注射器アセンブリの位置を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。そのような注射器アセンブリセンサの好適な例は、マイクロスイッチセンサ116(
図9A参照)及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710(
図17A、
図17B、
図19、
図20参照)を含む。更に他の実施形態では、注射器アセンブリセンサは、注射器アセンブリが格納位置から注射位置へ、又は注射位置から後退位置へ移動するときに注射器アセンブリによって引き起こされる加速度を検出するように構成された1つ以上のセンサを含み得る。そのような注射器アセンブリセンサの好適な一例は、加速度計2012(
図21A参照)を含む。
【0186】
ステップ3504において、処理回路は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときを決定する。本明細書で詳細に考察されるように、皮膚接触センサは、異なる方法で、例えば、2つ以上の端子間の電気抵抗を測定すること、及び/又は電気容量を測定することによって、皮膚組織との接触を検出し得る。いくつかの実施形態では、ステップ3504は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出する時点に対応するタイムスタンプをメモリに記録することを含み得る。代替的に又は追加的に、ステップ3504は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときにタイマを始動させることを含み得る。
【0187】
ステップ3506において、処理回路は、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときを決定する。この決定は、注射器アセンブリのバレル内のピストンの位置又は運動に基づいて行われ得る。例えば、処理回路は、ピストンが注射器アセンブリの長手方向軸に沿って近位方向に摺動し始めることを注射器アセンブリセンサが検出するとき、又は注射器アセンブリが薬剤で満たされているときにピストンがその初期位置に対して近位の位置を占めるときに、注射器アセンブリが分注イベントを開始したと決定してもよい。ピストンの位置及び/又は運動は、磁力計112及び/又は118(
図11参照)を使用して決定され得る。代替的に又は追加的に、この決定は、注射器アセンブリ全体の位置又は運動に基づいて行われ得る。例えば、処理回路は、注射器アセンブリが格納位置から注射位置へ移動したことを注射器アセンブリセンサが検出するときに、注射器アセンブリが分注イベントを開始したと決定してもよい。この運動は、マイクロスイッチセンサ116(
図9A参照)及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710(
図17A、
図17B、
図19、
図20参照)など、本明細書に開示されるセンサ又は方法のうちのいずれかを使用して検出されてもよい。いくつかの実施形態では、加速度計(加速度計2012など、
図21A参照)を使用して、注射器アセンブリが格納位置から注射位置へ移動又は駆動されるときに注射デバイスに加えられる衝撃を検出することができる。任意選択で、皮膚接触センサを加速度計と併せて使用して、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときを決定する際の更なる正確度を提供することもでき、加速度計と併せて皮膚接触センサを使用して分注イベントの開始及び/又は完了を検出する実施形態は、
図28~
図32に関連して上記で考察されている。いくつかの実施形態では、ステップ3506は、注射器アセンブリが分注イベントを開始した時点に対応するタイムスタンプをメモリに記録することを含み得る。代替的に又は追加的に、ステップ3506は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときに始動されたタイマを停止することを含み得る。
【0188】
ステップ3508において、処理回路は、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出したときと、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときとの間の第1の持続時間を測定する。この測定は、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときに対応するタイムスタンプから1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときに対応するタイムスタンプを減算することによって行われてもよい。代替的に又は追加的に、ステップ3508は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときに始動され注射器アセンブリが分注イベントを開始したときに停止されたタイマの値を読み出すことを含み得る。
【0189】
ステップ3510において、処理回路は、第1の持続時間を第1のあらかじめプログラムされた閾値持続時間(例えば、1秒、3秒、5秒)と比較する。ステップ3512において、第1の持続時間が第1の閾値持続時間よりも大きいとき、処理回路は、第1のユーザ指示信号を生成し得る。ユーザ指示信号は、薬物送達デバイスのユーザが薬物送達デバイスの動作に関して比較的低いレベルの習熟度及び/又は経験を有する可能性があることを示し得る。これは、薬物送達デバイスの経験豊富な又は熟練したユーザが、送達デバイスを皮膚組織に当てて配置した直後に分注イベントを開始することが予想され得るためである。ユーザがデバイスを皮膚に当てて配置した後に分注イベントの開始を遅らせたという事実は、ユーザが、デバイスが適切に配置されたかどうかのチェック及び二重チェック、送達デバイスを使用するための使用説明の再読み取り、及び/又は分注イベントを開始するためのデバイスのロック解除に過度の時間を費やしたことを示し得る。いくつかの実施形態では、第1のユーザ指示信号は、第1の持続時間が第1の閾値持続時間より大きい場合にのみ生成されてもよい。
【0190】
図36は、本明細書に開示される注射デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための別の例示的なプロセス3600を図示するフローチャートである。具体的には、プロセス3600は、注射デバイスが分注イベントを完了したときをユーザが決定することができるかどうかの指示を生成する。本明細書に開示される注射デバイスのうちのいくつかは、分注イベントが完了したときをユーザが知ることを可能にする機械的特徴を組み込む。例えば、分注イベントの終了時に注射器アセンブリが注射位置から後退位置に移動するとき、ユーザは、注射器アセンブリの運動からの衝撃を自分の手で感じることができるとともに、注射器アセンブリの運動からの可聴クリック音を聞くことができる。デバイスハウジングの全部又は一部が透明である実施形態では、ユーザは、注射器アセンブリが注射位置から後退位置に移動するとき、注射器アセンブリの運動を視覚的に見ることが可能であり得る。前述の機械的インジケータのうちのいずれかを見る、聞く、及び/又は感じることができる経験豊富な又は熟練したユーザは、分注イベントが完了した直後に注射部位から注射デバイスを取り外すことが予想され得る。ユーザが、分注イベントが完了した後のある期間内に注射部位を移動させない場合、これは、ユーザが、前述の機械的インジケータを見る、聞く、及び/又は感じることができない(例えば、感覚の鋭敏さの低下に起因して)こと、前述の機械的インジケータのうちのいずれかを探すことを知らないこと、又は前述のインジケータが分注イベントが完了したことを示すことを知らないことのいずれかを示し得る。
【0191】
プロセス3600は、処理回路が、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときを決定するステップ3614において開始する。この決定は、注射器アセンブリのバレル内のピストンの位置又は移動に基づいて行われ得る。例えば、処理回路は、ピストンが注射器アセンブリのバレルに沿った近位方向の運動を完了したことを注射器アセンブリセンサが検出するとき、又はピストンが分注イベントの完了を示すバレルに沿った位置を占めるときに、注射器アセンブリが分注イベントを完了したと決定してもよい。代替的に又は追加的に、この決定は、注射器アセンブリ全体の位置又は運動に基づいて行われ得る。例えば、処理回路は、注射器アセンブリが注射位置から後退位置へ移動したことを注射器アセンブリセンサが検出するときに、注射器アセンブリが分注イベントを完了したと決定してもよい。注射器アセンブリのこの運動は、マイクロスイッチセンサ116(
図9A参照)及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710(
図17A、
図17B、
図19、
図20参照)など、本明細書に開示されるセンサ又は方法のうちのいずれかを使用して検出されてもよい。いくつかの実施形態では、加速度計(加速度計2012など、
図21A参照)を使用して、注射器アセンブリが注射位置から後退位置へ移動又は駆動されるときに注射デバイスに加えられる衝撃を検出することができる。任意選択で、前述のように、皮膚接触センサを加速度計と併せて使用して、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときを決定する際の更なる正確度を提供することもできる。いくつかの実施形態では、ステップ3614は、注射器アセンブリが分注イベントを完了した時点に対応するタイムスタンプをメモリに記録することを含み得る。代替的に又は追加的に、ステップ3614は、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときにタイマを始動させることを含んでもよい。
【0192】
ステップ3616において、処理回路は、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止するときを決定する。処理回路は、皮膚接触センサが皮膚接触が検出されている状態から皮膚接触が検出されていない状態に移行するときを検出することによって、上記の決定を行うことができる。いくつかの実施形態では、ステップ3616は、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止する時点に対応するタイムスタンプをメモリに記録することを含み得る。代替的に又は追加的に、ステップ3616は、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときにタイマを停止させることを含んでもよい。
【0193】
ステップ3618において、処理回路は、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときと、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止するときとの間の第2の持続時間を測定する。この測定は、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止するときに対応するタイムスタンプから、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときに対応するタイムスタンプを減算することによって行われてもよい。この減算動作は、注射デバイス上、又は注射デバイスと無線通信するモバイルデバイス上のいずれかで実装され得る。いくつかの実施形態では、この測定は、ステップ3614で開始され、ステップ3616で停止されたタイマの値を単に読み取ることによって行われてもよい。
【0194】
ステップ3620において、処理回路は、第2の持続時間を第2のあらかじめプログラムされた閾値持続時間(例えば、1秒、3秒、5秒、10秒)と比較する。ステップ3622において、第2の持続時間が第2の閾値持続時間よりも大きいとき、処理回路は、第2のユーザ指示信号を生成し得る。第2のユーザ指示信号は、薬物送達デバイスのユーザが、分注イベントの完了に伴い得る機械的インジケータのうちのいずれも見ること、聞くこと、及び/若しくは感じることができないこと、並びに/又はユーザが前述の機械的インジケータの重要性を認識しないことを示し得る。いくつかの実施形態では、第2のユーザ指示信号は、第2の持続時間が第2の閾値持続時間より大きい場合にのみ生成されてもよい。他の実施形態では、第2のユーザ指示信号は、他の状況下で生成されてもよい。いくつかの実施形態では、第2のユーザ指示信号は、第1のユーザ指示信号と同じ信号であってもよい。
【0195】
図37は、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための別の例示的なプロセス3700を図示するフローチャートである。具体的には、プロセス3700は、デバイスのベースキャップを元に戻すことを試みることによって、ユーザが薬物送達デバイスを誤用している可能性があるかどうかを決定する。本明細書に開示される注射デバイスのうちのいくつかに関して、ユーザは、注射デバイスの注射針を覆うベースキャップ(例えば、ベースキャップ36)を取り外し、次いでその後に、分注イベントを開始及び/又は完了することなく、元に戻さないように指示され得る。これは、ベースキャップを取り外した後に元に戻すと、注射針が曲がったり、損傷したりする可能性があるからである。そのような注射デバイスでは、一般に、分注イベントを開始及び完了する直前までベースキャップを取り外さないことが望ましい。注射が必要となる前にベースキャップが時期尚早に取り外される場合、注射デバイス全体が廃棄されるべきである。したがって、ベースキャップを取り外した後に、分注イベントを開始及び/又は完了せずに元に戻すことは、そのような注射デバイスの誤用であり得る。デバイスを使用するための使用説明は、これをユーザに明確にし得るが、注射デバイスのそのような誤用を自動的に検出するための手段を実装することが好ましいであろう。
【0196】
プロセス3700は、薬物送達デバイスが提供されるステップ3702で開始する。好適な薬物送達デバイスの一例は、本明細書に開示されるその実施形態のうちのいずれかを含む、デバイス20である。提供される薬物送達デバイスは、内部容積を画定するデバイスハウジングであって、内部容積が開口部(例えば、開口部40)と連通している、デバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリとを備え得る。注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含み得る。デバイスは、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップ(例えば、ベースキャップ36)を更に備え得る。デバイスはまた、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動のうちの少なくとも1つを検出するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサとを備え得る。注射器アセンブリセンサの好適な例は、前述のように、磁力計112及び/又は118、マイクロスイッチ116及び/又は注射器位置検出器スイッチ1710、並びに/あるいは1つ以上の加速度計2012を含む。ベースキャップセンサの好適な例は、ベースキャップ取り外しセンサ2010を含む。
【0197】
ステップ3704において、処理回路は、注射器アセンブリが分注イベントを開始又は完了するときを検出するために、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力されるデータを監視する。本明細書に記載される分注イベントの開始及び/又は完了を決定するための方法のうちのいずれかを使用することができる。ステップ3706において、処理回路は、ベースキャップが開口部を覆っているかどうかを決定するために、1つ以上のベースキャップセンサから出力されたデータを監視する。
【0198】
ステップ3708において、処理回路は、1つ以上のベースキャップセンサからのデータが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始又は完了する前に、開口部を覆うように元に戻されたことを示すときに、誤用指示信号を生成する。誤用指示信号は、ユーザが、注射針を損傷し、デバイスの性能を損なう可能性がある方法で注射デバイスを誤用していることを示し得る。いくつかの実施形態では、ベースキャップが取り外され、次いで、注射器アセンブリが分注イベントを開始又は完了する前に、元に戻されたことを注射デバイスのセンサが検出する場合にのみ、誤用指示信号が生成され得る。
【0199】
他の実施形態では、誤用指示信号はまた、他の状況下で生成されてもよい。例えば、1つ以上の処理回路はまた、分注イベントが完了した後であっても、ユーザがベースキャップを元に戻そうと試みたことをデバイスが検出する場合に、誤用指示信号を生成してもよい。言い換えれば、いくつかの実施形態では、ユーザが当該ベースキャップを取り外した後にベースキャップを元に戻そうと試みた場合、分注イベントが開始及び/又は完了したかどうかにかかわらず、誤用指示信号が生成されてもよい。これは、いくつかの実施形態では、ユーザがベースキャップを元に戻そうと試みることは偶発的な針刺しにつながり得るため、ユーザは、ベースキャップを元に戻そうと試みないで、注射デバイスを鋭利物容器の中に処分するように使用説明され得るためである。分注イベントが完了した後であっても、ユーザがベースキャップを元に戻そうと試みる場合、デバイスは、そのような試みを検出し、それをデバイスの誤用としてフラグ又は記録してもよい。いくつかの実施形態では、分注イベントの完了後にベースキャップを元に戻すことは、第1の誤用指示信号とは異なる第2の誤用指示信号の生成をもたらし得る。
【0200】
図38は、薬物送達デバイスのユーザが注射デバイスを動作させる際に高い又は低い習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための別の例示的なプロセス3800を図示するフローチャートである。具体的には、プロセス3800は、皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するが、皮膚接触が断たれる前に分注イベントが開始されない複数の事例を注射デバイスが検出する場合に、ユーザ指示信号を生成する。これは、ユーザが、どの注射部位を使用すべきかについて不確実であり、デバイスを配置し、デバイスを患者の身体から複数回リフトオフすることを示し得る。経験のあるユーザは、1つの注射部位でデバイスと皮膚とをしっかりと接触させ、注射又は分注イベントを開始するために迅速に移動することが予想される。複数の皮膚接触が注射なしで検出されるという事実は、ユーザが未経験又は不確かな可能性があることを示す。
【0201】
プロセス3800は、薬物送達デバイスが提供されるステップ3802で開始する。提供される送達デバイスは、
図35のプロセス3500のステップ3502に関連して上述した種類のデバイスと同様であってもよい。
【0202】
ステップ3804において、処理回路は、1つ以上の注射器アセンブリセンサが分注イベントの開始を検出する前に生じる接近イベントの数をカウントする。本明細書で使用される場合、接近イベントは、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出し、次いでその後に皮膚組織との接触の検出を停止するイベントとして定義される。処理回路が分注イベントの開始を検出すると、処理回路は、検出された接近イベントの数のカウントを停止してもよい。分注イベントの開始は、プロセス3500のステップ3506に関連して上述した方法のうちのいずれかを使用して決定することができる。
【0203】
ステップ3806において、処理回路は、接近イベントの数を、1つ、3つ、5つ、又はそれより多いイベントなどのあらかじめプログラムされた最大閾値と比較する。
【0204】
ステップ3808において、処理回路は、接近イベントの数があらかじめプログラムされた最大閾値よりも大きいとき、ユーザ指示信号を生成する。例えば、処理回路は、接近イベントの数が0、1、2、3、又は4つの接近イベントを超えるときにユーザ指示信号を生成してもよい。
【0205】
図39は、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための別の例示的なプロセス3900を図示するフローチャートである。具体的には、プロセス3900は、ユーザが分注イベント中に患者の皮膚からデバイスを不適切にリフトオフする可能性があるかどうかを決定する。ユーザ指示信号(習熟度又は経験のレベルが低いユーザを示す)は、皮膚接触センサが、注射中に、すなわち、分注イベントが開始された後であるが、分注イベントが完了する前に、皮膚との接触が断たれたことを検出する場合に生成されてもよい。そのような早期リフトオフイベントは、潜在的に不完全な用量、並びに未経験又は不確かなユーザを示し得る。
【0206】
プロセス3900は、薬物送達デバイスが提供されるステップ3902で開始する。提供される送達デバイスは、
図35のプロセス3500のステップ3502に関連して上述した種類のデバイスと同様であってもよい。
【0207】
ステップ3904において、処理回路は、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときと、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときとを決定する。これらの決定は、薬物送達デバイス上に配設された1つ以上の注射器アセンブリセンサによって出力された注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づき得る。分注イベントの開始は、プロセス3500のステップ3506に関連して上述された方法のうちのいずれかを使用して、処理回路によって検出され得る。分注イベントの完了は、
図36のプロセス3600のステップ3614に関連して上述された方法のうちのいずれかを使用して、処理回路によって検出され得る。
【0208】
ステップ3906において、処理回路は、薬物送達デバイス上の1つ以上の皮膚接触センサからの1つ以上の皮膚検出信号を処理する。処理された信号は、分注イベントが開始された後、かつ分注イベントが完了する前に受信されてもよく、すなわち、処理された信号は、分注イベント中、又は分注イベントが進行中に受信されてもよい。ステップ3908において、処理回路は、皮膚接触の連続性を示すデータが1つ以上のあらかじめプログラムされた基準を満たすときに、ユーザ指示信号を生成する。
【0209】
処理回路は、そのような信号を処理して、分注イベント中の皮膚接触の連続性を示すデータを生成する。皮膚接触の連続性を示す異なる尺度が、このステップにおいて処理回路によって使用されてもよい。例えば、処理回路は、リフトオフイベントの数をカウントしてもよく、各リフトオフイベントが、1つ以上の皮膚接触センサが、皮膚接触が検出される状態から皮膚接触が検出されない状態に遷移するイベントを含む。そのような実施形態では、処理回路は、リフトオフイベントの数が、0、1、2、3、4、又は5つのリフトオフイベントなどのあらかじめプログラムされた最大閾値を超える場合に、ユーザ指示信号を生成してもよい。
【0210】
代替的に又は追加的に、処理回路は、皮膚接触が検出される時間量と、皮膚接触が検出されない時間量との比を計算し得る。そのような実施形態では、処理回路は、計算された比があらかじめプログラムされた閾値よりも低い場合に、ユーザ指示信号を生成し得る。
【0211】
代替的に又は追加的に、処理回路は、皮膚接触が検出される時間量と、分注イベントの総持続時間との比を計算してもよい。そのような実施形態では、処理回路は、計算された比があらかじめプログラムされた閾値未満である場合に、ユーザ指示信号を生成してもよい。
【0212】
代替的に又は追加的に、処理回路は、皮膚接触が検出されない時間量と、分注イベントの総持続時間との比を計算してもよい。そのような実施形態では、処理回路は、計算された比があらかじめプログラムされた閾値より大きい場合に、ユーザ指示信号を生成し得る。
【0213】
代替的に又は追加的に、処理回路は、分注イベント中に皮膚接触が検出されない時間量があらかじめプログラムされた閾値よりも大きい場合に、ユーザ指示信号を生成してもよい。
【0214】
図40は、本明細書に開示される薬物送達デバイスのうちのいずれかのユーザが、注射デバイスを動作させる際に高レベル又は低レベルの習熟度又は経験を有するかどうかに関する指示を生成するための更に別の例示的なプロセス4000を図示するフローチャートである。具体的には、プロセス4000は、ユーザが、ベースキャップを移動させた後のある閾値時間内に分注イベントを開始するかどうかを決定する。熟練又は熟達したユーザは、ベースキャップを移動させた後、迅速に分注イベントを開始することが予想される。しかしながら、習熟度又は経験のレベルが低いユーザは、おそらく、ユーザが、使用のため、患者の身体上の適切な注射部位を探すため、若しくはデバイスをどのように動作させるか不明であるために、デバイスの使用説明をチェック又は再チェックしているため、分注イベントを開始するためにベースキャップを移動させた後、より長い時間待つ場合がある。特に、分注イベントを開始するためにベースキャップを移動させた後に長時間待つことは、露出された無菌針が汚染されるリスクを増加させ得る。長時間待つことはまた、バレル内に格納された液体製剤が乾燥して針を部分的に又は完全に閉塞し、薬物の送達を妨げる可能性があるというリスクを増大させる可能性がある。
【0215】
プロセス4000は、薬物送達デバイスが提供されるステップ4002で開始する。提供される送達デバイスは、
図37のプロセス3700のステップ3702に関連して上述した種類のデバイスと同様であってもよい。
【0216】
ステップ4004において、処理回路は、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを検出するために、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力されるデータを監視する。本明細書に記載される分注イベントの開始及び/又は完了を決定するための方法のうちのいずれかを使用することができる。ステップ4006において、処理回路は、ベースキャップが、注射器アセンブリが注射位置に移動されるときに注射器アセンブリの針が延出するハウジング内の開口部から移動されたかどうかを決定するために、1つ以上のベースキャップセンサから出力されたデータを監視する。
【0217】
ステップ4008では、処理回路は、ベースキャップが開口部から移動された後の閾値時間内に注射器アセンブリが分注イベントを開始しないときにユーザ指示信号を生成する。これは、ベースキャップが移動されたことをベースキャップセンサが検出した後にタイマを開始することによって行われ得る。処理回路が、タイマが満了する時間までに(又はタイマが特定の閾値持続時間に達する時間までに)分注イベントの開始を検出しない場合、処理回路は、ユーザ指示信号を生成し得る。代替的に又は追加的に、処理回路は、ベースキャップが移動された時点に関連付けられた第1のタイムスタンプと、注射器アセンブリが分注イベントを開始した時点に関連付けられた第2のタイムスタンプとをログ記録してもよい。処理回路は、次いで、第1のタイムスタンプと第2のタイムスタンプとの間の差を計算し得る。その差が閾値持続時間よりも大きい場合、処理回路は、ユーザ指示信号を生成し得る。
【0218】
前述のように、プロセス3500、3600、3700、3800、3900、及び4000の各々は、注射デバイス上に完全に配設されるか、又は注射デバイスと注射デバイスと無線通信する外部デバイスとの両方に配設される、1つ以上の処理回路上に実装されてもよい。プロセスが注射デバイス及び外部デバイスの両方によって実装される実施形態では、プロセス3500、3600、3700、3800、3900、及び4000を実行するために、様々な種類のデータが注射デバイスと外部デバイスとの間で渡され得る。例えば、注射デバイスは、(a)分注イベントが開始されたかどうか、(b)分注イベントが完了したかどうか、(c)皮膚接触が検出されたかどうか、及び/又は(d)データパケットが送信された時点でのベースキャップの位置(例えば、装着されているか、又は取り外されているか)に関する情報を含むデータパケットを外部デバイスに周期的に(例えば、毎秒、数秒毎、又は1秒に複数回)送信することができる。いくつかの実施形態では、注射デバイスは、ベースキャップが取り外されるまで、又は分注イベントが開始された後まで、そのようなデータパケットの送信を開始しなくてもよい。更に他の実施形態では、注射デバイスは、データパケットを送信する前の注射イベントが完了した後まで待ってもよい。そのような実施形態では、データパケットは、いつベースキャップが取り外されたか、及び/又はいつ分注イベントが開始されたかを示すタイムスタンプを含んでもよい。このようなデータパケットを受信すると、次いで、外部デバイスは、プロセス3500、3600、3700、3800、3900、及び4000について上述した様々な条件が満たされているかどうかを決定するための論理を実行し、満たされている場合、上述したユーザ指示信号又は誤用指示信号を生成する。いくつかの実施形態では、プロセス3500、3600、3700、3800、3900、及び4000について上述した様々な条件の一部又は全部が満たされているかどうかをチェックする論理は、外部デバイス上ではなく、注射デバイス内の1つ以上の処理回路上に実装される。そのような実施形態では、注射デバイスは、上述のユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号を含む1つ以上のデータパケットを送信し得る。
【0219】
プロセス3500、3600、3700、3800、3900、及び4000の各々によって生成されたユーザ指示信号(及び/又は誤用指示信号)の各々は、様々な宛先に送信され得、及び/又は処理回路から、又は1つ以上の処理回路と通信しているデバイスから、異なるアクション若しくは応答を促し得る。前述のユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号のうちのいくつかは、同じ信号であってもよく、又は1つ以上の処理回路からの同じ応答をトリガしてもよい。いくつかの実施形態では、これらの信号の各々は、1つ以上の処理回路に、どのように注射デバイスを適切に使用するかに関する使用説明を表示又は再生させることができる。例えば、プロセス3500において、第1のユーザ指示信号は、ユーザのモバイルデバイス(例えば、外部デバイス1250)上のモバイルアプリケーションに、使用説明を示す画面を表示するように促すか、又はどのように薬物送達デバイスをロック解除し、配置し、作動させるかに関する1つ以上の使用説明ビデオ又は音声メッセージをユーザに提供することができる。同様に、プロセス3600における第2のユーザ指示信号は、薬物送達デバイスが分注イベントを完了したときをどのように伝えるかについての画面及び/又はメッセージを表示するようにモバイルアプリケーションに促すことができる。プロセス3700における誤用指示信号は、モバイルアプリケーションに、ベースキャップを取り外した後にベースキャップを元に戻すと針が損傷する可能性があることをユーザに警告する画面及び/又はメッセージを表示するように促してもよく、及び/又はベースキャップが取り外されると、その後すぐに薬物送達デバイスを作動させるべきであることをユーザにアドバイスしてもよい。いくつかの実施形態では、ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号は、ユーザのモバイルデバイスに、ユーザをヘルプデスクエージェントと連絡させる提案又はプロンプトを表示させ得る(例えば、電話回線又はチャット回線を介する)。ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号はまた、注射デバイスに取り付けられたスピーカを介して再生される1つ以上の事前に記録された音声メッセージを介するなどして、注射デバイス自体に追加の使用説明を提供するように促してもよい。
【0220】
代替的に又は追加的に、ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号は、例えば、テキストメッセージ、プッシュ通知、電子メール、又は他のリモート電子通知の形態で、ネットワークを介して(例えば、インターネット又はセルラネットワークを介して)リモートサーバ又はデバイスに送信されてもよい。リモートサーバ又はデバイスは、看護師、ナースプラクティショナー、医師、家族、又は他のケア提供者などのユーザへのケア提供者に関連付けられてもよい。そのような場合、ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号は、ユーザが薬物送達デバイスを使用する際に追加の監督又は支援を必要とし得ることを介護提供者に示し得る。更に他の実施形態では、リモートサーバ又はデバイスは、注射デバイスの製造業者、設計者、流通業者、又は支払人に関連付けられてもよい。そのような場合、ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号は、ユーザが注射デバイスをどのように使用しているかに関する現実世界の根拠をそのようなエンティティに提供することができる。注射デバイスユーザの集団にわたって集約されるとき、そのような現実世界の根拠は、そのような注射デバイスを償還するかどうか(そうである場合、どの速度で、どの条件下で)、そのような注射デバイスを再設計するかどうか/どのように再設計するか、及び/又は有効な使用のために追加の使用説明若しくは訓練が必要であるかどうかに関する決定を知らせることができる。ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号はまた、個々のユーザ又はユーザのグループについて経時的に記録及び追跡されてもよい。理想的には、ユーザ指示信号及び/又は誤用指示信号の発生は、ユーザが注射デバイスに精通及び/又は習熟するにつれて、経時的に減少するはずである。そのような信号の発生が低下しない、又は予想されるほど急速に低下しない場合、注射デバイスの製造業者、設計者、流通業者、及び/又は支払人は、注射デバイスを再設計すること、又は追加の使用説明若しくは訓練を提供することなど、追加のアクションを実施することを検討することができる。
【0221】
本発明は、例示的な設計を有するものとして説明されてきたが、本開示の実施形態は、本開示の概念及び範囲内で、更に変更され得る。それゆえに、本出願は、その一般原則を使用して、本開示の実施形態のあらゆる変形、使用、又は適合を包含することが意図されている。
【0222】
以下の態様を含むがこれらに限定されない複数の態様が、開示されている。
[態様1]
薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときを決定することと、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときと、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときとの間の第1の持続時間を測定することと、第1の持続時間を第1のあらかじめプログラムされた閾値持続時間と比較することと、第1の持続時間が第1の閾値持続時間よりも大きいとき、第1のユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システム。
[態様2]
注射器アセンブリが、バレル内で長手方向軸に沿って摺動して薬剤を注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、注射器アセンブリセンサ信号が、ピストンの位置に基づいており、1つ以上の処理回路が、ピストンの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときを決定するように構成されている、態様1に記載の薬物送達システム。
[態様3]
駆動機構が、注射器アセンブリを格納位置から、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出する注射位置に移動させるように構成されている、態様1に記載の薬物送達システム。
[態様4]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリが格納位置から注射位置に移動したときを決定することによって、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときを決定するように構成されている、態様3に記載の薬物送達システム。
[態様5]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、態様4に記載の薬物送達システム。
[態様6]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度に基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成されている加速度計を備え、1つ以上の処理回路が、感知された加速度に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始したときを決定するように構成されている、態様4又は5に記載の薬物送達システム。
[態様7]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジング内に配設されている、態様1~6のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様8]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジングとは別個のモバイルデバイス内に配設され、デバイスハウジング内に配設された無線送信機と無線通信する、態様1~7のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様9]
1つ以上の処理回路が、第1のユーザ指示信号に応答して、薬物送達システムをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様1~8に記載の薬物送達システム。
[態様10]
1つ以上の処理回路が、第1のユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様1~9のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様11]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止するときを決定することと、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止するときとの間の第2の持続時間を測定することと、第2の持続時間を第2のあらかじめプログラムされた閾値持続時間と比較することと、第2の持続時間が第2の閾値持続時間よりも大きいとき、第2のユーザ指示信号を生成することと、を行うように更に構成されている、態様1~10のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様12]
1つ以上の処理回路が、第2のユーザ指示信号に応答して、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときをどのように決定するかに関する使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様11に記載の薬物送達システム。
[態様13]
1つ以上の処理回路が、第2のユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様11~12のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様14]
バレルが、薬剤を保持する、態様1~13のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様15]
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、デバイスは、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、デバイスハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、を備え、方法は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときを決定することと、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、少なくとも1つの皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出するときと、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときとの間の第1の持続時間を測定することと、第1の持続時間を第1のあらかじめプログラムされた閾値持続時間と比較することと、第1の持続時間が第1の閾値持続時間よりも大きいとき、第1のユーザ指示信号を生成することと、を含む、方法。
[態様16]
第1のユーザ指示信号に応答して、薬物送達デバイスをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様15に記載の方法。
[態様17]
第1のユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様15又は16に記載の方法。
[態様18]
注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止したときを決定することと、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触の検出を停止したときとの間の第2の持続時間を測定することと、第2の持続時間を第2のあらかじめプログラムされた閾値持続時間と比較することと、第2の持続時間が第2の閾値持続時間よりも大きいとき、第2のユーザ指示信号を生成することと、を更に含む、態様15~17のいずれか1つに記載の方法。
[態様19]
第2のユーザ指示信号に応答して、注射器アセンブリが分注イベントを完了したときをどのように決定するかに関する使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様18に記載の方法。
[態様20]
第2のユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様18又は19に記載の方法。
[態様21]
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、少なくとも1つの処理回路に、態様15~20のいずれか1つに記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
[態様22]
薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、1つ以上の処理回路であって、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上のベースキャップセンサが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始する前に、開口部を覆うように元に戻されたことを検出するときに、誤用指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システム。
[態様23]
1つ以上の処理回路が、1つ以上のベースキャップセンサが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始した後に、開口部を覆うように元に戻されたことを検出するときに、誤用指示信号を生成すること、を行うように更に構成されている、態様22に記載の薬物送達システム。
[態様24]
注射器アセンブリが、バレル内で長手方向軸に沿って摺動して薬剤を注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、注射器アセンブリセンサ信号が、ピストンの位置に基づいており、1つ以上の処理回路が、ピストンの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様22又は23に記載の薬物送達システム。
[態様25]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリが格納位置から注射位置に移動したときを決定することによって、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様22又は23に記載の薬物送達システム。
[態様26]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、態様25に記載の薬物送達システム。
[態様27]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度を出力するように構成されている加速度計を備え、1つ以上の処理回路が、感知された加速度に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様25又は26に記載の薬物送達システム。
[態様28]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジング内に配設されている、態様22~27のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様29]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジングとは別個のモバイルデバイス内に配設され、デバイスハウジング内に配設された無線送信機と無線通信する、態様22~28のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様30]
1つ以上の処理回路は、誤用指示信号に応答して、薬物送達システムを使用するための使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様22~29のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様31]
1つ以上の処理回路が、誤用指示をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様22~30のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様32]
1つ以上の処理回路が、1つ以上のベースキャップセンサが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始した後に、開口部を覆うように元に戻されたことを検出するときに、第2の種類の誤用指示信号を生成すること、を行うように更に構成されている、態様22~31のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様33]
バレルが、薬剤を保持する、態様22~32のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様34]
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、デバイスは、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、を備え、方法は、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを検出するために、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力される信号を監視することと、ベースキャップが開口部を覆っているかどうかを決定するために、1つ以上のベースキャップセンサからの注射器アセンブリセンサ信号を監視することと、1つ以上のベースキャップセンサからのデータが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始する前に、開口部を覆うように元に戻されたことを指示するときに、薬物送達システムのユーザに誤用指示を生成することと、を含む、方法。
[態様35]
1つ以上のベースキャップセンサからのデータが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始した後に、開口部を覆うように元に戻されたことを指示するときに、ユーザに誤用指示を生成することと、を更に含む、態様34に記載の方法。
[態様36]
誤用指示信号に応答して、薬物送達システムを使用するための使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様34又は35に記載の方法。
[態様37]
誤用指示をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様34~36のいずれか1つに記載の方法。
[態様38]
1つ以上のベースキャップセンサが、可動ベースキャップが開口部から取り外され、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始した後に、開口部を覆うように元に戻されたことを検出するときに、第2の種類の誤用指示信号を生成すること、を更に含む、態様34~37のいずれか1つに記載の方法。
[態様39]
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、少なくとも1つの処理回路に、態様34~38のいずれか1つに記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
[態様40]
薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出し、次いでその後に、注射器アセンブリが分注イベントを開始する前に、皮膚組織との接触を検出することを停止する接近イベントの数をカウントすることと、接近イベントの数をあらかじめプログラムされた最大閾値と比較することと、接近イベントの数があらかじめプログラムされた最大閾値よりも大きいとき、ユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システム。
[態様41]
注射器アセンブリが、バレル内で長手方向軸に沿って摺動して薬剤を注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、注射器アセンブリセンサ信号が、ピストンの位置に基づいており、1つ以上の処理回路が、ピストンの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様40に記載の薬物送達システム。
[態様42]
駆動機構が、注射器アセンブリを格納位置から、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出する注射位置に移動させるように構成されている、態様40に記載の薬物送達システム。
[態様43]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリが格納位置から注射位置に移動したときを決定することによって、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様42に記載の薬物送達システム。
[態様44]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、態様43に記載の薬物送達システム。
[態様45]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度に基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成されている加速度計を備え、1つ以上の処理回路が、感知された加速度に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様43又は44に記載の薬物送達システム。
[態様46]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジング内に配設されている、態様40~45のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様47]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジングとは別個のモバイルデバイス内に配設され、デバイスハウジング内に配設された無線送信機と無線通信する、態様40~46のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様48]
1つ以上の処理回路が、ユーザ指示信号に応答して、薬物送達システムをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様40~47のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様49]
1つ以上の処理回路が、ユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様40~48のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様50]
バレルが、薬剤を保持する、態様40~49のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様51]
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、デバイスは、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、デバイスハウジング内に配設され、注射器アセンブリを使用した分注イベントの開始を検出するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、を備え、方法は、1つ以上の皮膚接触センサが皮膚組織との接触を検出し、次いでその後に、1つ以上の注射器アセンブリが分注イベントの開始を検出する前に、皮膚組織との接触を検出することを停止する接近イベントの数をカウントすることと、接近イベントの数をあらかじめプログラムされた最大閾値と比較することと、接近イベントの数があらかじめプログラムされた最大閾値よりも大きいとき、ユーザ指示信号を生成することと、を含む、方法。
[態様52]
ユーザ指示信号に応答して、薬物送達デバイスをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様51に記載の方法。
[態様53]
ユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様51又は52に記載の方法。
[態様54]
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、少なくとも1つの処理回路に、態様51~53のいずれか1つに記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
[態様55]
薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触が検出されるときに皮膚検出信号を出力するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、ハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、1つ以上の処理回路であって、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときと、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときとを決定することと、分注イベントが開始された後、かつ分注イベントが完了する前に受信された1つ以上の皮膚接触センサからの1つ以上の皮膚検出信号を処理して、分注イベント中の皮膚接触の連続性を示すデータを導出することと、データが1つ以上のあらかじめプログラムされた基準を満たすときに、ユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システム。
[態様56]
導出されたデータが、リフトオフイベントの数を含み、各リフトオフイベントが、1つ以上の皮膚接触センサが、皮膚接触が検出される状態から皮膚接触が検出されない状態に遷移するイベントを含み、1つ以上の処理回路が、リフトオフイベントの数があらかじめプログラムされた閾値を超えるときにユーザ指示信号を生成する、態様55に記載の薬物送達システム。
[態様57]
導出されたデータが、皮膚接触が検出される時間量と、皮膚接触が検出されない時間量との比を含み、1つ以上の処理回路が、比があらかじめプログラムされた閾値未満であるときにユーザ指示信号を生成する、態様55に記載の薬物送達システム。
[態様58]
導出されたデータが、皮膚接触が検出される時間量と分注イベントの総持続時間との比を含み、1つ以上の処理回路が、比があらかじめプログラムされた閾値未満であるときにユーザ指示信号を生成する、態様55に記載の薬物送達システム。
[態様59]
導出されたデータが、皮膚接触が検出されない時間量と分注イベントの総持続時間との比を含み、
1つ以上の処理回路が、比があらかじめプログラムされた閾値より大きいときにユーザ指示信号を生成する、態様55に記載の薬物送達システム。
[態様60]
導出されたデータが、皮膚接触が検出されない分注イベント中の時間量を含み、
1つ以上の処理回路が、時間量があらかじめプログラムされた閾値より大きいときにユーザ指示信号を生成する、態様55に記載の薬物送達システム。
[態様61]
注射器アセンブリが、バレル内で長手方向軸に沿って摺動して薬剤を注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、注射器アセンブリセンサ信号が、ピストンの位置に基づいており、
1つ以上の処理回路が、ピストンの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始し、分注イベントを完了するときを決定するように構成されている、態様55~59のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様62]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始し、分注イベントを完了するときを決定するように構成されている、態様55~59のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様63]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、態様62に記載の薬物送達システム。
[態様64]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度に基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成されている加速度計を備え、1つ以上の処理回路が、感知された加速度に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始し、分注イベントを完了するときを決定するように構成されている、態様62又は63に記載の薬物送達システム。
[態様65]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジング内に配設されている、態様55~64のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様66]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジングとは別個のモバイルデバイス内に配設され、デバイスハウジング内に配設された無線送信機と無線通信する、態様55~65のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様67]
1つ以上の処理回路が、ユーザ指示信号に応答して、薬物送達システムをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様55~66のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様68]
1つ以上の処理回路が、ユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様55~67のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様69]
バレルが、薬剤を保持する、態様55~68のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様70]
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、デバイスは、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、注射針が開口部から少なくとも部分的に延出するときに、注射器アセンブリが注射針から薬剤を排出する分注イベントを開始するように構成された駆動機構と、開口部に隣接してハウジング上に配設された1つ以上の皮膚接触センサであって、各皮膚接触センサが、皮膚組織との接触を検出するように構成されている、1つ以上の皮膚接触センサと、デバイスハウジング内に配設され、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、を備え、方法は、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときと、注射器アセンブリが分注イベントを完了するときとを決定することと、分注イベントが開始された後、かつ分注イベントが完了する前に受信された1つ以上の皮膚接触センサからの1つ以上の皮膚検出信号を処理して、分注イベント中の皮膚接触の連続性を示すデータを導出することと、データが1つ以上のあらかじめプログラムされた基準を満たすときに、ユーザ指示信号を生成することと、を含む、方法。
[態様71]
導出されたデータが、リフトオフイベントの数を含み、各リフトオフイベントが、1つ以上の皮膚接触センサが、皮膚接触が検出される状態から皮膚接触が検出されない状態に遷移するイベントを含み、ユーザ指示信号が、リフトオフイベントの数があらかじめプログラムされた閾値を超えたときに生成される、態様70に記載の方法。
[態様72]
導出されたデータが、皮膚接触が検出される時間量と、皮膚接触が検出されない時間量との比を含み、ユーザ指示信号が、比があらかじめプログラムされた閾値未満のときに生成される、態様70に記載の方法。
[態様73]
導出されたデータが、皮膚接触が検出される時間量と分注イベントの総持続時間との比を含み、ユーザ指示信号が、比があらかじめプログラムされた閾値未満のときに生成される、態様70に記載の方法。
[態様74]
導出されたデータが、皮膚接触が検出されない時間量と分注イベントの総持続時間との比を含み、ユーザ指示信号が、比があらかじめプログラムされた閾値より大きいときに生成される、態様70に記載の方法。
[態様75]
導出されたデータが、皮膚接触が検出されない分注イベント中の時間量を含み、ユーザ指示信号が、時間量があらかじめプログラムされた閾値より大きいときに生成される、態様70に記載の方法。
[態様76]
ユーザ指示信号に応答して、薬物送達システムをどのように使用するかに関する使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様70~74のいずれか1つに記載の方法。
[態様77]
ユーザ指示信号をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様70~76のいずれか1つに記載の方法。
[態様78]
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、少なくとも1つの処理回路に、態様70~77のいずれか1つに記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。
[態様79]
薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から移動されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、1つ以上の処理回路であって、1つ以上のベースキャップセンサから出力されたデータに基づいて、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを決定することと、注射器アセンブリセンサ信号に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定することと、ベースキャップが開口部から移動された後の閾値時間内に注射器アセンブリが分注イベントを開始しないときにユーザ指示信号を生成することと、を行うように構成されている、1つ以上の処理回路と、を備える、薬物送達システム。
[態様80]
注射器アセンブリが、バレル内で長手方向軸に沿って摺動して薬剤を注射針から押し出すように構成されたピストンを更に備え、注射器アセンブリセンサ信号が、ピストンの位置に基づいており、1つ以上の処理回路が、ピストンの位置に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様79に記載の薬物送達システム。
[態様81]
1つ以上の処理回路が、注射器アセンブリが格納位置から注射位置に移動したときを決定することによって、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様79又は80に記載の薬物送達システム。
[態様82]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器位置検出器スイッチを備える、態様81に記載の薬物送達システム。
[態様83]
1つ以上の注射器アセンブリセンサが、注射器アセンブリの運動によって引き起こされる感知された加速度を出力するように構成されている加速度計を備え、1つ以上の処理回路が、感知された加速度に少なくとも部分的に基づいて、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを決定するように構成されている、態様81又は82に記載の薬物送達システム。
[態様84]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジング内に配設されている、態様79~83のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様85]
1つ以上の処理回路のうちの少なくとも1つが、デバイスハウジングとは別個のモバイルデバイス内に配設され、デバイスハウジング内に配設された無線送信機と無線通信する、態様79~84のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様86]
1つ以上の処理回路は、誤用指示信号に応答して、薬物送達システムを使用するための使用説明を表示又は再生するように更に構成されている、態様79~85のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様87]
1つ以上の処理回路が、誤用指示をネットワークを介してリモートデバイスに送信するように構成されている、態様79~86のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様88]
バレルが、薬剤を保持する、態様79~87のいずれか1つに記載の薬物送達システム。
[態様89]
薬物送達デバイスのユーザに関する指示を生成するための方法であって、デバイスは、薬物送達システムであって、内部容積、及び内部容積と連通している開口部を画定するデバイスハウジングと、内部容積内に少なくとも部分的に配設された注射器アセンブリであって、注射器アセンブリが、薬剤を保持するように構成されたバレル、及びバレルから延在する注射針を含む、注射器アセンブリと、開口部を覆うように構成された可動ベースキャップと、注射器アセンブリの少なくとも一部の位置と、注射器アセンブリの少なくとも一部の運動とのうちの少なくとも1つに基づいて注射器アセンブリセンサ信号を出力するように構成された1つ以上の注射器アセンブリセンサと、可動ベースキャップが開口部から取り外されたときを検出するように構成された1つ以上のベースキャップセンサと、を備え、方法は、注射器アセンブリが分注イベントを開始するときを検出するために、1つ以上の注射器アセンブリセンサから出力される注射器アセンブリセンサ信号を監視することと、可動ベースキャップが開口部から移動されたときを決定するために、1つ以上のベースキャップセンサから出力されるデータを監視することと、ベースキャップが開口部から移動された後の閾値時間内に注射器アセンブリが分注イベントを開始しないときにユーザ指示信号を生成することと、を含む、方法。
[態様90]
誤用指示信号に応答して、薬物送達システムを使用するための使用説明を表示又は再生することを更に含む、態様89に記載の方法。
[態様91]
誤用指示をネットワークを介してリモートデバイスに送信することを更に含む、態様89又は90に記載の方法。
[態様92]
少なくとも1つの処理回路によって実行されたときに、少なくとも1つの処理回路に、態様89~91のいずれか1つに記載の方法を実装させるように動作可能な命令を記憶する非一時的コンピュータ可読媒体。