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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-26
(45)【発行日】2025-09-03
(54)【発明の名称】下着
(51)【国際特許分類】
   A41B 9/00 20060101AFI20250827BHJP
   A41C 3/00 20060101ALI20250827BHJP
   A41C 3/12 20060101ALI20250827BHJP
   A41B 17/00 20060101ALI20250827BHJP
【FI】
A41B9/00 A
A41C3/00 A
A41C3/12 C
A41B17/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024128248
(22)【出願日】2024-07-17
【審査請求日】2024-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524290174
【氏名又は名称】西岡 恵子
(73)【特許権者】
【識別番号】593082265
【氏名又は名称】株式会社タムラ
(72)【発明者】
【氏名】西岡 恵子
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0099420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045967(US,A1)
【文献】登録実用新案第3147553(JP,U)
【文献】特開2000-110001(JP,A)
【文献】中国実用新案第201684058(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第118216727(CN,A)
【文献】国際公開第2011/087010(WO,A1)
【文献】米国特許第04325378(US,A)
【文献】米国特許第05968003(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 9/00
A41C 3/00
A41C 3/12
A41B 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下着本体と、
前記下着本体の背部における外面側の中央部に対して取り付けられ、その取り付け部分を基端として左右に対をなすように延び設けられ、少なくとも前記下着本体におけるバスト位置に対応する高さの背部、側部、及び、前部の各外側を覆うことができる一対のサポート生地と、を備えたものであり、
前記一対のサポート生地における先端部分同士が、前記下着本体の前部において係脱手段により係脱可能に構成されたものであり、
前記先端部分同士を係合させた場合に、前記一対のサポート生地が協働して着用者のバストを前記下着本体を介して押圧し得るものであり、
前記一対のサポート生地は、上部に設けられた上部生地と、この上部生地より も下に設けられた下部生地と、を備えたものであり、
前記下部生地は、前記上部生地よりも伸縮性が少ない素材で構成されており、当該下部生地が前記バストの下側を上方に押圧しつつ支持するものであることを特徴とする下着。
【請求項5】
前記下着本体は、タンクトップ型の形状であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の下着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下着に関する。
【背景技術】
【0002】
和装を着用する際にその下に使用する和装下着やブラジャーは、例えば、バストの膨らみを十分に抑えることが難しく着崩れが生じることがあり、和装の着姿を美しく着付けることが難しかった。特許文献1には、バストアップ効果が高い和装用ブラジャーの例が示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示されているブラジャーでは、バストを押圧し、中心に寄せることは可能であるが、バストの膨らみを十分に抑えることができないという課題があった。
また、通常の和装用の下着は、胸をつぶすだけの商品が多く、抑えられた胸は、脇部分や下部に流れて、胸幅が広くなった結果、太って見え、すっきりとした着姿にならないという課題があった。
なお、以上の事情は和装用の下着に限られるものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3151874号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上のような事情に着目してなされたものであり、バストをしっかり押さえてフラットな状態にするとともに着る人にバストへの圧迫感を感じさせず着心地の良さを与えることができる下着を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の構成をなすものとした。
請求項1に記載の発明は、下着本体と、前記下着本体の背部における外面側の中央部に対して取り付けられ、その取り付け部分を基端として左右に対をなすように延び設けられ、少なくとも前記下着本体におけるバスト位置に対応する高さの背部、側部、及び、前部の各外側を覆うことができる一対のサポート生地と、を備えたものであり、前記一対のサポート生地における先端部分同士が、前記下着本体の前部において係脱手段により係脱可能に構成されたものであり、前記先端部分同士を係合させた場合に、前記一対のサポート生地が協働して着用者のバストを前記下着本体を介して押圧し得るものであり、前記一対のサポート生地は、上部に設けられた上部生地と、この上部生地よりも下に設けられた下部生地と、を備えたものであり、前記下部生地は、前記上部生地よりも伸縮性が少ない素材で構成されており、当該下部生地が前記バストの下側を上方に押圧しつつ指示するものであることを特徴とする下着である。
請求項2に記載の発明は、前記係脱手段が、前記一対のサポート生地における一方側に設けられた第一係合部材と、前記一対のサポート生地における他方側の複数箇所に設けられ前記第一係合部材が選択的に係合し得る第二係合部材と、を備えている請求項1記載の下着である。
請求項に記載の発明は、前記上部生地が、前記下部生地よりも伸縮性の大きな素材で構成されており、前記バストの上部を覆うものである請求項1記載の下着である。
請求項に記載の発明は、前記一対のサポート生地は、前記下部生地がアンダー部分にゴム糸を挿入して編み立てた成型編みを含んで構成され、前記上部生地が伸縮性のあるパワーネット素材およびレース素材の少なくともいずれかを含む素材で構成されたものである請求項記載の下着である。
請求項に記載の発明は、前記下着本体は、タンクトップ型の形状であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4記載の下着である。
【0007】
この構成により、着用者の胸部を適切な力でバランスよく押圧するための設計を好適に行えるものとなるため、着衣の着くずれを防ぎ、すっきりとした着姿が可能になり、長時間の着用でも快適に着用できる下着が実現できる。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明によれば、バストをしっかり押さえてフラットな状態にするとともに着る人にバストへの圧迫感を感じさせず着心地の良さを与えることができる下着を提供することができるものとなる。
すなわち、本発明の下着は、先端部同士が下着本体の前部において係脱手段により係脱可能に構成された一対のサポート生地を備えているため、さまざまな着衣において好適なバスト形状を保持させることができるものとなる。
【0009】
一対のサポート生地における一方側に設けられた第一係合部材を、他方側に複数設けられた第二係合部材の何れかに対して選択的に係わり合わせることができるため、一対のサポート生地の有効寸法を柔軟に調整することができるものとなっている。そのため、様々な体型やバストのサイズに合わせて、和装において好適なバスト形状を保持させることができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の和装用の下着の正面図である。
図2】本発明の和装用の下着の側面図である。
図3】本発明の和装用の下着の背面図である。
図4】本発明の一対のサポート生地を広げた状態の正面図である。
図5】本発明の一対のサポート生地を広げた状態の背面図である。
図6】本発明の一対のサポート生地を広げた状態を頭頂部から見た図である。
図7】一対のサポート生地の先端部を止めた状態の部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は本実施形態の和装用下着の正面図であり、図2は本実施形態の和装用下着の側面図であり、図3は本実施形態の和装用下着の背面図であり、図4は一対のサポート生地を広げた状態の和装用下着の正面図であり、図5は一対のサポート生地を広げた状態の和装用下着の背面図であり、図6は一対のサポート生地を広げた和装用下着の状態を頭頂部から見た図であり、図7は一対のサポート生地の先端部を止めた状態の部分図である。なお、図1~6は、和装用下着の構成・作用の説明をわかりやすく説明するために、マネキンに装着した状態のものを示している。
【0013】
図1は、タンクトップ型の下着本体1と、下着本体1の背部における外面側の中央部に対して取り付けられ(縫着され)、その取り付け部分である縫着部分を基端として左右に対をなすように延び設けられ、少なくとも下着本体1におけるバスト位置に対応する高さの背部、側部、及び、前部の各外側を覆うことができる一対のサポート生地2と、を備えたものである。
一対のサポート生地2は、上部に設けられた上部生地10と下部に設けられた下部生地20においてパワー感の異なる2種の素材を備えている。下部生地20は、着用者のバストをしっかりと支えると同時に上部生地10へと押圧させる為に、伸縮性とサポート力を備え、上部生地10は下部生地20よりもソフトなサポート感により着用者のバストを快適に覆う設計をしている。
【0014】
係脱手段が、一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30(図4における左側)と、一対のサポート生地2における他方側の複数箇所に設けられ第一係合部材30が選択的に係合し得る第二係合部材30(図4における右側)とを備えている。
【0015】
一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30を他方側に設けられた複数の第二係合部材30の何れかに選択的に係り合わせることができるため、一対のサポート生地2における有効寸法を柔軟に調整することができるものとなっている。そのため、様々な体型やバストのサイズに合わせて、和装において好適なバスト形状を保持させることができるものとなる。
【0016】
一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30、第二係合部材30は、例えば、オスカン、メスカンのフック形状を備えている。
フック形状を備えた第一係合部材30及び第二係合部材30は、下部生地20のみに縫合されている。
また、第一係合部材30及び第二係合部材30は、フックだけでなく、ファスナーやホック等も使用することができる。
【0017】
図2は、タンクトップ型の形状である下着本体1と、一対のサポート生地2を側面から見た時の状態である。このサポート生地2を構成する上部生地10及び下部生地20は、それぞれ下着本体1の背部における外面側の中央部以外の部分と縫合されておらず、着用者の身体の形状に合わせて柔軟にフィットすることが可能である。一対のサポート生地2は、ストレッチ性のある2種の素材で構成されているため脇をしっかりサポートすることが可能である。
【0018】
通常の和装インナーは胸をつぶすだけの商品が多く、抑えられた胸は脇部分や下部に流れて、胸幅が広くなり結果、太って見える問題点があるが、この和装下着は脇部分をしっかりとサポートすることですっきりとした着姿になる。
【0019】
図3は、下着本体1と、一対のサポート生地2を背面から見た時の状態である。一対のサポート生地2を構成する上部生地10及び下部生地20はストレッチ性の異なる2種の素材で構成され、下着本体1の背部における外面側の中央部200において縫着されているため、背中をしっかりサポートすることが可能である。背中の広い面積をサポートすることが可能であり、良好な姿勢へと導くことができ和装の着姿も美しくなる。
【0020】
図4は、一対のサポート生地2を広げた正面の状態である。一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30、他方に設けられた第二係合部材30は、オスカン、メスカンのフック形状を備えている。
一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30を他方側に複数設けられた第二係合部材30の何れかにに選択的に係わり合わせることができるため、一対のサポート生地2の有効寸法を柔軟に調整することができるものとなっている。
【0021】
また、係脱手段は、フックだけでなく、ファスナーやホック、ストレッチ性のあるゴム等を適用することが可能である。
【0022】
下着本体は、筒状の成型編みが、縫製が少なく容易に生産することが可能であるタンクトップ型が好適である。しかしながら、下着本体は、タンクトップ型だけでなく、ボディスーツ型やキャミソール、ハーフトップ型などの形状であってもよい。
【0023】
図5は、一対のサポート生地2を広げた背面の状態である。
一対のサポート生地2が、左右方向に連続した単一の帯状をなすように作られたサポート生地材における長手方向中央部を下着本体1の中央部に対して縫着することにより設けられている。
縫着部を下着本体1の背部における外面側の中央部200のみにすることで、ストレッチ性が妨げられることなく、着用者の体型に合わせて自由に延びることが可能であり全方向から同じ強度のサポート感を確保しやすくなる。また、製造段階において、縫製箇所が少なくすみ効率的に生産ができるという利点を持つ。
【0024】
一対のサポート生地2は、上部生地10と下部生地20の伸縮性を変えている。バスト下に位置する下部生地20は支持性が高く、着用者のバストをしっかりと支えると同時に上部生地10へバストを導くように押圧することが可能である。
また、上部生地10は下部生地20のサポートよりも弱く、着用者のバストをやさしく快適にサポートする設計をしている。
一対のサポート生地2における下部生地20の先端部のみに、係脱手段を構成する第一、第二係合部材30が設けられている。このため、バストのアンダー部分をしっかりとサポートすることが可能である。
【0025】
一対のサポート生地2は、下部生地20がアンダー部分にゴム糸を挿入して編み立てた成型編みを含んで構成され、上部生地10は、伸縮性のあるパワーネット素材およびレース素材の少なくともいずれかを含む素材で構成されることも可能である。
【0026】
一対のサポート生地2は限定されることはなく、伸縮性のあるパワーネット素材やレース素材などストレッチ性のある素材を使用することも可能である。
【0027】
図6は、タンクトップ型の下着本体1における背面の中央部に対して縫着することにより設けられた一対のサポート生地2を示している。すなわち、図6は、本実施形態の和装用の下着を着用したマネキンを頭頂部側から見たものである。一対のサポート生地2は、下着本体1における背中側中央部のみで縫製されている。図6に示した一対のサポート生地2は身体から離れた状態のものである。
【0028】
縫着部を中央部200のみにすることで、一対のサポート生地2のストレッチ性が妨げられることなく、着用者の体型に合わせて自由に延びることが可能であり、全方向から同じ強度のサポート感を確保しやすくなる。一対のサポート生地2を構成するストレッチ性のある生地が、身体全体、胸周囲の形状に合わせ無理なくフィットすることができる。
【0029】
下着本体1に使用する生地は、ストレッチ性のあるパワーネット素材やレース素材など、限定されることなく多様な素材を使用することができる。
下着本体1は、肌側に綿を使用しており優しい肌触りを追求した成型編みの生地を採用している。
この成型編みの生地は360度縫製がなくサポートすることが可能であり、縫い目が肌に当たる不快感がなく快適に着用することができる。
【0030】
和装は着用枚数が多く、多数の紐を用いて着付けを行い、帯で締め付ける事が通常である。その為、長時間の着用により下着の縫い目が肌にあたり、痛くなったり、痒くなったり皮膚に対するダメージがある。この和装用の下着であれば、成型の丸編み素材で作成している為、縫い目が直接肌に触れることがなく着用する事が可能である。
【0031】
図7は、一対のサポート生地2の先端部に縫合されている左右の係合部材30(第一、第二係合部材)同士を係合させた状態の部分図である。
一対のサポート生地2における下部生地20の先端部に縫合された係合部30は、フックの段数、列数はバストのサイズ、フィット感に合わせて任意で選定することができるものである。
係脱手段が、一対のサポート生地2における一方側に設けられた第一係合部材30と、一対のサポート生地2における他方側の複数箇所に設けられ第一係合部材30が選択的に係合し得る第二係合部材30とを備えているものであると、着用時の体調や体重変化により、締め付けの程度をきつくしたりゆるめたりする事が柔軟にできるものとなっている。また、フック以外にもファスナーやホックを使用することもできる。
【0032】
下着本体1の形状は、タンクトップ型だけでなく、ボディスーツ型やキャミソール型、ハーフトップ型、袖付きのインナーなどの形状を適用することができるものである。
なお、本発明は和装用の下着に限られるものではない。
【符号の説明】
【0033】
1... タンクトップ型の下着本体
2... 左右一対の生地本体
10... 左右一対の生地本体2の上部
20... 左右一対の生地本体2の下部
30... 左右一対の生地本体2の先端部に縫製されているフック
100... 左右一対の先端部をフックで止めた状態
200... 左右一対の生地の背中側中央縫着部
【要約】
【課題】和装において好適なバスト形状を保持させることができる和装用の下着を提供する。
【解決手段】和装用の下着は、下着本体と、下着本体の背部における外面側の中央部に対して取り付けられ、その取り付け部分を基端として左右に対をなすように延び設けられ、少なくとも下着本体におけるバスト位置に対応する高さの背部、側部、及び、前部の各外側を覆うことができる一対のサポート生地とを備える。一対のサポート生地における先端部分同士が、下着本体の前部において係脱手段により係脱可能に構成されたものであり、先端部分同士を係合させた場合に、一対のサポート生地が協働して着用者のバストを下着本体を介して押圧し得ることを特徴とするものである。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7