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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-22
(45)【発行日】2025-09-01
(54)【発明の名称】製品仕分けシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/46 20060101AFI20250825BHJP
   B65G 47/68 20060101ALI20250825BHJP
【FI】
B65G47/46 B
B65G47/68 C
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023501409
(86)(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-03
(86)【国際出願番号】 NL2021050403
(87)【国際公開番号】W WO2022010345
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2024-06-27
(31)【優先権主張番号】2026037
(32)【優先日】2020-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】518357759
【氏名又は名称】ファンダランデ インダストリーズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】グロッベン、クーン マールテン ヘールト
(72)【発明者】
【氏名】フェルボールト、ペトラス セオドラス コーネリス
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/022896(WO,A1)
【文献】特開平08-127415(JP,A)
【文献】特開2010-189128(JP,A)
【文献】特開2019-172437(JP,A)
【文献】実開昭53-037185(JP,U)
【文献】欧州特許出願公開第1422173(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/167751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/46
B65G 47/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-長尺運搬体およびプッシャーボディの複数の組み合わせを備え、
前記組み合わせは、1つずつ連続的に配置され、
前記組み合わせは、経路に平行な移動方向に沿って可動であり、
複数の仕分け位置が、前記経路に沿って配置され、
-前記経路に平行な移動方向に沿って、前記組み合わせを移動する組み合わせ移動デバイスと、
-複数の制御器と、
-少なくとも1つのアクセスポイントすなわちAPと、
-中央制御サーバと、
をさらに備え、
前記運搬体は、互いに平行にかつ前記移動方向と垂直に延び、
前記運搬体は、仕分け対象製品を運搬するように構成され、
前記組み合わせは、前記プッシャーボディを前記運搬体に沿った仕分け方向に沿って移動する電気モータを有するプッシャーボディ移動デバイスを備え、
前記仕分け方向は、前記運搬体によって運搬された仕分け対象製品を前記プッシャーボディを用いて前記運搬体から排出するために、前記移動方向と垂直に延び、
前記制御器の各々は、前記長尺運搬体および前記プッシャーボディの組み合わせの上に配置され、
前記制御器の各々は、仕分け位置に関する行き先データを前記中央制御サーバから受信することにより前記プッシャーボディ移動デバイスの2つ以上を制御し、受信した行き先データに基づいて前記電気モータを駆動するように構成され、
前記仕分け位置は、仕分け対象製品を前記運搬体から排出すべき位置であり、
前記APの少なくとも1つは、前記複数の制御器および前記中央制御サーバと通信するように構成され、
前記中央制御サーバは、前記APの少なくとも1つを介して、前記仕分け位置に関する行き先データを前記制御器の少なくとも1つに送信するように構成されることを特徴とする製品仕分けシステム。
【請求項2】
前記制御器の各々は、4個以上6個以下のプッシャーボディ移動デバイスを制御することを特徴とする請求項1に記載の製品仕分けシステム。
【請求項3】
-静的に配置された、前記経路に平行な移動方向に沿って延びる漏洩同軸ケーブルと、
-複数のアンテナと、
をさらに備え、
前記漏洩同軸ケーブルは、前記APの少なくとも1つに接続され、
前記アンテナの各々は、前記長尺運搬体に与えられることにより、前記漏洩同軸ケーブルに近接し、
前記アンテナの各々は、前記APの少なくとも1つと、前記複数の制御器との間の通信を可能とすることを特徴とする請求項1または2に記載の製品仕分けシステム。
【請求項4】
-1つ以上のゲートウェイをさらに備え、
前記ゲートウェイの各々は、前記組み合わせの上に配置され、
前記制御器の各々は、前記ゲートウェイの1つにユニークに接続され、
前記ゲートウェイの各々は、前記APを介して、前記中央制御サーバと通信するように構成されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の製品仕分けシステム。
【請求項5】
前記ゲートウェイの各々は、アンテナを備えることを特徴とする請求項4に記載の製品仕分けシステム。
【請求項6】
スキャナーをさらに備え、
前記スキャナーは、仕分け対象製品の少なくとも1つの製品パラメータを取得し、これらの製品パラメータを前記中央制御サーバに与えるように構成され、
前記製品パラメータは、
-識別番号すなわちID、
-特定の仕分け対象製品の長さおよび/または幅に関するパラメータ、または
-運搬体上の特定の仕分け対象製品の、対応するプッシャーボディの初期位置からの仕分け方向のオフセット、
のいずれかを含み、
2つ以上の運搬体が、前記IDを基に特定の仕分け対象製品を運搬することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の製品仕分けシステム。
【請求項7】
前記中央制御サーバは、前記スキャナーから受信した識別番号すなわちIDに基づいて1つ以上の前記制御器を選択するように構成され、
前記中央制御サーバはさらに、仕分け対象製品の長さ、幅またはオフセットのいずれかを含む製品パラメータを選択された1つ以上の前記制御器に送信するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の製品仕分けシステム。
【請求項8】
選択された1つ以上の前記制御器の各々は、仕分け対象製品の長さ、幅またはオフセットのいずれかを含む製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の製品仕分けシステム。
【請求項9】
前記制御器の各々は、仕分けパラメータに基づいて、プッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成され、
前記仕分けパラメータは、
-排出部角度、すなわち、前記仕分け方向と前記システムに接続された排出部の排出方向との間の角度、
-前記排出部の幅、
-前記排出部の位置、
-前記排出部における仕分け対象製品の予想速度、
のいずれかを含むことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の製品仕分けシステム。
【請求項10】
前記制御器の各々は、仕分けパラメータおよび製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディに関する仕分けプロファイルを決定するように構成され、
前記仕分けプロファイルは、対応する長尺運搬体に対する前記プッシャーボディの位置に関するものであることを特徴とする請求項8または9に記載の製品仕分けシステム。
【請求項11】
前記制御器の各々は、
-対応するプッシャーボディが仕分け対象製品に対向するまたは近接するように、前記プッシャーボディ移動デバイスを用いて、対応するプッシャーボディを初期位置にまで制御し、
-前記初期位置から開始して、対応するプッシャーボディが仕分けプロファイルに従うように、仕分け位置で前記プッシャーボディ移動デバイスを制御することにより、前記仕分け対象製品を仕分けする、
ように構成されることを特徴とする請求項10に記載の製品仕分けシステム。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の製品仕分けシステムを用いて、仕分け対象製品を仕分けする方法であって、
-複数の制御器の1つを用いて、少なくとも1つの静的なAPを介して、中央制御サーバから行き先データを受信するステップと、
-前記複数の制御器の1つを用いて、前記行き先データに基づいて対応する電気モータを駆動することにより、仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップと、
を含み、
前記行き先データは、仕分け位置に関するものであり、
前記仕分け位置は、仕分け対象製品を運搬体から排出すべき位置であることを特徴とする方法。
【請求項13】
前記行き先データを受信するステップは、
-少なくとも1つの製品パラメータを受信するステップを含み、
前記製品パラメータは、
-識別番号すなわちID、
-特定の仕分け対象製品の長さおよび/または幅に関するパラメータ、または
-運搬体上の特定の仕分け対象製品の、対応するプッシャーボディの初期位置からの仕分け方向のオフセット、
のいずれかを含み、
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記製品パラメータに基づくことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記行き先データを受信するステップは、
少なくとも1つの仕分けパラメータを受信するステップを含み、
前記仕分けパラメータは、
-排出部角度、すなわち、前記仕分け方向と前記システムに接続された排出部の排出方向との間の角度、
-前記排出部の幅、
-前記排出部の位置、
-前記排出部における仕分け対象製品の予想速度、
のいずれかを含み、
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記仕分けパラメータに基づくことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
-前記複数の制御器の1つを用いて、仕分けパラメータおよび/または製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディに関する仕分けプロファイルを決定するステップをさらに含み、
前記仕分けプロファイルは、対応する長尺運搬体に対する前記プッシャーボディの位置に関するものであり、
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記対応するプッシャーボディが前記仕分けプロファイルに従うように、対応するプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップを含むことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
【請求項16】
-前記複数の制御器の1つにより、対応するプッシャーボディが仕分け対象製品に対向するまたは近接するように、前記プッシャーボディ移動デバイスを用いて、対応するプッシャーボディを初期位置にまで制御するステップと、
-前記複数の制御器の1つにより、対応するプッシャーボディが仕分けプロファイルに従うように、仕分け位置で前記プッシャーボディ移動デバイスを制御することにより、前記仕分け対象製品を仕分けするステップと、
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
命令を記憶したコンピュータ読み取り可能媒体を含み、
前記命令は、制御器で実行されたとき、請求項12から16のいずれかに記載の方法を前記制御器に実行させることを特徴とするコンピュータプログラムプロダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品仕分けシステムに関する。このシステムは、長尺運搬体およびプッシャーボディの複数の組み合わせを備える。組み合わせは、1つずつ連続的に配置される。組み合わせは、経路に平行な移動方向に沿って可動である。複数の仕分け位置が、経路に沿って配置される。このシステムは、経路に平行な移動方向に沿って、組み合わせを移動する組み合わせ移動デバイスと、複数の制御器と、中央制御サーバと、をさらに備える。運搬体は、互いに平行にかつ移動方向と垂直に延びる。運搬体は、仕分け対象製品を運搬するように構成される。組み合わせは、プッシャーボディを運搬体に沿った仕分け方向に沿って移動する電気モータを有するプッシャーボディ移動デバイスを備える。仕分け方向は、運搬体によって運搬された仕分け対象製品をプッシャーボディを用いて運搬体から排出するために、移動方向と垂直に延びる。制御器の各々は、長尺運搬体およびプッシャーボディの組み合わせの上に配置される。制御器の各々は、仕分け位置に関する行き先データを中央制御サーバから受信することによりプッシャーボディ移動デバイスの2つ以上を制御し、受信した行き先データに基づいて電気モータを駆動するように構成される。仕分け位置は、仕分け対象製品を運搬体から排出すべき位置である。中央制御サーバは、仕分け位置に関する行き先データを制御器の少なくとも1つに送信するように構成される。
【背景技術】
【0002】
この種のシステムは、国際特許出願NL2019/050488号明細書に開示されている。この特定の特許出願は、システムが、距離パラメータを決定するように構成された距離決定デバイスを備える、という考え方に焦点を当てている。この距離決定デバイスは、組み合わせのプッシャーボディと、運搬体によって運ばれる仕分け対象製品との、仕分け方向の距離に関連する。距離決定デバイスはさらに、距離パラメータをオンボード制御システムに送るように構成される。オンボード制御システムは、組み合わせのオンボード駆動デバイスをこの距離データに基づいて制御するように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のシステムは、通信トポロジーが中央に集中しているという欠点を持つ。中央サーバは、組み合わせに関する制御器に、データを提供しなければならない。しかし、上記の特定の態様を実現するのに有効なトポロジーは存在しない。本発明は、中央サーバと複数の制御器との間でデータを交換するのに有効な通信トポロジーを持つ製品仕分けシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様では、製品仕分けシステムが与えられる。このシステムは、
-長尺運搬体およびプッシャーボディの複数の組み合わせを備える。
前記組み合わせは、1つずつ連続的に配置される。
前記組み合わせは、経路に平行な移動方向に沿って可動である。
複数の仕分け位置が、前記経路に沿って配置される。
-前記経路に平行な移動方向に沿って、前記組み合わせを移動する組み合わせ移動デバイスと、
-複数の制御器と、
-少なくとも1つのアクセスポイントすなわちAPと、
-中央制御サーバと、
をさらに備える。
前記運搬体は、互いに平行にかつ前記移動方向と垂直に延びる。
前記運搬体は、仕分け対象製品を運搬するように構成される。
前記組み合わせは、前記プッシャーボディを前記運搬体に沿った仕分け方向に沿って移動する電気モータを有するプッシャーボディ移動デバイスを備える。
前記仕分け方向は、前記運搬体によって運搬された仕分け対象製品を前記プッシャーボディを用いて前記運搬体から排出するために、前記移動方向と垂直に延びる。
前記制御器の各々は、前記長尺運搬体および前記プッシャーボディの組み合わせの上に配置される。
前記制御器の各々は、仕分け位置に関する行き先データを前記中央制御サーバから受信することにより前記プッシャーボディ移動デバイスの2つ以上を制御し、受信した行き先データに基づいて前記電気モータを駆動するように構成される。
前記仕分け位置は、仕分け対象製品を前記運搬体から排出すべき位置である。
前記APの少なくとも1つは、前記複数の制御器および前記中央制御サーバと通信するように構成される。
前記中央制御サーバは、前記APの少なくとも1つを介して、前記仕分け位置に関する行き先データを前記制御器の少なくとも1つに送信するように構成される。
【0005】
典型的なシステムの長さは、数十メートルから数百メートルに及んでよいことに注意する。閉回路を形成するのに、長尺運搬体の各々は、互いに接続されてもよいし、1つずつ隣接して配置されてもよい。典型体的に、長尺運搬体のサイズが例えば50mm以上200mm以下だった場合、長尺運搬体は数千個配置されてもよい。図面を用いて議論する以下の例では、システムは3200個の長尺運搬体を備えるものと仮定する。
【0006】
仕分け対象製品は、長尺運搬体の頂部に押し出されて(または配置されて)よい。長尺運搬体のサイズは、製品が連続した少なくとも2つの長尺運搬体にかかることのできるようなものであってもよい。
【0007】
長尺運搬体は、プッシャーボディを与えられる。プッシャーボディは、長尺運搬体に対し、仕分け方向に沿って可動である。プッシャーボディを長尺運搬体に沿って仕分け方向に移動するために、電気モータ、例えば直流(DC)モータが、長尺運搬体およびプッシャーボディの組み合わせに対して与えられる。動作中、プッシャーボディは、仕分け対象製品に対して押される。その結果、仕分け対象製品は、対応する長尺運搬体から押し出される。
【0008】
上記のように製品は、典型的に、連続した少なくとも2つの長尺運搬体にかかる。この場合、少なくとも2つのプッシャーボディは、ともに、対応する長尺運搬体から製品を排出するように制御される必要がある。
【0009】
上記では、特定の仕分け対象製品を対応する長尺運搬体から排出するのに必要な機械的動作を説明した。
【0010】
本発明者らは、プッシャーボディ移動デバイスを制御するための通信トポロジーは、当該通信トポロジーが階層化されていれば、効果的に実現できることに気が付いた。通信トポロジーの最高位レイヤは、中央制御サーバを含む。中央制御サーバは、データ伝送を、より低位のレイヤの通信トポロジーに含まれるデバイスに整合させるように構成される。
【0011】
通信トポロジーの最低位レイヤは、複数の制御器を含む。これら複数の制御器の各々は、長尺運搬体およびプッシャーボディの組み合わせの上に(または関連して)与えられる。しかしこれらの制御器の各々は、2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される。従って、プッシャーボディ移動デバイスを制御するために、例えば3200個の組み合わせおよび最大1600個の制御器を持つシステムが必要となるだろう。
【0012】
これら複数の制御器もまた、動作中、複数の仕分け位置が与えられる経路に沿って、同じ方向に動くことに注意する。
【0013】
通信トポロジーの第2層は、少なくとも静的なアクセスポイント、すなわちAPを含む。ここで少なくとも1つのAPは、複数の制御器および中央制御サーバと通信するように構成される。
【0014】
上記の少なくとも1つのAPは、動作中、複数の制御器のようには動かないという意味で、静的である。本発明者らは、静的なAPと複数の動く制御器との間の通信を、2つの方法により効果的に扱えることを見出した。この点については、この後で詳述する。
【0015】
上記に従うと、3200個の組み合わせおよび最大1600個の制御器を持つシステムは、例えば4個のアクセスポイントを含んでもよい。
【0016】
本発明者らは、上記の通信トポロジーがいくつかの利点を持つことに気が付いた。
【0017】
第1に、通信トポロジーの複雑さが軽減される。これは主に、各制御器が2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される、という特徴による。これにより、それぞれの組み合わせが単一の制御器を備える(これは、コストと複雑さ(例えば配線の複雑さ)が増すので望ましくない)必要のないことが分かる。
【0018】
上記のように、特定の製品は、2つ以上の長尺運搬体にかかるだろう。本発明者らは、単一の制御器で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御できれば、この単一の制御器を用いることによって、仕分け対象製品をより効率的に制御できることを見出した。これにより、複数の制御器間の潜在的な同期問題を軽減することができる。
【0019】
第2に、各制御器は、もはや中央制御サーバと直接通信する必要がない。これにより、共有媒体で発生する潜在的なメッセージ同士の衝突を減らすことができる。あるいは、非共有媒体の1対1接続で発生する複雑さ(例えば配線の複雑さ)を減らすことができる。単一の制御器が2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成できれば、中央制御サーバとすべての制御器との間で交換されるメッセージの総量を減らすことができる。
【0020】
第3に、システム内に存在する制御器の総数を減らすことにより、移動対象の総重量および総コストを減らすことができる。各制御器は、組み合わせに沿って移動方向に動く。制御器数を減らすことにより、必要な総エネルギー量を減らすことができる。
【0021】
例えば、複数の制御器の各々は、4個以上6個以下のプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される。
【0022】
各制御器を用いて、4個以上6個以下のプッシャーボディ移動デバイスを制御できれば有利であることが分かった。この場合、各制御器に要求される処理能力も満たされるだろう。すなわち各制御器は、4個以上6個以下のプッシャーボディ移動デバイスを制御できる能力を備えていればよい。
【0023】
本発明者らは、特定の制御器に不調があると、制御器数と不便さとの間に必ずトレードオフが発生することを見出した。例えば1つの制御器が1度に数十個のプッシャーボディ移動デバイスを制御するような場合、この制御器が故障すると、これらすべての数十個のプッシャーボディ移動デバイスは使えなくなるだろう。これは効率の低下につながる。
【0024】
本開示では、複数の組み合わせが1つずつ連続して配置される。これらの組み合わせは、1つずつ直接配置されてもよい。別の選択肢として、1つ以上の運搬体を、2つの組み合わせの間に配置するといった方法もある。この場合、特定のプッシャーボディは、対応する長尺運搬体をカバーするだけでなく、1つ以上の隣接する長尺運搬体の少なくとも一部をもカバーするように形成されてよい。
【0025】
別の例では、システムは、
-静的に配置された、前記経路に平行な移動方向に沿って延びる漏洩同軸ケーブルと、
-複数のアンテナと、
をさらに備える。
前記漏洩同軸ケーブルは、前記APの少なくとも1つに接続される。
前記アンテナの各々は、前記細長い運搬体に与えられることにより、前記漏洩同軸ケーブルに近接する。
前記アンテナの各々は、前記APの少なくとも1つと、前記複数の制御器との間の通信を可能とする。
【0026】
通信トポロジーは、動作中、静止する部分と運動する部分とに物理的に分割される。静的に配置された漏洩同軸ケーブルにより、通信を、動かない静的な環境から動く環境に移すことができる。動く環境は、制御器および複数のアンテナを含む。一方、動かない環境は、少なくとも1つのAPおよび中央制御サーバを含む。
【0027】
別の例では、システムは、1つ以上のゲートウェイをさらに備える。
前記ゲートウェイの各々は、前記組み合わせの上に配置される。
前記制御器の各々は、前記ゲートウェイの1つにユニークに接続される。
前記ゲートウェイの各々は、前記APを介して、前記中央制御サーバと通信するように構成される。
【0028】
別の通信レイヤを追加すると有利であることが分かった。ここで別の通信レイヤは、最高位レイヤと(中央制御サーバ)と第2レイヤ(複数の制御器)との間にある。
【0029】
各ゲートウェイは、例えば32個の制御器と接続されてもよい。好ましくは、各ゲートウェイは、8個の制御器と接続される。この場合、各ゲートウェイは、複数のアンテナの1つを備えてもよい。
【0030】
別の例では、システムは、スキャナーをさらに備える。
前記スキャナーは、仕分け対象製品の少なくとも1つの製品パラメータを取得し、これらの製品パラメータを前記中央制御サーバに与えるように構成される。
前記製品パラメータは、
-識別番号すなわちID、
-特定の仕分け対象製品の長さおよび/または幅に関するパラメータ、または
-運搬体上の特定の仕分け対象製品の、対応するプッシャー本体の初期位置からの仕分け方向のオフセット、
のいずれかを含む。
2つ以上の運搬体が、前記IDを基に特定の仕分け対象製品を運搬する。
【0031】
本開示に係るシステムによれば、全体として柔軟性が高まる。すなわち各プッシャーボディの動きは、個別にかつ独立に制御されてもよい。制御器は、特定のプッシャーボディの時間的な移動が特定の製品を運搬体から効率的に排出できる程度となるように、DCモータを制御する。
【0032】
本発明者らは、複数の変数が、特定の製品がどのように仕分けされるべきかを決定するための役割を果たすことを見出した。例えば、特定の製品の長さおよび/または幅に関するパラメータが考慮されてもよい。何個の(そしてどの)プッシャーボディが制御されるべきかが、製品の長さによって決定されてもよい。上記のように、製品は、典型的には少なくとも2つのプッシャーボディにかかるが、より多くのプッシャーボディにかかってもよい。従って製品の長さが、暗示的または明示的に、対応する長尺運搬体から当該製品を排出するのに必要なプッシャーボディの数を決定してもよい。
【0033】
製品の長さおよび/または幅および/または位置は、対応する長尺運搬体から当該製品を排出するのにどのプッシャーボディが必要かを決定するだけでなく、排出プロセスを補助するための先頭のプッシャーボディおよび/または末尾のプッシャーボディをも決定してよい。例えば、先頭のプッシャーボディ(すなわち、特定の仕分け対象製品の直前にあるプッシャーボディ)が、特定の製品の前の特定の位置に来るように制御されてもよい。これにより、特定の製品が、対応する長尺運搬体に対して、移動方向に移動するのを防ぐことができる。従ってこの場合、特定の製品は、対応する長尺運搬体上の特定の場所に位置し続ける。これは、末尾のプッシャーボディ(すなわち、対象製品の後端に位置するプッシャーボディ)にも当てはまる。前および後といった方向は、運動方向から見て定義される。
【0034】
特定の仕分け対象製品のオフセットが考慮されてもよい。プッシャーボディは、当該プッシャーボディが仕分け対象製品に比較的ゆっくり近づくように制御されてもよい。この場合、プッシャーボディは、仕分け対象製品に対向するまたは近接するように移動する。仕分け対象製品が仕分け位置に到達すると、プッシャーボディは、その排出プロセスで制御されてもよい。このときプッシャーボディは、それぞれの長尺運搬体から特定の製品を排出するために、所定の仕分けプロファイルに従う。
【0035】
別の例では、中央制御サーバは、前記スキャナーから受信した識別番号すなわちIDに基づいて、1つ以上の前記制御器を選択するように構成される。前記中央制御サーバはさらに、仕分け対象製品の長さ、幅またはオフセットのいずれかを含む製品パラメータを、選択された1つ以上の前記制御器に送信するように構成される。
【0036】
このような製品パラメータは、製品が仕分け位置に到達する前に送信されることが望ましい。これにより制御器は、対応する長尺運搬体から製品を排出するとき、製品パラメータを考慮に入れることができる。
【0037】
本開示に係るシステム(より具体的には、システムで使われる通信トポロジー)は、異なる種類の通信技術、例えば無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)、Bluetooth(登録商標)およびZigbee(登録商標)を使ってもよい。
【0038】
通信技術としてはWLANが使われることが望ましい。なぜなら、WLANはシステムに必要なビットレートをサポートするからである。上記のように、システムは複数の制御器を含んでもよく、これらの制御器の各々は中央制御サーバと通信することを必要としてもよい。中央制御サーバと複数の制御器との間で交換されるデータパケットの総量は足し合わされてもよい。本発明者らは、WLANはこうしたタイプの通信をサポートすることを見出した。
【0039】
別の例では、選択された1つ以上の前記制御器の各々は、仕分け対象製品の長さ、幅またはオフセットのいずれかを含む製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される。
【0040】
一例では、前記制御器の各々は、仕分けパラメータに基づいて、プッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される。
前記仕分けパラメータは、
-排出部角度、すなわち、前記仕分け方向と前記システムに接続された排出部の排出方向との間の角度、
-前記排出部の幅、
-前記排出部の位置、
-前記排出部における仕分け対象製品の予想速度、
のいずれかを含む。
【0041】
この場合、制御器の各々は、仕分けパラメータおよび製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディに関する仕分けプロファイルを決定するように構成されてもよい。このとき、前記仕分けプロファイルは、対応する長尺運搬体に対する前記プッシャーボディの位置に関するものである。
【0042】
本発明者らは、対応する長尺運搬体から特定の仕分け対象製品を排出するための効果的な方法を決定するのに、製品パラメータおよび/または仕分けパラメータを考慮に入れると有利であることを見出した。
【0043】
上記のように製品パラメータは、製品そのもののパラメータ(例えば、製品の長さ、幅または位置)に関する。選択的に、製品の重さが考慮されてもよい。
【0044】
仕分けパラメータは、システムそのもののパラメータ(例えば、排出部角度、排出部の幅、排出部の位置、および/または排出部における仕分け対象製品の予想速度)に関する。この種のパラメータは、特定の製品を対応する長尺運搬体から排出して仕分けするときに考慮されてもよい。
【0045】
例えば対応するプッシャーボディの出口速度を決定するために、排出部における仕分け対象製品の予想速度が制御器によって考慮されてもよい。すなわち、対応するプッシャーボディの出口速度が、仕分け対象製品の予想速度に調整されると有利である。
【0046】
他の考慮されるべき選択肢は、排出部の幅および/または排出部角度である。システムは、特定の仕分け対象製品に関して対応するプッシャーボディを操縦するのに、この情報を使ってもよい。本発明者らは、例えば製品の長さが排出部の幅を超えていた場合、この製品を回転してもよいことに気が付いた。このとき、製品を第1位置まで回転してもよい。このとき、当該製品の前に位置するプッシャーボディは、当該製品の開始点に位置するプッシャーボディより高いオフセットを持つように制御される。
【0047】
別の例では、制御器の各々は、
-対応するプッシャーボディが仕分け対象製品に対向するまたは近接するように、前記プッシャーボディ移動デバイスを用いて、対応するプッシャーボディを初期位置まで制御し、
-前記初期位置から開始して、対応するプッシャーボディが仕分けプロファイルに従うように、仕分け位置で前記プッシャーボディ移動デバイスを制御することにより、前記仕分け対象製品を仕分けする、
ように構成される。
【0048】
プッシャーボディを初期位置にまで制御し、第2のステップで対応するプッシャーボディが所定の(または、予め定められた)仕分けプロファイルに従うように仕分け対象製品を仕分けすると有利であることが分かった。仕分けプロファイルは、製品パラメータおよび/または仕分けパラメータに基づいて制御器により決定されてもよいし、例えばシステムの操作者によって予め定められてもよい。これにより、製品の仕分けを効率化できるとともに、エラーの発生するリスクを軽減できる。
【0049】
第2の態様では、前述のいずれかに記載の製品仕分けシステムを用いて、仕分け対象製品を仕分けする方法が与えられる。この方法は、
-複数の制御器の1つを用いて、少なくとも1つの静的なAPを介して、中央制御サーバから行き先データを受信するステップと、
-前記複数の制御器の1つを用いて、前記行き先データに基づいて対応する電気モータを駆動することにより、仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップと、
を含む。
前記行き先データは、仕分け位置に関するものである。
前記仕分け位置は、仕分け対象製品を運搬体から排出すべき位置である。
【0050】
本発明の第1の態様の実施の形態に関して開示された利点および定義は、本発明の第2の態様の実施の形態、すなわち仕分け対象製品を仕分けする方法にも当てはまることに注意する。
【0051】
一例では、行き先データを受信するステップは、
-少なくとも1つの製品パラメータを受信するステップを含む。
前記製品パラメータは、
-識別番号すなわちID、
-特定の仕分け対象製品の長さおよび/または幅に関するパラメータ、または
-運搬体上の特定の仕分け対象製品の、対応するプッシャーボディの初期位置からの仕分け方向のオフセット、
のいずれかを含む。
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記製品パラメータに基づく。
【0052】
別の例では、行き先データを受信するステップは、
少なくとも1つの仕分けパラメータを受信するステップを含む。
前記仕分けパラメータは、
-排出部角度、すなわち、前記仕分け方向と前記システムに接続された排出部の排出方向との間の角度、
-前記排出部の幅、
-前記排出部の位置、
-前記排出部における仕分け対象製品の予想速度、
のいずれかを含む。
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記仕分けパラメータに基づく。
【0053】
別の例では、この方法は、複数の制御器の1つを用いて、仕分けパラメータおよび/または製品パラメータに基づいて、対応するプッシャーボディに関する仕分けプロファイルを決定するステップをさらに含む。
前記仕分けプロファイルは、対応する長尺運搬体に対する前記プッシャーボディの位置に関するものである。
前記仕分け位置で2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップは、前記対応するプッシャーボディが前記仕分けプロファイルに従うように、対応するプッシャーボディ移動デバイスを制御するステップを含む。
【0054】
一例では、この方法は、
-前記複数の制御器の1つにより、対応するプッシャーボディが仕分け対象製品に対向するまたは近接するように、前記プッシャーボディ移動デバイスを用いて、対応するプッシャーボディを初期位置にまで制御するステップと、
-前記複数の制御器の1つにより、対応するプッシャーボディが仕分けプロファイルに従うように、仕分け位置で前記プッシャーボディ移動デバイスを制御することにより、前記仕分け対象製品を仕分けするステップと、
をさらに含む。
【0055】
第3の態様では、コンピュータプログラムプロダクトが与えられる。このプロダクトは、命令を記憶したコンピュータ読み取り可能媒体を含み、
前記命令は、制御器で実行されたとき、前述のいずれかに記載の方法を前記制御器に実行させる。
【0056】
以下、本発明の複数の可能な実施の形態に基づいて、下記の図面を参照しながら、さらに詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】本発明に係る製品仕分けシステムの一部を形成する組み合わせの透視図である。
図2】プッシャーボディの側面図である。
図3】運搬体およびプッシャーボディの組み合わせの底面図である。
図4】本開示に係る製品仕分けシステムの高レベルデザインを示す図である。
図5】本開示に係る製品仕分けシステムの側面図である。
図6】本開示に係る製品仕分けシステムの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1に、長尺運搬体2(本明細書では、スラットとも呼ぶ)の組み合わせ1の端部と、プッシャーボディ3(本明細書では、プッシャーシューとも呼ぶ)と、を示す。プッシャーシュー3は、スラット2に沿って、2つの逆向きの仕分け方向(スラット2の長手方向に平行に延びる両向き矢印に従う)に可動である。この動きの詳細は、図2および図3を基に後述する。組み合わせ1は、多数の同一の組み合わせの1つであり、これらが共同して閉回路を形成し、製品仕分けシステムの一部を形成する。
【0059】
スラット2は、例えば図5にも示されるように、互いに平行に延びる。閉回路は、上部と、その直下に位置する下部と、を含む。上部および下部は、典型的には数十メートルの長さを持つ水平面として延びる。上部および下部は、閉回路の半弓形部分を介して両端で互いに結合される。
【0060】
スラット2はそれぞれ、同じく閉回路に沿って走るチェーンを介してそれらの端部で互いに結合される。歯車が、少なくとも閉回路の弧状部分の場所でチェーンと噛み合う。これらの歯車の少なくともいくつかは、1つまたは複数の電気モータによって駆動される。従って、連続する組み合わせ1は、同じ形状の無限搬送経路に沿って、仕分け方向4に垂直に延びる移動方向5に移動することができる。
【0061】
より詳細に説明される仕分けプロセスは、搬送経路の上部(例えば、図5の符号76を参照のこと)の場所で行われる。下部(例えば、図5の符号77を参照のこと)は、無限搬送経路を実現するのに使われる。搬送経路の上部は仕分け経路とも呼ばれ、上流端(例えば、図5の符号78を参照のこと)および下流端(例えば、図5の符号79を参照のこと)を有する。スラットとプッシャーシューとの組み合わせを駆動するこの方法は、当業者にはよく知られているので、これ以上の詳細な説明は不要である。
【0062】
スラット2は、押し出されたアルミニウムプロファイルである。図1は、組み合わせ1を示す。組み合わせ1は、その上で運ばれる製品のために、スロット2の長手方向に延びる4つの等間隔の運搬リブ7を備えた運搬面6を備える。
【0063】
使用中、小包などの仕分け対象製品は、仕分け経路の上流端の部位で、連続的に配置された多数の連続する運搬面6によって形成されるような組み合わされた運搬面に供給される。この組み合わされた運搬面は、それぞれの組み合わせ1が移動方向5に移動する間、製品84、85、86を支持する。各製品84、85、86は、通常シュートまたはローラーテーブルが組み合わせ1の経路に沿って提供される仕分け場所の位置で、関連する組み合わせ1の一部を形成するプッシャーシュー3によって、組み合わされた運搬面から排出されるように意図されている。論理的には、仕分け対象製品は、それぞれの仕分け場所に配置されたプッシャーボディ3の側面に配置される。仕分けシステムの中央制御システムは、仕分けら対象の各製品84、85、86の前述の仕分け場所に関連するデータを保有している。
【0064】
各組み合わせ1は、スラット2に対してプッシャーボディ3を運搬体に沿った仕分け方向に動かすための電気モータを備えた、プッシャーボディ移動デバイスを備えている。このようなプッシャーボディ移動デバイスの2つの可能な実施形態が、図2および図3に基づいて説明される(ただし限定を目的としない)。
【0065】
図2は、スラット12と、プッシャーシュー13(これは、スラット12に対し、2つの逆向きの仕分け方向4に可動である)との組み合わせ11を示す。この動きに関し、組み合わせ11が、ねじ付きスピンドル15を備えたスピンドルトランスミッション14と、ねじ付きスピンドル15を取り囲みそれと係合するナット16と、を備えたスラット12の下側に提供される。ナット16は、その下側でプッシャーシュー13に接続される。プッシャーボディ移動デバイスは、サーボモータ17(すなわち、電気モータ)をさらに備える。サーボモータ17は、直角トランスミッション18を介して、スラット12とその一端に強固に接続され、ねじ付きスピンドル15の一端に結合される。
【0066】
ねじ付きスピンドル15は、反対側端部で、スラット12に強固に接続されたベアリングボディ29に、回転可能に取り付けられる。サーボモータ17を起動すると、ねじ付きスピンドル15が、両向き矢印20に従う2つの向きのうちの1つに向けて、中心線19を中心に回転する。これにより、ナット16が仕分け方向4に移動する。ナット16とプッシャーシュー13とが結合されているため、プッシャーシュー13も、スラット12の長手方向に平行な2つの逆向きの仕分け方向4のうちの1つに向けて移動する。
【0067】
図3に示される組み合わせ21は、スラット22と、プッシャーシュー23と、を備える。プッシャーシュー23は、スラット22に対し、両向き矢印4で示される仕分け方向に、前後に可動である。組み合わせ21は、スラット22の下側に、ベルトトランスミッション24を与えられる。ベルトトランスミッション24は、偏向プーリー26a、26bの周囲を通過するベルト25を備える。偏向プーリー26a、26bは、それぞれの外側で、シャフトボディ(詳細には示されない)を介して、各々の中心線の周りで、スラット22に回転可能に接続される。2つの偏向プーリー26a、26bのうちの1つは、トランスミッションを介するか否かに関わらず、サーボモータ(より詳細には示されないが、例えばサーボモータ17など)によって駆動可能である。ベルト25は、その下側で、接続部品27を用いて、プッシャーシュー23に接続される。プッシャーシュー23では、少なくともその下側に、2つのU字型の凹部28a、28bが与えられる。プッシャーシュー23が2つの外側状態(図3の左および右)のいずれか1つにあるとき、上記のシャフトボディは、凹部28a、28bの中に位置することができる。
【0068】
代替的に、スラットに対するプッシャーシューの駆動に関し、プッシャーシューの内部または上にサーボモータを設けてもよい。これは、直流モータをプッシャーシューに直接接続する場合と同等である。
【0069】
図2の組み合わせ11のプッシャーボディ移動デバイスに含まれるサーボモータ17および図3の組み合わせ21の組み合わせ移動デバイスに含まれるサーボモータは、バッテリー(詳細には示されない)から電力を与えられてもよい。こうしたバッテリーの充電は、例えば誘導によるもの(従って、非接触)であってもよいし、スライド接触によるものであってもよい。
【0070】
上記のサーボモータの制御に関し、仕分けシステムは、複数の制御器35を与えられる。制御器35の各々は、長尺運搬体およびプッシャーボディの組み合わせの上に与えられる。制御器35の各々は、仕分け位置32(すなわち、仕分け対象製品が運搬体から排出される位置)に関する行き先データを中央制御サーバ38から受信し、この行き先データに基づいて電気モータ33を駆動することにより、2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御するように構成される。
【0071】
制御器35は、例えばマイクロプロセッサまたはフィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)を備える。制御器35は、少なくとも仕分け位置32(すなわち、仕分け対象製品が関連するスロットから排出される位置)に関するデータおよび少なくとも仕分け経路の移動方向から見たときの組み合わせの位置に関するデータを、例えば中央制御サーバから直接受信し、関連するサーボモータ33を制御するように構成される。
【0072】
制御器は、上記の仕分け位置に関するデータを記憶するROMおよび/またはRAMメモリを備え、関連するスロットに対するプッシャーシューの長手方向位置を決定するように構成されてよい。
【0073】
制御器35の電源は、サーボモータ17の電源と同様であってもよい。代替的な実施の形態では、制御器35は、プッシャーボディに接続され、プッシャーボディとともに仕分け方向4に沿って移動してもよい。
【0074】
図1のプッシャーボディ3は、2つのスタイラス9aが設けられた2つのプッシャー表面8のそれぞれに与えられる。スタイラス9aは、移動方向5に沿って、各プッシャー表面8に1つずつ設けられる。各スタイラス9aは、球形のヘッド9b、カラー9c、および圧縮ばね9dを有し、プッシャー表面8の水平穴9e内で部分的に延びる。各スタイラス9aは、運搬面6に配置された仕分け対象製品とスタイラス9aのヘッド9bとの接触の影響の下、圧縮ばね9dの作用に逆らって、プッシャー表面8の方向に(すなわち、プッシャー表面8に対して仕分け方向4に平行に)、カラー9cが穴9eの内壁に接触するまで移動可能である。
【0075】
図4は、本発明に係る製品仕分けシステム31の高レベルデザインの上面図である。
【0076】
製品仕分けシステム31は、長尺運搬体およびプッシャーボディの、1つずつ連続的に配置された複数の組み合わせ36を備える。こうした組み合わせは、最初の3枚の図を使って、さらに詳細に説明される。
【0077】
これらの組み合わせは、経路に続く移動方向5に沿って可動である。この経路に沿って、複数の仕分け位置が与えられる。運搬体は、互いに平行にかつ移動方向5と垂直に延びる。運搬体は、仕分け対象製品を運搬するように構成される。
【0078】
ここで仕分け位置は、符号32で示される排出部に接続される。
【0079】
仕分け装置31は、組み合わせを、経路に沿って移動方向5に移動するための組み合わせ移動デバイスをさらに備える。
【0080】
各組み合わせは、プッシャーボディ移動デバイスを与えられる。プッシャーボディ移動デバイスは、プッシャーボディを運搬体に沿って仕分け方向4に移動し、運搬体によって運搬された製品をプッシャーボディを使って運搬体から排出するための電気モータ33を備える。仕分け方向4は、移動方向5と垂直に延びる。
【0081】
複数の制御器35が与えられる。各制御器35は、長尺運搬体およびプッシャーボディの組み合わせの上に与えられる。各制御器35は、仕分け位置(仕分け対象製品が運搬体から排出される位置)に関する行き先データを中央制御サーバから受信することにより2つ以上のプッシャーボディ移動デバイスを制御し、受信した行き先データに基づいて電気モータを駆動するように構成される。
【0082】
システム31は、少なくとも1つの静止したアクセスポイント(AP)37を備える。ここでAP37の少なくとも1つは、複数の制御器35および中央制御サーバ38と通信するために配置される。
【0083】
中央制御サーバ38は、少なくとも1つの静止したAP37を介して、仕分け位置(仕分け対象製品が運搬体から排出される位置)に関する行き先データを1つ以上の制御器35に送信するために配置される。
【0084】
以下、特定のシステム31の実現方法を説明する。本開示は、この特定の実現方法に限定されない。
【0085】
漏洩同軸アンテナ46が、システム31のサイドフレームの上に単独で与えられる。漏洩同軸アンテナ46により、システム31の移動部品と静止部品との間の通信が可能となる。同様にアンテナ43が、組み合わせの上に与えられてもよい。このアンテナ43も、動作中、移動方向5に沿って移動する。アンテナ43は、漏洩同軸ケーブルへの(からの)メッセージを伝送することができる。アンテナ43は、ゲートウェイ42(すなわち、クライアントモジュール)に接続されてもよい。ゲートウェイ42は、スイッチ41を介して、異なる制御器35に接続する。
【0086】
移動するゲートウェイ42とシステムネットワークとの間のアクセスポイント37を介した接続を安定的なものとするために、アンテナ43と漏洩同軸アンテナ46との間に、固定された明確な照準線が存在することが望ましい。
【0087】
制御器35は、埋め込み型制御器として実現されてもよいし、スイッチ41を介して互いに相互接続されてもよい。典型的には、制御器35同士の直接的な通信は不要である。各組み合わせのシュー(これらは、制御器35によって起動される)が正しく起動するために、中央制御サーバ38が、各制御器35に制御信号を送るための意思決定装置として機能してもよい。
【0088】
制御器35同士の同期に関する問題も、中央制御サーバ38側で処理されてもよい。
【0089】
漏洩同軸アンテナ46の選択的なセクションは、システムの底部(図5に示される帰路77)に配置されてもよい。選択的なセクションは、例えば両側仕分けに使われてもよい。この場合、シューの最初の側を決めるためのコマンドを、帰路を経由して制御器に送ってもよい。例えば、最初のシューは左側仕分けのため右側にあってもよいし、その逆であってもよい。選択的なセクションは、両側仕分けに限定されない。例えば選択的なセクションは、帰路を経由して制御器から比較的大量のデータログを取得するのに使われてもよい。これは、予防保護などのアプリケーションに有用であろう。
【0090】
クラスターサイズが4の場合、4つのモーター33の組が、1つの制御器35に接続される。光電センサ34が、制御器35の各々に接続されてもよい。これは、対応するクラスターを局在化するために、位置決めフレームとともに使われる。スキャナー44(システム内に存在すれば)および中央制御サーバ38はともに、すべての制御器35と同じネットワークに接続されてもよい。アクセスポイント37と中央制御サーバ38との接続は、有線接続であることが望ましい。スキャナー44については、後でより詳しく説明する。
【0091】
電力輸送に関しては、電力レールが、仕分け装置のサイドフレームの1つに適用されてもよい。集電器が移動する運搬体に適用され、当該運搬体に固定された電力収集ユニットに接続されてもよい。
【0092】
図5は、本発明に係るシステム71の側面図である。
【0093】
符号75で示される漏洩同軸ケーブルは、動作中に移動しない。組み合わせは符号74で示され、スキャナーは符号72で示され、充電セクションは符号73で示される。
【0094】
前述のように、システムは、仕分け対象製品の製品パラメータの少なくとも1つを取得し、これを中央制御サーバに与えるように構成されたスキャナー44をさらに備えてもよい。
【0095】
製品パラメータは、以下のいずれかを含む。
-識別番号すなわちID。2つ以上の運搬体が、このIDを基に特定の仕分け対象製品を運搬する。
-特定の仕分け対象製品の長さおよび/または幅に関するパラメータ
-運搬体上の特定の仕分け対象製品の、対応するプッシャーボディの初期位置からの仕分け方向のオフセット
【0096】
製品のオフセットは、組み合わせ上の製品の仕分け方向の位置であると考えてよい。この情報は、仕分け処理に有用である。制御器は、仕分け対象製品が所定の速度、所定の角度等で仕分けられることを保証するように構成されてもよい。
【0097】
所定の速度は、例えば、排出部における無限運搬経路の速度に調整される速度であってもよい。例えば排出部の運搬経路が毎秒3メートルで製品を運搬している場合、システムが排出部に調整されて、仕分け対象製品が毎秒3メートルのピーク速度を持つようになることが望ましいだろう。例えば上記のピーク速度は、ピタゴラスの定理を用いて、排出部の無限運搬経路の速度の2乗から製品の移動方向5への移動速度の2乗を引いたものの平方根であってもよい。
【0098】
特定の製品のオフセットおよびシステムの幅(組み合わせの長さ)は、制御器が製品を特定の「出口」速度に到達させることのできる助走路の全長を決定する。製品が排出部の反対側近くにあった場合、比較的長い助走路が存在する。従ってこの場合、製品はそれほど急に加速されなくてもよいだろう。
【0099】
しかし製品が排出部の近くにあった場合、助走路は比較的短い。従ってこの場合、製品は速やかに加速される必要があるだろう。
【0100】
制御器は、製品の加速度パラメータを決定するための入力として、製品のオフセットを使ってもよい。制御器はさらに、製品の加速度パラメータを決定するための入力として、排出部の速度を使ってもよい。制御器はさらに、製品の必要角を決定するための入力として、排出部の角度を使ってもよい。制御器はさらに、製品の必要角を決定するための入力として、製品の長さおよび幅に関するパラメータを使ってもよい。
【0101】
図6は、本発明に係るシステムの上面図8である。
【0102】
仕分け対象製品は、矢印87で示されるように組み合わせに供給されてもよい。シューが、符号88で示される。
【0103】
図6から分かるように、仕分け対象製品84、85、86は、異なる形状および形体を持ってもよい。例えば符号84、85で示される製品は、自動車のタイヤであってもよい。この種の製品は円環状であり、他のタイプの製品(例えば、符号86で示される製品)とは異なる扱いを受ける必要がある。
【0104】
符号84、85で示される製品は、5つの組み合わせに関係するので、5つのプッシャーボディ(シュー)に関係することに注意する。符号86で示されるL字型の製品も、5つの組み合わせに関係し、従って5つのプッシャーボディ/シューに関係する。
【0105】
この例では、符号82および83で示される2つの排出部がシステムに接続される。
【0106】
ここで説明したシステムは、異なる形状および形体を持つ製品の仕分けに対し、特に好適である。すなわち、スキャナー(図6には示されない)が、組み合わせまたはプッシャーボディに関する情報を、あるいは仕分け対象製品の形状または形体に関する情報を、制御器に与えてもよい。これにより制御器は、仕分け対象製品に調整された初期状態となるように、プッシャーボディを制御することができる。これは、例えば符号88によって示される。ここでは、関係するプッシャーボディは、仕分け対象製品に接触している。仕分け対象製品が排出部に到達すると、プッシャーボディは、排出部に向けて、対応する製品を実際に押すように制御されてもよい。
【0107】
本開示は、製品仕分けプロセスにも向けられることに注意する。このシステムは、
-長尺運搬体およびプッシャーボディの複数の組み合わせを備える。
前記組み合わせは、1つずつ連続的に配置される。
前記組み合わせは、経路に平行な移動方向に沿って可動である。
複数の仕分け位置が、前記経路に沿って配置される。
このシステムは、
-前記経路に平行な移動方向に沿って、前記組み合わせを移動する組み合わせ移動デバイスと、
-複数の制御器と、
-中央制御サーバと、
をさらに備える。
前記運搬体は、互いに平行にかつ前記移動方向と垂直に延びる。
前記運搬体は、仕分け対象製品を運搬するように構成される。
前記組み合わせは、前記プッシャーボディを前記運搬体に沿った仕分け方向に沿って移動する電気モータを有するプッシャーボディ移動デバイスを備える。
前記仕分け方向は、前記運搬体によって運搬された仕分け対象製品を前記プッシャーボディを用いて前記運搬体から排出するために、前記移動方向と垂直に延びる。
前記制御器の各々は、前記長尺運搬体および前記プッシャーボディの組み合わせの上に配置される。
前記制御器の各々は、仕分け位置に関する行き先データを前記中央制御サーバから受信することにより前記プッシャーボディ移動デバイスの2つ以上を制御し、受信した行き先データに基づいて前記電気モータを駆動するように構成される。
前記仕分け位置は、仕分け対象製品を前記運搬体から排出すべき位置である。
前記中央制御サーバは、前記仕分け位置に関する行き先データを前記制御器の少なくとも1つに送信するように構成される。
【0108】
複数の制御器と中央制御サーバとの間の通信は、無線通信技術、好ましくは5G通信技術に基づく。
【0109】
本開示の利点の1つは、各プッシャーボディが、別々にかつ個別に、独立して制御されてもよいことにある。これにより、仕分けプロセスを個別の製品に適合させることができる。
【0110】
本発明者らは、5G通信技術により、低遅延かつ広帯域に、多数のユーザを同時収容できる通信を実現できることに気が付いた。従って、本開示に係るシステムに5G通信技術を利用することを考えてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6