(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-21
(45)【発行日】2025-08-29
(54)【発明の名称】座席及びクッションパッド
(51)【国際特許分類】
A47C 27/14 20060101AFI20250822BHJP
A47C 7/18 20060101ALI20250822BHJP
【FI】
A47C27/14 A
A47C7/18
(21)【出願番号】P 2024081147
(22)【出願日】2024-05-17
【審査請求日】2024-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(74)【代理人】
【識別番号】100213436
【氏名又は名称】木下 直俊
(72)【発明者】
【氏名】篠原 寿充
(72)【発明者】
【氏名】江部 一成
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特許第6622051(JP,B2)
【文献】特開2005-131277(JP,A)
【文献】特開2022-123871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/18-7/20
A47C 27/18
B60N 2/00-2/90
B68G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座する使用者を支持するクッションパッドを備え、
前記クッションパッドは、
ポリウレタン樹脂
の発泡体で形成されたシート材を有し、
前記シート材は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である座席。
【請求項2】
前記シート材の厚みは、30mm以上70mm以下である請求項1に記載の座席。
【請求項3】
ポリウレタン樹脂
の発泡体で形成されたシート材を備え、
前記シート材は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下であるクッションパッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、座席及びクッションパッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームおよびその製造方法が開示されている。この自動車用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームは、ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネートとポリオール成分とを、触媒、整泡剤及び発泡剤の存在下で混合し、金型内に注入することにより成形したものである。この自動車用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームでは、発泡体のコア密度と全密度の差が5kg/m3以下である。特許文献1では、この自動車用シートクッション用軟質ポリウレタンフォームが、生産性、作業環境性に優れ、また、自動車シートクッションパッドを薄肉化した場合における底付き感を解消し、乗り心地性に優れたものであるとされている。
【0003】
特許文献2には、車両用シートの層状異硬度パッドが開示されている。この層状異硬度パッドは、上下二層の発泡体層からなり、上層がポリウレタン発泡体で形成されるとともに、下層がポリスチロール発泡体で形成されている。そして、上層と下層とが一体に接合されている。下層は、層状異硬度パッドの製品厚さの2~5割を形成していると好ましいとされている。この層状異硬度パッドは、従来品よりもクッション性能が優れているとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-280855公報
【文献】特開平09-070330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車などの車両では、使用者が搭乗する内部空間を十分確保する必要がある。また、電気自動車(EV:Electric Vehicle)やハイブリッドカー(HV:Hybrid Vehicle)のような、蓄電池を搭載した車両では、蓄電池の収容スペースを確保する必要がある。車両の座席における、クッションパッド(シートパッド)を薄肉化できれば、使用者が搭乗する内部空間を十分確保することができるようになる。また、クッションパッドを薄肉化できれば、座席下部に蓄電池の搭載スペースを確保することもできるようになる。そのため、クッションパッドのますますの薄肉化が要請される。
【0006】
しかし、クッションパッドを薄肉化すると、着座する使用者に底付き感を与えやすくなる。そのため、上記特許文献1、2で例示したような従来技術にあっては、ますますの薄肉化と底付き感の改善(底付き感を感じないようにすること)との両立が十分ではなかった。特に特許文献2のように二層の構造を備えたパッドは、これを製造するための材料費が増加し、また、二層構造を構築するための手間が増大するため加工費が増加する問題があった。そのため、底付き感を改善しつつクッションパッドを薄肉化した座席及び底付き感を改善しつつ薄肉化したクッションパッドの提供が望まれる。
【0007】
本開示は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、底付き感を改善しつつクッションパッドを薄肉化した座席及び底付き感を改善しつつ薄肉化したクッションパッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本開示に係る座席は、
着座する使用者を支持するクッションパッドを備え、
前記クッションパッドは、樹脂で形成されたシート材を有し、
前記シート材は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である。
【0009】
上記目的を達成するための本開示に係るクッションパッドは、
樹脂で形成されたシート材を備え、
前記シート材は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、底付き感を改善しつつクッションパッドを薄肉化した座席及び底付き感を改善しつつ薄肉化したクッションパッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本実施形態に係るクッションパッドの斜視図である。
【
図3】
図2に示すIII‐III矢視の断面図である。
【
図4】本実施形態に係る座席が搭載された車両の説明図である。
【
図5】実施例における動ばね試験用試験片の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の説明)
図面に基づいて、本開示の実施形態に係る座席及びクッションパッドについて説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る座席200は、着座する使用者を支持するクッションパッド100を備えている。なお、
図1は、座席200を斜め前からみた斜視図である。
【0014】
図1では、座席200に着座した場合の使用者から見た幅方向(左右方向)を方向Xで示しており、また、前後方向を方向Yで示しており、さらに、上下方向を方向Zで示している。なお、上下方向は、本実施形態において鉛直方向と同じである。上下方向、幅方向及び前後方向は、それぞれ直交している。以下の説明では、
図1に示した方向に基づいて各部の位置関係の説明を行う。
【0015】
クッションパッド100は、
図2、
図3に示すように、樹脂で形成されたシート材21を有する。シート材21は、一辺が50mmの矩形(正方形)で、厚み40mmの板材を試験片(動ばね試験用試験片)とし、その試験片の厚みを30%圧縮(この例では、12mm圧縮)した状態を中心(振幅の中心)として試験片の厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数(振動数)で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である。なお、
図2は、クッションパッド100を斜め前から見た斜視図である。また、
図3は、
図2に示すIII‐III矢視の断面図である。
【0016】
クッションパッド100は、座席200における底付き感の改善と、その薄肉化との両立を実現することができる。なお、底付き感とは、使用者が座席200(
図1参照)に着座した際に、クッションパッド100が使用者の荷重を十分に支えきれなくなって、使用者が、クッションパッド100のクッション性を感じることができなくなって硬さを感じる感覚のことをいう。底付き感を感じる状態は通常、心地よいとは感じない状態である。
【0017】
以下、座席200及びクッションパッド100について詳述する。
【0018】
図1に示す座席200は、自動車などの車両の室内に設置され、使用者が着座するものである。座席200は、一例として、使用者が臀部を載せて座る座部91と、背中をもたれ掛ける背もたれ部92と、頭をもたれ掛ける頭もたせ93(ヘッドレスト)を備えてよい。なお、本実施形態では、前後方向における、背もたれ部92から見て座部91の側が前方(前、前方向)であり、座部91から見て背もたれ部92の側が後方(後ろ、後ろ方向)である。以下の説明における前後方向は、この位置関係に基づいて説明する。
【0019】
座席200は、そのカバーの内側に、座席200の形状に沿ったクッションとなる部材(シートパッド)を有してよい。本実施形態における座席200は、座部91における内部(座席200のカバーの内側)に、このシートパッドとして、クッションパッド100を備えている。クッションパッド100は、座部91に着座する使用者を支持する、座部91内のクッション部材である。
【0020】
図2、
図3に示すように、クッションパッド100は、パッド10を備えている。
【0021】
パッド10は、シート材21を有する座部パッド11と、座部パッド11の両方の側部(幅方向における両端部)に配置された側方パッド部12,12と、座部パッド11の前後方向における後ろ側の端部に配置された背中側パッド部13とを有してよい。
【0022】
座部パッド11は、座席200において、使用者の臀部が位置する部分の下方に配置される。座部パッド11は、上下方向に厚みのある板状であってよい。座部パッド11の厚みは、一例として、50mm以上120mm以下である。側方パッド部12の上面部や、背中側パッド部13の上面部は、座部パッド11の上面よりも高い位置に位置してよい。
【0023】
パッド10、すなわち座部パッド11、側方パッド部12,12及び背中側パッド部13は、一例として、同一の基材で一体成形されてよい。パッド10を形成する基材の一例は樹脂発泡体である。樹脂発泡体はポリウレタンであることが好ましいが、他の樹脂で形成されたものであってもよい。パッド10は、例えば射出発泡成形されてよい。
【0024】
シート材21は、板状の座部パッド11の中央部分の一部又は座部パッド11の全部である。シート材21の厚みは、一例として、30mm以上70mm以下である。
【0025】
シート材21の硬度は、170N以上240N以下であることが好ましい。なお、本実施形態において「硬度」とは、JASO B408-89法に準じて測定した値のことであり、サンプルの元厚みに対し、25%定圧縮して20秒後の力を求める方法のことである。シート材21は、厚みを50mmとした場合の硬度が170N以上240N以下であることが更に好ましい。
【0026】
シート材21は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.2N/mm以上0.35N/mm以下である。
【0027】
シート材21の損失ばね定数が0.20N/mm以上0.35N/mm以下であることで、座席200(
図1参照)における底付き感の改善と、クッションパッド100(
図2参照)、特に、座部パッド11の薄肉化との両立を実現することができる。
【0028】
以下では、座席200における底付き感の改善のことを、単に底付き感の改善と称し説明する。また、クッションパッド100(座部パッド11)の薄肉化のことを、単に薄肉化と称して説明する場合がある。
【0029】
なお、シート材21の厚み、すなわち座部パッド11の中央部分の厚みは、70mm以下で足りる。クッションパッド100を薄肉化するためには60mm以下とすることが好ましい。クッションパッド100では、シート材21による底付き感の改善の効果により、薄肉化しても使用者に底付き感を感じさせずにすむ。
【0030】
図4には、クッションパッド100を備えた座席200を搭載した車両Cを示している。
図4では、車両Cの進行方向が、座席200を基準とした場合の前後方向における前方向である場合を例示している。車両Cでは、クッションパッド100が薄肉化されるため、座席200の上下方向の厚みを薄くすることにより、例えば車高を低くするような場合であっても室内空間Sの広さ(室内空間Sの高さ)を十分に確保することができる。また、車両Cでは、クッションパッド100が薄肉化されるため、座席200の下方に配置された、蓄電池Bを収容する収容容器Mの収容空間Sbを大きく確保することができるようになる。
【0031】
(実施例)
以下では、実施例に基づいて座席及びクッションパッドにおける底付き感の改善と薄肉化について説明する。
【0032】
本実施例では、それぞれ損失ばね定数の異なるシート材(基材はいずれもポリウレタン樹脂の発泡体)を用いて底付き感の違いを評価した。底付き感の違いは、後述するように、落錘試験によって評価した。
【0033】
まず、シート材(基材)の損失ばね定数の測定方法(動ばね試験)について説明する。
図5には、損失ばね定数を測定する場合の動ばね試験用試験片5の説明図を示している。なお、
図5は、動ばね試験用試験片5の側面図である。
図6には、動ばね試験用試験片5を用いた損失ばね定数の測定方法の説明図を示している。動ばね試験用試験片5は、評価対象とするシート材と同じ基材で形成する。
【0034】
図5に示すように、動ばね試験用試験片5は、一辺が50mmの矩形(正方形)で、厚みが40mmである。
図6に示すように、損失ばね定数を測定する場合、まず、動ばね試験用試験片5を固定具51,52で挟み込み、例えば一方の固定具51を変位させて動ばね試験用試験片5の厚みを30%圧縮(この例では、12mm圧縮)する。このように動ばね試験用試験片5を圧縮した状態で、他方の固定具52を振動発生装置56(加振機)で振動させ、これにより動ばね試験用試験片5に振動を加える。そして、振動する動ばね試験用試験片5が固定具51に加える荷重の変化を固定具51に設けたロードセル55で計測する。振動発生装置56で加えた振動の周波数と、ロードセル55で計測した荷重の変化とから、動ばね試験用試験片5の損失ばね定数(周波数に対する損失ばね定数の特性)を求めることができる。なお、本実施例では、振動発生装置56で動ばね試験用試験片5に加えた振動の振幅は、±2.5mmであり、その周波数(振動数)は0.5Hz以上10Hz以下の範囲である。
【0035】
実験例1(実施例1)では、以上のようにして測定される損失ばね定数(振動の周波数が0.5Hz以上10Hz以下の範囲における損失ばね定数)が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である基材をシート材として用いた。なお、実験例1に係るシート材の硬度は、205Nである。また、本実施例における硬度は、上記実施形態の説明のとおり、JASO B408-89法に準じて測定した値のことである。この硬度を測定する際の試験片の形状は、300mm×300mm(一辺が300mmの矩形状)で厚みが50mmの直方体である。
【0036】
実験例2(比較例1)では、以上のようにして測定される損失ばね定数0.35N/mm超0.80N/mm以下である基材をシート材として用いた。なお、実験例2に係るシート材の硬度は、219Nである。実験例1,2のシート材の損失ばね定数のプロファイルを
図7に示す。
【0037】
落錘試験による底付き感の違いの評価は以下のようにして行った。落錘試験では、座部パッド部の中央部分(シート材の部分)の厚みが60mm(測定対象部分の厚みが60mmの板状)の実形品リアクッションとして成形された試験片(模擬クッションパッド、落錘試験用試験片)を用いた。
【0038】
そして、これら試験片の上面(座部パッド部の座面)から10mmの高さの位置より、座部パッド部の中央部(シート材の部分)に50kgの錘を自由落下させて、落下中及び座面に衝突してから反発する過程における錘の加速度を計測した。そして、この加速度と錘の質量とに基づいて(加速度に錘の質量を掛けて)、錘の落下によって試験片に加わった、荷重(N)の経時変化を求めた。なお、錘の自由落下は、使用者が座席に着座する動作の模擬である。
【0039】
本実施例において、落錘試験の結果は以下のように評価される。まず、使用者が座席に着座した状態において、クッションパッド(シート材の部分)に加わる荷重の典型的な範囲が400N以上600N以下であることを評価の前提とする。これを前提とすると、使用者が座席に着席する際に、クッションパッドに加わる荷重の反力が400N以上600N以下の範囲に到達するまでの時間が短い場合に使用者は底付き感を感じやすく、この時間が長い場合に底付き感を感じにくいとの評価基準を定めることができる。この基準によれば、落錘試験においては、クッションパッドに加わる荷重が400N以上600N以下の範囲に到達するまでの時間が長ければ、換言すると、落錘試験における、経過時間に対する荷重の傾き(荷重が400N以上600N以下の範囲に到達するまでの傾き)が小さければ、底付き感が低減されていると評価することができる。すなわち、落錘試験においては、経過時間に対するグラフの傾きが緩やかであれば、その試験片は、使用者にとって底付き感を感じにくいものとなっていると評価することができる。
【0040】
さて、
図8には、これら落錘試験の結果を示している。
図8に示すように、実験例1の試験片(シート材)では、試験片に加わる荷重が400N以上600N以下の範囲に到達するまでの時間(msec)や、試験片に加わる荷重が400Nに到達してから600Nに至るまでに経過した時間(msec)が実験例2の試験片と比べて長く、経過時間に対するグラフの傾きが緩やかである。したがって、実験例1のシート材を備えたクッションパッドは、使用者にとって底付き感を感じにくいものとなっていることがわかる。
【0041】
このように、クッションパッドが、損失ばね定数が少なくとも0.20N/mm以上0.35N/mm以下であるシート材を備えることで、使用者にとって、70mm以下の厚み(実験例1では60mm)にまで薄肉化しつつも底付き感の感じにくいクッションパッドや座席を提供することができることがわかった。
【0042】
損失ばね定数が少なくとも0.20N/mm以上0.35N/mm以下であるシート材を備えたクッションパッドは、例えば座部パッド部を二層構造とするような複雑な構造を要せず、単層構造で薄肉化と底付き感の改善とを両立することができる。それゆえ、クッションパッドやこれを備えた座席を安価に製造することが可能となる。
【0043】
以上のようにして、底付き感を改善しつつクッションパッドを薄肉化した座席及び底付き感を改善しつつ薄肉化したクッションパッドを提供することができる。
【0044】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、車両Cの進行方向が、座席200を基準とした場合の前後方向における前方向である場合を例示して説明した(
図4参照)。しかし、車両Cの進行方向と、座席200を基準とした場合の前後方向やその向きとの関係はこれに限られない。車両Cの進行方向は、座席200を基準とした場合の前後方向における後ろ方向であってもよいし、車両Cの進行方向が、座席200を基準とした場合の幅方向に沿っていてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、クッションパッド100において、座部パッド11の中央部分が、シート材21のみの一層である場合を例示して説明した。しかし、本実施形態では、座部パッド11の中央部分が二層以上になる場合を排除しない。例えば、座部パッド11の中央部分が、シート材21と、シート材21よりも薄い(例えば、シート材21の厚みの30%以下の厚みの)、別のシート材とを積層した構造であってもよい。
【0046】
なお、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本開示の実施形態はこれに限定されず、本開示の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、座席及びクッションパッドに適用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 :パッド
100 :クッションパッド
11 :座部パッド
12 :側方パッド部
13 :背中側パッド部
200 :座席
21 :シート材
5 :動ばね試験用試験片
51 :固定具
52 :固定具
55 :ロードセル
56 :振動発生装置
91 :座部
92 :背もたれ部
93 :頭もたせ
B :蓄電池
C :車両
M :収容容器
S :室内空間
Sb :収容空間
X :方向
Y :方向
Z :方向
【要約】
【課題】底付き感を改善しつつクッションパッドを薄肉化した座席及び底付き感を改善しつつ薄肉化したクッションパッドを提供する。
【解決手段】座席200は、着座する使用者を支持するクッションパッド100を備え、クッションパッド100は、樹脂で形成されたシート材21を有し、シート材21は、一辺が50mmの矩形で、厚み40mmの板材を試験片とし、その試験片の厚みを30%圧縮した状態を中心として厚み方向の上下2.5mmの振幅で、0.5Hz以上10Hz以下の周波数で振動させる動ばね試験によって求めた損失ばね定数が、0.20N/mm以上0.35N/mm以下である。
【選択図】
図3