(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-22
(45)【発行日】2025-09-01
(54)【発明の名称】ストレージシステム及びストレージシステムの管理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/06 20060101AFI20250825BHJP
G06F 13/10 20060101ALI20250825BHJP
G06F 11/20 20060101ALN20250825BHJP
【FI】
G06F3/06 304F
G06F3/06 301Z
G06F3/06 301X
G06F13/10 340A
G06F11/20 630
(21)【出願番号】P 2023150327
(22)【出願日】2023-09-15
【審査請求日】2024-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】524132520
【氏名又は名称】日立ヴァンタラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕大
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴大
(72)【発明者】
【氏名】出口 彰
【審査官】北村 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-013227(JP,A)
【文献】特開2005-182222(JP,A)
【文献】国際公開第2015/162684(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/06
G06F 13/10
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを有するノードを複数備え、
第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、
第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、
第3のノードは、前記セカンダリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、
前記第1のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記プライマリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、
前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替える
ことを特徴とするストレージシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージシステムであって、
前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームへの入出力をペンディングした後、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替え、前記ペンディングを解除することを特徴とするストレージシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のストレージシステムであって、
前記第1のノードは、前記プライマリボリュームに対する書き込みの履歴を蓄積する第1のジャーナルボリュームをさらに構成し、
前記第3のノードは、マイグレーション後に前記第1のジャーナルボリュームに対応する第3のジャーナルボリュームをさらに構成し、
前記第3のノードを特定する情報として、前記第3のジャーナルボリュームの識別情報を用いることを特徴とするストレージシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のストレージシステムであって、
前記第3のノードは、前記新たなペアの形成後、前記第1のノードから前記プライマリボリュームの内容を取得して前記移動先ボリュームにコピーし、
前記第2のノードは、前記コピーの完了後に前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とするストレージシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のストレージシステムであって、
前記第3のノードは、前記新たなペアの形成後、前記第2のノードから前記セカンダリボリュームの内容を取得して前記移動先ボリュームにコピーし、
前記第2のノードは、前記コピーの完了後に前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とするストレージシステム。
【請求項6】
プロセッサを有するノードを複数備え、
第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、
第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、
第3のノードは、前記プライマリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、
前記第2のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記セカンダリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、
前記第1のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記プライマリボリュームの識別情報に入れ替える
ことを特徴とするストレージシステム。
【請求項7】
プロセッサを有するノードを複数備えるストレージシステムの管理方法であって、
第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、
第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、
第3のノードは、前記セカンダリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、
前記第1のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記プライマリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、
前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替える
ことを特徴とするストレージシステムの管理方法。
【請求項8】
プロセッサを有するノードを複数備えるストレージシステムの管理方法であって、
第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、
第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、
第3のノードは、前記プライマリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、
前記第2のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記セカンダリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、
前記第1のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記プライマリボリュームの識別情報に入れ替える
ことを特徴とするストレージシステムの管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージシステム及びストレージシステムの管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ストレージシステムを管理するため、特開2022-169249号公報(特許文献1)に記載の技術がある。この公報には、「ストレージ機能を適用したボリュームの移動を、ストレージ機能の機能性を維持しつつ、移動対象のボリュームに書き込まれたデータを計算機間でデータコピーすること無しに、行う。」「一つ又は複数の物理記憶デバイスの各々にアクセス可能に複数の計算機が接続される。各計算機は、移動先の計算機に、移動対象のボリュームのオーナー権を移動するようになっている。第1の計算機から第2の計算機への移動対象ボリュームが、領域マッピングデータ(ボリューム領域と記憶領域との関係を表し当該オーナーボリュームについてのメタデータ)に代えて又は加えて領域マッピングデータ以外のメタデータである制御データがデータのI/Oに必要とされるストレージ機能が適用されたオーナーボリュームである場合、第1の計算機が、当該オーナーボリュームの制御データを、第2の計算機にコピーする。」という記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、非同期リモートコピーのペアを形成したボリュームを別ノードにマイグレーションする際に、ペアを解除する必要があった。例えば、ノードを減設する際、対象ノード内のボリュームを別ノードに移動させる必要があるが、非同期リモートコピーのペアを形成したボリュームは、ストレージコントローラーがノード間で情報を引き継げないため、一度ペア状態を解除してから別ノードに移動させなければならなかった。また、ノード増設時に動作する容量リバランスにおいても同様の問題から、既存非同期リモートコピーのペアを形成したボリュームを増設ノードに移動するためにはペア解除が必要で、運用コストが高く、また耐障害性も低かった。
【0005】
そこで、本発明では、ペアを維持した状態でボリュームのマイグレーションを行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明のストレージシステムの一つは、プロセッサを有するノードを複数備え、第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記セカンダリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第1のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記プライマリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とする。
また、代表的な本発明のストレージシステムの一つは、プロセッサを有するノードを複数備え、第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記プライマリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第2のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記セカンダリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第1のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記プライマリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とする。
また、代表的な本発明のストレージシステムの管理方法の一つは、プロセッサを有するノードを複数備えるストレージシステムの管理方法であって、第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記セカンダリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第1のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記プライマリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とする。
また、代表的な本発明のストレージシステムの管理方法の一つは、プロセッサを有するノードを複数備えるストレージシステムの管理方法であって、第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記プライマリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第2のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記セカンダリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第1のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記プライマリボリュームの識別情報に入れ替えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ペアを維持した状態でボリュームのマイグレーションができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図11】リモートコピー処理(非同期転送)の説明図
【
図12】実施例1のマイグレーション処理の説明図(その1)
【
図13】実施例1のマイグレーション処理の説明図(その2)
【
図15】実施例2のマイグレーション処理の説明図(その1)
【
図16】実施例2のマイグレーション処理の説明図(その2)
【
図17】実施例3のマイグレーション処理の説明図(その1)
【
図18】実施例3のマイグレーション処理の説明図(その2)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施例を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1のマイグレーションの説明図である。実施例1のストレージシステムは、プライマリサイト201aと、セカンダリサイト201bを有する。プライマリサイト201a及びセカンダリサイト201bは、それぞれ複数のノードを有する。複数のノードは、ストレージコントロールシステム(SCS)501を有する。一例として、各ノードは、SCS501を複数備えて冗長化している。
【0011】
プライマリサイト201aのノードの1つは、プライマリボリューム(PVOL)102xを有する。セカンダリサイト201bのノートの1つは、セカンダリボリューム(SVOL)102yを有する。プライマリボリューム102xとセカンダリボリューム102yは、ボリュームペア103aを形成する。
また、セカンダリサイト201bのストレージシステムの構成は、構成情報105として管理されている。
【0012】
ユーザ端末100が、ユーザからの操作を受け、セカンダリボリューム102yをセカンダリサイト201bの他のノードに移動させる場合の処理を説明する。
(1)ユーザ端末100は、移動の対象(migration target)とするセカンダリボリューム102yを選択する。選択されたセカンダリボリューム102yを移動元ボリューム、移動元セカンダリボリューム、もしくはSVOL(source)という。また、移動元ボリュームを有するノードを移動元ノードという。
(2)ユーザ端末100は、リモートコピー用のパスを設定する。この処理は、(2-a)と(2-b)を含む。
(2-a)移動の宛先のセカンダリボリューム102zを有するノードを選択する。移動の宛先のセカンダリボリューム102zを移動先ボリューム、移動先セカンダリボリューム、もしくはSVOL(dest.)という。また、移動先ボリュームを有するノードを移動先ノードという。
(2-b)プライマリボリューム102xを有するノードから移動先セカンダリボリューム102zを有するノードまでのパスを設定する。
(3)プライマリボリューム102xと移動先セカンダリボリューム102zとで新しいボリュームペア103bを形成し、データを同期する。
(4)プライマリボリューム102xと移動元セカンダリボリューム102yのボリュームペア103aを解除する。
【0013】
図2は、ストレージシステムのハードウェア構成である。複数のサイト201は、ネットワーク202を介して接続している。各々のサイト201には、複数のノード210が含まれる。複数のノード210は、サイト201の内部において、ネットワーク220で通信可能に接続している。
【0014】
各々のノード210は、制御装置211、記憶装置として複数のドライブ214及びポート215をバス216で接続した構成を有する。
ポート215は、ネットワーク220を介して他のノードと通信する。
複数のドライブ14は、物理記憶領域を有する。
制御装置211は、プロセッサ213とメモリ212を有する。プロセッサ213は、所定のプログラムをメモリ212に展開して実行することにより、ストレージコントロールシステム(SCS)として動作する。ストレージコントロールシステム(SCS)は、ドライブ214の物理記憶領域から論理的な記憶領域であるボリュームを構成し、ボリュームに対する入出力を処理する。
【0015】
図3は、リモートコピーの説明図である。
図3では、プライマリサイト201aは、ノード210a、ノード210b及びノード210cを有する。また、セカンダリサイト201bは、ノード210d、ノード210e及びノード210fを有する。
【0016】
ノード210aは、プライマリボリューム102a、プライマリボリューム102b、ジャーナルボリューム102cを有する。
ノード210dは、ジャーナルボリューム102h、セカンダリボリューム102i、セカンダリボリューム102jを有する。
【0017】
プライマリボリューム102a、プライマリボリューム102b、ジャーナルボリューム102c、ジャーナルボリューム102h、セカンダリボリューム102i、セカンダリボリューム102jは、整合性を管理されたグループ1に属する。
プライマリボリューム102aやプライマリボリューム102bに対する書き込みは、ジャーナルボリューム102cに蓄積される。ジャーナルボリューム102cの内容を、ジャーナルボリューム102hにデータ転送し、時系列に従ってセカンダリボリューム102iとセカンダリボリューム102jに反映することで、グループ1の非同期のリモートコピーが実現できる。
【0018】
また、ノード210bは、プライマリボリューム102d、ジャーナルボリューム102eを有し、ノード210cは、プライマリボリューム102f、ジャーナルボリューム102gを有する。
ノード210eは、ジャーナルボリューム102k、セカンダリボリューム102lを有し、ノード210fは、ジャーナルボリューム102m、セカンダリボリューム102nを有する。
【0019】
プライマリボリューム102d、ジャーナルボリューム102e、プライマリボリューム102f、ジャーナルボリューム102g、ジャーナルボリューム102k、セカンダリボリューム102l、ジャーナルボリューム102m、セカンダリボリューム102nは、整合性を管理されたグループ2に属する。
プライマリボリューム102dに対する書き込みは、ジャーナルボリューム102eに蓄積される。プライマリボリューム102fに対する書き込みは、ジャーナルボリューム102gに蓄積される。ジャーナルボリューム102e及びジャーナルボリューム102gの内容は、同時刻の書込みデータまで転送する。ジャーナルボリューム102eのデータは、ジャーナルボリューム102kに転送し、その後、セカンダリボリューム102lに反映する。ジャーナルボリューム102gのデータは、ジャーナルボリューム102mに転送し、その後、セカンダリボリューム102nに反映する。この結果、グループ2の非同期のリモートコピーが実現できる。
【0020】
図4は、入出力処理の説明図である。プライマリサイト201aのホスト401が書き込みを行う場合を説明する。ホスト401のアプリケーション402は、データ「A」「B」をプライマリボリューム102aに書き込む。プライマリボリューム102aを有するノード210aは、プライマリボリューム102aに対する書き込みの履歴をジャーナルボリューム102cに蓄積する。
【0021】
ジャーナルボリューム102cに蓄積されたデータ「A」「B」は、セカンダリサイト201bに転送される。
図4の例では、データ「A」の書き込み履歴であるデータ403aは、ノード210dに直接送られ、ジャーナルボリューム102hに格納される。また、データ「B」の書き込み履歴であるデータ403bは、ノード210eを経由してノード210dに送られ、ジャーナルボリューム102hに格納される。その後、データ「A」の書き込みとデータ「B」の書き込みは、セカンダリボリューム102iに反映される。この結果、セカンダリボリューム102iの内容は、プライマリボリューム102aの内容と一致する。
なお、セカンダリサイト201bのホストは、セカンダリボリューム102iに対するリードが可能である。
【0022】
図5は、メモリ情報の一覧である。メモリ212に格納される情報には、制御情報テーブル610とストレージプログラム620とが含まれる。
制御情報テーブル610には、システム構成管理テーブル611、ペア構成管理テーブル612、ジャーナル管理テーブル613、マイグレーション構成管理テーブル614が含まれる。
ストレージプログラム620には、パス作成処理プログラム621、ノード障害回復処理プログラム622、データ転送処理プログラム623、パス変更処理プログラム624、I/O処理プログラム625、マイグレーション処理プログラム626が含まれる。このストレージプログラム620に含まれる各種プログラムを実行することで、プロセッサ213は、ストレージコントロールシステム(SCS)としての機能を実現する。
なお、これらのメモリ情報は、ドライブ214の記憶領域にバックアップすることができる。
【0023】
図6は、システム構成管理テーブル611の具体例である。システム構成管理テーブル611は、ノード構成管理テーブル710、ドライブ構成管理テーブル720、ポート構成管理テーブル730を含む。
ノード構成管理テーブル710は、ノードID711、ノードの状態712、ノードが有するドライブを示すドライブIDリスト713、ノードが有するポートを示すポートIDリスト714の項目を含む。
ドライブ構成管理テーブル720は、ドライブID721、ドライブの状態722、ドライブのサイズ723の項目を有する。
ポート構成管理テーブル730は、ポートID731、ポートの状態732、ポートのアドレス733の項目を有する。
【0024】
図7は、ペア構成管理テーブル612の具体例である。ペア構成管理テーブル612は、ボリューム管理テーブル810、ペア管理テーブル820、パス管理テーブル830を含む。
ボリューム管理テーブル810は、ボリュームID、オーナノードID812、後退先ノードID813、サイズ814、属性815、内部識別子816の項目を含む。属性815は、通常VOL、PVOL、SVOL、JNVOL(ジャーナルボリューム)などの値を取る。
【0025】
ペア管理テーブル820は、ペアID821、プライマリジャーナルグループID822、プライマリボリュームID823、セカンダリジャーナルグループID824、セカンダリボリュームID825、パスID826、状態827の項目を有する。
パス管理テーブル830は、パスID831、プロトコル情報832、デスティネーションアドレス833、アクセスポリシ834、優先パス835の項目を有する。
【0026】
図8は、ジャーナル管理テーブル613の具体例である。ジャーナル管理テーブル613は、ジャーナルグループIDと、当該ジャーナルグループで管理されるボリュームのボリュームIDとを含む。
【0027】
図9は、マイグレーション構成管理テーブル614の具体例である。マイグレーション構成管理テーブル614は、ボリューム管理テーブル1010とボリュームマイグレーション管理テーブル1020とを含む。
ボリューム管理テーブル1010は、ボリュームID、オーナノードID、後退先ノードID、状態の項目を含む。
ボリュームマイグレーション管理テーブル1020は、マイグレーション処理ID921、移動元ボリュームID922、移動先ボリュームID923、状態924の項目を含む。
【0028】
図10は、パス作成処理の説明図である。パス作成処理では、まず、ユーザ端末100がプライマリサイトのSCS501Aにパス作成を指示する(ステップS901)。
SCS501Aは、パス作成の指示を受領し(ステップS902)、指定されたノードにログイン要求を送信する(ステップS903)。
【0029】
セカンダリサイトのSCS501Bは、ログイン要求を受信(ステップS904)する。その後、SCS501Bは、SCS501Aに対してログイン完了を通知する(ステップS905)。
【0030】
SCS501Aは、ログイン完了を受信すると(ステップS906)、ログイン応答の情報と入力情報を照合する(ステップS907)。ログイン応答の情報と入力情報が一致している場合、SCS501Aは、パスを有効化し(ステップS908)、操作完了をユーザ端末100に通知する(ステップS909)。
ユーザ端末100が操作完了の通知を受信することで(ステップS910)、パス作成処理は終了する。
【0031】
図11は、リモートコピー処理(非同期転送)の説明図である。
プライマリボリュームのオーナノードのSCS501Aは、ホストからのライトデータをプライマリボリュームに書き込む(ステップS1101)。その後、プライマリボリュームへのライトデータをメタデータと共にプライマリボリュームのジャーナルボリュームへ書き込む(ステップS1102)。
【0032】
移動元のセカンダリボリュームを有する移動元ノード(SVOL source node)のSCS501Bは、SCS501Aに対してジャーナルリード要求を送信する(ステップS1103)。
SCS501Aは、ジャーナルリード要求を受信し(ステップS1104)、ジャーナルボリュームの更新差分データメタデータを転送する(ステップS1105)。
SCS501Bは、更新差分データとメタデータを受信し(ステップS1106)、セカンダリボリュームのジャーナルボリュームに受信したデータとメタデータを書き込む(ステップS1107)。その後、SCS501Bは、セカンダリボリュームのジャーナルボリュームからセカンダリボリュームにデータを書き込む(ステップS1108)。
【0033】
図12及び
図13は、実施例1のマイグレーション処理の説明図である。このマイグレーション処理には、ユーザ端末100、SCS501A、SCS501B、SCS501C、SCS501Dが関与する。
【0034】
SCS501Aは、プライマリボリュームのオーナノードのSCSである。
SCS501Bは、移動元のセカンダリボリュームを有する移動元ノード(SVOL source node)のSCSである。
SCS501Cは、移動先のセカンダリボリュームを有する移動先ノード(SVOL destination node)のSCSである。
SCS501Dは、セカンダリサイトの構成を一元管理する代表ノード(discovery node)のSCSである。
【0035】
まず、ユーザ端末100は、移動先ノードを決定し、ボリュームの作成を指示する(ステップS1201)。この指示を受けたノードのSCSが、SCS501Cである。SCS501Cは、移動先のセカンダリボリュームを作成する(ステップS1202)。このボリュームの識別情報を、Vol1とする。
さらに、ユーザ端末100は、SCS501Cにジャーナルボリュームの作成を指示する(ステップS1203)。この指示を受けて、SCS501Cはジャーナルボリュームを作成する(ステップS1204)。このボリューム識別情報をJNLVol3とする。
【0036】
次に、ユーザ端末100は、マイグレーション対象であるVOL0を移動元ボリュームID、作成したVol1を移動先ボリュームIDとして、マイグレーション登録を行う(ステップS1205)。マイグレーション登録は、ボリュームマイグレーション管理テーブル1020に上記VolIDペア情報を登録することで行う(ステップS1206)。また、このマイグレーション処理は、リモートコピーペアを維持したままのマイグレーションであることから、他のマイグレーションと区別するために、Remote Copyingという状態を付与して管理する。
【0037】
ユーザ端末100は、移動元セカンダリボリュームとペア状態のプライマリボリュームを有するノードの識別子をSCS501Dに問い合わせる(ステップS1207)。
SCS501Dは、ノード間の共有データベースから情報を取得し(ステップS1208)、ノードの情報をユーザ端末100に応答する(ステップS1209)。
【0038】
ユーザ端末100は、ノード情報を応答として受領し(ステップS1210)、パス作成処理を行う(ステップS1211)。このパス作成処理は、プライマリボリュームのオーナノードから移動先ノードへのパスを作成する処理である。
【0039】
その後、システムはペア形成処理を行う(ステップS1212)。具体的には、まず、ユーザ端末100は、プライマリボリューム、Vol0、JNLVol3を用いたペア形成をSCS501Aに指示する(ステップS1213)。ここで、Vol0は、移動元のセカンダリボリュームの識別情報である。
SCS501Aは、指示を受信すると(ステップS1214)、Vol0とのペア形成を代表ノードである501Dに要求する(ステップS1215)。
【0040】
代表ノードである501Dは、指示を受信すると(ステップS1216)、ノード間の共有データベースからJNLVol3のオーナノード(すなわち移動先ノード)を特定する(ステップS1217)。そして、対象ノード内でVol0とマイグレーション処理中のVol1(すなわち移動先セカンダリボリューム)を、ボリュームマイグレーション管理テーブル1020を用いて特定する(ステップS1218)。すなわち、Vol0をキーとして移動元ボリュームID922列を検索し、一致した行に対応する移動先ボリュームID923をマイグレーション処理中のVolIDとする。
次に、マイグレーション処理中のVolIDと、JNLVOlのオーナノードとを比較し、不一致の場合は操作ミスとしてエラーを返す。マイグレーション処理中のVolIDのノードは、ボリューム管理テーブル1010を参照することで特定する。JNLVOlのオーナノードは、ジャーナル管理テーブル613によりボリュームIDを特定し、ボリューム管理テーブル1010を参照することで、当該ボリュームIDのオーナノードIDを特定する。両者が一致した場合は処理を進める。
【0041】
特定された移動先ノードのSCS501Cは、移動先セカンダリボリュームであるVol1とプライマリボリュームとのペアを形成する(ステップS1219)。
SCS501Cは、プライマリボリュームからVol1へのコピー処理を開始し(ステップS1220)、コピーを完了させる(ステップS1221)。
SCS501Dは、SCS501Cがコピーを開始した後に、SCS501Aに対してペア形成完了の応答を送信する(ステップS1222)。SCS501Aは、ペア形成完了の応答を受信すると(ステップS1223)、ユーザ端末100に操作完了を通知する(ステップS1224)。ユーザ端末100は、通知を受信して操作を完了する(ステップS1225)。
【0042】
このように、本実施例のペア形成処理では、ユーザ端末100は、移動元セカンダリボリュームの識別情報(Vol0)と移動先セカンダリボリュームに対応するジャーナルボリュームの識別情報(JNLVol3)とを指定して新しいペアの形成を指示する。プライマリボリューム(PVol)を有するノードのSCS501Aは、指定されたセカンダリボリュームの識別情報(Vol0)を用いて直接ペアを形成するのではなく、JNLVol3に基づいて代表ノードのSCS501Dに問い合わせを行うことでノードを特定し、当該ノード内でVol0とマイグレーションを行っているVol1を移動先とする。このようにVol0をVol1に読み替えることで移動先セカンダリボリュームとペアを形成している。
【0043】
図12に示したペア形成処理の後、
図13に示すように、ユーザ端末100は、SCS501Bのコピーが完了するのを待つ(ステップS1301)。コピーの完了後、ユーザ端末100は、移動元ノードのSCS501Bに対し、移動元セカンダリボリュームへの入出力のペンディングを指示する(ステップS1302)。
SCS501Bは、ユーザ端末100からの指示を受けて(ステップS1303)、移動元セカンダリボリュームへの入出力をペンディングする(ステップS1304)。
【0044】
その後、ユーザ端末100は、SCS501Aに対し、プライマリボリュームと移動元セカンダリボリュームとのペア(古いペア)の解除を指示する(ステップS1305)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受信して(ステップS1306)、ペアを解除する(ステップS1307)。
SCS501Bは、ペア解除を受けてペア状態を更新する(ステップS1308)。
SCS501Aは、ペア解除後、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1309)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1310)。その後、マイグレーション後処理を行う(ステップS1311)。
【0045】
マイグレーション後処理では、ユーザ端末100は、SCS501Bにボリュームスワップ指示を送信する(ステップS1312)。SCS501Bは、指示を受領すると(ステップS1313)、ボリューム管理テーブル内のボリュームIDについて、移動先セカンダリボリュームのID(本例では、Vol1)の値を移動元セカンダリボリュームのID(本例では、Vol0)と入れ替えて更新する。
また、ペア管理テーブル上のセカンダリボリュームIDについて、移動先セカンダリボリュームのID(本例では、Vol1)の値を移動元セカンダリボリュームのID(本例では、Vol0)に書き換えて、更新する(ステップS1314)。
またその後、ボリュームマイグレーション管理テーブルから、本処理で登録したマイグレーション処理にかかるエントリを削除する。
その後、入出力のペンディングを解除し(ステップS1315)、パス変更を通知して(ステップS1316)、ユーザ端末100に完了応答を送信する(ステップS1317)。
ユーザ端末100は、完了応答を受信して操作を完了し(ステップS1318)、SCS501Bに移動元セカンダリボリュームの削除を指示する(ステップS1319)。
SCS501Bは、ユーザ端末100からの指示を受信して移動元セカンダリボリュームを削除し(ステップS1320)、マイグレーション後処理を終了する。
【0046】
このように、移動先ボリュームとのペア形成時には、移動先ジャーナルボリュームの識別情報を用いて読み替えを行い、移動先セカンダリボリュームとのペアを形成した後に移動元セカンダリボリュームの識別情報を移動先セカンダリボリュームの識別情報に書き換える。このため、プライマリボリュームは、同一のセカンダリボリュームの識別情報とペアを形成したまま、セカンダリボリュームのマイグレーションを行うことができる。
【0047】
なお以上の説明では、ユーザ端末100が、ユーザからの操作を受けつけて一連の処理を実行する手順を示したが、ユーザ端末のかわりに、SCS501が処理を行っても良い。
【実施例2】
【0048】
本実施例2では、移動元セカンダリボリュームから移動先セカンダリボリュームにデータをコピーする構成について説明する。
図14は、実施例2のマイグレーションの説明図である。実施例2のストレージシステムは、プライマリサイト201aと、セカンダリサイト201bを有する。プライマリサイト201a及びセカンダリサイト201bは、それぞれ複数のノードを有する。複数のノードは、ストレージコントロールシステム(SCS)501を有する。一例として、各ノードは、SCS501を複数備えて冗長化している。
【0049】
プライマリサイト201aのノードの1つは、プライマリボリューム(PVOL)102xを有する。セカンダリサイト201bのノートの1つは、セカンダリボリューム(SVOL)102yを有する。プライマリボリューム102xとセカンダリボリューム102yは、ボリュームペア103aを形成する。
また、セカンダリサイト201bのストレージシステムの構成は、構成情報105として管理されている。
【0050】
ユーザ端末100が、ユーザからの操作を受け、セカンダリボリューム102yをセカンダリサイト201bの他のノードに移動させる場合の処理を説明する。
(1)ユーザ端末100は、移動の対象(migration target)とするセカンダリボリューム102yを選択する。選択されたセカンダリボリューム102yを移動元ボリューム、移動元セカンダリボリューム、もしくはSVOL(source)という。また、移動元ボリュームを有するノードを移動元ノードという。
(2)ユーザ端末100は、リモートコピー用のパスを設定する。この処理は、(2-a)と(2-b)を含む。
(2-a)移動の宛先のセカンダリボリューム102zを有するノードを選択する。移動の宛先のセカンダリボリューム102zを移動先ボリューム、移動先セカンダリボリューム、もしくはSVOL(dest.)という。また、移動先ボリュームを有するノードを移動先ノードという。
(2-b)プライマリボリューム102xを有するノードから移動先セカンダリボリューム102zを有する移動先ノードまでのパスを設定する。さらに、移動元ノードから移動先ノードまでのパスを設定する。
(3)移動元セカンダリボリューム102yと移動先セカンダリボリューム102zとで新しいボリュームペアを形成し、データを同期する。
(4)プライマリボリューム102xと移動先セカンダリボリューム102zとで新しいボリュームペア103bを形成するが、データをコピーせずにホールドする。
(5)プライマリボリューム102x、移動元セカンダリボリューム102y、移動先セカンダリボリューム102zのデルタボリュームパスをアクティブにする。
(6)プライマリボリューム102xと移動元セカンダリボリューム102yのボリュームペア103aを解除し、移動元セカンダリボリュームを削除する。
【0051】
図15及び
図16は、実施例2のマイグレーション処理の説明図である。このマイグレーション処理には、ユーザ端末100、SCS501A、SCS501F、SCS501G、SCS501Dが関与する。
【0052】
SCS501Aは、プライマリボリュームのオーナノードのSCSである。
SCS501Fは、移動元のセカンダリボリュームを有する移動元ノード(SVOL source node)のSCSである。
SCS501Gは、移動先のセカンダリボリュームを有する移動先ノード(SVOL destination node)のSCSである。
SCS501Dは、セカンダリサイトの構成を一元管理する代表ノード(discovery node)のSCSである。
【0053】
まず、ユーザ端末100は、移動先ノードを決定し、ボリュームの作成を指示する(ステップS1501)。この指示を受けたノードのSCSが、SCS501Gである。SCS501Gは、移動先のセカンダリボリュームを作成する(ステップS1502)。このボリュームの識別情報を、Vol1とする。
さらに、ユーザ端末100は、SCS501Gにジャーナルボリュームの作成を指示する(ステップS1503)。この指示を受けて、SCS501Gはジャーナルボリュームを作成する(ステップS1504)。このボリューム識別情報をJNLVol3とする。
【0054】
ユーザ端末100は、移動元セカンダリボリュームとペア状態のプライマリボリュームを有するノードの識別子をSCS501Dに問い合わせる(ステップS1505)。
SCS501Dは、ノード間の共有データベースから情報を取得し(ステップS1506)、ノードの情報をユーザ端末100に応答する(ステップS1507)。
【0055】
ユーザ端末100は、ノード情報を応答として受領し(ステップS1508)、移動元ノードから移動先ノードへのパスを作成するパス作成処理を行う(ステップS1509)。その後、移動元セカンダリボリューム(Vol0)と移動先セカンダリボリューム(Vol1)とでJNLVol3を用いたペアを形成する(ステップS1510)。
【0056】
JNLVol3を用いたペア形成とは、移動元セカンダリボリュームの識別情報(Vol0)と移動先セカンダリボリュームに対応するジャーナルボリュームの識別情報(JNLVol3)とを指定して新しいペアの形成を指示し、JNLVol3に基づいて代表ノードのSCS501Dに問い合わせを行うことでVol0をVol1に読み替え、移動先セカンダリボリュームとペアを形成する処理である。
【0057】
移動元セカンダリボリューム(Vol0)と移動先セカンダリボリューム(Vol1)のペアを形成した後、プライマリボリュームのオーナノードから移動先ノードへのパスを作成するパス作成処理を行う(ステップS1511)。その後、プライマリボリュームと移動先セカンダリボリューム(Vol1)とでJNLVol3を用いたペアを形成する(ステップS1512)。この結果、プライマリボリューム、移動元セカンダリボリューム(Vol0)、移動先セカンダリボリューム(Vol1)のデルタペアが形成される。なお、プライマリボリュームから移動先セカンダリボリューム(Vol1)にはデータのコピー処理を行わずに状態をホールド化する。
【0058】
図15に示したデルタペアの形成後、
図16に示すように、ユーザ端末100は、移動元セカンダリボリューム(Vol0)から移動先セカンダリボリューム(Vol1)へのデータのコピーが完了するのを待つ(ステップS1601)。コピーの完了後、ユーザ端末100は、SCS501Aに対し、プライマリボリュームと移動元セカンダリボリュームとのペア(古いペア)の解除を指示する(ステップS1602)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受信して(ステップS1603)、ペアを解除する(ステップS1604)。
SCS501Fは、ペア解除を受けてペア状態を更新する(ステップS1605)。
SCS501Aは、ペア解除後、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1606)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1607)。
【0059】
ユーザ端末100は、移動元ノードのSCS501Fに対し、移動元セカンダリボリュームへの入出力のペンディングを指示する(ステップS1608)。
SCS501Fは、ユーザ端末100からの指示を受けて(ステップS1609)移動元セカンダリボリュームへの入出力をペンディングし(ステップS1610)、ユーザ端末100は操作完了する(ステップS1611)。
ユーザ端末100は、SCS501Aに対し、デルタペアの有効化を指示する(ステップS1612)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受信して(ステップS1613)、デルタペアの状態をコピーに変更する(ステップS1614)。
SCS501Fは、ペア状態を更新する(ステップS1615)。
SCS501Aは、ペア解除後、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1616)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1617)。
【0060】
その後、マイグレーション後処理を行う(ステップS1618)。マイグレーション後処理は、実施例1と同様であるので詳細な説明を省略するが、移動元セカンダリボリュームと移動先セカンダリボリュームの識別情報の入れ替えが含まれる。
【0061】
このように、移動先ボリュームとのペア形成時には、移動先ジャーナルボリュームの識別情報を用いて読み替えを行い、移動先セカンダリボリュームとのペアを形成した後に移動元セカンダリボリュームの識別情報を移動先セカンダリボリュームの識別情報に書き換える。このため、プライマリボリュームは、同一のセカンダリボリュームの識別情報とペアを形成したまま、セカンダリボリュームのマイグレーションを行うことができる。
さらに、移動元セカンダリボリュームから移動先セカンダリボリュームにデータをコピーするので、データコピーが副サイト内で完結し、正サイトと副サイトとの間の通信量を削減できる。
【実施例3】
【0062】
本実施例3では、プライマリボリュームを正サイト内の他のノードに移動させる処理について説明する。
【0063】
図17及び
図18は、実施例3のマイグレーション処理の説明図である。このマイグレーション処理には、ユーザ端末100、SCS501A、SCS501B、SCS501H、SCS501Jが関与する。
【0064】
SCS501Aは、移動元のプライマリボリュームPVol(source)を有する移動元ノードのSCSである。
SCS501Bは、セカンダリボリューム(SVOL)のオーナノードのSCSである。
SCS501Hは、移動先のプライマリボリュームPVol(dest.)を有する移動先ノードのSCSである。
SCS501Jは、プライマリサイトの構成を一元管理する代表ノード(discovery node)のSCSである。
【0065】
まず、ユーザ端末100は、移動先ノードを決定し、ボリュームの作成を指示する(ステップS1701)。この指示を受けたノードのSCSが、SCS501Hである。SCS501Hは、移動先のプライマリボリュームPVol(dest.)を作成する(ステップS1702)。このボリュームの識別情報を、Vol1とする。
さらに、ユーザ端末100は、SCS501Hにジャーナルボリュームの作成を指示する(ステップS1703)。この指示を受けて、SCS501Hはジャーナルボリュームを作成する(ステップS1704)。このボリューム識別情報をJNLVol3とする。
【0066】
ユーザ端末100は、移動元プライマリボリュームとペア状態のセカンダリボリュームを有するノードの識別子をSCS501Jに問い合わせる(ステップS1705)。
SCS501Jは、ノード間の共有データベースから情報を取得し(ステップS1706)、ノードの情報をユーザ端末100に応答する(ステップS1707)。
【0067】
ユーザ端末100は、ノード情報を応答として受領し(ステップS1708)、移動元ノードから移動先ノードへのパスを作成するパス作成処理を行う(ステップS1709)。その後、移動元プライマリボリュームPVol(source)(Vol0)と移動先プライマリボリュームPVol(dest.)(Vol1)とでJNLVol3を用いたペアを形成する(ステップS1710)。
【0068】
JNLVol3を用いたペア形成とは、移動元プライマリボリュームの識別情報(Vol0)と移動先プライマリボリュームに対応するジャーナルボリュームの識別情報(JNLVol3)とを指定して新しいペアの形成を指示し、JNLVol3に基づいて代表ノードのSCS501Jに問い合わせを行うことでVol0をVol1に読み替え、移動先プライマリボリュームとペアを形成する処理である。
【0069】
移動元プライマリボリュームPVol(source)(Vol0)と移動先プライマリボリュームPVol(dest.)のペアを形成した後、移動先ノードからセカンダリボリュームのオーナノードのパスを作成するパス作成処理を行う(ステップS1711)。その後、移動先プライマリボリュームPVol(dest.)とセカンダリボリュームとでJNLVol3を用いたペアを形成する(ステップS1712)。この結果、移動元プライマリボリューム(Vol0)、セカンダリボリューム、移動先プライマリボリューム(Vol1)のデルタペアが形成される。なお、セカンダリボリュームから移動先プライマリボリューム(Vol1)にはデータのコピー処理を行わずに状態をホールド化する。
【0070】
図17に示したデルタペアの形成後、
図18に示すように、ユーザ端末100は、移動元プライマリボリュームPVol(source)(Vol0)とセカンダリボリュームとのペア(古いペア)の解除を指示する(ステップS1801)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受信して、ペアを解除する(ステップS1802)。
SCS501Bは、ペア解除を受けてペア状態を更新する(ステップS1804)。
SCS501Aは、ペア解除後、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1805)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1806)。
【0071】
また、ユーザ端末100は、移動元プライマリボリュームPVol(source)(Vol0)と移動先プライマリボリュームPVol(dest.)(Vol1)のペアの解除を指示する(ステップS1807)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受信して(ステップS1808)、ペアを解除する(ステップS1809)。
SCS501Hは、ペア解除を受けてペア状態を更新する(ステップS1810)。
SCS501Aは、ペア解除後、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1811)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1812)。
【0072】
ユーザ端末100は、移動元ノードのSCS501Aに対し、移動元プライマリボリュームPVol(source)への入出力のペンディングを指示する(ステップS1813)。
SCS501Aは、ユーザ端末100からの指示を受けて(ステップS1814)移動元プライマリボリュームPVol(source)への入出力をペンディングし(ステップS1815)、ユーザ端末100は操作完了する(ステップS1816)。
ユーザ端末100は、SCS501Hに対し、デルタペアの有効化を指示する(ステップS1817)。
SCS501Hは、ユーザ端末100からの指示を受信して(ステップS1818)、デルタペアの状態をコピーに変更する(ステップS1819)。
SCS501Bは、ペア状態を更新する(ステップS1820)。
SCS501Hは、ユーザ端末100に対して完了応答を送信し(ステップS1821)、ユーザ端末100は操作を完了する(ステップS1822)。
【0073】
その後、マイグレーション後処理を行う(ステップS1823)。マイグレーション後処理は、実施例1と同様であるので詳細な説明を省略するが、移動元プライマリボリュームと移動先プライマリボリュームの識別情報の入れ替えが含まれる。
【0074】
このように、移動先ボリュームとのペア形成時には、移動先ジャーナルボリュームの識別情報を用いて読み替えを行い、移動先プライマリボリュームとのペアを形成した後に移動元プライマリボリュームの識別情報を移動先プライマリボリュームの識別情報に書き換える。このため、セカンダリボリュームは、同一のプライマリボリュームの識別情報とペアを形成したまま、プライマリボリュームのマイグレーションを行うことができる。
【0075】
上述してきたように、開示のシステムは、プロセッサ213を有するノード210を複数備え、第1のノードは、ホスト401に対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記セカンダリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第1のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記プライマリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替える。
このため、ペアを維持した状態でセカンダリボリュームのマイグレーションができる。
【0076】
一例として、前記第2のノードは、前記セカンダリボリュームへの入出力をペンディングした後、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替え、前記ペンディングを解除する。
このため、リモートコピーの設定に関するボリュームの識別情報を変更することなく、かつボリュームの内容に影響を与えることなくマイグレーションが可能である。
【0077】
また、一例として、前記第1のノードは、前記プライマリボリュームに対する書き込みの履歴を蓄積する第1のジャーナルボリュームをさらに構成し、前記第3のノードは、マイグレーション後に前記第1のジャーナルボリュームに対応する第3のジャーナルボリュームをさらに構成し、前記第3のノードを特定する情報として、前記第3のジャーナルボリュームの識別情報を用いる。
このように、ジャーナルボリュームの識別情報を利用することで、リモートコピーの設定に関するボリュームの識別情報を変更することなく、移動先ボリュームとのペアを形成できる。
【0078】
また、一例として、前記第3のノードは、前記新たなペアの形成後、前記第1のノードから前記プライマリボリュームの内容を取得して前記移動先ボリュームにコピーし、前記第2のノードは、前記コピーの完了後に前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替える。
この構成及び動作では、簡易な処理でセカンダリボリュームのマイグレーションができる。
【0079】
また、一例として、前記第3のノードは、前記新たなペアの形成後、前記第2のノードから前記セカンダリボリュームの内容を取得して前記移動先ボリュームにコピーし、前記第2のノードは、前記コピーの完了後に前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記セカンダリボリュームの識別情報に入れ替える。
この構成及び動作では、正サイトと副サイトとの間の通信を抑えつつ、ペアを維持した状態でセカンダリボリュームのマイグレーションができる。
【0080】
また、一例として、プロセッサを有するノードを複数備え、第1のノードは、ホストに対して論理記憶領域を提供するプライマリボリュームを構成し、第2のノードは、前記プライマリボリュームとリモートコピーのペアを形成するセカンダリボリュームを構成して、前記プライマリボリュームの識別情報と前記セカンダリボリュームの識別情報とを用いて前記リモートコピーを設定し、第3のノードは、前記プライマリボリュームを移動元ボリュームとしてマイグレーションする場合に、マイグレーション先となる移動先ボリュームを構成し、前記第2のノードは、前記プライマリボリュームの識別情報と、前記セカンダリボリュームの識別情報と、前記第3のノードを特定する情報とを指定した新たなペア形成の要求を受けた場合に、前記セカンダリボリュームと前記移動先ボリュームとの間に新たなペアを形成し、前記第1のノードは、前記セカンダリボリュームと前記プライマリボリュームとのペアを解除し、前記移動先ボリュームの識別情報を前記プライマリボリュームの識別情報に入れ替える。
この構成及び動作では、ペアを維持した状態でプライマリボリュームのマイグレーションができる。
【0081】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【符号の説明】
【0082】
100:ユーザ端末、102:ボリューム、103:ボリュームペア、105:構成情報、201:サイト、202:ネットワーク、210:ノード、211:制御装置、212:メモリ、213:プロセッサ、214:ドライブ、215:ポート、216:バス、220:ネットワーク、401:ホスト、402:アプリケーション、403:データ、610:制御情報テーブル、611:システム構成管理テーブル、612:ペア構成管理テーブル、613:ジャーナル管理テーブル、614:マイグレーション構成管理テーブル、620:ストレージプログラム、621:パス作成処理プログラム、622:ノード障害回復処理プログラム、623:データ転送処理プログラム、624:パス変更処理プログラム、625:I/O処理プログラム、626:マイグレーション処理プログラム