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特許7731708車両用バッテリパックの支持装置、及び電動トラック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-22
(45)【発行日】2025-09-01
(54)【発明の名称】車両用バッテリパックの支持装置、及び電動トラック
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20250825BHJP
   B62D 21/02 20060101ALI20250825BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D21/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021108463
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006069
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】521537852
【氏名又は名称】ダイムラー トラック エージー
(74)【代理人】
【識別番号】100176946
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 智恵
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 直龍
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10493837(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第102582457(CN,A)
【文献】中国実用新案第204323022(CN,U)
【文献】中国実用新案第208028111(CN,U)
【文献】実開平02-066324(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00-25/08,25/14-29/04
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のラダーフレームを構成するサイドレールの下方に搭載され、車幅方向外側にそれぞれ向く一対のバッテリ側面を有する車両用バッテリパックの支持装置であって、
前記バッテリ側面と対向する対向板を有し、前記車両用バッテリパックを収容するバッテリ側ブラケットと、
前記バッテリ側ブラケットと前記サイドレールとを連結するフレーム側ブラケットと、
前記バッテリ側ブラケットの前記対向板において、複数の孔を形成されるとともに前記孔を介して車載機器を前記バッテリ側ブラケットに搭載させ、かつ前記複数の孔を所定パターンで配置されたパターン状開口部と、を含み、
前記サイドレールが、ウェブ面に形成されたホールパターンを有し、
前記複数の孔の配置が、前記ホールパターンの一部又は全部と一致する
ことを特徴とする、車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項2】
前記複数の孔が、前記バッテリ側ブラケットの側面視にて左右対称に配置される
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項3】
前記複数の孔が、前記バッテリ側ブラケットの側面視にて上下対称に配置される
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項4】
前記複数の孔が、平面格子状に配置される
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置
【請求項5】
前記複数の孔の配置が、前記サイドレールの前記ウェブ面のうち、前記車両用バッテリパックの直上方に位置する部位に形成された前記ホールパターンの一部又は全部と一致する
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項6】
前記複数の孔の配列ピッチが、前記ホールパターンの配列ピッチの整数倍に設定される
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項7】
前記対向板が、車幅方向外側に突出するとともに前記複数の孔が穿孔される凸部と前記凸部よりも車幅方向内側に位置する凹部とを交互に配置してなる波状に形成される
ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項8】
前記対向板が、車長方向に伸びた形状の空洞を有する押出材であり、
前記複数の孔が、前記空洞から車幅方向外側に向かって前記対向板を貫通するように設けられる
ことを特徴とする、請求項1~の何れか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置。
【請求項9】
請求項1~のいずれか一項に記載の車両用バッテリパックの支持装置を含む
ことを特徴とする、電動トラック。
【請求項10】
前記車載機器は、前記車両用バッテリパックに外部から給電するための充電口が設けられた筐体を含む
ことを特徴とする、請求項に記載の電動トラック。
【請求項11】
前記車載機器は、車幅方向外側の物体を検知するセンサを含む
ことを特徴とする、請求項又は1に記載の電動トラック。
【請求項12】
前記車載機器は、前記車両に架装される架装装置又は前記架装装置の付随装置を含む
ことを特徴とする、請求項~1の何れか一項に記載の電動トラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、車両用のバッテリパックを支持する支持装置、及びこの支持装置を含む電動トラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境への負荷を低減する観点から、駆動用のバッテリの電力をモータに供給することで走行する電気自動車やハイブリッド自動車等の電動車両の開発が進んでいる。近年では、トラック等の商用車の分野においても、電動車両の開発が行われている(例えば特許文献1参照)。このような電動の商用車においては、コスト低減の観点から、乗用車に用いられる汎用バッテリパックを適用することが検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-113063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、乗用車向けのバッテリパックは、車体の内部に搭載されることを前提としているため、その筐体自体の耐荷重強度が比較的低いという課題がある。一方で、トラック等の商用車において、ラダーフレームの下方に配置されるバッテリパックには側突時に高い衝撃荷重が印加されうることから、バッテリパックを支持する支持装置に高い耐荷重強度が要求される。
【0005】
また、一般にラダーフレームを備えた車両では、ホイールベース間におけるラダーフレームの側方(車幅方向外側)のスペースが、低電圧バッテリや側方センサ等の様々な車載機器の搭載スペースとして利用される。これに対し、ラダーフレームの下方にバッテリパックが配置された場合は、バッテリパックによって車載機器の搭載スペースが減少するため、車載機器の搭載性が悪化する虞もある。
【0006】
なお、バッテリパックの物理的な大きさは、車両に要求される最大充電容量やバッテリセルの形状等に応じて決定され、ラダーフレームよりも車幅方向外側に飛び出すようなサイズで設計されることがある。この場合、バッテリパックの側突安全性を考慮すると、支持装置の剛性をより高めるためにスチール等の比較的剛性が高い金属を使用したり、バッテリパックを覆う部材の板厚を厚くしたりする必要が生じる。その結果、支持装置の総重量が増加し、電動トラックの航続可能距離や積載量に悪影響を及ぼす虞がある。
【0007】
本件は、上記のような課題に鑑み創案されたものであり、側突時における車両用バッテリパックの保護性能を高めつつ、車載機器の搭載性を改善し、かつ、支持装置の重量増加を抑制できる車両用バッテリパックの支持装置、及び電動トラックを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本件は上記の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様又は適用例として実現できる。
(1)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置は、車両のラダーフレームを構成するサイドレールの下方に搭載され、車幅方向外側にそれぞれ向く一対のバッテリ側面を有する車両用バッテリパックの支持装置であって、前記バッテリ側面と対向する対向板を有し、前記車両用バッテリパックを収容するバッテリ側ブラケットと、前記バッテリ側ブラケットと前記サイドレールとを連結するフレーム側ブラケットと、前記バッテリ側ブラケットの前記対向板において、複数の孔を形成されるとともに前記孔を介して車載機器を前記バッテリ側ブラケットに搭載させ、かつ前記複数の孔を所定パターンで配置されたパターン状開口部と、を含むことを特徴としている。
【0009】
このような車両用バッテリパックの支持装置によれば、側突時に車幅方向外側から入力される衝撃荷重が、バッテリ側ブラケットに入力されるよりも前に車載機器に入力されるため、衝撃荷重の初期入力が車載機器で吸収される。これにより、バッテリ側ブラケットに伝達される衝撃荷重が低減されることから、バッテリ側ブラケットを通じて車両用バッテリパックに伝達される衝撃荷重も低減される。よって、側突時における車両用バッテリパックの保護性能を高められる。また、バッテリ側ブラケットの対向板には、複数の孔が形成されたパターン状開口部が設けられる。これにより、車載機器の搭載スペースが確保され、車載機器の搭載性を改善できる。さらに、複数の孔が形成された分だけバッテリ側ブラケットが軽量化されるため、支持装置の重量増加を抑制できる。
【0010】
(2)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記複数の孔が、前記バッテリ側ブラケットの側面視にて左右対称に配置されてもよい。
複数の孔を左右対称に配置することで、バッテリ側ブラケットの側面視における左右方向(車両前後方向)についての剛性分布を均すことができ、例えば剛性分布をほぼ均一にできる。したがって、車両用バッテリパックの保護性能をさらに高められる。
【0011】
(3)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記複数の孔が、前記バッテリ側ブラケットの側面視にて上下対称に配置されてもよい。
複数の孔を上下対称に配置することで、バッテリ側ブラケットの側面視における上下方向についての剛性分布を均すことができ、例えば剛性分布をほぼ均一にできる。したがって、車両用バッテリパックの保護性能をさらに高められる。
【0012】
(4)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記複数の孔が、平面格子状に配置されてもよい。
ここでいう平面格子状には、例えば、正方格子状や矩形格子状や斜方格子状が含まれる。複数の孔を平面格子状に配置することで、車載機器の搭載位置を容易に変更できるようになり、汎用性を高めることができる。また、複数の車載機器を容易に取り付けることができ、車載機器の搭載性をさらに改善できる。
【0013】
(5)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記サイドレールが、ウェブ面に形成されたホールパターンを有し、前記複数の孔の配置が、前記ホールパターンに対応してもよい。
複数の孔の配置は、例えばホールパターンの一部と一致するレイアウト(部分一致)であってもよいし、ホールパターンの全部と一致するレイアウト(完全一致)であってもよい。複数の孔の配置をホールパターンに対応させることで、サイドレールのホールパターンに適合する車載機器をバッテリ用ブラケットに取り付けることが可能となる。したがって、車載機器の取り付けに係る互換性を維持でき、ユーザビリティ(車両ユーザにとっての使い勝手)を高めることができる。
【0014】
(6)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記複数の孔の配置が、前記サイドレールのウェブ面のうち、前記車両用バッテリパックの直上方に位置する部位に形成された前記ホールパターンに対応してもよい。
このような孔の配置により、車両用バッテリパックが装備される車両と装備されない車両との間で、車長方向における車載機器の取り付け位置をほぼ同一にすることができる。
【0015】
(7)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記複数の孔の配列ピッチが、前記ホールパターンの配列ピッチの整数倍に設定されてもよい。
このような配列ピッチの設定により、車載機器の取り付けに係るある程度の互換性を維持することができ、ユーザビリティを高めることができる。
【0016】
(8)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記対向板が、車幅方向外側に突出するとともに前記複数の孔が穿孔される凸部と前記凸部よりも車幅方向内側に位置する凹部とを交互に配置してなる波状に形成されてもよい。
このように、対向板に凹凸を設けてその凸部に複数の孔を穿孔することで、対向板の板厚を薄くすることができ、軽量化を図りつつ耐側突強度を確保できる。また、凸部に孔を設けることで、孔に挿通される締結具と車両用バッテリパックとの距離が取りやすくなり、締結具との接触による車両用バッテリパックの変形や破損を防止できる。
【0017】
(9)本適用例に係る車両用バッテリパックの支持装置において、前記対向板が、車長方向に伸びた形状の空洞を有する押出材であり、前記複数の孔が、前記空洞から車幅方向外側に向かって前記対向板を貫通するように設けられてもよい。
このように、空洞を有する押出材を対向板として用いることで、空洞部分を側突に対するクラッシャブルゾーンとして機能させることができ、軽量化を図りつつ耐側突強度を確保できる。また、複数の孔を空洞の内側から車幅方向外側に向かって貫通させることで、車載機器と車両用バッテリパックとの距離を取ることができ、車両用バッテリパックの変形や破損を防止できる。
【0018】
(10)本適用例に係る電動トラックは、上記(1)~(9)のいずれか一つに記載の車両用バッテリパックの支持装置を含むことを特徴としている。
これにより、上記(1)と同様に、側突時における車両用バッテリパックの保護性能を高めつつ、車載機器の搭載性を改善でき、かつ、支持装置の重量増加を抑制できる。
【0019】
(11)本適用例に係る電動トラックにおいて、前記車載機器は、前記車両用バッテリパックに外部から給電するための充電口が設けられた筐体を含んでもよい。
このような筐体が搭載された電動トラックによれば、筐体がサイドレールに搭載される場合と比べて、筐体の充電口を車幅方向外側に容易に配置できる。これにより、所定位置に筐体を配置するための専用のブラケットをサイドレールから延設しなくても、筐体を所定位置に配置することが可能となるため、部品点数の削減や構造の簡素化を図りつつ、充電口への給電作業性を確保できる。
【0020】
(12)本適用例に係る電動トラックにおいて、前記車載機器は、車幅方向外側の物体を検知するセンサを含んでもよい。
このようなセンサが搭載された電動トラックによれば、センサがサイドレールに搭載される場合と比べて、センサを車幅方向外側に容易に配置できる。これにより、所定位置にセンサを配置するための専用のブラケットをサイドレールから延設しなくても、センサを所定位置に配置することが可能となるため、部品点数の削減や構造の簡素化を図りつつ、センサの検知範囲を適切に設定できる。
【0021】
(13)本適用例に係る電動トラックにおいて、前記車載機器は、前記車両に架装される架装装置又は前記架装装置の付随装置を含んでもよい。
前記架装装置には、例えばCIB(Charge Inlet Box)装置、巻き込み防止等のために設けられる車両側方物体検出用センサ(レーダー、カメラ)、冷蔵冷凍装置、発電装置、照明装置、給水装置、シュレッダー装置、廃棄物貯留装置、クレーン装置等が含まれうる。また、前記付随装置には、モータ、コンプレッサ、ポンプ、配線材、配管材、ツールボックス、補機等が含まれうる。これらの架装装置、付随装置をバッテリ側ブラケットに搭載できるようにすることで、例えば車両用バッテリパックが搭載されない既存の車両と同じ架装装置、付随装置を、ほぼ同じ位置に取り付けることができ、車両の利便性やユーザビリティをさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本件によれば、側突時における車両用バッテリパックの保護性能を高めつつ、車載機器の搭載性を改善でき、かつ、支持装置の重量増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第一実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置の斜視図である。
図2図1の支持装置の構造を説明するための分解斜視図である。
図3】(A)~(C)は、図1の支持装置においてエンドクロスメンバのパターン状開口部に形成される孔のパターンを例示する側面図である。
図4図1の支持装置におけるサイドレール及びエンドクロスメンバを例示する左側面図である。
図5図1の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図6図1の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図7】第二実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置に含まれるエンドクロスメンバの斜視図である。
図8】(A)~(C)は、図7の支持装置においてエンドクロスメンバのパターン状開口部に形成される孔のパターンを例示する側面図である。
図9図7の支持装置におけるサイドレール及びエンドクロスメンバを例示する左側面図である。
図10図7の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図11図7の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図12】第二実施形態の変形例としてのエンドクロスメンバの斜視図である。
図13】第二実施形態の変形例としてのエンドクロスメンバの斜視図である。
図14】第三実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置に含まれるエンドクロスメンバの斜視図である。
図15図14の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図16図14の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
図17】第三実施形態の変形例としてのエンドクロスメンバの斜視図である。
図18図17の支持装置における車載機器の取付手法を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して、本件の実施形態(第一実施形態、第二実施形態、第三実施形態)について説明する。以下の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。下記の実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。また、必要に応じて取捨選択でき、あるいは適宜組み合わせられる。
【0025】
[1.第一実施形態]
[1-1.全体構成]
図1に示すように、第一実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置1(以下、単に支持装置1ともいう)は、ラダーフレーム2を備えた電動トラック(車両)3に搭載されている。電動トラック3は、駆動用のバッテリパック4(車両用バッテリパック)の電力を図示しないモータに供給することで走行する電動車両(電気自動車、ハイブリッド車)である。
【0026】
以下、電動トラック3の前後方向を車長方向D1ともいい、電動トラック3の左右方向を車幅方向D2ともいう。また、前後方向と左右方向とのいずれにも直交する上下方向を車高方向D3ともいう。図面では、前方を「FR」で示し、後方を「RR」で示し、左方を「LH」で示し、右方を「RH」で示し、上方を「UP」で示し、下方を「DW」で示す。なお、図1には、電動トラック3の下部構造を示しており、ラダーフレーム2の上方に配置される上部構造(ボデー)は省略している。
【0027】
ラダーフレーム2は、電動トラック3の骨格をなす部材であって、高い剛性及び強度を有する。ラダーフレーム2は、車長方向D1に延びる一対のサイドレール21と、車幅方向D2に延びてサイドレール21同士を連結する複数のクロスメンバ22とを含む。
一対のサイドレール21は、車幅方向D2に互いに離間して配置される。各サイドレール21は、車長方向D1及び車高方向D3に沿う板状のウェブ部の上縁及び下縁から、一対の板状のフランジ部が車幅方向D2の内側に向けて延出するチャネル形状(断面U字状)をなす。
複数のクロスメンバ22は、車長方向D1に互いに離間して配置される。ここでは、バッテリパック4と車高方向D3において重なる位置、及びバッテリパック4よりも後方の位置の二か所にそれぞれ配置された二つのクロスメンバ22を例示する。
【0028】
バッテリパック4は、例えば、乗用車に用いられる汎用の高電圧バッテリパックである。電動トラック3において、バッテリパック4は、一対のサイドレール21の下方に搭載され、各サイドレール21よりも車幅方向D2の外側に突出している。ここでは、車高方向D3の寸法が車長方向D1及び車幅方向D2の各寸法よりも小さい(薄い)箱型のバッテリパック4を例示する。ただし、バッテリパック4の形状は特に限定されない。
【0029】
バッテリパック4は、車幅方向D2の外側にそれぞれ向く一対のバッテリ側面41を有する。一対のバッテリ側面41は、一対のサイドレール21よりも車幅方向D2の外側にそれぞれ位置する。より具体的にいえば、右のバッテリ側面41は右のサイドレール21よりも右側に位置し、左のバッテリ側面41は左のサイドレール21よりも左側に位置する。
【0030】
バッテリパック4は、上記のようにバッテリ側面41がサイドレール21よりも車幅方向D2の外側に配置されることから、車幅方向D2の寸法がサイドレール21のウェブ部間の距離よりも大きく確保されている。これにより、バッテリパック4は大容量化が図られている。また、バッテリパック4は、電動トラック3の航続距離を確保するうえでは、ホイールベース(前輪軸と後輪軸との間の距離)の広範囲にわたって配置されることが好ましい。比較的小型な(ホイールベースが比較的短い)電動トラック3では、一つのバッテリパック4がホイールベースのほぼ全域にわたって配置されうる。この場合、バッテリパック4の前方には前輪が近接して配置され、バッテリパック4の後方には後輪が近接して配置される。
【0031】
なお、電動トラック3のサイズ及びバッテリパック4の個数は、第一実施形態の例示に限定されない。比較的大型の(ホイールベースが比較的長い)電動トラック3には、複数のバッテリパック4が車長方向D1に並んで設けられてもよい。この場合も、ホイールベースの広範囲にわたって複数のバッテリパック4が配置されることで、バッテリパック4全体としての大容量化が図られ、航続距離を確保できる。
【0032】
支持装置1は、バッテリパック4をサイドレール21に連結し、バッテリパック4を支持する。換言すれば、バッテリパック4は、支持装置1を介してサイドレール21に支持されている。第一実施形態では、車幅方向D2の中心を通り車長方向D1に延在する鉛直面を対称面として、左右対称(面対称)に構成された支持装置1を例示する。
【0033】
支持装置1は、バッテリパック4を収容するバッテリ側ブラケット5と、バッテリ側ブラケット5及びサイドレール21を連結するフレーム側ブラケット6とを含む。バッテリ側ブラケット5は、バッテリパック4の外周に配置される外壁体であって、バッテリパック4を衝撃荷重から保護する機能をもつ。一方、フレーム側ブラケット6は、サイドレール21から車幅方向D2の外側かつ下方へ延びており、バッテリ側ブラケット5に収容されたバッテリパック4をサイドレール21から吊り下げる機能をもつ。
【0034】
第一実施形態のバッテリ側ブラケット5は、バッテリパック4の車幅方向D2の外側(左右)に配置される一対のエンドクロスメンバ7と、バッテリパック4の車長方向D1の外側(前後)に配置される一対のメインブラケット8とを有する。バッテリ側ブラケット5は、これらのエンドクロスメンバ7及びメインブラケット8により、バッテリパック4の四方を囲むように配置される。
【0035】
一対のエンドクロスメンバ7は、車幅方向D2の中心を通り車長方向D1に延在する鉛直面を対称面として互いに左右対称に形成される。一対のメインブラケット8も、車長方向D1の中心を通り車幅方向D2に延在する鉛直面を対称面として互いに前後対称に形成される。図2に示すように、第一実施形態のエンドクロスメンバ7及びメインブラケット8はいずれも、鋼板で形成されており、チャネル形状をなす。
【0036】
エンドクロスメンバ7は、バッテリ側面41に沿って配置されるウェブ部71と、ウェブ部71の上縁及び下縁からバッテリパック4側(車幅方向D2の内側)へそれぞれ突設された一対のフランジ部72とを有する。第一実施形態のエンドクロスメンバ7は、ウェブ部71がバッテリ側面41と離間して(隙間をあけて)配置されることで、衝突時の変形代(衝撃荷重の吸収代)が確保されている。
【0037】
バッテリ側ブラケット5は、バッテリ側面41と対向する対向板51を有する。エンドクロスメンバ7のウェブ部71は、バッテリ側ブラケット5において、バッテリ側面41と対向する対向板51をなす。第一実施形態では、上記のとおりエンドクロスメンバ7のウェブ部71がバッテリ側面41と離間しているため、対向板51がバッテリ側面41と非接触である。ただし、対向板51(エンドクロスメンバ7のウェブ部71)は、バッテリ側面41に接触した状態で配置されてもよい。
【0038】
メインブラケット8は、バッテリパック4の前面42又は後面43に沿って配置されるウェブ部81と、ウェブ部81の上縁及び下縁からバッテリパック4側(車長方向D1の内側)へそれぞれ突設された一対のフランジ部82とを有する。メインブラケット8のフランジ部82は、エンドクロスメンバ7のフランジ部72よりもバッテリパック4側(車高方向D3の内側)に重ねられ、図示しない固定具や任意の接合手段(溶接、接着等)を介してエンドクロスメンバ7のフランジ部72と結合される。
【0039】
図1に示すように、フレーム側ブラケット6は、エンドクロスメンバ7及びメインブラケット8の上側のフランジ部72、82同士が重なる部分に固定される。また、フレーム側ブラケット6は、サイドレール21のウェブ部にも固定される。ここでは、フレーム側ブラケット6が、電動トラック3の左右(各サイドレール21の車幅方向D2の外側)に二つずつ(合計四つ)設けられた例を示す。
【0040】
[1-2.要部構成]
バッテリ側ブラケット5の対向板51(ウェブ部71)には、パターン状開口部9が設けられる。パターン状開口部9とは、所定のパターンで配置された複数の孔95が形成された部位であり、車載機器10の取付先となる部位である。ここでいう「所定のパターン」とは「少なくとも一つ以上の孔95を持つ平面図形を隙間なく敷き詰めることで形成される孔95の配列形状」を含むパターンを意味する。「所定のパターン」には、周期的な配列形状を含むパターンだけでなく、非周期的な配列形状を含むパターンも含まれる。
【0041】
何れにしても、パターン状開口部9に設けられる複数の孔95を介して、種々の車載機器10がバッテリ側ブラケット5に搭載可能とされる。孔95の形状は任意に設定可能であり、例えば円形であってもよいし矩形であってもよい。また、第一実施形態の対向板51の前端辺及び後端辺は、例えばバッテリ側ブラケット5を軽量化するために、側面視で半月状に切り欠かれた形状に形成されうる。この場合、パターン状開口部9は、これらの切り欠きによって前後を挟まれた範囲内に配置される。
【0042】
パターン状開口部9に設けられる孔95のレイアウトを、図3(A)~(C)及び図4に例示する。これらの図中に示される軸C1は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の側面視において、車高方向D3に延在する対向板51(ウェブ部71)の中心線であり、軸C2は、車長方向D1に延在する対向板51(ウェブ部71)の中心線である。
【0043】
図3(A)及び(B)は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の側面視において、平面格子状(例えば正方格子状、矩形格子状、斜方格子状など)に配置された複数の孔95を左右対称、かつ、上下対称に配置したものである。孔95の縦方向のピッチは、例えば横方向のピッチと同一、あるいはその整数倍に設定される。図3(A)では、横方向に6列で縦方向に4行配置された正方格子状(あるいは矩形格子状)のパターンが、車長方向D1に所定の間隔(例えば、横方向のピッチの同一、あるいは整数倍の寸法)をあけて配置されている。図3(B)では、図3(A)の孔95のパターンから中間行(上から二行目及び三行目)が削除されて、最上行及び最下行のみが設けられている。これらのレイアウトは、軸C1について左右対称であり、かつ、軸C2について上下対称である。
【0044】
図3(C)は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の側面視において、斜方格子状に配置された複数の孔95を軸C1について左右対称に配置したものである。ここでは、横方向に所定の間隔をあけて孔95を並べた行が、縦方向に4行配置されている。孔95の横方向の位置は、上下に隣接する行に含まれる孔95の横方向の位置と一致しないように設定され、例えば孔95の配列パターンが千鳥状とされる。また、孔95の縦方向のピッチは、例えば横方向のピッチと同一に設定され、斜め方向ピッチは一定値に設定される。
【0045】
図4は、パターン状開口部9に設けられる孔95の配置をサイドレール21のホールパターン24に対応させたものである。サイドレール21のウェブ面23には、所定のホールパターン24(例えば平面格子状のホールパターン24)が形成される。孔95の配列ピッチ(縦方向及び横方向のピッチ)は、ホールパターン24における配列ピッチと同一、あるいはその整数倍に設定される。パターン状開口部9の孔95のレイアウトは、サイドレール21のホールパターン24に完全一致させてもよいし、部分一致させてもよい。また、サイドレール21のウェブ面23のうち、バッテリパック4の直上方に位置する部位に形成されたホールパターン24に対応するように、複数の孔95の配置を設定してもよい。例えば、電動トラック3の側面視において、サイドレール21のホールパターン24をそのまま鉛直下方へ移動させたようなレイアウトで、複数の孔95をパターン状開口部9に形成してもよい。なお、孔95の具体的な位置や個数は、上記の例示のみに限定されない。
【0046】
図5図6にそれぞれ示すように、パターン状開口部9は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)に車載機器10を取り付けるための溶接ボルト91や溶接ナット94を含んでもよい。
図5に示すように、溶接ボルト91は、対向板51に溶接された頭部92と、頭部92から外側に突出したネジ部93とを有する。詳細にいえば、溶接ボルト91は、バッテリ側ブラケット5の対向板51(ウェブ部71)を貫通する孔95に対し、ネジ部93が車幅方向D2の内側から挿通された状態で、対向板51に固定されている。
溶接ボルト91のネジ部93は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に挿通されたうえで、ナット14と締結される。これにより、溶接ボルト91を含むパターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。
【0047】
図6に示すように、溶接ナット94は、対向板51に溶接される。詳細にいえば、溶接ナット94は、孔95と同軸上に配置された状態で対向板51に固定されている。
溶接ナット94は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に車幅方向D2の外側から挿通されたボルト15と締結される。これにより、溶接ナット94を含むパターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。なお、溶接ナット94に締結されるボルト15は、バッテリパック4との干渉防止のために、ネジ部の長さ寸法Lがバッテリ側面41と対向板51との距離(隙間)Sよりも十分に短く設定される(L<S)。
【0048】
パターン状開口部9に車載機器10を搭載する手法は、上記の溶接ボルト91及び溶接ナット94を用いた手法に限定されず、公知の種々の手法を適用できる。例えば、車載機器10は、対向板51に溶接されていない通常のボルトやナット(図示略)により、パターン状開口部9に搭載されてもよい。あるいは、一部の車載機器10は、パターン状開口部9に直接溶接されてもよい。
【0049】
図1に示すように、第一実施形態の車載機器10は、バッテリパック4に外部から給電するための充電口11が設けられた筐体12と、車幅方向D2の外側の物体を検知するセンサ13とを含む。ここでは、左側のパターン状開口部9に筐体12が搭載され、右側のパターン状開口部9にセンサ13が搭載された例を示す。筐体12及びセンサ13はいずれも、バッテリ側ブラケット5よりも車幅方向D2の外側に突出して設けられる。
【0050】
筐体12は、CIB(Charge Inlet Box)とも呼ばれ、充電口11が電動トラック3の外部からアクセス可能となる所定位置に設けられる。筐体12において充電口11は、車幅方向D2の外側に向けて配置される。
センサ13は、例えば、電動トラック3のブラインドスポット内に存在する物体を検知してドライバに知らせる技術(いわゆる車両側方物体検出用センサ)に適用されるレーダーやカメラである。センサ13は、ブラインドスポットが検知範囲となる所定位置に設けられる。
【0051】
[2.作用及び効果]
(1)第一実施形態の支持装置1によれば、バッテリ側ブラケット5に車載機器10を搭載するパターン状開口部9が設けられるため、側突時に車幅方向D2の外側から入力される衝撃荷重が、バッテリ側ブラケット5に入力されるよりも前に車載機器10に入力される。これにより、衝撃荷重の初期入力を、バッテリ側ブラケット5で吸収するよりも前に車載機器10で吸収できる。この結果、バッテリ側ブラケット5に伝達される衝撃荷重を低減できるため、バッテリ側ブラケット5を通じてバッテリパック4に伝達される衝撃荷重も低減できる。よって、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を高められる。
【0052】
また、電動トラック3では、バッテリパック4がサイドレール21の下方に搭載され、バッテリ側面41がサイドレール21よりも車幅方向D2の外側に位置するため、バッテリパック4の大容量化を図れる。この反面、バッテリパック4がサイドレール21よりも車幅方向D2の外側に突出するため、サイドレール21への車載機器10の搭載性が低下しうる。これに対し、上記のバッテリ側ブラケット5の対向板51には、複数の孔95が形成されたパターン状開口部9が設けられる。これにより、バッテリ側ブラケット5の外側に車載機器10の搭載スペースを確保でき、車載機器の搭載性を改善できる。また、複数の孔95が形成された分だけバッテリ側ブラケット5が軽量化されるため、支持装置1重量増加を抑制できる。
【0053】
また、バッテリ側ブラケット5の対向板51(エンドクロスメンバ7のウェブ部71)とバッテリ側面41との間には、距離Sの隙間が確保される。このような隙間を設けることで、例えば車載機器10の固定具(溶接ボルト91や溶接ナット94等)とバッテリパック4との干渉を防止しつつ、側突時の衝撃を受けたときのバッテリ側ブラケット5の変形代を確保でき、衝撃吸収性能やバッテリパック4の保護性能をさらに改善できる。
【0054】
なお、電動トラック3に対する車載機器10の搭載性のみを考慮するならば、バッテリパック4の前面側や後面側(メインブラケット8のウェブ部81)に複数の孔を形成して車載機器10を搭載させることも考えられる。しかしこの場合、バッテリパック4の側方を車載機器10でカバーできず、側突時におけるバッテリパック4の保護性能が低下してしまう。特に、バッテリ側面41がサイドレール21よりも車幅方向D2の外側に突出して配置されるため、側突に対して何らかの防護策を講じておくことが望ましい。このような課題に対し、第一実施形態によれば、パターン状開口部9に車載機器10を取り付けることでバッテリパック4の側方をカバーすることができ、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を容易に改善できる。
【0055】
また、電動トラック3に搭載される車載機器10の種類があらかじめ決まっているならば、その車載機器10に適合する孔95のみをパターン状開口部9に設けておくことも考えられる。しかしこの場合、車載機器10の種類や仕様が変更された場合の対応が難しい。また、対向板51の板面において複数の孔95の配置が不均一となりやすく、局所的な変形や応力集中が発生する虞がある。このような課題に対し、第一実施形態のパターン状開口部9には、所定のパターンで配置された複数の孔95が形成されるため、対向板51の剛性分布をほぼ均一にすることができ、局所的な変形や応力集中の発生を防止できる。
【0056】
また、側突に対するバッテリパック4の保護性のみを考慮するならば、バッテリパック4の側方に位置するバッテリ側ブラケット5の対向板51の強度や剛性を高めておくことが望ましい。したがって、既存の一般的なバッテリパック4の支持装置1においては、バッテリ側ブラケット5の対向板51に複数の孔95を形成しないことが推奨されるものと考えられる。これに対して、本願発明の発明者は、側突時における主要な物理的荷重が対向板51で吸収されるのではなく、エンドクロスメンバ7のフランジ部72からフレーム側ブラケット6に伝達され、結果としてサイドレール21で吸収されることを見出した。加えて、当該発明者は、あえてバッテリ側ブラケット5の対向板51に複数の孔95を形成し、対向板51に車載機器10を搭載することにより、側突時の物理的荷重が車載機器10により吸収され、結果として入力され得る荷重を低減させることも見出した。このような新規な知見に基づき、第一実施形態では、あえてバッテリ側ブラケット5の対向板51に複数の孔95を形成することで車載機器10の搭載性を改善し、車載機器10によるバッテリパック4の保護効果を容易に得られるようにしている。このような点で、第一実施形態に係るバッテリパック4の支持装置1は、従来技術には見受けられない独創的な着想に基づいて創造されており、従来技術からかけ離れた特異な性質を有するものといえる。
【0057】
(2)複数の孔95は、バッテリ側ブラケット5の側面視において左右対称に配置されうる。図3(A)~(C)及び図4に示す例では、複数の孔95が軸C1について左右対称に配置されている。このような孔95の配置により、バッテリ側ブラケット5の側面視における左右方向(車両前後方向)についての剛性分布を均すことができ、例えば剛性分布をほぼ均一にできる。したがって、バッテリパック4の保護性能をさらに改善できる。
【0058】
(3)複数の孔95は、バッテリ側ブラケット5の側面視において上下対称に配置されうる。図3(A)~(B)及び図4に示す例では、複数の孔95が軸C2について上下対称に配置されている。このような孔95の配置により、バッテリ側ブラケット5の側面視における上下方向についての剛性分布を均すことができ、例えば剛性分布をほぼ均一にできる。したがって、バッテリパック4の保護性能をさらに改善できる。
【0059】
(4)複数の孔95は、平面格子状に配置されうる。ここでいう平面格子状には、例えば、正方格子状や矩形格子状や斜方格子状が含まれる。例えば、図3(A)は正方格子状の例であり、図3(C)は斜方格子状の例である。このように、複数の孔95を平面格子状に配置することで、車載機器10の搭載位置を容易に変更(平行移動)できるようになり、汎用性を高めることができる。また、複数の車載機器10を容易に取り付けることができ、車載機器10の搭載性をさらに改善できる。
【0060】
(5)複数の孔95は、サイドレール21のホールパターン24に対応するように配置されうる。例えば図4に示すように、複数の孔95がホールパターン24の一部と一致するように配置される。このように、複数の孔95の配置とホールパターン24とを対応させることで、サイドレール21のホールパターン24に適合する車載機器10をバッテリ側ブラケット5に容易に移設することができる。したがって、車載機器10の取り付けに係る互換性を維持でき、ユーザビリティ(車両ユーザにとっての使い勝手)を高めることができる。
【0061】
(6)複数の孔95は、サイドレール21のウェブ面23のうち、車両用バッテリパックの直上方に位置する部位に形成されたホールパターン24に対応するように配置されうる。例えば図4に示すように、電動トラック3の側面視において、サイドレール21のホールパターン24をそのまま鉛直下方へ移動させたようなレイアウトで、複数の孔95が配置される。このような孔95の配置により、バッテリパック4が装備される電動トラック3と装備されない電動トラック3との間で、車長方向における車載機器10の取り付け位置をほぼ同一にすることができる。
【0062】
(7)複数の孔95の配列ピッチは、ホールパターン24の配列ピッチの整数倍に設定されうる。例えば、ホールパターン24の縦方向ピッチ及び横方向ピッチがともに50mmである場合に、複数の孔95の縦方向ピッチ及び横方向ピッチが50mmや100mmに設定される。このような配列ピッチの設定により、車載機器10の取り付けに係るある程度の互換性を維持することができ、ユーザビリティを高めることができる。なお、車載機器10の取り付けに係る互換性を高めるには、複数の孔95の配列ピッチをホールパターン24の配列ピッチと一致させればよい。
【0063】
(8)支持装置1を含む電動トラック3によれば、上記のとおり、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を高めつつ、車載機器10の搭載性を確保できる。
【0064】
(9)図1に示すように、充電口11の設けられた筐体12がパターン状開口部9に搭載された電動トラック3によれば、筐体12がサイドレール21に搭載される場合と比べて、充電口11を車幅方向D2の外側に容易に配置できる。これにより、所定位置に筐体12を配置するための専用のブラケットをサイドレール21から延設しなくても、筐体12を所定位置に配置することが可能となる。よって、部品点数の削減や構造の簡素化を図りつつ、充電口11への給電作業性を確保できる。
【0065】
(10)車幅方向D2の外側の物体を検知するセンサ13がパターン状開口部9に搭載された電動トラック3によれば、センサ13がサイドレール21に搭載される場合と比べて、センサ13を車幅方向D2の外側に容易に配置できる。これにより、所定位置にセンサ13を配置するための専用のブラケットをサイドレール21から延設しなくても、センサ13を所定位置に配置することが可能となる。よって、部品点数の削減や構造の簡素化を図りつつ、センサ13の検知範囲を適切に設定できる。
【0066】
[3.第二実施形態]
第二実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置1は、バッテリ側ブラケット5の対向板51(ウェブ部71)の構成が第一実施形態とは異なる。
図7に示すように、対向板51(ウェブ部71)には、車幅方向D2の外側に突出する形状に形成される凸部52と、凸部52よりも車幅方向D2の内側に位置する凹部53とが設けられる。上記の複数の孔95は、凸部52に形成される。凸部52の突出形状は、折れ線状の断面形状を有するものであってもよいし、曲線状の断面形状を有するものであってもよい。図7に示す凸部52の突出形状は、対向板51(ウェブ部71)のうちフランジ部72に接続される面を基準として、車幅方向D2の外側に向かって台形状(または矩形状)に突出した断面形状を有している。
【0067】
また、凸部52のうち孔95が形成された部位を基準として、凹部53は車幅方向D2の内側に凹んだ形状に形成される。上記の凸部52及び凹部53は、交互に配置される。したがって、対向板51(ウェブ部71)の全体形状は波状となる。言い換えれば、凸部52と凹部53とが交互に配置される方向に沿って対向板51(ウェブ部71)を切断したときの断面形状は、車幅方向D2に振動する波形のような形状となる。
【0068】
図7に示す凸部52の全体形状は、突出した部分が車長方向D1に沿って直線状に延在する突条に準えられる。同様に、図7に示す凹部53の全体形状は、凹んだ部分が車長方向D1に沿って直線状に延在する溝に準えられる。これらの凸部52及び凹部53の延在方向は平行である。なお、孔95が配設位置は、凸部52の表面であれば任意の位置に設定されうる。図7に示す例では、凸部52のうち、最も車幅方向D2の外側に位置する平面状の部位に孔95が配置されている。このように、孔95が穿孔された平面状の部位の全体が、パターン状開口部9を構成している。
【0069】
パターン状開口部9に設けられる孔95のレイアウトを、図8(A)~(C)及び図9に例示する。図8(A)及び(B)は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の側面視において、平面格子状(例えば正方格子状、矩形格子状、斜方格子状など)に配置された複数の孔95を左右対称、かつ、上下対称に配置したものである。孔95の縦方向のピッチは、例えば横方向のピッチと同一、あるいはその整数倍に設定される。これに倣い、凸部52の縦方向のピッチ(凹凸の周期に相当する寸法)も、孔95の縦方向のピッチと同一、あるいはその整数倍に設定される。図8(A)では、横方向に6列で縦方向に4行配置された正方格子状(あるいは矩形格子状)のパターンが、車長方向D1に所定の間隔(例えば、横方向のピッチの同一、あるいは整数倍の寸法)をあけて配置されている。図8(B)では、図8(A)の孔95のパターンから中間行(上から二行目及び三行目)が削除されて、最上行及び最下行のみが設けられている。これらのレイアウトは、軸C1について左右対称であり、かつ、軸C2について上下対称である。なお、図8(A)の孔95のパターンから中間行の孔95のみを省略し、中間行が配置されていた凸部52を残してもよい。
【0070】
図8(C)は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の側面視において、斜方格子状に配置された複数の孔95を軸C1について左右対称に配置したものである。ここでは、横方向に所定の間隔をあけて孔95を並べた行が、縦方向に4行配置されている。孔95の横方向の位置は、上下に隣接する行に含まれる孔95の横方向の位置と一致しないように設定され、例えば孔95の配列パターンが千鳥状とされる。また、孔95の縦方向のピッチは、例えば横方向のピッチと同一に設定され、斜め方向ピッチは一定値に設定される。
【0071】
図9は、パターン状開口部9に設けられる孔95の配置をサイドレール21のホールパターン24に対応させたものである。サイドレール21のウェブ面23には、所定のホールパターン24(例えば平面格子状のホールパターン24)が形成される。孔95の配列ピッチ(縦方向及び横方向のピッチ)は、ホールパターン24における配列ピッチと同一、あるいはその整数倍に設定される。パターン状開口部9の孔95のレイアウトは、サイドレール21のホールパターン24に完全一致させてもよいし、部分一致させてもよい。また、サイドレール21のウェブ面23のうち、バッテリパック4の直上方に位置する部位に形成されたホールパターン24に対応するように、複数の孔95の配置を設定してもよい。例えば、電動トラック3の側面視において、サイドレール21のホールパターン24をそのまま鉛直下方へ移動させたようなレイアウトで、複数の孔95をパターン状開口部9に形成してもよい。なお、孔95の具体的な位置や個数は、上記の例示のみに限定されない。
【0072】
図10図11にそれぞれ示すように、パターン状開口部9は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)に車載機器10を取り付けるための溶接ボルト91や溶接ナット94を含んでもよい。
図10に示すように、溶接ボルト91は、対向板51に溶接された頭部92と、頭部92から外側に突出したネジ部93とを有する。詳細にいえば、溶接ボルト91は、バッテリ側ブラケット5の対向板51(ウェブ部71)を貫通する孔95に対し、ネジ部93が車幅方向D2の内側から挿通された状態で、対向板51に固定されている。好ましくは、溶接ボルト91の頭部92の高さHが、図6中に示す凸部52の突出寸法Pよりも小さい寸法に設定される(H<P)。これにより、車両側突時に溶接ボルト91の頭部92とバッテリパック4とが干渉しにくくなる。
溶接ボルト91のネジ部93は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に挿通されたうえで、ナット14と締結される。これにより、溶接ボルト91を含むパターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。
【0073】
図11に示すように、溶接ナット94は、対向板51に溶接される。詳細にいえば、溶接ナット94は、孔95と同軸上に配置された状態で対向板51に固定されている。
溶接ナット94は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に車幅方向D2の外側から挿通されたボルト15と締結される。これにより、溶接ナット94を含むパターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。なお、溶接ナット94に締結されるボルト15は、バッテリパック4との干渉防止のために、ネジ部の長さ寸法Lがバッテリ側面41と対向板51との距離(隙間)Sよりも十分に短く設定される(L<S)。好ましくは、溶接ナット94の厚みTが、図7中に示す凸部52の突出寸法Pよりも小さい寸法に設定される(T<P)。これにより、車両側突時に溶接ナット94とバッテリパック4とが干渉しにくくなる。なお、ボルト15のネジ部の長さ寸法Lについても、溶接ナット94と螺合しうる長さで、できるだけ短い寸法に設定することが望ましい。
【0074】
このように、第二実施形態に係る支持装置1によれば、凸部52と凹部53とを対向板51に交互に配置することで、対向板51の剛性が高まることから、対向板51の板厚を薄くすることが可能となる。したがって、バッテリ側ブラケット5の軽量化を図りつつ、耐側突強度を確保できる。また、凸部52に孔95を設けることで、孔95に挿通される締結具(例えば、溶接ボルト91、溶接ナット94等)とバッテリパック4との距離が確保しやすくなり、締結具との接触によるバッテリパック4の変形や破損を防止できる。特に、溶接ボルト91の頭部92の高さHや溶接ナット94の厚みTを凸部52の突出寸法P未満に設定すれば、締結具とバッテリパック4との干渉が好適に抑制される。したがって、本実施形態の支持装置1によれば、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を高めつつ、車載機器10の搭載性を改善でき、かつ、支持装置1の重量増加を抑制できる。
【0075】
なお、図12図13は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の変形例を示す斜視図である。図12に示す対向板51(ウェブ部71)は、車高方向D3に沿って延在する凸部52及び凹部53を有する。この例では、孔95が横方向に3列で縦方向に4行配置された矩形格子状のパターンが、車長方向D1に所定の間隔をあけて配置されている。複数の孔95は、側面視で左右対称、かつ、上下対称に配置される。このように、凹凸溝を縦方向に形成した場合であっても、対向板51の剛性を高めることができ、上記の実施形態と同様の作用及び効果を獲得できる。
【0076】
図13に示す対向板51(ウェブ部71)は、車幅方向D2の外側に突出する凸部として、車長方向D1に延在する第一凸部54と車高方向D3に延在する第二凸部55とを有する。また、側面視で第一凸部54及び第二凸部55の交差部分には、第三凸部56が設けられる。第一凸部54及び第二凸部55に囲まれる部分(第一凸部54及び第二凸部55のどちらにも属さない部分)は、凹部53となる。複数の孔95は、例えば第三凸部56に形成され、側面視で左右対称、かつ、上下対称に配置される。このように、凹凸溝を縦横に交差させた場合であっても、対向板51の剛性を高めることができ、上記の実施形態と同様の作用及び効果を獲得できる。
【0077】
[4.第三実施形態]
第三実施形態に係る車両用バッテリパックの支持装置1は、バッテリ側ブラケット5の対向板51(ウェブ部71)の構成が第一実施形態及び第二実施形態とは異なる。
図14に示すように、対向板51(ウェブ部71)は、内部に空洞57を有する押出形状に形成される。この空洞57は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)における車幅方向D2の外端部全体をカバーするように形成され、側突時におけるクラッシャブルゾーンとして機能する。空洞57を囲む周壁の断面形状は、好ましくは閉断面形状とされ、より好ましくは多角形状(例えば、矩形状や台形状)とされる。空洞57の延在方向(押出方向)は、車長方向D1に沿った方向とされる。空洞57の数は、一つでもよいし複数でもよい。また、対向板51の組成は不問であり、例えばアルミニウム合金、マグネシウム合金、鋼材、セラミックス、合成樹脂等を用いることができる。本実施形態の対向板51は、成形性や重量、コストの面で有利なアルミニウム合金の押出成形材(アルミ押出材)からなる。
【0078】
上記の複数の孔95は、空洞57から車幅方向D2の外側に向かって対向板51を貫通するように設けられる。言い換えれば、複数の孔95は、空洞57を囲む周壁のうち、車幅方向D2の外側に位置する周壁に穿孔される。また、複数の孔95を介してパターン状開口部9に取り付けられる車載機器10は、空洞57よりも車幅方向D2の外側に配置される。したがって、車載機器10とバッテリパック4との間には、空洞57が介在することになる。これにより、側突時に外力が車載機器10へ作用したとしても、その衝撃が空洞57を囲む周壁の変形によって緩衝、吸収され、バッテリパック4の保護性能が向上する。
【0079】
空洞57の内部には、車載機器10を取り付けるための締結具(例えば、溶接ボルト91、溶接ナット94等)が固定されたプレート58を内挿してもよい。プレート58には、複数の孔95に対応する複数のプレート孔59が穿孔され、各々のプレート孔59の内側に溶接ボルト91や溶接ナット94が固定される。また、プレート孔59の横方向のピッチは、孔95の横方向のピッチと同一に設定される。プレート孔59及び孔95の中心が一致するように、空洞57の内部にプレート58を差し込むことで、プレート58に固定された溶接ボルト91や溶接ナット94と螺合するナット、ボルト等の取り付けが容易となる。
【0080】
図15図16にそれぞれ示すように、パターン状開口部9は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)に車載機器10を取り付けるための溶接ボルト91や溶接ナット94を含んでもよい。図15は、プレート58に溶接ボルト91が固定されたものを示し、図16は、プレート58に溶接ナット94が固定されたものを示す。
図15に示すように、溶接ボルト91は、プレート58に溶接された頭部92と、頭部92から外側に突出したネジ部93とを有する。詳細にいえば、溶接ボルト91は、プレート孔59に対してネジ部93が車幅方向D2の内側から挿通された状態で、プレート58に溶接固定される。また、このプレート58は、孔95に対してネジ部93が車幅方向D2の内側から挿通されるように、空洞57の内部に取り付けられる。
溶接ボルト91のネジ部93は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に挿通されたうえで、ナット14と締結される。これにより、パターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。
【0081】
図16に示すように、溶接ナット94は、プレート58に溶接される。詳細にいえば、溶接ナット94は、プレート孔59と同軸上に配置された状態でプレート58に固定されている。また、このプレート58は、プレート孔59及び孔95の中心が一致するように、空洞57の内部に挿入される。
溶接ナット94は、車載機器10(又はそのブラケット等)に形成された貫通孔(図示略)に車幅方向D2の外側から挿通されたボルト15と締結される。これにより、溶接ナット94を含むパターン状開口部9に車載機器10が取り付けられる。なお、溶接ナット94に締結されるボルト15は、ネジ部の長さ寸法Lが空洞57の内法寸法(隙間)Sよりも十分に短く設定される(L<S)。
【0082】
このように、第三実施形態に係る支持装置1によれば、対向板51が内部に空洞57を有するアルミ押出材からなるため、例えば鋼材を使用した場合と比較して軽量化が容易であり、成形やコストの面でも有利である。また、この空洞57から車幅方向D2の外側に向かって対向板51を貫通するように複数の孔95を設けることで、車載機器10の配設位置を空洞57よりも車幅方向D2の外側に設定することができる。これにより、空洞57の部分を側突時におけるクラッシャブルゾーンとして機能させることができ、初期衝突エネルギーを低減させてバッテリパック4の変形や破損を防止できる。さらに、図7に示すように、空洞57の内法寸法Sに対してネジ部の長さ寸法Lが十分に小さいボルト15を用いた場合には、空洞57を囲む周壁のうち車幅方向D2の内側に位置する周壁とボルト15との干渉が防止され、ボルト15とバッテリパック4とが接触しにくくなる。したがって、本実施形態の支持装置1によれば、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を高めつつ、車載機器10の搭載性を改善でき、かつ、支持装置1の重量増加を抑制できる。
【0083】
なお、図17は、バッテリ側ブラケット5(エンドクロスメンバ7)の変形例を示す斜視図であり、図18はその断面図である。図17図18に示す対向板51(ウェブ部71)は、単一の空洞57を内部に有する押出材からなる。複数の孔95は、空洞57を囲む周壁のうち車幅方向D2の外側の周壁に形成される。また、空洞57に内挿されるプレート58には、複数の孔95と同一のレイアウトで配置された複数のプレート孔59が穿孔される。このように、空洞57及びプレート58の数が一つであっても、上記の実施形態と同様の作用及び効果を奏するものとなる。
【0084】
[5.その他]
上記の実施形態、第二実施形態、第三実施形態に係るバッテリ側ブラケット5の構成は一例である。バッテリ側ブラケット5は、少なくとも、バッテリ側面41と対向する対向板51を有するとともにバッテリパック4を収容する形状であればよく、上記のエンドクロスメンバ7及びメインブラケット8以外の部材で形成されてもよい。
フレーム側ブラケット6の構成、配置及び個数も、上記の例示に限定されない。
【0085】
パターン状開口部9の具体的な構造は、上記の例示に限定されない。パターン状開口部9は、溶接ボルト91及び溶接ナット94の双方を含んでもよいし、溶接ボルト91及び溶接ナット94以外の構造を含んでもよい。
パターン状開口部9に搭載される車載機器10としては、上記の筐体12及びセンサ13に限らず、電動トラック3に搭載される様々な機器を採用できる。例えば、車載機器10は、電動トラック3の補機用の低電圧バッテリ(図示略)を含んでもよい。車載機器10がこのような低電圧バッテリを含む場合も、支持装置1及び電動トラック3によれば、上記の第一、第二、第三実施形態と同様に、側突時におけるバッテリパック4の保護性能を高めつつ、車載機器10の搭載性を確保できる。
【0086】
他の車載機器10の具体例としては、電動トラック3に架装される架装装置や架装装置の付随装置が挙げられる。架装装置には、冷蔵冷凍装置、発電装置、照明装置、給水装置、シュレッダー装置、廃棄物貯留装置、クレーン装置等が含まれる。また、付随装置には、モータ、コンプレッサ、ポンプ、配線材、配管材、ツールボックス等が含まれる。このような架装装置や付随装置をバッテリ側ブラケット5に搭載できるようにすることで、例えば車両用バッテリパック4が搭載されない既存の車両と同じ架装装置及び付随装置を、ほぼ同じ位置に取り付けることができ、ユーザビリティや利便性をさらに高めることができる。
【0087】
また、既存の車両では、サイドレール21から比較的長いブラケットを介して架装装置や付随装置を取り付けていた。一方、本実施態様では、サイドレール21よりも車幅方向D2の外側に位置するバッテリ側ブラケット5の対向板51(エンドクロスメンバ7のウェブ部71)に対して架装装置や付随装置が取り付けられるため、従来のブラケットよりも短いブラケットで事足りる。したがって、ブラケットを小型化できるとともに耐振動性も改善でき、かつコストを削減できる。
なお、支持装置1の適用対象は、上記の電動トラック3に限定されない。支持装置1は、ラダーフレーム2を備える様々な車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 支持装置(バッテリパックの支持装置)
2 ラダーフレーム
3 電動トラック(車両)
4 バッテリパック(車両用バッテリパック)
5 バッテリ側ブラケット
6 フレーム側ブラケット
7 エンドクロスメンバ
8 メインブラケット
9 パターン状開口部
10 車載機器
11 充電口
12 筐体
13 センサ
14 ナット
15 ボルト
21 サイドレール
22 クロスメンバ
23 ウェブ面
24 ホールパターン
41 バッテリ側面
42 前面
43 後面
51 対向板
52 凸部
53 凹部
54 第一凸部
55 第二凸部
56 第三凸部
57 空洞
58 プレート
59 プレート孔
71 ウェブ部
72 フランジ部
81 ウェブ部
82 フランジ部
91 溶接ボルト
92 頭部
93 ネジ部
94 溶接ナット
95 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18