(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2025-08-26
(45)【発行日】2025-09-03
(54)【発明の名称】表面処理の実施を報知及び確認するための可搬型ワンドシステム、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20250827BHJP
A61L 2/20 20060101ALI20250827BHJP
A61L 2/22 20060101ALI20250827BHJP
A61L 2/18 20060101ALI20250827BHJP
B64D 11/00 20060101ALI20250827BHJP
【FI】
A61L2/10
A61L2/20
A61L2/22
A61L2/18
B64D11/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021176232
(22)【出願日】2021-10-28
【審査請求日】2024-09-20
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(74)【代理人】
【識別番号】100217467
【氏名又は名称】鶴崎 一磨
(72)【発明者】
【氏名】ケビン エス.キャラハン
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ケー.クライン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー イー.プラス
【審査官】瀧本 絢奈
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0104471(US,A1)
【文献】国際公開第2019/164810(WO,A1)
【文献】特表2017-533810(JP,A)
【文献】特開2020-160815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00
A61L 12/00-12/14
B64D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面処理要素を含むワンドアプリケータと、
前記ワンドアプリケータに接続されたワンド制御サブシステムであって、
コンピュータプログラム、及び、
学習モードにおいて作業者が前記ワンドアプリケータを手動で移動させることによって学習及び記録される複数の経路であって、前記表面処理要素による表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面を有する複数の適用区画内の複数の所望経路、及び、前記表面処理の実施を避けるべき複数の回避区画内又は近傍における複数の回避区画経路を含む複数の経路を格納するメモリ部を含むワンド制御サブシステムと、
手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体と、
インジケータ要素と、
前記ワンドアプリケータに接続された電力体と、を備える可搬型ワンドシステムであって、
前記可搬型ワンドシステムは、前記学習モードの後に処理モードで使用されるものであり、前記表面処理要素を起動させた状態で、前記作業者が前記適用区画の1つ又は複数における前記所望経路の1つ又は複数に基づいた1つ又は複数の作業経路に沿って前記ワンドアプリケータを移動させる際に、その移動をリアルタイムで測定するものであり、
前記可搬型ワンドシステムは、さらに、選定適用区画について、前記作業経路を前記所望経路と比較して、前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記作業者に報知するとともに、所望の表面処理が実施されたことを確認するものである、可搬型ワンドシステム。
【請求項2】
前記セレクタ体は、前記ワンドアプリケータに接続されたバーコードカメラと、前記ワンドアプリケータ又は前記バーコードカメラに接続されたデコーダ電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数のバーコードと、を含むバーコード体を含み、前記バーコードカメラは、前記1つ又は複数のバーコードを読み取るよう設計されている、請求項1に記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項3】
前記バーコードカメラは、さらに、前記表面処理の実施に関する作業指示書の紙面と、前記表面処理を実施すべき前記1つ又は複数の表面に隣接する隣接表面と、のうちの1つに印刷された二次元バーコードを読み取るよう設計されている、請求項2に記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項4】
前記セレクタ体は、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)リーダと、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数の無線周波数識別(RFID)タグと、を含む無線周波数識別(RFID)体を含み、前記RFIDリーダは、前記1つ又は複数のRFIDタグを読み取るよう設計されている、請求項1~3のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項5】
前記セレクタ体は、前記ワンドアプリケータに接続された手動選択装置と、前記複数の適用区画及び前記複数の回避区画に対応する識別子が予めプログラムされたリストと、を含む手動セレクタ体であって、前記予めプログラムされたリストは、前記ワンドアプリケータに設けられた選択要素と、前記ワンドアプリケータに接続されたキーパッドと、前記可搬型ワンドシステムと通信するよう設計されたアプリケーションを有する別個のモバイル装置と、のうちの1つを含む前記手動選択装置によってアクセス可能である、請求項1~4のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項6】
前記手動選択ボタンは、前記作業者が複数のモード選択肢及び複数の区画選択肢から選択を行うことを可能にし、前記複数のモード選択肢は、学習モード選択肢及び処理モード選択肢を含み、前記複数の区画選択肢は、複数の適用区画選択肢及び複数の回避区画選択肢を含む、請求項1~5のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項7】
前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記コンピュータプログラムは、前記電力体にフィードバック信号を供給して、前記電力体に前記ワンドアプリケータの前記表面処理要素への電力を低減又は停止させる、請求項1~6のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項8】
前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記コンピュータプログラムは、前記インジケータ要素をトリガーして、前記ワンドアプリケータが不適切な位置にあることを前記作業者に報知する動作を行わせるものであり、前記インジケータ要素は、二値インジケータ要素であって、前記ワンドアプリケータに関連付けられた光信号、表面処理要素光点滅アラート、オーディオアラート、サウンドアラート、触覚アラート、振動アラート、パルスアラート、及び圧力変化アラートのうちの1つを含む、請求項1~7のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項9】
前記ワンド制御サブシステムは、さらに、
固定位置伸縮計、回転位置センサ、及び外部写真測量センサのうちの1つ又は複数、或いは、慣性測定部(IMU)と、
前記メモリ部に接続されており、前記学習モードにおいて学習された前記複数の経路を記録する中央処理装置(CPU)と、
前記CPUに対する表面処理要素電力フィードバック部と、を含む、請求項1~8のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項10】
前記表面処理要素は、紫外線(UV)ランプ要素、ガス分散要素、エアロゾル化要素、消毒液、消毒ガス、殺菌液、殺菌ガス、滅菌液、滅菌ガス、洗浄液、硬化要素、ショットピーニング要素、汚染物質検出要素、塗料、研磨ブラスト処理要素、サンドブラスト処理要素、表面予熱処理要素、及びトーチ溶接要素のうちの1つを含む、請求項1~9のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項11】
前記表面処理は、消毒処理、紫外線(UV)光消毒処理、除染処理、殺菌処理、滅菌処理、硬化処理、ショットピーニング処理、化学汚染物質検出処理、生物学的汚染物質検出処理、非破壊検査プロセス、渦流探傷試験、塗装処理、研磨ブラスト処理、サンドブラスト処理、表面予熱処理、及びトーチ溶接処理のうちの1つを含む、請求項1~10のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項12】
前記学習モード及び前記処理モードのうちの1つ又は複数において、前記可搬型ワンドシステムは、1つ又は複数の位置合わせフィーチャを特定して、前記複数の適用区画及び前記複数の回避区画の1つ又は複数における1つ又は複数の既知の位置に前記ワンドアプリケータを位置合わせする、請求項1~11のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項13】
表面処理を実施すべき前記1つ又は複数の表面は、航空機、宇宙船、自動車、船舶、列車、病院、工場建物、オフィスビル、映画館、及びレストランのうちの1つの内装における1つ又は複数の表面を含む、請求項1~12のいずれかに記載の可搬型ワンドシステム。
【請求項14】
航空機の内装における1つ又は複数の表面に対して所望の紫外線(UV)光消毒が実施されたことを報知及び確認する方法であって、
可搬型ワンドシステムであって、
紫外線(UV)ランプ要素を含むワンドアプリケータと、
前記ワンドアプリケータに接続されているとともに、コンピュータプログラム、メモリ部、及び、前記メモリ部に接続された中央処理装置(CPU)を含むワンド制御サブシステムと、
手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体と、
インジケータ要素と、
前記ワンドアプリケータに接続された電力体と、を備える可搬型ワンドシステムを用意することと、
前記手動選択ボタンで学習モード選択肢を選択して、前記可搬型ワンドシステムを学習モードで起動させることと、
前記学習モードの第1学習モードにおいて、作業者が前記ワンドアプリケータを、前記UVランプ要素で消毒すべき前記1つ又は複数の表面を有する複数の適用区画内の複数の所望経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練することと、
前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の適用区画に対応する前記複数の所望経路を記録及び格納することと、
前記学習モードの第2学習モードにおいて、前記作業者が前記ワンドアプリケータを、消毒すべきでない複数の回避区画内又は近傍における1つ又は複数の回避区画経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練することと、
前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の回避区画に対応する前記1つ又は複数の回避区画経路を記録及び格納することと、
前記手動選択ボタンで処理モード選択肢を選択して、前記可搬型ワンドシステムを処理モードで起動させることと、
前記手動選択ボタンで、前記消毒すべき1つ又は複数の表面を有する選定適用区画を選択するとともに、前記第1学習モードにおいて記録、格納された前記所望経路のうち前記選定適用区画に対応する経路を選択することと、
前記処理モードにおいて、前記UVランプ要素を起動させた状態で、前記作業者が前記ワンドアプリケータを前記選定適用区画内の前記所望経路に基づいた作業経路に沿って手動でリアルタイムに移動させて、前記可搬型ワンドシステムを動作させることと、
前記可搬型ワンドシステムによって前記作業経路を前記所望経路と比較することと、
前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記ワンドアプリケータの移動の調整、及び、前記UVランプ
要素への電力の調整を行えるように、前記可搬型ワンドシステムによって前記作業者に報知することと、
前記選定適用区画内の前記1つ又は複数の表面に対して前記所望のUV光消毒が実施されたことを、前記可搬型ワンドシステムによって確認することと、の各ステップを含む方法。
【請求項15】
さらに、前記処理モードにおいて前記可搬型ワンドシステムを動作させる前に、前記手動選択ボタンを押下して、前記選定適用区画内の前記消毒すべき1つ又は複数の表面の1つにおける開始位置を位置合わせフィーチャによって特定するステップを含み、この際に、前記位置合わせフィーチャは、前記ワンドアプリケータを前記選定適用区画内の既知の位置に位置合わせするためのものである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知することは、さらに、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知して、前記ワンドアプリケータへの電力を調整できるように、前記コンピュータプログラムが前記電力体にフィードバック信号を供給して、前記電力体に前記ワンドアプリケータの前記UVランプ要素への電力を低減又は停止させることを
含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知することは、さらに、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知して、前記ワンドアプリケータの移動を調整できるように、前記コンピュータプログラムが前記インジケータ要素をトリガーして、前記ワンドアプリケータが不適切な位置にあることを前記作業者に報知する動作を行わせることを含み、この際に、前記インジケータ要素は二値インジケータ要素であって、前記ワンドアプリケータに関連付けられた光信号、表面処理要素光点滅アラート、オーディオアラート、サウンドアラート、触覚アラート、振動アラート、パルスアラート、及び圧力変化アラートのうちの1つを含むものである、請求項14~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続されたバーコードカメラと、前記ワンドアプリケータ又は前記バーコードカメラに接続されたデコーダ電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数のバーコードと、を含むバーコード体を含むものであり、前記バーコードカメラが前記1つ又は複数のバーコードを読み取るよう設計されているものである可搬型ワンドシステムを用意することを含む、請求項14~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)リーダと、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数の無線周波数識別(RFID)タグと、を含む無線周波数識別(RFID)体を含むものであり、前記RFIDリーダが、前記1つ又は複数のRFIDタグを読み取るよう設計されているものである可搬型ワンドシステムを用意することを含む、請求項14~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続された手動選択装置と、前記複数の適用区画及び前記複数の回避区画に対応する識別子が予めプログラムされたリストと、含む手動セレクタ体であって、さらに、前記ワンドアプリケータに設けられた選択要素と、前記ワンドアプリケータに接続されたキーパッドと、前記可搬型ワンドシステムと通信するよう設計されたアプリケーションを有する別個のモバイル装置と、のうちの1つを含む前記手動選択装置によって、前記予めプログラムされたリストがアクセス可能とされている可搬型ワンドシステムを用意することを含む、請求項14~19のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、表面処理の実施を報知し(indicating)、また確認する(verifying)ためのシステム及び方法に関し、より具体的には、消毒、殺菌、及び他の表面処理プロセスが十分且つ完全に実施されたことを報知及び確認するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の消毒又は殺菌などの表面処理を手持ち式の装置を用いて手作業で実施する場合、処理の均一性にばらつきが生じたり、繰返し精度の確保が困難であったりする。そのようなプロセスを人間が手作業で行う場合、高い品質管理と効率を両立することは困難である。例えば、手持ち式の紫外線(UV)光装置を用いて手作業で表面を消毒又は殺菌するプロセスでは、作業者によるばらつきがあるので、表面処理を完全に実施しようとすると、作業時間が長くなる可能性がある。また、処理時間に余裕がある場合でも、網羅した処理範囲を手作業で完全且つ確実に記録することは困難である。
【0003】
加えて、手持ち式の紫外線(UV)光装置又はアプリケータを用いて手作業で行う表面の消毒又は殺菌プロセスや、他の手持ち式装置又はアプリケータを用いて手作業で行うUV硬化、塗装、ショットピーニング、研磨、溶接、及び他のプロセスでは、当該手持ち式装置又はアプリケータの処理が規定又は学習済みのモードや経路に従って実施されたことを証明することは困難である。既知の手作業のプロセス、並びに、そのような手作業のプロセスに用いられる手持ち式装置又はアプリケータでは、作業完了の判断は作業者の主観に委ねられている。したがって、作業がまんべんなく完全に実施されたことを厳密に証明することはできない。
【0004】
加えて、既知の手作業のプロセス、並びに、そのような手作業のプロセスに用いられる手持ち式装置又はアプリケータにおいては、例えば、UV光又は他の表面処理による悪影響の可能性がある表面など、表面処理作業の実施を避けるべき経路又は領域である「回避区画(stay-out zone)」についても、作業者の主観的な判断に委ねられている。例えば、表面処理を実施する際に、作業者が誤って既知のUV光装置又はアプリケータ、或いは、他の既知の手持ち式装置又はアプリケータを「回避区画」に向けた場合でも、これら既知のUV光装置又はアプリケータ、或いは、他の既知の手持ち式装置又はアプリケータは、作業者が「回避区画」に対して作業を行おうとしている旨を警告或いは報知する機能も、また、これら既知の手持ち式装置又はアプリケータの電力を自動的に低減又は停止させる機能も備えていない。
【0005】
また、消毒又は殺菌などの表面処理を自動で実行する方法は、非常に複雑な機器を必要とする場合があり、しかも、一般的に、これらの機器は、複雑な表面の処理に際しては、人間の作業者ほど巧みに処理を行うことができない。
【0006】
したがって、例えば、消毒、殺菌、及び他のプロセスなどの表面処理を実施するための可搬型又は手持ち式器のシステム及び方法であって、手作業の表面処理プロセスにおいて学習済み経路及びモードを利用して表面が十分に処理されたことをユーザに報知及び確認し、「回避区画」に進入したことを作業者に報知し、高度な品質制御と効率とを維持し、既知のシステム及び方法にはない利点を提供するシステム及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0007】
本開示の例示的な実施態様は、表面処理の実施を報知及び確認するための可搬型ワンドシステム、及びその使用方法を提供する。下記の詳細な説明に記載するように、これらシステム及び方法の様々な形態は、既知のシステム及び方法にはない顕著な効果を奏する。
【0008】
本開示の一形態において、可搬型ワンドシステムが提供される。前記可搬型ワンドシステムは、表面処理要素を含むワンドアプリケータを含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続されたワンド制御サブシステムを含む。
【0009】
前記ワンドアプリケータ制御サブシステムは、コンピュータプログラムを含む。前記ワンド制御サブシステムは、さらに、学習モードにおいて、作業者が前記ワンドアプリケータを手動で移動させることによって学習及び記録された経路を格納するメモリ部を含む。前記複数の経路は、前記表面処理要素による表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面を有する複数の適用区画内の複数の所望経路を含む。前記複数の経路は、さらに、前記表面処理の実施を避けるべき複数の回避区画内又は近傍における複数の回避区画経路を含む。
【0010】
前記可搬型ワンドシステムは、さらに、手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、インジケータ要素を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続された電力体を含む。
【0011】
前記可搬型ワンドシステムは、前記学習モードの後に処理モードで使用されるものであり、前記表面処理要素を起動させた状態で、前記作業者が前記複数の適用区画の1つ又は複数における前記所望経路のうちの1つ又は複数に基づいた1つ又は複数の作業経路に沿って前記ワンドアプリケータを移動させる際に、その移動をリアルタイムで測定する。前記可搬型ワンドシステムは、選定適用区画について、前記作業経路を前記所望経路と比較して、前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記回避区画に近接し及び配向されたときに、その旨を前記作業者に報知する。前記可搬型ワンドシステムは、所望の表面処理が実施されたことを確認する。
【0012】
本開示の他の形態において、1つ又は複数の表面に対して所望の表面処理が実施されたことを報知及び確認するための方法が提供される。前記方法は、可搬型ワンドシステムを用意するステップを含む。前記可搬型ワンドシステムは、表面処理要素を含むワンドアプリケータを含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続されたワンド制御サブシステムを含む。前記ワンド制御サブシステムは、コンピュータプログラムと、メモリ部と、前記メモリ部に接続された中央処理装置(CPU)と、を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、インジケータ要素を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続された電力体を含む。
【0013】
前記方法は、さらに、学習モードにおいて、作業者が前記ワンドアプリケータを、表面処理すべき複数の適用区画内の複数の所望経路に沿って手動で移動させること及び表面処理すべきでない複数の回避区画内又は近傍における複数の回避区画経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練するステップを含む。前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の適用区画に対応する前記複数の所望経路、及び前記複数の回避区画に対応する前記複数の回避区画経路を記録及び格納するステップを含む。
【0014】
前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、表面処理すべき1つ又は複数の表面を有する選定適用区画を選択するとともに、前記選定適用区画に対応する所望経路を選択するステップを含む。前記方法は、さらに、処理モードにおいて、前記表面処理要素を起動させた状態で、前記作業者が前記ワンドアプリケータを前記選定適用区画内の前記所望経路に基づいた作業経路に沿って手動で移動させて、前記可搬型ワンドシステムを動作させるステップを含む。
【0015】
前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、前記作業経路を前記所望経路と比較するステップを含む。前記方法は、さらに、前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記複数の回避区画のうちの1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記ワンドアプリケータの移動の調整、及び、前記ワンドアプリケータへの電力の調整を行えるように、前記可搬型ワンドシステムによって前記作業者に報知するステップを含む。前記方法は、さらに、前記選定適用区画内の前記1つ又は複数の表面に対して前記所望の表面処理が実施されたことを、前記可搬型ワンドシステムによって確認するステップを含む。
【0016】
本開示の他の形態において、航空機の内装における1つ又は複数の表面に対して所望の紫外線(UV)光消毒が実施されたことを報知及び確認する方法が提供される。前記方法は、可搬型ワンドシステムを用意するステップを含む。前記可搬型ワンドシステムは、紫外線(UV)ランプ要素を含むワンドアプリケータを含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続されたワンド制御サブシステムを含む。前記ワンド制御サブシステムは、コンピュータプログラムと、メモリ部と、前記メモリ部に接続された中央処理装置(CPU)と、を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、インジケータ要素を含む。前記可搬型ワンドシステムは、さらに、前記ワンドアプリケータに接続された電力体を含む。
【0017】
前記方法は、さらに、前記手動選択ボタンで学習モード選択肢を選択して、前記可搬型ワンドシステムを学習モードで起動させるステップを含む。前記方法は、さらに、前記学習モードの第1学習モードにおいて、作業者が前記ワンドアプリケータを、前記UVランプ要素で消毒すべき前記1つ又は複数の表面を有する複数の適用区画内の複数の所望経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練するステップを含む。前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の適用区画に対応する前記複数の所望経路を記録及び格納するステップを含む。
【0018】
前記方法は、さらに、前記学習モードの第2学習モードにおいて、前記作業者が前記ワンドアプリケータを、消毒すべきでない複数の回避区画内又は近傍における1つ又は複数の回避区画経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練するステップを含む。前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の回避区画に対応する前記複数の回避区画経路を記録及び格納するステップを含む。
【0019】
前記方法は、さらに、前記手動選択ボタンで学習モード選択肢を選択して、前記可搬型ワンドシステムを処理モードで起動させるステップを含む。前記方法は、さらに、前記手動選択ボタンで、前記消毒すべき1つ又は複数の表面を有する選定適用区画を選択するとともに、前記第1学習モードにおいて記録、格納された前記所望経路のうち前記選定適用区画に対応する経路を選択するステップを含む。前記方法は、さらに、前記処理モードにおいて、前記UVランプ要素を起動させた状態で、前記作業者が前記ワンドアプリケータをリアルタイムで前記選定適用区画内の前記所望経路に基づいた作業経路に沿って手動で移動させて、前記可搬型ワンドシステムを動作させるステップを含む。
【0020】
前記方法は、さらに、前記可搬型ワンドシステムによって、前記作業経路を前記所望経路と比較するステップを含む。前記方法は、さらに、前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記複数の回避区画のうちの1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記ワンドアプリケータの移動の調整、及び、前記UVランプ要素への電力の調整を行えるように、前記可搬型ワンドシステムによって前記作業者に報知するステップを含む。前記方法は、さらに、前記選定適用区画内の前記1つ又は複数の表面に対して前記所望のUV光消毒が実施されたことを、前記可搬型ワンドシステムによって確認するステップを含む。
【0021】
上述した特徴、機能、及び効果は、本開示の様々な形態において個別に達成することも可能であるし、さらに、他の形態と組み合わせることも可能である。そのような他の形態の詳細は、以下の説明及び図面を参照することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示は、以下の詳細な説明と添付図面を参照することによって、さらに理解できるであろう。なお、添付図面は、好適且つ例示的な形態を示しているが、必ずしも正確な縮尺に従ったものではない。添付図面は、あくまでも例示であって、記載の説明又は請求の範囲に限定を課すものではない。
【0023】
【
図1A】本開示の可搬型ワンドシステムの例示的な形態を示す機能ブロック図である。
【
図1B】本開示の可搬型ワンドシステムの例示的な形態とともに使用される表面、表面処理、及び表面処理要素の例示的な形態を示す機能ブロック図である。
【
図1C】本開示の可搬型ワンドシステムの例示的な形態で用いられる学習モード及び処理モードを示す機能ブロック図である。
【
図2A】本開示の可搬型ワンドシステムであって、二値インジケータ、RFIDリーダ、及びRFID電子機器を備える例示的な形態を示す斜視図である。
【
図2B】
図2Aの可搬型ワンドシステムであって、映像ディスプレイ、RFIDリーダ、及びRFID電子機器を備える形態を示す斜視図である。
【
図3A】本開示の可搬型ワンドシステムであって、表面処理要素及びコンピュータ記録システムを有する例示的な形態のシステムフロー図である。
【
図3B】本開示の可搬型ワンドシステムであって、紫外線(UV)ランプ要素及びコンピュータ記録システムを有する例示的な形態のシステムフロー図である。
【
図4A】航空機の客室の内装を前方から見た斜視図であって、位置合わせフィーチャを示す。
【
図4B】航空機の操縦室の内装を後方から見た斜視図であって、RFIDタグが配置された適用区画及び回避区画を示す。
【
図4C】航空機の客室の内装を後方から見た斜視図であって、適用区画及び回避区画を示す。
【
図5A】システム用キャスター付きバッグとともに使用されている本開示の可搬型ワンドシステムを前方から見た斜視図であって、当該キャスター付きバッグは閉状態である。
【
図5B】
図5Aの可搬型ワンドシステムを前面の側方から見た斜視図であって、手動選択装置を備えるワンドアプリケータ、及び、開状態のシステム用キャスター付きバッグを示す。
【
図5C】
図5Bの可搬型ワンドシステムを前面の側方から見た斜視図であって、手動選択装置を備えるワンドアプリケータ、及び、閉状態のシステム用キャスター付きバッグを示す。
【
図5D】
図5Aのシステム用キャスター付きバッグの上部拡大図であって、可搬型ワンドシステムのホース、及び、閉状態のシステム用キャスター付きバッグを示す。
【
図5E】
図5Bの可搬型ワンドシステムのファンを前方から見た拡大図であって、開状態にあるシステム用キャスター付きバッグを示す。
【
図6A】バーコードカメラ及びデコーダ電子機器を備えており、ユーザに把持されたワンドアプリケータを側方から見た斜視図である。
【
図6B】
図6Aのワンドアプリケータを底面側から見た斜視図である。
【
図7】本開示の方法の一形態を示すフロー図である。
【
図8】本開示の方法の他の形態を示すフロー図である。
【
図9】本開示のポータブルワンドシステムを使用可能な航空機の斜視図である。
【
図10】例示的な航空機の製造及び使用方法を示すフロー図である。
【0024】
本開示の図面は、提示した形態の様々な態様を示しており、以下では、異なる部分についてのみ詳細を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、開示の形態(version)又は実施形態について詳細に説明する。なお、添付図面は、開示された形態の一部を示すものであって、すべてを示しているわけではない。実際、いくつかの異なる形態を提供可能であって、記載された特定の形態に限定して解釈されるべきではない。これらの形態は、本開示を完全に示し、本開示の範囲を当業者に十分に伝えることを目的とするものである。
【0026】
本明細書は、「一形態」又は「所与の形態」への言及を含む。「一形態において」又は「所与の形態において」という文言が用いられている場合、これらは、必ずしも同一の形態に言及するものではない。特定の特徴、構造、又は特性は、本開示に即した任意の態様で組み合わせ可能である。
【0027】
本明細書において用いられる「含む/備える」は、開放型の用語であって、特許請求の範囲に用いられているように、この用語は、付加的な構造又はステップの存在を排除するものではない。
【0028】
本明細書において用いられている「よう設計されている」、又は、「よう構成されている」は、明細書又は請求の範囲に記載の様々な部品又はコンポーネントが、1つ又は複数のタスクを実行する「よう設計されている」或いは「よう構成されている」ことを意味する。この文脈で、「よう設計されている」或いは「よう構成されている」は、当該部品又はコンポーネントが、処理中にこれら1つ又は複数のタスクを実行する構造を含むことを意味する。よって、当該部品又はコンポーネントは、現在は動作中でない(例えば、オンになっていない)状態においても、所定のタスクを実行可能であるといえる。
【0029】
本明細書に用いられる「第1」、「第2」などの用語は、これらの用語に後続する名詞の標識として用いられており、種類や順序(例えば、空間的、時間的、論理的など)を示唆するものではない。
【0030】
本明細書において、単数形で記載されている要素又はステップは、複数の要素又はステップを必ずしも排除するものではない。
【0031】
以下に、図面を参照して説明する。
図1Aは、本開示の可搬型ワンドシステム10の例示的な形態を示す機能ブロック図である。
図1Bは、本開示の可搬型ワンドシステム10の例示的な形態とともに使用される表面12、表面処理(surface treatment application)14、及び表面処理要素(STAE:surface treatment application element)16の例示的な形態を示す機能ブロック図である。
図1Cは、本開示の可搬型ワンドシステム10の例示的な形態を示す機能ブロック図である。例示的な形態には、学習モード(learn mode)300において訓練及び使用される訓練可能な(trainable)可搬型ワンドシステム11があり、形態訓練な可搬型ワンドシステムは、学習モード300において訓練された後は、訓練済み(trained)可搬型ワンドシステム11aとして、処理モード302において使用される。
【0032】
図1A~
図1Cのブロックは、様々な要素を表しているが、これらブロックを繋ぐ線は、要素間の特定の従属関係を表すものではない。例えば、本明細書に含まれる様々な図面における接続線は、様々な要素間の機能的関係、及び/又は物理的な接続の例を示しているが、本開示の形態には、他にも代替的又は付加的な機能的関係又は物理的接続が含まれる可能性もある。
【0033】
可搬型ワンドシステム10は、モバイル型のアプリケータシステムであって、1つ又は複数の表面12に表面処理14を手作業で実施するために使用される。可搬型ワンドシステム10は、紫外線(UV)光消毒処理170(
図1Bを参照)などの表面処理14が、所与のエリア又は物体における1つ又は複数の表面12に対して正しく、完全に、隅々まで実施されたことを、報知し、確認し、証明する。可搬型ワンドシステム10は、さらに、表面処理14が十分に実施され、完了したことを、作業者54(
図1Aを参照)などのユーザ52(
図1Aを参照)が自身で確認することを可能にする。表面処理の対象として指定される1つ又は複数の表面12は、好ましくは、
図1Bに示す様に、航空機148、宇宙船150、自動車152、船舶154、列車156、病院158、工場建物160、オフィスビル162、映画館164、レストラン166、或いは、他の適当なビークルや構造体のうちの1つの内装146における表面である。
【0034】
本開示の一形態において提供される可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図1Cを参照)は、訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1Cを参照)及び訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)を含む。
図1Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ(wand applicator)18を含む。好ましくは、ワンドアプリケータ18は、手持ち式ワンドアプリケータ18a(
図1Aを参照)であって、ユーザ52(
図1Aを参照)、作業者54(
図1Aを参照)、又は検査官56(
図1Aを参照)による手作業に使用される。ワンドアプリケータ18は、ハンドル部20(
図1Aを参照)及びヘッド部22(
図1Aを参照)を含む。可搬型ワンドシステム10は、さらに、詳細を後述するセレクタ体24(
図1A、
図1Cを参照)、及び、手動選択ボタン25(
図1Aを参照)又はユーザ入力ボタンを含む。セレクタ体24は、手動選択ボタン25(
図1Aを参照)又はユーザ入力ボタンに機能的に接続されているか、これらボタンによって起動される。一形態において、手動選択ボタン25は、ワンドアプリケータ18に接続されている。例えば、手動選択ボタン25は、ワンドアプリケータ18のハンドル部20に接続又は一体化されている。他の形態において、手動選択ボタン25は、電力体(power assembly)108(
図1A、
図2Aを参照)のエネルギー蓄積装置110(
図1A、
図2Aを参照)に接続されているか、或いは、可搬型ワンドシステム10を収納又は保持するシステム用ケース122(
図1、
図5Aを参照)に接続されている。
【0035】
ワンドアプリケータ18は、表面処理要素(STAE)16(
図1Aを参照)を搭載しており、具体的にはワンドアプリケータ18のヘッド部22に搭載している。好ましい形態において、表面処理要素(STAE)16は、紫外線(UV)ランプ要素26(
図1Aを参照)を含む。UVランプ要素26は、200nm(ナノメートル)から280nm(ナノメートル)の範囲の波長を有する紫外線(UV)光28(
図1Aを参照)を出射するように動作可能であり、或いは、そのように構成されており、1つ又は複数の表面12を十分に消毒することができる。UVランプ要素26は、より好ましくは、222nm(ナノメートル)のUVランプ要素26a(
図1Aを参照)を含み、そのようなUVランプ要素26は、波長222ナノメートルのUV光28を出射するように動作可能であるか、或いは、そのように構成されている。他の形態の表面処理要素(STAE)16については、
図1Bを参照して後述する。
【0036】
UV光28としては、好ましくは、殺菌性の短波長紫外線C(UVC)光が使用され、殺菌効果のあるUV光28を出射することができる。波長222nm(ナノメートル)の殺菌性のUV光は、ウイルス及び細菌などの物病源体を死滅又は不活化させるが、人体に曝露しても安全であることが示されている。さらに、波長222nmの殺菌性のUV光28は、UVランプ要素26の起動後1ミリ秒以内にフル出力での出射が可能である。
【0037】
図1Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンドアプリケータ18に有線又は無線で接続されたワンド制御サブシステム(wand controller subsystem)30を含む。
図1Aに示す様に、ワンド制御サブシステム30は、アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32を含む。
【0038】
図1Aに示す様に、ワンド制御サブシステム30は、さらに、中央処理装置(CPU)60及びメモリ部66を含む。メモリ部66は、CPU60に接続されている。メモリ部66は、可搬型ワンドシステム10によって測定されたデータ68(
図1Aを参照)を格納しており、このデータには、慣性測定部(IMU)42(
図1Aを参照)によって測定された位置データ58も含まれる。
【0039】
図1Cに示す様に、メモリ部66は、学習モード300において学習及び記録された複数の経路304又はパターン306を含むデータ68を格納するよう設計されており、且つ、格納している。これらの経路又はパターンは、指定された訓練者(trainer)などのユーザ52又は作業者54が、例えば訓練可能な可搬型ワンドシステム11である可搬型ワンドシステム10を、表面処理の対象である区画又は対象でない区画の複数の区画308の内部、上方、又は近傍を手動で移動させることによって学習又は記録される。複数の経路304は、学習済み経路304a(
図1Cを参照)とも呼ばれ、或いは、予めプログラムされた経路又はツール経路とも呼ばれる。
図1Cに示す様に、複数の経路304には、第1学習済み経路310aなどの複数の所望経路(desired path)310が含まれる。
図1Cにさらに示す様に、学習済み経路304aなどの複数の経路304には、さらに、第2学習済み経路312aなどの複数の回避区画経路(stay-out zone path)312が含まれる。
【0040】
複数の区画308には、表面処理要素16(
図1Aを参照)による表面処理14(
図1Aを参照)を実施すべき1つ又は複数の表面12(
図1Aを参照)を有する複数の適用区画(stay-in zone)314(
図1Cを参照)が含まれる。航空機148(
図1Bを参照)又は航空機500a(
図9を参照)のうち、可搬型ワンドシステム10を用いたUV光消毒172(
図1Bを参照)などの表面処理14を実施すべき適用区画314には、操縦室315(
図4Bを参照)又は操縦室506(
図9を参照)における適用区画314があり、例としては、操縦室制御エリア316(
図4Bを参照)、操縦室シート318(
図4Bを参照)、操縦室パネルエリア320(
図4Bを参照)、操縦室フロア322(
図4Bを参照)、操縦室天井324(
図4Bを参照)、又は、他の適当な操縦室エリアなどが含まれる。航空機148(
図1Bを参照)又は航空機500a(
図9を参照)のうち、可搬型ワンドシステム10を用いたUV光消毒172(
図1Bを参照)などの表面処理14を実施すべき適用区画314には、さらに、客室246(
図4A、
図4Cを参照)における適用区画314があり、例としては、客室シート248(
図4A、
図4Cを参照)、客室フロア326(
図4Cを参照)、客室天井327(
図4Cを参照)、乗客サービスユニット328(
図4Cを参照)、モニタ329(
図4Cを参照)、頭上収納棚330(
図4Cを参照)、客室パネルエリア331(
図4Cを参照)、又は、他の適当なキャビンエリアが含まれる。可搬型ワンドシステム10を用いた表面処理を実施すべき航空機148における他のエリア又は領域も、適用区画314として指定されうる。本明細書において用いられる「適用区画」は、航空機や他の飛行体などの所与のビークル又は構造体における区画、エリア、又は領域であって、本開示の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図1Cを参照)を用いた表面処理14(
図1Bを参照)を実施する対象として設計されており、また表面処理を実施される1つ又は複数の表面を有する区画、エリア、又は領域を意味する。
【0041】
複数の区画308には、さらに、表面処理14の実施を避けるべきであって、表面処理14が実施されない複数の回避区画332(
図1Cを参照)が含まれ、例えば、UV光28或いは他の表面処理によって悪影響を受ける表面が含まれる。航空機148(
図1Bを参照)又は航空機500a(
図9を参照)のうち、可搬型ワンドシステム10による表面処理14を実施しない、つまり実施を避けるべき回避区画332の例には、操縦室315又は操縦室506(
図9を参照)の操縦室窓334(
図4Bを参照)、客室246(
図4A、
図4Cを参照)の客室窓335(
図4A、
図4Cを参照)が含まれ、或いは、可搬型ワンドシステム10による表面処理を実施すべきでない回避区画332として指定された、航空機148(
図1Bを参照)又は航空機500a(
図9を参照)における他のエリア又は領域が含まれる。本明細書において、「回避区画」は、航空機や他の飛行体などの所与のビークル又は構造体における区画、エリア、又は領域であって、本開示の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図1Cを参照)を用いた表面処理14(
図1Bを参照)を実施しないことを想定して設計されており、表面処理が実施されず、表面処理の実施を回避すべき1つ又は複数の表面を有する区画、エリア、又は領域を意味する。これにより、そのような区画、エリア、又は領域における表面に悪影響を及ぼすことを回避できる。
【0042】
図1Cに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、学習モード300において、指定された訓練者などのユーザ52或いは作業者54により訓練され、学習を施され、或いは、予めプログラムされるよう設計されている。
図1Cに示す学習モード300又は事前プログラミングモードは、第1事前プログラミングモードである第1学習モード300aと、第2事前プログラミングモードである第2学習モード300bと、を含む。学習モード300における訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10の訓練の前に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、学習モード300に移行するよう操作される。
【0043】
手動選択ボタン25は、ユーザ52又は作業者54が所望の機能に従って、一度押し又は所定の順序又はパターンの連続押しで押下することによって機能する。例えば、手動選択ボタン25を一度押しすると、ワンドアプリケータ18の位置がホーム位置336(
図1Cを参照)に「ゼロアウト」される。さらに、手動選択ボタン25を二度押し、又は、他の適当なパターンや順序で押下すると、選択モード338(
図1Cを参照)に移行する。
【0044】
選択モード338では、可搬型ワンドシステム10が実行する機能に対応して、複数のモード選択肢(mode selection)340(
図1Cを参照)を手動選択ボタン25で選択することができる。
図1Cに示す様に、複数のモード選択肢340は、学習モード選択肢342及び処理モード選択肢344を含む。複数のモード選択肢340は、さらに、他の適当なモード選択肢も含みうる。学習モード選択肢342は、さらに、可搬型ワンドシステム10を適用区画314において第1学習モード300aの訓練に移行させる適用区画学習モード選択肢342a(
図1Cを参照)を含む。学習モード選択肢342は、さらに、可搬型ワンドシステム10を回避区画332において第2学習モード300bの訓練に移行させる回避区画学習モード選択肢342b(
図1Cを参照)を含む。モード選択肢340は、選択されているモードをユーザ52が容易に確認できるように、LED(発光ダイオード)による色表示器を備える構成でもよい。
【0045】
よって、指定された訓練者などのユーザ52又は作業者54は、二度押しなどの適当な順序又はパターンの連続押しで手動選択ボタン25を選択又は押下することによって、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を選択モード338に移行させることができ、次いで、手動選択ボタン25によって学習モード選択肢342を選択して、学習モード300に移行させることができる。次に、指定された訓練者などのユーザ52又は作業者54は、手動選択ボタン25によって、適用区画学習モード選択肢342a又は回避区画学習モード選択肢342bを選択することができる。
【0046】
学習モード300が完了したら、ユーザ52又は作業者54は、手動選択ボタン25を一度押しして、ワンドアプリケータ18の位置を、ホーム位置336(
図1Cを参照)に「ゼロアウト」させる。次に、ユーザ52又は作業者54は、二度押しなどの適当な順序又はパターンの連続押しで手動選択ボタン25を選択又は押下することによって、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を選択モード338に移行させ、次いで、手動選択ボタン25によって処理モード選択肢344を選択して、処理モード302に移行させることができる。
【0047】
手動選択ボタン25を使用することにより、複数の区画選択肢346(
図1Cを参照)も選択することができ、例えば、1つ又は複数の適用区画選択肢346a(
図1Cを参照)及び回避区画選択肢346b(
図1Cを参照)を選択することができる。訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10が学習モード300で起動されると、手動選択ボタン25を使用するか、或いは、後述する形態のうちの1つのセレクタ体24を使用して、所望の区画308a(
図1Cを参照)を選択することができる。手動選択ボタン25で適用区画選択肢346aを選択又は押下すれば、選定適用区画(selected stay-in zone)314aを選択又は設定することができる。この代わりに、選定適用区画314aは、学習モード選択肢342の選択又は設定の前の初期状態で選択又は設定されてもよい。また、手動選択ボタン25で回避区画選択肢346bを選択又は押下すると、選定回避区画(selected stay-out zone)332aを選択又は設定することができる。この代わりに、選定回避区画332aは、学習モード選択肢342の選択又は設定の前の初期状態で選択又は設定されてもよい。
【0048】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、第1学習モード300aなどの学習モード300において訓練される。この訓練は、指定された訓練者などの作業者54又はユーザ52が、表面処理要素16による表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12を有する複数の適用区画314内の複数の所望経路310に沿って、ワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実行される。例えば、学習モード300において選定適用区画314aが選択され、指定された訓練者などの作業者54又はユーザ52は、当該選定適用区画314a内の所望経路310に沿って訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10のワンドアプリケータ18を手動で移動又は操作する。所望経路310は、選定適用区画314aに対応する。複数の所望経路310のうちの各所望経路310は、複数の適用区画314のうちの選定適用区画314aに対応するものであって、可搬型ワンドシステム10に含まれるワンド制御サブシステム30のCPU60によってリアルタイムで記録され、また、可搬型ワンドシステム10に含まれるワンド制御サブシステム30のメモリ部66によってリアルタイムで格納される。第1学習モード300aにおいてワンドアプリケータ18を複数の適用区画314内の複数の所望経路310に沿って手動で移動させる前には、手動選択ボタン25で適用区画学習モード選択肢342aが選択される。可搬型ワンドシステム10の訓練は、好ましくは、紫外線(UV)ランプ要素26などの表面処理要素16をオフにした状態で、複数の適用区画314内の複数の所望経路310に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行される。ただし、可搬型ワンドシステム10の訓練は、紫外線(UV)ランプ要素26などの表面処理要素16をオンにした状態でも実行可能である。
【0049】
1つの所望経路310又は複数の所望経路310の学習又は訓練は、第1学習モード300aなどの学習モード300においてワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行され、例えば、ワンドアプリケータ18を、選定適用区画314aなどの適用区画314の内装の中や上方に位置させたり、所与の向きに配置したり、操作したりする他、ワンドアプリケータ18を適用区画314に対して適切な態様で移動させることで実行される。
【0050】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、第2学習モード300bなどの学習モード300において訓練される。この訓練は、指定された訓練者などの作業者54又はユーザ52が、表面処理を回避すべき複数の回避区画332の中、上方、或いは、近傍における1つ又は複数の回避区画経路312に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実行される。例えば、第2学習モード300bなどの学習モード300において選定回避区画332aが選択され、指定された訓練者などの作業者54又はユーザ52は、回避区画332の中、上方、或いは、近傍における回避区画経路312に沿って、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10のワンドアプリケータ18を手動で移動又は操作する。回避区画経路312は、1つ又は複数の選定回避区画332aに対応する。複数の回避区画経路312のうちの各回避区画経路312は、複数の回避区画332のうちの1つ又は複数の選定回避区画332aに対応するものであって、可搬型ワンドシステム10に含まれるワンド制御サブシステム30のCPU60によってリアルタイムで記録され、また、可搬型ワンドシステム10に含まれるワンド制御サブシステム30のメモリ部66によってリアルタイムで格納される。第2学習モード300bにおいてワンドアプリケータ18を複数の回避区画332の中、上方、或いは、近傍における複数の回避区画経路312に沿って手動で移動させる前には、回避区画学習モード選択肢342bが手動選択ボタン25で選択される。
【0051】
回避区画経路312の学習又は訓練は、第2学習モード300bなどの学習モード300において、ワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行され、例えば、ワンドアプリケータ18を、回避区画332の内装の中や上方、回避区画332の外装又は内装の近傍、或いは、互いに隣接する回避区画332などの回避区画332の外周沿いに位置させたり、所与の向きに配置したり、操作したりすることで、或いは、回避区画332の角部をワンドアプリケータ18で軽くたたいたりする他、回避区画332に対して適当な態様で移動させることで実行される。さらに、回避区画332は、例えば、メニューにおいて回避区画を生成する選択肢を選択することによって直接生成することも可能であり、或いは、適用区画314として設定済みの区画308をワンドアプリケータ18に読み込ませる選択肢を選択することによって間接的に生成することも可能である。可搬型ワンドシステム10の訓練は、好ましくは、紫外線(UV)ランプ要素26などの表面処理要素16をオフにした状態で、複数の回避区画332内の複数の回避区画経路312に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実行される。
【0052】
複数の所望経路310は、CPU60に記録され、メモリ部66に格納された複数の適用区画314にそれぞれ対応するものであり、また、複数の回避区画経路312は、CPU60に記録され、メモリ部66に格納された複数の回避区画332にそれぞれ対応するものであり、これらの経路を発展させることで、例えば幾何学モデル36(
図1Aを参照)などの描写データ(depiction)34(
図1Aを参照)を生成することができる。幾何学モデル36は、CAD(コンピュータ支援設計)モデル、又は他の種類のコンピュータモデルやマップを含み、これらのモデルやマップは、複数の適用区画314に対応して記録及び格納された所望経路310についてのもの、及び、複数の回避区画332に対応して記録及び格納された回避区画経路312についてのものである。幾何学モデル36によって、適用区画314とその所望経路310、及び、回避区画332とその回避区画経路312を含む複数の区画308を特定することができる。
【0053】
他の形態において、描写データ34は、複数の適用区画314に対応する複数の所望経路310、及び、複数の回避区画332に対応する複数の回避区画経路312を記録及び格納する写真測量プロセス40(
図1Aを参照)によって取得される写真画像38(
図1Aを参照)を含む。
【0054】
図1Aに示す様に、ワンド制御サブシステム30は、さらに慣性測定部(IMU)42を含む。IMU42は、好ましくは6自由度慣性測定部(IMU)42a(
図1Aを参照)を含む。本明細書において用いられる「6自由度」とは、三次元空間における移動の自由度において、互いに直交する3つの軸に沿って物体が前後、上下、左右に自由に並進移動可能であるとともに、これら3つの直交軸に回りの回転運動であるヨー(垂直軸)、ピッチ(横軸)ロール(縦軸)によって、自由に向きを変更可能であることを意味する。
【0055】
IMU42は、回路基板44(
図2A~
図2Bを参照)に搭載された集積回路(IC)42b(
図1A、
図2A~
図2Bを参照)又はチップを含み、また、ワンドアプリケータ18の加速度48(
図1Aを参照)を測定する加速度計46(
図1Aを参照)を含む。IMU42は、さらに、例えば、指定された訓練者などのユーザ52(
図1Aを参照)又は作業者54(
図1Aを参照)或いは検査官56(
図1Aを参照)が、表面処理を実行すべき1つ又は複数の表面12の上方でワンドアプリケータ18を手動で移動させるのにともなって、当該ワンドアプリケータの1つ又は複数の位置50(
図1Aを参照)を測定する。IMU42は、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)についての位置データ58を、当該IMU42に接続されたCPU60に送る。
【0056】
ワンド制御サブシステム30は、さらに、CPU60に対する表面処理要素(STAE)電力フィードバック部(surface treatment application element (STAE) power feedback)62(
図1Aを参照)を含む。好ましい一形態において、可搬型ワンドシステム10は、UVランプ要素26を含み、ワンド制御サブシステム30は、さらに、CPU60に対する紫外線(UV)ランプ要素電力フィードバック部(ultraviolet (UV) lamp element power feedback)64(
図1Aを参照)を含む。
図1Aに示す様に、ワンド制御サブシステム30は、任意の要素として、さらにCPU60に接続された無線ネットワークインターフェース70を含むことができる。
【0057】
ワンド制御サブシステム30においてIMU42を用いる代わりに、ワンド制御サブシステム30は、固定位置伸縮計72(
図1Aを参照)、回転位置センサ74(
図1Aを参照)、及び/又は、外部写真測量センサ76(
図1Aを参照)のうちの1つ又は複数を個別に、或いは、組み合わせて含むことができる。固定位置伸縮計72は、応力下における材料の伸びを測定するものであり、降伏強さ、引張り強さ、降伏点伸び、ひずみ硬化指数、及びひずみ速度を特定するためにも用いることができる。回転位置センサ74は、出力電圧から回転角度を測定し、物理的な角度位置を電気信号に変換する。外部写真測量センサ76は、写真画像と電磁放射撮像のパターンを記録、測定、及び解析するとともに、最終成果物として、表面、エリア、又は物体の二次元及び三次元のデジタルモデルを生成する。
【0058】
図1Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、さらに、インジケータ要素(indicator element)78を含む。一形態において、インジケータ要素78は、二値インジケータ80(
図1Aを参照)或いはオン/オフを示すインジケータを含む。
図1Aに示す様に、二値インジケータ80は、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、紫外線(UV)光点滅(flashing light)アラート84aなどの表面処理要素(STAE)光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、又は、他の適当な二値インジケータのいずれかを含み、1つ又は複数の表面12の表面処理14の完了を示し、また、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあるとき、及び/又は、1つ又は複数の回避区画332に近接しているとき、当該区画の方向に向いているとき、当該区画に近づいているときに、その旨を示す。オーディオアラート86又はサウンドアラート88は、ベル、チャイム、ブザー、声、或いは、他の音や雑音など可聴のアラートである。二値インジケータ80は、小領域や1つ又は複数の表面12に対する所定の表面処理14aなどの表面処理14が完了したこと、また、次の小領域又は表面12の処理に進んでもよいことを示すとともに、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあるとき、及び/又は、1つ又は複数の回避区画332に近接しているとき、当該区画の方向に向いているとき、当該区画に近づいているときに、その旨を示す。
【0059】
二値インジケータ80の代わりに、或いは、二値インジケータ80に加えて、可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18に接続された映像ディスプレイ98を含んでもよく、例えば進捗表示映像(video progress display)98aを含んでもよい。一形態において、映像ディスプレイ98は、例えば、相互接続ケーブルなどの接続要素100(
図1Aを参照)を介した有線接続又は無線接続によってワンドアプリケータ18に接続されている。他の形態において、映像ディスプレイ98は、ワンドアプリケータ18に搭載されている。映像ディスプレイ98は、例えば、接続要素100を介してワンドアプリケータ18に接続された手持ち式のタブレットコンピュータ、ワンドアプリケータ18に搭載された画面ディスプレイ、或いは、他の適当な映像表示装置を含む。映像ディスプレイ98は、ユーザ52又は作業者54から視認可能であって、表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12の部分102(
図1Aを参照)と、点灯表示進捗状況バー106(
図1Aを参照)又はマップを構成する色コード信号(color coded signal)104(
図1Aを参照)と、のうちの1つ又は複数を表示して、部分102のうち全面に処理が実施済みである網羅部分(complete coverage portion)102a(
図1Aを参照)を示す。
【0060】
図1Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンド制御サブシステム30に接続された電力体108を含む。
図1Aに示す様に、電力体108は、電源コネクタ112に接続されたエネルギー蓄積装置110を含む。
図1Aに示す様に、エネルギー蓄積装置110は、1つ又は複数のバッテリ110a又は他の適当なエネルギー蓄積装置を含む。電源コネクタ112は、例えば、相互接続電源ケーブル114a(
図1Aを参照)、電源コード114b(
図1Aを参照)、高圧ケーブル114c(
図1Aを参照)、LED(発光ダイオード)配線114d(
図1Aを参照)、又は他の適当な有線コネクタなどの有線コネクタ114(
図1Aを参照)を含む。電源コネクタ112は、さらに、無線コネクタ116(
図1Aを参照)を含む。
【0061】
図1Aに示す様に、電力体108は、さらに、表面処理要素(STAE)電源118などの電源117を含み、例えば、UVランプ要素電源120、又は他の適当な表面処理要素16用の電源を含む。電源117は、ワンドアプリケータ18又は可搬型ワンドシステム10におけるUVランプ要素26などの表面処理要素16に電力121(
図1Aを参照)を供給する。
【0062】
図1Cに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11及び訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10におけるセレクタ体24は、様々ある形態のうちの一形態である。様々な形態のセレクタ体24は、好ましくは、手動選択ボタン25に機能的に接続されており、当該ボタンによって起動される。上述したように、手動選択ボタン25は、ユーザ52又は作業者54が所望の機能に従って一度押し、或いは、複数回連続押しすることで、セレクタ体24を起動させる。手動選択ボタン25は、ホーム位置336を選択するよう設計されており、また、選択モード338を選択するよう設計されている。選択モード338では、可搬型ワンドシステム10が実行する機能に対応して、学習モード選択肢342又は処理モード選択肢344などの複数のモード選択肢340(
図1Cを参照)を選択することができる。ユーザ52又は作業者54は、手動選択ボタン25によって、適用区画選択肢346a及び回避区画選択肢346bを含む複数の区画選択肢346から任意の選択肢を選択することができる。
【0063】
一形態において、
図1Cに示す様に、セレクタ体24は、バーコード体(barcode assembly)348を含み、当該バーコードリーダは、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択ボタン25に接続されており、当該ボタンによって起動される。
図1Cに示す様に、バーコード体348は、例えば、ワンドアプリケータ18のヘッド部22においてワンドアプリケータ18に接続されたバーコードカメラ350又はバーコードリーダを含む。手動選択ボタン25は、二度押しなどの適当な順序又はパターンで押下することによってバーコードカメラ350を起動させるものであり、例えば、ユーザ52又は作業者54が手動選択ボタン25を二度押し、或いは、トリガーハンドル284(
図6Aを参照)の形態の手動選択ボタン25を二度押しする。
【0064】
図1Cに示す様に、バーコード体348は、さらに、デコーダ電子機器(decoder electronics)352を含む。デコーダ電子機器352は、例えば、ワンドアプリケータ18のハンドル部20において、或いは、バーコードカメラ350自体において、ワンドアプリケータ18に接続されている。バーコードカメラ350は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置された1つ又は複数のバーコード354(
図1Cを参照)を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。バーコード体348は、学習モード300において、1つ又は複数の選定適用区画314aと1つ又は複数の選定回避区画332aを選択し、処理モード302において、選定適用区画314aと、選定適用区画314aに対応する選定所望経路310b(
図1Cを参照)を選択する。
【0065】
バーコードカメラ350或いはバーコードリーダは、一形態において、カメラ・デコーダ電子機器352を用いてバーコード354をデコードする二次元画像読み取りスキャナ350a(
図1Cを参照)を含む。バーコードカメラ350は、例えばQR(クイックレスポンス)コード354b(
図1Cを参照)などの二次元バーコード354a(
図1Cを参照)や他の適当なバーコードなどのバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。QRコード354bは、白地の背景の四角い枠に黒い四角形を配置して成るコードであり、バーコードカメラ350などの撮像装置によって読み取って、画像処理によって解読及び解析することができる。必要なデータは、画像の縦方向と横方向の両方の成分のパターンから抽出される。
【0066】
一形態において、バーコードカメラ350は、例えば、各区画308において実施すべき表面処理14についての作業指示書358(
図1Cを参照)の紙面356(
図1cを参照)に印刷された二次元バーコード354aなどのバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。他の形態において、バーコードカメラ350は、例えば、表面処理14を実施すべき1つ又は複数の表面12に隣接する隣接表面360(
図1Cを参照)に印刷された二次元バーコード354aなどのバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。二次元バーコード354aは、隣接表面360に直接印刷又は貼り付けられ、或いは、例えば、隣接表面360に付されたラベル、デカール、シールに間接的に印刷又は貼り付けられる。バーコード354は、機械読み取り可能な光学的イメージ又はラベルであり、例えば選定適用区画314a及びこれに対応する所望経路310、選定回避区画332a及びこれに対応する回避区画経路312など、当該バーコードが付されたアイテムについての情報を含む。
【0067】
バーコードカメラ350は、バーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。デコーダ電子機器352は、バーコード354に含まれる情報を復号し、そのデータをCPU60などのコンピュータ装置に送るよう構成されている。デコーダ電子機器352は、バーコードカメラ350又はバーコードリーダ又はセンサによって取得されたバーコードの画像データを解析するデコーダ回路を含み、当該バーコードの内容をCPU60などのコンピュータ装置に送る。ワンド制御サブシステム30のCPU60に接続されたメモリ部66には、複数の所望経路310及び回避区画経路312を格納することができ、またこれらの経路を当該メモリ部から選択することができる。例えば、適用区画314及び回避区画332に配置され、或いは、作業指示書358に印刷されたQRコード354bなどのバーコード354は、ワンドアプリケータ18に設けられたバーコードカメラ350又はバーコードリーダを用いて作業者54又はユーザ52が読み取ることができ、或いは、可搬型ワンドシステム10と通信する独立したモバイル装置362(
図1Cを参照)を用いてスキャンすることができる。これにより、作業者54又はユーザ52は、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの区画308に対応する所望経路310又は好適な経路を呼び出すことができる。バーコード体348は、バーコードカメラ350と、CPU60に機能的に接続されたデコーダ電子機器352と、を含んでおり、消毒などの表面処理を実施すべき適用区画314などの区画308を選択し、また、表面処理を実施すべきでない回避区画332などの区画308を選択することができる。
【0068】
他の形態において、バーコードカメラ350又はバーコードリーダは、光学スキャナ364(
図1Cを参照)を含み、この光学スキャナは、光源、レンズ、及び、光パルスを電気信号に変換する光センサを含む。光学スキャナ364は、複数の適用区画314のうちの1つ又は複数に配置されたバーコード、複数の回避区画332のうちの1つ又は複数に配置されたバーコード、作業指示書358の紙面356に印刷されたバーコード、或いは、表面処理14を実施すべき1つ又は複数の表面12に隣接する隣接表面360に印刷されたバーコードなどのバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。光学スキャナ364は、バーコード354に含まれるデータをデコーダ電子機器352によって復号し、当該データをCPU60などのコンピュータ装置に送る。
【0069】
他の形態において、
図1Cに示す様に、セレクタ体24は、無線周波数識別(RFID)体366を含み、これは、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択ボタン25に接続されており、当該ボタンによって起動される。
図1Cに示す様に、RFID体366は、例えばワンドアプリケータ18のヘッド部22においてワンドアプリケータ18に接続された無線周波数識別(RFID)リーダ368を含む。手動選択ボタン25は、二度押しなどの適当な順序又はパターンで押下することによってRFIDリーダ368を起動させるものであり、例えば、ユーザ52又は作業者54が手動選択ボタン25を二度押しし、或いは、トリガーハンドル284(
図6Aを参照)の形態の手動選択ボタン25を二度押しする。
【0070】
図1Cに示す様に、RFID体366は、さらに無線周波数識別(RFID)電子機器370及び無線周波数識別(RFID)タグ372を含む。RFID電子機器370は、例えば、ワンドアプリケータ18のハンドル部20においてワンドアプリケータ18に接続されている。RFIDリーダ368は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置されたRFIDタグ372のうちの1つ又は複数を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。RFIDリーダ368及びRFID電子機器370は、ワンド制御サブシステム30のCPU60に機能的に接続されており、RFIDタグ372と合わせて使用することで、消毒などの表面処理を実施すべき1つ又は複数の適用区画314などの区画308を特定することができ、また、表面処理を実施すべきでない1つ又は複数の回避区画332などの区画308を特定することができる。
【0071】
学習モード300において、RFIDリーダ368は、適用区画314及び回避区画332などの様々な区画308に配置されたRFIDタグ372を読み取る。また、RFIDリーダ368は、各区画308に配置されたRFIDタグ372によって、当該区画308を検出する。RFIDタグ372は、慣性測定部(IMU)42(
図1Aを参照)がワンドアプリケータ18の位置50(
図1Aを参照)を把握し、またワンドアプリケータ18の位置50の逸脱を防止するために有用である。処理モード302では、RFIDリーダ368によって既にメモリ部66に回避区画332がマッピング、記録、及び格納されている場合がある。この場合、回避区画332をスキャンしなくても、ワンドアプリケータ18が誤って回避区画332に進入又は接近したときに、或いは、回避区画332の方向に向けられたときに、ワンドアプリケータ18の電力121(
図1Aを参照)、具体的には表面処理要素16又はUVランプ要素26の電力121を停止又は低減するようにワンドアプリケータ18を動作させることができる。
【0072】
RFIDリーダ368及びRFID電子機器370は、適用区画314及び回避区画332などの区画308において、例えば、区画308内の物体や表面に取り付け或いは埋設されたRFIDタグ372を、電磁場及び微弱電波を使って特定及び追跡することができる。RFIDタグ372は、RFIDリーダ368からの電磁パルス又は電波によってトリガーされると、RFIDリーダ368に識別番号などの識別子373(
図1Cを参照)を例とするデジタルデータを送信する。識別番号などの識別子373は、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aを識別及び選択するために使用される。RFIDタグ372は、RFIDリーダ368に電波によってデータを送信する電子タグ、ラベル、シールなどである。RFIDタグ372は、アンテナを内包しており、送信器としてのRFIDリーダ368から無線周波数要求を受信し、応答する。RFIDタグ372は、ワイ・ファイを用いた無線インフラによって一意に識別される。RFIDタグ372としては、小型のバッテリなどの電力源を内蔵する必要があるアクティブ型のRFIDタグではなく、RFIDリーダ368からの応答指令電波のエネルギーから電力を得て、近傍に位置するRFIDリーダ368によって起動されるパッシブRFIDタグ372a(
図1Cを参照)が好ましい。
【0073】
他の形態において、
図1Cに示す様に、セレクタ体24は、手動セレクタ体374を含み、当該手動セレクタ体は、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択装置376と、複数の適用区画314及び回避区画332に対応する識別番号などの識別子373が予めプログラムされたリスト378である参照リストと、を含む。手動選択装置376は、手動選択ボタン25によって起動し、或いは、起動又は使用可能な状態にすることができる。
【0074】
一形態において、手動選択装置376は、選択要素380(
図1Cを参照)を含む。選択要素の例としては、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52によって手動で押下されるボタン群380a(
図1Cを参照)、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52のタッチ操作によって識別子373(
図1Cを参照)を入力するために使用されるタッチスクリーン380b、或いは、ワンドアプリケータ18に、具体的にはワンドアプリケータ18のハンドル部20に設けられた他の適当な選択要素380が含まれる。ボタン群380a又はタッチスクリーン380bは、例えば上/下の矢印ボタン又はスクロールバーの他、予め設定されたリスト378から識別子373を選択するための適当な選択機構を含む。識別子373は、識別番号又はシリアル番号などの数値入力、英数字入力、名称、コード名、或いは記述子などの文字入力の他、複数の適用区画314及び回避区画332などの区画308、及び/又は、所望経路310及び回避区画経路312を識別するための適当な識別子を含む。選択要素380は、好ましくは、ユーザ52又は作業者54によって使用され、例えば、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに対応する識別子373を予めプログラムされたリスト378から特定及び選択するために使用され、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すために使用される。
【0075】
他の形態において、手動選択装置376は、キーパッド382(
図1Cを参照)を含む。キーパッド382は、ワンドアプリケータ18に有線又は無線で接続されている。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報をキーパッド382にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができる。また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、1つ又は複数の選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0076】
さらに他の形態において、手動選択装置376は、例えばワイ・ファイ、ブルートゥースなどの適当な無線接続又は有線接続によって可搬型ワンドシステム10と通信するアプリケーション384(
図1Cを参照)を有するスマートフォン、タブレットコンピュータなどの適当な独立したモバイル装置362である。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報を、独立したモバイル装置362にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができる。また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0077】
図1Cに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、訓練可能な可搬型ワンドシステム11として学習モード300において訓練された後は、当該可搬型ワンドシステム10は、訓練済み可搬型ワンドシステム11aとして処理モード302において使用される。処理モード302への移行の前に、作業者54又はユーザ52は、好ましくは手動選択ボタン25を使って処理モード選択肢344(
図1Cを参照)を選択して、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302で起動させる。さらに、処理モード302への移行の前に、或いは、処理モード302への移行の後、且つ、ワンドアプリケータ18を処理モード302で起動させる前に、ユーザ52又は作業者54は、好ましくはバーコード体348、RFID体366、又は手動セレクタ体374などのセレクタ体24を使って、例えば消毒などの表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12を有する選定適用区画314aを選択し、次いで第1学習モード300aにおいて記録及び格納された経路から、当該選定適用区画314aに対応する所望経路310を選択する。
【0078】
さらに、処理モード302への移行の前に、或いは、処理モード302への移行の後、且つ、ワンドアプリケータ18を処理モード302で起動させる前に、作業者54又はユーザ52は、好ましくは、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を用いて、選定適用区画314aに含まれる処理対象の表面12の1つにおける開始位置167(
図4Aを参照)を、位置合わせフィーチャ(registration feature)130(
図1A、
図4Aを参照)によって特定する。位置合わせフィーチャ130は、選定適用区画314aに含まれる既知の位置132(
図1A、
図4Aを参照)にワンドアプリケータ18を位置合わせするための特徴部である。可搬型ワンドシステム10は、好ましくは、1つ又は複数の表面12における1つ又は複数の既知の位置132(
図1A、
図4Aを参照)、及び/又は、既知の向き134(
図1Aを参照)にワンドアプリケータ18を位置合わせするための1つ又は複数の位置合わせフィーチャ130(
図1A、
図4Aを参照)を特定する機能を有する。
【0079】
処理モード302において、ユーザ52又は作業者54は、例えばUVランプ要素26などの表面処理要素16を起動させた状態で、選定適用区画314a内の所望経路310に基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386(
図1Cを参照)に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させる。学習モード300後に処理モード302で使用される訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10は、ユーザ52又は作業者54が、適用区画314内の所望経路310に基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386に沿ってワンドアプリケータ18を位置させたり、その方向に向けたりするなどして手動で移動させる際に、その移動をリアルタイムで測定する。
【0080】
訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10は、当該選定適用区画314aについて、アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32によって作業経路386を所望経路310と比較する。また、作業経路386が所望経路310から逸脱して逸脱387(
図1Cを参照)が生じたときに、ユーザ52又は作業者54に報知し、また、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、ユーザ52又は作業者54に報知する。これにより、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)の調整、及び、ワンドアプリケータ18への電力121の調整を実施することが可能になる。処理モード302において、ユーザ52又は作業者54が訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10におけるワンドアプリケータ18を動作又は移動388(
図1Cを参照)させると、その作業経路386が、メモリ部66に記録及び格納済みの所望経路310と比較される。これにより、作業経路386の一部又はすべてが所望経路310から大きく逸脱していないか判定され、逸脱387があれば、その場所が特定され、該当する表面12や区画308などのエリアがユーザ52又は作業者54に報知され、よって、表面処理14の実施をやり直す必要がある表面12や区画308などのエリアが特定される。
【0081】
アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32は、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、電力体108の電源117にフィードバック信号390(
図1Cを参照)を供給して、電力体108にワンドアプリケータ18への電力121、例えば、ワンドアプリケータ18が有するUVランプ要素26などの表面処理要素16への電力121を低減又は停止する処理を実行させる。アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32は、さらに、ワンドアプリケータ18が1つ又は複数の回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、インジケータ要素78をトリガーして、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることをユーザ52又は作業者54に通知する動作を行わせる。
図1Aに示し、また、上述したように、インジケータ要素78は、二値インジケータ80であって、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、及び圧力変化アラート96のうちの1つを含む。
【0082】
訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18が例えば操縦室窓334(
図1C、
図4Bを参照)などの回避区画332に位置していたり、向けられたりしているなど、不適切な位置392にあるときに、インジケータ要素78を用いて、ユーザ52又は作業者54に警告又は通知を発する。さらに、所望経路310上に位置していない表面又はエリアは、すべて回避区画332として指定可能である。
【0083】
可搬型ワンドシステム10は、条件に従って出力394を自動調節する。例えば、選定適用区画314a内の処理対象の表面12にワンドアプリケータ18が位置していれば、ワンドアプリケータ18には、電源117(
図1Aを参照)からフル容量の電力121(
図1Aを参照)が供給される。これに対し、ワンドアプリケータ18の進路がずれたり、1つ又は複数の回避区画332に進入又は接近したりすると、電源117からワンドアプリケータ18に供給される電力121、具体的には、ワンドアプリケータ18のUVランプ要素26などの表面処理要素16に供給される電力は、自動的に低減又は停止される。このようにして、可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392にあるとき、また、表面処理を行わない回避区画332として指定された区画308の方向に向けられているときに、ワンドアプリケータ18の出力394、具体的には、UVランプ要素26などの表面処理要素16の出力を調整する。訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10は、1つ又は複数の選定適用区画314aに含まれる1つ又は複数の表面12に対して、所望の表面処理14bが実施されたことを確認する。
【0084】
可搬型ワンドシステムは、さらに、ワンド制御サブシステム30に接続されたコンピュータ記録システム136(
図1A、
図3A~3Bを参照)を任意の構成として含む。コンピュータ記録システム136は、ワンドアプリケータ18の位置データ58を解析するとともに、1つ又は複数の表面12における所定の表面処理14a(
図1Bを参照)又は所望の表面処理14b(
図1Bを参照)などの表面処理14の実施の状態(status)15をインジケータ要素78に通信するよう構成されている。
【0085】
図1Aに示す様に、コンピュータ記録システム136は、インターネット接続144を介してルータ装置140及び無線アクセスポイント142に接続されたコンピュータ138を含む。ワンド制御サブシステム30の無線ネットワークインターフェース70は、コンピュータ記録システム136の無線アクセスポイント142への接続又は通信を行う。CPU60は、データ68のストリームを、学習モード300において記録され、メモリ部66に格納された所望経路310及び回避区画経路312を含む位置データ58に変換し、この位置データをコンピュータ記録システム136に無線で送信する。コンピュータ記録システム136は、ワンドアプリケータ18の位置を確認し、ワンドアプリケータ18の位置50を算出し、表面処理要素16による表面処理が完了しておらず、処理の実施が必要な表面12についてフィードバックを提供する。コンピュータ記録システム136は、後述するように、1つ又は複数の表面12のうち、全面について表面処理14が実施済みである網羅部分を記録して履歴を残す中央記録機能242(
図3A~
図3Bを参照)も提供する。
【0086】
可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18の位置データ58をリアルタイムで測定し、アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32が作業経路386を所望経路310と比較して、ユーザ52又は作業者54に対して、所望経路310に対する作業経路386の逸脱387が在るか否かを示す。また、1つ又は複数の表面12に対して所望の表面処理14b(
図1Bを参照)が実施されたこと、及び所望の表面処理14bの実施の程度を示す。また、可搬型ワンドシステム10は、所望の表面処理14b又は所定の表面処理14aが、十分に、適切に、且つ完全に実施されたことを確認及び証明する。本明細書において用いられる「所望の」或いは「所定の」とは、1つ又は複数の表面の全面を網羅するように十分且つ効率的に表面処理を実施するために目的とする作業量、又は適切な作業量を意味する。
【0087】
図1Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10は、ユーザ52又は作業者54によって移送又は搬送可能であり、システム用ケース122、システム用バックパック(system backpack)124、システム用キャスター付きバッグ(system roller bag)126、システム用ショルダーケース128、他の任意の適当な携帯ケース、キャリヤ、又はバッグに収納可能である。
【0088】
以下に、
図1Bを参照する。
図1Bは、訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1Cを参照)及び訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)を含む、本開示の例示的な形態の可搬型ワンドシステム10(
図1Aを参照)を使用可能な表面12、表面処理14、及び表面処理要素(STAE)16の例を示す。
【0089】
図1Bに示す様に、処理対象の1つ又は複数の表面12は、好ましくは、航空機148、宇宙船150、自動車152、船舶154、列車156、病院158、工場建物160、オフィスビル162、映画館164、レストラン166のうちの1つの内装146における1つ又は複数の内装表面12a、又は他の適当な内装表面を含む。
【0090】
図1Bにさらに示す様に、所定の表面処理14a又は所望の表面処理14bなどの表面処理14は、消毒処理168、紫外線(UV)光消毒172のための紫外線(UV)光消毒処理170、除染処理174、殺菌処理176、滅菌処理178、硬化処理180、ショットピーニング処理182、化学汚染物質検出処理184、生物学的汚染物質検出処理186、非破壊検査プロセス188、渦流探傷試験190、塗装処理192、研磨ブラスト処理(abrasive media blasting operation)194、サンドブラスト処理194a、表面予熱処理196、トーチ溶接処理198、或いは、他の適当な表面処理を含む。表面処理14(
図1Bを参照)は、好ましくは、所定の表面処理14(
図1Bを参照)であって、作業量及び網羅範囲が予め定められている。
【0091】
UV光消毒172は、好ましくは、所定の紫外線(UV)光消毒172a(
図1Bを参照)又は所望の紫外線(UV)光消毒172b(
図1Bを参照)であって、作業量及び網羅範囲が予め定められている。所定のUV光消毒172a又は所望のUV光消毒172bでは、UV光28の放射照度は、好ましくは1平方センチメートル当たり2ミリジュールから1平方センチメートル当たり100ミリジュール範囲の処理レベルである。また、所定のUV光消毒172では、消毒又は他の表面処理においてワンドアプリケータ18を表面12で移動させる速度は、好ましくは毎秒1インチから毎秒10インチの範囲である。また、ユーザ52が把持するワンドアプリケータ18から処理対象の表面12までの距離は、好ましくは1インチから6インチの範囲である。
【0092】
図1Bにさらに示すように、表面処理要素16は、紫外線(UV)ランプ要素26、ガス分散要素(gaseous dispersal element)200、エアロゾル化要素(aerosolized element)202、消毒液204、消毒ガス206、殺菌液208、殺菌ガス210、滅菌液212、滅菌ガス214、洗浄液216、硬化要素218、ショットピーニング要素220、汚染物質検出要素222、塗料224、研磨ブラスト処理要素(abrasive media blasting element)226、サンドブラスト処理要素226a、表面予熱処理要素228、及びトーチ溶接要素230のうちの1つを含む。
【0093】
次に、
図2A~
図2Bを参照する。
図2Aは、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなど、本開示の可搬型ワンドシステム10の一形態であって、インジケータ要素78の一形態としての二値インジケータ80とRFIDリーダ368及びRFID電子機器370とを備えるシステムを示す斜視図である。
図2Bは、例えば、
図2Aに示す訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10であって、インジケータ要素78の一形態としての映像ディスプレイ98とRFIDリーダ368及びRFID電子機器370とを備えるシステムを示す斜視図である。
【0094】
図2A~
図2Bに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18を含み、当該ワンドアプリケータは、例えば、手持ち式ワンドアプリケータ18aであって、ハンドル部20及びヘッド部22を含む。ヘッド部22は、表面処理要素16として紫外線(UV)ランプ要素26を含む。UVランプ要素26は、好ましくは、200ナノメートルから280ナノメートルの範囲の波長を有するUV光28(
図1Aを参照)を出射するよう構成されており、1つ又は複数の表面12を消毒することができる。より好ましくは、UVランプ要素26は、222ナノメートルの波長を有するUV光28を出射するよう構成された、222nm(ナノメートル)紫外線(UV)ランプ要素26a(
図1Aを参照)である。
【0095】
図2A~
図2Bにさらに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、ハンドル部20に設けられた手動選択ボタン25を含む。
図2Aにおいて、インジケータ要素78は、ハンドル部20に設けられており、光信号82の形態の二値インジケータ80を含む。ただし、二値インジケータ80は、
図1Aに示す様に、他の種類の二値インジケータであってもよく、例えば、紫外線(UV)ランプ要素光点滅アラート84aなどの表面処理要素(STAE)光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、或いは、他の適当な二値インジケータのうちの1つであってもよく、これにより、1つ又は複数の表面12についての所定のUV光消毒172a(
図1Bを参照)が完了したこと、或いは、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392にあることを示す。
【0096】
図2Bにおいて、インジケータ要素78は、接続ケーブル又は電源コードなどの接続要素100を介してハンドル部20に接続されているとともに、進捗表示映像98aなどの映像ディスプレイ98を含んでおり、例えば、消毒、殺菌、滅菌、他の種類の表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12(
図1Bを参照)におけるUV光消毒172(
図1Bを参照)などの表面処理14(
図1Bを参照)の進捗を表示する。映像ディスプレイ98は、ユーザ52から視認可能であって、消毒すべき1つ又は複数の表面12の部分102(
図1Aを参照)と、点灯表示進捗状況バー106(
図1Aを参照)を構成する色コード信号104(
図1Aを参照)と、のうちの1つ又は複数を表示して、全面が処理済みである網羅部分102a(
図1Aを参照)を示すか、或いは、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392にあることを示す。
【0097】
図2A~
図2Bにさらに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、一形態において、RFID体366を含むセレクタ体24を含み、当該RFID体は、ワンドアプリケータ18のヘッド部22に設けられたRFIDリーダ368と、ワンドアプリケータ18のハンドル部20に設けられたRFID電子機器370と、を含む。
【0098】
代替的な他の形態において、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、上述したように、バーコード体348(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を含み、当該バーコード体は、ワンドアプリケータ18のヘッド部22に設けられたバーコードカメラ350(
図1Cを参照)と、バーコードカメラ350に接続されているか、或いは、ワンドアプリケータ18のハンドル部20に設けられているデコーダ電子機器352(
図1Cを参照)と、を含む。代替的なさらに他の形態において、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、上述したように、手動セレクタ体374(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を含み、当該手動セレクタ体は、ワンドアプリケータ18に設けられているかワンドアプリケータ18又は可搬型ワンドシステム10と通信する手動選択装置376(
図1Cを参照)を含む。この手動選択装置376は、識別子373(
図1Cを参照)が予めプログラムされたリスト378(
図1Cを参照)や他の情報にアクセスするよう設計又は構成されている。
【0099】
図2A~
図2Bにさらに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、例えばワンドアプリケータ18に接続された電力体108を含む。
図2A~
図2Bに示す様に、電力体108は、バッテリ110aなどのエネルギー蓄積装置110を含む。
図2A~
図2Bにさらに示す様に、エネルギー蓄積装置110は、相互接続電源ケーブル114aなどの有線コネクタ114を介してワンドアプリケータ18に接続されている。
【0100】
図2A~
図2Bにさらに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10aなどの可搬型ワンドシステム10は、ワンド制御サブシステム30を含む。この形態のワンド制御サブシステム30は、ワンドアプリケータ18のハンドル部20に組み込まれている。他の形態において、ワンド制御サブシステム30は、ワンドアプリケータ18から独立して設けられており、有線又は無線によって当該ワンド制御サブシステムに接続されていてもよい。例えば、ワンド制御サブシステム30は、システム用ケース122(
図1Aを参照)、システム用バックパック124(
図1Aを参照)、システム用キャスター付きバッグ126(
図1Aを参照)システム用ショルダーケース128(
図1Aを参照)、或いは、可搬型ワンドシステム10を搬送及び収納するために用いられる他の搬送又は運搬装置でもよい。
【0101】
ワンド制御サブシステム30は、コンピュータプログラム32(
図1Aを参照)を含み、例えばアルゴリズム32a(
図1Aを参照)を含む。一形態において、ワンド制御サブシステム30は、
図2A~
図2Bに示す様に、慣性測定部(IMU)42を含み、例えば、6自由度慣性測定部(IMU)42aを含む。ワンド制御サブシステム30は、IMU42に代えて、固定位置伸縮計72、回転位置センサ74、及び/又は外部写真測量センサ76のうちの1つ又は複数をそれぞれ別個に、或いは、組み合わせで含む構成でもよい。慣性測定部(IMU)42は、回路基板44に実装されたチップなどの集積回路42b(
図2A~
図2Bを参照)を含み、また、加速度計46(
図2A~
図2Bを参照)を含む。上述したように、ワンド制御サブシステム30は、さらに、IMU42に接続された中央処理装置(CPU)60(
図1Aを参照)と、CPU60に対する紫外線(UV)ランプ要素電力フィードバック部64と、CPU60に接続されたメモリ部66と、を含む。ワンド制御サブシステム30は、さらに、CPU60に接続された無線ネットワークインターフェース70を含む。
【0102】
図2A~
図2Bにさらに示す様に、慣性測定部(IMU)42は、xyz軸の座標系232を用いてワンドアプリケータ18の加速度48(
図1Aを参照)及び位置50(
図1Aを参照)を測定する。
図2A~
図2Bは、x軸234とともに、x軸加速度234a及びx軸回転234bを示す。
図2A~
図2Bは、y軸236とともに、y軸加速度236a及びy軸回転236bを示す。
図2A~
図2Bは、z軸238とともに、z軸加速度238a及びz軸回転238bを示す。
【0103】
次に、
図3A~
図3Bを参照する。
図3Aは、本開示の可搬型ワンドシステム10の一形態であって、例えば、表面処理要素16及びコンピュータ記録システム136を有する訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10bのシステムフロー
図240aを示す図である。
図3Bは、可搬型ワンドシステム10であって、例えば、紫外線(UV)ランプ要素26及びコンピュータ記録システム136を有する訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10bのシステムフロー
図240bを示す図である。
【0104】
図3A~
図3Bに示す様に、訓練済み可搬型ワンドシステム11aを例とする可搬型ワンドシステム10bなどの可搬型ワンドシステム10は、手動選択ボタン25を有するワンドアプリケータ18と、ワンド制御サブシステム30と、エネルギー蓄積装置110と、インジケータ要素78と、及び任意の構成であるコンピュータ記録システム136と、を含む。
図3A~
図3Bに示す様に、手動選択ボタン25及び慣性測定部(IMU)42は、一方向通信によってワンド制御サブシステム30のCPU60に接続されている。IMU42は、ワンドアプリケータ18の加速度48(
図1Aを参照)及び位置50(
図1Aを参照)を測定し、そのデータ68(
図1Aを参照)をCPU60に送信する。
【0105】
図3A~
図3Bにさらに示す様に、メモリ部66及び無線ネットワークインターフェース70は、双方向通信によってCPU60に接続されている。メモリ部66は、適用区画314(
図1Cを参照)及び回避区画332(
図1Cを参照)などの区画308を含むデータ68(
図1Aを参照)を格納する。区画のデータには、第1学習モード300a(
図1Cを参照)などの学習モード300(
図1Cを参照)において記録された所望経路310、及び第2学習モード300b(
図1Cを参照)などの学習モード300において記録された回避区画経路312も含まれる。CPU60は、メモリ部66にデータ68(
図1Aを参照)を格納することができ、また、メモリ部66からデータ68を読み出すことができる。CPU60は、無線ネットワークインターフェース70に信号を送ることができ、また、無線ネットワークインターフェース70から信号を受け取ることができる。
【0106】
図3A~
図3Bにさらに示す様に、CPU60は、二値インジケータ80又は映像ディスプレイ98などのインジケータ要素78にデータ68を送る。
図3A~
図3Bにさらに示す様に、訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10bなどの可搬型ワンドシステム10は、一方向通信によってCPU60に接続されたセレクタ体24を含む。
図3A~
図3Bに示す様に、セレクタ体24は、バーコード体348、RFID体366、及び手動セレクタ体374のうちの1つを含む。
【0107】
図3Aに示す様に、エネルギー蓄積装置110は、表面処理要素(STAE)電源118にエネルギーを供給し、またエネルギー蓄積装置110は、CPU60に対する表面処理要素(STAE)電力フィードバック部62にエネルギーを供給する。
図3Aにさらに示す様に、表面処理要素(STAE)電源118は、表面処理要素(STAE)16に電力を供給し、当該STAE16は、CPU60に対するSTAE電力フィードバック部62にフィードバックを供給する。STAE電力フィードバック部62は、表面処理要素(STAE)16の出力394(
図1Cを参照)及びその持続時間を判定し、そのデータ68をCPU60に送る。
図3Aには、さらに、CPU60からSTAE電源118に送られるフィードバック信号390が示されている。このフィードバック信号390は、ワンドアプリケータ18が1つ又は複数の回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、CPU60におけるアルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32からSTAE電源118に供給されて、電力体108(
図1Aを参照)にワンドアプリケータ18(
図1Aを参照)への電力121(
図1Aを参照)、例えば、ワンドアプリケータ18の表面処理要素16への電力121を低減又は停止させる。CPU60におけるアルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32は、さらに、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、インジケータ要素78をトリガーして、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることをユーザ52又は作業者54に警告又は通知する動作を行わせる。
【0108】
図3Bに示す様に、エネルギー蓄積装置110は、UVランプ要素電源120にエネルギーを供給し、また、CPU60に対するUVランプ要素電力フィードバック部64にエネルギーを供給する。
図3Bにさらに示す様に、UVランプ要素電源120は、UVランプ要素26及び紫外線(UV)ランプセンサ295を収容したハウジング278に電力を供給する。UVランプセンサ295は、例えば、紫外線(UV)フルエンスセンサなどの光センサである。UVフルエンスセンサは、紫外線(UV)光出力をリアルタイムで測定し、その測定値をフィードバックとしてCPU60に対するUVランプ要素電力フィードバック部64に通知する光ダイオード装置である。UVランプ要素電力フィードバック部64は、UVランプ要素26のUV光の出力と持続時間を判定して、そのデータ68をCPU60に送る。
【0109】
図3Bには、さらに、CPU60からUVランプ要素電源120に送られるフィードバック信号390が示されている。このフィードバック信号390は、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、CPU60におけるアルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32からUVランプ要素電源120に供給されて、電力体108(
図1Aを参照)にワンドアプリケータ18(
図1Aを参照)への電力121(
図1Aを参照)、例えば、ワンドアプリケータ18のUVランプ要素26への電力121を低減又は停止させる。アルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32は、さらに、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、インジケータ要素78をトリガーして、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることをユーザ52又は作業者54に警告又は通知する動作を行わせる。
図1Aに示すように、インジケータ要素78は、二値インジケータ80であって、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、及び圧力変化アラート96のうちの1つを含む。
【0110】
図3A~
図3Bにさらに示す様に、可搬型ワンドシステム10bなどの可搬型ワンドシステム10は、コンピュータ記録システム136に無線接続されており、必須ではないが中央記録機能242を提供する。中央記録機能242(
図3A~
図3Bを参照)は、コンピュータ記録システム136によって提供される機能であり、1つ又は複数の表面12のうち全面について表面処理14が実施済みである網羅部分を記録して履歴を残す機能である。
【0111】
コンピュータ記録システム136は、コンピュータ138(
図3A~
図3Bを参照)を含む。CPU60は、データ68(
図1Aを参照)のストリームを変換し、位置50(
図1Aを参照)を無線でコンピュータ記録システム136に送信する。コンピュータ記録システム136は、位置の確認及び算出を行って、表面処理が完了しておらず、処理の実施が必要な表面12、物体、及び/又はエリアについてフィードバックを提供する。
【0112】
コンピュータ138は、インターネット接続144(
図3A~
図3Bを参照)を介してルータ装置140(
図3A~
図3Bを参照)に無線接続されている。
図3A~
図3Bに示す様に、ルータ装置140は、無線アクセスポイント142に接続されている。
図3A~
図3Bに示す様に、無線ネットワークインターフェース70は、中央記録機能242の無線アクセスポイント142に、無線接続244を介して無線で接続されている。
【0113】
次に、
図4Aを参照する。
図4Aは、航空機148の客室246の内装146を前方から見た斜視図であって、客室シート248及び位置合わせフィーチャ130を示している。例示的な形態において、位置合わせフィーチャ130は、客室シート248のひじ掛け250を含む。位置合わせフィーチャ130は、所望の表面処理14bなどの表面処理14を実施すべきエリア内の既知の位置132である。
【0114】
低価格の加速度計46の場合、測定がゆらぐ特性があるので、誤差が大きくなりすぎるのを避けるために許容される動作時間が短い。したがって、そのような加速度計を備える慣性測定部(IMU)42を使用するために、作業順において次の客室シート248のひじ掛け250などの既知の位置132又はデータに対して、ワンドアプリケータ18を定期的に「位置合わせ」する(即ち、一時的に、そのような既知の向き及び位置に配置する)動作を行う。例えば、
図4Aにおいて、前列のひじ掛け250aを、ワンドアプリケータ18の開始位置167且つ既知の位置132とし、後列のひじ掛け250aを次の既知の位置132aとする。ユーザ52又は作業者54は、ワンドアプリケータ18を次の既知の位置132aである後列のひじ掛け250aに位置させ、この状態でワンドアプリケータ18に設けられた手動選択ボタン25(
図2A~
図2Bを参照)を短く押下する。これにより、次の区画についてUV光消毒172(
図1Bを参照)などの表面処理14を開始することを可搬型ワンドシステム10に通知する。その後、当該次の既知の位置132aから作業を開始し、該当するサブ領域に含まれる1つ又は複数の表面12の処理を十分な時間をかけて実施し、その後、次の位置合わせフィーチャ130に対する位置合わせを行う。
【0115】
図4Aは、さらに、可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図1Cを参照)の表面処理要素16(
図1Aを参照)による表面処理14(
図1Aを参照)を実施すべき表面12を有する、例えば客室シート248などの適用区画314を示している。
図4Aは、さらに、可搬型ワンドシステム10による表面処理14の実施を避けるべき、例えば客室窓335などの回避区画332(
図4Aの網掛け部分)を示している。
【0116】
次に、
図4Bを参照する。
図4Bは、航空機148の操縦室315の内装146を後方から見た斜視図であって、パッシブRFIDタグ372aなどのRFIDタグ372が付された適用区画314及び回避区画332の例を示している。
図4Bは、操縦室315のうち、可搬型ワンドシステム10(
図1A及び
図1Cを参照)によって例えば消毒などの表面処理を実施すべき区画である適用区画314を示している。
図4Bに示す適用区画314は、操縦室制御エリア316、操縦室シート318、操縦室パネルエリア320、操縦室フロア322、及び操縦室天井324を含む。
図4Bは、さらに、操縦室315のうち、可搬型ワンドシステム10による表面処理の実施を避けるべき区画である回避区画332(
図4Aの網掛け部分)を示している。
図4Bに示す回避区画332は、操縦室窓334を含む。
図4には、適用区画314及び回避区画332の両方が示されており、いずれにも、RFIDリーダ368(
図1Cを参照)で読み取られ、RFID電子機器370(
図1Cを参照)で処理されるよう構成又は設計されたRFIDタグ372が付されている。RFIDタグ372は、適用区画314及び回避区画332における表面12(
図1Aを参照)に埋設又は下側に配置されていて見えないか、或いは、RFIDタグ372は、適用区画314及び回避区画332の表面12に見えるように配置されている。適用区画314及び回避区画332には、RFIDタグ372の代わりに、バーコード354(
図1Cを参照)が配置されてもよい。バーコードは、例えば、適用区画314及び回避区画332の表面12に貼り付けられ、或いは、適用区画314及び回避区画332の表面12に埋設又は下側に配置されており、バーコードカメラ350(
図1Cを参照)で読み取られ、デコーダ電子機器352(
図1Cを参照)でデコードされるよう構成されている。
【0117】
次に、
図4Cを参照する。
図4Cは、航空機148の客室246の内装146を後方から見た斜視図であって、適用区画314及び回避区画332を示している。一形態において、適用区画314及び回避区画332には、RFIDタグ372(
図4Bを参照)が埋設されており、これらRFIDタグ372をRFIDリーダ368で読み取ることによって、適用区画314及び回避区画332を特定及び選択することができる。他の形態において、適用区画314及び回避区画332には、バーコード354(
図1Cを参照)が埋設されており、これらバーコード354をバーコードカメラ350で読み取ることによって、適用区画314及び回避区画332を特定及び選択することができる。さらに他の形態において、適用区画314及び回避区画332は、上述したように、手動選択装置376(
図1Cを参照)が予めプログラムされたリスト378(
図1Cを参照)又は識別子373(
図1Cを参照)などの情報にアクセスすることで、手動セレクタ体374(
図1Cを参照)によって特定及び選択することができる。
【0118】
図4Cは、さらに、客室246のうち、可搬型ワンドシステム10を用いてUV光消毒172(
図1Bを参照)などの表面処理14を実施すべき適用区画314を示す。
図4Cに示す適用区画314は、客室シート248、客室フロア326、客室天井327、乗客サービスユニット328、モニタ329、頭上収納棚330、及び客室パネルエリア331を含む。乗客サービスユニット328は、客室シート248の上方に配置されたコンポーネントであり、乗務員呼び出しインターフェース、読書灯、空調調節部、フライト中に使用される乗客用警告灯、又は他の適当なコンポーネントを含む。
図4Cは、さらに、客室246のうち、可搬型ワンドシステム10による表面処理14の実施を避けるべき回避区画332を示している。
図4Cに示す回避区画332(
図4Cの網掛け部分)は、客室窓335を含む。
【0119】
次に、本開示の可搬型ワンドシステム10の一形態であって、システム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122とともに用いられている可搬型ワンドシステム10C示す
図5A~
図5Eを参照する。
図5Aは、可搬型ワンドシステム10であって、システム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122とともに用いられており、ワンドアプリケータ18(
図5B)が格納されている可搬型ワンドシステム10cを前方から見た斜視図である。
図5Aに示すシステム用ケース122は、例えばシステム用キャスター付きバッグ126であって、ラッチ254、伸縮式ハンドル256、上部ハンドル258、側面ハンドル260、及びキャスター(roller wheels)262を備えるハードケース(hard shell case)252を有する。
図5Aでは、システム用キャスター付きバッグ126であるシステム用ケース122は、閉状態263にある。この形態において、可搬型ワンドシステム10cなどの可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンドアプリケータ18(
図5Bを参照)に装着されたエアホース264aなどのホース264を含む。
図5Aに示す様に、可搬型ワンドシステム10cなどの可搬型ワンドシステム10は、さらに、ホース264をハードケース252の外表面268に固定するためのホース固定体266を含む。
図5Aに示す様に、ホース固定体266は、バックル272a又は他の適当な固定要素である固定要素272に接続された布カバー270を含む。
【0120】
図5Bは、
図5Aの可搬型ワンドシステム10cなどの可搬型ワンドシステム10の前面を側方から見た斜視図であり、手動選択装置376を備えるワンドアプリケータ18が示されており、また、システム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122にワンドアプリケータ18と、バッテリ110aなどのエネルギー蓄積装置110が収納された状態が示されている。同図におけるシステム用キャスター付きバッグ126であるシステム用ケース122は、開状態274にある。ワンドアプリケータ18は、表面処理要素16として、例えばUVランプ要素26を含んでいる。
図5Bに示す様に、手動選択装置376は、ワンドアプリケータ18に接続されているか、或いは、組み込まれている。手動選択装置376は、ユーザ52又は作業者54により使用されるタッチスクリーン380b(
図1Cを参照)を含む。代替的に、手動選択装置376は、ユーザ52又は作業者54により押下されるボタン群380aを含んでもよい。
図5Bは、エアホース264aなどのホース264を示しており、当該ホースの第1端部276aは、ワンドアプリケータ18のハウジング278に取り付けられており、第2端部276bは、冷却ファンなどのファン280に取り付けられている。ファン280は、UVランプ要素26を備えるワンドアプリケータ18を冷却する。ファン280は、エネルギー蓄積装置110も冷却する。この形態のワンド制御サブシステム30(
図1Aを参照)は、ワンドアプリケータ18のハンドル部20ではなく、これとは離間した位置であるシステム用キャスター付きバッグ126のハードケース252の中に設けられている。システム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122は、システム用ケース122の閉状態263(
図5Aを参照)において、ホースの一部283(
図5Bを参照)を受け入れる切り欠き開口部282(
図5Bを参照)を有しているので、ワンドアプリケータ18をシステム用ケース122の中に収めることができる。
【0121】
図5Cは、
図5Bの可搬型ワンドシステム10cなどの可搬型ワンドシステム10の前面を側方から見た斜視図であり、システム用ケース122として、閉状態263にあるシステム用キャスター付きバッグ126が示されている。同図では、手動選択装置376を備えるワンドアプリケータ18がシステム用キャスター付きバッグ126から取り出されており、ユーザ52(
図1Aを参照)又は作業者54(
図1Aを参照)による使用が可能な状態にある。
図5Cにさらに示す様に、手動選択装置376は、ワンドアプリケータ18に接続されているか、或いは、組み込まれている。
図5Cは、さらに、電源コード114b(
図5Cを参照)を示しており、これは、可搬型ワンドシステム10によって表面処理14を実施すべき航空機148(
図1Bを参照)の内装146(
図1Bを参照)又は他の適当なビークル又は構造体に設けられたコンセントに差し込み可能に構成されている。電源コード114bは、搬送中は、システム用キャスター付きバッグ126の中に収納される。電源コード114bは、システム用キャスター付きバッグ126が閉状態263にあるときに形成される切り欠き開口部282から延出する。
【0122】
図5Dは、
図5Aのシステム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122の上部拡大図であり、可搬型ワンドシステム10Cなどの可搬型ワンドシステム10におけるエアホース264aなどのホース264が示されている。同図では、システム用キャスター付きバッグ126であるシステム用ケース122は、閉状態263にある。
図5Dには、切り欠き開口部282から延出するホース264の第1端部276aが示されている。ホース264は、搬送中にシステム用キャスター付きバッグ126が閉状態263にあるときは、システム用キャスター付きバッグ126から外に出ている。切り欠き開口部282は、システム用キャスター付きバッグ126が閉状態263にある場合でも、作業中にファン280(
図5Bを参照)に空気を取り込むことを可能にする。
【0123】
図5Eは、
図5Bの可搬型ワンドシステム10cなどの可搬型ワンドシステム10のファン280を前方から見た拡大図であって、システム用キャスター付きバッグ126などのシステム用ケース122が開状態274にあるときを示している。
図5Eでは、エアホース264aなどのホース264の第2端部276bがファン280に取り付けられている。
【0124】
図6A~
図6Bは、本開示の1つ又は複数の形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3Bを参照)用のワンドアプリケータ18の一形態を示しており、例えば手持ち式ワンドアプリケータ18aを示している。
図6Aは、ワンドアプリケータ18の一形態を側方から見た斜視図であり、例えば、バーコードカメラ350及びデコーダ電子機器352を備える手持ち式ワンドアプリケータ18aがユーザ52に把持された状態が示されている。
図6Aに示す様に、ユーザ52は、トリガーハンドル284を構成するハンドル部20を把持している。この形態では、手動選択ボタン25は、トリガー部286を含み、当該トリガー部286は、その長さ方向の任意の位置でユーザによってトリガー或いは起動される。
【0125】
図6Aは、さらに、バーコードカメラ350を示している。当該バーコードカメラは、例えば、二次元画像読み取りスキャナ350a又はバーコードリーダなどであって、手持ち式ワンドアプリケータ18aなどのワンドアプリケータ18に接続され、或いは組み込まれており、ワンドアプリケータ18の第2端部292bの近傍に位置している。
図6Aは、さらに、手持ち式ワンドアプリケータ18aなどのワンドアプリケータ18のハンドル部20の内部に配置されたデコーダ電子機器352を示している。バーコードカメラ350は、バーコード354(
図1Cを参照)を読み取るよう設計されており、デコーダ電子機器352は、バーコード354に含まれるデータを復号し、当該データをCPU60などのコンピュータ装置に送るよう構成されている。デコーダ電子機器352は、バーコードカメラ350によって取得されたバーコードの画像データを解析するデコーダ回路を含み、当該バーコードの内容をCPU60などのコンピュータ装置に送る。
【0126】
図6Aは、さらに、インジケータ要素78として、ハウジング278の外装部分288に接続された二値インジケータ80を示している。
図6Aは、さらに、エアホース264aなどのホース264の第1端部276aを示している。当該第1端部は、ワンドアプリケータ18の第1端部292aに設けられたポート開口部290に差し込まれている。
図6Aは、さらに、ワンドアプリケータ18の第2端部292bを示している。この形態のワンド制御サブシステム30(
図1Aを参照)は、ワンドアプリケータ18のハンドル部20の中には設けられておらず、代わりに、ワンドアプリケータ18から離間した位置に設けられている。
【0127】
図6Bは、
図6Bに示す手持ち式ワンドアプリケータ18aなどのワンドアプリケータ18を底面側から見た斜視図である。
図6Bは、ハウジング278、及び、ワンドアプリケータ18の第1端部292aと第2端部292bを示している。
図6Bは、さらに、バーコードカメラ350を示しており、これは、例えば、二次元画像読み取りスキャナ350aであって、手持ち式ワンドアプリケータ18aなどのワンドアプリケータ18に接続され、或いは組み込まれており、ワンドアプリケータ18の第2端部292bの近傍に位置している。
図6Bは、さらに、エアホース264aなどのホース264の第1端部276aであって、ワンドアプリケータ18の第1端部292aから延出する第1端部を示している。
図6Bは、さらに、紫外線(UV)ランプ電球294を含むUVランプ要素26を示している。
図6Bは、さらに、UVランプ電球294の出射経路に位置するように、ハウジング278の内装296に取り付けられた紫外線(UV)ランプセンサ295を示している。ハウジング278は、UVランプ電球294及びUVランプセンサ295を収納する。UVランプセンサ295は、例えば、紫外線(UV)フルエンスセンサなどの光センサである。UVフルエンスセンサは、紫外線(UV)光出力をリアルタイムで測定する光ダイオード装置である。
図6Bに示す様に、UVランプ電球294は、第1端部292aと第2端部292bの間に位置するように、ハウジング278の内装296に取り付けられている。
図6Bは、さらに、ハウジング278の内装296において、UVランプ電球294を有するUVランプ要素26の後ろ側に施された内張り反射要素(reflector lining element)298を示す。
【0128】
次に、
図7を参照する。
図7は、本開示の方法400の一形態を示すフロー図である。本開示の一形態において提供される方法400は、1つ又は複数の表面12(
図1A~
図1C)に対して所望の表面処理14b(
図1Cを参照)が実施されたことを、作業者54(
図1Aを参照)又はユーザ52(
図1Aを参照)に報知及び確認するための方法である。
【0129】
図7のブロックは、処理及び/又は処理の一部或いは要素を表しているが、これら様々なブロックを繋ぐ線は、処理及び/又は処理の一部或いは要素について、特定の順序や従属関係を表すものではない。
図7及び本開示における方法400のステップの記載は、これらステップの実行順序を決定するものであると解釈されるべきではない。むしろ、例示的な一順序が示されているに過ぎず、これらステップの実行順序は、必要に応じて変更可能であると解釈されるべきである。したがって、特定の処理を異なる順序で実行したり、同時に実行したりすることも可能である。
【0130】
図7に示す様に、方法400は、一形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Bを参照)であって、例えば訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1A、
図1Cを参照)を用意するステップ402を含む。上述したように、一形態において、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、表面処理要素16を有するワンドアプリケータ18(
図1Aを参照)を含む。
【0131】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ402は、さらに、表面処理要素16が、
図1Bに示す様に、紫外線(UV)ランプ要素26、ガス分散要素200、エアロゾル化要素202、消毒液204、消毒ガス206、殺菌液208、殺菌ガス210、滅菌液212、滅菌ガス214、洗浄液216、硬化要素218、ショットピーニング要素220、汚染物質検出要素222、塗料224、研磨ブラスト処理要素226、サンドブラスト処理要素226a、表面予熱処理要素228、及びトーチ溶接要素230のうちの1つを含むものであるワンドアプリケータ18を有する可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。
【0132】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンドアプリケータ18に接続されたワンド制御サブシステム30(
図1Aを参照)を含む。ワンド制御サブシステム30は、アルゴリズム32a(
図1Aを参照)などのコンピュータプログラム32(
図1Aを参照)と、メモリ部66(
図1Aを参照)と、メモリ部66に接続された中央処理装置(CPU)60(
図1Aを参照)と、を含む。ワンド制御サブシステム30は、一形態においては、さらに、CPU60に接続された慣性測定部(IMU)42(
図1Aを参照)を含み、他の形態においては、さらに、固定位置伸縮計72(
図1Aを参照)、回転位置センサ74(
図1Aを参照)、又は、外部写真測量センサ76(
図1Aを参照)のうちの1つ又は複数を含む。ワンド制御サブシステム30は、さらに、CPU60に接続された表面処理要素(STAE)電力フィードバック部62(
図1Aを参照)を含む。
【0133】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11を例とする可搬型ワンドシステム10は、さらに、手動選択ボタン25(
図1Aを参照)に機能的に接続されて当該ボタンによって起動されるセレクタ体24(
図1A、
図1Cを参照)を含む。訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ402は、さらに、バーコード体348(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を有する可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。上述したように、バーコード体348は、ワンドアプリケータ18に接続されたバーコードカメラ350(
図1Cを参照)と、ワンドアプリケータ18又はバーコードカメラ350に接続されたデコーダ電子機器352(
図1Cを参照)と、適用区画314の1つ又は複数及び回避区画332の1つ又は複数に配置された1つ又は複数のバーコード354(
図1Cを参照)と、を含む。バーコードカメラ350は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置された1つ又は複数のバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。
【0134】
一形態において、バーコードカメラ350は、例えば様々な表面処理14に関する作業指示書358(
図1Cを参照)の紙面356(
図1cを参照)に印刷されたQR(クイックレスポンス)コード又はマトリックスバーコード、或いは、表面処理14を実施すべき表面12に隣接する隣接表面360(
図1Cを参照)に印刷されたQRコード又はマトリックスバーコードなどの二次元バーコード345a(
図1Cを参照)を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。二次元バーコード354aは、隣接表面360に直接印刷又は貼り付けられ、或いは、例えば、隣接表面360に付されたラベル、デカール、シールに間接的に印刷又は貼り付けられる。他の形態において、バーコードカメラ350又はバーコードリーダは、光学スキャナ364(
図1Cを参照)を含む。
【0135】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ402は、さらに、セレクタ体24がRFID体366(
図1Cを参照)を有するものであり、当該RFID体が、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択ボタン25に機能的に接続されて当該ボタンによって起動されるものである可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。上述したように、RFID体366は、ワンドアプリケータ18に接続されたRFIDリーダ368(
図1Cを参照)と、ワンドアプリケータ18に接続されたRFID電子機器370(
図1Cを参照)と、適用区画314の1つ又は複数及び回避区画332の1つ又は複数に配置された1つ又は複数のRFIDタグ372(
図1Cを参照)と、を含む。RFIDリーダ368は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置されたRFIDタグ372のうちの1つ又は複数を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。手動選択ボタン25は、二度押しなどの適当な順序又はパターンで押下することによってRFIDリーダ368を起動させるものであり、例えば、ユーザ52又は作業者54が手動選択ボタン25を二度押しし、或いは、トリガーハンドル284(
図6Aを参照)の形態の手動選択ボタン25を二度押する。RFIDリーダ368及びRFID電子機器370は、ワンド制御サブシステム30のCPU60に機能的に接続されており、RFIDタグ372と合わせて使用することで、消毒などの表面処理を実施すべき1つ又は複数の適用区画314などの区画308を特定し、また、表面処理を実施すべきでない1つ又は複数の回避区画332などの区画308を特定することができる。
【0136】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ402は、さらに、手動セレクタ体374(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を有する可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。手動セレクタ体374は、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択装置376(
図1Cを参照)と、複数の適用区画314及び回避区画332に対応する識別番号などの識別子373が予めプログラムされたリスト378(
図1Cを参照)である参照リストと、を含む。手動選択装置376は、手動選択ボタン25によって起動し、或いは、起動又は使用可能な状態にすることができる。
【0137】
一形態において、手動選択装置376は、上述したように、選択要素380(
図1Cを参照)を含み、例えば、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52によって手動で押下されるボタン群380a(
図1Cを参照)、或いは、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52のタッチ操作によって識別子373(
図1Cを参照)の入力に使用されるタッチスクリーン380b、或いは、ワンドアプリケータ18に、具体的にはワンドアプリケータ18のハンドル部20に設けられた他の適当な選択要素380を含む。選択要素380は、好ましくは、ユーザ52又は作業者54によって使用され、例えば、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに対応する識別子373を予めプログラムされたリスト378から特定及び選択するために使用され、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すために使用される。
【0138】
他の形態において、手動選択装置376は、上述したように、キーパッド382(
図1Cを参照)を含む。キーパッド382は、ワンドアプリケータ18に有線又は無線で接続されている。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報をキーパッド382にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができ、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0139】
さらに他の形態において、手動選択装置376は、上述したように、例えばワイ・ファイ、ブルートゥース、他の適当な無線接続によってワンドアプリケータ18などの可搬型ワンドシステム10と通信するアプリケーション384(
図1Cを参照)を有するスマートフォン、タブレットコンピュータなどの適当な独立したモバイル装置362である。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報を、独立したモバイル装置362にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができ、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0140】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、インジケータ要素78を含む。インジケータ要素78は、二値インジケータ80(
図1Aを参照)であって、
図1Aに示す様に、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、又は他の適当な警告や警報のうちの1つを含む。インジケータ要素78は、1つ又は複数の表面12に対する所望の表面処理14b又は所定の表面処理14aなどの表面処理14の実施が完了したことを作業者54又はユーザ52に報知する。加えて、インジケータ要素78は、後述するように、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、また、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392にあるときに、作業者54又はユーザ52に報知する。
【0141】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらにワンドアプリケータ18に接続された、具体的にはワンドアプリケータ18に含まれるワンド制御サブシステム30に接続された電力体108を含む。電力体108は、有線コネクタ114(
図1Aを参照)を介してワンドアプリケータ18に接続されたバッテリ110a(
図1Aを参照)などのエネルギー蓄積装置110を含む。
【0142】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ402は、さらに、ワンド制御サブシステム30に接続されたコンピュータ記録システム136(
図1Aを参照)を含む可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。コンピュータ記録システム136は、ワンドアプリケータ18の位置データ58を解析するとともに、1つ又は複数の表面12に対する所定の表面処理14a(
図1Bを参照)又は所望の表面処理14b(
図1Cを参照)などの表面処理14(
図1Bを参照)の実施の状況15(
図1Bを参照)をインジケータ要素78に通信する。コンピュータ記録システム136は、コンピュータ138(
図1Aを参照)を含んでおり、これにより、1つ又は複数の表面12における所定の表面処理14a又は所望の表面処理14bなどの表面処理14の実施を記録し、また、1つ又は複数の表面12における所定の表面処理14a又は所望の表面処理14bなどの表面処理14が適切に実施されたことを確認及び証明する。
【0143】
図7に示す様に、方法400は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を学習モード300(
図1Cを参照)において訓練して、複数の経路304(
図1Cを参照)を学習させるステップ404を含む。このステップは、先ず、表面処理14を実施すべき1つ又は複数の表面12を含む複数の適用区画314(
図1Cを参照)内の複数の所望経路310(
図1Cを参照)を含む複数の経路304に沿って、作業者54(
図1Aを参照)又はユーザ52(
図1Aを参照)がワンドアプリケータ18を手動で移動させ、次いで、表面処理を実施すべきでない複数の回避区画332の中又は近傍の複数の回避区画経路312(
図1Cを参照)を含む複数の経路304に沿って、作業者54(
図1Aを参照)又はユーザ52(
図1Aを参照)がワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行される。訓練可能な可搬型ワンドシステム11が学習モード300において訓練された後は、当該訓練可能な可搬型ワンドシステム11は、訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)として扱うことができ、また、そのように機能する。
【0144】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を学習モード300において訓練するステップ404であって、表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12を含む複数の適用区画314(
図1Cを参照)内の複数の所望経路310(
図1Cを参照)に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実行されるステップは、さらに、1つ又は複数の表面12として、
図1Bに示す様に、航空機148、宇宙船150、自動車152、船舶154、列車156、病院158、工場建物160、オフィスビル162、映画館164、レストラン166、或いは、他の適当なビークルや構造体のうちのいずれかの内装146における1つ又は複数の表面12を含む複数の適用区画314(
図1Cを参照)における複数の所望経路310に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることを含みうる。
【0145】
方法400は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を学習モード300において訓練するステップ404の前に、ワンドアプリケータ18を含む可搬型ワンドシステム10を学習モード300で起動させるように、手動選択ボタン25で学習モード選択肢342(
図1Cを参照)を選択するステップを含みうる。加えて、ワンドアプリケータ18を複数の適用区画314における複数の所望経路310に沿って手動で移動させる前に、手動選択ボタン25で適用区画学習モード選択肢342a(
図1Cを参照)が選択されうる。加えて、ワンドアプリケータ18を複数の回避区画332の中、上方、或いは、近傍における複数の回避区画経路312に沿って手動で移動させる前に、手動選択ボタン25で回避区画学習モード選択肢342b(
図1Cを参照)が選択されうる。
【0146】
図7に示す様に、方法400は、さらに、複数の適用区画314に対応する複数の所望経路310を可搬型ワンドシステム10によって記録及び格納するとともに、複数の回避区画332に対応する複数の回避区画経路312を可搬型ワンドシステム10によって記録及び格納するステップ406を含む。CPU60は、学習モード300において学習された複数の所望経路310及び回避区画経路312を含む複数の経路304を記録する。ワンド制御サブシステム30のメモリ部66は、学習モード300において学習された複数の所望経路310及び回避区画経路312を含む複数の経路304を格納する。
【0147】
図7に示す様に、方法400は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって、具体的には、セレクタ体24によって、表面処理の対象である1つ又は複数の表面12を有する選定適用区画314aを選択するとともに、当該選定適用区画314aに対応する所望経路310を選択するステップ408を含む。
【0148】
図7に示す様に、方法400は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302(
図1Cを参照)で動作させるステップ410であって、表面処理要素16を起動させた状態で、作業者54又はユーザ52が、選定適用区画314a内の所望経路310(
図1Cを参照)基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386(
図1Cを参照)に沿って、ワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行されるステップを含む。作業経路386は、ワンドアプリケータ18の位置データ58(
図1Aを参照)を使ってリアルタイムに測定される。
【0149】
方法400は、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302で動作させるステップ410の前に、さらに、手動選択ボタン25で処理モード選択肢344(
図1Cを参照)を選択して、可搬型ワンドシステム10を処理モード302で起動させることを含みうる。
【0150】
方法400は、さらに、選定適用区画314aを選択するステップ408の前に、或いは、可搬型ワンドシステム10を処理モード302で動作させるステップ410の前に、手動選択ボタン25を押下して、選定適用区画314aに含まれる処理対象の表面12の1つにおける開始位置167(
図4Aを参照)を、位置合わせフィーチャ130(
図1Aを参照)によって特定するステップを含みうる。位置合わせフィーチャ130は、選定適用区画314aに含まれる表面12のうちの1つにある既知の位置132(
図1Aを参照)にワンドアプリケータ18を位置合わせするための特徴部である。
【0151】
図7に示す様に、方法400は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって、比較を行うステップ412であって、具体的には、可搬型ワンドシステム10のCPU60のコンピュータプログラム32又はアルゴリズム32aを用いて、作業経路386を所望経路310と比較して、作業経路386と所望経路310の間に逸脱387(
図1Cを参照)があるか否かを判定するステップを含む。
【0152】
図7に示す様に、方法400は、さらに、作業経路386が所望経路310から逸脱しているとき、及び、ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって作業者54又はユーザ52に報知するステップ414であって、これにより、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)の調整、及び、ワンドアプリケータ18への電力121(
図1Aを参照)、例えば、ワンドアプリケータ18の表面処理要素16への電力121の調整の実施を可能にするステップを含む。
【0153】
ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知するステップ414は、さらに、ワンドアプリケータ18が回避区画332のうちの1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知して、ワンドアプリケータ18への電力121を調整できるように、アルゴリズム32a(
図1Aを参照)などのコンピュータプログラム32(
図1Aを参照)が電力体108にフィードバック信号390(
図1Cを参照)を供給して、電力体108にワンドアプリケータ18の表面処理要素16への電力121を低減させ、或いは、電力121を停止させることを含みうる。
【0154】
ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知するステップ414は、さらに、ワンドアプリケータ18が前記複数の回避区画332のうちの1つ又は複数の区画に近接し、及び、向いているときに報知して、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)を調整できるように、コンピュータプログラム32がインジケータ要素78をトリガーして、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることを作業者54又はユーザ52に通知する動作を行わせることを含みうる。インジケータ要素78は、二値インジケータ80を含み、この二値インジケータ80の例は、上述されており、また
図1Aにも示されている。
【0155】
図7に示す様に、方法400は、さらに、選定適用区画314aに含まれる1つ又は複数の表面12に対して所望の表面処理14bが実施されたことを、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって確認するステップ416を含む。
【0156】
所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416は、さらに、所望の表面処理14bが、
図1Bに示す様に、消毒処理168、紫外線(UV)光消毒処理170、除染処理174、殺菌処理176、滅菌処理178、硬化処理180、ショットピーニング処理182、化学汚染物質検出処理184、生物学的汚染物質検出処理186、非破壊検査プロセス188、渦流探傷試験190、塗装処理192、研磨ブラスト処理194、サンドブラスト処理194a、表面予熱処理196、トーチ溶接処理198、又は他の適当な表面処理のうちの1つである表面処理14であって、当該所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416を含む。
【0157】
選定適用区画314aに対して所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416は、さらに、可搬型ワンドシステム10がインジケータ要素78(
図1Aを参照)を起動して、表面処理要素16による所望の表面処理14b又は所定の表面処理14aが1つ又は複数の表面12に対して実施されたことを作業者54又はユーザ52に合図する動作を行わせることを含みうる。上述し、また
図1Aに示す様に、インジケータ要素78は、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、又は、他の適当な警告や警報のうちの1つを含む二値インジケータ80であって、1つ又は複数の表面12に対して所定の表面処理14a又は所望の表面処理14bなどの表面処理14の実施が完了したことを示す。
【0158】
選定適用区画314aに対して所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416は、さらに、インジケータ要素78を起動して、所望の表面処理14b又は所定の表面処理14aが実施されたことを作業者54又はユーザ52に合図する際に、ワンドアプリケータ18に接続された映像ディスプレイ98(
図1Aを参照)を含むインジケータ要素78を起動することを含みうる。映像ディスプレイ98は、ユーザ52又は作業者54から視認可能であって、表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12の部分102(
図1Aを参照)と、点灯表示進捗状況バー106(
図1Aを参照)又はマップを構成する色コード信号104(
図1Aを参照)と、のうちの1つ又は複数を表示して、部分102のうち全面に処理が実施済みである網羅部分102a(
図1Aを参照)を示す。
【0159】
方法400は、さらに、選定適用区画314aに対して所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416の後に、以下のステップを含みうる。即ち、当該方法は、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を次の既知の位置132a(
図1Aを参照)に移動させて、当該次の既知の位置132aに可搬型ワンドシステム10を位置合わせするステップと、表面処理を実施すべき次の選定適用区画314b(
図1Cを参照)を選択するとともに当該次の選定適用区画314bに対応する所望経路310を選択するステップと、を含みうる。当該方法は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302で動作させるステップであって、作業者54又はユーザ52が当該次の選定適用区画314bにおける所望経路310に基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行されるステップと、作業経路386を所望経路310に比較するステップ412と、作業経路386が所望経路310から逸脱したときに報知するステップ414と、所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ416と、の各ステップを繰り返し実行することを含みうる。
【0160】
次に、
図8を参照する。
図8は、本開示の方法450の一形態を示すフロー図である。本開示の一形態において提供される方法450は、航空機148(
図1Bを参照)の内装146(
図1Bを参照)において消毒すべき1つ又は複数の表面12に対して所望の紫外線(UV)光消毒172b(
図1Bを参照)が実施されたことを作業者54又はユーザ52に報知し、確認するための方法である。
【0161】
図8のブロックは、処理及び/又は処理の一部、或いは要素を表しているが、これら様々なブロックを繋ぐ線は、処理及び/又は処理の一部、或いは要素について特定の順序や従属関係を表すものではない。
図8及び本開示における方法450のステップの記載は、これらステップの実行順序を決定するものであると解釈されるべきではない。むしろ、例示的な一順序が示されているに過ぎず、これらステップの実行順序は、必要に応じて変更可能であると解釈されるべきである。したがって、特定の処理を異なる順序で実行したり、同時に実行したりすることも可能である。
【0162】
図8に示す様に、方法450は、一形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Bを参照)であって、例えば訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1A、
図1Cを参照)を用意するステップ452を含む。上述したように、一形態において、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、紫外線(UV)ランプ要素26(
図1Aを参照)を有するワンドアプリケータ18(
図1Aを参照)を含む。
【0163】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンドアプリケータ18に接続されたワンド制御サブシステム30(
図1Aを参照)を含む。ワンド制御サブシステム30は、アルゴリズム32a(
図1Aを参照)などのコンピュータプログラム32(
図1Aを参照)と、メモリ部66(
図1Aを参照)と、メモリ部66に接続された中央処理装置(CPU)60(
図1Aを参照)と、を含む。ワンド制御サブシステム30は、一形態においては、さらに、CPU60に接続された慣性測定部(IMU)42(
図1Aを参照)を含み、他の形態においては、さらに、固定位置伸縮計72(
図1Aを参照)、回転位置センサ74(
図1Aを参照)、又は、外部写真測量センサ76(
図1Aを参照)のうちの1つ又は複数を含む。ワンド制御サブシステム30は、さらに、CPU60に接続された表面処理要素(STAE)電力フィードバック部62(
図1Aを参照)を含む。
【0164】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、手動選択ボタン25に機能的に接続されており当該ボタンによって起動されるセレクタ体24を含む。訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ452は、さらに、バーコード体348(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を有する可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。上述したように、バーコード体348は、ワンドアプリケータ18に接続されたバーコードカメラ350(
図1Cを参照)と、ワンドアプリケータ18又はバーコードカメラ350に接続されたデコーダ電子機器352(
図1Cを参照)と、適用区画314の1つ又は複数、及び回避区画332の1つ又は複数に配置された1つ又は複数のバーコード354(
図1Cを参照)と、を含む。バーコードカメラ350は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置された1つ又は複数のバーコード354を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。
【0165】
一形態において、バーコードカメラ350は、例えば様々な表面処理14に関する作業指示書358(
図1Cを参照)の紙面356(
図1cを参照)に印刷されたQR(クイックレスポンス)コード又はマトリックスバーコード、或いは、表面処理14を実施すべき表面12に隣接する隣接表面360(
図1Cを参照)に印刷されたQRコード又はマトリックスバーコードなどの二次元バーコード345a(
図1Cを参照)を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。二次元バーコード354aは、隣接表面360に直接印刷又は貼り付けられ、或いは、例えば、隣接表面360に付されたラベル、デカール、シールに間接的に印刷又は貼り付けられる。他の形態において、バーコードカメラ350又はバーコードリーダは、光学スキャナ364(
図1Cを参照)を含む。
【0166】
可搬型ワンドシステム10を用意するステップ452は、さらに、セレクタ体24が無線周波数識別(RFID)体366(
図1Cを参照)を有するものであり、当該RFID体が、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択ボタン25に機能的に接続されており当該ボタンによって起動されるものである、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。上述したように、RFID体366は、ワンドアプリケータ18に接続された無線周波数識別(RFID)リーダ368(
図1Cを参照)と、ワンドアプリケータ18に接続されたが無線周波数識別(RFID)電子機器370(
図1Cを参照)と、適用区画314の1つ又は複数、及び回避区画332の1つ又は複数に配置された1つ又は複数のRFIDタグ372(
図1Cを参照)と、を含む。RFIDリーダ368は、1つ又は複数の適用区画314及び1つ又は複数の回避区画332に配置されたRFIDタグ372のうちの1つ又は複数を読み取るよう設計されており、また読み取りを行う。手動選択ボタン25は、二度押しなどの適当な順序又はパターンで押下することによってRFIDリーダ368を起動させるものであり、例えば、ユーザ52又は作業者54が手動選択ボタン25を二度押しし、或いは、トリガーハンドル284(
図6Aを参照)の形態の手動選択ボタン25を二度押しする。RFIDリーダ368及びRFID電子機器370は、ワンド制御サブシステム30のCPU60に機能的に接続されており、RFIDタグ372と合わせて使用することで、消毒などの表面処理を実施すべき1つ又は複数の適用区画314などの区画308を特定し、また、表面処理を実施すべきでない1つ又は複数の回避区画332などの区画308を特定することができる。
【0167】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ452は、さらに、手動セレクタ体374(
図1Cを参照)を含むセレクタ体24を有する可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。手動セレクタ体374は、ワンドアプリケータ18に接続された手動選択装置376(
図1Cを参照)と、複数の適用区画314に対応する識別番号及び回避区画332に対応する識別番号などの識別子373が予めプログラムされたリスト378(
図1Cを参照)である参照リストと、を含む。手動選択装置376は、手動選択ボタン25によって起動し、或いは、起動又は使用可能な状態にすることができる。
【0168】
一形態において、手動選択装置376は、上述したように選択要素380(
図1Cを参照)を含み、例えば、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52によって手動で押下されるボタン群380a(
図1Cを参照)、或いは、ワンドアプリケータ18に設けられており作業者54又はユーザ52のタッチ操作によって数字又は英数字などの識別子373(
図1Cを参照)の入力に使用されるタッチスクリーン380b、或いは、ワンドアプリケータ18に、具体的にはワンドアプリケータ18のハンドル部20に設けられた他の適当な選択要素380を含む。選択要素380は、好ましくは、ユーザ52又は作業者54によって使用され、例えば、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに対応する識別子373を予めプログラムされたリスト378から特定及び選択するために使用され、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すために使用される。
【0169】
他の形態において、手動選択装置376は、上述したように、キーパッド382(
図1Cを参照)を含む。キーパッド382は、ワンドアプリケータ18に有線又は無線で接続されている。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報をキーパッド382にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができ、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0170】
さらに他の形態において、手動選択装置376は、上述したように、例えば、ワイ・ファイ、ブルートゥース、他の適当な無線接続によってワンドアプリケータ18などの可搬型ワンドシステム10と通信するアプリケーション384(
図1Cを参照)を有するスマートフォン、タブレットコンピュータなどの適当な別個のモバイル装置362である。ユーザ52又は作業者54は、予めプログラムされたリスト378に含まれる識別子373などの情報を、独立したモバイル装置362にタイプ又は入力することで、選定適用区画314a又は選定回避区画332aなどの所望の区画308aに関連又は対応する識別子373を特定及び選択することができ、また、選定適用区画314aに関連付けられた選定所望経路310b(
図1Cを参照)、及び/又は、選定回避区画332aに関連付けられた選定回避区画経路312b(
図1Cを参照)をメモリ部66から呼び出すことができる。
【0171】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、インジケータ要素78を含む。インジケータ要素78は、二値インジケータ80(
図1Aを参照)であって、
図1Aに示す様に、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、又は他の適当な警告や警報のうちの1つを含む。インジケータ要素78は、1つ又は複数の表面12に対して、所定の紫外線(UV)光消毒172aなどの所望の紫外線(UV)光消毒172bの実施が完了したことを作業者54又はユーザ52に報知する。加えて、インジケータ要素78は、後述するように、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、また、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392にあるときに、作業者54又はユーザ52に報知する。
【0172】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10は、さらに、ワンドアプリケータ18に接続された、具体的にはワンドアプリケータ18に含まれるワンド制御サブシステム30に接続された電力体108を含む。電力体108は、有線コネクタ114(
図1Aを参照)を介してワンドアプリケータ18に接続されたバッテリ110a(
図1Aを参照)などのエネルギー蓄積装置110を含む。
【0173】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を用意するステップ452は、さらに、ワンド制御サブシステム30に接続されたコンピュータ記録システム136(
図1Aを参照)を含む、可搬型ワンドシステム10を用意することを含みうる。コンピュータ記録システム136は、ワンドアプリケータ18の位置データ58を解析するとともに、1つ又は複数の表面12に対する所定の表面処理14a(
図1Bを参照)又は所望の表面処理14b(
図1Cを参照)などの表面処理14(
図1Bを参照)の実施の状況15(
図1Bを参照)をインジケータ要素78に通信する。コンピュータ記録システム136は、コンピュータ138(
図1Aを参照)を含んでおり、これにより、1つ又は複数の表面12に対して所望のUV光消毒172b又は所定のUV光消毒172aなどのUV光消毒172が実施されたことを記録し、また、1つ又は複数の表面12に対して所望のUV光消毒172b又は所定のUV光消毒172aなどのUV光消毒172が適切に実施されたことを確認及び証明する。
【0174】
図8に示す様に、方法450は、さらに、手動選択ボタン25で学習モード選択肢342(
図1Cを参照)を選択して、可搬型ワンドシステム10を学習モード300で起動させるステップ454を含む。選択ステップ454は、さらに、セレクタ体24を用いて、UVランプ要素26によるUV光消毒172(
図1Bを参照)などの消毒処理168(
図1Bを参照)を実施すべき1つ又は複数の表面12を有する複数の適用区画314から選定適用区画314aを選択することを含む。
【0175】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を学習モード300のうちの第1学習モード300a(
図1Cを参照)において訓練するステップ456であって、UVランプ要素26による所望のUV光消毒172bなどのUV光消毒172を実施すべき1つ又は複数の表面12を含む複数の適用区画314内の複数の所望経路310に沿って、作業者54又はユーザ52がワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行されるステップを含む。加えて、ワンドアプリケータ18を複数の適用区画314における複数の所望経路310に沿って手動で移動させる前に、手動選択ボタン25で適用区画学習モード選択肢342a(
図1Cを参照)が選択されうる。
【0176】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10によって、複数の適用区画314に対応する複数の所望経路310を記録及び格納するステップ458を含む。CPU60は、第1学習モード300aにおいて学習された複数の所望経路310をリアルタイムで記録する。ワンド制御サブシステム30のメモリ部66は、第1学習モード300aにおいて学習された複数の所望経路310を、好ましくはリアルタイムで格納する。
【0177】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を第2学習モード300b(
図1Cを参照)において訓練するステップ460であって、複数の回避区画332(
図1Aを参照)の中又は近傍の1つ又は複数の回避区画経路312(
図1Cを参照)に沿って、作業者54又はユーザ52がワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行されるステップを含む。可搬型ワンドシステム10を訓練するステップ460の前に、選択ステップ454は、さらに、セレクタ体24を用いて、具体的には手動選択ボタン25を用いて、UV光消毒172などの消毒処理168の実施を回避すべき複数の回避区画332から選定回避区画332aを選択することを含みうる。加えて、ワンドアプリケータ18を複数の回避区画332の中、上方、或いは、近傍における複数の回避区画経路312に沿って手動で移動させる前に、手動選択ボタン25で回避区画学習モード選択肢342b(
図1Cを参照)が選択されうる。
【0178】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10によって、複数の回避区画332に対応する複数の回避区画経路312を記録及び格納するステップ462を含む。CPU60は、第2学習モード300bにおいて学習された複数の回避区画経路312をリアルタイムで記録する。ワンド制御サブシステム30のメモリ部66は、第2学習モード300bにおいて学習された複数の回避区画経路312を、好ましくはリアルタイムで格納する。
【0179】
可搬型ワンドシステム10を訓練するステップにおいて選定適用区画314aに含まれる所望経路310を学習させた後、或いは、可搬型ワンドシステム10を訓練するステップ460において選定回避区画332aに含まれる回避区画経路312を学習させた後に、次の選定適用区画314b(
図1Cを参照)に含まれる所望経路310を追加で学習させ、当該追加の所望経路310をCPU60に記録させ、メモリ部66に格納させることができる。可搬型ワンドシステム10を訓練するステップにおいて選定回避区画332aにおける回避区画経路312を学習させた後、或いは、次の選定適用区画314bにおける所望経路310を追加で学習させた後に、次の回避区画332b(
図1Cを参照)に含まれる回避区画経路312を追加で学習させ、当該追加の回避区画経路312をCPU60に記録させ、メモリ部66に格納させることができる。訓練可能な可搬型ワンドシステム11が第1学習モード300a及び第2学習モード300bを含む学習モード300において訓練された後は、当該訓練可能な可搬型ワンドシステム11は、訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)として扱うことができ、また、そのように機能する。
【0180】
図8に示す様に、方法450は、さらに、手動選択ボタン25で処理モード選択肢344(
図1Cを参照)を選択して、可搬型ワンドシステム10を処理モード302(
図1Cを参照)に移行させるステップ464を含む。
図8に示す様に、方法450は、さらに、セレクタ体24によって、消毒処理の対象である1つ又は複数の表面12を有する選定適用区画314aを選択するとともに、第1学習モード300aにおいて記録及び格納された所望経路310のうち、当該選定適用区画314aに対応する経路を選択するステップ466を含む。
【0181】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302(
図1Cを参照)で動作させるステップ468であって、UVランプ要素26を起動させた状態で、作業者54又はユーザ52が、選定適用区画314a内の所望経路310(
図1Cを参照)基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386(
図1Cを参照)に沿って、ワンドアプリケータ18を手動でリアルタイムに移動させることで実行されるステップを含む。各作業経路386は、ワンドアプリケータ18の位置データ58(
図1Aを参照)に使ってリアルタイムに測定される。
【0182】
方法450は、さらに、選定適用区画314aを選択するステップ466の前に、或いは、可搬型ワンドシステム10を処理モード302で動作させるステップ468の前に、手動選択ボタン25を押下して、選定適用区画314aに含まれる消毒対象の表面12の1つにおける開始位置167(
図4Aを参照)を位置合わせフィーチャ130(
図1Aを参照)によって特定するステップを含みうる。位置合わせフィーチャ130は、選定適用区画314aにおける表面12のうちの1つにある既知の位置132(
図1Aを参照)にワンドアプリケータ18を位置合わせするための特徴部である。
【0183】
図8に示す様に、方法450は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって、比較を行うステップ470であって、具体的には、可搬型ワンドシステム10のCPU60を用いて、作業経路386を所望経路310と比較して、作業経路386と所望経路310の間に逸脱387があるか否かを判定するステップを含む。
【0184】
図8に示す様に、方法450は、さらに、作業経路386が所望経路310から逸脱しているとき、及び、ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって作業者54又はユーザ52に報知するステップ472であって、これにより、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)の調整、及び、ワンドアプリケータ18への電力121(
図1Aを参照)、例えば、ワンドアプリケータ18のUVランプ要素26への電力121の調整の実施を可能にするステップを含む。
【0185】
ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知するステップ472は、さらに、ワンドアプリケータ18が回避区画332のうちの1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知して、ワンドアプリケータ18への電力121を調整できるようにすることを含み、これは、アルゴリズム32a(
図1Aを参照)などのコンピュータプログラム32(
図1Aを参照)が電力体108にフィードバック信号390(
図1Cを参照)を供給して、ワンドアプリケータ18のUVランプ要素26への電力121を低減し、或いは、電力121を停止する処理を電力体108に実行させることで行われる。
【0186】
ワンドアプリケータ18が回避区画332の1つ又は複数に近接し、また、これに向けられているときに報知するステップ472は、さらに、ワンドアプリケータ18が前記複数の回避区画のうちの1つ又は複数の区画に近接し、及び、向いているときに通知して、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)を調整できるようにすることを含み、これは、コンピュータプログラム32がインジケータ要素78をトリガーして、ワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることを作業者54又はユーザ52に通知する動作を行わせることで行われる。インジケータ要素78は、二値インジケータ80を含み、二値インジケータ80の例は、
図1Aに示されている。
【0187】
図8に示す様に、方法450は、さらに、選定適用区画314aに含まれる1つ又は複数の表面12に対して所望のUV光消毒172bが実施されたことを、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10によって確認するステップ474を含む。選定適用区画314aに対して所望のUV光消毒172bが実施されたことを確認するステップ474は、さらに、可搬型ワンドシステム10がインジケータ要素78(
図1Aを参照)をトリガーして、UVランプ要素26による所望のUV光消毒172b又は所定のUV光消毒172aが1つ又は複数の表面12に対して実施されたことを作業者54又はユーザ52に合図する動作を行わせることを含みうる。上述し、また
図1Aに示す様にインジケータ要素78は、ワンドアプリケータ18に関連付けられた光信号82、表面処理要素光点滅アラート84、オーディオアラート86、サウンドアラート88、触覚アラート90、振動アラート92、パルスアラート94、圧力変化アラート96、又は、他の適当な警告や警報のうちの1つを含む二値インジケータ80であって、1つ又は複数の表面12に対して所定の表面処理14aなどの表面処理14の実施が完了したことを示す。
【0188】
選定適用区画314aに対して所望のUV光消毒172bが実施されたことを確認するステップ474は、さらに、インジケータ要素78を起動して、所望のUV光消毒172b又は所定のUV光消毒172aが実施されたことを作業者54又はユーザ52に合図する際に、ワンドアプリケータ18に接続された映像ディスプレイ98(
図1Aを参照)を含むインジケータ要素78を起動することを含みうる。映像ディスプレイ98は、ユーザ52又は作業者54から視認可能であって、表面処理を実施すべき1つ又は複数の表面12の部分102(
図1Aを参照)と、点灯表示進捗状況バー106(
図1Aを参照)又はマップを構成する色コード信号104(
図1Aを参照)と、のうちの1つ又は複数を表示して、部分102のうち全面に処理が実施済みである網羅部分102a(
図1Aを参照)を示す。
【0189】
方法450は、さらに、選定適用区画314aに対して所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ474の後に、以下のステップを含みうる。即ち、当該方法は、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を次の既知の位置132a(
図1Aを参照)に移動させて、当該次の既知の位置132aに可搬型ワンドシステム10を位置合わせするステップと、消毒処理を実施すべき次の選定適用区画314b(
図1Cを参照)を選択するとともに当該次の選定適用区画314bに対応する所望経路310を選択するステップと、を含みうる。当該方法は、さらに、訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10を処理モード302で動作させるステップであって、作業者54又はユーザ52が当該次の選定適用区画314bにおける所望経路310に基づいて、当該経路に一致又は実質的に一致する作業経路386(
図1Cを参照)に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることで実行されるステップと、作業経路386を所望経路310と比較するステップ470と、作業経路386が所望経路310から逸脱したときに報知するステップ472と、所望の表面処理14bが実施されたことを確認するステップ474と、の各ステップを繰り返し実行することを含みうる。
【0190】
次に、
図9を参照する。
図9は、本開示の可搬型ワンドシステム10(
図1Aを参照)の一形態である、例えば、訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1Cを参照)及び訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)などを使用可能な航空機500aなどの飛行体500を示す斜視図である。
図9に示す様に、航空機500aなどの飛行体500は、胴体502、機首504、操縦室506又はコックピット、翼508、エンジン510、及び、尾部512を含む。
図9に示す様に、尾部512は、垂直安定板514及び水平安定板516を含む。訓練済み可搬型ワンドシステム11aなどの可搬型ワンドシステム10は、航空機500aにおける様々な表面、構造部、物体、及びコンポーネントの消毒、殺菌、滅菌などの様々な表面処理14の実施に使用することができる。例えば、操縦室506、操縦室、客室246(
図4A、
図4Cを参照)の内部、ギャレーの内部、洗面所の内部、収納棚の内部、頭上収納棚330(
図4Cを参照)の内部及び外部などにおいて使用することができる。
【0191】
次に、
図10及び
図11を参照する。
図10は、例示的な航空機製造及び使用方法550を示すフロー図であり、
図11は、例示的な航空機566を示すブロック図である。
図10及び
図11を参照すると、本開示の形態は、
図10に示す航空機製造及び使用方法550、及び、
図11に示す航空機566に関連づけて説明することができる。
【0192】
生産開始前の工程として、例示的な航空機製造及び使用550は、航空機566の仕様決定及び設計552と、材料調達554とを含む。生産中の工程としては、航空機566の部品及び小組立品の製造556と、システム統合558が行われる。その後、航空機566は、認証及び納品560を経て、就航562の段階に入る。顧客による就航562の期間中は、航空機566は、定例の整備及び保守564(また、改良、再構成、改修、及び他の適当な点検を含む)に組み込まれる。
【0193】
航空機製造及び使用550における各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば、顧客)によって実行又は実施することができる。説明のために言及すると、システムインテグレータは、航空機メーカ及び主要システム下請業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。第三者は、売主、下請業者、供給業者をいくつ含んでいてもよいが、これに限定されない。また、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス組織等であってもよい。
【0194】
図11に示す様に、例示的な航空機製造及び使用550によって製造される航空機566は、複数のシステム570及び内装572を有する機体568を備える。複数のシステム570の例としては、推進系574、電気系576、油圧系578、及び環境系580のうちの1つ又は複数が挙げられる。また、その他のシステムをいくつ含んでいてもよい。なお、航空宇宙産業の例を示したが、本開示の原理は、例えば自動車産業などの他の産業に適用してもよい。
【0195】
本明細書に提示した方法及びシステムは、航空機製造及び使用550の任意の1つ又は複数の段階において採用することができる。例えば、部品及び小組立品の製造556に対応する部品及び小組立品は、航空機566の就航562中に製造される部品及び小組立品と同様に作製又は製造することができる。また、装置の実施例、方法の実施例、或いは、それらの組み合わせの1つ又は複数を、例えば、部品及び小組立品の製造556及びシステム統合558に用いることで、例えば、航空機566の組み立て速度やコストを大幅に改善することができる。同様に、装置の実施例、方法の実施例、或いは、それらの組み合わせの1つ又は複数を、航空機566の就航562中において用いることができ、限定するものではないが例えば、整備及び保守564に用いることができる。
【0196】
訓練可能な可搬型ワンドシステム11(
図1C、
図2A~2Bを参照)及び訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1C、
図3A~3Bを参照)などの形態を含む可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~2B、
図3A~3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、指定された訓練者などのユーザ52又は作業者54は、好ましくは、先ず学習モード300(
図1cを参照)において、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10の訓練又はプログラミングを行うことができる。この訓練は、第1学習モード300aにおいて、表面処理14を実施すべき1つ又は複数の表面12を含む1つ又は複数の適用区画314(
図1Cを参照)内の所望経路310(
図1Cを参照)又はパターン306(
図1Cを参照)に沿ってワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実施できる。各所望経路310は、好ましくは、ワンドアプリケータ18に設けられた慣性システムの出力394を追跡するCPU60などのコンピュータ装置を用いて記録される。また、各所望経路310は、ワンド制御サブシステム30のメモリ部66に格納される。
【0197】
指定された訓練者などのユーザ52又は作業者54は、好ましくは、訓練可能な可搬型ワンドシステム11などの可搬型ワンドシステム10を第2学習モード300b(
図1Cを参照)において訓練又はプログラミングすることができ、これは、1つ又は複数の回避区画332(
図1Cを参照)の中、上方、又は近傍における1つ又は複数の回避区画経路312(
図1Cを参照)に沿って移動型のワンドアプリケータ18を手動で移動させることによって実施できる。各回避区画経路312は、好ましくは、ワンドアプリケータ18内に設けられた慣性システムの出力394を追跡するCPU60などのコンピュータ装置を用いて記録される。また、各回避区画経路312は、ワンド制御サブシステム30のメモリ部66に格納される。回避区画経路312又は処理を避けるべき領域は、学習モード300において、ワンドアプリケータ18に設けられた手動選択ボタン25を用いて選択することで、回避区画332として学習される。この際に、指定された訓練者などのユーザ52又は作業者54は、ワンドアプリケータ18を回避区画332の近傍に位置させ、またその方向に向け、その状態で回避区画学習モード選択肢342b(
図1Cを参照)の選択又は切り替えを行う。さらに、所望経路310上に位置していない表面又はエリアは、すべて回避区画332として指定することができる。学習モード300において学習及び記録された所望経路310及び回避区画経路312は、訓練済みの可搬型ワンドシステム10から訓練済みでない可搬型ワンドシステム10に、データ接続を介して転送することもできる。この際に転送されるデータには、訓練済みでないワンドアプリケータ18を同じ配置の区画308に基づいて方向付けするために用いられる基準ホーム位置(home reference location)のデータも含まれる。
【0198】
加えて、開示の形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、所望経路310及び回避区画経路312などの複数の経路304は、後述するようにバーコード体348、RFID体366、又は手動セレクタ体375のうちの1つを含むセレクタ体24を用いることで、ワンド制御サブシステム30のメモリ部66に格納することができ、また、当該メモリ部から選択することができる。例えば、可搬型ワンドシステム10は、消毒などの表面処理を実施すべき選定適用区画314aに配置された二次元バーコード354a(
図1Cを参照)又はQRコード354b(
図1Cを参照)などのバーコード354(
図1Cを参照)を用いて選択可能な経路、或いは、ワンドアプリケータ18によってスキャン読み取り可能な作業指示書358(
図1Cを参照)から指定又は選択可能な経路である複数の経路304を格納することができる。さらに、ユーザ52又は作業者54は、ワンドアプリケータ18、或いは、可搬型ワンドシステム10と通信する別個のモバイル装置362(
図1Cを参照)に所望の区画308a(
図1Cを参照)などの区画308(
図1Cを参照)を読み込ませることができ、これにより、可搬型ワンドシステム10に、所望の区画308aとしての適用区画314、つまり選定適用区画314aなどに対応する好ましい経路である所望経路310を呼び出すことができる。また、ユーザ52又は作業者54は、表面処理すべき選定適用区画314a(
図1Cを参照)に対応する好ましい経路である選定所望経路310b(
図1Cを参照)を、別個のモバイル装置362又はワンドアプリケータ18において、予めプログラムされたリスト378から選択することも可能である。さらに、別個のモバイル装置362は、可搬型ワンドシステム10と通信可能であるので、選定適用区画314aに対応する選定所望経路310bなどの所望経路310を予めプログラムされたリスト378から可搬型ワンドシステム10に呼び出すことができる。各区画308は、幾何学モデル36(
図1Aを参照)に基づいて、表面処理を実施すべき所望経路310、或いは、表面12すべきでない回避区画332として特定される。したがって、可搬型ワンドシステム10は、消毒などの表面処理を実施すべき区画308を特定し、選択し、管理することができる。
【0199】
ユーザ52又は作業者54が作業経路386に沿ってワンドアプリケータ18を操作する移動388(
図1Cを参照)又は、先の移動に続いて行う次の移動(subsequent movement)388aは、メモリ部66に記録及び格納済みの所望経路310(
図1Cを参照)と比較される。これにより、作業経路386の一部又は全体が所望経路310から大きく逸脱していないか判定することができ、そのような逸脱387(
図1Cを参照)が発生した場合には、逸脱が発生した表面12や区画308などのエリアをユーザ52又は作業者54に通知することができる。これにより、表面処理14を再度実施する必要がある表面12や区画308などのエリアをと特定することができる。
【0200】
加えて、訓練済み可搬型ワンドシステム11a(
図1Cを参照)などの形態を含む可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、作業経路386が所望経路310から逸脱したとき、またワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、ユーザ52又は作業者54に通知することができる。これにより、ユーザ52又は作業者54は、ワンドアプリケータ18の出力394(
図1Cを参照)を制御することができ、例えば、ワンドアプリケータ18の移動388(
図1Cを参照)を調整し、或いは、ワンドアプリケータ18に供給される電力121(
図1A)を調整することができる。ワンドアプリケータ18への電力121の調整は、CPU60のアルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32によって発動されるものであり、ワンドアプリケータ18が回避区画332に向けられている、或いは、その内部、上方、又は近傍に配置されているなどの不適切な状態にある場合に、電力体108にフィードバック信号390を供給して、電力体108にUVランプ要素26などのワンドアプリケータ18の表面処理要素16への電力121を低減又は停止させることで行われる。各区画308は、ワンドアプリケータ18の位置50が、回避区画332として指定されたエリアに対して適切にアライメントしていない場合に、ワンドアプリケータ18の電力121を低減して、UV光28(
図1Aを参照)などの出力394を低下させるように予めプログラムされている。
【0201】
さらに、可搬型ワンドシステム10は、ワンドアプリケータ18が回避区画332に近接し、及び、これに向けられているときに、ユーザ52又は作業者54に対して、例えば、ブザーや音色、振動などの聴覚的な手段或いは視覚的な警告又はアラートを発出する。これは、例えば、ワンドアプリケータ18が操縦室の窓334(
図4Bを参照)などの望ましくないエリアである回避区画332に向けられている場合に、CPU60のアルゴリズム32aなどのコンピュータプログラム32によってインジケータ要素78(
図1Aを参照)をトリガーしてワンドアプリケータ18が不適切な位置392(
図1Cを参照)にあることをユーザ52又は作業者54に通知させることで行われる。
【0202】
開示された形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、所望の表面処理14b(
図1Bを参照)などの表面処理14が適切に実施されたことを証明することができる。具体的には、可搬型ワンドシステム10は、選定適用区画314aに含まれる1つ又は複数の表面12に対して、表面処理14による所望の表面処理14bが実施されたことを通知及び確認する。加えて、開示された形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、所与のエリア又は物体における1つ又は複数の表面12に対して、消毒、殺菌、除染などの表面処理14又はプロセスが最小限の表面照射によって実施されたことを、ユーザ52又は作業者54に対してはリアルタイムで確認及び証明することができ、独立した検査官などの検査官56(
図1A)に対しては、所望の表面処理14bなどの表面処理14の実施が完了した後に確認及び証明することができる。また、可搬型ワンドシステム10によれば、表面処理14が十分に実施され、完了したことをユーザ52又は作業者54が自身で確認することができる。加えて、可搬型ワンドシステム10は、例えば、表面被膜180a(
図1Bを参照)の硬化やUV硬化などの硬化処理180(
図1Bを参照)、金属表面182a(
図1Bを参照)のショットピーニングなどのショットピーニング処理182(
図1Bを参照)、化学汚染物質検出処理184(
図1Bを参照)、生物学的汚染物質検出処理186(
図1Bを参照)、渦流探傷試験190(
図1Bを参照)などの非破壊検査プロセス188(
図1Bを参照)、或いは他の適当な表面処理などの他のプロセスについても、実施の程度が十分であるか示すことができる。
【0203】
開示された形態の可搬型ワンドシステム10(
図1A、
図2A~
図2B、
図3A~
図3B、
図5Aを参照)並びに方法400(
図7を参照)及び方法450(
図8を参照)によれば、表面処理14の繰り返し精度、品質管理、効率、及び、一貫性を高めることで、高品質の処理を実現できるとともに、ユーザ52又は作業者54によって表面処理14を巧みに実施することができる。これは、高度に複雑な機器を必要とするが、複雑な表面の処理に関しては、人間の作業者ほど巧みに処理を行うことができない自動処理方法とは対照的である。可搬型ワンドシステム10は、ユーザ52又は作業者54など、人間の作業者による高度で巧みな作業を利用しつつも、自動化プロセスと同等の追跡可能性と繰り返し精度を確保することができる。可搬型ワンドシステム10は、人間の作業者が持つ適応力を享受しつつ、自動プロセスに匹敵する追跡可能性及び繰り返し精度を、複雑化を要することなく実現することができる。可搬型ワンドシステム10は、消毒処理168などの表面処理14を実施するものであって、表面12に対して消毒処理168などの表面処理14が実施されたことを手持ち式ワンドアプリケータ18a(
図1Aを参照)などのワンドアプリケータ18によって確認及び証明することを可能にする。可搬型ワンドシステム10は、消毒や殺菌などの表面処理プロセスを実施するものであり、例えば学習済み経路304a(
図1Cを参照)及びモード選択肢340(
図1Cを参照)を利用した手作業によって表面12に対する表面処理14が十分に実施されたことをユーザ52又は作業者54に報知及び確認し、回避区画332に進入したことをユーザ52又は作業者54に報知し、高いレベルの品質管理及び効率を維持することができる。
【0204】
本開示に関連する当業者が、上述の記載及び関連図面の教示による利点を念頭におけば、本開示についての多くの変形及び他の実施形態が予測可能であろう。本明細書に記載した様々な形態は、あくまでも例示であって、限定を課す意図でも、すべてを網羅する意図でもない。また、本明細書では具体的な用語を用いているが、これらは概括的且つ説明的な意味で用いているだけであり、限定を目的としたものではない。
【0205】
本開示は、さらに以下の付記による実施形態も包含する。
【0206】
付記1. 1つ又は複数の表面に対して所望の表面処理が実施されたことを報知及び確認するための方法であって、
可搬型ワンドシステムであって、
表面処理要素を含むワンドアプリケータと、
前記ワンドアプリケータに接続されているとともに、コンピュータプログラム、メモリ部、及び、前記メモリ部に接続された中央処理装置(CPU)を含むワンド制御サブシステムと、
手動選択ボタンに機能的に接続されたセレクタ体と、
インジケータ要素と、
前記ワンドアプリケータに接続された電力体と、を備える可搬型ワンドシステムを用意することと、
学習モードにおいて、作業者が前記ワンドアプリケータを、表面処理すべき複数の適用区画内の複数の所望経路に沿って手動で移動させること及び表面処理すべきでない複数の回避区画内又は近傍における複数の回避区画経路に沿って手動で移動させることによって、前記可搬型ワンドシステムを訓練することと、
前記可搬型ワンドシステムによって、前記複数の適用区画に対応する前記複数の所望経路、及び前記複数の回避区画に対応する前記複数の回避区画経路を記録及び格納することと、
前記可搬型ワンドシステムによって、表面処理すべき1つ又は複数の表面を有する選定適用区画を選択するとともに、前記選定適用区画に対応する所望経路を選択することと、
処理モードにおいて、前記表面処理要素を起動させた状態で、前記作業者が前記ワンドアプリケータを前記選定適用区画内の前記所望経路に基づいた作業経路に沿って手動で移動させて、前記可搬型ワンドシステムを動作させることと、
前記可搬型ワンドシステムによって前記作業経路を前記所望経路と比較することと、
前記作業経路が前記所望経路から逸脱したとき、及び、前記ワンドアプリケータが前記複数の回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに、前記ワンドアプリケータの移動の調整、及び、前記ワンドアプリケータへの電力の調整を行えるように、前記可搬型ワンドシステムによって前記作業者に報知することと、
前記選定適用区画内の前記1つ又は複数の表面に対して前記所望の表面処理が実施されたことを、前記可搬型ワンドシステムによって確認することと、の各ステップを含む方法。
【0207】
付記2. さらに、前記処理モードにおいて前記可搬型ワンドシステムを動作させる前に、前記手動選択ボタンを押下して、前記選定適用区画内の前記表面処理すべき1つ又は複数の表面の1つにおける開始位置を位置合わせフィーチャによって特定するステップを含み、この際に、前記位置合わせフィーチャは、前記ワンドアプリケータを前記選定適用区画内の既知の位置に位置合わせするためのものである、付記1に記載の方法。
【0208】
付記3. さらに、前記学習モードにおいて前記可搬型ワンドシステムを訓練する前に、前記手動選択ボタンで学習モード選択肢を選択して、前記可搬型ワンドシステムを前記学習モードで起動させるステップを含む、付記1に記載の方法。
【0209】
付記4. 前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知することは、さらに、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知して、前記ワンドアプリケータへの電力を調整できるように、前記コンピュータプログラムが前記電力体にフィードバック信号を供給して、前記電力体に前記ワンドアプリケータの前記表面処理要素への電力を低減又は停止させることを含む、付記1に記載の方法。
【0210】
付記5. 前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知することは、さらに、前記ワンドアプリケータが前記回避区画の1つ又は複数に近接し及び配向されたときに報知して、前記ワンドアプリケータの移動を調整できるように、前記コンピュータプログラムが前記インジケータ要素をトリガーして、前記ワンドアプリケータが不適切な位置にあることを前記作業者に報知する動作を行わせることを含み、この際に、前記インジケータ要素は二値インジケータ要素であって、前記ワンドアプリケータに関連付けられた光信号、表面処理要素光点滅アラート、オーディオアラート、サウンドアラート、触覚アラート、振動アラート、パルスアラート、及び圧力変化アラートのうちの1つを含むものである、付記1に記載の方法。
【0211】
付記6. 前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続されたバーコードカメラと、前記ワンドアプリケータ又は前記バーコードカメラに接続されたデコーダ電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数のバーコードと、を含むバーコード体を含むものであり、前記バーコードカメラが前記1つ又は複数のバーコードを読み取るよう設計されているものである可搬型ワンドシステムを用意することを含む、付記1に記載の方法。
【0212】
付記7. 前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)リーダと、前記ワンドアプリケータに接続された無線周波数識別(RFID)電子機器と、前記適用区画の1つ又は複数と前記回避区画の1つ又は複数とに配置された1つ又は複数の無線周波数識別(RFID)タグと、を含む無線周波数識別(RFID)体を含むものであり、前記RFIDリーダが、前記1つ又は複数のRFIDタグを読み取るよう設計されているものである可搬型ワンドシステムを用意することを含む、付記1に記載の方法。
【0213】
付記8. 前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記セレクタ体が、前記ワンドアプリケータに接続された手動選択装置と、前記複数の適用区画及び前記複数の回避区画に対応する識別子が予めプログラムされたリストと、含む手動セレクタ体であって、さらに、前記ワンドアプリケータに設けられた選択要素と、前記ワンドアプリケータに接続されたキーパッドと、前記可搬型ワンドシステムと通信するよう設計されたアプリケーションを有する別個のモバイル装置と、のうちの1つを含む前記手動選択装置によって前記予めプログラムされたリストがアクセス可能とされている可搬型ワンドシステムを用意することを含む、付記1に記載の方法。
【0214】
付記9. 前記所望の表面処理が実施されたことを確認することは、さらに、前記所望の表面処理が、消毒処理、紫外線(UV)光消毒処理、除染処理、殺菌処理、滅菌処理、硬化処理、ショットピーニング処理、化学汚染物質検出処理、生物学的汚染物質検出処理、非破壊検査プロセス、渦流探傷試験、塗装処理、研磨ブラスト処理、サンドブラスト処理、表面予熱処理、及びトーチ溶接処理のうちの1つであり、当該所望の表面処理が実施されたことを確認することを含む、付記1に記載の方法。
【0215】
付記10. 前記可搬型ワンドシステムを用意することは、さらに、前記ワンドアプリケータが、紫外線(UV)ランプ要素、ガス分散要素、エアロゾル化要素、消毒液、消毒ガス、殺菌液、殺菌ガス、滅菌液、滅菌ガス、洗浄液、硬化要素、ショットピーニング要素、汚染物質検出要素、塗料、研磨ブラスト処理要素、サンドブラスト処理要素、表面予熱処理要素、及びトーチ溶接要素のうちの1つを含む前記表面処理要素を有するものである可搬型ワンドシステムを用意することを含む、付記1に記載の方法。