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  • 特許-災害時スリッパ兼用枕 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-26
(45)【発行日】2025-09-03
(54)【発明の名称】災害時スリッパ兼用枕
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20250827BHJP
   A43B 3/10 20060101ALI20250827BHJP
   A43B 3/12 20060101ALI20250827BHJP
【FI】
A47G9/10 V
A43B3/10 H
A43B3/10 L
A43B3/12 J
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2025032441
(22)【出願日】2025-02-28
【審査請求日】2025-02-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】525075655
【氏名又は名称】小代 祥也
(74)【代理人】
【識別番号】100166073
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 秀治
(72)【発明者】
【氏名】小代 祥也
【審査官】田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-235258(JP,A)
【文献】特開2001-046101(JP,A)
【文献】特開2012-200464(JP,A)
【文献】中国実用新案第210471741(CN,U)
【文献】特開平10-005079(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
A43B 3/10,3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上層クッション(10)と下層クッション(20)とを備えた分割構造であって、
一体化状態では、枕として使用可能であり、
分割状態では、それぞれがスリッパの一部となる構成を有し、
前記上層クッション(10)と下層クッション(20)は、互いの対向面に設けた面ファスナーにより着脱自在に結合されることで一体化し、
前記上層クッション(10)の両側面に、6個のスナップボタン(11)が取り付けられ
前記下層クッション(20)の両側面に、6個のスナップボタン(21)が取り付けられ
第1伸縮ベルト(30)と第2伸縮ベルト(40)とを備え、
該第1伸縮ベルト(30)の裏面の両端には、スナップボタン(31)が、各々、設けられ、
該第2伸縮ベルト(40)の裏面の両端には、スナップボタン(41)が、各々、設けられ、
前記第1伸縮ベルト(30)スナップボタン(31)が、前記上層クッション(10)スナップボタン(11)に組み合わせられ、
前記第2伸縮ベルト(40)スナップボタン(41)が、前記下層クッション(20)スナップボタン(21)に組み合わせられ、
前記第1伸縮ベルト(30)および第2伸縮ベルト(40)を、上層クッション(10)および下層クッション(20)の相対する両側面間に装着することで、足入部(12,22)を形成可能とすることを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕として日常的に使用でき、かつ災害時にはスリッパとして使用することでガラス破片等から足を保護し、安全に避難を行うことができる災害時スリッパ兼用枕に関する。
【背景技術】
【0002】
南海トラフ巨大地震等の大規模災害が今後起こる可能性が指摘されており、就寝時に地震が発生した場合でも、屋内における食器等が割れることによるガラス片等から足を守れるようなスリッパを、常に枕として身近に置いておくことができれば避難に有効である。
【0003】
従来、特許文献1(実用新案登録第3112678号)には、防災頭巾、防寒具、スリッパを枕カバー内に収納できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3112678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の枕は、就寝中に地震等が発生した場合に、急いでスリッパを準備する必要があっても、パニック状態に陥り、枕にスリッパを収納していることに気づかない恐れがある。
【0006】
また、気づいている場合であっても、枕内からスリッパを取り出してスリッパを準備することは、特に電気がつかない状態では容易でない。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、通常は枕として使用でき、就寝中に地震等が発生した場合であっても、確実にスリッパの存在に気づき、明かりが乏しい状態でもスリッパとしての準備が容易であり、屋内を避難移動する際に、食器等が割れることで床面に落ちているガラス片などから足を保護できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題を解決するための手段は、下記のとおりである。
【0009】
第1に、
上層クッションと下層クッションとを備えた分割構造であって、
一体化状態では、枕として使用可能であり、
分割状態では、それぞれがスリッパの一部となる構成を有することを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【0010】
第2に、
上層クッションと下層クッションとを備えた分割構造であって、
一体化状態では、枕として使用可能であり、
分割状態では、それぞれがスリッパの一部となる構成を有し、
前記上層クッションと下層クッションは、互いの対向面に設けた面ファスナーにより着脱自在に結合されることで一体化することを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【0011】
第3に、
前記第1または2に記載の災害時スリッパ兼用枕において、
前記上層クッションの両側面に、複数の着脱手段が設けられ、
前記下層クッションの両側面に、複数の着脱手段が設けられると共に、
第1伸縮ベルトと第2伸縮ベルトとを備え、
該第1伸縮ベルトの裏面の両端には、着脱手段が設けられ、
該第2伸縮ベルトの裏面の両端には、着脱手段が設けられていることを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【0012】
第4に、
前記第1または2に記載の災害時スリッパ兼用枕において、
前記上層クッションの両側面に、複数の着脱手段が設けられ、
前記下層クッションの両側面に、複数の着脱手段が設けられると共に、
第1伸縮ベルトと第2伸縮ベルトとを備え、
該第1伸縮ベルトの裏面の両端には、着脱手段が設けられ、
該第2伸縮ベルトの裏面の両端には、着脱手段が設けられ、
前記第1伸縮ベルトの着脱手段が、前記上層クッションの着脱手段に組み合わせられ、
前記第2伸縮ベルトの着脱手段が、前記下層クッションの着脱手段に組み合わせられていることを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【0013】
第5に、
前記第4に記載の災害時スリッパ兼用枕において、
前記第1伸縮ベルトおよび第2伸縮ベルトを、上層クッションおよび下層クッションの相対する両側面間に装着することで、足入部を形成可能とすることを特徴とする、災害時スリッパ兼用枕。
【0014】
着脱手段としては、手探り状態でも確実に操作できるので、スナップボタンが好ましく、上層クッション及び下層クッションの両側面には、凹側スナップボタンを設け、第1伸縮ベルト及び第2伸縮ベルトの裏面には、凸側スナップボタンを設けることができるが、凹側と凸側は逆の組み合わせであっても良い。
【0015】
着脱手段として、面ファスナーを採用することもできる。
【0016】
第1伸縮ベルトを第1のベルトとして、第2伸縮ベルトを第2のベルトとして用いることが、足にフィットするので好ましいが、足入機能を満足するだけなら伸縮性のないベルトを採用することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、通常時は枕として使用可能であり、地震等の災害時であっても、上下のクッションを分割して伸縮ベルトを所定のボタン位置へ装着するだけで簡易スリッパとして機能する。
【0018】
ここで、日頃から上下分割構造と側面のベルトが目視できるので、地震等の非常事態で気が動転していても、スリッパとして機能することを忘れることがない。
【0019】
さらに、仮に明かりが乏しい手探り状態であっても、枕の分割と、伸縮ベルトを所定の位置に装着するのは、各部材を手で確実に触ることができるので、容易に行うことができる。
【0020】
これにより、睡眠中に地震等の災害が発生した場合に、枕をスリッパとして使用しても、クッション層の厚みがあるので、細かいガラス片などで足を負傷するリスクを低減し、安全に避難できる。
【0021】
また、一体化状態では通常の枕として設置スペースを取らずに常備できるため、防災用品を別途保管する煩わしさを軽減する効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る災害時スリッパ兼用枕を示す斜視図である。
図2図1に示す災害時スリッパ兼用枕を反対側から見た斜視図である。
図3図1の状態から第1伸縮ベルト30及び第2伸縮ベルト40を外した状態の斜視図である。
図4図1の災害時スリッパ兼用枕の枕としての使用状態の斜視図である。
図5図3の状態からスリッパとしての使用状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しつつ具体的に説明する。
ここで、添付図面において同一の部材には同一符号を付しており、また重複した説明は省略されている。
なお、ここでの説明は本発明が実施される一形態であることから、本発明は当該形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1示すように、本実施例の災害時スリッパ兼用枕は、上層クッション10、下層クッション20の分割構造であり、枕使用時には上層クッション10と下層クッション20とを一体化したものである。
【0025】
上層クッション10と下層クッション20との一体化は、上層クッション10の底面側ほぼ全面と、下層クッション20の上面側ほぼ全面とに対向して設けた面ファスナー(図示は省略)により、着脱自在に結合されることで行われている。
【0026】
一体化状態では、図4に示すように、頭50を上層クッション10に接触させることで、枕として使用することができる。
【0027】
図1中、符号30は、上層クッション10の一側面に、スナップボタンで着脱自在に取り付けられた伸縮性を有する第1伸縮ベルトであり、符号40は、下層クッション20の一側面に、スナップボタンで着脱自在に取り付けられた伸縮性を有する第2伸縮ベルトである。
【0028】
図2に示すように、上層クッション10の側面には、6個の凹側スナップボタン11が取り付けられ、下層クッション20の側面には、6個の凹側スナップボタン21が取り付けられている。
【0029】
図1に示す側面にも、第1伸縮ベルト30、第2伸縮ベルト40に隠れた部分に、図2と同様に、上層クッション10の側面に6個の凹側スナップボタン11が取り付けられ、下層クッション20の側面に6個の凹側スナップボタン21が取り付けられている。
【0030】
図1に示す、第1伸縮ベルト30、第2伸縮ベルト40の裏面の両端には、図3に示すように、凸側スナップボタン31、凸側スナップボタン41が、各々、設けられている。
【0031】
ここで、第1伸縮ベルト30の長さ及び両端の凸側スナップボタン31の取り付け位置は、枕状態の際は、上層クッション10の一側面の6個の凹側スナップボタン11の両端のボタン位置に合致し、かつ、図5に示すスリッパ状態の際は、相対する両側面間のボタン位置に合致して、足入部12を形成可能に構成されている。
【0032】
同様に、第2伸縮ベルト40の長さ及び両端の凸側スナップボタン41の取り付け位置は、枕状態の際は、下層クッション20の一側面の6個の凹側スナップボタン21の両端のボタン位置に合致し、かつ、図5に示す分割後のスリッパ状態の際は、相対する両側面間のボタン位置に合致して、足入部22を形成可能に構成されている。
【0033】
次に、上記の災害時スリッパ兼用枕の使用例について説明する。
【0034】
枕として使用する際には、図1に示すように、上層クッション10と下層クッション20を互いの面ファスナーを組み合わせることで一体化すると共に、第1伸縮ベルト30を上層クッション10の一側面に取り付け、第2伸縮ベルト40を下層クッション20の一側面に取り付ける。
【0035】
そして、図4に示すように、頭50を上層クッション10に接触させることで、枕として使用する。
【0036】
地震発生時は、スリッパとして使用するために、第1伸縮ベルト30及び第2伸縮ベルト40を外し(図3参照)、図5に示すように、上層クッション10と下層クッション20を分割し、左右に並べる。
【0037】
加えて、第1伸縮ベルト30を、足60の大きさに合わせて、両側面の凹側スナップボタン11に取り付けることで、足入部12を形成する。
【0038】
図5では、足先61側から見て、2番目の凹側スナップボタン11に、第1伸縮ベルト30が取り付けられている。
【0039】
同様に、第2伸縮ベルト40を、足60の大きさに合わせて、両側面の凹側スナップボタン21に取り付けることで、足入部22を形成する。
【0040】
図5では、足先61側から見て、2番目の凹側スナップボタン21に、第2伸縮ベルト40が取り付けられている。
【0041】
足入部12、足入部22に足先61を入れることで、地震発生時にスリッパとしての使用が可能となる。
【0042】
なお、図示は省略するが、上層クッション10、下層クッション20内に、ガラス片でも切れ無い素材によるシート材を入れることもできるし、クッションの素材として、発泡材や繊維材、空気注入式の素材などを選択してもよい。
【0043】
本実施例の災害時スリッパ兼用枕を枕として使用する際には、日頃から上層クッション10及び下層クッション20による上下分割構造と側面の第1伸縮ベルト30及び第2伸縮ベルト40が目視できるので、地震等の非常事態で気が動転していても、スリッパとして機能することを忘れることがない。
【0044】
そして、地震発生時には、明かりが乏しい手探り状態であっても、枕の分割と、第1伸縮ベルト30及び第2伸縮ベルト40を所定の位置に装着するのは、各部材を手で確実に触ることができるので、容易に行うことができる。
【0045】
本実施例の災害時スリッパ兼用枕をスリッパとして利用する際には、上層クッション10及び下層クッション20に枕として機能する分の厚みがあるので、細かいガラス片等を踏んでも足裏がケガをすることがないので、安全に避難できる。
【符号の説明】
【0046】
10 上層クッション
11 凹側スナップボタン
12 足入部
20 下層クッション
21 凹側スナップボタン
22 足入部
30 第1伸縮ベルト
31 凸側スナップボタン
40 第2伸縮ベルト
41 凸側スナップボタン
50 頭
60 足
61 足先


【要約】
【課題】通常は枕として使用でき、就寝中に地震等が発生した場合であっても、確実にスリッパの存在に気づき、明かりが乏しい状態でもスリッパとしての準備が容易であり、屋内を避難移動する際に、食器等が割れることで床面に落ちているガラス片などから足を保護できる手段を提供する。
【解決手段】 上層クッション10、下層クッション20の分割構造で、第1伸縮ベルト30、第2伸縮ベルト40を、両側面の凹側スナップボタン11、21に取り付けることで、足入部12、足入部22を形成し、足60の足先61を入れて、スリッパとして使用する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5