IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-26
(45)【発行日】2025-09-03
(54)【発明の名称】シート製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/02 20060101AFI20250827BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20250827BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20250827BHJP
   A61K 8/85 20060101ALI20250827BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20250827BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20250827BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20250827BHJP
【FI】
A61K8/02
A61Q19/10
A61Q1/00
A61K8/85
A61K8/39
A61K8/46
A61K8/81
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021082786
(22)【出願日】2021-05-14
(65)【公開番号】P2021181436
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2020085342
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 真理子
(72)【発明者】
【氏名】平原 麻由子
(72)【発明者】
【氏名】津田 ひろ子
【審査官】三木 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-343943(JP,A)
【文献】国際公開第2015/186582(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/156387(WO,A1)
【文献】特開2001-314342(JP,A)
【文献】特開2019-214564(JP,A)
【文献】特開2015-071574(JP,A)
【文献】特開2014-129306(JP,A)
【文献】特開2013-121922(JP,A)
【文献】国際公開第2018/198541(WO,A1)
【文献】特開2011-012057(JP,A)
【文献】特開2002-363063(JP,A)
【文献】篠田耕三,硬水中で使用できるイオン性 界面活性剤,油化学,1993年,第42巻 第2号,81-85
【文献】齋藤俊和,界面活性剤の基礎 -セッケンと合成洗剤-,化学と教育,2021年,69巻4号,158-161
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/02
A61Q 19/10
A61Q 1/00
A61K 8/85
A61K 8/39
A61K 8/46
A61K 8/81
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性繊維と親水性繊維の質量割合(疎水性繊維/親水性繊維)が5/95~70/30であるシートに、
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~7.5質量% 、
(B)水溶液中における10質量%濃度でのクラフト点が45℃ 以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量% 、
(C)水 70~99.45質量%
を含有し、油性成分(成分(A)を除く)の含有量が10質量%以下であり、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、0.04~1.0である液体組成物が含浸された、
シート製品。
【請求項2】
液体組成物において、成分(B)の含有量が、塩に換算して、0.1~2.7質量%である請求項1記載のシート製品。
【請求項3】
液体組成物において、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、0.04~0.6である請求項1又は2項記載のシート製品。
【請求項4】
液体組成物が、さらに、(D)水溶性高分子を含有する請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項5】
成分(D)の水溶性高分子が、炭素数3以上のアルキル基を有するものである請求項4記載のシート製品。
【請求項6】
液体組成物において、成分(D)の含有量が、0.01~0.3質量%である請求項5記載のシート製品。
【請求項7】
前記シートの疎水性繊維と親水性繊維の質量割合(疎水性繊維/親水性繊維)が10/90~70/30である請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項8】
前記シートが密度0.14g/cm3以下である請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項9】
液体組成物が、さらに、(E)粉体を含有する請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項10】
前記シートが不織布を含む請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項11】
皮膚洗浄用である請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項12】
メイクアップ化粧料除去用である請求項1又は2記載のシート製品。
【請求項13】
成分(A)が、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、 プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、 ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、 ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、 ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシド及びポリオキシアルキレン変性シリコーンから選ばれる1種以上であり;成分(B)が、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化タウレート、N-アルキルアミドアルカノール硫酸エステル塩、及びポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩から選ばれる1種以上の、水溶液中における10質量%濃度でのクラフト点が45℃以上であるアニオン界面活性剤である、請求項1又は2記載のシート製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水系洗浄剤を含有する皮膚洗浄用シートが知られている。例えば、特許文献1には、特定の不織布に、非イオン性界面活性剤、多価アルコール及び/又はグリコールエーテル、油分を含む水系洗浄剤組成物を含有させてなる皮膚洗浄用シートが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-314342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の皮膚洗浄用シートにおける洗浄力は、主に水系洗浄剤自身の洗浄力に依存したものである。そのため、皮膚の汚れ(例えばメイク)を拭き取る際、いったん水系洗浄剤の洗浄力によって皮膚から浮かせた汚れが、皮膚に戻ってしまい(汚れの再付着)、結果として、高い洗浄力を発揮できないという課題があった。
本発明は、水系洗浄剤による洗浄力を確保しつつ、汚れの再付着が抑制されるシート製品に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、非イオン界面活性剤と特定のアニオン界面活性剤を特定の割合で含有する液体組成物を、シートに含浸させることにより、メイクなどの汚れを皮膚から浮かせつつ、汚れの再付着を抑制することで、高い洗浄力を発揮するシート製品が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、疎水性繊維を5質量%以上含むシートに、
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~9質量%、
(B)クラフト点が45℃以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量%、
(C)水 70~99.45質量%
を含有し、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、0.03~1.0である液体組成物が含浸された、
シート製品に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシート製品は、メイクなどの皮膚の汚れを皮膚から浮かせつつ、汚れの再付着を抑制することができ、高い洗浄力を発揮する。また、使用後の肌のべたつきや残留感を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、液体組成物に用いる成分(A)の非イオン界面活性剤としては、通常の洗浄剤に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、モノステアリン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル;グリセリン脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ショ糖脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸ソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル;アルキルポリグルコシド;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体等のポリオキシアルキレン変性シリコーンなどが挙げられる。
これらの非イオン界面活性剤のうち、油性汚れ及び水溶性汚れに対する洗浄性能が良好である点から、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドが好ましい。
【0009】
成分(A)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、成分(A)の含有量は、皮膚から汚れを浮かせやすくする点から、液体組成物中に、0.5質量%以上であり、1.5質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、汚れ再付着が抑制され、拭き取り後の肌のべたつきが抑制される点から、9質量%以下であり、7.5質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、液体組成物中に0.5~9質量%であり、1.5~7.5質量%が好ましく、2.5~5質量%がより好ましい。
【0010】
液体組成物に用いる成分(B)のアニオン界面活性剤は、クラフト点が45℃以上のものである。
成分(A)の非イオン界面活性剤が汚れに作用してこれを皮膚から浮かせる一方で、液体組成物中の成分(A)の濃度が低下する。この際、液体組成物中に溶けるか微分散している成分(B)のアニオン界面活性剤は、クラフト点45℃以上であり水溶性が低いため、上記浮いた汚れの表面に析出する。これにより、浮き上がった汚れの凝集が進み、液体組成物への汚れの分散が抑制される。その結果、汚れがシートに吸着、もしくは巻き込まれやすくなるため、液体組成物に分散されにくく、汚れの肌戻り(液に再び分散されて皮膚に戻り、再付着すること)が抑制される。また、汚れはシートの裏側まで移動しにくくなるため、汚れの裏移りもしにくい。以上の効果は、液体組成物の組成に由来しており、シートの構造や組成に関わらずに得ることができる。この際、疎水性繊維がシートに含まれていると、汚れの吸着が促進され、この効果は増長される。
本発明において、クラフト点は、界面活性剤の水和固体の融点であるという考え方を用いる。すなわち、水溶液を冷却した際に、界面活性剤が析出する温度のことである。界面活性剤種によっては濃度によりクラフト点は変化するが、本発明においては、水溶液中における10質量%濃度でのクラフト点が45℃以上であるアニオン界面活性剤を用いる。クラフト点の測定は、示差走査熱量計を用いることができる。
【0011】
かかるアニオン界面活性剤としては、水溶液中における10質量%濃度でのクラフト点が45℃以上で、通常の皮膚洗浄剤・化粧料に用いられるものであれば制限されないが、例えば、ポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩、アルキル(又はアルケニル)硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、エーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、高級脂肪酸塩、アルキルリン酸エステル塩、N-アシルアミノ酸塩、アシル化イセチオン酸塩、アシル化タウレート、N-アルキルアミドアルカノール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩等が挙げられる。これらのうち、拭き取り後の肌の滑らかさの点から、高級脂肪酸塩(例えば炭素数14以上のナトリウム塩、炭素数18以上のカリウム塩)、N-アシルアミノ酸塩(例えば炭素数12以上のナトリウム塩、カリウム塩)が好ましく、ステアリン酸ナトリウム、N-ステアロイル-Nメチルタウリンナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸モノナトリウムがより好ましい。
【0012】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、塩に換算した成分(B)の含有量は、汚れ再付着を抑制する点から、液体組成物中に、0.05質量%以上であり、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、拭き取り後の肌の残留感が抑制される点から、3質量%以下であり、2.7質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。また、塩に換算した成分(B)の含有量は、液体組成物中に0.05~3質量%であり、0.1~2.7質量%が好ましく、0.2~1.5質量%がより好ましく、0.2~1質量%がさらに好ましい。
【0013】
液体組成物において、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)は、汚れ再付着を抑制する点から、0.03以上であり、0.04以上が好ましく、0.06以上がより好ましく、拭き取り後の肌の残留感が抑制される点から、1.0以下であり、0.6以下が好ましく、0.45以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい。また、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)は、0.03~1.0であり、0.04~0.6が好ましく、0.06~0.45がより好ましく、0.06~0.3がさらに好ましい。
【0014】
液体組成物において、成分(C)の水は、他の成分を溶かす溶媒として機能する。
成分(C)の含有量は、汚れの取れを良好にし、すっきりとした感触を向上させる点から、液体組成物中に、70質量%以上であり、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、99.45質量%以下であり、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、液体組成物中に70~99.45質量%であり、75~98質量%が好ましく、80~97質量%がより好ましい。
【0015】
液体組成物は、さらに、成分(D)として、水溶性高分子を含有することができる。成分(D)の水溶性高分子がシートの表面に濃縮されることで、シート製品の皮膚への張り付き性が向上し、皮膚と液体組成物との密着性が増大する。その結果、液体組成物中の成分(A)の非イオン界面活性剤量が同じ場合でも、皮膚上の汚れ除去能(メイク落ち)を向上させることができる。また、液体組成物の粘度が増大することで、シート製品による皮膚の擦れが低減し、肌あたり感が向上する。さらに、水分の蒸散速度が調整されることにより、拭き取り後の潤い感が持続する。
成分(D)の水溶性高分子としては、例えば、アクリル酸/アクリル酸アルキルクロスポリマー等のアクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシアルキル基が付加したセルロースなど挙げられる。
【0016】
アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体としては、例えば、ペムレンTR-1、ペムレンTR-2、カーボポールETD2020、カーボポール1382、カーボポール1342(以上、Lubrizol Advanced Materials社製)、AQUPEC HV-501ER(住友精化社製)等の市販品を使用することができる。
【0017】
ヒドロキシアルキル基が付加したセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロースでは、NISSO HPC(日本曹達社製)等の市販品を使用することができる。
【0018】
なお、成分(D)の水溶性高分子としては、汚れ再付着を抑制する点から、炭素数3以上のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等を有するのが好ましい。
成分(D)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、成分(D)の含有量は、皮膚の洗浄力や、肌あたり感を向上させ、拭き取り後の潤い感を持続する点から、液体組成物中に、0.01質量%以上であるのが好ましく、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、拭き取り後の肌のべたつきが抑制される点から、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。また、成分(D)の含有量は、液体組成物中に0.01~0.3質量%が好ましく、0.03~0.25質量%がより好ましく、0.05~0.2質量%がさらに好ましい。
【0019】
成分(D)を含む液体組成物の30℃における粘度は、皮膚の洗浄力や、肌あたり感を向上させる点から、5mPa・s以上であるのが好ましく、液体組成物のシートへの含浸を良好にする点から、150mPa・s以下が好ましい。
本発明において、30℃における粘度は、デジタル粘度計(TVB-10、東機産業社製、ローターNo.2、60rpm)で、30℃の条件で測定される。
【0020】
液体組成物は、さらに、成分(E)として、粉体を含有することができる。成分(E)を含有することで、拭き取り後のべたつき感をより低減し、肌のさらさらした感触を付与することができる。
成分(E)の粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも使用することができる。
粉体のうち、無機粉体としては、例えば、タルク、無水ケイ酸(シリカ)、マイカ、カオリン、セリサイト、酸化チタン皮膜雲母(雲母チタン)、酸化亜鉛、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
これらのうち、拭き取り後のべたつき感を低減し、肌のさらさらした感触を向上させる点から、タルク、酸化チタン、無水ケイ酸(シリカ)、マイカ、カオリンから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、タルク、酸化チタン及び無水ケイ酸(シリカ)から選択される1種又は2種以上を含むことがより好ましく、タルク及び無水ケイ酸(シリカ)から選択される1種又は2種を含むことがさらに好ましい。
【0021】
また、有機粉体としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサン、ジメチルポリシロキサン重合体、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマー、オクテニルコハク酸デンプンエステルアルミニウム等が挙げられる。
これらのうち、拭き取り後のべたつき感を低減し、肌のさらさらした感触を向上させる点から、ポリメチルシルセスキオキサン、ジメチルポリシロキサン重合体及び(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマーから選択される1種又は2種以上を含むことが好ましく、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマーを含むことがより好ましい。
【0022】
成分(E)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、成分(E)の含有量は、拭き取り後のべたつき感を低減し、肌のさらさらした感触を付与する点から、液体組成物中に、0.05質量%以上であるのが好ましく、0.07質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、肌への残留感が抑制される点から、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい。また、成分(E)の含有量は、液体組成物中に0.05~10質量%が好ましく、0.07~9質量%がより好ましく、0.1~7質量%がさらに好ましい。
【0023】
液体組成物は、前記成分以外に、通常の皮膚洗浄剤に用いられる成分、例えば、前記成分以外の界面活性剤、油性成分、保湿剤、殺菌剤、アルコール類、抗炎症剤、防腐剤、キレート剤、塩類、パール化剤、香料、冷感剤、色素、紫外線吸収剤、酸化防止剤、植物エキス等を含有することができる。
油性成分としては、エステル油、シリコーン油、炭化水素油等が挙げられる。油性成分を含有する場合、液体組成物中における(成分(A)を除く)油性成分の含有量は、汚れの再付着抑制の観点から、18質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
【0024】
液体組成物は、通常の方法により製造することができる。例えば、各成分を秤量し、混合して攪拌することにより製造することができる。この際に、必要に応じて加熱してもよい。特に、成分(B)のクラフト点以上の温度に加熱して充分に溶解させることが好ましい。
【0025】
本発明において、このような液体組成物は、シートに含浸させて用いられる。
本発明で用いるシートは、特に制限されず、天然繊維又は合成繊維を含む布状のもの、例えば、織布、編布、フェルト、又は不織布のいずれをも使用することができる。
天然繊維としては、例えば、セルロース繊維等が挙げられる。
液体組成物を含浸させるためのシートとしては、立体形状への追随性、使用感の向上、加工のし易さ等の観点から、不織布が好ましい。
不織布の製造方法としては、例えば、熱融着、スパンボンドや水流交絡(スパンレース)等のいずれであっても良い。
【0026】
シートは、汚れの再付着を抑制しやすく、拭き取り時に含浸液を多量に放出可能である点から、疎水性繊維を含むのが好ましい。
疎水性繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系繊維、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維が挙げられる。
これらのうち、価格が安価であり、市場での入手性が良い点から、ポリオレフィン系繊維及びポリエステル系繊維から選ばれる1種又は2種以上を含むのが好ましい。また、複数の材料が熱融着した繊維を用いることもできるし、芯鞘型、並列型等の複合繊維を用いることもできる。
シートは、汚れの再付着をより抑制しやすく、拭き取り時に含浸液を多量に放出する点から、疎水性繊維を5質量%以上含むのが好ましく、10質量%以上含むのがより好ましく、15質量%以上含むのがさらに好ましい。
【0027】
また、シートは、皮膚の擦れ感が低減し、肌あたり感が向上する点から、親水性繊維を含むのが好ましい。
親水性繊維としては、例えば、コットン、レーヨン、パルプ等が挙げられる。
これらのうち、価格が安価であり、市場での入手性が良く、かつ肌への密着性が良好で肌あたりの良さを向上させる点から、コットン及びレーヨンから選ばれる1種又は2種を含むのが好ましい。コットン及びレーヨンを組合わせて用いる場合、上記の点からは、どのような混合割合であってもよい。
シートは、皮膚の擦れ感をより低減し、肌あたり感がより向上する点から、親水性繊維を10質量%以上含むのが好ましく、30質量%以上含むのがより好ましく、65質量%以上含むのがさらに好ましい。
【0028】
これらの疎水性繊維及び親水性繊維は、それぞれ1種単独又は2種以上を併用しても良い。
シートにおいて、疎水性繊維及び親水性繊維を含む場合、疎水性繊維と親水性繊維の質量割合は、汚れの再付着を抑制し、拭き取り時に含浸液を多量に放出することと、皮膚の擦れ感を低減し、肌あたり感が向上することを両立する点から、疎水性繊維/親水性繊維=5/95~70/30であるのが好ましく、15/85~35/65がより好ましい。
【0029】
シートの密度は、拭き取り時に含浸液を多量に放出することができ、シート製品による皮膚の擦れを低減する点から、0.14g/cm3以下であるのが好ましく、0.12g/cm3以下がより好ましく、0.11g/cm3以下がさらに好ましい。また、シートの密度は、液体組成物をシートに含浸しやすく、シートへの組成物の保持性を良好にする点から、0.08g/cm3以上であるのが好ましく、0.1g/cm3以上がより好ましい。
シートの坪量は、拭き取り時に含浸液を多量に放出することができ、シート製品による皮膚の擦れを低減する点から、35~80g/m2であるのが好ましく、38~60g/m2がより好ましく、40~50g/m2がさらに好ましい。
シートの厚みは、拭き取りしやすく、肌当たりの良さを維持する点から、0.3~0.6mmであるのが好ましく、0.35~0.55mmがより好ましく、0.38~0.5mmがさらに好ましい。
なお、シートの形状や大きさは、特に制限されず、目的に応じて適宜設定することができる。
シートは、1種又は(組成等が異なる)2種以上のシートが2枚以上積層された多層シートであってもよく、織布の積層体、不織布の積層体、織布と不織布の積層体などであってもよい。この場合、上記坪量・厚みは多層シート全体のものを用いることができる。
【0030】
本発明のシート製品は、このようなシートに、前記液体組成物を含浸させてなるものである。
液体組成物のシートへの含浸率は、清拭時の感触の良さの点から、シート質量に対して、250~700質量%であるのが好ましく、300~600質量%がより好ましい。
含浸率は、液体組成物を含浸する前のシートに対してある量の液体組成物を含浸させた時の増加分を含浸率として設定することができる。
【0031】
液体組成物をシートに含浸させる方法は、特に制限されず、例えば、シートに液体組成物を滴下又は噴霧する方法や、シートを液体組成物中に浸漬する方法などが挙げられる。液体組成物の含浸後は、組成物中からの成分の揮発を防止するため、密封性の良いアルミパウチ等で包装するのが好ましい。
【0032】
液体組成物を含浸させたシートは、皮膚洗浄用シートとして好適であり、皮膚の汚れ、例えば、ファンデーションや頬紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料や、皮脂のうち固体脂等の汚れを洗浄するのに用いることができる。中でも、汚れの再付着抑制効果が顕著に現れることから、メイクアップ化粧料を除去するために用いるのが好適である。
本発明の皮膚洗浄用シートは、例えば、メイクアップ化粧料等の汚れを除去したい部位に押し当て、拭き取るようにして使用することができる。
メイクアップ化粧料(以下、単にメイクという。)を除去するための皮膚洗浄用シート(シート状メイク落とし)は、いつでもどこでもメイクを落とせるという簡便性を特長とする。その一方で、「メイク落ち」と「肌擦れ」が課題としてある。その大きな理由のひとつに、一度拭き取ったメイクが含浸液に分散して肌に戻ることで起こる、汚れの再付着(肌戻り)が挙げられる。肌戻りのため、汚れが落ちきらない。更に、何度も拭いてしまうため、肌擦れにもつながる。本発明は、シートに汚れを吸着させるという新たな発想により、汚れの肌戻りが抑制され、何度も擦らずメイクを落とせるシート状メイク落としを実現したものである。これは、「メイク落ち」と「肌擦れ」というシート状メイク落としの上記課題両方の解決につながる技術である。
【0033】
上述した実施形態に関し、本発明は、更に以下のシート製品等を開示する。
【0034】
<1>疎水性繊維を5質量%以上含むシートに、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~9質量%、
(B)クラフト点が45℃以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量%、
(C)水 70~99.45質量%
を含有し、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、0.03~1.0である液体組成物が含浸された、
シート製品。
【0035】
<2>成分(A)が、好ましくは、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドであって、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルがより好ましい、前記<1>記載のシート製品。
<3>成分(A)の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、1.5質量%以上であって、2.5質量%以上がより好ましく、7.5質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい、前記<1>又は<2>記載のシート製品。
【0036】
<4>成分(B)が、好ましくは、高級脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸塩であって、ステアリン酸ナトリウム、N-ステアロイル-Nメチルタウリンナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸モノナトリウムがより好ましい、前記<1>~<3>のいずれか1記載のシート。
<5>成分(B)の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、0.1質量%以上であって、0.2質量%以上がより好ましく、2.7質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい、前記<1>~<4>のいずれか1記載のシート製品。
【0037】
<6>液体組成物において、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、好ましくは、0.04以上であって、0.06以上がより好ましく、0.6以下が好ましく、0.45以下がより好ましく、0.3以下がさらに好ましい、前記<1>~<5>のいずれか1記載のシート製品。
<7>成分(C)の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、75質量%以上であって、80質量%以上がより好ましく、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましい、前記<1>~<6>のいずれか1記載のシート製品。
【0038】
<8>液体組成物が、さらに、(D)水溶性高分子を含有する、前記<1>~<7>のいずれか1記載のシート製品。
<9>成分(D)が、好ましくは、アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシアルキル基が付加したセルロースであって、アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい、前記<8>記載のシート製品。
<10>成分(D)が、好ましくは、炭素数3以上のアルキル基を有するものである、前記<8>又は<9>記載のシート製品。
<11>成分(D)の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、0.01質量%以上であって、0.03質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上がさらに好ましく、0.3質量%以下が好ましく、0.25質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい、前記<8>~<10>のいずれか1記載のシート製品。
<12>成分(D)を含む液体組成物の30℃における粘度が、好ましくは、5mPa・s以上であって、150mPa・s以下が好ましい、前記<8>~<11>のいずれか1記載のシート製品。
【0039】
<13>液体組成物が、さらに、(E)粉体を含有する、前記<1>~<12>のいずれか1記載のシート製品。
<14>成分(E)が、好ましくは、無機粉体であって、タルク、酸化チタン、無水ケイ酸(シリカ)、マイカ、カオリンから選択される1種又は2種以上を含むのがより好ましく、タルク、酸化チタン及び無水ケイ酸(シリカ)から選択される1種又は2種以上を含むのがさらに好ましく、タルク及び無水ケイ酸(シリカ)から選択される1種又は2種を含むことがよりさらに好ましい、前記<13>記載のシート製品。
<15>成分(E)が、好ましくは、有機粉体であって、ポリメチルシルセスキオキサン、ジメチルポリシロキサン重合体及び(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマーから選択される1種又は2種以上を含むのがより好ましく、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸Na)クロスポリマーを含むのがさらに好ましい、前記<13>記載のシート製品。
<16>成分(E)の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、0.05質量%以上であって、0.07質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましく、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、7質量%以下がさらに好ましい、前記<13>~<15>のいずれか1記載のシート製品。
【0040】
<17>液体組成物が、さらに、成分(A)以外の油性成分を含有する、前記<1>~<16>のいずれか1記載のシート製品。
<18>成分(A)以外の油性成分の含有量が、好ましくは、液体組成物中に、18質量%以下であって、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい、前記<17>記載のシート製品。
【0041】
<19>疎水性繊維が、好ましくは、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリルニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリウレタン繊維から選ばれる合成繊維であって、ポリオレフィン系繊維及びポリエステル系繊維から選ばれる1種又は2種を含むのがより好ましい、前記<1>~<18>のいずれか1記載のシート製品。
<20>前記シートが、好ましくは、疎水性繊維を10質量%以上含み、15質量%以上含むのがより好ましい、前記<1>~<19>のいずれか1記載のシート製品。
【0042】
<21>前記シートが、好ましくは、親水繊維を含有する前記<1>~<20>のいずれか1記載のシート製品。
<22>親水性繊維が、好ましくは、コットン及びレーヨンから選ばれる1種又は2種を含む、前記<21>記載のシート製品。
<23>前記シートが、好ましくは、親水性繊維を10質量%以上含み、30質量%以上含むのがより好ましく、65質量%以上含むのがさらに好ましい、前記<21>又は<22>記載のシート製品。
<24>前記シートが、好ましくは、疎水性繊維及び親水性繊維を含み、疎水性繊維と親水性繊維の質量割合は、疎水性繊維/親水性繊維=5/95~70/30であるのが好ましく、15/85~35/65がより好ましい、前記<1>~<23>のいずれか1記載のシート製品。
【0043】
<25>前記シートの密度が、好ましくは、0.14g/cm3以下であって、0.12g/cm3以下がより好ましく、0.11g/cm3以下がさらに好ましく、0.08g/cm3以上が好ましく、0.1g/cm3以上がより好ましい、前記<1>~<24>のいずれか1記載のシート製品。
<26>前記シートの坪量が、好ましくは、35~80g/m2であって、38~60g/m2がより好ましく、40~50g/m2がさらに好ましい、前記<1>~<25>のいずれか1記載のシート製品。
<27>前記シートの厚みが、好ましくは、0.3~0.6mmであって、0.35~0.55mmがより好ましく、0.38~0.5mmがさらに好ましい、前記<1>~<26>のいずれか1記載のシート製品。
<28>液体組成物の前記シートへの含浸率が、好ましくは、シート質量に対して、250~700質量%であって、300~600質量%がより好ましい、前記<1>~<27>のいずれか1記載のシート製品。
【0044】
<29>皮膚洗浄用である、前記<1>~<28>のいずれか1記載のシート製品。
<30>メイクアップ化粧料除去用である、前記<1>~<29>のいずれか1記載のシート製品。
<31>汚れを除去したい部位に押し当て、拭き取るようにして使用する、前記<1>~<30>のいずれか1記載のシート製品。
【0045】
<32>疎水性繊維を5質量%以上含むシートに、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~9質量%、
(B)クラフト点が45℃以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量%、
(C)水 70~99.45質量%
を含有し、
成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が0.03~1.0である液体組成物が含浸されたシート製品を、
皮膚に当てて拭き取る、皮膚洗浄方法。
【0046】
<33>疎水性繊維を5質量%以上含むシートに、
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~9質量%、
(B)クラフト点が45℃以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量%、
(C)水 70~99.45質量%
を含有し、
成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が0.03~1.0である液体組成物を含浸させ、
該シートを皮膚に当てて拭き取る、皮膚洗浄方法。
【0047】
<34>前記<1>~<31>のいずれか1記載のシート製品を、皮膚上のメイクアップ化粧料に当てて拭き取る、皮膚洗浄方法。
<35>前記<1>~<31>のいずれか1記載のシート製品の、皮膚洗浄用シートとしての使用。
<36>前記<1>~<31>のいずれか1記載のシート製品の、メイクアップ化粧料除去用シートとしての使用。
【0048】
<37>次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非イオン界面活性剤 0.5~9質量%、
(B)クラフト点が45℃以上のアニオン界面活性剤 塩に換算して、0.05~3質量%、
(C)水 70~99.45質量%
を、成分(A)の質量に対する、塩に換算した成分(B)の質量の割合(B)/(A)が、0.03~1.0となるように配合して、液体組成物を製造し、
該液体組成物を、疎水性繊維を5質量%以上含むシートに含浸させる、
皮膚洗浄用シートの製造方法。
【実施例
【0049】
実施例1~23、比較例1~5
表1~表4に示す組成の液体組成物を調製し、表5に示す不織布シートに含浸させることにより、皮膚洗浄用シートを製造した。
得られた皮膚洗浄用シートについて、汚れ(メイク)落ち、再付着抑制効果、使用性(肌あたり、後肌(べたつきのなさ、残留感のなさ))を評価した。結果を表1~表4に併せて示す。
なお、不織布シートの密度は、以下に示す方法により測定した。
【0050】
(製造方法)
(1)液体組成物の製造:
各成分(質量%)を均一に混合し、成分(B)のクラフト点以上の温度に加熱して、液体組成物を調製した。
(2)皮膚洗浄用シートの製造:
予め16cm×20cmに裁断した不織布シートに、液体組成物をポリスポイトにより規定量不織布シート全体に含浸させることにより、皮膚洗浄用シートを得た。
【0051】
(評価方法)
(1)汚れ(メイク)落ち:
人下腕内側に一定量の口紅(メイベリンカラーセンセーショナルリップスティック(商標)RD638、日本ロレアル社製)を塗布し、色差測定(E1)した後、各皮膚洗浄用シートを用い、一定圧で一定回数(3回)拭き取った。その後、再度色差を測定した(E2)。測定した色差(E1、E2)を用い、次式より洗浄率を算出し、以下の基準で評価した。
洗浄率(%)=(1-E2/E1)×100
なお、色差測定は、ミノルタ色彩色差計CR-300(コニカミノルタ社製)を使用した。
1:洗浄率30%未満。
2:洗浄率30%以上40%未満。
3:洗浄率40%以上50%未満。
4:洗浄率50%以上60%未満。
5:洗浄率60%以上。
【0052】
(2)再付着抑制効果:
49mm×130mmサイズの人工皮膚(バイオスキン(商標)、ビューラックス社製ドライタイプ)に、リキッドファンデーション(ソフィーナプリマヴィスタ(商標)毛穴・色ムラカバーc、花王社製)10mgを塗布し、1時間以上乾燥させた。4つ折りした皮膚洗浄用シートで5回繰り返して拭き、拭いたシート面(拭き取り面)を綺麗な紙製ウエス(キムタオル(商標)ホワイト、日本製紙クレシア社製)に軽く接触させた。ウエスに付着したファンデーションを再付着とし、その程度を拭き取り面に付着したファンデーションと比較して、再付着性を以下の基準で目視により評価した。ウエスに付着したファンデーションの量は、拭き取った後に皮膚洗浄用シートから搾った液色と正の相関がみられた。評価値は、専門パネラー5名の平均値(小数点以下第一位四捨五入)で示す。
1:ファンデーションがウエスに拭き取り面と同じ程度付着している。
2: ファンデーションがウエスに付着しているが拭き取り面のほうがわずかに多い。
3:ファンデーションがウエスに付着しているが拭き取り面のほうが多い。
4:ファンデーションがウエスに付着しているが拭き取り面のほうが顕著に多い。
5:ファンデーションがウエスにほとんど付着していない。
【0053】
(3)使用性評価:
4つ折りにした皮膚洗浄用シートを、20~40代女性による専門パネラー5名の前腕に当て、10cmの長さを約300gの力で、連続して5回拭き取った後、「肌あたり」、「後肌(べたつきのなさ)」、「後肌(残留感のなさ)」について、以下の基準で官能評価した。評価値は、専門パネラー5名の平均値(小数点以下第一位四捨五入)で示す。
【0054】
(肌あたり)
1:肌滑りが悪く、肌あたりに硬さを感じる。
2:肌滑りがやや悪く、肌あたりにやや硬さを感じる。
3:肌滑りがやや良く、肌あたりもやや柔らかい。
4:肌滑りがよく、肌あたりも柔らかい。
5:肌滑りが非常によく、肌あたりも非常に柔らかい。
【0055】
(後肌(べたつきのなさ))
1:肌にべたつきが強く感じられる。
2:肌にべたつきがやや強く感じられる。
3:肌にべたつきが多少感じられる。
4:肌にべたつきがほとんど感じられない。
5:肌にべたつきが全く感じられず、さっぱりと感じる。
【0056】
(後肌(残留感のなさ))
1:肌に残留感が強く感じられる。
2:肌に残留感がやや強く感じられる。
3:肌に残留感が多少感じられる。
4:肌に残留感がほとんど感じられない。
5:肌に残留感が全く感じられず、さっぱりと感じる。
【0057】
(4)不織布シートの密度:
不織布シートの密度は、不織布シートの坪量を不織布シートの厚みで割ることで算出した。
不織布シートの厚みは、一般短繊維不織布試験方法(JIS L 1913)の「厚さ」試験の方法A法に基づき、定圧厚さ測定器(S-10908型、テクロック社製)を用い、不織布シートの任意の5か所の厚みを測定し、その平均値とした。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
実施例24~29、比較例6~7
実施例1~23と同様にして、実施例4の液体組成物を、表6に示す不織布シートに含浸させることにより、皮膚洗浄用シートを製造した。
得られた皮膚洗浄用シートについて、実施例1~23と同様にして、汚れ(メイク)落ち、再付着抑制効果、使用性(肌あたり)を評価した。また、液放出について評価した。結果を表6に併せて示す。
【0064】
(液放出の評価方法)
49mm×130mmサイズの人工皮膚(バイオスキン(商標)ビューラックス社製ドライタイプ)を、4つ折りにした皮膚洗浄用シートで、一方方向に、所定荷重(300~400g)で、全体をまんべんなく(拭き取り範囲が重ならないように)拭き取った。拭き取り前後での人工皮膚の重量変化から、人工皮膚に付着した液量を計測した。以下の基準で重量により評価した。
1:付着した液量が100mg未満。
2:付着した液量が100mg以上130mg未満。
3:付着した液量が130mg以上150mg未満。
4:付着した液量が150mg以上180mg未満。
5:付着した液量が180mg以上。
【0065】
【表6】
【0066】
処方例1
実施例1~23と同様にして、表7に示す組成の液体組成物を、表5に示す不織布シートに含浸させることにより、皮膚洗浄用シートを製造した。
得られた皮膚洗浄用シートは、メイクなどの皮膚の汚れを皮膚から浮かせつつ、汚れの再付着を抑制することができ、高い洗浄力を発揮し、使用後の肌のべたつきや残留感を抑制することができ、肌あたりも良好である。
【0067】
【表7】